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特開2023-177238情報処理装置、画像形成装置、情報処理方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177238
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】情報処理装置、画像形成装置、情報処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 11/07 20060101AFI20231206BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20231206BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20231206BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
G06F11/07 157
B41J29/38 701
G03G21/00 500
G03G21/00 370
H04N1/00 002Z
G06F11/07 140P
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047807
(22)【出願日】2023-03-24
(31)【優先権主張番号】P 2022089768
(32)【優先日】2022-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新田 信之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 隆一
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
5B042
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AQ06
2C061AS02
2C061BB08
2C061CG01
2C061CQ04
2C061CQ24
2C061HH05
2C061HJ07
2C061HK11
2C061HN04
2C061HV05
2C061HV17
2C061HV54
2H270LA70
2H270MF19
2H270MF22
2H270MH01
2H270NC01
2H270NC06
2H270NE07
2H270NE14
2H270QA05
2H270QA43
2H270RA01
2H270RA17
2H270RA24
2H270ZC03
2H270ZC04
5B042GA11
5B042JJ15
5B042JJ20
5B042JJ24
5B042JJ29
5B042JJ36
5B042KK02
5B042KK13
5C062AA02
5C062AA05
5C062AA29
5C062AB20
5C062AB22
5C062AB38
5C062AB40
5C062AB42
5C062AC04
5C062AC22
5C062AC34
5C062AC58
5C062AE15
5C062AF06
(57)【要約】
【課題】操作部における異常判定までの時間を最短とする。
【解決手段】第1の演算部および第1の制御部を有するコントローラ部と、第2の演算部を有する操作部と、第1の演算部と第2の演算部との間でデータ通信する通信経路と、を備え、第1の演算部は、コントローラ部の特定のソフトウェアの起動処理が完了した際に、第2の演算部に起動完了を通知し、第2の演算部は、起動完了の通知を受けると、操作部のソフトウェアの起動後にスタートしたタイマーのタイムアウト時間をより短い時間に更新して、タイマーをリスタートし、更新したタイムアウト時間内に通信経路でのデータ通信を確立できない場合は不具合を検出し、第1の制御部に不具合通知を行い、第1の制御部は、不具合通知を受けると、異常検知処理を行う。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の演算部および第1の制御部を有するコントローラ部と、
第2の演算部を有する操作部と、
前記第1の演算部と前記第2の演算部との間でデータ通信する通信経路と、を備え、
前記第1の演算部は、前記コントローラ部の特定のソフトウェアの起動処理が完了した際に、前記第2の演算部に起動完了を通知し、
前記第2の演算部は、
前記起動完了の通知を受けると、前記操作部のソフトウェアの起動後にスタートしたタイマーのタイムアウト時間をより短い時間に更新して、前記タイマーをリスタートし、
更新した前記タイムアウト時間内に前記通信経路でのデータ通信を確立できない場合は不具合を検出し、前記第1の制御部に不具合通知を行い、
前記第1の制御部は、
前記不具合通知を受けると、異常検知処理を行う、
情報処理装置。
【請求項2】
前記第1の演算部は、前記コントローラ部の特定のソフトウェアの起動処理が完了した際に前記第1の制御部に対して起動完了を通知し、
