(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178295
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】化学機械研磨装置における消耗部品モニタリング
(51)【国際特許分類】
B24B 53/00 20060101AFI20231207BHJP
B24B 37/34 20120101ALI20231207BHJP
B24B 53/017 20120101ALI20231207BHJP
B24B 37/30 20120101ALI20231207BHJP
B24B 53/12 20060101ALI20231207BHJP
B24B 49/12 20060101ALI20231207BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20231207BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
B24B53/00 A
B24B37/34
B24B53/017 A
B24B37/30 E
B24B53/12 Z
B24B49/12
H01L21/304 622R
H01L21/304 622M
H01L21/68 A
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023160206
(22)【出願日】2023-09-25
(62)【分割の表示】P 2020548664の分割
【原出願日】2019-03-06
(31)【優先権主張番号】62/642,450
(32)【優先日】2018-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】オスターヘルド トマス エイチ
(72)【発明者】
【氏名】ベンヴェニュ ドミニク ジェイ
(57)【要約】
【課題】消耗部品モニタリングのための研磨装置を提供する。
【解決手段】研磨装置は、研磨パッドを保持するための研磨ステーションと、研磨ステーションにある研磨パッドと接触した状態に基板を保持するためのキャリアヘッドと、消耗部品が研磨パッドから移動するときに消耗部品の下面の画像を捕捉するように配置されたカメラと、画像に対して画像処理アルゴリズムを実行して消耗部品が損傷しているかどうかを判定するように構成されたコントローラとを含む。消耗部品は、キャリアヘッド上の保持リングまたはコンディショナヘッド上のコンディショナディスクとすることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨ステーションと、
前記研磨ステーションにある研磨パッドと接触した状態に基板を保持するためのキャリアヘッドであり、保持リングを含むキャリアヘッドと、
前記キャリアヘッドが前記研磨パッドから移動するときに前記保持リングの下面の画像を捕捉するように配置されたカメラと、
前記画像に対して画像処理アルゴリズムを実行して前記保持リングが損傷しているかどうかを判定するように構成されたコントローラと
を備える研磨装置。
【請求項2】
前記画像処理アルゴリズムが、訓練された機械学習アルゴリズムを含む、請求項1に記載の研磨装置。
【請求項3】
前記基板をロードし、かつ/または前記基板を前記キャリアヘッドからアンロードするための基板移送ステーションを備え、前記キャリアヘッドが、前記研磨ステーションと前記移送ステーションとの間で移動可能であり、前記カメラが、前記研磨ステーションと前記移送ステーションの間の位置で前記保持リングの前記下面の前記画像を捕捉するように配置された、請求項1に記載の研磨装置。
【請求項4】
前記カメラが、前記保持リングの前記下面の全体を単一の画像として捕捉する視野を有する、請求項1に記載の研磨装置。
【請求項5】
前記カメラが、前記キャリアヘッドが移動するときに前記保持リングの前記下面の多数の画像を撮影するように構成された、請求項1に記載の研磨装置。
【請求項6】
前記コントローラが、前記多数の画像をつなぎ合わせて、前記保持リングの前記下面の全体を捕捉した単一の画像にするように構成された、請求項5に記載の研磨装置。
【請求項7】
前記保持リングが損傷していることを前記コントローラが検出した場合にオペレータへの警報を生成するように、前記コントローラが構成された、請求項1に記載の研磨装置。
【請求項8】
研磨ステーションと、
前記研磨ステーションにある研磨パッドと接触した状態に基板を保持するためのキャリアヘッドと、
前記研磨パッドと接触した状態にコンディショニングディスクを保持するためのコンディショナヘッドと、
前記コンディショナヘッドが前記研磨パッドから移動するときに前記コンディショナディスクの下面の画像を捕捉するように配置されたカメラと、
