(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178836
(43)【公開日】2023-12-18
(54)【発明の名称】ウエーハの加工方法及びウエーハの加工システム
(51)【国際特許分類】
B24B 7/04 20060101AFI20231211BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20231211BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20231211BHJP
B24B 37/10 20120101ALI20231211BHJP
【FI】
B24B7/04 Z
H01L21/304 601Z
H01L21/304 622Q
H01L21/304 631
H01L21/304 622W
H01L21/304 621B
H01L21/68 A
B24B37/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091773
(22)【出願日】2022-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 雄貴
(72)【発明者】
【氏名】山本 直子
【テーマコード(参考)】
3C043
3C158
5F057
5F131
【Fターム(参考)】
3C043BA03
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3C043BA08
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5F131GA03
(57)【要約】
【課題】ウエーハの表面に付着した加工屑を除去できるウエーハの加工方法、及び、ウエーハの加工システムを提供すること。
【解決手段】ウエーハの加工方法は、表面101に第1の配線層120が形成された第1のウエーハ100の外縁部を表面101側から除去する外縁部除去ステップと、外縁部除去ステップの実施後、第1のウエーハ100の表面101側の第1の配線層120を研磨する研磨ステップと、を備えることを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に第1の配線層が形成された第1のウエーハの外縁部を表面から除去する外縁部除去ステップと、
該外縁部除去ステップの実施後、該第1のウエーハの該表面を研磨する研磨ステップと、
を備える事を特徴とするウエーハの加工方法。
【請求項2】
該第1のウエーハと、第2の配線層が表面に形成された第2のウエーハと、を貼り合わせる貼り合わせステップをさらに備え、
該貼り合わせステップにおいて、該第1の配線層と、該第2の配線層と、を接合する事を特徴とする請求項1に記載のウエーハの加工方法。
【請求項3】
該外縁部除去ステップにおいて、表面から除去される厚みは、第1のウエーハの仕上げ厚みより深く、
該貼り合わせステップの実施後に、該第1のウエーハの裏面を仕上げ厚みまで研削する裏面研削ステップをさらに備える事を特徴とする請求項2に記載のウエーハの加工方法。
【請求項4】
該研磨ステップは、研磨液を使用した湿式研磨である事を特徴とする請求項1に記載のウエーハの加工方法。
【請求項5】
該研磨ステップは、該外縁部除去ステップで供給された加工液が該第1のウエーハの表面上に残存した状態で開始する事を特徴とする請求項1に記載のウエーハの加工方法。
【請求項6】
表面に配線層が形成された第1のウエーハの裏面側を保持する保持テーブルと、
該保持テーブルに保持された第1のウエーハの表面側から外縁部を除去する外縁部除去ユニットと、
該外縁部除去ユニットで該外縁部が除去された第1のウエーハの表面を研磨する研磨ユニットと、
該研磨ユニットで研磨された第1のウエーハを洗浄する洗浄ユニットと、
該外縁部除去ユニットと、該研磨ユニットと、該洗浄ユニットと、の間で該第1のウエーハを搬送する搬送ユニットと、
を備える事を特徴とするウエーハの加工システム。
【請求項7】
該研磨ユニットは、
第1のウエーハに接触する研磨パッドと、
加工点に研磨液を供給する研磨液供給ユニットと、
を備える事を特徴とする請求項6に記載のウエーハの加工システム。
【請求項8】
該研磨ユニットは、該外縁部除去ユニットで供給した加工液が該第1のウエーハの表面上に残存した状態で研磨を開始する事を特徴とする請求項6に記載のウエーハの加工システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエーハの加工方法及びウエーハの加工システムに関する。
