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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178275
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】ヒンジ構造、折紙構造体
(51)【国際特許分類】
   E04C 2/30 20060101AFI20231207BHJP
   E04C 2/20 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
E04C2/30 C
E04C2/20 A
E04C2/30 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091922
(22)【出願日】2023-06-02
(31)【優先権主張番号】63/348,563
(32)【優先日】2022-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年6月8日にhttps://origami.jp/wp-content/uploads/32ndOSMEJ-18Jun2022-v2.pdfにて公開 令和4年6月18日に「日本折紙学会 第32回 折り紙の科学・数学・教育研究集会」にて公開 令和4年7月24日にhttps://www.wccm2022.org/dl/index/book_of_abstracts.pdfにて公開 令和4年7月24日にhttps://confit.atlas.jp/guide/event/wccm2022/participant_loginにて公開 令和4年8月1日に「World Congress on Computational Mechanics-Asian Pacific Congress on Computational Mechanics(WCCM-APCOM)」にて公開 令和5年3月10日に「日本応用数理学会 第19回研究部会連合発表会」にて公開
(71)【出願人】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】舘 知宏
(72)【発明者】
【氏名】イ ムンギュン
【テーマコード(参考)】
2E162
【Fターム(参考)】
2E162CD04
(57)【要約】
【課題】曲げ変形の自由度を確保しつつ、パネル部材の曲げ動作時の回転中心を維持し易くすることが可能なヒンジ構造を提供する。
【解決手段】ヒンジ構造40は、第1パネル部材20及び第2パネル部材30を連結し、第1ヒンジ部41及び第2ヒンジ部42を備える。第1ヒンジ部41は、一端部が第1パネル部材20に連結される変形部411と、一端部が第2パネル部材30に連結される変形部413と、変形部411,412の間に設けられる変形部412と、変形部411,412を連結する連結部414と、変形部412,413を連結する連結部415と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1パネル部材及び第2パネル部材を第1方向に連結するヒンジ構造であって、
前記第1方向に直交する方向を第2方向とするとき、
前記第1パネル部材と前記第2パネル部材との間に前記第1方向に挟まれるように設けられるとともに、前記第2方向に並べて配置される第1ヒンジ部及び第2ヒンジ部を備え、
前記第1ヒンジ部及び前記第2ヒンジ部は、
前記第1方向の一端部が前記第1パネル部材に連結されるとともに、前記第1方向に対する曲げ剛性がその他の方向の曲げに対して低い第1変形部と、
前記第1方向の一端部が前記第2パネル部材に連結されるとともに、前記第1方向に対する曲げ剛性がその他の方向の曲げに対して低い第2変形部と、
前記第2方向において前記第1変形部と前記第2変形部との間に設けられ、前記第1方向に対する曲げ剛性がその他の方向の曲げに対して低い第3変形部と、
前記第1変形部の他端部と前記第3変形部の一端部とを連結する第1連結部と、
前記第2変形部の他端部と前記第3変形部の他端部とを連結する第2連結部と、をそれぞれ有し、
前記第1変形部、前記第2変形部、及び前記第3変形部は、前記第1方向に所定の幅を有するように形成されている
ヒンジ構造。
【請求項2】
前記第1変形部、前記第3変形部、及び前記第2変形部は、この順で前記第2方向に並べて配置されており、
前記第1ヒンジ部の前記第1連結部と前記第2ヒンジ部の前記第1連結部とが互いに連結されている、あるいは、前記第1ヒンジ部の前記第1変形部と前記第2ヒンジ部の前記第1変形部が共有されている、
請求項1に記載のヒンジ構造。
【請求項3】
前記第1変形部、前記第2変形部、及び前記第3変形部には、前記第1方向に対する曲げ剛性がその他の方向の曲げに対して低くなるように、前記第2方向に長手方向を有するスリットが複数形成されている
請求項1に記載のヒンジ構造。
【請求項4】
前記第1変形部、前記第2変形部、及び前記第3変形部には、前記第1方向に対する曲げ剛性がその他の方向の曲げに対して低くなるように、前記第2方向に長手方向を有する凹状の溝が複数形成されている
請求項1に記載のヒンジ構造。
【請求項5】
第1パネル部材及び第2パネル部材を第1方向に連結するヒンジ構造であって、
前記第1方向に直交する方向を第2方向とするとき、
前記第1パネル部材と前記第2パネル部材との間に前記第1方向に挟まれるように設けられるとともに、前記第2方向に並べて配置される第1ヒンジ部及び第2ヒンジ部を備え、
前記第1パネル部材と前記第2パネル部材との中間に位置して、前記第2方向に平行な軸線を所定の軸線とするとき、
前記第1ヒンジ部は、
前記第1方向の一端部が前記第1パネル部材に連結されるとともに、曲げ剛性に異方性を有し、且つその弱軸が前記所定の軸線上の第1中心点を通る第1変形部と、
前記第1変形部に対して前記第1中心点を挟んで前記第2方向の反対側に設けられ、前記第1方向の一端部が前記第2パネル部材に連結されるとともに、曲げ剛性に異方性を有し、且つその弱軸が前記第1中心点を通る第2変形部と、
前記第1中心点を通るように設けられ、前記第1変形部の前記第1方向の他端部と、前記第2変形部の前記第1方向の他端部とを連結する第1連結部と、を有し、
前記第1変形部及び前記第2変形部は、前記第1中心点を中心とする周方向に所定の幅を有するように形成されており、
前記第2ヒンジ部は、
前記第1方向の一端部が前記第1パネル部材に連結されるとともに、曲げ剛性に異方性を有し、且つその弱軸が、前記第1中心点とは異なる、前記所定の軸線上の第2中心点を通る第3変形部と、
前記第3変形部に対して前記第2中心点を挟んで前記第2方向の反対側に設けられ、前記第1方向の一端部が前記第2パネル部材に連結されるとともに、曲げ剛性に異方性を有し、且つその弱軸が前記第2中心点を通る第4変形部と、
前記第2中心点を通るように設けられ、前記第3変形部の前記第1方向の他端部と、前記第4変形部の前記第1方向の他端部とを連結する第2連結部と、を有し、
前記第3変形部及び前記第4変形部は、前記第2中心点を中心とする周方向に所定の幅を有するように形成されている
ヒンジ構造。
【請求項6】
前記第1変形部及び前記第2変形部は、前記第1中心点を中心に扇形状に延びるように形成されており、
前記第3変形部及び前記第4変形部は、前記第2中心点を中心に扇形状に延びるように形成されている
