(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177689
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】ワークの処理装置及びワークの処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20231207BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20231207BHJP
B24B 41/06 20120101ALI20231207BHJP
B24B 55/06 20060101ALI20231207BHJP
B24B 27/06 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/304 622G
B24B41/06 A
B24B41/06 L
B24B55/06
B24B27/06 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090487
(22)【出願日】2022-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関家 一馬
【テーマコード(参考)】
3C034
3C047
3C158
5F057
5F131
【Fターム(参考)】
3C034AA07
3C034BB73
3C034BB84
3C034DD07
3C034DD10
3C047FF06
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3C047HH11
3C158AA03
3C158AB03
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3C158DA17
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5F131EC44
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5F131HA42
5F131HA44
(57)【要約】
【課題】保持面に異物が付着する事を防止できるワークの処理装置及びワークの処理方法を提供する事。
【解決手段】ワークの処理装置1は、ワーク100を保持する保持面11を有する保持テーブル10と、保持テーブル10に保持されたワーク100を処理する第1処理ユニット20と、ワーク100が保持面11に保持されていないタイミングで保持面11を覆うカバー部材40と、を備える。カバー部材40の少なくとも保持面11に接触する接触面は、粘着性を有することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを保持する保持面を有する保持テーブルと、
該保持テーブルに保持されたワークを処理する処理ユニットと、
ワークが該保持面に保持されていないタイミングで該保持面を覆うカバー部材と、を備え、
該カバー部材の少なくとも該保持面に接触する接触面は、粘着性を有することを特徴とするワークの処理装置。
【請求項2】
該カバー部材は、中央に開口を有するフレームにシートが貼着されている、または、板状物にシートが貼着されていることを特徴とする請求項1に記載のワークの処理装置。
【請求項3】
ワークを収容するカセットと、
該カセットと保持テーブルとの間でワークを搬送する搬送ユニットと、をさらに備え、
該カバー部材は、ワークと共通のカセットに収容され、該ワークと共通の該搬送ユニットによって、該カセットと該保持テーブルとの間で搬送されることを特徴とする請求項1に記載のワークの処理装置。
【請求項4】
ワークを収容するカセットと、
該カバー部材を収容するカバー部材収容部と、
該カセットと保持テーブルとの間でワークを搬送する搬送ユニットと、をさらに備え、
該カバー部材は、該ワークと共通の該搬送ユニットによって、該カバー部材収容部と、該保持テーブルとの間で搬送されることを特徴とする請求項1に記載のワークの処理装置。
【請求項5】
ワークの処理方法であって、
搬送ユニットによってカセットからワークを保持テーブルへと搬送し、ワークを該保持テーブルの保持面に保持する保持ステップと、
該保持面に保持されたワークを処理ユニットによって処理する処理ステップと、
該保持面にワークが保持されていないタイミングで、該保持面にカバー部材を保持するカバー部材保持ステップと、
を備えることを特徴とするワークの処理方法。
【請求項6】
該カバー部材を該保持テーブルから搬出するカバー部材搬出ステップをさらに有し、
該カバー部材の少なくとも該保持面に接触する接触面は粘着性を有することを特徴とする請求項5に記載のワークの処理方法。
【請求項7】
該カバー部材は、中央に開口を有するフレームにシートが貼着されている、または、板状物にシートが貼着されていることを特徴とする請求項6に記載のワークの処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークを処理するワークの処理装置及びワークの処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
保持テーブルに保持されたワークに対して加工、洗浄または検査など何らかの処理を行うワークの処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
保持テーブルにワークが保持されておらず、保持面が露出している時に、保持テーブルの保持面に加工屑や加工屑を含む噴霧や液体などの異物が落下して付着し、その状態で保持面にワークを保持して加工すると、加工品質が悪化する恐れがあった。
【0005】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、保持面に異物が付着する事を防止できるワークの処理装置及びワークの処理方法を提供する事である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のワークの処理装置は、ワークを保持する保持面を有する保持テーブルと、該保持テーブルに保持されたワークを処理する処理ユニットと、ワークが該保持面に保持されていないタイミングで該保持面を覆うカバー部材と、を備え、該カバー部材の少なくとも該保持面に接触する接触面は、粘着性を有することを特徴とする。
【0007】
ワークの処理装置において、該カバー部材は、中央に開口を有するフレームにシートが貼着されている、または、板状物にシートが貼着されていてもよい。
【0008】
