(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177554
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】搬送装置、及び、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20231207BHJP
G03G 15/01 20060101ALI20231207BHJP
G03G 15/16 20060101ALI20231207BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
G03G21/00 370
G03G15/01 Y
G03G15/16
B41J2/01 101
B41J2/01 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090287
(22)【出願日】2022-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100186853
【弁理士】
【氏名又は名称】宗像 孝志
(72)【発明者】
【氏名】中村 なぎさ
(72)【発明者】
【氏名】高木 広彰
(72)【発明者】
【氏名】芦川 正啓
(72)【発明者】
【氏名】山口 淳平
(72)【発明者】
【氏名】笠舞 真史
(72)【発明者】
【氏名】生方 幹二
【テーマコード(参考)】
2C056
2H200
2H270
2H300
【Fターム(参考)】
2C056EA21
2C056EB35
2C056EB52
2C056EC28
2C056EC34
2C056EC37
2C056HA27
2C056HA29
2H200FA09
2H200FA20
2H200GA12
2H200GA23
2H200GA34
2H200GA45
2H200HA02
2H200HB12
2H200HB22
2H200JA02
2H200JC03
2H200JC19
2H200LA24
2H200PA10
2H200PA11
2H200PA12
2H200PB14
2H200PB35
2H270KA04
2H270KA32
2H270LA32
2H270LA36
2H270LA51
2H270LA66
2H270LA72
2H270LD03
2H270LD04
2H270LD09
2H270LD14
2H270MB55
2H270MC01
2H270MC13
2H270MC40
2H270MD10
2H270MD22
2H270MH02
2H270MH05
2H270MH07
2H270ZC03
2H270ZC04
2H300EA05
2H300EB04
2H300EB07
2H300EB12
2H300EB23
2H300EB24
2H300EC02
2H300EC16
2H300EF03
2H300EF08
2H300EF17
2H300EJ09
2H300GG01
2H300GG02
2H300GG03
2H300GG04
2H300GG11
2H300GG38
2H300HH24
2H300HH32
2H300HH36
2H300HH39
2H300HH40
2H300KK03
2H300QQ04
2H300QQ10
2H300RR17
2H300TT03
2H300TT04
(57)【要約】
【課題】回転体と、中間転写ベルトとが当接しても、摩擦で中間転写ベルトが傷つくのを防ぐ。
【解決手段】搬送装置が、ベルトと、少なくとも前記ベルトの速度に直接的に関連する速度に基づいて、前記ベルトを駆動する駆動部を制御する速度制御部と、外表面が移動し、かつ、前記ベルトに対して直接又はシートを介して当接、及び、離間する回転体と、 前記回転体が前記ベルトに対して離間している状態では、前記速度制御部に第1ゲインを用いて前記速度を制御させ、前記回転体と前記ベルトとが当接する時間より所定時間前になると、前記第1ゲインよりも高い第2ゲインにゲインを切り替える切替部とを備える。
【選択図】
図26
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルトと、
少なくとも前記ベルトの速度に直接的に関連する速度に基づいて、前記ベルトを駆動する駆動部を制御する速度制御部と、
外表面が移動し、かつ、前記ベルトに対して直接又はシートを介して当接、及び、離間する回転体と、
前記回転体が前記ベルトに対して離間している状態では、前記速度制御部に第1ゲインを用いて前記速度を制御させ、前記回転体と前記ベルトとが当接する時間より所定時間前になると、前記第1ゲインよりも高い第2ゲインにゲインを切り替える切替部と
を備える搬送装置。
【請求項2】
ベルトと、
少なくとも前記ベルトの速度に直接的に関連する速度に基づいて、前記ベルトを駆動する駆動部を制御する速度制御部と、
外表面が移動し、かつ、前記ベルトに対して直接又はシートを介して当接、及び、離間する回転体と、
前記回転体が前記ベルトに対して離間している状態において前記速度制御部に第1ゲインを用いて前記速度を制御させ、かつ、前記第1ゲインよりも高い第2ゲインにゲインの切り替えを行う切替部と、
前記切替部が切り替えを行った所定時間後に前記回転体と前記ベルトとを当接させる接離制御部と
を備える搬送装置。
【請求項3】
前記切替部は、
前記速度制御部が使用するゲインを段階的に切り替える
請求項1又は2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記駆動部を起動させてからの経過時間を計測する時間計測部と、
前記経過時間に基づいて、前記ベルトが過渡状態か、又は、定常状態かを判定する時間判定部とを更に備える
請求項1又は2に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記速度を計測する速度計測部と
前記速度に基づいて、前記ベルトが過渡状態か、又は、定常状態かを判定する速度判定部とを更に備える
請求項1又は2に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記回転体は、前記シートに対して2次転写を行う
請求項1又は2に記載の搬送装置。
【請求項7】
前記ベルトの位置を制御する位置制御部を更に備え、
前記位置制御部、及び、前記速度制御部は、
用いるゲインと同一の比率でゲインを切り替える
請求項1又は2に記載の搬送装置。
【請求項8】
前記切替部は、
前記ベルトが基準速度より低速の状態で切り替えを行う
請求項1又は2に記載の搬送装置。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の搬送装置を有する画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置、及び、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆる電子写真方式に係る画像形成装置が知られている。当該画像形成装置には、感光体ドラムに形成した潜像に顕像材を付着させた像を中間転写ベルトに転写し、中間転写ベルトから記録媒体へと2次転写することで、記録媒体に画像を形成する機能を備える。このような機能を備える画像形成装置は、記録媒体を転写位置に搬送する搬送手段、及び、顕像を転写位置に搬送する中間転写ベルト等を含む搬送装置を備える。
【0003】
中間転写ベルトは、無端状の部材であって、転写位置に対して一定の速度で移動し続けるように構成する。この中間転写ベルトの移動速度は、感光体ドラムから中間転写ベルトに対する1次転写と、中間転写ベルトから記録媒体に対する2次転写における、像の質に影響を与える要素の一つである。すなわち、中間転写ベルトの移動速度は、画像形成装置における画像品質の点において重要であるので、これを精度よく調整することが求められる。
【0004】
一方、感光体ドラムから中間転写ベルトに像を転写するには、これらを接触させる必要があるので、接触負荷が増大すると、中間転写ベルトの速度制御が困難になり、最終的には中間転写ベルトが停止することになる。中間転写ベルトと感光体ドラムの接触負荷の増大に対する対策として、負荷が変化するタイミングに応じて、中間転写ベルトの駆動源(モータなど)のゲインを変化させればよい。そこで、モータの駆動立ち上げ時の加速ゲインと、モータが定速駆動に移行した後に移動体と像担持体の接触後までの当接ゲインと、移動体と像担持体との接触後からモータの駆動立ち下げ時までの定速駆動時の作像ゲインとを異なる値とする技術が知られている(例えば、特許文献1等である)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のように、複数のゲインを用いる場合では、ゲインを切り替えると、速度変動が生じやすい。このように、速度変動が生じると、感光体ドラム、又は、2次転写ローラ等の回転体と、中間転写ベルトとが当接すると、摩擦で中間転写ベルトが傷つく可能性があるのが課題である。なお、電子写真方式の中間転写ベルト以外であっても、本課題は発生する。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、回転体と、中間転写ベルトとが当接しても、摩擦で中間転写ベルトが傷つくのを防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、搬送装置は、
ベルトと、
少なくとも前記ベルトの速度に直接的に関連する速度に基づいて、前記ベルトを駆動する駆動部を制御する速度制御部と、
外表面が移動し、かつ、前記ベルトに対して直接又はシートを介して当接、及び、離間する回転体と、
前記回転体が前記ベルトに対して離間している状態では、前記速度制御部に第1ゲインを用いて前記速度を制御させ、前記回転体と前記ベルトとが当接する時間より所定時間前になると、前記第1ゲインよりも高い第2ゲインにゲインを切り替える切替部と
を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、回転体と、中間転写ベルトとが当接しても、摩擦で中間転写ベルトが傷つくのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】中間転写ベルト、及び、中間転写ベルトの周辺の例を示す図である。
【
図5】画像形成装置を簡略化した例を示す図である。
【
図9】ゲインを切り替えるタイミングの第1例を示す図である。
