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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178473
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】小児患者のがんの治療方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/675 20060101AFI20231207BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20231207BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
A61K31/675
A61P35/00
A61P35/02
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023184044
(22)【出願日】2023-10-26
(62)【分割の表示】P 2020550647の分割
【原出願日】2019-03-18
(31)【優先権主張番号】62/645,089
(32)【優先日】2018-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000002934
【氏名又は名称】武田薬品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】シャロン ボーエン
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ハンリー
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ケルシュタイン
(72)【発明者】
【氏名】カルティク ヴェンカタクリシュナン
(57)【要約】
【課題】小児患者のがんの治療方法の提供。
【解決手段】本発明で提供するのは、ブリガチニブを単剤療法として、または1つ以上の第2の治療剤との併用療法として用いて、小児患者のがん(例えば、炎症性筋線維芽細胞腫瘍、未分化大細胞型リンパ腫及び神経芽腫)を治療する方法である。本発明で提供するのは、がんである小児患者のがんの治療方法であって、その患者に、下記の式の化合物Aまたはその薬学的に許容される塩を治療有効量投与することを含む方法である。化合物Aは、単剤療法として、または1つ以上の第2の治療剤との併用療法で投与することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2018年3月19日に出願された米国特許仮出願第62/645,089号に基づく優先権を主張するものであり、その仮出願の全体は、参照により、本明細書に援用される。
【0002】
本発明で提供するのは、ブリガチニブを単剤療法または1つ以上の第2の治療剤との併用療法として用いて、小児患者のがん(例えば、炎症性筋線維芽細胞腫瘍及び未分化大細胞型リンパ腫)を治療する方法である。
【背景技術】
【0003】
ブリガチニブは、経口(PO)投与される新規なチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)である。ブリガチニブは、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)の活性化バリアントを強力に阻害する。
【0004】
ALKは、2番染色体上にコードされているチロシンキナーゼであって、初期脳発生において生理学的な役割を果たすチロシンキナーゼである。ALKは、成人では発現レベルが低いが、非小細胞肺癌(NSCLC)、成人病、ならびに主に小児患者または青少年が罹患する炎症性筋線維芽細胞腫瘍(IMT)及び未分化大細胞型リンパ腫(ALCL)を含むいくつかの悪性腫瘍では、変化して活性化し得る。これらの状態のそれぞれにおいて、最も多くみられる、ALKの変化には、染色体の再構成による融合遺伝子の形成が伴う。Holla et al.,Cold Spring Harb.Mol.Case Stud.2017,3(1),a001115。NSCLCで発見された最初のALK遺伝子再構成には、棘皮動物微小管結合タンパク質様4(EML4)遺伝子とALKチロシンキナーゼドメイン(KD)との融合が伴っていた。それ以降、シグナル伝達異常及び発がん性形質転換を引き起こすと考えられる追加のALK融合パートナーが数多く説明されてきた。Rikova et al.,Cell 2007,131(6),1190-203、Takeuchi et al.,Clin.Cancer Res.2009,15(9),3143-9。NSCLC、IMT及びALCLで見られる融合遺伝子とは対照的に、別の主要小児がんである神経芽腫では、再構成が見られない、完全長ALKの活性化変異が生じる。Holla et al.,2017。
【0005】
欧州では、進行性の未分化リンパ腫キナーゼ陽性(ALK+)NSCLCである患者の治療用として、クリゾチニブ、セリチニブ及びアレクチニブという3つのALK阻害剤が承認されている。加えて、ブリガチニブは、米国食品医薬品局(FDA)から、クリゾチニブを服用しても進行したか、またはクリゾチニブに不耐である患者の転移性ALK+NSCLCの治療用としての迅速承認を受理されたとともに、過去にクリゾチニブによる治療を受けたALK+NSCLC患者の治療にクリゾチニブを用いることに関して、欧州販売承認申請(MAA)が審査中である。ALK阻害剤クリゾチニブは、ALK+NSCLCに対する有効な治療剤である一方で、患者の26%~35%では応答が見られず、その大半が、1年以内に進行する。最終的には、クリゾチニブで治療したNSCLC患者のおよそ30%では、主に、ALK融合遺伝子に、クリゾチニブの結合及び/または増幅を妨げる二次変異が生じることにより、ALK依存性の耐性機序が観察される。Gainor
et al.,Clin.Cancer Res.2013,19(15),4273-81、Katayama et al.,Clin.Cancer Res.2015,21(10),2227-35、Toyokawa et al.,J.Thorac.Oncol.2015,10(7),e55-7。重要なことに、ブリガチニブを含む新しい薬剤では、これらの耐性機序の多くを克服できることが示されている。Zhang et al.,Clin.Cancer Res.2016,22(22),5527-38。ブリガチニブは、in vitro試験において、クリゾチニブ、セリチニブ及びアレクチニブよりも強力なALK阻害剤であったとともに、これらの薬剤のうち、患者において得られる暴露量が適切なレベルな状態において、試験したEML4-ALKのALK二次変異体17個のすべてに対して、充分な活性を維持した唯一の薬剤である。
【0006】
ブリガチニブは、有望な非臨床所見に加えて、ヒト初回投与(FIH)試験(Study AP26113-11-101)、及びクリゾチニブに不応であった成人のALK+NSCLC患者での第2相試験(Study AP26113-13-201、ALTA試験)において、かなりの全身応答及び頭蓋内応答が見られた。ALTAでは、1日当たりの用量が180mgにおいて、堅実な客観的奏効率(ORR)及び応答持続性が観察された(この用量は、7日間のリードイン後、1日90mgから開始した(1日に1回(QD)、90→180mg))。この試験では、90→180mg QDの用量において、治験医の評価による確定ORRは55.5%、奏効期間(DOR)は13.8カ月、無増悪生存期間(PFS)は15.6カ月であった。第3相試験(Study AP26113-13-301、ALTA 1L)は、ALK阻害剤による治療を未経験である局所進行性または転移性のALK+NSCLC患者において、PFSに基づき、ブリガチニブの有効性とクリゾチニブの有効性を比較することを主要目標として、実施されている最中である。
【0007】
小児及び青少年では、NSCLCの症例は極めてまれであるので、NSCLCは原則として成人病である。しかしながら、上述のように、IMT、ALCL及び神経芽腫を含め、小児集団に関連する様々な腫瘍では、ALKが再構成、変異または増幅される。したがって、ALKは依然として、これらの状態を有する小児患者における合理的な治療標的である。Takita,Cancer Sci.2017,108(10),1913-20。
【0008】
これらのがんのうちの1つ目であるIMTは、慢性炎症像を伴う紡錘状の筋線維芽細胞によって特徴付けられる非常にまれな固形腫瘍であり、主に小児及び青少年において、主として肺、軟組織及び腹部で発生する。IMTの50%~70%で、ALKを活性化させる染色体転座が存在し、この転座は、年齢が低いほど一般的であり、最も一般的であるのは、トロポミオシン3/4(TPM3/4)とALKの融合であるが、NSCLCにおけるように、EML4とALKの逆位も見られる。Alaggio et al.,Cancer 2009,116(1),216-26、Griffin et al.,Cancer Res.1999,59(12),2776-80、Antonescu et al.,Am.J.Surg.Pathol.2015,39(7),957-67。IMTの治療は概して、外科的切除に限られ、進行性/再発性の疾患の場合、または完全切除が不可能な場合には、標準的な薬理学的アプローチは存在しない。Dalton et al.,J.Pediatr.Surg.2016,51(4),541-4。
【0009】
これらの状態のうちの2つ目であるALCLは、まれな型の非ホジキンリンパ腫(NHL)であり(欧州における年間新規症例数:約110例)、この疾患も、主として小児及び青少年が発症する。ALCLは、CD30を発現するTリンパ細胞またはヌル細胞の増殖によって特徴付けられる。小児ALCL患者の最大90%が、ALK+疾患を有する一方で、成人ALCL患者がALK陽性となる頻度は、小児患者よりも低い(50%)。Damm-Welk et al.,Blood 2007,110(2),670-7、Gustafson et al.,Ann.Diagn.Pathol.2009,13(6),413-27。ヌクレオホスミン1(NPM1)-ALKの融合を伴う転座は、ALK+ALCLの75%~80%を占め、TPM3-ALKの融合を伴う転座は、12%~18%を占める。Holla et al.,2017、Pulford et al.,J.Cell Physiol.2004,199(3),330-58。ALCLは、化学療法に対する感受性が非常に高く、いくつかの化学療法レジメンが、最前線及び難治性の状態の両方で用いられている。
【0010】
そして、神経芽腫は、胎児交感神経系に起因するまれな小児悪性腫瘍である(欧州における年間新規ALK+症例数:100例未満)。ALKの転座が重きをなすIMT及びALCLに対して、神経芽腫では、ALKの活性化点変異が、腫瘍形成の重要な動因であり、家族性神経芽腫のほぼすべての症例、ならびに、自然発生性疾患の6%~10%で、ALKの変異が見られる。Louis et al.,Annu.Rev.Med.2015,66,49-63、Mosse et al.,Nature 2008,455(7215),930-5。神経芽腫においては、他の重要な動因がん遺伝子が充分に確立されており、最も顕著なのは、MYCNの増幅である。神経芽腫の標準治療には、リスクの状態に応じて、化学療法、切除、放射線療法、生物学的治療及び免疫療法が含まれる。Berlanga et al.,Expert Opin.Emerg.Drugs 2017,22(1),63-75。
【0011】
IMTに関しては、その状態を管理するための承認済みの薬理学的アプローチ、または厳密に試験した薬理学的アプローチは存在しない。すなわち、複雑な病変またはその他の要因により、切除を適用できない患者は、IMT患者集団の中で未充足ニーズが最も高い。したがって、切除不能な病変を制御するか、または切除可能にするために、ネオアジュバント療法剤として機能することができる新規薬剤が必要とされており、その薬剤は、これらの患者にとって、大きな進歩となるであろう。
【0012】
今日では、欧州の大半の小児群では、ALCL99の化学療法レジメンが、ALCLに対する標準療法として用いられている。このアプローチは、侵襲性B細胞NHLで以前に使用されたBFMプロトコールに由来する。治療レジメンは、試験によって多少異なるが、典型的には、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、副腎皮質ステロイド、イホスファミド及びエトポシドを4~6カ月投与するとともに、中枢神経系(CNS)予防のために、高用量のメトトレキセート及びシタラビンを投与することを含む。Eyre et al.,European Journal of Haematology 2014,93(6),455-68、Turner et al.,Br.J.Haematol.2016,173(4),560-72。これまでに完了したALCL99ベースの試験のうち最大規模の試験で観察されたEFS率は、2年で73%であった。初期療法後、ALCL患者の約20%~40%が、後に、再発性疾患を発症する。再発リスクの最も高い患者は、MDD+状態であるとともに、抗ALK抗体価が1/750以下である患者であると見られる。Mussolin et al.,Leukemia
2013,27(2),416-22。しかしその一方で、継続中の試験の主な目的には、既知の高リスクALCLである患者で再発を予防する治療レジメンの特定が含まれるはずであり、これらの患者のための療法の改善に対する高い未充足ニーズが存在する。したがって、高リスクな形質を呈する(例えば、診断時にMDDであるか、またはALK抗体価が低い)ALCL患者は、再発を予防するかまたは未然に防ぐことを目的として、攻撃性または多様性の向上した最前線の介入であって、より大きな奏効を促す介入から恩恵を受けることができる。特に、再発は、予後不良と関連付けられているからである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Holla et al.,Cold Spring Harb.Mol.Case Stud.2017,3(1),a001115
【非特許文献2】Rikova et al.,Cell 2007,131(6),1190-203、
【非特許文献3】Takeuchi et al.,Clin.Cancer Res.2009,15(9),3143-9
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明で提供するのは、がんである小児患者のがんの治療方法であって、その患者に、下記の式の化合物A
【化1】
