(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178965
(43)【公開日】2023-12-18
(54)【発明の名称】ヒューマンマシンインターフェースを有する診断ツール、プログラマブルロジックコントローラの診断方法
(51)【国際特許分類】
G05B 19/05 20060101AFI20231211BHJP
G05B 19/048 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
G05B19/05 Z
G05B19/048
G05B19/05 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091258
(22)【出願日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】63/349,232
(32)【優先日】2022-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519237203
【氏名又は名称】エーエスエム・アイピー・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100175178
【弁理士】
【氏名又は名称】桑野 敦司
(72)【発明者】
【氏名】小林 渉
【テーマコード(参考)】
5H220
【Fターム(参考)】
5H220AA04
5H220BB09
5H220BB18
5H220CC09
5H220CX09
5H220HH01
5H220HH03
5H220JJ02
5H220JJ03
5H220JJ07
5H220JJ12
5H220JJ17
5H220JJ53
5H220JJ55
5H220JJ57
(57)【要約】
【課題】本開示は、半導体製造装置などを容易に診断できるヒューマンマシンインターフェースを有する診断ツールと、プログラマブルロジックコントローラの診断方法と、を提供することを目的とする。
【解決手段】LANポートと、ヒューマンマシンインターフェース(HMI)と、ユーザによって該HMIから出された指令を該LANポートの接続先に送信するCPUと、を備える。そして、この診断ツールは、無線通信機能が搭載されない構成であることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
LANポートと、
ヒューマンマシンインターフェース(HMI)と、
ユーザによって前記HMIから出された指令を前記LANポートの接続先に送信するCPUと、を備え、
無線通信できないように構成された診断ツール。
【請求項2】
前記HMIはタッチパネルである請求項1に記載の診断ツール。
【請求項3】
前記HMIはディスプレイとマウスとキーボードとを含む請求項1に記載の診断ツール。
【請求項4】
前記LANポートと、前記HMIと、前記CPUとを格納したアタッシュケースを備えた請求項1に記載の診断ツール。
【請求項5】
前記HMIに表示されたデータを外部のメモリに保存するように構成されたUSBポートを備えた請求項1に記載の診断ツール。
【請求項6】
電源用のIECコネクタと、
85-265Vまでの入力電圧に対応したAC-DC変換回路と、を備えた請求項1に記載の診断ツール。
【請求項7】
前記診断ツールは、前記LANポートに接続されたプログラマブルロジックコントローラ(PLC)の内部状態を前記HMIに表示させるように構成された、請求項1に記載の診断ツール。
【請求項8】
前記診断ツールは、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)のアラームの詳細を前記HMIに表示させるように構成された、請求項1に記載の診断ツール。
【請求項9】
データの授受は前記LANポートと前記USBポートを介してのみ可能となるように構成された請求項5に記載の診断ツール。
【請求項10】
プログラマブルロジックコントローラ(PLC)に、ヒューマンマシンインターフェース(HMI)を有する診断ツールを接続することと、
前記HMIに、前記PLCの内部状態を表示させることと、を備えたPLC診断方法。
【請求項11】
前記HMIに、前記PLCと、前記PLCに接続された機器と、を含むコンフィギュレーション画面を表示させることと、
前記コンフィギュレーション画面に表示された前記PLC又は前記機器を選択することで、前記PLC又は前記機器の状態を表示させることと、を備えた、請求項10に記載のPLC診断方法。
【請求項12】
前記機器は、センサ、スイッチ、モータ、又はランプである請求項11に記載のPLC診断方法。
【請求項13】
前記HMIに前記PLCから出されたアラームリストを表示させることと、
前記アラームリストに表示されたアラームを選択することで、前記HMIに前記アラームの詳細を表示させることと、を備えた請求項10に記載のPLC診断方法。
