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特開2023-177513情報処理装置、プログラム、及び、ネットワークの通信経路制御方法
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  • 特開-情報処理装置、プログラム、及び、ネットワークの通信経路制御方法 図1
  • 特開-情報処理装置、プログラム、及び、ネットワークの通信経路制御方法 図2
  • 特開-情報処理装置、プログラム、及び、ネットワークの通信経路制御方法 図3
  • 特開-情報処理装置、プログラム、及び、ネットワークの通信経路制御方法 図4
  • 特開-情報処理装置、プログラム、及び、ネットワークの通信経路制御方法 図5
  • 特開-情報処理装置、プログラム、及び、ネットワークの通信経路制御方法 図6
  • 特開-情報処理装置、プログラム、及び、ネットワークの通信経路制御方法 図7
  • 特開-情報処理装置、プログラム、及び、ネットワークの通信経路制御方法 図8
  • 特開-情報処理装置、プログラム、及び、ネットワークの通信経路制御方法 図9
  • 特開-情報処理装置、プログラム、及び、ネットワークの通信経路制御方法 図10
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177513
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】情報処理装置、プログラム、及び、ネットワークの通信経路制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 45/42 20220101AFI20231207BHJP
   H04L 45/302 20220101ALI20231207BHJP
【FI】
H04L45/42
H04L45/302
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090233
(22)【出願日】2022-06-02
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 研究集会名:IOWN Global ForumFS/TMCI/CPI/ARA joint meeting 開催日:令和3年6月30日 公開形式:下記URLにて電気通信回線を通じて公開された。 https://iowngf.atlassian.net/wiki/spaces/TWG/pages/1394999510/June+30th+FS+TMCI+CPI+ARA+joint+meeting
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114292
【弁理士】
【氏名又は名称】来間 清志
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(72)【発明者】
【氏名】寺崎 僚晃
(72)【発明者】
【氏名】後藤 健一
(72)【発明者】
【氏名】謝 炎
(72)【発明者】
【氏名】宮本 凌竹
【テーマコード(参考)】
5K030
【Fターム(参考)】
5K030LB07
5K030MB06
5K030MB09
(57)【要約】
【課題】ネットワーク2のユーザ個別の要求或いは目的に対応してネットワーク2の経路を制御する情報処理装置1を提供すること。
【解決手段】情報処理装置1は、複数のノード3を備えているネットワーク2について、ノード3間の伝搬遅延情報を取得する第1取得手段101と、個々のノード3での処理に起因する遅延情報を取得する第2取得手段103と、ネットワーク2における通信に対するネットワーク2の利用者の要求或いは目的を取得する第3取得手段と、第3取得手段により取得されたネットワーク2の利用者の要求或いは目的と、第2取得手段103により取得された個々のノード3での処理に起因する遅延情報と、第1取得手段101により取得されたノード3の間の伝搬遅延情報とに基づいて第3経路情報を生成する第3経路生成手段106を備え、送信手段107は、第3経路情報を各ノード3に送信する
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のノードを備えているネットワークについて、前記ノード間の伝搬遅延情報を取得する第1取得手段と、
前記第1取得手段により取得された前記ノード間の伝搬遅延情報に基づいて第1経路情報を生成する第1経路生成手段と、
前記第1経路情報を各前記ノードに送信する送信手段と、
個々の前記ノードでの処理に起因する遅延情報を取得する第2取得手段と、
前記第2取得手段により取得された個々の前記ノードでの処理に起因する遅延情報と、前記第1取得手段により取得された前記ノード間の伝搬遅延情報とに基づいて第2経路情報を生成する第2経路生成手段とを備え、
前記送信手段は、前記第2経路情報と前記第1経路情報とが異なる場合、前記第2経路情報を各前記ノードに送信する情報処理装置。
【請求項2】
前記ネットワークにおける通信に対するネットワーク利用者の要求或いは目的を取得する第3取得手段と、
前記第3取得手段により取得された前記ネットワーク利用者の要求或いは目的と、前記第2取得手段により取得された個々の前記ノードでの処理に起因する遅延情報と、前記第1取得手段により取得された前記ノード間の伝搬遅延情報とに基づいて第3経路情報を生成する第3経路生成手段を備え、
前記送信手段は、前記第3経路情報が前記第1経路情報及び前記第2経路情報と異なる場合、前記第3経路情報を各前記ノードに送信する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記個々の前記ノードでの処理に起因する遅延情報が、各前記ノードにおけるパケット再送信の割合、メモリの使用量、転送遅延情報、伝送遅延情報、再送遅延情報の少なくとも何れか一つを含む、
請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記ノード間の伝搬遅延情報が、前記ネットワークの経路を構成する光ファイバ上の伝播遅延、前記光ファイバの接続形式、パケットの集中度合い、経由する前記ノードの数、パケットロスに伴う再送遅延の少なくとも何れかを含む、
