(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177234
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】集約ユニットおよびセンサシステム
(51)【国際特許分類】
G08C 15/06 20060101AFI20231206BHJP
G08C 19/02 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
G08C15/06 F
G08C19/02 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039110
(22)【出願日】2023-03-13
(31)【優先権主張番号】P 2022088337
(32)【優先日】2022-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川口 敦生
(72)【発明者】
【氏名】山科 亮太
(72)【発明者】
【氏名】大塚 愛子
(72)【発明者】
【氏名】北原 拓
(72)【発明者】
【氏名】岡本 寛
(72)【発明者】
【氏名】井口 慎也
【テーマコード(参考)】
2F073
【Fターム(参考)】
2F073AA01
2F073AA02
2F073AA29
2F073AB02
2F073AB07
2F073BB01
2F073BB04
2F073BB07
2F073BC01
2F073BC02
2F073CC03
2F073CD11
2F073CD28
2F073DD07
2F073EE12
2F073FF01
2F073FG01
2F073FG02
2F073GG01
(57)【要約】
【課題】プリント基板の改修を行うことなく、センサの追加または変更を行う。
【解決手段】ロボット装置に設けられたセンサユニットのセンサデータを集約する集約ユニットであって、前記センサユニットと接続されるセンサインタフェースと、を有し、前記センサインタフェースは、2線式接続ケーブルを介して前記センサユニットへ電力を供給する電力供給部と、2線式接続ケーブルを介して前記センサユニットから受信した前記センサデータを復調するセンサデータ復調部と、を備え、前記センサデータ復調部で復調されたデータである復調データを通信ネットワークに送信する、ことを特徴とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボット装置に設けられたセンサユニットのセンサデータを集約する集約ユニットであって、
前記センサユニットと接続されるセンサインタフェースと、
を有し、
前記センサインタフェースは、
2線式接続ケーブルを介して前記センサユニットへ電力を供給する電力供給部と、
2線式接続ケーブルを介して前記センサユニットから受信した前記センサデータを復調するセンサデータ復調部と、
を備え、
前記センサデータ復調部で復調されたデータである復調データを通信ネットワークに送信する、
ことを特徴とする集約ユニット。
【請求項2】
前記復調データを加工するデータ変換部を有し、
前記データ変換部で加工されたデータを通信ネットワークに送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の集約ユニット。
【請求項3】
ロボット装置に設けられたセンサユニットと、前記センサユニットのセンサデータを2線式接続ケーブルを介して集約する集約ユニットと、を備えるセンサシステムであって、
前記集約ユニットは、
ロボット装置に設けられたセンサユニットと接続されるセンサインタフェースと、
を有し、
前記センサインタフェースは、
前記2線式接続ケーブルを介して前記センサユニットへ電力を供給する電力供給部と、
前記2線式接続ケーブルを介して前記センサユニットから受信した前記センサデータを復調するセンサデータ復調部と、
を備え、
前記センサデータ復調部で復調されたデータである復調データを通信ネットワークに送信する、
ことを特徴とするセンサシステム。
【請求項4】
前記復調データを加工するデータ変換部を有し、
前記データ変換部で加工されたデータを通信ネットワークに送信する、
ことを特徴とする請求項3に記載のセンサシステム。
【請求項5】
前記センサユニットは、
センサと、
前記2線式接続ケーブルを接続する2線式接続ケーブル接続部と、
を有し、
前記2線式接続ケーブル接続部より前記2線式接続ケーブルを介して前記電力供給部からの電力供給を受け、前記2線式接続ケーブル接続部から前記センサが取得した前記センサデータを前記集約ユニットに送信する、
ことを特徴とする請求項3に記載のセンサシステム。
【請求項6】
前記センサユニットは、空中もしくは対象物に密着させて設置する末端型センサユニットである、
ことを特徴とする請求項5に記載のセンサシステム。
【請求項7】
前記センサユニットは、プリント基板のコネクタとワイヤーハーネスのコネクタとのそれぞれに挿入できる形態である挿入型センサユニットである、
ことを特徴とする請求項5に記載のセンサシステム。
【請求項8】