またはその薬学的に許容される塩を治療有効量投与することを含む方法である。化合物Aは、単剤療法として、または1つ以上の第2の治療剤との併用療法で投与することができる。
【0015】
一実施形態では、そのがんは、炎症性筋線維芽細胞腫瘍(IMT)、未分化大細胞型リンパ腫(ALCL)または神経芽腫である。一実施形態では、そのがんは、炎症性筋線維芽細胞腫瘍(IMT)または未分化大細胞型リンパ腫(ALCL)である。
【0016】
また、本発明で提供するのは、上記の方法との関連で用いることができる医薬組成物、剤形、投与レジメン及びキットである。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
がんである小児患者の前記がんの治療方法であって、前記患者に、下記の式の化合物A
【化3】

またはその薬学的に許容される塩を治療有効量投与することを含み、前記がんが、炎症性筋線維芽細胞腫瘍(IMT)、未分化大細胞型リンパ腫(ALCL)または神経芽腫である、前記方法。
(項目2)
前記がんが、未分化リンパ腫キナーゼ陽性(ALK+)である、項目1に記載の方法。(項目3)
前記がんが、IMTまたはALCLである、項目1または2に記載の方法。
(項目4)
前記がんが、神経芽腫である、項目1または2に記載の方法。
(項目5)
前記がんが、IMTである、項目1または2に記載の方法。
(項目6)
前記IMTが、切除不能または再発性のIMTである、項目5に記載の方法。
(項目7)
前記がんが、ALCLである、項目1または2に記載の方法。
(項目8)
前記ALCLが、再発性または難治性ALCLである、項目7に記載の方法。
(項目9)
前記ALCLが、新たに診断されたALCLである、項目7に記載の方法。
(項目10)
前記ALCLが、新たに診断されたALCLであって、高再発リスクALCLである、項目9に記載の方法。
(項目11)
前記高再発リスクが、診断時に微小播種病変陽性(MDD+)であるか、または診断時の抗ALK抗体価が1/750以下であることによって特徴付けられる、項目10に記載の方法。
(項目12)
化合物Aまたはその薬学的に許容される塩を経口投与する、項目1~11のいずれか1項に記載の方法。
(項目13)
化合物Aまたはその薬学的に許容される塩を1日に1回(QD)投与する、項目1~12のいずれか1項に記載の方法。
(項目14)
化合物Aまたはその薬学的に許容される塩を約30mg/m~約100mg/mの用量で投与する、項目1~13のいずれか1項に記載の方法。
(項目15)
化合物Aまたはその薬学的に許容される塩を約30mg/m、約40mg/m、約50mg/m、約60mg/m、約70mg/m、約80mg/m、約90mg/mまたは約100mg/mの用量で投与する、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記患者に、第2の治療剤を治療有効量投与することをさらに含む、項目1~15のいずれか1項に記載の方法。
(項目17)
前記第2の治療剤が、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、副腎皮質ステロイド、イホスファミド、エトポシド、メトトレキセートもしくはシタラビン、またはこれらを組み合わせたものである、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記副腎皮質ステロイドが、デキサメタゾンもしくはヒドロコルチゾン、またはこれらを組み合わせたものである、項目17に記載の方法。
(項目19)
前記第2の治療剤が、デキサメタゾンを含み、前記デキサメタゾンを約5mg/m~約10mg/mの用量で投与する、項目16~18のいずれか1項に記載の方法。
(項目20)
前記第2の治療剤が、シクロホスファミドを含み、前記シクロホスファミドを約200mg/mの用量で投与する、項目16~19のいずれか1項に記載の方法。
(項目21)
前記第2の治療剤が、イホスファミドを含み、前記イホスファミドを約800mg/mの用量で投与する、項目16~20のいずれか1項に記載の方法。
(項目22)
前記第2の治療剤が、メトトレキセートを含み、前記メトトレキセートを約3g/mの用量で投与する、項目16~21のいずれか1項に記載の方法。
(項目23)
前記第2の治療剤が、エトポシドを含み、前記エトポシドを約100mg/mの用量で投与する、項目16~22のいずれか1項に記載の方法。
(項目24)
前記第2の治療剤が、シタラビンを含み、前記シタラビンを約150mg/mの用量で投与するとともに、1日に2回投与する、項目16~23のいずれか1項に記載の方法。
(項目25)
前記第2の治療剤が、ドキソルビシンを含み、前記ドキソルビシンを約25mg/mの用量で投与する、項目16~24のいずれか1項に記載の方法。
(項目26)
化合物Aまたはその薬学的に許容される塩、及び前記第2の治療剤を21日周期で1サイクル以上投与する、項目16~25のいずれか1項に記載の方法。
(項目27)
化合物Aまたはその薬学的に許容される塩を前記21日周期の1~21日目に投与する、項目26に記載の方法。
(項目28)
前記第2の治療剤が、デキサメタゾンを含み、前記デキサメタゾンを、前記21日周期の1~5日目に投与する、項目26または27に記載の方法。
(項目29)
前記第2の治療剤が、シクロホスファミドを含み、前記シクロホスファミドを前記21日周期の1日目及び2日目に投与する、項目26~28のいずれか1項に記載の方法。
(項目30)
前記第2の治療剤が、シクロホスファミドを含み、前記シクロホスファミドを前記21
日周期の1~5日目に投与する、項目26~28のいずれか1項に記載の方法。
(項目31)
前記第2の治療剤が、ヒドロコルチゾン、メトトレキセート及びシタラビンを組み合わせたものを含み、前記組み合わせたものを前記21日周期の1日目に投与する、項目26~30のいずれか1項に記載の方法。
(項目32)
前記第2の治療剤が、イホスファミドを含み、前記イホスファミドを前記21日周期の1~5日目に投与する、項目26~31のいずれか1項に記載の方法。
(項目33)
前記第2の治療剤が、メトトレキセートを含み、前記メトトレキセートを前記21日周期の1日目に投与する、項目26~32のいずれか1項に記載の方法。
(項目34)
前記第2の治療剤が、エトポシドを含み、前記エトポシドを前記21日周期の4日目及び5日目に投与する、項目26~33のいずれか1項に記載の方法。
(項目35)
前記第2の治療剤が、シタラビンを含み、前記シタラビンを前記21日周期の4日目及び5日目に投与する、項目26~34のいずれか1項に記載の方法。
(項目36)
前記第2の治療剤が、ドキソルビシンを含み、前記ドキソルビシンを前記21日周期の4日目及び5日目に投与する、項目26~35のいずれか1項に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】40mg/mの経口液剤を投与した小児患者においてシミュレートしたブリガチニブ全身暴露量(AUC)を、90mgの経口錠剤を投与した成人患者の場合と比較したものを示している。
図2】ブリガチニブの臨床試験の概要を示している。
図3】臨床試験1におけるブリガチニブの用量案を示している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
定義
別段の定義のない限り、本明細書で用いられているすべての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書で言及されているすべての特許、出願、公開出願及びその他の刊行物は、参照により、その全体が援用される。本明細書で用いられている見出しは、整理するためのものに過ぎず、本明細書に記載されている発明を限定するものでは決してない。
【0019】
本明細書で使用する場合、かつ別段の定めのない限り、「投与する」または「投与」という用語は、経口送達、粘膜送達、皮内送達、静脈内送達、筋肉内送達及び/または本明細書に記載されているかもしくは当該技術分野において知られているいずれかの他の物理的送達方法などによって、物質を、体外に存在している際の状態で、患者に物理的に送達する行為を指す。疾患、障害もしくは状態、またはその症状を治療しているときには、その物質の投与は典型的には、疾患、障害もしくは状態、またはその症状の発症後に行う。疾患、障害もしくは状態、またはその症状を予防しているときには、その物質の投与は典型的には、その疾患、障害もしくは状態、またはその症状の発症前に行う。
【0020】
本明細書で使用する場合、かつ別段の定めのない限り、「治療」、「治療する」及び「治療すること」という用語には、対象が罹患している疾患、障害または状態を実際には除去しないとしても、その疾患、障害もしくは状態の1つ以上の症状を緩和するか、鈍化させるか、止めるか、もしくは逆転させるか、またはその疾患、障害もしくは状態の進行を遅らせるなど、その疾患、障害または状態への介入の領域がすべて含まれるように意図されている。治療には、例えば、症状の重症度の低下、症状数の減少及び/または再発頻度の低下を含めることができる。がんの治療には、例えば、腫瘍の成長の抑制、腫瘍の成長の抑止及び/またはすでに存在する腫瘍の退縮を含めることができる。
【0021】
本明細書で使用する場合、かつ別段の定めのない限り、「予防する」、「予防すること」及び「予防」という用語には、障害、疾患もしくは状態及び/またはそれに付随する症状の発症を遅らせ及び/または阻止する方法、対象が障害、疾患または状態を罹患するのを阻止する方法、あるいは、対象が障害、疾患または状態を罹患するリスクを低減する方法が含まれるように意図されている。
【0022】
本明細書で使用する場合、かつ別段の定めのない限り、「緩和する」及び「緩和すること」という用語は、障害、疾患または状態の1つ以上の症状(例えば疼痛)を軽減または減少させることを指す。これらの用語は、活性成分と関連する有害作用を軽減することも指すことができる。対象が予防剤または治療剤から得られる有益な作用によって、障害、疾患または状態が治癒されない場合もある。
【0023】
がんまたはがん関連疾患の改善は、完全奏効または部分奏効として特徴付けることができる。「完全奏効」とは、臨床的に検出可能な疾患が見られず、以前異常であったいずれかの放射線検査結果、骨髄及び脳脊髄液(CSF)の測定値または異常なモノクローナルタンパク質測定値が正常化したことを指す。「部分奏効」とは、新たな病変がない状態で、測定可能な全腫瘍量(すなわち、対象に存在する悪性細胞の数、腫瘍塊の体積測定値、または異常なモノクローナルタンパク質の量)が少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%低下することを指す。「治療」という用語では、完全奏効及び部分奏効の両方が想定されている。
【0024】
本明細書で使用する場合、かつ別段の定めのない限り、「がん」及び「がん性」という用語は、哺乳動物における生理学的な状態のうち、典型的には無秩序な細胞成長によって特徴付けられる状態を指すか、またはその状態を説明するものである。
【0025】
本明細書で使用する場合、かつ別段の定めのない限り、「腫瘍」及び「固形腫瘍」という用語は、本明細書で使用する場合、悪性か良性かにかかわらず、すべての病変及び腫瘍性細胞の成長及び増殖、ならびにすべての前がん細胞、がん細胞、前がん組織及びがん組織を指す。「腫瘍性」とは、本明細書で使用する場合、悪性か良性かにかかわらず、調節異常または無秩序な細胞成長のいずれかの形態であって、組織の異常な成長を引き起こす形態を指す。したがって、「腫瘍性細胞」には、調節異常または無秩序な細胞成長が見られる悪性細胞及び良性細胞が含まれる。
【0026】
本明細書で使用する場合、かつ別段の定めのない限り、「対象」及び「患者」という用語は、同義的に用いられている。本明細書で使用する場合、対象は、非霊長類動物(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、ラットなど)または霊長類動物(例えば、サル及びヒト)のような哺乳動物であることができる。具体的な実施形態では、対象は、ヒトである。一実施形態では、対象は、本明細書に記載されている疾患、障害または状態である哺乳動物(例えばヒト)である。別の実施形態では、対象は、本明細書に記載されている疾患、障害または状態を発現するリスクのある哺乳動物(例えばヒト)である。
【0027】
本明細書で使用する場合、かつ別段の定めのない限り、「有効量」または「治療有効量」という用語は、化合物または1つ以上の化合物を組み合わせたものの量のうち、(例えば順次または同時に)投与したときに、所望の生物学的応答または医薬的応答を誘発する量、例えば、対象において、標的がん細胞を破壊するか、またはがんの進行を鈍化させるかもしくは抑止する量を指す。治療有効量は、意図する用途(in vitroもしくはin vivo)、または治療する対象及び疾患の状態、例えば、対象の体重及び年齢、疾患の状態の重症度、投与形式などに応じて変動することがあり、当業者は、その量を容易に定めることができる。この用語は、標的細胞における特定の応答、例えば、血小板粘着及び/または細胞遊走の低減を誘導する用量にも適用される。例えば、併用療法の「治療有効量」とは、併用療法の各治療剤の量のうち、組み合わせて投与したときに有益な作用を有する量を指す。特定の実施形態では、その併用作用は、相加作用である。特定の実施形態では、その併用作用は、相乗作用である。さらに、併用療法の場合、各治療剤の量は独立して、「治療用量未満」、すなわち、単剤の治療剤の治療有効量未満で用いてよいことを当業者は認識するはずである。
【0028】
本明細書で使用する場合、かつ別段の定めのない限り、薬剤または療法剤の「治療用量未満」という用語は、単剤としての薬剤または療法剤の有効量未満の量であるが、有効量または治療用量未満の別の薬剤または療法剤と組み合わせると、例えば、得られる有効作用における相乗作用、または副作用の軽減により、医師の所望する成果をあげることができる。
【0029】
本明細書で使用する場合、かつ別段の定めのない限り、併用療法または「~と組み合わせて」とは、2つ以上の治療剤を用いて、特定の障害または状態を治療することを指す。「~と組み合わせて」とは、治療剤を同時に投与したり、及び/または併せて送達するために調合したりしなければならないことを示唆するようには意図していないが、これらの送達方法は、本開示の範囲内である。治療剤は、1つ以上の他の追加の薬剤と同時に、その追加の薬剤の前(例えば、5分前、15分前、30分前、45分前、1時間前、2時間前、4時間前、6時間前、12時間前、24時間前、48時間前、72時間前、96時間前、1週間前、2週間前、3週間前、4週間前、5週間前、6週間前、8週間前、12週間もしくは16週間前)、またはその追加の薬剤の後(例えば、5分後、15分後、30分後、45分後、1時間後、2時間後、4時間後、6時間後、12時間後、24時間後、48時間後、72時間後、96時間後、1週間後、2週間後、3週間後、4週間後、5週間後、6週間後、8週間後、12週間後または16週間後)に投与できる。併用療法の治療剤は、休薬期間(例えば、投与スケジュールの特定の日には、治療剤を投与しない)の有無にかかわらず、交互の投与スケジュールで投与できる。別の治療剤「と組み合わせた」治療剤の投与としては、その2つの薬剤の順次投与及び同時投与が挙げられるが、これらに限らない。概して、各治療剤は、その特定の薬剤に対して定められた用量及び/またはタイムスケジュールで投与する。さらに多い組み合わせ、例えば3剤併用療法も、本発明で企図されている。