請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第3経路生成手段は、前記第3取得手段が取得した前記ネットワークにおける前記ネットワーク利用者の要求あるいは目的が前記ネットワーク利用者の利用態様を含み、前記利用態様から通信頻度、パケットサイズ及び通信プロトコルの少なくとも1つを特定し、前記ネットワーク利用者の要求或いは目的に対応する前記ノードを含む前記第3経路情報を生成する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第3経路生成手段は、前記第3取得手段が取得した前記ネットワークにおける前記ネットワーク利用者の前記利用態様が所定以上の頻度で所定長さ以下のパケットが送信されているか、又は所定の前記通信プロトコルで送信されていることを示している場合、信号の送受信の頻度が高い通信を行っていると推定し、信号の送受信の頻度が高い通信に対応する前記ノードを含む前記第3経路情報を生成する、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
複数のノードを備えているネットワークについて、前記ノード間の伝搬遅延情報を取得する第1取得機能と、
前記第1取得機能により取得された前記ノード間の伝搬遅延情報に基づいて第1経路情報を生成する第1経路生成機能と、
前記第1経路情報を各前記ノードに送信する送信機能と、
個々の前記ノードでの処理に起因する遅延情報を取得する第2取得機能と、
前記第2取得機能により取得された個々の前記ノードでの処理に起因する遅延情報と、前記第1取得機能により取得された前記ノード間の伝搬遅延情報とに基づいて第2経路情報を生成する第2経路生成機能とを、コンピュータに実行させ、
前記送信機能は、前記第2経路情報と前記第1経路情報とが異なる場合、前記第2経路情報を各前記ノードに送信するプログラム。
【請求項8】
複数のノードを備えているネットワークについて、前記ノード間の伝搬遅延情報を取得する第1取得ステップと、
前記第1取得ステップにより取得された前記ノード間の伝搬遅延情報に基づいて第1経路情報を生成する第1経路生成ステップと、
前記第1経路情報を各前記ノードに送信する送信ステップと、
個々の前記ノードでの処理に起因する遅延情報を取得する第2取得ステップと、
前記第2取得ステップにより取得された個々の前記ノードでの処理に起因する遅延情報と、前記第1取得ステップにより取得された前記ノード間の伝搬遅延情報とに基づいて第2経路情報を生成する第2経路生成ステップとを備え、
前記送信ステップは、前記第2経路情報と前記第1経路情報とが異なる場合、前記第2経路情報を各前記ノードに送信するネットワークの通信経路制御方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、プログラム、及び、ネットワークの通信経路制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インターネットにおいては、パケットを目的のアドレスに送信させる場合、複数のルータを経由する。経路は、各ルータが有する経路表により振り分けられ、パケットは転送される。この経路表の作成は、静的な経路制御と動的な経路制御により行われてきた。静的な経路制御においては、人手により予め特定の経路について経路表が作成され、ルータに保持される。動的経路制御においては、一般的に、一定のアルゴリズムに基づいてルータにより経路表は管理される。この経路制御を、各ルータによる管理ではなく、センタサーバで行う技術が提案されている。この種の技術が記載されるものとして特許文献1がある。特許文献1においては、ネットワーク内の複数のサーバそれぞれでの実行実績を記憶し、センタサーバで転送遅延時間の測定結果が収集される。起点のサーバからみて、接続する通信経路と接続可能であるが接続しない経路がデータ転送の遅延時間に応じて判定され、接続する通信経路の策定とデータの転送とが行われる。経路は、宛先まで通過するルータの数で代表される距離、各ルータに接続されている回線の状態等に基づいて策定される。ここでは各ルータに接続されているリンクの状態が収集されており、ノードに起因する遅延、例えばノードを構成する回路に起因する遅延などは考慮されていない。更には、遅延の総量が着目されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-207285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ノードでの処理に起因する遅延、或いは、ノードを構成する回路に起因する遅延、所謂ノードの内部遅延が考慮されていないため、一つの通信経路における遅延量が精密に見積もられておらず、実際の遅延との間に誤差が生じていた。また、遅延の総量が着目されるがため、ユーザ個別の課題に対応することができない。例えば、ドローンによるインフラや工場の故障検知では、遅延なくドローンを現場まで移動させることが必要である。ドローンによる故障検知においては、ドローンは遠隔制御されており、遠隔監視が行われている。ネットワークを利用した通信は、ドローンのみならず様々な機器により利用されている。利用する機器によって通信に関する要求や用途が異なり、また、これらの機器を扱うユーザにも様々な要求や目的がある。このような状況において、遅延の総量に基づいて経路を選択する従来型の仕組みでは、それぞれのニーズに対応した最適な通信経路を選択することが困難であった。
【0005】
本発明は、ノードでの処理に起因する遅延、或いは、ノードを構成する回路に起因する遅延、所謂ノードの内部遅延を考慮したより緻密な遅延情報を加味し、ネットワークを利用するユーザ個別の要求或いは目的及びネットワーク上に接続されている様々な機器の要求及び用途に対応した最適な通信経路を選択することができる情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)情報処理装置は、複数のノードを備えているネットワークについて、ノード間の伝搬遅延情報を取得する第1取得手段と、第1取得手段により取得されたノード間の伝搬遅延情報に基づいて第1経路情報を生成する第1経路生成手段と、第1経路情報を各ノードに送信する送信手段と、個々のノードでの処理に起因する遅延情報を取得する第2取得手段と、第2取得手段により取得された個々のノードでの処理に起因する遅延情報と、第1取得手段により取得されたノード間の伝搬遅延情報とに基づいて第2経路情報を生成する第2経路生成手段とを備え、送信手段は、第2経路情報と第1経路情報とが異なる場合、第2経路情報を各ノードに送信する。
