(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178190
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置、プラズマ処理方法、圧力弁制御装置、圧力弁制御方法及び圧力調整システム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20231207BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20231207BHJP
H05H 1/46 20060101ALI20231207BHJP
G05D 16/20 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
H01L21/302 101B
H01L21/31 C
H05H1/46 A
H05H1/46 M
G05D16/20 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】26
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208742
(22)【出願日】2022-12-26
(31)【優先権主張番号】P 2022090738
(32)【優先日】2022-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100140431
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100135677
【弁理士】
【氏名又は名称】澤井 光一
(74)【代理人】
【識別番号】100131598
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 和宗
(72)【発明者】
【氏名】四本松 康太
(72)【発明者】
【氏名】田中 康基
(72)【発明者】
【氏名】酒井 譲
(72)【発明者】
【氏名】輿水 地塩
【テーマコード(参考)】
2G084
5F004
5F045
5H316
【Fターム(参考)】
2G084AA02
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5F004AA16
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(57)【要約】
【課題】プラズマ処理チャンバ内の圧力の変動を抑制できる技術を提供する。
【解決手段】本開示に係るプラズマ処理装置は、チャンバと、チャンバ内に処理ガスを供給するガス供給部と、チャンバ内において処理ガスからプラズマを生成するソースRF信号を生成する電源と、ソースRF信号のパラメータの設定値であるソース設定値を予め記憶する記憶部と、チャンバに接続された圧力調整弁であって、チャンバの内部圧力を調整するように構成された圧力調整弁と、圧力調整弁の開度を算出する開度算出部であって、開度はソース設定値に基づいて算出される、開度算出部と、算出された開度に基づいて圧力調整弁の開度を制御する開度制御部とを備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバと、
前記チャンバ内に処理ガスを供給するガス供給部と、
前記チャンバ内において前記処理ガスからプラズマを生成するソースRF信号を生成する電源と、
前記ソースRF信号のパラメータの設定値であるソース設定値を予め記憶する記憶部と、
前記チャンバに接続された圧力調整弁であって、前記チャンバの内部圧力を調整するように構成された圧力調整弁と、
前記圧力調整弁の開度を算出する開度算出部であって、前記開度は前記ソース設定値に基づいて算出される、開度算出部と、
算出された前記開度に基づいて前記圧力調整弁の開度を制御する開度制御部と
を備える、プラズマ処理装置。
【請求項2】
前記ソース設定値は、前記ソースRF信号の電力、電圧、周波数及びデューティ比のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記チャンバ内において基板を支持する基板支持部を更に備え、
前記電源は、前記基板支持部に供給されるバイアス信号を更に生成し、
前記記憶部は、前記バイアス信号のパラメータの設定値であるバイアス設定値を記憶し、
前記開度算出部は、前記記憶部に記憶された前記バイアス設定値に更に基づいて、前記圧力調整弁の開度を算出する、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記バイアス信号は、バイアスRF信号であり、
前記バイアス設定値は、前記バイアスRF信号の電力、電圧、周波数又はデューティ比である、請求項3に記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
前記バイアス信号は、複数の電圧パルスを含むバイアスDC信号であり、
前記バイアス設定値は、前記電圧パルスの電圧、周波数又はデューティ比である、請求項3に記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
前記記憶部は、前記処理ガスの流量の設定値である流量設定値を更に記憶し、
前記開度算出部は、前記記憶部に記憶された前記流量設定値に更に基づいて、前記圧力調整弁の開度を算出する、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項7】
前記チャンバの内部圧力を測定する圧力センサを更に備え、
前記開度算出部は、前記チャンバの内部圧力の変化量に基づいて、(a)前記記憶部に記憶された前記ソース設定値に基づいて前記圧力調整弁の開度を算出する動作から、(b)前記圧力センサが測定した前記チャンバの内部圧力に基づいて前記圧力調整弁の開度を算出する動作に切り替える、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項8】
前記記憶部は、前記処理ガスに含まれるガス種を記憶し、
前記開度制御部は、前記記憶部に記憶された前記ソース設定値に基づいて前記圧力調整弁の開度を算出するか否かを、前記記憶部に記憶されたガス種に基づいて切り替える、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項9】
前記記憶部は、前記チャンバに収容される基板に含まれる膜種を記憶し、
前記開度制御部は、前記記憶部に記憶された前記ソース設定値に基づいて前記圧力調整弁の開度を算出するか否かを、前記記憶部に記憶された膜種に基づいて切り替える、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項10】
前記チャンバに収容される基板はマスクを含み、前記マスクは開口パターンを含み、
前記記憶部は、前記開口パターンに含まれる開口の開口率を記憶し、
前記開度制御部は、前記記憶部に記憶された前記ソース設定値に基づいて前記圧力調整弁の開度を算出するか否かを、前記記憶部に記憶された前記開口率に基づいて切り替える、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項11】
前記記憶部は、前記ソース設定値と前記チャンバの内部圧力との関係を示す伝達関数を更に記憶し、
前記開度算出部は、前記伝達関数に更に基づいて、前記圧力調整弁の開度を算出する、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項12】
前記チャンバの内部圧力を測定する圧力センサを更に備え、
前記開度算出部は、前記プラズマ処理の実行中に、前記チャンバの内部圧力及び前記圧力調整弁の開度を取得し、
前記開度算出部は、前記ソース設定値と、取得された前記チャンバの内部圧力及び前記圧力調整弁の開度との相関に基づいて、前記記憶部に記憶された前記伝達関数を更新する、請求項11に記載のプラズマ処理装置。
【請求項13】
前記チャンバ内において基板を支持する基板支持部と、
前記基板支持部に対向する上部電極と、を更に備え、
前記電源は、前記上部電極に印加されるDC信号を更に生成し、
前記記憶部は、前記DC信号のパラメータの設定値であるDC設定値を記憶し、
前記開度算出部は、前記記憶部に記憶された前記DC設定値に更に基づいて、前記圧力調整弁の開度を算出する、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項14】
チャンバを有するプラズマ処理装置において実行されるプラズマ処理方法であって、
前記チャンバ内に処理ガスを供給する工程と、
前記チャンバ内において前記処理ガスからプラズマを生成するソースRF信号を生成する工程と、
前記ソースRF信号のパラメータの設定値であるソース設定値を予め記憶する工程と、
前記チャンバの内部圧力を調整するように構成された圧力調整弁の開度を算出する工程であって、前記開度は前記ソース設定値に基づいて算出される、工程と
を含む、プラズマ処理方法。
【請求項15】
チャンバに接続された圧力調整弁の開度を制御する圧力弁制御装置であって、
ソースRF信号のパラメータの設定値であるソース設定値を受信するように構成された通信部であって、前記ソースRF信号は前記チャンバ内においてプラズマを生成する信号である、通信部と、
前記通信部が受信した前記ソース設定値に基づいて、前記圧力調整弁の開度を算出する開度算出部と、
算出された前記開度に基づいて前記圧力調整弁の開度を制御する開度制御部と
を備える、圧力弁制御装置。
【請求項16】
前記通信部が受信した前記ソース設定値を入力とする伝達関数を記憶する記憶部を更に備え、
前記開度算出部は、前記記憶部に記憶された前記伝達関数を読み出して、前記通信部が受信した前記ソース設定値及び前記記憶部から読み出された前記伝達関数に基づいて、前記圧力調整弁の開度を算出する、請求項15に記載の圧力弁制御装置。
【請求項17】
前記通信部がソース設定値を受信すると、前記開度算出部は前記ソース設定値及び前記伝達関数に基づいて、前記圧力調整弁の開度を算出する、請求項16に記載の圧力弁制御装置。
【請求項18】
前記通信部は、前記ソース設定値を入力とする伝達関数を受信し、
前記開度算出部は、前記通信部が受信した前記ソース設定値及び前記伝達関数に基づいて、前記圧力調整弁の開度を算出する、請求項15に記載の圧力弁制御装置。
【請求項19】
前記通信部が前記ソース設定値及び前記伝達関数を受信すると、前記開度算出部は前記ソース設定値及び前記伝達関数に基づいて、前記圧力調整弁の開度を算出する、請求項18に記載の圧力弁制御装置。
【請求項20】
チャンバに接続された圧力調整弁の開度を制御する圧力弁制御装置であって、
前記圧力制御弁の開度を受信するように構成された通信部であって、前記開度はソース設定値に基づいて算出され、前記ソース設定値はソースRF信号のパラメータの設定値であり、前記ソースRF信号は前記チャンバ内においてプラズマを生成する信号である、通信部と、
受信された前記開度に基づいて前記圧力調整弁の開度を制御する開度制御部と
を備える、圧力弁制御装置。
【請求項21】
前記圧力調整弁の前記開度は、前記ソース設定値及び伝達関数に基づいて算出され、前記伝達関数は、前記ソース設定値と前記チャンバの内部圧力との関係を示す、請求項20に記載の圧力弁制御装置。
【請求項22】
チャンバに接続された圧力調整弁の開度を制御する圧力弁制御方法であって、