【背景技術】
【0002】
第1のウエーハの表面と第2のウエーハの表面とを接合させて貼り合わせウエーハを形成する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
表面に配線層が形成されたウエーハの裏面側を保持テーブルに保持し、表面側からウエーハの外縁部を除去するトリミングを実施するプロセスにおいて、加工屑がウエーハの表面に残留する恐れがあった。特に、ウエーハの表面に配線層が露出しており、トリミング後にウエーハの配線層を別のウエーハに接合する場合、トリミング時の加工屑が配線層に付着していると接合不良が発生する恐れがあった。
【0005】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ウエーハの表面に付着した加工屑を除去できるウエーハの加工方法及びウエーハの加工システムを提供する事である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のウエーハの加工方法は、表面に第1の配線層が形成された第1のウエーハの外縁部を表面から除去する外縁部除去ステップと、該外縁部除去ステップの実施後、該第1のウエーハの該表面を研磨する研磨ステップと、を備える事を特徴とする。
【0007】
該第1のウエーハと、第2の配線層が表面に形成された第2のウエーハと、を貼り合わせる貼り合わせステップをさらに備え、該貼り合わせステップにおいて、該第1の配線層と、該第2の配線層と、を接合してもよい。
【0008】
該外縁部除去ステップにおいて、表面から除去される厚みは、第1のウエーハの仕上げ厚みより深く、該貼り合わせステップの実施後に、該第1のウエーハの裏面を仕上げ厚みまで研削する裏面研削ステップをさらに備えてもよい。
【0009】
該研磨ステップは、研磨液を使用した湿式研磨であってもよい。
【0010】
該研磨ステップは、該外縁部除去ステップで供給された加工液が該第1のウエーハの表面上に残存した状態で開始してもよい。
【0011】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のウエーハの加工システムは、表面に配線層が形成された第1のウエーハの裏面側を保持する保持テーブルと、該保持テーブルに保持された第1のウエーハの表面側から外縁部を除去する外縁部除去ユニットと、該外縁部除去ユニットで該外縁部が除去された第1のウエーハの表面を研磨する研磨ユニットと、該研磨ユニットで研磨された第1のウエーハを洗浄する洗浄ユニットと、該外縁部除去ユニットと、該研磨ユニットと、該洗浄ユニットと、の間で該第1のウエーハを搬送する搬送ユニットと、を備える事を特徴とする。
【0012】
該研磨ユニットは、第1のウエーハに接触する研磨パッドと、加工点に研磨液を供給する研磨液供給ユニットと、を備えていてもよい。
【0013】
該研磨ユニットは、該外縁部除去ユニットで供給した加工液が該第1のウエーハの表面上に残存した状態で研磨を開始してもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明のウエーハの加工方法は、外縁部除去ステップの実施後に研磨ステップを備えることで、外縁部除去ステップで第1の配線層上に付着した加工屑が第1の配線層上に乾燥固着する前に、第1の配線層上に付着した加工屑を好適に除去する事ができる。また、研磨ステップで第1の配線層に付着した加工屑を除去するとともに、異常酸化層や腐食層を除去して、異常酸化または腐食していない面を露出させて貼り合わせるため、第1の配線層の異常酸化層や腐食層に起因する接合不良が生じる恐れを低減できる。また、裏面研削ステップの実施前に、外縁部除去ステップで第1のウエーハの外縁部を除去して仕上げ厚みより深いトリミング溝を形成するので、裏面研削ステップの実施時に第1のウエーハがシャープエッジを形成して欠ける恐れを防止できる。また、研磨ステップで研磨ユニットが実施する研磨加工処理は、研磨液供給ユニットにより加工点に供給した研磨液を使用した湿式研磨であるため、研磨液により、第1の配線層の露出面に形成された異常酸化層や腐食層を除去して、異常酸化または腐食していない面を露出させて、第1の配線層と第2のウエーハの第2の配線層との間に第1の配線層の異常酸化層や腐食層に起因する接合不良が生じる恐れを低減できる。
【0015】
