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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178287
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】偏光板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20231207BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
G02B5/30
G09F9/30 349E
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023151463
(22)【出願日】2023-09-19
(62)【分割の表示】P 2019166289の分割
【原出願日】2019-09-12
(71)【出願人】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 直子
(57)【要約】
【課題】低温(-40℃)条件と高温(85℃)条件とを繰り返すヒートショック試験においてクラックの発生が抑制され、かつ端部を含む領域においてヨウ素抜けが生じない偏光板の製造方法を提供すること。
【解決手段】厚み15μm以下の偏光子の少なくとも片側に光学フィルムを貼合して第1積層体を作製する第1積層工程と、第1積層体を、温度35℃以上において相対湿度75%RH以上の気相中に保持する加湿処理工程とを含む、偏光板の製造方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホウ酸とヨウ素とを含有する樹脂フィルムを含み、厚みが15μm以下である偏光子であって、
前記偏光子の端部を含む領域において、該領域以外の領域におけるホウ酸の濃度より低い濃度でホウ酸を含有する領域を有し、
前記偏光子の端部を含む領域においてヨウ素抜けが生じていない、偏光子。
【請求項2】
請求項1に記載の偏光子と、前記偏光子の少なくとも片側に貼合された光学フィルムとを有する、偏光板。
【請求項3】
前記偏光板の平面視における端部において、前記偏光子の端部の位置と前記光学フィルムの端部の位置とが同一である、請求項2に記載の偏光板。
【請求項4】
請求項3に記載の偏光板を備えた画像表示装置。
【請求項5】
カメラホールを有する、請求項4に記載の画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏光板の製造方法に関し、さらに、偏光子、偏光板およびそれを含む画像表示装置にも関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、偏光子を50℃以上の処理液に接触させることにより、端部にホウ酸濃度が低い部位が形成された偏光子を製造する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-206641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の製造方法では、偏光子を50℃以上の処理液に接触させた部分の平面視において、端部および端部から50μm以上までの間の全領域にわたりホウ酸の濃度が低い部位が形成されるとともに、端部および端部から300μmを超える幅でヨウ素抜けが生じている。
【0005】
本発明の目的は、低温(-40℃)条件と高温(85℃)条件とを繰り返すヒートショック試験においてクラックの発生が抑制され、かつ端部を含む領域においてヨウ素抜けが生じない偏光板の製造方法を提供することである。また、本発明の別の目的は、クラックが抑制され、端部を含む領域においてヨウ素抜けが生じていない偏光子、およびその偏光子を含む偏光板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の偏光板の製造方法、偏光子、偏光板および画像表示装置を提供する。
[1] 偏光板の製造方法であって、
厚み15μm以下の偏光子の少なくとも片側に光学フィルムを貼合して第1積層体を作製する第1積層工程と、
前記第1積層体を、温度35℃以上において相対湿度75%RH以上の気相中に保持する加湿処理工程と
を含む、偏光板の製造方法。
[2] 前記第1積層体を成形加工する成形工程を前記加湿処理工程前にさらに含む、[1]に記載の偏光板の製造方法。
[3] 前記成形工程において、前記第1積層体に異形部を形成する、[2]に記載の偏光板の製造方法。
[4] 前記第1積層体を切削加工する切削工程を前記加湿処理工程前にさらに含む、[2]または[3]に記載の偏光板の製造方法。
[5] 前記切削工程において、前記第1積層体の平面視において、光学フィルムの端部の位置と偏光子の端部の位置とが同一となるように前記第1積層体を切削加工する、[4]に記載の偏光板の製造方法。
[6] ホウ酸とヨウ素とを含有する樹脂フィルムを含み、厚みが15μm以下である偏光子であって、
前記偏光子の端部を含む領域において、該領域以外の領域におけるホウ酸の濃度より低い濃度でホウ酸を含有する領域を有し、
前記偏光子の端部を含む領域においてヨウ素抜けが生じていない、偏光子。
[7] [6]に記載の偏光子と、前記偏光子の少なくとも片側に貼合された光学フィルムとを有する、偏光板。
[8] 前記偏光板の平面視における端部において、前記偏光子の端部の位置と前記光学フィルムの端部の位置とが同一である、[7]に記載の偏光板。
[9] [8]に記載の偏光板を備えた画像表示装置。
[10] カメラホールを有する、[9]に記載の画像表示装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、低温(-40℃)条件と高温(85℃)条件とを繰り返すヒートショック試験においてクラックの発生が抑制され、かつ端部を含む領域においてヨウ素抜けが生じていない偏光板の製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、低温(-40℃)条件と高温(85℃)条件とを繰り返すヒートショック試験(以下、簡略のためにヒートショック試験ともいう)においてクラックが抑制され、端部を含む領域においてヨウ素抜けが生じていない偏光子、およびその偏光子を含む偏光板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態による偏光子を示す概略断面図である。
図2】第1積層体の一例を示す概略図である。
図3】ホウ酸低濃度部位を説明するための偏光子の概略上面図である。
図4】カメラホールを有する画像表示装置の一例を示す概略断面図である。
図5】第2積層体およびエンドミルの一例を示す概略図である。
図6】切削工程の一例を示す概略図である。
図7】本発明の一実施形態による偏光板を示す概略平面図である。
図8】本発明の一実施形態による偏光板を示す概略平面図である。
図9】本発明の一実施形態による偏光板を示す概略平面図である。
図10】本発明の一実施形態による偏光板を示す概略断面図である。
図11】実施例における測定サンプルを説明するための概略図である。
図12】実施例2の偏光板のTOF-SIMS分析結果を示す。
図13】実施例2の偏光板の端部観察結果を示す。
