(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178653
(43)【公開日】2023-12-18
(54)【発明の名称】テープ貼着装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20231211BHJP
【FI】
H01L21/68 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091454
(22)【出願日】2022-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 邦重
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131BA53
5F131CA18
5F131DA33
5F131EA07
5F131EA14
5F131EA22
5F131EA23
5F131EC33
5F131EC37
5F131EC44
5F131EC62
5F131EC72
5F131EC77
5F131KA16
5F131KA44
5F131KA54
5F131KB05
5F131KB32
5F131KB53
(57)【要約】
【課題】テープ貼着装置において、被貼着物に対するテープの貼着位置の位置ずれを防止する。
【解決手段】テープ貼着装置1は、被貼着物の一例であるウェーハW及びリングフレームFを保持する保持部3と、テープセットTSを鋭角に屈曲させてシートTAからダイシングテープTBを剥離させるピールプレート50と、このピールプレート50によってシートTAから剥離されたテープの一例であるダイシングテープTBをウェーハW及びリングフレームFに押し付けてウェーハW及びリングフレームFにダイシングテープTBを貼着する貼着ローラ60と、この貼着ローラ60の外側面にシートTAから剥離されたダイシングテープTBの先端を沿わせるエアノズル39と、貼着ローラ60の外側面に沿わされたダイシングテープTBの先端を検知する先端検知部8と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面に粘着層を有し被貼着物に対応した形状に切断されたテープと該粘着層に貼着した帯状のシートとからなるテープセットを用いて、該シートから剥離しながら該テープを被貼着物に貼着するテープ貼着装置であって、
被貼着物を保持する保持部と、該保持部に保持された被貼着物に該シートから剥離した該テープを貼着する貼着手段と、該保持部と該貼着手段とを相対的に水平方向に移動させる水平移動手段と、を備え、
該貼着手段は、
少なくとも二つのローラで該テープセットを挟む第一ローラセットと、
少なくとも二つのローラで該シートを挟む第二ローラセットと、
該第一ローラセットと該第二ローラセットとの間において該テープセットを鋭角に屈曲させて該シートから該テープを剥離させるピールプレートと、
該ピールプレートによって該シートから剥離された該テープを被貼着物に押し付けて被貼着物に該テープを貼着する貼着ローラと、
該貼着ローラの外側面に該シートから剥離された該テープの先端を沿わせるエアノズルと、
該貼着ローラの外側面に沿わされた該テープの先端を検知する先端検知部と、
を備える、テープ貼着装置。
【請求項2】
該先端検知部は、該保持部に配置され該貼着ローラに向かって測定光を投光する投光部と、該測定光の反射光を受光する受光部と、該反射光を該受光部が受光することによって該テープの先端を検知する検知部と、を備える、請求項1記載のテープ貼着装置。
【請求項3】
該先端検知部は、該保持部に配置され該貼着ローラの外側面に先端が接触するように延在する触覚センサと、該触覚センサによって該テープの先端を検知する検知部と、を備える、請求項1記載のテープ貼着装置。
【請求項4】
該先端検知部は、該保持部に配置され該貼着ローラに向かって超音波振動を発振する発振部と、該超音波振動が該貼着ローラまたは該テープで反射した反射振動を受振する受振部と、該受振部の値によって該テープの先端を検知する検知部と、を備える、
請求項1記載のテープ貼着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープを被貼着物に貼着するテープ貼着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のテープ貼着装置は、例えば、一方の面に保護テープを貼着したウェーハの他方の面を砥石で研削した後、リングフレームとウェーハの他方の面とにダイシングテープを貼着してダイシングテープによってリングフレームとウェーハとを一体化させた後、ウェーハから保護テープを剥離させている。
【0003】
このようにリングフレームとウェーハとにダイシングテープを貼着するテープ貼着装置において、ダイシングテープが剥離される前のテープセットが収容されるケースの開口近傍においてテープセットの先端が検知されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、リングフレームに対する貼着後のダイシングテープの位置ずれを検知する手法もとられている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-047699号公報
【特許文献2】実用新案登録第3220069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、シートから剥離されたダイシングテープの先端を貼着ローラに沿わせて、この貼着ローラによってダイシングテープをリングフレーム及びウェーハに貼着する場合、テープセットを送るローラに滑りが生じることなどによって、貼着ローラの外側面に沿わされたダイシングテープの先端位置がずれることがある。このようにテープセットを送るローラに滑りが生じると、上述のようにテープセットを収容するケースの開口近傍においてテープセットの先端を検知しても、その後、ダイシングテープの先端位置がずれることになる。そして、ダイシングテープの先端位置がずれると、被貼着物に対するテープの貼着位置の位置ずれが発生し、ダイシングテープの貼り直しが発生する。
