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特開2023-178317樹脂組成物、接着フィルム、ミリ波基板、ミリ波レーダー基板、プリント配線板および半導体装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178317
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】樹脂組成物、接着フィルム、ミリ波基板、ミリ波レーダー基板、プリント配線板および半導体装置
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/00 20060101AFI20231207BHJP
   C08K 5/5313 20060101ALI20231207BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20231207BHJP
   C08L 53/00 20060101ALI20231207BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20231207BHJP
   C09J 7/35 20180101ALI20231207BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20231207BHJP
   H05K 1/03 20060101ALI20231207BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
C08L101/00
C08K5/5313
C08K3/013
C08L53/00
C08L63/00 Z
C09J7/35
C09J201/00
H05K1/03 610H
H05K1/03 610Q
H01L23/12 301
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023167871
(22)【出願日】2023-09-28
(62)【分割の表示】P 2020559195の分割
【原出願日】2019-12-02
(31)【優先権主張番号】P 2018227030
(32)【優先日】2018-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】591252862
【氏名又は名称】ナミックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】IAT弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】黒川 津与志
(72)【発明者】
【氏名】吉田 真樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 淳也
(57)【要約】
【課題】樹脂組成物の硬化物が高周波特性に優れ、tanδの温度依存性が小さく、かつ難燃性に優れる、ミリ波基板用等の絶縁体として使用することが可能な樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】ホスフィン酸金属塩を含む難燃剤を含み、硬化物の10GHz、25℃における比誘電率が3.5以下であり、前記硬化物の10GHz、25℃における誘電正接が0.003以下であり、前記硬化物の10GHzでの誘電正接の25℃での値に対する120℃での値の変化率が、30%以下であることを特徴とする、樹脂組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホスフィン酸金属塩を含む難燃剤を含み、
硬化物の10GHz、25℃における比誘電率が3.5以下であり、
前記硬化物の10GHz、25℃における誘電正接が0.003以下であり、
前記硬化物の10GHzでの誘電正接の25℃での値に対する120℃での値の変化率が、30%以下であることを特徴とする、樹脂組成物。
【請求項2】
ミリ波基板用、あるいは、プリント配線板用である、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
無機フィラーを含む、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
前記無機フィラーの平均粒径が0.05~20μmである、請求項3に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
前記無機フィラーの含有量が50体積%以下である、請求項3または4記載の樹脂組成物。
【請求項6】
樹脂を含む、請求項1~5のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
【請求項7】
前記樹脂および前記難燃剤の合計100質量部に対して、前記樹脂を50~85質量部含む、請求項6に記載の樹脂組成物。
【請求項8】
前記樹脂が、ビフェニル骨格を有する架橋可能な化合物を含む、請求項6または7に記載の樹脂組成物。
【請求項9】