前記センサユニットは、前記センサと前記2線式接続ケーブル接続部とを、ワイヤーハーネスのコネクタ部にあらかじめ組み込んだセンサハーネス型センサユニットである、
ことを特徴とする請求項5に記載のセンサシステム。
【請求項9】
前記センサユニットおよび前記集約ユニットと前記2線式接続ケーブルで接続される分岐ユニットを備え、
前記分岐ユニットは、
前記2線式接続ケーブルを介して送られてきた複数の前記センサユニットのセンサデータを復号し、
復号した複数の前記センサユニットのセンサデータから算出して算出センサデータを生成し、
前記2線式接続ケーブルを介して前記算出センサデータを前記集約ユニットに送る、
請求項3に記載のセンサシステム。
【請求項10】
前記分岐ユニットは、複数の前記センサユニットのセンサデータの最大値と、複数の前記センサユニットのセンサデータの最小値と、複数の前記センサユニットのセンサデータの平均値との何れか一つを前記算出センサデータとする、
請求項9に記載のセンサシステム。
【請求項11】
前記通信ネットワークに接続され、前記集約ユニットが集めて前記通信ネットワークへ送り出したセンサデータと、あらかじめ与えておいた期待値とを照合することにより、前記センサシステムの健全性を判定する自己診断能力を発揮する自己監視装置を備える、
ことを特徴とする請求項3ないし10の何れか一項に記載のセンサシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集約ユニットおよびセンサシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器を小型かつ高密度に構成するために、複数のプリント基板間をコネクタおよびケーブルからなるワイヤーハーネスで結合する技術が知られている。
【0003】
また、「人又は設備にとって有益な作業を実行するロボット」と定義されるサービスロボットは、一般に、筐体、アクチュエータおよびコンピュータを含む電子回路で構成されている。このようなサービスロボットは、内部に、プリント基板およびワイヤーハーネスが納められた電子機器の一種である。したがって、サービスロボットにおいても、ワイヤーハーネスで結合する技術が適用される。
【0004】
特許文献1には、センサの出力信号をA/D変換するためのA/D変換部を独立した回路としてA/D変換部の配置自由度を向上させるとともに、A/D変換部とは独立したインタフェース変換部がロボット制御部にセンサ情報を転送することによりロボット制御部がセンサの計測情報を収集するための通信処理に要する処理負荷を軽減するセンサ計測情報転送システムが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
サービスロボットなどの電子機器のセンサシステムは、一般にはMCU(Micro-Controller Unit)というハードウェア上にソフトウェアによってセンサデータの処理を含む様々な処理(制御系)を実現しており、MCUを含むプリント基板を設計した時点で、そのサービスロボットに出来ることが決まってしまう。そのため、サービスロボットの機能などの継続的な進化には、センサシステムへのセンサの追加・変更、センサデータの処理を行うソフトウェアの追加・変更のみならず、プリント基板の改修を伴うことが特に多い、という問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、プリント基板の改修を行うことなく、センサの追加または変更を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、ロボット装置に設けられたセンサユニットのセンサデータを集約する集約ユニットであって、前記センサユニットと接続されるセンサインタフェースと、を有し、前記センサインタフェースは、2線式接続ケーブルを介して前記センサユニットへ電力を供給する電力供給部と、2線式接続ケーブルを介して前記センサユニットから受信した前記センサデータを復調するセンサデータ復調部と、を備え、前記センサデータ復調部で復調されたデータである復調データを通信ネットワークに送信する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、プリント基板の改修を行うことなく、センサの追加または変更を行うことができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1の実施の形態にかかるサービスロボットを用いたシステムの全体構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、サービスロボットの制御系の基本構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、サービスロボットの制御系の構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、集約ユニットのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、集約ユニットとセンサユニットとの接続例を示す図である。