ワークを収容するカセットと、該カセットと保持テーブルとの間でワークを搬送する搬送ユニットと、をさらに備え、該カバー部材は、ワークと共通のカセットに収容され、該ワークと共通の該搬送ユニットによって、該カセットと該保持テーブルとの間で搬送されてもよい。
【0009】
ワークを収容するカセットと、該カバー部材を収容するカバー部材収容部と、該カセットと保持テーブルとの間でワークを搬送する搬送ユニットと、をさらに備え、該カバー部材は、該ワークと共通の該搬送ユニットによって、該カバー部材収容部と、該保持テーブルとの間で搬送されてもよい。
【0010】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のワークの処理方法は、搬送ユニットによってカセットからワークを保持テーブルへと搬送し、ワークを該保持テーブルの保持面に保持する保持ステップと、該保持面に保持されたワークを処理ユニットによって処理する処理ステップと、該保持面にワークが保持されていないタイミングで、該保持面にカバー部材を保持するカバー部材保持ステップと、を備えることを特徴とする。
【0011】
該カバー部材を該保持テーブルから搬出するカバー部材搬出ステップをさらに有し、該カバー部材の少なくとも該保持面に接触する接触面は粘着性を有してもよい。
【0012】
ワークの処理方法において、該カバー部材は、中央に開口を有するフレームにシートが貼着されている、または、板状物にシートが貼着されていてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、ワークが保持面に保持されていないタイミングで、保持面をカバー部材で覆うため、保持面が露出せず異物が付着する事を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、実施形態に係るワークの処理装置の構成例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1のワークの処理装置の構成要素であるカバー部材の詳細な構成例を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1のワークの処理装置の第2処理ユニットの詳細な構成例を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、
図4の第2処理ユニットを説明する断面図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係るワークの処理方法の処理手順を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、変形例1に係るワークの処理装置の構成要素であるカバー部材の構成例を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、変形例2に係るワークの処理装置の構成要素であるカバー部材の構成例を示す斜視図である。
【
図11】
図11は、変形例3に係るワークの処理装置の構成例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0016】
〔実施形態〕
本発明の実施形態に係るワークの処理装置1及びワークの処理方法を図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態に係るワークの処理装置1の構成例を示す斜視図である。ワークの処理装置1は、
図1に示すように、保持テーブル10と、第1処理ユニット20と、X軸方向移動ユニット31と、Y軸方向移動ユニット32と、Z軸方向移動ユニット33と、カバー部材40と、カセット載置台50と、搬送ユニット60と、第2処理ユニット70と、制御ユニット80と、を備える。
【0017】
実施形態に係るワークの処理装置1及びワークの処理方法の処理対象であるワーク100は、
図1に示すように、例えば、シリコン、サファイア、シリコンカーバイド(SiC)、ガリウムヒ素、ガラスなどを母材とする円板状の半導体ウエーハや光デバイスウエーハなどのウエーハである。ワーク100は、
図1に示すように、平坦な表面101の格子状に形成される複数の分割予定ライン102によって区画された領域にチップサイズのデバイス103が形成されている。ワーク100は、本実施形態では、
図1に示すように、表面101の裏側の裏面104に粘着テープ105が貼着され、粘着テープ105の外縁部に環状のフレーム106が装着されてフレームユニット110を構成しているが、本発明ではこれに限定されない。粘着テープ105は、例えば、合成樹脂から構成された基材層と、基材層の一方の面に積層され、粘着性を有する合成樹脂から構成された粘着性を有する糊層と、を備え、糊層側がワーク100の裏面104に貼着される。また、ワーク100は、本発明では、樹脂により封止されたデバイスを複数有した矩形状のパッケージ基板、セラミックス板、又はガラス板等でも良い。
【0018】
保持テーブル10は、本実施形態ではいわゆるチャックテーブルであり、凹部が形成された円盤状の枠体と、凹部内に嵌め込まれた円盤形状の吸着部と、を備える。保持テーブル10の吸着部は、多数のポーラス孔を備えたポーラスセラミック等から形成されたポーラス部を有し、図示しない真空吸引路を介して図示しない真空吸引源と接続されている。ポーラス部は、本実施形態では、例えばアルミナセラミックス等で形成される。保持テーブル10の吸着部の上面は、ワーク100が載置されて、真空吸引源から導入される負圧により、載置されたワーク100を吸引保持する保持面11である。保持面11は、本実施形態では、ワーク100が表面101を上方に向けて載置され、載置されたワーク100を裏面104側から粘着テープ105を介して吸引保持する。保持面11と保持テーブル10の枠体の上面とは、同一平面上に配置されており、水平面であるXY平面に平行に形成されている。保持テーブル10は、X軸方向移動ユニット31により水平方向と平行なX軸方向に移動自在に設けられており、不図示の回転駆動源により水平面(XY平面)に直交しかつ鉛直方向に平行なZ軸回りに回転自在に設けられている。
【0019】
また、保持テーブル10は、
図1に示すように、枠体の外周部に配置されて、保持テーブル10に保持されたワーク100に装着されたフレーム106を、フレーム106の上面が保持面11より鉛直方向の高さが低くなる位置で保持して固定する複数(
図1に示す例では4つ)のクランプ状のフレーム保持部12を備える。
【0020】
第1処理ユニット20は、保持テーブル10に保持されたワーク100に対して処理を施す。第1処理ユニット20は、本実施形態では、