前記画像に対して画像処理アルゴリズムを実行して前記コンディショナディスクが損傷しているかどうかを判定するように構成されたコントローラと
を備える研磨装置。
【請求項9】
前記画像処理アルゴリズムが、訓練された機械学習アルゴリズムを含む、請求項8に記載の研磨装置。
【請求項10】
コンディショナリンスステーションを備え、前記コンディショナヘッドが、前記研磨ステーションと前記リンスステーションとの間で移動可能であり、前記カメラが、前記コンディショナディスクが前記研磨ステーションと前記リンスステーションの間に配置されたときに前記コンディショナディスクの前記下面の前記画像を捕捉するように配置された、請求項8に記載の研磨装置。
【請求項11】
前記カメラが、前記コンディショナディスクの前記下面の全体を単一の画像として捕捉する視野を有する、請求項8に記載の研磨装置。
【請求項12】
前記カメラが、前記コンディショナヘッドが移動するときに前記コンディショナディスクの前記下面の多数の画像を撮影するように構成された、請求項8に記載の研磨装置。
【請求項13】
前記コントローラが、前記多数の画像をつなぎ合わせて、前記コンディショナディスクの前記下面の全体を捕捉した単一の画像にするように構成された、請求項12に記載の研磨装置。
【請求項14】
前記コンディショナディスクが損傷していることを前記コントローラが検出した場合にオペレータへの警報を生成するように、前記コントローラが構成された、請求項8に記載の研磨装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、化学機械研磨システムの消耗部品、例えば保持リングおよび/またはコンディショニングディスクのモニタリングに関する。
【背景技術】
【0002】
化学機械研磨(CMP)は、高密度集積回路の製造で使用される多くのプロセスのうちの1つである。化学機械研磨は一般に、研磨流体の存在下で基板を研磨材に抗して移動させることによって実行される。多くの研磨用途では、研磨流体が、処理中に研磨材に押しつけられた基板のフィーチャ側の平坦化を補助するための研磨スラリを含む。
【0003】
研磨動作の間、基板は一般に、キャリアヘッドによって保持される。従来のキャリアヘッドは、基板保持ポケットの境界をなす保持リングを含む。基板は、可撓性の膜(以後、可撓膜)に対するスティクション(stiction)によって基板保持ポケット内に保持することができる。保持リングは、研磨中に基板が滑って研磨ヘッドの下から外れることを防ぐ。
【0004】
研磨の間、保持リングは通常、研磨パッドに対して押しつけられている。キャリアヘッド内の加圧可能チャンバによって保持リングの垂直位置を制御することができる。保持リングは通常、摩耗しうる材料から形成されており、研磨が進むにつれて保持リングの底面は摩耗する。その結果、多数の基板を処理する間に保持リングの厚さは変化しうる。最終的に、保持リングの交換が必要になることがある。
【0005】
さらに、CMPプロセスがある期間、実行された後、研磨パッドの表面は、スラリ副生物ならびに/または基板および/もしくは研磨パッドから除去された材料の蓄積により、目つぶれを起こしうる。目つぶれは、研磨速度を低下させ、または基板の不均一性を増大させうる。
【0006】
通常、研磨パッドは、パッドコンディショナを用いたコンディショニングプロセスによって、所望の表面粗さを有するように維持される(さらには目つぶれが防止される)。パッドコンディショナは、研磨パッド上の不必要な蓄積物を除去し、研磨パッドの表面を、望ましい凹凸を有するよう再生させるために使用される。パッドコンディショナは通常、一般にダイヤモンド研磨材が埋め込まれた研磨ディスクを含み、この研磨材を研磨パッド表面にこすりつけて、パッドに新たなテクスチャを与えることができる。しかしながら、コンディショニングプロセスは、コンディショナディスク自体の摩耗も引き起こしやすい。その結果として、ある回数の研磨およびコンディショニングサイクルの後に、コンディショナディスクの交換が必要となることがある。
【発明の概要】
【0007】
研磨装置は、研磨パッドを保持するための研磨ステーションと、研磨ステーションにある研磨パッドと接触した状態に基板を保持するためのキャリアヘッドと、消耗部品が研磨パッドから移動するときに消耗部品の下面の画像を捕捉するように配置されたカメラと、画像に対して画像処理アルゴリズムを実行して消耗部品が損傷しているかどうかを判定するように構成されたコントローラとを含む。消耗部品は、キャリアヘッド上の保持リングまたはコンディショナヘッド上のコンディショナディスクとすることができる。
【0008】