請求項5に記載のヒンジ構造。
【請求項7】
前記第1変形部及び前記第2変形部には、曲げ剛性に異方性を有し、且つその弱軸が前記第1中心点を通るように、前記第1中心点を中心とする径方向に長手方向を有するスリットが複数形成されており、
前記第3変形部及び前記第4変形部には、曲げ剛性に異方性を有し、且つその弱軸が前記第2中心点を通るように、前記第2中心点を中心とする径方向に長手方向を有するスリットが複数形成されている
請求項5に記載のヒンジ構造。
【請求項8】
前記第1変形部及び前記第2変形部には、曲げ剛性に異方性を有し、且つその弱軸が前記第1中心点を通るように、前記第1中心点を中心とする径方向に長手方向を有する凹状の溝が複数形成されており、
前記第3変形部及び前記第4変形部には、曲げ剛性に異方性を有し、且つその弱軸が前記第2中心点を通るように、前記第2中心点を中心とする径方向に長手方向を有する凹状の溝が複数形成されている
請求項5に記載のヒンジ構造。
【請求項9】
第1パネル部材及び第2パネル部材を第1方向に連結するヒンジ構造であって、
前記第1方向に直交する方向を第2方向とするとき、
前記第1パネル部材と前記第2パネル部材との間に前記第1方向に挟まれるように設けられるとともに、前記第2方向に並べて配置される第1ヒンジ部及び第2ヒンジ部を備え、
前記第1パネル部材と前記第2パネル部材との中間に位置して、前記第2方向に平行な軸線を所定の軸線とするとき、
前記第1ヒンジ部は、
前記第1方向の一端部が前記第1パネル部材に連結されるとともに、曲げ剛性に異方性を有し、且つその弱軸が前記所定の軸線上の第1中心点を通る第1変形部と、
前記第1方向の一端部が前記第2パネル部材に連結されるとともに、曲げ剛性に異方性を有し、且つその弱軸が前記第1中心点を通る第2変形部と、
前記第2方向において前記第1変形部と前記第2変形部との間に設けられ、曲げ剛性に異方性を有し、且つその弱軸が前記第1中心点を通る第3変形部と、
前記第1変形部の他端部と前記第3変形部の一端部とを連結する第1連結部と、
前記第2変形部の他端部と前記第3変形部の他端部とを連結する第2連結部と、を有し、
前記第1変形部、前記第2変形部、及び前記第3変形部は、前記第1中心点を中心とする周方向に所定の幅を有するように形成されており、
前記第2ヒンジ部は、
前記第1方向の一端部が前記第1パネル部材に連結されるとともに、曲げ剛性に異方性を有し、且つその弱軸が第1ヒンジ部の中心点とは異なる、前記所定の軸線上の第2中心点を通る第4変形部と、
前記第1方向の一端部が前記第2パネル部材に連結されるとともに、曲げ剛性に異方性を有し、且つその弱軸が前記第2中心点を通る第5変形部と、
前記第2方向において前記第4変形部と前記第5変形部との間に設けられ、曲げ剛性に異方性を有し、且つその弱軸が前記第2中心点を通る第6変形部と、
前記第4変形部の他端部と前記第6変形部の一端部とを連結する第3連結部と、
前記第5変形部の他端部と前記第6変形部の他端部とを連結する第4連結部と、を有し、
前記第4変形部、前記第5変形部、及び前記第6変形部は、前記第2中心点を中心とする周方向に所定の幅を有するように形成されている
ヒンジ構造。
【請求項10】
前記第1変形部、前記第2変形部、及び前記第3変形部は、前記第1中心点を中心に扇形状に延びるように形成されており、
前記第4変形部、前記第5変形部、及び前記第6変形部は、前記第2中心点を中心に扇形状に延びるように形成されている
請求項9に記載のヒンジ構造。
【請求項11】
前記第1変形部、前記第2変形部、及び前記第3変形部には、曲げ剛性に異方性を有し、且つその弱軸が前記第1中心点を通るように、前記第1中心点を中心とする径方向に長手方向を有するスリットが複数形成されており、
前記第4変形部、前記第5変形部、及び前記第6変形部には、曲げ剛性に異方性を有し、且つその弱軸が前記第2中心点を通るように、前記第2中心点を中心とする径方向に長手方向を有するスリットが複数形成されている
請求項9に記載のヒンジ構造。
【請求項12】
前記第1変形部、前記第2変形部、及び前記第3変形部には、曲げ剛性に異方性を有し、且つその弱軸が前記第1中心点を通るように、前記第1中心点を中心とする径方向に長手方向を有する凹状の溝が複数形成されており、
前記第4変形部、前記第5変形部、及び前記第6変形部には、曲げ剛性に異方性を有し、且つその弱軸が前記第2中心点を通るように、前記第2中心点を中心とする径方向に長手方向を有する凹状の溝が複数形成されている
請求項9に記載のヒンジ構造。
【請求項13】
前記第2ヒンジ部は、前記第1ヒンジ部と前記第2ヒンジ部との間に位置して前記第2方向に直交する所定の平面を対称面として前記第1ヒンジ部に対して面対称な構造を有している
請求項1,5,9のいずれか一項に記載のヒンジ構造。
【請求項14】
第1パネル部材及び第2パネル部材を折り曲げ可能に連結するヒンジ構造として、請求項1,5,9のいずれか一項に記載のヒンジ構造を備える
折紙構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒンジ構造、及び折紙構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下記の特許文献1に記載の容器がある。この容器は、合成樹脂製の複数のシート材と、隣り合うシート材を連結するヒンジ部とを有している。この容器は、ヒンジ部が曲げ変形することにより折り畳むことが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-1605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の容器は、ヒンジ部が幅を持つため、曲げやねじり変形し易い構造、換言すればヒンジ部の変形の自由度が高い構造であるため、曲げ変形以外の不要な変形、例えば伸び変形や、ねじり変形等がヒンジ部に発生する可能性がある。さらに、曲げ変形部が幅を持つため、一つの回転軸まわりの回転変形動作とはならない、すなわち回転中心を維持しない。これが、ヒンジ部の曲げ動作の精度を悪化させる要因となっている。
【0005】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、曲げ変形の自由度を確保しつつ曲げ変形以外の不要な変形の自由度を低減させ、またパネル部材の曲げ動作時の回転中心を維持し易くすることが可能なヒンジ構造及び折紙構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するヒンジ構造は、第1パネル部材及び第2パネル部材を第1方向に連結するヒンジ構造であって、第1方向に直交する方向を第2方向とするとき、第1パネル部材と第2パネル部材との間に第1方向に挟まれるように設けられるとともに、第2方向に並べて配置される第1ヒンジ部及び第2ヒンジ部を備える。第1ヒンジ部及び第2ヒンジ部は、第1方向の一端部が第1パネル部材に連結されるとともに、第1方向に対する曲げ剛性がその他の方向の曲げに対して低い第1変形部と、第1方向の一端部が第2パネル部材に連結されるとともに、第1方向に対する曲げ剛性がその他の方向の曲げに対して低い第2変形部と、第2方向において第1変形部と第2変形部との間に設けられ、第1方向に対する曲げ剛性がその他の方向の曲げに対して低い第3変形部と、第1変形部の他端部と第3変形部の一端部とを連結する第1連結部と、第2変形部の他端部と第3変形部の他端部とを連結する第2連結部と、をそれぞれ有する。第1変形部、第2変形部、及び第3変形部は、第1方向に所定の幅を有するように形成されている。