図1に示すように、先端に切削ブレードが装着されるスピンドルを備え、保持テーブル10に保持されたワーク100に対して切削処理を施す切削ユニットである。第1処理ユニット20は、Y軸方向移動ユニット32により水平方向と平行でかつX軸方向に直交するY軸方向に移動自在に設けられており、Z軸方向移動ユニット33によりZ軸方向に移動自在に設けられている。第1処理ユニット20は、スピンドルの先端に装着された切削ブレードが、スピンドルの回転動作により、水平方向の一方向(
図1のY軸方向)と平行な軸心周りの回転動作が加えられて、保持テーブル10に保持されたワーク100を分割予定ライン102に沿って切削処理する。ワークの処理装置1は、
図1に示すように、第1処理ユニット20(切削ユニット)を2組備えた、即ち、2スピンドルのダイサ、いわゆるフェイシングデュアルタイプの処理装置(切削装置)である。
【0021】
図2は、
図1のワークの処理装置1の構成要素であるカバー部材40の詳細な構成例を示す斜視図である。カバー部材40は、本実施形態では、
図2に示すように、シート41と、フレーム42と、を備える。カバー部材40は、本実施形態では、ワーク100に装着されるフレーム106と同様の形状の、中央に開口43を有するフレーム42に、ワーク100に貼着される粘着テープ105と同様の形状のシート41が開口43を覆うように貼着されて構成される。
【0022】
このように、フレーム42にシート41が貼着されてなるカバー部材40は、フレーム106にワーク100が装着されたフレームユニット110と同様の形状を有するので、フレームユニット110と同様の方法で、フレームユニット110と共通の搬送ユニット60で、ワークの処理装置1内でフレームユニット110の搬送経路を搬送することができる。
【0023】
図3は、
図2のカバー部材40を説明する断面図である。フレーム42にシート41が貼着されてなるカバー部材40は、フレーム106が装着されたワーク100と同様の形状を有するので、フレーム106が装着されたワーク100と同様の方法で、
図3に示すように、ワーク100が載置及び保持される保持テーブル10の保持面11上にシート41の部分を載置し、フレーム42の部分をフレーム保持部12で保持して固定することができる。なお、カバー部材40は、保持面11上に載置されるだけでもよいし、シート41が保持面11に密着するように保持面11に吸引保持されてもよい。
【0024】
カバー部材40の少なくとも保持面11に接触する接触面は、粘着性を有する。ここで、カバー部材40の少なくとも保持面11に接触する接触面が粘着性を有するとは、本明細書では、この接触面が、第1処理ユニット20や第2処理ユニット70による各処理によって発生する処理屑等の異物に対し、第1処理ユニット20や第2処理ユニット70でフレームユニット110が処理される際にワーク100を保持する粘着テープ105の保持面11に接触する裏面側の材料よりも強くくっつき、なおかつ、異物がくっついた当該接触面を傾けても異物が当該接触面から離れないことを言う。カバー部材40の保持面11に接触する接触面は、本実施形態では、
図3に示すように、シート41のフレーム42が貼着された側の面44とは反対側の面45である。
【0025】
シート41は、粘着性を有するシートである。シート41は、本実施形態では、例えば、基材層と、基材層に積層された粘着性を有する糊層と、を備え、糊層がシート41の面45側に形成されていることにより、面45が粘着性を有する接触面となったものである。ここで、糊層は、粘着性を有する合成樹脂から構成されており、基材層の一方の面に積層される。基材層は、合成樹脂から構成されている。シート41は、また、この形態に限定されず、糊層を備えず、基材層の材質により粘着性を有していてもよい。この場合、シート41は、例えば、主な素材がポリオレフィンでシート状に形成されたもの、すなわちポリオレフィン系シートであり、具体的には、ポリエチレンシート、ポリプロピレンシート、ポリスチレンシートなどである。
【0026】
カセット載置台50は、フレームユニット110やカバー部材40を収容する収容器が載置される載置台であり、載置された収容器をZ軸方向に昇降させる。本実施形態では、
図1に示すように、ワークの処理装置1は、カバー部材40を収容するカバー部材収容部51と、複数のフレームユニット110を収容するための収容器である第1カセット52と、を備え、カバー部材収容部51がカセット載置台50上に設置され、さらにカバー部材収容部51の上面に第1カセット52が設置される。カバー部材収容部51は、複数のカバー部材40を収容してもよい。本実施形態では、例えば、ワークの処理装置1は、第1処理ユニット20による切削処理結果を検査するために第1カセット52を取り外して一枚のフレームユニット110を抜き出すのは工数がかかるため、検査用のフレームユニット110を引き出し可能な第2カセットに収容する機構を備えている。本実施形態では、例えばカバー部材収容部51は、第2カセットを使用することができる。なお、本発明ではこれに限定されず、ワークの処理装置1は、カバー部材収容部51を備えず、カバー部材40がカセット載置台50上に設置されたフレームユニット110と共通の第1カセット52に収容されてもよい。
【0027】
搬送ユニット60は、カセット載置台50に載置された第1カセット52、保持テーブル10、及び第2処理ユニット70の保持テーブル71の各間でフレームユニット110を搬送する。搬送ユニット60は、また、カセット載置台50に載置されたカバー部材収容部51、保持テーブル10、及び第2処理ユニット70の保持テーブル71の各間でカバー部材40を搬送する。搬送ユニット60は、本実施形態では、
図1に示すように、第1搬送ユニット61と、第2搬送ユニット62と、一対のガイドレール63と、を有する。
【0028】
第1搬送ユニット61は、
図1に示すように、カセット載置台50に載置された第1カセット52のフレームユニット110を搬出入する搬出入部の手前に、搬出入方向であるY軸方向に沿って移動可能に設けられている。第1搬送ユニット61は、ワーク100に装着されたフレーム106の搬出入部側の部分を+Y方向から保持してY軸方向に沿って搬出して、カセット載置台50に載置された第1カセット52の搬出入部の手前に設けられた一対のガイドレール63上へと搬送する。また、第1搬送ユニット61は、一対のガイドレール63上のワーク100に装着されたフレーム106を保持して第1カセット52にY軸方向に沿って搬入する。また、第1搬送ユニット61は、フレームユニット110と同様に、フレーム42にシート41が貼着されてなるカバー部材40を、カセット載置台50に載置されたカバー部材収容部51と一対のガイドレール63との間で搬送する。
