IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エフ. ホフマン−エルエー ロシュ アーゲーの特許一覧 ▶ 中外製薬株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-がん治療のための併用療法 図1
  • 特開-がん治療のための併用療法 図2
  • 特開-がん治療のための併用療法 図3
  • 特開-がん治療のための併用療法 図4
  • 特開-がん治療のための併用療法 図5
  • 特開-がん治療のための併用療法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177209
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】がん治療のための併用療法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/44 20060101AFI20231206BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20231206BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20231206BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20231206BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20231206BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20231206BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231206BHJP
   A61K 31/517 20060101ALI20231206BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
A61K31/44
A61K45/00
A61P1/00
A61P11/00
A61P17/00
A61P35/00
A61P43/00 121
A61P43/00 105
A61K31/517
A61P35/04
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022183733
(22)【出願日】2022-11-16
(62)【分割の表示】P 2022094023の分割
【原出願日】2022-06-09
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-06-12
(31)【優先権主張番号】21178403
(32)【優先日】2021-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】P 2022091990
(32)【優先日】2022-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】514099673
【氏名又は名称】エフ・ホフマン-ラ・ロシュ・アクチェンゲゼルシャフト
(71)【出願人】
【識別番号】000003311
【氏名又は名称】中外製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】エックマン, ヤン
(72)【発明者】
【氏名】フリース, トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ヘルティング, フランク
(72)【発明者】
【氏名】井出 裕介
(72)【発明者】
【氏名】ペッタッツォーニ, ピエルジョルジョ フランチェスコ トンマゾ
(72)【発明者】
【氏名】田中 浩
(72)【発明者】
【氏名】ヴィヒマン, ユルゲン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA23
4C084MA02
4C084MA52
4C084NA05
4C084ZA021
4C084ZA022
4C084ZA591
4C084ZA592
4C084ZA661
4C084ZA662
4C084ZA891
4C084ZA892
4C084ZB211
4C084ZB212
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZC751
4C084ZC752
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC17
4C086BC46
4C086GA07
4C086MA03
4C086MA04
4C086NA05
4C086ZA02
4C086ZA59
4C086ZA66
4C086ZA89
4C086ZB21
4C086ZB26
4C086ZC75
(57)【要約】      (修正有)
【課題】BRAF阻害剤およびMEK阻害剤によるがんの併用療法ならびにその使用および医薬組成物を提供する。
【解決手段】MEK阻害剤として式(II)の化合物であり、BRAF阻害剤と併用して用いる使用および医薬組成物に関する。

【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
BRAF阻害剤が、式(I):
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくは溶媒和物である、BRAF阻害剤とMEK阻害剤との組合せ。
【請求項2】
前記式(I)の化合物が(3R)-N-[2-シアノ-4-フルオロ-3-(3-メチル-4-オキソ-キナゾリン-6-イル)オキシ-フェニル]-3-フルオロ-ピロリジン-1-スルホンアミドである、請求項1に記載のBRAF阻害剤とMEK阻害剤との組合せ。
【請求項3】
前記MEK阻害剤が、2-(4-シクロプロピル-2-フルオロアニリノ)-3,4-ジフルオロ-5-[[3-フルオロ-2-(メチルスルファモイルアミノ)ピリジン-4-イル]メチル]ベンズアミド、コビメチニブ、トラメチニブおよびビニメチニブ、またはそれらの薬学的に許容され得る塩から選択される、請求項1または2に記載のBRAF阻害剤とMEK阻害剤との組合せ。
【請求項4】
前記MEK阻害剤が、2-(4-シクロプロピル-2-フルオロアニリノ)-3,4-ジフルオロ-5-[[3-フルオロ-2-(メチルスルファモイルアミノ)ピリジン-4-イル]メチル]ベンズアミドまたはその薬学的に許容され得る塩である、請求項1から3のいずれか一項に記載のBRAF阻害剤とMEK阻害剤との組合せ。
【請求項5】
前記MEK阻害剤が、コビメチニブまたはその薬学的に許容され得る塩である、請求項1から3のいずれか一項に記載のBRAF阻害剤とMEK阻害剤との組合せ。
【請求項6】
医薬として使用するための、請求項1から5のいずれか一項に記載のBRAF阻害剤とMEK阻害剤との組合せ。
【請求項7】
がんの治療的および/または予防的処置に使用するための、請求項1から5のいずれか一項に記載のBRAF阻害剤とMEK阻害剤との組合せ。
【請求項8】
がんの治療または予防のための医薬を調製するための、請求項1から5のいずれか一項に記載のBRAF阻害剤とMEK阻害剤との組合せの使用。
【請求項9】
がん、特に黒色腫または非小細胞肺がんの治療または予防のための方法であって、有効量の、請求項1から5のいずれか一項に記載のBRAF阻害剤とMEK阻害剤との組合せを、それを必要とする患者に投与することを含む、方法。
【請求項10】
請求項1から5のいずれか一項に記載のBRAF阻害剤とMEK阻害剤との組合せ、および1種以上の薬学的に許容され得る添加物を含む医薬組成物。
【請求項11】
前記BRAF阻害剤および前記MEK阻害剤が両方とも経口投与される、請求項6から10のいずれか一項に記載の組合せ、使用、方法または医薬組成物。
【請求項12】
前記BRAF阻害剤が前記MEK阻害剤と同時に投与される、請求項6から11のいずれか一項に記載の組合せ、使用、方法または医薬組成物。
【請求項13】
前記BRAF阻害剤および前記MEK阻害剤が共製剤化されている、請求項6から12のいずれか一項に記載の組合せ、使用、方法または医薬組成物。
【請求項14】
前記BRAF阻害剤が前記MEK阻害剤と逐次的に投与される、請求項6から11のいずれか一項に記載の組合せ、使用、方法または医薬組成物。
【請求項15】
前記がんが、甲状腺がん、結腸直腸がん、黒色腫、脳のがんまたは非小細胞肺がんである、請求項6から8のいずれか一項に記載の使用のための、BRAF阻害剤とMEK阻害剤との組合せ。
【請求項16】
前記がんがBRAFV600変異に関連する、請求項6から9のいずれか一項に記載の使用のための、BRAF阻害剤とMEK阻害剤との組合せ。
【請求項17】
前記がんがBRAFV600変異陽性の切除不能なまたは転移性のがんである、請求項6から9のいずれか一項に記載の使用のための、BRAF阻害剤とMEK阻害剤との組合せ。
【請求項18】
BRAFV600変異が、(a)患者の腫瘍組織および/または体液の試料から抽出された核酸(例えばDNA)に対してPCRまたは配列決定を行うこと;および(b)前記試料中のBRAFV600の発現を決定することを含む方法を使用して決定される、請求項6から9のいずれか一項に記載の使用のためのBRAF阻害剤とMEK阻害剤との組合せ。
【請求項19】
MEK分解剤、EGFR阻害剤、EGFR分解剤、HER2および/またはHER3の阻害剤、HER2および/またはHER3の分解剤、SHP2阻害剤、SHP2分解剤、Axl阻害剤、Axl分解剤、ALK阻害剤、ALK分解剤、PI3K阻害剤、PI3K分解剤、SOS1阻害剤、SOS1分解剤、シグナル伝達経路阻害剤、チェックポイント阻害剤、アポトーシス経路の調節剤、細胞傷害性化学療法剤、血管新生標的治療薬、免疫標的剤、ならびに抗体-薬物コンジュゲートから選択される1種以上のさらなる抗がん剤を含む、請求項6から9のいずれか一項に記載の使用のためのBRAF阻害剤とMEK阻害剤との組合せ。
【請求項20】
MEK阻害剤と組み合わせたがんの治療または予防のための、式(I):
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくは溶媒和物、および1種以上の薬学的に許容され得る添加物を含む医薬組成物。
【請求項21】
BRAF阻害剤と組み合わせたがんの治療または予防のための、式(II):
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくは溶媒和物、および1種以上の薬学的に許容され得る添加物を含む医薬組成物。
【請求項22】
本明細書で上述した発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、BRAF阻害剤とMEK阻害剤との組合せ、ならびにその使用および医薬組成物に関する。
【0002】
本発明は、特に、がんの治療に使用するための、BRAF阻害剤およびMEK阻害剤を提供し、ここで、BRAF阻害剤は、式(I):
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくは溶媒和物である。
【背景技術】
【0003】
変異BRAFは標的化可能な発がん性ドライバーであり、これまでに3つのBRAF阻害剤(BRAFi)(ベムラフェニブ、ダブラフェニブ、エンコラフェニブ)が市場に届き、BRAFV600E陽性黒色腫での有効性を示している。しかしながら、薬物耐性の迅速な獲得がほぼ普遍的に観察されており、標的療法に関する治療上の利益の持続期間は依然として限られている。
【0004】
さらに、開発された第一世代のBRAF阻害剤は、BRAFV600E駆動性腫瘍においてMAPKシグナル伝達を抑制する予想外の「逆説的」能力を明らかにしたが、同じ阻害剤は、BRAF野生型(WT)モデルにおいてMAPK刺激活性を示した(N Engl J Med 2012;366:271-273;およびBritish Journal of Cancer第111巻、640-645頁(2014))。
【0005】
次いで、RAFパラドックスに関する機構的研究により、発がん性BRAFV600Eがその単量体サイトゾル形態でMEK1/2をリン酸化する一方で、WT BRAFおよびRAF1の活性化は、細胞膜移行、ならびに活性化RAS(KRAS、NRAS、HRAS)によって促進されるホモおよび/またはヘテロ二量体化を含む事象の複雑な工程を必要とすることが明らかになった(Nature Reviews Cancer第14巻、455-467頁(2014))。
【0006】
ベムラフェニブ、ダブラフェニブおよびエンコラフェニブのような第一世代のBRAF阻害剤の、WT BRAFまたはRAF1プロトマーへの結合は、RAFホモおよび/またはヘテロ二量体化、ならびに新たに形成されたRAF二量体の膜会合を迅速に誘導する。二量体型の立体配座では、1つのRAFプロトマーが第2のRAFプロトマーの立体配座変化をアロステリックに誘導してキナーゼ活性状態をもたらし、重要なことに、阻害剤の結合にとって好ましくない立体配座をもたらす。薬物治療によって誘導された二量体は、結果として、経路の過活性化による未結合プロトマーによって動作される触媒作用によりMEKリン酸化を促進する。
【0007】
腫瘍はBRAFi治療からほとんど逃れられず、大部分の事例における機構は、RAF二量体化を誘発する獲得された能力に関係する。この効果は、MEK阻害剤(MEKi)併用治療によって打ち消すことができる。しかしながら、これらの薬剤は、ヒトにおいてMEKiの達成可能な用量を制限する非常に不十分な治療指数を示す。結果として、第一世代のBRAFiとMEKiとの併用療法に対する耐性は、依然としてRAF逆説的活性化によって媒介される。したがって、これらの併用療法の臨床的利益は依然として限られている。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、がん、特に黒色腫の治療に使用するための式(I)のBRAF阻害剤とMEK阻害剤との新しい組合せに関する。式(I)の化合物はBRAF阻害剤であり、上市されている第一世代のBRAF阻害剤:エンコラフェニブ、ダブラフェニブおよびベムラフェニブ(パラドックスインデューサ)と比較した場合、MAPKシグナル伝達経路の無視できる逆説的活性化(パラドックスブレーカ)示す。この特性に加えて、式(I)の化合物はまた、非常に強力な脳浸透特性を有し、したがって、脳内に転移したがんの治療のために緊急に必要とされる代替療法を提供する。本発明は、第一世代のBRAF阻害剤で治療された患者で頻繁に観察される急速に獲得される治療耐性を克服する可能性を有する、BRAF関連腫瘍に対して強力な併用活性を伴う、がん治療に使用するための新しい組合せを開示する。がんの治療に使用するための本発明に開示される組合せは、MEKiおよびBRAFi単剤療法の相加効果をはるかに超える予想外の組合せ活性を示す。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第一世代のBRAF阻害剤エンコラフェニブと比較した場合の、細胞株A375 BRAF/NRASにおける、MEK阻害剤コビメチニブと組み合わせた(3R)-N-[2-シアノ-4-フルオロ-3-(3-メチル-4-オキソ-キナゾリン-6-イル)オキシ-フェニル]-3-フルオロ-ピロリジン-1-スルホンアミド(本明細書では化合物Iaと呼ぶ)によるP-ERK阻害を開示している。
図2】第一世代のBRAF阻害剤エンコラフェニブと比較した場合の、細胞株A375 BRAF/NRASにおける、MEK阻害剤コビメチニブと組み合わせた化合物Iaによる増殖阻害を開示している。
図3】化合物Iaとコビメチニブとの組合せが、単剤療法と比較した場合に、細胞株A375 NRASを移植したマウスの腫瘍体積を劇的かつ相乗的に減少させることを開示している。
図4】ビニメチニブと組み合わせた第一世代のBRAF阻害剤エンコラフェニブと比較した場合の、細胞株A375 NRASを移植したマウスの腫瘍体積に対する、ビニメチニブと組み合わせた化合物Iaの明確な相乗効果を開示している。
図5】単剤療法と比較した場合の、細胞株A375 NRASを移植したマウスの腫瘍体積に対する、2-(4-シクロプロピル-2-フルオロアニリノ)-3,4-ジフルオロ-5-[[3-フルオロ-2-(メチルスルファモイルアミノ)ピリジン-4-イル]メチル]ベンズアミドナトリウム塩(本明細書では化合物IIaと呼ぶ)と組み合わせた化合物Iaの明確な用量依存的相乗効果を開示している。
図6】細胞株A375における増殖阻害に対する、化合物IIaと組み合わせたエンコラフェニブの明確な相乗効果を開示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