【0007】
この構成によれば、第1方向に所定の幅を有する第1変形部、第2変形部、及び第3変形部の全体が変形するため、各変形部が弾性変形可能な範囲で折り曲げ変形を実現することができる。すなわち、コンプライアントなメカニズムにより曲げ変形を実現することができるため、曲げ変形の自由度を確保することが可能である。一方、各変形部が曲げ変形する際に、第1変形部、第2変形部、第3変形部、第1連結部、及び第2連結部により構成される連結構造により、第1パネル部材及び第2パネル部材が所定の軸線を中心として回転するように変位する。そのため、第1パネル部材及び第2パネル部材の曲げ動作時の回転中心を維持し易くすることも可能となる。さらに、第1変形部、第2変形部、第3変形部が、第1方向に対する曲げ剛性以外の曲げ剛性が高い特性を有しているため、第1パネル部材及び第2パネル部材の曲げ動作以外の自由度が低減される。
【0008】
上記課題を解決する他のヒンジ構造は、第1パネル部材及び第2パネル部材を第1方向に連結するヒンジ構造であって、第1方向に直交する方向を第2方向とするとき、第1パネル部材と第2パネル部材との間に第1方向に挟まれるように設けられるとともに、第2方向に並べて配置される第1ヒンジ部及び第2ヒンジ部を備える。第1パネル部材と第2パネル部材との中間に位置して、第2方向に平行な軸線を所定の軸線とするとき、第1ヒンジ部は、第1方向の一端部が第1パネル部材に連結されるとともに、曲げ剛性に異方性を有し、且つその弱軸が所定の軸線上の第1中心点を通る第1変形部と、第1変形部に対して第1中心点を挟んで第2方向の反対側に設けられ、第1方向の一端部が第2パネル部材に連結されるとともに、曲げ剛性に異方性を有し、且つその弱軸が第1中心点を通る第2変形部と、第1中心点を通るように設けられ、第1変形部の第1方向の他端部と第2変形部の第1方向の他端部とを連結する第1連結部と、を有する。第1変形部及び第2変形部は、第1中心点を中心とする周方向に所定の幅を有するように形成されている。第2ヒンジ部は、第1方向の一端部が第1パネル部材に連結されるとともに、曲げ剛性に異方性を有し、且つその弱軸が、第1中心点とは異なる、所定の軸線上の第2中心点を通る第3変形部と、第3変形部に対して第2中心点を挟んで第2方向の反対側に設けられ、第1方向の一端部が第2パネル部材に連結されるとともに、曲げ剛性に異方性を有し、且つその弱軸が第2中心点を通る第4変形部と、第2中心点を通るように設けられ、第3変形部の第1方向の他端部と、第4変形部の第1方向の他端部とを連結する第2連結部と、を有する。第3変形部及び第4変形部は、第2中心点を中心とする周方向に所定の幅を有するように形成されている。
【0009】
この構成によれば、第1中心点を通る周方向に所定の幅を有する第1変形部及び第2変形部の全体、並びに第2中心点を通る周方向に所定の幅を有する第3変形部及び第4変形部の全体が変形するため、各変形部が弾性変形可能な範囲で折り曲げ変形を実現することができる。すなわち、コンプライアントなメカニズムにより曲げ変形を実現することができるため、曲げ変形の自由度を確保することが可能である。一方、各変形部が曲げ変形する際に、第1パネル部材及び第2パネル部材が所定の軸線を中心として回転するように変位する。そのため、第1パネル部材及び第2パネル部材の曲げ動作時の回転中心を維持し易くすることも可能となる。さらに、第1変形部及び第2変形部が、第1中心点を通る弱軸以外の軸に対して高い曲げ剛性を有し、且つ第3変形部及び第4変形部が、第2中心点を通る弱軸以外の軸に対して高い曲げ剛性を有しているため、第1パネル部材及び第2パネル部材の曲げ動作以外の自由度が低減される。
【0010】
上記課題を解決する他のヒンジ構造は、第1パネル部材及び第2パネル部材を第1方向に連結するヒンジ構造であって、第1方向に直交する方向を第2方向とするとき、第1パネル部材と第2パネル部材との間に第1方向に挟まれるように設けられるとともに、第2方向に並べて配置される第1ヒンジ部及び第2ヒンジ部を備える。第1パネル部材と第2パネル部材との中間に位置して、第2方向に平行な軸線を所定の軸線とするとき、第1ヒンジ部は、第1方向の一端部が第1パネル部材に連結されるとともに、曲げ剛性に異方性を有し、且つその弱軸が所定の軸線上の第1中心点を通る第1変形部と、第1方向の一端部が第2パネル部材に連結されるとともに、曲げ剛性に異方性を有し、且つその弱軸が第1中心点を通る第2変形部と、第2方向において第1変形部と第2変形部との間に設けられ、曲げ剛性に異方性を有し、且つその弱軸が第1中心点を通る第3変形部と、第1変形部の他端部と第3変形部の一端部とを連結する第1連結部と、第2変形部の他端部と第3変形部の他端部とを連結する第2連結部と、を有する。第1変形部、第2変形部、及び第3変形部は、第1中心点を中心とする周方向に所定の幅を有するように形成されている。第2ヒンジ部は、第1方向の一端部が第1パネル部材に連結されるとともに、曲げ剛性に異方性を有し、且つその弱軸が第1ヒンジ部の中心点とは異なる、所定の軸線上の第2中心点を通る第4変形部と、第1方向の一端部が第2パネル部材に連結されるとともに、曲げ剛性に異方性を有し、且つその弱軸が第2中心点を通る第5変形部と、第2方向において第4変形部と第5変形部との間に設けられ、曲げ剛性に異方性を有し、且つその弱軸が第2中心点を通る第6変形部と、第4変形部の他端部と第6変形部の一端部とを連結する第3連結部と、第5変形部の他端部と第6変形部の他端部とを連結する第4連結部と、を有する。第4変形部、第5変形部、及び第6変形部は、第2中心点を中心とする周方向に所定の幅を有するように形成されている。
【0011】
この構成によれば、第1中心点を通る周方向に所定の幅を有する第1変形部、第2変形部、及び第3変形部の全体、並びに第2中心点を通る周方向に所定の幅を有する第4変形部、第5変形部、及び第6変形部の全体が変形するため、各変形部が弾性変形可能な範囲で折り曲げ変形を実現することができる。すなわち、コンプライアントなメカニズムにより曲げ変形を実現することができるため、曲げ変形の自由度を確保することが可能である。一方、各変形部が曲げ変形する際に、第1パネル部材及び第2パネル部材が所定の軸線を中心として回転するように変位する。そのため、第1パネル部材及び第2パネル部材の曲げ動作時の回転中心を維持し易くすることも可能となる。さらに、第1変形部、第2変形部、及び第3変形部が、第1中心点を通る弱軸以外の軸に対して高い曲げ剛性を有し、且つ第4変形部、第5変形部、及び第6変形部が、第2中心点を通る弱軸以外の軸に対して高い曲げ剛性を有しているため、第1パネル部材及び第2パネル部材の曲げ動作以外の自由度が低減される。
【0012】
上記課題を解決する折紙構造体は、第1パネル部材及び第2パネル部材を折り曲げ可能に連結するヒンジ構造として、上記のヒンジ構造を備える。
この折紙構造体によれば、上記のヒンジ構造と同様の効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のヒンジ構造及び折紙構造体によれば、曲げ変形の自由度を確保しつつ曲げ変形以外の不要な変形の自由度を低減させ、またパネル部材の曲げ動作時の回転中心を維持し易くすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態の折紙構造体の平面構造を示す平面図。