【0007】
また、上述のようにリングフレームに対する貼着後のダイシングテープの位置ずれを検知する場合、位置ずれを貼着前に検知することができず、貼り直し分のダイシングテープと、貼り直しの時間とが必要になる。
【0008】
本発明の目的は、被貼着物に対するテープの貼着位置の位置ずれを防止することができるテープ貼着装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のテープ貼着装置は、一方の面に粘着層を有し被貼着物に対応した形状に切断されたテープと該粘着層に貼着した帯状のシートとからなるテープセットを用いて、該シートから剥離しながら該テープを被貼着物に貼着するテープ貼着装置であって、被貼着物を保持する保持部と、該保持部に保持された被貼着物に該シートから剥離した該テープを貼着する貼着手段と、該保持部と該貼着手段とを相対的に水平方向に移動させる水平移動手段と、を備え、該貼着手段は、少なくとも二つのローラで該テープセットを挟む第一ローラセットと、少なくとも二つのローラで該シートを挟む第二ローラセットと、該第一ローラセットと該第二ローラセットとの間において該テープセットを鋭角に屈曲させて該シートから該テープを剥離させるピールプレートと、該ピールプレートによって該シートから剥離された該テープを被貼着物に押し付けて被貼着物に該テープを貼着する貼着ローラと、該貼着ローラの外側面に該シートから剥離された該テープの先端を沿わせるエアノズルと、該貼着ローラの外側面に沿わされた該テープの先端を検知する先端検知部と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明のテープ貼着装置によれば、被貼着物に対するテープの貼着位置の位置ずれを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】ロール状に巻回されたテープセットの一例を示す斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係るテープ貼着装置の構成の一例を示す模式的な断面図である。
【
図3】第1実施形態に係るテープ貼着装置の先端検知部等を拡大して示す断面図である。
【
図4】第2実施形態に係るテープ貼着装置の構成の一例を示す模式的な断面図である。
【
図5】第2実施形態に係るテープ貼着装置の先端検知部を説明するための断面図(その1)である。
【
図6】第2実施形態に係るテープ貼着装置の先端検知部を説明するための断面図(その2)である。
【
図7】第2実施形態に係るテープ貼着装置の先端検知部を説明するための断面図(その3)である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明の第1及び第2実施形態に係るテープ貼着装置について説明する。
【0013】
各図に示すX軸方向、Y軸方向、Z軸方向は互いに垂直な関係にある。X軸方向とY軸方向は略水平な方向であり、Z軸方向は上下方向(垂直方向)である。各図において、X軸方向を示す両矢線のうち、+Xの文字が付されている側を右方とし、-Xの文字が付されている側を左方とする。Y軸方向を示す両矢線のうち、+Y又はYの文字が付されている側を前方とし、-Yの文字が付されている側を後方とする。Z軸方向を示す両矢線のうち、+Zの文字が付されている側を上方とし、-Zの文字が付されている側を下方とする。
【0014】
図1に示すテープセットTS(例えば、厚み200μm)は、帯状の粘着テープTEと、帯状のシートTAとが貼り合わせられた構造となっている。粘着テープTEは、例えばポリオレフィン系樹脂等からなる基材TEAと、この基材TEA上の粘着層TEBとからなり、粘着層TEB側にシートTA(例えば、厚み100μm)が貼着されている。粘着テープTEは、予め貼着対象となるリングフレームF(
図2参照)の径に応じて円形状に複数プリカットされており、シートTAに粘着テープTEがプリカットされて形成されたダイシングテープTBが複数、シートTAの長手方向(
図1においてはX軸方向)に等間隔を空けて貼着された状態になっている。なお、粘着テープTE及びシートTAは、特に材質などが限定されない。
【0015】
上記の帯状のシートTAの長手方向に円形のダイシングテープTBを並べて貼着したテープセットTSは、
図1に示すように巻筒TCにダイシングテープTBを内側にしてロール状に巻回された状態となっている。
【0016】
<第1実施形態>
図2は、第1実施形態に係るテープ貼着装置1の構成の一例を示す模式的な断面図である。
【0017】
図3は、テープ貼着装置1の先端検知部8等を拡大して示す断面図である。
【0018】
図2に示すテープ貼着装置1は、一方の面に粘着層TEBを有し被貼着物(リングフレームF及びウェーハW)に対応した形状(円形状)に切断されたダイシングテープTB(テープの一例)と、粘着層TEBに貼着した帯状のシートTAとからなるテープセットTSを用いて、シートTAから剥離しながらダイシングテープTBを被貼着物に貼着する装置である。すなわち、テープ貼着装置1は、被貼着物の一例であるリングフレームF及びウェーハWを、
図1に示すダイシングテープTBで一体化させる。
【0019】
テープ貼着装置1は、保持部3と、貼着部(貼着手段)と、保持部移動部(水平移動手段)34とを備える。
【0020】
保持部3は、リングフレームFを保持するリングフレーム保持部30と、リングフレームFの開口内でウェーハWを保持するウェーハ保持部31とを有する。これにより、保持部3は、リングフレームF及びウェーハWを保持する。