また、本発明のウエーハの加工システムは、第1のウエーハの外縁部を除去する外縁部除去ユニットと、第1の配線層を研磨する研磨ユニットと、外縁部除去ユニットと研磨ユニットとの間で第1のウエーハを搬送する搬送ユニットとを備えるため、上記した本発明のウエーハの加工方法を実施でき、外縁部除去ユニットにより外縁部を除去する際に供給した加工液が第1のウエーハの第1の配線層上に残存した状態で、研磨ユニットにより第1の配線層を研磨できる。このため、外縁部を除去する際に第1の配線層上に付着した加工屑が第1の配線層上に乾燥固着する前に、第1の配線層上に付着した加工屑を好適に除去できる。これにより、第1の配線層と第2のウエーハの第2の配線層との間に加工屑に起因する接合不良が生じる恐れを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、実施形態に係るウエーハの加工方法の処理手順を示すフローチャートである。
【
図2】
図2は、実施形態に係るウエーハの加工システムの構成例を示す上面図である。
【
図3】
図3は、
図2の保持テーブル及び外縁部除去ユニットを説明する断面図である。
【
図6】
図6は、
図1の貼り合わせステップを説明する断面図である。
【
図7】
図7は、
図1の裏面研削ステップを説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0018】
〔実施形態〕
本発明の実施形態に係るウエーハの加工方法及びウエーハの加工システム1を図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態に係るウエーハの加工方法の処理手順を示すフローチャートである。実施形態に係るウエーハの加工方法は、
図1に示すように、外縁部除去ステップ1001と、研磨ステップ1002と、洗浄ステップ1003と、貼り合わせステップ1004と、裏面研削ステップ1005と、を備える。
【0019】
図2は、実施形態に係るウエーハの加工システム1の構成例を示す上面図である。実施形態に係るウエーハの加工方法の外縁部除去ステップ1001、研磨ステップ1002及び洗浄ステップ1003は、例えば、
図2に示すウエーハの加工システム1によって実施される。ウエーハの加工システム1は、
図2に示すように、保持テーブル10と、外縁部除去ユニット20と、裏面洗浄ユニット30と、研磨ユニット40と、洗浄ユニット50と、搬送ユニット60と、カセット載置台70と、仮置きテーブル75と、制御ユニット80と、を備える。
【0020】
実施形態に係るウエーハの加工方法及びウエーハの加工システム1の加工対象である第1のウエーハ100は、第1の基板110に第1の配線層120が積層されている。第1の基板110は、例えば、シリコン、サファイア、シリコンカーバイド(SiC)、ガリウムヒ素、ガラスなどを母材とする円板状の半導体ウエーハや光デバイスウエーハや、ガラス、セラミックス、樹脂、金属等の円板状の基板等である。第1のウエーハ100は、例えば、第1の基板110の表面111の格子状に形成される複数の分割予定ラインによって区画された領域にチップサイズの第1の配線層120からなるデバイスが形成されている。第1の配線層120は、例えば、銅(Cu)等の金属で形成される。このように、第1のウエーハ100の表面101は、第1の配線層120の露出面となっている。第1のウエーハ100の裏面102は、本実施形態では第1の基板110の裏面112(露出面)であるが、本発明ではこれに限定されず、図示しない支持基板や粘着テープ等に支持されていてもよい。
【0021】
図3は、
図2の保持テーブル10及び外縁部除去ユニット20を説明する断面図である。保持テーブル10は、本実施形態ではいわゆるチャックテーブルであり、凹部が形成された円盤状の枠体と、凹部内に嵌め込まれた円盤形状の吸着部と、を備える。保持テーブル10の吸着部は、多数のポーラス孔を備えたポーラスセラミック等から形成されたポーラス部を有し、図示しない真空吸引路を介して図示しない真空吸引源と接続されている。保持テーブル10の吸着部の上面は、第1のウエーハ100が載置されて、真空吸引源から導入される負圧により、載置された第1のウエーハ100を吸引保持する保持面11である。保持面11は、
図3に示すように、本実施形態では、第1のウエーハ100が表面101側を上方に向けて載置され、載置された第1のウエーハ100の裏面102側を吸引保持する。保持面11と保持テーブル10の枠体の上面とは、同一平面上に配置されており、水平面であるXY平面に平行に形成されている。
【0022】
保持テーブル10は、搬送ユニット60の第3搬送部63(