【請求項14】
前記HMIに存在するがユーザには視認できないボタンを予め定められた方法で押すことで、前記PLCに接続された機器を強制的に操作する強制操作画面を表示させることと、
前記強制操作画面を操作して前記機器を強制操作することと、を備えた請求項10に記載のPLC診断方法。
【請求項15】
前記HMIはタッチパネルであり、ユーザは前記強制操作画面の一部をタッチして、前記機器を強制操作する請求項14に記載のPLC診断方法。
【請求項16】
前記PLCと前記HMIは、EtherNetケーブルを介してホットコネクトで接続することを備えた請求項10に記載のPLC診断方法。
【請求項17】
前記PLC内のロジックプログラムを前記HMIから操作することを備えた請求項10に記載のPLC診断方法。
【請求項18】
前記HMIを操作することで、前記PLCに接続された機器のインターロックの状態を前記HMIに表示させることを備えた請求項10に記載のPLC診断方法。
【請求項19】
前記HMIに前記インターロックが正常に機能しているか否かを表示させる請求項18に記載のPLC診断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はヒューマンマシンインターフェース(HMI)を有する診断ツールと、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)の診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、成膜装置、エッチング装置などの半導体製造装置では、PLCと呼ばれるコントローラを用いて機器を制御したり、機器の状態を把握したりする。PLCは、例えばセンサまたはスイッチなどからの入力情報を読み取り、プログラムを実行することで、例えばモータ又はランプなどの機器を制御する。
【0003】
PLCによってさまざまな機器が連携しながら稼働するシステムにおいては、国際安全規格(ISO13849 や IEC61508)に適合したシステムとなるように、セーフティPLCが用いられる。セーフティPLCとは、半導体製造現場における作業者の安全確保を担うコントローラである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
製造工場で半導体製造装置を組み立てたあと、PLCの開発ソフトを使用して、PLC関連のI/Oチェックを行う。PLC開発ソフトとは、プログラムを作る専用のアプリケーションであり、専門知識がなければ扱いが難しい。不慣れな者がPLC開発ソフトを使ってPLC関連のI/Oチェックをしようとすると、例えば1週間程度の時間がかかってしまうことがある。
【0006】
また、いったん半導体製造装置を客先工場に納入すると、客先工場のセキュリティ方針によっては、PLC開発ツールをインストールしたパソコンを客先工場に持ち込むことができない。その場合、仮に客先工場で半導体製造装置のPLCがアラームを出した場合、PLC開発ツールなしでは迅速な問題解決が難しい。一例によれば、問題解決に数日から数か月もの時間を要してしまう。
【0007】
本開示は、上述のような課題を解決するためになされたもので、半導体製造装置を容易に診断できる診断ツールと診断方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る診断ツールは、 LANポートと、ヒューマンマシンインターフェース(HMI)と、ユーザによって該HMIから出された指令を該LANポートの接続先に送信するCPUと、を備え、無線通信できないように構成される。
【0009】
診断ツールと診断方法のその他の特徴は以下に明らかにする。
【発明の効果】
【0010】
半導体製造装置を容易に診断できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】閉じた状態のアタッシュケースの斜視図である。
【
図5】HMIに表示されるトップメニュー画面の例である。
【
図7】HMIに表示される強制操作画面の例である。
【
図8】HMIに表示されるインターロック画面の例である。
【
図9】HMIに表示されるアラームリスト画面の例である。
【
図10】HMIに表示されるアラーム詳細画面の例である。
【
図11】処理回路が専用ハードウェアである場合のHMIの構成例である。
【
図12】処理回路がCPUである場合のHMIの構成例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
診断ツールと診断方法について図面を参照して説明する。同じ又は対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。なお、単にPLCと言った場合でも、PLCとセーフティPLCの両方に言及している場合がある。
【0013】
実施の形態.