【0007】
(2)(1)の情報処理装置は、ネットワークにおける通信に対するネットワーク利用者の要求或いは目的を取得する第3取得手段と、第3取得手段により取得されたネットワーク利用者の要求或いは目的と、第2取得手段により取得された個々のノードでの処理に起因する遅延情報と、第1取得手段により取得されたノード間の伝搬遅延情報とに基づいて第3経路情報を生成する第3経路生成手段を備え、送信手段は、第3経路情報が第1経路情報及び第2経路情報と異なる場合、第3経路情報を各ノードに送信する。
【0008】
(3)(1)又は(2)の情報処理装置において、個々のノードでの処理に起因する遅延情報が、各ノードにおけるパケット再送信の割合、メモリの使用量、転送遅延情報、伝送遅延情報、再送遅延情報の少なくとも何れか一つを含む。
【0009】
(4)(1)又は(2)の情報処理装置において、ノード間の伝搬遅延情報が、ネットワークの経路を構成する光ファイバ上の伝播遅延、光ファイバの接続形式、パケットの集中度合い、経由するノードの数、パケットロスに伴う再送遅延の少なくとも何れかを含む。
【0010】
(5)(2)の情報処理装置において、第3経路生成手段が、第3取得手段が取得したネットワークにおけるネットワーク利用者の要求あるいは目的がネットワーク利用者の利用態様を含み、利用態様から通信頻度、パケットサイズ及び通信プロトコルの少なくとも1つを特定し、ネットワーク利用者の要求或いは目的に対応するノードを含む前記第3経路情報を生成する。
【0011】
(6)(5)の情報処理装置において、第3取得手段が取得したネットワークにおけるネットワーク利用者の利用態様が、所定以上の頻度で所定長さ以下のパケットが送信されているか、又は所定の通信プロトコルで送信されていることを示している場合、信号の送受信の頻度が高い通信を行っていると推定し、信号の送受信の頻度が高い通信に対応するノードを含む第3経路情報を生成する
【0012】
(7)プログラムは、複数のノードを備えているネットワークについて、ノード間の伝搬遅延情報を取得する第1取得機能と、第1取得手段により取得されたノード間の伝搬遅延情報に基づいて第1経路情報を生成する第1経路生成機能と、第1経路情報を各ノードに送信する送信機能と、個々のノードでの処理に起因する遅延情報を取得する第2取得機能と、第2取得手段により取得された個々のノードでの処理に起因する遅延情報と、第1取得手段により取得されたノード間の伝搬遅延情報とに基づいて第2経路情報を生成する第2経路生成機能と、第2経路情報と第1経路情報とが異なる場合、第2経路情報を各ノードに送信する送信機能とを、コンピュータに実行させる。
【0013】
(8)ネットワークの通信経路制御方法は、複数のノードを備えているネットワークについて、ノード間の伝搬遅延情報を取得する第1取得ステップと、第1取得手段により取得されたノード間の伝搬遅延情報に基づいて第1経路情報を生成する第1経路生成ステップと、第1経路情報を各ノードに送信する送信ステップと、個々のノードでの処理に起因する遅延情報を取得する第2取得ステップと、第2取得ステップにより取得された個々のノードでの処理に起因する遅延情報と、第1取得手段により取得されたノード間の伝搬遅延情報とに基づいて第2経路情報を生成する第2経路生成ステップと、第2経路情報と第1経路情報とが異なる場合、第2経路情報を各ノードに送信する送信ステップとを有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ネットワークのユーザ個別の要求或いは目的に対応してネットワークの経路を制御する情報処理装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態に係るネットワークの通信経路制御システムの全体概要を示す模式図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る情報処理装置の機能的構成を示すブロック図である。
図4】本発明の第1実施形態に係るネットワークにおいて、ノードが隣接するノード及びスレーブから情報を取得する例を示す模式図である。
図5】本発明の第1実施形態に係る情報処理装置がノードからノード情報を取得する形態を示す模式図である。
図6】本発明の第1実施形態に係る情報処理装置の第1経路生成手段が策定した経路の例を示す模式図である。
図7】本発明の第1実施形態に係る情報処理装置の第2経路生成手段が策定した経路の例を示す模式図である。
図8】本発明の第1実施形態に係る情報処理装置の第3経路生成手段が策定した経路の例を示す模式図である。
図9】本発明の第1実施形態に係る通信経路制御の処理のシーケンス図である。
図10】本発明の第2実施形態に係るネットワークの通信経路制御の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態に係る情報処理装置1について図面を参照しながら説明する。なお、各図において、同一構成要素には同一符号を付す。また、構成要素が同様の機能を有し特に区別する必要のない場合には符号として区別されない。構成要素が同様の機能を有するものの特に区別する必要のある場合には、符号に追加の小文字アルファベットを付与して構成要素は互いに区別される。
【0017】
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係るネットワーク2の通信経路制御システム100の全体概要を示す模式図である。ネットワーク2は、末端のスレーブ4と、ネットワーク2の節となるノード3と、スレーブ4とノード3との間、及び、ノード3と他のノード3との間を結ぶリンク5とからなる。例えば、スレーブ4aは、リンク5aを通してノード3aと接続されている。ノード3aは更に、リンク5bを通してスレーブ4bに接続され、リンク5dを通してノード3eと接続され、リンク5eを通してノード3bと接続される。
【0018】