図2参照)により搬出入エリア17と加工エリア18との間で水平方向と平行なX軸方向に移動自在に設けられており、不図示の回転駆動源により水平面(XY平面)に直交しかつ鉛直方向に平行なZ軸回りに回転自在に設けられている。ここで、搬出入エリア17は、搬送ユニット60の第2搬送部62及び第4搬送部64により第1のウエーハ100が搬出入される領域である。また、加工エリア18は、外縁部除去ユニット20により第1のウエーハ100が切削加工処理を施される領域である。
【0023】
外縁部除去ユニット20は、
図2及び
図3に示すように、加工エリア18に設けられており、先端に切削ブレード21が装着されるスピンドル22と、加工液供給部23と、を備え、加工エリア18に位置付けられた保持テーブル10に保持された第1のウエーハ100に対して切削加工処理を施す。外縁部除去ユニット20は、Y軸方向移動ユニット25により水平方向と平行でかつX軸方向に直交するY軸方向に移動自在に設けられており、Z軸方向移動ユニット26によりZ軸方向に移動自在に設けられている。
【0024】
外縁部除去ユニット20は、
図3に示すように、加工液供給部23により第1のウエーハ100の表面101(第1の配線層120の露出面)上に加工液29を供給しながら、スピンドル22の回転動作により、Y軸方向と平行な軸心周りの回転動作が加えられた切削ブレード21を保持テーブル10に保持された第1のウエーハ100の外縁部に表面101から第1のウエーハ100の仕上げ厚み150(
図3及び
図7参照)より深い所定の深さに切り込ませた位置に合わせた後、回転駆動源を制御して、第1のウエーハ100を保持する保持テーブル10をZ軸回りに回転移動させることで、第1のウエーハ100の外縁部の全周を円環状に第1のウエーハ100の仕上げ厚み150より深く切削除去してトリミング溝140を形成する外縁部除去加工処理(いわゆるエッジトリミング加工処理)を実施する。ここで、加工液29は、例えば純水である。また、第1のウエーハ100の仕上げ厚み150は、裏面研削ステップ1005を実施後の第1のウエーハ100の厚みを指し、本実施形態では、例えば、裏面研削ステップ1005の実施前の第1の基板110と第1の配線層120との合計厚みよりも薄い。ウエーハの加工システム1は、
図2に示すように、外縁部除去ユニット20を2組備えた、即ち、2スピンドルのダイサ、いわゆるフェイシングデュアルタイプの加工システムである。
【0025】
裏面洗浄ユニット30は、
図2に示すように、ウエーハ支持部31と、洗浄部32と、を有する。ウエーハ支持部31は、本実施形態では複数(
図2に示す例では90度間隔で4個)設けられている。複数のウエーハ支持部31は、第1のウエーハ100のエッジの外周面を外周側から挟持して支持する。また、複数のウエーハ支持部31は、互いに連動して回転することにより、第1のウエーハ100を回転させることができる。洗浄部32は、ウエーハ支持部31よりも下方に、上方に向けて設置されており、ウエーハ支持部31によって支持された第1のウエーハ100の裏面102に接触して裏面102を洗浄する。洗浄部32は、第1の基板110よりも柔らかく、変形可能な材料で形成され、第1の基板110に合わせて変形して面で接触することができるものであり、例えばスポンジやブラシである。
【0026】
図4は、
図2の研磨ユニット40を説明する断面図である。研磨ユニット40は、
図2及び
図4に示すように、保持テーブル41と、スピンドル42と、マウント43に取り付けられた研磨パッド44と、研磨液供給ユニット45と、を備える。保持テーブル41は、保持テーブル10と同様の吸着部とポーラス部とを備える構造を有し、表面101側を上方に向けて載置された第1のウエーハ100の裏面102側を保持面46で吸引保持する。保持テーブル41は、不図示の回転駆動源によりZ軸回りに回転自在に設けられている。
【0027】
スピンドル42は、円柱状に形成されて、下端に円板状に形成されたマウント43が固定され、マウント43の下面に円形状の研磨パッド44が装着される。スピンドル42は、鉛直方向であるZ軸方向と平行な軸心回りに回転する。研磨ユニット40は、マウント43及び研磨パッド44が、スピンドル42の回転動作により、Z軸方向と平行な軸心回りの回転動作が加えられて、研磨パッド44が保持テーブル41に保持された第1のウエーハ100の表面101(第1の配線層120の露出面)側に接触して押圧されることにより、研磨パッド44で第1の配線層120を研磨する研磨加工処理を実施する。研磨液供給ユニット45は、マウント43の内部からスピンドル42の内部にかけてZ軸方向に延びて形成された研磨液流路47を通じて加工点に研磨液49を供給する。ここで、加工点は、研磨パッド44により第1のウエーハ100の第1の配線層120の露出面の研磨加工処理されている領域内の任意の位置を指す。
