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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177955
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】温度センサの支持構造及び乾燥装置
(51)【国際特許分類】
   F26B 13/18 20060101AFI20231207BHJP
   F26B 3/20 20060101ALI20231207BHJP
   F26B 25/20 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
F26B13/18 A
F26B3/20
F26B25/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090935
(22)【出願日】2022-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100093997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀佳
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 健
(72)【発明者】
【氏名】堀江 泰介
(72)【発明者】
【氏名】秋山 佳孝
(72)【発明者】
【氏名】丸岡 憲史
(72)【発明者】
【氏名】加藤 大志
(72)【発明者】
【氏名】寺井 純一
(72)【発明者】
【氏名】北村 正樹
【テーマコード(参考)】
3L113
【Fターム(参考)】
3L113AA08
3L113AB05
3L113AC08
3L113AC32
3L113AC90
3L113BA30
3L113CA20
3L113CB05
3L113CB21
3L113DA07
3L113DA15
(57)【要約】
【課題】温度センサの取付け・取外しが容易な温度センサの支持構造を提供する。
【解決手段】フロント側板210Fとリヤ側板210Rとの間に配設された加熱ローラ310の表面温度を検出する温度センサ(サーモパイル430)の支持構造であって、フロント側板210Fとリヤ側板210Rに両端が着脱可能に支持された第1支持部材410と、温度センサを搭載すると共に第1支持部材410に対して着脱可能な第2支持部材420と、を有することを特徴とする。
【選択図】図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロント側板とリヤ側板との間に配設された加熱ローラの表面温度を検出する温度センサの支持構造であって、
前記フロント側板と前記リヤ側板に両端が着脱可能に支持された第1支持部材と、
前記温度センサを搭載すると共に前記第1支持部材に対して着脱可能な第2支持部材と、
を有することを特徴とする温度センサの支持構造。
【請求項2】
前記フロント側板に開口部が形成され、当該開口部を通して前記第1支持部材と前記第2支持部材を前記フロント側板と前記リヤ側板との間に配置可能にしたことを特徴とする請求項1の支持構造。
【請求項3】
前記第2支持部材が前記温度センサを覆うカバー部材を有し、当該カバー部材に冷却エアを供給するエアダクトが前記リヤ側板側から着脱可能に接続されていることを特徴とする請求項1の支持構造。
【請求項4】
前記温度センサが前記第2支持部材の長手方向両端部に搭載されると共に、前記第2支持部材の長手方向中間部に前記冷却エアの流量を調整する流量調整用オリフィスが配設されていることを特徴とする請求項3の支持構造。
【請求項5】
前記流量調整用オリフィスが、前記第2支持部材の長手方向中間部において、前記冷却エアの上流側と下流側に2つで配設されていることを特徴とする請求項4の支持構造。
【請求項6】
前記カバー部材に、前記温度センサから前記加熱ローラの外周面を透視可能な透孔が形成され、当該透孔を通して前記冷却エアを排気可能に構成したことを特徴とする請求項5の支持構造。
【請求項7】
前記リヤ側板に、前記第1支持部材と前記第2支持部材のリヤ側端部を位置決めする第1の位置決めピンが配設され、
前記フロント側板に、前記第1支持部材と前記第2支持部材のフロント側端部を位置決めする第2の位置決めピンが配設されていることを特徴とする請求項1の支持構造。
【請求項8】