ノード3は中継器であり、後述する情報処理装置1と同様の構成を有してもよい。ノード3として、光スイッチ等の光集積回路が使用されてもよい。光スイッチ等の光集積回路は、電気処理を極力用いない低遅延の集線を可能とする。光スイッチ等の光集積回路は、ノード3として、波長の割り当て制御や集線を行う。ノード3は、受信したパケットを次に送り出す隣接するノード3を記憶する経路表を有する。
【0019】
スレーブ4は、例えば、後述する情報処理装置1と同様の構成を有する端末装置である。また、スレーブ4は、例えば図1には図示されないドローン22と電波を送受信する電波送受信装置であり、後述する情報処理装置1と同様の構成を有する情報処理機器を内蔵し、ネットワーク2からの信号に基づいて作動する機器を含む。
【0020】
リンク5は例えば同軸ケーブル、光ファイバーケーブルである。一本のリンク5であっても、距離が長く使用されるケーブルが長い場合には、途中に中継器が設けられることがある。この中継器が伝送速度に影響する場合がある。
【0021】
情報処理装置1はリンク5jを通してノード3bに接続される。情報処理装置1は、各ノードの有する経路表を管理し、ネットワーク2におけるパケットの送信経路を一元管理する。経路表を管理するとは、経路表を保持(記憶)し、ネットワーク2の利用者の利用目的、利用形態、及び、要求と、ノード3間の遅延の種類、遅延の要因等に基づいて、経路表を生成することである。経路表は、情報処理装置1と各ノードとの両方により保持される。ネットワーク2の利用者の利用目的、利用形態、及び、要求と、ノード3間の遅延の種類、遅延の要因等と、に基づいて、利用者に割り当てる最適な通信経路が作成される。
【0022】
図2は、情報処理装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。図2に示すように、情報処理装置1は、制御部10と、入出力部16と、通信部17と、記憶部18と、を備える。制御部10は、プロセッサ11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インタフェース15とを有する。情報処理装置1は、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な汎用のパーソナルコンピュータであってもよいし、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。
【0023】
プロセッサ11は、各種演算及び処理を行う。プロセッサ11は、例えば、CPU(central processing unit)、MPU(micro processing unit)、SoC(system on a chip)、DSP(digital signal processor)、GPU(graphics processing unit)、ASIC(application specific integrated circuit)、PLD(programmable logic device)又はFPGA(field-programmable gate array)等である。或いは、プロセッサ11は、これらのうちの複数を組み合わせたものである。また、プロセッサ11は、これらにハードウェアアクセラレーター等を組み合わせたものであってもよい。
【0024】
プロセッサ11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。プロセッサ11は、ROM12に記録されているプログラム又はRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。プログラムの一部又は全部は、プロセッサ11の回路内に組み込まれていてもよい。
【0025】
バス14は入出力インタフェース15にも接続される。入出力インタフェース15には、入出力部16と、通信部17と、記憶部18とが接続されている。
【0026】
入出力部16は、有線又は無線により電気的に入出力インタフェース15に接続される。入出力部16は例えばキーボード及びマウス等の入力部と撮影画像を表示するディスプレイ及び音声を拡声するスピーカ等の出力部とによって構成される。なお、入出力部16はタッチパネルのように表示機能と入力機能が一体的な構成であってもよい。
【0027】
通信部17は、プロセッサ11が、ネットワーク2を介して他の装置、特に各ノード3との間で通信を行うための装置である。記憶部18は、後述するノード情報及びリンク情報等を記憶する例えばハードディスクドライブ(HDD)、半導体ドライブ(SSD)等の記憶装置である。
【0028】
図2に関して示したハードウェア構成は、あくまで一例であり、特にこの構成に限定されるわけではない。シングルプロセッサ、マルチプロセッサ及びマルチコアプロセッサ等の各種処理装置単体によって構成されるものの他、これら各種処理装置と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)及びFPGA(Field‐Programmable Gate Array)等の処理回路とが組み合わせられたものを、プロセッサとしての機能的構成を実現するものとして採用してもよい。情報処理装置1が記憶部18を有するのではなく、記憶部18が別途設けられる構成が採用されてもよい。
【0029】
また、例えば通信部17に基づいて情報処理装置1がネットワーク2を通して図1には示されない装置により遠隔制御されることも好ましい。
【0030】
図3は、本実施形態に係る情報処理装置1の機能的構成を示すブロック図である。図3に示すように、情報処理装置1は、図2に示すプロセッサ11等により実現される第1取得手段101、第1経路生成手段102、第2取得手段103、第2経路生成手段104、第3取得手段105、第3経路生成手段106、送信手段107、時刻設定手段108を機能的構成として有する。
【0031】
図1図2図4から図8を参照しつつ、図3の各機能部の機能について説明する。図4は、本発明の第1実施形態に係るネットワーク2において、他のノード3が隣接するノード3及びスレーブ4から情報を取得する例を示す模式図である。図5は、本発明の第1実施形態に係る情報処理装置1がノード3の間の遅延情報とノード3での処理に起因する遅延情報とをノード3eから取得する形態を示す模式図である。図6は、本発明の第1実施形態に係る情報処理装置1の第1経路生成手段102が策定した最適な経路の例を示す模式図である。図7は、本発明の第1実施形態に係る情報処理装置1の第2経路生成手段104が策定した最適な経路の例を示す模式図である。図8は、本発明の第1実施形態に係る情報処理装置1の第3経路生成手段106が策定した最適な経路の例を示す模式図である。