前記第1の制御部は、前記起動完了の通知を受けて、前記第2の演算部に前記起動完了を通知する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の情報処理装置と、
画像形成部と、
を備える画像形成装置。
【請求項4】
情報処理装置で実行される情報処理方法であって、
コントローラ部が有する第1の演算部が、前記コントローラ部の特定のソフトウェアの起動処理が完了した際に、通信経路を介して接続される操作部が有する第2の演算部に起動完了を通知するステップと、
前記第2の演算部が、前記起動完了の通知を受けると、前記操作部のソフトウェアの起動後にスタートしたタイマーのタイムアウト時間をより短い時間に更新して、前記タイマーをリスタートするステップと、
前記第2の演算部が、更新した前記タイムアウト時間内に前記通信経路でのデータ通信を確立できない場合は不具合を検出し、前記コントローラ部が有する第1の制御部に不具合通知を行うステップと、
前記第1の制御部が、前記不具合通知を受けると、異常検知処理を行うステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項5】
操作部が有する第2の演算部を、
コントローラ部の特定のソフトウェアの起動処理が完了したことを示す起動完了の通知を前記コントローラ部から受けると、前記操作部のソフトウェアの起動後にスタートしたタイマーのタイムアウト時間をより短い時間に更新して、前記タイマーをリスタートする手段と、
更新した前記タイムアウト時間内に、前記コントローラ部の第1の演算部との間の通信経路でのデータ通信を確立できない場合は不具合を検出し、前記コントローラ部の第1の制御部に不具合通知を行う手段と、
して機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、画像形成装置、情報処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
装置全体を制御するコントローラ部と、当該コントローラ部の外部装置でありかつ当該コントローラ部と接続される操作部と、を有する情報処理装置は、電源オン後に、コントローラ部が不具合検出タイマーをスタートさせ、操作部とのUSB(Universal Serial Bus)ケーブルでの接続にてデータ通信(USB通信)が正常であるかを判断する。そして、コントローラ部は、データ通信が正常ではなく、不具合検出タイマーのカウント値が固定値以上になった場合、操作部の不具合と判断する。この不具合検出タイマーのカウント値(時間)の固定値は、タイムアウト時間と定義される。
【0003】
コントローラ部と操作部との間でのデータ通信が可能になるまでの処理としては、電源オン後に、コントローラ部の電源を制御するマイコンが、当該コントローラ部の制御を行なうSoC(System on a Chip)と、操作部の電源を制御するマイコンを起動させ、操作部のマイコンは操作部のSoCを起動させる。その後、情報処理装置の各部でデータ通信に関わるソフトウェア(BIOS/SCS/LUI)が起動し、最終的に、コントローラ部と操作部との間にてUSBソケット開通した場合にデータ通信が可能になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の情報処理装置では、コントローラ部の起動完了にかかる時間にばらつきがあったため、タイムアウト時間を長く設定する必要がある。これにより、タイムアウト時間内にてデータ通信に不具合が発生しているにも関わらず、タイムアウト時間内のため、不具合が発生していないと判定されてしまい、再度、データ通信の不具合の確認を行うことで、データ通信の不具合が発生したと判断するまでに無駄に時間を要する。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、操作部における異常判定までの時間を最短とすることができる情報処理装置、画像形成装置、情報処理方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、第1の演算部および第1の制御部を有するコントローラ部と、第2の演算部を有する操作部と、前記第1の演算部と前記第2の演算部との間でデータ通信する通信経路と、を備え、前記第1の演算部は、前記コントローラ部の特定のソフトウェアの起動処理が完了した際に、前記第2の演算部に起動完了を通知し、前記第2の演算部は、前記起動完了の通知を受けると、前記操作部のソフトウェアの起動後にスタートしたタイマーのタイムアウト時間をより短い時間に更新して、前記タイマーをリスタートし、更新した前記タイムアウト時間内に前記通信経路でのデータ通信を確立できない場合は不具合を検出し、前記第1の制御部に不具合通知を行い、前記第1の制御部は、前記不具合通知を受けると、異常検知処理を行う。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、操作部における異常判定までの時間を最短とすることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施の形態にかかるMFPの全体構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、本実施の形態にかかるMFPが有するコントローラ部および操作部の具体的な構成の一例を示す図である。