【
図6】
図6は、集約ユニットの機能構成を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、センサユニットの三形態を示す図である。
【
図8】
図8は、第2の実施の形態にかかる集約ユニットとセンサユニットとの接続例を示す図である。
【
図9】
図9は、分岐ユニットのハードウェア構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、集約ユニットおよびセンサシステムの実施の形態を詳細に説明する。
【0011】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態にかかるサービスロボット10を用いたシステム1の全体構成の一例を示す図である。
図1に示されているシステム1は、ロボット装置であるサービスロボット10を用いて対象拠点に設置された点検対象物の点検作業を行うためのシステムである。
【0012】
システム1は、所定の拠点に位置するサービスロボット10、管理サーバ50および通信端末70を含む。システム1を構成するサービスロボット10、管理サーバ50および通信端末70は、通信ネットワーク100を介して通信することができる。通信ネットワーク100は、インターネット、移動体通信網、LAN(Local Area Network)等によって構築されている。なお、通信ネットワーク100には、有線通信だけでなく、3G(3rd Generation)、4G(4th Generation)、5G(5th Generation)、Wi-Fi(Wireless Fidelity)(登録商標)、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)またはLTE(Long Term Evolution)等の無線通信によるネットワークが含まれてもよい。
【0013】
サービスロボット10は、対象拠点に設置され、対象拠点内を自律走行する移動体である。サービスロボット10は、対象拠点内を移動しながら、設置された点検対象物に対する点検作業(点検タスク)を実行する。また、サービスロボット10は、点検タスクによって撮影された撮影画像等の点検結果を、通信端末70へ送信することで、通信端末70を使用する対象拠点の管理者に、点検結果の情報(画像等)を提供する。
【0014】
管理サーバ50は、対象拠点に設置された点検対象物に対する点検タスクをサービスロボット10に実行させるためのスケジュールを管理するためのサーバコンピュータである。管理サーバ50は、管理者が使用する通信端末70からの要求に応じて、スケジュール登録処理を実行することで、指定された点検タスクを実行するためのスケジュールを登録して管理する。
【0015】
なお、管理サーバ50は、単一のコンピュータによって構築されてもよいし、各部(機能または手段)を分割して任意に割り当てられた複数のコンピュータによって構築されてもよい。また、管理サーバ50の機能の全てまたは一部は、クラウド環境に存在するサーバコンピュータで実現されてもよいし、オンプレミス環境に存在するサーバコンピュータで実現されてもよい。
【0016】
通信端末70は、対象拠点における点検タスクまたは対象拠点に設置された点検対象物
もしくはサービスロボット10を管理する管理者が使用するノートPC(Personal Computer)等のコンピュータである。管理者は、オフィス等の管理拠点において、点検タスクのスケジュール管理または点検タスクの実行結果の確認を行う。また、管理者は、通信端末70に表示された対象拠点の画像を見ながら、サービスロボット10の遠隔操作を行うこともできる。なお、通信端末70は、ノートPCに限られず、例えば、デスクトップPC、タブレット端末、スマートフォンまたはウェアラブル端末等であってもよい。
【0017】
図2は、サービスロボット10の制御系の基本構成を示すブロック図である。
図2に示すように、サービスロボット10は、センサシステム20を備える。
【0018】
サービスロボット10には多様なアプリケーションが考えられ、それぞれの機能や安全性、信頼性の要件も様々である。求められる機能、性能を技術的に十分に達成できないアプリケーションも多く、継続的な進化を求められる。サービスロボット10の機能・安全性・信頼性を実現するための要素として、搭載された多種多様なセンサユニットと、それらセンサユニットのデータを信号処理し制御系へ入力するコンピュータおよびそのためのソフトウェアがあり、これらをまとめてセンサシステム20と呼ぶ。
【0019】
センサシステム20は、メインコンピュータ21と、機能モジュール22(第1の機能モジュール22a、第2の機能モジュール22b)と、を備える。センサシステム20は、機能モジュール22(第1の機能モジュール22a、第2の機能モジュール22b)に対して、多数のセンサユニット23をワイヤーハーネス24でそれぞれ接続する。また、メインコンピュータ21と、機能モジュール22(第1の機能モジュール22a、第2の機能モジュール22b)と、多数のセンサユニット23とは、ワイヤーハーネス24を介して電源26に接続されている。センサユニット23は、例えば、加速度センサ、気圧計、温度計、光度計、人感センサ、ガスセンサ、臭気センサまたは照度計等のセンサ23a(