図2】第1実施形態の折紙構造体の側面構造を示す側面図。
図3】第1実施形態の変形部の拡大平面構造を示す平面図。
図4】参考例の変形部の斜視構造を示す斜視図。
図5】参考例の連結構造の平面構造を示す平面図。
図6】(A),(B)は、参考例の連結構造の側面構造、及び当該連結構造の動作例をそれぞれ示す側面図。
図7】第1実施形態の折紙構造体の動作例を示す斜視図。
図8】第1実施形態の第1変形例の折紙構造体の平面構造を示す平面図。
図9】第1実施形態の第2変形例の折紙構造体の平面構造を示す平面図。
図10】第1実施形態の第2変形例の折紙構造体の動作例を示す斜視図。
図11】第1実施形態の第3変形例の折紙構造体の平面構造を示す平面図。
図12】第1実施形態の第3変形例の折紙構造体の動作例を示す斜視図。
図13】第2実施形態の折紙構造体の平面構造を示す平面図。
図14】第2実施形態のヒンジ部の動作例を模式的に示す斜視図。
図15】第2実施形態の折紙構造体の動作例を示す斜視図。
図16】第3実施形態の折紙構造体の平面構造を示す平面図。
図17】第3実施形態のヒンジ構造の拡大平面構造を示す平面図。
図18】第3実施形態の折紙構造体の動作例を示す斜視図。
図19】第3実施形態の変形例の変形部の斜視構造を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、ヒンジ構造及び折紙構造体の実施形態について図面を参照しながら説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
<第1実施形態>
図1は、本実施形態の折紙構造体10の平面構造を示したものである。図1に示される折紙構造体10は建築物等の構造物に利用可能である。この折紙構造体10は、平面状態から折り曲げることにより立体構造物を形成できる、連続的な形状変形が可能である、及びそのデザインによっては自立することができる等の多数の利点を有している。図1及び図2に示されるように、折紙構造体10は、2つのパネル部材20,30と、ヒンジ構造40とを備えている。折紙構造体10は、例えば樹脂を素材として3Dプリンタにより成形したり、樹脂の板材をレーザ等により加工したりすることで形成することができる。本実施形態では、パネル部材20が第1パネル部材に相当し、パネル部材30が第2パネル部材に相当する。
【0016】
各パネル部材20,30は平板状に形成されている。各パネル部材20,30は所定の剛性を有している。したがって、パネル部材20,30は、多少の外力が付与されただけでは変形し難い特性を有している。
ヒンジ構造40は、パネル部材20とパネル部材30との間に挟まれるように設けられている。ヒンジ構造40は、Y方向にパネル部材20及びパネル部材30を連結している。ヒンジ構造40は、パネル部材20,30よりも低い剛性を有している。これにより、折紙構造体10に外力が付与された際に、各パネル部材20,30がそのままの形状を維持したまま、ヒンジ構造40が曲げ動作を行うことにより、折紙構造体10を折り畳むことが可能となっている。ヒンジ構造40は、第1ヒンジ部41と、第2ヒンジ部42とを備えている。第1ヒンジ部41及び第2ヒンジ部42は、X方向に並べて配置されている。X方向はY方向に直交する方向である。なお、図1には、パネル部材20,30の中間を通り、且つX方向に平行な軸線が符号m10で示されている。本実施形態では、Y方向が第1方向に相当し、X方向が第2方向に相当する。
【0017】
第1ヒンジ部41及び第2ヒンジ部42は、図中の面Saを対称面として面対称な構造、換言すれば鏡面対称な構造を有している。面Saは、X方向におけるパネル部材20,30のそれぞれの中間を通り、且つX方向に直交する面である。以下では、面Saを「対称面Sa」と称する。本実施形態では、対称面Saが所定の平面に相当する。
【0018】
第1ヒンジ部41は、変形部411~413と、連結部414,415とを有している。本実施形態では、変形部411が第1変形部に相当し、変形部413が第2変形部に相当し、変形部412が第3変形部に相当する。また、連結部414が第1連結部に相当し、連結部415が第2連結部に相当する。
【0019】
変形部411、変形部412、及び変形部413は、対称面Saから離間する方向にこの順で配置されている。
図3に示されるように、変形部411には、X方向及びY方向にずれるように複数のスリット50が千鳥状に形成されている。各スリット50は、X方向に長辺を有し、且つY方向に短辺を有する矩形状に形成されている。このような構造により、変形部411には、複数のねじり梁部51及び複数の剛体部52がY方向に反復して形成されている。
【0020】
ねじり梁部51は、変形部411においてY方向に隣り合う2つのスリット50,50の間に挟み込まれるように設けられている部分である。
剛体部52は、変形部411においてY方向に一つ置きに配置される2つのスリット50,50のそれぞれの中央部の間に挟み込まれるように設けられている部分である。剛体部52のY方向の幅はねじり梁部51のY方向の幅よりも長くなっている。そのため、剛体部52は、ねじり梁部51よりも高い剛性を有している。
【0021】
このように変形部411がねじり梁部51及び剛体部52の反復パターンを有することにより、変形部411に外力が付与された際に、ねじり梁部51が剛体部52よりも優先的に弾性変形する。結果として、変形部411は剛性異方性を有している。図4は、変形部411と類似の形状を有する変形部416の曲げ動作の一例を示したものである。図4に示されるように、変形部416は、Y方向に沿った折り曲げ方向には柔軟性を有する一方、その他の方向には剛性を有しており、部分的に遊びを低減できる構造になっている。図3に示される変形部411は、図4に示される変形部416と同一又は類似の特性を有しているため、Y方向に沿った方向の曲げ変形のみを発生させ易い構造である。このような変形部411のヒンジ構造は、LET(Lamina Emergent Torsional)ジョイントと称されるものである。
【0022】
図1に示されるように、Y方向における変形部411の一端部411aはパネル部材20に連結されている。変形部411の他端部411bは連結部414に連結されている。
変形部412,413は変形部411と同一又は類似の構造を有しているため、それらの詳細な説明は割愛する。変形部412の一端部412aは連結部414に連結されている。変形部412の他端部412bは連結部415に連結されている。変形部413の一端部413aはパネル部材30に連結されている。変形部413の他端部413bは連結部415に連結されている。
【0023】
連結部414は、Y方向において変形部411,412とパネル部材30との間に挟み込まれるように設けられている。連結部414は、パネル部材30から分離されており、パネル部材30とは別に動作可能である。連結部414は、X方向に長手方向を有し、且つY方向に短手方向を有する矩形状の板部材である。連結部414は変形部411の他端部411bと変形部412の一端部412aとを連結している。
【0024】