【0028】
スピンドル42は、下端に固定されたマウント43及びマウント43に装着された研磨パッド44が保持テーブル41上に保持された第1のウエーハ100に対して研磨加工処理を実施する研磨位置と、保持テーブル41上から退避して保持テーブル41への第1のウエーハ100の搬入及び保持テーブル41からの第1のウエーハ100の搬出を可能にする搬出入位置との間で移動自在に設けられている。
【0029】
研磨パッド44は、本実施形態では、例えば、不織布や、ウレタンなどの弾性を有する樹脂等により形成されたものが使用される。また、研磨パッド44は、固定砥粒を含んでいても含んでいなくてもよい。研磨ユニット40は、本実施形態では、研磨液供給ユニット45より研磨液49を供給しながら研磨パッド44を用いて第1の配線層120に対して湿式研磨を実施しても良く、研磨液供給ユニット45より研磨液49を供給しないで研磨パッド44を用いて第1の配線層120に対して乾式研磨を実施しても良い。研磨ユニット40は、湿式研磨として、研磨液供給ユニット45より研磨液49として砥粒を含むスラリーを供給しながら研磨パッド44により第1の配線層120を研磨しても良く、研磨液供給ユニット45より研磨液49として純水を供給しながら固定砥粒を含む研磨パッド44を用いて第1の配線層120を研磨しても良く、研磨液供給ユニット45より研磨液49としてアルカリ性の研磨液を供給しながら研磨パッド44を用いて化学的機械的研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)を実施しても良い。
【0030】
図5は、
図2の洗浄ユニット50を説明する断面図である。洗浄ユニット50は、
図2及び
図5に示すように、スピンナテーブル51と、洗浄液供給ノズル52と、を備える。スピンナテーブル51は、保持テーブル10,41と同様の吸着部とポーラス部とを備える構造を有し、表面101側を上方に向けて載置された第1のウエーハ100の裏面102側を保持面53で吸引保持する。スピンナテーブル51は、不図示の回転駆動源によりZ軸回りに回転自在に設けられている。洗浄液供給ノズル52は、スピンナテーブル51に保持された第1のウエーハ100の表面101側に洗浄液59を供給する。洗浄液59は、例えば、純水や、純水とエアの混合流体等である。洗浄ユニット50は、スピンナテーブル51を回転しながら、洗浄液供給ノズル52がスピンナテーブル51に保持された第1のウエーハ100の表面101(第1の配線層120の露出面)側に洗浄液59を供給することにより、洗浄液59で第1の配線層120を洗浄する洗浄処理を実施する。
【0031】
洗浄液供給ノズル52は、スピンナテーブル51上に保持された第1のウエーハ100に対して洗浄処理を実施する洗浄位置と、スピンナテーブル51上から退避してスピンナテーブル51への第1のウエーハ100の搬入及びスピンナテーブル51からの第1のウエーハ100の搬出を可能にする搬出入位置との間で移動自在に設けられている。
【0032】
搬送ユニット60は、
図2に示すように、第1搬送部61と、第2搬送部62と、第3搬送部63と、第4搬送部64と、第5搬送部65と、を備える。第1搬送部61は、カセット載置台70に載置されたカセット73と、仮置きテーブル75と、洗浄ユニット50との間の領域に設けられ、カセット載置台70に載置されたカセット73と、仮置きテーブル75と、洗浄ユニット50のスピンナテーブル51と、の間で第1のウエーハ100を搬送する。第2搬送部62は、仮置きテーブル75と、搬出入エリア17と、の間を移動自在に設けられ、仮置きテーブル75と、搬出入エリア17に位置付けられた保持テーブル10と、の間で第1のウエーハ100を搬送する。
【0033】
第3搬送部63は、搬出入エリア17と加工エリア18とにわたる領域に設けられ、搬出入エリア17と、加工エリア18と、の間で保持テーブル10を移動させることにより、保持テーブル10に保持された第1のウエーハ100を搬送する。第4搬送部64は、搬出入エリア17と、裏面洗浄ユニット30と、の間を移動自在に設けられ、搬出入エリア17に位置付けられた保持テーブル10と、裏面洗浄ユニット30と、の間で第1のウエーハ100を搬送する。第5搬送部65は、裏面洗浄ユニット30と、研磨ユニット40と、洗浄ユニット50と、の間を移動自在に設けられ、裏面洗浄ユニット30と、研磨ユニット40の保持テーブル41と、洗浄ユニット50のスピンナテーブル51と、の間で第1のウエーハ100を搬送する。
【0034】