【0030】
本明細書で使用する場合、かつ別段の定めのない限り、「同時投与(concomitant administration)」または「同時投与(co-administration)」という用語は、2つ以上の治療剤を同じ対象に同時に(At the same time)(同時に(simultaneously))またはほぼ同時に投与することを指す。「ほぼ同時に」には、順次投与が含まれ、順次投与の場合、次の投与までの時間は、次の投与までの意図的な遅延期間ではなく、活性剤を投与する個々の作業の速度を原因とする時間に過ぎず、例えば、1人の医療実施者が、臨床における認められた慣例及び規範に従って、第1の治療剤を投与した後に、臨床における認められた慣例及び規範に従って、第2の治療剤を投与するために必要な時間である。一実施形態では、「ほぼ同時に」には、15分以内、30分以内、1時間以内、2時間以内、6時間以内、最長で約12時間以内の期間内に投与することが含まれる。一実施形態では、同時投与は、約15分以下、約30分以下、約1時間以下、約2時間以下または約6時間以下の期間に行い、12時間は超えない。
【0031】
本明細書で使用する場合、かつ別段の定めのない限り、「順次投与」という用語は、少なくとも2つの治療剤を異なる時点に投与することを指し、その投与経路は、同じであるかまたは異なる経路である。順次投与の特定の実施形態では、治療剤のうちの1つの投与は、別の治療剤(複数可)の投与の開始前に完了する。異なる治療剤の投与作業間の遅延期間は、例えば、特定の有益な治療作用を得ることを目的とした意図的なものであってよい。一実施形態では、順次投与は、約30分以上、約1時間以上、約2時間以上、約6時間以上、約12時間以上または約24時間以上の期間を空けて行う。一実施形態では、順次投与は、約1日以上、約2日以上、約3日以上、約4日以上、約5日以上、約6日以上、約7日以上またはそれを超える期間を空けて行う。一実施形態では、順次投与は、12時間以上の期間を空けて行う。
【0032】
本明細書で使用する場合、かつ別段の定めのない限り、「相乗作用」という用語は、2つ以上の薬剤を組み合わせると、個々の各薬剤の作用の合計よりも作用が大きくなる状況を指す。この用語には、治療する障害の症状の軽減のみならず、例えば、副作用プロファイルの改善、忍容性の改善、患者コンプライアンスの改善、有効性の向上またはいずれかの他の臨床転帰の改善も含まれる。
【0033】
本明細書で使用する場合、かつ別段の定めのない限り、「約」または「およそ」という用語は、当業者によって定められるような、特定の値の許容誤差を意味する(その誤差は部分的には、その値の測定方法または決定方法に左右される)。特定の実施形態では、「約」または「およそ」という用語は、1標準偏差以内、2標準偏差以内、3標準偏差以内または4標準偏差以内を意味する。特定の実施形態では、「約」または「およそ」という用語は、所定の値または範囲の50%以内、20%以内、15%以内、10%以内、9%以内、8%以内、7%以内、6%以内、5%以内、4%以内、3%以内、2%以内、1%以内、0.5%以内または0.05%以内を意味する。
【0034】
本明細書で使用する場合、かつ別段の定めのない限り、「薬学的に許容される塩」という用語は、当該技術分野において周知の様々な有機対イオン及び無機対イオンに由来する塩を指す。薬学的に許容される酸付加塩は、無機酸及び有機酸と形成し得る。好適な塩の論評については、例えば、BERGE et al.,J.Pharm.Sci.66:1-19(1977)及びRemington:The Science and Practice of Pharmacy,20th Ed.,A.Gennaro,Lippincott Williams & Wilkins,2000を参照されたい。好適な酸性塩の非限定的な例としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、乳酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸などが挙げられる。好適な塩基性塩の非限定的な例としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウム、1級アミン、2級アミン、3級アミン、天然の置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、塩基性イオン交換樹脂など、具体的には、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン及びエタノールアミンなどが挙げられる。
【0035】
本明細書で使用する場合、かつ別段の定めのない限り、「薬学的に許容される担体」または「薬学的に許容される賦形剤」という用語には、あらゆる溶剤、分散媒、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張化剤及び吸収遅延剤などが含まれる。薬学的活性物質にこのような媒体及び作用剤を用いることは、当該技術分野において周知である。いずれかの従来の媒体または作用剤が活性成分と適合しない場合を除き、それらを本開示の治療用組成物で用いることが企図されている。補助的な活性成分も、その組成物に組み込むことができる。
【0036】
本明細書で使用する場合、かつ別段の定めのない限り、「担体」、「アジュバント」または「ビヒクル」という用語は、本明細書では同義的に用いられており、この用語には、所望の特定の剤形に適するようなあらゆる溶剤、希釈剤及びその他の液体ビヒクル、分散補助剤または懸濁補助剤、表面活性剤、等張化剤、増粘剤または乳化剤、保存剤、固体結合剤、潤沢剤などが含まれる。Remington:The Science and Practice of Pharmacy,20th Ed.,A.Gennaro,Lippincott Williams & Wilkins,2000には、薬学的に許容される組成物を調合する際に用いる様々な担体、及びその調製のための既知の技法が開示されている。いずれかの従来の担体媒体が、いずれかの望ましくない生物学的作用をもたらすか、または別段に、薬学的に許容される組成物のいずれかの他の成分(複数可)と、有害な形で相互作用するなどによって、本開示の化合物と適合しない場合を除き、その使用は、本開示の範囲内であるように企図されている。
【0037】
別段の記載のない限り、本明細書に記載されている化合物には、同位体に富む原子が1つ以上存在する点のみが異なる化合物が含まれる。例えば、水素原子が重水素もしくは三重水素に置き換えられているか、または炭素原子が13C濃縮炭素もしくは14C濃縮炭素に置き換えられている点以外は、本発明の構造を有する化合物は、本開示の範囲内である。
【0038】
別段の記載のない限り、本明細書に記載されている化合物には、その構造のすべての立体化学型、例えば、各不斉中心に対するR配置及びS配置が含まれる。したがって、本発明の化合物の単一の立体化学的異性体、ならびにエナンチオマー混合物及びジアステレオマー混合物は、本開示の範囲内である。本明細書に記載されている化合物であって、相対立体化学が定義されている化合物では、そのような化合物のジアステレオマー純度は、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%であってよい。本明細書で使用する場合、「ジアステレオマー純度」という用語は、示されている相対立体化学を有する化合物の量を、存在するすべてのジアステレオマーの総量の割合(%)として表したものを指す。
【0039】
治療方法
一実施形態では、本発明で提供するのは、がんである小児患者のがんの治療方法であって、その患者に、下記の式の化合物A
【化2】
またはその薬学的に許容される塩を治療有効量投与することを含む方法である。
【0040】
一実施形態では、本発明で提供するのは、小児患者のがんの予防方法であって、その患者に、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩を治療有効量投与することを含む方法である。
【0041】
化合物Aは、ブリガチニブとしても知られており、5-クロロ-N4-[2-(ジメチルホスホリル)フェニル]-N2-{2-メトキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]フェニル}ピリミジン-2,4-ジアミンという化学名である。ブリガチニブは、WO2009/143389に記載されており、その特許は、参照により、本明細書に援用される。WO2009/143389の実施例122には、ブリガチニブの合成について記載されている。ブリガチニブのいくつかの結晶多形が、WO2016/065028に記載されており、その特許は、参照により、本明細書に援用される。
【0042】
化合物Aまたはその薬学的に許容される塩は、単剤療法として、または1つ以上の第2の治療剤との併用療法で投与できる。
【0043】
一実施形態では、その患者は、22歳未満である。一実施形態では、その患者は、18歳以下である。一実施形態では、その患者は、1歳以上、22歳未満である。一実施形態では、その患者は、1歳以上、18歳以下である。一実施形態では、その患者は、1~17歳である。一実施形態では、その患者は、2歳以上、22歳未満である。一実施形態では、その患者は、2歳以上、18歳以下である。一実施形態では、その患者は、2~17歳である。一実施形態では、その患者は、4歳以上、22歳未満である。一実施形態では、その患者は、4歳以上、18歳以下である。一実施形態では、その患者は、4~17歳である。
【0044】
一実施形態では、そのがんは、未分化リンパ腫キナーゼ陽性(ALK+)である。本明細書で使用する場合、かつ別段の定めのない限り、「ALK陽性」(ALK+)がんとは、ALK遺伝子の発現が不適切に高いこと、またはALKの核酸分子もしくはポリペプチドの生物学的活性を変化させる変異がALK遺伝子に存在することによって特徴付けられるがんを指す。本明細書で使用する場合、かつ別段の定めのない限り、ALKの「変異」または「変異体」は、ALKのアミノ酸配列もしくはヌクレオチド配列における1つ以上の欠失、置換もしくは付加、またはその断片を含む。ALK変異体には、ALK融合タンパク質及びALK融合遺伝子も含まれる。ALK変異体は、その変異体が、キナーゼリン酸化活性を保持することを条件として、1つ以上の欠失、置換もしくは付加、またはその断片も含むことができる。一実施形態では、ALK変異体は、棘皮動物微小管結合タンパク質様4(EML4)遺伝子とALKチロシンキナーゼドメインとの融合体であるEML4-ALKであり、米国特許第9,611,283号(参照により、その全体が本明細書に援用される)に記載されているような、EML4-ALKのいずれの二次変異体も含まれる。
【0045】
一実施形態では、ALK+がんは、FDAから承認された検査または当該技術分野において知られているその他の検査によって判定する。使用できる検査としては、例えば、FoundationOne CDx(商標)(F1CDx)(ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)腫瘍組織検体から単離したDNAを用いて、324個の遺伝子における置換、挿入及び欠失による変化(インデル)、コピー数変化(CNA)、所定の遺伝子再構成、ならびにマイクロサテライト不安定性(MSI)及び腫瘍遺伝子変異量(TMB)を含むゲノムシグネチャーを検出するためのシーケンシングベースのin vitro診断装置)と、VENTANA ALK(D5F3)CDx Assay(BenchMark XTまたはBenchMark ULTRAという自動染色装置で染色したホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)非小細胞肺癌(NSCLC)組織中の未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)タンパク質の定性的検出)と、Vysis ALK Break Apart FISH Probe Kitによる検査(ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)非小細胞肺癌(NSCLC)組織検体での蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)によって、ALK遺伝子の関与する再構成を検出するための定性的検査)が挙げられる。一実施形態では、その検査は、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)による検査、例えば、Vysis ALK Break Apart FISH Probe Kitによる検査である。FDAから承認された検査のさらなる情報は、例えば、https://www.fda.gov/MedicalDevices/ProductsandMedicalProcedures/InVitroDiagnostics/ucm303030.htmで見ることができ、Vysis ALK Break Apart FISH Probe Kitのさらなる情報は、例えば、https://www.molecular.abbott/us/en/products/oncology/vysis-alk-break-apart-fish-probe-kitで見ることができ、これらは参照により、その全体が本明細書に援用される。
【0046】
一実施形態では、そのがんは、固形腫瘍である。一実施形態では、そのがんは、進行性固形腫瘍である。一実施形態では、そのがんは、ALK+の進行性固形腫瘍である。一実施形態では、そのがんは、過去に1つ以上の標準ケア(SOC)治療(複数可)が無効であったALK+の進行性固形腫瘍である。
【0047】
一実施形態では、そのがんは、神経芽腫である。一実施形態では、そのがんは、再発性または難治性の神経芽腫である。一実施形態では、そのがんは、再発性神経芽腫である。一実施形態では、そのがんは、難治性神経芽腫である。一実施形態では、そのがんは、ALK+神経芽腫である。一実施形態では、そのがんは、再発性または難治性のALK+神経芽腫である。