前記ビフェニル骨格を有する架橋可能な化合物が、ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂を含む、請求項8に記載の樹脂組成物。
【請求項10】
前記樹脂が、水添スチレン系エラストマーを含む、請求項6~9のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1つに記載の樹脂組成物を含む、接着フィルム。
【請求項12】
厚みが10~300μmである、請求項11に記載の接着フィルム。
【請求項13】
請求項1~10のいずれか1つに記載の樹脂組成物の硬化物を含む、ミリ波基板。
【請求項14】
請求項1~10のいずれか1つに記載の樹脂組成物の硬化物を含む、ミリ波レーダー基板。
【請求項15】
請求項1~10のいずれか1つに記載の樹脂組成物の硬化物を含む、プリント配線板。
【請求項16】
請求項13に記載のミリ波基板、請求項14に記載のミリ波レーダー基板、または、請求項15に記載のプリント配線板、を含む半導体装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物、接着フィルム、ミリ波基板、ミリ波レーダー基板、プリント配線板および半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、高周波用途のプリント配線版では伝送損失の小さいことが要求される。従来は高周波用途でも1GHz帯域での伝送損失が小さければ十分であり、プリント配線板の接着層やカバーレイや基板自体において、伝送損失の程度の指標となる誘電正接(tanδ)の値が0.01以下レベルであれば、問題とされなかった。このため、温度変化によりtanδの値が多少変動(ドリフト)しても、許容された。例えば、tanδの常温での値が0.0100であり、高温での値が0.0110であるとき、その変化量は0.0010であり、tanδの変化率は10%で収まる。
【0003】
しかし、近年は3GHz以上の高周波帯における特性が要求されるようになり、伝送損失を少なくするために、例えば、tanδは0.003以下というように、より小さい値が求められるようになった。その結果、tanδの値の僅かな変化であっても、tanδの変化率は大きくなり、例えば、tanδの常温での値が0.0030であり、高温での値が0.0040であるとき、その変化量は0.0010であるが、tanδの変化率は33.3%と大きくなる。このため、より温度変化に基づくtanδの変化率の小さい材料が、求められるようになっている。
【0004】
特に、ミリ波回路用基板(以下、ミリ波基板という)用途の場合、さらに高周波帯であり、温度変化に基づくtanδの変化率が小さいこと(すなわち、tanδの温度依存性が小さいこと)への要求は、より厳しいものになる。ミリ波レーダー用基板(以下、ミリ波レーダー基板という)を使用した車載用ミリ波レーダーに対しても、同様の厳しい要求がある。
【0005】
また、基板用途では、tanδの温度依存性が小さいことへの要求に加え、さらに難燃性を求められることがある。その際には、難燃剤の使用が必要となるが、現在はノンハロゲンであることが前提となるため、ハロゲン系難燃剤は使用できない。
【0006】
ここで、「高周波数帯での優れた誘電特性及び誘電特性の温度変化に対するドリフト性が小さく、優れた安定性を発現する印刷配線板用樹脂組成物」(特許文献1の第0012、0015段落等)として、「分子中にシアナト基を2つ以上有するシアネートエステル化合物及び/又はこれらのプレポリマと、分子中にビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂を少なくとも1種含有するエポキシ樹脂とを含むことを特徴とする印刷配線板用樹脂組成物」が、開示されている(特許文献1)。
【0007】
しかしながら、この印刷配線板用樹脂組成物は、25℃での比誘電率(ε)の値が3.5以上、tanδの値が0.004以上と高いため、仮にtanδの温度依存性が小さいとしてもミリ波基板用途での使用は、難しい。また、具体的に開示されている難燃剤はハロゲン系難燃剤である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010-212689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、その目的は、樹脂組成物の硬化物が高周波特性に優れ、tanδの温度依存性が小さく、かつ難燃性に優れる、ミリ波基板用の絶縁体として使用することが可能なミリ波基板用樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、以下の構成を有することによって上記課題を解決したミリ波基板用樹脂組成物、ミリ波基板用接着フィルム、ミリ波基板、ミリ波レーダー基板および半導体装置に関する。
〔1〕(A)水添スチレン系エラストマーと、(B)ビフェニル骨格を有する架橋可能な化合物と、(C)ホスフィン酸金属塩を含む難燃剤と、を含む樹脂組成物であって、
(C)成分が、(A)成分と(B)成分と(C)成分との合計100質量部に対して、15質量部~50質量部であり、