【0032】
情報処理装置1の有する時刻設定手段108は、例えば図示されない測位装置を用いてもよく、正確な時刻を取得し、ネットワーク2内の時刻を統一する。定期的に時刻が補正される。そして、時刻情報の転送時の遅延はノード3及びリンク5の伝送遅延で補正される。統一された時刻の元、ネットワーク2内の処理が実行される。
【0033】
リンク5は例えば光ファイバで構成されており、一つのリンク5に割り当てられている光ファイバの本数、光信号の中継器の性能等がその伝播遅延に影響する。遅延の単位は秒である。
【0034】
ノード3とノード3との間は、例えば、光ファイバ1本で接続されている。また、ノード3に複数の機器(スレーブ4)が接続されるが、ノード3と機器の間において、分岐により途中から複数の光ファイバによりノード3と各機器が接続される場合がある。このような構成の場合、光ファイバの接続形式は、1対多の接続であると言える。このように、光ファイバの接続形式が、1対多の接続になる場合、伝送する光信号の多重方式がTDM(時分割多重)かWDM(波長多重)かで遅延が異なる場合がある。
【0035】
ネットワーク2の通信経路制御は3段階で実行される。第1段階として、リンク5の情報に基づいて経路が生成される。第2段階として、ノード3内部の情報を加えた情報に基づいて経路が生成される。第3段階として、ユーザ情報を加えた情報に基づいて経路が生成される。これらの3段階について以下説明が行われる。
【0036】
第1段階について説明する。
【0037】
第1取得手段101は、ネットワーク2上に設けられているノード3を検出し、各ノード3、例えば図1におけるノード3aからノード3e、を記憶部18に登録する。第1取得手段101は、ネットワーク2上に設けられている各ノード3及びスレーブ4から、通信の遅延量を含む隣接するノード3及びスレーブ4との間の情報である伝搬遅延情報を取得する。例えば、図4のノード3eは、隣接するノード3aとノード3dとノード3cとから、及び、スレーブ4cから伝搬遅延情報を太い黒矢印で示すように取得する。本明細書では、隣接するスレーブ4から取得される情報についても伝搬遅延情報と称する。
【0038】
伝送遅延は、パケットを送り始めてから送り終えるまでの時間である。伝搬遅延は、パケットがリンク上を伝搬される時間である。
【0039】
第1取得手段101は、最新のノード3間の通信の遅延状態を示す最新遅延状態情報を取得する。最新遅延状態情報は、ネットワーク2の通信経路を構成する光ファイバ上の伝播遅延時間を含む。
【0040】
図6に示すように、第1経路生成手段102は、第1取得手段101により取得されたノード3間の伝搬遅延情報に基づいて第1経路情報を生成する。第1経路情報、即ち各ノード3の経路表は、送信手段107により各ノード3に送信される。
【0041】
第2段階について説明する。
【0042】
第2取得手段103は、個々のノード3での処理に起因する遅延情報を取得する。各ノード3での処理に起因する遅延情報は、各ノード3内部における転送状態と転送遅延量を含んでいる。第2取得手段103が取得する遅延の種類は、ノード内部での信号処理や伝送などに要する時間であるノード内部処理遅延、等を含む。また、遅延の要因は、光ファイバの接続形式、パケットの集中度合い等を含む。第2取得手段103が取得する個々のノード3での処理に起因する遅延情報が、各ノード3におけるパケット再送信の割合、メモリの使用量、転送遅延情報、伝送遅延情報、再送遅延情報の少なくとも何れか一つを含んでもよい。
【0043】
例えば、あるノード3が受信したパケットを解析して、行先を判別し、経路表に基づいて転送する速度は、ノード3が有するCPUの処理速度に依存する。また、例えば、光スイッチ等の光集積回路がノード3を構成している場合には、電気的な処理が少なく、より転送遅延が少ない。再送遅延は実時間での遅延ではなく、伝送ミスで何度送り直しているかに依存する遅延である。第2取得手段103は、リアルタイムの遅延に関する情報だけでなく、過去の遅延関連情報も有する。以上のように、遅延の種類及び要因は多岐に渡る。
【0044】
第2取得手段103は、個々のノード3の変動を把握する。第2取得手段103は、遅延の種類ごとに記憶部18に記録する。
【0045】
ノード3間の伝搬遅延情報と個々のノード3での処理に起因する遅延情報とは、図5の点線で示されるように情報処理装置1に送られる。図5ではノード3eからのみノード情報が情報処理装置1に送信されるように記載されているが、全てのノード3及び全てのスレーブ4からノード情報が情報処理装置1に送信される。
【0046】
第2取得手段103により取得された個々のノード3での処理に起因する遅延情報と、第1取得手段101により取得されたノード3間の伝搬遅延情報と、に基づいて、第2経路生成手段104は、第2経路情報を生成する。
【0047】
第2取得手段103は、従来のプロトコルに捉われず高精度に遅延を取得し把握する。第2経路生成手段104は、ネットワーク2全体の遅延の情報に基づいて経路を生成する。
【0048】
図7は生成された第2経路の例を示す。送信手段107は、第2経路情報と第1経路情報とが異なる場合、第2経路情報を各ノード3に送信する。図7図6との経路は異なるため、第2経路情報である図7の経路が各ノード3に送信される。
【0049】
第3段階について説明する。
【0050】
情報処理装置1の有する第3取得手段105は、ネットワーク2における通信に対するネットワーク2の利用者の要求或いは目的を取得する。第3経路生成手段106は、第3取得手段105により取得されたネットワーク2利用者の要求或いは目的と、第2取得手段103により取得された個々のノード3での処理に起因する遅延情報と、第1取得手段101により取得されたノード3間の伝搬遅延情報とに基づいて第3経路情報を生成する。第3経路生成手段106が、第3取得手段105が取得したネットワーク2におけるネットワーク2利用者の要求あるいは目的がネットワーク2利用者の利用態様を含み、利用態様から通信頻度、パケットサイズ及び通信プロトコルの少なくとも1つを特定し、ネットワーク2利用者の要求或いは目的に対応した通信経路を提供する。