前記第1支持部材の短手方向両側に、前記第2支持部材の短手方向両側を位置決めする立上り部が形成されると共に、当該立上り部に前記透孔に続く切欠き部が形成されていることを特徴とする請求項6の支持構造。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項の温度センサの支持構造を有することを特徴とする乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は温度センサの支持構造及び乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ロール紙を印刷する画像形成装置と、印字後のロール紙を後処理する装置(巻取り装置やチラー装置等)との間に、インクの定着性を向上させるために、図1A図1Bに示すような箱型形状の乾燥装置200が設置される場合がある(特許文献1、2参照)。当該乾燥装置200はフロント側板210Fとリヤ側板210Rを有し、当該一対の側板間に複数の加熱ローラユニット300を配設している。
【0003】
そして、インクや処理液が塗布された記録媒体(例えば連帳紙P)を複数の加熱ローラユニット300の加熱ローラに掛け回して乾燥するようにしている。加熱ローラはハロゲンランプなどの熱源を内蔵し、当該熱源の温度をサーモパイルなどの温度センサを使用して制御する。
【0004】
従来の温度センサは、特許文献1に記載のように装置本体に固定的に取付けられて取外しが困難なものが多かった。したがって、温度センサを定期的に清掃・点検したり、温度センサが故障した場合に新品と交換したりする作業が長時間に及ぶという課題があった。
【0005】
特に、近年では印刷時間を短縮し生産性を向上するため、幅20インチ以上の幅広印刷用紙に対応した画像形成装置と乾燥装置の需要が増えている。このような大型装置ではフロント側板とリヤ側板の間隔が広くなるため、前述した清掃・点検の作業時間がいっそう長くなる傾向にある。また、特許文献2の乾燥装置では加熱ローラユニットに温度センサを一体化しているため、温度センサが故障すると加熱ローラユニットごと取替えなければならないという課題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、温度センサの取付け・取外しが容易な温度センサの支持構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明の温度センサの支持構造は、フロント側板とリヤ側板との間に配設された加熱ローラの表面温度を検出する温度センサの支持構造であって、前記フロント側板と前記リヤ側板に両端が着脱可能に支持された第1支持部材と、前記温度センサを搭載すると共に前記第1支持部材に対して着脱可能な第2支持部材と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、温度センサの取付け・取外しが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】本発明の実施形態に係る乾燥装置の概略図である。
図1B】本発明の実施形態に係る乾燥装置の斜視図である。
図2A】加熱ローラユニットとサーモパイルユニットの斜視図である。
図2B】サーモパイルユニットを引抜く状態を示す斜視図である。
図2C】第2支持部材を引抜いた後の第1支持部材を示す斜視図である。
図2D】第1支持部材を引抜く状態を示す斜視図である。
図2E】第1支持部材を引抜いた後の加熱ローラユニットを示す斜視図である。
図2F】引抜いた第1支持部材の斜視図である。
図3A】加熱ローラユニットとサーモパイルユニットの斜視図である。
図3B】加熱ローラに対するサーモパイルの配置状態を示す平面図である。
図3C】ヒータランプに対するサーモパイルの配置状態を示す平面図である。
図3D】加熱ローラユニットとサーモパイルユニットの端面図である。
図3E】加熱ローラユニットとサーモパイルユニットの断面図である。
図4A】加熱ローラユニットとサーモパイルユニットのリヤ側端部斜視図である。
図4B】第1支持部材のフロント側端部斜視図である。
図4C】第1支持部材を取外した後のフロント側板の開口部の斜視図である。
図5A】サーモパイルユニットのカバー部材を透視して示す斜視図である。
図5B】サーモパイルユニットの長手方向中央とカバー部材を省略して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(●乾燥装置)
以下、本実施形態に係る乾燥装置200と、当該乾燥装置200の加熱ローラ310の温度を検出する温度センサとしてのサーモパイル430の支持構造を図面を参照して説明する。図1Aは、画像形成装置100と、その後段(下流側)に接続される乾燥装置200の概略図である。
【0011】