硬化物の10GHzでの誘電正接の25℃での値に対する120℃での値の変化率が、30%以下であることを特徴とする、ミリ波基板用樹脂組成物。
〔2〕(C)成分のホスフィン酸金属塩が、5質量部以上である、上記〔1〕記載のミリ波基板用樹脂組成物。
〔3〕10GHzでの誘電正接が、0.0030以下である、上記〔1〕または〔2〕記
載のミリ波基板用樹脂組成物。
〔4〕(A)成分が、(A)成分と(B)成分との合計100質量部に対して、50~80質量部である、上記〔1〕~〔3〕のいずれか記載のミリ波基板用樹脂組成物。
〔5〕(A)成分が、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレンブロック共重合体である、上記〔1〕~〔4〕のいずれか記載のミリ波基板用樹脂組成物。
〔6〕上記〔1〕~〔5〕のいずれか記載のミリ波基板用樹脂組成物を含む、ミリ波基板用接着フィルム。
〔7〕上記〔1〕~〔5〕のいずれか記載のミリ波基板用樹脂組成物の硬化物を含む、ミリ波基板。
〔8〕上記〔1〕~〔5〕のいずれか記載のミリ波基板用樹脂組成物の硬化物を含む、ミリ波レーダー基板。
〔9〕上記〔7〕記載のミリ波基板、または上記〔8〕記載のミリ波レーダー基板を含む、半導体装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明〔1〕によれば、樹脂組成物の硬化物が高周波特性に優れ、tanδの温度依存性が小さく、かつ難燃性に優れる、ミリ波基板用の絶縁体として使用することが可能なミリ波基板用樹脂組成物を提供することができる。
【0012】
本発明〔7〕によれば、高周波特性に優れ、tanδの温度依存性が小さく、かつ難燃性に優れる、ミリ波基板を提供することができる。本発明〔8〕によれば、高周波特性に優れ、tanδの温度依存性が小さく、かつ難燃性に優れる、ミリ波レーダー基板を提供することができる。
【0013】
本発明〔9〕によれば、高周波特性に優れ、tanδの温度依存性が小さく、かつ難燃性に優れる、ミリ波基板またはミリ波レーダー基板(以下、基板ともいう)を含む信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されない。なお、本明細書において、ミリ波基板やミリ波レーダー基板に用いられる周波数領域は、3GHz~300GHzを指すものとする。
【0015】
〔ミリ波基板用樹脂組成物〕
本発明のミリ波基板用樹脂組成物(以下、基板用樹脂組成物という)は、(A)水添スチレン系エラストマーと、(B)ビフェニル骨格を有する架橋可能な化合物と、(C)ホスフィン酸金属塩を含む難燃剤と、を含む樹脂組成物であって、
(C)成分が、(A)成分と(B)成分と(C)成分との合計100質量部に対して、5質量部~50質量部であり、
硬化物の10GHzでの誘電正接の25℃での値に対する120℃での値の変化率が、30%以下であることを特徴とする。
【0016】
(A)成分である水添スチレン系エラストマーは、フィルム性状、耐熱性等に寄与する。また、高周波帯において優れた電気特性、低誘電率、低誘電正接を付与する。さらに、tanδの温度依存性が小さい。また、(A)成分は、硬化後の基板用樹脂組成物が外部からの応力を緩和できるような適度の柔軟性を有しているため、基板内に生じる応力を緩和することができる。(A)成分としては、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン-エチレン/プロピレン-スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン-(エチレン-エチレン/プロピレン)-スチレンブロック共重合体(SEEPS)が挙げられ、耐熱性の観点から、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレンブロック共重合体(SEBS)が、好ましい。(A)成分は、重量平均分子量は、30,000~200,000であるものが好ましい。重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により、標準ポリスチレンによる検量線を用いた値とする。(A)成分は、単独でも2種以上を併用してもよい。
【0017】
(B)成分であるビフェニル骨格を有する架橋可能な化合物は、硬化物のTgを高く、硬化後の基板用樹脂組成物の経時変化を生じにくくすることができ、基板の長期信頼性を維持できる。また、tanδの温度依存性が小さい。ビフェニル骨格を有する架橋可能な化合物としては、ビニル基が結合したフェニル基を両末端に持つポリエーテル化合物(以下、変性PPEという)、ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂等が挙げられる。変性PPEやビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂は、樹脂中の親水基の数が少ないため吸湿性が小さく耐湿性に優れる。また、これらは、絶縁性に優れており、基板用樹脂組成物から形成される基板の厚さを薄くしても、基板の信頼性を維持することができる。
