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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178619
(43)【公開日】2023-12-18
(54)【発明の名称】光ケーブル接続用クロージャ
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/46 20060101AFI20231211BHJP
【FI】
G02B6/46 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091409
(22)【出願日】2022-06-06
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 石川 聡一、櫻井 信、松尾 崇司、宝満 貞治、及び 山田 裕介 が、つくばフォーラム2022において、「光提供機会の拡大に向けた路面配線光ケーブル技術」(NTT展示22)と題して、石川 聡一、櫻井 信、松尾 崇司、宝満 貞治、及び 山田 祐介、大島 義久、真野 恭、及び 平野 直毅 が発明した「光ケーブル接続用クロージャ」に関する技術について公開した。
(71)【出願人】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】595083051
【氏名又は名称】株式会社ジャパンリーコム
(74)【代理人】
【識別番号】100145470
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 健一
(72)【発明者】
【氏名】石川 聡一
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 信
(72)【発明者】
【氏名】松尾 崇司
(72)【発明者】
【氏名】宝満 貞治
(72)【発明者】
【氏名】山田 裕介
(72)【発明者】
【氏名】大島 義久
(72)【発明者】
【氏名】真野 恭
(72)【発明者】
【氏名】平野 直毅
【テーマコード(参考)】
2H038
【Fターム(参考)】
2H038CA37
2H038CA38
2H038CA48
(57)【要約】
【課題】路面に平置きできる薄さと防水性と強度とを兼ね備え、施工及び保守点検作業が容易となり、追加の分配作業でも非常に簡便に作業を執り行える光ケーブル接続用クロージャを提供する。
【解決手段】
光ケーブル接続用クロージャ100は、薄箱形状のベース10と、カバー11と、光ケーブル心線を収納する下段トレイ21と、下段トレイ21に回動可能に枢着されて未接続の引き通し心線を収納する上段トレイ22と、引き込み口11にはケーブルシール31、ドロップシール32、ダミードロップ33が組み込まれた防水可能な閉塞栓30と、光ケーブルを把持するためのケーブル把持具40と、ドロップケーブルを把持するためのドロップ把持具50、防水用のガスケット60とから構成される。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
路面に配設される光ケーブルの上流側の光ケーブルと下流側の光ケーブルとを接続するための光ケーブル接続用クロージャであって、
前記光ケーブル接続用クロージャは、
上面が開放された箱形状で前記光ケーブルを引き込むための引き込み口を有したベースと、
前記ベースの上面を蓋するためのカバーと、
前記ベース内に設置されて接続された上流側及び下流側の光ケーブル心線を収納する下段トレイと、
前記下段トレイに回動可能に枢着されて未接続の引き通し心線を収納する上段トレイと、
前記引き込み口に取り付けられて防水シールするための前記光ケーブルを挿入する挿入口と上面が平坦形状とで形成された弾性部材のケーブルシールと、
前記光ケーブルが挿入されない場合の前記ケーブルシールの挿入口に挿入されて閉塞するための弾性部材のドロップシールと、
前記光ケーブルとの接触面にとげ状の鬼目が設けられた板形状で前記ベースにねじ止めされて前記光ケーブルを把持するケーブル把持具と、
前記光ケーブルのドロップケーブルを把持するための溝部を有し爪部により前記ベースに嵌合されるドロップ把持具と、
が設けられることを特徴とする光ケーブル接続用クロージャ。
【請求項2】
前記ドロップシールは、前記ドロップケーブルを挿通するためのドロップ挿入口が形成され、前記ドロップ挿入口内部には前記ドロップケーブルが挿入されると破れる薄膜が所定の位置に形成されて通路を塞いでいることを特徴とする請求項1に記載の光ケーブル接続用クロージャ。
【請求項3】
