(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023017754
(43)【公開日】2023-02-07
(54)【発明の名称】バッテリーモジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/505 20210101AFI20230131BHJP
H01M 50/548 20210101ALI20230131BHJP
H01M 50/503 20210101ALI20230131BHJP
H01M 50/512 20210101ALI20230131BHJP
H01M 50/50 20210101ALI20230131BHJP
H01M 50/296 20210101ALI20230131BHJP
【FI】
H01M50/505
H01M50/548 201
H01M50/503
H01M50/512
H01M50/50 101
H01M50/296
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022118724
(22)【出願日】2022-07-26
(31)【優先権主張番号】10-2021-0098066
(32)【優先日】2021-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】韓 鐘燦
【テーマコード(参考)】
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H040AA00
5H040AS04
5H040AS13
5H040AS14
5H040AS15
5H040AT01
5H040DD03
5H040NN01
5H040NN03
5H040NN05
5H043AA00
5H043AA11
5H043AA13
5H043BA11
5H043CA03
5H043CA21
5H043FA04
5H043FA23
5H043LA02F
5H043LA11F
5H043LA21F
5H043LA32F
(57)【要約】 (修正有)
【課題】バッテリーセルの均一な充放電が可能なバッテリーモジュールを提供する。
【解決手段】バッテリーモジュールは、複数のバッテリーセルC1~C5を含むバッテリーセルアレイ11と、バッテリーセルの第1端子を互いに連結し、第1共通ノードN1を通じて外部装置と連結される第1接続部材12と、バッテリーセルの第2端子を互いに連結し、第2共通ノードN2を通じて外部装置と連結される第2接続部材13とを含み、第1共通ノードはバッテリーセルアレイの最外郭に位置する第1および第2バッテリーセルのうちの第1バッテリーセルに隣接し、第2共通ノードは第1および第2バッテリーセルのうちの第2バッテリーセルに隣接し、第1接続部材は第1共通ノードから遠くなるほど単位長さ当り抵抗値が次第に増加するように構成され、第2接続部材は第2共通ノードから遠くなるほど単位長さ当り抵抗値が次第に増加するように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバッテリーセルを含むバッテリーセルアレイと、
前記複数のバッテリーセルの第1端子を互いに電気的に連結し、第1共通ノードを通じて外部装置と連結される第1接続部材と、
前記複数のバッテリーセルの第2端子を互いに電気的に連結し、第2共通ノードを通じて外部装置と連結される第2接続部材とを含み、
前記第1共通ノードは前記バッテリーセルアレイの最外郭に位置する第1および第2バッテリーセルのうちの第1バッテリーセルに隣接するように位置し、前記第2共通ノードは前記第1および第2バッテリーセルのうちの前記第2バッテリーセルに隣接するように位置し、
前記第1接続部材は前記第1共通ノードから遠くなるほど単位長さ当り抵抗値が次第に増加するように構成され、前記第2接続部材は前記第2共通ノードから遠くなるほど単位長さ当り抵抗値が次第に増加するように構成される、バッテリーモジュール。
【請求項2】
前記第1接続部材は前記複数のバッテリーセルの配列方向に沿って順次に連結される複数の第1連結抵抗を含み、
前記複数の第1連結抵抗はそれぞれ、互いに隣接する二つのバッテリーセルの前記第1端子を連結し、
前記複数の第1連結抵抗は、前記第1共通ノードから遠いほど抵抗値が次第に増加するように構成される、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項3】