ソースRF信号のパラメータの設定値であるソース設定値を受信する工程であって、前記ソースRF信号は前記チャンバ内においてプラズマを生成する信号である、工程と、
受信された前記ソース設定値に基づいて、前記圧力調整弁の開度を算出する工程と、
算出された前記開度に基づいて前記圧力調整弁の開度を制御する工程と
を含む、圧力弁制御方法。
【請求項23】
チャンバに接続された圧力調整弁の開度を制御する圧力弁制御方法であって、
前記圧力制御弁の開度を受信する工程であって、前記開度はソース設定値に基づいて算出され、前記ソース設定値はソースRF信号のパラメータの設定値であり、前記ソースRF信号は前記チャンバ内においてプラズマを生成する信号である、工程と、
受信された前記開度に基づいて前記圧力調整弁の開度を制御する工程と
を備える、圧力弁制御方法。
【請求項24】
チャンバに接続された圧力調整弁と、
前記圧力調整弁の開度を制御する圧力弁制御装置と
を備え、
前記圧力弁制御装置は、
チャンバに接続された圧力調整弁の開度を制御する圧力弁制御装置であって、
ソースRF信号のパラメータの設定値であるソース設定値を受信するように構成された通信部であって、前記ソースRF信号は前記チャンバ内においてプラズマを生成する信号である、通信部と、
前記通信部が受信した前記ソース設定値に基づいて、前記圧力調整弁の開度を算出する開度算出部と、
算出された前記開度に基づいて前記圧力調整弁の開度を制御する開度制御部と
を備える、圧力調整システム。
【請求項25】
チャンバに接続された圧力調整弁と、
前記圧力調整弁の開度を制御する圧力弁制御装置と
を備え、
前記圧力弁制御装置は、
ソースRF信号のパラメータの設定値であるソース設定値を受信するように構成された通信部であって、前記ソースRF信号は前記チャンバ内においてプラズマを生成する信号である、通信部と、
前記通信部が受信した前記ソース設定値を入力とする伝達関数を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記伝達関数を読み出して、前記通信部が受信した前記ソース設定値及び前記記憶部から読みだされた前記伝達関数に基づいて、前記圧力調整弁の開度を算出する、開度算出部と、
前記通信部が受信した前記ソース設定値に基づいて、前記圧力調整弁の開度を算出する開度算出部と、
算出された前記開度に基づいて前記圧力調整弁の開度を制御する開度制御部と
を備える、圧力調整システム。
【請求項26】
チャンバに接続された圧力調整弁と、
前記圧力調整弁の開度を制御する圧力弁制御装置と
を備え、
前記圧力弁制御装置は、
前記圧力制御弁の開度を受信するように構成された通信部であって、前記開度はソース設定値に基づいて算出され、前記ソース設定値はソースRF信号のパラメータの設定値であり、前記ソースRF信号は前記チャンバ内においてプラズマを生成する信号である、通信部と、
受信された前記開度に基づいて前記圧力調整弁の開度を制御する開度制御部と
を備える、圧力調整システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の例示的実施形態は、プラズマ処理装置、プラズマ処理方法、圧力弁制御装置、圧力弁制御方法及び圧力調整システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ステップ切り替え後に速やかにプラズマを安定させる技術として、特許文献1に記載された技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、プラズマ処理チャンバ内の圧力の変動を抑制できる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一つの例示的実施形態において、プラズマ処理装置が提供される。プラズマ処理装置は、チャンバと、チャンバ内に処理ガスを供給するガス供給部と、チャンバ内において処理ガスからプラズマを生成するソースRF信号を生成する電源と、ソースRF信号のパラメータの設定値であるソース設定値を予め記憶する記憶部と、チャンバに接続された圧力調整弁であって、チャンバの内部圧力を調整するように構成された圧力調整弁と、圧力調整弁の開度を算出する開度算出部であって、開度はソース設定値に基づいて算出される、開度算出部と、算出された開度に基づいて圧力調整弁の開度を制御する開度制御部とを備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示の一つの例示的実施形態によれば、プラズマ処理チャンバ内の圧力の変動を抑制できる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】プラズマ処理システムの構成例を説明するための図である。
【
図2】容量結合型のプラズマ処理装置の構成例を説明するための図である。
【
図3】圧力調整システム100の構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】本処理方法における各処理のタイミングチャートの一例である。
【
図6】圧力調整システム100の構成の一例を示すブロック図である。
【
図7】圧力調整システム100の構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の各実施形態について説明する。
【0009】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理装置が提供される。プラズマ処理装置は、チャンバと、チャンバ内に処理ガスを供給するガス供給部と、チャンバ内において処理ガスからプラズマを生成するソースRF信号を生成する電源と、ソースRF信号のパラメータの設定値であるソース設定値を予め記憶する記憶部と、チャンバに接続された圧力調整弁であって、チャンバの内部圧力を調整するように構成された圧力調整弁と、圧力調整弁の開度を算出する開度算出部であって、開度はソース設定値に基づいて算出される、開度算出部と、算出された開度に基づいて圧力調整弁の開度を制御する開度制御部とを備える。
【0010】
一つの例示的実施形態において、ソース設定値は、ソースRF信号の電力、電圧、周波数及びデューティ比のうちの少なくとも1つである。
【0011】
一つの例示的実施形態において、チャンバ内において基板を支持する基板支持部を更に備え、電源は、基板支持部に供給されるバイアス信号を更に生成し、記憶部は、バイアス信号のパラメータの設定値であるバイアス設定値を記憶し、開度算出部は、記憶部に記憶されたバイアス設定値に更に基づいて、圧力調整弁の開度を算出する。
【0012】
一つの例示的実施形態において、バイアス信号は、バイアスRF信号であり、バイアス設定値は、バイアスRF信号の電力、電圧、周波数又はデューティ比である。
【0013】
一つの例示的実施形態において、バイアス信号は、複数の電圧パルスを含むバイアスDC信号であり、バイアス設定値は、電圧パルスの電圧、周波数又はデューティ比である。
【0014】
一つの例示的実施形態において、記憶部は、処理ガスの流量の設定値である流量設定値を更に記憶し、開度算出部は、記憶部に記憶された流量設定値に更に基づいて、圧力調整弁の開度を算出する。
【0015】
一つの例示的実施形態において、チャンバの内部圧力を測定する圧力センサを更に備え、開度算出部は、チャンバの内部圧力の変化量に基づいて、(a)記憶部に記憶されたソース設定値に基づいて圧力調整弁の開度を算出する動作から、(b)圧力センサが測定したチャンバの内部圧力に基づいて圧力調整弁の開度を算出する動作に切り替える。
【0016】
一つの例示的実施形態において、記憶部は、処理ガスに含まれるガス種を記憶し、開度制御部は、記憶部に記憶されたソース設定値に基づいて圧力調整弁の開度を算出するか否かを、記憶部に記憶されたガス種に基づいて切り替える。
【0017】
一つの例示的実施形態において、記憶部は、チャンバに収容される基板に含まれる膜種を記憶し、開度制御部は、記憶部に記憶されたソース設定値に基づいて圧力調整弁の開度を算出するか否かを、記憶部に記憶された膜種に基づいて切り替える。
【0018】
一つの例示的実施形態において、チャンバに収容される基板はマスクを含み、マスクは開口パターンを含み、記憶部は、開口パターンに含まれる開口の開口率を記憶し、開度制御部は、記憶部に記憶されたソース設定値に基づいて圧力調整弁の開度を算出するか否かを、記憶部に記憶された開口率に基づいて切り替える。
【0019】
一つの例示的実施形態において、記憶部は、ソース設定値とチャンバの内部圧力との関係を示す伝達関数を更に記憶し、開度算出部は、伝達関数に更に基づいて、圧力調整弁の開度を算出する。
【0020】
一つの例示的実施形態において、チャンバの内部圧力を測定する圧力センサを更に備え、開度算出部は、プラズマ処理の実行中に、チャンバの内部圧力及び圧力調整弁の開度を取得し、開度算出部は、ソース設定値と、取得されたチャンバの内部圧力及び圧力調整弁の開度との相関に基づいて、記憶部に記憶された伝達関数を更新する。
【0021】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理装置は、チャンバ内において基板を支持する基板支持部と、基板支持部に対向する上部電極と、を更に備え、電源は、上部電極に印加されるDC信号を更に生成し、記憶部は、DC信号のパラメータの設定値であるDC設定値を記憶し、開度算出部は、記憶部に記憶されたDC設定値に更に基づいて、圧力調整弁の開度を算出する。
【0022】
一つの例示的実施形態において、チャンバを有するプラズマ処理装置において実行されるプラズマ処理方法が提供される。プラズマ処理方法は、チャンバ内に処理ガスを供給する工程と、チャンバ内において処理ガスからプラズマを生成するソースRF信号を生成する工程と、ソースRF信号のパラメータの設定値であるソース設定値を予め記憶する工程と、チャンバの内部圧力を調整するように構成された圧力調整弁の開度を算出する工程であって、開度はソース設定値に基づいて算出される、工程とを含む。
【0023】
一つの例示的実施形態において、チャンバに接続された圧力調整弁の開度を制御する圧力弁制御装置が提供される。圧力弁制御装置は、ソースRF信号のパラメータの設定値であるソース設定値を受信するように構成された通信部であって、ソースRF信号はチャンバ内においてプラズマを生成する信号である、通信部と、通信部が受信したソース設定値に基づいて、圧力調整弁の開度を算出する開度算出部と、算出された開度に基づいて圧力調整弁の開度を制御する開度制御部とを備える。
【0024】
一つの例示的実施形態において、圧力弁制御装置は、通信部が受信したソース設定値を入力とする伝達関数を記憶する記憶部を更に備え、開度算出部は、記憶部に記憶された伝達関数を読み出して、前記通信部が受信した前記ソース設定値及び前記記憶部から読みだされた前記伝達関数 に基づいて、圧力調整弁の開度を算出する。
【0025】
一つの例示的実施形態において、前記通信部がソース設定値を受信すると、前記開度算出部は前記ソース設定値及び前記伝達関数に基づいて、前記圧力調整弁の開度を算出する。
【0026】
一つの例示的実施形態において、前記通信部は、前記ソース設定値を入力とする伝達関数を受信し、前記開度算出部は、前記通信部が受信した前記ソース設定値及び前記伝達関数に基づいて、前記圧力調整弁の開度を算出する。
【0027】
一つの例示的実施形態において、前記通信部が前記ソース設定値及び前記伝達関数を受信すると、前記開度算出部は前記ソース設定値及び前記伝達関数に基づいて、前記圧力調整弁の開度を算出する。