図14】比較例3の偏光板の端部観察結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の全ての図面においては、各構成要素を理解し易くするために縮尺を適宜調整して示しており、図面に示される各構成要素の縮尺と実際の構成要素の縮尺とは必ずしも一致しない。図面において、同等の構成要素には同等の符号を付す。各図に示すX,YおよびZは、互いに直交する3つの座標軸を意味する。各図中のXYZ座標軸其々が示す方向は各図に共通する。
【0010】
<偏光板の製造方法>
本発明の一実施態様に係る偏光板の製造方法は、厚み15μm以下の偏光子の少なくとも片側に光学フィルムを貼合して第1積層体を作製する第1積層工程と、第1積層体を、温度35℃以上において相対湿度75%RH以上の気相中に保持する加湿処理工程とを含む。
【0011】
偏光板の製造方法により得られる偏光板は、偏光子の両側に光学フィルムを有していてよい。図1に示されるように、偏光板1は、偏光子2が第1光学フィルム3と第2光学フィルム4との間に配置されている。以下、第1光学フィルムおよび第2光学フィルムを総称して光学フィルムまたは一対の光学フィルムということがある。
【0012】
(第1積層工程)
第1積層工程では、偏光子と光学フィルムとを重ねて互いに貼合することにより第1積層体を作製する。偏光子および光学フィルムは長尺な帯状であってよい。偏光子を、一対の光学フィルムの間に配置されるように重ねる場合、図2に示されるように、第1積層体10において、偏光子7は一対の第1光学フィルム5および第2光学フィルム9の間に位置する。光学フィルムは、接着剤からなる接着層を介して偏光子に貼合することができる。
【0013】
(偏光子)
偏光子は、例えば一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムにヨウ素が吸着配向され、ポリビニルアルコール分子鎖同士がホウ酸で架橋された偏光子であってよい。偏光子は、吸収軸に平行な振動面をもつ直線偏光を吸収し、吸収軸に直交する(透過軸と平行な)振動面をもつ直線偏光を透過する性質を有する吸収型の偏光子であることができる。
【0014】
偏光子は、例えばポリビニルアルコール系樹脂フィルム(以下、PVAフィルムともいう)に延伸処理、染色処理および架橋処理を施すことにより製造することができる。延伸処理、染色処理および架橋処理は公知の方法により行うことができる。ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、長尺な帯状であってもよいし、枚葉状であってもよい。
【0015】
例えば、まず、PVAフィルムを、一軸方向または二軸方向に延伸する。一軸方向に延伸された偏光子の二色比は高い傾向がある。延伸に続いて、染色液を用いて、PVAフィルムをヨウ素、二色性色素(ポリヨウ素)または有機染料によって染色する。染色液は、ホウ酸、硫酸亜鉛、または塩化亜鉛を含んでいてもよい。染色前にPVAフィルムを水洗してもよい。水洗により、PVAフィルムの表面から、汚れおよびブロッキング防止剤が除去される。また水洗によってPVAフィルムが膨潤する結果、染色の斑(不均一な染色)が抑制され易い。染色後のPVAフィルムを、架橋のために、ホウ酸を含む架橋剤の溶液(例えば、ホウ酸の水溶液)で処理する。架橋剤による処理後、PVAフィルムを水洗し、続いて乾燥する。以上の手順を経て、ホウ酸とヨウ素とを含有する樹脂フィルムを含む偏光子が得られる。ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することにより得られる。ポリ酢酸ビニル系樹脂は、例えば、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニル、または、酢酸ビニルと他の単量体との共重合体(例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体)であってよい。酢酸ビニルと共重合する他の単量体は、エチレンの他に、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、またはアンモニウム基を有するアクリルアミド類であってよい。ポリビニルアルコール系樹脂は、アルデヒド類で変性されていてもよい。変性されたポリビニルアルコール系樹脂は、例えば、部分ホルマール化ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、またはポリビニルブチラールであってよい。ポリビニルアルコール系樹脂は、ポリビニルアルコールの脱水処理物、またはポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン系配向フィルムであってよい。延伸前に染色を行ってもよく、染色液中で延伸を行ってもよい。延伸された樹脂フィルムの長さは、例えば、延伸前の長さの3~7倍であってよい。
【0016】
偏光子の厚みは、例えば15μm以下であってよく、好ましくは10μm以下であり、より好ましくは8μm以下である。偏光子の厚みは通常、1μm以上であり、例えば3μm以上であってよい。偏光子が薄いほど、温度変化に伴う偏光子自体の収縮または膨張が抑制され易くなり、偏光子自体の寸法の変化が抑制され易くなる傾向にある。その結果、応力が偏光子に作用し難くなり、偏光子における亀裂が抑制され易くなる傾向にある。
【0017】
(光学フィルム)
光学フィルムは、透光性を有する熱可塑性樹脂であってよい。光学フィルムは、光学的に透明な熱可塑性樹脂であってもよい。光学フィルムを構成する樹脂は、例えば、鎖状ポリオレフィン系樹脂、環状オレフィンポリマー系樹脂(COP系樹脂)、セルロースエステル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、またはこれらの混合物若しくは共重合体であってよい。
【0018】
偏光板が第1光学フィルムと第2光学フィルムとを有する場合、第1光学フィルムの組成は、第2光学フィルムの組成と全く同じであってよい。例えば、第1光学フィルムおよび第2光学フィルムがいずれも環状オレフィンポリマー系樹脂(COP系樹脂)を含んでよい。第1光学フィルムおよび第2光学フィルムが環状オレフィンポリマー系樹脂(COP系樹脂)を含む場合、本発明の効果が得られ易い。偏光板が第1光学フィルムと第2光学フィルムとを有する場合、第1光学フィルムの組成は、第2光学フィルムの組成と異なっていてもよい。
【0019】
第1光学フィルムおよび第2光学フィルムのガラス転移温度は、100℃以上200℃以下、または120℃以上150℃以下であることが好ましい。第1光学フィルムおよび第2光学フィルム其々のガラス転移温度が上記範囲である場合、各光学フィルムの端部の研磨によって発生する熱により、第1光学フィルムおよび第2光学フィルムが互いに融着し易い。
【0020】
鎖状ポリオレフィン系樹脂は、例えば、ポリエチレン樹脂またはポリプロピレン樹脂のような鎖状オレフィンの単独重合体であってよい。鎖状ポリオレフィン系樹脂は、二種以上の鎖状オレフィンからなる共重合体であってもよい。
【0021】
環状オレフィンポリマー系樹脂(環状ポリオレフィン系樹脂)は、例えば、環状オレフィンの開環(共)重合体、または環状オレフィンの付加重合体であってよい。環状オレフィンポリマー系樹脂は、例えば、環状オレフィンと鎖状オレフィンとの共重合体(例えば、ランダム共重合体)であってよい。共重合体を構成する鎖状オレフィンは、例えば、エチレンまたはプロピレンであってよい。環状オレフィンポリマー系樹脂は、上記の重合体を不飽和カルボン酸若しくはその誘導体で変性したグラフト重合体、またはそれらの水素化物であってもよい。環状オレフィンポリマー系樹脂は、例えば、ノルボルネンまたは多環ノルボルネン系モノマー等のノルボルネン系モノマーを用いたノルボルネン系樹脂であってよい。