図3図3は、従来のMFPの動作の流れの一例を示すフローチャートである。
図4図4は、本実施の形態にかかるMFPにおける異常判定までの時間の最短化を実施しない場合の電源オンからデータ通信が可能になるまでの処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図5図5は、本実施の形態にかかるMFPにおける異常判定までの時間の最短化を実施しない場合の電源オンから異常検知処理を行うまでの処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図6図6は、本実施の形態にかかるMFPにおける異常判定までの時間の最短化を実施する場合の電源オンから異常検知処理を行うまでの処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、情報処理装置、画像形成装置、情報処理方法、およびプログラムの実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
図1は、本実施の形態にかかるMFPの全体構成の一例を示すブロック図である。本実施の形態にかかるMFP(Multi-Function Peripheral)は、コントローラ部1、操作部2、エンジン制御部3、読取制御部4、書込制御部5、定着部6、PSU(Power Supply Unit)8、作像制御部等を有する。本実施の形態では、MFPは、画像形成装置、または情報処理装置の一例である。
【0011】
コントローラ部1は、MFPにおける画像形成動作の指定を受け付け、画像形成動作を制御する。また、コントローラ部1は、画像形成、ユーザインタフェースおよびモード設定、コピーおよびプリンタといったアプリケーションの制御等を司る。
【0012】
具体的には、コントローラ部1は、CPU101、画像処理手段102、画像メモリ103、ROM(Read Only Memory)104、NVRAMであるRAM(Random Access Memory)105等を有する。CPU101は、各種の処理動作を行う。コントローラ部1は、CPU101に代えて、SoCを有していても良い。
【0013】
画像処理手段102は、主に、画像形成を行うASIC(Application Specific Integrated Circuit)等で構成される。画像メモリ103は、画像データの処理に使用するメモリである。ROM104は、制御用プログラムを固定的に記憶するメモリである。RAM105は、各種情報を一時的に記憶するメモリである。
【0014】
また、コントローラ部1は、MFPの動作条件全ての設定情報を記憶するNV-RAM(Non Volatile Random Access Memory)等を備えていても良い。当該NV-RAMは、外部通信機器からネットワークを介してLAN(Local Area Network)等で情報を送受信するLANインタフェース、ユーザインタフェースとなる操作部制御部、所定の(処理対象)のデータを格納するHDD(Hard Disk Drive)10と接続されている。
【0015】
また、MFPは、FAXユニットであるFCU9、エンジン制御系等との通信を行うインタフェース等を有し、それらは、PCIバスでコントローラ部1と結ばれている。このコントローラ部1は、操作部2または外部機器から、LANインタフェースを介して画像形成動作の指定を受け付け、画像形成動作を実行し、作成した画像をエンジン制御部3にPCIバスを介して伝達する。
【0016】
エンジン制御部3は、MFPが備えるプリンタエンジンの駆動制御等を行うエンジン制御系である。エンジン制御部3およびプリンタエンジンは、画像形成部を構成する。エンジン制御部3は、CPU301、電装制御部302、定着制御部303、ROM304、およびRAM305を有する。CPU301は、主に各種の処理動作を行う。電装制御部302は、各種電装品に対して制御を行うASIC等である。定着制御部303は、定着の温度監視および加熱体の制御を行う。RAM305は、その他に各種情報を一時的に記憶する。ROM304は、制御用プログラムを固定的に記憶する。
【0017】
定着制御部303には、画像領域判定部303a、および加熱体駆動部303bを有する。画像領域判定部303aは、コントローラ部1から受け取った画像情報から画像の領域を判断する。加熱体駆動部303bは、当該画像領域判定部303aにて判定された画像領域に対して定着部6の複数の加熱体のそれぞれを駆動するか否かを判断して加熱体を加熱する。定着制御部303は、加熱体の温度状態を監視するためのセンサとして加熱体温度監視機能も備えている。