図7参照)を含む。
【0020】
機能モジュール22(第1の機能モジュール22a、第2の機能モジュール22b)は、サービスロボット10の各機能を単独あるいはメインコンピュータ21および他の機能モジュールと連携して実現する電子回路である。機能モジュール22(第1の機能モジュール22a、第2の機能モジュール22b)は、MCU(Micro-Controller Unit)を備える。機能モジュール22(第1の機能モジュール22a、第2の機能モジュール22b)が備えるMCUは、ソフトウェアによってセンサデータの処理を含む様々な処理(制御系)を実現している。
【0021】
機能モジュール22(第1の機能モジュール22a、第2の機能モジュール22b)は、一般に、MCUを搭載したプリント基板として実現される。機能モジュール22(第1の機能モジュール22a、第2の機能モジュール22b)は、外部との接続のためのコネクタを備える。なお、機能モジュール22(第1の機能モジュール22a、第2の機能モジュール22b)は、防水等のために専用の小型筐体に納められることもある。
【0022】
上述のように、サービスロボット10を電子機器と見た場合、そのセンサシステム20は、一般にはMCUというハードウェア上にソフトウェアによってセンサデータの処理を含む様々な処理(制御系)を実現しており、MCUを含むプリント基板をワイヤーハーネス24で結合した構成になる。
【0023】
ところで、サービスロボット10に出来ることは、プリント基板およびプリント基板同士の接続を設計した時点で決まるものである。例えば、
図2において、センサユニット23(S1)が計測する物理量をより正確に計測できるセンサユニット23(S2)を、第2の機能モジュール22bに対して追加することを考える。センサユニット23を第2の機能モジュール22bに接続するには、通常、第2の機能モジュール22bのプリント基板を改修する必要がある。なお、第1の機能モジュール22aまたはメインコンピュータ21に対してセンサユニット23(S2)を新たに接続することも考え得るが、その場合も同様に、第1の機能モジュール22aまたはメインコンピュータ21のプリント基板を改修する必要が生じることが多い。このように、サービスロボット10の機能などの継続的な進化には、センサシステム20へのセンサユニット23の追加・変更、センサデータの処理を行うソフトウェアの追加・変更のみならず、プリント基板の改修を伴うことが特に多い、という問題があった。
【0024】
ここで、
図3はサービスロボット10の制御系の構成を示すブロック図である。上述の問題を解決すべく、
図3に示すように、サービスロボット10は、
図2で説明したセンサシステム20の基本構成に加えて、集約ユニット31(第1の集約ユニット31a、第2の集約ユニット31b)と、自己監視コンピュータ32と、を備える。
【0025】
集約ユニット31(第1の集約ユニット31a、第2の集約ユニット31b)は、サービスロボット内通信ネットワーク33(本実施形態では、例えばEthernet(登録商標))に接続され、サービスロボット10のメインコンピュータ21と通信する。
【0026】
自己監視コンピュータ32は、サービスロボット内通信ネットワーク33に接続され、集約ユニット31(第1の集約ユニット31a、第2の集約ユニット31b)が集めてサービスロボット内通信ネットワーク33へ送り出したセンサデータと、あらかじめ与えておいた期待値とを、自己監視コンピュータ32のソフトウェアで照合することにより、センサシステム20の健全性を判定する自己診断能力を発揮する自己監視装置である。また、自己監視コンピュータ32は、インターネットへの接続を可能とするインターネット接続部34を備える。
【0027】
なお、近年のサービスロボット10では、インターネットへの接続は基本機能である。このため、メインコンピュータ21上のソフトウェアには、ネットワーク通信のための機能が既に存在する。したがって、集約ユニット31(第1の集約ユニット31a、第2の集約ユニット31b)が送ったセンサデータをサービスロボット内通信ネットワーク33から受信するためのソフトウェアの実現は、メインコンピュータ21上のソフトウェアの軽微な修正で済む。
【0028】
次に、集約ユニット31(第1の集約ユニット31a、第2の集約ユニット31b)について詳述する。
【0029】
ここで、
図4は集約ユニット31のハードウェア構成を示すブロック図である。
図4に示すように、集約ユニット31(第1の集約ユニット31a、第2の集約ユニット31b)は、コンピュータによって構築されており、MCU41(Micro-Controller Unit)と、通信ネットワークインタフェース42と、センサインタフェース43と、を備えている。通信ネットワークインタフェース42とセンサインタフェース43とは、アドレスバスやデータバス等であるバスラインを介してMCU41に電気的に接続される。なお、集約ユニット31(第1の集約ユニット31a、第2の集約ユニット31b)は、使用するMCU41の規模によって、センサインタフェース43の数が異なるものである。