このように、搬送ユニット60は、第1搬送部61、第2搬送部62、第3搬送部63、第4搬送部64及び第5搬送部65により、カセット載置台70に載置されたカセット73と、仮置きテーブル75と、加工エリア18に設けられた外縁部除去ユニット20と、裏面洗浄ユニット30と、研磨ユニット40の保持テーブル41と、洗浄ユニット50のスピンナテーブル51と、の間で第1のウエーハ100を搬送する。
【0035】
カセット載置台70は、1枚または複数枚の第1のウエーハ100を収容するカセット73が載置される載置台であり、載置されたカセット73をZ軸方向に昇降させる。仮置きテーブル75は、カセット載置台70に載置されたカセット73から取り出された第1のウエーハ100が仮置きされて、その中心位置合わせを行うためのテーブルである。
【0036】
制御ユニット80は、ウエーハの加工システム1の各構成要素の動作を制御して、実施形態に係るウエーハの加工方法における外縁部除去ステップ1001、研磨ステップ1002及び洗浄ステップ1003等の動作処理をウエーハの加工システム1に実施させる。制御ユニット80は、本実施形態では、コンピュータシステムを含む。制御ユニット80が含むコンピュータシステムは、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有する。制御ユニット80の演算処理装置は、制御ユニット80の記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施して、ウエーハの加工システム1を制御するための制御信号を、制御ユニット80の入出力インターフェース装置を介してウエーハの加工システム1の各構成要素に出力する。
【0037】
実施形態に係るウエーハの加工方法では、外縁部除去ステップ1001の実施前に、第1搬送部61及び第2搬送部62が、第1のウエーハ100をカセット載置台70に載置されたカセット73から仮置きテーブル75を経て搬出入エリア17に位置付けられた保持テーブル10上に搬送し、保持テーブル10が、保持テーブル10上に搬送された第1のウエーハ100を保持面11で吸引保持し、第3搬送部63が、第1のウエーハ100を保持した保持テーブル10を加工エリア18に位置付ける。
【0038】
外縁部除去ステップ1001は、表面101に第1の配線層120が形成された第1のウエーハ100の外縁部を表面101から除去するステップである。外縁部除去ステップ1001では、
図3に示すように、外縁部除去ユニット20が、加工エリア18に位置付けた保持テーブル10に保持された第1のウエーハ100に対し、外縁部除去加工処理を実施して、仕上げ厚み150より深いトリミング溝140を形成する。外縁部除去ステップ1001では、切削ブレード21で第1のウエーハ100の外縁部を表面101側から加工する際に加工屑が発生し、第1のウエーハ100の表面101(第1の配線層120の露出面)上に付着することがある。
【0039】
実施形態に係るウエーハの加工方法では、外縁部除去ステップ1001の実施後、研磨ステップ1002の実施前に、第3搬送部63が、外縁部除去ステップ1001でトリミング溝140を形成した第1のウエーハ100を保持した保持テーブル10を搬出入エリア17に位置付け、第4搬送部64が、この第1のウエーハ100を搬出入エリア17に位置付けられた保持テーブル10上から裏面洗浄ユニット30に搬送する。そして、裏面洗浄ユニット30が、ウエーハ支持部31により裏面洗浄ユニット30に搬送されたこの第1のウエーハ100を支持し、洗浄部32によりウエーハ支持部31に支持されたこの第1のウエーハ100の裏面102側を洗浄する。そして、第5搬送部65が、裏面洗浄ユニット30により裏面102側を洗浄した第1のウエーハ100を裏面洗浄ユニット30から研磨ユニット40の保持テーブル41上に搬送する。この搬送は、外縁部除去ステップ1001で供給された加工液29が第1のウエーハ100の表面101(第1の配線層120の露出面)上に残存した状態を維持して、すなわち第1の配線層120上が完全に乾燥しない状態を維持して、実施される。
【0040】
研磨ステップ1002は、外縁部除去ステップ1001の実施後、第1のウエーハ100の表面101(第1の配線層120の露出面)を研磨するステップである。研磨ステップ1002では、
図4に示すように、研磨ユニット40が、保持テーブル41に保持された第1のウエーハ100に対し、研磨加工処理を実施する。研磨ステップ1002では、第1のウエーハ100の表面101(第1の配線層120の露出面)の研磨量は、3nm以上5nm以下の範囲である。
【0041】