【0018】
ビニル基が結合したフェニル基を両末端に持つポリエーテル化合物としては、一般式(1):
【0019】
【化1】
【0020】
【化2】
【0021】
(式中、
、R、R、R、R、R、Rは同一又は異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基又はフェニル基であり、
-(O-X-O)-は構造式(2)で示され、ここで、R、R、R10、R14、R15は、同一又は異なってもよく、ハロゲン原子又は炭素数6以下のアルキル基又はフェニル基であり、R11、R12、R13は、同一又は異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数6以下のアルキル基又はフェニル基であり、
-(Y-O)-は構造式(3)で示される1種類の構造、又は構造式(3)で示される2種類以上の構造がランダムに配列したものであり、ここで、R16、R17は同一又は異なってもよく、ハロゲン原子又は炭素数6以下のアルキル基又はフェニル基であり、R18、R19は同一又は異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数6以下のアルキル基又はフェニル基であり、
Zは炭素数1以上の有機基であり、場合により酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子を含むこともあり、
a、bは少なくともいずれか一方が0でない、0~300の整数を示し、
c、dは0又は1の整数を示す)で示される化合物(以下、変性PPEという)が、挙げられる。
【0022】
一般式(1)で示される変性PPEの-(O-X-O)-についての構造式(2)において、R、R、R10、R14、R15は、好ましくは、炭素数3以下のアルキル基であり、R11、R12、R13は、好ましくは、水素原子又は炭素数3以下のアルキル基である。具体的には、構造式(4)が挙げられる。
【0023】
【化3】
【0024】
-(Y-O)-についての構造式(3)において、R16、R17は、好ましくは、炭素数3以下のアルキル基であり、R18、R19は、好ましくは、水素原子又は炭素数3以下のアルキル基である。具体的には、構造式(5)又は(6)が挙げられる。
【0025】
【化4】
【0026】
Zは、炭素数3以下のアルキレン基が挙げられ、具体的には、メチレン基である。
【0027】
a、bは少なくともいずれか一方が0でない、0~300の整数を示し、好ましくは0~30の整数を示す。
【0028】
数平均分子量1000~4500である一般式(1)の変性PPEが好ましい。より好ましい数平均分子量は、1000~3000である。上記の変性PPEは、単独でも、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0029】
ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂は、基板用樹脂組成物の接着強度向上、他の構造のエポキシ樹脂に比べ、tanδの温度依存性を小さくする観点から、好ましい。また、エポキシ当量は150~300であり、分子中に水酸基を含まないことが好ましい。しかしながら、ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂は、含まれなくてもよい。ある態様においては、基板用樹脂組成物は、実質的にエポキシ樹脂を含まない。
【0030】
(B)成分は、さらに、開始剤あるいは硬化剤を含むと、好ましい。変性PPE用の開始剤としては有機過酸化物が、ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂の硬化剤としては、フェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、イミダゾール系硬化剤、酸無水物系硬化剤等が挙げられる。特に、イミダゾール系硬化剤であると、ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂に対する硬化性、接着性、tanδの温度依存性を小さくする観点から、好ましい。(B)成分は、単独でも2種以上を併用してもよい。
【0031】
(C)成分であるホスフィン酸金属塩を含む難燃剤としては、M(POOR2021(式中、Mは、Li、Na、K、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、Ge、Sn、Sb、Bi、Zn、Ti、Zr、Mn、Fe、またはCeであり、R20、R21は、それぞれ、炭素数1~5個の脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基であり、eおよびfは、1~9の整数である)が、挙げられる。これらの中で、難燃性の観点およびtanδの温度依存性を小さくする観点から、ホスフィン酸アルミニウムが好ましく、ジアルキルホスフィン酸アルミニウムがより好ましく、ジエチルホスフィン酸アルミニウムがさらに好ましい。
【0032】