「阻害剤」という用語は、特定のリガンドの特定の受容体への結合と競合する、結合を減少させる、もしくは結合を妨げる化合物、または特定のタンパク質の機能を減少させるもしくは妨げる化合物を表す。特に、その中で使用される阻害剤は、BRAFおよびMEKから選択されるそれぞれの標的の活性を標的化する、活性を低下させる、または活性を阻害する化合物を指し、特定の阻害剤は、1μM未満、500nM未満、200nM未満、100nM未満、50nM未満、25nM未満、10nM未満、5nM未満、2nM未満または1nM未満のIC50値を有する。本発明のいくつかの実施形態では、「BRAF阻害剤」という用語は、BRAFキナーゼ活性を少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%低下させる化合物を指す。本発明のいくつかの実施形態では、「MEK阻害剤」という用語は、MEKキナーゼ活性を少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%低下させる化合物を指す。
【0011】
「IC50」という用語は、特定の測定された活性の50%を阻害するために必要な特定の化合物の濃度を指す。
【0012】
「薬学的に許容され得る塩」という用語は、生物学的にまたはその他望ましくないものではない、遊離塩基または遊離酸の生物学的有効性および特性を保持する、式(I)の化合物またはMEK阻害剤の塩を指す。これらの塩は、例えば、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等、特に塩酸、および有機酸、例えば酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、N-アセチルシステイン等で形成することができる。加えて、これらの塩は、無機塩基または有機塩基を遊離酸に添加することによって調製され得る。無機塩基に由来する塩には、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウムおよびマグネシウム塩等が含まれるがこれらに限定されない。有機塩基に由来する塩には、第一級、第二級、および第三級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミンおよび塩基性イオン交換樹脂、例えばイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、リジン、アルギニン、N-エチルピペリジン、ピペリジン、ポリイミン樹脂等の塩が含まれるがこれらに限定されない。式(I)の化合物の特定の薬学的に許容され得る塩は、塩酸塩、メタンスルホン酸塩、およびクエン酸塩である。[3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードアニリノ)フェニル]-[3-ヒドロキシ-3-[(2S)-ピペリジン-2-イル]アゼチジン-1-イル]メタノンの特定の薬学的に許容され得る塩は、フマル酸塩およびコハク酸塩、特にヘミフマル酸塩およびヘミコハク酸塩である。式(II)の化合物の特定の薬学的に許容され得る塩は、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩およびルビジウム塩などのアルカリ金属塩であり、ナトリウム塩およびカリウム塩が好ましい。
【0013】
「溶媒和物」という用語は、溶媒と溶質との非共有結合性の化学量論的または非化学量論的組合せを指す。「水和物」という用語は、水と溶質との非共有結合性の化学量論的または非化学量論的組合せを指す。例えば、式(I)の化合物およびその薬学的に許容され得る塩は、非溶媒和形態、およびアニソール、ジクロロメタン、トルエン、1,4-ジオキサン、水等の薬学的に許容され得る溶媒との溶媒和形態で存在し得る。
【0014】
式(I)の化合物は、1つの不斉中心を含み、光学的に純粋な鏡像異性体または鏡像異性体の混合物、例えばラセミ体などの形態で存在し得る。
【0015】
Cahn-Ingold-Prelog則によれば、不斉炭素原子は、「R」または「S」立体配置のものであり得る。
【0016】
一態様では、本発明は、がんの治療に使用するためのBRAF阻害剤およびMEK阻害剤を提供し、ここで、BRAF阻害剤は、式(I):
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくは溶媒和物である。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、以下の式(Ia)に記載の化合物である:
【0018】
本発明のいくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、以下の式(Ib)に記載の化合物である:
【0019】
本発明に従って使用するためのMEK阻害剤の非限定的な例には、2-(4-シクロプロピル-2-フルオロアニリノ)-3,4-ジフルオロ-5-[[3-フルオロ-2-(メチルスルファモイルアミノ)ピリジン-4-イル]メチル]ベンズアミド、コビメチニブ、ビニメチニブ、トラメチニブ、セルメチニブ、ピマセルチブ、レファメチニブ、N-[2(R),3-ジヒドロキシプロポキシ]-3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)ベンズアミド(PD-325901)、2-(2-クロロ-4-ヨードフェニルアミノ)-N-(シクロプロピルメトキシ)-3,4-ジフルオロベンズアミド(Cl-1040)および3-[2(R),3-ジヒドロキシプロピル]-6-フルオロ-5-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-8-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-4,7(3H,8H)-ジオン(TAK-733)が含まれる。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態では、MEK阻害剤は式(II):
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくは溶媒和物である。
【0021】
式(II)の化合物は、強力なMEK阻害活性および高いRAF/MEK複合体安定化活性を有する経口的に利用可能なMEK阻害剤である。式(II)の化学名は、2-(4-シクロプロピル-2-フルオロアニリノ)-3,4-ジフルオロ-5-[[3-フルオロ-2-(メチルスルファモイルアミノ)ピリジン-4-イル]メチル]ベンズアミドである。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態では、式(II)の化合物は、以下の式(IIa)に記載のナトリウム塩である:
【0023】
本発明のいくつかの実施形態では、MEK阻害剤はコビメチニブである。コビメチニブは、RAS/RAF経路の中心構成要素である、MEK1およびMEK2の経口的に利用可能な強力かつ高度に選択的な阻害剤である。コビメチニブは、化学名[3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードアニリノ)フェニル]-[3-ヒドロキシ-3-[(2S)-ピペリジン-2-イル]アゼチジン-1-イル]メタノンを有し、以下の構造を有する:
【0024】
コビメチニブは、国際公開第2007/044515号に記載されている方法に従って調製され得る。コビメチニブは市販されており、以下のCAS登録番号:934660-93-2を有する。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態では、MEK阻害剤はビニメチニブである。ビニメチニブは、RAS/RAF経路の中心構成要素である、MEK1およびMEK2の経口的に利用可能な強力かつ高度に選択的な阻害剤である。ビニメチニブは、化学名5-[(4-ブロモ-2-フルオロフェニル)アミノ]-4-フルオロ-N-(2-ヒドロキシエトキシ)-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-6-カルボキサミドを有し、以下の構造を有する:
【0026】
ビニメチニブは、国際公開第2003/077914号に記載されている方法に従って調製され得る。ビニメチニブは市販されており、以下のCAS登録番号:606143-89-9を有する。
【0027】
一態様では、本発明は、がんの治療に使用するためのBRAF阻害剤およびMEK阻害剤を提供し、ここで、MEK阻害剤は、式(II):
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくは溶媒和物である。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態では、BRAF阻害剤はエンコラフェニブである。エンコラフェニブは、化学名メチルN-[(2S)-1-[[4-[3-[5-クロロ-2-フルオロ-3-(メタンスルホンアミド)フェニル]-1-プロパン-2-イルピラゾール-4-イル]ピリミジン-2-イル]アミノ]プロパン-2-イル]カルバメートを有し、以下の構造を有する:
【0029】
エンコラフェニブは、国際公開第2011/025927号に記載されている方法に従って調製され得る。エンコラフェニブは市販されており、以下のCAS登録番号:1269440-17-6を有する。
【0030】
アッセイ手順
材料
L-グルタミンを補充したDMEMフェノールレッド不含培地を(Thermo Fisher Scientific)から購入した。ウシ胎児血清(FBS)をVWRから購入した。高機能ERKホスホ-T202/Y204キット-10,000試験を、Cisbioカタログ番号64AERPEHから購入した。A375を、元々ATCCから入手し、Rocheリポジトリによって保管した。384ウェルマイクロプレートは384ウェル(蓋付き、HiBase、小容量カタログ784-080)でありGreiner Bio-Oneから購入した。
【0031】
A375細胞におけるP-ERK決定のためのHTRFアッセイ
A375は、V600E変異のBRAFを発現する細胞がんモデルである。ERK1,2リン酸化(MAPK経路のリン酸化カスケードの末端メンバー)は、MAPK経路の活性化状態の主な読出しとして以後報告されている。アッセイの前に、A375細胞株を、10%ウシ胎児血清(FBS)を補充したDMEMフェノールレッド不含培地中で維持する。化合物処置の後、Thr202/Tyr204位でリン酸化された場合、ERKタンパク質に対して、言及されたキット(Cisbioカタログ番号64AERPEH)において提供される2つの抗体の選択的結合によって誘導されるFRET蛍光シグナルを測定することによって、P-ERKレベルを決定する。簡潔に言えば、12μl培地/ウェル中の8000細胞/ウェルを384ウェルプレートに播種し、インキュベータ内に一晩放置し(5%CO2加湿雰囲気下、37℃で)、翌日、プレートを以下の最終薬物濃度で試験化合物、ダブラフェニブおよびPLX8394(後者の2つは対照として)を用いて二連で処置する:10μM-3μM-1μM-0.3μM-0.1μM-0.03μM-0.01μM-0.003μM-0.001μM、すべてのウェルをDMSO正規化に供し、薬物インキュベーションを1時間行う。次いで、キットと共に供給された4×溶解緩衝液4μlをウェルに添加し、次いで、プレートを30秒間遠心分離(300rcf)し、プレートシェーカー上で室温にて1時間インキュベートする。
【0032】
インキュベーションの最後に、4μL/ウェルの高機能P-ERK抗体溶液(製造業者の指示に従って調製)、続いて4μL/ウェルのクリプテートP-ERK抗体溶液(製造業者の指示に従って調製)(Cisbioカタログ番号64AERPEH)を試験ウェルに添加する。
適切なデータ正規化を可能にするために、報告される薬物処置なしの対照ウェルは、常に各プレートに含まれる(製造業者の指示に従って):
対照および実験のp-ERK HTRFウェル含有量(μl):
【0033】
次いで、プレートを300rcfで30秒間遠心分離し、蒸発を防ぐために密封し、室温の暗所で一晩インキュベートする。
【0034】
次いで、プレートを分析し、蛍光発光値をPherastast FSX(BMG Labtech)装置によって665および620nMで収集する。
【0035】
得られた蛍光値を式:比=シグナル(620nm)/シグナル(625nm)*10000に従って処理し、次いでブランクの比の平均をすべての値に対して差し引く。
【0036】
DMSOのみで処置した細胞によって導かれた比(ブランクを差し引いたもの)の平均を100%とみなし、10μMダブラフェニブで処置した細胞によって導かれた比(ブランクを差し引いたもの)の平均を0%とみなして、データを正規化する。正規化された点の平均をシグモイド曲線でフィッティングし、IC50を決定する。結果を表1に要約する。生化学的アッセイにより、式(Ia)および(Ib)の化合物のBRAFおよびBRAFV600Eに対する高い親和性を確認した。Kdは、生化学実験における解離定数である。
表1:化合物(Ia)および(Ib)は、BRAFおよびBRAFV600Eに対して高い親和性ならびにC末端Srcキナーゼ(CSK)およびリンパ球特異的チロシンタンパク質キナーゼ(LCK)よりも高い選択性を有する。Kdは、生化学実験における解離定数である。IC50を、上記のようにA375細胞株において測定した。
【0037】
本発明の式(I)の化合物の調製は、逐次的または収束的な合成経路で行うことができる。本発明の合成は、以下の一般的なスキームで示される。反応および得られた生成物の精製を行うために必要な技能は、当業者に公知である。
【0038】
より詳細には、式(I)の化合物は、以下に示される方法、実施例に示される方法、または類似の方法によって製造することができる。個々の反応工程のための適切な反応条件は、当業者に公知である。反応の順序は、スキーム1に表示されているものに限定されないが、出発材料およびそれぞれの反応性に応じて、反応工程の順序を自由に変更することができる。出発材料は、市販されているか、または以下に示される方法に類似する方法、本明細書もしくは実験手順に引用された参考文献に記載されている方法、または当技術分野で公知の方法によって調製することができる。
【0039】
本発明における式(I)の化合物を官能基にて誘導体化して、in vivoで親化合物に変換し戻すことができる誘導体を提供してもよいことが、理解されるであろう。
【0040】
実験手順
(3R)-N-[2-シアノ-4-フルオロ-3-(3-メチル-4-オキソ-キナゾリン-6-イル)オキシ-フェニル]-3-フルオロ-ピロリジン-1-スルホンアミド(式(Ia)の化合物)および(3S)-N-[2-シアノ-4-フルオロ-3-(3-メチル-4-オキソ-キナゾリン-6-イル)オキシ-フェニル]-3-フルオロ-ピロリジン-1-スルホンアミド(式(Ib)の化合物)
6-ヒドロキシ-3-メチル-キナゾリン-4-オン
2-アミノ-5-ヒドロキシ安息香酸(10g、65.3mmol、当量:1.0)およびN-メチルホルムアミド(30g、29.9mL、503mmol、当量:7.7)を145℃で21時間45分間加熱し、次いで室温に冷却した。反応混合物を50mLのHOで希釈し、室温で20分間撹拌した。得られた沈殿物を濾過によって回収した。淡褐色固体を20mLの水で3回洗浄した。固体をトルエンに溶解し、蒸発乾固させた(3回)。固体を高真空下、40℃の真空中で一晩乾燥させて、表題化合物を淡褐色固体(10.3g、収率89%)として得た。MS(ESI)m/z:177.1[M+H]
【0041】
3,6-ジフルオロ-2-(3-メチル-4-オキソ-キナゾリン-6-イル)オキシ-ベンゾニトリル
炭酸セシウム(3.22g、9.79mmol、当量:1.15)を、N,N-ジメチルホルムアミド(35mL)中の6-ヒドロキシ-3-メチルキナゾリン-4-オン(1500mg、8.51mmol、当量:1.0)の溶液に室温で添加した。混合物を室温で30分間撹拌し、次いで2,3,6-トリフルオロベンゾニトリル(1.47g、1.08ml、9.37mmol、当量:1.1)を添加した。1時間後、反応物を氷上で冷却し、水(120mL)で希釈した。得られた固体を濾過によって回収し、氷水(100mL)およびヘプタン(100mL)で洗浄し、吸引乾燥させた。固体をトルエンに溶解し、蒸発乾固させ(3回)、次いで真空中で一晩乾燥させて、表題化合物を淡褐色固体(2.58g、収率97%)として得た。MS(ESI)m/z:314.1[M+H]+.