【0028】
一つの例示的実施形態において、チャンバに接続された圧力調整弁の開度を制御する圧力弁制御装置が提供される。圧力弁制御装置は、圧力制御弁の開度を受信するように構成された通信部であって、開度はソース設定値に基づいて算出され、ソース設定値はソースRF信号のパラメータの設定値であり、ソースRF信号はチャンバ内においてプラズマを生成する信号である、通信部と、受信された開度に基づいて圧力調整弁の開度を制御する開度制御部とを備える。
【0029】
一つの例示的実施形態において、前記圧力調整弁の前記開度は、前記ソース設定値及び伝達関数に基づいて算出され、前記伝達関数は、前記ソース設定値と前記チャンバの内部圧力との関係を示す。
【0030】
一つの例示的実施形態において、チャンバに接続された圧力調整弁の開度を制御する圧力弁制御方法が提供される。圧力弁制御方法は、ソースRF信号のパラメータの設定値であるソース設定値を受信する工程であって、ソースRF信号はチャンバ内においてプラズマを生成する信号である、工程と、受信されたソース設定値に基づいて、圧力調整弁の開度を算出する工程と、算出された開度に基づいて圧力調整弁の開度を制御する工程とを含む。
【0031】
一つの例示的実施形態において、チャンバに接続された圧力調整弁の開度を制御する圧力弁制御方法が提供される。圧力弁制御方法は、圧力制御弁の開度を受信する工程であって、開度はソース設定値に基づいて算出され、ソース設定値はソースRF信号のパラメータの設定値であり、ソースRF信号はチャンバ内においてプラズマを生成する信号である、工程と、受信された開度に基づいて圧力調整弁の開度を制御する工程とを備える。
【0032】
一つの例示的実施形態において、圧力調整システムが提供される。圧力調整システムは、チャンバに接続された圧力調整弁と、前記圧力調整弁の開度を制御する圧力弁制御装置とを備え、前記圧力弁制御装置は、チャンバに接続された圧力調整弁の開度を制御する圧力弁制御装置であって、ソースRF信号のパラメータの設定値であるソース設定値を受信するように構成された通信部であって、前記ソースRF信号は前記チャンバ内においてプラズマを生成する信号である、通信部と、前記通信部が受信した前記ソース設定値に基づいて、前記圧力調整弁の開度を算出する開度算出部と、算出された前記開度に基づいて前記圧力調整弁の開度を制御する開度制御部とを備える。
【0033】
一つの例示的実施形態において、圧力調整システムが提供される。圧力調整システムは、チャンバに接続された圧力調整弁と、前記圧力調整弁の開度を制御する圧力弁制御装置とを備え、前記圧力弁制御装置は、ソースRF信号のパラメータの設定値であるソース設定値を受信するように構成された通信部であって、前記ソースRF信号は前記チャンバ内においてプラズマを生成する信号である、通信部と、前記通信部が受信した前記ソース設定値を入力とする伝達関数を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された前記伝達関数を読み出して、前記通信部が受信した前記ソース設定値及び前記記憶部から読みだされた前記伝達関数に基づいて、前記圧力調整弁の開度を算出する、開度算出部と、前記通信部が受信した前記ソース設定値に基づいて、前記圧力調整弁の開度を算出する開度算出部と、算出された前記開度に基づいて前記圧力調整弁の開度を制御する開度制御部とを備える。
【0034】
一つの例示的実施形態において、圧力調整システムが提供される。圧力調整システムは、チャンバに接続された圧力調整弁と、前記圧力調整弁の開度を制御する圧力弁制御装置とを備え、前記圧力弁制御装置は、前記圧力制御弁の開度を受信するように構成された通信部であって、前記開度はソース設定値に基づいて算出され、前記ソース設定値はソースRF信号のパラメータの設定値であり、前記ソースRF信号は前記チャンバ内においてプラズマを生成する信号である、通信部と、受信された前記開度に基づいて前記圧力調整弁の開度を制御する開度制御部とを備える。
【0035】
以下、図面を参照して、本開示の各実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一または同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づいて上下左右等の位置関係を説明する。図面の寸法比率は実際の比率を示すものではなく、また、実際の比率は図示の比率に限られるものではない。
【0036】
<プラズマ処理システムの構成例>
図1は、プラズマ処理システムの構成例を説明するための図である。一実施形態において、プラズマ処理システムは、プラズマ処理装置1及び制御部2を含む。プラズマ処理システムは、基板処理システムの一例であり、プラズマ処理装置1は、基板処理装置の一例である。プラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10、基板支持部11及びプラズマ生成部12を含む。プラズマ処理チャンバ10は、プラズマ処理空間を有する。また、プラズマ処理チャンバ10は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間に供給するための少なくとも1つのガス供給口と、プラズマ処理空間からガスを排出するための少なくとも1つのガス排出口とを有する。ガス供給口は、後述するガス供給部20に接続され、ガス排出口は、後述する排気システム40に接続される。基板支持部11は、プラズマ処理空間内に配置され、基板を支持するための基板支持面を有する。
【0037】
プラズマ生成部12は、プラズマ処理空間内に供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマを生成するように構成される。プラズマ処理空間において形成されるプラズマは、容量結合プラズマ(CCP;Capacitively Coupled Plasma)、誘導結合プラズマ(ICP;Inductively Coupled Plasma)、ECRプラズマ(Electron-Cyclotron-resonance plasma)、ヘリコン波励起プラズマ(HWP:Helicon Wave Plasma)、又は、表面波プラズマ(SWP:Surface Wave Plasma)等であってもよい。また、AC(Alternating Current)プラズマ生成部及びDC(Direct Current)プラズマ生成部を含む、種々のタイプのプラズマ生成部が用いられてもよい。一実施形態において、ACプラズマ生成部で用いられるAC信号(AC電力)は、100kHz~10GHzの範囲内の周波数を有する。従って、AC信号は、RF(Radio Frequency)信号及びマイクロ波信号を含む。一実施形態において、RF信号は、100kHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。
【0038】
制御部(Circuitry)2は、本開示において述べられる種々の工程をプラズマ処理装置1に実行させるコンピュータ実行可能な命令を処理する。制御部2は、ここで述べられる種々の工程を実行するようにプラズマ処理装置1の各要素を制御するように構成され得る。一実施形態において、制御部2の一部又は全てがプラズマ処理装置1に含まれてもよい。制御部2は、処理部2a1、記憶部2a2及び通信インターフェース2a3を含んでもよい。制御部2は、例えばコンピュータ2aにより実現される。処理部2a1は、記憶部2a2からプログラムを読み出し、読み出されたプログラムを実行することにより種々の制御動作を行うように構成され得る。このプログラムは、予め記憶部2a2に格納されていてもよく、必要なときに、媒体を介して取得されてもよい。取得されたプログラムは、記憶部2a2に格納され、処理部2a1によって記憶部2a2から読み出されて実行される。媒体は、コンピュータ2aに読み取り可能な種々の記憶媒体であってもよく、通信インターフェース2a3に接続されている通信回線であってもよい。処理部2a1は、CPU(Central Processing Unit)であってもよい。記憶部2a2は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。通信インターフェース2a3は、LAN(Local Area Network)等の通信回線を介してプラズマ処理装置1との間で通信してもよい。
【0039】
<プラズマ処理装置の構成例>
以下に、プラズマ処理装置1の一例としての容量結合型のプラズマ処理装置の構成例について説明する。
図2は、容量結合型のプラズマ処理装置の構成例を説明するための図である。
【0040】
容量結合型のプラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10、ガス供給部20、電源30及び排気システム40を含む。また、プラズマ処理装置1は、基板支持部11及びガス導入部を含む。ガス導入部は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理チャンバ10内に導入するように構成される。ガス導入部は、シャワーヘッド13を含む。基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10内に配置される。シャワーヘッド13は、基板支持部11の上方に配置される。一実施形態において、シャワーヘッド13は、プラズマ処理チャンバ10の天部(ceiling)の少なくとも一部を構成する。プラズマ処理チャンバ10は、シャワーヘッド13、プラズマ処理チャンバ10の側壁10a及び基板支持部11により規定されたプラズマ処理空間10sを有する。プラズマ処理チャンバ10は接地される。シャワーヘッド13及び基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10の筐体とは電気的に絶縁される。
【0041】
基板支持部11は、本体部111及びリングアセンブリ112を含む。本体部111は、基板Wを支持するための中央領域111aと、リングアセンブリ112を支持するための環状領域111bとを有する。ウェハは基板Wの一例である。本体部111の環状領域111bは、平面視で本体部111の中央領域111aを囲んでいる。基板Wは、本体部111の中央領域111a上に配置され、リングアセンブリ112は、本体部111の中央領域111a上の基板Wを囲むように本体部111の環状領域111b上に配置される。従って、中央領域111aは、基板Wを支持するための基板支持面とも呼ばれ、環状領域111bは、リングアセンブリ112を支持するためのリング支持面とも呼ばれる。
【0042】
一実施形態において、本体部111は、基台1110及び静電チャック1111を含む。基台1110は、導電性部材を含む。基台1110の導電性部材は下部電極として機能し得る。静電チャック1111は、基台1110の上に配置される。静電チャック1111は、セラミック部材1111aとセラミック部材1111a内に配置される静電電極1111bとを含む。セラミック部材1111aは、中央領域111aを有する。一実施形態において、セラミック部材1111aは、環状領域111bも有する。なお、環状静電チャックや環状絶縁部材のような、静電チャック1111を囲む他の部材が環状領域111bを有してもよい。この場合、リングアセンブリ112は、環状静電チャック又は環状絶縁部材の上に配置されてもよく、静電チャック1111と環状絶縁部材の両方の上に配置されてもよい。また、後述するRF電源31及び/又はDC電源32に結合される少なくとも1つのRF/DC電極がセラミック部材1111a内に配置されてもよい。この場合、少なくとも1つのRF/DC電極が下部電極として機能する。後述するバイアスRF信号及び/又はDC信号が少なくとも1つのRF/DC電極に供給される場合、RF/DC電極はバイアス電極とも呼ばれる。なお、基台1110の導電性部材と少なくとも1つのRF/DC電極とが複数の下部電極として機能してもよい。また、静電電極1111bが下部電極として機能してもよい。従って、基板支持部11は、少なくとも1つの下部電極を含む。