図1は、実施の形態に係る診断ツール10の斜視図である。一例によれば、診断ツール10は、アタッシュケース12を備えている。アタッシュケース12はハンドル12aを備え、作業者が容易に運ぶことができるようになっている。一例によれば、診断ツール10は、電源スイッチ14とAC電源リセプタクル16を備えている。一例によれば、AC電源リセプタクル16を電源用の国際電気標準会議(IEC)コネクタとすることができる。これにより、各国の仕様に対応したケーブルを用意すれば、容易に各国で電源接続が可能となる。
【0014】
一例によれば、診断ツール10は、USBポート18とLANポート20とを備えている。さらに、診断ツール10はHMI22を備えている。一例によれば、HMI22はタッチパネルである。一例によればタッチパネルの角度は多段階で調整でき、ユーザが見やすい角度にすることができる。別の例によれば、HMIはディスプレイとマウスとキーボードとを含む。前述のUSBポート18は、例えば、HMI22に表示されたデータを外部のメモリであるUSBメモリに保存するように構成される。具体的には、USBポート18が配線でHMI22に接続されることで、HMI22の操作によってHMI22に表示されたデータをUSBメモリに保存できる。データをUSBメモリに保存すれば、データを工場外の技術者に提供して当該技術者から専門的なアドバイスを受けることができる。
【0015】
一例によれば、
図1の診断ツール10は無線通信できないように構成されている。言いかえると、診断ツール10に無線通信機能はない。無線通信機能を搭載しないことで、診断ツール10を客先工場に持ち込むことができる。
【0016】
図2は、閉じた状態のアタッシュケース12の斜視図である。アタッシュケース12には、例えば、LANポート20、HMI22、CPUなどが格納されている。一例によれば、アタッシュケース12とその中のすべての装置との重さの合計は10kg以下とされ、作業者がハンドル12aをもって楽にアタッシュケース12を移動することができる。
【0017】
図3Aはアタッシュケース12の内部の平面図である。例えばHMI22は、9インチ程度のタッチパネルである。一例によれば、HMI22、電源スイッチ14、AC電源リセプタクル16、USBポート18及びLANポート20が1つの実装ボード25に取り付けられる。そしてその実装ボード25が複数のねじ23によってアタッシュケース12に固定される。
【0018】
図3Bは
図3Aの3B-3B´線における断面図である。ねじ23がアタッシュケース12に設けられたねじ溝にネジ締めされることで、実装ボード25がアタッシュケース12に固定されている。
【0019】
図3Cは
図3Aの3C-3C´線における断面図である。
図3CにはDC電源装置24が図示されている。DC電源装置24によってHMI22などに電源供給が可能となる。DC電源装置24は例えば85-265Vまでの入力電圧に対応したAC-DC変換回路である。さらに、この電源装置24にフューズ26が接続されている。
【0020】
図4は、診断ツール10の接続例を示す図である。
図4に示すとおり、電源ケーブル42をAC電源リセプタクル16につなぐことで、HMI22が利用可能となる。一例によれば、電源ケーブル42は、AC85~264V、2A以下の電源に接続される。一例によれば、HMI22の裏側又は内部にプログラムを格納するメモリが取り付けられている。
【0021】
例えばEtherNetケーブル40が、LANポート20と、PLC34を接続している。PLC34の横にはセーフティPLC36がある。一例によれば、PLC34、セーフティPLC36及びその他の装置は、ELEC BOX32に格納される。セーフティPLC36はPLC34につながっているので、1本のEtherNetケーブル40で、PLC34とセーフティPLC36を、診断ツール10に接続することができる。一例によれば、PLC34とHMI22は、EtherNetケーブル40を介してホットコネクトで接続することができる。ホットコネクト接続によって、PLC34とセーフティPLC36の電源を切ることなく、EtherNetケーブル40をPLC34に接続して診断ツール10による診断を開始したり、EtherNetケーブル40をPLC34から引き抜いたりすることができる。したがって、ホットコネクト接続は、PLCの電源を落とさずに、アラームが検知された状態のPLCに診断ツール10を接続して、以下で説明する各処理を実行することを可能とする。
【0022】
図5-10は、HMI22に表示される画面の例である。まず、PLC34に、診断ツール10を接続する。そうすると、HMI22に
図5のトップメニュー画面が表示される。一例によれば、トップメニュー画面は、PLCと、PLCに接続された機器と、を含むコンフィギュレーション画面である。言いかえると、トップメニュー画面は診断対象装置に組み込まれた機器のコンフィギュレーション画面である。
図5には、1つのCPUユニットと、それにスレーブ接続されたNODE2、3、4が図示されている。一例によれば、
図5の画面に表示された機器のいずれかをユーザがタッチすることで、タッチされた機器のI/Oの状態をHMI22に表示されることができる。
【0023】
例えば、ユーザが
図5のCPU UNIT(ELEC BOX)にタッチすると、
図6の画面がHMI22に表示される。