【0042】
(3R)-3-フルオロピロリジン-1-スルホンアミド
(R)-3-フルオロピロリジン塩酸塩(1.8g、14.3mmol、当量:1.2)を、ジオキサン(10mL)中の硫酸ジアミド(1.148g、11.9mmol、当量:1.0)およびトリエチルアミン(2.42g、3.33mL、23.9mmol、当量:2)の溶液に添加した。反応物を密閉管中115℃で15.5時間撹拌し、次いで室温に冷却し、真空中で濃縮した。残渣をDCMで希釈し、シリカゲルで蒸発乾固させ、カラムに移した。フラッシュクロマトグラフィー(40gのシリカ、80%EtOAc)による精製によって表題化合物を白色結晶性固体(1.82g、収率91%)として得た。MS(ESI)m/z:169.1[M+H]
【0043】
(3S)-3-フルオロピロリジン-1-スルホンアミド
トリエチルアミン(304mg、419μl、3.01mmol、当量:2.0)を、ジオキサン(1.3ml)中の硫酸ジアミド(146mg、1.5mmol、当量:1.0)および(S)-3-フルオロピロリジン塩酸塩(234mg、1.8mmol、当量:1.2)の懸濁液に添加した。反応物を密閉管中115℃で16時間35分間撹拌し、次いで真空中で濃縮した。残渣をMeOHで希釈し、シリカゲルで蒸発乾固させ、カラムに移した。フラッシュクロマトグラフィー(40gのシリカ、0~8%MeOH/DCM)による精製によって表題化合物を淡黄色固体(193mg、収率75%)として得た。MS(ESI)m/z:169.1[M+H]
【0044】
(3R)-N-[2-シアノ-4-フルオロ-3-(3-メチル-4-オキソ-キナゾリン-6-イル)オキシ-フェニル]-3-フルオロ-ピロリジン-1-スルホンアミド(式(Ia)の化合物)
(R)-3-フルオロピロリジン-1-スルホンアミド(1.26g、7.51mmol、当量:2.1)および炭酸セシウム(2.56g、7.87mmol、当量:2.2)を、アルゴン雰囲気下、乾燥DMF(10.2ml)に懸濁した。反応物を50℃で30分間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、DMF(25.5ml)中の3,6-ジフルオロ-2-((3-メチル-4-オキソ-3,4-ジヒドロキナゾリン-6-イル)オキシ)ベンゾニトリル(1.12g、3.58mmol、当量:1.0)の溶液を添加した。反応混合物を100℃で15時間撹拌し、次いで真空中で濃縮した。残渣を飽和NHCl(100mL)水溶液およびEtOAc(100mL)に溶解した。相を分離し、水層を2×100mLのEtOAcでさらに抽出した。合わせた有機層を水(200mL)およびブライン(200mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。水層をEtOAc(3×100mL)で逆抽出した。合わせた有機抽出物をブライン(200mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。残渣をDCMおよびMeOHで希釈し、シリカで濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(120g、0.5~2%MeOH/DCM)による精製によってオフホワイトの固体が得られ、これを超音波処理により1:1ヘプタン/DCM(20mL)でトリチュエートし、次いで真空中で乾燥させて、表題化合物を無色固体(1.087g、収率66%)として得た。MS(ESI)m/z:426.2[M+H].キラルSFC:RT=4.594分[Chiralpak ICカラム、4.6×250mm、粒径5μm(Daicel);8分間にわたり0.2%NHEtを含有する20~40%MeOHの勾配;流量:2.5mL/分;140バールの背圧]。
【0045】
(3S)-N-[2-シアノ-4-フルオロ-3-(3-メチル-4-オキソ-キナゾリン-6-イル)オキシ-フェニル]-3-フルオロ-ピロリジン-1-スルホンアミド(式(Ib)の化合物)
(S)-3-フルオロピロリジン-1-スルホンアミド(181mg、1.08mmol、当量:2.1)をDMF(1.6ml)に溶解した。室温で、炭酸セシウム(368mg、1.13mmol、当量:2.2)を添加し、反応混合物を50℃で30分間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、DMF(4ml)中の3,6-ジフルオロ-2-((3-メチル-4-オキソ-3,4-ジヒドロキナゾリン-6-イル)オキシ)ベンゾニトリル(160.8mg、513μmol、当量:1.0)の溶液を添加した。反応混合物を105℃で2時間50分間撹拌し、次いで真空中で濃縮した。残渣をDCMに溶解し、飽和NHCl水溶液で洗浄した。水層をDCMで2回逆抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、フィルタにかけ、蒸発させた。残渣(褐色油状物)をDCMで希釈し、カラムに移した。フラッシュクロマトグラフィー(80g、DCM中0~100%EtOAc)による精製によって固体が得られ、これをSFCによってさらに精製して、表題化合物を淡黄色固体(119mg、収率50%)として得た。MS(ESI)m/z:426.2[M+H].キラルSFC:RT=4.411分[Chiralpak ICカラム、4.6×250mm、粒径5μm(Daicel);8分間にわたり0.2%NHEtを含有する20~40%MeOHの勾配;流量:2.5mL/分;140バールの背圧]。
【0046】
2-(4-シクロプロピル-2-フルオロアニリノ)-3,4-ジフルオロ-5-[[3-フルオロ-2-(メチルスルファモイルアミノ)ピリジン-4-イル]メチル]ベンズアミド(式(II)の化合物)
式(II)の化合物は、以下に示される方法、実施例に示される方法または類似の方法によって製造することができる。
【0047】
NMR分析は、Bruker Co.のAVANCE III HD400(400MHz)を使用して行った。NMRデータはppm(百万分率)(δ)で示され、試料溶媒からの重水素ロックシグナルを基準として使用した。
【0048】
マススペクトルデータは、Shimadzu Corp.の超高速液体クロマトグラフィー(Nexera UC)を備えたシングル四重極質量分析計(LCMS-2020)またはWaters Co.のAcquity超高速液体クロマトグラフィー(UPLCまたはUPLC I-Class)を備えたシングル四重極質量分析計(SQDまたはSQD2)を使用して得た。
【0049】
高速液体クロマトグラフィーは、以下の表2に列挙される分析条件A~Cのうち1つを使用して行った。表2では、「TFA」はトリフルオロ酢酸、「FA」はギ酸を表す。
【0050】
市販の試薬をさらに精製することなく直接使用した。
【0051】
すべての非水性反応を無水溶媒中で行った。
【0052】
ロータリーエバポレータを使用して減圧下の濃縮および溶媒蒸留を行った。
【0053】
本明細書で使用される場合、「室温」は、約20℃~約25℃の温度を意味する。
【0054】
メチル3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードアニリノ)-5-ホルミルベンゾエート(化合物a1)
トルエン(44mL)とMeOH(11mL)中の3,4-ジフルオロ-2-((2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ)-5-ホルミル安息香酸(5.50g、13.1mmol)の混合懸濁液を0℃に冷却し、10%ジアゾメチルトリメチルシランヘキサン溶液(21.8mL、13.1mmol)を添加し、混合物を室温で64時間撹拌した。酢酸(0.748mL)を反応混合物に添加し、次いで減圧下で濃縮した。得られた残渣をトリチュエーション(ヘキサン/酢酸エチル)によって精製して、表題化合物(5.01g、88%)を無色固体として得た。LCMS m/z:436[M+H].HPLC保持時間:1.00分(分析条件B)
【0055】
メチル3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードアニリノ)-5-[(E)-[(4-メチルフェニル)スルホニルヒドラジニリデン]メチル]ベンゾエート(化合物a2)
4-メチルベンゼンスルホニルヒドラジド(2.14g、11.5mmol)を、EtOH(100mL)中のメチル3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードアニリノ)-5-ホルミルベンゾエート(化合物a1、5.00g、11.5mmol)の懸濁液に添加し、混合物を室温で3時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、次いでヘキサン(150mL)を添加した。混合物を0℃に冷却し、フィルタにかけ、次いでヘキサン(30mL)で洗浄して、表題化合物(7.05g、定量的)を固体として得た。LCMS m/z:604[M+H].HPLC保持時間:1.06分(分析条件B)
【0056】
N-(2,4-ジメトキシベンジル)-3-フルオロ-4-ヨードピリジン-2-アミン(化合物a3)
トリエチルアミン(3.63mL、26.0mmol)および1-(2,4-ジメトキシフェニル)メタンアミン(3.26mL、21.7mmol)を、NMP(32mL)中の2,3-ジフルオロ-4-ヨードピリジン(2.09g、8.67mmol)の溶液に添加し、混合物を100℃で1.5時間撹拌した。水を反応混合物に添加し、酢酸エチルで抽出を行った。有機層を13%ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、乾燥剤を濾別した後、減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲル・カラム・クロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)によって精製して、表題化合物(3.20g、95%)をオイル状物として得た。LCMS m/z:389[M+H].HPLC保持時間:0.94分(分析条件C)
【0057】
[2-[(2,4-ジメトキシフェニル)メチルアミノ]-3-フルオロピリジン-4-イル]ボロン酸(化合物a4)
N-(2,4-ジメトキシベンジル)-3-フルオロ-4-ヨードピリジン-2-アミン(化合物a3、2.70g、6.96mmol)、[1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)ジクロロメタン付加物(568mg、0.696mmol)、酢酸カリウム(2.05g、20.9mmol)およびビス(ピナコラト)ジボロン(2.65g、10.4mmol)の1,4-ジオキサン溶液(27mL)を、窒素雰囲気下、90℃で5時間、次いで110℃で19時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、得られた残渣を逆相カラムクロマトグラフィー(0.1%ギ酸水溶液/0.1%ギ酸アセトニトリル溶液)によって精製して、表題化合物(2.07g、97%)をオイル状物として得た。LCMS m/z:307[M+H].HPLC保持時間:0.44分(分析条件C)
【0058】
メチル5-[[2-[(2,4-ジメトキシフェニル)メチルアミノ]-3-フルオロピリジン-4-イル]メチル]-3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードアニリノ)ベンゾエート(化合物a5)
メチル3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードアニリノ)-5-[(E)-[(4-メチルフェニル)スルホニルヒドラジニリデン]メチル]ベンゾエート(化合物a2、1.30g、2.16mmol)、[2-[(2,4-ジメトキシフェニル)メチルアミノ]-3-フルオロピリジン-4-イル]ボロン酸(化合物a4、1.98g、6.46mmol)および炭酸カリウム(357mg、2.59mmol)の1,4-ジオキサン懸濁液(59mL)を、窒素雰囲気下、100℃で2.5時間、次いで110℃で3時間撹拌した。酢酸エチルを反応混合物に添加し、次いで水および13%ブラインで洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、乾燥剤を濾別した後、減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲル・カラム・クロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)によって精製して、表題化合物(524mg、36%)を泡状物として得た。LCMS m/z:682[M+H].HPLC保持時間:1.03分(分析条件B)
【0059】
メチル5-[(2-アミノ-3-フルオロピリジン-4-イル)メチル]-3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードアニリノ)ベンゾエート(化合物a6)
メチル5-[[2-[(2,4-ジメトキシフェニル)メチルアミノ]-3-フルオロピリジン-4-イル]メチル]-3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードアニリノ)ベンゾエート(化合物a5、523mg、0.768mmol)のDCM溶液(16mL)を0℃に冷却し、トリフルオロ酢酸(15.7mL)を添加し、混合物を室温で1時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、得られた残渣を逆相カラムクロマトグラフィー(0.05%トリフルオロ酢酸水溶液/0.05%トリフルオロ酢酸アセトニトリル溶液)によって精製して、表題化合物(321mg、79%)をオイル状物として得た。LCMS m/z:532[M+H].HPLC保持時間:0.55分(分析条件B)
【0060】
5-((2-アミノ-3-フルオロピリジン-4-イル)メチル)-3,4-ジフルオロ-2-((2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ)安息香酸塩酸塩(化合物a7)
THF(64mL)と(32mL)中のメチル5-[(2-アミノ-3-フルオロピリジン-4-イル)メチル]-3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードアニリノ)ベンゾエート(化合物a6、4.00g、7.53mmol)の混合溶液を0℃に冷却し、水酸化リチウム一水和物(948mg、22.6mmol)を添加し、混合物を室温で3.5時間撹拌した。0℃に冷却した後、5M塩酸(15.1mL)を反応混合物に添加し、次いで減圧下で濃縮した。得られた残渣を水およびTBMEで洗浄して、表題化合物(4.20g、定量的)を紫色化合物として得た。LCMS m/z:518[M+H].HPLC保持時間:0.68分(分析条件C)
【0061】
5-((2-アミノ-3-フルオロピリジン-4-イル)メチル)-3,4-ジフルオロ-2-((2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ)ベンズアミド(化合物a8)
5-((2-アミノ-3-フルオロピリジン-4-イル)メチル)-3,4-ジフルオロ-2-((2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ)安息香酸塩酸塩(化合物a7、200mg、0.361mmol)の無水DMF溶液(3.6mL)を0℃に冷却し、HOOBt(67.8mg、0.415mmol)およびEDC・HCl(80.0mg、0.415mmol)を添加し、混合物を室温で1.5時間撹拌した。HOOBt(8.8mg、0.054mmol)およびEDC・HCl(10.4mg、0.054mmol)をさらに添加し、室温で1時間撹拌した後、7MアンモニアMeOH溶液(0.103mL、0.722mmol)およびDIPEA(0.189mL、1.08mmol)を0℃で添加し、混合物を室温で30分間撹拌した。水と飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を1:1で反応混合物に添加し、抽出を酢酸エチルで行った。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、乾燥剤を濾別した後、減圧下で濃縮した。得られた残渣を酢酸エチル(1mL)に溶解し、ヘキサン(10mL)を添加した。得られた固体をフィルタにかけ、ヘキサンで洗浄して、表題化合物(162mg、87%)を無色固体として得た。LCMS m/z:517[M+H].HPLC保持時間:0.64分(分析条件C)
【0062】
5-((2-アミノ-3-フルオロピリジン-4-イル)メチル)-2-((4-シクロプロピル-2-フルオロフェニル)アミノ)-3,4-ジフルオロベンズアミド(化合物a9)
テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(11.2mg、9.68μmol)および0.5Mシクロプロピル亜鉛ブロミド(1.94mL、0.969mmol)を、5-((2-アミノ-3-フルオロピリジン-4-イル)メチル)-3,4-ジフルオロ-2-((2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ)ベンズアミド(化合物a8、100mg、0.194mmol)の無水THF溶液(1.9mL)に添加し、混合物を、窒素雰囲気下、室温で2.5時間撹拌した。酢酸エチル(5mL)を反応混合物に添加し、次いでセライトでフィルタにかけ、酢酸エチル(3mL)で洗浄した。濾液を水および飽和ブラインで洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、乾燥剤を濾別した後、減圧下で濃縮した。ジクロロメタン/ヘキサン(1/10、11mL)を得られた残渣に添加し、固体を濾別し、ヘキサン(3mL)で洗浄して、表題化合物a9(63.4mg、76%)を無色固体として得た。LCMS m/z:431[M+H].HPLC保持時間:0.61分(分析条件C)
【0063】
4-ニトロフェニルメチルスルファメート(化合物r1)
4-ニトロフェノール(5.00g、35.9mmol)およびトリエチルアミン(11.3mL、81.0mmol)のジクロロメタン溶液(60mL)を-78℃に冷却し、メチルスルファモイルクロリド(5.82g、44.9mmol)のジクロロメタン溶液(15mL)を添加し、混合物を-78℃で1.5時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、得られた残渣をシリカゲル・カラム・クロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)および逆相カラムクロマトグラフィー(0.1%ギ酸水溶液/0.1%ギ酸アセトニトリル溶液)によって精製して、表題化合物(5.51g、66%)を無色固体として得た。HPLC保持時間:0.63分(分析条件C)H-NMR(400MHz,CDCl)δ:8.31(2H,m),7.46(2H,m),4.68(1H,m),3.00(3H,d,J=5.4Hz).