【0043】
リングアセンブリ112は、1又は複数の環状部材を含む。一実施形態において、1又は複数の環状部材は、1又は複数のエッジリングと少なくとも1つのカバーリングとを含む。エッジリングは、導電性材料又は絶縁材料で形成され、カバーリングは、絶縁材料で形成される。
【0044】
また、基板支持部11は、静電チャック1111、リングアセンブリ112及び基板のうち少なくとも1つをターゲット温度に調節するように構成される温調モジュールを含んでもよい。温調モジュールは、ヒータ、伝熱媒体、流路1110a、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。流路1110aには、ブラインやガスのような伝熱流体が流れる。一実施形態において、流路1110aが基台1110内に形成され、1又は複数のヒータが静電チャック1111のセラミック部材1111a内に配置される。また、基板支持部11は、基板Wの裏面と中央領域111aとの間の間隙に伝熱ガスを供給するように構成された伝熱ガス供給部を含んでもよい。
【0045】
シャワーヘッド13は、ガス供給部20からの少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10s内に導入するように構成される。シャワーヘッド13は、少なくとも1つのガス供給口13a、少なくとも1つのガス拡散室13b、及び複数のガス導入口13cを有する。ガス供給口13aに供給された処理ガスは、ガス拡散室13bを通過して複数のガス導入口13cからプラズマ処理空間10s内に導入される。また、シャワーヘッド13は、少なくとも1つの上部電極を含む。なお、ガス導入部は、シャワーヘッド13に加えて、側壁10aに形成された1又は複数の開口部に取り付けられる1又は複数のサイドガス注入部(SGI:Side Gas Injector)を含んでもよい。
【0046】
ガス供給部20は、少なくとも1つのガスソース21及び少なくとも1つの流量制御器22を含んでもよい。一実施形態において、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスを、それぞれに対応のガスソース21からそれぞれに対応の流量制御器22を介してシャワーヘッド13に供給するように構成される。各流量制御器22は、例えばマスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器を含んでもよい。さらに、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスの流量を変調又はパルス化する少なくとも1つの流量変調デバイスを含んでもよい。
【0047】
電源30は、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介してプラズマ処理チャンバ10に結合されるRF電源31を含む。RF電源31は、少なくとも1つのRF信号(RF電力)を少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に供給するように構成される。これにより、プラズマ処理空間10sに供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマが形成される。従って、RF電源31は、プラズマ生成部12の少なくとも一部として機能し得る。また、バイアスRF信号を少なくとも1つの下部電極に供給することにより、基板Wにバイアス電位が発生し、形成されたプラズマ中のイオン成分を基板Wに引き込むことができる。
【0048】
一実施形態において、RF電源31は、第1のRF生成部31a及び第2のRF生成部31bを含む。第1のRF生成部31aは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に結合され、プラズマ生成用のソースRF信号(ソースRF電力)を生成するように構成される。一実施形態において、ソースRF信号は、10MHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第1のRF生成部31aは、異なる周波数を有する複数のソースRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のソースRF信号は、少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に供給される。
【0049】
第2のRF生成部31bは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して少なくとも1つの下部電極に結合され、バイアスRF信号(バイアスRF電力)を生成するように構成される。バイアスRF信号の周波数は、ソースRF信号の周波数と同じであっても異なっていてもよい。一実施形態において、バイアスRF信号は、ソースRF信号の周波数よりも低い周波数を有する。一実施形態において、バイアスRF信号は、100kHz~60MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第2のRF生成部31bは、異なる周波数を有する複数のバイアスRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のバイアスRF信号は、少なくとも1つの下部電極に供給される。また、種々の実施形態において、ソースRF信号及びバイアスRF信号のうち少なくとも1つがパルス化されてもよい。
【0050】
また、電源30は、プラズマ処理チャンバ10に結合されるDC電源32を含んでもよい。DC電源32は、第1のDC生成部32a及び第2のDC生成部32bを含む。一実施形態において、第1のDC生成部32aは、少なくとも1つの下部電極に接続され、第1のDC信号を生成するように構成される。生成された第1のDC信号は、少なくとも1つの下部電極に印加される。一実施形態において、第2のDC生成部32bは、少なくとも1つの上部電極に接続され、第2のDC信号を生成するように構成される。生成された第2のDC信号は、少なくとも1つの上部電極に印加される。
【0051】
種々の実施形態において、第1及び第2のDC信号がパルス化されてもよい。この場合、電圧パルスのシーケンスが少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に印加される。電圧パルスは、矩形、台形、三角形又はこれらの組み合わせのパルス波形を有してもよい。一実施形態において、DC信号から電圧パルスのシーケンスを生成するための波形生成部が第1のDC生成部32aと少なくとも1つの下部電極との間に接続される。従って、第1のDC生成部32a及び波形生成部は、電圧パルス生成部を構成する。第2のDC生成部32b及び波形生成部が電圧パルス生成部を構成する場合、電圧パルス生成部は、少なくとも1つの上部電極に接続される。電圧パルスは、正の極性を有してもよく、負の極性を有してもよい。また、電圧パルスのシーケンスは、1周期内に1又は複数の正極性電圧パルスと1又は複数の負極性電圧パルスとを含んでもよい。なお、第1及び第2のDC生成部32a,32bは、RF電源31に加えて設けられてもよく、第1のDC生成部32aが第2のRF生成部31bに代えて設けられてもよい。
【0052】
排気システム40は、例えばプラズマ処理チャンバ10の底部に設けられたガス排出口10eに接続され得る。排気システム40は、圧力調整弁42及び真空ポンプ44を含んでもよい。圧力調整弁42によって、プラズマ処理空間10s内の圧力が調整される。本実施形態において、圧力調整弁42は、その開度に応じて、圧力調整弁42のコンダクタンスが変化する。また、圧力調整弁42の開度を制御してプラズマ処理空間10sの圧力を制御する圧力弁制御装置50が設けられてよい。圧力弁制御装置50は、プラズマ処理装置1の一部の構成であってよく、また、プラズマ処理装置1の外部の構成であってもよい。真空ポンプ44は、ターボ分子ポンプ、ドライポンプ又はこれらの組み合わせを含んでもよい。制御部2の少なくとも一部、圧力調整弁42及び/又は圧力制御置50はは、圧力調整システム100を構成し得る。
【0053】
図3は、圧力調整システム100の構成の一例を示すブロック図である。圧力調整システム100は、制御部2の少なくとも一部、圧力調整弁42及び圧力調整装置を含み得る。圧力弁制御装置50は、通信部51、差分算出部52、FB制御部53、FF制御部54、開度算出部55及び記憶部56及び開度制御部57を有する。なお、圧力弁制御装置50に含まれる構成の一部又は全部を、制御部2が有してもよい。一実施形態において、圧力弁制御装置50に含まれる構成が実行する機能の一部又は全部が、制御部2において実行されてよい(一例として
図6及び
図7参照)。
【0054】
通信部51は、圧力弁制御装置50と制御部2との間で通信を行うよう構成されたインターフェースであり得る。通信部51は、制御データを制御部2から受信する。通信部51は、通信インターフェース2a3を介して、制御部2の各構成と通信し得る。通信部51は、制御部2から受信した制御データの一部又は全部を記憶部56に格納し得る。また、通信部51は、制御部2から受信した制御データの一部又は全部を、開度算出部55に送信し得る。
【0055】
通信部51は、圧力センサ60が測定した、プラズマ処理チャンバ10内の圧力(以下「チャンバ圧力」ともいう。)の測定値を受信する。通信部51は、チャンバ圧力の測定値を、圧力センサ60から受信し得る。また、通信部51は、チャンバ圧力の測定値を、制御部2を介して受信してもよい。
【0056】
また、通信部51は、圧力調整弁42の開度に関する開度データを圧力調整弁42から受信し得る。通信部51は、開度データを制御部2に送信し得る。制御部2は、通信部51から受信した開度データを、記憶部2a2に格納し得る。なお、制御部2は、圧力調整弁42から開度データを、圧力弁制御装置50を介さずに受信してもよい。また、通信部51は、圧力調整弁42から受信した開度データを記憶部56に格納してもよい。なお、開度データは、圧力調整弁42の開度を制御するエンコーダの値であり得る。また、制御部2は、開度データに基づいて、圧力調整弁42の動作タイミング及び/又は動作速度を制御し得る。
【0057】
差分算出部52は、チャンバ圧力の設定値とチャンバ圧力の測定値との差分である圧力差を算出する。一例では、算出部52は、チャンバ圧力の設定値を記憶部56から読み出してよい。
【0058】
FB制御部53は、チャンバ圧力をフィードバック制御するためのFB補正値を算出する。一例では、FB補正値は、圧力調整弁42の開度を補正するための値である。FB制御部53は、差分算出部52が算出した圧力差に基づいて、FB補正値を算出してよい。
【0059】