【0051】
送信手段107は、第3経路情報が第1経路情報及び第2経路情報と異なる場合、第3経路情報を各ノード3に送信する。
【0052】
第3経路情報は、ネットワーク2の利用者情報に基づいて生成されてもよい。利用者情報には、利用者がアクセスするスレーブ4の位置、利用者がパケットを送る宛先のスレーブ4の位置を含んでもよい。また、利用者情報は、利用者の過去の利用態様についての統計情報を含んでもよく、利用者の現時点での利用用途、例えば、ドローン等の動体の制御かを含んでもよく、制御信号が頻繁に発信されているか、等の情報を含んでもよい。
【0053】
第3経路生成手段106は、第3取得手段105が取得したネットワーク2における利用者の利用態様が所定以上の頻度で所定長さ以下のパケットが送信されているか、又は、所定の通信プロトコルで送信されていることを示している場合には、信号の送受信の頻度が高い通信を行っていると推定し、信号の送受信の頻度が高い通信に対応するノード3を含む第3経路情報を生成する。信号の送受信が高い通信に対応するノード3とは、光スイッチ等の光集積回路により構成されており、電気的な処理が少なく、より転送遅延が少ないノード3のことである。
【0054】
ネットワーク利用者の要求には、例えば、端末の種類或いはネット利用者が要求するサービスを含む。例えば、ネット利用者の要求は、ドローン22に代表される動体の制御に用いられるアプリケーションの使用である。或いは、アプリケーションからの要求も、ネット利用者の要求に含まれる。また、ネットワーク利用者の要求は、極力遅延が少ないデータ転送を行いたい、正確に一定周期でデータ転送を行いたい、多少の遅延は許容しつつ、パケットロスは極力防止したい、等が挙げられる。
【0055】
第3取得手段105は、ネットワーク2において、スレーブ4を構成するネットワーク利用者の利用態様を解析してもよい。例えば、スレーブ4がドローン22である場合には、スレーブ4と接続されているノード3は、スレーブ4との間におけるパケットの状態を把握し、スレーブ4と紐づけられているネットワーク利用者の利用態様として、第3取得手段105に情報が送られる。第3取得手段105は、受け付けたネットワーク利用者の利用態様を解析し、スレーブ間において信号の送受信が高頻度に行われていれば、例えば、ネットワーク利用者の目的はドローン22の制御だと推定する。
【0056】
第3経路生成手段106は、前記第1取得手段101と第2取得手段103と第3取得手段105とからの情報に基づいて通信経路を制御する。特に、第3取得手段105が得たネットワーク利用者の要求に最適な経路、例えば、情報の伝送の遅延が最も少ない経路、或いは、例えば、ネットワーク利用者が要求する遅延量未満で伝送できる可能性が最も高い経路を提供する。また、第3経路生成手段106は、第3取得手段105の解析結果に基づいてネットワーク利用者に対する最適な経路を提供する。
【0057】
例えば、図8に示すようにスレーブ4aからスレーブ4cにパケットを送信するにあたり、経由するノード3の数から考えると図6に示すようにリンク5dを経由した方が良さそうである。図8の、太い矢印で示すように、リンク5e、リンク5f、リンク5h、リンク5gが選択される。このような経路設定がなされる理由としては、例えば、リンク5dの通信速度が極端に遅いことが想定される。図7に示す経路が選択されない理由としては、例えば、リンク5iの通信安定性が悪いという状況が想定される。
【0058】
ユーザの用途に最適な通信経路であり、且つ、最小の遅延で通信を行う通信経路が選択されてもよい。通信経路は、必要に応じて更新される。遅延の総量ではなく、遅延の要因に着目して通信経路が選択される。
【0059】
経路の選択に関わる要素としては、安定性、低ゆらぎ性、速度、コストがある。これらの要素に基づいて、ネットワーク利用者に最適な経路が設定される。
【0060】
例えば、第3取得手段105の解析結果が、所定以上に通信頻度が高く、各通信においては所定以上に小さいパケットが送られていると判定した場合、ネットワーク利用者に対して、第3経路生成手段106は、最も通信速度が速い通信経路を選択して提供する。例えば、図1に図示されないドローン22に対する制御信号は、短いパケットで頻度が高く送信される。この場合、即時性が最重要であり、通信速度が最優先される。
【0061】
例えば、第3取得手段105の解析結果が、所定以上に稀で且つ所定以上の大きなパケットが送られていると判定した場合、ネットワーク利用者に対して、第3経路生成手段106は、最も通信速度の変動が小さい通信経路を選択して提供する。これにより、例えば、画像データのごとき一連のデータが、少ないデータエラー或いは少ないデータ欠損にて送信され得る。即ち、動画像が送られる場合に、即時性よりも、一定の遅れをもってスムーズでムラのない動画像が送られることが重視される。
【0062】
第2経路生成手段104は、ネットワーク負荷に関して、一つのノード3に負荷が集中するのを防止すべく負荷分散する。その際、複数のネットワーク利用者が何れもその利用目的を達することができるように全体最適化を行ってもよい。第3取得手段105による解析の結果、複数のユーザにとっての最適な通信経路が輻輳し、要求を満たせないと判断された場合、それぞれのユーザ、或いは提供されるサービス優先度等に基づき、第3経路生成手段106は、輻輳を回避するように経路を制御してもよい。或いは、複数のネットワーク利用者に優先順位がつけられ、ネットワーク利用者の利用目的の達成に優先順位がつけられてもよい。例えば、通信量が多く契約期間の長いネットワーク利用者の利用目的を優先することが考えられる。
【0063】
図9は、ネットワーク2の通信経路制御の処理のシーケンス図である。図7の例示に限定されることなく、ネットワーク2には、3以上のノード3、複数のスレーブ4が存在してもよい。図9において、左端の列は処理を示し、図の上から下へ時間が経過している。図9の左側の3つの上下に伸びる線は、情報処理装置1の第1取得手段101、第1経路生成手段102、第2取得手段103、第2経路生成手段104、第3取得手段105、第3経路生成手段106の処理を示す。図9の右側の上下に伸びる線は、ノード3a、ノード3b、スレーブ4の処理を示す。細線は待機状態を示し、四角は機能発揮状態であることを示す。