前記ドロップシールは、ドロップケーブル未挿入時の防水シールおよび前記ドロップ挿入口内部へのゴミの侵入を防止するダミードロップが挿入可能であることを特徴とする請求項2に記載の光ケーブル接続用クロージャ
【請求項4】
前記ケーブルシールは、前記カバーが外された状態の前記ベースに取り付けられた際に、前記ケーブルシールの上面平坦部分が前記ベースの上面よりも所定の厚さ飛び出ていることを特徴とする請求項1に記載の光ケーブル接続用クロージャ。
【請求項5】
前記ケーブルシールは、上面平坦部分にスリットが形成されて前記スリット部分から前記ケーブルシールを広げることによって前記光ケーブルをはめ込むことが可能であることを特徴とする請求項1に記載の光ケーブル接続用クロージャ。
【請求項6】
前記ドロップシールは、前記ケーブルシールよりも硬度が低い材質であることを特徴とする請求項1に記載の光ケーブル接続用クロージャ。
【請求項7】
前記光ケーブル接続用クロージャの厚さは10mmから15mmであることを特徴とする請求項1に記載の光ケーブル接続用クロージャ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に路面に配線される光ケーブルに用いられる平置きされる光ケーブル接続用クロージャに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、光ケーブルは架空や地下部分に配線されることが多い。今後の光ファイバー需要はIoTをはじめとする多様化が進展し、5G基地局への対応も必要となる。ところが、既に無電柱化されている都市部や電柱設備の無い郊外においては、新たに架空設備や地下設備を構築するとなると莫大な費用と時間が必要となってしまう。
【0003】
そこで、架空設備や地下設備などの土木工事を行うことなく、経済的かつ速やかに光ケーブルを配線することを目的に道路の路面に配線する方法が提案されている。
【0004】
路面に配線する方法としては主に2つの手段が考えられる。1つ目の配線方法は内部に配線空間(溝)を有した布設シートを道路の上に敷く方法である。2つ目の配線方法は特許文献1のように道路に直接溝を作り、その部分に光ケーブルを配設する方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10-153716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記2つ目の道路に直接溝を作る配線方法は溝のサイズに大きな制約は無いが溝を形成するための道路工事が新たに必要となる欠点がある。1つ目の布設シートを敷く方法の場合、車道や歩道などの道路の上に敷く方法であるから配設作業としては非常に簡便ではあるが、シート厚さが厚すぎると段差となってしまい通行の妨げとなってしまう。そのため布設シートの厚さはなるべく薄くする必要がある。
【0007】
また、光ケーブルは分岐、接続のために光ケーブル接続用クロージャが必要となるが、このクロージャも路面に平置きで配設されるため、クロージャは極力薄い構造であるだけでなく、防水又は防滴構造で、車等に踏まれることを考慮して強度も非常に高いものでなくてはならない。今までの光ケーブル接続用クロージャは架空や地下の配設されることがほとんどであるので防水性やコンパクト構造や作業性に優れたクロージャは存在するが、路面に平置きできる薄さと防水性と強度とを兼ね備えたクロージャを発明する必要性が出てきた。
【0008】
本発明は上述のような課題に鑑みなされたものであり、路面に平置きできる薄さと防水性と強度とを兼ね備え、施工及び保守点検作業が容易となり、追加の分配作業でも非常に簡便に作業を執り行える光ケーブル接続用クロージャを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決したものであって、請求項1の発明は、路面に配設される光ケーブルの上流側の光ケーブルと下流側の光ケーブルとを接続するための光ケーブル接続用クロージャであって、前記光ケーブル接続用クロージャは、上面が開放された箱形状で前記光ケーブルを引き込むための引き込み口を有したベースと、前記ベースの上面を蓋するためのカバーと、前記ベース内に設置されて接続された上流側及び下流側の光ケーブル心線を収納する下段トレイと、前記下段トレイに回動可能に枢着されて未接続の引き通し心線を収納する上段トレイと、前記引き込み口に取り付けられて防水シールするための前記光ケーブルを挿入する挿入口と上面が平坦形状とで形成された弾性部材のケーブルシールと、前記光ケーブルが挿入されない場合の前記ケーブルシールの挿入口に挿入されて閉塞するための弾性部材のドロップシールと、前記光ケーブルとの接触面にとげ状の鬼目が設けられた板形状で前記ベースにねじ止めされて前記光ケーブルを把持するケーブル把持具と、前記光ケーブルのドロップケーブルを把持するための溝部を有し爪部により前記ベースに嵌合されるドロップ把持具と、が設けられることを特徴とする光ケーブル接続用クロージャである。