画像形成装置100はインクジェット記録装置であり、液滴吐出手段として5つのインクジェットヘッドを備えている。すなわち、用紙搬送方向の上流側から、ブラックK,シアンC、マゼンタM、イエローY、特色Eの5つのインクジェットヘッドを備えている。
【0012】
特色Eはオレンジ等の特別色である。なお、色の種類及び数はこれに限るものではない。画像形成装置100は、5つのインクジェットヘッドから記録媒体としての連帳紙Pにインクを吐出することによって、当該連帳紙Pに画像を形成する。
【0013】
連帳紙Pは帯状のシートである。連帳紙Pの素材は、例えば、紙(用紙)、OHPシート、糸、繊維、皮革、金属、プラスチックなど、インク(液体)を付着させることによって画像を形成することが可能なあらゆる媒体を指す。
【0014】
連帳紙Pに代えてカットシートなどのシート材を使用する印刷装置の乾燥装置にも本発明を適用することができることは勿論である。画像形成装置100によって液体(インク)が付与された連帳紙Pは、乾燥装置200を経て下流側のチラー装置や巻取装置に送られる。
【0015】
乾燥装置200は図1Bのように、フロント側板210Fとリヤ側板210Rを有する箱型形状に構成されている。フロント側板210Fとリヤ側板210Rとの間に、複数の搬送ローラ220、加熱ローラユニット300、サーモパイルユニット400が配設されている。また、乾燥装置200のほぼ中央にやや大きな加熱ドラム350が配設されている。
【0016】
各加熱ローラユニット300と加熱ドラム350の温度が、サーモパイルユニット400によって検出され、コントローラによって加熱ローラユニット300の加熱ローラと加熱ドラム350の温度が制御されるようになっている。
【0017】
連帳紙Pは、本実施形態では、複数の搬送ローラ220と加熱ローラユニット300によって装置中央の加熱ドラム350に向かって渦巻状に案内される。そして加熱ドラム350を通過した連帳紙Pは、複数の搬送ローラ220と加熱ローラユニット300によって渦巻状を逆方向に案内される。このようにして、連帳紙Pを異なる方向(液体付与面及び反対面)から加熱ローラユニット300の加熱ローラに接触させ、連帳紙Pを均等に加熱・乾燥する。
【0018】
(●加熱ローラユニットとサーモパイルユニット)
図2A図2Fを参照して、加熱ローラユニット300とサーモパイルユニット400について説明する。図2Aに示すように、フロント側板210Fとリヤ側板210Rの間に、加熱ローラユニット300とサーモパイルユニット400が配設されている。
【0019】
すなわち、加熱ローラユニット300とサーモパイルユニット400の長手方向両端部が、フロント側板210Fとリヤ側板210Rによって支持されている。フロント側板210Fには、サーモパイルユニット400をその長手方向で出し入れするために、矩形状の開口部250が形成されている。
【0020】
加熱ローラユニット300は、加熱ローラ310と、加熱ローラ310の内側に配設されたヒータランプ320を有する。ヒータランプ320は本実施形態では4本セットで配設されている。4本のヒータランプ320は、図3Cで後述するように、長めの発熱領域Aを有する周辺3本のヒータランプ320と、短めの発熱領域Bを有する中央1本のヒータランプ320で構成されている。2つの発熱領域A、Bで異なる幅の連帳紙Pに対応可能に構成されている。
【0021】
連帳紙Pは、搬送ローラ220の上下流にある、連帳紙Pを搬送する手段によって矢印方向に搬送される。この搬送中に、加熱ローラ310が回転しつつ各ヒータランプ320で加熱されることで、加熱ローラ310に接して搬送される連帳紙Pが連続的に加熱・乾燥される。
【0022】
サーモパイルユニット400は、第1支持部材410と第2支持部材420を有する。第2支持部材420にサーモパイル430が搭載されている。第1支持部材410と第2支持部材420の長さは、フロント側板210Fとリヤ側板210Rの間隔とほぼ同じである。
【0023】
第1支持部材410は図2Fに示すように断面U字状の細長レール状である。第1支持部材410の長手方向両端部が、フロント側板210Fとリヤ側板210Rに着脱可能に位置決め固定される。
【0024】
第1支持部材410の上に、前記第2支持部材420を着脱可能に搭載できるようになっている。この第2支持部材420は図3Aのように、第2支持部材420上に細長箱状のカバー部材440を有する。
【0025】
このカバー部材440の内側に、図3B図3Cに示すように、温度センサとしてのサーモパイル430が収容されている。カバー部材440は、乾燥装置200内の塵埃等からサーモパイル430を保護すると共に、後述するようにリヤ側のエアダクト240から供給される冷却エアを各サーモパイル430に導くエア通路としても機能する。
