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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178893
(43)【公開日】2023-12-18
(54)【発明の名称】補給用ドア部材
(51)【国際特許分類】
   B60J 5/10 20060101AFI20231211BHJP
   B60J 1/18 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
B60J5/10 R
B60J1/18 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091879
(22)【出願日】2022-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】株式会社レゾナック
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩渕 匡嘉
(57)【要約】
【課題】ドアガラスを取り付ける作業が簡単な補給用ドア部材を提供する。
【解決手段】補給用ドア部材は、車両用ドアを構成し、ドアガラスが未接着のパネル材と、前記パネル材における前記ドアガラスの接着領域に設けられ、前記パネル材と反対側の部分に平坦面を有し硬化能を残存している接着剤と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用ドアを構成し、ドアガラスが未接着のパネル材と、
前記パネル材における前記ドアガラスの接着領域に設けられ、前記パネル材と反対側の部分に平坦面を有し硬化能を残存している接着剤と、
を備える補給用ドア部材。
【請求項2】
前記平坦面には、保護材が付着されている、請求項1に記載の補給用ドア部材。
【請求項3】
前記接着剤は、前記パネル材によって形成される前記ドアガラスの窓枠に沿って連続して設けられている、請求項1に記載の補給用ドア部材。
【請求項4】
前記パネル材は樹脂製である、請求項1に記載の補給用ドア部材。
【請求項5】
第1の前記パネル材と、
前記第1のパネル材に接合された第2の前記パネル材と、
を備え、
前記接着剤は、前記第1のパネル材と前記第2のパネル材とに跨って設けられている、請求項1に記載の補給用ドア部材。
【請求項6】
前記第1のパネル材及び前記第2のパネル材の少なくとも一方が樹脂製である、請求項5に記載の補給用ドア部材。
【請求項7】
前記接着剤は、前記第1のパネル材及び前記第2のパネル材によって形成される前記ドアガラスの窓枠に沿って連続して設けられている、請求項6に記載の補給用ドア部材。
【請求項8】
前記第1のパネル材は、前記車両用ドアの車両内側に配置されるインナパネルを構成し、
前記第2のパネル材は、前記車両用ドアの車両外側に配置されるアウタパネルを構成する、請求項5~請求項7のいずれか1項に記載の補給用ドア部材。
【請求項9】
前記車両用ドアは車両用バックドアである、請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の補給用ドア部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、補給用ドア部材に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両用バックドアの補給品が開示されている。このバックドア補給品では、インナパネルにおけるリアウインドガラスの接着部位に表面処理が施され、表面処理部上に接着剤硬化部が設けられている。この接着剤硬化部は、ドアガラスと未接着の状態で硬化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5705777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のバックドア補給品は、市場の修理現場において、接着剤硬化部の表層側をカット(切除)し、接着剤硬化部のカットされた部分に新たに接着剤を塗布した後、この接着剤を介してドアガラスが接着される。このように特許文献1の技術では、バックドア補給品にドアガラスを取り付ける作業が煩雑なため、市場の修理現場では、バックドア補給品にドアガラスを取り付ける作業の改善が望まれている。
【0005】