【0010】
また、請求項2の発明は、前記ドロップシールは、前記ドロップケーブルを挿通するためのドロップ挿入口が形成され、前記ドロップ挿入口内部には前記ドロップケーブルが挿入されると破れる薄膜が所定の位置に形成されて通路を塞いでいることを特徴とする請求項1に記載の光ケーブル接続用クロージャである。
【0011】
また、請求項3の発明は、前記ドロップシールは、ドロップケーブル未挿入時の防水シールおよび前記ドロップ挿入口内部へのゴミの侵入を防止するダミードロップが挿入可能であることを特徴とする請求項2に記載の光ケーブル接続用クロージャである。
【0012】
また、請求項4の発明は、前記ケーブルシールは、前記カバーが外された状態の前記ベースに取り付けられた際に、前記ケーブルシールの上面平坦部分が前記ベースの上面よりも所定の厚さ飛び出ていることを特徴とする請求項1に記載の光ケーブル接続用クロージャである。
【0013】
また、請求項5の発明は、前記ケーブルシールは、上面平坦部分にスリットが形成されて前記スリット部分から前記ケーブルシールを広げることによって前記光ケーブルをはめ込むことが可能であることを特徴とする請求項1に記載の光ケーブル接続用クロージャである。
【0014】
また、請求項6の発明は、前記ドロップシールは、前記ケーブルシールよりも硬度が低い材質であることを特徴とする請求項1に記載の光ケーブル接続用クロージャである。
【0015】
また、請求項7の発明は、前記光ケーブル接続用クロージャの厚さは10mmから15mmであることを特徴とする請求項1に記載の光ケーブル接続用クロージャである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の光ケーブル接続用クロージャは、路面に平置きできる薄さと防水性と強度とを兼ね備え、施工及び保守点検作業が容易となり、追加の分配作業でも非常に簡便に作業を執り行える光ケーブル接続用クロージャである。特に、本願のケーブルシールと、ドロップシールと、ケーブル把持具と、ドロップ把持具と、がコンパクトで防水性と強度とを兼ね備えるように設けられることで、クロージャ全体としての厚さが抑えられ路面に設置されても大きな段差を生み出すことが無い利点がある。
【0017】
また、請求項2の発明では、ドロップシールは、ドロップケーブルを挿通するためのドロップ挿入口が形成され、ドロップ挿入口内部にはドロップケーブルが挿入されると破れる薄膜が所定の位置に形成されて通路を塞いでいることを特徴としているので、ドロップケーブルが挿入されていない状態では薄膜によって防水構造となっていて、ドロップケーブルを挿入する際には特別な工具や別のシール部材の必要が無く差し込むだけで防水性を維持しながら配線できるという優れた利点を有している。
【0018】
また、請求項3の発明では、ドロップシールは、ドロップケーブル未挿入時の防水シールおよびドロップ挿入口内部へのゴミの侵入を防止するダミードロップが挿入可能であることを特徴としているので、使用しないときにはダミードロップを挿入してゴミの浸入を防止でき、さらに内部の薄膜の保護もできる。
【0019】
また、請求項4の発明では、ケーブルシールは、カバーが外された状態のベースに取り付けられた際に、ケーブルシールの上面平坦部分がベースの上面よりも所定の厚さ飛び出ていることを特徴としているので、カバーが取り付けられるとケーブルシールは弾性部材のため圧縮されケーブルシール部分の防水性がより高まる利点がある。
【0020】
また、請求項5の発明では、ケーブルシールは、上面平坦部分にスリットが形成されてスリット部分からケーブルシールを広げることによって光ケーブルをはめ込むことが可能であることを特徴としているので、光ケーブルを接続する際にケーブルシールをわざわざ先端部から挿入せずともはめ込むことができるので作業性が向上する利点がある。
【0021】
また、請求項6の発明では、ドロップシールは、ケーブルシールよりも硬度が低い材質であることを特徴としているので、密着性がよくより防水性能を向上することができる。
【0022】
また、請求項7の発明では、光ケーブル接続用クロージャの厚さは10mmから15mmであることを特徴としているので、路面に設置しても大きな段差とならず安全性やひいては景観を損ねることも無く設置することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の光ケーブル接続用クロージャの一実施形態のうちカバーを取り外した状態の図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図、(d)は斜視図である。