【0022】
セルロースエステル系樹脂は、例えば、セルローストリアセテート(トリアセチルセルロース(TAC))、セルロースジアセテート、セルローストリプロピオネートまたはセルロースジプロピオネートであってよい。これらの共重合物を用いてもよい。水酸基の一部が他の置換基で修飾されたセルロースエステル系樹脂を用いてもよい。
【0023】
セルロースエステル系樹脂以外のポリエステル系樹脂を用いてもよい。ポリエステル系樹脂は、例えば、多価カルボン酸またはその誘導体と多価アルコールとの重縮合体であってよい。多価カルボン酸またはその誘導体は、ジカルボン酸またはその誘導体であってよい。多価カルボン酸またはその誘導体は、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ジメチルテレフタレート、またはナフタレンジカルボン酸ジメチルであってよい。多価アルコールは、例えば、ジオールであってよい。多価アルコールは、例えば、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、またはシクロヘキサンジメタノールであってよい。
【0024】
ポリエステル系樹脂は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンナフタレート、ポリシクロへキサンジメチルテレフタレート、またはポリシクロヘキサンジメチルナフタレートであってよい。
【0025】
ポリカーボネート系樹脂は、カルボナート基を介して重合単位(モノマー)が結合された重合体である。ポリカーボネート系樹脂は、修飾されたポリマー骨格を有する変性ポリカーボネートであってよく、共重合ポリカーボネートであってもよい。
【0026】
(メタ)アクリル系樹脂は、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸エステル(例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA));メタクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸共重合体;メタクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸エステル共重合体;メタクリル酸メチル-アクリル酸エステル-(メタ)アクリル酸共重合体;(メタ)アクリル酸メチル-スチレン共重合体(例えば、MS樹脂);メタクリル酸メチルと脂環族炭化水素基を有する化合物との共重合体(例えば、メタクリル酸メチル-メタクリル酸シクロヘキシル共重合体、メタクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸ノルボルニル共重合体等)であってよい。
【0027】
第1光学フィルムまたは第2光学フィルム其々は、滑剤、可塑剤、分散剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、および酸化防止剤からな群より選ばれる少なくとも一種の添加剤を含んでよい。
【0028】
第1光学フィルムの厚みは、例えば、5μm以上90μm以下、または10μm以上60μm以下であってよい。第2光学フィルムの厚みも、例えば、5μm以上90μm以下、または10μm以上60μm以下であってよい。
【0029】
第1光学フィルムおよび第2光学フィルムのうち少なくとも一方は、光学機能を有するフィルムであってよい。光学機能を有するフィルムとは、例えば、位相差フィルムまたは輝度向上フィルムであってよい。例えば、上記熱可塑性樹脂からなるフィルムを延伸したり、該フィルム上に液晶層等を形成したりすることにより、任意の位相差値が付与された位相差フィルムが得られる。
【0030】
第1光学フィルムは、接着層を介して、偏光子に重ねられてよい。第2光学フィルムも、接着層を介して、偏光子の第1光学フィルムとは反対側に重ねられてよい。接着層は、ポリビニルアルコール等の水系接着剤を含んでよい。接着層は、後述する活性エネルギー線硬化性樹脂を含んでもよい。
【0031】
活性エネルギー線硬化性樹脂は、活性エネルギー線を照射されることにより、硬化する樹脂である。活性エネルギー線は、例えば、紫外線、可視光、電子線、またはX線であってよい。例えば、活性エネルギー線硬化性樹脂は、紫外線硬化性樹脂であってよい。
【0032】
活性エネルギー線硬化性樹脂は、一種の樹脂であってよく、複数種の樹脂を含んでもよい。例えば、活性エネルギー線硬化性樹脂は、カチオン重合性の硬化性化合物、またはラジカル重合性の硬化性化合物を含んでよい。活性エネルギー線硬化性樹脂は、上記硬化性化合物の硬化反応を開始させるためのカチオン重合開始剤またはラジカル重合開始剤を含んでよい。
【0033】
カチオン重合性の硬化性化合物は、例えば、エポキシ系化合物(分子内に少なくとも一つのエポキシ基を有する化合物)、またはオキセタン系化合物(分子内に少なくとも一つのオキセタン環を有する化合物)であってよい。ラジカル重合性の硬化性化合物は、例えば、(メタ)アクリル系化合物(分子内に少なくとも一つの(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物)であってよい。ラジカル重合性の硬化性化合物は、ラジカル重合性の二重結合を有するビニル系化合物であってもよい。
【0034】
活性エネルギー線硬化性樹脂は、必要に応じて、カチオン重合促進剤、イオントラップ剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、粘着付与剤、熱可塑性樹脂、充填剤、流動調整剤、可塑剤、消泡剤、帯電防止剤、レベリング剤、または溶剤等を含んでよい。
【0035】
(加湿処理工程)
第1積層体を温度35℃以上において相対湿度75%RH以上の気相中に保持することにより加湿処理を行う。加湿処理によれば、第1積層体の端部を含む領域において、この領域以外の領域におけるホウ酸の濃度より低い濃度でホウ酸を含有する領域(以下、ホウ酸低含有領域ともいう)が形成されるにもかかわらずヨウ素抜けが生じず、ホウ酸低含有領域においても直線偏光能が発揮されるようになる。本発明の製造方法により製造された偏光板は、ヒートショック試験においてもクラックが生じず、端部を含む領域においても直線偏光能を発揮することができる。
【0036】
特許文献1に記載のように、ヒートショック試験においてクラックの発生を抑制するためには、偏光子の端部に含まれるホウ酸の濃度を低くすることが有効であることが知られている。しかしながら、特許文献1に記載の製造方法では、偏光子の端部および端部から50μm以上までの間の全領域にわたってホウ酸が除去され、その結果、偏光子の端部および端部から300μmを超える幅の全領域にわたってヨウ素抜けが起こり、端部において直線偏光能を発揮することができなくなることが分かった。しかしながら、本発明の製造方法によれば、温度35℃以上において相対湿度75%RH以上の気相中において保持する加湿処理を行うことによって取り除かれるのは偏光子の端部に含まれる余分なホウ酸だけであり、ヨウ素抜けが生じにくい傾向にあるため、得られる偏光板は、ヒートショック試験においてクラックの発生が抑制されるとともに端部においても直線偏光能を発揮することができる。
【0037】