【0018】
読取制御部4では、ユーザが設置した用紙の画像を、スキャナのI/O制御または画像転送を行うSBU(Scanner Board Unit)が、モータ等の電装品を制御することで、CCD等により画像を読み取り、読み取った画像を、エンジン制御部3を介して、コントローラ部1の画像処理手段102にPCIバスを介して伝達する。書込制御部5では、コントローラ部1または読取制御部4からPCIバスを介して送られてきた画像データを、画像形成を行うLDユニットまたはLEDユニットに送信することで、用紙にパターンを書込み、プリントまたはコピーといった動作を行う。
【0019】
また、読取制御部4により読み取った画像がコントローラ部1に送られた後、コントローラ部1が、LANインタフェースを介してパーソナルコンピュータ等に転送することで、スキャナ動作を行う。
【0020】
定着部6は、複数の加熱体を持った定着ユニットであり、例えば、サーマルヘッド等の発熱素子を主走査方向に複数備えた構成となっている。
【0021】
操作部2は、ユーザからの操作を受け付ける。具体的には、操作部2は、CPU201、ROM203、RAM211、タッチパネル209、LCD210等を有する。
【0022】
図2は、本実施の形態にかかるMFPが有するコントローラ部および操作部の具体的な構成の一例を示す図である。
【0023】
図2に示すように、本実施の形態にかかるMFPでは、コントローラ部1に、外部装置である操作部2が接続されて構成されている。コントローラ部1と操作部2との間の接続は、シリアル通信用の信号線で有線接続であっても、無線LAN(Local Area Network)等の無線接続であっても良い。
【0024】
また、接続の際のインタフェースは、制限するものではなく、例えば、シリアル通信用の信号線以外に、有線または無線LAN、Bluetooth(登録商標)、IrDA(Infrared Data Association)、WiFi(登録商標:Wireless Fidelity)等を用いてもよい。また、通信方式としては、どのような通信方式を用いても良く、例えばI2C(Inter-Integrated Circuit)通信を用いることが考えられる。
【0025】
コントローラ部1は、MFPの全体の処理動作を統括的に制御するものである。具体的には、コントローラ部1は、外部PCまたは操作部2からの印刷要求を受け付け、それに応じてマシン全体の制御を行う。コントローラ部1は、画像形成装置が適用される場合、そのエンジン部(Engine)が接続されている。
【0026】
コントローラ部1は、SoC(System on a Chip)106、HDD(Hard Disk Drive)107、ROM104、RAM105、マイコン108、PMIC(Power Management Integrated Circuit)111、およびLED(Light Emitting Diode)112を備える。
【0027】
SoC106は、CPU101(第1の演算部の一例)および各種のバス機能を含む演算器であり、コントローラ部1の各デバイスと接続されコントローラ部1の全体的な制御を行う。SoC106は、HDD107に記憶されたデータ(例えば、印刷データのバックアップ)、RAM105に記憶されたユーザ設定等に基づいてROM104に格納されたBIOSおよびプログラム(例えば、SCS)を実行する。SoC106のCPU101は、MFPの起動時、特定のソフトウェア処理(例えば、BIOSの起動処理)が完了した際にマイコン108に対して起動完了(例えば、BIOS起動完了)を通知する第1の通知手段の一例として機能する。HDD107、ROM104、およびRAM105は、記憶装置であり不揮発メモリ等を適用できる。このSoC106は、情報処理装置に適用される画像形成装置のエンジン部(Engine)と通信する。
【0028】
マイコン108(第1の制御部の一例)は、コントローラ部1の電源および復旧を制御する。マイコン108は、SoC106と接続され、相互間の通信が可能である。マイコン108は、SoC106からのソフトウェアの起動完了(例えば、BIOS起動完了)の通知を受け、操作部2のSoC202(第2の演算部の一例であるCPU201)に対してソフトウェアの起動完了の通知を行う第2の通知手段の一例として機能する。本実施の形態では、ソフトウェアの起動完了(例えばBIOS起動完了)の通知信号がマイコン108を介して操作部2に通知されているが、SoC106から直接通知される形態でもよい。また、マイコン108は、操作部2より、コントローラ部1と操作部2間のデータ通信の異常(例えば、コントローラ部1の不具合)が検出された場合は、操作部2から、異常(不具合)通知を受信する。マイコン108は、当該異常通知を受けて、装置全体のリブート、またはサービスマンコール(SC)等の異常検知処理を行う。
【0029】