【
図10】速度差によってベルトが傷つく場合の例を示す図である。
【
図11】ゲインを切り替えるタイミングの第2例を示す図である。
【
図12】ゲインの段階的な切り替えの第1例を示す図である。
【
図13】ゲインの段階的な切り替えの第1例の結果を示す図である。
【
図14】ゲインの段階的な切り替えの第2例を示す図である。
【
図15】ゲインの切り替えの比較例を示す図である。
【
図17】第3実施形態における状態の判断例を示す図である。
【
図18】第4実施形態における状態の判断例を示す図である。
【
図20】第5実施形態における各タイミングの例を示す図である。
【
図22】感光体ドラムをすべて離間させている状態の例を示す図である。
【
図28】制御装置のハードウェア構成例を示す図である。
【
図31】直接転写方式の画像形成装置の内部構成を例示する概略図である。
【
図32】液体を吐出する装置の内部構成を例示する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1実施形態]
以下、添付する図面を参照し、具体例を説明する。なお、実施形態は、以下に説明する具体例に限られない。
【0011】
[画像形成装置の例]
図1は、画像形成装置の例を示す図である。以下、搬送装置を有する画像形成装置100を例に説明する。
【0012】
画像形成装置100の中央には、像担持体としての中間転写ベルト8(「無端ベルト」、「中間転写体」、又は、「転写ベルト」等という場合もある。)が設置される。また、中間転写ベルト8に対向する位置に、各色(イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及び、ブラック(K)である。以下、色を示す符号を用いて説明する。)に対応する作像装置6Y、6M、6C、及び、6Kが設置される。
【0013】
図2は、作像装置の例を示す図である。なお、
図2は、画像形成装置100における作像装置の例を拡大して示す。以下、イエロー用の作像装置(以下、「作像装置6Y」という。)を例に説明する。
【0014】
作像装置6Yは、感光体の例である感光体ドラム1Yと、感光体ドラム1Yの周囲に設置する帯電装置4Y、現像装置5Y、クリーニング装置2Y、潤滑剤供給装置3、及び、除電装置等で構成する。そして、感光体ドラム1Y上で、作像プロセス(具体的には、帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程、及び、除電工程である。)を行うと、感光体ドラム1Y上に、イエロー画像が形成される。
【0015】
なお、他の色は、作像装置6Yと同様の構成である装置において、異なる色のトナーを用いて、各色の画像が形成される。
【0016】
感光体ドラム1Yは、駆動モータによって反時計方向に外表面が回転駆動する。そして、帯電装置4Yの位置で、感光体ドラム1Yの外表面は、一様に帯電される(すなわち、帯電工程である)。
【0017】
次に、感光体ドラム1Yの外表面は、露光装置7が発するレーザ光Lの照射位置に達すると、幅方向(紙面垂直方向であって、主走査方向である。)の露光走査によって、イエローに対応した静電潜像が形成される(すなわち、露光工程である)。
【0018】
次に、感光体ドラム1Yの外表面は、現像装置5Yとの対向位置に達すると、静電潜像が現像される。この現像により、イエローのトナー像が形成される(すなわち、現像工程である)。
【0019】
次に、感光体ドラム1Yの外表面は、中間転写ベルト8、及び、1次転写ローラ9Yとの対向位置に達すると、感光体ドラム1Yの外表面に形成されたトナー像が中間転写ベルト8に1次転写される(すなわち、1次転写工程である)。このような1次転写がされると、感光体ドラム1Y上には、転写トナーが残存する場合がある。
【0020】
次に、感光体ドラム1Yの外表面がクリーニング装置2Yとの対向位置に達すると、感光体ドラム1Y上に残存した未転写トナーは、クリーニングブレード2aによってクリーニング装置2Y内に回収される(すなわち、クリーニング工程である)。
【0021】
ここで、クリーニング装置2Yは、潤滑剤供給ローラ3a、固形潤滑剤3b、及び、圧縮スプリング3c等で構成する潤滑剤供給装置3(「感光体用潤滑剤供給装置」ともいう。)を有する。そして、時計方向に回転する潤滑剤供給ローラ3aは、固形潤滑剤3bから潤滑剤を少量ずつ削る。次に、潤滑剤供給ローラ3aによって感光体ドラム1Yの表面に潤滑剤が供給される。
【0022】
最後に、感光体ドラム1Yの外表面は、除電装置との対向位置に達すると、感光体ドラム1Y上の残留電位が除去される(すなわち、除電工程である)。
【0023】
以上のように、感光体ドラム1Yに対する一連の作像プロセスが行われる。
【0024】
なお、上述した作像プロセスは、各色の作像装置6M、6C、及び、6Kでも、イエロー用の作像装置6Yと同様である。
【0025】
露光装置7から、画像情報に基づくレーザ光Lが、各色の作像装置6M、6C、6Kが各々備える感光体ドラム1M、1C、及び、1K上に対して発せられる。具体的には、露光装置7は、光源からレーザ光Lを発し、かつ、レーザ光Lをポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学素子を介して感光体ドラム上に照射する。なお、露光装置7は、例えば、複数のLEDを幅方向に並べて配置した装置等である。
【0026】
その後、各色現像装置5M、5C、及び、5Kによる現像工程によって形成した各色のトナー像は、中間転写ベルト8上に重ねて1次転写される。こうして、中間転写ベルト8上にカラー画像が形成される。
【0027】
図3は、中間転写ベルト、及び、中間転写ベルトの周辺の例を示す図である。具体的には、中間転写ベルト8は、複数のローラ部材、及び、2次転写対向ローラ80によって張架、かつ、支持される。また、中間転写ベルト8は、駆動モータMt1による駆動で回転する。なお、中間転写ベルト8は、
図3において、矢印方向301に回転する。
【0028】
1次転写ローラ9Y、9M、9C、及び、9Kは、中間転写ベルト8を感光体ドラム1Y、1M、1C、及び、1Kとの間に挟む1次転写ニップと行う。そして、1次転写ローラ9Y、9M、9C、及び、9Kには、トナーの極性とは逆の極性となる転写電圧(すなわち、1次転写バイアスである。)が印加される。
【0029】
中間転写ベルト8は、矢印方向301に駆動し、かつ、1次転写ローラ9Y、9M、9C、及び、9Kによって1次転写ニップを行う。このようにすると、感光体ドラム1Y、1M、1C、及び、1K上に形成する各色のトナー像が、中間転写ベルト8の表面に重ねて1次転写される(すなわち、1次転写工程である)。
【0030】
1次転写が行われた中間転写ベルト8が2次転写ベルト71との対向位置に達すると、2次転写対向ローラ80は、2次転写ローラ72との間に、中間転写ベルト8と2次転写ベルト71とを挟み込む2次転写ニップ(「転写ニップ」等ともいう。)を行う。そして、中間転写ベルト8上に形成された4色のトナー像は、搬送するシートP上に2次転写される(すなわち、2次転写工程である。)。なお、中間転写ベルト8には、シートPに転写されなかった未転写トナーが残存する場合がある。
【0031】
中間転写ベルト8が中間転写クリーニング装置10の位置に達すると、中間転写クリーニング装置10は、中間転写ベルト8の表面に付着した未転写トナー等の付着物が除去する。
【0032】
さらに、中間転写ベルト8が潤滑剤供給装置30の位置に達すると、中間転写ベルト8の表面に対し、潤滑剤が供給される。
【0033】
以上のように、中間転写ベルト8に対する一連の転写プロセスが行われる。
【0034】
2次転写ニップを行う位置には、シートPが搬送される。シートPは、給紙装置26から、給紙ローラ27、及び、レジストローラ対28等によって搬送される。
【0035】
具体的には、給紙装置26には、シートPが複数枚重ねて収納される。そして、給紙ローラ27が反時計方向に回転駆動すると、一番上のシートPは、第1搬送経路K1を経由して、レジストローラ対28に向けて搬送される。
【0036】
レジストローラ対28(「タイミングローラ対」等ともいう。)に搬送されると、シートPは、停止したレジストローラ対28で停止する。そして、中間転写ベルト8上のカラー画像にタイミングを合わせて、シートPは、2次転写ニップを行う位置に向けて搬送される。このようにして、シートP上に、カラー画像が転写される。
【0037】
2次転写ニップによって、カラー画像が転写されたシートPは、2次転写ベルト71によって搬送される。次に、シートPは、2次転写ベルト71で搬送された後、搬送ベルト60によって、定着装置50に搬送される。そして、シートPは、定着ベルト、及び、圧力ローラによる熱と圧力とにより、表面に転写されたカラー画像がシートP上に定着される(すなわち、定着工程である)。
【0038】
次に、シートPは、第2搬送経路K2を経由して、排紙ローラ対によって装置外へと排出される。そして、シートPは、順次スタックされる。
【0039】
以上のように、画像形成装置100における画像形成プロセス(「印刷動作」ともいう。)が完了する。
【0040】
また、定着装置50の下流では、第2搬送経路K2、又は、第3搬送経路K3に分岐する。
【0041】
画像形成装置100には、2次転写ニップによって、おもて面にトナー像が転写された後、シートPの裏面にも、中間転写ベルト8上のトナー像を転写する場合がある。このため、画像形成装置100は、両面搬送装置40を有してもよい。
【0042】
具体的に、シートPの両面(すなわち、おもて面と裏面とである。)に画像形成を行う「両面印刷モード」が選択されている場合には、シートPは、おもて面への画像形成プロセスが完了すると排紙されず、両面搬送装置40によって第3搬送経路K3に搬送される。次に、シートPは、第4搬送経路K4を経由して再び2次転写装置70に搬送される。そして、裏面には、おもて面と同様の画像形成プロセスが行われる。
【0043】
現像装置5Yは、感光体ドラム1Yに対向する現像ローラ51Yと、現像ローラ51Yに対向するドクターブレード52Yと、現像剤収容装置内に設置する2つの搬送スクリュ55Yと、現像剤中のトナー濃度を検知する濃度検知センサ56Y等で構成する。
【0044】
現像ローラ51Yは、マグネット、及び、マグネットの周囲を回転するスリーブ等で構成する。そして、現像剤収容装置内には、キャリア、及び、トナー等である2成分の現像剤Gが収容される。