FF制御部54は、チャンバ圧力をフィードフォワード制御するためのFF補正値を算出する。一例では、FF補正値は、圧力調整弁42の開度を補正するための値である。FF制御部54は、通信部51が受信した制御データ及び/又は記憶部56に格納された制御データに基づいて、FF補正値を算出してよい。
【0060】
開度算出部55は、FB制御部53及びFF制御部54を含む。開度算出部55は、FB補正値及び/又はFF補正値に基づいて、圧力調整弁42の開度を算出する。また、開度算出部55は、算出された開度に基づいて、圧力調整弁42の開度を制御する。なお、FB制御部53及び/又はFF制御部54は、FB補正値及び/又はFF補正値を開度として、圧力調整弁42の開度を制御してよい。また、本開示において、開度制御部55による算出動作は、FB制御部53及び/又はFF制御部54による算出動作であり得る。
【0061】
開度算出部55は、圧力調整弁42の開度に関する開度データを圧力調整弁42から受信し得る。開度データは、圧力調整弁42の開度を制御するエンコーダの値であり得る。開度算出部55は、開度データに基づいて、圧力調整弁42の動作タイミング及び/又は動作速度を制御し得る。開度算出部55は、圧力調整弁42から受信した開度データを記憶部56に格納してよい。
【0062】
記憶部56は、圧力調整弁42の制御に関するデータを記憶する。一実施形態において、記憶部56が記憶するデータは、後述する制御データの一部又は全部を含み得る。一例として、記憶部56が記憶する制御データは、伝達関数を含み得る。
【0063】
<プラズマ処理方法の一例>
図4は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理方法(以下「本処理方法」ともいう。)を示すフローチャートである。
図4に示すように、本処理方法は、制御データを読み出す工程(ST1)と、基板を準備する工程(ST2)と、基板をエッチングする工程(ST3)と、伝達関数を更新する工程(ST4)とを含む。各工程における処理は、
図1に示すプラズマ処理システムで実行されてよい。以下では、制御部2がプラズマ処理装置1の各部を制御すると共に、
図3に示す圧力調整システム100において、圧力弁制御装置50が圧力調整弁42を制御して、本処理方法を実行する例を説明する。
【0064】
(工程ST1:制御データの読み出し及び記憶)
工程ST1において、本処理方法を実行するための制御データが読み出される。一例として、制御データの一部又は全部が、制御部2に含まれる記憶部2a2から読み出されてよい。また、工程ST1において、本処理方法を実行するための制御データが記憶される。一実施形態において、制御データの一部又は全部が、圧力弁制御装置50の記憶部56に記憶されてよい。
【0065】
制御データは、プラズマ処理装置1の各部を制御して本処理方法を実行するためのデータである。一例として、制御データは、レシピデータ及び伝達関数を含み得る。レシピデータは、工程ST3のエッチング処理におけるソースRF信号のパラメータの設定値を含み得る。一例として、ソースRF信号のパラメータは、ソースRF信号の電力、電圧、周波数及びデューティ比、ソースRF電力の供給時間を含み得る。また、レシピデータは、バイアス信号(バイアスRF信号及びバイアスDC信号)のパラメータの設定値を含み得る。一例として、バイアス信号のパラメータは、バイアス信号の電力、電圧、周波数、デューティ比、バイアス信号の供給時間を含み得る。また、レシピデータは、上部電極に印加される第2のDC信号の設定値を含み得る。一例として、第2のDC信号のパラメータは、第2のDC信号の電圧、第2のDC信号の印加時間を含み得る。また、レシピデータは、当該エッチング処理における処理ガスのパラメータを含み得る。一例として、処理ガスのパラメータは、処理ガスの流量、処理ガスに含まれるガス種、処理ガスに含まれるガスの解離度、処理ガスに含まれるガスから生成されるバイプロダクトの種類及び量、処理ガスの供給時間等を含み得る。
【0066】
伝達関数は、レシピデータに含まれる1又は2以上のパラメータの設定値を入力とし、プラズマ処理空間10sの圧力の調整に関する設定値を出力とする関数である。一例として、伝達関数は、ソースRF信号のパラメータの設定値及び/又は処理ガスのパラメータの設定値を入力とし、圧力調整弁42の開度、当該開度の補正値又はプラズマ処理空間10sの圧力を出力とする関数であり得る。一例として、伝達関数は、時定数の情報を含み得る。時定数の情報は、例えば、プラズマ処理チャンバ10の内部圧力を所定の圧力にするために圧力調整弁42の開度を所定の開度にしたときに、当該内部圧力の変化が始まるまでの時間、及び、当該内部圧力が当該所定の圧力に到達するまでの時間であり得る。また、時定数の情報は、ガス供給部20が処理ガスの供給を開始してから、プラズマ処理チャンバ10の内部圧力の変化が始まるまでの時間、及び、当該内部圧力が略一定となるまでの時間であり得る。伝達関数は、機械学習によって生成又は更新されてよい。
【0067】
なお、伝達関数は、複数のパラメータの変化量とチャンバ圧力の変化量との関係をモデル化した関数であり得る。一例では、伝達関数は、次のように求めてよい。すなわち、まず、圧力調整弁42の開度を固定した状態で、複数のパラメータの値を変化させながら、それらの変化量とチャンバ圧力の変化量との関係に基づいて、データベースを作成する。そして、作成されたデータベースに基づいて、複数のパラメータの変化量とチャンバ圧力の変化量との関係をモデル化する。そして、モデル化された関係に基づいて、伝達関数を生成する。なお、伝達関数は、各レシピデータに対してそれぞれ用意されてよい。
【0068】
一例として、1つのレシピデータに対して、1つの伝達関数が対応付けられてよい。また、一例として、1つのレシピデータが複数のステップを含む場合、各ステップに対して異なる伝達関数が対応付けられてよい。一例として、当該複数のステップは、
図5に示す第1ステップから第3ステップであり得る。レシピデータと伝達関数は、予め対応付けられて、記憶部2a2及び/又は記憶部56に記憶され得る。また、伝達関数がレシピデータに基づいて記憶部2a2及び/又は記憶部56から読みだされることにより、レシピデータと伝達関数が対応付けられてもよい。
【0069】
一例として、記憶部2a2が制御データの一部又は全部を記憶しており、処理部2a1が記憶部2a2から制御データを読み出してよい。制御部2は、記憶部2a2から読み出された制御データを、通信インターフェース2a3を介して通信部51に送信してよい。通信部51は、制御部2から受信した制御データを、記憶部56に格納し得る。また、一例として、通信部51は、制御部2から受信した制御データを開度算出部55に送信してよい。また、一例として、記憶部56が制御データの一部又は全部を記憶しており、FF制御部54が記憶部56から制御データを読み出してよい。
【0070】
なお、工程ST1における、制御データの一部又は全部の読み出し及び/又は記憶が実行されるタイミングは、任意に実行され得る。一例として、制御データの読み出し及び/又は記憶は、工程ST3(基板をエッチングする工程)の実行前に実行され得る。また、一例として、制御データの一部の読み出し及び/又は記憶は、制御データの他の一部の読み出し及び/又は記憶と、異なるタイミングで実行され得る。
図3に示す構成例では、一例として、1又は2以上の伝達関数が、記憶部2a2から読み出されて、記憶部56に記憶された後に、レシピデータが、記憶部2a2から読み出されて、制御部2から通信部51に送信され得る。
図3に示す構成例では、一例として、伝達関数の読み出し及び記憶が、工程ST2の前に実行されて、レシピデータの読み出し及び記憶が、工程ST2の後に実行され得る。
【0071】
また、一例として、圧力制御装置50の各構成は、記憶部56に代えて、記憶部2a2から通信部51を介して制御データ等を読み出してよい。この場合、圧力弁制御装置50は、
図6に示すように、制御データ50を予め記憶する記憶部56を有しなくてもよい。なお、
図6に示す例において、圧力弁制御装置50は、通信部51が受信した制御データ等をバッファ又は一時的に記憶する構成を備えてよい。
【0072】
(工程ST2:基板の準備)
工程ST2において、基板Wが、プラズマ処理装置1のプラズマ処理空間10s内に準備される。具体的には、基板Wは、静電チャック1111により基板支持部11に保持される。基板Wは、半導体デバイスの製造に用いられる基板であってよい。基板Wは、エッチング膜及びマスク膜を含む。エッチング膜は、本処理方法においてエッチングの対象となる膜である。本処理方法において、エッチング膜は、プラズマ処理空間10sにおいて生成されたプラズマによって、マスク膜をマスクとしてエッチングされる。
【0073】
(工程ST3:基板のエッチング)
工程ST3において、基板Wがエッチングされる。工程ST3は、プラズマを生成する工程(ST31)及びプラズマ処理空間10sの圧力を制御する工程(ST32)を含む。工程ST31は、プラズマ処理チャンバ10内に処理ガスを供給する工程、ソースRF信号を供給する工程及びバイアスRF信号を供給する工程を含み得る。当該各工程において、処理ガスから活性種を含むプラズマが生成され、当該活性種によってエッチング膜がエッチングされる。なお、処理ガス、ソースRF信号及びバイアス信号の供給が開始する順番は任意である。また、工程ST32において、プラズマ処理空間10sにおける圧力が制御される。工程ST31におけるプラズマの生成及び工程ST32における圧力の制御は、並行して実行され得る。以下、
図4及び
図5を参照しつつ、工程ST3の詳細について説明する。
【0074】
図5は、本処理方法における各処理のタイミングチャートの一例である。
図5のタイミングチャートにおいて、横軸は時間を示し、縦軸は各パラメータの値(相対値)を示す。
【0075】
工程ST31において、プラズマ処理空間10s内にプラズマが生成される。制御部2は、工程ST1において読み出されたレシピデータに基づいて、プラズマ生成部12を制御し、プラズマ処理空間10s内においてプラズマを生成する。他方で、圧力弁制御装置50において、開度算出部55は、通信部51を介して制御部2から受信したレシピデータに基づいて、1又は2以上の伝達関数を、記憶部56から読み出す。
図3に示す構成例において、1又は2以上の伝達関数が、通信部51が制御部2からレシピデータを受信する前に、記憶部56に記憶されてよい。また、開度算出部55は、レシピデータ及び伝達関数に基づいて、圧力調整弁42の開度を算出する。開度制御部57は、算出された開度に基づいて、圧力調整弁42の開度を制御する。
【0076】
図5に示す例において、エッチング工程ST3は、第1ステップ及び第2ステップを含む。一例として、レシピデータは、各ステップにおける、ソースRF信号の周波数、電力及びデューティ比を含む。また、レシピデータは、各ステップにおける、処理ガスに含まれるガス種及び処理ガスの流量を含む。
【0077】
図5に示す例において、ソースRF信号は、RFによって構成されるパルスを周期的に含むパルス波である。すなわち、ソースRF信号は、ソースRF電力の実効値(以下単に「電力」ともいう。)がLである期間と、電力がHである期間とを周期的に繰り返すパルス波である。第1ステップにおいて、ソースRF信号は、電力がLである。また、第2ステップにおいて、ソースRF信号は、電力がHである。電力Hは、電力Lよりも大きい電力である。ソースRF電力の大きさ、パルス波の周波数及びパルス波を構成するRFの周波数は、実行されるエッチング処理に基づいて適宜設定されてよい。また、一例では、電力Lは0Wであってよい。ソースRF信号のデューティ比は、実行されるエッチング処理に基づいて適宜設定されてよい。なお、デューティ比は、ソースRF信号のパルス波の一周期における、電力が高い期間と低い期間との比である。例えば、