【0048】
一実施形態では、そのがんは、炎症性筋線維芽細胞腫瘍(IMT)である。一実施形態では、そのがんは、切除不能または再発性のIMTである。一実施形態では、そのがんは、切除不能なIMTである。一実施形態では、そのがんは、再発性IMTである。一実施形態では、そのがんは、ALK+IMTである。一実施形態では、そのがんは、切除不能または再発性のALK+IMTである。
【0049】
一実施形態では、そのがんは、血液癌である。一実施形態では、そのがんは、リンパ腫、白血病または骨髄腫である。一実施形態では、そのがんは、リンパ腫である。一実施形態では、そのがんは、非ホジキンリンパ腫である。一実施形態では、そのがんは、未分化大細胞型リンパ腫(ALCL)である。一実施形態では、そのがんは、再発性または難治性ALCLである。一実施形態では、そのがんは、再発性ALCLである。一実施形態では、そのがんは、難治性ALCLである。一実施形態では、そのがんは、ALK+ALCLである。一実施形態では、そのがんは、再発性または難治性のALK+ALCLである。一実施形態では、そのがんは、新たに診断されたALCLである。一実施形態では、そのがんは、新たに診断されたALCLであって、高再発リスクALCLである。一実施形態では、そのがんは、新たに診断されたALK+ALCLであって、高再発リスクALCLである。
【0050】
高再発リスクと関連するいくつかの形質が、ALCL患者で同定されている。縦隔病変、肺、肝臓または脾臓の病変として定義される内臓病変、及び皮膚病変の特徴のうちの1つ以上の存在はすべて、多変量解析による、再発の予後因子である。Le Deley et al.,Blood 2008,111(3),1560-6、Le Deley
et al.,Journal of Clinical Oncology 2010,28(25),3987-93。ALCLの小児において治療が無効となるリスクが高いことと関連し得る他の因子としては、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による、末梢血中のNPM1-ALK、及び/または診断時に分子的技法を通じて検出可能である、骨髄への浸潤(すなわち、微小播種病変(MDD))、診断時の抗ALK抗体価が低いこと、及び化学療法の第1コース後に、血中NPM1-ALKに関するPCRによって、微小残存病変(MRD)が検出されることが挙げられる。Damm-Welk et al.,2007、Mussolin et al.,Leukemia 2005,19(9),1643-7、Ait-Tahar et al.,Blood 2010,115(16),3314-9、Damm-Welk et al.,Blood 2014,123(3),334-7、Turner et al.,2016。
【0051】
Mussolinらは、NPM-ALK+ALCLの小児において、MDDの予後値及び抗ALK免疫応答を調べて、これらの因子によって再発リスクを層別化できるか判断した。Mussolin et al.,2013。試験に組み入れた128人の患者のうち、26人(20%)は、MDD+の状態及び1/750以下の抗体価の存在に基づき、高リスク疾患に罹患しているものとみなされた。この高リスク群の患者では、5年PFSは28%、全生存率(OS)は72%であった。これに対して、PFS/OSは、低リスク患者(MDD-、抗体価1/750超)では93%/98%、中リスク患者(MDD-、抗体価1/750以下、またはMDD+及び抗体価1/750超)では68%/84%であった。
【0052】
一実施形態では、高再発リスクは、縦隔病変、肺、肝臓または脾臓の病変として定義される内臓病変、皮膚病変、末梢血中のNPM1-ALK、骨髄への浸潤、診断時の抗ALK抗体価が低いこと、及び化学療法の第1コース後に、血中NPM1-ALKに関して微小残存病変(MRD)が検出されることから選択される1つ以上の特徴の存在によって特徴付けられる。一実施形態では、高再発リスクは、診断時に微小播種病変陽性(MDD+)であることによって特徴付けられる。一実施形態では、高再発リスクは、診断時に抗ALK抗体価が低いことによって特徴付けられる。一実施形態では、高再発リスクは、診断時に抗ALK抗体価が1/750以下であることによって特徴付けられる。
【0053】
一実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩は、経口投与する。一実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩は、錠剤として投与する。一実施形態では、その錠剤は、化合物Aの用量強度が30mg、90mgまたは180mgである。一実施形態では、その錠剤は、白色のフィルムコート錠である。
【0054】
化合物Aまたはその薬学的に許容される塩は、1日に1回(QD)投与することも、1日に2回(BID)及び1日に3回(TID)のように、1日当たりの用量を複数回に分けることもできる。加えて、その投与は、持続的、すなわち毎日であることも、間欠的であることもできる。「間欠的な」または「間欠的に」という用語は、本明細書で使用する場合、等間隔または不等間隔のいずれかで中断及び開始することを意味するように意図されている。例えば、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩の間欠投与とは、週に1~6日投与すること、周期的に投与すること(例えば、2~8週間連続で毎日投与してから、投与を行わない休薬期間を最長1週間設ける)、または1日おきに投与することである。
【0055】
一実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩は、1日に1回(QD)投与する。一実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩は、1日に2回(BID)投与する。
【0056】
特定の実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩は、患者に周期的に投与する。周期療法は、ある期間にわたって活性剤を投与した後、ある期間にわたって休薬し、この順次投与を繰り返すことを含む。周期療法は、療法剤のうちの1つの副作用を回避もしくは軽減し、及び/または治療の有効性を向上させることができる。
【0057】
一実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩は、約10mg/m~約150mg/mの用量で投与する。一実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩は、約30mg/m~約100mg/mの用量で投与する。一実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩は、約30mg/m~約60mg/mの用量で投与する。一実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩は、約40mg/m~約80mg/mの用量で投与する。一実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩は、約40mg/m~約100mg/mの用量で投与する。
【0058】
一実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩は、約10mg/m、約15mg/m、約20mg/m、約25mg/m、約30mg/m、約35mg/m、約40mg/m、約45mg/m、約50mg/m、約55mg/m、約60mg/m、約65mg/m、約70mg/m、約75mg/m、約80mg/m、約85mg/m、約90mg/m、約95mg/m、約100mg/m、約105mg/m、約110mg/m、約115mg/m、約120mg/m、約125mg/m、約130mg/m、約135mg/m、約140mg/m、約145mg/mまたは約150mg/mの用量で投与する。一実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩は、約30mg/m、約40mg/m、約50mg/m、約60mg/m、約70mg/m、約80mg/m、約90mg/mまたは約100mg/mの用量で投与する。一実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩は、約10mg/mの用量で投与する。一実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩は、約20mg/mの用量で投与する。一実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩は、約30mg/mの用量で投与する。一実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩は、約40mg/mの用量で投与する。一実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩は、約50mg/mの用量で投与する。一実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩は、約60mg/mの用量で投与する。一実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩は、約70mg/mの用量で投与する。一実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩は、約80mg/mの用量で投与する。一実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩は、約90mg/mの用量で投与する。一実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩は、約100mg/mの用量で投与する。一実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩は、約110mg/mの用量で投与する。一実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩は、約120mg/mの用量で投与する。一実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩は、約130mg/mの用量で投与する。一実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩は、約140mg/mの用量で投与する。一実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩は、約150mg/mの用量で投与する。
【0059】
一実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩は、小児患者において、暴露量である曲線下面積(AUC)が、成人の臨床用量で得られるAUCの80%を超えないような充分な量で投与する。
【0060】
一実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩は、化合物AのAUCが約1000~約40000ng・hr/mL、約2000~約30000ng・hr/mL、約4000~約25000ng・hr/mLまたは約5000~約20000ng・hr/mLの範囲となるような充分な量で投与する。一実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩は、化合物AのAUCが約4000~約25000ng・hr/mLの範囲となるような充分な量で投与する。一実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩は、化合物AのAUCが約5000~約20000ng・hr/mLの範囲となるような充分な量で投与する。一実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩は、化合物AのAUCが約10000ng・hr/mLとなるような充分な量で投与する。
【0061】
一実施形態では、化合物A(すなわち遊離塩基)を投与する。一実施形態では、化合物Aの薬学的に許容される塩(例えばHCl塩)を投与する。一実施形態では、投与量は、化合物Aの量で測定した場合の量を指す。
【0062】
一実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩は、単剤療法として、または1つ以上の第2の治療剤との併用療法で投与できる。一実施形態では、本発明で提供する方法は、患者に、第2の治療剤を治療有効量投与することをさらに含む。
【0063】
一実施形態では、本発明で提供するのは、がんである小児患者のがんの治療方法であって、その患者に、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩を治療有効量、第2の治療剤と組み合わせて投与することを含む方法である。
【0064】
一実施形態では、その第2の治療剤は、化学療法レジメンALCL99である。このレジメンは、侵襲性B細胞NHLで以前に使用されたBFMプロトコールに由来する。治療レジメンは、試験によって多少異なるが、典型的には、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、副腎皮質ステロイド、イホスファミド及びエトポシドを4~6カ月投与するとともに、中枢神経系(CNS)予防のために、高用量のメトトレキセート及びシタラビンを投与することを含む。Eyre et al.,2014、Turner
et al.,2016。
【0065】
一実施形態では、その第2の治療剤は、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、副腎皮質ステロイド、イホスファミド、エトポシド、メトトレキセートもしくはシタラビン、またはこれらを組み合わせたものである。一実施形態では、その副腎皮質ステロイドは、デキサメタゾンもしくはヒドロコルチゾン、またはこれらを組み合わせたものである。
【0066】
一実施形態では、その第2の治療剤は、デキサメタゾンを含む。一実施形態では、その第2の治療剤は、デキサメタゾンを含み、そのデキサメタゾンは、約2.5mg/m~約20mg/mの用量で投与する。一実施形態では、その第2の治療剤は、デキサメタゾンを含み、そのデキサメタゾンは、約5mg/m~約10mg/mの用量で投与する。一実施形態では、その第2の治療剤は、デキサメタゾンを含み、そのデキサメタゾンは、約5mg/mの用量で投与する。一実施形態では、その第2の治療剤は、デキサメタゾンを含み、そのデキサメタゾンは、約10mg/mの用量で投与する。