【0045】
現像ローラ51Yのスリーブは、
図2における矢印方向に回転する。そして、マグネットが形成する磁界によって、現像ローラ51Y上に担持された現像剤Gは、スリーブの回転にともない、現像ローラ51Y上を移動する。ここで、現像装置5Y内の現像剤Gは、トナーの割合(すなわち、トナー濃度である)が所定の範囲内になるように調整される。具体的には、濃度検知センサ56Yによって、トナー濃度が低いと検知されると、トナー濃度が所定の範囲内になるように、トナー容器58から現像装置5Y内に新品トナーが補給される。
【0046】
トナー容器58からトナーが補給されると、2つの搬送スクリュ55Yによって、トナーは、現像剤Gと混合及び撹拌される。このようにして、トナーは、隔絶された2つの現像剤収容装置を循環する。そして、現像剤G中のトナーは、キャリアとの摩擦帯電によりキャリアに吸着して、現像ローラ51Y上に形成された磁力により、キャリアと一緒に現像ローラ51Y上に担持される。
【0047】
現像ローラ51Y上に担持された現像剤Gは、
図2における矢印方向に搬送される。そして、現像剤Gは、ドクターブレード52Yの位置に達する。現像ローラ51Y上の現像剤Gは、現像剤量が適量化された後に、感光体ドラム1Yとの対向位置(すなわち、現像領域である。)まで搬送される。そして、現像領域に形成された電界によって、感光体ドラム1Y上に形成された潜像に、トナーが吸着される。その後、現像ローラ51Y上に残った現像剤Gは、スリーブの回転により、現像剤収容装置上方に達すると、現像ローラ51Yから外れる。
【0048】
なお、トナー容器58は、現像装置5Yに対して着脱可能(すなわち、交換可能である。)である。そして、トナー容器58は、トナーが空になると、現像装置5Yから取り外されて新品と交換する。
【0049】
搬送装置は、像担持体としての中間転写ベルト8、色ごとの1次転写ローラ9Y、9M、9C、及び、9K、駆動ローラ16、従動ローラ17、転写前ローラ18、テンションローラ19、クリーニング対向ローラ20、潤滑剤対向ローラ21、バックアップローラ22、中間転写クリーニング装置10、潤滑剤供給装置30、2次転写対向ローラ80、並びに、2次転写装置70等で構成する。
【0050】
中間転写ベルト8は、感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kに当接して1次転写ニップを形成する。また、中間転写ベルト8は、8つのローラ部材(
図3では、駆動ローラ16、従動ローラ17、転写前ローラ18、テンションローラ19、クリーニング対向ローラ20、潤滑剤対向ローラ21、バックアップローラ22、及び、2次転写対向ローラ80、である。)によって張架、及び、支持される。
【0051】
中間転写ベルト8は、PVDF(フッ化ビニルデン)、ETFE(エチレン-四フッ化エチレン共重合体)、PI(ポリイミド)、又は、PC(ポリカーボネート)等を単層、又は、複数層に構成し、かつ、カーボンブラック等の導電性材料を分散させたベルト部材である。
【0052】
中間転写ベルト8は、体積抵抗率が106乃至1013Ωcm、ベルト裏面側の表面抵抗率が107乃至1013Ωcmである。また、中間転写ベルト8は、厚さが20乃至200μmである。以下、中間転写ベルト8の厚さは60μm程度、かつ、体積抵抗率が109Ωcm程度であるとする。
【0053】
中間転写ベルト8には、ゴム材料等の弾性層が中間層として設けられる。このような中間層によって、表面に凹凸があるシートPであっても、2次転写ニップにおける転写性が低下しにくくなる。
【0054】
中間転写ベルト8は、表面に離型層をコートしてもよい。例えば、コートに用いる材料は、ETFE(エチレン-四フッ化エチレン共重合体)、PTFE(ポリ四フッ化エチレン)、PVDF(フッ化ビニルデン)、PEA(パーフルオロアルコキシフッ素樹脂)、FEP(四フッ化エチレン-六フッ化プロピレン共重合体)、又は、PVF(フッ化ビニル)等のフッ素樹脂である。なお、コートは、これら以外の材料を用いてもよい。
【0055】
1次転写ローラ9Y、9M、9C、及び、9Kは、中間転写ベルト8を介して対応する感光体ドラム1Y、1M、1C、及び1Kに当接する。
【0056】
具体的には、イエロー用の1次転写ローラ9Yは、中間転写ベルト8を介して、イエロー用の感光体ドラム1Yに当接する。また、1次転写ローラ(マゼンタ用)9Mは、中間転写ベルト8を介して、感光体ドラム(マゼンタ用)1Mに当接する。同様に、1次転写ローラ(シアン用)9Cは、中間転写ベルト8を介して、感光体ドラム(シアン用)1Cに当接する。さらに、転写ローラ(ブラック用)9Kは、中間転写ベルト8を介して、感光体ドラム(ブラック用)1Kに当接する。
【0057】
1次転写ローラ9Y、9M、9C、及び、9Kは、それぞれ、直径が10mm程度の芯金上に、外径が16mm程度の導電性スポンジ層が形成された弾性ローラである。また、1次転写ローラ9Y、9M、9C、及び、9Kは、体積抵抗が106乃至1012Ω(好ましくは、107Ω乃至109Ωである。)である。
【0058】
駆動ローラ16は、4つの感光体ドラムに対し、中間転写ベルトが駆動する方向における下流に位置する。そして、駆動ローラ16は、中間転写ベルト8が120度程度の角度で巻き付けられた状態で、中間転写ベルト8の内周面に当接する。また、駆動ローラ16は、駆動モータMt1によって時計方向に回転するように駆動する。これにより、中間転写ベルト8は、所定方向(
図3では時計周り方向である。)に駆動する。また、駆動モータMt1は、制御装置90が制御する。
【0059】
従動ローラ17は、4つの感光体ドラムに対し、間転写ベルトが駆動する方向における上流流に位置する。そして、従動ローラ17は、中間転写ベルト8が180度程度の角度で巻き付けられた状態で、中間転写ベルト8の内周面に当接する。また、中間転写ベルト8において、従動ローラ17から駆動ローラ16に至る部分は、ほぼ水平である。そして、従動ローラ17は、中間転写ベルト8が駆動すると従動して回転する。
【0060】
テンションローラ19は、中間転写ベルト8の外周面に当接する。
【0061】
転写前ローラ18、クリーニング対向ローラ20、潤滑剤対向ローラ21、バックアップローラ22、及び、2次転写対向ローラ80は、中間転写ベルト8の内周面に当接する。
【0062】
2次転写対向ローラ80と潤滑剤対向ローラ21との間には、中間転写ベルト8を介して、クリーニング対向ローラ20に当接するように、中間転写クリーニング装置10(例えば、クリーニングブレードである。)が設置される。
【0063】
クリーニング対向ローラ20とテンションローラ19との間には、中間転写ベルト8を介して、潤滑剤対向ローラ21に当接するように、潤滑剤供給装置30(例えば、中間転写潤滑剤供給装置である。)が設置される。
【0064】
潤滑剤供給装置30は、感光体ドラム用の潤滑剤供給装置3と同様に、潤滑剤供給ローラ、固形潤滑剤、及び、圧縮スプリング等で構成する。そして、反時計方向に潤滑剤供給ローラが回転すると、固形潤滑剤から潤滑剤が少量ずつ削られる。そして、潤滑剤供給ローラによって、中間転写ベルト8の表面に、潤滑剤が供給される。
【0065】
駆動ローラ16を除くローラ部材は、いずれも、中間転写ベルト8が駆動すると従動して回転する。
【0066】
2次転写対向ローラ80は、中間転写ベルト8と2次転写ベルト71とを介して、2次転写ローラ72に当接する。
【0067】
2次転写対向ローラ80は、ステンレス鋼等の材質である。また、2次転写対向ローラ80には、円筒状の芯金の外周面に、体積抵抗が107乃至108Ω程度、かつ、硬度(JIS-A硬度)が48乃至58度程度のNBRゴム等で構成する弾性層(なお、層厚は5mm程度である。)が形成される。
【0068】
2次転写対向ローラ80は、電源装置93に電気的に接続する。そして、電源装置93は、-5kV程度の高圧電圧となる2次転写バイアスを印加する。2次転写バイアスは、シートPにトナー像を2次転写するために印加される。そのため、2次転写バイアスは、トナーの極性と同じ極性(以下、マイナス極性とする。)の直流電圧である。これにより、中間転写ベルト8上のトナーが、2次転写電界によって2次転写対向ローラ80側から2次転写装置70側に向かって静電移動する。
【0069】
図4は、2次転写装置の例を示す図である。2次転写装置70は、2次転写ベルト71、2次転写ローラ72、分離ローラ73、テンションローラ74、ブラシ対向ローラ75、ブラシローラ78、第1ブレード対向ローラ76、第1ブレード85、潤滑剤塗布ローラ79、第2ブレード対向ローラ77、及び、第2ブレード86等で構成する。
【0070】
2次転写ベルト71は、6つのローラ(すなわち、2次転写ローラ72、分離ローラ73、テンションローラ74、ブラシ対向ローラ75、第1ブレード対向ローラ76、及び、第2ブレード対向ローラ77である。)に張架、かつ、支持された無端ベルトである。例えば、2次転写ベルト71は、中間転写ベルト8と同じ材料である。
【0071】
2次転写ベルト71は、中間転写ベルト8と当接して転写ニップを行う。また、2次転写ベルト71は、シートPを搬送する。
【0072】
なお、2次転写ベルト71は、ゴム材料等の弾性層を中間層として設けてもよい。
【0073】
2次転写ローラ72は、2次転写対向ローラ80との間に、中間転写ベルト8と2次転写ベルト71とを挟んで2次転写ニップを行う。
【0074】
2次転写ローラ72は、ステンレス鋼、又は、アルミニウム等の中空状の芯金上に、硬度(例えば、アスカーC硬度である。)が40~50度程度の弾性層を形成して構成する。
【0075】
2次転写ローラ72の弾性層は、ポリウレタン、EPDM、及び、シリコーン等のゴム材料に、カーボン等の導電性フィラーを分散、又は、イオン性の導電材料を含有させる等によって、ソリッド状又は発泡スポンジ状に形成する。
【0076】
弾性層は、転写電流の集中を抑えるために、その体積抵抗が106.5乃至107.5Ω程度である。なお、2次転写ローラ72は、接地(すなわち、アースである。)される。
【0077】
また、2次転写ローラ72は、モータ92によって、反時計方向に駆動する。そして、2次転写ベルト71は、反時計方向に回転する。そのため、2次転写ベルト71の内周面に当接するローラ部材(分離ローラ73、テンションローラ74、ブラシ対向ローラ75、第1ブレード対向ローラ76、第2ブレード対向ローラ77、ブラシローラ78、及び、潤滑剤塗布ローラ79である。)が反時計方向に従動して回転する。そして、2次転写ベルト71の外周面に当接するブラシローラ78と潤滑剤塗布ローラ79とが、時計方向に従動して回転する。