図6には、CPUユニットに接続された機器のI/Oが表示されている。SI101というユニットを見ると、Equipment Front End Module(EFEM) LEFT DOORとEFEM RIGHT DOORがグリーンボタンで表示されていないので、これらのセンサがオフ状態であることが分かる。
【0024】
SI103というユニットを見ると、グリーンボタンで表示されていないN2 KEY SWのセンサはオフ状態であり、グリーンボタンで表示されたFan Filter Unit(FFU) ALARMのセンサはオン状態であることが分かる。このように、SI101、SI102、SI103、SO101、SO102、SO103がそれぞれ1つのユニットになっている。各ユニットのセンサのオンオフ状態を確認することができる。
【0025】
このように、コンフィギュレーション画面に表示されたPLC又は機器を選択することで、PLC又は機器の状態を表示させることができる。言いかえると、HMI22に、PLCの内部状態を表示させることができる。診断ツール10は、LANポート20に接続されたPLCの内部状態をHMI22に表示させるように構成される。一例によれば、PLCの内部状態は、診断ツール10をEtherNetケーブルでPLCにつなぐだけで確認できる。なお、PLCに接続される機器は、例えばセンサ、スイッチ、モータ、ランプの少なくとも1つを含む。この場合、PLCは、センサまたはスイッチの情報を読み取り、予め定められたプログラムを実行することで、モータ又はランプを制御する。
【0026】
一例によれば、
図5のコンフィギュレーション画面には、ユーザが視認できないボタン(以下、隠しボタンという)を設けることができる。隠しボタンは、PLCで操作しているものを強制操作するためのボタンである。隠しボタンを、ユーザが視認できないボタンとすることで、そのような強制操作が安易に実行されてしまうことを防止できる。マニュアルなどによって隠しボタンの存在を知る者が、タッチパネル上の隠しボタンを押して機器を強制操作することができる。
【0027】
例えば、
図5のコンフィギュレーション画面内の右上の領域に「HMIに存在するがユーザには視認できない隠しボタン」を配置する。ユーザがこの隠しボタンを、予め定められた方法で押すことで、PLCに接続された機器を強制的に操作する強制操作画面を表示させることができる。一例によれば、隠しボタンを予め定められた回数だけ連続して押した場合にのみ、強制操作画面に遷移するようにすることで、容易に強制操作画面に遷移しないようにすることができる。別の例によれば、複数の隠しボタンを、あらかじめ決められた順番に押すことでのみ強制操作画面に遷移させることができる。隠しボタンの操作方法を手順書に保管しておくことで、ユーザが必要な場合にそれを参照することができる。
【0028】
図7は、強制操作画面の一例を示す図である。ユーザは、強制操作画面を操作して機器を強制操作することができる。例えば、ユーザは強制操作画面の一部をタッチして、機器を強制操作することができる。強制操作を例示すると以下のとおりである。
・LEDはエラーが起こらないと光らないが、エラーがなくても強制操作画面のボタンを押すことでLEDを光らせることができる。
・ゲートバルブ(GV)を強制的に動かす。例えば、装置の組み立て時の動作確認のためにGVを開閉する。
・EFEMの中でロボットが動いている状態においてEFEMドアを開ける。通常は、ロボット稼働中にEFEMドアを開けることは危険なので許可されない。
・N2ガスを放出するための信号を強制的に出す。
【0029】
強制操作は上述の内容に限定されず、PLCで操作しているものは全て強制操作の対象とすることができる。したがって、他にも多くの強制操作が可能である。一例によれば、装置を組み立てて、納品する前に、すべての強制操作を1回実行することで、装置の出荷前確認を行う。一例によれば、トランスファーモジュールコントローラ(TMC)によって制御されるすべての機器、つまり搬送系について、強制操作によって動作確認する。これにより、クライアントへの装置の引き渡し前に、装置が正常動作することを簡単に確認できる。なお、このような操作は、従来は複雑な手順を踏まないとできないことであった。
【0030】
ところで、例えば半導体製造装置では、セーフティPLCによって様々なインターロックが組まれている。一例によれば、診断ツール10によってインターロックが正常に機能しているか確認することができる。
【0031】
図5のコンフィギュレーション画面の左上には、INTERLOCKボタンが設けられている。ユーザがこのINTERLOCKボタンを押すことで、
図8のインターロック表示画面をHMI22に表示させることができる。別の例によれば、HMI22を操作することで、PLCに接続された機器のインターロックの状態をHMI22に表示させることができる。
【0032】
図8のインターロック表示画面は、
図5-7に表示されている信号をインターロックごとにまとめたものという事ができる。
図8のインターロック表示画面には、あるインターロックに使われる信号のリストが表示されている。例えば、FE Robot Operation Interlockというユニットでは、フロントエンドロボットの動作を許可するための条件がまとめられている。具体的には、EFEM Left Door Close、EFEM Right Door Close、LL1 Lid Close、およびLL2 Lid Closeのすべての条件が満たされると、フロントエンドロボットの動作が可能となる。