【0029】
第2搬送ユニット62は、
図1に示すように、一対のガイドレール63、保持テーブル10及び第2処理ユニット70の間でY軸方向及びZ軸方向に沿って移動可能に設けられている。第2搬送ユニット62は、フレームユニット110の上面を上方(+Z方向)から保持して、一対のガイドレール63、保持テーブル10及び第2処理ユニット70の間で搬送する。また、第2搬送ユニット62は、フレーム106が装着されたワーク100と同様に、フレーム42にシート41が貼着されてなるカバー部材40を、一対のガイドレール63、保持テーブル10及び第2処理ユニット70の間で搬送する。
【0030】
図4は、
図1のワークの処理装置1の第2処理ユニット70の詳細な構成例を示す斜視図である。第2処理ユニット70は、
図4に示すように、保持テーブル71と、洗浄液受け容器72と、洗浄水供給ノズル73と、エア供給ノズル74と、を備え、保持テーブル71に保持されたフレームユニット110に対して洗浄処理を施す洗浄ユニットである。
【0031】
保持テーブル71は、本実施形態では保持テーブル10と同様に枠体と吸着部とを備えるいわゆるスピンナテーブルであり、保持テーブル71の吸着部の上面が載置されたワーク100を裏面104側から粘着テープ105を介して吸引保持する保持面75となっている。保持テーブル71の吸着部が有するポーラス部は、本実施形態では、保持テーブル10と同様に、例えばアルミナセラミックス等で形成される。保持テーブル71は、複数のエアシリンダによりZ軸方向に移動自在に設けられており、下方に接続されたモータ77によりZ軸回りに回転自在に設けられている。
【0032】
また、保持テーブル71は、
図4に示すように、枠体の外周部に配置されて、保持テーブル71の回転に伴う遠心力により、保持テーブル71に保持されたワーク100に装着されたフレーム106を保持して固定する複数(
図1に示す例では4つ)のフレーム保持部76を備える。
【0033】
洗浄液受け容器72は、保持テーブル71の外周を覆って保持テーブル71を収容するように配置されており、保持テーブル71の外周から飛散した洗浄液を回収して排水管に導入する。洗浄水供給ノズル73は、保持テーブル71で保持したフレームユニット110に純水等の洗浄水を供給する。エア供給ノズル74は、保持テーブル71で保持したフレームユニット110にエアを供給する。
【0034】
第2処理ユニット70は、保持テーブル71の保持面75でワーク100を保持し、保持テーブル71を回転させることによりフレーム保持部76でワーク100に装着されたフレーム106を保持し、洗浄水供給ノズル73及びエア供給ノズル74によりそれぞれ洗浄水及びエアを保持テーブル71上のワーク100に供給することにより、フレームユニット110を洗浄し、フレームユニット110に付着していた異物を除去する洗浄処理を施す。
【0035】
図5は、
図4の第2処理ユニット70を説明する断面図である。フレーム42にシート41が貼着されてなるカバー部材40は、また、フレーム106にワーク100が装着されたフレームユニット110と同様の方法で、
図5に示すように、ワーク100が載置及び保持される保持テーブル71の保持面75上にシート41の部分を載置して保持し、フレーム42の部分をフレーム保持部76で保持して固定することができる。なお、カバー部材40は、保持面75上に載置されるだけでもよいし、シート41が保持面75に密着するように保持面75に吸引保持されてもよい。
【0036】
カバー部材40の少なくとも保持面75に接触する接触面は、粘着性を有する。なお、カバー部材40の少なくとも保持面75に接触する接触面及びその粘着性は、上記したカバー部材40の保持面11に接触する接触面の粘着性と同様である。
【0037】
制御ユニット80は、ワークの処理装置1の各構成要素の動作を制御して、実施形態に係るワークの処理方法を含むフレームユニット110に対する各種処理等をワークの処理装置1に実施させる。また、制御ユニット80は、保持テーブル10,71の吸引保持機構に設置されたセンサにより、保持面11,75にフレームユニット110が保持されているか否かを判断することができる。制御ユニット80は、本実施形態では、コンピュータシステムを含む。制御ユニット80が含むコンピュータシステムは、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有する。制御ユニット80の演算処理装置は、制御ユニット80の記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施して、ワークの処理装置1を制御するための制御信号を、制御ユニット80の入出力インターフェース装置を介してワークの処理装置1の各構成要素に出力する。
【0038】
図6は、実施形態に係るワークの処理方法の処理手順を示すフローチャートである。実施形態に係るワークの処理方法は、実施形態に係るワークの処理装置1によって主に制御ユニット80の制御下で実施される動作処理の一例であり、
図6に示すように、保持ステップ1001と、処理ステップ1002と、搬出ステップ1003と、カバー部材保持ステップ1011と、カバー部材搬出ステップ1012と、シート交換ステップ1022と、カバー部材再収容ステップ1023と、を備える。
【0039】
保持ステップ1001、処理ステップ1002及び搬出ステップ1003は、ワーク100に対する処理に関するステップである。カバー部材保持ステップ1011及びカバー部材搬出ステップ1012は、カバー部材40の着脱に関するステップである。シート交換ステップ1022及びカバー部材再収容ステップ1023は、カバー部材40のシート41の交換に関するステップである。
【0040】
本実施形態では、ワークの処理装置1が、第1処理ユニット20(切削ユニット)と第2処理ユニット70(洗浄ユニット)との2つの処理ユニットを有するため、第1処理ユニット20(切削ユニット)による切削処理に関する第1の保持ステップ1001、第1の処理ステップ1002及び第1の搬出ステップ1003と、第2処理ユニット70(洗浄ユニット)による洗浄処理に関する第2の保持ステップ1001、第2の処理ステップ1002及び第2の搬出ステップ1003と、を有する。なお、保持ステップ1001、処理ステップ1002及び搬出ステップ1003の種類及び回数については、処理ユニットの種類や1枚のワーク100に対する処理回数等に応じて適宜変更される。
【0041】