前記第2接続部材は前記複数のバッテリーセルの配列方向に沿って順次に連結される複数の第2連結抵抗を含み、
前記複数の第2連結抵抗はそれぞれ、互いに隣接する二つのバッテリーセルの前記第2端子を連結し、
前記複数の第2連結抵抗は、前記第2共通ノードから遠いほど抵抗値が次第に増加するように構成される、請求項2に記載のバッテリーモジュール。
【請求項4】
前記複数の第1連結抵抗および前記複数の第2連結抵抗は数式14を満たすように抵抗値が決定される、請求項3に記載のバッテリーモジュール:
[数式14]
RBk=((n-k)/k)RTk
前記nは前記複数のバッテリーセルの個数であり、前記RTkは、前記複数の第1連結抵抗のうち、前記第1共通ノードから遠くなる第1方向にk番目に位置する第1連結抵抗を示し、前記RBkは前記複数の第2連結抵抗のうち、前記第1方向にk番目に位置する第2連結抵抗を示す。
【請求項5】
前記第1接続部材は、前記第1共通ノードから遠くなるほど前記第1接続部材の幅、厚さまたは断面積が次第に増加するように形成されて、前記第1共通ノードから遠くなるほど単位長さ当り抵抗値が増加し、
前記第2接続部材は、前記第2共通ノードから遠くなるほど前記第2接続部材の幅、厚さまたは断面積が次第に増加するように形成されて、前記第2共通ノードから遠くなるほど単位長さ当り抵抗値が増加する、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項6】
前記第1および第2接続部材はバスバーから構成される、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開始はバッテリーモジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
二次バッテリー(secondary battery)は充電および放電が繰り返されるという点から、化学物質の電気エネルギーへの非可逆的変換のみを提供する一次バッテリー(primary battery)と異なる。低容量の二次バッテリーは携帯電話、ノートパソコン、およびキャムコーダーのような小型電子装置の電源装置として使用され、高容量の二次バッテリーは電気車両などの電源装置として使用される。
【0003】
電気車両では走行距離の増加のために高容量のバッテリー使用が要求される。したがって、電気車両には複数のバッテリーセルを直列または並列連結して構成されたバッテリーモジュールが使用される。特に、高容量のバッテリーモジュールを構成するためには複数のバッテリーセルを並列に連結する方法が使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態を通じて解決しようとする課題は、互いに並列連結されるバッテリーセル間に電流偏差を解消してバッテリーセルの均一な充放電の可能なバッテリーモジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための一実施形態によるバッテリーモジュールは、複数のバッテリーセルを含むバッテリーセルアレイと、前記複数のバッテリーセルの第1端子を互いに電気的に連結し、第1共通ノードを通じて外部装置と連結される第1接続部材と、前記複数のバッテリーセルの第2端子を互いに電気的に連結し、第2共通ノードを通じて外部装置と連結される第2接続部材とを含み、前記第1共通ノードは前記バッテリーセルアレイの最外郭に位置する第1および第2バッテリーセルのうちの第1バッテリーセルに隣接するように位置し、前記第2共通ノードは前記第1および第2バッテリーセルのうちの前記第2バッテリーセルに隣接するように位置し、前記第1接続部材は前記第1共通ノードから遠くなるほど単位長さ当り抵抗値が次第に増加するように構成され、前記第2接続部材は前記第2共通ノードから遠くなるほど単位長さ当り抵抗値が次第に増加するように構成することができる。
【0006】
前記第1接続部材は前記複数のバッテリーセルの配列方向に沿って順次に連結される複数の第1連結抵抗を含み、前記複数の第1連結抵抗はそれぞれ、互いに隣接する二つのバッテリーセルの前記第1端子を連結し、前記複数の第1連結抵抗は、前記第1共通ノードから遠いほど抵抗値が次第に増加するように構成することができる。
【0007】