図8の例では、全てのインターロックで赤ボタンが点灯しているので、すべての機器がインターロック状態で、動かせない状態である。他方、グリーンボタンが表示されていれば、各機器を動作させることができる。このように、HMI22にインターロックが正常に機能しているか否かを表示させることができる。一例によれば、インターロックは多数に及ぶことが多いので、インターロック表示画面は、例えば30ページ以上の画面を有することがある。
【0033】
図5のコンフィギュレーション画面にはALMと表示されたボタンがある。一例によれば、アラームが出されている場合にはALMボタンを赤で表示することで、ユーザにそのことを報知することができる。ユーザがALMボタンを押すことで、HMI22にPLCから出されたアラームリストを表示させることができる。
図9は、アラームリスト表示画面の例を示す図である。このアラームリストから、10のMinor Faultがあったことが分かる。一例によれば、アラームリスト表示画面に「Screen Shot」ボタンと、「Send to USB」ボタンを設けることができる。ユーザが、Screen Shotボタンを押すと、スクリーンショットが診断ツール10のメモリに保存される。ユーザがSend to USBボタンを押すと、アラームリストがUSBポート18に接続されたUSBメモリに保存される。
【0034】
アラームリスト表示画面に表示されたアラームの1つをタッチし、show detailボタンを押すとそのアラームの詳細画面に遷移する。
図10は、アラーム詳細画面の例を示す図である。このように、アラームリストに表示されたアラームを選択することで、HMI22にアラームの詳細を表示させることができる。診断ツール10はPLCのアラームの詳細をHMIに表示させるように構成される。
【0035】
上述のとおり、診断ツール10により、装置の内部状態が把握でき、装置の強制操作ができ、アラームの一覧と詳細が確認できる。さらに、診断ツール10は無線機能が無い上に、PLCを含む装置の一部であると解釈することができるものである。したがって、セキュリティ上の理由で客先工場にノートPCを持ち込めない場合においても、この診断ツール10は客先工場に持ち込むことができる。例えば、診断ツール10とユーザの間のデータの授受はLANポートとUSBポートを介してのみ可能となるように構成すると、客先工場で求められるセキュリティ要件を充足できることが多い。そして、タッチパネルに代表されるHMIによる簡単かつ直感的な操作によって、上述の各操作が可能となる。そのため、PLC開発ソフトの操作方法に習熟していない者でも、診断ツール10を使うことができる。例えば、客先工場の中にいる者だけでアラームの問題を解決できない場合でも、アラーム詳細についてUSBメモリに保存することで、客先工場外のエンジニアに意見を求めることも容易である。
【0036】
一例によれば、診断ツール10は、上述の各処理のすべて又は少なくとも一部を行うための処理回路を備えている。処理回路では、少なくとも前述の強制操作を行い得る。処理回路は専用のハードウェアであっても、メモリに格納されるプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサ、DSPともいう)であってもよい。
【0037】
図11は、処理回路70bが専用のハードウェアである場合のHMI22のブロック図である。HMI22は、受信装置70aと、処理回路70bと、出力装置70cを備える。受信装置70aはPLCからデータを受信する。処理回路70bは、例えば単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらを組み合わせたものが該当する。診断ツール10の各機能をそれぞれの処理回路で実現してもよいし各機能をまとめて処理回路で実現してもよい。一例によれば、処理回路は、強制操作をPLCへ指示するコントローラとして機能する。出力装置70cは、例えば、前述したタッチパネルである。出力装置70cがタッチパネルの場合、出力装置70cはユーザからの指令を受ける入力装置としても機能する。
【0038】
図12は、処理回路がCPUである場合のHMI22の構成例を示すブロック図である。この場合、上述の各処理はプログラム制御される。例えば、強制操作のためのフローが自動的に遂行される。
図12のように処理回路80bがCPUの場合は、診断ツールの各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェア又はファームウェアはプログラムとして記述され、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体80cに格納される。一例によれば、このプログラムは、機器の状態表示と、アラームの一覧及び詳細表示と、強制操作とを、コンピュータに実行させる。別の例によれば、このプログラムは、ユーザによってHMIから出された指令をLANポートの接続先に送信することを、コンピュータ(CPU)に実行させる。
【符号の説明】
【0039】
10 診断ツール、 12 アタッシュケース、 12a ハンドル、 14 電源スイッチ14、 16 AC電源リセプタクル、 18 USBポート、 20 LANポート、 22 ヒューマンマシンインターフェース(HMI)