図2】本発明の光ケーブル接続用クロージャの一実施形態のうちカバーを取り付けた状態の図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図、(d)は斜視図である。
図3】本発明の閉塞栓を示した図であり、(a)はケーブルが挿入されていない状態の図、(b)はドロップケーブルを挿入した状態の図である。
図4】本発明のケーブルシールを示した図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は背面図、(d)は左側面図、(e)は右側面図、(f)は斜視図である。
図5】本発明のドロップシールを示した図であり、(a)は正面図、(b)は左側面図、(c)は右側面図、(d)は斜視図、(f)は断面斜視図である。
図6】本発明のダミードロップを示した図であり、(a)は正面図、(b)は左側面図、(c)は平面図、(d)は斜視図である。
図7】本発明のダミードロップをドロップシールに挿入した状態の図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は右側面図、(d)は斜視図である。
図8】本発明のケーブル把持具を示した図であり、(a)は平面斜視図、(b)は背面斜視図である。
図9】本発明のドロップ把持具を示した図であり、(a)は平面斜視図、(b)は背面斜視図である。
図10】本発明のガスケットを示した図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図、(d)は斜視図である。
図11】本発明の光ケーブル接続用クロージャの光ケーブルを配線した状態の図であり、(a)は上段トレイが閉じた状態の図、(b)は上段トレイを回動して開いた状態の図である。
図12】本発明の光ケーブル接続用クロージャの光ケーブル及びドロップケーブルを配線した状態の図であり、(a)は光ケーブル及びドロップケーブルを配線した部分の拡大図、(b)はドロップ把持具部分の断面拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る光ケーブル接続用クロージャについて、図面を参照して説明する。先ず、図1及び図2を参照し、本実施形態の光ケーブル接続用クロージャ100全体について説明する。なお、本実施例では、光ケーブルをA、ドロップケーブルをBとする。
【0025】
図1は本発明の光ケーブル接続用クロージャ100の一実施形態のうちカバー部材を取り外した状態の図である。また、図2はカバー11を取り付けた状態の図である。光ケーブル接続用クロージャ100は、薄箱形状のベース10と、光ケーブル心線を収納する下段トレイ21と、下段トレイ21に回動可能に枢着されて未接続の引き通し心線を収納する上段トレイ22と、引き込み口11にはケーブルシール31、ドロップシール32、ダミードロップ33が組み込まれた防水可能な閉塞栓30と、光ケーブルを把持するためのケーブル把持具40と、ドロップケーブルを把持するためのドロップ把持具50、防水用のガスケット60とから構成される。
【0026】
本実施例では図2のカバー11を取り付けた状態での厚さは13mm、縦約100mm、横約290mmの構造となっている。また、ベース10とカバー11の材質はステンレスとなっている。これは、耐荷重を30kNと仮定した場合の路面に平置きできる厚さと耐水性を考慮した場合であり、条件に応じて厚さを厚くしたり、材質を樹脂製にしてもよい。カバー11のねじ止めに使用されるねじは、クロージャを路面に設置することを踏まえ、防犯のために通常の+-ドライバーでは開閉できないように特殊形状ねじを使用している。
【0027】
光ケーブル接続用クロージャ100は上面が開放された箱形状で光ケーブルを引き込むための引き込み口11を有したベース10に各種部材を取り付ける構造となっている。ベース10内中央部分には引き込まれた上流側及び下流側の光ケーブル心線を収納する下段トレイ21と、下段トレイ21に回動可能に枢着されて未接続の引き通し心線を収納する上段トレイ22とが設置されている。これら下段トレイ21と上段トレイ22は従来より出願人が発明してきた光ケーブル心線収納トレイと似た構造ではあるが、より薄くても収納しやすいように各所に心線引き回し用のガイドや壁、リブを設けている。
【0028】
本実施例の光ケーブル接続用クロージャ100の引き込み口11は上流側3カ所、下流側3カ所の計6カ所設けられていて、それぞれの引き込み口11にはケーブルシール31、ドロップシール32、ダミードロップ33が組み込まれた閉塞栓30が取り付けられている。引き込み口11の数は設置場所の規模に応じて増減可能である。なお、図1は光ケーブルを引き込む前の状態のクロージャであり、全ての引き込み口11に閉塞栓30が取り付けられている。