前記第2接続部材は前記複数のバッテリーセルの配列方向に沿って順次に連結される複数の第2連結抵抗を含み、前記複数の第2連結抵抗はそれぞれ、互いに隣接する二つのバッテリーセルの前記第2端子を連結し、前記複数の第2連結抵抗は、前記第2共通ノードから遠いほど抵抗値が次第に増加するように構成することができる。
【0008】
前記複数の第1連結抵抗および前記複数の第2連結抵抗は、数式14を満たすように抵抗値を決定することができる。
[数式14]
RBk=((n-k)/k)RTk
【0009】
前記nは前記複数のバッテリーセルの個数であり、前記RTkは、前記複数の第1連結抵抗のうち、前記第1共通ノードから遠くなる第1方向にk番目に位置する第1連結抵抗を示し、前記RBkは前記複数の第2連結抵抗のうち、前記第1方向にk番目に位置する第2連結抵抗を示す。
【0010】
前記第1接続部材は、前記第1共通ノードから遠くなるほど前記第1接続部材の幅、厚さまたは断面積が次第に増加するように形成されて、前記第1共通ノードから遠くなるほど単位長さ当り抵抗値が増加し、前記第2接続部材は、前記第2共通ノードから遠くなるほど前記第2接続部材の幅、厚さまたは断面積が次第に増加するように形成されて、前記第2共通ノードから遠くなるほど単位長さ当り抵抗値が増加できる。
【0011】
前記第1および第2接続部材はバスバーから構成することができる。
【発明の効果】
【0012】
実施形態によれば、互いに並列連結されるバッテリーセルの電流偏差を解消して、バッテリーセルが均一に充放電されるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】一実施形態によるバッテリーモジュールを概略的に示す。
【
図2】一実施形態によるバッテリーモジュールの等価回路を示す。
【
図3】一実施形態によるバッテリーモジュールの電流偏差解消効果を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付された図面を参照して本発明の実施形態を詳しく説明する。以下、添付された図面を参照して実施形態の効果および特徴、そしてその実現方法を詳しく説明する。図面において、同一の参照符号は同一の構成要素を示し、それに対する重複する説明は省略される。しかし、本発明は多様な形態に実現することができ、ここで説明する実施形態に限定されると解釈されてはならない。むしろ、これら実施形態は本開示が徹底且つ完全になり得るように例として提供され、通常の技術者に本発明の様態および特徴を十分に伝達する。
【0015】
本文書で“および/または”という用語は、関連して列挙された複数の項目の全ての組み合わせまたは任意の組み合わせを含む。本発明の実施形態を記述する時“~することができる”、“~であってもよい”を使用することは“本発明の一つ以上の実施形態”を意味する。次の本発明の実施形態に関する説明で、単数形態の用語は文脈に別に明示されない限り複数形態を含むことができる。
【0016】
本文書で“第1”、“第2”、“第3”などの序数を含む用語は多様な構成要素を説明することに使用されるが、これら構成要素はこの用語によって限定されない。これら用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみで使用される。例えば、本発明の権利範囲を逸脱することなく第2構成要素は第1構成要素と命名することができ、同様に第1構成要素も第2構成要素と命名することができる。
【0017】
また、図面に示された各構成の大きさおよび厚さは説明の便宜のために任意に示したものであって、実施形態は必ずしも図示されたものに限定されない。図面において多様な層および領域を明確に表現するために厚さおよび領域を誇張して示すことができる。
【0018】
本文書で一つの構成要素または層が他の構成要素または層に対して“上に”、“連結された”、または“結合された”と記載される場合において、“上に”、“連結された”および“結合された”ことは直接、または一つ以上の他の構成要素または層を介して形成されることを全て含む。また、一つの構成要素または層が二つの構成要素または層“の間”にあると記載される場合、二つの構成要素または層の間の唯一の構成要素または層であるか、一つ以上の介された他の要素または層が存在すると理解されなければならない。また、二つの構成要素を電気的に連結するということは二つの構成要素を直接(directly)連結する場合だけでなく、二つの構成要素の間に他の構成要素を経て連結する場合も含む。他の構成要素は、スイッチ、抵抗、キャパシタなどを含むことができる。実施形態を説明することにおいて連結するという表現は、直接連結するという表現がない場合には、電気的に連結するということを意味する。