【0067】
一実施形態では、その第2の治療剤は、シクロホスファミドを含む。一実施形態では、その第2の治療剤は、シクロホスファミドを含み、そのシクロホスファミドは、約100mg/m~約300mg/mの用量で投与する。一実施形態では、その第2の治療剤は、シクロホスファミドを含み、そのシクロホスファミドは、約200mg/mの用量で投与する。
【0068】
一実施形態では、その第2の治療剤は、イホスファミドを含む。一実施形態では、その第2の治療剤は、イホスファミドを含み、そのイホスファミドは、約400mg/m~約1200mg/mの用量で投与する。一実施形態では、その第2の治療剤は、イホスファミドを含み、そのイホスファミドは、約800mg/mの用量で投与する。
【0069】
一実施形態では、その第2の治療剤は、メトトレキセートを含む。一実施形態では、その第2の治療剤は、メトトレキセートを含み、そのメトトレキセートは、約1.5g/m~約4.5g/mの用量で投与する。一実施形態では、その第2の治療剤は、メトトレキセートを含み、そのメトトレキセートは、約3g/mの用量で投与する。
【0070】
一実施形態では、その第2の治療剤は、エトポシドを含む。一実施形態では、その第2の治療剤は、エトポシドを含み、そのエトポシドは、50mg/m~約150mg/mの用量で投与する。一実施形態では、その第2の治療剤は、エトポシドを含み、そのエトポシドは、約100mg/mの用量で投与する。
【0071】
一実施形態では、その第2の治療剤は、シタラビンを含む。一実施形態では、その第2の治療剤は、シタラビンを含み、そのシタラビンは、約75mg/m~約225mg/mの用量で投与し、1日に2回投与する。一実施形態では、その第2の治療剤は、シタラビンを含み、そのシタラビンは、約150mg/mの用量で投与し、1日に2回投与する。
【0072】
一実施形態では、その第2の治療剤は、ドキソルビシンを含む。一実施形態では、その第2の治療剤は、ドキソルビシンを含み、そのドキソルビシンは、12.5mg/m~約37.5mg/mの用量で投与する。一実施形態では、その第2の治療剤は、ドキソルビシンを含み、そのドキソルビシンは、約25mg/mの用量で投与する。
【0073】
特定の実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩、及び第2の治療剤は、患者に周期的に投与する。周期療法は、ある期間にわたって活性剤を投与した後、ある期間にわたって休薬し、この順次投与を繰り返すことを含む。周期療法は、療法剤のうちの1つの副作用を回避もしくは軽減し、及び/または治療の有効性を向上させることができる。
【0074】
一実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩、及び第2の治療剤は、7日周期で1サイクル以上投与する。一実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩、及び第2の治療剤は、21日周期で1サイクル以上投与する。一実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩、及び第2の治療剤は、28日周期で1サイクル以上投与する。
【0075】
一実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩、及び第2の治療剤は、少なくとも4サイクル投与する。一実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩、及び第2の治療剤は、少なくとも6サイクル投与する。一実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩、及び第2の治療剤は、少なくとも8サイクル投与する。一実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩、及び第2の治療剤は、少なくとも12サイクル投与する。
【0076】
一実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩は、21日周期の1~21日目に投与する。
【0077】
一実施形態では、その第2の治療剤は、デキサメタゾンを含み、そのデキサメタゾンは、21日周期の1~5日目に投与する。
【0078】
一実施形態では、その第2の治療剤は、シクロホスファミドを含み、そのシクロホスファミドは、21日周期の1日目及び2日目に投与する。
【0079】
一実施形態では、その第2の治療剤は、シクロホスファミドを含み、そのシクロホスファミドは、21日周期の1~5日目に投与する。
【0080】
一実施形態では、その第2の治療剤は、ヒドロコルチゾン、メトトレキセート及びシタラビンを組み合わせたものを含み、その組み合わせは、21日周期の1日目に投与する。
【0081】
一実施形態では、その第2の治療剤は、イホスファミドを含み、そのイホスファミドは、21日周期の1~5日目に投与する。
【0082】
一実施形態では、その第2の治療剤は、メトトレキセートを含み、そのメトトレキセートは、21日周期の1日目に投与する。
【0083】
一実施形態では、その第2の治療剤は、エトポシドを含み、そのエトポシドは、21日周期の4日目及び5日目に投与する。
【0084】
一実施形態では、その第2の治療剤は、シタラビンを含み、そのシタラビンは、21日周期の4日目及び5日目に投与する。
【0085】
一実施形態では、その第2の治療剤は、ドキソルビシンを含み、そのドキソルビシンは、21日周期の4日目及び5日目に投与する。
【0086】
一実施形態では、本発明で提供するのは、小児患者の切除不能または再発性のIMTの治療方法であって、その患者に、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩を治療有効量投与することを含む方法である。一実施形態では、そのIMTは、切除不能または再発性のALK+IMTである。一実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩は、約30mg/m~約100mg/mの用量で投与する。一実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩は、約30mg/mの用量で投与する。一実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩は、約40mg/mの用量で投与する。一実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩は、約60mg/mの用量で投与する。一実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩は、約80mg/mの用量で投与する。一実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩は、約100mg/mの用量で投与する。
【0087】
一実施形態では、本発明で提供するのは、小児患者の再発性または難治性ALCLの治療方法であって、その患者に、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩を治療有効量投与することを含む方法である。一実施形態では、そのALCLは、再発性または難治性のALK+ALCLである。一実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩は、約30mg/m~約100mg/mの用量で投与する。一実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩は、約30mg/mの用量で投与する。一実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩は、約40mg/mの用量で投与する。一実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩は、約60mg/mの用量で投与する。一実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩は、約80mg/mの用量で投与する。一実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩は、約100mg/mの用量で投与する。
【0088】
一実施形態では、本発明で提供するのは、小児患者のALCLの治療方法であって、その患者に、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩を治療有効量、ALCL99レジメンと組み合わせて投与することを含む方法である。
【0089】
一実施形態では、本発明で提供するのは、小児患者のALCLの治療方法であって、その患者に、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩を治療有効量、デキサメタゾン、イホスファミド、メトトレキセート、エトポシド及びシタラビンと組み合わせて投与することを含む方法である。一実施形態では、その治療は、21日周期で1サイクル以上継続する。一実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩は、21日周期の1~21日目に投与し、デキサメタゾンは、21日周期の1~5日目に投与し、イホスファミドは、21日周期の1~5日目に投与し、メトトレキセートは、21日周期の1日目に投与し、エトポシドは、21日周期の4日目及び5日目に投与し、シタラビンは、21日周期の4日目及び5日目に投与する。一実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩は、21日周期の1~21日目に投与し、デキサメタゾンは、約10mg/mの用量で、21日周期の1~5日目に投与し、イホスファミドは、約800mg/mの用量で、21日周期の1~5日目に投与し、メトトレキセートは、(例えば3時間かけて)約3g/mの用量で、21日周期の1日目に投与し、エトポシドは、約100mg/mの用量で、21日周期の4日目及び5日目に投与し、シタラビンは、約150mg/mの用量で、1日に2回、21日周期の4日目及び5日目に投与する。
【0090】
一実施形態では、本発明で提供するのは、小児患者のALCLの治療方法であって、その患者に、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩を治療有効量、デキサメタゾン、メトトレキセート、シクロホスファミド及びドキソルビシンと組み合わせて投与することを含む方法である。一実施形態では、その治療は、21日周期で1サイクル以上継続する。一実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩は、21日周期の1~21日目に投与し、デキサメタゾンは、21日周期の1~5日目に投与し、メトトレキセートは、21日周期の1日目に投与し、シクロホスファミドは、21日周期の1~5日目に投与し、ドキソルビシンは、21日周期の4日目及び5日目に投与する。一実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩は、21日周期の1~21日目に投与し、デキサメタゾンは、約10mg/mの用量で、21日周期の1~5日目に投与し、メトトレキセートは、(例えば3時間かけて)約3g/mの用量で、21日周期の1日目に投与し、シクロホスファミドは、約200mg/mの用量で、21日周期の1~5日目に投与し、ドキソルビシンは、約25mg/mの用量で、21日周期の4日目及び5日目に投与する。
【0091】
医薬組成物
また、本発明で提供するのは、本発明で提供する方法に有用である医薬組成物である。本発明で提供する方法で用いる治療剤のそれぞれ、またはそれらをいずれかに組み合わせたものは、同じ医薬組成物または異なる医薬組成物に含めることができる。
【0092】
一実施形態では、本発明で提供するのは、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物及び剤形である。一実施形態では、医薬組成物及び剤形は、1つ以上の賦形剤をさらに含む。
【0093】
一実施形態では、本発明で提供するのは、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩、ならびにラクトース一水和物、微結晶性セルロース、デンプングリコール酸ナトリウム(タイプA)、ステアリン酸マグネシウム及び疎水性コロイダルシリカを含む医薬組成物及び剤形である。
【0094】
一実施形態では、ブリガチニブ(化合物A)は、30mg、90mgまたは180mgのブリガチニブ、ならびにラクトース一水和物、微結晶性セルロース、デンプングリコール酸ナトリウム(タイプA)、ステアリン酸マグネシウム及び疎水性コロイダルシリカという不活性成分を含むフィルムコート錠として、経口用に供給する。その錠剤のコーティングは、タルク、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール及び二酸化チタンからなる。
【0095】
ブリガチニブを含むさらなる医薬製剤は、国際出願第PCT/US2018/021128号に記載されており、この出願は、参照により、本明細書に援用される。
【0096】
さらなる併用療法
また、本発明で提供するのは、本発明で提供する第1の治療剤(例えば化合物A)及び本発明で提供する第2の治療剤(例えばALCL99化学療法レジメン)に加えて、他の経路または同じ経路を調節することが知られている1つ以上の薬剤(例えば第3の治療剤または療法剤)を使用し得るさらなる併用療法である。特定の実施形態では、このような方法は、所望の場合、相乗的な治療作用または付加的な治療作用をもたらすために、治療を必要とする対象に、化合物Aを、任意にALCL99化学療法レジメンと組み合わせて、かつさらに、抗がん剤、化学療法剤、治療用抗体及び放射線治療のような1つ以上の追加の治療剤と組み合わせて投与することを含む。
【0097】
第3の治療剤または療法剤の投与経路は、第1及び第2の薬剤の投与経路から独立している。第3の治療剤または療法剤は、経口投与、非経口投与、腹腔内投与、静脈内投与、動脈内投与、経皮投与、舌下投与、筋肉内投与、直腸内投与、経口腔投与、鼻腔内投与、リポソーム投与、吸入による投与、経膣投与、眼内投与、カテーテルもしくはステントによる局所送達による投与、皮下投与、脂肪内投与、関節内投与、髄腔内投与、または徐放性剤形での投与を行うことができる。
【0098】