第1の保持ステップ1001は、搬送ユニット60によって第1カセット52からフレームユニット110を保持テーブル10へと搬送し、フレームユニット110を保持テーブル10の保持面11に保持するステップである。第1の保持ステップ1001では、本実施形態では、第1搬送ユニット61により処理前のフレームユニット110を第1カセット52から一対のガイドレール63へと搬送し、第2搬送ユニット62によりこのフレームユニット110を一対のガイドレール63から保持テーブル10へと搬送し、保持面11でワーク100を保持するとともに、フレーム保持部12でワーク100に装着されたフレーム106を保持する。
【0042】
第1の処理ステップ1002は、保持テーブル10の保持面11に保持されたフレームユニット110を第1処理ユニット20によって処理するステップである。第1の処理ステップ1002では、第1処理ユニット20が切削ユニットである本実施形態では、スピンドルの回転動作により切削ブレードを軸心回りに回転しながら、切削ブレードを保持テーブル10に保持されたワーク100に対して分割予定ライン102に沿って相対的に移動させて加工送りすることにより、ワーク100を分割予定ライン102に沿って切削処理する。
【0043】
第1の搬出ステップ1003は、第1の処理ステップ1002で切削処理後のフレームユニット110を保持テーブル10の保持面11から搬出するステップである。第1の搬出ステップ1003では、本実施形態では、切削処理後のワーク100の保持面11での保持を解除するとともに、このワーク100に装着されたフレーム106のフレーム保持部12での保持を解除してから、第2搬送ユニット62によりこのフレームユニット110を保持テーブル10の保持面11から第2処理ユニット70の保持テーブル71へと搬送する。
【0044】
第2の保持ステップ1001は、搬送ユニット60によって第1カセット52から搬出されて第1処理ユニット20による切削処理が施されたフレームユニット110を、第2処理ユニット70の保持テーブル71へと搬送し、保持テーブル71の保持面75に保持するステップである。第2の保持ステップ1001では、本実施形態では第1の搬出ステップ1003に続いて実施され、第1の搬出ステップ1003で第2搬送ユニット62により保持テーブル10の保持面11から第2処理ユニット70の保持テーブル71へと搬送した切削処理後のワーク100を保持テーブル71の保持面75で保持し、保持テーブル71を回転させることによりこのワーク100に装着されたフレーム106をフレーム保持部76で保持する。
【0045】
第2の処理ステップ1002は、第2処理ユニット70の保持テーブル71の保持面75に保持されたワーク100を第2処理ユニット70によって洗浄処理するステップである。第2の処理ステップ1002では、洗浄水供給ノズル73及びエア供給ノズル74によりそれぞれ洗浄水及びエアを回転中の保持テーブル71上のワーク100に供給することにより、ワーク100を洗浄し、ワーク100に付着していた異物を除去する洗浄処理を行う。
【0046】
第2の搬出ステップ1003は、第2の処理ステップ1002で洗浄処理後のワーク100を第2処理ユニット70の保持テーブル71の保持面75から搬出するステップである。第2の搬出ステップ1003では、本実施形態では、洗浄処理後に保持テーブル71の回転を終了することにより洗浄処理後のワーク100に装着されたフレーム106のフレーム保持部76での保持を解除するとともに、このワーク100の保持面75での保持を解除してから、第2搬送ユニット62によりこのワーク100を保持テーブル71から一対のガイドレール63へと搬送し、第1搬送ユニット61によりこのワーク100を一対のガイドレール63から第1カセット52へと搬送する。
【0047】
本実施形態では、このようにして、第1の保持ステップ1001、第1の処理ステップ1002及び第1の搬出ステップ1003を実施することで、1枚のワーク100の切削処理を実施し、その後に、第2の保持ステップ1001、第2の処理ステップ1002及び第2の搬出ステップ1003を実施することで、1枚の切削処理後のワーク100の洗浄処理を実施する。
【0048】
実施形態に係るワークの処理方法では、1枚のフレームユニット110について第1の保持ステップ1001、第1の処理ステップ1002及び第1の搬出ステップ1003と、第2の保持ステップ1001、第2の処理ステップ1002及び第2の搬出ステップ1003を実施した後、すぐに次のフレームユニット110を処理(切削処理及び洗浄処理)する場合(
図6のステップ1004でYes)、次のフレームユニット110について、上記と同様に第1の保持ステップ1001、第1の処理ステップ1002及び第1の搬出ステップ1003と、第2の保持ステップ1001、第2の処理ステップ1002及び第2の搬出ステップ1003と、を実施し、すぐに次のフレームユニット110を処理しなくなるまで、フレームユニット110を次々と変更してこれらのステップの実施を繰り返す。一方、所定の時間以上次のフレームユニット110を処理しない場合(
図6のステップ1004でNo)、処理をカバー部材保持ステップ1011に進める。
【0049】
ここで、すぐに次のフレームユニット110を処理しない場合(
図6のステップ1004でNo)は、例えば、第1カセット52に収容された処理予定の全てのフレームユニット110の処理が終了した場合、メンテナンス作業やブレード交換、処理空間の温度が安定するまで処理液を供給させながら処理ユニット(第1処理ユニット20、第2処理ユニット70)を駆動させるアイドリング等、制御ユニット80に事前に登録された所定の作業を実施する場合、制御ユニット80が保持テーブル10,71の保持面11,75に事前に設定された所定時間以上、フレームユニット110が保持されていないと判断した場合、ワークの処理装置1の電源をOFFにする場合などである。
【0050】
上記したような、すぐに次のフレームユニット110を処理しない場合(
図6のステップ1004でNo)は、いずれも、すぐに次のフレームユニット110を処理する場合(
図6のステップ1004でYes)と比較して、任意のフレームユニット110に対して第1の搬出ステップ1003が実施されてから次のフレームユニット110に対して第1の保持ステップ1001が実施されるまでの時間が長くなり、フレームユニット110が保持テーブル10の保持面11に保持されていないタイミングが長くなる。また、任意のフレームユニット110に対して第2の搬出ステップ1003が実施されてから次のフレームユニット110に対して第2の保持ステップ1001が実施されるまでの時間が長くなり、フレームユニット110が第2処理ユニット70の保持テーブル71の保持面75に保持されていないタイミングが長くなる。