【0030】
MCU41は、集約ユニット31(第1の集約ユニット31a、第2の集約ユニット31b)の全体の動作を制御する。MCU41は、MCU41の駆動に用いられるプログラムを記憶する。
【0031】
通信ネットワークインタフェース42は、集約ユニット31(第1の集約ユニット31a、第2の集約ユニット31b)を、サービスロボット内通信ネットワーク33に接続するためのインタフェースである。
【0032】
センサインタフェース43は、各種のセンサユニット23を、集約ユニット31(第1の集約ユニット31a、第2の集約ユニット31b)に接続するためのインタフェースである。ここで、
図5は集約ユニット31とセンサユニット23との接続例を示す図である。センサインタフェース43は、各種のセンサユニット23を、細く柔らかい2線式接続ケーブル25で集約ユニット31(第1の集約ユニット31a、第2の集約ユニット31b)に接続する。
【0033】
図4に示すように、センサインタフェース43は、電力供給部431と、センサデータ復調部432と、を備える。電力供給部431は、センサユニット23の動作に必要な電力を、2線式接続ケーブル25を通してセンサユニット23に供給する。センサデータ復調部432は、2線式接続ケーブル25を介して受信したセンサデータを復調する。
【0034】
続いて、集約ユニット31(第1の集約ユニット31a、第2の集約ユニット31b)のMCU41がMCU41に記憶されたプログラムに従って動作することにより発揮する機能について説明する。
【0035】
ここで、
図6は集約ユニット31の機能構成を示すブロック図である。
図6に示すように、集約ユニット31は、MCU41がMCU41に記憶されたプログラムに従って動作することにより、データ変換部411と、送信制御部412と、を備える。
【0036】
データ変換部411は、復調したセンサデータの形式を加工(より扱いやすい形式に変換)する。加工は、例として、小数点形式の変換、あらかじめ決められたスケールへの変換、等であるがこれらに限られない。このようにセンサデータをより扱いやすい形式に変換することで、サービスロボット10内の他のコンピュータの処理負荷を下げることができる。
【0037】
送信制御部412は、通信ネットワークインタフェース42からサービスロボット内通信ネットワーク33へのデータ送信を制御する。送信制御部412は、センサデータ復調部で復調されたデータである復調データを、通信ネットワークインタフェース42を介してサービスロボット内通信ネットワーク33へ送信する。送信制御部412は、センサデータに応じてデータ変換部411を介して加工された復調データを送信してもよい。また、送信制御部412は、常にデータ変換部411を介することとし、何もしないという加工を選べるようにして、実質的に復調されたデータをそのまま送信できるようにしてもよい。
【0038】
上記で説明した実施形態の機能(データ変換部411、送信制御部412)は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0039】
あるサービスロボット10の機能や安全性、信頼性を進化させるには、センサシステム20へのセンサユニット23の追加・変更、センサデータの信号処理の追加・変更、冗長性の付与などが求められる。具体的には、センサユニット23の追加・変更、センサユニット23のデータを信号処理し制御系へ入力するコンピュータおよびそのためのソフトウェアの追加・変更、センサシステム20をサービスロボット10の制御システムに接続する方法の追加・変更である。
【0040】
本実施形態においては、センサユニット23の追加、変更、除去が容易なように、センサユニット23は三つの形態を採る。ここで、
図7はセンサユニット23の三形態を示す図である。
【0041】
図7(a)は、末端型センサユニットを示している。末端型センサユニットは、センサ23aと、2線式接続ケーブル25を接続する2線式接続ケーブル接続部23bと、を備えるセンサユニット23である。末端型センサユニットは、温度や湿度等の計測のために、空中もしくは対象物に密着させて設置する形態である。
【0042】
図7(b)は、挿入型センサユニットを示している。挿入型センサユニットは、センサ23aと、2線式接続ケーブル25を接続する2線式接続ケーブル接続部23bと、を備えるセンサユニット23である。挿入型センサユニットは、プリント基板PB側コネクタC1とワイヤーハーネス24のコネクタC2とのそれぞれに適合したコネクタを持つ。挿入型センサユニットは、プリント基板PBのコネクタC1とワイヤーハーネス24のコネクタC2とのそれぞれに挿入できる形態であるので、プリント基板PBを変更することなく、ワイヤーハーネス24が伝える信号や電源26を観測できる。
【0043】