PMIC111は、コントローラ部1の電源を制御する。PMIC111は、SoC106に接続された第1のPMIC111aと、マイコン108に接続された第2のPMIC111bと、を含む。
【0030】
LED112は、コントローラ部1において通知を行う通知部として機能する。
【0031】
操作部2は、例えば、ユーザ操作に応じた入力を受け付けるためのものであって、コントローラ部1を操作するためのデバイスとして構成される。すなわち、操作部2は、ユーザからの操作を受け付けたり、マシンの状態を表示したりする。また、操作部2は、コントローラ部1とは通信経路の一例であるUSBケーブル208で接続されている。具体的には、USBケーブル208は、SoC106(CPU101)とSoC202(CPU201)間でデータ通信する通信経路である。さらに、操作部2は、USBケーブル208とは独立した信号線(通信経路)でコントローラ部1と接続されている。
【0032】
操作部2は、SoC202、ROM203、マイコン204、PMIC(Power Management Integrated Circuit)205、LED(Light Emitting Diode)206、操作パネル207を備える。
【0033】
SoC202は、CPU201(第2の演算部の一例)および各種のバス機能を含む演算器であり、操作部2の各デバイスと接続され操作部2の全体的な制御を行う。SoC202は、ROM203に格納されたプログラム(例えば、LUI)を実行する。ROM203は、不揮発メモリ等を適用できる。このSoC202は、コントローラ部1のSoC106およびマイコン108と接続され、マイコン108およびSoC106との相互間の通信が可能である。本実施の形態では、SoC202は、コントローラ部1のSoC106との接続においてUSBケーブル208によるUSB接続が含まれる。
【0034】
SoC202は、操作部2内の制御を司るCPU201を含む。SoC202(CPU201)は、LUI起動後には、コントローラ部1との接続を試み、一定期間接続ができない場合、異常(不具合)発生と判定する。すなわち、CPU201は、LUI起動後、不具合検出タイマー(タイマーの一例)をスタートさせ、不具合検出タイマーのタイムアウト時間内にUSBケーブル208での通信が確立しないタイムアウトが発生した場合、USBケーブル208でのデータ通信の不具合(例えば、コントローラ部1の不具合)を検出する検出手段の一例として機能する。そして、CPU201は、異常発生時はその結果(不具合通知)を、USBケーブル208とは異なる通信経路を介して、コントローラ部1のマイコン108へ通知する第3の通知手段の一例として機能する。
【0035】
その際、CPU201は、USBケーブル208での異常判定に際して、タイムアウト時間を動的に切り替える制御を行う。具体的には、CPU201は、マイコン108からBIOS起動完了の通知を受けると、タイムアウト時間を更新して、不具合検出タイマーをリスタートさせるリスタート手段の一例として機能する。これにより、操作部2にてコントローラ部1とのデータ通信の可否を判定し、LUI起動後一定時間以内にコントローラ部1との接続完了が確認できない場合には異常と判定するシステムにおいて、USBケーブル208での異常判定に際して、タイムアウト時間を動的に切り替えることができるので、コントローラ部1の起動時間、特に、BIOS起動までの時間にばらつきがあった場合においても、操作部2における異常判定までの時間を最短とすることができる。
【0036】
本実施の形態では、CPU201は、LUIの起動時に特定のタイムアウト時間を初期値として設定しておく。そして、CPU201は、BIOS起動完了の通知を受けると、初期値より短い時間にタイムアウトの時間を設定し直して、不具合検出タイマーをリスタートする。
【0037】
ROM203は、操作部2が動作するためのプログラムが格納されている。このROM203は、コントローラ部1のSoC106と接続され、SoC106の制御によりソフトウェアの初期化(プログラムの書き込み)が可能である。
【0038】
マイコン204は、操作部2の電源および復旧を制御する。マイコン204は、SoC202と接続され、相互間の通信が可能である。このマイコン204は、コントローラ部1のSoC106およびマイコン108と接続され、マイコン108およびSoC106との相互間の通信が可能である。
【0039】
PMIC205は、操作部2の電源を制御する。PMIC205は、SoC202およびマイコン204に接続されている。本実施の形態のPMIC205は、DC/DCコンバータである。このPMIC205は、コントローラ部1のマイコン108と接続され、マイコン108との相互間の通信が可能である。本実施の形態では、PMIC205は、マイコン108によりその動作状態を確認することが可能であり、また、マイコン108からリブート要求信号を受けることが可能である。
【0040】
LED206は、操作部2において通知を行う通知部として機能する。このLED206は、コントローラ部1のマイコン108と接続され、マイコン108から通知信号を受けることが可能である。