【0078】
なお、モータ92は、回転数が可変のモータであって、制御装置90による制御によって2次転写ローラ72の回転数(すなわち、2次転写ベルト71の回転速度である。)を調整する。
【0079】
また、2次転写ローラ72は、移動機構94によって、中間転写ベルト8と接触、及び、離間する。このように、2次転写ローラ72は、2次転写ニップにおける当接圧(すなわち、ニップ圧である。)が調整される。
【0080】
移動機構94は、2次転写ローラ72の両端軸部を支持するカム機構等である。
【0081】
分離ローラ73は、2次転写ローラ72に対し、シートPを搬送する方向の下流に位置する。シートPは、2次転写ベルト71に沿うように搬送されると、分離ローラ73の位置で、分離ローラ73の外周に沿うように曲面が形成された2次転写ベルト71によって、2次転写ベルト71から分離される。
【0082】
ブラシローラ78は、2次転写ベルト71の表面に付着したトナーを除去する。そのため、ブラシローラ78は、トナー極性とは逆極性のクリーニングバイアスが印加される。
【0083】
第1ブレード85は、2次転写ベルト71の表面に当接する。そして、第1ブレード85は、2次転写ベルト71の表面に付着したトナー及び紙粉等異物を除去する。
【0084】
潤滑剤塗布ローラ79は、第1ブレード85等の摩耗を低減するために、2次転写ベルト71の表面に潤滑剤を塗布する。
【0085】
第2ブレード86は、2次転写ベルト71の表面に当接する。そして、第2ブレード86は、2次転写ベルト71の表面に塗布された潤滑剤を薄層化させる。
【0086】
画像形成装置100は、タッチパネル200等の入出力装置があってもよい。また、画像形成装置100は、上記に説明する構成に限られず、図示する以外の装置を備えてもよい。
【0087】
[制御例]
以下、本実施形態に係る画像形成装置100における中間転写ベルト8の速度制御について説明する。
図5は、すでに説明をした画像形成装置100が備える構成のうち、中間転写ベルト8を中心とする搬送装置の実施形態を簡略化した例である。なお、
図5は、感光体ドラム1Y、1M、1C、1K、及び、1Sを中間転写ベルト8に対向する位置に配列した構成を示す。したがって、
図5に示す構成を用いると、画像形成において5色の異なる色の像を形成することが可能となる。
【0088】
図6は、中間転写ベルト8の速度制御を行うための制御ブロックを例示する。なお、中間転写ベルト8は、
図4に例示した2次転写ベルト71に置き換えても以下の制御は成立する。
【0089】
図6における「駆動軸ローラ」は、
図3に例示した駆動ローラ16に相当する。
図5に示すように、「駆動軸ローラ」は、中間転写ベルト8を回動可能に担持し、中間転写ベルト8を所定の方向に、所定の速度で移動させる駆動力を与える。また、「駆動軸ローラ」は、「駆動モータ」を駆動源とする。したがって、「駆動モータ」が駆動すると、中間転写ベルト8が感光体ドラム1Y、1M、1C、1K、及び、1Sに対して移動する(
図5を参照)。
【0090】
図6における「駆動モータ」は、中間転写ベルト8を駆動させるアクチュエータである。具体的には、「駆動モータ」は、「目標駆動ローラ回転速度」が示す速度を目標にして、「駆動軸ローラ」を回転させる。
【0091】
「駆動軸ローラ」、及び、「駆動モータ」が駆動装置101となる。さらに、駆動装置101は、モータドライバ等の装置を備える。また、駆動装置101は、他に機構部品、及び、電子装置があってもよい。さらに、駆動装置101は、複数あってもよい。
【0092】
図6におけるエンコーダ106は、例えば、
図5に示すように、「駆動モータ」が駆動させる駆動軸等に取り付けられるエンコーダ106である。エンコーダ106が出力する駆動軸の回転速度に基づき、コントローラC0は、中間転写ベルト8の速度制御等を行う。なお、光学式センサ102等があってもよい。光学式センサ102は、中間転写ベルト8に事前に設置するスケールを読み取るセンサである。
【0093】
図6におけるコントローラC0は、「駆動モータ」を制御する制御装置である。したがって、コントローラへの入力に応じて「駆動モータ」が動作をし、その結果、中間転写ベルト8の動作が制御される。
【0094】
以上の構成を有する制御ブロックによる制御の流れについて説明する。まず制御装置としてのコントローラC0に「目標駆動ローラ回転速度」が入力されると、コントローラC0は、エンコーダ106からのフィードバックに基づき、「目標駆動ローラ回転速度」の速度で中間転写ベルト8を駆動するように駆動モータの動作を制御する。具体的には、コントローラC0は、フィードバック制御により、フィードバック結果と、目標値(この例では、「目標駆動ローラ回転速度」である。)との差分を増幅して、差分が減るように補正する。
【0095】
以下、フィードバック結果と、目標値との差分を増幅する増幅量を「ゲイン」(Gain)と表記する。ゲインの値を大きくすると、目標値とフィードバック値の差分が大きくなり、単位時間当たりの変化率が高くなる。その結果、コントローラC0から出力される駆動モータの制御値の変化も大きくなる。すなわち、ゲインの値を大きくすると、フィードバックに対する応答が速くなるので、中間転写ベルト8の速度の制御性(目標値に対する追従性)を高めることができる。
【0096】
一方で、ゲインの値を小さくすると、目標値とフィードバック値の差分が小さくなり、単位時間当たりの変化率は小さくなる。その結果、コントローラC0から出力される駆動モータの制御値の変化は小さくなる。すなわち、ゲインの値を小さくすると、フィードバックに対する変化を小さくし、中間転写ベルト8の速度の安定性を高めることができる。
【0097】
したがって、「外乱」によって、例えば中間転写ベルト8の移動速度が、意図しない変化をしても、画像形成装置100は、「目標駆動ローラ回転速度」の速度で中間転写ベルト8を駆動させるように、駆動軸ローラの回転を制御して、中間転写ベルト8の加速又は減速の制御を行う。
【0098】
感光体ドラム1Y、1M、1C、1K、及び、1Sは、潜像の顕像材を付着させた後に中間転写ベルト8へ1次転写を行う段階では、中間転写ベルト8と当接する。一方で、感光体ドラム1Y、1M、1C、1K、及び、1Sは、中間転写ベルト8への転写を行わない段階では、中間転写ベルト8と離間した状態になる。
【0099】
なお、画像形成装置100は、
図6に示す以外の制御を行ってもよい。例えば、画像形成装置100は、速度、又は、加速度等をフィードバックして位置以外を制御対象としてもよい。
【0100】
図7は、理想状態の制御例を示す図である。
図7に示すように、理想状態下では、「外乱」がないため、ベルトが停止状態から加速して定速で移動する「定常状態」において、中間転写ベルト8の移動速度は、目標値103で維持される。そして、画像形成装置100を起動して中間転写ベルト8を移動させるにあたり、「定常状態」に至るまでの「過渡状態」では、目標値103(目標駆動ローラ回転速度)に対して、中間転写ベルト8の移動速度は遅い。これをセンサが検出するので、コントローラC0は、速度が目標値103となるまで加速させる制御を行う。
【0101】
実際に画像形成装置100を運用するとき、上記のような理想状態ではなく「外乱」が生じることの方が多い。「外乱」が生じると、例えば、以下のようになる。
【0102】
図8は、外乱が加わった場合の制御例を示す図である。例えば、外乱は、中間転写ベルト8を駆動させる負荷、又は、目標値103の変更等である。このような外乱が加わると、速度が振動し、理想状態より不安定になる場合がある。このような現象と「発振」という。
【0103】
発振が起きると、発振が収束する、すなわち、画像形成が可能な状態となるまでに時間がかかる場合がある。
【0104】
また、駆動装置101の動きに中間転写ベルト8が追従できなくなると、「駆動軸ローラ」、及び、「駆動モータ」の間に滑りが生じる場合がある。そして、画像形成を行う場合では、異常な画像を形成、又は、画質の悪化となる場合がある。
【0105】
さらに発振が激しくなり、大きな速度の変動があると、モータ速度の異常と判断して、画像形成装置100は、エラー停止する可能性もある。
【0106】
発振は、ゲインの値が大きいと生じやすい。そのため、発振を防ぐために、低いゲインを用いると、速度が安定した後、画像形成を行う場合における制御性能が下がり、画質が低くなる場合がある。
【0107】
そこで、画像形成装置100は、以下のようにゲインを切り替える。
【0108】
[ゲインの切り替え第1例]
画像形成装置100は、感光体ドラムが中間転写ベルト8に対して離間している状態で用いるゲインを「第1ゲイン」という。一方で、画像形成装置100は、「第1ゲイン」と異なる値の「第2ゲイン」に切り替える。以下、第1ゲインを「K0」とする。一方で、第2ゲインを「K1」とする。
【0109】
第2ゲイン「K1」は、第1ゲイン「K0」より高い値である。第2ゲイン「K1」は、画像形成を行う状態で用いる。したがって、第2ゲイン「K1」は、高い値にして制御性を高めると、画質を向上できる。
【0110】
例えば、第1ゲイン「K0」は、実験で設定する値を定める。具体的には、第1ゲイン「K0」は、実機の実験で、いくつかの値を設定する。その上で、何dB以下であれば発振が起きない値であるかが確認される。そして、第1ゲイン「K0」は、発振が起きにくい範囲で、できる限り大きな値が設定される。
【0111】
一方で、第2ゲイン「K1」は、制御性能を最大化するように値が設定される。例えば、目安として、ゲイン余裕「10dB」以上、かつ、位相余裕「40dB」以上が確保できる範囲で、第2ゲイン「K1」は、できる限り大きな値が設定される。ただし、どの程度の値に設定するかは、条件によって異なってもよい。
【0112】
第1ゲイン「K0」は、感光体ドラムが中間転写ベルト8に対して離間している画像形成を行わない状態であるため、ゲインを低くしても、画質に影響が少ない。そして、ゲインを低くすると、
図8のように発振が生じるのを少なくできる。
【0113】