本発明で提供する方法では、1つ以上の第3の活性成分または薬剤を使用できる。第3の活性剤は、巨大分子(例えばタンパク質)であることも、小分子(例えば、合成の無機分子、有機金属分子または有機分子)であることもできる。
【0099】
巨大分子活性剤の例としては、造血成長因子、サイトカイン、ならびにモノクローナル抗体及びポリクローナル抗体、特に、がん抗原に対する治療用抗体が挙げられるが、これらに限らない。典型的な巨大分子活性剤は、天然タンパク質、合成タンパク質または組み換えタンパク質のような生体分子である。
【0100】
小分子である第3の活性剤を用いて、本発明で提供する併用療法剤の投与と関連する有害作用を緩和することもできる。しかしながら、いくつかの巨大分子と同様に、多くは、本発明で提供する併用剤とともに(例えば、その併用剤の前、併用剤の後、または併用剤と同時に)投与すると、相加作用または相乗作用をもたらすことができると考えられる。小分子である第3の活性剤の例としては、抗がん剤、抗生物質、免疫抑制剤及びステロイドが挙げられるが、これらに限らない。
【0101】
本明細書に記載されている方法または組成物で用いることになる追加の抗がん剤の例としては、アシビシン、アクラルビシン、塩酸アコダゾール、アクロニン、アドゼレシン、アルデスロイキン、アルトレタミン、アンボマイシン、酢酸アメタントロン、アムサクリン、アナストロゾール、アントラマイシン、アスパラギナーゼ、アスペルリン、アザシチジン、アゼテパ、アゾトマイシン、バチマスタット、ベンゾデパ、ビカルタミド、塩酸ビサントレン、ジメシル酸ビスナフィド、ビゼレシン、硫酸ブレオマイシン、ブレキナルナトリウム、ブロピリミン、ブスルファン、カクチノマイシン、カルステロン、カラセミド、カルベチマー、カルボプラチン、カルムスチン、塩酸カルビシン、カルゼレシン、セデフィンゴール、セレコキシブ(COX-2阻害剤)、クロラムブシル、シロレマイシン、シスプラチン、クラドリビン、クロファラビン、メシル酸クリスナトール、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダブラフェニブ、ダクチノマイシン、塩酸ダウノルビシン、デシタビン、デキソルマプラチン、デザグアニン、メシル酸デザグアニン、ジアジクオン、ドセタキセル、ドキソルビシン、塩酸ドキソルビシン、ドロロキシフェン、クエン酸ドロロキシフェン、プロピオン酸ドロモスタノロン、デュアゾマイシン、エダトレキサート、塩酸エフロルニチン、エルサミトルシン、エンロプラチン、エンプロマート、エピプロピジン、塩酸エピルビシン、エルブロゾール、塩酸エソルビシン、エストラムスチン、リン酸エストラムスチンナトリウム、エタニダゾール、エトポシド、リン酸エトポシド、エトプリン、塩酸ファドロゾール、ファザラビン、フェンレチニド、フロクスウリジン、リン酸フルダラビン、フルオロウラシル、フルロシタビン、ホスキドン、ホストリエシンナトリウム、ゲムシタビン、塩酸ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、塩酸イダルビシン、イホスファミド、イルモホシン、イプロプラチン、イリノテカン、塩酸イリノテカン、酢酸ランレオチド、レトロゾール、酢酸ロイプロリド、塩酸リアロゾール、ロメテレキソールナトリウム、ロムスチン、塩酸ロソキサントロン、マソプロコール、メイタンシン、塩酸メクロレタミン、酢酸メゲストロール、酢酸メレンゲストロール、メルファラン、メノガリル、メルカプトプリン、メトトレキセート、メトトレキセートナトリウム、メトプリン、メツレデパ、ミチンドミド、ミトカルシン、ミトクロミン、ミトギリン、ミトマルシン、マイトマイシン、ミトスペル、ミトタン、塩酸ミトキサントロン、ミコフェノール酸、ノコダゾール、ノガラマイシン、オマセタキシン、オルマプラチン、オキシスラン、パクリタキセル、懸濁注射剤用のパクリタキセルタンパク質結合粒子(アルブミン結合型)、ペグアスパラガーゼ、ペリオマイシン、ペンタムスチン、硫酸ペプロマイシン、ペルホスファミド、ピポブロマン、ピポスルファン、塩酸ピロキサントロン、プリカマイシン、プロメスタン、ポルフィマーナトリウム、ポルフィロマイシン、プレドニムスチン、塩酸プロカルバジン、ピューロマイシン、塩酸ピューロマイシン、ピラゾフリン、リボプリン、サフィンゴール、塩酸サフィンゴール、セムスチン、シムトラゼン、ソラフェニブ、スパルホサートナトリウム、スパルソマイシン、塩酸スピロゲルマニウム、スピロムスチン、スピロプラチン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、スロフェヌル、タリソマイシン、テコガランナトリウム、タキソテール、テガフール、塩酸テロキサントロン、テモポルフィン、テニポシド、テロキシロン、テストラクトン、チアミプリン、チオグアニン、チオテパ、チアゾフリン、チラパザミン、クエン酸トレミフェン、酢酸トレストロン、リン酸トリシリビン、トリメトレキセート、グルクロン酸トリメトレキセート、トリプトレリン、塩酸ツブロゾール、ウラシルマスタード、ウレデパ、バプレオチド、ベムラフェニブ、ベルテポルフィン、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチン、ビンデシン、硫酸ビンデシン、硫酸ビネピジン、硫酸ビングリシネート、硫酸ビンロイロシン、酒石酸ビノレルビン、硫酸ビンロシジン、硫酸ビンゾリジン、ボロゾール、ゼニプラチン、ジノスタチン及び塩酸ゾルビシンが挙げられるが、これらに限らない。
【0102】
本発明の方法または組成物に含めることになる他の抗がん薬としては、20-エピ-1,25ジヒドロキシビタミンD3、5-エチニルウラシル、アビラテロン、アクラルビシン、アシルフルベン、アデシペノール、アドゼレシン、アルデスロイキン、ALL-TKアンタゴニスト、アルトレタミン、アンバムスチン、アミドックス、アミホスチン、アミノレブリン酸、アムルビシン、アムサクリン、アナグレリド、アナストロゾール、アンドログラホリド、血管新生阻害剤、アンタゴニストD、アンタゴニストG、アンタレリクス、抗背側形成タンパク質-1、抗アンドロゲン、抗エストロゲン、アンチネオプラストン、アンチセンスオリゴヌクレオチド、グリシン酸アフィジコリン、アポトーシス遺伝子モジュレーター、アポトーシス調節剤、アプリン酸、ara-CDP-DL-PTBA、アルギニンデアミナーゼ、アスラクリン、アタメスタン、アトリムスチン、アキシナスタチン1、アキシナスタチン2、アキシナスタチン3、アゼセトロン、アザトキシン、アザチロシン、バッカチンIII誘導体、バラノール、バチマスタット、BCR/ABLアンタゴニスト、ベンゾクロリン、ベンゾイルスタウロスポリン、βラクタム誘導体、β-アレチン、ベタクラマイシンB、ベツリン酸、bFGF阻害剤、ビカルタミド、ビサントレン、ビスアジリジニルスペルミン、ビスナフィド、ビストラテンA、ビゼレシン、ブレフレート、ブロピリミン、ブドチタン、ブチオニンスルホキシミン、カルシポトリオール、カルホスチンC、カンプトテシン誘導体、カペシタビン、カルボキサミド-アミノ-トリアゾール、カルボキシアミドトリアゾール、CaRest M3、CARN700、軟骨由来阻害剤、カルゼレシン、カゼインキナーゼ阻害剤(ICOS)、カスタノスペルミン、セクロピンB、セトロレリクス、クロリン、クロロキノキサリンスルホンアミド、シカプロスト、シスポルフィリン、クラドリビン、クロミフェン類似体、クロトリマゾール、コリスマイシンA、コリスマイシンB、コンブレタスタチンA4、コンブレタスタチン類似体、コナゲニン、クラムベシジン816、クリスナトール、クリプトフィシン8、クリプトフィシンA誘導体、クラシンA、シクロペンタントラキノン、シクロプラタム、シペマイシン、Ara-Cオクホスフェート、細胞溶解因子、サイトスタチン、ダクリキシマブ、デシタビン、デヒドロジデムニンB、デスロレリン、デキサメタゾン、デキシホスファミド、デクスラゾキサン、デクスベラパミル、ジアジクオン、ジデムニンB、ジドックス、ジエチルノルスペルミン、ジヒドロ-5-アザシチジン、9-ジヒドロタキソール、ジオキサマイシン、ジフェニルスピロムスチン、ドセタキセル、ドコサノール、ドラセトロン、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、ドロロキシフェン、ドロナビノール、デュオカルマイシンSA、エブセレン、エコムスチン、エデルホシン、エドレコロマブ、エフロルニチン、エレメン、エミテフール、エピルビシン、エプリステリド、エストラムスチン類似体、エストロゲンアゴニスト、エストロゲンアンタゴニスト、エタニダゾール、リン酸エトポシド、エキセメスタン、ファドロゾール、ファザラビン、フェンレチニド、フィルグラスチム、フィナステリド、フラボピリドール、フレゼラスチン、フルアステロン、フルダラビン、塩酸フルオロダウノルニシン、ホルフェニメクス、フォルメスタン、ホストリエシン、フォテムスチン、ガドリニウムテキサフィリン、硝酸ガリウム、ガロシタビン、ガニレリクス、ゼラチナーゼ阻害剤、ゲムシタビン、グルタチオン阻害剤、ヘプスルファム、ヘレグリン、ヘキサメチレンビスアセトアミド、ヒペリシン、イバンドロン酸、イダルビシン、イドキシフェン、イドラマントン、イルモホシン、イロマスタット、イマチニブ(例えばGleevec(登録商標))、イミキモド、免疫賦活ペプチド、インスリン様成長因子-1受容体阻害剤、インターフェロンアゴニスト、インターフェロン、インターロイキン、ヨーベングアン、ヨードドキソルビシン、4-イポメアノール、イロプラクト、イルソグラジン、イソベンガゾール、イソホモハリコンドリンB、イタセトロン、ジャスプラキノリド、カハラリドF、ラメラリン-Nトリアセテート、ランレオチド、レイナマイシン、レノグラスチム、硫酸レンチナン、レプトルスタチン、レトロゾール、白血病阻害因子、白血球αインターフェロン、ロイプロリド+エストロゲン+プロゲステロン、リュープロレリン、レバミゾール、リアロゾール、直鎖ポリアミン類似体、新油性二糖ペプチド、新油性白金化合物、リッソクリナミド7、ロバプラチン、ロンブリシン、ロメテレキソール、ロニダミン、ロソキサントロン、ロキソリビン、ルルトテカン、ルテチウムテキサフィリ、リソフィリン、溶解ペプチド、マイタンシン、マンノスタチンA、マリマスタット、マソプロコール、マスピン、マトリリシン阻害剤、マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤、メノガリル、メルバロン、メテレリン、メチオニナーゼ、メトクロプラミド、MIF阻害剤、ミフェプリストン、ミルテフォシン、ミリモスチム、ミトグアゾン、ミトラクトール、マイトマイシン類似体、ミトナフィド、マイトトキシン線維芽細胞成長因子-サポリン、ミトキサントロン、モファロテン、モルグラモスチム、セツキシマブ、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、モノホスホリル脂質A+マイコバクテリウム細胞壁骨格、モピダモール、マスタード抗がん剤、マイカペルオキシドB、マイコバクテリア細胞壁抽出物、ミリアポロン、N-アセチルジナリン、N-置換ベンズアミド、ナファレリン、ナグレスチップ、ナロキソン+ペンタゾシン、ナパビン、ナフテルピン、ナルトグラスチム、ネダプラチン、ネモルビシン、ネリドロン酸、ニルタミド、ニサマイシン、一酸化窒素モジュレーター、窒素酸化物抗酸化剤、ニトルリン、オブリメルセン(Genasense(登録商標))、O-ベンジルグアニン、オクトレオチド、オキセノン、オリゴヌクレオチド、オナプリストン、オンダンセトロン、オンダンセトロン、オラシン、経口サイトカイン誘導因子、オルマプラチン、オサテロン、オキサリプラチン、オキサウノマイシン、パクリタキセル、パクリタキセル類似体、パクリタキセル誘導体、懸濁注射剤用のパクリタキセルタンパク質結合粒子(アルブミン結合型)、パラウアミン、パルミトイルリゾキシン、パミドロン酸、パナキシトリオール、パノミフェン、パラバクチン、パゼリプチン、ペグアスパラガーゼ、ペルデシン、ペントサンポリサルフェートナトリウム、ペントスタチン、ペントロゾール、ペルフルブロン、ペルホスファミド、ペリリルアルコール、フェナジノマイシン、酢酸フェニル、ホスファターゼ阻害剤、ピシバニール、塩酸ピロカルピン、ピラルビシン、ピリトレキシム、プラセチンA、プラセチンB、プラスミノゲンアクチベーター阻害剤、白金錯体、白金化合物、白金-トリアミン錯体、ポルフィマーナトリウム、ポルフィロマイシン、プレドニゾン、プロピルビス-アクリドン、プロスタグランジンJ2、プロテアソーム阻害剤、プロテインAベースの免疫モジュレーター、タンパク質キナーゼC阻害剤、微細藻類、タンパク質チロシンホスファターゼ阻害剤、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ阻害剤、プルプリン、ピラゾロアクリジン、ピリドキシル化ヘモグロビンポリオキシエチレンコンジュゲート、rafアンタゴニスト、ラルチトレキセド、ラモセトロン、rasファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、ras阻害剤、ras-GAP阻害剤、脱メチル化レテリプチン、エチドロン酸レニウムRe186、リゾキシン、リボザイム、RIIレチナミド、ロヒツキン、ロムルチド、ロキニメクス、ルビギノンB1、ルボキシル、サフィンゴール、セイントピン、サルムスチン、サルコフィトールA、サルグラモスチム、Sdi1模倣体、セムスチン、老化由来阻害剤1、センスオリゴヌクレオチド、シグナル伝達阻害剤、シゾフィラン、ソブゾキサン、ナトリウムボロカプテート、フェニル酢酸ナトリウム、ソルベロール、ソマトメジン結合タンパク質、ソネルミン、スパルホス酸、スピカマイシンD、スピロムスチン、スプレノペンチン、スポンジスタチン1、スクアラミン、スチピアミド、ストロメライシン阻害剤、スルフィノシン、超活性血管作動性腸管ペプチドアンタゴニスト、スラジスタ、スラミン、スワインソニン、タリムスチン、タモキシフェンメチオジド、タウロムスチン、タザロテン、テコガランナトリウム、テガフール、テルラピリリウム、テロメラーゼ阻害剤、テモポルフィン、テニポシド、テトラクロロデカオキシド、テトラゾミン、タリブラスチン、チオコラリン、トロンボポエチン、トロンボポエチン模倣体、チマルファシン、チモポイエチン受容体アゴニスト、チモトリナン、甲状腺刺激ホルモン、チンエチルエチオプルプリン、チラパザミン、チタノセンジクロリド、トプセンチン、トレミフェン、翻訳阻害剤、トレチノイン、トリアセチルウリジン、トリシリビン、トリメトレキセート、トリプトレリン、トロピセトロン、ツロステリド、チロシンキナーゼ阻害剤、チルホスチン、UBC阻害剤、ウベニメクス、尿生殖路由来成長阻害因子、ウロキナーゼ受容体アンタゴニスト、バプレオチド、バリオリンB、ベラレソール、ベラミン、ベルジン、ベルテポルフィン、ビノレルビン、ビンキサルチン、ビタキシン、ボロゾール、ザノテロン、ゼニプラチン、ジラスコルブ及びジノスタチンスチマラマーが挙げられるが、これらに限らない。