【0026】
第1支持部材410は短手方向両端に垂直に立上がった立上り部410aを有し、この立上り部410aで第2支持部材420の短手方向を位置決めガイドするようにしている。図1Aに示すように、サーモパイルユニット400の実装姿勢は様々である。立上り部410aで第2支持部材420の短手方向を位置決めガイドすることで、サーモパイル430の実装姿勢(実装角度)を安定化することができる。なお、立上り部410aにはサーモパイル430との干渉を回避するために左右一対の切欠き部410dが形成されている。
【0027】
(●フロントとリヤの位置決め)
リヤ側板210Rとフロント側板210Fに、図3D図3E図4A図4Cに示すように、第1支持部材410と第2支持部材420を位置決めするための、第1の位置決めピンとしての位置決めピン221、222と、第2の位置決めピンとしての位置決めピン280が配設されている。フロント側の位置決めピン280は、開口部250に隣接して配設されている。また、位置決めピン221、222と位置決めピン280の軸線方向は、リヤ側板210Rとフロント側板210Fに対して垂直方向、すなわち第1支持部材410と第2支持部材420の抜き差し方向(取付け取外し方向)と同じである。
【0028】
これら位置決めピン280と位置決めピン221、222によって、サーモパイル430の実装位置のずれを防止することができる。サーモパイルユニット400の実装姿勢は図1Aに示すように場所によって様々である。したがって、サーモパイルユニット400のフロントとリヤを正確に位置決めすることで、サーモパイル430の実装姿勢(実装角度)を安定化し、ひいては加熱ローラ310の表面温度の検出精度を向上することができる。
【0029】
リヤ側の位置決めピン221、222は、図2D図2Eに示すように、リヤ側板210Rに固定された位置決め部225に配設されている。これら位置決めピン221、222の先端部は、第1支持部材410と第2支持部材420の後述する位置決め孔に挿入しやゆすいように先細テーパ状に形成されている。一方、フロント側板210Fの位置決めピン280は左右一対で配設され、第1支持部材410と第2支持部材420のフロント側端部に形成された位置決め孔に挿入されてこれらを位置決めする。
【0030】
すなわち、図3Dのように、第1支持部材410のフロント側端部の折曲げ片410bに形成された位置決め孔に、フロント側板210Fの位置決めピン280が挿入される。また、第2支持部材420のフロント側端部の折曲げ片420bに形成された位置決め孔に、同じ位置決めピン280が挿入される。
【0031】
第1支持部材410の折曲げ片410bは、フロント側からネジ292をフロント側板210Fのネジ孔261(図4C)にねじ込むことでフロント側板210Fに固定される。また、第2支持部材420の折曲げ片420bは、フロント側からネジ291をフロント側板210Fの隆起段部270に形成されたネジ孔270a(図4C)にねじ込むことでフロント側板210Fに固定される。
【0032】
リヤ側板210Rの位置決めピン221、222は、それぞれ左右一対で配設されている。図3Eで上側の左右一対の位置決めピン221が、図4Aのように第2支持部材420のリヤ側端部のブラケット部420cに形成された位置決め孔に挿入される。また、図3Eで下側の左右一対の位置決めピン222が、図4Aのように第1支持部材410のリヤ側端部の折曲げ片410cに形成された位置決め孔に挿入される。
【0033】
(●冷却エアの導入)
図4Aのように、第2支持部材420のリヤ側端部のブラケット部420cに、エアダクト240が接続されている。このエアダクト240は、図5A図5Bで後述するように、リヤ側板210Rの裏側に配設されたファン500と接続されている。従来は、フロントとリヤで別々にエアダクトとファンを設けるのが普通であったが、本実施形態ではリヤ側のエアダクト240とファン500だけで済むという利点がある。
【0034】
ブラケット部420cは、サーモパイル430と共にカバー部材440で覆われている。エアダクト240によってカバー部材440内に導入された冷却エアは、カバー部材440内をリヤ側からフロント側に流れるように構成されている。
【0035】
カバー部材440には、サーモパイル430から加熱ローラ310の外周面を透視可能な透孔440aが形成されている(図3E参照)。この透孔440aを通して前記冷却エアがカバー部材440の外側に排気可能に構成されている。
【0036】