【0064】
ノード検出処理(ステップS1)として、第1取得手段101は、ノード3aの検出を行い(ステップS1)、例えばノード3aの登録リクエストを受け(ステップS2)、ノード識別情報をノード3aに送付するとともに、ノード3aを記憶部18に登録する(ステップS3)。ノード3の存在を登録するものであり、ノード3は頻度高く変更されないため、この処理は、低頻度に実行される。隣接ノード検出処理(ステップS4)として、ノード3aは、隣接するノード3bを検出し、時刻情報をノード3bに付与する(ステップS4)。この処理は隣接するノード3の存在を登録するものであり、ノード3は頻度高く変更されない。このため、この処理は低頻度に実行される。
【0065】
次に遅延管理処理として、ノード3bから検出信号情報と伝播遅延情報とがノード3aに送られ(ステップS5)、ノード3aから、隣接ノード情報および伝播遅延情報が第1取得手段101により取得され(ステップS6)、ノード間の伝播遅延情報に基づいて第1経路生成手段102が第1経路情報を生成し、送信手段107がノード3a及びノード3bに第1経路情報を送信する(ステップS7)。隣接ノード情報或いは伝播遅延情報が第2取得手段103により取得される。更に、第2取得手段103は、個々のノード3での処理に起因する遅延情報、言い換えれば転送状態を取得する(ステップS9)。第2経路生成手段104は、第2取得手段103により取得された個々のノード3での処理に起因する遅延情報と、第1取得手段101により取得されたノード3間の伝搬遅延情報と、に基づいて第2経路情報を生成する。送信手段107は、第2経路情報と第1経路情報とが異なる場合、第2経路情報を各ノード3に送信する(ステップS10)。
【0066】
隣接ノード情報、伝播遅延情報、第1、第2経路情報は第3取得手段105により取得される(ステップS11)。ノード3からの情報は刻刻変化するので、ステップS9からステップS11は高頻度に実行される。
【0067】
次に、第3取得手段105は、スレーブ4から、ネットワーク利用者の要求、例えば帯域及び遅延量を取得する(ステップS12)。第3経路生成手段106は、ネットワーク利用者の要求に従った経路を第3経路情報として生成し、第2経路情報と異なる場合には、第3経路情報を反映する経路表をノード3aとノード3bとに送付する(ステップS13)。ノード3或いはリンク5の状態で最適経路が刻刻変化するため、目的別経路設定処理(ステップS104)は高頻度に実行される。第3経路生成手段106は、第3取得手段105により取得されたネットワーク2利用者の要求或いは目的と、第2取得手段103により取得された個々のノード3での処理に起因する遅延情報と、第1取得手段101により取得されたノード3間の伝搬遅延情報とに基づいて第3経路情報を生成する。送信手段107は、第3経路情報が第1経路情報及び第2経路情報と異なる場合、第3経路情報を各ノード3に送信する。
【0068】
図9に示した、ノード検出処理(ステップS101)と隣接ノード検出処理(ステップS102)とは、低頻度に実行され、遅延管理処理(ステップS103)と目的別経路設定処理(ステップS104)とは高頻度に実行される。これにより、ネットワーク全体(ノード3やリンク5)の状態は変化しないが、個々のノード3の負荷や利用状況は時々刻々と変動するため、第2経路情報と第3経路情報とは頻繁に更新される。
【0069】
(第2実施形態)
第1実施形態では、パケットの送信元のスレーブ4とパケットの受信先のスレーブ4とが固定されていた。第2実施形態では、パケットの受信先のスレーブ4が変わる場合について説明する。
【0070】
図10は、第2実施形態に係るネットワーク2の通信経路制御の例を示す模式図である。ネットワーク利用者の端末がスレーブ4dの形でノード3gに接続されている。ネットワーク利用者はドローン22を操縦している。
【0071】
最初、ドローン22は、第1の被点検送電線23aを検査している。スレーブ4eに接続されるアンテナ6aから操縦電波が送受信され、ドローン22はコントロールされている。この時、情報処理装置1は、最適経路として、第1経路301を割り当てている。
【0072】
第1の被点検送電線23aの検査が終了すると、ドローン22は第2の被点検送電線23bに移動させられる。この時、アンテナ6aとドローン22との間の距離が長くなるため、アンテナ6aとドローン22との間の電波強度が弱くなる。一方、アンテナ6bとドローン22との間の距離が短くなるため、アンテナ6bとドローン22との間の電波強度が強くなる。ドローン22に搭載のローミング機能、或いは、情報処理装置1の有するローミング機能により、アンテナ6bがドローン22の操縦に用いられるように切り替わる。情報処理装置1の第3取得手段105は、スレーブ4e及びスレーブ4fからの要求及び情報をそれぞれ取得する。第3取得手段105は、要求及び情報を受け取る。そして、第3経路生成手段106は、第3取得手段105から得られている最新遅延状態情報に基づいて、最適経路を策定する。第3経路生成手段106は、図10に示す第2の経路302と第3の経路303とを比較し、第3の経路303を割り当てる。これにより、ドローン22はシームレスにコントロールされる。
【0073】
以上の説明においては、主に、ネットワーク2の通信経路制御システム100における情報処理装置1について説明した。情報処理装置1の機能をコンピュータに実行させるプログラムは独立して使用可能であり、情報処理装置1の機能をコンピュータに実行させるプログラムが行っているのと同様のステップに則ったネットワーク2の通信経路制御方法を使用することが可能である。
【0074】
本開示は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施形態は、この発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。即ち、本発明の範囲は、実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の開示の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
【0075】
以上説明した実施形態に係る情報処理装置1によれば以下のような効果が奏される。
【0076】