【0041】
操作パネル207は、操作を受け付ける入力部(タッチパネル209)と、情報を表示する表示部(LCD210)と、を有する。入力部は、タッチスクリーンおよびハードウェアキー等で構成される。タッチスクリーンは、例えば、タッチパネル機能を搭載した液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)または有機EL(Electro Luminescence)表示装置とすることが考えられる。すなわち、タッチスクリーンは、入力部および表示部として機能する。入力部がハードウェアキーで構成される場合、ハードウェアキーとは別に表示部が設けられる。入力部としては、キーボード、マウス、音声入力に対応したマイク、ジェスチャー入力に対応したカメラを備えてもよい。さらに、操作パネル207は、ユーザに対して機器の状態などを通知するためにスピーカを設けてもよい。すなわち、操作パネル207は、操作部2において通知を行う通知部として機能する。また、上述したLED206は、操作パネル207の機能として含まれていてもよい。この操作パネル207は、コントローラ部1のマイコン108と接続され、マイコン108から通知信号を受けることが可能である。
【0042】
図3は、従来のMFPの動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【0043】
操作部2のSoC202は、不具合検出タイマーをスタートし(ステップS1)、コントローラ部1とのUSBケーブル208での接続においてデータ通信が可能であるかを確認し(ステップS2)、ステップS2のデータ通信確認においてデータ通信が正常であるかを判断する(ステップS3)。そして、ステップS3においてデータ通信が正常であれば(ステップS3:Yes)、SoC202は、不具合検出タイマーをリセットしてステップS1,S2,S3を繰り返す。一方、ステップS3においてデータ通信が正常でなく(ステップS3:No)、ステップS1でスタートした不具合検出タイマーがタイムアウト時間(例えば、100ms)未満であれば(ステップS4:No)、SoC202は、不具合検出タイマーを継続しつつ、ステップS2,S3に戻ってデータ通信確認を行う。また、データ通信が正常でなく(ステップS3:No)、ステップS1でスタートした不具合検出タイマーがタイムアウト時間(例えば、100ms)以上であれば(ステップS4:Yes)、SoC202は、操作部2に不具合(異常)が発生したことを判断し、異常を示す異常情報を取得する(ステップS5)。なお、不具合は、例えば、ハード異常、ソフト異常、ケーブル断線等が考えられるが、現時点では特定されない。また、ステップS4におけるタイムアウト時間は任意に設定することが可能である。
【0044】
次に、SoC202は、操作部2が接続される機器(本実施の形態では、画像形成装置)が動作中であるか判断する(ステップS6)。そして、機器が動作中であり(ステップS6:Yes)、この動作が操作部2の関連動作である場合(ステップS7:Yes)、SoC202は、機器の動作を停止し実施内容をHDD107に保存する(ステップS8)。また、機器が動作中であり(ステップS6:Yes)、この動作が操作部2の関連動作でない場合(ステップS7:No)は、SoC202は、機器の動作を継続し実施内容を完了させる(ステップS9)。ここで、機器の動作が操作部2の関連動作でない場合とは、例えば、画像形成装置におけるネットワークプリント動作であって、このような場合は、操作部2を使用しないでプリント動作を実施することができる。これに対し、機器の動作が操作部2の関連動作である場合とは、例えば、操作部2に接続しているSD(Secure Digital)メモリカードまたはUSBメモリのデータをプリントしている場合であって、このような場合は操作部2が正常に動作しないとプリントを継続することができない。なお、ステップS6において、機器が動作中でない場合(ステップS6:No)、ステップS10に進む。
【0045】
次に、SoC202は、マイコン108に操作部2の異常を通知する(ステップS10)。マイコン108は、操作部2の異常を認識し、異常原因の診断(ヘルスチェック)を開始する(ステップS11)。マイコン108は、異常原因の診断において、操作部2のPMIC205のPower Good信号を要求して受信し、このPower Good信号がHigh(出力電圧設定値の所定範囲以上)であるかを判断する。このステップS12において、Power Good信号がHighでない場合(ステップS12:No)、コントローラ部1のマイコン108が異常と判断する。また、ステップS12において、Power Good信号がHighである場合(ステップS12:Yes)、マイコン108は、GPIO(General Purpose Input Output)にて操作部2のマイコン204へ状態制御信号として状態確認信号Low→Highを出力し(ステップS13)、状態確認タイマーをスタートし(ステップS14)、操作部2のマイコン204から状態制御信号として状態応答信号Low→Highであるかを確認する(ステップS15)。