フロントとリヤの一対のサーモパイル430の間において、第2支持部材420上に、図5A図5Bのように流量調整用オリフィス450が配設されている。流量調整用オリフィス450はカバー部材440内を短手方向に横断する開口を有し、当該開口でサーモパイル430に流れる冷却エアの流量を調整する。
【0037】
流量調整用オリフィス450は、2つとも、フロントとリヤの各サーモパイル430の上流側に配設することも可能である。しかしながら、冷却エアの流量測定実験によると、リヤのサーモパイル430の上流側に流量調整用オリフィス450を配置した場合、両サーモパイル430に流れる冷却エアの流量調整が難しいことが判明した。また、リヤのサーモパイル430の上流側にはブラケット部420cがあるためスペース的な余裕が少ない。
【0038】
そこで、本実施形態ではフロントのサーモパイル430の上流側とリヤのサーモパイル430の下流側に流量調整用オリフィス450を配置した。このように流量調整用オリフィス450を配置することで、両サーモパイル430の冷却エアの流量を均等になるように容易調整することができる。
【0039】
(●サーモパイルユニットの取外し)
サーモパイルユニット400の全体を乾燥装置200から取外すには、図2Aにおいて、乾燥装置200のフロント側の2つのネジ291、292を取外せばよい。これでサーモパイルユニット400全体をフロント側板210Fの開口部250から手前側に引抜くことができる。サーモパイルユニット400全体を引抜く際、第2支持部材420のフロント側の円弧状のつまみ部420aに指を掛けると引抜きやすい。
【0040】
また、サーモパイルユニット400の第2支持部材420と第1支持部材410を順番に取外すことも可能である。この場合は、まず図2Aにおいて一方のネジ291のみを取外す。これで図2Bのように、サーモパイル430を内蔵する第2支持部材420をフロント側板210Fの開口部250から手前側(右側)に引抜くことができる。
【0041】
図2Cは、サーモパイル430を内蔵する第2支持部材420を取外した後の状態を示す。加熱ローラユニット300の横にはまだ第1支持部材410が残っているが、サーモパイル430を点検・交換するだけであれば、第1支持部材410を取外す必要はない。
【0042】
第1支持部材410をフロント側板210Fとリヤ側板210Rの間に残しておくことで、サーモパイル430を点検・交換後、第2支持部材420を短時間で再取付けすることができる。この再取付けにおいて、第1支持部材410が第2支持部材420の案内レールとして機能する。
【0043】
すなわち、第2支持部材420のリヤ側をフロント側板210Fの開口部250に挿入し、第1支持部材410の長手方向に沿って第2支持部材420をリヤ側にスライドさせる。この際、第1支持部材410の短手方向両側の立上り部410aが、第2支持部材420の左右両側をガイドする。
【0044】
したがって、第2支持部材420のリヤ側のブラケット部420cを図4Aのように位置決めピン221にスムーズに位置合わせすることができる。第2支持部材420を最後までリヤ側に挿入すると、図3Dのようにフロント側端部の折曲げ片420bが位置決めピン280により位置決めされる。
【0045】
最後にネジ291を締付けることで第2支持部材420の取付けを完了する。このように、本実施形態によれば第2支持部材420の取付け・取外しを容易化することができる。
【0046】
図2Cの状態から第1支持部材410も取外すと、加熱ローラユニット300の周囲にさらにアクセスしやすくなり、乾燥装置200の内部点検等をさらに容易に行うことができる。第1支持部材410を取外すには、図2Cにおいて残りのネジ292も取外す。そして第1支持部材410を図2Dのようにフロント側板210Fの開口部250から手前側に引抜く。
【0047】
この結果、フロント側板210Fとリヤ側板210Rの間が図2Eのように広く開放される。したがって、加熱ローラユニット300の周囲にアクセスしやすくなり、乾燥装置200の内部点検等をさらに容易に行うことができる。
【0048】
図2Fは、取外した第1支持部材410である。この第1支持部材410の上に第2支持部材420を搭載した状態、すなわち、サーモパイルユニット400全体をフロント側板210Fの開口部250から挿入することも可能である。しかし、第1支持部材410と第2支持部材420を順番に開口部250から挿入する方が、取付け方法として容易である。
【0049】
すなわち、第1支持部材410を単独で挿入する場合、そのリヤ側の折曲げ片410cをフロント側の開口部250から容易に透視することができる。したがって、リヤ側の折曲げ片410cをリヤ側の位置決めピン222に位置合わせするのが容易になる。