研磨ステップ1002では、外縁部除去ステップ1001で供給された加工液29が第1のウエーハ100の表面101(第1の配線層120の露出面)上に残存した状態で研磨加工処理を開始する。研磨ステップ1002では、このように研磨加工処理を実施するので、純水とエアの混合流体を供給して実施する洗浄や、スポンジやブラシを使用する洗浄では除去が難しい、第1の配線層120上に付着した加工屑を除去できる。また、研磨ステップ1002では、加工液29が第1のウエーハ100の表面101(第1の配線層120の露出面)上に残存した状態で研磨加工処理を開始するため、第1の配線層120上に付着した加工屑が第1の配線層120上に乾燥固着する前に、加工屑を好適に除去できる。
【0042】
また、研磨ステップ1002で研磨ユニット40が実施する研磨加工処理は、本実施形態では、研磨液供給ユニット45により加工点に供給した研磨液49を使用した湿式研磨であるため、研磨液49により、第1の配線層120の露出面に形成された異常酸化層や腐食層を除去して、異常酸化または腐食していない面を露出させることができる。
【0043】
実施形態に係るウエーハの加工方法では、研磨ステップ1002の実施後、洗浄ステップ1003の実施前に、第5搬送部65が、研磨ステップ1002で研磨加工処理を実施した第1のウエーハ100を研磨ユニット40の保持テーブル41上から洗浄ユニット50のスピンナテーブル51上に搬送する。
【0044】
洗浄ステップ1003は、研磨ステップ1002で研磨された第1のウエーハ100の表面101(第1の配線層120の露出面)を洗浄するステップである。洗浄ステップ1003では、
図5に示すように、洗浄ユニット50が、スピンナテーブル51に保持された第1のウエーハ100に対し、洗浄処理を実施して、第1のウエーハ100の表面101(第1の配線層120の露出面)から研磨ステップ1002で発生した研磨屑や残存している研磨液49を除去する。
【0045】
実施形態に係るウエーハの加工方法では、洗浄ステップ1003の実施後、貼り合わせステップ1004の実施前に、第1搬送部61が、洗浄ステップ1003で洗浄処理を実施した第1のウエーハ100を洗浄ユニット50のスピンナテーブル51上からカセット載置台70に載置されたカセット73内に搬送し、カセット73内に搬入されたこの第1のウエーハ100を、貼り合わせステップ1004を実施する所定の貼り合わせ装置に移動させる。また、貼り合わせステップ1004の実施前に、貼り合わせステップ1004で、外縁部除去ステップ1001、研磨ステップ1002及び洗浄ステップ1003が実施された第1のウエーハ100と貼り合わせる対象となる第2のウエーハ200(
図6参照)を準備する。
【0046】
図6は、
図1の貼り合わせステップ1004を説明する断面図である。貼り合わせステップ1004の実施前に準備される第2のウエーハ200は、
図6に示すように、第2の基板210と、第2の配線層220と、を備える。第2の基板210は、平坦な表面211に第2の配線層220が形成されている。このように、第2のウエーハ200の表面201は第2の配線層220の露出面となっており、第2のウエーハ200の裏面202は第2の基板210の裏面212(露出面)となっている。第2のウエーハ200は、上記した研磨ステップ1002及び洗浄ステップ1003と同様の処理を経て、第2の配線層220の露出面に形成された異常酸化層や腐食層が除去されて、異常酸化または腐食していない面が露出され、洗浄されていることが好ましい。
【0047】
貼り合わせステップ1004は、研磨ステップ1002で研磨され、洗浄ステップ1003で第1の配線層120が洗浄された第1のウエーハ100と、第2の配線層220が第2の基板210の表面211に形成された第2のウエーハ200と、を貼り合わせるステップである。貼り合わせステップ1004では、例えば、第1のウエーハ100を裏面102側から保持し、第2のウエーハ200を裏面202側から保持し、第1のウエーハ100の第1の配線層120の露出面と第2のウエーハ200の第2の配線層220の露出面とを互いに対面させて面方向に位置合わせをした後に接近させ、
図6に示すように、第1の配線層120の露出面と第2の配線層220の露出面とを接触させて接合する。このように、第1の配線層120と第2の配線層220とを接合することにより、第1のウエーハ100と第2のウエーハ200とが貼り合わされた貼り合わせウエーハ300を得る。貼り合わせステップ1004では、第1の配線層120の露出面と第2の配線層220の露出面とを直接接触させて直接接合しても良いし、電気伝導性を有する接着剤を介して間接接合してもよい。貼り合わせステップ1004で第1の配線層120と第2の配線層220とを接合することにより、第1の配線層120と第2の配線層220とが導通する。