(C)成分としてホスフィン酸金属塩以外に使用可能な難燃剤としては、ノンハロゲンであり、かつ、tanδの温度依存性が小さい難燃剤が、挙げられる。具体的には、ビフェノールビス-ジキシレニルホスフェート、10-(2,5-ジヒドロキシフェニル)-10-H-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド等が、挙げられる。(C)成分は、単独でも2種以上を併用してもよい。
【0033】
(A)成分は、(A)成分と(B)成分との合計100質量部に対して、50~80質量部であると好ましく、55~80質量部であるとより好ましい。(A)成分の含有量が、(B)成分の含有量以上となることにより、基板用樹脂組成物のピール強度が高くなり易く、また、耐熱信頼性(例えば、125℃で1000時間以上)が向上し易くなる。
【0034】
また、(A)成分は、(A)成分と(B)成分と(C)成分との合計100質量部に対して、32.5~70質量部であると好ましく、40~70質量部であると好ましく、40~64質量部であるとさらに好ましい。
【0035】
(C)成分は、難燃性付与および高周波特性の観点から、(A)成分と(B)成分と(C)成分との合計100質量部に対して、15質量部~50質量部である。
【0036】
ここで、(C)成分が、ホスフィン酸金属塩のみであるときには、(A)成分と(B)成分と(C)成分との合計100質量部に対して、ホスフィン酸金属塩は、20~35質量部であると、好ましい。
【0037】
(C)成分が、ホスフィン酸金属塩と他の難燃剤からなる場合には、ホスフィン酸金属塩が、(A)成分と(B)成分と(C)成分との合計100質量部に対して、5質量部以上15質量部未満であり、その他の難燃剤が20~40質量部であり、かつ(C)成分である難燃剤の合計が、25~50質量部であると、難燃性、高周波特性、接着性、耐熱性の観点から、好ましい。
【0038】
なお、基板用樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、無機フィラー、シランカップリング剤、消泡剤、分散助剤、酸化防止剤、消泡剤、レベリング剤、揺変剤、ブルーミング防止剤、ブロッキング防止剤等の添加剤や、有機溶剤を含むことができる。
【0039】
無機フィラーとしては、硬化物物性を改善する観点から、一般的な無機フィラーを使用することができる。低熱膨張係数の点から、SiO、所望の硬化物物性を得る点から、タルク、カオリン、BaSO、CaCO、MgO、Al、SiO、AlN、BN、ダイヤモンドフィラー、ZnO、SiCからなる群より選択される少なくとも1種以上の無機フィラーであると、好ましい。これらフィラーは、表面処理されていてもよい。
【0040】
無機フィラーの平均粒径(粒状でない場合は、その平均最大径)は、特に限定されないが、0.05~20μmであることが、フィラー粒子表面の吸湿に基づく樹脂硬化物の耐湿性の低下を防ぐため、また、所望の厚さの塗膜を得るために、好ましい。無機フィラーの平均粒径が0.05μm未満だと、比表面積が大きいため無機フィラー表面への吸湿量が増大し、樹脂硬化物の耐湿性が悪化するおそれがある。20μm超だと、必要な塗膜の厚さに対して大きすぎ、所望の厚さの膜厚を得ることができないおそれがある。さらに、微細パターンの基板での使用においては、パターンの大きさに対して、フィラーが大きすぎるため、パターン上にフィラー材質と樹脂が局在化することにより誘電損失が増大するおそれがある。無機フィラーの平均粒径は、より好ましくは、1~10μmであり、さらに、最大粒径が10μm以下であることが好ましい。最大粒径を10μm以下とすることで、10GHz以上の周波数帯域における誘電損失が増大するのを防ぎやすくなる。ここで、無機フィラーの平均粒径および最大粒径は、レーザー散乱回折式粒度分布測定装置より測定する。無機フィラーは、単独でも2種以上を併用してもよい。
【0041】
有機溶剤としては、芳香族系溶剤、例えばトルエン、キシレン等、ケトン系溶剤、例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等、また、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、1-メチル-2-ピロリドン等の高沸点溶剤等が、挙げられる。有機溶剤は、単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、有機溶剤の使用量は、特に限定されず、樹脂組成物の塗布方法に応じて、各々好ましい粘度となるよう、調整できればよい。具体的には、固形分が20~80質量%となるように、有機溶剤を使用することができる。
【0042】
基板用樹脂組成物は、(A)~(C)成分等を含む原料を、有機溶剤に溶解又は分散等させることにより、得ることができる。これらの原料の溶解又は分散等の装置としては、特に限定されるものではないが、加熱装置を備えた攪拌機、デゾルバー、ライカイ機、3本ロールミル、ボールミル、プラネタリーミキサー、ビーズミル等を使用することができる。また、これら装置を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0043】