実施態様の利点は、以下のうちの1つまたは複数を含みうる。化学機械研磨システムの消耗部品、例えば保持リングおよび/またはコンディショニングディスクの損傷が研磨プロセスに影響を与える前に、そのような部品を交換することができる。これによって擦り傷および欠陥を減らすことができ、研磨均一性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】化学機械研磨システムの一実施態様の一部を断面にした簡略化された側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
保持リングまたはコンディショニングディスクなどの消耗部品の全体的な摩耗(例えば厚さの低減)に加えて、このような消耗部品が、部品の厚さを特に変化させない形で損傷する可能性もある。例えば、保持リングの内面に切れ込みまたは亀裂が生じることがあり、このことは研磨不均一性を導入しうる。同様に、コンディショニングディスク上の研磨粒子は剥がれやすくなることがあり、このことはコンディショニングプロセスに不均一性を導入しうる。
【0011】
しかしながら、研磨システム内の位置にカメラを置いて消耗部品を定期的にスキャンすることによって、消耗部品の画像を捕捉することが可能である。次いで、この画像を画像解析ソフトウェアにかけて、例えば、機械学習技法によって訓練されたアルゴリズムにかけて、損傷した消耗部品を識別することができる。
【0012】
図1は、研磨ステーション102、キャリアヘッド104およびロードカップ110を含む簡略化された化学機械研磨システム100の一部を断面にした図を示す。これらのさまざまな構成要素は、ベース126上に支持することができる。本発明から利益を得るように適合させることができる適当な研磨システムの例は、Applied Materialsから販売されているMIRRA(商標)およびREFLEXION(商標)化学機械研磨システムを含む。
【0013】
一実施態様では、研磨ステーション102が、その上に研磨パッド116が配された回転可能なプラテン106を含む。プラテン106は、軸の周りを回転するように動作可能である。例えば、プラテン106を回転させるために、モータ180がドライブシャフトを回転させることができる。
【0014】
研磨パッド116は、従来のポリウレタン研磨パッド、固定された研磨材、または化学機械研磨に適した他のパッドとすることができる。研磨パッド116は、外側研磨層とより軟らかいバッキング層とを含む2層研磨パッドとすることができる。
【0015】
研磨ステーション102はさらに、処理中に研磨パッド116の作業面に研磨液を供給するように適合された研磨液源108を含む。
図1に示された実施形態では、処理中に研磨材116上に研磨流体を流すために、少なくとも1つのノズル114を有するアーム112が配置されている。研磨液は研磨粒子を含むことができる。例えば、研磨液を研磨スラリとすることができる。
【0016】
研磨パッド116を研磨して研磨パッド116を首尾一貫した研磨状態に維持するため、研磨ステーション102はさらに、研磨パッドコンディショナ160を含むことができる。研磨パッドコンディショナ160は、コンディショナベース、研磨パッド116の上を横方向に掃くように移動する(以後、スイープする)ことができるアーム162、およびアーム164によってベースに接続されたコンディショナヘッド164を含む。コンディショナベースは、研磨システムのマシンベース126上に支持することができる。研磨パッドを調整するため、コンディショナヘッド164は、研磨面、例えばコンディショナヘッド164に保持されたディスク166の下面を研磨パッド110と接触させる。研磨面は回転可能とすることができ、研磨パッドに対する研磨面の圧力は制御可能とすることができる。
【0017】
いくつかの実施態様では、アーム162がコンディショナベースに、ピボット回転するように取り付けられており、アーム162は左右にスイープして、コンディショナヘッド164を、研磨パッド116を横切って振動スイープ運動させる。衝突を防ぐため、コンディショナヘッド164の運動をキャリアヘッド104の運動と同期させることができる。コンディショナヘッド164の垂直運動および研磨パッド116上におけるコンディショニング面の圧力の制御は、コンディショナヘッド164の上方のもしくはコンディショナヘッド164内の垂直アクチュエータ、例えばコンディショナヘッド164に下向きの圧力を加えるように配置された加圧可能チャンバによって、またはアーム162の全体およびコンディショナヘッド164を持ち上げるベース内の垂直アクチュエータによって、またはアーム162の制御可能な傾斜角、したがって研磨パッド116の上方のコンディショナヘッド164の制御可能な高さを可能にする、アーム162とベースの間のピボット接続によって提供することができる。
【0018】
研磨ステーション102はさらに、プラテン106のわきに配置されたコンディショナリンスカップ168を含むことができる。研磨動作の後、アーム162は、ぐるりと旋回して、コンディショナディスク166を含むコンディショナヘッド164をリンスカップ168に入れることができる。リンスカップ168は、破片、微粒子または汚染物を洗い流すためにヘッド164およびディスク166に洗浄流体、例えば脱イオン水を吹きかけるように構成されたノズルを含むことができる。