連結部415は、Y方向において変形部412,413とパネル部材20との間に挟み込まれるように設けられている。連結部415は、パネル部材20から分離されており、パネル部材20とは別に動作可能である。連結部415は、X方向に長手方向を有し、且つY方向に短手方向を有する矩形状の板部材である。連結部415は変形部412の他端部412bと変形部413の他端部413bとを連結している。
【0025】
このような連結部414,415及び変形部411~413により、図5に示されるような連結構造60が構成されている。図5に示される連結構造60では、パネル部材120,130がS字状のヒンジ部140を介して連結されている。ヒンジ部140はパネル部材120,130よりも低い剛性を有している。このような連結構造60は、LEFF(Lamina Emergent Flexural Fold)ジョイント、スイッチバックジョイント、又は巴型切り紙構造と称されるものである。なお、図5には、パネル部材120,130の中間を通り、且つX方向に平行な軸線が符号m20で示されている。
【0026】
図6(A)は、図5に示される連結構造60をX方向から見た側面構造を示したものである。この連結構造60においてパネル部材120,130に対して図6(A)に示されるような外力F21,F22がそれぞれ付与されると、連結構造60は図6(B)に示されるように変形する。図6(B)に示されるように、パネル部材120,130は軸線m20を中心に折り曲げられるように変形する。このように、図5及び図6に示される連結構造60は、純曲げモーメントの条件において良好な回転中心の維持性能を有している。
【0027】
図1に示される第1ヒンジ部41は、図4に示されるLETジョイントと、図5及び図6に示されるLEFFジョイントとを組み合わせた構造と言うことができる。したがって、本実施形態の第1ヒンジ部41は、LETジョイントの特性である剛性異方性と、LEFFジョイントの特性である回転中心の維持性能とを併せて有している。
【0028】
図1に示される第2ヒンジ部42は、上述の通り、面Saを対称面として第1ヒンジ部41に対して面対称な構造を有しているため、その詳細な説明は割愛する。第2ヒンジ部42は、第1ヒンジ部41と同様に、変形部421~423と、連結部424,425とを有している。
【0029】
次に、本実施形態の折紙構造体10の動作例について説明する。
例えば図2に示されるような外力F11,F12をパネル部材20,30に対してそれぞれ付与することにより、折紙構造体10を折り曲げようとしたとする。この場合、この折り曲げ方向に対して第1ヒンジ部41の変形部411~413及び第2ヒンジ部42の変形部421~423は柔軟性を有しているため、それらは、図7に示されるように湾曲するように変形する。このとき、第1ヒンジ部41及び第2ヒンジ部42が有するLEFFジョイントの機能により、パネル部材20,30が、ほぼ軸線m10を中心に回転するように変位する。すなわち、第1ヒンジ部41及び第2ヒンジ部42のそれぞれの回転軸を軸線m10にほぼ固定することができる。したがって、パネル部材20,30の回転中心を維持しつつ、折紙構造体10を折り曲げることが可能である。
【0030】
以上説明したように、本実施形態のヒンジ構造40によれば、以下の作用及び効果を得ることが可能である。
本実施形態のヒンジ構造40は、X方向に並べて配置される第1ヒンジ部41及び第2ヒンジ部42を有している。第1ヒンジ部41及び第2ヒンジ部42は、パネル部材20,30の間にY方向に挟み込まれるように設けられている。第1ヒンジ部41は、変形部411~413と、連結部414,415とを有している。変形部411は、その一端部411aがパネル部材20に連結されるとともに、Y方向に対する曲げ剛性がその他の方向の曲げに対して低い。変形部413は、その一端部413aがパネル部材30に連結されるとともに、Y方向に対する曲げ剛性がその他の方向の曲げに対して低い。変形部412は、X方向において変形部412と変形部413との間に設けられ、Y方向に対する曲げ剛性がその他の方向の曲げに対して低い。連結部414は、変形部411の他端部411bと変形部412の一端部412aとを連結している。連結部415は、変形部413の他端部413bと変形部412の他端部412bとを連結している。変形部411~413は、Y方向に所定の幅を有するように形成されている。第2ヒンジ部42も同様に、変形部421~423と、連結部424,425とを有している。
【0031】
この構成によれば、折紙構造体10を折り曲げようとした際に、Y方向に所定の幅を有する変形部411~413の全体が変形するため、変形部411~413が弾性変形可能な範囲で折り曲げ変形を実現することができる。第2ヒンジ部42の変形部421~423に関しても同様である。これにより、コンプライアントなメカニズム(弾性変形機構)により曲げ変形を実現することができるため、曲げ変形の自由度を確保することが可能である。一方、変形部411~413が曲げ変形する際に、変形部411~413及び連結部414,415により構成される連結構造(LEFFジョイント構造)により、パネル部材20,30が軸線m10を中心として回転するように変位する。第2ヒンジ部42の変形部421~423、及び連結部424,425に関しても同様である。これにより、パネル部材20,30の曲げ動作時の回転中心を維持し易くすることも可能となる。さらに、変形部411~413が、Y方向に対する曲げ剛性以外の曲げ剛性が高い特性を有しているため、パネル部材20,30の曲げ動作以外の自由度が低減される。
【0032】
本実施形態の変形部411、変形部412、および変形部413は、この順でX方向に並べて配置されている。図1に示されるように、第1ヒンジ部41の連結部414と第2ヒンジ部42の連結部424とは別々の部材により形成されている。
この構成によれば、第1ヒンジ部41及び第2ヒンジ部42のそれぞれにおいて、図5及び図6に示されるようなLEFFジョイントの構造を容易に実現することが可能となる。
【0033】
本実施形態の変形部411~413,421~423には、Y方向に対する曲げ剛性がその他の方向の曲げに対して低くなるように、X方向に長手方向を有するスリット50が複数形成されている。
この構成によれば、図4に示されるようなLETジョイントの構造を容易に実現することができるため、変形部411~413,421~423が剛性異方性を有するようになる。結果的に、変形部411~413,421~423がY方向に沿った曲げ方向に対して柔軟性を有する一方、それ以外の方向に対して剛性を有するようになるため、曲げ変形以外の変形モード、例えばねじり変形や、せん断変形等に対して強い構造を実現することが可能となる。
【0034】
(第1変形例)
次に、第1実施形態の折紙構造体10の第1変形例について説明する。
図8に示されるように、本変形例のヒンジ構造40では、第1ヒンジ部41の連結部414と第2ヒンジ部42の連結部424とがX方向に互いに連結されている。なお、第1ヒンジ部41の連結部414及び第2ヒンジ部42の連結部424は、一つの部材として共有されていてもよい。
【0035】
このような構成であっても、第1実施形態のヒンジ構造40と同一又は類似の作用及び効果を奏することが可能である。また、図8に示される本変形例のヒンジ構造40を用いた場合、図1に示される第1実施形態のヒンジ構造40を用いる場合と比較すると、ねじり変形、及び面内せん断変形に対して強い構造を実現可能であることが発明者の実験等により確認されている。