基板用樹脂組成物は、例えば、130~220℃、30~180分間で、熱硬化させることができる。基板用樹脂組成物は、E型粘度計を用い10rpm、25℃で測定した値が0.1~100Pa・sの粘度のものを、所望の塗布方法に応じて適宜選択することができる。
【0044】
基板用樹脂組成物は、硬化物の10GHzでのtanδの25℃での値に対する120℃での値の変化率が、30%以下である。10GHzでのtanδの25℃での値に対する120℃での値の変化率が、30%より大きい場合には、市場要求を満たさない。10GHzでのtanδの25℃での値に対する120℃での値の変化率は、20%以下であることが好ましく、10%以下であることがさらに好ましい。
【0045】
基板用樹脂組成物は、その周波数帯域での使用の観点から、10GHzでの誘電正接が、0.0030以下であると、好ましい。基板用樹脂組成物は、配線板の接着層やカバーレイや基板自体に使用することができる。
【0046】
〔ミリ波基板用樹脂組成物の使用製品〕
本発明のミリ波基板用接着フィルムは、上述のミリ波基板用樹脂組成物を含む。このミリ波基板用接着フィルムは、基板用樹脂組成物により形成される。
【0047】
ミリ波基板用接着フィルムは、基板用樹脂組成物を、所望の支持体に塗布した後、乾燥することにより得られる。支持体は、特に限定されず、銅、アルミニウム等の金属箔、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等の有機フィルム等が挙げられる。支持体はシリコーン系化合物等で離型処理されていてもよい。
【0048】
基板用樹脂組成物を支持体に塗布する方法は、特に限定されないが、薄膜化・膜厚制御の点からはマイクログラビア法、スロットダイ法、ドクターブレード法が好ましい。スロットダイ法により、熱硬化後の厚さが、例えば、10~300μmのミリ波基板用接着フィルムを得ることができる。
【0049】
乾燥条件は、基板用樹脂組成物に使用される有機溶剤の種類や量、塗布の厚み等に応じて、適宜、設定することができ、例えば、50~120℃で、1~30分程度とすることができる。このようにして得られた絶縁性のミリ波基板用接着フィルムは、良好な保存安定性を有する。なお、ミリ波基板用接着フィルムは、所望のタイミングで、支持体から剥離することができる。
【0050】
ミリ波基板用接着フィルムは、例えば、130~220℃、30~180分間で、熱硬化させることができる。
【0051】
ミリ波基板用接着フィルムの厚さは、10μm以上300μm以下であると好ましく、20μm以上200μm以下であると、より好ましい。10μm未満では所望する絶縁性や塗膜の強度や耐久性を得られなくなるおそれがある。300μmを超えると、硬化時の応力が大きくなり基板が反るなどの不具合が発生するおそれがある。
【0052】
本発明のミリ波基板は、上述のミリ波基板用樹脂組成物の硬化物を含む。すなわち、上述のミリ波基板用接着フィルムの硬化物を含む。
【0053】
本発明のミリ波レーダー基板は、上述のミリ波基板用樹脂組成物の硬化物を含む。すなわち、上述のミリ波基板用接着フィルムの硬化物を含む。
【0054】
本発明の半導体装置は、上記のミリ波基板、または上記のミリ波レーダー基板を含む。
【実施例0055】
本発明について、実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の実施例において、部、%はことわりのない限り、質量部、質量%を示す。
【0056】
表1~3に記載した実施例・比較例で使用した原料を、以下に示す。
G1652MU:クレイトンポリマー製水添スチレン系エラストマー SEBS
OPE-2St 2200:三菱瓦斯化学製スチレン末端変性PPEオリゴマー(分子量:Mn2200)
YX4000HK:三菱ケミカル製ビフェニル骨格エポキシ樹脂
OP935:次の化学式で示されるクラリアントケミカルズ製ジエチルホスフィン酸アル
ミニウム(ホスフィン酸アルミニウム塩):
【0057】
【化5】
【0058】
KBE-846:信越化学製シランカップリング剤 ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド
KBM-573:信越化学製シランカップリング剤 N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン
パークミルD:日本油脂製有機過酸化物 ジクミルパーオキサイド
EH-2021:ADEKA製変性イミダゾール
FB-3SDX:デンカ製球状シリカフィラー(平均粒径:3.4μm)
PX-200:次の化学式で示される大八化学工業製レゾルシノールビス-ジキシレニルホスフェート:
【0059】
【化6】
【0060】
PX-202:次の化学式で示される大八化学工業製ビフェノールビス-ジキシレニルホスフェート:
【0061】
【化7】
【0062】
TPP:次の化学式で示される大八化学工業製トリフェニルホスフェート:
【0063】
【化8】
【0064】
FP-600:次の化学式で示されるADEKA製ビスフェノールAビス-ジフェニルホスフェート:
【0065】
【化9】