特に、外乱による発振は、負荷の軽い低速で中間転写ベルト8を駆動させると発生しやすい。そこで、速度が低い状態では、画像形成装置100は、第1ゲイン「K0」を用いて、低いゲインで速度を制御する。一方で、画像形成装置100は、高速で中間転写ベルト8を駆動させる状態では、第2ゲイン「K1」を用いて、高いゲインで速度を制御する。このように切り替えると、画像形成装置100は、発振を防ぎ、かつ、画質を向上できる。
【0114】
実験では、176mm/sの速度になると、発振が生じた。一方で、352mm/sの速度になると、発振がほぼ収まった。ゆえに、この実験に用いた機種では、200mm/s以下の低速になると、発振が発生しやすい。なお、発振は、重量、素材、又は、サイズ等によって発振が生じる条件は異なる。したがって、どの程度の速度とするかは、条件によって異なってもよい。
【0115】
なお、低速な状態であるか否かは、事前に設定する基準速度と比較して判断される。
【0116】
図9は、ゲインを切り替えるタイミングの第1例を示す図である。以下、図における「第1タイミングTM1」より所定時間前のタイミングである「第2タイミングTM2」でゲインを切り替える例で説明する。
【0117】
第1タイミングTM1は、中間転写ベルト8に対して感光体ドラムを当接するタイミングである。以下、第1タイミングTM1は、駆動装置の起動から「t1」秒経過した時点とする。なお、「t1」は、例えば、事前に設定する。
【0118】
第2タイミングTM2は、第1タイミングTM1、すなわち、起動から「t1」秒経過した時点(以下「当接時間t1」という。)より所定時間前のタイミングである。以下、所定時間を「t0」とする。なお、第2タイミングTM2は、当接時間t1に対し、所定時間t0より前であればよい。
【0119】
ただし、駆動装置101の立ち上げ後、すなわち、速度が安定した後でないと、ゲインを切り替えると、発振が生じやすい。したがって、ゲインの切り替えタイミングは、速度が安定した後が望ましい。実験では、速度が安定するのに200ms程度の時間がかかった。ゆえに、この実験に用いた機種では、駆動装置101の立ち上げ後、200ms以降に、ゲインを切り替えるのが望ましい。より速度が安定してからが更に望ましく、この実験に用いた機種では、駆動装置101の立ち上げ後、350ms以降にゲインを切り替えるのがより望ましい。なお、ゲインの切り替えタイミングは、モータの種類等によって異なる。したがって、ゲインの切り替えタイミングは、条件によって異なってもよい。
【0120】
第2タイミングTM2でゲインを切り替えるため、第2タイミングTM2より前は、第1ゲイン「K0」である。一方で、第2タイミングTM2以降は、第2ゲイン「K1」である。このように、第2タイミングTM2で第1ゲイン「K0」から第2ゲイン「K1」にゲインが切り替わる。
【0121】
「t0」は、ゲインを切り替えると発生する速度変動104が収束する時間である。例えば、「t0」は、事前に実験して求まる値である。例えば、「t0」は、実験の結果、10ms等である。したがって、ゲインを切り替えてから「t0」以降、時間が経過していると、速度変動104が収束した状態となる。
【0122】
中間転写ベルト8に対して感光体ドラムを当接させるのは、速度変動104が収束した後の状態が望ましい。速度変動104があると、以下のように中間転写ベルト8が傷つく場合がある。
【0123】
図10は、速度差によってベルトが傷つく場合の例を示す図である。以下、感光体ドラムが回転する速度を「第1速度V1」という。一方で、中間転写ベルト8を搬送する速度を「第2速度V2」という。
【0124】
速度差は、第1速度V1と第2速度V2の差である。速度変動104があると、速度差が大きい状態で中間転写ベルト8に対して感光体ドラムが当接する。このような状態では、速度差により一方が速いのに対して他方が遅いため、摩擦が大きくなりやすい。その結果、中間転写ベルト8が傷ついて、摩耗する場合がある。したがって、速度変動104があると、中間転写ベルト8が傷つく場合がある。
【0125】
一方で、ゲインを切り替えてから所定時間が経過すると、速度変動104が収束する。したがって、速度変動104が収束した後に、中間転写ベルト8に対して感光体ドラムが当接するように、第2タイミングTM2は、第1タイミングTM1から逆算して定まる。具体的には、第2タイミングTM2は「t1‐t0」のように、当接時間t1から所定時間t0を減算する計算で定まる。
【0126】
画像形成装置100は、まず感光体ドラムが中間転写ベルト8に対して離間している状態では、第1ゲイン「K0」を用いて、中間転写ベルト8の速度を制御する。そして、中間転写ベルト8に対して感光体ドラムを当接する場合には、画像形成装置100は、中間転写ベルト8に対して感光体ドラムを当接する第1タイミングTM1より所定時間前である第2タイミングTM2でゲインを切り替える。
【0127】
このようにゲインを切り替えると、画像形成装置100は、速度変動104が収束している状態で中間転写ベルト8に対して感光体ドラムを当接するため、中間転写ベルト8が傷つくのを防ぐことができる。
【0128】
[ゲインの切り替え第2例]
画像形成装置100は、以下のようなタイミングでゲインを切り替えてもよい。
【0129】
図11は、ゲインを切り替えるタイミングの第2例を示す図である。第2例は、第1例と比較すると、第3タイミングTM3でゲインを切り替えた後、所定時間後の第3タイミングTM3以降に、中間転写ベルト8に対して感光体ドラムが当接する点が異なる。
【0130】
つまり、第1例は、中間転写ベルト8に対して感光体ドラムを当接するタイミングを基準にして、ゲインを切り替えるタイミングを設定する。一方で、第2例は、ゲインを切り替えるタイミングを基準にして、中間転写ベルト8に対して感光体ドラムを当接するタイミングを設定する。このように、第1例と第2例は、設定対象が異なる。
【0131】
第2例では、第3タイミングTM3が事前に設定される。具体的には、第3タイミングTM3は、起動から「t2」秒後と設定する。
【0132】
第4タイミングTM4は、中間転写ベルト8に対して感光体ドラムを当接させるタイミングである。また、第4タイミングTM4は、第3タイミングTM3を基準に、所定時間後である。
【0133】
所定時間「t0」は、第1例と同様である。したがって、所定時間「t0」以降であれば、速度変動104が収束した状態となる。
【0134】
以上のように、第3タイミングTM3が定まると、第3タイミングTM3から所定時間後に第4タイミングTM4が定まる。なお、第4タイミングTM4は、第3タイミングTM3から所定時間「t0」以降であればよい。
【0135】
このように、ゲインを切り替え、かつ、ゲインを切り替えた時間に基づき、中間転写ベルト8に対して感光体ドラムを当接させるタイミングを決定すると、画像形成装置100は、速度変動104が収束している状態で中間転写ベルト8に対して感光体ドラムを当接するため、中間転写ベルト8が傷つくのを防ぐことができる。
【0136】
[第2実施形態]
第2実施形態は、第1実施形態とゲインの切り替え方が異なる。以下、異なる点を中心に説明し、重複する説明を省略する。
【0137】
ゲインは、以下のように段階的に切り替えるのが望ましい。
【0138】
図12は、ゲインの段階的な切り替えの第1例を示す図である。この例では、画像形成装置100は、第1ゲイン「K0」であるゲインを第11タイミングTM11から第12タイミングTM12にかけて、第2ゲイン「K1」に向かって段階的に切り替える。
【0139】
ゲインの段階的な切り替えは、例えば、ゲインの値を時間に対して線形的に変化させる、又は、ゲインの値を2段階以上に分けて変化させる等である。このように、第1ゲイン「K0」は、第2ゲイン「K1」に切り替えるのに、何回かに分けて、値を徐々に変更するのが望ましい。
【0140】
図13は、ゲインの段階的な切り替えの第1例の結果を示す図である。
図13は、
図12に示す通りゲインを切り替えた(以下、ゲインの値を「第1ゲイン線G1」で示す。)場合の結果を示す。
【0141】
図13に示すように、速度は、第1結果RS1のようになる。具体的には、第1結果RS1では、速度変動104が抑制される。このように、段階的にゲインを切り替えると、速度変動104を抑制できる。そのため、速度変動104が収束するまでの時間、すなわち、所定時間「t0」を短縮できる。
【0142】
ゲインは、以下のように段階的に切り替えられてもよい。
【0143】
図14は、ゲインの段階的な切り替えの第2例を示す図である。この例では、第1例と同様に、画像形成装置100は、第1ゲイン「K0」であるゲインを第11タイミングTM11から第12タイミングTM12にかけて、第2ゲイン「K1」に向かって段階的に切り替える。
【0144】
第1例と比較すると、第2例は、ゲインの時間に対する変化量(以下「単位時間変化量」という。)が一定でない点が異なる。以下、
図14に示す通りゲインを切り替えた(以下、ゲインの値を「第2ゲイン線G2」で示す。)場合の結果を示す。具体的には、第1例は、単位時間変化量が一定である。そのため、第1ゲイン線G1は、第11タイミングTM11から第12タイミングTM12で一定の傾きの直線である。
【0145】
一方で、第2例は、単位時間変化量が第12タイミングTM12に近づくに伴って増加する。そのため、第2ゲイン線G2は、第11タイミングTM11から第12タイミングTM12で2次関数の曲線である。
【0146】
画像形成装置100は、第2例のようにゲインを段階的に切り替えても、
図13のように速度変動104を抑制できる。そのため、速度変動104が収束するまでの時間、すなわち、所定時間「t0」を短縮できる。
【0147】
なお、段階的な切り替えは、第1例、及び、第2例に限られない。例えば、段階的な切り替えは、数段階に分けてゲインを変化させる等でもよい。
【0148】
[比較例]
図15は、ゲインの切り替えの比較例を示す図である。比較例は、第2実施形態と比較すると、ゲインの切り替えが段階的でない点が異なる。すなわち、比較例では、ゲインは、ステップ式で切り替える。
【0149】
図16は、比較例の切り替えの結果を示す図である。ステップ式であると、速度変動104が大きくなりやすい。一方で、段階的に切り替える方式であると、速度変動104を抑制できる。
【0150】
[第3実施形態]
図17は、第3実施形態における状態の判定例を示す図である。第3実施形態は、第1実施形態と比較すると、計測時間を計測する時間計測部、及び、中間転写ベルト8が過渡状態か、又は、定常状態かを判定する判定部を更に備える点が異なる。