【0048】
図7は、
図1の裏面研削ステップ1005を説明する断面図である。裏面研削ステップ1005は、貼り合わせステップ1004の実施後に、第1のウエーハ100の裏面102を仕上げ厚み150まで研削するステップである。裏面研削ステップ1005は、例えば、
図7に示す研削装置90によって実施される。
【0049】
裏面研削ステップ1005を実施する研削装置90は、
図7に示すように、保持テーブル91と、スピンドル92と、研削砥石94を環状に配置した研削ホイール93と、を備える。保持テーブル91は、保持テーブル10,41と同様の吸着部とポーラス部とを備える構造を有し、第1のウエーハ100の裏面102側を上方に向けて載置された貼り合わせウエーハ300の第2のウエーハ200の裏面202側を保持面96で吸引保持する。保持テーブル91は、不図示の回転駆動源によりZ軸回りに回転自在に設けられている。スピンドル92は、円柱状に形成されて、下端に研削ホイール93が研削砥石94を下方に向けて装着される。スピンドル92は、Z軸方向と平行な軸心回りに回転する。スピンドル92は、不図示の研削送りユニットによりZ軸方向に移動自在に設けられている。
【0050】
裏面研削ステップ1005では、
図7に示すように、研削装置90の研削ホイール93が、スピンドル92の回転動作により、Z軸方向と平行な軸心回りの回転動作が加えられて、研削ホイール93の研削砥石94が、下方にある保持テーブル91に保持された貼り合わせウエーハ300の第1のウエーハ100の裏面102側に接触して押圧されることにより、研削砥石94で第1のウエーハ100を仕上げ厚み150まで研削する研削加工処理を実施する。
【0051】
裏面研削ステップ1005の実施前に、外縁部除去ステップ1001で第1のウエーハ100の外縁部を除去して仕上げ厚み150より深いトリミング溝140を形成するので、裏面研削ステップ1005の実施時に第1の基板110がシャープエッジを形成して欠ける恐れを防止できる。
【0052】
以上のような構成を有する実施形態に係るウエーハの加工システム1は、第1のウエーハ100の外縁部を除去する外縁部除去ユニット20と、第1の配線層120を研磨する研磨ユニット40と、外縁部除去ユニット20と研磨ユニット40との間で第1のウエーハ100を搬送する搬送ユニット60(第3搬送部63、第4搬送部64及び第5搬送部65)とを備えるため、外縁部除去ユニット20により外縁部を除去する際に供給した加工液29が第1のウエーハ100の第1の配線層120上に残存した状態で、研磨ユニット40により第1の配線層120を研磨する実施形態に係るウエーハの加工方法を実施できる。このため、実施形態に係るウエーハの加工システム1及び実施形態に係るウエーハの加工システム1によって実施される実施形態に係るウエーハの加工方法は、外縁部を除去する際に第1の配線層120上に付着した加工屑が第1の配線層120上に乾燥固着する前に、純水とエアの混合流体を供給して実施する洗浄や、スポンジやブラシを使用する洗浄では除去が難しかった、第1の配線層120上に付着した加工屑を好適に除去できるという作用効果を奏する。これにより、第1の配線層120と第2のウエーハ200の第2の配線層220との間に加工屑に起因する接合不良が生じる恐れを低減できる。
【0053】
また、実施形態に係るウエーハの加工システム1及びウエーハの加工方法は、研磨ステップ1002で研磨ユニット40が実施する研磨加工処理が、研磨液供給ユニット45により加工点に供給した研磨液49を使用した湿式研磨であるため、研磨液49により、第1の配線層120の露出面に形成された異常酸化層や腐食層を除去して、異常酸化または腐食していない面を露出させることができるので、第1の配線層120と第2のウエーハ200の第2の配線層220との間に第1の配線層120の異常酸化層や腐食層に起因する接合不良が生じる恐れを低減できる。
【0054】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 ウエーハの加工システム
10 保持テーブル
20 外縁部除去ユニット
40 研磨ユニット
44 研磨パッド
45 研磨液供給ユニット
49 研磨液
50 洗浄ユニット
60 搬送ユニット
100 第1のウエーハ
101,111,201,211 表面
102,112,202,212 裏面
110 第1の基板
120 第1の配線層
140 トリミング溝
150 仕上げ厚み
200 第2のウエーハ
210 第2の基板
220 第2の配線層
300 貼り合わせウエーハ