【0066】
FP-100:次の化学式で示される伏見製薬所製フェノキシシクロホスファゼン:
【0067】
【化10】
【0068】
HCA-HQ-HS:次の化学式で示される三光製10-(2,5-ジヒドロキシフェニル)-10-H-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド:
【0069】
【化11】
【0070】
HCA:次の化学式で示される三光製9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド:
【0071】
【化12】
【0072】
TR2003:JSR製非水添スチレン系エラストマー SBS
【0073】
〔実施例1~9、比較例1~11〕
表1~3に示す配合(質量部)で、各成分を計量した後、先に所定量のトルエンを投入した加熱攪拌機に、(A)成分または(A’)成分、および(B)成分を投入し、70℃、常圧で、攪拌羽根を回転数35rpmで回転させながら、溶解混合を2時間行った。その後、常温まで冷却してから、(C)成分や(C’)成分、その他の成分を投入し、攪拌羽根を回転数60rpmで回転させ、攪拌混合を1時間行った。次に、撹拌物に、塗工に適した粘度になるよう所定量のトルエンを加え、攪拌して希釈した。その後、樹脂組成物を、湿式微粒化装置(吉田機械興業株式会社製、型番:ナノマイザーMN2-2000AR)を用いて、分散させた。
【0074】
このようにして得られた樹脂組成物を含む塗工液を、支持体(離型処理をほどこしたPETフィルム)の片面に塗布し、100℃で乾燥させることにより、支持体付のミリ波基板用接着フィルム(厚さ100μm)を得た。
【0075】
〔1.難燃性評価〕
UL94のVTM燃焼試験方法に準じて試験を行い、難燃性の判定を行った。得られたミリ波基板用接着フィルムを200℃×60分、10kgfで加熱硬化させ、支持体から剥離した後、長さ200±5mm×幅50±1mmの大きさに裁断して、試験片とした。試験片の50mmの辺を底辺とし、底辺から125mmの位置に幅に沿ってペンで票線を引き、試験片の長手方向に直径:12.7±0.5mmの棒を当てて試験片を巻きつけ、票線より上の部分を感圧テープで貼り付けた後、棒を引き抜き、この筒状にした試験片の上端を煙突効果が発生せぬよう感圧テープで閉じた。この試験片の上端を、スタンドにセットしたクランプで掴み、試験片を垂直に保持した。内径:9.5±0.3mm(0.374±0.012インチ)のブンゼンバーナーに点火し、炎が黄色の無い青い炎で高さ:19mm:(3/4インチ)となるよう調節した。この炎を、筒状試験片の下端中央部にバーナーの口との間隔が9.5mm(3/8インチ)となるようにかざして、1回目の接炎を3±0.5秒間行った後取り去り、試験片の燃焼時間(火種時間も含む)を測定した。消火したら直ちに2回目の接炎を3±0.5秒間行って取り去り、燃焼時間(火種時間も含む)を測定した。各実施例比較例につきそれぞれ5本の試験片で試験を行い、以下に示すVTM-0の判定条件を満たしたものをVTM-0相当と判断して合格とし、結果の表記はVTM-0相当のものを「○」、そうでないものを「×」とした。
【0076】
〈VTM-0の判定条件〉
(1)各試験片の1回目または2回目の離炎後の燃焼時間が10秒以下。
(2)5本の試験片の1回目と2回目の燃焼時間の合計が50秒以下。
(3)2回目の離炎後の燃焼時間の合計が30秒以下。
(4)燃焼が票線に達しないこと。
(5)燃焼時の落下物による脱脂綿(試験片の下方に設置)の着火が無いこと。
※但し燃焼時の落下物が無かったため、脱脂綿の着火には着目しなかった。
【0077】
〔2.比誘電率(ε)、誘電正接(tanδ)の評価〕
ミリ波基板用接着フィルムを支持体から剥離した後、約1mmの厚さとなるように積層して、200℃×60分、10kgfで加熱硬化させた後、幅:約1mm、長さ:約20mmとなるよう裁断し、棒状の試験片とした。この試験片の寸法を測定し、精密恒温槽中で、空洞共振器により10GHzでの、25℃における比誘電率(ε)および誘電正接(tanδ)を測定した。比誘電率は3.5以下、誘電正接は0.003以下であると、好ましい。
【0078】
〔3.比誘電率(ε)、誘電正接(tanδ)の温度依存性(温度特性)評価〕
〔2.比誘電率(ε)、誘電正接(tanδ)の評価〕で作製した試験片を、120℃に加温した精密恒温槽内で、空洞共振器を用いて10GHzでの120℃における比誘電率(ε)および誘電正接(tanδ)を測定した。この値から25℃の測定値に対する変化率%を求めた。変化率は、±30%以下であると好ましい。
【0079】
〔4.ピール強度の評価〕
ミリ波基板用接着フィルムの両面に、銅箔(CF-T9FZSV、福田金属箔粉工業株式会社製、厚さ:18μm)を、粗化面を内側にして貼り合わせ、プレス機で200℃×60分、30kgfの条件でプレス硬化させた。この試験片を10mm幅で裁断し、オートグラフで銅箔との界面から引きはがして、180°のピール強度を測定した(JIS K6854-2に準拠)。n=5の平均値を測定値とした。ピール強度は、4.5(単位:(N/cm))以上であると、好ましい。
【0080】