【0019】
図1は、一実施形態によるバッテリーモジュールを概略的に示す。
図1を参照すれば、バッテリーモジュール10は、バッテリーセルアレイ(array)11、および第1および第2接続部材12、13を含むことができる。
【0020】
バッテリーセルアレイ11は、所定の方向(例えば、
図1のx方向)に沿って順次に配列された複数のバッテリーセルC1~C5を含むことができる。
図1では説明の便宜のためにバッテリーセルアレイ11が5つのバッテリーセルを含む場合を例として示す。しかし、実施形態がこれによって限定されるのではなく、バッテリーセルアレイ11に含まれるバッテリーセルの個数はそれよりさらに多いかそれよりさらに少なくてもよい。
【0021】
第1接続部材12は複数のバッテリーセルC1~C5の正極端子に結合して、複数のバッテリーセルC1~C5の正極端子を互いに電気的に連結することができる。第2接続部材13は複数のバッテリーセルC1~C5の負極端子に結合して、複数のバッテリーセルC1~C5の負極端子を互いに電気的に連結することができる。これにより、複数のバッテリーセルC1~C5は、第1接続部材12および第2接続部材13の間に並列連結される。
【0022】
第1および第2接続部材12、13は、バスバー(bus bar)などの伝導性部材から構成することができる。
【0023】
第1および第2接続部材12、13はそれぞれ、第1共通ノードN1および第2共通ノードN2を含むことができる。第1および第2共通ノードN1、N2は、外部装置(例えば、充電器または負荷)と電気的に連結される。即ち、第1および第2共通ノードN1、N2はそれぞれ第1および第2接続部材12、13の電流出入口であって、第1および第2接続部材12、13と外部装置の間の電流流れは第1および第2共通ノードN1、N2を通じて行われる。
【0024】
第1および第2共通ノードN1、N2は、バッテリーセルアレイ11の中心部を基準にして互いに反対方向に配置することができる。第1共通ノードN1はバッテリーセルアレイ11の最外郭に位置する二つのバッテリーセルC1、C5のうちのバッテリーセルC1に隣接するように配置し、第2共通ノードN2は二つの最外郭バッテリーセルC1、C5のうちのバッテリーセルC5に隣接するように配置することができる。本文書で、バッテリーセルアレイ11の中心部はバッテリーセルアレイ11を構成するバッテリーセルC1~C5の配列方向(
図1のx方向)での中心部を意味することができる。
【0025】
第1接続部材12は第1共通ノードN1から遠くなるほど単位長さ当り抵抗値が次第に増加し、第1共通ノードN1に近くなるほど単位長さ当り抵抗値が次第に減少するように構成することができる。第2接続部材13は第2共通ノードN2から遠くなるほど単位長さ当り抵抗値が次第に増加し、第2共通ノードN2に近くなるほど単位長さ当り抵抗値が次第に減少するように構成することができる。
図1で、第1および第2接続部材12、13の長さ方向はバッテリーセルC1~C5の配列方向(x方向)に対応する。
【0026】
図1に示されているように、第1接続部材12は第1共通ノードN1から遠くなるほど幅が次第に増加するように形成されて、第1共通ノードN1から遠くなるほど単位長さ当り抵抗値が次第に増加できる。また、第2接続部材13は第2共通ノードN2から遠くなるほど幅が次第に増加するように形成されて、第2共通ノードN2から遠くなるほど単位長さ当り抵抗値が次第に増加できる。
【0027】
図1では第1および第2接続部材12、13の単位長さ当り抵抗値を次第に増加/減少させるために、第1および第2接続部材12、13の幅を次第に増加/減少させる場合を例として挙げて示すが、実施形態がこれによって限定されるのではない。他の実施形態では、第1および第2接続部材12、13の単位長さ当り抵抗値を次第に増加/減少させるために、第1および第2接続部材12、13の高さ、断面積などを次第に増加/減少させることもできる。
【0028】
以下、
図2を参照して第1接続部材12および第2接続部材13の位置による抵抗値を決定する方法について詳しく説明する。
【0029】
図2は、
図1のバッテリーモジュールの概略的な等価回路を示す。
図2は第1および第2共通ノードN1、N2を通じてバッテリーセルアレイ11にV