【0103】
本発明の方法または組成物において有用である他の第3の活性剤としては、リツキシマブ、オブリメルセン(Genasense(登録商標))、レミケード、ドセタキセル、セレコキシブ、メルファラン、デキサメタゾン(Decadron(登録商標))、ステロイド、ゲムシタビン、シスプラチナム、テモゾロミド、エトポシド、シクロホスファミド、テモダール、カルボプラチン、プロカルバジン、グリアデル、タモキシフェン、トポテカン、メトトレキセート、ゲフィチニブ(Iressa(登録商標))、タキソール、タキソテール、フルオロウラシル、ロイコボリン、イリノテカン、ゼローダ、インターフェロンα、ペグインターフェロンα(例えばPEG INTRON-A)、カペシタビン、シスプラチン、チオテパ、フルダラビン、カルボプラチン、リポソームダウノルビシン、シタラビン、ドキセタキソール、パクリタキセル、ビンブラスチン、インターロイキン2、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、ダカルバジン、ビノレルビン、ゾレドロン酸、パルミトロネート、バイアキシン、ブスルファン、プレドニゾン、ビスホスホネート、三酸化ヒ素、ビンクリスチン、ドキソルビシン(Doxil(登録商標))、パクリタキセル、懸濁注射剤用のパクリタキセルタンパク質結合粒子(アルブミン結合型)、ガンシクロビル、アドリアマイシン、リン酸エストラムスチンナトリウム(Emcyt(登録商標))、スリンダク及びエトポシドが挙げられるが、これらに限らない。
【0104】
本発明の方法または組成物において有用である他の具体的な第3の活性剤としては、ソラフェニブ、ダブラフェニブ、ベムラフェニブ、トラメチニブ、コビメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブ、PD-325901、CI-1040(PD184352)、TAK-733、AT7867、AZD8055、BX-912、シルミタセルチブ、ピクチリシブ、MK-2206、ピララリシブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、ラパチニブ、オシメルチニブ、OSI-027、AZD8055、サパニセルチブ、ダクトリシブ、BGT226、ボクスタリシブ、アピトリシブ、オミパリシブ、PF-04691502、ゲダトリシブ、PP242、レナリドマイドまたはポマリドミドが挙げられるが、これらに限らない。
【0105】
医療キット
また、本発明で提供するのは、医療キットである。特定の実施形態では、本発明で提供するのは、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩を含む医療キットである。
【0106】
特定の実施形態では、そのキットは、好適なパッケージ内の化合物Aまたはその薬学的に許容される塩、及び本明細書に記載されているような第2の治療剤、ならびに使用説明書、臨床試験の考察、副作用のリストなどを含むことができる、書面による資料を含む。特定の実施形態では、このようなキットは、例えば、参照科学文献、パッケージ同梱資料、臨床試験結果及び/またはこれらの概要など(その組成物の活性及び/または利点を表示または立証し、及び/または用量、投与、副作用、薬物間相互作用を説明するもの)のような情報、あるいは医療提供者に有用な他の情報も含んでよい。特定の実施形態では、このような情報は、様々な試験、例えば、in vivoモデルを伴う実験動物を用いた試験、及びヒト臨床試験ベースの試験の結果に基づくものであってよい。特定の実施形態では、そのキットは、別の薬剤をさらに含んでもよい。特定の実施形態では、本開示の化合物Aまたはその薬学的に許容される塩、及び第2の治療剤は、そのキット内の別個の容器中の別個の組成物として供給する。特定の実施形態では、本開示の化合物Aまたはその薬学的に許容される塩、及び第2の治療剤は、そのキット内の1つの容器中の単一の組成物として供給する。使用のために適するパッケージ及び追加の物品(例えば、液体調製物用の計量カップ、空気への暴露を最小限にするためのホイル包装材など)は、当該技術分野において知られており、これらを本発明のキットに含めてよい。本明細書に記載されているキットは、医師、看護師、薬剤師、薬方当局者などを含む医療提供者に供給、販売及び/または販売促進できる。キットは、いくつかの実施形態では、消費者に直接販売してもよい。
【実施例0107】
実施例1:成人集団及び小児集団間の外挿及び内挿
ブリガチニブについては、現在利用できる小児臨床PKデータはないので、アロメトリックアプローチを用いて、ブリガチニブの小児臨床PKを成人PKから推定した。この解析の重要な側面は、下に概説されている。
【0108】
アロメトリックスケーリングアプローチの利用は、ブリガチニブのクリアランス機構、及びそれに対応する個体発生(1歳超の小児患者におけるクリアランスの成熟度を示す)に関する知見によって裏付けられている。したがって、ALK+NSCLCに対する成人投与レジメンを踏まえながら、以前に開発された母集団PKモデルに基づくシミュレーションを行って、小児第1相用量確認試験のための用量選択の指針を示した。その試験案は、療法に不応であるとともに、利用できる既知の治癒的治療がない測定可能または評価可能なALK+固形腫瘍、CNS腫瘍またはALCLである2歳以上の患者におけるオープンラベル第1相用量漸増試験である。
【0109】
ALK+NSCLCである成人における重要な第2相試験では、(1)90mg QD、(2)1週目に90mg QDで行った後、7日間の90mg QDによるリードイン試験に耐えた患者において、180mg QDまで漸増させるレジメンという2つの用量レジメンを評価した。180mg QDにおける方が、PFSが長いことが示されたことに基づき、成人におけるブリガチニブの推奨臨床用量は、最初の7日間、経口で90mg
QDで投与した後、患者の忍容性に基づき、用量を180mg QDまで増加させるものである。低用量で7日間のリードイン期間を設けるこのアプローチにより、EOPEのリスクが低減される。したがって、小児における開発では、同様の投与レジメンが、7日間のリードイン期間とともに提案される。小児患者においてEOPEのリスクを低減するために、1週目の治療用として選択するブリガチニブ用量は、成人での臨床経験から導き出し、成人における1日当たり90mgの用量での全身暴露量を超えない全身暴露量となるように設計する。
【0110】
通過吸収コンパートメントモデルによる3コンパートメントモデルを用いて、成人母集団PKモデルによって、ブリガチニブのPKを明らかにした。最終的な共変量モデルには、クリアランスに対する体重及び体積パラメーターに関する一次関数を含めた。加えて、年齢及びアルブミン濃度を、クリアランスにおける統計的に有意な共変量とみなした。
【0111】
小児PKをシミュレートするために、クリアランスに対する体重及び体積パラメーターに関する共変量一次関数をアロメトリック関数に置き換え、スケーリング係数(すなわち指数)をクリアランスでは0.75、体積パラメーターでは1とした。その改変モデルを用いて、シミュレーションを通じて、90mg QDという基準用量後に成人患者で観察される暴露量と同程度の暴露量をもたらすであろう、小児患者での薬量を導き出した。Centers for Disease Control and Prevention(CDC)によって供給されるNational Health and Nutrition Examination Survey(NHANES)データセットにおける体格の年齢別分布に基づき、仮想小児患者をシミュレートした。小児患者集団を年齢(各月齢の患者1000人、1~18歳)及び性別(男児:女性=50:50)によって層別化した。
【0112】
ヒトでの放射能マスバランス試験で投与した経口液剤(Study AP26113-13-104)、及び成人での錠剤PK(Study AP26113-16-110)から得られたブリガチニブ暴露量の横断研究の比較に基づき、経口ブリガチニブ液剤の相対的バイオアベイラビリティは、錠剤と比べて、AUCに関して約42%高いことが予測される。したがって、相対的バイオアベイラビリティ係数(経口液剤/錠剤AUC比:1.42)を小児シミュレーションに組み込んだ。
【0113】
この改変モデルを用いたシミュレーションによって、40mg/mのブリガチニブを経口液剤として服用した後の1歳から18歳未満までの小児患者におけるブリガチニブ暴露量が、経口錠剤として90mg QDで服用した成人患者で得られた暴露量に匹敵するであろうということが示された(図1)。
【0114】
これらのシミュレーションに基づき、40mg/m QD→80mg/m QDの用量で服用した小児患者における全身暴露量は、成人での推奨臨床用量90mg QD→180mg QDで得られる全身暴露量に匹敵することが予測される。策定した小児第1相試験では、典型的には、小児第1相試験において用いるアプローチと一致して、成人での臨床用量(90mg QD→180mg QD)で得られる暴露量の80%を超えないであろうモデル予測小児暴露量(AUC)となるように、開始用量レベル(30mg/m QD→60mg/m QD、用量レベル1)を選択した。策定した、その後の用量レベル(40mg/m QD→80mg/m QD、用量レベル2)では、成人暴露量の100%が得られると予測される。40mg/m QD→80mg/m QDの用量が忍容された場合には、追加の用量レベルを1つ策定する。EOPEのリスクを低減するために、用量レベル3(40mg/m QD→100mg/m QD)における1週目のブリガチニブ用量は、40mg/m QD(すなわち、成人において90mg
QDのリードイン用量で得られる全身暴露量に適合する全身暴露量になると予測される用量レベル)である。100mg/m QDという最大策定用量は、Study AP26113-11-101において成人で許容される最大忍容用量であった240mg QDでの全身暴露量にほぼ匹敵する全身暴露量となるように選択した。
【0115】
以下の考察によって、小児集団において、用量レベル2を超えて、漸増を継続する根拠が示された。
・ALK+NSCLCにおけるブリガチニブによる成人治験では、90mg QDの用量よりも90mg QD→180mg QDの用量で長いPFSが観察されたことから、180mg QDに伴う暴露量が、ALK+小児がんでの有効性を最大化するとは仮定できないことが示唆された。
・ALK阻害剤クリゾチニブによる小児臨床治験では、280mg/mがMTD/RP2Dとなり、それに伴う全身暴露量は、250mg BIDでの成人臨床暴露量よりも約50%高い。
【0116】
これらの理由で、小児へのブリガチニブの展開では、直接的な外挿アプローチは提案しない。その代わりに、成人での臨床治験、ならびにALK阻害剤クリゾチニブに関して利用可能な小児データ及び成人データを活用し、母集団PKモデリング及びシミュレーションによって、小児第1相プログラム用の用量選択が行われる。同様に、小児第1相PKデータの母集団PKモデリングを用いて、小児患者集団でのその後の有効性試験及び安全性試験用の用量選択の指針を示すことになる。
【0117】
実施例2:小児臨床試験
一般的戦略
ALCLまたはIMTである2歳以上の患者において、ブリガチニブについて、(a)オープンラベル第1/2相用量漸増及び拡大試験(試験1)、ならびに(b)第2相無作為化試験(試験2)という2つの臨床試験を行う。
【0118】
試験1の第1相部分では、過去に標準ケア治療が無効であったいずれかの進行性のALK+固形腫瘍またはALK+ALCLである対象において、Rolling-6デザインに従って、ブリガチニブ単剤療法の用量漸増を行う(パートA-1)。ブリガチニブ単剤療法のRP2Dを定めた後、第2相疾患特異的拡大コホートを開始し、切除不能または再発性のALK+IMT(パートB、コホートB-1)または再発性/難治性ALK+ALCL(パートB、コホートB-2)である患者を登録する。この時点には、ALCL99と併用する場合のブリガチニブのRP2Dを定めるために、新たに診断されたALK+ALCL患者であって、高再発リスク患者において、標準的な化学療法レジメン(ALCL99レジメン)と組み合わせたブリガチニブでも用量の漸増を開始する(パートA-2)。
【0119】
試験1のコホートB-1のサンプルサイズは、対象約28人である。
【0120】
試験1のパートA-2及びBのALCL患者において充分な安全性、忍容性及び予備的有効性が観察された場合に、試験2を開始する。試験2に登録する患者集団には、これまで治療していないALK+ALCL小児患者であって、高再発リスク患者(診断時にMDD+の状態であり、抗ALK抗体価が低い(1/750以下である)者として定義される)を組み入れる。このサブ群は、5年PFSが28%、OSが72%であることによって示されるように、未充足ニーズ及び既存の治療に対する応答が最も高く、再発を予防するかまたは未然に防ぐ目的で、より大きな奏効を誘導するさらに攻撃的または多様な最前線の介入策から恩恵を受け得る。これに対して、リスクが低い患者及び中度の患者は、現行の治療に対する応答がさらに高く、5年PFS/OSはそれぞれ93%/98%及び68%/84%である。Mussolin et al.,2013。試験には、無作為化対照薬比較デザインを組み込んで、ALCL99単独の場合と比べて、ALCL99とブリガチニブを併用する場合の安全性及び有効性を厳格に評価可能にする。
【0121】
これまで治療していない高リスクALCL患者における第2相試験のサンプルサイズは、患者約104人であり、これらの患者を1:1で無作為に分けて、ブリガチニブをALCL99と組み合わせて投与するか、またはALCL99を単独で投与する。
【0122】
両方の臨床試験のデザインは、図2に示されている。
【0123】
小児PK/PD試験
初期試験(試験1)の第1相部分の際に段階的な血漿試料を採取して、小児集団におけるブリガチニブのPKを特徴付ける。より低年齢の小児では、血液量が限られる可能性により、間隔を大きくした採取スキームを用いる。統合母集団PKモデリングのアプローチを用いることによって、第1相試験から得られるデータと、健常な成人対象及びNSCLC患者で過去に得たPKデータを組み合わせる。アロメトリック関数を組み込んで、体格測定値(例えば、体表面積[BSA]、体重)がクリアランス及び体積パラメーターに及ぼす作用を推定する。ブリガチニブのPKが変動する原因(すなわち共変量)を探求し、小児データセットと成人データセットを組み合わせたものに基づき、成人において過去に推定された共変量の作用を改訂する。モデルの性能を、適合度のグラフによる評価、統計的基準及び視覚的な予測チェックによって評価する。そのモデルを用いて、各小児対象の暴露パラメーターを導き出し、成人の暴露指標と比較して、さらなる用量選択の指針を示す。