〔5.はんだ耐熱性の評価〕
〔4.ピール強度の評価〕と同様に銅箔を張り合わせ硬化させたものを、30×30mmで裁断し、試験片とした。これを260℃に加熱したはんだ浴の表面に60秒間載せ、ふくれの発生の有無を目視で観察した。n=3で試験し、ふくれが発生しなかったものを「○」、ふくれが発生したものを「×」とした。
【0081】
【表1】
【0082】
【表2】
【0083】
【表3】
【0084】
表1~3に、実施例・比較例の配合と評価結果を示す。表1~3において、フィラー比率とは、トルエンを除く全成分に対するシリカフィラーの体積割合(Vol%)であり、シリカフィラーの比重を2.2、その他の成分の比重を1.0として算出したものである。また、エラストマー比率とは、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対する(A)成分の質量割合(%)である。実施例1を、基準の配合とした。実施例1は、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して(A)成分:(B)成分の比率を65:35とし、(C)成分の配合量を、(A)成分と(B)成分と(C)成分の合計100質量部に対して、30質量部とし、シリカフィラーの配合比率が50vol%(体積%)となるよう227質量部とし、シランカップリング剤としてKBE-846(スルフィド系)を使用したものである。実施例2は、実施例1の配合からシリカフィラーを抜いたものである。実施例3は、(C)成分の配合量を、(A)成分と(B)成分と(C)成分の合計100質量部に対して、20質量部とし、(B)成分の一部をビフェニル骨格エポキシ樹脂に置き換えたものである。(A)成分:(B)成分の比率は、60:(35:5)である。実施例4は、(C)成分の配合量を、(A)成分と(B)成分と(C)成分の合計100質量部に対して、50質量部としたものである。実施例5は、(C)成分の配合量を、(A)成分と(B)成分と(C)成分の合計100質量部に対して、15質量部としたものである。実施例6は(C)成分の配合量を、(A)成分と(B)成分と(C)成分の合計100質量部に対して、20質量部とし、(A)成分:(B)成分の比率を80:20としたものである。実施例7は、(C)成分の配合量を、(A)成分と(B)成分と(C)成分の合計100質量部に対して、20質量部とし、(A)成分:(B)成分の比率を55:45としたものである。実施例8は、(C)成分の配合量を、(A)成分と(B)成分と(C)成分の合計100質量部に対して、20質量部とし、その他の成分であるシランカップリング剤を、KBM-573(アミノ系)に変更したものである。実施例9は、2種類の(C)難燃剤を併用したものである。より詳細には、(C)成分の配合量を、(A)成分と(B)成分と(C)成分の合計100質量部に対して、45質量部とし、ホスフィン酸金属塩が5質量部で、他の難燃剤(HCA-HQ-HS)40質量部と組み合わせた実施例である。
【0085】
表1からわかるように、実施例1~9の全てで、難燃性がVTM-0相当であり、εとεの温度依存性が低く、tanδとtanδの温度依存性も小さく、ピール強度は高く、はんだ耐熱性が高い、と良好な結果であった。
【0086】
表2からわかるように、比較例1~7は、実施例1の(C)成分を、他のリン系難燃剤((C’)成分)に同じ含有量で置き換えたものである。比較例1~7の全てで、難燃性はVTM-0を達成できず、実施例1より劣っていた。ただし、PX-202を使用した比較例2とHCA-HQ-HSを使用した比較例6は、tanδの25℃での値は小さく、また、温度特性も良好であった(温度依存性が小さかった)。しかし、比較例1、比較例3、比較例4、比較例5、比較例7の温度特性は非常に悪く(温度依存性が大きく)、さらに比較例3、比較例4、比較例5は、tanδの25℃での値が、0.003を超えており、ミリ波基板用途には使用できないレベルであった。また比較例4、比較例7は、ピール強度が低かった。
【0087】
表3からわかるように、比較例8は、実施例1の(A)成分を、非水添スチレン系エラストマー((A’)成分)に置き換えたものであり、tanδの温度特性が悪かった(温度依存性が大きかった)。比較例9は、実施例1の(C)成分の配合量を、(A)成分と(B)成分と(C)成分の合計100質量部に対して、55質量部としたものであり、はんだ耐熱性が実施例1に比べて劣り、ピール強度も低かった。比較例10は、実施例1の(C)成分の配合量を、(A)成分と(B)成分と(C)成分の合計100質量部に対して、10質量部としたものであり、難燃性がVTM-0を達成できなかった。比較例11は、実施例1から(C)成分を抜き、難燃剤を配合しなかったものであり、難燃性がVTM-0を達成できなかった。他方、温度特性は良好であった(温度依存性が小さかった)。
【0088】
上記のように、本発明のミリ波基板用樹脂組成物は、樹脂組成物の硬化物が高周波特性に優れ、tanδの温度依存性が小さく、かつ難燃性に優れ、ミリ波レーダー用の絶縁体として使用することが可能であり、高信頼性のミリ波基板、ミリ波レーダー基板、半導体装置の製造に、非常に有用である。