【0019】
キャリアヘッド104は、ベース126に結合された支持構造体118、例えばカルーセルまたはトラックから吊り下げられており、支持構造体118は移送機構の働きをすることができる。この移送機構は、全体として、研磨パッド116の上の処理位置とロードカップ110の上の移送位置との間でキャリアヘッド104を選択的に配置するように適合されている。キャリアヘッド104が回転することができるように、キャリアヘッド104を、ドライブシャフトによってキャリアヘッド駆動機構124、例えば回転モータに接続することができる。
【0020】
動作時には、プラテンをその中心軸を軸に回転させ、キャリアヘッド104をその中心軸を軸に回転させ、キャリアヘッド104を、研磨パッド116の上面を横切って横方向に平行移動させる。任意選択で、研磨中に、キャリアヘッド104は、例えばカルーセルもしくはトラック上のスライダ上で横方向に振動することができ、またはカルーセル自体の回転振動によって横方向に振動することができる。
【0021】
図1に示された実施態様では、移送機構118が、片持ち梁式のアーム122を有する支柱120を含み、キャリアヘッド104を横方向に位置決めするためにアーム122を回転させることができる。キャリアヘッド104は、モータ124によってアーム122に結合することができる。ベース126に対する研磨ヘッド104の高さは、駆動機構124によって、またはキャリアヘッド104の内側の加圧可能チャンバによって制御することができる。
【0022】
一般に、研磨ヘッド104は、ハウジング140および保持リング150を備え、保持リング150は、研磨の間、基板を研磨ヘッド104の凹部146に保持するために、ハウジングの縁の近くに、例えばリム142に固定されている。いくつかの実施態様では、キャリアヘッド104が可撓膜148を含み、可撓膜148の奥には、基板の異なる半径方向ゾーンに異なる圧力を加えることができる独立して加圧可能な複数のチャンバがある。例えば、キャリアヘッドは、基板の中心部分に圧力を加えるための第1のチャンバ152aおよび基板の縁部分に圧力を加えるための第2のチャンバ152bを含むことができる。チャンバ152a、152bは、圧力源154(単純にするために
図1には1つだけが示されている)に、チャンバ152a、152bを独立して制御可能に膨張させまたは収縮させることができるように結合されている。
【0023】
移送動作を実行するため、可撓膜148を基板と接触させ、1つまたは複数のチャンバ152a、152bを収縮させることができ、そのようにして基板と可撓膜の間に真空を生み出し、それによってキャリアヘッド104に基板を固定することができる。研磨動作を実行するため、1つまたは複数のチャンバ152a、152bを膨張させることができ、そのようにして基板を研磨パッド115に押しつけることができる。
【0024】
保持リング150の垂直位置、および研磨パッド116に対する保持リング150の圧力も、例えば駆動機構124によって、またはキャリアヘッド104の内側の別の加圧可能チャンバによって調節可能とすることができる。保持リング150の垂直位置を制御するキャリアヘッド104の内側の加圧可能チャンバの圧力は、圧力源154によって制御することができる。
【0025】
ロードカップ110は一般にペデスタルアセンブリ128およびカップ130を含む。ペデスタルアセンブリ128は、研磨ヘッド104と嵌合して、基板移送中のそれらの間の置合せを保証する構造体を提供する。ペデスタルアセンブリ128は一般に、基板を研磨ヘッド104に移すために伸長し、デチャッキングプロセスの間、基板を受け取るために伸長位置から後退する。
【0026】
コントローラ190、例えばマイクロプロセッサを含むプログラムされたコンピュータは、研磨システム100のさまざまな構成要素を制御するように構成されている。例えば、コントローラ190を、モータ124、180に結合して、それぞれキャリアヘッド104およびプラテン106の回転速度を制御することができ、圧力源164に結合してキャリアヘッド104の圧力を制御することができ、移送装置118の位置決めを制御するアクチュエータに結合することができ、アクチュエータ132、133に結合してロードカップ110の動作を制御することができ、コンディショナシステム160のアクチュエータに結合して、コンディショナヘッド164の位置および研磨パッド116上でのコンディショナディスク166の下向きの力を制御することができ、研磨液供給源108に結合して研磨パッド上への研磨液の流量を制御することができ、ならびに/またはコンディショナリンスディスク168に結合して、コンディショナヘッド164に洗浄液を吹きかけるノズルの動作を制御することができる。