図7(c)は、センサハーネス型センサユニットを示している。センサハーネス型センサユニットは、センサ23aと、2線式接続ケーブル25を接続する2線式接続ケーブル接続部23bとをワイヤーハーネス24のコネクタ部にあらかじめ組み込んだセンサユニット23である。すなわち、センサハーネス型センサユニットは、センサユニット23をワイヤーハーネス24のコネクタ部にあらかじめ組み込み、挿入型センサユニットと同じ機能を実現する形態である。
【0044】
図3は、サービスロボット10に対して各種センサユニット23を追加した例である。
図3に示すように、末端型センサユニット(末端型センサユニット(a1)および末端型センサユニット(a2))であるセンサユニット23の追加は、末端型センサユニット(末端型センサユニット(a1)および末端型センサユニット(a2))であるセンサユニット23を設置した後、2線式接続ケーブル25で集約ユニット31(第1の集約ユニット31a、第2の集約ユニット31b)と接続するだけで良い。
【0045】
一方、電源26や信号の検出・監視のためには、既存ワイヤーハーネス24のコネクタC2と、プリント基板PB(第1の機能モジュール22aおよび第2の機能モジュール22b)の対応するコネクタC1との間に、挿入型センサユニット(挿入型センサユニット(b1)および挿入型センサユニット(b2))であるセンサユニット23を挿入した後、2線式接続ケーブル25で集約ユニット31(第1の集約ユニット31a、第2の集約ユニット31b)と接続すれば良い。
【0046】
集約ユニット31(第1の集約ユニット31a、第2の集約ユニット31b)は、自己診断結果として、メインコンピュータ21に状況を通知したり、電源26の異常の場合は電源26を停止したり、異常をインターネット接続部34経由で外部に通知したり、することができる。
【0047】
このように本実施形態によれば、センサユニット23と、集約ユニット31と、2線式接続ケーブル25と、の3種類のハードウェアを用いてセンサシステム20を構成する。センサユニット23の形状を既存のシステムに追加し易いものとし、センサユニット23は2線式接続ケーブル25を用いて集約ユニット31に接続し、集約ユニット31はサービスロボット内通信ネットワーク33に接続する。このようにすることで、センサユニット23の形状のために追加および変更が容易になるとともに、2線式接続ケーブル25を用いることで接続ケーブルが細く柔らかくなって設置が容易になり、センサデータを収集する集約ユニット31がサービスロボット内通信ネットワーク33に送信することになるので、プリント基板の改修を行うことなく、センサの追加または変更を行うことができる。
【0048】
また、データ変換部411で加工されたデータ(例えば、センサデータをより扱いやすい形式に変更したデータ)を、サービスロボット内通信ネットワーク33に送信することにより、サービスロボット10内の他の集約ユニット31の処理負荷を下げることができる。
【0049】
また、センサユニット23が、温度や湿度等のセンシングのために、空中もしくは対象物に密着させて設置する末端型センサユニットである場合、2線式接続ケーブル25を使って集約ユニット31に接続でき、サービスロボット10へのセンサの追加および変更を容易に行うことができる。
【0050】
また、センサユニット23が、プリント基板のコネクタとワイヤーハーネス24のコネクタとのそれぞれに挿入できる形態である挿入型センサユニットである場合、プリント基板に入力される電源26の電圧または電源26の電流を計測するセンサ、プリント基板に接続された信号の電圧を計測するセンサを、2線式接続ケーブル25を使って集約ユニット31に接続でき、サービスロボット10へのセンサの追加および変更を容易に行うことができる。
【0051】
また、センサユニット23が、センサ23aと、2線式接続ケーブル25を接続する2線式接続ケーブル接続部23bとを、ワイヤーハーネス24のコネクタ部にあらかじめ組み込んだセンサハーネス型センサユニットである場合、挿入型センサユニットをより小型にし、挿入型センサユニットと同じ働きを行わせることができる。
【0052】
なお、本実施の形態の集約ユニット31のMCU41で実行されるプログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。
【0053】
本実施の形態の集約ユニット31のMCU41で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disc)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0054】
さらに、本実施の形態の集約ユニット31のMCU41で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施の形態の集約ユニット31のMCU41で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0055】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について説明する。
【0056】