【0151】
判定部は、中間転写ベルト8が過渡状態か、又は、定常状態かを駆動部を起動させてからの経過時間に基づいて判定する。
【0152】
以下、経過時間が閾値「T」になると、中間転写ベルト8は、一定の速度で駆動する定常状態になるとする。
【0153】
閾値「T」は、事前に実験で計測した結果である。閾値は、実験後、記憶装置に記憶する。
【0154】
したがって、時間計測部が計測時間を計測し、閾値「T」になると、判定部は、中間転写ベルト8が定常状態となったと判断する。このように、経過時間で判断すると、画像形成装置100は、簡略な計算で状態を判定できる。
【0155】
[第4実施形態]
図18は、第4実施形態における状態の判定例を示す図である。第4実施形態は、第1実施形態と比較すると、中間転写ベルト8が駆動する速度を計測する速度計測部、及び、中間転写ベルト8が過渡状態か、又は、定常状態かを判定する判定部を更に備える点が異なる。
【0156】
判定部は、中間転写ベルト8が過渡状態か、又は、定常状態かを駆動部を起動させてからの速度に基づいて判定する。
【0157】
以下、速度が目標値103である目標速度「V」になると、中間転写ベルト8は、一定の速度で駆動する定常状態になるとする。
【0158】
目標速度「V」は、事前に設定する値である。目標値103は、事前に記憶装置に記憶する。
【0159】
したがって、速度計測部が速度を計測し、目標速度「V」になると、判定部は、中間転写ベルト8が定常状態となったと判断する。このように、経過時間で判断すると、画像形成装置100は、簡略な計算で状態を判定できる。
【0160】
また、判定部は、ゲインを切り替えた場合等にも、速度変動104が収束したか否かを速度に基づいて判定してもよい。
【0161】
[第5実施形態]
第5実施形態は、以下のように、回転体が2次転写ローラ72である点が異なる。すなわち、2次転写ローラ72は、外表面が移動し、かつ、中間転写ベルト8に対して当接、及び、離間する。
【0162】
なお、2次転写ローラ72は、中間転写ベルト8に対して当接する場合には、中間転写ベルト8と2次転写ローラ72の間にシートPが挟まる場合がある。このように、2次転写ローラ72は、シートPがなく、中間転写ベルト8に対して直接当接してもよいし、シートPを介して当接してもよい。
【0163】
また、2次転写部は、2次転写ローラ72以外でもよく、ベルト等でもよい。
【0164】
図19は、第5実施形態の構成例を示す図である。具体的には、2次転写箇所105でも、中間転写ベルト8と2次転写ローラ72が当接する。
【0165】
2次転写箇所105では、画像形成装置100は、シートPに対し、中間転写ベルト8、及び、2次転写ローラ72により、2次転写を行う。したがって、速度変動104があると、感光体ドラムの場合と同様に、速度差が大きい状態で中間転写ベルト8に対して2次転写ローラ72を当接する場合がある。このような状態では、速度差により、中間転写ベルト8が傷つき、摩耗する場合がある。したがって、速度変動104があると、中間転写ベルト8が傷つく場合がある。
【0166】
そこで、画像形成装置100は、第1実施形態と同様に、ゲインの切り替えを行う。具体的には、ゲインの切り替え、及び、当接の制御は、以下のようなタイミングで行う。
【0167】
図20は、第5実施形態における各タイミングの例を示す図である。
【0168】
第5タイミングTM5は、ゲインを切り替えるタイミングである。例えば、第5タイミングTM5は、第2タイミングTM2と同様に定まるタイミングである。
【0169】
第6タイミングTM6は、中間転写ベルト8に対して2次転写ローラ72を当接するタイミングである。
【0170】
第7タイミングTM7は、中間転写ベルト8に対して感光体ドラムを当接するタイミングである。
【0171】
なお、第6タイミングTM6、及び、第7タイミングTM7は、第5タイミングTM5より所定時間「t0」後であればよい。例えば、第6タイミングTM6、及び、第7タイミングTM7は、同時、又は、順序が逆等でもよい。
【0172】
また、画像形成装置100は、第1実施形態におけるゲインの切り替え第2例のように、ゲインの切り替えを行った後、所定時間経過した以降に、中間転写ベルト8に対して2次転写ローラ72、及び、感光体ドラムを当接させてもよい。
【0173】
以上のような構成であると、画像形成装置100は、2次転写ローラ72と、中間転写ベルト8とが接しても、摩擦で中間転写ベルト8が傷つくのを防ぐことができる。
【0174】
[ベルトの制御の変形例]
図21は、ベルトの制御の変形例を示す図である。
図21は、
図6と比較すると、2重にフィードバック制御を行う点が異なる。具体的には、
図21に示す制御ブロック図では、マイナーループR1、及び、メジャーループR2の2つのフィードバックループがある。
【0175】
以上の構成を有する制御ブロックによる制御の流れについて説明する。まず「目標ベルト回転速度」が入力されると、メジャーコントローラC2は、光学式センサ102に基づくメジャーループR2によるフィードバックに基づき、「目標ベルト速度」との速度差がなくなるように制御目標値を出力する。
【0176】
メジャーコントローラC2の制御目標値と「目標駆動ローラ回転速度」に対して、エンコーダ106に基づくマイナーループR1によるフィードバックに基づき、マイナーコントローラC1は、速度差がなくなるように制御する。
【0177】
したがって、メジャーループR2とマイナーループR1の制御では、各々のフィードバックにゲインが用いられる。
【0178】
なお、画像形成装置100は、中間転写ベルト8を位置制御し、かつ、速度制御する構成でもよい。
【0179】
2重のフィードバック制御でゲインの切り替えを行う場合において、例えば、マイナーコントローラC1のゲインのみを下げると、メジャーループR2とマイナーループR1の交差周波数が近づくため、発振する場合がある。そこで、画像形成装置100は、メジャーループR2とマイナーループR1の交差周波数に一定の差を設ける。したがって、ゲインを切り替える場合でも、交差周波数の差は、一定であるのが望ましい。
【0180】
画像形成装置100は、メジャーコントローラC2のゲインとマイナーコントローラC1のゲインを同じ比率で下げる。このようにすると、発振を抑制できる。
【0181】
[フルカラーモード、及び、モノクロモードについて]
画像形成装置100は、フルカラーモード、又は、モノクロモードで画像形成を行う。
【0182】
図22は、感光体ドラムをすべて離間させている状態の例を示す図である。例えば、図示するように、5つの色で画像形成を行う場合を例に説明する。画像形成装置100が画像形成を行っていない場合には、すべての感光体ドラムは、離間した状態である。以下、「非印刷状態」という。
【0183】
画像形成装置100は、各々の感光体ドラムを当接、又は、離間させるアクチュエータを備える。例えば、アクチュエータは、第1モータ401、第2モータ402、及び、第3モータ403のように設置する。具体的には、第3モータ403は、1次転写ローラのうち、最下流に位置する1次転写ローラを動かす。そして、第2モータ402は、イエロー、マゼンタ、及び、シアン用の1次転写ローラを動かす。また、第1モータ401は、1次転写ローラのうち、最上流に位置する1次転写ローラを動かす。さらに、各々のモータは、モータドライバで制御される。なお、各々のモータを制御するのに、センサ、及び、電源装置等の周辺機器があってもよい。なお、装置は、上記以外の構成でもよい。
【0184】
図23は、第1印刷状態の例を示す図である。非印刷状態と比較すると、第1印刷状態は、ブラックの感光体ドラム1Kと中間転写ベルト8が当接している点が異なる。
【0185】
第1印刷状態では、中間転写ベルト8が持ち上げられてブラックの感光体ドラム1Kと中間転写ベルト8が当接する。このような状態であると、ブラックの感光体ドラム1Kによる印刷、すなわち、黒色での印刷が可能となる。したがって、モノクロモードでは、画像形成装置100は、第1印刷状態となる。
【0186】
なお、ブラックの感光体ドラム1Kが当接した後に他色の感光体ドラムが当接してもよい。
【0187】
図24は、第2印刷状態の例を示す図である。第1印刷状態と比較すると、第2印刷状態は、ブラックの感光体ドラム1K、シアンの感光体ドラム1C、マゼンタの感光体ドラム1M、及び、イエローの感光体ドラム1Yがすべて中間転写ベルト8と当接している点が異なる。
【0188】
第2印刷状態では、中間転写ベルト8が持ち上げられてブラックの感光体ドラム1K、シアンの感光体ドラム1C、マゼンタの感光体ドラム1M、及び、イエローの感光体ドラム1Yがすべて中間転写ベルト8と当接する。このような状態であると、ブラックの感光体ドラム1K、シアンの感光体ドラム1C、マゼンタの感光体ドラム1M、及び、イエローの感光体ドラム1Yによる印刷、すなわち、フルカラーでの印刷が可能となる。したがって、フルカラーモードでは、画像形成装置100は、第2印刷状態となる。
【0189】
なお、ブラックの感光体ドラム1Kが当接した後に他色の感光体ドラムが当接してもよい。
【0190】
図25は、第3印刷状態の例を示す図である。第2印刷状態と比較すると、第3印刷状態は、特殊色の感光体ドラム1Sが中間転写ベルト8と更に当接している点が異なる。
【0191】
第3印刷状態では、中間転写ベルト8が持ち上げられて、特殊色の感光体ドラム1S、ブラックの感光体ドラム1K、シアンの感光体ドラム1C、マゼンタの感光体ドラム1M、及び、イエローの感光体ドラム1Yがすべて中間転写ベルト8と当接する。このような状態であると、特殊色の感光体ドラム1S、ブラックの感光体ドラム1K、シアンの感光体ドラム1C、マゼンタの感光体ドラム1M、及び、イエローの感光体ドラム1Yによる印刷、すなわち、特殊色、及び、フルカラーでの印刷が可能となる。したがって、フルカラーモードでは、画像形成装置100は、第3印刷状態となる。
【0192】
なお、特殊色の感光体ドラム1Sはなくともよい。
【0193】
このように、モノクロモード、又は、フルカラーモードになる場合に、画像形成装置100は、ゲインの切り替えを行う。
【0194】
[機能構成例]
図26は、機能構成の第1例を示す図である。具体的には、画像形成装置100は、ベルト100F1、回転体100F2、接離駆動部100F3、ベルト駆動部100F4、及び、第1速度計測部100F6を備える。さらに、制御装置90は、時間計測部100F5、接離制御部100F7、速度制御部100F8、時間判定部100F9、切替部100F10、及び、速度判定部100F11を備える。