【0021】
図2に示すリングフレーム保持部30は、平面視円環状の円筒部品であり、その上面はポーラス部材等からなり図示しない吸引源に連通する保持面となる。ウェーハ保持部31は、リングフレーム保持部30に囲繞されリングフレームFの開口内でウェーハWを保持する円柱部品である。ウェーハ保持部31は、平面視円形状であり、その上面はポーラス部材等からなり図示しない吸引源に連通する保持面となる。
【0022】
ウェーハ保持部31とリングフレーム保持部30とは、支持台32によって下方から支持されている。支持台32の下方には、支持台32を介して保持部3をX軸方向に往復移動させる水平移動手段の一例である保持部移動部34が配置されている。保持部移動部34は、X軸方向に延在するベース341と、このベース341に沿ってX軸方向に移動可能な移動基台342と、この移動基台342を移動させる図示しないボールネジ機構等とを備え、保持部3と貼着手段とを相対的に水平方向に移動させる。
【0023】
支持台32と移動基台342とは、例えば、シリンダ機構等からなる保持部昇降部35を介して接続されている。保持部昇降部35は、支持台32を介して保持部3をZ軸方向に昇降させる。
【0024】
なお、本実施形態においては、保持部3と後述する貼着ローラ60との両方がZ軸方向に往復移動可能となっているが、いずれか一方のみがZ軸方向に往復移動可能な構成となっていてもよい。
【0025】
保持部3の移動経路上方には、テープセット引取り部76をX軸方向に往復移動可能とするスライド機構71が配置されている。このスライド機構71は、X軸方向に延在するベース710と、テープセット引取り部76が固定されベース710においてX軸方向にスライド移動可能なスライダ711と、スライダ711を移動させる図示しないボールネジ機構とを有する。
【0026】
テープセット引取り部76は、支持部材761と、この支持部材761の上端に配置されたクランプ等のテープセット把持部762とを備えている。テープセット把持部762は、テープセット引渡し部17のテープセット挟持部174が挟持するテープセットTSの端部のY軸方向両端を引き継いで把持することができる。
【0027】
スライド機構71のベース710の-X方向側の端側には、シートTAを廃棄する廃棄部73が配置されている。この廃棄部73は、シートTAの端部のY軸方向の両端を把持部7310によって把持するとともにその外周面にシートTAをロール状に巻き取る巻き取り部731と、この巻き取り部731を回転させる図示しないモータと、巻き取り部731の下方に配置されロール状に巻かれたシートTAを把持部7310が離すことでシートTAが落下する廃棄ボックス732とを備えている。
【0028】
貼着部(貼着手段)は、保持部3に保持されたリングフレームF及びウェーハWに、シートTAから剥離したダイシングテープTBを貼着する。
【0029】
貼着部は、送り出しユニット2と、巻き取りユニット4と、ピールプレート50と、貼着ローラ60と、エアノズル39と、先端検知部8とを備える。
【0030】
送り出しユニット2は、少なくとも二つのローラでテープセットTSを挟む第一ローラセットの一例であり、駆動ローラ21と、Z軸方向において対向する2つの従動ローラ22と、移動機構23とを有し、駆動ローラ21及び2つの従動ローラ22がテープセットTSを挟んで回転しテープセットTSを送り出す。
【0031】
移動機構23は、X軸方向に延在するガイドレール231と、このガイドレール231においてX軸方向に移動可能な移動部232とを有し、駆動ローラ21と従動ローラ22とを相対的に接近又は離間させる。側面視略コの字状の移動部232は、その各先端において2つの従動ローラ22を支持している。移動部232がガイドレール231に沿って移動することにより、駆動ローラ21と2つの従動ローラ22とをX軸方向において相対的に接近又は離間させることができる。
【0032】
巻き取りユニット4は、テープセット引取り部76のX軸方向の移動経路上に配置されており、送り出しユニット2と略同様の構成となっている。すなわち、巻き取りユニット4は、少なくとも駆動ローラ41と、X軸方向において対向する2つの従動ローラ42と、駆動ローラ41と従動ローラ42とを相対的に接近又は離間させる移動機構43とを有する。巻き取りユニット4は、少なくとも二つのローラでシートTAを挟む第二ローラセットの一例であり、駆動ローラ41及び2つの従動ローラ42が、ダイシングテープTBが剥がされたシートTAを挟んで回転しシートTAを巻き取る。
【0033】
移動機構43は、Z軸方向に延在するガイドレール431と、このガイドレール431においてZ軸方向に移動可能な移動部432とを有する。移動部432は、その各上端において2つの従動ローラ42を支持している。移動部432がガイドレール431に沿って移動することにより、駆動ローラ41と従動ローラ42とをZ軸方向において相対的に接近又は離間させることができる。
【0034】
ピールプレート50は、送り出しユニット2と巻き取りユニット4との間においてテープセットTSを鋭角に屈曲させてシートTAからダイシングテープTBを剥離させる。例えば、ピールプレート50は、テープセットTSの幅(Y軸方向長さ)以上の長さでY軸方向に延在しており、貼着ローラ60に向かって斜め上から延在する基台51上に可動部材52を介して配置されている。例えば、ピールプレート50の下端側の先端部500は、R状に丸まっている。可動部材52は、基台51を往復移動可能となっており、可動部材52が基台51の下端側まで移動することで、ピールプレート50がテープセットTSのうちシートTAを押圧して鋭角に屈曲させることにより、シートTAからダイシングテープTBを剥離することができる。
【0035】