図5に示す第2ステップにおいて、デューティ比は、ソースRF信号のパルス波の一周期における、ソースRF電力がHである期間とLである期間との比である。
【0078】
工程ST31において、制御部2は、電源30に含まれる第1のRF生成部31a(
図2参照)を制御して、ソースRF信号を生成し得る。また、制御部2は、電源30に含まれる第2のRF生成部31b(
図2参照)を制御して、バイアスRF信号を生成し得る。また、一例では、第2のRF生成部31bによって生成されたRF信号によって、プラズマ処理チャンバ10内においてプラズマが生成されてもよい。すなわち、第2のRF生成部31bによって生成されたRF信号も、本開示における「ソースRF信号」として機能し得る。
【0079】
第1ステップにおいて、制御部2は、記憶部2a2から読み出されたレシピデータに基づいて、ガス供給部20を制御して、プラズマ処理チャンバ10内に処理ガスを流量S2で供給する。また、制御部2は、読み出されたレシピデータに基づいて、RF電源31を制御し、ソースRF信号として、上述したパルス波を生成し、基板支持部11に供給する。これにより、プラズマ処理空間10sにおいて、処理ガスからプラズマが生成され、基板Wがエッチングされる。なお、制御部2は、レシピデータに基づいて、RF電源31を制御して、バイアスRF信号又はバイアスDC信号を生成し、基板支持部11に供給してもよい。
【0080】
また、第1ステップにおいて、圧力弁制御装置50は、圧力調整弁42の開度を制御して、チャンバ圧力を制御する(工程ST32)。圧力弁制御装置50は、通信部51が受信したレシピデータに基づいて、圧力調整弁42の開度を、フィードフォワード制御(以下「FF制御」ともいう。)によって制御してよい。一例として、開度算出部55において、FF制御部54は、通信部51が受信したソース設定値及び記憶部56から読み出された伝達関数に基づいて、圧力調整弁42の開度を算出してよい。ソース設定値は、ソースRF信号のパラメータの設定値であり得る。開度算出部55において、FF制御部54は、通信部51がソースRF信号のパラメータの設定値であるソース設定値を受信すると、通信部51が受信した当該ソース設定値及び、当該ソース設定値を入力とする伝達関数に基づいて、圧力調整弁42の開度を算出し得る。当該ソース設定値を入力とする伝達関数は、当該ソース設定値に基づいて、記憶部56から読み出されてよい。伝達関数は、ソース設定値とチャンバ圧力との関係を示す関数であり得る。
【0081】
また、圧力弁制御装置50は、圧力センサによって測定されたチャンバ圧力に基づいて、圧力調整弁42の開度を、フィードバック制御(以下「FB制御」ともいう。)によって制御してもよい。本処理方法では、まず、各ステップの開始時において、圧力弁制御装置50がFF制御によって圧力調整弁42の開度を制御する。そして、チャンバ圧力が定常状態になった後、圧力弁制御装置50がFB制御によって圧力調整弁42の開度を制御する。FB制御は、実際に測定されたチャンバ圧力に基づいて実行される。なお、
図5の第1ステップでは、圧力調整弁42の開度が開度V1で概ね一定となり、また、チャンバ圧力が定常状態になっている。
【0082】
エッチング工程ST3において実行されるエッチング処理は、時刻t1(
図5参照)において、第1ステップから第2ステップに推移する。エッチング処理が第1ステップから第2ステップに推移するときに、制御部2は、レシピデータに基づいて、ガス供給部20を制御して、処理ガスの流量を流量S1から流量S2に変化させる。また、制御部2は、レシピデータに基づいて、ソースRF信号を、電力がLであるパルス波から、電力がHであるパルス波に変化させる。ここで、プラズマ処理チャンバ10内に供給される処理ガスの流量が増加すると、チャンバ圧力が上昇し得る。また、ソースRF電力が増加すると、プラズマ処理空間10sにおける処理ガスの解離量が増えるため、チャンバ圧力が上昇し得る。また、プラズマ処理空間10sにおける処理ガスの解離量は、処理ガスに含まれるガス種によっても変化し得る。
【0083】
圧力弁制御装置50は、時刻t1における、ソースRF信号のパラメータの変化並びに処理ガスに含まれるガス種及び/又は流量の変化に基づいて、圧力調整弁42の開度を制御する。これにより、チャンバ圧力の変動が抑制され得る。このとき、圧力弁制御装置50は、圧力調整弁42の開度の制御をFB制御からFF制御に切り替えて、チャンバ圧力を制御する。具体的には、まず、圧力弁制御装置50に含まれるFF制御部54が、通信部51が制御部2から受信したレシピデータ及び記憶部56から読み出した伝達関数に基づいて、圧力調整弁42の開度を補正するFF補正値を算出する。当該伝達関数は、通信部51が制御部2から受信したレシピデータに含まれる第2ステップに対応付けられた伝達関数であり得る。そして、開度算出部55は、FF制御部54が算出したFF補正値に基づいて、圧力調整弁42の開度を算出して、圧力調整弁42の開度を調整する。ここで、伝達関数は、ソースRF信号のパラメータ、処理ガスに含まれるガス種、及び/又は、各ガス種の流量を入力とし、圧力調整弁42の開度を出力とする関数であり得る。ソースRF信号のパラメータは、ソースRF信号の電力、周波数及びデューティ比であり得る。なお、当該FF制御は、時刻t1よりも前に開始されてよい。
図5に示す例では、FF制御は、時刻t1よりもΔt
a早い時刻に開始される。また、記憶部56は、基板Wに含まれるエッチング対象膜及び/又はマスクとなる膜種を予め記憶し、圧力調整システム100は、予め記憶された当該膜種に基づいてFF制御を実行してもよい。なお、伝達関数は、マスクの開口パターンにおける開口率に更に基づいた関数であり得る。チャンバ圧力は、基板Wに含まれるエッチング対象膜及び/又はマスクとなる膜種によっても変動し得る。また、チャンバ圧力は、基板Wに含まれるマスクの開口率によっても変動し得る。
【0084】
一例では、FF制御は、レシピデータに含まれる各種設定値に基づいて実行される。当該設定値は、ソースRF信号の電力の設定値、ソースRF信号の周波数の設定値、ソースRF信号のデューティ比の設定値、処理ガスの流量の設定値、処理ガスの流量の変化量の設定値を含み得る。処理ガスの流量の変化量は、変化の絶対量であってよく、また、単位時間における変化量であってよい。また、一例では、FF制御は、レシピデータに含まれる、バイアスRF信号及び/又はバイアスDC信号のパラメータの設定値に基づいて実行されてよい。例えば、制御部2は、バイアスRF信号の電力の実効値及び周波数、又は、バイアスDC信号の電圧に基づいて実行されてよい。バイアスDC信号が、電圧パルスのシーケンスを含む場合、FF制御は、電圧パルスのシーケンスの周波数及び/又はデューティ比に基づいて実行されてよい。
【0085】
圧力調整弁42がレシピデータに基づいてFF制御され、チャンバ圧力が定常状態になると、圧力弁制御装置50(又は開度算出部55)は、圧力調整弁42の制御を、FF制御からFB制御に切り替える。
図5に示す例では、圧力弁制御装置50は、圧力調整弁42の開度が開度V2で概ね一定となり、チャンバ圧力が定常状態になったと判定した時刻t2において、圧力調整弁42の制御をFB制御に切り替える。一例では、制御部2は、予め定められた期間におけるチャンバ圧力の変化量又は単位時間におけるチャンバ圧力の変化量が、予め定められた値以下になった場合に、チャンバ圧力が定常状態になったと判定してよい。また、圧力弁制御装置50は、予め定められた期間における圧力調整弁42の開度の変化量(絶対量)又は単位時間における圧力調整弁42の開度の変化量が、予め定められた値以下になった場合に、チャンバ圧力が定常状態になったと判定してよい。そして、圧力弁制御装置50は、時刻t2以降、圧力センサによって測定されたチャンバ圧力に基づいて、圧力調整弁42の開度を制御する。一例では、通信部51が、制御部2又は圧力センサから、チャンバ圧力の測定値を受信してよい。また、差分算出部52は、チャンバ圧力の設定値とチャンバ圧力の測定値との差分である圧力差を算出する。また、FB制御部53は、差分算出部52から圧力差を受信し、当該圧力差に基づいて、圧力調整弁42の開度を補正するFB補正値を算出する。そして、開度算出部55は、FB補正値に基づいて、圧力調整弁42の開度を算出して、圧力調整弁42の開度を調整する。
【0086】
エッチング工程ST3において実行されるエッチング処理は、時刻t3(
図5参照)において、第2ステップから第3ステップに推移する。本例においてエッチング処理が第2ステップから第3ステップに推移するときに、制御部2は、レシピデータに基づいて、ガス供給部20を制御して、処理ガスの流量を流量S2から流量S1に変化させる。また、制御部2は、レシピデータに基づいて、ソースRF信号を、電力がHであるパルス波から、電力がLであるパルス波に変化させる。ここで、プラズマ処理チャンバ10内に供給される処理ガスの流量が減少すると、チャンバ圧力が下降し得る。また、ソースRF電力が減少すると、プラズマ処理空間10sにおける処理ガスの解離量が減るため、チャンバ圧力が下降し得る。
【0087】
圧力弁制御装置50は、時刻t3における、ソースRF信号のパラメータの変化、処理ガスに含まれるガス種、及び/又は、各ガス種の流量の変化に基づいて、圧力調整弁42の開度を制御する。これにより、チャンバ圧力の変動が抑制され得る。このとき、圧力弁制御装置50は、時刻t1において第2ステップが開始したときと同様に、圧力調整弁42の開度の制御をFB制御からFF制御に切り替えて、チャンバ圧力を制御する。具体的には、まず、圧力弁制御装置50に含まれるFF制御部54が、通信部51が制御部2から受信したレシピデータ及び記憶部56から読み出した伝達関数に基づいて、圧力調整弁42の開度を補正するFF補正値を算出する。当該伝達関数は、通信部51が制御部2から受信したレシピデータに含まれる第3ステップに対応付けられた伝達関数であり得る。FF制御部54は、伝達関数に基づいて、圧力調整弁42の開度の変更を開始する時間を調整してもよい。そして、開度算出部55は、FF制御部54が算出したFF補正値に基づいて、圧力調整弁42の開度を算出して、圧力調整弁42の開度を調整する。なお、当該FF制御は、時刻t3よりも前に開始されてよい。
図5に示す例では、FF制御は、時刻t3よりもΔt
b早い時刻に開始される。
【0088】
圧力調整弁42がレシピデータに基づいてFF制御され、チャンバ圧力が定常状態になると、圧力弁制御装置50(又は開度算出部55)は、第2ステップと同様に、圧力調整弁42の制御を、FF制御からFB制御に切り替える。
図5に示す例では、圧力弁制御装置50は、圧力調整弁42の開度が開度V1で概ね一定となり、チャンバ圧力が定常状態になったと判定した時刻t2において、圧力調整弁42の制御をFB制御に切り替える。そして、レシピデータで指定された各ステップによる処理が実行されると、制御部2は、ソースRF信号及び処理ガスの供給を停止する。これにより、工程ST3が終了する
【0089】