【0195】
ベルト100F1は、例えば、中間転写ベルト8等で実現する。
【0196】
回転体100F2は、外表面が移動し、かつ、ベルト100F1に対して当接、及び、離間する。なお、回転体100F2は、シートを介して当接してもよいし、ベルト100F1に直接当接してもよい。例えば、回転体100F2は、各色の感光体ドラム、又は、2次転写部等で実現する。
【0197】
接離駆動部100F3は、接離制御部100F7による制御に基づき、回転体100F2、及び、ベルト100F1を当接、及び、離間する。例えば、接離駆動部100F3は、第1モータ401、第2モータ402、及び、第3モータ403等で実現する。
【0198】
接離制御部100F7は、接離駆動部100F3を制御する。例えば、接離制御部100F7は、制御装置90等で実現する。
【0199】
ベルト駆動部100F4は、ベルト100F1を駆動させる。なお、ベルト駆動部100F4は、少なくともベルト100F1の速度に直接的に関連する速度に基づいて制御する。例えば、ベルト駆動部100F4は、駆動装置101等で実現する。
【0200】
切替部100F10は、回転体100F2がベルト100F1に対して離間している状態では、速度制御部100F8に第1ゲインを用いて速度を制御させる。そして、切替部100F10は、回転体100F2とベルト100F1とが当接する時間より所定時間前になると、第2ゲインにゲインを切り替える切替手順を行う。例えば、切替部100F10は、制御装置90で実現する。
【0201】
時間計測部100F5は、ベルト駆動部100F4を起動させてからの経過時間を計測する時間計測手順を行う。例えば、時間計測部100F5は、制御装置90等で実現する。
【0202】
時間判定部100F9は、経過時間に基づいて、ベルト100F1が過渡状態か、又は、定常状態かを判定する時間判定手順を行う。例えば、時間判定部100F9は、制御装置90等で実現する。
【0203】
第1速度計測部100F6は、速度を計測する速度計測手順を行う。例えば、第1速度計測部100F6は、エンコーダ106等で実現する。
【0204】
速度判定部100F11は、速度に基づいて、ベルト100F1が過渡状態か、又は、定常状態かを判定する速度判定手順を行う。例えば、速度判定部100F11は、制御装置90等で実現する。
【0205】
速度制御部100F8は、ベルト駆動部100F4を制御して、ベルト100F1の速度を制御する速度制御手順を行う。例えば、速度制御部100F8は、制御装置90等で実現する。
【0206】
図27は、機能構成の第2例を示す図である。画像形成装置100は、以下のような機能構成でもよい。第1例と比較すると、第2例は、位置制御部100F13、及び、第2速度計測部100F12が加わる点が異なる。また、制御は、図示するように、二重ループの制御構成でもよい。
【0207】
第2速度計測部100F12は、速度を計測する速度計測手順を行う。例えば、第2速度計測部100F12は、光学式センサ102等で実現する。このように、速度は、エンコーダ106で計測してもよいし、光学式センサ102で計測されてもよい。
【0208】
位置制御部100F13は、ベルト100F1の位置を制御する位置制御手順を行う。例えば、位置制御部100F13は、制御装置90等で実現する。
【0209】
[制御装置90の例]
図28は、制御装置90のハードウェア構成例を示す図である。例えば、制御装置90は、Central Processing Unit(以下「CPU241」という。)、メモリ242、及び、Input/Output(以下「I/Oポート243」という。)を備える。そして、各構成要素は、バスライン244で接続する。
【0210】
CPU241は、メモリ242に記憶するプログラムを実行して、順次、分岐、又は、反復処理等を実行する演算装置、及び、制御装置の例である。
【0211】
メモリ242は、プログラム、及び、データを記憶する記憶装置である。
【0212】
バスライン244は、CPU241等の各構成要素を電気的に接続するアドレスバス、及び、データバス等である。
【0213】
I/Oポート243は、電源装置を制御する制御信号、及び、モータを制御する制御信号をモータドライバに出力するインタフェースである。
【0214】
なお、制御装置90は、上記の構成でなくともよい。
【0215】
[全体処理の第1例]
例えば、画像形成装置100は、以下の第1例、又は、第2例のような全体処理を実行する。
【0216】
【0217】
ステップS2701では、画像形成装置100は、回転体100F2とベルト100F1を離間させる。
【0218】
ステップS2702では、速度制御部100F8は、第1ゲインを用いてベルト駆動部100F4にベルト100F1を駆動させる。
【0219】
ステップS2703では、切替部100F10は、回転体100F2とベルト100F1とが当接するより所定時間前になったか否かを判断する。そして、回転体100F2とベルト100F1とが当接するより所定時間前になると(ステップS2703でYES)、切替部100F10は、ステップS2704に進む。一方で、回転体100F2とベルト100F1とが当接するより所定時間前でないと(ステップS2703でNO)、切替部100F10は、ステップS2702に進む。
【0220】
ステップS2704では、切替部100F10は、第1ゲインから第2ゲインにゲインを切り替える。
【0221】
ステップS2705では、速度制御部100F8は、第2ゲインを用いてベルト駆動部100F4にベルト100F1を駆動させる。
【0222】
以降、速度変動104が収束した時間になると、回転体100F2とベルト100F1とが当接する。
【0223】
[全体処理の第2例]
図30は、全体処理の第2例を示す図である。
図30は、
図29と同様の処理は、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0224】
ステップS2801では、画像形成装置100は、ゲインを切り替えてから所定時間後となったか否かを判断する。そして、ゲインを切り替えてから所定時間以降になると(ステップS2801でYES)、画像形成装置100は、ステップS2802に進む。一方で、ゲインを切り替えてから所定時間が経過していないと(ステップS2801でNO)、画像形成装置100は、ステップS2705に進む。
【0225】
ステップS2802では、接離制御部100F7は、回転体100F2とベルト100F1を当接させる。ゲインを切り替えてから所定時間が経過しているため、速度変動104が収束した後に、回転体100F2とベルト100F1とが当接する。
【0226】
以上のような全体処理が行われると、画像形成装置100は、速度変動104が少ない状態で回転体100F2とベルト100F1を当接できる。そのため、画像形成装置100は、回転体と、中間転写ベルトとが接しても、摩擦で中間転写ベルトが傷つくのを防ぐことができる。
【0227】
画像形成装置は、以下のような装置でもよい。
【0228】
図31は、直接転写方式の画像形成装置の内部構成を例示する概略図である。
【0229】
図31に示す画像形成装置は、感光体ベルト210の周りに、帯電装置211、露光装置212M、212Y、212C、212K、現像装置213M、213Y、213C、213K、クリーニング装置214、除電装置216、転写ローラ230、転写モータ231を有する。そして、直接転写方式の画像形成装置では、帯電装置211、露光装置212、及び、現像装置213等が画像形成部として機能する。
【0230】
本構成例では、帯電している感光体ベルト210に対して、各色に、書き込み装置である露光装置212がレーザ光を用いて潜像を書き込む。次に、現像装置213は、トナーを用いて感光体ベルト210表面上の潜像の現像を行う。このように、画像形成装置は、書き込みと現像をトナーの色の回数分繰り返すことで、感光体ベルト210上にカラー画像を形成する。
【0231】
そして、画像形成装置は、感光体ベルト210上のカラー画像を、感光体ベルト210と転写ローラ230とが挟みこむ位置で、シートに転写する。
【0232】
転写後に、感光体ベルト210の表面に対して、除電装置216で除電を行い、クリーニング装置214でクリーニングを行う。
【0233】
本構成では、感光体ベルト210は、複数のローラ222、及び、223等に架け渡され、感光体ベルト駆動モータ224によって回転する駆動ローラ221に従動して図中に示す矢印の方向に回転する。
【0234】
感光体ベルト駆動モータ224の駆動軸にはエンコーダ225が取り付けられる。エンコーダ225の出力信号に基づき、制御装置240は、感光体ベルト210の速度制御等を行う。
【0235】
図31に示す実施形態は、転写ローラ230が感光体ベルト210に対して接離動作を行う構成である。この構成では、感光体ベルト210がベルト、かつ、転写ローラ230が回転体として機能する。転写ローラ230は、転写モータ231が回転させる。
【0236】
感光体ベルト210と転写ローラ230が接近と離間の動作を実行する場合、制御装置240は、接近と離間の動作を制御する。具体的には、接離モータ261が駆動させる、感光体ベルト210を掛け回す対向ローラに設けられたカム226が、接離モータ261により回転して、転写ローラ230が移動する。
【0237】
なお、
図31に示す例は、転写ローラ230が移動して感光体ベルト210に当接、及び、離間する例であるが、ローラ222が移動することで、感光体ベルト210と転写ローラ230が当接、及び、離間しても良い。
【0238】
図32は、液体を吐出する装置の内部構成を例示する概略図である。
【0239】
本構成では、ヘッドユニット350が、液体を吐出して、転写ベルト320の外周表面上に画像、又は、パターン等を形成する。
【0240】
そして、乾燥機構370は、転写ベルト320上に形成された画像、又は、パターン等を乾燥し、膜化する。
【0241】
転写ベルト320は、転写ローラ330と対向する転写部において、転写ベルト320上の膜化した画像、又は、パターン等をシートに転写する。
【0242】
クリーニングローラ323は、転写後の転写ベルト320の表面をクリーニングする。
【0243】