【0050】
(●サーモパイルの位置)
図3A図3Eにより、加熱ローラ310とサーモパイル430の位置関係をさらに説明する。図3Bは、図3Aのサーモパイルユニット400のカバー部材440を取外して内部のサーモパイル430を見えるようにしたものである。サーモパイル430は第2支持部材420の長手方向両端部付近に配設されている。
【0051】
図3Cは、図3Bの加熱ローラ310を取外して内部のヒータランプ320を見えるようにしたものである。上側のヒータランプ320が発熱領域Aを有し、図2A図3Aのように周囲3本で構成される。下側のヒータランプ320が発熱領域Bを有し、図2A図3Aのように中央1本で構成される。
【0052】
右側のサーモパイル430は、上側のヒータランプ320の発熱領域Aの直近外側の非発熱領域(非通紙領域)に対応して配設されている。左側のサーモパイル430は、下側のヒータランプ320の発熱領域Bの直近外側の非発熱領域(非通紙領域)に対応して配設されている。
【0053】
各サーモパイル430の据付角度は、非通紙領域の温度を精度よく検出可能な角度に調整される。非通紙領域は過昇温しやすいので、当該非通紙領域の温度をサーモパイル430で検出してヒータランプ320の通電を制御する。
【0054】
図3D図3Eは、サーモパイル430が貫通するカバー部材440の透孔440aから、冷却エアを加熱ローラ310の外周面に向けて排出する状態を示している。このようにサーモパイル430の外周に冷却エアを通過させることで、サーモパイル430を効果的に冷却し、その検出精度を向上することができる。
【0055】
(●フロントとリヤの位置決めの詳細)
図4A図4Cは、サーモパイルユニット400のフロントとリヤの位置決めの詳細を示すものである。図4Aはリヤ側板210Rに固定された位置決め部225とその位置決めピン221、222を示している。
【0056】
前述したように、第2支持部材420のリヤ側端部のブラケット部420cに形成された位置決め孔に、上側の左右一対の位置決めピン221が挿入される。また、第1支持部材410のリヤ側端部の折曲げ片410cに形成された位置決め孔に、下側の左右一対の位置決めピン222が挿入される。
【0057】
なお、リヤ側板210Rの位置決め部225には、2つのサーモパイル430と導通を取るための雄コネクタ226が配設されている。また、サーモパイルユニット400のブラケット部420cには、当該雄コネクタ226に対して第2支持部材420の長手方向から着脱可能に接続する雌コネクタ230が配設されている。
【0058】
図4Bは、第1支持部材410のフロント側の位置決め状態を示す。前述したように、第1支持部材410のフロント側端部の折曲げ片410bに形成された位置決め孔に、フロント側板210Fの左右一対の位置決めピン280が挿入される。
【0059】
第1支持部材410の折曲げ片410bは、フロント側からネジ292をフロント側板210Fのネジ孔261(図4C)にねじ込むことでフロント側板210Fに固定される。なお、フロント側板210Fの図4Cの隆起段部270とネジ孔270aが折曲げ片410bで覆われないように、折曲げ片410bに隆起段部270と同形状の切欠き410eを形成しておく。
【0060】
(●冷却エアの流れ)
次に、冷却エアの流れを図5A図5Bで説明する。リヤ側板の裏側にファン500が配設され、このファン500から吹出した冷却エアを、エアダクト240によってサーモパイルユニット400のカバー部材440のリヤ側端部に導入する。
【0061】
エアダクト240は位置決め部225を貫通し、リヤ側板210Rの内側に突出している。サーモパイルユニット400を図5A図5Bのように機内に挿入すると、サーモパイルユニット400のブラケット部420cの孔にエアダクト240の先端部が挿入される。そしてエアダクト240の先端部がカバー部材440のリヤ側端部内で開口する。
【0062】
エアダクト240からカバー部材440のリヤ側に冷却エアが導入されると、当該冷却エアがカバー部材440内をフロント側に向かって流れる。冷却エアは、その全量が2つのサーモパイル430の前方(加熱ローラ310側)に形成されたカバー部材440の透孔440aから外部に排気される。その際にサーモパイル430を冷却することで、サーモパイル430の検出精度を維持する。
【0063】
2つのサーモパイル430に流れる冷却エアの流量が異なると検出精度が低下するおそれがある。そこで、前述したように2つの流量調整用オリフィス450を2つのサーモパイル430の間に配設し、2つのサーモパイル430に流れる冷却エアの流量が均等になるように調整している。