【0051】
カバー部材保持ステップ1011は、保持テーブル10,71の保持面11,75にワーク100が保持されていないタイミングで、保持面11,75にカバー部材40を保持し、保持面11,75に異物が付着する事を防止するステップである。カバー部材保持ステップ1011は、本実施形態では、ワークの処理装置1の記憶部に許容される待機時間を記憶する待機時間記憶部を有し、待機時間記憶部に設定された待機時間が経過してもすぐに次のフレームユニット110を処理しない場合(
図6のステップ1004でNo)に実施される。
【0052】
カバー部材保持ステップ1011では、本実施形態では、第1の保持ステップ1001と同様にして、搬送ユニット60によりカバー部材40をカバー部材収容部51から保持テーブル10へと搬送し、保持面11及びフレーム保持部12でカバー部材40を保持するとともに、第2の保持ステップ1001と同様にして、搬送ユニット60によりカバー部材40をカバー部材収容部51から第2処理ユニット70の保持テーブル71へと搬送し、保持面75及びフレーム保持部76でカバー部材40を保持する。これにより、保持面11,75に保持されたカバー部材40は、保持面11,75に異物が付着する事を防止する。また、本実施形態では、カバー部材40の少なくとも保持面11,75に接触する接触面である面45は粘着性を有するので、カバー部材保持ステップ1011において、面45に保持面11,75に付着した異物を接着させることができる。なお、保持面11と保持面75の片方だけでカバー部材保持ステップ1011が実施されてもよい。
【0053】
なお、カバー部材保持ステップ1011は、本発明ではこれに限定されず、特にワークの処理装置1の電源をOFFにしてすぐに次のワーク100を処理しない場合に至ったケース等において、ワークの処理装置1のオペレータがワークの処理装置1を操作することで搬送ユニット60によって、またはオペレータが手動での操作によって、カバー部材40をカバー部材収容部51から取り出して保持テーブル10,71上に載置して、保持面11,75で保持させてもよい。
【0054】
カバー部材搬出ステップ1012は、第1の搬出ステップ1003及び第2の搬出ステップ1003と同様に、カバー部材保持ステップ1011により保持面11,75で保持されたカバー部材40を、保持面11,75及びフレーム保持部12,76での保持を解除してから、搬送ユニット60により保持して保持面11,75から離間するステップである。本実施形態では、カバー部材40の少なくとも保持面11,75に接触する面45は粘着性を有するので、カバー部材搬出ステップ1012において、面45を保持面11,75から剥離することにより、面45で保持面11,75から異物を除去できる。
【0055】
カバー部材搬出ステップ1012は、カバー部材保持ステップ1011の実施後、主に保持面11,75を何も保持されていない状態にする必要がある場合に実施される。保持面11,75を何も保持されていない状態にする必要がある場合は、例えば、すぐにワーク100を処理する場合、保持テーブル10,71を交換する場合、保持テーブル10,71の保持面11,75を洗浄する、高さを測定するなどのメンテナンスを行う場合である。
【0056】
カバー部材搬出ステップ1012は、さらに、第1の搬出ステップ1003及び第2の搬出ステップ1003と同様に、搬送ユニット60によりカバー部材40を保持面11,75から搬出してカバー部材収容部51へと搬送するまでを含んでも良い。
【0057】
実施形態に係るワークの処理方法では、カバー部材搬出ステップ1012の実施後に、カバー部材40のシート41の交換が必要である場合(
図6のステップ1021でYes)、シート交換ステップ1022及びカバー部材再収容ステップ1023を実施し、カバー部材40のシート41の交換が必要である場合(
図6のステップ1021でNo)、シート交換ステップ1022及びカバー部材再収容ステップ1023を実施せずに処理を終了する。
【0058】
カバー部材40のシート41の交換が必要であるか否かは、例えば、シート41が破損しているか否かで判定することができる。また、シート41が破損していない場合でも、面45が粘着性を有するシート41が面45で除去した異物の数量が事前に設定された所定量を超えているか否かで判定してもよい。面45で除去した異物の数量が事前に設定された所定量を超えているか否かの判定を、カバー部材保持ステップ1011及びカバー部材搬出ステップ1012を実施した回数が事前に設定された所定回数を超えているか否か、もしくは、カバー部材保持ステップ1011及びカバー部材搬出ステップ1012を実施する前にワーク100を処理した回数が事前に設定された所定回数を超えているか否か、等により判定してもよい。
【0059】
シート交換ステップ1022は、カバー部材40のシート41を交換するステップである。シート交換ステップ1022では、所定の取り出し装置やワークの処理装置1のオペレータの操作により、シート41を交換するカバー部材40をカバー部材収容部51から取り出して、所定のシート貼替装置やワークの処理装置1のオペレータの操作により、カバー部材40のフレーム42からシート41を剥離し、新しいシート41を貼着することにより、カバー部材40のシート41を交換する。
【0060】
カバー部材再収容ステップ1023は、シート交換ステップ1022でシート41を交換したカバー部材40を再度カバー部材収容部51に収容するステップである。カバー部材再収容ステップ1023では、所定の収容装置やワークの処理装置1のオペレータの操作により、新しいシート41に交換したカバー部材40をカバー部材収容部51に戻す。
【0061】
以上のような構成を有する実施形態に係るワークの処理装置1及びワークの処理方法は、ワーク100が保持面11,75に保持されていないタイミングで、保持面11,75をカバー部材40で覆うため、保持面11,75が露出せず異物が付着する事を防止できる。また、実施形態に係るワークの処理装置1及びワークの処理方法は、カバー部材40の少なくとも保持面11,75に接触する接触面が粘着性を有するため、カバー部材40を保持面11,75で保持した際に接触面に保持面11,75に付着した異物を接着させ、カバー部材40を保持面11,75から剥離する際に接触面で保持面11,75から異物を除去できる。
【0062】