ホウ酸の濃度は、偏光板の厚み方向も含めた単位面積当たりのホウ酸の濃度のことであり、例えば後述する実施例の欄において説明する飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF-SIMS)により測定される。本明細書において、ホウ酸には、例えばホウ酸分子(HBO)およびホウ酸イオン(BO 3-)が含まれる。
ヨウ素抜けが生じている領域(以下、略してヨウ素抜け領域ともいう)は、偏光顕微鏡を用いてクロスニコル状態で光が透過する領域として目視で観察される領域である。ヨウ素には、例えばヨウ素分子(I)、ポリヨウ素錯体(I 、I )、ヨウ素イオン(I)が含まれる。
本明細書において、平面視とは、偏光板の厚み方向から見ることを意味する。
【0038】
気相の温度は35℃以上である。気相の温度が35℃以上であることにより、偏光板の端部に含まれる余分なホウ酸が除去され易くなる傾向にある。気相の温度は、ホウ酸が除去され易くなる観点から好ましくは40℃以上である。気相の温度は、例えば90℃以下であってよく、好ましくは85℃以下である。気相の温度が90℃以下である場合、ヨウ素抜けが生じにくくなる傾向にある。気相の温度は、偏光子の端部において余分なホウ酸が除去され、かつヨウ素抜けが生じないように上記範囲内で調節することができる。
【0039】
気相の相対湿度は75%RH以上である。相対湿度が75%RH以上であることにより、偏光板の端部に含まれる余分なホウ酸が除去され易くなる傾向にある。気相の相対湿度は、ホウ酸が除去され易くなる観点から好ましくは80%RH以上である。気相の相対湿度は、例えば90%RH以下であってよく、好ましくは85%RH以下である。気相の相対湿度が90%RH以下である場合、ヨウ素抜けが生じにくくなる傾向にある。気相の相対湿度は、偏光子の端部において余分なホウ酸が除去され、かつヨウ素抜けが生じないように上記範囲内で調節することができる。
【0040】
加湿処理を行う時間は、例えば0.5時間以上4時間以下であってよく、ホウ酸の除去し易さおよびヨウ素抜け防止の観点から好ましくは1時間以上3時間以下であり、より好ましくは1.5時間以上2.5時間以下である。また、加湿処理は通常、上記の時間、連続して行われる。
【0041】
加湿処理は、例えば恒温恒湿炉を用いて行うことができる。
【0042】
第1積層体が後述の異形部を有する場合、クラックが抑制され、かつヨウ素抜けが目立ちにくくなる観点から好ましくは、加湿処理は、異形部に含まれる端部領域が加湿処理されるように行う。
【0043】
加湿処理は、クラックが抑制され、偏光板の外観においてヨウ素抜けが目立ちにくくなる観点から好ましくはホウ酸低含有領域におけるホウ酸の濃度が偏光板の端部から内側方向において端部から離れるほど高くなる濃度が得られるように行うことができる。そのような濃度は、加湿処理の条件において、気相の温度を低くする場合や相対湿度を低くする場合、加湿処理を行う時間を短くする場合に得られ易い傾向にある。
【0044】
ホウ酸低含有領域は、例えば偏光板の平面視における端部から内側方向において15μmを超える領域に形成されてよく、クラック抑制の観点から好ましくは15μm超200μm未満の領域に形成され、より好ましくは20μm以上150μm以下の領域に形成され、さらに好ましくは20μm以上100μm未満の領域に形成され、特に好ましくは20μm以上50μm未満の領域に形成される。
【0045】
ホウ酸低含有領域は、偏光板の平面視における端部から15μm以下の領域においても形成されていてよい。
ホウ酸低含有領域は、偏光板の平面視における端部から15μm以下の全領域と、偏光板の平面視における端部から内側方向において15μm超200μm未満の全領域とに連続的に形成されていてよい。言い換えれば、ホウ酸低含有領域は、偏光板の平面視における端部および端部から200μm未満の間の全領域にわたって形成されてよい。ホウ酸低含有領域が、偏光板の平面視における端部および端部から200μm未満の間の全領域にわたって形成される場合、ホウ酸低含有領域とそれ以外の領域との境界が端部および端部から200μm未満の間の領域に存在することができる。
ホウ酸低含有領域は、好ましくは偏光板の平面視における端部および端部から100μm以下の間の全領域にわたって形成され、より好ましくは偏光板の平面視における端部および端部から50μm以下の間の全領域にわたって形成され、さらに好ましくは偏光板の平面視における端部および端部から20μm以下の間の全領域にわたって形成される。
【0046】
偏光板の端部はホウ酸を含有していなくてもよい。
ホウ酸低含有領域が形成された領域とそれ以外の領域との境界は、例えば後述の実施例の欄において説明する飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF-SIMS)において得られる端部からの距離に対するホウ酸濃度プロファイルから求めることができる。例えば、ホウ酸濃度プロファイルにおいてホウ酸イオン強度が一定である領域が読み取れる場合には、その領域のホウ酸イオン強度の平均値を求め、端部から、ホウ酸イオン強度が上記平均値となる位置までをホウ酸低濃度部位とすることができる。上記ホウ酸イオン強度が一定である領域がホウ酸濃度プロファイルにおいて読み取りにくい場合には、ホウ酸濃度プロファイルにおいて、ホウ酸イオン強度が最大となる点から内側に30μmの範囲におけるホウ酸イオン強度の平均値を求め、端部から、ホウ酸イオン強度が上記平均値となる位置までをホウ酸低濃度部位とすることができる。
【0047】
ホウ酸低含有領域は、偏光板の平面視において1つの連続した領域であってもよいし、複数に分かれた領域であってもよい。
【0048】
ホウ酸低含有領域は、クラック抑制の観点から好ましくは偏光板の外縁部に沿って形成される。ホウ酸低含有領域は、偏光板の外縁部全体に沿って形成されてよく、偏光板の外縁部の一部に沿って形成されてもよい。
【0049】
このような加湿処理を行うことにより、偏光子の平面視における端部において、この領域以外の領域におけるホウ酸の濃度よりも低濃度でホウ酸を含有する領域を有する偏光子が得られる。この偏光子は、具体的には、端部から500μm以上内側の内側領域におけるホウ酸の濃度より低いホウ酸の濃度であるホウ酸低濃度部位が形成された偏光子である。内側領域において、ホウ酸の濃度はほぼ一様であることができる。図3に示す偏光子2は、平面視における端部を含む領域においてホウ酸低濃度部位30を有し、端部から500μm以上内側に内側領域32を有することができる。内側領域32は、液晶表示装置に組み込まれたときに画像を表示するための領域を含むことができる。ホウ酸低濃度部位30と内部領域32との間の中間領域31におけるホウ酸濃度は、通常、内側領域32とほぼ同じホウ酸濃度である。また、この加湿処理を施すことにより、偏光子の平面視における端部においてはヨウ素抜けが生じていない偏光子が得られる。この偏光子は、具体的には、上記内側領域におけるヨウ素の濃度よりも低いヨウ素の濃度であるヨウ素低濃度部位が形成されていない偏光子である。
【0050】
(成形工程)
偏光板の製造方法は、加湿処理工程前に、第1積層体を成形加工する成形工程をさらに含むことができる。成形工程において、第1積層体を、切断および/または打ち抜き加工により所定の形状に成形加工することができる。切断および/または打ち抜き加工は、刃物を用いたり、レーザー光を照射したりすることにより行うことができる。レーザー光は、COレーザーであってよい。
【0051】