【0064】
2-(4-シクロプロピル-2-フルオロアニリノ)-3,4-ジフルオロ-5-[[3-フルオロ-2-(メチルスルファモイルアミノ)ピリジン-4-イル]メチル]ベンズアミド(式(II)の化合物)
5-((2-アミノ-3-フルオロピリジン-4-イル)メチル)-2-((4-シクロプロピル-2-フルオロフェニル)アミノ)-3,4-ジフルオロベンズアミド(化合物a9、2.47g、5.74mmol)を無水DMF(28.7mL)に溶解した後、ピリジン(2.78mL、34.4mmol)および4-ニトロフェニルメチルスルファメート(化合物r1、4.00g、17.2mmol)を添加し、混合物を40℃で2.5時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、水(24.7mL)を添加した。アセトニトリル(3mL)および水(19.8mL)をさらに添加し、10分間撹拌した後、固体を濾別した。得られた固体を水/アセトニトリル(1/1、49.4mL)で洗浄して、表題化合物(2.56g、85%)を無色固体として得た。LCMS m/z:524[M+H].HPLC保持時間:1.13分(分析条件A)
【0065】
2-(4-シクロプロピル-2-フルオロアニリノ)-3,4-ジフルオロ-5-[[3-フルオロ-2-(メチルスルファモイルアミノ)ピリジン-4-イル]メチル]ベンズアミドナトリウム塩(化合物IIa)
【0066】
(1)化合物IIa(形態I)の調製
アセトン(10.6mL)およびDMSO(1.51mL)を2-(4-シクロプロピル-2-フルオロアニリノ)-3,4-ジフルオロ-5-[[3-フルオロ-2-(メチルスルファモイルアミノ)ピリジン-4-イル]メチル]ベンズアミド(式(II)の化合物、3.03g)に添加し、室温で溶解した。20%ナトリウムエトキシドエタノール溶液(3.03mL)および化合物IIのナトリウム塩のシード結晶(後述の試料IIb)を溶液に添加し、混合物を室温で1時間撹拌した後、エタノール(15.1mL)を添加し、混合物を室温で4時間撹拌した。次いで、エタノール(15.1mL)を添加し、混合物を室温で4時間撹拌して、化合物IIのナトリウム塩(2.74g)を粉末状結晶(試料IIa(形態I))として得た。
【0067】
(2)試料IIbの調製
20%ナトリウムエトキシドエタノール溶液(0.054mL)およびメチルイソブチルケトン(0.161mL)を式(II)の化合物(53.6mg)に添加し、混合物を室温で30分撹拌し、次いでメチルイソブチルケトン(0.161mL)を添加し、60℃で4日間撹拌を継続した。次いで、DMSO(0.054mL)を添加し、混合物を60℃で5時間撹拌して、化合物IIのナトリウム塩(25.6mg)を粉末状結晶(試料IIb)として得た。
【0068】
化合物IIのMEK1阻害活性
化合物IIのMEK1阻害活性を下記のように蛍光偏光法によって評価した。
【0069】
試験化合物、CRAF(Thermo Fisher Scientific Inc.)、MEK1(Thermo Fisher Scientific Inc.)およびERK2(Carna Biosciences,Inc.)をATP含有緩衝液中で混合し、30℃で60分間反応させた。次いで、FAM標識ERKtide(Molecular Devices Corp.)を添加し、反応を30℃で45分間継続した。IMAP(登録商標)Progressive Binding Reagent(Molecular Devices Corp.)をさらに添加し、室温で15分間反応を継続した。反応後、蛍光プレートリーダを用いて蛍光偏光を測定し、試験化合物を含まない対照に対する阻害パーセントに基づいて、50%阻害濃度(IC50)を計算した。試験化合物が化合物IIである場合、MEK1活性について17nMのIC50が測定された。
【0070】
本発明は、特に、以下のものに関する:
BRAF阻害剤が式(I):
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくは溶媒和物である、BRAF阻害剤とMEK阻害剤との組合せ;
式(I)の化合物が、(3R)-N-[2-シアノ-4-フルオロ-3-(3-メチル-4-オキソ-キナゾリン-6-イル)オキシ-フェニル]-3-フルオロ-ピロリジン-1-スルホンアミドである、本発明に記載のBRAF阻害剤とMEK阻害剤との組合せ;
MEK阻害剤が、2-(4-シクロプロピル-2-フルオロアニリノ)-3,4-ジフルオロ-5-[[3-フルオロ-2-(メチルスルファモイルアミノ)ピリジン-4-イル]メチル]ベンズアミド、コビメチニブ、トラメチニブおよびビニメチニブ、またはそれらの薬学的に許容され得る塩から選択される、本発明に記載のBRAF阻害剤とMEK阻害剤との組合せ;
MEK阻害剤が、2-(4-シクロプロピル-2-フルオロアニリノ)-3,4-ジフルオロ-5-[[3-フルオロ-2-(メチルスルファモイルアミノ)ピリジン-4-イル]メチル]ベンズアミド、またはその薬学的に許容され得る塩である、本発明に記載のBRAF阻害剤とMEK阻害剤との組合せ;
MEK阻害剤が2-(4-シクロプロピル-2-フルオロアニリノ)-3,4-ジフルオロ-5-[[3-フルオロ-2-(メチルスルファモイルアミノ)ピリジン-4-イル]メチル]ベンズアミドナトリウム塩である、本発明に記載のBRAF阻害剤とMEK阻害剤との組合せ;
MEK阻害剤が、コビメチニブまたはその薬学的に許容され得る塩である、本発明に記載のBRAF阻害剤とMEK阻害剤との組合せ;
MEK阻害剤が[3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードアニリノ)フェニル]-[3-ヒドロキシ-3-[(2S)-ピペリジン-2-イル]アゼチジン-1-イル]メタノンヘミフマル酸塩である、本発明に記載のBRAF阻害剤とMEK阻害剤との組合せ;
MEK阻害剤が[3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードアニリノ)フェニル]-[3-ヒドロキシ-3-[(2S)-ピペリジン-2-イル]アゼチジン-1-イル]メタノンヘミコハク酸塩である、本発明に記載のBRAF阻害剤とMEK阻害剤との組合せ;
医薬として使用するための、本発明に記載のBRAF阻害剤とMEK阻害剤との組合せ;
がんの治療的および/または予防的処置に使用するための、本発明に記載のBRAF阻害剤とMEK阻害剤との組合せ;
がんの治療または予防のための医薬を調製するための、本発明に記載のBRAF阻害剤とMEK阻害剤との組合せの使用;
がん、特に黒色腫または非小細胞肺がんの治療または予防のための方法であって、有効量の、本発明に記載のBRAF阻害剤とMEK阻害剤との組合せを、それを必要とする患者に投与することを含む、方法;
本発明に記載のBRAF阻害剤とMEK阻害剤との組合せ、および1種以上の薬学的に許容され得る添加物を含む医薬組成物;
BRAF阻害剤およびMEK阻害剤が両方とも経口投与される、本明細書に記載の組合せ、使用、方法または医薬組成物;
BRAF阻害剤がMEK阻害剤と同時に投与される、本明細書に記載の組合せ、使用、方法または医薬組成物;
BRAF阻害剤およびMEK阻害剤が共製剤化されている、本発明に記載の組合せ、使用、方法または医薬組成物;
BRAF阻害剤がMEK阻害剤と逐次的に投与される、本発明に記載の組合せ、使用、方法または医薬組成物;
がんが、甲状腺がん、結腸直腸がん、黒色腫、脳のがんまたは非小細胞肺がんである、本発明に記載の使用のためのBRAF阻害剤とMEK阻害剤との組合せ;
がんがBRAFV600変異に関連する、本発明に記載の使用のための、BRAF阻害剤とMEK阻害剤との組合せ;
がんがBRAFV600変異陽性の切除不能なまたは転移性のがんである、本発明に記載の使用のための、BRAF阻害剤とMEK阻害剤との組合せ;
BRAFV600変異が、(a)患者の腫瘍組織および/または体液の試料から抽出された核酸(例えばDNA)に対してPCRまたは配列決定を行うこと;および(b)試料中のBRAFV600の発現を決定することを含む方法を使用して決定される、本明細書に記載の使用のための、BRAF阻害剤とMEK阻害剤との組合せ;
MEK分解剤、EGFR阻害剤、EGFR分解剤、HER2および/またはHER3の阻害剤、HER2および/またはHER3の分解剤、SHP2阻害剤、SHP2分解剤、Axl阻害剤、Axl分解剤、ALK阻害剤、ALK分解剤、PI3K阻害剤、PI3K分解剤、SOS1阻害剤、SOS1分解剤、シグナル伝達経路阻害剤、チェックポイント阻害剤、アポトーシス経路の調節剤、細胞傷害性化学療法剤、血管新生標的治療薬、免疫標的剤、ならびに抗体-薬物コンジュゲートから選択される1種以上のさらなる抗がん剤を含む、本発明に記載の使用のための、BRAF阻害剤とMEK阻害剤との組合せ;
BRAF阻害剤が、(3R)-N-[2-シアノ-4-フルオロ-3-(3-メチル-4-オキソ-キナゾリン-6-イル)オキシ-フェニル]-3-フルオロ-ピロリジン-1-スルホンアミドまたはその薬学的に許容され得る塩である、がんの治療または予防のための医薬を調製するための、本明細書に記載のBRAF阻害剤とMEK阻害剤との組合せの使用;
MEK阻害剤が、2-(4-シクロプロピル-2-フルオロアニリノ)-3,4-ジフルオロ-5-[[3-フルオロ-2-(メチルスルファモイルアミノ)ピリジン-4-イル]メチル]ベンズアミド、コビメチニブ、トラメチニブおよびビニメチニブから、またはその薬学的に許容され得る塩から選択される、本発明に記載の医薬を調製するための、本発明に記載のBRAF阻害剤とMEK阻害剤との組合せ;
BRAF阻害剤が、(3R)-N-[2-シアノ-4-フルオロ-3-(3-メチル-4-オキソ-キナゾリン-6-イル)オキシ-フェニル]-3-フルオロ-ピロリジン-1-スルホンアミドまたはその薬学的に許容され得る塩である、がんの治療または予防のための方法であって、有効量の、本明細書に記載のBRAF阻害剤とMEK阻害剤とを、それを必要とする患者に投与することを含む、方法;
がんが、甲状腺がん、結腸直腸がん、黒色腫、脳のがんおよび非小細胞肺がんから選択される、本発明に記載のがんの治療または予防のための方法;
MEK阻害剤が、2-(4-シクロプロピル-2-フルオロアニリノ)-3,4-ジフルオロ-5-[[3-フルオロ-2-(メチルスルファモイルアミノ)ピリジン-4-イル]メチル]ベンズアミド、コビメチニブ、トラメチニブおよびビニメチニブから、またはその薬学的に許容され得る塩から選択される、本発明に記載のがんの治療または予防のための方法;
MEK阻害剤が、2-(4-シクロプロピル-2-フルオロアニリノ)-3,4-ジフルオロ-5-[[3-フルオロ-2-(メチルスルファモイルアミノ)ピリジン-4-イル]メチル]ベンズアミド、コビメチニブ、ビニメチニブ、トラメチニブ、セルメチニブ、ピマセルチブ、レファメチニブ、N-[2(R),3-ジヒドロキシプロポキシ]-3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)ベンズアミド(PD-325901)、2-(2-クロロ-4-ヨードフェニルアミノ)-N-(シクロプロピルメトキシ)-3,4-ジフルオロベンズアミド(Cl-1040)および3-[2(R),3-ジヒドロキシプロピル]-6-フルオロ-5-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-8-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-4,7(3H,8H)-ジオン(TAK-733)から選択される、本明細書に記載の医薬組成物;
MEK阻害剤が、2-(4-シクロプロピル-2-フルオロアニリノ)-3,4-ジフルオロ-5-[[3-フルオロ-2-(メチルスルファモイルアミノ)ピリジン-4-イル]メチル]ベンズアミド、コビメチニブ、トラメチニブおよびビニメチニブから、またはその薬学的に許容され得る塩から選択される、本明細書に記載の医薬組成物;
MEK阻害剤が、2-(4-シクロプロピル-2-フルオロアニリノ)-3,4-ジフルオロ-5-[[3-フルオロ-2-(メチルスルファモイルアミノ)ピリジン-4-イル]メチル]ベンズアミドまたはその薬学的に許容され得る塩である、本明細書に記載の医薬組成物;
MEK阻害剤が、コビメチニブまたはその薬学的に許容され得る塩である、本明細書に記載の医薬組成物;
式(I)の化合物が(3R)-N-[2-シアノ-4-フルオロ-3-(3-メチル-4-オキソ-キナゾリン-6-イル)オキシ-フェニル]-3-フルオロ-ピロリジン-1-スルホンアミドである、本明細書に記載の医薬組成物;
式(I)の化合物が(3S)-N-[2-シアノ-4-フルオロ-3-(3-メチル-4-オキソ-キナゾリン-6-イル)オキシ-フェニル]-3-フルオロ-ピロリジン-1-スルホンアミドである、本明細書に記載の医薬組成物;
がん、特に甲状腺がん、結腸直腸がん、黒色腫、脳のがんまたは非小細胞肺がんの治療または予防に使用するための、本明細書に記載の医薬組成物;
BRAF阻害剤およびMEK阻害剤が経口投与される、がん、特に甲状腺がん、結腸直腸がん、黒色腫、脳のがんまたは非小細胞肺がんの治療または予防に使用するための、本明細書に記載の医薬組成物;
第1の組成物が第2の組成物と同時に投与される、がん、特に甲状腺がん、結腸直腸がん、黒色腫、脳のがんまたは非小細胞肺がんの治療または予防に使用するための、本明細書に記載の医薬組成物;
第1および第2の組成物が共製剤化されている、がん、特に甲状腺がん、結腸直腸がん、黒色腫、脳のがんまたは非小細胞肺がんの治療または予防に使用するための、本明細書に記載の医薬組成物;
第1の組成物が第2の組成物と逐次的に投与される、がん、特に甲状腺がん、結腸直腸がん、黒色腫、脳のがんまたは非小細胞肺がんの治療または予防に使用するための、本明細書に記載の医薬組成物;
がん、特に甲状腺がん、結腸直腸がん、黒色腫、脳のがんまたは非小細胞肺がんの治療または予防に使用するための、本明細書に記載の医薬組成物;
がんがBRAF変異に関連する、がんの治療または予防に使用するための、本明細書に記載の医薬組成物;
がんが、BRAFV600変異陽性の切除不能または転移性のがん、特にBRAFV600EまたはBRAFV600K変異陽性の切除不能なまたは転移性のがんである、がんの治療または予防に使用するための、本明細書に記載の医薬組成物;
BRAFV600変異が、(a)患者の腫瘍組織および/または体液の試料から抽出された核酸(例えばDNA)に対してPCRまたは配列決定を行うこと;および(b)試料中のBRAFV600の発現を決定することを含む方法を使用して決定される、がん、特に甲状腺がん、結腸直腸がん、黒色腫、脳のがんまたは非小細胞肺がんの治療または予防に使用するための、本明細書に記載の医薬組成物;
がん、特に甲状腺がん、結腸直腸がん、黒色腫、脳のがんまたは非小細胞肺がんの治療または予防における本明細書に記載の医薬組成物の使用;ならびに
がん、特に甲状腺がん、結腸直腸がん、黒色腫、脳のがんまたは非小細胞肺がんの治療または予防のための医薬を調製するための、本明細書に記載の医薬組成物の使用。
【0071】
本発明のさらなる実施形態は以下の通りである:
[1]MEK阻害剤と組み合わせてがんの治療または予防に使用するための化合物であって、式(I):
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくは溶媒和物である、化合物。
【0072】