このステップS15において、状態応答信号Low→Highでなく(ステップS15:No)、ステップS14でスタートした状態確認タイマーが100ms以上であれば(ステップS16:Yes)、操作部2のマイコン204の異常と判断する。また、ステップS15において、状態応答信号Low→Highでなく(ステップS15:No)、ステップS14でスタートした状態確認タイマーが100ms未満であれば(ステップS16:No)状態確認タイマーを継続しつつ、ステップS15に戻る。また、ステップS15において、状態応答信号Low→Highである場合(ステップS15:Yes)、操作部2のSoC202へ状態確認信号を出力する。
【0046】
上述したように、本実施の形態にかかるMFPは、コントローラ部1に対して、USBケーブル208等を介して、外部装置である操作部2が接続されている。本実施の形態では、コントローラ部1と操作部2は、USBケーブル208を介して接続されているが、何らかの理由によりデータ通信が遮断されたり、一方から出力するコマンドに対して応答がなくなったりするデータ通信の異常が発生する。このデータ通信の異常が発生した状態では、MFP自体が正常に動作しなくなるために、リブート処理をしたり、ユーザやサービスマンに異常を通知したりする等の異常検知対応を行う。データ通信の異常状態は、MFPの起動時等の処理負荷がかかるタイミングで発生するケースが多いが、ユーザの利便性のために、再起動処理は、より早く実現することが好ましい。そこで、本実施の形態では、MFPの起動時の通信異常の検出を早めることに焦点を当てている。
【0047】
図4は本実施の形態にかかるMFPにおける異常判定までの時間の最短化を実施しない場合の電源オンからデータ通信が可能になるまでの処理の流れの一例を示すシーケンス図、図5は本実施の形態にかかるMFPにおける異常判定までの時間の最短化を実施しない場合の電源オンから異常検知処理を行うまでの処理の流れの一例を示すシーケンス図である。本実施の形態にかかるMFPでは、電源オン後に、コントローラ部1のマイコン108が、SoC106に起動トリガを出力し(ステップS401)、さらに、操作部2のマイコン204の電源をオンする(ステップS402)。
【0048】
コントローラ部1のSoC106は、マイコン108から起動トリガが入力されると、BIOSを起動させる(ステップS403)。その間、マイコン108は、BIOSの起動を待つ。SoC106は、BIOSが起動すると、マイコン108に対して、BIOSの起動を通知し(ステップS404)、かつコントローラ部1内のアプリケーション(例えば、SCS)を起動させる(ステップS405)。コントローラ部1内のアプリケーションが起動すると、SoC106は、USBソケットを開通させる(ステップS406)。すなわち、SoC106は、USBケーブル208を介した操作部2とのデータ通信を行う(ステップS406)。
【0049】
また、操作部2のマイコン204は、電源がオンされた後、SoC202に対して起動トリガを出力する(ステップS407)。SoC202は、マイコン204から起動トリガが入力されると、操作部2内のアプリケーション(例えば、LUI)を起動させ(ステップS408)、かつコントローラ部1とのUSBソケット開通を待つ。すなわち、SoC202は、USBケーブル208を介して、コントローラ部1と通信可能となるのを待つ。
【0050】
USBケーブル208を介したデータ通信を行う際、SoC202は、不具合検出タイマーをスタートさせ、コントローラ部1とのUSBケーブル208での接続にてデータ通信が正常であるかを判断する。そして、図5に示すように、SoC202は、データ通信が正常ではなく、不具合検出タイマーが固定値以上になった場合に、コントローラ部1の不具合と判断する。以下の説明では、不具合の判断の基準となる不具合検出タイマーがカウントする時間をタイムアウト時間と定義する。ここで、不具合検出タイマーをスタートさせるタイミングは、操作部2内のアプリケーションの起動完了時である。
【0051】
ところで、コントローラ部1の起動に関して、BIOSの起動完了にかかる時間にばらつきがある。これは、初回起動時または何らかの異常発生後のリカバリのために、CMOSクリアを行い、SoC106内部のBIOSがクリア状態からの起動時にはBIOSの全てを再度読み込む必要があるためである。
【0052】
このとき、図4に示すように、BIOSの起動時間が最も長くなるCMOSクリア後の起動(例えば、25秒)を想定して、タイムアウト時間を、例えば、45秒に固定値を長く設定する必要がある。これにより、図3に示すように、固定値の時間(タイムアウト時間)内にてコントローラ部1に不具合が発生しているにも関わらず、ステップS4で固定値の時間内のため、コントローラ部1に不具合が発生していないと判定されてしまい、ステップS2,S3に戻って、データ通信確認を行うことで、不具合の発生と判断するまでに無駄に時間を要する場合がある。すなわち、操作部2のSoC202は、図5に示すように、固定値のタイムアウト時間(例えば、45秒)が経過してから、コントローラ部1の不具合を検出して、コントローラ部1のマイコン109に対して不具合の通知を行う(ステップS409)。