そこで、本開示は、ドアガラスを取り付ける作業が簡単な補給用ドア部材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1>
車両用ドアを構成し、ドアガラスが未接着のパネル材と、
前記パネル材における前記ドアガラスの接着領域に設けられ、前記パネル材と反対側の部分に平坦面を有し硬化能を残存している接着剤と、
を備える補給用ドア部材。
<2>
前記平坦面には、保護材が付着されている、<1>に記載の補給用ドア部材。
<3>
前記接着剤は、前記パネル材によって形成される前記ドアガラスの窓枠に沿って連続して設けられている、<1>又は<2>に記載の補給用ドア部材。
<4>
前記パネル材は樹脂製である、<1>~<3>のいずれか1項に記載の補給用ドア部材。
<5>
第1の前記パネル材と、
前記第1のパネル材に接合された第2の前記パネル材と、
を備え、
前記接着剤は、前記第1のパネル材と前記第2のパネル材とに跨って設けられている、<1>に記載の補給用ドア部材。
<6>
前記第1のパネル材及び前記第2のパネル材の少なくとも一方が樹脂製である、<5>に記載の補給用ドア部材。
<7>
前記接着剤は、前記第1のパネル材及び前記第2のパネル材によって形成される前記ドアガラスの窓枠に沿って連続して設けられている、<5>又は<6>に記載の補給用ドア部材。
<8>
前記第1のパネル材は、前記車両用ドアの車両内側に配置されるインナパネルを構成し、
前記第2のパネル材は、前記車両用ドアの車両外側に配置されるアウタパネルを構成する、<5>~<7>のいずれか1項に記載の補給用ドア部材。
<9>
前記車両用ドアは車両用バックドアである、<1>~<8>のいずれか1項に記載の補給用ドア部材。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ドアガラスを取り付ける作業が簡単な補給用ドア部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の第1実施形態の補給用ドア部材が適用可能な車両用バックドアの斜視図である。
図2】本開示の第1実施形態の補給用ドア部材の斜視図である。
図3図2における3X-3X線断面図である。
図4図3に示す接着剤周りの拡大断面図である。
図5図4に対応する断面図であり、接着剤を介して補給用ドア部材にドアガラスを接着した状態を示している。
図6】本開示の第2実施形態の補給用ドア部材の斜視図である。
図7図6における7X-7X線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本開示は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本開示を制限するものではない。
【0010】
本開示の実施形態に係る補給用ドア部材は、車両用ドアを構成し、ドアガラスが未接着のパネル材と、前記パネル材における前記ドアガラスの接着領域に設けられ、前記パネル材と反対側の部分に平坦面を有し硬化能を残存している接着剤と、を備える。以下、補給用ドア部材の具体例を、図面を参照しながら説明するが、本開示はこれに限定されるものではない。
【0011】
<第1実施形態>
以下、第1実施形態の補給用ドア部材20について説明する。
【0012】
本実施形態の補給用ドア部材20(図2参照)は、車両用バックドア10(図1参照)の補給品として用いられる。なお、本実施形態における車両用バックドア10(以下、単に「バックドア10」という。)は、自動車のバックドアである。
【0013】
まず、バックドア10について説明する。図1には、二点鎖線で示す車体11のバックドア開口部(図示省略)を閉じた状態のバックドア10が示されている。この図1において、矢印UPは車両上方を示し、矢印Wは車両幅方向を示し、矢印INは車両内側(車室側)を示し、矢印OUTは車両外側を示している。このバックドア10は、車体11に取り付けられて、バックドア開口部を開閉する機能を有する。
【0014】
バックドア10は、車両内側に配置されるインナパネル(図示省略)と、車両外側に配置されるアウタパネル12と、を備えている。また、バックドア10は、ドアガラスとしてのリアウインドガラス14が取り付けられる窓枠16を有している。この窓枠16には、リアウインドガラス14が車両外側から窓枠16内側の開口17を覆うように取り付けられている。本実施形態では、一例としてバックドア10のアウタパネル12に設けられた窓枠16にリアウインドガラス14が接着剤を介して取り付けられている。