【0027】
コントローラ190は単一の部品として示されているが、コントローラ190を、コンピュータネットワークに接続された多数の処理構成要素に分散させることもできる。
【0028】
上述のとおり、消耗部品、例えば保持リング150および/またはコンディショナディスク166は、損傷したりまたは過度に摩耗したりする可能性がある。研磨システム100はさらに、消耗部品が損傷しているかどうかを検出するための消耗部品モニタリングシステムを含む。
【0029】
具体的には、研磨システム100は、消耗部品の下面の画像を捕捉するように配置された1台または数台のカメラ200を含む。それぞれのカメラは、消耗部品が運ばれる経路上の1箇所に配置することができる。例えば、プラテン106とロードカップ110の間のキャリアヘッドが移動する経路上に、保持リングをモニタリングするためのカメラを配置することができる。同様に、プラテン106とリンスカップ168の間のコンディショナヘッドが移動する経路上に、コンディショナディスクをモニタリングするためのカメラを配置することができる。それぞれのカメラは、その中を消耗部品が移動する視野(破線で示されている)を有することができる。
【0030】
一例として、ベース126上のプラテン106に隣接した位置にカメラ200aを配置することができる。このカメラ200aは、キャリアヘッド104が研磨ステーション102からロードカップ110に移動するとき、またはロードカップ110から研磨ステーション102に移動するときに、保持リング150の下面の画像を捕捉することができる。
【0031】
別の例として、ベース126上のロードカップ110に隣接した位置にカメラ200bを配置することができる。このカメラ200bは、キャリアヘッド104が研磨ステーション102からロードカップ110に移動するとき、またはロードカップ110から研磨ステーション102に移動するときに、保持リング150の下面の画像を捕捉することができる。
【0032】
別の例として、ベース126上のリンスカップ168に隣接した位置にカメラ200cを配置することができる。このカメラ200cは、コンディショナヘッド164が研磨ステーション102からリンスカップ168に移動するとき、またはリンスカップ168から研磨ステーション102に移動するときに、コンディショナディスク166の下面の画像を捕捉することができる。
【0033】
いくつかの実施態様では、視野が、消耗部品の下面全体を単一の画像として捕捉することができる十分な幅を有する。いくつかの実施態様では、視野が、消耗部品の下面全体をカバーせず、消耗部品が視野の中を移動するときに多数の画像がカメラによって撮影され、それらの多数の画像が部品の下面全体を含む。任意選択で、これらの多数の画像をつなぎ合わせて、消耗部品の下面全体をカバーする単一の画像を形成することができる。この画像のつなぎ合せは、知られている画像処理技法を使用して実行することができる。
【0034】
消耗部品に損傷があるかどうかを判定するため、カメラ200からの画像は、コントローラ190の中のソフトウェアによって実行される画像処理アルゴリズムにかけられる。例えば、保持リング150の下面の内縁の亀裂または欠け目を画像から検出するように、画像処理プログラムを構成することができる。別の例として、保持リング150の下面の汚れ、擦り傷または異常な表面テクスチャを画像から検出するように、画像処理プログラムを構成することもできる。別の例として、コンディショナディスク166の下面の研磨粒子の欠落または摩耗もしくは汚れパターンを画像から検出するように、画像処理プログラムを構成することもできる。
【0035】
いくつかの実施態様では、損傷した消耗部品をコントローラ190が検出した場合、コントローラ190は、交換が必要なことをオペレータに知らせることができる。あるいは、損傷した消耗部品をコントローラ190が検出した場合、コントローラ190は、損傷によって導入される不均一性を補償するために、研磨システムの別の構成要素の動作パラメータを調節することができてもよい。
【0036】
いくつかの実施態様では、機械学習システムを訓練することによって、画像処理アルゴリズムを生成することができる。例えば、正常な消耗部品と「欠陥のある」消耗部品の画像を用いて機械学習システムを訓練することができる。画像処理アルゴリズムは、ジェネリックニューラルネットワーク(generic neural network)として実装することができる。例えば、ニューラルネットワークは、畳み込み(convolutional)ニューラルネットワークまたは全結合(fully connected)ニューラルネットワークとすることができる。訓練は、バックプロパゲーションモードで動作することによって実行することができる。
【0037】