本処理方法では、レシピデータに含まれる、ソースRF信号のパラメータその他の設定値に基づいて圧力調整弁42がFF制御されるので、プラズマ処理中に、レシピデータにおいて当該パラメータの設定値が変化しても、チャンバ圧力の変動を抑制することができる。なお、本処理方法の実行中において、チャンバ圧力は種々の要因によって変動し得る。本処理方法では、レシピデータに含まれる設定値の変化に基づくチャンバ圧力の変動を抑制することができる。なお、
図3、
図6及び
図7に示す各構成例において、制御部2又は圧力弁制御装置50は、FF制御及びFB制御を同時に実行してよい。
【0090】
(工程ST4:伝達関数の更新)
本処理方法は、工程ST3で用いた伝達関数を更新する工程ST4を含んでよい。一例では、伝達関数は、工程ST3におけるチャンバ圧力及び圧力調整弁42の開度に基づいて更新されてよい。例えば、制御部2は、工程ST3におけるFF制御の実行中に、チャンバ圧力及び圧力調整弁42の開度を測定する。そして、制御部2は、レシピデータに含まれるソースRF信号のパラメータその他の設定値及び/又はソースRF信号のパラメータその他の実測値と、チャンバ圧力の実測値及び圧力調整弁42の開度の実測値との相関データを算出し、当該相関データに基づいて、記憶部2a2に記憶された伝達関数を更新してよい。また、一例では、その他の設定値及び実測値は、バイアス信号(バイアスRF信号及びバイアスDC信号)のパラメータの設定値及び実測値、上部電極に印加される第2のDC信号の設定値及び実測値、工程ST3において供給される処理ガスのパラメータの設定値及び実測値、並びに、処理ガスのパラメータの設定値及び実測値を含み得る。伝達関数は、本処理方法を多数回実行して算出された多数の相関データに基づいて更新されてよい。また、伝達関数は、機械学習によって更新されてよい。また、伝達関数は、工程ST3の実行中に算出された相関データに基づいて、工程ST3の実行中にリアルタイムに更新されてもよい。
【0091】
図6は、圧力調整システム100の構成の他の例を示すブロック図である。本例における圧力調整システム100は、レシピデータ及び伝達関数が、予め記憶部2a2に記憶される点において、少なくとも
図3にしける圧力調整システム100と異なる。すなわち、本例において、開度算出部55は、通信部51が受信したレシピデータに基づいて、1又は2以上の伝達関数を、記憶部56(
図3参照)ではなく、通信部51を介して記憶部2a2から読み出し得る。また、本例において、制御部2は、レシピデータ及び1又は2以上の伝達関数を、通信部51を介して開度算出部55に送信してもよい。すなわち、本例において、開度算出部55において使用される伝達関数は、制御部2によって選択されてよく、また、開度算出部55によって選択されてもよい。
【0092】
一例として、通信部51は、ソースRF信号のパラメータの設定値であるソース設定値及び伝達関数を受信する。開度算出部55は、通信部51が受信したソース設定値及び伝達関数に基づいて、圧力調整弁42の開度を算出する。ソース設定値は、ソースRF信号のパラメータの設定値であり得る。通信部51がソースRF信号のパラメータの設定値であるソース設定値及び当該ソース設定値を入力とする伝達関数を受信すると、開度算出部55は、当該ソース設定値及び当該伝達関数に基づいて、圧力調整弁42の開度を算出してよい。
【0093】
レシピデータは、工程ST3のエッチング処理におけるソースRF信号のパラメータの設定値(ソース設定値)を含み得る。一例として、ソースRF信号のパラメータは、ソースRF信号の電力、電圧、周波数及びデューティ比、ソースRF電力の供給時間を含み得る。また、レシピデータは、バイアス信号(バイアスRF信号及びバイアスDC信号)のパラメータの設定値を含み得る。一例として、バイアス信号のパラメータは、バイアス信号の電力、電圧、周波数、デューティ比、バイアス信号の供給時間を含み得る。また、レシピデータは、上部電極に印加される第2のDC信号の設定値を含み得る。一例として、第2のDC信号のパラメータは、第2のDC信号の電圧、第2のDC信号の印加時間を含み得る。また、レシピデータは、当該エッチング処理における処理ガスのパラメータを含み得る。一例として、処理ガスのパラメータは、処理ガスの流量、処理ガスに含まれるガス種、処理ガスに含まれるガスの解離度、処理ガスに含まれるガスから生成されるバイプロダクトの種類及び量、処理ガスの供給時間等を含み得る。
【0094】
また、伝達関数は、レシピデータに含まれる1又は2以上のパラメータの設定値を入力とし、プラズマ処理空間10sの圧力の調整に関する設定値を出力とする関数である。一例として、伝達関数は、ソースRF信号のパラメータの設定値及び/又は処理ガスのパラメータの設定値を入力とし、圧力調整弁42の開度、当該開度の補正値又はプラズマ処理空間10sの圧力を出力とする関数であり得る。一例として、伝達関数は、時定数の情報を含み得る。時定数の情報は、例えば、プラズマ処理チャンバ10の内部圧力を所定の圧力にするために圧力調整弁42の開度を所定の開度にしたときに、当該内部圧力の変化が始まるまでの時間、及び、当該内部圧力が当該所定の圧力に到達するまでの時間であり得る。また、時定数の情報は、ガス供給部20が処理ガスの供給を開始してから、プラズマ処理チャンバ10の内部圧力の変化が始まるまでの時間、及び、当該内部圧力が略一定となるまでの時間であり得る。伝達関数は、機械学習によって生成又は更新されてよい。
【0095】
なお、本例において、圧力弁制御装置50は、通信部51が受信した制御データ等をバッファ又は一時的に記憶する構成を備えてよい。一例として、制御部2a2から読み出されたレシピデータ及び伝達関数が、圧力弁制御装置50において、バッファ又は一時的に記憶され得る。レシピデータ及び伝達関数は、FF制御部54がFF補正値を算出するために、圧力弁制御装置50においてバッファ又は一時的に記憶されてよい。
【0096】
また、本例において、制御部2は、
図3に示す例と同様に、プラズマ処理装置1を制御し得る。また、本例において、圧力調整システム100の各構成は、
図3に示す例と同様の動作をし得る。また、記憶部2a2は、
図3に示す例における記憶部2a2及び記憶部56と同様のデータを記憶し得る。圧力弁制御装置50において、開度算出部55は、
図3に示す例と同様に、圧力調整弁42の開度を算出し得る。
【0097】
図7は、圧力調整システム100の構成の他の例を示すブロック図である。本例における圧力調整システム100は、制御部2が圧力調整弁42の開度を算出する機能を備える点において、少なくとも
図3における圧力調整システム100と異なる。すなわち、本例における制御部2は、処理部2a1において、差分算出部52及び開度算出部55を備える。他方で、本例における圧力制御装置50は、通信部51及び開度制御部57を備える。
【0098】
本例において、制御部2は、
図3に示す例と同様に、プラズマ処理装置1を制御し得る。また、本例において、圧力調整システム100の各構成は、
図3に示す例と同様の動作をし得る。また、記憶部2a2は、
図3に示す例における記憶部2a2及び記憶部56と同様のデータを記憶し得る。制御部2において、開度算出部55は、
図3に示す例と同様に、圧力調整弁42の開度を算出し得る。すなわち、本例において、開度算出部55は、記憶部2a2からレシピデータ及び伝達関数を読み出し、読み出したレシピデータ及び伝達関数に基づいて、圧力調整弁42の開度を算出し得る。圧力制御装置50において、通信部51は、通信インターフェース2a3を介して制御部2から圧力調整弁42の開度を受信する。開度制御部57は、受信した開度に基づいて圧力調整弁42の開度を制御する。
【0099】
通信部51が受信する開度は、開度算出部55において、ソース設定値に基づいて算出され得る。ソース設定値は、ソースRF信号のパラメータの設定値であり得る。ソースRF信号は、プラズマ処理チャンバ10内においてプラズマを生成するための信号であり得る。開度算出部55は、ソースRF信号のパラメータの設定値であるソース設定値を、記憶部2a2から読み出してよい。また、開度算出部55は、記憶部2a2から読み出した当該ソース設定値に基づいて、当該ソース設定値を入力とする伝達関数を、記憶部2a2から読み出してよい。開度算出部55は、記憶部2a2から読み出された当該ソース設定値及び当該伝達関数に基づいて、圧力調整弁42の開度を算出し得る。伝達関数は、ソース設定値とチャンバ圧力との関係を示す関数であり得る。
【0100】
レシピデータは、工程ST3のエッチング処理におけるソースRF信号のパラメータの設定値(ソース設定値)を含み得る。一例として、ソースRF信号のパラメータは、ソースRF信号の電力、電圧、周波数及びデューティ比、ソースRF電力の供給時間を含み得る。また、レシピデータは、バイアス信号(バイアスRF信号及びバイアスDC信号)のパラメータの設定値を含み得る。一例として、バイアス信号のパラメータは、バイアス信号の電力、電圧、周波数、デューティ比、バイアス信号の供給時間を含み得る。また、レシピデータは、上部電極に印加される第2のDC信号の設定値を含み得る。一例として、第2のDC信号のパラメータは、第2のDC信号の電圧、第2のDC信号の印加時間を含み得る。また、レシピデータは、当該エッチング処理における処理ガスのパラメータを含み得る。一例として、処理ガスのパラメータは、処理ガスの流量、処理ガスに含まれるガス種、処理ガスに含まれるガスの解離度、処理ガスに含まれるガスから生成されるバイプロダクトの種類及び量、処理ガスの供給時間等を含み得る。
【0101】
また、伝達関数は、レシピデータに含まれる1又は2以上のパラメータの設定値を入力とし、プラズマ処理空間10sの圧力の調整に関する設定値を出力とする関数である。一例として、伝達関数は、ソースRF信号のパラメータの設定値及び/又は処理ガスのパラメータの設定値を入力とし、圧力調整弁42の開度、当該開度の補正値又はプラズマ処理空間10sの圧力を出力とする関数であり得る。一例として、伝達関数は、時定数の情報を含み得る。時定数の情報は、例えば、プラズマ処理チャンバ10の内部圧力を所定の圧力にするために圧力調整弁42の開度を所定の開度にしたときに、当該内部圧力の変化が始まるまでの時間、及び、当該内部圧力が当該所定の圧力に到達するまでの時間であり得る。また、時定数の情報は、ガス供給部20が処理ガスの供給を開始してから、プラズマ処理チャンバ10の内部圧力の変化が始まるまでの時間、及び、当該内部圧力が略一定となるまでの時間であり得る。伝達関数は、機械学習によって生成又は更新されてよい。
【0102】
通信部51は、圧力調整弁42の開度に関する開度データを圧力調整弁42から受信し得る。通信部51は、開度データを制御部2に送信し得る。制御部2は、通信部51から受信した開度データを、記憶部2a2に格納し得る。なお、制御部2は、圧力調整弁42から開度データを、圧力弁制御装置50を介さずに受信してもよい。また、通信部51は、圧力調整弁42から受信した開度データを記憶部56に格納してもよい。なお、開度データは、圧力調整弁42の開度を制御するエンコーダの値であり得る。また、制御部2は、開度データに基づいて、圧力調整弁42の動作タイミング及び/又は動作速度を制御し得る。
【0103】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。なお、本開示の例示的実施形態は、以下を含み得る。
【0104】
(付記1)
チャンバと、
前記チャンバ内に処理ガスを供給するガス供給部と、
前記チャンバ内において前記処理ガスからプラズマを生成するソースRF信号を生成する電源と、
前記ソースRF信号のパラメータの設定値であるソース設定値を予め記憶する記憶部と