[2]MEK阻害剤と組み合わせたがんの治療または予防のための、[1]に記載の化合物および1種以上の薬学的に許容され得る添加物を含む医薬組成物。
【0073】
[3]MEK阻害剤と組み合わせてがんの治療または予防に使用するための医薬の製造における[1]に記載の化合物の使用。
【0074】
[4]がんの治療または予防のための方法であって、有効量の、MEK阻害剤と[1]に記載の化合物との組合せを、それを必要とする患者に投与することを含む、方法。
【0075】
[5]式(I)の化合物が(3R)-N-[2-シアノ-4-フルオロ-3-(3-メチル-4-オキソ-キナゾリン-6-イル)オキシ-フェニル]-3-フルオロ-ピロリジン-1-スルホンアミドである、[1]から[4]のいずれか1つに記載の化合物、医薬組成物、使用または方法。
【0076】
[6]MEK阻害剤が、2-(4-シクロプロピル-2-フルオロアニリノ)-3,4-ジフルオロ-5-[[3-フルオロ-2-(メチルスルファモイルアミノ)ピリジン-4-イル]メチル]ベンズアミド、コビメチニブ、トラメチニブおよびビニメチニブ、またはその薬学的に許容され得る塩もしくは溶媒和物から選択される、[1]から[5]のいずれか1つに記載の化合物、医薬組成物、使用または方法。
【0077】
[7]MEK阻害剤が、2-(4-シクロプロピル-2-フルオロアニリノ)-3,4-ジフルオロ-5-[[3-フルオロ-2-(メチルスルファモイルアミノ)ピリジン-4-イル]メチル]ベンズアミドまたはその薬学的に許容され得る塩もしくは溶媒和物である、[1]から[6]のいずれか1つに記載の化合物、医薬組成物、使用または方法。
【0078】
[7.1]MEK阻害剤が、2-(4-シクロプロピル-2-フルオロアニリノ)-3,4-ジフルオロ-5-[[3-フルオロ-2-(メチルスルファモイルアミノ)ピリジン-4-イル]メチル]ベンズアミドまたはその薬学的に許容され得る塩である、[1]から[7]のいずれか1つに記載の化合物、医薬組成物、使用または方法。
【0079】
[7.2]MEK阻害剤が2-(4-シクロプロピル-2-フルオロアニリノ)-3,4-ジフルオロ-5-[[3-フルオロ-2-(メチルスルファモイルアミノ)ピリジン-4-イル]メチル]ベンズアミドナトリウム塩である、[1]から[7.1]のいずれか1つに記載の化合物、医薬組成物、使用または方法。
【0080】
[8]MEK阻害剤が、コビメチニブまたはその薬学的に許容され得る塩もしくは溶媒和物である、[1]から[6]のいずれか1つに記載の化合物、医薬組成物、使用または方法。
【0081】
[9]式(I)の化合物およびMEK阻害剤が両方とも経口投与される、[1]から[8]のいずれか1つに記載の化合物、医薬組成物、使用または方法。
【0082】
[10]式(I)の化合物がMEK阻害剤と同時に投与される、[1]から[9]のいずれか1つに記載の化合物、医薬組成物、使用または方法。
【0083】
[11]式(I)の化合物がMEK阻害剤と逐次的に投与される、[1]から[10]のいずれか1つに記載の化合物、医薬組成物、使用または方法。
【0084】
[12]BRAF阻害剤と組み合わせてがんの治療または予防に使用するための化合物であって、2-(4-シクロプロピル-2-フルオロアニリノ)-3,4-ジフルオロ-5-[[3-フルオロ-2-(メチルスルファモイルアミノ)ピリジン-4-イル]メチル]ベンズアミドまたはその薬学的に許容され得る塩もしくは溶媒和物である、化合物。
【0085】
[13]BRAF阻害剤と組み合わせたがんの治療または予防のための、[12]に記載の化合物および1種以上の薬学的に許容され得る添加物を含む医薬組成物。
【0086】
[14]BRAF阻害剤と組み合わせてがんの治療または予防に使用するための医薬の製造における、[12]に記載の化合物の使用。
【0087】
[15]がんの治療または予防のための方法であって、有効量の、BRAF阻害剤と[12]に記載の化合物との組合せを、それを必要とする患者に投与することを含む、方法。
【0088】
[16]BRAF阻害剤が式(I):
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくは溶媒和物である、[12]から[15]のいずれか1つに記載の化合物、医薬組成物、使用または方法。
【0089】
[17]式(I)の化合物が(3R)-N-[2-シアノ-4-フルオロ-3-(3-メチル-4-オキソ-キナゾリン-6-イル)オキシ-フェニル]-3-フルオロ-ピロリジン-1-スルホンアミドである、[16]に記載の化合物、医薬組成物、使用または方法。
【0090】
[18][12]に記載の化合物およびBRAF阻害剤が両方とも経口投与される、[12]から[17]のいずれか1つに記載の化合物、医薬組成物、使用または方法。
【0091】
[19][12]に記載の化合物がBRAF阻害剤と同時に投与される、[12]から[18]のいずれか1つに記載の化合物、医薬組成物、使用または方法。
【0092】
[20][12]に記載の化合物がBRAF阻害剤と逐次的に投与される、[12]から[19]のいずれか1つに記載の化合物、医薬組成物、使用または方法。
【0093】
[21][12]に記載の化合物が、2-(4-シクロプロピル-2-フルオロアニリノ)-3,4-ジフルオロ-5-[[3-フルオロ-2-(メチルスルファモイルアミノ)ピリジン-4-イル]メチル]ベンズアミドまたはその薬学的に許容され得る塩である、[12]から[20]のいずれか1つに記載の化合物、医薬組成物、使用または方法。
【0094】
[22][12]に記載の化合物が2-(4-シクロプロピル-2-フルオロアニリノ)-3,4-ジフルオロ-5-[[3-フルオロ-2-(メチルスルファモイルアミノ)ピリジン-4-イル]メチル]ベンズアミドナトリウム塩である、[12]から[21]のいずれか1つに記載の化合物、医薬組成物、使用または方法。
【0095】
[23]がんが、甲状腺がん、結腸直腸がん、黒色腫、脳のがんまたは非小細胞肺がんである、[1]から[22]のいずれか1つに記載の化合物、医薬組成物、使用または方法。
【0096】
[24]がんがBRAFV600変異に関連する、[1]から[23]のいずれか1つに記載の化合物、医薬組成物、使用または方法。
【0097】
[25]がんがBRAFV600変異陽性の切除不能なまたは転移性のがんである、[1]から[24]のいずれか1つに記載の化合物、医薬組成物、使用または方法。
【0098】
[26]BRAFV600変異が、(a)患者の腫瘍組織および/または体液の試料から抽出された核酸(例えばDNA)に対してPCRまたは配列決定を行うこと;および(b)試料中のBRAFV600の発現を決定することを含む方法を使用して決定される、[1]から[25]のいずれか1つに記載の化合物、医薬組成物、使用または方法。
【0099】
[27]MEK分解剤、EGFR阻害剤、EGFR分解剤、HER2および/またはHER3の阻害剤、HER2および/またはHER3の分解剤、SHP2阻害剤、SHP2分解剤、Axl阻害剤、Axl分解剤、ALK阻害剤、ALK分解剤、PI3K阻害剤、PI3K分解剤、SOS1阻害剤、SOS1分解剤、シグナル伝達経路阻害剤、チェックポイント阻害剤、アポトーシス経路の調節剤、細胞傷害性化学療法剤、血管新生標的治療薬、免疫標的剤、ならびに抗体-薬物コンジュゲートから選択される1種以上のさらなる抗がん剤を含む、[1]から[26]のいずれか1つに記載の化合物、医薬組成物、使用または方法。
【0100】
[101]BRAF阻害剤とMEK阻害剤との組合せであって、MEK阻害剤が、式(II)
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくは溶媒和物である、組合せ。
【0101】
[102]式(II)の化合物が、2-(4-シクロプロピル-2-フルオロアニリノ)-3,4-ジフルオロ-5-[[3-フルオロ-2-(メチルスルファモイルアミノ)ピリジン-4-イル]メチル]ベンズアミドである、[101]に記載のBRAF阻害剤とMEK阻害剤との組合せ。
【0102】
[103]BRAF阻害剤が、(3R)-N-[2-シアノ-4-フルオロ-3-(3-メチル-4-オキソ-キナゾリン-6-イル)オキシ-フェニル]-3-フルオロ-ピロリジン-1-スルホンアミド、ベムラフェニブ、ダブラフェニブ、およびエンコラフェニブ、またはその薬学的に許容され得る塩から選択される、[101]または[102]に記載のBRAF阻害剤とMEK阻害剤との組合せ。
【0103】
[104]BRAF阻害剤が、(3R)-N-[2-シアノ-4-フルオロ-3-(3-メチル-4-オキソ-キナゾリン-6-イル)オキシ-フェニル]-3-フルオロ-ピロリジン-1-スルホンアミドまたはその薬学的に許容され得る塩である、[101]から[103]のいずれか1つに記載のBRAF阻害剤とMEK阻害剤との組合せ。
【0104】
[105]BRAF阻害剤が、エンコラフェニブまたはその薬学的に許容され得る塩である、[101]から[103]のいずれか1つに記載のBRAF阻害剤とMEK阻害剤との組合せ。
【0105】
[106]医薬として使用するための、[101]から[105]のいずれか1つに記載のBRAF阻害剤とMEK阻害剤との組合せ。
【0106】
[107]がんの治療的および/または予防的処置に使用するための、[101]から[105]のいずれか1つに記載のBRAF阻害剤とMEK阻害剤との組合せ。
【0107】
[108]がんの治療または予防のための医薬を調製するための、[101]から[105]のいずれか1つに記載のBRAF阻害剤とMEK阻害剤との組合せの使用。
【0108】
[109]がん、特に黒色腫または非小細胞肺がんの治療または予防のための方法であって、有効量の、[101]から[105]のいずれか1つに記載のBRAF阻害剤とMEK阻害剤との組合せを、それを必要とする患者に投与することを含む、方法。
【0109】
[110][101]から[105]のいずれか1つに記載のBRAF阻害剤とMEK阻害剤との組合せ、および1種以上の薬学的に許容され得る添加物を含む医薬組成物。
【0110】
[111]前記BRAF阻害剤および前記MEK阻害剤が両方とも経口投与される、[106]から[110]のいずれか1つに記載の組合せ、使用、方法または医薬組成物。
【0111】
[112]前記BRAF阻害剤が前記MEK阻害剤と同時に投与される、[106]から[111]のいずれか1つに記載の組合せ、使用、方法または医薬組成物。
【0112】
[113]前記BRAF阻害剤および前記MEK阻害剤が共製剤化されている、[106]から[112]のいずれか1つに記載の組合せ、使用、方法または医薬組成物。
【0113】
[114]前記BRAF阻害剤が前記MEK阻害剤と逐次的に投与される、[106]から[111]のいずれか1つに記載の組合せ、使用、方法または医薬組成物。
【0114】
[115]前記がんが、甲状腺がん、結腸直腸がん、黒色腫、脳のがんまたは非小細胞肺がんである、[106]から[108]のいずれか1つに記載の使用のための、BRAF阻害剤とMEK阻害剤との組合せ。
【0115】
[116]前記がんがBRAFV600変異に関連する、[106]から[109]のいずれか1つに記載の使用のための、BRAF阻害剤とMEK阻害剤との組合せ。
【0116】
[117]前記がんがBRAFV600変異陽性の切除不能なまたは転移性のがんである、[106]から[109]のいずれか1つに記載の使用のための、BRAF阻害剤とMEK阻害剤との組合せ。
【0117】
[118]BRAFV600変異が、(a)患者の腫瘍組織および/または体液の試料から抽出された核酸(例えばDNA)に対してPCRまたは配列決定を行うこと;および(b)前記試料中のBRAFV600の発現を決定することを含む方法を使用して決定される、[106]から[109]のいずれか1つに記載の使用のためのBRAF阻害剤とMEK阻害剤との組合せ。
【0118】
[119]MEK分解剤、EGFR阻害剤、EGFR分解剤、HER2および/またはHER3の阻害剤、HER2および/またはHER3の分解剤、SHP2阻害剤、SHP2分解剤、Axl阻害剤、Axl分解剤、ALK阻害剤、ALK分解剤、PI3K阻害剤、PI3K分解剤、SOS1阻害剤、SOS1分解剤、シグナル伝達経路阻害剤、チェックポイント阻害剤、アポトーシス経路の調節剤、細胞傷害性化学療法剤、血管新生標的治療薬、免疫標的剤、ならびに抗体-薬物コンジュゲートから選択される1種以上のさらなる抗がん剤を含む、[106]から[109]のいずれか1つに記載の使用のためのBRAF阻害剤とMEK阻害剤との組合せ。
【0119】
[120]前記MEK阻害剤が、2-(4-シクロプロピル-2-フルオロアニリノ)-3,4-ジフルオロ-5-[[3-フルオロ-2-(メチルスルファモイルアミノ)ピリジン-4-イル]メチル]ベンズアミドまたはその薬学的に許容され得る塩である、[101]から[119]のいずれか1つに記載の組合せ、使用、方法または医薬組成物。
【0120】
[121]前記MEK阻害剤が、2-(4-シクロプロピル-2-フルオロアニリノ)-3,4-ジフルオロ-5-[[3-フルオロ-2-(メチルスルファモイルアミノ)ピリジン-4-イル]メチル]ベンズアミドである、[101]から[120]のいずれか1つに記載の組合せ、使用、方法または医薬組成物。
【0121】
[122]前記MEK阻害剤が、2-(4-シクロプロピル-2-フルオロアニリノ)-3,4-ジフルオロ-5-[[3-フルオロ-2-(メチルスルファモイルアミノ)ピリジン-4-イル]メチル]ベンズアミドナトリウム塩である、[101]から[120]のいずれか1つに記載の組合せ、使用、方法または医薬組成物。
【0122】
本発明のある特定の実施形態は、がん、特に甲状腺がん、結腸直腸がん、黒色腫、脳のがんまたは非小細胞肺がんの治療または予防のための方法であって、有効量の、本明細書に記載の医薬組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む、方法に関する;
本発明のある特定の実施形態は、脳転移の治療および/または予防のための医薬としての使用のための、本明細書に記載の医薬組成物に関する;
本発明のある特定の実施形態は、原発性腫瘍が黒色腫または非小細胞肺がんである、脳転移の治療および/または予防のための医薬としての使用のための、本明細書に記載の医薬組成物に関する;
本発明のある特定の実施形態は、患者が標的療法に関して治療経験がない、がん、特に黒色腫または非小細胞肺がんの治療および/または予防に使用するための、本明細書に記載の医薬組成物に関する;
本発明のある特定の実施形態は、患者が標的療法に関して治療経験がなく、チェックポイント阻害剤の治療経験がある、がん、特に黒色腫または非小細胞肺がんの治療および/または予防に使用するための、本明細書に記載の医薬組成物に関する;
本発明のある特定の実施形態は、患者が標的療法に関して治療経験があり、チェックポイント阻害剤の治療経験がある、がん、特に黒色腫または非小細胞肺がんの治療および/または予防に使用するための、本明細書に記載の医薬組成物に関する;
本発明のある特定の実施形態は、がんが以前に手術によって治療されている、がん、特に黒色腫または非小細胞肺がんの治療および/または予防に使用するための、本明細書に記載の医薬組成物に関する;
本発明のある特定の実施形態は、患者がBRAF阻害剤治療に関して治療経験がない、がん、特に黒色腫または非小細胞肺がんの治療および/または予防に使用するための、本明細書に記載の医薬組成物に関する;