本明細書に記載された本発明の実施形態および全ての関数演算は、ディジタル電子回路で実施することができ、または、本明細書に開示された構造的手段およびその構造的等価物、もしくはそれらの組合せを含む、コンピュータソフトウェア、ファームウェアもしくはハードウェアで実施することができる。本発明の実施形態は、1つまたは複数のコンピュータプログラム製品として実装することができ、すなわち、データ処理装置、例えばプログラマブルプロセッサ、コンピュータまたは多数のプロセッサもしくはコンピュータによって実行するため、あるいはデータ処理装置、例えばプログラマブルプロセッサ、コンピュータまたは多数のプロセッサもしくはコンピュータの動作を制御するために、情報担体、例えば非一過性の機械可読ストレージ媒体または伝搬信号の中に有形で具体化された1つまたは複数のコンピュータプログラムとして実装することができる。(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーションまたはコードとしても知られている)コンピュータプログラムは、コンパイラ型言語もしくはインタプリタ型言語を含む任意の形態のプログラミング言語で書くことができ、独立型プログラム、またはモジュール、コンポーネント、サブルーチン、もしくはコンピューティング環境で使用するのに適した他のユニットを含む、任意の形態で展開することができる。コンピュータプログラムはファイルに必ずしも対応しない。別のプログラムもしくはデータを保持しているファイルの一部分、当該プログラム専用の単一のファイル、または協調した多数のファイル(例えば、1つまたは複数のモジュール、サブプログラムもしくはコード部分を記憶したファイル)に、プログラムが記憶されていることもありうる。1つのコンピュータ上で実行されるように、または通信ネットワークによって相互接続された、1つのサイトの多数のコンピュータ上もしくは多数のサイトにわたって分散した多数のコンピュータ上で実行されるように、コンピュータプログラムを展開することができる。
【0038】
本明細書に記載されたプロセスおよび論理フローは、入力データに対して動作し出力を生成することによって機能を実行するために1つまたは複数のコンピュータプログラムを実行する1つまたは複数のプログラマブルプロセッサによって実行することができる。プロセスおよび論理フローは、専用論理回路、例えばFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)によって実行することもでき、装置を、専用論理回路、例えばFPGAまたはASICとして実装することもできる。
【0039】
いくつかの実施形態に関して本発明を説明した。しかしながら、本発明は、示された実施形態および記載された実施形態だけに限定されない。むしろ、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって規定される。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨ステーションと、
前記研磨ステーションにある研磨パッドと接触した状態に基板を保持するためのキャリアヘッドと、
前記研磨パッドと接触した状態にコンディショニングディスクを保持するためのコンディショナヘッドと、
前記コンディショナヘッドが前記研磨パッドから移動するときに前記コンディショナディスクの下面の画像を捕捉するように配置されたカメラと、
前記画像に対して画像処理アルゴリズムを実行して前記コンディショナディスクが損傷しているかどうかを判定するように構成されたコントローラと
を備える研磨装置。
【請求項2】
前記画像処理アルゴリズムが、訓練された機械学習アルゴリズムを含む、請求項1に記載の研磨装置。
【請求項3】
コンディショナリンスステーションを備え、前記コンディショナヘッドが、前記研磨ステーションと前記リンスステーションとの間で移動可能であり、前記カメラが、前記コンディショナディスクが前記研磨ステーションと前記リンスステーションの間に配置されたときに前記コンディショナディスクの前記下面の前記画像を捕捉するように配置された、請求項1に記載の研磨装置。
【請求項4】
前記カメラが、前記コンディショナディスクの前記下面の全体を単一の画像として捕捉する視野を有する、請求項1に記載の研磨装置。
【請求項5】
前記カメラが、前記コンディショナヘッドが移動するときに前記コンディショナディスクの前記下面の多数の画像を撮影するように構成された、請求項1に記載の研磨装置。
【請求項6】
前記コントローラが、前記多数の画像をつなぎ合わせて、前記コンディショナディスクの前記下面の全体を捕捉した単一の画像にするように構成された、請求項5に記載の研磨装置。
【請求項7】
前記コンディショナディスクが損傷していることを前記コントローラが検出した場合にオペレータへの警報を生成するように、前記コントローラが構成された、請求項1に記載の研磨装置。
【外国語明細書】