前記チャンバに接続された圧力調整弁であって、前記チャンバの内部圧力を調整するように構成された圧力調整弁と、
前記圧力調整弁の開度を算出する開度算出部であって、前記開度は前記ソース設定値に基づいて算出される、開度算出部と、
算出された前記開度に基づいて前記圧力調整弁の開度を制御する開度制御部と
を備える、プラズマ処理装置。
【0105】
(付記2)
前記ソース設定値は、前記ソースRF信号の電力、電圧、周波数及びデューティ比のうちの少なくとも1つである、付記1に記載のプラズマ処理装置。
【0106】
(付記3)
前記チャンバ内において基板を支持する基板支持部を更に備え、
前記電源は、前記基板支持部に供給されるバイアス信号を更に生成し、
前記記憶部は、前記バイアス信号のパラメータの設定値であるバイアス設定値を記憶し、
前記開度算出部は、前記記憶部に記憶された前記バイアス設定値に更に基づいて、前記圧力調整弁の開度を算出する、付記1又は2に記載のプラズマ処理装置。
【0107】
(付記4)
前記バイアス信号は、バイアスRF信号であり、
前記バイアス設定値は、前記バイアスRF信号の電力、電圧、周波数又はデューティ比である、付記3に記載のプラズマ処理装置。
【0108】
(付記5)
前記バイアス信号は、複数の電圧パルスを含むバイアスDC信号であり、
前記バイアス設定値は、前記電圧パルスの電圧、周波数又はデューティ比である、付記3に記載のプラズマ処理装置。
【0109】
(付記6)
前記記憶部は、前記処理ガスの流量の設定値である流量設定値を更に記憶し、
前記開度算出部は、前記記憶部に記憶された前記流量設定値に更に基づいて、前記圧力調整弁の開度を算出する、付記1から5のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
【0110】
(付記7)
前記チャンバの内部圧力を測定する圧力センサを更に備え、
前記開度算出部は、前記チャンバの内部圧力の変化量に基づいて、(a)前記記憶部に記憶された前記ソース設定値に基づいて前記圧力調整弁の開度を算出する動作から、(b)前記圧力センサが測定した前記チャンバの内部圧力に基づいて前記圧力調整弁の開度を算出する動作に切り替える、付記1から6のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
【0111】
(付記8)
前記記憶部は、前記処理ガスに含まれるガス種を記憶し、
前記開度制御部は、前記記憶部に記憶された前記ソース設定値に基づいて前記圧力調整弁の開度を算出するか否かを、前記記憶部に記憶されたガス種に基づいて切り替える、付記1から7のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
【0112】
(付記9)
前記記憶部は、前記チャンバに収容される基板に含まれる膜種を記憶し、
前記開度制御部は、前記記憶部に記憶された前記ソース設定値に基づいて前記圧力調整弁の開度を算出するか否かを、前記記憶部に記憶された膜種に基づいて切り替える、付記1から8のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
【0113】
(付記10)
前記チャンバに収容される基板はマスクを含み、前記マスクは開口パターンを含み、
前記記憶部は、前記開口パターンに含まれる開口の開口率を記憶し、
前記開度制御部は、前記記憶部に記憶された前記ソース設定値に基づいて前記圧力調整弁の開度を算出するか否かを、前記記憶部に記憶された前記開口率に基づいて切り替える、付記1から9のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
【0114】
(付記11)
前記記憶部は、前記ソース設定値と前記チャンバの内部圧力との関係を示す伝達関数を更に記憶し、
前記開度算出部は、前記伝達関数に更に基づいて、前記圧力調整弁の開度を算出する、付記1から10のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
【0115】
(付記12)
前記チャンバの内部圧力を測定する圧力センサを更に備え、
前記開度算出部は、前記プラズマ処理の実行中に、前記チャンバの内部圧力及び前記圧力調整弁の開度を取得し、
前記開度算出部は、前記ソース設定値と、取得された前記チャンバの内部圧力及び前記圧力調整弁の開度との相関に基づいて、前記記憶部に記憶された前記伝達関数を更新する、付記11に記載のプラズマ処理装置。
【0116】
(付記13)
前記チャンバ内において基板を支持する基板支持部と、
前記基板支持部に対向する上部電極と、を更に備え、
前記電源は、前記上部電極に印加されるDC信号を更に生成し、
前記記憶部は、前記DC信号のパラメータの設定値であるDC設定値を記憶し、
前記開度算出部は、前記記憶部に記憶された前記DC設定値に更に基づいて、前記圧力調整弁の開度を算出する、付記1から13のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
【0117】
(付記14)
チャンバを有するプラズマ処理装置において実行されるプラズマ処理方法であって、
前記チャンバ内に処理ガスを供給する工程と、
前記チャンバ内において前記処理ガスからプラズマを生成するソースRF信号を生成する工程と、
前記ソースRF信号のパラメータの設定値であるソース設定値を予め記憶する工程と、
前記チャンバの内部圧力を調整するように構成された圧力調整弁の開度を算出する工程であって、前記開度は前記ソース設定値に基づいて算出される、工程と
を含む、プラズマ処理方法。
【0118】
(付記15)
チャンバに接続された圧力調整弁の開度を制御する圧力弁制御装置であって、
ソースRF信号のパラメータの設定値であるソース設定値を受信するように構成された通信部であって、前記ソースRF信号は前記チャンバ内においてプラズマを生成する信号である、通信部と、
前記通信部が受信した前記ソース設定値に基づいて、前記圧力調整弁の開度を算出する開度算出部と、
算出された前記開度に基づいて前記圧力調整弁の開度を制御する開度制御部と
を備える、圧力弁制御装置。
【0119】
(付記16)
前記通信部が受信した前記ソース設定値を入力とする伝達関数を記憶する記憶部を更に備え、
前記開度算出部は、前記記憶部に記憶された前記伝達関数を読み出して、前記通信部が受信した前記ソース設定値及び前記記憶部から読みだされた前記伝達関数 に基づいて、前記圧力調整弁の開度を算出する、付記15に記載の圧力弁制御装置。
【0120】
(付記17)
前記通信部がソース設定値を受信すると、前記開度算出部は前記ソース設定値及び前記伝達関数に基づいて、前記圧力調整弁の開度を算出する、付記16に記載の圧力弁制御装置。
【0121】
(付記18)
前記通信部は、前記ソース設定値を入力とする伝達関数を受信し、
前記開度算出部は、前記通信部が受信した前記ソース設定値及び前記伝達関数に基づいて、前記圧力調整弁の開度を算出する、付記15に記載の圧力弁制御装置。
【0122】
(付記19)
前記通信部が前記ソース設定値及び前記伝達関数を受信すると、前記開度算出部は前記ソース設定値及び前記伝達関数に基づいて、前記圧力調整弁の開度を算出する、付記18に記載の圧力弁制御装置。
【0123】
(付記20)
チャンバに接続された圧力調整弁の開度を制御する圧力弁制御装置であって、
前記圧力制御弁の開度を受信するように構成された通信部であって、前記開度はソース設定値に基づいて算出され、前記ソース設定値はソースRF信号のパラメータの設定値であり、前記ソースRF信号は前記チャンバ内においてプラズマを生成する信号である、通信部と、
受信された前記開度に基づいて前記圧力調整弁の開度を制御する開度制御部と
を備える、圧力弁制御装置。
【0124】
(付記21)
前記圧力調整弁の前記開度は、前記ソース設定値及び伝達関数に基づいて算出され、前記伝達関数は、前記ソース設定値と前記チャンバの内部圧力との関係を示す、付記20に記載の圧力弁制御装置。
【0125】
(付記22)
チャンバに接続された圧力調整弁の開度を制御する圧力弁制御方法であって、
ソースRF信号のパラメータの設定値であるソース設定値を受信する工程であって、前記ソースRF信号は前記チャンバ内においてプラズマを生成する信号である、工程と、
受信された前記ソース設定値に基づいて、前記圧力調整弁の開度を算出する工程と、
算出された前記開度に基づいて前記圧力調整弁の開度を制御する工程と
を含む、圧力弁制御方法。
【0126】
(付記23)
チャンバに接続された圧力調整弁の開度を制御する圧力弁制御方法であって、
前記圧力制御弁の開度を受信する工程であって、前記開度はソース設定値に基づいて算出され、前記ソース設定値はソースRF信号のパラメータの設定値であり、前記ソースRF信号は前記チャンバ内においてプラズマを生成する信号である、工程と、
受信された前記開度に基づいて前記圧力調整弁の開度を制御する工程と
を備える、圧力弁制御方法。
【0127】
(付記24)
チャンバに接続された圧力調整弁と、
前記圧力調整弁の開度を制御する圧力弁制御装置と
を備え、
前記圧力弁制御装置は、
チャンバに接続された圧力調整弁の開度を制御する圧力弁制御装置であって、
ソースRF信号のパラメータの設定値であるソース設定値を受信するように構成された通信部であって、前記ソースRF信号は前記チャンバ内においてプラズマを生成する信号である、通信部と、
前記通信部が受信した前記ソース設定値に基づいて、前記圧力調整弁の開度を算出する開度算出部と、
算出された前記開度に基づいて前記圧力調整弁の開度を制御する開度制御部と
を備える、圧力調整システム。
【0128】
(付記25)
チャンバに接続された圧力調整弁と、
前記圧力調整弁の開度を制御する圧力弁制御装置と
を備え、
前記圧力弁制御装置は、
ソースRF信号のパラメータの設定値であるソース設定値を受信するように構成された通信部であって、前記ソースRF信号は前記チャンバ内においてプラズマを生成する信号である、通信部と、
前記通信部が受信した前記ソース設定値を入力とする伝達関数を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記伝達関数を読み出して、前記通信部が受信した前記ソース設定値及び前記記憶部から読みだされた前記伝達関数に基づいて、前記圧力調整弁の開度を算出する、開度算出部と、
前記通信部が受信した前記ソース設定値に基づいて、前記圧力調整弁の開度を算出する開度算出部と、
算出された前記開度に基づいて前記圧力調整弁の開度を制御する開度制御部と
を備える、圧力調整システム。
【0129】
(付記26)
チャンバに接続された圧力調整弁と、
前記圧力調整弁の開度を制御する圧力弁制御装置と
を備え、
前記圧力弁制御装置は、
前記圧力制御弁の開度を受信するように構成された通信部であって、前記開度はソース設定値に基づいて算出され、前記ソース設定値はソースRF信号のパラメータの設定値であり、前記ソースRF信号は前記チャンバ内においてプラズマを生成する信号である、通信部と、
受信された前記開度に基づいて前記圧力調整弁の開度を制御する開度制御部と
を備える、圧力調整システム。
【符号の説明】
【0130】
1……プラズマ処理装置、2……制御部、2a2……記憶部、11……基板支持部、20……ガス供給部、30……電源、42……圧力調整弁、50……圧力弁制御装置、51……通信部、52……算出部、55……開度算出部、56……記憶部、57……開度制御部、60……圧力センサ、100……圧力調整システム