例えば、基台51は、Y軸方向の軸心周りに回動可能となっており、基台51が所定角度回動することで、ピールプレート50の貼着ローラ60に対する角度を可変することができる。
【0036】
貼着ローラ60は、ピールプレート50によってシートTAから剥離されたダイシングテープTBをリングフレームF及びウェーハWに押し付けてリングフレームF及びウェーハWにダイシングテープTBを貼着する。貼着ローラ60は、Y軸方向の軸心周りに回転可能であり、保持部3の上方に配置されており、少なくともダイシングテープTBの直径以上の長さでY軸方向に延在している。貼着ローラ60には、例えばシリンダ機構等からなる貼着ローラ位置づけ部61が接続され、貼着ローラ位置づけ部61によって保持部3に接近又は離間するZ軸方向に昇降可能となっている。
【0037】
エアノズル39は、貼着ローラ60の外側面にシートTAから剥離されたダイシングテープTBの先端を沿わせる。例えば、エアノズル39は、ウェーハ保持部31の上方に配置され、シートTAから剥がされたダイシングテープTBを貼着ローラ60に沿わせるようにエアを噴き付ける。エアノズル39は、+X方向側を向く噴射口390を備えており、コンプレッサ等からなるエア供給源393に連通している。
【0038】
先端検知部8は、例えば貼着ローラ60の直下に配置され、貼着ローラ60の外側面に沿わされたダイシングテープTBの先端を検知する。先端検知部8は、ダイシングテープTBの貼着時の支持台32の移動方向(+X方向)における先端に配置されている。先端検知部8は、少なくとも投光部81が、保持部3に配置されていることが望ましく、保持部3(支持台32)の移動方向(+X方向)における先端に配置されていることがより望ましい。本第1実施形態の先端検知部8は、貼着ローラ60に向かって測定光を投光する投光部81と、測定光の反射光を受光する受光部82と、反射光を受光部82が受光すること(例えば、受光量)によってダイシングテープTBの先端を検知する検知部83と、を備える。
【0039】
なお、検知部83によってダイシングテープTBの先端が検知されたことは、後述する制御部100に有線又は無線で信号として送られる。そして、制御部100が、ダイシングテープTBの先端が検知されたことに基づいて、ダイシングテープTBのリングフレームF及びウェーハWへの貼着を行うようにテープ貼着装置1の各部を制御する。
【0040】
テープ貼着装置1は、例えば、ロール状に巻回されたテープセットTSを支持する第一のテープセット支持部11及び第二のテープセット支持部12を備えている。第一のテープセット支持部11と第二のテープセット支持部12とは同様の構成となっているため、以下に第一のテープセット支持部11の構成について説明する。
【0041】
第一のテープセット支持部11は、テープセットTSが収容されるケース110を有している。このケース110の底壁には、テープセットTSを通過させるための開口112が形成されている。開口112の端部には、光センサ等からなりテープセットTSの先端を検出する先端検出部111が配置されている。
【0042】
ケース110内には、テープセットTSが巻回されている巻筒TCが貫装される支持柱113が配置されている。この支持柱113は、例えばモータ等のアクチュエータである回転部114によってY軸方向の軸心周りに回転可能となっている。なお、ケース110の手前側(Y軸方向紙面手前側)には、開閉可能な図示しない蓋が配置されている。
【0043】
第一のテープセット支持部11及び第二のテープセット支持部12のそれぞれのケース110の開口112の直下には、一対のガイドローラ14がそれぞれ配置されている。この一対のガイドローラ14は、ケース110から引き出されたテープセットTSを、テープセット引渡し部17に向かってガイドする。なお、図示の例では、第二のテープセット支持部12側のガイドローラ14の近傍に送り出しユニット2に向けてテープセットTSをガイドするガイドローラ15が配置されている。
【0044】
テープセット引渡し部17は、支持部材171の下端に接続された回転機構172と、この回転機構172に接続されたアーム部173と、クランプ等からなりアーム部173の先端に配置されたテープセット挟持部174と、支持部材171をX軸方向にスライド移動させるスライド機構175とを備えている。テープセット挟持部174は、テープセットTSの端部のY軸方向両端を挟持することが可能となっている。
【0045】
回転機構172は、Y軸方向から見て時計回り方向又は反時計回り方向に回転可能なローラを有し、テープセット挟持部174を、第一のテープセット支持部11から引き出されたテープセットTSをテープセット挟持部174が挟持可能となる第1の挟持位置PAと、第二のテープセット支持部12から引き出されたテープセットTSを挟持する第2の挟持位置PBと、テープセットTSが送り出しユニット2によって挟まれた後にテープセット挟持部174がテープセットTSを開放する開放位置PCとに位置づけることができる。
【0046】
スライド機構175は、X軸方向に延在するベース1751と、このベース1751においてX軸方向にスライド移動可能なスライダ1752と、スライダ1752を移動させる図示しないボールネジ機構とを有する。そして、スライダ1752がベース1751においてX軸方向にスライド移動することにより、回転機構172とともにテープセット挟持部174をX軸方向にスライド移動させることができる。
【0047】
搬送部9は、昇降及び水平移動が可能に配置され、その底面に搬送パッド90を有する。この搬送パッド90は、後述するダイシングテープTBが貼着され、一体となったリングフレームF及びウェーハWを保持する。
【0048】