(1)情報処理装置1は、複数のノード3を備えているネットワーク2について、ノード3間の伝搬遅延情報を取得する第1取得手段101と、第1取得手段101により取得されたノード3間の伝搬遅延情報に基づいて第1経路情報を生成する第1経路生成手段102と、第1経路情報を各ノード3に送信する送信手段107と、個々のノード3での処理に起因する遅延情報を取得する第2取得手段103と、第2取得手段103により取得された個々のノード3での処理に起因する遅延情報と、第1取得手段101により取得されたノード3間の伝搬遅延情報と、に基づいて第2経路情報を生成する第2経路生成手段104とを備え、送信手段107は、第2経路情報と第1経路情報とが異なる場合、第2経路情報を各ノード3に送信する。
【0077】
これにより、リンク5とノード3とにおける情報に基づいてインターネットにおける経路を制御する情報処理装置1が実現される。
【0078】
(2)(1)の情報処理装置1は、ネットワーク2における通信に対するネットワーク2の利用者の要求或いは目的を取得する第3取得手段105と、第3取得手段105により取得されたネットワーク2利用者の要求或いは目的と、第2取得手段103により取得された個々のノード3での処理に起因する遅延情報と、第1取得手段101により取得されたノード3間の伝搬遅延情報とに基づいて第3経路情報を生成する第3経路生成手段106を備え、送信手段107は、第3経路情報が第1経路情報及び第2経路情報と異なる場合、第3経路情報を各ノード3に送信してもよい。
【0079】
これにより、ユーザ個別の要求或いは目的に対応してインターネットにおける経路を制御する情報処理装置1が提供される。
【0080】
(3)(1)又は(2)の情報処理装置1において、個々のノード3での処理に起因する遅延情報が、各ノード3におけるパケット再送信の割合、メモリの使用量、転送遅延情報、伝送遅延情報、再送遅延情報の少なくとも何れか一つを含んでもよい。
【0081】
これにより、遅延情報に基づいてのより好適な経路選択が可能となる。
【0082】
(4)(1)又は(2)の情報処理装置1において、ノード3間の伝搬遅延情報が、ネットワーク2の経路を構成する光ファイバ上の伝播遅延、光ファイバの接続形式、パケットの集中度合い、経由するノード3の数、パケットロスに伴う再送遅延の少なくとも何れかを含んでもよい。
【0083】
これにより、遅延時間、遅延の種類、遅延の原因に基づいた経路の制御が実現される。
【0084】
(5)(2)の情報処理装置1において、第3経路生成手段106が、第3取得手段105が取得したネットワーク2におけるネットワーク2利用者の要求あるいは目的がネットワーク2利用者の利用態様を含み、利用態様から通信頻度、パケットサイズ及び通信プロトコルの少なくとも1つを特定し、ネットワーク2利用者の要求或いは目的に対応するノード3を含む前記第3経路情報を生成してもよい。
【0085】
これによりネットワーク利用者の意向が反映される経路選択が行われる。ネットワーク利用者による要求の入力がない状況下にあっても、ネットワーク利用者に対して好適な通信経路を提供することができる。
【0086】
(6)(5)の情報処理装置1において、第3経路生成手段106は、第3取得手段105が取得したネットワーク2におけるネットワーク利用者の利用態様が、所定以上の頻度で所定長さ以下のパケットが送信されているか、又は所定の通信プロトコルで送信されていることを示している場合、信号の送受信の頻度が高い通信を行っていると推定し、信号の送受信の頻度が高い通信に対応するノード3を含む第3経路情報を生成してもよい。
【0087】
これにより、例えばドローン22のような動的物体の制御に好適な通信経路が提供される。そして、制御者或いはネットワーク2の利用者による制御行為と動的物体の動作とのタイムラグの小さい制御が実現される。
【0088】
(7)プログラムは、複数のノード3を備えているネットワーク2について、ノード3間の伝搬遅延情報を取得する第1取得機能と、第1取得手段101により取得されたノード3間の伝搬遅延情報に基づいて第1経路情報を生成する第1経路生成機能と、第1経路情報を各ノード3に送信する送信機能と、個々のノード3での処理に起因する遅延情報を取得する第2取得機能と、第2取得手段103により取得された個々のノード3での処理に起因する遅延情報と、第1取得手段101により取得されたノード3間の伝搬遅延情報と、に基づいて第2経路情報を生成する第2経路生成機能と、第2経路情報と第1経路情報とが異なる場合、第2経路情報を各ノード3に送信する送信機能とを、コンピュータに実行させる。
【0089】
これにより、リンク5とノード3とにおける情報に基づいてインターネットにおける経路を制御する情報処理装置1が実現される。
【0090】
(8)ネットワーク2の通信経路制御方法は、複数のノード3を備えているネットワーク2について、ノード3間の伝搬遅延情報を取得する第1取得ステップと、第1取得手段101により取得されたノード3間の伝搬遅延情報に基づいて第1経路情報を生成する第1経路生成ステップと、第1経路情報を各ノード3に送信する送信ステップと、個々のノード3での処理に起因する遅延情報を取得する第2取得ステップと、第2取得ステップにより取得された個々のノード3での処理に起因する遅延情報と、第1取得手段101により取得されたノード3間の伝搬遅延情報と、に基づいて第2経路情報を生成する第2経路生成ステップと、第2経路情報と第1経路情報とが異なる場合、第2経路情報を各ノード3に送信する送信ステップとを有する。
【0091】
これにより、リンク5とノード3とにおける情報に基づいてインターネットにおける経路を制御する情報処理装置1が実現される。
【符号の説明】
【0092】
1 情報処理装置
2 ネットワーク
3 ノード
4 スレーブ
5 リンク
10 制御部
11 プロセッサ
12 ROM
13 RAM
14 バス
15 入出力インタフェース
16 入出力部
17 通信部
18 記憶部
100 ネットワークの通信経路制御システム
101 第1取得手段
102 第1経路生成手段
103 第2取得手段
104 第2経路生成手段
105 第3取得手段
106 第3経路生成手段
107 送信手段
108 時刻設定手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10