【0036】
(第2変形例)
次に、第1実施形態の折紙構造体10の第2変形例について説明する。
図9に示されるように、本変形例の折紙構造体10は、第1部品101と、第2部品102とを備えている。
【0037】
第1部品101は4つのプレート部材P11~P14を有している。プレート部材P11及びプレート部材P12はヒンジ構造40aを介して互いに連結されている。ヒンジ構造40aは、X方向に平行な軸線m50に沿って第1ヒンジ部41及び第2ヒンジ部42を有しており、軸線m50を回転軸として曲げ変形可能である。プレート部材P11及びプレート部材P13はヒンジ構造40bを介して互いに連結されている。ヒンジ構造40bは、X方向に対して時計回りの方向に45度の角度をなす軸線m51に沿って第1ヒンジ部41及び第2ヒンジ部42を有しており、軸線m51を回転軸として曲げ変形可能である。プレート部材P12及びプレート部材P14はヒンジ構造40cを介して互いに連結されている。ヒンジ構造40cは、X方向に対して反時計回りの方向に45度の角度をなす軸線m52に沿って第1ヒンジ部41及び第2ヒンジ部42を有しており、軸線m52を回転軸として曲げ変形可能である。
【0038】
第2部品102は、第1部品101と同一の構造を有しているため、その詳細な説明は割愛する。第2部品102は、第1部品101と同様に、4つのプレート部材P21~P24を有している。プレート部材P21及びプレート部材P22はヒンジ構造40dにより連結されている。プレート部材P21及びプレート部材P23はヒンジ構造40eにより連結されている。プレート部材P22及びプレート部材P24はヒンジ構造40fにより連結されている。
【0039】
第1部品101のプレート部材P13及び第2部品102のプレート部材P24は、一体化して動作可能なように連結部材110により互いに連結されている。第1部品101のプレート部材P14及び第2部品102のプレート部材P23も、一体化して動作可能なように連結部材111により互いに連結されている。
【0040】
本変形例の折紙構造体10に対して折り曲げるような外力が付与されると、例えば図10に示されるように、折紙構造体10では、ヒンジ構造40a及びヒンジ構造40dが凹状に変形し、且つその他のヒンジ構造40b,40c,40e,40fが凸状に変形する。これにより、折紙構造体10は、図10に示されるように折り畳まれるように変形することが可能である。本変形例の折紙構造体10は、図9に示される軸線m50,m51,m52のいずれでも折り曲げ可能であるため、3自由度を有し、且つ次数6の頂点パターンを有している。
【0041】
(第3変形例)
次に、第1実施形態の折紙構造体10の第3変形例について説明する。
図11に示されるように、本変形例の折紙構造体10は、第2変形例の第1部品101及び第2部品102に加えて、第3部品103を更に備えている。第3部品103は、プレート部材P31,P32を有している。プレート部材P31及びプレート部材P32はヒンジ構造40gを介して互いに連結されている。ヒンジ構造40gは、X方向に平行な軸線m50に沿って第1ヒンジ部41及び第2ヒンジ部42を有しており、軸線m50を回転軸として曲げ変形可能である。
【0042】
第3部品103のプレート部材P31は、第1部品101のプレート部材P13及び第2部品102のプレート部材P24と連結部材112により互いに連結されている。したがって、第1部品101のプレート部材P13、第2部品102のプレート部材P24、及び第3部品103のプレート部材P31は一体的に動作可能である。また、第3部品103のプレート部材P32は、第1部品101のプレート部材P14及び第2部品102のプレート部材P23と連結部材113により互いに連結されている。したがって、第1部品101のプレート部材P14、第2部品102のプレート部材P23、及び第3部品103のプレート部材P32は一体的に動作可能である。
【0043】
本変形例の折紙構造体10に対して折り曲げるような外力が付与されると、例えば図12に示されるように、ヒンジ構造40a及びヒンジ構造40dが凹状に変形し、且つその他のヒンジ構造40b,40c,40e,40f,40gが凸状に変形する。これにより、折紙構造体10は、図12に示されるように折り畳まれるように変形することが可能である。本変形例の折紙構造体10は、図11に示される軸線m50を中心とする曲げ方向にのみ折り曲げ可能であるため、1自由度を有し、且つ次数4の頂点パターンを有している。
【0044】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態の折紙構造体10について説明する。以下、第1実施形態の折紙構造体10との相違点を中心に説明する。
図13に示されるように、本実施形態の折紙構造体10は、ヒンジ構造40の形状が第1実施形態の折紙構造体10と異なる。具体的には、図13に示されるように、本実施形態のヒンジ構造40の第1ヒンジ部41は、変形部711,712と、連結部713とを有している。
【0045】
変形部711は、軸線m10上の点C11を中心に扇形状に延びるように形成されている。以下では、点C11を「中心点C11」と称する。変形部711には、中心点C11を中心とする周方向及び径方向にずれるように複数のスリット80が千鳥状に形成されている。各スリット80は、中心点C11を中心とする径方向に長手方向を有し、且つ中心点C11を中心とする周方向に短手方向を有するように矩形状に形成されている。このような構造により、変形部711は、中心点C11を中心とする周方向に沿った曲げ方向に柔軟性を有する一方、その他の方向に剛性を有している。よって、本実施形態の変形部711もLETジョイントとしての機能を有している。変形部711の一端部711aは第1パネル部材20に連結されている。変形部711の他端部711bは連結部713に連結されている。本実施形態では、変形部711が第1変形部に相当し、中心点C11が第1中心点に相当する。
【0046】
変形部712は、中心点C11を中心として変形部711に対して点対称な構造を有しているため、その説明は割愛する。変形部712の一端部712aは第2パネル部材30に連結されている。変形部712の他端部712bは連結部713に連結されている。本実施形態では、変形部712が第2変形部に相当する。
【0047】
連結部713は、中心点C11を中心とする径方向に延びるように形成された矩形状の板部材である。連結部713は、中心点C11を中心として点対称な形状を有している。連結部713はパネル部材20,30から分離されており、連結部713はパネル部材20,30とは別に動作可能である。連結部713は変形部711の他端部711bと変形部712の他端部712bとを連結している。本実施形態では、連結部713が第1連結部に相当する。
【0048】
このような構造を有する第1ヒンジ部41は、第1ヒンジ部41を折り曲げる方向の外力がパネル部材20,30に対して付与されると、図14に示されるように変形する。図14に示されるように、変形部711,712の間に、中間体である連結部713が挿入されることで、変形部711,712は、中心点C11を中心として凸方向に曲面状に折り曲げられるように変形する。
【0049】