制御部100は、テープ貼着装置の各部の動作を制御する演算処理装置として機能するプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit)と、所定の制御プログラムが予め記録されている読み出し専用半導体メモリであるROM(Read Only Memory)、プロセッサが各種の制御プログラムを実行する際に必要に応じて作業用記憶領域として使用される随時書き込み読み出し可能な半導体メモリであるRAM(Random Access Memory)などのメモリとを有する。
【0049】
以下に、テープ貼着装置1の動作例について説明する。
【0050】
まず、ウェーハWが保持部3のウェーハ保持部31に互いの中心を略合わせて載置されるとともに、リングフレームFがリングフレーム保持部30に載置される。続いて、図示しない吸引源が作動し、ウェーハ保持部31の保持面でウェーハWが吸引保持され、リングフレーム保持部30の保持面でリングフレームFが吸引保持される。
【0051】
テープセット引渡し部17は、例えば、第一のテープセット支持部11を選択して、第一のテープセット支持部11からテープセットTSを引き出す。すなわち、回転部114により、第一のテープセット支持部11内のロール状のテープセットTSを正転方向(例えば、紙面手前から見て時計回り方向)に回転させながら、帯状となったテープセットTSが開口112及び一対のガイドローラ14の間に通され、一対のガイドローラ14によって下方に送り出される。また、回転機構172及びスライド機構175によって第1の挟持位置PAにテープセット挟持部174が位置づけられ、一対のガイドローラ14により送り出されてくるテープセットTSの端部のY軸方向両端をテープセット挟持部174が挟持する。
【0052】
スライド機構175によって、テープセットTSを挟持したテープセット挟持部174が+X方向に移動し、これに伴い、テープセットTSが第一のテープセット支持部11からさらに引き出される。回転機構172が例えば時計回り方向に回転することにより、テープセット挟持部174で挟持しているテープセットTSを、ガイドローラ15に引っ掛けるとともに送り出しユニット2の駆動ローラ21と従動ローラ22との間を通して駆動ローラ21に引っ掛け、テープセット挟持部174を開放位置PCに移動させる。
【0053】
次いで、スライド機構71によって、スライダ711がベース710に沿って例えば+X方向にスライド移動し、テープセット把持部762が開放位置PCに移動する。テープセット挟持部174が開放位置PCでテープセットTSを開放したら、テープセット把持部762によりテープセットTSの端部のY軸方向両端を引き継いで把持する。さらに、スライド機構71によって、テープセット把持部762が-X方向に移動し、テープセット把持部762で把持しているテープセットTSが同方向に引っ張られ、巻き取りユニット4の駆動ローラ41と従動ローラ42との間を通過し、テープセットTSが廃棄部73の巻き取り部731まで導かれる。そして、巻き取り部731の把持部7310がテープセットTSの端部のY軸方向両端を把持する。
【0054】
送り出しユニット2の移動機構23により、2つの従動ローラ22が駆動ローラ21に接近し、駆動ローラ21と2つの従動ローラ22とによってテープセットTSが挟み込まれる。また、巻き取りユニット4の移動機構43により、2つの従動ローラ42が駆動ローラ41に接近し、駆動ローラ41と2つの従動ローラ42とによってテープセットTSが挟み込まれる。
【0055】
保持部移動部34が保持部3をX軸方向に移動させることで、リングフレームFを保持するリングフレーム保持部30が貼着ローラ60の直下に位置付けられる。
【0056】
また、例えば、保持部昇降部35が保持部3をZ軸方向に移動させることで、貼着ローラ60が、ダイシングテープTBをリングフレーム保持部30で保持されたリングフレームFに貼着する際の停止高さ位置より少しだけ上方に位置した状態になる。
【0057】
また、可動部材52が基台51の下端側まで移動することで、例えば、先端部500がエアノズル39から噴射されるエアの移動経路上よりも僅かに上方の位置に位置するように、ピールプレート50が移動される。そして、
図3に示すように、ピールプレート50の先端部500と貼着ローラ60の外側面との隙間をテープセットTSが通過している状態になる。なお、この隙間は、テープセットTSがぎりぎり通過できるだけの僅かな隙間であるとよい。また、ピールプレート50の先端部500がテープセットTSのシートTAに接触・押圧して、シートTAを内側にしてテープセットTSを屈曲させ鋭角に形成する。そうすると、テープセットTSからダイシングテープTBが剥離され、貼着ローラ60の下方にダイシングテープTBが送り込まれる。
【0058】
この状態で、エア供給源393から圧縮エアがエアノズル39に供給される。そして、エアノズル39から噴射されたエアが、貼着ローラ60の下方に送り込まれたダイシングテープTBに噴き付けられ、これによって、貼着ローラ60の外側面にダイシングテープTBが沿わせられる。
【0059】
そして、ダイシングテープTBの先端は、先端検知部8によって検知される。先端検知部8の検知部83が受光部82の受光量によってダイシングテープTBの先端を検知すると、制御部100は、ダイシングテープTBのリングフレームF及びウェーハWへの貼着を開始させる。
【0060】
まず、エアにより貼着ローラ60の外側面にダイシングテープTBを沿わせた状態で、貼着ローラ60が所定の回転速度で回転しながら、貼着ローラ位置づけ部61により貼着ローラ60が貼着する際の停止位置まで下降することで、リングフレーム保持部30に保持されたリングフレームFの一方側からダイシングテープTBが押し付けられる。
【0061】
保持部移動部34によってリングフレーム保持部30及びウェーハ保持部31が+X方向に送り出されていき、回転する貼着ローラ60によってウェーハW及びリングフレームFに対してダイシングテープTBが押し付けられる。このとき、