Tの共通電圧が印加される場合を示す。
【0030】
図2で、バッテリーセルC1~C5に流れる電流はそれぞれi
1、i
2、i
3、i
4、およびi
5であり、バッテリーセルC1~C5の開放電圧はそれぞれV
oc1、V
oc2、V
oc3、V
oc4、およびV
oc5であり、バッテリーセルC1~C5の内部抵抗はそれぞれZ
1、Z
2、Z
3、Z
4、およびZ
5である。
【0031】
図2を参照すれば、第1接続部材12はバッテリーセルC1~C5の配列方向(
図1のx方向参照)に沿って順次に直列連結される複数の第1連結抵抗R
T1~R
T4を含むことができる。複数の第1連結抵抗R
T1~R
T4はそれぞれ互いに隣接する二つのバッテリーセルの正極端子を互いに電気的に連結することができる。第2接続部材13は、バッテリーセルC1~C5の配列方向(x方向)に沿って順次に直列連結される複数の第2連結抵抗R
B1~R
B4を含むことができる。複数の第2連結抵抗R
B1~R
B4はそれぞれ互いに隣接する二つのバッテリーセルの負極端子を互いに電気的に連結することができる。
【0032】
RT1は第1および第2バッテリーセルC1、C2の正極端子を互いに連結する連結抵抗であり、RB1は第1および第2バッテリーセルC1、C2の負極端子を互いに連結する連結抵抗である。RT2は第2および第3バッテリーセルC2、C3の正極端子を互いに連結する連結抵抗であり、RB2は第2および第3バッテリーセルC2、C3の負極端子を互いに連結する連結抵抗である。RT3は第3および第4バッテリーセルC3、C4の正極端子を互いに連結する連結抵抗であり、RB3は第3および第4バッテリーセルC3、C4の負極端子を互いに連結する連結抵抗である。RT4は第4および第5バッテリーセルC4、C5の正極端子を互いに連結する連結抵抗であり、RB4は第4および第5バッテリーセルC4、C5の負極端子を互いに連結する連結抵抗である。
【0033】
複数の第1連結抵抗RT1~RT4は、バッテリーセルC1~C5の配列方向(x方向)に沿って抵抗値が次第に増加するように構成することができる。即ち、複数の第1連結抵抗RT1~RT4は第1共通ノードN1から遠くなるほど抵抗値が次第に増加し、第1共通ノードN1に近くなるほど抵抗値が次第に減少するように構成することができる。複数の第2連結抵抗RB1~RB4は、バッテリーセルC1~C5の配列方向(x方向)に沿って抵抗値が次第に減少するように構成することができる。即ち、複数の第2連結抵抗RB1~RB4は第2共通ノードN2に近くなるほど抵抗値が次第に減少し、第2共通ノードN2から遠くなるほど抵抗値が次第に増加するように構成することができる。
【0034】
第1および第2連結抵抗R
T1~R
T4、R
B1~R
B4は、
図1を参照して説明したように、対応する接続部材12、13の物理的な形状を調節して抵抗値を調節することができる。
【0035】
以下、必要な数式を参照して位置によって第1および第2連結抵抗RT1~RT4、RB1~RB4の抵抗値を決定する方法について詳しく説明する。
【0036】
バッテリーセルC1~C5が互いに同一な特性(Z1=Z2=Z3=Z4=Z5、Voc1=Voc2=Voc3=Voc4=Voc5)を有すると仮定すれば、共通電圧VTは次の数式1~数式5で示すことができる。
【0037】
[数式1]
VT=i1Z1+Voc1+i1RB1+(i1+i2)RB2+(i1+i2+i3)RB3+(i1+i2+i3+i4)RB4
【0038】
[数式2]
VT=i2Z2+Voc2+(i2+i3+i4+i5)RT1+(i1+i2)RB2+(i1+i2+i3)RB3+(i1+i2+i3+i4)RB4
【0039】
[数式3]
VT=i3Z3+Voc3+(i2+i3+i4+i5)RT1+(i3+i4+i5)RT2+(i1+i2+i3)RB3+(i1+i2+i3+i4)RB4
【0040】
[数式4]
VT=i4Z4+Voc4+(i2+i3+i4+i5)RT1+(i3+i4+i5)RT2+(i4+i5)RT3+(i1+i2+i3+i4)RB4
【0041】
[数式5]
VT=i5Z5+Voc5+(i2+i3+i4+i5)RT1+(i3+i4+i5)RT2+(i4+i5)RT3+i5RT4
【0042】
全てのバッテリーセルC1~C5に同一の電流が流れると仮定すれば、上記数式2から数式1を引くと、下記数式6のように示すことができる。