図13に示される第2ヒンジ部42は、面Saを対称面として第1ヒンジ部41に対して面対称な構造を有しているため、その詳細な説明は割愛する。第2ヒンジ部42は、第1ヒンジ部41と同様に、変形部721,722と、連結部723とを有している。なお、図13には、変形部721,722の中心点が符号C12で示されている。第2ヒンジ部42を折り曲げる方向の外力がパネル部材20,30に付与されると、変形部721,722は、中心点C12を中心として凸方向に曲面状に折り曲げられるように変形する。本実施形態では、変形部721が第3変形部に相当し、変形部722が第4変形部に相当し、連結部723が第2連結部に相当する。
【0050】
次に、本実施形態の折紙構造体10の動作例について説明する。
例えば図2と同様の外力F11,F12を、図13に示されるパネル部材20,30に対してそれぞれ付与することにより、折紙構造体10を折り曲げようとしたとする。この場合、図15に示されるように、第1ヒンジ部41の変形部711,712が中心点C11を中心に凸方向に曲面状に折り曲げられるように変形し、且つ第2ヒンジ部42の変形部721,722が中心点C12を中心に凸方向に折り曲げられるように変形する。そのため、中心点C11及び中心点C12を通る軸線を「m30」とすると、パネル部材20,30は、ほぼ軸線m30を中心として回転するように変位する。すなわち、第1ヒンジ部41及び第2ヒンジ部42のそれぞれの回転軸を軸線m30にほぼ固定することができる。したがって、パネル部材20,30の回転中心を維持し易くすることが可能である。
【0051】
以上説明したように、本実施形態のヒンジ構造40によれば、以下の作用及び効果を得ることができる。
本実施形態のヒンジ構造40では、第1ヒンジ部41が、変形部711,712と、連結部713とを有している。変形部711は、Y方向の一端部711aがパネル部材20に連結されるとともに、曲げ剛性に異方性を有し、且つその弱軸が軸線m30上の中心点C11を通る。変形部712は、変形部711に対して中心点C11を挟んでX方向の反対側に設けられ、Y方向の一端部712aがパネル部材30に連結されるとともに、曲げ剛性に異方性を有し、且つその弱軸が中心点C11を通る。連結部713は、中心点C11を通るように設けられ、変形部711のY方向の他端部711bと、変形部712のY方向の他端部712bとを連結する。変形部711,712は、中心点C11を中心とする周方向に所定の幅を有するように形成されている。第2ヒンジ部42は、変形部721,722と、連結部723とを有する。変形部721は、Y方向の一端部がパネル部材20に連結されるとともに、曲げ剛性に異方性を有し、且つその弱軸が軸線m30上の中心点C12を通る。変形部722は、変形部721に対して中心点C12を挟んでX方向の反対側に設けられ、Y方向の一端部がパネル部材30に連結されるとともに、曲げ剛性に異方性を有し、且つその弱軸が中心点C12を通る。連結部723は、中心点121を通るように設けられ、変形部721のY方向の他端部と、変形部722のY方向の他端部とを連結する。変形部721,722は、中心点C12を中心とする周方向に所定の幅を有するように形成されている。
【0052】
この構成によれば、上記の第1実施形態と同様に、折紙構造体10を折り曲げようとした際に、第1ヒンジ部41の変形部711,712の全体が変形するため、曲げ変形の自由度を確保することが可能である。第2ヒンジ部42の変形部721,722に関しても同様である。一方、第1ヒンジ部41の変形部711,712及び第2ヒンジ部42の変形部721,722が曲げ変形する際に、パネル部材20,30が軸線m30を中心に回転するように変位する。これにより、パネル部材20,30の曲げ動作時の回転中心を維持し易くすることも可能となる。また、変形部711,712が、中心点C11を通る弱軸以外の軸に対して高い曲げ剛性を有し、且つ変形部721,722が、中心点C12を通る弱軸以外の軸に対して高い曲げ剛性を有しているため、パネル部材20,30の曲げ動作以外の自由度が低減される。さらに、本実施形態のヒンジ構造40は、第1実施形態のヒンジ構造40と比較すると、せん断変形に強い構造を実現可能であることが発明者の実験等により確認されている。
【0053】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態の折紙構造体10について説明する。以下、第1実施形態の折紙構造体10との相違点を中心に説明する。
図16に示されるように、本実施形態のヒンジ構造40は、第1ヒンジ部41及び第2ヒンジ部42の形状が異なる点で、第1実施形態のヒンジ構造40と異なる。具体的には、図17に示されるように、第1ヒンジ部41の変形部411~413の全体は、対称面Saに近づくほどY方向の幅が徐々に広がるように中心点C21を中心に扇形状に形成されている。中心点C21は、X方向において第1ヒンジ部41に対して第2ヒンジ部42が設けられる側とは反対側に位置している。各変形部411~413に形成されるスリット90は、中心点C21を中心とする径方向に長手方向を有し、且つ中心点C21を中心とする周方向に短手方向を有するように矩形状に形成されている。したがって、各変形部411~413は、中心点C21を中心とする周方向にねじり梁部及び剛体部が反復して形成される構造を有している。そのため、各変形部411~413は、中心点C21を中心とする周方向に沿った曲げ方向に柔軟性を有する一方、その他の方向に剛性を有している。よって、本実施形態の変形部411~413もLETジョイントとしての機能を有している。本実施形態では、変形部411が第1変形部に相当し、変形部413が第2変形部に相当し、変形部412が第3変形部に相当する。また、連結部414が第1連結部に相当し、連結部415が第2連結部に相当し、中心点C21が第1中心点に相当する。
【0054】
図16に示されるように、第2ヒンジ部42は、面Saを対称面として第1ヒンジ部41に対して面対称な構造を有しているため、その詳細な説明は割愛する。図17に示されるように、第2ヒンジ部42の変形部421~423の全体は、対称面Saに近づくほどY方向の幅が徐々に広がるように中心点C22を中心に扇形状に形成されている。中心点C22は、X方向において第2ヒンジ部42に対して第1ヒンジ部41が設けられる側とは反対側に位置している。各変形部421~423は、中心点C22を中心とする周方向に沿った曲げ方向に柔軟性を有する一方、その他の方向に剛性を有している。本実施形態では、変形部421が第4変形部に相当し、変形部423が第5変形部に相当し、変形部422が第6変形部に相当する。また、連結部424が第3連結部に相当し、連結部425が第4連結部に相当し、中心点C22が第2中心点に相当する。
【0055】
なお、図17に示されるように、中心点C21及び中心点C22は軸線m40上に位置している。軸線m40は、パネル部材20とパネル部材30との中間に位置して、X方向に平行な線である。
次に、本実施形態の折紙構造体10の動作例について説明する。
【0056】