図2に示す送り出しユニット2は、駆動ローラ21を所定の回転速度で回転させつつ、2つの従動ローラ22も駆動ローラ21の回転にともなって回転させ、テープセットTSを保持部3に向けて下方に導く。また、巻き取りユニット4においては、駆動ローラ41を所定の回転速度で回転させつつ、2つの従動ローラ42も駆動ローラ41の駆動に伴なって回転させ、ピールプレート50によりダイシングテープTBが剥離されたシートTAをピールプレート50から廃棄部73まで導く。
【0062】
そして、貼着ローラ60でダイシングテープTBを押し付けながら、保持部3を所定の位置に至るまで+X方向に移動させると、ウェーハWとリングフレームFとに一枚のダイシングテープTbを貼着することができる。
【0063】
なお、リングフレームFにダイシングテープTBを貼着する方法は、エアノズル39から噴き付けるエアにより貼着ローラ60の外側面にダイシングテープTBを沿わせた状態で、貼着ローラ60をリングフレーム保持部30に向かって貼着ローラ位置づけ部61で下降させても良いし、貼着ローラ60に向かってウェーハ保持部31とリングフレーム保持部30とを保持部昇降部35で上昇させてもよい。
【0064】
図2に示すダイシングテープTBが剥離されたシートTAは、巻き取りユニット4によって巻き取られ、巻き取りユニット4から廃棄部73の巻き取り部731に送り出される。
【0065】
シートTAは、図示しないモータにより回転する巻き取り部731の外周面においてロール状に巻き取られていき、シートロールに形成される。巻き取り部731が所定の長さ分シートTAを巻き取ってシートロールを形成した後、把持部7310がシートロールの把持を解除して、シートロールを廃棄ボックス732に廃棄する。
【0066】
ダイシングテープTBを介してリングフレームFと一体となったウェーハWは、搬送部9の搬送パッド90によって保持された状態で、例えばダイシング装置等に移送されてダイシング等が行われる。このようにして1枚のウェーハWに対するダイシングテープTBの貼着動作が完了したら、順次新たなウェーハWをウェーハ保持部31に搬送するとともにリングフレームFをリングフレーム保持部30に搬送して、上記と同様、ダイシングテープTBの貼着動作と、ダイシングテープTBから剥離されたシートTAの巻き取り動作とを繰り返し行うとよい。
【0067】
なお、基台51が+Z方向から-X方向に反時計回り方向に回動し、ピールプレート50が水平方向に向かって所定角度倒されることで、ダイシングテープTBの貼着時におけるテープセットTSの角度が、より鋭角になるようにしてもよい。ピールプレート50が水平方向に向かって倒されることで、ピールプレート50の先端部500と貼着ローラ60の外側面との隙間をテープセットTSが通過するだけの非常に僅かな隙間とすることが可能となる。
【0068】
この状態で、エアノズル39から噴射されたエアが、貼着ローラ60の下方に送り込まれたダイシングテープTBに噴き付けられ、これによって、貼着ローラ60の外側面にダイシングテープTBが沿わせられるため、ダイシングテープTBに弛みを発生させないよう貼着ローラ60の外側面に沿っている状態でダイシングテープTBはリングフレームFとウェーハWとに貼着されるので、貼着したダイシングテープTBのテンションを均一にすることができる。
【0069】
以上説明した第1実施形態では、テープ貼着装置1は、一方の面に粘着層TEBを有し被貼着物の一例であるウェーハW及びリングフレームFに対応した形状に切断されたダイシングテープTB(テープの一例)と粘着層TEBに貼着した帯状のシートTAとからなるテープセットTSを用いて、シートTAから剥離しながらダイシングテープTBをウェーハW及びリングフレームFに貼着する。また、テープ貼着装置1は、ウェーハW及びリングフレームFを保持する保持部3と、この保持部3に保持されたウェーハW及びリングフレームFにシートTAから剥離したダイシングテープTBを貼着する貼着部(貼着手段)と、保持部3と貼着部とを相対的に水平方向に移動させる保持部移動部34(水平移動手段の一例)と、を備える。貼着部は、少なくとも二つのローラで該テープセットを挟む第一ローラセットの一例である送り出しユニット2と、少なくとも二つのローラで該シートを挟む第二ローラセットの一例である巻き取りユニット4と、送り出しユニット2と巻き取りユニット4との間においてテープセットTSを鋭角に屈曲させてシートTAからダイシングテープTBを剥離させるピールプレート50と、このピールプレート50によってシートTAから剥離されたダイシングテープTBをウェーハW及びリングフレームFに押し付けてウェーハW及びリングフレームFにダイシングテープTBを貼着する貼着ローラ60と、この貼着ローラ60の外側面にシートTAから剥離されたダイシングテープTBの先端を沿わせるエアノズル39と、貼着ローラ60の外側面に沿わされたダイシングテープTBの先端を検知する先端検知部8と、を備える。
【0070】
このように、先端検知部8が、貼着ローラ60の外側面に沿わされた状態のダイシングテープTBの先端を検知するため、例えば、ダイシングテープTBからシートTAが剥離される前のテープセットTSの先端を
図2に示す上述のケース110の底壁の開口112に設けられた先端検出部111によって検出する場合と比較して、送り出しユニット2の駆動ローラ21、従動ローラ22等でテープセットTSの滑りが生じることなどによって、貼着ローラ60の外側面に沿わされたダイシングテープTBの先端位置がずれても、ずれた先端の位置を検知することができる。これにより、ダイシングテープTBの貼着開始位置が位置ずれするのを回避することができる。よって、本第1実施形態によれば、被貼着物(ウェーハW及びリングフレームF)に対するテープ(ダイシングテープTB)の貼着位置の位置ずれを防止することができる。これにより、例えば、ダイシングテープTBの中心とリングフレームFの中心とが一致するため、ダイシングテープTBの貼り直しを回避することもできる。したがって、貼り直しが発生した場合と比較して、貼り直しに用いられるダイシングテープTBを省略することができるとともに、貼り直しの時間を省略することができる。