【0029】
また、ベース10上面外周近傍には内部を囲うように防水用のガスケット60が取り付けられている。
【0030】
閉塞栓30は図3~7のように、ケーブルシール31、ドロップシール32、ダミードロップ33から構成されている。ケーブルシール31の光ケーブルの挿入口31aにドロップシール32が嵌合され、ドロップシール32のドロップケーブルの挿入口32aにダミードロップ33がドロップシール32内の薄膜32bを破らないように挿入されている。
【0031】
ケーブルシール31は図4のように円筒形状で、光ケーブルを挿入する挿入口31aと上面31bが平坦形状とで形成された弾性部材である。また、上面31bには挿入口31aまで切り込まれたスリット31cが形成されている。スリット31cが形成されることにより、スリット部分からケーブルシール31の上面31bを広げることによって光ケーブルAをはめ込むことが可能であり、光ケーブルを接続する際にケーブルシールをわざわざ先端部から挿入せずともはめ込むことができるので作業性が向上する。
【0032】
ドロップシール32は図5のように弾性部材の棒状で、中心軸にドロップケーブルBを挿入するための挿入口32aが使用されるドロップケーブルの外形と公差を有した形状で形成されている。また、挿入口32aの一端部近傍に挿入口をふさぐ薄膜32bが設けられている。これにより防水性を確保するとともに、ドロップケーブルBを新たに引き回す際に、わざわざ閉塞栓30を分解すること無く差し込むだけで防水性を維持しながら挿入作業が完了できる。
【0033】
ダミードロップ33は図6のように板棒状で、使用されるドロップケーブルの外形と公差を有した形状となっている。一端側は、ダミードロップ33を抜き差ししやすいように大きくつまみのように形成されている。使用しない閉塞時には図7のようにこのダミードロップ33がドロップシール32の挿入口32aに挿入されていて、ドロップケーブル未挿入時の防水シールおよびごみの進入を阻止する役目を担っている。
【0034】
ケーブル把持具40は図8のような板状でベース10にねじ止めされるものである。ケーブル把持具40は引き込まれる光ケーブルAを把持するための部材であり、光ケーブルAとの接触面にとげ状の鬼目41が設けられた板形状となっている。図12のように、ベース10に設けられた溝に沿うように光ケーブルAを配置した後、上部から光ケーブルAを挟むようにケーブル把持具40をねじ止めし、鬼目41が光ケーブルAの被覆に食い込むように把持することで、クロージャの厚さを極力薄くしても確実にケーブルを把持できるように工夫されている。
【0035】
ドロップ把持具50は図9のようにドロップケーブルBを把持するための溝51が設けられており、ベース10にワンタッチで直接嵌合することができるので、部材を非常にコンパクトかつ薄く構成することができ、クロージャの全体の厚さを薄く構成することができている。
【0036】
ガスケット60は図10のようにベース10上面外周に内部を囲うように成型された一体成型の弾性部材である。閉塞栓30が取り付けられる部分もガスケットが配設できるように一体成型されているのでより防水性が高くなる構造となっている。規格品を使用する場合よりも、形状に自由度があるのでコンパクトに形成することができるので、本発明のように可能な限り薄く構成する必要のあるクロージャの場合は非常に有効なガスケットとなっている。
【0037】
本発明では、図12の配線状態の図のように、特にケーブルシール31、ドロップシール32、ダミードロップ33から構成された閉塞栓30と、ケーブル把持具40と、ドロップ把持具50とがコンパクトにケーブル類を防水しながら把持することができるので、クロージャ全体として非常にコンパクトで路面に平置きできる厚さの薄い光ケーブル接続用クロージャ100を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の光ケーブル接続用クロージャ100は路面に平置きできる厚さの薄い光ケーブル接続用クロージャであるので、例えば幅の狭い隙間に設置する場合にも利用可能である。
【符号の説明】
【0039】
A 光ケーブル
B ドロップケーブル
100 光ケーブル接続用クロージャ
10 ベース
11 カバー
21 下段トレイ
22 上段トレイ
30 閉塞栓
31 ケーブルシール
32 ドロップシール
33 ダミードロップ
40 ケーブル把持具
41 鬼目
50 ドロップ把持具
51 溝
52 爪
60 ガスケット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12