【0043】
[数式6]
(i2Z2+Voc2+(i2+i3+i4+i5)RT1+(i1+i2)RB2+(i1+i2+i3)RB3+(i1+i2+i3+i4)RB4)-(i1Z1+Voc1+i1RB1+(i1+i2)RB2+(i1+i2+i3)RB3+(i1+i2+i3+i4)RB4)=i1RB1-(i2+i3+i4+i5)RT1=0
【0044】
上記数式6から、二つの連結抵抗RB1、RT1間の関係式が下記の数式7に導出される。
[数式7]
RB1=((i2+i3+i4+i5)/i1)RT1=4RT1
【0045】
また、前記数式3から数式2を引くと、下記の数式8で示すことができる。
[数式8]
(i3Z3+Voc3+(i2+i3+i4+i5)RT1+(i3+i4+i5)RT2+(i1+i2+i3)RB3+(i1+i2+i3+i4)RB4)-(i2Z2+Voc2+(i2+i3+i4+i5)RT1+(i1+i2)RB2+(i1+i2+i3)RB3+(i1+i2+i3+i4)RB4)=(i3+i4+i5)RT2-(i1+i2)RB2
【0046】
上記数式8から、二つの連結抵抗RB2、RT2間の関係式が下記の数式9に導出される。
[数式9]
RB2=((i3+i4+i5)/(i1+i2))RT2=(3/2)RT2
【0047】
また、前記数式4から数式3を引くと、下記の数式10で示すことができる。
[数式10]
(i4Z4+Voc4+(i2+i3+i4+i5)RT1+(i3+i4+i5)RT2+(i4+i5)RT3+(i1+i2+i3+i4)RB4)-(i3Z3+Voc3+(i2+i3+i4+i5)RT1+(i3+i4+i5)RT2+(i1+i2+i3)RB3+(i1+i2+i3+i4)RB4)=((i4+i5)RT3-((i1+i2+i3)RB3
【0048】
上記数式10から、二つの連結抵抗RB3、RT3間の関係式が下記の数式11に導出される。
[数式11]
RB3=((i4+i5)/(i1+i2+i3))RT3=(2/3)RT3
【0049】
また、前記数式5から数式4を引くと、下記の数式12で示すことができる。
[数式12]
(i5Z5+Voc5+(i2+i3+i4+i5)RT1+(i3+i4+i5)RT2+(i4+i5)RT3+i5RT4)-(i4Z4+Voc4+(i2+i3+i4+i5)RT1+(i3+i4+i5)RT2+(i4+i5)RT3+(i1+i2+i3+i4)RB4)=(i5RT4)-((i1+i2+i3+i4)RB4)
【0050】
上記数式12から、二つの連結抵抗RB4、RT4間の関係式が下記の数式13に導出される。
[数式13]
RB4=(i5/(i1+i2+i3+i4))RT3=(1/4)RT4
【0051】
前記数式7(RB1=4RT1)、数式9(RB2=(3/2)RT2)、数式11(RB3=(2/3)RT3)、および数式13(RB4=(1/4)RT4)を一般化すれば、下記の数式14で示すことができる。
[数式14]
RBk=((n-k)/k)RTk
【0052】
上記数式14で、nはバッテリーセルアレイ11を構成するバッテリーセルC1~C5の個数であり、R
Tkは第1接続部材12を構成する複数の第1連結抵抗R
T1~R
T4のうちのバッテリーセルC1~C5の配列方向(
図1のx方向)を基準にしてk番目第1連結抵抗を示すことができる。また、R
Bkは第2接続部材13を構成する複数の第2連結抵抗R
B1~R
B4のうちのバッテリーセルC1~C5の配列方向(
図1のx方向)を基準にしてk番目第2連結抵抗を示すことができる。
【0053】
実施形態では、前記数式14を満たすように第1および第2連結抵抗RT1~RT4、RB1~RB4の抵抗値を決定することができる。また、第1および第2連結抵抗RT1~RT4、RB1~RB4の抵抗値に基づいて、第1および第2接続部材12、13の形状を調節することができる。
【0054】
図3は、一実施形態によるバッテリーモジュールの電流偏差解消効果を説明するための図である。
【0055】
図3で、比較例は第1および第2連結抵抗R
T1~R
T4、R
B1~R
B4の抵抗値を全て同一に構成(R
T1=R
T2=R
T3=R
T4=R
B1=R
B2=R
B3=R
B4=1.0mΩ)して各バッテリーセルC1~C5の充放電量(Ah)をシミュレーションした結果である。また、実施形態は前記数式14を満たすように第1および第2連結抵抗R
T1~R
T4、R
B1~R