図32に示す液体を吐出する装置300において、転写ベルト320の周りに、ヘッドユニット350、乾燥機構370、クリーニングローラ323、及び、転写ローラ330が設けられている。
【0244】
本構成では、転写ベルト320は、駆動ローラ321、対向ローラ322、4つの形状維持ローラ324、及び、4つの支持ローラ325C、325M、325Y、及び、325K等に架け渡され、転写ベルト駆動モータ327によって回転する駆動ローラ321に従動して、図内に矢印で示す方向に回転する。
【0245】
転写ベルト駆動モータ327の駆動軸には、エンコーダ329が取り付けられる。エンコーダ225の出力信号に基づき、制御装置340は、転写ベルト320の速度制御等を行う。
【0246】
ヘッドユニット350に対向して設けられる4つの支持ローラ325C、325M、325Y、及び、325Kは、各ヘッドユニット350から液体が吐出される際の転写ベルト320の引張状態を維持する。転写モータ331は、転写ローラ330を回転駆動する。
【0247】
対向ローラ322に取り付けられたカム332が接離モータ361によって動かされ、それにより転写ローラ330と対向ローラ322とが接離する。制御装置340は、転写ベルト駆動モータ327、接離モータ361、転写モータ331に駆動信号を出力する基板である。
【0248】
なお、
図32では、対向ローラ322に取り付けられたカム332の回転により接離動作を行っているが、転写ローラ330側を動作させて接離動作を行っても良い。
【0249】
また、「液体」は、ヘッドから吐出可能な粘度、又は、表面張力であればよく、常温、かつ、常圧下、加熱、又は、冷却により、粘度が30mPa・s以下であるのが好ましい。より具体的には、液体は、水、若しくは、有機溶媒等の溶媒、染料、若しくは、顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸、若しくは、たんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、又は、天然色素等の可食材料等を含む溶液、懸濁液、エマルジョン、電極材料として用いられる活物質、若しくは、固体電解質、又は、導電性材料、若しくは、絶縁性材料を含む溶液等である。これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子、若しくは、発光素子の構成要素、電子回路レジストパターン、電極、電気化学素子の形成用液、又は、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
【0250】
本発明の液体を吐出する装置を蓄電デバイス製造装置の中の電極製造装置として使用する場合、蓄電デバイス製造装置は、基材に液体を付与する電極製造装置に加え、例えば、基材をセル化に向けて加工する基材加工部等を含む。
【0251】
<基材加工部>
基材加工部は、液体吐出ヘッドよりも下流において、機能膜が形成された基材を加工する。基材加工部は、裁断、折り畳み、及び、貼り合わせのうち、少なくとも1つを実施してもよい。基材加工部は、例えば、基材を裁断し、基材積層体を作製できる。また、基材加工部は、基材を巻回、又は、積層することができる。なお、絶縁層が融点、又は、ガラス転移点を有する材料を含む場合には、基材加工部では、例えば、一の基材積層体と他の基材積層体は、加熱により少なくとも一部が接着される。
【0252】
基材加工部は、例えば、基材加工装置を有し、基材の裁断、基材のつづら折り、積層、巻回、又は、積層、若しくは、巻回後の基材間の熱接着等を目的の電池形態に応じて実施する。基材加工部において基材の加工が行われるときは、加工後の基材にシワ等のダメージを低減させることが可能となる理由から、基材の搬送速度は比較的遅いことが好ましい。
【0253】
基材加工部によって行われる基材加工工程は、例えば、液体吐出ヘッドよりも下流において、機能膜が形成された基材を加工する工程である。基材加工工程は、裁断工程、折り畳み工程、及び、貼り合わせ工程のうち、少なくとも1つの工程を含んでもよい。
【0254】
[その他の実施形態]
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
【0255】
<1>ベルトと、
少なくとも前記ベルトの速度に直接的に関連する速度に基づいて、前記ベルトを駆動する駆動部を制御する速度制御部と、
外表面が移動し、かつ、前記ベルトに対して直接又はシートを介して当接、及び、離間する回転体と、
前記回転体が前記ベルトに対して離間している状態では、前記速度制御部に第1ゲインを用いて前記速度を制御させ、前記回転体と前記ベルトとが当接する時間より所定時間前になると、前記第1ゲインよりも高い第2ゲインにゲインを切り替える切替部と
を備える搬送装置である。
【0256】
<2>ベルトと、
少なくとも前記ベルトの速度に直接的に関連する速度に基づいて、前記ベルトを駆動する駆動部を制御する速度制御部と、
外表面が移動し、かつ、前記ベルトに対して直接又はシートを介して当接、及び、離間する回転体と、
前記回転体が前記ベルトに対して離間している状態において前記速度制御部に第1ゲインを用いて前記速度を制御させ、かつ、前記第1ゲインよりも高い第2ゲインにゲインの切り替えを行う切替部と、
前記切替部が切り替えを行った所定時間後に前記回転体と前記ベルトとを当接させる接離制御部と
を備える搬送装置である。
【0257】
<3>前記切替部は、
前記速度制御部が使用するゲインを段階的に切り替える
前記<1>又は<2>に記載の搬送装置である。
【0258】
<4>前記駆動部を起動させてからの経過時間を計測する時間計測部と、
前記経過時間に基づいて、前記ベルトが過渡状態か、又は、定常状態かを判定する時間判定部とを更に備える
前記<1>乃至<3>のいずれか1つに記載の搬送装置である。
【0259】
<5>前記速度を計測する速度計測部と
前記速度に基づいて、前記ベルトが過渡状態か、又は、定常状態かを判定する速度判定部とを更に備える
前記<1>乃至<4>のいずれか1つに記載の搬送装置である。
【0260】
<6>前記回転体は、前記シートに対して2次転写を行う
前記<1>乃至<5>のいずれか1つに記載の搬送装置である。
【0261】
<7>前記ベルトの位置を制御する位置制御部を更に備え、
前記位置制御部、及び、前記速度制御部は、
用いるゲインと同一の比率でゲインを切り替える
前記<1>乃至<6>のいずれか1つに記載の搬送装置である。
【0262】
<8>前記切替部は、
前記ベルトが基準速度より低速の状態で切り替えを行う
前記<1>乃至<7>のいずれか1つに記載の搬送装置である。
【0263】
<9>前記<1>乃至<8>のいずれか1つに記載の搬送装置を有する画像形成装置である。
【0264】
なお、回転体とベルトを当接、又は、離間させるのに、回転体が移動する、ベルトが移動する、又は、両方が移動する構成でもよい。
【0265】
上記に説明した実施形態の各機能のうち、例えば、制御装置で実行される処理は、1つ、又は、複数の処理回路によって実行してもよい。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサ、又は、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(field programmable gate array)、又は、回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0266】
制御方法は、例えば、プログラムに基づいて実現されてもよい。具体的には、プログラムに基づいて演算装置、記憶装置、及び、制御装置等の装置が、協働して動作して制御方法を実行する。なお、プログラムは、コンピュータが読取可能な記憶媒体に記憶されて頒布、又は、電気通信回線を通じて頒布されてもよい。
【0267】
各装置は、複数の装置で構成してもよい。したがって、各処理は、分散、冗長、又は、並列に実行されてもよい。
【0268】
シートは、例えば、用紙(「普通紙」等ともいう。)以外でもよい。例えば、シートは、コート紙、ラベル紙等の他、オーバヘッドプロジェクタシート、フィルム、アルミニウム箔や銅箔といった集電体、集電体上に活物質層が形成された電極、又は、可撓性を持つ薄板等でもよい。すなわち、シートの素材は、トナー、又は、インク滴が付着可能、一時的に付着可能、付着して固着、又は、付着して浸透する材質等であればよい。具体的には、シートは、用紙、フィルム、若しくは、布等の被記録媒体、電子基板、圧電素子(「圧電部材」等ともいう。)等の電子部品、粉体層(「粉末層」等ともいう。)、臓器モデル、又は、検査用セル等である。このように、シートの材質は、液体が付着可能であって、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス、又は、これらの組み合わせ等であればよい。
【0269】
なお、本発明は、上記に例示する各実施形態に限定されない。したがって、本発明は、技術的な要旨を逸脱しない範囲で、構成要素の追加、又は、変形が可能である。ゆえに、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項のすべてが本発明の対象となる。なお、上記に例示する実施形態は、実施において好適な具体例である。そして、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現で可能であって、このような変形例は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0270】
1C :感光体ドラム
1K :感光体ドラム
1M :感光体ドラム
1S :感光体ドラム
1Y :感光体ドラム
100 :画像形成装置
100F1 :ベルト
100F10 :位置制御部
100F2 :回転体
100F3 :駆動部
100F4 :切替部
100F5 :時間計測部
100F6 :時間判定部
100F7 :速度計測部
100F8 :速度制御部
100F9 :速度判定部
TM1 :第1タイミング
TM11 :第11タイミング
TM12 :第12タイミング
TM2 :第2タイミング
TM3 :第3タイミング
TM4 :第4タイミング
TM5 :第5タイミング
TM6 :第6タイミング
TM7 :第7タイミング
t0 :所定時間
t1 :当接時間
【先行技術文献】
【特許文献】
【0271】