【0015】
次に、補給用ドア部材20について説明する。補給用ドア部材20は、バックドア10に事故等で不具合が生じた場合に、バックドア10と交換する補給品である。バックドア10のうちリアウインドガラス14は、事故等で破損しにくく、再使用可能であることが多い。そのため、補給用ドア部材20は、リアウインドガラス14を取り付けていない状態で出荷される。言い換えると、出荷される補給用ドア部材20には、リアウインドガラス14が含まれない。
【0016】
補給用ドア部材20は、図2に示されるように、アウタパネル22と、接着剤24とを備えている。なお、アウタパネル22は、本開示のパネル材の一例である。
【0017】
アウタパネル22は、バックドア10の車両外側に配置されるアウタパネル12に対応するパネル材である。すなわち、本実施形態では、アウタパネル22の形状がアウタパネル12の形状と同じである。また、本実施形態のアウタパネル22は、一例として、樹脂製である。
なお、アウタパネル22の樹脂としては、例えば、ポリプロピレン系樹脂(PP)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂(ABS)等が挙げられるが、本開示はこれらに限定されるものではない。
【0018】
アウタパネル22には、インナパネル23が接合されている。このインナパネル23は、バックドア10の車両外側に配置されるインナパネル(図示省略)に対応している。すなわち、本実施形態では、インナパネル23の形状がバックドア10のインナパネルの形状と同じである。また、本実施形態のインナパネル23は、一例として、樹脂製である。
なお、インナパネル23の樹脂としては、例えば、ガラス繊維強化ポリプロピレン系樹脂が挙げられるが、本開示はこれらに限定されるものではない。
【0019】
また、補給用ドア部材20には、リアウインドガラス14が取り付けられる窓枠26が設けられている。この窓枠26は、バックドア10の窓枠16に対応している。また、本実施形態の窓枠26は、一例として、アウタパネル22に設けられている。窓枠26には、リアウインドガラス14が車両外側から窓枠26内側の開口27を覆うように接着剤24を介して取り付けられる。
【0020】
接着剤24は、図2に示されるように、アウタパネル22におけるリアウインドガラス14の接着領域に設けられている。本実施形態では、一例として、接着剤24がアウタパネル22の窓枠26に沿って連続して設けられている。具体的には、接着剤24が開口27を囲うように窓枠26に沿って連続して設けられている。また、接着剤24は、硬化能を残存している(硬化能を有している)。言い換えると、接着剤24は、硬化完了前の接着剤である。このため、アウタパネル22の窓枠26にリアウインドガラス14を接着する際に、硬化した接着剤の一部を切除して新たな接着剤を塗布しなくても、窓枠26にリアウインドガラス14を接着することができる。なお、接着剤24がアウタパネル22の窓枠26に沿って部分的に設けられていても接着効果が得られるが、連続して設けられていることがより好ましい。
【0021】
接着剤24は、図3に示されるように、アウタパネル22と反対側の部分に平坦面24Aを有している。具体的には、平坦面24Aは、接着剤24においてリアウインドガラス14の車室側の面と接着する部分に設けられている。本実施形態では、一例として、窓枠26に一周分設けられる接着剤24と同様に平坦面24Aも一周分設けられている。なお、接着剤24としては、例えば、1液硬化型のウレタン系接着剤、2液硬化型のウレタン系接着剤が挙げられるが、本開示はこれらに限定されるものではない。
【0022】
接着剤24の平坦面24Aには、図3及び図4に示されるように、保護材28が付着されている。この保護材28は、平坦面24Aを保護する部材である。本実施形態では、一例として、保護材28がフィルム状に形成されている。なお、接着剤24は、リアウインドガラス14が接着される平坦面24Aが硬化能を残存していれば、アウタパネル22の窓枠26にリアウインドガラス14を接着することができる。
【0023】
本実施形態の接着剤24の平坦面24Aは、一例として、アウタパネル22の接着領域に接着剤24を塗布後、接着剤24のアウタパネル22と反対側の部分に保護材28を載せ、例えば、ローラ等の冶具を用いて接着剤24を押圧しながら均すことで形成される。なお、保護材28は、接着剤24を均して平坦面24Aを形成した後で載せてもよい。