本発明のある特定の実施形態は、BRAF阻害剤治療抵抗性腫瘍の治療および/または治療のための医薬として使用するための、本明細書に記載の医薬組成物に関する;
本発明のある特定の実施形態は、患者がMEK阻害剤処置に関して治療経験がない、がん、特に黒色腫または非小細胞肺がんの治療および/または予防に使用するための、本明細書に記載の医薬組成物に関する;ならびに
本発明のある特定の実施形態は、MEK阻害剤治療抵抗性腫瘍の治療および/または予防のための医薬として使用するための、本明細書に記載の医薬組成物に関する。
【0123】
本発明のある特定の実施形態は、エンコラフェニブ、ダブラフェニブおよびエンコラフェニブから選択されるBRAF阻害剤、ならびに/またはビニメチニブ、トラメチニブおよびコビメチニブから選択されるMEK阻害剤で以前に治療された対象におけるがんの治療および/または予防のための医薬として使用するための、本明細書に記載の医薬組成物に関する;
本発明のある特定の実施形態は、エンコラフェニブおよびビニメチニブで以前に治療された対象における治療および/または予防のための医薬として使用するための、本明細書に記載の医薬組成物に関する;
本発明のある特定の実施形態は、ダブラフェニブおよびトラメチニブで以前に治療された対象における治療および/または予防のための医薬として使用するための、本明細書に記載の医薬組成物に関する;
本発明のある特定の実施形態は、ベムラフェニブおよびコビメチニブで以前に治療された対象における治療および/または予防のための医薬として使用するための、本明細書に記載の医薬組成物に関する;
本発明のある特定の実施形態は、チェックポイント阻害剤で以前に治療された対象におけるがん、特に黒色腫または非小細胞肺がんの治療および/または予防のための医薬として使用するための、本明細書に記載の医薬組成物に関する;
本発明のある特定の実施形態は、患者が標的療法に関して治療経験がない、癌がん、特に黒色腫または非小細胞肺癌がんの治療および/または予防に使用するための、本明細書に記載のBRAF阻害剤およびMEK阻害剤に関する;
本発明のある特定の実施形態は、患者が標的療法に関して治療経験がなく、チェックポイント阻害剤の治療経験がある、がん、特に黒色腫または非小細胞肺がんの治療的および/または予防的処置に使用するための、本明細書に記載のBRAF阻害剤およびMEK阻害剤に関する;
本発明のある特定の実施形態は、患者が標的療法に関して治療経験があり、チェックポイント阻害剤の治療経験がある、がんの治療的および/または予防的処置に使用するための、本明細書に記載のBRAF阻害剤およびMEK阻害剤に関する;
本発明のある特定の実施形態は、患者がBRAF阻害剤治療に関して治療経験がない、がん、特に黒色腫または非小細胞肺がんの治療的および/または予防的処置に使用するための、本明細書に記載のBRAF阻害剤およびMEK阻害剤に関する;
本発明のある特定の実施形態は、BRAF阻害剤治療抵抗性腫瘍の治療および/または予防のための医薬として使用するための、本明細書に記載のBRAF阻害剤およびMEK阻害剤に関する;
本発明のある特定の実施形態は、患者がMEK阻害剤処置に関して治療経験がない、がん、特に黒色腫または非小細胞肺がんの治療的および/または予防的処置に使用するための、本明細書に記載のBRAF阻害剤およびMEK阻害剤に関する;
本発明のある特定の実施形態は、MEK阻害剤治療抵抗性腫瘍の治療的および/または予防的処置に使用するための、本明細書に記載のBRAF阻害剤およびMEK阻害剤に関する;
本発明のある特定の実施形態は、エンコラフェニブ、ダブラフェニブおよびエンコラフェニブから選択されるBRAF阻害剤、ならびに/またはビニメチニブ、トラメチニブおよびコビメチニブから選択されるMEK阻害剤で以前に治療された対象におけるがんの治療および/または予防のための医薬として使用するための、本明細書に記載のBRAF阻害剤およびMEK阻害剤に関する;
本発明のある特定の実施形態は、エンコラフェニブおよびビニメチニブで以前に治療された対象における治療および/または予防のための医薬として使用するための、本明細書に記載のBRAF阻害剤およびMEK阻害剤に関する;
本発明のある特定の実施形態は、ダブラフェニブおよびトラメチニブで以前に治療された対象における治療および/または予防のための医薬として使用するための、本明細書に記載のBRAF阻害剤およびMEK阻害剤に関する;
本発明のある特定の実施形態は、ベムラフェニブおよびコビメチニブで以前に治療された対象における治療および/または予防のための医薬として使用するための、本明細書に記載のBRAF阻害剤およびMEK阻害剤に関する;
本発明のある特定の実施形態は、チェックポイント阻害剤で以前に治療された対象におけるがん、特に黒色腫または非小細胞肺がんの治療的および/または予防的処置に使用するための、本明細書に記載のBRAF阻害剤およびMEK阻害剤に関する;
一実施形態では、本発明は、本明細書に記載のBRAF阻害剤およびMEK阻害剤、「リーフレット」としても公知な処方情報、ブリスターパッケージまたはボトル(HDPEまたはガラス)および容器を含むキットを提供する。処方情報は、好ましくは、本明細書に記載のBRAF阻害剤とMEK阻害剤との組合せの投与に関する患者へのアドバイスを含む;
一実施形態では、治療された対象は、本明細書に記載の前記以前の治療に対して難治性になった;および
一実施形態では、治療された対象は、本明細書に記載の前記以前の治療の間に脳転移を発症した。
【0124】
本発明のある特定の実施形態は、少なくとも1つの置換基が少なくとも1つの放射性同位体を含む、本明細書に記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくは溶媒和物を含む医薬組成物に関する。放射性同位体の具体的な例は、H、H、13C、14Cおよび18Fである。
【0125】
さらに、本発明は、適用可能な場合、式(I)の化合物のすべての光学異性体、すなわち、ジアステレオ異性体、ジアステレオ異性体混合物、ラセミ混合物、それらのすべての対応する鏡像異性体および/または互変異性体、ならびにそれらの溶媒和物を含む。
【0126】
さらに、本発明は、適用可能な場合、MEK阻害剤のすべての光学異性体、すなわち、ジアステレオ異性体、ジアステレオ異性体混合物、ラセミ混合物、それらのすべての対応する鏡像異性体および/または互変異性体、ならびにそれらの溶媒和物を含む。
【0127】
所望であれば、本発明の化合物のラセミ混合物を分離して、個々の鏡像異性体を単離することができる。分離は、化合物のラセミ混合物を鏡像異性的に純粋な化合物にカップリングさせてジアステレオ異性体混合物を形成し、続いて、分別結晶またはクロマトグラフィーなどの標準的方法によって個々のジアステレオマーを分離するような、当技術分野で周知の方法によって行うことができる。
【0128】
実施形態では、光学的に純粋な鏡像異性体が提供される場合、光学的に純粋な鏡像異性体とは、化合物が所望の異性体を90重量%超、特に所望の異性体を95重量%超、またはより詳しくは所望の異性体を99重量%超含むことを意味し、前記重量パーセントは、化合物の異性体の全重量に基づく。キラル的に純粋なまたはキラル的に濃縮された化合物は、キラル選択的合成によって、または鏡像異性体の分離によって調製することができる。鏡像異性体の分離は、最終生成物に対して、または代替的に好適な中間体に対して行うことができる。
【0129】
一実施形態では、1種以上のさらなる抗がん剤は本明細書に記載のBRAF阻害剤とMEK阻害剤との組み合わせで使用され、ここで、さらなる抗がん剤は、MEK分解剤、EGFR阻害剤、EGFR分解剤、HER2および/またはHER3の阻害剤、HER2および/またはHER3の分解剤、SHP2阻害剤、SHP2分解剤、Axl阻害剤、Axl分解剤、ALK阻害剤、ALK分解剤、PI3K阻害剤、PI3K分解剤、SOS1阻害剤、SOS1分解剤、シグナル伝達経路阻害剤、チェックポイント阻害剤、アポトーシス経路の調節剤、細胞傷害性化学療法剤、血管新生標的治療薬、免疫標的剤、ならびに抗体-薬物コンジュゲートから選択される。
【0130】
いくつかの実施形態では、さらなる抗がん剤の1つはEGFR阻害剤である。EGFR阻害剤の非限定的な例としては、セツキシマブ(Erbitux(登録商標))、パニツムマブ(Vectibix(登録商標))、オシメルチニブ(メレレクチニブ(merelectinib)、Tagrisso(登録商標))、エルロチニブ(Tarceva(登録商標))、ゲフィチニブ(lressa(登録商標))、ネシツムマブ(Portrazza(商標))、ネラチニブ(Nerlynx(登録商標))、ラパチニブ(Tykerb(登録商標))、バンデタニブ(Caprelsa(登録商標))およびブリガチニブ(Alunbrig(登録商標)が挙げられる。EGFR阻害剤のさらなる例は、当技術分野で公知である。いくつかの実施形態では、EGFR阻害剤はアロステリックEGFR阻害剤である。
【0131】
いくつかの実施形態では、さらなる抗がん剤の1つはHER2および/またはHER3の阻害剤である。HER2および/またはHER3阻害剤の非限定的な例としては、ラパチニブ、カネルチニブ、(E)-2-メトキシ-N-(3-(4-(3-メチル-4-(6-メチルピリジン-3-イルオキシ)フェニルアミノ)キナゾリン-6-イル)アリル)アセトアミド(GP-724714)、サピチニブ、7-[[4-[(3-エチニルフェニル)アミノ]-7-メトキシ-6-キナゾリニル]オキシ]-N-ヒドロキシ-ヘプタンアミド(CUDC-101)、ムブリチニブ、6-[4-[(4-エチルピペラジン-1-イル)メチル]フェニル]-N-[(1R)-1-フェニルエチル]-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-アミン(AEE788)、イルビニチニブ(ツカチニブ)、ポジオチニブ、N-[4-[1-[4-アセチル-1-ピペラジニル)シクロへキシル]-4-アミノ-3-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジニル-2-メトキシフェニル]-1-メチル-2-インドールカルボキサミド(KIN001-111)、7-シクロペンチル-5-(4-フェノキシフェニル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イルアミン(KIN001-051)、6,7-ジメトキシ-N-(4-フェノキシフェニル)キナゾリン-4-アミン(KIN001-30)、ダサチニブおよびボスチニブが挙げられる。
【0132】
いくつかの実施形態では、さらなる抗がん剤の1つはSHP2の阻害剤である。SHP2阻害剤の非限定的な例としては、6-(4-アミノ-4-メチルピペリジン-1-イル)-3-(2,3-ジクロロフェニル)ピラジン-2-アミン(SHP099)、[3-[(3S,4S)-4アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル]-6-(2,3-ジクロロフェニル)-5-メチルピラジン-2-イル]メタノール(RMC-4550)、RMC-4630、TNO155、ならびに国際公開第2015/107493号パンフレット、国際公開第2015/107494号パンフレット、国際公開第2015/107495号パンフレット、国際公開第2019/075265号パンフレット、PCT/U82019/056786号パンフレットおよびPCT/l82020/053019号パンフレットに開示されている化合物が挙げられる。
【0133】
いくつかの実施形態では、さらなる抗がん剤の1つは、PI3K阻害剤である。非限定的な例としては、ブパルリシブ(BKM120)、アルペリシブ(BYL719)、サモトリシブ(LY3023414)、8-[(1R)-1-[(3,5-ジフルオロフェニル)アミノ]エチル]-N,N-ジメチル-2-(モルホリン-4-イル)-4-オキソ-4H-クロメン-6-カルボキサミド(AZD8186)、テナリシブ(RP6530)、ボキタリシブ塩酸塩(voxtalisib hydrochloride)(SAR-245409)、ゲダトリシブ(PF-05212384)、パヌリシブ(P-7170)、タセリシブ(GDC-0032)、トランス-2-アミノ-8-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)シクロヘキシル]-6-(6-メトキシピリジン-3-イル)-4-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン(PF-04691502)、デュベリシブ(ABBV-954)、N2-[4-オキソ-4-[4-(4-オキソ-8-フェニル-4H-1-ベンゾピラン-2-イル)モルホリン-4-イウム-4-イルメトキシ]ブチリル]-L-アルギニル-グリシル-L-アスパルチル-L-セリンアセテート(SF-1126)、ピクチリシブ(GDC-0941)、2-メチル-1-[2-メチル-3-(トリフルオロメチル)ベンジル]-6-(モルホリン-4-イル)-1H-ベンズイミダゾール-4-カルボン酸(GSK2636771)、イデラリシブ(GS-1101)、ウンブラリシブトシレート(TGR-1202)、ピクチリシブ(GDC-0941)、コパンリシブ塩酸塩(BAY84-1236)、ダクトリシブ(BEZ-235)、1-(4-[5-[5-アミノ-6-(5-tert-ブチル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ピラジン-2-イル]-1-エチル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル]ピペリジン-1-イル)-3-ヒドロキシプロパン-1-オン(AZD-8835)、5-[6,6-ジメチル-4-(モルホリン-4-イル)-8,9-ジヒドロ-6H-[1,4]オキサジノ[4,3-e]プリン-2-イル]ピリミジン-2-アミン(GDC-0084)、エベロリムス、ラパマイシン、ペリホシン、シロリムスおよびテムシロリムスが挙げられる。
【0134】
いくつかの実施形態では、さらなる抗がん剤の1つはALK阻害剤である。非限定的な例としては、クリゾチニブ(PF-02341066)、セリチニブ(LDK378)、アレクチニブ(アレセンサ)、ブリガチニブ(AP26113)、ロルラチニブ(PF-6463922)、エンサルチニブ(X-396)、エントレクチニブ(RXDX-101)、レポトレクチニブ(reprotectinib)(TPX-0005)、ベリザチニブ(TSR-011)、アルコチニブ(ZG-0418)、フォリチニブ(foritinib)(SAF-189)、CEP-37440、TQ-B3139、PLB1003およびTPX-0131が挙げられる。
【0135】
いくつかの実施形態では、さらなる抗がん剤の1つはチェックポイント阻害剤である。いくつかの実施形態では、チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤またはPD-L1阻害剤である。いくつかの実施形態では、CTLA-4阻害剤はイピリムマブ(Yervoy(登録商標))またはトレメリムマブ(GP-675,206)である。いくつかの実施形態では、PD-1阻害剤はペムブロリズマブ(Keytruda(登録商標))、ニボルマブ(Opdivo(登録商標))およびRN888である。いくつかの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブ(Tecentriq(登録商標))、アベルマブ(Bavencio(登録商標))またはデュルバルマブ(Imfinzi(商標))である。