また、実施形態に係るワークの処理装置1及びワークの処理方法は、カバー部材40が、中央に開口43を有するフレーム42にシート41が貼着されて構成され、シート41のフレーム42が貼着された側の面44とは反対側の面45に粘着性を有する接触面が形成される。このため、実施形態に係るワークの処理装置1及びワークの処理方法は、異物を接着及び除去した接触面を形成するシート41を新しいものに交換するだけで、新たなカバー部材40を容易に再構成できる。
【0063】
さらに、実施形態に係るワークの処理装置1及びワークの処理方法は、カバー部材40の少なくとも外縁が、フレーム106にワーク100が粘着テープ105を介して装着されたフレームユニット110の外縁と同様の形状を有する。このため、実施形態に係るワークの処理装置1及びワークの処理方法は、フレームユニット110と共通の搬送ユニット60で、ワークの処理装置1内でフレームユニット110と共通の搬送経路を利用して、カバー部材40を搬送できる。これにより、実施形態に係るワークの処理装置1及びワークの処理方法は、カバー部材40専用の搬送ユニットを追加して設ける必要がないので、カバー部材40を使用する際の装置の大型化及びコストを抑制できる。
【0064】
また、実施形態に係るワークの処理装置1及びワークの処理方法は、カバー部材40を、フレームユニット110を収容する第1カセット52とは別のカバー部材収容部51に収容するので、カバー部材40が接着及び除去した異物でワーク100を汚染する恐れを抑制できる。
【0065】
なお、本実施形態では、カバー部材40の少なくとも保持面11,75に接触する接触面である面45に加え、シート41のフレーム42が貼着された側の面44も粘着性を有してもよく、この場合、面44に落下した異物がカバー部材40の搬送中に落下する恐れを抑制し、確実に接着して除去できる。また、本実施形態では、さらに、カバー部材40の搬送ユニット60(第1搬送ユニット61、第2搬送ユニット62及び一対のガイドレール63)に接触する接触面も粘着性を有してもよく、この場合、カバー部材40が、搬送ユニット60に付着した異物も除去できる。なお、カバー部材40の搬送ユニット60に接触する接触面は、本実施形態では、フレーム42の上面の一部等であり、例えばフレーム42の上面や、フレーム42の下面までシート41を貼着することで実現される。
【0066】
〔変形例1〕
本発明の変形例1に係るワークの処理装置1及びワークの処理方法を図面に基づいて説明する。
図7は、変形例1に係るワークの処理装置1の構成要素であるカバー部材40-1の構成例を示す斜視図である。
図8は、
図7のカバー部材40-1を説明する断面図である。
図7及び
図8は、実施形態と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0067】
変形例1に係るワークの処理装置1及びワークの処理方法は、
図7及び
図8に示すように、上記した実施形態において、カバー部材40をカバー部材40-1に変更し、保持テーブル10をフレーム保持部12が省略された保持テーブル10-2に変更し、これに合わせて、第2処理ユニット70の保持テーブル71をフレーム保持部76が省略された形態に変更したものである。変形例1では、この変更に伴い、処理対象のワーク100を、裏面104にワーク100と同様の形状の粘着テープ105を貼着し、フレーム106の装着を省略するように変更している。また、搬送ユニット60を、フレーム106の部分を保持して搬送する形態ではなく、ワーク100もしくは粘着テープ105の部分を保持して搬送する形態に変更している。また、これらの変更に伴い、保持ステップ1001及びカバー部材保持ステップ1011を、フレーム保持部12及びフレーム保持部76によるフレーム106,42の保持を省略するように変更している。そのほかの構成については、上記した実施形態と同様である。
【0068】
カバー部材40-1は、
図7に示すように、シート41と、板状物46と、を備える。カバー部材40-1は、変形例1では、ワーク100と同様の形状の板状物46の一方の面47に、ワーク100に貼着される粘着テープ105と同様の形状のシート41が貼着されて構成される。カバー部材40-1の少なくとも保持面11,75に接触する接触面は、粘着性を有する。カバー部材40-1の保持面11,75に接触する接触面は、変形例1では、
図8に示すように、シート41の板状物46に貼着された側の面44とは反対側の面45である。板状物46は、例えば、ワーク100と同質の材料で板状に形成され、分割予定ライン102やデバイス103が形成されていないダミーウエーハである。
【0069】
このように、板状物46にシート41が貼着されてなるカバー部材40-1は、粘着テープ105が貼着されたワーク100と同様の形状を有するので、粘着テープ105が貼着されたワーク100と同様の方法で、粘着テープ105が貼着されたワーク100と共通の搬送ユニット60で、変形例1に係るワークの処理装置1内でワーク100の搬送経路を搬送することができる。
【0070】
板状物46にシート41が貼着されてなるカバー部材40-1は、また、粘着テープ105が貼着されたワーク100と同様の方法で、
図8に示すように、ワーク100が載置及び保持される保持テーブル10の保持面11上にシート41の部分を載置して吸引保持することができる。図示を省略しているが、保持テーブル71の保持面75上の保持も同様である。
【0071】
変形例1に係るワークの処理装置1及びワークの処理方法は、上記した実施形態において、ワーク100、カバー部材40、保持テーブル10,71のフレーム106,42に関する部分を省略したものであるので、実施形態と同様の作用効果を奏するものとなる。
【0072】
さらに、変形例1に係るワークの処理装置1及びワークの処理方法は、板状物46の形状が処理対象のワーク100と同様の形状を有し、シート41の形状が処理対象のワーク100に貼着される粘着テープ105と同様の形状を有するので、カバー部材40-1が、粘着テープ105が貼着されたワーク100と同様の形状を有する。このため、変形例1に係るワークの処理装置1及びワークの処理方法は、粘着テープ105が貼着されたワーク100と同様の方法で、粘着テープ105が貼着されたワーク100と共通の搬送ユニット60で、ワークの処理装置1内でワーク100の搬送経路を搬送できる。これにより、変形例1に係るワークの処理装置1及びワークの処理方法は、カバー部材40-1専用の搬送ユニットを追加して設ける必要がないので、カバー部材40-1を使用する際の装置の大型化及びコストを抑制できる。
【0073】
〔変形例2〕
本発明の変形例2に係るワークの処理装置1及びワークの処理方法を図面に基づいて説明する。
図9は、変形例2に係るワークの処理装置1の構成要素であるカバー部材40-2の構成例を示す斜視図である。