【0024】
なお、本実施形態のアウタパネル22には塗装が施されている。このため、アウタパネル22の接着領域よりも広い範囲に塗装面用のプライマ処理を施し、プライマ処理した部分の上に接着剤24を塗布してもよい。このようにアウタパネル22の接着領域よりも広い範囲に塗装面用のプライマ処理を施すことで、接着剤24による窓枠26とリアウインドガラス14との接合強度が向上する。
【0025】
次に本実施形態の作用並びに効果について説明する。
本実施形態の補給用ドア部材20とバックドア10を交換する場合、まず、バックドア10を車体11から取り外す。また、バックドア10からリアウインドガラス14を取り外し、リアウインドガラス14の接着領域にプライマ処理を施す。その後、補給用ドア部材20の接着剤24から保護材28を剥がし、リアウインドガラス14のプライマ処理が施されたプライマ処理部15と平坦面24Aの位置を合わせ、リアウインドガラス14を窓枠26に押し付けることで、図5に示されるように、接着剤24を介して補給用ドア部材20にリアウインドガラス14が取り付けられる。リアウインドガラス14が接着された補給用ドア部材20を車体11に取り付けることで、補給用ドア部材20とバックドア10の交換が終了する。
【0026】
なお、プライマ処理とは、接着対象の素材(例えば、樹脂材、ガラス材、金属材)に対して接着性の優れたコーティング材(プライマ)をアンダーコート(最初に塗布)する処理をいう。このアンダーコート面を介することで素材に対する接着剤24の接着性が向上する。
【0027】
ここで本実施形態の補給用ドア部材20では、接着剤24が硬化能を残存していれば、例えば、接着剤が硬化している(硬化能を残存していない)ものと比べて、接着剤の硬化部分を切除して新たな接着剤を塗布する必要がない。このため、本実施形態の補給用ドア部材20では、窓枠26にリアウインドガラス14を取り付ける作業が簡単になる。
また、本実施形態の補給用ドア部材20では、窓枠26に塗布した接着剤24を押し均して平坦面24Aを設けていることから、市場の修理現場において、窓枠に塗布した接着剤を押し均す必要がない。このため、本実施形態の補給用ドア部材20では、窓枠26にリアウインドガラス14を取り付ける作業が簡単になる。
【0028】
本実施形態の補給用ドア部材20では、窓枠26にリアウインドガラス14を取り付ける作業が簡単になるため、車体11に対してバックドア10を補給用ドア部材20に交換する作業に要する時間が短縮される。
【0029】
本実施形態の補給用ドア部材20では、接着剤24の平坦面24Aに保護材28が付着されている。この保護材28により接着剤24の平坦面24Aの硬化能の残存状態が維持される。また、保護材28により異物等から接着剤24の平坦面24Aが保護される。これにより、補給用ドア部材20にリアウインドガラス14を取り付ける際の接着剤24の接着性を確保することができる。
【0030】
本実施形態の補給用ドア部材20では、接着剤24が窓枠26に沿って連続して設けられていることから、例えば、接着剤24が窓枠26に沿って断続して設けられる構成と比べて、接着剤24による補給用ドア部材20とリアウインドガラス14との間のシール性が高い。
【0031】
本実施形態の補給用ドア部材20は、アウタパネル22とインナパネル23が樹脂製であることから、例えば、アウタパネル22又はインナパネル23のどちらかが金属製のものと比べて、軽量である。このため、市場の修理現場において、バックドア10を補給用ドア部材20に交換する作業が容易になる。
【0032】
第1実施形態の補給用ドア部材20では、アウタパネル22に窓枠26が設けられているが、本開示はこの構成に限定されない。例えば、インナパネル23に窓枠26が設けられてもよい。この場合には、インナパネル23の窓枠26に接着剤24を介してリアウインドガラス14が取り付けられる。なお、インナパネル23の接着領域にはプライマ処理を施しておくことが好ましい。
【0033】
第1実施形態の補給用ドア部材20では、アウタパネル22とインナパネル23がともに樹脂製であるが、本開示はこれに限定されない。例えば、アウタパネル22及びインナパネル23の少なくとも一方が樹脂以外の材料(例えば、金属材料)で形成されてもよい。この場合においても、アウタパネル22又はインナパネル23の接着領域にはプライマ処理を施しておくことが好ましい。
【0034】
<第2実施形態>