第1積層体は、成形工程により、第1積層体の寸法が、加工し易い寸法へ調整されてよい。また、打ち抜き加工、または切断加工によって、第1積層体の外縁部に異形部を形成してもよい。異形部は、例えば第1積層体の平面視において、外縁部に形成された凹状部や内側方向に凸の略V字形状部、および面内に形成された貫通孔であってよい。第1積層体は、外縁部および/または面内に2以上の異形部を有していてよい。面内に形成された貫通孔は、上述のカメラホール等であってよい。
【0052】
異形部を有する偏光板は、ヒートショック試験において、異形部に応力が集中し易く、クラックが発生し易い傾向にある。本発明の偏光板は異形部を有するにもかかわらず、ホウ酸低含有領域が異形部の端部領域に形成されることにより、ヒートショック試験においてクラックの発生が抑制され易くなる傾向にある。
【0053】
本発明の製造方法により製造された偏光板は、例えばカメラホールを有する画像表示装置に好適である。図4に示すような、カメラホール22、カバーガラス24、粘着剤層25、偏光板21、液晶パネル23、偏光板26、カメラ27、および遮光テープ28を有する画像表示装置20において、図中、丸で囲まれたカメラホールを形成する部分は直接視認され易くなる。そのような部分にヨウ素抜けが生じていると、ヨウ素抜けが目立ち易くなり、その結果、デザイン性の低下を招く場合がある。しかしながら、本発明の偏光板は、端部を含む領域においてヨウ素抜けが生じていないため、画像表示装置において視認側に配置される場合でも、ヨウ素抜けが目立ちにくく、デザイン性の低下が生じにくい。
【0054】
異形部が凹状部である場合、クラック抑制の観点から好ましくは、凹状部の深さ方向と吸収軸(延伸軸方向)とは直交するように形成される。また、凹状部はその深さ方向が吸収軸(延伸軸方向)と通常30°以上60°以下の角度で交わるように形成されてもよい。
【0055】
(切削工程)
偏光板の製造方法は、加湿処理工程前に、エンドミルを第1積層体または後述の第2積層体の外周に接触させて、エンドミルを積層体の外周に沿って移動させる切削工程をさらに含むことができる。図2に示されるように、切削工程前の第1積層体10の外周全域において、偏光子7および第1光学フィルム5および第2光学フィルム9の端部の位置は揃っていてよい。
【0056】
図5および図6に示されるように、切削工程に用いられるエンドミル50は、その回転軸線50aに略平行な側面において突出する刃(エッジ)50eを有している。切削工程では、エンドミル50の側面を第1積層体10の外周(端面)に接触させて、回転するエンドミル50を第1積層体10の外周に沿って移動させる。例えば、回転するエンドミル50を図6中の矢印で示される経路に沿って移動させてよい。その結果、第1積層体10の外周(端面)が刃50eによって切削または研磨され、第1積層体10の外周(端面)が平滑になり、凹状部13が形成され、凹状部13の内側の隅が面取りされる。図5に示されるように、複数の第1積層体10を重ねて、第2積層体100を形成した後、エンドミル50の側面を第2積層体100の外周(端面)に接触させて、回転するエンドミル50を第2積層体100の外周に沿って移動させてもよい。つまり切削工程では、第2積層体100を構成する複数の第1積層体10の外周をエンドミル50で一括して切削または研磨してよい。切削工程では、凹状部13の両端に位置する角部、および第1積層体10の四隅に位置する角部其々が面取りされていてよい。
【0057】
切削工程におけるエンドミルの切削量は、例えば、10μm以上500μm以下、好ましくは50rpm以上150μm以下であってよい。
【0058】
切削工程は三回以上繰り返されてもよい。例えば、三回目の切削工程では、第1積層体10を殆ど切削することなく、二回目の切削工程において生じた切り屑を第1積層体10の端面から除去してよい。各切削工程では、複数のエンドミルを用いてよい。
【0059】
切削工程におけるエンドミルの送り速度は、100mm/分以上3000mm/分未満であってよい。切削工程におけるエンドミルの回転速度は、例えば、500rpm以上60000rpm以下、好ましくは10000rpm以上60000rpm以下であってよい。切削工程における切削角度は、例えば、30°以上70°以下、好ましくは45°以上65°以下であってよい。エンドミル50のねじれ角がαである場合、切削角度βは90°-αと定義される。図6に示されるように、エンドミル50のねじれ角αは、エンドミル50の側面において刃50eが延びる方向d1とエンドミル50の回転軸線50aがなす角度である。切削角度βは、刃50eが延びる方向d1と回転軸線50aに垂直な方向d2がなす角度と言い換えられてもよい。切削工程に用いるエンドミル50の直径φ(太さ)は、例えば、3.0mm以上6.0mm以下であってよい。
【0060】
第1積層体または第2積層体の状態で切削加工することにより、第1積層体または第2積層体の平面視において、光学フィルムの端部の位置と偏光子の端部の位置とが同一となるように第1積層体または第2積層体を切削加工することができる。そのため、得られる偏光板は、切削加工により形成された端部において、偏光板の端部まで直線偏光能を有することができる。
【0061】
<偏光子>
本発明の別の実施態様に係る偏光子は、ホウ酸とヨウ素とを含有する樹脂フィルムを含み、厚みが15μm以下である偏光子である。偏光子は、例えば一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムにヨウ素が吸着配向され、ポリビニルアルコール分子鎖同士がホウ酸で架橋された偏光子であってよい。偏光子は、吸収軸に平行な振動面をもつ直線偏光を吸収し、吸収軸に直交する(透過軸と平行な)振動面をもつ直線偏光を透過する性質を有する吸収型の偏光子であることができる。
【0062】
偏光子は、偏光子の端部を含む領域において、その領域以外の領域におけるホウ酸の濃度より低い濃度でホウ酸を含有する領域(以下、偏光子のホウ酸低含有領域ともいう)を有し、偏光子の端部を含む領域においてヨウ素抜けが生じていない偏光子である。そのため、本発明の偏光子は、ヒートショック試験においてクラックの発生が抑制されるとともに端部においても直線偏光能を発揮することができる。
【0063】
偏光子は、クラックが抑制され、偏光子の外観においてヨウ素抜けが目立ちにくくなる観点から好ましくは偏光子のホウ酸低含有領域におけるホウ酸の濃度が偏光板の端部から内側方向において端部から離れるほど高くなっている。
【0064】
偏光子のホウ酸低含有領域は、例えば偏光子の平面視における端部から内側方向において15μmを超える領域に形成されていてよく、クラック抑制の観点から好ましくは15μm超200μm未満の領域に形成されていてよく、より好ましくは20μm以上150μm以下の領域に形成されていてよく、さらに好ましくは20μm以上100μm未満の領域に形成されていてよく、特に好ましくは20μm以上50μm未満の領域に形成されていてよい。
【0065】
偏光子のホウ酸低含有領域は、偏光子の平面視における端部から15μm以下の領域においても形成されていてよい。
偏光子のホウ酸低含有領域は、偏光子の平面視における端部から15μm以下の全領域と、偏光子の平面視における端部から内側方向において15μm超200μm未満の全領域とに連続的に形成されていてよい。言い換えれば、偏光子のホウ酸低含有領域は、偏光子の平面視における端部および端部から200μm未満の間の全領域にわたって形成されてよい。偏光子のホウ酸低含有領域が、偏光子の平面視における端部および端部から200μm未満の間の全領域にわたって形成される場合、偏光子のホウ酸低含有領域とそれ以外の領域との境界が端部および端部から200μm未満の間の領域に存在することができる。