第2の実施の形態は、分岐ユニットを含む構成である点が、第1の実施の形態と異なる。以下、第2の実施の形態の説明では、第1の実施の形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施の形態と異なる箇所について説明する。
【0057】
ここで、
図8は第2の実施の形態にかかる集約ユニット31とセンサユニット23との接続例を示す図である。
図8に示すように、本実施形態においては、
図5に示した構成に対して分岐ユニット60を加えた構成となっている。
【0058】
分岐ユニット60は、集約ユニット31に対して2線式接続ケーブル25で接続される。ここで分岐ユニット60と集約ユニット31とは、センサユニット23と集約ユニット31と同様に、2線式接続ケーブル25で接続される。同じ2線式接続ケーブル25で接続されている、つまり同じ電力供給方式、データ伝送方式で接続されているため、集約ユニット31からは分岐ユニット60は、センサユニット23と区別がつかない。このように分岐ユニット60は、集約ユニット31からセンサユニット23と区別されず同等に扱われるユニットである。分岐ユニット60は、複数のセンサユニット23を2線式接続ケーブル25で接続する。
【0059】
ここで、
図9は分岐ユニット60のハードウェア構成を示すブロック図である。
図9に示すように、分岐ユニット60は、センサデータ変調/受電インタフェース61と、MCU(Micro-Controller Unit)62と、電源63と、センサインタフェース64と、を備える。
【0060】
MCU62は、分岐ユニット60の全体の動作を制御する。MCU62は、MCU62の駆動に用いられるプログラムを記憶する。センサデータ変調/受電インタフェース61とセンサインタフェース64とは、アドレスバスやデータバス等であるバスラインを介してMCU62に電気的に接続される。なお、センサインタフェース64の数は、使用するMCU62の規模によって変わるものとする。
【0061】
MCU62は、MCU62に記憶されたプログラムに従って動作することにより以下の機能を発揮する。
【0062】
第1に、MCU62は、2線式接続ケーブル25を介して送られてきた分岐ユニット60に接続された複数のセンサユニット23のセンサデータを復号する。
【0063】
第2に、MCU62は、復号した複数のセンサユニット23のセンサデータから算出した算出センサデータを生成する。MCU62は、複数のセンサユニット23のセンサデータの最大値と、複数のセンサユニット23のセンサデータの最小値と、複数のセンサユニット23のセンサデータの平均値との何れか一つを算出し、算出センサデータとする。なお、MCU62による算出センサデータの計算方法として、上述のような最大値、最小値、平均値などの複数のセンサデータから1つの値を求める任意の計算方法に限るものではなく、その他の計算方法を使用するものであってもよい。
【0064】
第3に、MCU62は、算出センサデータを、センサデータ変調/受電インタフェース61を通じ、2線式接続ケーブル25を介して集約ユニット31に送る。
【0065】
センサデータ変調/受電インタフェース61は、分岐ユニット60を、集約ユニット31に接続するためのインタフェースである。センサデータ変調/受電インタフェース61は、センサデータを変調して2線式接続ケーブル25を通して集約ユニット31にセンサデータを送る機能と、集約ユニット31から送られてくる電力を受けて分岐ユニット60に供給する。
【0066】
センサインタフェース64は、各種のセンサユニット23を、2線式接続ケーブル25を介して分岐ユニット60に接続するためのインタフェースである。また、センサインタフェース64は、センサユニット23の動作に必要な電力を、2線式接続ケーブル25を通してセンサユニット23に供給する。
【0067】
分岐ユニット60には複数、一例としてN個の2線式接続ケーブルがセンサユニット23から接続され、1個の2線式接続ケーブル25が集約ユニット31に接続されている。一方、分岐ユニット60が無い場合は、センサユニット23からN個の2線式接続ケーブル25が集約ユニット31に接続されることとなる。したがって、集約ユニット31に接続される2線式接続ケーブル25がN-1個に減らされたことになる。
【0068】
このように本実施形態によれば、集約ユニット31に接続される2線式接続ケーブル25を減らし、複数のセンサユニット23のデータから算出された算出センサデータを集約ユニット31に送ることができる。これにより、集約ユニット31およびサービスロボット10内の他のコンピュータの処理負荷を下げることができる。
【符号の説明】
【0069】
10 ロボット装置
20 センサシステム
23 センサユニット
23a センサ
23b 2線式接続ケーブル接続部
25 2線式接続ケーブル
26 電源
31 集約ユニット
32 自己監視装置
33 通信ネットワーク
43 センサインタフェース
411 データ変換部
412 送信制御部
431 電力供給部
432 センサデータ復調部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0070】