【0053】
図6は、本実施の形態にかかるMFPにおける異常判定までの時間の最短化を実施する場合の電源オンから異常検知処理を行うまでの処理の流れの一例を示すシーケンス図である。上述したように、図5の本実施の形態にかかるMFPでは、BIOSが通常起動(例えば、2秒)した後に、コントローラ部1内のアプリケーションが起動停止になるという不具合が発生しているにも関わらず、操作部2のSoC202は、USBソケット開通待ち状態で固定値のタイムアウト時間(例えば、45秒)が経過するまで、コントローラ部1の不具合発生と判断することができない。
【0054】
これに対して、本実施の形態にかかるMFPでは、図6に示すように、コントローラ部1のマイコン108は、SoC106からのBIOS起動完了の通知を受けて、操作部2のSoC202(操作部2内のアプリケーション)にBIOS起動完了を通知する(ステップS601)。操作部2のSoC202(操作部2内のアプリケーション)は、起動時には、異常判定までの時間の最短化を実施しない場合と同様に、特定のタイムアウト時間(初期値。例えば、45秒)で不具合検出タイマーをスタートするが、コントローラ部1からBIOS起動完了の通知を受けた場合、タイムアウト時間を、初期値(例えば、45秒)より短い時間(例えば、20秒)に更新し、不具合検出タイマーをリスタートする(ステップS602)。ここで、20秒は、BIOS起動からUSBソケットが開通するまでの最大時間であることが好ましい。これにより、SoC202は、20秒以内にUSBソケットが開通しない場合はその時点で異常(コントローラ部1の不具合)と判定できる。
【0055】
本実施の形態にかかるMFPで異常判定までの時間の最短化を実施しない場合は、コントローラ部1の不具合の判定を行うまで、電源オンから操作部2内のアプリケーションの起動時間(例えば、1秒)と、タイムアウト時間(例えば、45秒)の、合計46秒を待つ必要がある。これに対して、本実施の形態にかかるMFPで異常判定までの時間の最短化を実施する場合は、電源オンからBIOSの通常起動時間(例えば、2秒)と、タイムアウト時間(例えば、20秒)の合計22秒を待つことになるため、24秒分、操作部2の不具合判定にかかる時間を短縮することができる。
【0056】
このように、本実施の形態にかかるMFPによれば、操作部2における異常判定までの時間を最短とすることができる。
【0057】
なお、本実施の形態のMFPで実行されるプログラムは、ROM104,203等に予め組み込まれて提供される。本実施の形態のMFPで実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0058】
さらに、本実施の形態のMFPで実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施の形態のMFPで実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0059】
本実施の形態のMFPで実行されるプログラムは、上述した各部(第1の通信手段、第2の通信手段、検出手段、第3の通信手段、リスタート手段等)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしては、SoC106,202が有するCPU101,201等のプロセッサが上記ROM104,203からプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、第1の通信手段、第2の通信手段、検出手段、第3の通信手段、リスタート手段等が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0060】
なお、上記実施の形態では、本発明の画像形成装置を、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機に適用した例を挙げて説明するが、複写機、プリンタ、スキャナ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置であればいずれにも適用することができる。
【符号の説明】
【0061】
1 コントローラ部
2 操作部
101 CPU
104 ROM
105 RAM
106 SoC
108 マイコン
107 HDD
201 CPU
202 SoC
203 ROM
204 マイコン
【先行技術文献】
【特許文献】
【0062】
【特許文献1】特開2019-161589号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6