【0071】
また、本第1実施形態では、先端検知部8は、保持部3に配置され貼着ローラ60に向かって測定光を投光する投光部81と、測定光の反射光を受光する受光部82と、反射光を受光部82が受光すること(例えば、受光量)によってダイシングテープTBの先端を検知する検知部83と、を備える。
【0072】
これにより、ダイシングテープTBの先端から距離を隔てたダイシングテープTBの貼着を邪魔しない位置で、且つ、保持部3から投光される測定光を用いた簡素な構成で、ダイシングテープTBの先端を検知することができる。なお、少なくとも投光部81が保持部3に配置されていることによって、投光部81(先端検知部8)と保持部3の移動方向先端との位置関係(距離)が設計値で決まるため、先端検知部8がダイシングテープTBの先端を検知したら、保持部3が設計値の距離に基づいて移動すれば、ダイシングテープTBの先端をリングフレームFの移動方向先端などの所望の位置に貼り付けることができる。これにより、ダイシングテープTBの貼り始めの位置の位置ずれが生じるのを防止することができる。また、投光部81(先端検知部8)が保持部3以外の場所に配置されている態様と比較して、保持部3の移動経路を避けた位置に先端検知部8を配置しなくとも、先端検知部8を貼着ローラ60の下方に配置し、ダイシングテープTBの先端を検知しやすくすることができる。
【0073】
なお、上述の説明では、検知部83について、受光部82が受光した受光量によってテープ(ダイシングテープTB)の先端を検知する例について説明した。しかしながら、検知部83は、投光部81から投光された光がテープの表面(下面)の先端で反射した反射光を受光部82が受光して、投光部81、テープの表面、受光部82に至る光路によって三角測量法を利用して先端検知部8からテープまでの距離を測定してもよい。この場合、先端検知部8は、テープを検知(測定)していないときには、貼着ローラ60の外側面までの距離を測定する。したがって、先端検知部8が測定した距離(値)が小さくなったら、テープの先端を検知したと判断することができる。このように、検知部83は、受光部82が受光した受光量によってテープの先端を検知するものに限られず、受光部82が受光することによってテープの先端を検知するものであればよい。また、本第1実施形態では、
図2及び
図3に示すように、投光部81と、受光部82と、検知部83とを備える先端検知部8について説明した。但し、
図2及び
図3で示されるのと同様に、先端検知部8は、保持部3に配置され貼着ローラ60に向かって超音波振動を発振する発振部81と、超音波振動が貼着ローラ60またはダイシングテープTBで反射した反射振動を受振する受振部82と、この受振部82の値によってダイシングテープTBの先端を検知する検知部83と、を備えるものであってもよい。この場合であっても、ダイシングテープTBの先端から距離を隔てたダイシングテープTBの貼着を邪魔しない位置で、且つ、保持部3から発振される超音波振動を用いた簡素な構成で、ダイシングテープTBの先端を検知することができる。
【0074】
或いは、先端検知部8としては、ダイシングテープTBの先端を撮像し、撮像された画像の画像処理に基づいてダイシングテープTBの先端を検知するものであってもよい。また、先端検知部8としては、後述する第2実施形態の先端検知部18のようにダイシングテープTBの先端に接触する触覚センサ181を用いたものなどであってもよく、ダイシングテープTBの先端を検知するものであればよい。
【0075】
<第2実施形態>
図4は、第2実施形態に係るテープ貼着装置101の構成の一例を示す模式的な断面図である。
【0076】
図5~
図7は、テープ貼着装置101の先端検知部18を説明するための断面図である。
【0077】
なお、本第2実施形態に係るテープ貼着装置101は、先端検知部8に代えて先端検知部18が配置されることを除いて、テープ貼着装置1と同様にすることができる。そのため、詳細な説明は省略する。
【0078】
先端検知部18は、貼着ローラ60の外側面に沿わされたダイシングテープTBの先端を検知する。先端検知部18は、ダイシングテープTBの貼着時の支持台32の移動方向(+X方向)における先端に配置されている。先端検知部18は、少なくとも触覚センサ181が、保持部3に配置されていることが望ましく、保持部3(支持台32)の移動方向(+X方向)における先端に配置されていることがより望ましい。本第2実施形態の先端検知部18は、保持部3に配置され貼着ローラ60の外側面に先端が接触するように延在する触覚センサ181と、この触覚センサ181によってダイシングテープTBの先端を検知する検知部182と、を備える。また、先端検知部18は、昇降部183を備える。なお、
図4~
図7の例は、触覚センサ181が貼着ローラ60の外側面に接触しないように図示されているが、ダイシングテープTBの厚みは薄いため、触覚センサ181が貼着ローラ60の外側面に接触するとよい。
【0079】
図5に示すように、触覚センサ181は、保持部3の支持台32から上方に突出するように配置され、上部の接触部分1810においてダイシングテープTBの先端に接触する。接触部分1810がダイシングテープTBの先端に接触すると、
図7に示すように触覚センサ181はダイシングテープTBの先端に押されて傾く。なお、触覚センサ181は、ダイシングテープTBの先端に押されて傾くのでなくともよく、ダイシングテープTBの先端に押されて一方向(+X方向)に移動するものや、ダイシングテープTBの先端との接触圧を検知するものなどであってもよい。