以下、第2実施形態の補給用ドア部材40について説明する。
【0035】
補給用ドア部材40は、補給用ドア部材20と同様に、バックドア10と交換する補給品である。この補給用ドア部材40は、補給用ドア部材20と同様に、リアウインドガラス14を取り付けていない状態で出荷される。
【0036】
補給用ドア部材40は、図6に示されるように、アウタパネル42と、インナパネル43と、接着剤44とを備えている。なお、アウタパネル42は、本開示のパネル材の一例であり、アウタパネルの一例である。また、インナパネル43、本開示のパネル材の一例であり、インナパネルの一例である。
【0037】
アウタパネル42は、バックドア10の車両外側に配置されるアウタパネル12に対応するパネル材であり、アウタアッパ42Aとアウタロア42Bとを有している。なお、アウタアッパ42Aは本開示の第1のパネル材であり、アウタロア42Bは本開示の第2のパネル材である。
【0038】
アウタアッパ42Aは、アウタパネル42の上部側を構成するパネル材である。また、アウタアッパ42Aは、インナパネル43の上部側に接合されている。
【0039】
アウタロア42Bは、アウタパネル42の下部側を構成するパネル材である。また、アウタロア42Bは、インナパネル43の下部側に接合されている。
【0040】
本実施形態のアウタアッパ42A及びアウタロア42Bは、一例として樹脂製である。なお、アウタアッパ42A及びアウタロア42Bの樹脂は、アウタパネル22と同様の樹脂を用いてもよい。
【0041】
インナパネル43は、バックドア10の車両内側に配置されるインナパネル(図示省略)に対応するパネル材であり、上記のようにアウタアッパ42Aとアウタロア42Bとが接合される。本実施形態のインナパネル43は、一例として樹脂製である。なお、インナパネル43の樹脂としては、インナパネル23と同様の樹脂を用いてもよい。
【0042】
また、補給用ドア部材40には、リアウインドガラス14が取り付けられる窓枠46が設けられている。この窓枠46は、バックドア10の窓枠16に対応している。また、本実施形態の窓枠46は、一例として、アウタパネル42とインナパネル43によって形成されている。具体的には、窓枠46は、アウタアッパ42A及びアウタロア42Bと、インナパネル43とによって形成されている。ここで、窓枠46の上枠46Aはアウタアッパ42Aによって構成され、窓枠46の下枠46Bはアウタロア42Bによって構成され、窓枠46の左右一対の縦枠46Cはインナパネル43によって構成されている。この窓枠46には、リアウインドガラス14が車両外側から窓枠46内側に形成される開口47を覆うように接着剤44を介して取り付けられる。
【0043】
接着剤44は、アウタパネル42及びインナパネル43におけるリアウインドガラス14の接着領域に設けられている。具体的には、アウタアッパ42A、アウタロア42B及びインナパネル43におけるリアウインドガラス14の接着領域に設けられている。本実施形態では、一例として、接着剤44がアウタパネル42とインナパネル43とで形成される窓枠46に沿って連続して設けられている。具体的には、接着剤44は、窓枠46の上枠を構成するアウタアッパ42A、窓枠46の下枠を構成するアウタロア42B、及び、窓枠46の一対の縦枠を構成するインナパネル43に跨って設けられている。また、接着剤44は、開口47を囲うように窓枠46に沿って連続して設けられていると言い換えられる。
【0044】
接着剤44は、接着剤24と同様に、硬化能を残存している。このため、窓枠46にリアウインドガラス14を接着する際に、硬化した接着剤の一部を切除して新たな接着剤を塗布しなくても、窓枠46にリアウインドガラス14を接着することができる。
【0045】
また、接着剤44は、接着剤24と同様に、図7に示すように、アウタパネル42及びインナパネル43と反対側の部分に平坦面44Aを有している。具体的には、平坦面44Aは、接着剤44においてリアウインドガラス14の車室側の面と接着する部分に設けられている。本実施形態では、一例として、窓枠46に一周分設けられる接着剤44と同様に平坦面44Aも一周分設けられている。
【0046】
接着剤44の平坦面44Aには、接着剤24と同様に、保護材28が付着されてもよい。また、本実施形態の接着剤44の平坦面44Aは、接着剤24と同様の方法で形成されてもよい。なお、接着剤44としては、接着剤24と同様のものを用いてもよい。
【0047】