偏光子のホウ酸低含有領域は、好ましくは偏光子の平面視における端部および端部から100μm以下の間の全領域にわたって形成され、より好ましくは偏光子の平面視における端部および端部から50μm以下の間の全領域にわたって形成され、さらに好ましくは偏光子の平面視における端部および端部から20μm以下の間の全領域にわたって形成される。
【0066】
偏光子の端部はホウ酸を含有していなくてもよい。
ホウ酸低含有部位が形成された領域とそれ以外の領域との境界は、上述の偏光板の製造方法において述べた方法により決定することができる。
【0067】
偏光子のホウ酸低含有領域は、偏光子の平面視において1つの連続した領域であってもよいし、複数に分かれた領域であってもよい。
【0068】
偏光子のホウ酸低含有領域は、クラック抑制の観点から好ましくは偏光子の外縁部に沿って形成される。ホウ酸低含有領域は、偏光子の外縁部全体に沿って形成されてよく、偏光子の外縁部の一部に沿って形成されてもよい。
【0069】
偏光子のホウ酸低含有領域は、具体的には、端部から500μm以上内側の内側領域におけるホウ酸の濃度より低いホウ酸の濃度であることができる。内側領域において、ホウ酸の濃度はほぼ一様であることができる。偏光子は、図3に示すように、平面視における端部を含む領域においてホウ酸低濃度部位30を有し、端部から500μm以上内側に内側領域32を有することができる。内側領域32は、液晶表示装置に組み込まれたときに画像を表示するための領域を含むことができる。ホウ酸低濃度部位30と内部領域32との間の中間領域31におけるホウ酸濃度は、通常、内側領域32とほぼ同じホウ酸濃度である。また、ヨウ素抜けが生じていない偏光子は、具体的には、上記内側領域におけるヨウ素の濃度よりも低いヨウ素の濃度であるヨウ素低濃度部位が形成されていない偏光子である。ヨウ素低濃度部位の有無は後述の実施例の欄において測定する方法によって確認することができる。
【0070】
偏光子の厚みの例示および好ましい範囲は、上述の偏光板の製造方法についての説明における例示および好ましい範囲が適用される。
【0071】
偏光子は、外縁部に異形部を形成してもよい。異形部は、例えば偏光子の平面視において、外縁部に形成された凹状部や内側方向に凸の略V字形状部、および面内に形成された貫通孔であってよい。偏光子は、外縁部および/または面内に2以上の異形部を有していてよい。面内に形成された貫通孔は、上述のカメラホール等であってよい。偏光子は、端部を含む領域においてヨウ素抜けが生じていないため、画像表示装置において視認側に配置される偏光板に用いられる場合でも、ヨウ素抜けが目立ちにくく、デザイン性の低下が生じにくい。
【0072】
偏光子は、例えばホウ酸とヨウ素とを含有する一軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに加湿処理を施すことにより製造することができる。加湿処理の条件の例示および好ましい範囲は、上述の偏光板の製造方法において説明した加湿処理の条件の例示および好ましい範囲を適用することができる。
【0073】
<偏光板>
本発明のさらに別の実施態様にかかる偏光板は、上述の偏光子と、偏光子の少なくとも片側に貼合された光学フィルムとを有する。光学フィルムの例示および好ましい範囲は、上述の偏光板の製造方法において説明した例示および好ましい範囲が適用される。
【0074】
図1に示されるように、本実施形態に係る偏光板1は、少なくとも一対の光学フィルム(3,4)と、一対の光学フィルム(3,4)の間に位置するフィルム状の偏光子2を備える。以下では、説明の便宜上、偏光子2と一対の光学フィルム(3,4)から構成される偏光板1が主に説明される。ただし後述の通り、偏光板が備える光学フィルムの数は二枚に限定されない。
【0075】
光学フィルムは、偏光板1を構成するフィルム状の部材(偏光子2自体を除く。)を意味する。例えば、光学フィルムは、保護フィルムおよび離型フィルムを含意する。個々の光学フィルムは単独で特定の光学的機能を有していなくてもよい。「フィルム」(光学フィルム)は、「層」(光学層)と言い換えられてよい。一対の光学フィルム(3,4)其々は樹脂を含む。ただし、光学フィルム(3,4)其々の組成は限定されない。一対の光学フィルム(3,4)其々は樹脂を含む。ただし、光学フィルム(3,4)其々の組成は限定されない。
【0076】
偏光子2は、光学フィルム(3,4)其々と直接的または間接的に重なっている。例えば、偏光子2と光学フィルム(3,4)との間に別の光学フィルムがあってよい。偏光子2が接着層を介して光学フィルム(3,4)其々と重なっていてもよい。
【0077】
図7は、本実施形態に係る偏光板1の表面(受光面)を示す。図7に示される偏光板1の断面は、偏光板1の表面(受光面)に垂直であり、且つ凹部13の内側に位置する偏光板1の外周1pと直交する。
【0078】
図7に示されるように、凹部13が、偏光板1の外周1pに形成されている。つまり、偏光板1の外周1pには凹部13がある。凹部13は、窪み、切欠き(cutоut)またはノッチ(nоtch)と言い換えられてよい。凹部13は、偏光板1の表面(受光面)に垂直な方向(Z軸方向)において偏光板1を貫通していてよい。偏光板1の外周1pとは、偏光板1の受光面に垂直な方向から見られる偏光板1(受光面)の外縁または輪郭と言い換えられてよい。
【0079】
凹部13の内側の隅13cが曲面であってよい。つまり、凹部13の内側の隅13cに位置する偏光板1の端面が曲面であってよい。つまり、凹部の内側の隅13cが面取り(chamfer)されていてよい。凹部13の内側の隅13cが曲面であることにより、凹部13の内側の隅13cにおける亀裂が抑制され易い。図7に示されるように、凹部13の両端に位置する角部、および偏光板1の四隅に位置する角部其々も面取りされていてよい。
【0080】
凹部13の幅(X軸方向における凹部13の幅)は、特に限定されないが、例えば、3mm以上160mm以下であってよい。凹部13の深さ(Y軸方向における凹部13の幅)は、特に限定されないが、例えば、0.5mm以上160mm以下であってよい。凹部13が形成されている偏光板1の辺(短辺)の長さは、特に限定されないが、例えば、30mm以上90mm以下であってよい。凹部13が形成されていない偏光板1の辺(長辺)の長さは、特に限定されないが、例えば、30mm以上170mm以下であってよい。偏光板1全体の厚みは、特に限定されないが、例えば、30μm以上300μm以下であってよい。
【0081】
図7に示される凹部13は四角形状(長方形状)である。ただし、凹部13の形状は限定されない。例えば、凹部13は正方形状であってもよい。凹部13は、四角形および三角形以外の他の多角形であってもよい。例えば図8中の(a)に示すように、凹部13の形状は、半円であってもよい。図8中の(b)に示すように、凹部13の形状は、三角形であってもよい。凹部13全体が曲線状であってもよい。凹部13が直線と曲線とから構成されていてもよい。図7図8中の(a)および図8中の(b)に示される偏光板1の形状はいずれも対称性を有しているが、偏光板1の形状は非対称的であってもよい。複数の凹部13が偏光板1の外周1pに形成されていてもよい。複数の凹部13が、偏光板1の外周1pを構成する一つの辺に形成されてもよい。四角形状の偏光板1の四つの角部のうち少なくとも一つの角部が切り欠かれることにより、凹部13が形成されてよい。
【0082】