【0080】
検知部182は、触覚センサ181が傾いたことに基づいて、ダイシングテープTBの先端を検知する。なお、検知部182は、触覚センサ181によってダイシングテープTBの先端を検知するものであればよいため、触覚センサ181の傾きに基づいてダイシングテープTBの先端を検知するものに限られない。
【0081】
図5及び
図6に示すように、昇降部183は、触覚センサ181を昇降させる例えばモータ等のアクチュエータである。昇降部183は、ダイシングテープTBの先端を検知する際には、
図6に示すように触覚センサ181を上昇させ、ダイシングテープTBの先端が検知された後には、ダイシングテープTBの貼着動作を邪魔しないように、
図5に示すように触覚センサ181を下降させるとよい。
【0082】
なお、検知部182によってダイシングテープTBの先端が検知されたことは、制御部100に有線又は無線で信号として送られる。そして、本第2実施形態においても、制御部100が、ダイシングテープTBの先端が検知されたことに基づいて、ダイシングテープTBのリングフレームF及びウェーハWへの貼着を行うようにテープ貼着装置101の各部を制御する。
【0083】
以上説明した第2実施形態においても、上述の第1実施形態と同様の構成に関しては同様の効果、すなわち、被貼着物(ウェーハW及びリングフレームF)に対するテープ(ダイシングテープTB)の貼着位置の位置ずれを防止することができるなどの効果を得ることができる。
【0084】
また、本第2実施形態では、先端検知部18は、保持部3に配置され貼着ローラ60の外側面に先端が接触するように延在する触覚センサ181と、この触覚センサ181によってダイシングテープTBの先端を検知する検知部182とを備える。
【0085】
これにより、触覚センサ181が直接的にダイシングテープTBの先端に接触することによって、ダイシングテープTBの先端を確実に検知することができる。また、触覚センサ181を昇降させる昇降部183などのセンサ移動部が配置される場合には、ダイシングテープTBの先端を検知しないときに、触覚センサ181を貼着ローラ60から距離を隔てたダイシングテープTBの貼着を邪魔しない位置に移動(退避)させることができる。また、少なくとも触覚センサ181が保持部3に配置されていることによって、触覚センサ181(先端検知部18)と保持部3の移動方向先端との位置関係(距離)が設計値で決まるため、先端検知部18がダイシングテープTBの先端を検知したら、保持部3が設計値の距離に基づいて移動すれば、ダイシングテープTBの先端をリングフレームFの移動方向先端などの所望の位置に貼り付けることができる。これにより、ダイシングテープTBの貼り始めの位置の位置ずれが生じるのを防止することができる。また、触覚センサ181(先端検知部18)が保持部3以外の場所に配置されている態様と比較して、保持部3の移動経路を避けた位置に先端検知部18を配置しなくとも、先端検知部18を貼着ローラ60の下方に配置し、ダイシングテープTBの先端を検知しやすくすることができる。
【0086】
なお、本発明の各実施形態を説明したが、本発明の他の実施形態として、上記第1及び第2実施形態や変形例を全体的又は部分的に組み合わせたものでもよい。
【0087】
また、本発明の実施形態は上記の第1及び第2実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、本発明の技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、本発明の技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施形態をカバーしている。
【産業上の利用可能性】
【0088】
以上説明したように、本発明のテープ貼着装置は、貼着ローラの外側面に沿わされたテープの先端を検知するため、被貼着物に対するテープの貼着位置の位置ずれを防止することができる。そのため、被貼着物がウェーハ及びリングフレームであり、テープがダイシングテープである場合などに特に有用である。
【符号の説明】
【0089】
1:テープ貼着装置
2:送り出しユニット
21:駆動ローラ
22:従動ローラ
23:移動機構
231:ガイドレール
232:移動部
3:保持部
30:リングフレーム保持部
31:ウェーハ保持部
32:支持台
34:保持部移動部
341:ベース
342:移動基台
35:保持部昇降部
39:エアノズル
390:噴射口
393:エア供給源
4:巻き取りユニット
41:駆動ローラ
42:従動ローラ
43:移動機構
431:ガイドレール
432:移動部
50:ピールプレート
500:先端部
51:基台
52:可動部材
60:貼着ローラ
61:貼着ローラ位置づけ部
71:スライド機構
710:ベース
711:スライダ
73:廃棄部
731:巻き取り部
7310:把持部
732:廃棄ボックス
76:テープセット引取り部
761:支持部材
762:テープセット把持部
8:先端検知部
81:投光部
82:受光部
83:検知部
9:搬送部
90:搬送パッド
100:制御部
11:第一のテープセット支持部
110:ケース
111:先端
112:開口
113:支持柱
114:回転部
12:第二のテープセット支持部
14:一対のガイドローラ
15:ガイドローラ
17:テープセット引渡し部
171:支持部材
172:回転機構
173:アーム部
174:テープセット挟持部
175:スライド機構
1751:ベース
1752:スライダ
18:先端検知部
181:触覚センサ
1810:接触部分
182:検知部
183:昇降アクチュエータ
F:リングフレーム
TS:テープセット
TA:シート
TB:ダイシングテープ
TC:巻筒
TE:粘着テープ
TEA:基材
TEB:粘着層
W:ウェーハ