【0064】
以上、本発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の技術的思想の範囲内で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば本発明に係る温度センサの支持構造は、乾燥装置における温度センサの支持構造に限らず、各種の加熱装置の温度を測定する温度センサの支持構造、例えば特許文献3に開示されている定着装置における定着ローラ用の温度センサの支持構造にも適用可能である。また、本発明に係る温度センサの支持構造は、温度センサ以外の例えば光電センサや近接センサなどの各種センサや、小型カメラなどの光学機器等の支持構造にも適用可能である。
【0065】
<付記>
以下、本発明の好ましい態様について付記する。
<第1態様>
第1態様は、フロント側板とリヤ側板との間に配設された加熱ローラの表面温度を検出する温度センサの支持構造であって、前記フロント側板と前記リヤ側板に両端が着脱可能に支持された第1支持部材と、前記温度センサを搭載すると共に前記第1支持部材に対して着脱可能な第2支持部材と、を有することを特徴とする温度センサの支持構造である。
<第2態様>
第2態様は、前記フロント側板に開口部が形成され、当該開口部を通して前記第1支持部材と前記第2支持部材を前記フロント側板と前記リヤ側板との間に配置可能にしたことを特徴とする第1態様の支持構造である。
<第3態様>
第3態様は、前記第2支持部材が前記温度センサを覆うカバー部材を有し、当該カバー部材に冷却エアを供給するエアダクトが前記リヤ側板側から着脱可能に接続されていることを特徴とする第1態様又は第2態様の支持構造である。
<第4態様>
第4態様は、前記温度センサが前記第2支持部材の長手方向両端部に搭載されると共に、前記第2支持部材の長手方向中間部に前記冷却エアの流量を調整する流量調整用オリフィスが配設されていることを特徴とする第3態様の支持構造である。
<第5態様>
第5態様は、前記流量調整用オリフィスが、前記第2支持部材の長手方向中間部において、前記冷却エアの上流側と下流側に2つで配設されていることを特徴とする第4態様の支持構造である。
<第6態様>
第6態様は、前記カバー部材に、前記温度センサから前記加熱ローラの外周面を透視可能な透孔が形成され、当該透孔を通して前記冷却エアを排気可能に構成したことを特徴とする第3態様から第5態様のいずれか1の態様の支持構造である。
<第7態様>
第7態様は、前記リヤ側板に、前記第1支持部材と前記第2支持部材のリヤ側端部を位置決めする第1の位置決めピンが配設され、前記フロント側板に、前記第1支持部材と前記第2支持部材のフロント側端部を位置決めする第2の位置決めピンが配設されていることを特徴とする第1態様から第6態様のいずれか1の態様の支持構造である。
<第8態様>
第8態様は、前記第1支持部材の短手方向両側に、前記第2支持部材の短手方向両側を位置決めする立上り部が形成されると共に、当該立上り部に前記透孔に続く切欠き部が形成されていることを特徴とする第6態様又は第7態様の支持構造である。
<第9態様>
第9態様は、第1態様から第8態様のいずれか1の態様の温度センサの支持構造を有することを特徴とする乾燥装置である。
【符号の説明】
【0066】
100:画像形成装置 200:乾燥装置
210F:フロント側板 210R:リヤ側板
220:搬送ローラ 221、222:第1の位置決めピン
225:位置決め部 226:雄コネクタ
230:雌コネクタ 240:エアダクト
250:開口部 261:ネジ孔
270:隆起段部 270a:ネジ孔
280:第2の位置決めピン 291、292:ネジ
300:加熱ローラユニット 310:加熱ローラ
320:ヒータランプ 350:加熱ドラム
400:サーモパイルユニット 410:第1支持部材
410a:立上り部 410b:折曲げ片
410c:折曲げ片 410d:切欠き
410e:切欠き 420:第2支持部材
420a:つまみ部 420b:折曲げ片
420c:ブラケット部 430:サーモパイル(温度センサ)
440:カバー部材 440a:透孔
450:流量調整用オリフィス 500:ファン
【先行技術文献】
【特許文献】
【0067】
【特許文献1】特開2020-106219号公報
【特許文献2】特開2017-83088号公報
【特許文献3】特開2015―36756号公報
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B