凹部13を除く偏光板1の全体的な形状は、ほぼ四角形(長方形)である。ただし、偏光板1の形状は限定されない。たとえば、偏光板1の形状は正方形であってもよい。偏光板1の形状は、四角形以外の多角形、円形、または楕円形であってもよい。偏光子2および光学フィルム(3,4)其々の全体的な形状は、偏光板1の形状と略同じであってよい。図6に示される長方形状の偏光板1の場合、凹部13は偏光板1の短辺に形成されているが、凹部13は偏光板1の長辺に形成されていてもよい。
【0083】
図9に示すように、偏光子1は、平面視において面内において貫通孔を有していてもよい。貫通孔の直径は、例えば0.5mm以上30mm以下であってよく、好ましくは1mm以上10mm以下である。
【0084】
(偏光板の他の実施形態)
例えば、偏光板は、第1光学フィルムおよび第2光学フィルムからなる一対の光学フィルムに加えて、樹脂を含む別の光学フィルムを更に備えてよい。つまり、偏光板は、3枚以上の光学フィルムを備えていてよい。例えば、図10に示されるように、偏光板が、第1光学フィルム3および第2光学フィルム4と、第1光学フィルム3および第2光学フィルム4の間に位置する偏光子2と、第1光学フィルム3に重なる第3光学フィルム15を備えてよい。第3光学フィルム15は、上述の接着層を介して第1光学フィルム3に重ねられてよい。第3光学フィルム15に含まれる樹脂は、第1光学フィルム3および第2光学フィルム4其々に含まれる樹脂として列挙された上記の樹脂のうち少なくともいずれかであってよい。第3光学フィルム15の組成は、第1光学フィルム3の組成と同じであってよい。第3光学フィルム15の組成は、第1光学フィルム3の組成と異なってもよい。第3光学フィルム15の組成は、第2光学フィルム4の組成と同じであってよい。第3光学フィルム15の組成は、第2光学フィルム4の組成と異なってもよい。第3光学フィルム15の厚みは、例えば、5μm以上200μm以下であってよい。第3光学フィルム15は、画像表示装置の製造過程において、偏光板から剥離され、除去されてよい。つまり、第3光学フィルム15は、仮の光学フィルムであってよい。
【0085】
偏光板は、一対の光学フィルムのうち一方に重なる粘着層と、粘着層に重なる離型フィルムを更に備えてよい。例えば、図10に示される偏光板は、第2光学フィルム4に重なる粘着層と、粘着層に重なる離型フィルムを更に備えてよい。粘着層は、例えば、アクリル系感圧型接着剤、ゴム系感圧型接着剤、シリコーン系感圧型接着剤、またはウレタン系感圧型接着剤などの感圧型接着剤を含んでよい。粘着層の厚みは、例えば、2μm以上100μm以下であってよい。離型フィルムに含まれる樹脂は、第1光学フィルム3および第2光学フィルム4其々に含まれる樹脂として列挙された上記の樹脂のうち少なくともいずれかであってよい。離型フィルムの組成は、第1光学フィルム3の組成と同じであってよい。離型フィルムの組成は、第1光学フィルム3の組成と異なってもよい。離型フィルムの組成は、第2光学フィルム4の組成と同じであってよい。離型フィルムの組成は、第2光学フィルム4の組成と異なってもよい。離型フィルムの厚みは、例えば、10μm以上100μm以下であってよい。離型フィルムは、画像表示装置の製造過程において、偏光板から剥離され、除去されてよい。離型フィルムが、粘着層を介して、偏光板の両面に配置されていてもよい。
【0086】
偏光板は、光学フィルムまたは層として、反射型偏光フィルム、防眩機能付フィルム、表面反射防止機能付フィルム、反射フィルム、半透過反射フィルム、視野角補償フィルム、ウインドウフィルム、帯電防止層、ハードコート層、光学補償層、タッチセンサー層、および防汚層からなる群より選ばれる少なくとも一種を更に備えてよい。
【0087】
<画像表示装置>
偏光板は画像表示装置に用いることができる。画像表示装置としては、例えば液晶表示装置、有機EL表示装置等が挙げられる。偏光板は、画像表示装置の視認側に配置される偏光板に用いられてもよいし、画像表示装置のバックライト側に配置される偏光板に用いられてもよいし、視認側およびバックライト側の双方の偏光板に用いられてもよい。偏光板は、色抜け箇所が目立ちにくいことから、画像表示装置の視認側に用いられた場合であっても、デザイン性が損なわれにくい。そのため、画像表示装置は、カメラホールを有する画像表示装置、例えばスマートフォンや携帯電話等のモバイル機器、およびパーソナルコンピュータ等に用いられる画像表示装置として好適である。
【実施例0088】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。例中の「%」および「部」は、特記のない限り、質量%および質量部である。
【0089】
[ヒートショック試験]
実施例および比較例で得られた偏光板を、粘着剤層を用いてコーニングガラスに貼合した。このガラス貼合サンプルを冷熱衝撃試験機に入れ、「-40℃の槽で30分間保持した後、瞬時に85℃の槽に移して30分間保持する」操作を1サイクルとし、これを100サイクル繰り返すヒートショック試験を実施した。光学顕微鏡を用いて、クラックの有無を確認した。
【0090】
[ホウ酸濃度の測定]
飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF-SIMS)によりホウ酸イオン(BO 3-)の濃度の分布を求めた。図11に示すように、偏光板110の光学フィルム5(厚み52μm)側に貼合したプロテクトフィルムを剥離し、光学フィルム9(厚み21μm)側の粘着剤層の上に貼合したセパレートフィルムを剥離し、凹状部のコーナーを含む端部領域1箇所を100μm幅で偏光板の内側に向けて1mm(1000μm)長さに切出し、測定サンプル200とした。測定サンプル200は、光学フィルム201(厚み52μm)、接着層202(厚み1μm)、偏光子203(厚み8μm)、接着層204(厚み1μm)、光学フィルム205(厚み21μm)、粘着剤層206(厚み20μm)をこの順に有した。イオンビームは、測定サンプル200の長さ方向(1000μm)側面における測定領域207を走査しながら照射して、この側面におけるホウ酸イオンのシグナル強度の2次元分布を得、得られた2次元分布から偏光子側面に相当する部分を切出し、測定サンプル200の長さ方向に対してシグナル強度の積算値をプロットして、長さ方向に対するホウ酸濃度のプロファイルを得た。飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF-SIMS)の条件を下記に示す。
なおホウ酸濃度の測定は偏光板状態で行ったが、得られたホウ酸濃度は偏光子のホウ酸濃度と見なすことができる。
装置名:製品名:PHI TRIFT V nano TOF(アルバック・ファイ株式会社)
照射した一次イオン:Au
一次イオン加速電圧:30kV
イオンビームの空間分解能:1μm×1μm
測定領域の面積:200μm×200μm
得られたホウ酸濃度プロファイルから、端部からの距離が30μm以上60μm以下の範囲におけるホウ酸イオン強度の平均値を求め、端部から、ホウ酸イオン強度が上記平均値となる位置までをホウ酸低濃度部位とし、偏光板端部からのホウ酸低濃度部位が形成されている領域の長さ(ホウ酸低濃度部位の長さ)を測定した。
【0091】
[ヨウ素抜け]
偏光板の塩基処理を行った部分について光学顕微鏡透過光により観察を行い、光学顕微鏡像をパーソナルコンピューターに取り込み、以下のように、偏光板端部からのヨウ素低濃度部位が形成されている領域の長さ(ヨウ素低濃度部位の長さ)を測定した。