【0136】
いくつかの実施形態では、さらなる抗がん剤の1つは抗体-薬物コンジュゲートである。抗体-薬物コンジュゲートの非限定的な例としては、ゲムツズマブオゾガマイシン(Mylotarg(商標))、イノツズマブオゾガマイシン(Besponsa(登録商標))、ブレンツキシマブベドチン(Adcetris(登録商標))、ado-トラスツズマブエムタンシン(TDM-f;Kadcyla(登録商標))、ミルベツキシマブソラブタンシン(IMGN853)およびアネツマブラブタンシンが挙げられる。
【0137】
いくつかの実施形態では、さらなる抗がん剤の1つは、ベバシズマブ(Mvasti(商標)、Avastin(登録商標))、トラスツズマブ(Herceptin(登録商標))、アベルマブ(Bavencio(登録商標))、リツキシマブ(MabThera(商標)、Rituxan(登録商標))、エドレコロマブ(Panorex)、ダラツムマブ(Darzalex(登録商標))、オララツマブ(Lartruvo(商標))、オファツムマブ(Arzerra(登録商標))、アレムツズマブ(Campath(登録商標))、セツキシマブ(Erbitux(登録商標))、オレゴボマブ、ペムブロリズマブ(Keytruda(登録商標))、ジヌツキシマブ(Unituxin(登録商標))、オビヌツズマブ(Gazyva(登録商標))、トレメリムマブ(GP-675,206)、ラムシルマブ(Cyramza(登録商標))、ウブリツキシマブ(TG-1101)、パニツムマブ(Vectibix(登録商標))、エロツズマブ(EmplicitiT’V’)、ネシツムマブ(PortrazzaT’V’)、シルムツズマブ(UC-961)、イブリツモマブ(Zevalin(登録商標))、イサツキシマブ(SAR650984)、ニモツズマブ、フレソリムマブ(GC1008)、リリルマブ(INN)、モガムリズマブ(Poteligeo(登録商標))、フィクラツズマブ(AV-299)、デノスマブ(Xgeva(登録商標))、ガニツマブ、ウレルマブ、ピジリズマブ、アマツキシマブ、ブリナツモマブ(AMG103;Blincyto(登録商標))またはミドスタウリン(Rydapt)などの抗体である。
【0138】
本発明の別の実施形態は、1つ以上の組成物を含有する医薬組成物であって、各組成物が、本発明に従って使用するための1つ以上の化合物および1つ以上の治療的に不活性な担体、希釈剤または添加物を含有する、医薬組成物、ならびにそのような医薬組成物を調製する方法を提供する。一例では、式(I)の化合物は、生理学的に許容され得る担体、すなわち、ガレノスの投与形態に用いられる用量および濃度でレシピエントに対して毒性でない担体と、適切なpHおよび所望の純度で、周囲温度で混合することによって製剤化されてもよい。製剤のpHは、特定の用途および化合物の濃度に主に依存するが、好ましくは約3~約8の範囲である。一例では、式(I)の化合物は、pH5の酢酸緩衝剤にて製剤化される。別の実施形態では、式(I)の化合物は無菌である。化合物は、例えば、固体もしくは非晶質組成物として、凍結乾燥製剤として、または水溶液として保管され得る。一例では、MEK阻害剤は、生理学的に許容され得る担体、すなわち、ガレノスの投与形態に用いられる用量および濃度でレシピエントに対して毒性でない担体と、適切なpHおよび所望の純度で、周囲温度で混合することによって製剤化されてもよい。製剤のpHは、特定の用途および化合物の濃度に主に依存するが、好ましくは約3~約8の範囲である。一例では、MEK阻害剤は、pH5の酢酸緩衝剤にて製剤化される。別の実施形態では、MEK阻害剤は無菌である。MEK阻害剤は、例えば、固体もしくは非晶質組成物として、凍結乾燥製剤として、または水溶液として保管され得る。
【0139】
組成物は、良好な医療行為と一致した様式で製剤化、投薬、および投与される。この文脈で考慮すべき要因としては、治療される特定の障害、治療される特定の哺乳動物、個々の患者の臨床的症状、障害の原因、薬剤の送達部位、投与方法、投与スケジュール、および医療従事者に公知である他の要因が挙げられる。
【0140】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容され得る担体」または「薬学的に許容され得る添加物」は、溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌薬および抗真菌薬、等張剤および吸収遅延剤、ならびに医薬品の投与と適合可能な他の材料および化合物を含む、医薬品の投与と適合可能なありとあらゆる物質を含むことが意図される。いずれかの従来の媒体または薬剤が活性のある化合物と不適合である場合を除いて、本発明の組成物においてその使用が企図される。補助的な活性のある化合物を、組成物中に組み込むこともできる。
【0141】
医薬組成物は、本明細書に記載のBRAF阻害剤および/またはMEK阻害剤を薬学的に許容され得る無機もしくは有機の担体または添加物で処理することによって得ることができる。ラクトース、コーンスターチもしくはその誘導体、タルク、ステアリン酸もしくはその塩等は、例えば、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、および硬質ゼラチンカプセル剤の担体として使用することができる。軟質ゼラチンカプセルに適した担体は、例えば、植物油、ワックス、油脂、半固形および液状ポリオール等である。しかし、活性物質の性質に応じて、軟質ゼラチンカプセル剤の場合、通常、担体は必要とされない。液剤およびシロップ剤の生産に適した担体は、例えば、水、ポリオール、グリセロール、植物油等である。坐剤に適した担体は、例えば、天然または硬化油、ワックス、油脂、半液体または液状ポリオール等である。
【0142】
さらに、医薬組成物は、防腐剤、可溶化剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味剤、着色剤、着香剤、浸透圧を変化させるための塩、緩衝液、マスキング剤または抗酸化剤を含有することができる。また、さらに他の治療上有用な物質を含有することもできる。
【0143】
BRAF阻害剤およびMEK阻害剤の医薬組成物は、単独でまたは組み合わせで、所望の程度の純度を有する有効成分を任意の薬学的に許容され得る担体、添加物または安定剤(Remington’s Pharmaceutical Sciences第16版、Osol,A.(編)(1980))と混合することによって、凍結乾燥製剤または水溶液の形態で貯蔵のために調製することができる。許容され得る担体、添加物または安定剤には、用いられる用量および濃度でレシピエントに対して非毒性であり、リン酸、クエン酸および他の有機酸などの緩衝液;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(例えば、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;ヘキサメトニウムクロリド;ベンザルコニウムクロリド、ベンゼトニウムクロリド;フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール;メチルまたはプロピルバラベンなどのアルキルパラべン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチンもしくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニンもしくはリジンなどのアミノ酸;単糖類、二糖類、およびグルコース、マンノースもしくはデキストリンを含むその他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロースもしくはソルビトールなどの糖;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えばZn-タンパク質錯体);ならびに/またはTWEEN(商標)、PLURONICS(商標)もしくはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤が含まれる。
【0144】
BRAF阻害剤およびMEK阻害剤の医薬組成物には、経口、経鼻、局所(頬側および舌下を含む)、直腸、膣および/または非経口投与に適したものが含まれる。組成物は、都合良く、単位剤形で提示されてもよく、薬学分野で周知のいずれかの方法によって調製され得る。単一剤形を生産するために担体材料と組み合わせることができる有効成分の量は、治療される宿主および特定の投与様式に依存して変化する。単一剤形を生産するために担体材料と組み合せることができる有効成分の量は、一般に、治療効果を生じるBRAF阻害剤またはMEK阻害剤の量である。一般に、100パーセントのうち、この量は、有効成分の約1パーセント~約90パーセント、好ましくは約5パーセント~約70パーセント、最も好ましくは約10パーセント~約30パーセントの範囲である。これらの組成物を調製する方法は、BRAF阻害剤またはMEK阻害剤を担体および任意に1つ以上の補助成分と会合させる工程を含む。一般に、医薬組成物は、BRAF阻害剤およびMEK阻害剤を、液体担体、または細かく分けた固体担体、またはその両方と均一かつ密接に会合させ、次いで、必要に応じて、生成物を成形することによって調製することができる。経口投与に適した医薬組成物は、カプセル剤、カシェ剤、サシェ剤、丸剤、錠剤、ロゼンジ剤(フレーバーベース、通常はスクロースおよびアカシアまたはトラガカントを使用)、散剤、顆粒剤の形態で、または水性もしくは非水性液体中の液剤もしくは懸濁剤として、または水中油型もしくは油中水型液体乳剤として、またはエリキシル剤もしくはシロップ剤として、またはトローチ剤(ゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアカシアなどの不活性基剤を使用)として、および/または洗口剤等としてであってもよく、それぞれが有効成分として所定量のBRAF阻害剤およびMEK阻害剤を含有する。BRAF阻害剤およびMEK阻害剤は、ボーラス、舐剤またはペースト剤として投与されてもよい。
【0145】
本発明のさらなる実施形態では、BRAF阻害剤およびMEK阻害剤は、1つまたは2つの別個の医薬組成物に製剤化される。
【0146】
有効成分はまた、例えばコアセルベーション技法または界面重合によって調製されたマイクロカプセル、例えばそれぞれヒドロキシメチルセルロースもしくはゼラチン-マイクロカプセルおよびポリ-(メチルメタクリレート)マイクロカプセル中に、コロイド薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルション、ナノ粒子およびナノカプセル)中に、またはマクロエマルション中に取り込まれてもよい。そのような技法は、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第16版、Osol,A.(編)(1980)に開示されている。
【0147】
in vivo投与のために使用される製剤は、無菌でなければならない。これは、滅菌濾過膜による濾過によって容易に達成される。
【0148】
投与量は、広範囲内で変化させることができ、当然、それぞれの具体的な事例において個々の要件に対して調整されなければならない。経口投与の場合、成人の投与量は、一般式(I)の化合物または対応する量のその薬学的に許容され得る溶媒和物で、1日あたり約0.01mg~約1000mgで変化させることができる。1日投与量を、単回用量または分割用量として投与することができ、加えて、必要であると判明した場合、上限を超えることもできる。
【0149】
以下の実施例は、本発明を限定することなく説明するが、単にその代表としての役割を果たすに過ぎない。医薬組成物は、好都合には約1~500mg、特に1~100mgの式(I)の化合物を含有する。医薬組成物は、好都合には約1~500mg、特に1~100mgの式(II)の化合物を含有する。ある特定の実施形態では、式(I)の化合物を含有する医薬組成物は、さらに約1~500mg、特に1~100mgのMEK阻害剤を固定用量配合剤に含有する。
【0150】
本発明による組成物の非限定的な例は以下の通りである:
実施例A
以下の組成の錠剤は、通常の方法で製造される。
【0151】
製造手順
1.成分1、2、3および4を混合し、精製水で顆粒化する。
2.顆粒を50℃で乾燥させる。
3.顆粒を適切な粉砕装置に通す。
4.成分5を添加し、3分間混合し、適切なプレス機で圧縮する。
【0152】
実施例B-1
以下の組成のカプセル剤を製造する:
【0153】
製造手順
1.成分1、2および3を適切なミキサーで30分間混合する。
2.成分4および5を添加し、3分間混合する。
3.適切なカプセルに充填する。
【0154】
式(I)の化合物、ラクトースおよびコーンスターチを、先ずミキサー中、次いで粉砕機中で混合する。混合物をミキサーに戻し、そこにタルクを添加し、充分に混合する。混合物は、機械によって適切なカプセル、例えば硬質ゼラチンカプセルに充填される。
【0155】
実施例B-2
以下の組成の軟質ゼラチンカプセル剤を製造する:
【0156】
製造手順
式(I)の化合物を他の成分の温かい融解物に溶解し、混合物を適切なサイズの軟質ゼラチンカプセルに充填する。充填した軟質ゼラチンカプセルを、通常の手順に従って処理する。
【0157】
実施例C
以下の組成の坐剤を製造する:
【0158】
製造手順
坐薬練剤(suppository mass)をガラスまたはスチールベッセル中で融解し、充分に混合し、45℃に冷却する。次いで、これに微粉末化した式(I)の化合物を添加し、完全に分散するまで撹拌する。混合物を適したサイズの坐剤型に注ぎ、冷えるまで放置し、次いで坐剤を型から取り出し、ワックスペーパーまたは金属箔で個々に包装する。
【0159】
実施例D
以下の組成の注射液を製造する:
【0160】
製造手順
式(I)の化合物を、ポリエチレングリコール400と注射用の水(一部)との混合物に溶解する。pHを酢酸により5.0に調整する。残りの量の水を添加することにより、体積を1.0mlに調整する。溶液をフィルタにかけ、適切な過量を使用してバイアルに充填し、滅菌する。
【0161】
実施例E
次の組成のサシェ剤(sachet)を製造する:
【0162】
製造手順
式(I)の化合物を、ラクトース、微結晶セルロースおよびカルボキシルメチルセルロースナトリウムと混合し、水中のポリビニルピロリドンの混合物で顆粒化する。顆粒をステアリン酸マグネシウムおよび香味添加剤と混合し、サシェに充填する。
【0163】
略語
CAS=ケミカル・アブストラクト・サービス;DCM=ジクロロメタン;DIPEA=N,N-ジイソプロピルエチルアミン;DMF=ジメチルホルムアミド;DMSO=ジメチルスルホキシド;DNA=デオキシリボ核酸;EDC・HCl=1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩;ESI=エレクトロスプレーイオン化;EtOAc=酢酸エチル;HOOBt=3,4-ジヒドロ-3-ヒドロキシ-4-オキソ-1,2,3-ベンゾトリアジン;LC-MS/MS=液体クロマトグラフィー-MS/MS;MeOH=メタノール;MS=質量分析;NMP=N-メチル-2-ピロリドン;PCR=ポリメラーゼ連鎖反応;rt=室温;SFC=超臨界流体クロマトグラフィー;THF=テトラヒドロフラン.