図10は、
図9のカバー部材40-2を説明する断面図である。
図9及び
図10は、実施形態及び変形例1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0074】
変形例2に係るワークの処理装置1及びワークの処理方法は、
図9及び
図10に示すように、上記した変形例1において、カバー部材40-1をカバー部材40-2に変更したものである。そのほかの構成については、上記した変形例1と同様である。カバー部材40-2は、カバー部材40-1において、板状物46の他方の面48にもシート41が貼着されて構成される。他方の面48に貼着されたシート41の板状物46に貼着された側の面とは反対側の面49は、粘着性を有する。
【0075】
変形例2に係るワークの処理装置1及びワークの処理方法は、上記した変形例1において、カバー部材40-1をさらに他方の面48にシート41を貼着したカバー部材40-2に変更したものであるので、実施形態と同様の作用効果を奏するものとなる。また、変形例2に係るワークの処理装置1及びワークの処理方法は、さらに、カバー部材40-2が、他方の面48に貼着したシート41の面49の粘着性により、搬送ユニット60に付着した異物も除去できる。なお、変形例2に係るワークの処理装置1及びワークの処理方法は、変形例1のカバー部材40-1と同様の方法で搬送ユニット60によりカバー部材40-2を搬送できるので、カバー部材40-2専用の搬送ユニットを追加して設ける必要がないので、カバー部材40-2を使用する際の装置の大型化及びコストを抑制できる。
【0076】
〔変形例3〕
本発明の変形例3に係るワークの処理装置1-3及びワークの処理方法を図面に基づいて説明する。
図11は、変形例3に係るワークの処理装置1-3の構成例を示す斜視図である。
図11は、実施形態及び変形例1,2と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0077】
変形例3に係るワークの処理装置1-3は、
図11に示すように、保持テーブル10-2と、第3処理ユニット20-3と、Y軸方向移動ユニット32と、カバー部材40-1,40-2と、制御ユニット80と、表示ユニット90と、を備える。変形例3に係るワークの処理装置1-3は、
図11では省略されているが、さらに、実施形態と同様のカセット載置台50と、搬送ユニット60と、を備える。変形例3に係るワークの処理装置1-3は、変形例1,2と同様に粘着テープ105が貼着されたワーク100を処理対象とし、これに合わせて、カバー部材40-1,40-2を使用する。
【0078】
第3処理ユニット20-3は、保持テーブル10-2に保持されたワーク100に対して処理を施す。第3処理ユニット20-3は、本実施形態では、保持テーブル10-2に保持されたワーク100に対して検査処理を施す検査ユニットである。第3処理ユニット20-3は、ワーク100の表面101を明視野観察法で撮像してワーク100の検査情報を取得する明視野撮像ユニット、ワーク100の表面101を暗視野観察法で撮像してワーク100の検査情報を取得する暗視野撮像ユニット、ワーク100の表面101で散乱される光を検出してワーク100の検査情報を取得する表面検査ユニット、ワーク100の裏面104に対する表面101の高さを測定してワーク100の検査情報を取得する厚み測定ユニット等のうちいずれか1つもしくは複数(
図11に示す例では3つ)のユニットが適宜選択されて組み合わせられている。第3処理ユニット20-3は、例えば、切削処理やレーザー加工処理によって形成された加工溝を検査したり、チッピングを検査したり、研削処理された面の表面粗さを検査したりする。制御ユニット80は、変形例3では、第3処理ユニット20-3が取得した検査情報に基づいて、画像処理などの検査のための解析処理を実施する。
【0079】
表示ユニット90は、ワークの処理装置1-3の不図示のカバーに、表示面側を外側に向けて設けられている。表示ユニット90は、第3処理ユニット20-3の各ユニットの検査条件等の設定の画面や、第3処理ユニット20-3による撮像画像や検査結果等をワークの処理装置1-3のオペレータに視認可能に表示する。表示ユニット90は、液晶表示装置等により構成される。表示ユニット90は、オペレータが第3処理ユニット20-3の各ユニットの検査条件等に関する情報、撮像画像や検査結果の表示に関する情報等を入力する際に使用する入力ユニットが設けられている。表示ユニット90に設けられた入力ユニットは、表示ユニット90に設けられたタッチパネルと、キーボード等とのうち少なくとも一つにより構成される。なお、表示ユニット90はワークの処理装置1-3に固定されておらず、任意の通信機器に備えられ、任意の通信機器が無線または有線によりワークの処理装置1-3と接続されてもよい。
【0080】
変形例3に係るワークの処理装置1-3及びワークの処理方法は、上記した変形例1,2において、実質的に、第1処理ユニット20による切削処理及び第2処理ユニット70による洗浄処理を第3処理ユニット20-3による検査処理に変更したものであるので、変形例1,2と同様の作用効果を奏するものとなる。なお、変形例3は、実施形態と同様に、ワーク100にフレーム106を装着し、カバー部材40を使用するように変更してもよい。
【0081】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。上記した実施形態及び各変形例では、第1処理ユニット20、第2処理ユニット70及び第3処理ユニット20-3はそれぞれ切削処理を実施する切削ユニット、洗浄処理を実施する洗浄ユニット、及び、検査処理を実施する検査ユニットであるが、本発明ではこれに限定されず、ワーク100を研削処理する研削ユニット、ワーク100を研磨処理する研磨ユニット、ワーク100にレーザービームを照射してレーザー加工処理するレーザー加工ユニット、ワーク100にプラズマを照射してプラズマ加工処理するプラズマ加工ユニット、ワーク100に保護部材を貼着する保護部材設置処理を実施する貼着ユニット、ワーク100に紫外線を照射して紫外線照射処理を実施する紫外線照射ユニット等であってもよい。
【符号の説明】
【0082】
1,1-3 ワークの処理装置
10,10-2,71 保持テーブル
11,75 保持面
20 第1処理ユニット
20-3 第3処理ユニット
40,40-1,40-2 カバー部材
41 シート
42,106 フレーム
43 開口
46 板状物
51 カバー部材収容部
52 第1カセット
60 搬送ユニット
70 第2処理ユニット
100 ワーク
110 フレームユニット