B4の抵抗値を構成(R
T1=0.4mΩ、R
T2=0.8mΩ、R
T3=1.2mΩ、R
T4=1.6mΩ、R
B1=1.6mΩ、R
B2=1.2mΩ、R
B3=0.8mΩ、R
B4=0.4mΩ)して各バッテリーセルC1~C5の充放電量(Ah)をシミュレーションした結果である。
図3の比較例および実施形態は互いに同一な時間、同一な電流および電圧で充放電を行うようにシミュレーションした結果である。
【0056】
下記の表1は
図3のグラフを表で示したものであって、(max-min)は充放電量が最も大きいバッテリーセルの充放電量(max)から充放電量が最も小さいバッテリーセルの充放電量(min)を引いた値を示す。
【0057】
【0058】
図3および
図1を参照すれば、第1および第2連結抵抗R
T1~R
T4、R
B1~R
B4の抵抗値を全て同一に構成する場合、バッテリーセルC1~C5の電流偏差によって充放電量に偏差が発生する。反面、前述の実施形態のように前記数式14を満たすように第1および第2連結抵抗R
T1~R
T4、R
B1~R
B4の抵抗値を構成する場合、バッテリーセルC1~C5の電流偏差が解消され、これにより、全てのバッテリーセルC1、C2、C3の充放電量が同一になり得る。前述の実施形態はこのようにバッテリーセル間の電流偏差をなくすことによって、バッテリーモジュールの最大許容電流を増加させることができる。また、電流偏差によるバッテリーセル間の温度偏差だけでなく、ひいては電流および温度偏差によるバッテリーセル間の寿命偏差も減少させることができる。
【0059】
ここに説明された本発明の実施形態による電子または電気装置および/または任意の他の関連装置または構成要素は、任意の適したハードウェア、ファームウエア(例えば、特定用途向け集積回路(application-specific integrated circuit))、ソフトウェア、またはソフトウェア、ファームウエアおよびハードウェアの組み合わせを用いて実現することができる。例えば、これら装置の多様な構成要素は、一つの集積回路(IC)チップ上にまたは個別ICチップ上に形成することができる。また、これら装置の多様な構成要素は、可撓性印刷回路フィルム(flexible printed circuit film)、テープキャリアパッケージ(TCP:tape carrier package)、印刷回路基板(PCB:printed circuit board)または一つの基板上に実現することができる。本明細書に記載された電気的連結または相互連結は、例えば、PCBまたは他の種類の回路キャリア上の配線または伝導性素子によって実現することができる。伝導性素子は例えば表面金属化(surface metallizations)のような金属化、および/またはピン(pin)を含むことができ、伝導性重合体(conductive polymers)またはセラミック(ceramics)を含むことができる。また、電気エネルギーは例えば、電磁気放射または光を用いた無線接続を通じて転送することができる。
【0060】
また、これら装置の多様な構成要素はここに説明された多様な機能を遂行するために一つ以上のプロセッサー上で実行され、一つ以上のコンピューティング装置内で実行され、コンピュータプログラム命令を実行し他のシステム構成要素と相互作用するプロセスまたはスレッドであってもよい。コンピュータプログラム命令は例えばランダムアクセスメモリ(RAM:random access memory)のような、標準メモリ装置を使用するコンピューティング装置で実現されるメモリに保存される。コンピュータプログラム命令はまた、例えば、CD-ROM、フラッシュドライブなどのような他の非一時的(non-transitory)コンピュータ読取可能媒体に保存することができる。
【0061】
また、当業者は多様なコンピューティング装置の機能が単一コンピューティング装置に結合されるかまたは統合されるか、または特定コンピューティング装置の機能が本発明の例示的な実施形態の範囲を逸脱することなく一つ以上の他のコンピューティング装置にわたって分散可能であることを認識しなければならない。
【符号の説明】
【0062】
10:バッテリーモジュール
11:バッテリーセルアレイ
12:第1接続部材
13:第2接続部材
C1~C5:バッテリーセル
N1:第1共通ノード
N2:第2共通ノード
RT1~RT4:第1連結抵抗
RB1~RB4:第2連結抵抗