【0164】
試験薬剤
(3R)-N-[2-シアノ-4-フルオロ-3-(3-メチル-4-オキソ-キナゾリン-6-イル)オキシ-フェニル]-3-フルオロ-ピロリジン-1-スルホンアミド(本明細書では化合物Iaと呼ぶ)は、粉末としてRoche、Basel、Switzerlandから提供され、使用前に再懸濁した。2-(4-シクロプロピル-2-フルオロアニリノ)-3,4-ジフルオロ-5-[[3-フルオロ-2-(メチルスルファモイルアミノ)ピリジン-4-イル]メチル]ベンズアミドナトリウム塩(本明細書では化合物IIaと呼ぶ)は、粉末としてChugai、Tokyo、Japanから提供された。コビメチニブ(カタログ番号HY-13064A)、エンコラフェニブ(カタログ番号HY-15605)およびビニメチニブ(カタログ番号HY-15202)は、MedChemExpressから購入した。
【0165】
細胞株および培養条件
細胞株をATCCから入手し、標準的な条件で5%CO2の加湿インキュベータ内で維持し、週に2回継代した。培養条件を以下の表に報告する:
【0166】
動物:
in vivo研究では、7~9週齢(実験開始時)の雌マウスをCharles River Laboratoriesから購入した。実験に利用した系統はCB.17 SCIDであった。
【0167】
異種移植確立のために、細胞を50%Matrigelおよび50%ハンクス平衡塩溶液からなる培地に懸濁し、右脇腹に皮下注射した。腫瘍体積が約100mmに達したら、処置前にマウスを無作為化した。
【0168】
実施例
以下の実施例および図は、本発明を説明するために提供され、限定的な特徴を有しない。
【0169】
実施例1
BRAF V600EおよびRAF二量体誘導変異NRAS Q61Kを呈するA375細胞株を利用して、BRAFiおよびBRAFi/MEKiの組合せに対する耐性機構をモデル化した。A375 NRAS Q61K細胞を、化合物Ia、エンコラフェニブ単独、または10nMのMEKiコビメチニブとの組合せのいずれかで1時間処置し、次いでP-ERKとも呼ばれるリン酸化ERKのウエスタンブロット分析に利用した(図1)。同様に、A375 NRAS Q61K細胞を500細胞/ウェルで播種し、化合物Ia、エンコラフェニブ単独またはMEKiコビメチニブとの組合せのいずれかで処置し、12日間インキュベートした。生成されたコロニーを固定し、クリスタルバイオレット/メタノールの溶液で染色した(図2)。そのパラドックスブレーカ特性によれば、化合物Iaはエンコラフェニブと比較して、優れたP-ERK阻害を駆動し、それに対応して化合物Iaとコビメチニブとの組合せは、エンコラフェニブ/コビメチニブの組合せによって引き起こされるものと比較して、優れたP-ERK抑制をもたらす。
【0170】
実施例2
免疫不全マウスに、第一世代のBRAFiおよびBRAFi/MEKiに対する耐性のモデルとして、BRAF V600EおよびRAF二量体誘導変異NRAS Q61Kを呈する細胞株A375 NRASを移植した。腫瘍が確立したら(100mm3)、マウスを無作為化し、化合物Ia(20mg/kg)、MEKiコビメチニブとのその組合せ(5mg/kg、QD PO)またはコビメチニブ単独のいずれかを1日1回(QD)経口投与(PO)した(図3)。同じマウスモデルを、異なるMEK阻害剤ビニメチニブ(10mg/kg、BID PO)と組み合わせた化合物Ia(20mg/kg)でも1日1回処置した(図4)。比較のために、実験アームの1つの動物を、転移性黒色腫の処置のためにFDA承認された組合せであるビニメチニブとの組合せで、パラドックスを誘発するBRAFiエンコラフェニブ(36mg/kg、QD PO)で処置した。同じマウスモデルを、異なるMEK阻害剤化合物IIa(1つのコホートは0.0625mg/kg、第2のコホートは1.0mg/kg、PO)と組み合わせた化合物Ia(20mg/kg)でも1日1回処置した(図5)。
【0171】
実施例3
A375細胞株をATCCから入手し、標準条件で5%CO2の加湿インキュベータ内で維持した。細胞を、384ウェルプレート(U底)で7日間、示された濃度でのエンコラフェニブおよび化合物IIaで処置した。CellTiter-Glo 2.0(Promega、G9243)およびEnVisionプレートリーダ(Perkin Elmer)によって細胞生存率を測定した。化合物による細胞増殖阻害は、式(1-(T-V0)/(V-V0))×100(%)によって計算し、式中、Tは化合物を含むウェルの測定値を表し、Vは化合物を含まないウェルの測定値を表し、V0は細胞を含まないウェルの測定値を表す。80%阻害濃度(IC80)の値を計算し、IC80のアイソボログラムをプロットした。XおよびY軸は、それぞれ化合物IIaおよびエンコラフェニブの濃度を表す。アイソボールは双曲性であり、相加線(破線)の下に位置し、エンコラフェニブと化合物IIaとの間の相乗効果を示している(図6)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2022-12-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
MEK阻害剤とBRAF阻害剤との組合せを含む、がんの治療または予防のための医薬組成物であって、MEK阻害剤が、式(II):
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくは溶媒和物である、医薬組成物。
【請求項2】
MEK阻害剤を含む、BRAF阻害剤と組み合わせてがんを治療または予防するための医薬組成物であって、MEK阻害剤が、式(II):
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくは溶媒和物である、医薬組成物。
【請求項3】
BRAF阻害剤を含む、MEK阻害剤と組み合わせてがんを治療または予防するための医薬組成物であって、MEK阻害剤が、式(II):
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくは溶媒和物である、医薬組成物。
【請求項4】
前記MEK阻害剤が、2-(4-シクロプロピル-2-フルオロアニリノ)-3,4-ジフルオロ-5-[[3-フルオロ-2-(メチルスルファモイルアミノ)ピリジン-4-イル]メチル]ベンズアミドナトリウム塩である、請求項1から3のいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項5】
前記BRAF阻害剤が(3R)-N-[2-シアノ-4-フルオロ-3-(3-メチル-4-オキソ-キナゾリン-6-イル)オキシ-フェニル]-3-フルオロ-ピロリジン-1-スルホンアミドおよびエンコラフェニブ、またはその薬学的に許容され得る塩から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記BRAF阻害剤が、(3R)-N-[2-シアノ-4-フルオロ-3-(3-メチル-4-オキソ-キナゾリン-6-イル)オキシ-フェニル]-3-フルオロ-ピロリジン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容され得る塩である、請求項1から3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記BRAF阻害剤が、エンコラフェニブ、またはその薬学的に許容され得る塩である、請求項1から3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記BRAF阻害剤が、(3R)-N-[2-シアノ-4-フルオロ-3-(3-メチル-4-オキソ-キナゾリン-6-イル)オキシ-フェニル]-3-フルオロ-ピロリジン-1-スルホンアミドである、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記BRAF阻害剤が、エンコラフェニブまたはその薬学的に許容され得る塩である、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項10】
有効量の、請求項1からのいずれか一項に記載の医薬組成物がそれを必要とする患者に投与される黒色腫または非小細胞肺がんのための、請求項1から3のいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項11】
前記MEK阻害剤および前記BRAF阻害剤が両方とも経口投与される、請求項からのいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項12】
前記MEK阻害剤が前記BRAF阻害剤と同時に投与される、請求項からのいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項13】
前記MEK阻害剤および前記BRAF阻害剤が共製剤化されている、請求項からのいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項14】
前記MEK阻害剤が前記BRAF阻害剤と逐次的に投与される、請求項からのいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項15】
前記がんが、甲状腺がん、結腸直腸がん、黒色腫、脳のがんまたは非小細胞肺がんである、請求項からのいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項16】
前記がんがBRAFV600変異に関連する、請求項からのいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項17】
前記がんがBRAFV600変異陽性の切除不能なまたは転移性のがんである、請求項からのいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項18】
BRAFV600変異が、(a)患者の腫瘍組織および/または体液の試料から抽出された核酸(例えばDNA)に対してPCRまたは配列決定を行うこと;および(b)前記試料中のBRAFV600の発現を決定することを含む方法を使用して決定される、請求項からのいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項19】
MEK分解剤、EGFR阻害剤、EGFR分解剤、HER2および/またはHER3の阻害剤、HER2および/またはHER3の分解剤、SHP2阻害剤、SHP2分解剤、Axl阻害剤、Axl分解剤、ALK阻害剤、ALK分解剤、PI3K阻害剤、PI3K分解剤、SOS1阻害剤、SOS1分解剤、シグナル伝達経路阻害剤、チェックポイント阻害剤、アポトーシス経路の調節剤、細胞傷害性化学療法剤、血管新生標的治療薬、免疫標的剤、ならびに抗体-薬物コンジュゲートから選択される1種以上のさらなる抗がん剤を含む、請求項からのいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項20】
BRAF阻害剤と組み合わせて、がんを治療または予防するための医薬組成物であって、式(II):
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくは溶媒和物、および1以上の薬学的に許容され得る添加物を含む、医薬組成物。
【請求項21】
前記式(II)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくは溶媒和物が、2-(4-シクロプロピル-2-フルオロアニリノ)-3,4-ジフルオロ-5-[[3-フルオロ-2-(メチルスルファモイルアミノ)ピリジン-4-イル]メチル]ベンズアミドナトリウム塩である、請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記BRAF阻害剤が、(3R)-N-[2-シアノ-4-フルオロ-3-(3-メチル-4-オキソ-キナゾリン-6-イル)オキシ-フェニル]-3-フルオロ-ピロリジン-1-スルホンアミドである、請求項20または21に記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記BRAF阻害剤が、エンコラフェニブまたはその薬学的に許容され得る塩である、請求項20または21に記載の医薬組成物。
【手続補正書】
【提出日】2023-04-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
MEK阻害剤とBRAF阻害剤との組合せを含む、がんの治療または予防のための医薬組成物であって、MEK阻害剤が、式(II):
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくは溶媒和物であり、
前記BRAF阻害剤が、エンコラフェニブ、またはその薬学的に許容され得る塩である、医薬組成物。
【請求項2】
MEK阻害剤を含む、BRAF阻害剤と組み合わせてがんを治療または予防するための医薬組成物であって、MEK阻害剤が、式(II):
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくは溶媒和物であり、
前記BRAF阻害剤が、エンコラフェニブ、またはその薬学的に許容され得る塩である、医薬組成物。
【請求項3】
BRAF阻害剤を含む、MEK阻害剤と組み合わせてがんを治療または予防するための医薬組成物であって、MEK阻害剤が、式(II):
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくは溶媒和物であり、
前記BRAF阻害剤が、エンコラフェニブ、またはその薬学的に許容され得る塩である、医薬組成物。
【請求項4】
前記MEK阻害剤が、2-(4-シクロプロピル-2-フルオロアニリノ)-3,4-ジフルオロ-5-[[3-フルオロ-2-(メチルスルファモイルアミノ)ピリジン-4-イル]メチル]ベンズアミドナトリウム塩である、請求項1から3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
有効量の、請求項1から3のいずれか一項に記載の医薬組成物がそれを必要とする患者に投与される、黒色腫または非小細胞肺がんのための、請求項1から3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記MEK阻害剤および前記BRAF阻害剤が両方とも経口投与される、請求項1から3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記MEK阻害剤が前記BRAF阻害剤と同時に投与される、請求項1から3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記MEK阻害剤および前記BRAF阻害剤が共製剤化されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記MEK阻害剤が前記BRAF阻害剤と逐次的に投与される、請求項1から3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記がんが、甲状腺がん、結腸直腸がん、黒色腫、脳のがんまたは非小細胞肺がんである、請求項1から3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記がんがBRAFV600変異に関連する、請求項1から3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記がんがBRAFV600変異陽性の切除不能なまたは転移性のがんである、請求項1から3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
BRAFV600変異が、(a)患者の腫瘍組織および/または体液の試料から抽出された核酸(例えばDNA)に対してPCRまたは配列決定を行うこと;および(b)前記試料中のBRAFV600の発現を決定することを含む方法を使用して決定される、請求項1から3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
MEK分解剤、EGFR阻害剤、EGFR分解剤、HER2および/またはHER3の阻害剤、HER2および/またはHER3の分解剤、SHP2阻害剤、SHP2分解剤、Axl阻害剤、Axl分解剤、ALK阻害剤、ALK分解剤、PI3K阻害剤、PI3K分解剤、SOS1阻害剤、SOS1分解剤、シグナル伝達経路阻害剤、チェックポイント阻害剤、アポトーシス経路の調節剤、細胞傷害性化学療法剤、血管新生標的治療薬、免疫標的剤、ならびに抗体-薬物コンジュゲートから選択される1種以上のさらなる抗がん剤を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
BRAF阻害剤と組み合わせて、がんを治療または予防するための医薬組成物であって、式(II):
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくは溶媒和物、および1以上の薬学的に許容され得る添加物を含み、
前記BRAF阻害剤が、エンコラフェニブ、またはその薬学的に許容され得る塩である、医薬組成物。
【請求項16】
前記式(II)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくは溶媒和物が、2-(4-シクロプロピル-2-フルオロアニリノ)-3,4-ジフルオロ-5-[[3-フルオロ-2-(メチルスルファモイルアミノ)ピリジン-4-イル]メチル]ベンズアミドナトリウム塩である、請求項15に記載の医薬組成物。
【外国語明細書】