【0124】
小児第1相試験の患者に、ブリガチニブを経口液剤として投与する。それ以降の試験では、固形の経口剤形を嚥下できる患者には、経口錠剤を使用してもよい。錠剤製剤の投与アプローチ(例えばビニング投与)は、利用可能な成人データ及び第1相試験で収集した小児データを用いて行う統合母集団PK解析によって定める。母集団PK解析によって、錠剤製剤に対する経口液剤製剤の相対的バイオアベイラビリティの推定値を改訂する。
【0125】
初期試験(試験1)におけるIMT及びALCL患者の第2相拡大コホート、ならびにALCL患者の別個の第2相試験(試験2)において、PKデータを得る。第1相小児PKデータのモデリングの結果によって定められるサンプリングスキームで、疎PKデータを収集する。その小児臨床開発プログラムの全体にわたって収集したデータの統合母集団PK解析を行って、評価した小児の年齢範囲に対する薬量案の妥当性を確認する。そのモデルは、各小児患者の暴露パラメーターを導き出すのに用いるとともに、小児集団におけるブリガチニブの暴露量-有効性の関係及び暴露量-安全性の関係の評価に寄与する。
【0126】
有効性及び安全性の臨床試験
試験1:未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)の遺伝子変化を有する2歳以上の悪性腫瘍患者におけるブリガチニブの第1/2相試験
主要目標
・小児患者集団において、液体製剤としてPO QDで行うブリガチニブ単剤療法のMTD/RP2Dレジメンを推定すること。
・新たに診断された高リスクALK+ALCLである小児患者において、ALCL99治療レジメンと組み合わせる液体製剤としてPO QDで投与するブリガチニブのMTD/RP2Dレジメンを推定すること。
・小児患者集団において、単剤療法として、及びALCL99と組み合わせて投与するブリガチニブの安全性及び忍容性を評価すること。
・単剤療法として、及びALCL99治療レジメンと組み合わせて投与する小児患者集団において、ブリガチニブのPKを特徴付けること。
【0127】
二次目標
・疾患特異的拡大コホート(IMT及び再発性/難治性ALCL)内で、ブリガチニブの抗腫瘍活性を定義すること。
【0128】
主要評価項目
・パートA-1:単剤療法におけるブリガチニブのRP2Dの決定。
・パートA-2:ALCL99と組み合わせるブリガチニブのRP2Dの決定。
・パートBコホートB-1:ORR。
・パートBコホートB-2:ORR。
【0129】
二次評価項目
・パートA-1及びA-2:MTD、DLT、安全性及び忍容性、ならびにPK。
・パートBコホートB-1及びB-2:DOR、PFS、OS、安全性及び忍容性。
【0130】
主な組み入れ基準
【0131】
全患者(パートA及びB):
・患者は、組織学的または細胞学的に確認された進行性固形腫瘍またはリンパ腫でなければならない。
・患者は、その腫瘍内に、スクリーニングの前に、認定されたアッセイ(すなわち、米国のClinical Laboratory Improvement Amendments(CLIA))によって検出された活性化ALK異常を有する必要がある。この検査から得られる報告書は、適性について、提出する必要がある。IMTまたはALCL患者では、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)または次世代シーケンシング(NGS)の代わりに、ALK免疫組織化学を用いることができる。
・患者は、試験に参加する30日以内または試験中に、他の治験薬を服用してはならない。
・患者は、プロトコールに定められているような臓器機能及び系機能の要件を満たさなければならない。
【0132】
パートA-1:
・小児患者集団において早発型の肺有害反応を起こす未知の可能性、及び呼吸困難のように、患者における報告義務のある症状をモニタリングする必要性により、患者は、4歳以上でなければならない(年齢の下限は、それ以降のコホートでは、安全性及び忍容性データを精査した後、2歳まで低下することになる)。
・患者は、(1)試験への登録前のいずれかの時点での再発性/進行性疾患、(2)難治性疾患、(3)持続性疾患のうちの少なくとも1つでなければならない。
・難治性であるかまたは、すべての利用可能な標準療法に不耐である。
・患者は、この試験に参加する前のすべての過去の化学療法、免疫療法または放射線療法の急性毒性作用から完全に回復していなければならない。
・患者は、試験への参加時点または試験中に、いずれかの他の抗がん剤の投与または放射線療法を受けていてはならない。
【0133】
パートA-2:
・患者は、2歳以上、22歳未満でなければならない。
・患者は、高リスクALK+ALCLでなければならない。
・患者は、過去にいずれの全身化学療法も受けていてはならない。
【0134】
パートB、コホートB-1:
・患者は、2歳以上でなければならない。
・切除不能または再発性のALK+IMTである。
【0135】
パートB、コホートB-2:
・患者は、2歳以上、22歳未満でなければならない。
・再発性または難治性のALK+ALCLである。
【0136】
主な除外基準
・神経学的に不安定であるか、または漸増用量の副腎皮質ステロイドを必要とする症候性CNS転移のある患者。
・試験薬の1回目の投与の14日前以内に、強力または中程度なCYP3A阻害剤または誘導因子を服用した患者。
・以前にALK阻害剤を服用した(パートA-2及びパートBのみ)。
【0137】
サンプルサイズ
・パートA-1:4歳以上であり、過去に標準ケアが無効であった進行性のALK+固形腫瘍またはALCLである評価可能な患者が18人以下。18歳以下の患者が15人以上。
・パートA-2:2歳以上、22歳未満であり、新たに診断された高リスクALCLである評価可能な患者が12人以下。18歳以下の患者が9人以上。
・パートB、コホートB-1:2歳以上であり、切除不能/再発性のIMTである患者が28人。18歳以下の患者が15人以上。
・パートB、コホートB-2:2歳以上、22歳未満であり、再発性/難治性ALCLである患者が10人。18歳以下の対象が8人以上。
【0138】
フォローアップ期間
【0139】
PRまたは疾患の安定のいずれかが見られた患者には、試験依頼者及び治験医が同意したら、最長で1年間、疾患の進行または許容できない毒性が認められるまで、単剤としてのブリガチニブの投与を継続する。
【0140】
治療
【0141】
ブリガチニブのBSAベースの用量を用いて、策定した年齢範囲にわたって全身暴露量を正規化する。成人のALK+NSCLC患者に対して推奨されている1週間のリードインパラダイム(90mg QDで7日間行った後、180mg QDで持続的に投与する)を用いる。開始用量レベルは、小児暴露量(AUC)が、成人における臨床用量で得られる暴露量の80%を超えないように選択した。100mg/m QDという最大策定用量は、全身暴露量が、成人における最大忍容用量240mg QDでの全身暴露量にほぼ匹敵するように選択されている。
【0142】
この試験の各部に対する用量案は、図3に示されている。
【0143】
試験1で実施すべき治療は、以下のとおりである。
【0144】
パートA-1:
・ブリガチニブ単剤療法(すべての患者に対して経口液剤)。
【0145】
パートA-2:
・ALCL99+/-ブリガチニブを6サイクル投与した後、ブリガチニブ単剤療法を行う。
【表1】
【0146】
パートB:
・ブリガチニブ単剤療法:経口液剤及び錠剤(固形の経口剤形を嚥下できる患者に対する錠剤用量。錠剤用量は、パートA-1で収集したPKデータ、及び相対的バイオアベイラビリティの考察から定めることになる)
【0147】
治療期間
・パートA-1及びパートB:治療は、疾患の進行または許容できない毒性が認められるまで継続する。
・パートA-2:ALCL99+/-ブリガチニブを合計6サイクル投与する。2サイクルの治療後にCRまたはCRuが見られた、いずれのアームの患者にも、治験医の裁量で、移植に移行してもよい。
・PRまたは疾患の安定のいずれかが見られた患者には、試験依頼者及び治験医が同意したら、最長で1年間、疾患の進行または許容できない毒性が認められるまで、単剤としてのブリガチニブの投与を継続する。
【0148】
統計的考察
【0149】
パートA-1:試験のパートA-1では、Rolling-6デザインに従う。1つの用量レベルに対して、2~6人の患者を同時に集める。どの用量レベルに患者を登録するかの決定は、新たな患者が参加する時点に、DLTが認められる患者の数、及びDLTを発現するリスクが依然としてある患者の数に基づく。治療の最初の28日間に、患者のDLTについて評価する。ブリガチニブのPKの非コンパートメント解析を行う。PKパラメーターを要約統計によって記述的に要約する。PKデータは、母集団PK解析にさらに寄与する。
【0150】
MTDの決定に加えて、毒性の記述概要を報告する。
【0151】
パートA-2:試験のパートA-2では、Rolling-6デザインに従う。ALCL99レジメンとともに投与するブリガチニブの用量レベルに対して、2~6人の患者を同時に集める。どの用量レベルに患者を登録するかの決定は、新たな患者が参加する時点に、DLTが認められる患者の数、及びDLTを発現するリスクが依然としてある患者の数に基づく。治療の最初の28日間に、患者のDLTについて評価する。ブリガチニブのPKの非コンパートメント解析を行う。PKパラメーターを要約統計によって記述的に要約する。PKデータは、母集団PK解析にさらに寄与する。
【0152】
MTDの決定に加えて、毒性の記述概要を報告する。
【0153】
パートB、コホートB-1:試験のコホートB-1では、主要評価項目として、RECISTv1.1を使用した確定ORRを用いる。ブリガチニブを少なくとも1用量投与されたすべての患者を解析する。28人の患者によって、片側α=0.025で、真の奏効率が50%である場合、20%の閾値率を棄却するための検出力がおよそ90%となる。試験に登録した最初の14人の患者で、無益性についての中間解析を行う。20%の閾値率を棄却するための条件付き検出力が低い場合には、その試験は、無益性のために終了してよい。このコホートで収集したPKデータは、母集団PK解析に寄与する。
【0154】
パートB、コホートB-2:試験のコホートB-2では、主要評価項目として、RECISTv1.1を使用した確定ORRを用いるとともに、重要な二次評価項目として、2年時点のEFSを用いる。この試験には、およそ10人の患者を登録する。このコホートで収集したPKデータは、母集団PK解析に寄与する。
【0155】
D.4.3.2試験2:これまで治療していない高リスクALK+ALCL患者において、デキサメタゾン、イホスファミド、メトトレキセート、エトポシド及びシタラビンと組み合わせてブリガチニブを投与した後、デキサメタゾン、メトトレキセート、シクロホスファミド及びドキソルビシン(ALCL99レジメン)と組み合わせてブリガチニブを投与する場合を、ALCL99レジメンのみの場合と比較する無作為化第2相試験
主要目標
・これまで治療していない高リスクALCLである2歳以上の患者において、ALCL99と組み合わせたブリガチニブの有効性を評価すること。
・ALCL99と組み合わせたブリガチニブの安全性及び忍容性を評価すること。
【0156】
PK目標
・母集団PK解析に寄与する血漿濃度-時間データを収集すること。
【0157】
主要評価項目
・2年時点のEFS
【0158】
二次評価項目
・ORR、DOR、奏効までの時間及びOS
【0159】
主な組み入れ基準
・患者は、2歳以上、22歳未満でなければならない。
・患者は、高リスクALK+ALCLであり、診断時にMDD+であり、かつ抗体価が1/750以下でなければならない。
・患者は、スクリーニングの前に、認定されたアッセイ(すなわち、米国のCLIA)によって検出された活性化ALK異常を有する必要がある。この試験から得られる報告書は、適性について、提出する必要がある。FISHまたはNGSの代わりに、ALK免疫組織化学を用いることができる。
・患者は、試験に参加する30日以内または試験中に、他の治験薬を服用してはならない。
・患者は、プロトコールに定められているような臓器機能及び系機能の要件を満たさなければならない。
【0160】
主な除外基準
・神経学的に不安定であるか、または漸増用量の副腎皮質ステロイドを必要とする症候性CNS転移のある患者。
・試験薬の1回目の投与の14日前以内に、強力または中程度なCYP3A阻害剤または誘導因子を服用した患者。
・以前にALK阻害剤を服用した。
・過去にALCLに対するいずれかの全身化学療法を受けた患者。
【0161】
サンプルサイズ
・2歳以上、22歳未満の患者約104人を1:1で無作為に分けて、ブリガチニブをALCL99と組み合わせて投与するか、またはALCL99を単独で投与する(85~97人の患者は、18歳以下である)。
【0162】
フォローアップ期間
・患者は、無作為化から最長で3年間追跡する。
【0163】
治療
・ブリガチニブは、経口液剤、または経口剤形を嚥下できる患者には錠剤として提供する。試験2で用いたブリガチニブ+ALCL99治療レジメンは、試験1のパートA-2で検討された内容に従う。
【0164】
統計的考察:
【0165】
両側αが0.05、ALCL99のみで治療した患者における2年EFSが24%、ALCL99と組み合わせてブリガチニブで治療した患者における2年EFSが50%とすると、試験では、最終的な解析において検出力が80%となるには、74件のイベントを観察する必要がある。最初の29件のイベントを観察した後に、無益性に関する中間解析を1回、計画する。中間解析時点の条件付き検出力が20%未満である場合には、その試験は、無益性のために終了する。この検出力の予測は、両側ログランク検定に基づくものであり、両側レベル0.05で制御し、中間解析策定案を調節する。イベント数は一定であるが、登録数(N:約104)は、(登録終了前に)治療群にわたって合併した全イベント発生率の評価に基づき変更し得る。
【0166】
以下の表には、策定したすべての臨床試験の概要を表にしたものが示されている。
【表2】
【0167】
本明細書に記載されている実施形態は、例示的なものとして意図されているに過ぎず、当業者は、具体的な化合物、材料及び手順の多くの均等物を認識するか、または単なる日常的な実験を用いて、それらを確認できるであろう。このような均等物はいずれも、本開示の範囲内であるとみなす。
【0168】
本明細書で言及されている特許、特許出願及び刊行物はすべて、その全体が本明細書に援用される。本願において、いずれの参照文献が引用または特定されていても、そのような参照文献が、本願に対する先行技術として利用可能であることを認めるものではない。本開示の完全な範囲は、添付の請求項を参照することにより理解が深まる。
図1
図2
図3
【外国語明細書】