パーソナルコンピューター上に取込んだ光学顕微鏡画像において、目視ではヨウ素低濃度部位は明るく見え、内側領域は暗く見える。光学顕微鏡画像に画像処理を施して、ヨウ素低濃度部の明るさが180~220となり、内側領域の明るさが100~140となるように、256階調の白黒画像(明るさ255が白で0が黒)に変換し、明るさが180以上となる領域(白)をヨウ素低濃度部位としてヨウ素低濃度部位が存在するか確認した。
【0092】
[厚み8μmの偏光子]
厚み20μmのポリビニルアルコールフィルム(平均重合度約2,400、ケン化度99.9モル%以上)を、乾式延伸により約4.9倍に一軸延伸し、さらに緊張状態を保ったまま、60℃の純水に1分間浸漬した後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の重量比が0.05/5/100の水溶液に28℃で60秒間浸漬した。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の重量比が8.5/8.5/100の水溶液に72℃で300秒間浸漬した。引き続き26℃の純水で20秒間洗浄した後、65℃で乾燥し、ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素が吸着配向している厚み8μmの偏光子を得た。
【0093】
[厚み12μmの偏光子]
厚み30μmのポリビニルアルコールフィルムを用いて、乾式延伸により約5.0倍に一軸延伸し、厚み12μmの偏光子を得たこと以外は、厚み8μmの偏光子と同様にして厚み12μmの偏光子を得た。
【0094】
[厚さ28μmの偏光子]
厚み75μmのポリビニルアルコールフィルムを用いて、乾式延伸により約4倍に一軸延伸し、厚み28μmの偏光子を得た以外は、厚み8μmの偏光子と同様にして厚み28μmの偏光子を得た。
【0095】
[光学フィルム]
COP:厚み23μmのシクロオレフィン系樹脂フィルム(日本ゼオン株式会社製)。
TAC:厚み20μmのトリアセチルセルロースフィルム(コニカミノルタ株式会社製)。
【0096】
[水系接着剤]
水100部に対して、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製のKL-318)3部を溶解し、その水溶液に、水溶性エポキシ化合物であるポリアミドエポキシ系添加剤(住化ケムテックス株式会社製のスミレーズレジン(登録商標)650(30)、固形分濃度30%の水溶液〕1.5部を添加して、水系接着剤とした。
【0097】
[実施例1]
8μm偏光子の両面に、水系接着剤を介して、コロナ放電処理を施した光学フィルム(COPフィルム)を貼合した。一方の光学フィルムの偏光子とは反対側の面に粘着剤を塗布して粘着剤層を形成し、その上にセパレートフィルムを貼合した。このセパレートフィルムは、粘着剤層から剥離可能であった。粘着剤層を設けた光学フィルムとは別の光学フィルムの偏光子とは反対側にプロテクトフィルムを貼合した。このプロテクトフィルムは光学フィルムから剥離可能であった。こうして得られた偏光板を5.5cm角にチップカットし、打抜き刃を用いて直径6mmの貫通孔を設ける異形加工を行った。
【0098】
得られた偏光板を、温度85℃および相対湿度85%の気相中に連続して2時間保持する加湿処理を行った。このようにして実施例1の偏光板を得た。結果を表1に示す。なお、この偏光板には、ヨウ素抜けに伴う光抜けが生じておらず、ヨウ素低濃度部位の端部からの長さは0μmであった。
【0099】
[実施例2]
加湿処理の条件を表1に示す条件に変えたこと以外は実施例1と同様にして実施例2の偏光板を作製した。結果を表1に示す。また、図12に偏光板の端部からの距離に対するホウ酸濃度の測定結果を示す。さらに、図13にヨウ素抜け観察結果を示す。
【0100】
[実施例3]
加湿処理の条件を表1に示す条件に変えたこと以外は実施例1と同様にして実施例3の偏光板を作製した。結果を表1に示す。
【0101】
[比較例1]
加湿処理の条件を表1に示す条件に変えたこと以外は実施例1と同様にして比較例1の偏光板を作製した。結果を表1に示す。
【0102】
[比較例2]
加湿処理の条件を表1に示す条件に変えたこと以外は実施例1と同様にして比較例2の偏光板を作製した。結果を表1に示す。
【0103】
[比較例3]
加湿処理を行う代わりに温度74℃の温水中に16分間浸漬したこと以外は実施例1と同様にして比較例3の偏光板を作製した。結果を表1に示す。ヨウ素抜け観察結果を図14に示す。この偏光板には、ヨウ素抜けに伴うヨウ素低濃度部位が生じており、その長さは約250μmであった。
【0104】
【表1】
【0105】
[実施例4]
12μm偏光子の一方の面に、水系接着剤を介して、コロナ放電処理を施した光学フィルムCOPを貼合し、他方の面に、水系接着剤を介して、コロナ放電処理を施した光学フィルムTACを貼合し、偏光板を作製した。得られた偏光板を5.5cm角にチップカットし、直径6mmの貫通孔を設ける異形加工を行った。
【0106】
得られた偏光板を、温度85℃および相対湿度85%の気相中に2時間保持する加湿処理を行った。このようにして実施例4の偏光板を得た。結果を表2に示す。
【0107】
[実施例5]
加湿処理の条件を表2に示す条件に変えたこと以外は実施例4と同様にして実施例5の偏光板を作製した。結果を表2に示す。
【0108】
[比較例4]
加湿処理の条件を表2に示す条件に変えたこと以外は実施例4と同様にして比較例4の偏光板を作製した。結果を表2に示す。
【0109】
[比較例5]
加湿処理の条件を表2に示す条件に変えたこと以外は実施例4と同様にして比較例5の偏光板を作製した。結果を表2に示す。
【0110】
[比較例6]
加湿処理の条件を表2に示す条件に変えたこと以外は実施例4と同様にして比較例6の偏光板を作製した。結果を表2に示す。
【0111】
【表2】
【0112】
[比較例7]
28μm偏光子の一方の面に、水系接着剤を介して、コロナ放電処理を施した光学フィルムCOPを貼合し、他方の面に、水系接着剤を介して、コロナ放電処理を施した光学フィルムTACを貼合し、偏光板を作製した。得られた偏光板を5.5cm角にチップカットし、直径6mmの貫通孔を設ける異形加工を行った。
【0113】
得られた偏光板を、温度85℃および相対湿度85%の気相中に2時間保持する加湿処理を行った。このようにして比較例7の偏光板を得た。結果を実施例1および実施例2の結果と共に表3に示す。
【0114】
[比較例8]
加湿処理の条件を表3に示す条件に変えたこと以外は比較例7と同様にして比較例8の偏光板を作製した。結果を実施例1および実施例2の結果と共に表3に示す。
【0115】
【表3】
【符号の説明】
【0116】
1 偏光板、2,7 偏光子、3,5 第1光学フィルム、4,9 第2光学フィルム、10 第1積層体、13 凹部、14 貫通孔、15 第3光学フィルム、20 画像表示装置、21 偏光板、22 カメラホール、23 液晶パネル、24 カバーガラス、25 粘着剤層、26 偏光板、27 カメラ、28 遮光テープ、30 ホウ酸低濃度部位、31 中間領域、32 内側領域、50 エンドミル、50e 刃(エッジ)、100 第2積層体、110 偏光板、200 測定サンプル、201,205 光学フィルム、202,204 接着層、203 偏光子、206 粘着剤層、207 測定領域、α ねじれ角、β 切削角度
図1
図2
図3
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図14