なお、本実施形態のアウタパネル42(アウタアッパ42A及びアウタロア42B)には、アウタパネル22と同様に、塗装が施されている。このため、アウタパネル22と同様に、アウタパネル42の接着領域よりも広い範囲に塗装面用のプライマ処理を施し、プライマ処理した部分の上に接着剤44を塗布してもよい。このようにアウタパネル42の接着領域よりも広い範囲に塗装面用のプライマ処理を施すことで、接着剤44による窓枠46の上枠及び下枠とリアウインドガラス14との接合強度が向上する。
【0048】
また、本実施形態のインナパネル43の車両外側となる面は塗装が施されていない。すなわち、インナパネル43の車両外側となる面が無塗装とされている。このインナパネル43の無塗装面のうち、少なくとも窓枠46の一対の縦枠を構成する範囲にフレーム処理が施されていてもよい。さらに、インナパネル43の無塗装面のうちフレーム処理された部分の上にプライマ処理を施し、そして、プライマ処理した部分の上に接着剤44を塗布してもよい。このようにインナパネル43の接着領域よりも広い範囲に塗装面用のプライマ処理を施すことで、接着剤44による窓枠46の一対の縦枠とリアウインドガラス14との接合強度が向上する。
【0049】
なお、インナパネル43に施すフレーム処理とは、樹脂材をガスの炎であぶり、樹脂材表面の分子に酸素結合又は二重結合を導入する表面処理をいう。
【0050】
次に本実施形態の作用について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成で得られる作用についてはその説明を適宜省略する。
【0051】
本実施形態の補給用ドア部材40では、接着剤44が硬化能を残存していることから、例えば、接着剤が硬化している(硬化能が残存していない)ものと比べて、接着剤の硬化部分を切除して新たな接着剤を塗布する必要がない。このため、本実施形態の補給用ドア部材40では、窓枠46にリアウインドガラス14を取り付ける作業が簡単になる。
また、本実施形態の補給用ドア部材40では、窓枠46に塗布した接着剤44を押し均して平坦面44Aを設けていることから、市場の修理現場において、窓枠に塗布した接着剤を押し均す必要がない。このため、本実施形態の補給用ドア部材40では、窓枠46にリアウインドガラス14を取り付ける作業が簡単になる。
【0052】
本実施形態の補給用ドア部材40では、接着剤44がアウタパネル42(アウタアッパ42A及びアウタロア42B)とインナパネル43とに跨って設けられていることから、アウタパネル42とインナパネル43とに跨って設けられない構成と比べて、接着剤24による補給用ドア部材20とリアウインドガラス14との間のシール性が向上する。特に、本実施形態の補給用ドア部材40では、接着剤44が窓枠46に沿って連続して設けられていることから、例えば、接着剤44が窓枠46に沿って断続して設けられる構成と比べて、接着剤44による補給用ドア部材40とリアウインドガラス14との間のシール性が高くなる。
【0053】
第2実施形態の補給用ドア部材40では、アウタパネル42(アウタアッパ42A及びアウタロア42B)とインナパネル43がともに樹脂製であるが、本開示はこれに限定されない。例えば、アウタパネル42及びインナパネル43の少なくとも一方が樹脂以外の材料(例えば、金属材料)で形成されてもよい。この場合においても、アウタパネル42又はインナパネル43の接着領域にはプライマ処理を施しておくことが好ましい。
【0054】
[その他の実施形態]
第1及び第2実施形態では、バックドア10の補給品である補給用ドア部材20、40に本開示の技術を適用したが、本開示の技術はこれにて限定されない。例えば、車両のバックドア以外のドア補給品に本開示の技術を適用してもよい。
【0055】
以上、本開示の好適な実施形態について説明したが、本開示は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を行ってもよい。
【符号の説明】
【0056】
10 バックドア(車両用ドア)
14 リアウインドガラス(ドアガラス)
20 補給用ドア部材
22 アウタパネル
23 インナパネル
24 接着剤
24A 平坦面
26 窓枠
28 保護材
40 補給用ドア部材
42 アウタパネル
43 インナパネル
44 接着剤
44A 平坦面
46 窓枠
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7