例えば図2と同様の外力F11,F12を、図16に示されるパネル部材20,30に対してそれぞれ付与することにより、折紙構造体10を折り曲げようとしたとする。この場合、図18に示されるように、第1ヒンジ部41の各変形部411~413が中心点C21を中心として折り曲げられるように変形し、且つ第2ヒンジ部42の変形部421~423が中心点C22を中心として折り曲げられるように変形する。結果的に、第1ヒンジ部41及び第2ヒンジ部42のそれぞれの回転軸を、各中心点C21,C22を通る軸線m40にほぼ固定することができる。したがって、パネル部材20,30の回転中心を維持し易くすることが可能である。
【0057】
以上説明したように、本実施形態のヒンジ構造40によれば、以下の作用及び効果を得ることができる。
本実施形態のヒンジ構造40では、第1ヒンジ部41が、変形部411~413と、連結部414,415とを有している。変形部411は、Y方向の一端部411aがパネル部材20に連結されるとともに、曲げ剛性に異方性を有し、且つその弱軸が軸線m40上の中心点C21を通る。変形部413は、Y方向の一端部413aがパネル部材30に連結されるとともに、曲げ剛性に異方性を有し、且つその弱軸が中心点C21を通る。変形部412は、X方向において変形部411と変形部413との間に設けられ、曲げ剛性に異方性を有し、且つその弱軸が中心点C21を通る。連結部414は、変形部411の他端部411bと変形部412の一端部412aとを連結する。連結部415は、変形部413の他端部413bと変形部412の他端部412bとを連結する。変形部411~413は、中心点C21を中心とする周方向に所定の幅を有するように形成されている。第2ヒンジ部42は、変形部421~423と、連結部424,425とを有している。変形部421は、Y方向の一端部がパネル部材20に連結されるとともに、曲げ剛性に異方性を有し、且つその弱軸が軸線m40上の中心点C22を通る。変形部423は、Y方向の一端部がパネル部材30に連結されるとともに、曲げ剛性に異方性を有し、且つその弱軸が中心点C22を通る。変形部422は、X方向において変形部421と変形部423との間に設けられ、曲げ剛性に異方性を有し、且つその弱軸が中心点C22を通る。連結部424は、変形部421の他端部と変形部422の一端部とを連結する。連結部425は、変形部423の他端部と変形部422の他端部とを連結する。変形部421~423は、中心点C22を中心とする周方向に所定の幅を有するように形成されている。
【0058】
この構成によれば、上記の第1実施形態と同様に、折紙構造体10を折り曲げようとした際に、第1ヒンジ部41の変形部411~413の全体が変形するため、曲げ変形の自由度を確保することが可能である。第2ヒンジ部42の変形部421~423に関しても同様である。一方、第1ヒンジ部41の変形部411~413及び第2ヒンジ部42の変形部421~423が曲げ変形する際に、パネル部材20,30が軸線m40を中心に回転するように変位する。これにより、パネル部材20,30の曲げ動作時の回転中心を維持し易くすることも可能となる。また、変形部411~413が、中心点C21を通る弱軸以外の軸に対して高い曲げ剛性を有し、且つ変形部421~423が、中心点C22を通る弱軸以外の軸に対して高い曲げ剛性を有しているため、パネル部材20,30の曲げ動作以外の自由度が低減される。
【0059】
(変形例)
次に、第3実施形態の折紙構造体10の変形例について説明する。
図19に示されるように、本変形例の第1ヒンジ部41の各変形部411~413には、スリット90に代えて、凹状の溝31が複数形成されている。複数の溝31は、中心点C21を中心として放射状に延びるように、換言すれば溝31は中心点C21を中心とする径方向に長手方向を有するように形成されている。なお、図示は省略するが、第2ヒンジ部42にも同様の溝31が形成されている。この第2ヒンジ部42に形成される溝31は、中心点C22を中心とする径方向に長手方向を有するように形成されている。
【0060】
このような構成であっても、第1ヒンジ部41の各変形部411~413が、中心点C21を中心とする周方向に柔軟性を有する一方、その他の方向に剛性を有するため、LETジョイントとして機能を発揮することが可能である。第2ヒンジ部42に関しても同様である。
【0061】
<他の実施形態>
本開示は上記の具体例に限定されるものではない。
例えば図19に示される変形部411~413の形状は、他の実施形態及び変形例にも適用可能である。
【0062】
例えば図1に示される第1実施形態の折紙構造体10では、変形部411~413,421~423に、スリット50に代えて、X方向に長手方向を有する凹状の溝が複数形成されていてもよい。これにより、変形部411~413,421~423は、Y方向に対する曲げ剛性がその他の方向の曲げに対して低い特性を有することになる。
【0063】
また、図13に示される第2実施形態の折紙構造体10では、変形部711,712に、スリット80に代えて、中心点C11を中心とする径方向に長手方向を有する凹状の溝が複数形成されていてもよい。これにより、変形部711,712が曲げ剛性に異方性を有し、且つ変形部711,712のそれぞれの弱軸が中心点C11を通るようになる。また、変形部721,722に、スリット80に代えて、中心点C12を中心とする径方向に長手方向を有する凹状の溝が複数形成されていてもよい。これにより、変形部721,722が曲げ剛性に異方性を有し、且つ変形部721,712のそれぞれの弱軸が中心点C12を通るようになる。
【0064】
図1に示される第1実施形態の折紙構造体10において、第2ヒンジ部42は、面Saを対称面として第1ヒンジ部41に対して面対称な構造を有するものに限らず、第1ヒンジ部41と同一の形状を有するものであってもよい。すなわち、第1実施形態のヒンジ構造40は、同一の形状を有する複数のヒンジ部がX方向に反復して配置される構造を有するものであってもよい。図13に示される第2実施形態の折紙構造体10、及び図16に示される第3実施形態の折紙構造体10に関しても同様である。
【0065】
上記の具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素、及びその配置、条件、形状等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【符号の説明】
【0066】
C11:中心点(第1中心点)、C12:中心点(第2中心点)、C21:中心点(第1中心点)、C22:中心点(第2中心点)、10:折紙構造体、20:パネル部材(第1パネル部材)、30:パネル部材(第2パネル部材)、31:溝、40,40a~40g:ヒンジ構造、41:第1ヒンジ部、42:第2ヒンジ部、50,80,90:スリット、411:変形部(第1変形部)、412:変形部(第3変形部)、413:変形部(第2変形部)、414:連結部(第1連結部)、415:連結部(第2連結部)、421:変形部(第1変形部、第4変形部)、422:変形部(第3変形部、第6変形部)、423:変形部(第2変形部、第5変形部)、424:連結部(第1連結部、第3連結部)、425:連結部(第2連結部、第4連結部)、711:変形部(第1変形部)、712:変形部(第2変形部)、713:連結部(第1連結部)、。721:変形部(第3変形部)、722:変形部(第4変形部)、723:連結部(第2連結部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
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図17
図18
図19