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特開2023-178998米飯、米飯の製造方法、及び米飯の低温保存時の硬化抑制方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023178998
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】米飯、米飯の製造方法、及び米飯の低温保存時の硬化抑制方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/10 20160101AFI20231212BHJP
   A23D 9/00 20060101ALN20231212BHJP
【FI】
A23L7/10 B
A23L7/10 A
A23D9/00 518
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091969
(22)【出願日】2022-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000227009
【氏名又は名称】日清オイリオグループ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】田中 妙子
(72)【発明者】
【氏名】岡田 孝宏
【テーマコード(参考)】
4B023
4B026
【Fターム(参考)】
4B023LC05
4B023LE11
4B023LK05
4B023LL04
4B023LP10
4B023LP11
4B026DC06
4B026DG04
4B026DG20
4B026DH10
4B026DK10
4B026DX01
(57)【要約】
【課題】低温保存時の硬化が抑制された米飯、該米飯の製造方法、及び米飯の低温保存時の硬化の抑制方法を提供すること。
【解決手段】米飯中に平均粒子径が0.1~0.55μmである油脂粒子を含有する米飯、油脂を生米100重量部に対し0.5~10.0質量部添加し炊飯する米飯の製造方法であって米飯中の油脂粒子の平均粒子径が0.1~0.55μmである製造方法、及び、米飯中に平均粒子径が0.1~0.55μmである油脂粒子を含有させる米飯の低温保存時の硬化抑制方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
米飯中に平均粒子径が0.1~0.55μmである油脂粒子を含有する、米飯。
【請求項2】
前記油脂粒子は、乳化剤を1~5質量%含有する、請求項1に記載の米飯。
【請求項3】
前記油脂粒子は、構成脂肪酸として炭素数6~12の中鎖脂肪酸を有するトリアシルグリセロールを25質量%以上含有する、請求項2に記載の米飯。
【請求項4】
油脂を、生米100重量部に対し0.5~10.0質量部添加し、炊飯する米飯の製造方法であって、米飯中の油脂粒子の平均粒子径が0.1~0.55μmである、製造方法。
【請求項5】
前記油脂粒子は、乳化剤を1~5質量%含有する、請求項4に記載の米飯の製造方法。
【請求項6】
前記油脂粒子は、構成脂肪酸として炭素数6~12の中鎖脂肪酸を有するトリアシルグリセロールを25質量%以上含有する、請求項5に記載の米飯の製造方法。
【請求項7】
米飯中に平均粒子径が0.1~0.55μmである油脂粒子を含有させる、米飯の低温保存時の硬化抑制方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米飯、米飯の製造方法、及び米飯の低温保存時の硬化抑制方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スーパーマーケット等で調理された米飯類を購入して、持ち帰ったり又は届けてもらうなどして家庭内で食べる食習慣、すなわち「中食」が我々の生活の中に定着してきている。こうした「中食」と呼ばれる食習慣においては、従来に比べて、米飯類が製造されてから長時間経過した後に食される場合が多く、微生物増殖防止の観点から、チルド温度帯(1~15℃)で流通・保存されることが一般的である。ところが、チルド温度帯は、澱粉の「老化」が最も進みやすい温度帯であり、米飯類が経時的に硬くなるため、食味が著しく低下する問題があった。
【0003】
そこで、低温保存時の米飯類の老化を抑制する方法も数多く提案されている。例えば、米飯固形分100重量部に対してペクチンを0.12~3.00重量部含有し、水分含有率が64~68重量%である米飯食品(特許文献1)。プロテアーゼ、ペクチン、タマリンドシードガム、及びグリセリン脂肪酸エステルを含有するチルドまたは冷凍米飯用品質改良剤(特許文献2)が開示されている。しかしながら、上記技術は、チルド状態で保存される米飯の硬化抑制おいては必ずしも十分でないのが実状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-252773号公報
【特許文献2】特開2012-034611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の問題を鑑み、低温保存時の硬化が抑制された米飯、該米飯の製造方法、及び米飯の低温保存時の硬化の抑制方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、米飯中に特定の平均粒子径を有する油脂を含有させることで、米飯を低温保存したときの硬化が抑制されることを見出し、本発明を完成した。具体的に、本発明は以下を提供する。
【0007】
(1)米飯中に平均粒子径が0.1~0.55μmである油脂粒子を含有する米飯。
(2)前記油脂粒子は、乳化剤を1~5質量%含有する、(1)に記載の米飯。
(3)前記油脂粒子は、構成脂肪酸として炭素数6~12の中鎖脂肪酸を有するトリアシルグリセロールを25質量%以上含有する、(2)に記載の米飯。
(4)油脂を、生米100重量部に対し0.5~10.0質量部添加し、炊飯する米飯の製造方法であって、米飯中の油脂粒子の平均粒子径が0.1~0.55μmである、製造方法。
(5)前記油脂粒子は、乳化剤を1~5質量%含有する、(4)に記載の米飯の製造方法。
(6)前記油脂粒子は、構成脂肪酸として炭素数6~12の中鎖脂肪酸を有するトリアシルグリセロールを25質量%以上含有する、(5)に記載の米飯の製造方法。
(7)米飯中に平均粒子径が0.1~0.55μmである油脂粒子を含有させる、米飯の低温保存時の硬化抑制方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、米飯中に特定の平均粒子径を有する油脂粒子を含有させることで、米飯を低温保存したときの硬化が抑制された米飯、及び該米飯の製造方法、並びに、米飯の低温保存時の硬化の抑制方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明について詳細に例示説明する。なお、本発明の実施の形態において、A(数値)~B(数値)は、A以上B以下を意味する。
【0010】
〔米飯〕
本発明の米飯は、米類に水を加えて煮たり蒸したりして炊いて得られ、該米飯中に平均粒子径が0.1~0.55μmである油脂粒子を含有する。ここで、前記米類は、ジャポニカ米、インディカ米、ジャバニカ米だけでなく、うるち米、もち米、赤米、及び黒米等も含まれる。なお、本発明の米飯は、米飯以外の成分を含んでもよく、例えば、きび、粟、麦等の雑穀、あるいは肉類や野菜類等について、全体の30質量%まで含有してもよい。
【0011】
〔油脂〕
本発明における油脂は、食用油脂であれば特に限定されないが、例えば、大豆油、菜種油、コーン油、ゴマ油、ゴマサラダ油、シソ油、亜麻仁油、落花生油、紅花油、ひまわり油、綿実油、ブドウ種子油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、かぼちゃ種子油、クルミ油、椿油、茶実油、エゴマ油、ボラージ油、オリーブ油、米油、米糠油、小麦胚芽油、パーム油、パーム核油、魚油、及びこれらの混合油脂、分別油脂、エステル交換油脂等が挙げられる。
【0012】
本発明における油脂は、乳化剤を含有してもよく、該油脂中の乳化剤の含有量は、好ましくは1~5質量%、より好ましくは1.5~4質量%、最も好ましくは1.5~3質量%である。乳化剤の含有量が上記の範囲にあると、さらに、米飯中に所望の平均粒子径の油脂粒子を含有させ易くなる。
前記乳化剤は、油溶性の乳化剤であれば特に限定されず、1種または2種以上の混合物であってもよいが、好ましくはジグリセリン脂肪酸エステル、及びポリグリセリン縮合リシノール酸エステルから選ばれる1種、または2種以上含有するものであり、より好ましくはジグリセリンオレイン酸エステル、及びポリグリセリン縮合リシノール酸エステルから選ばれる1種、または2種以上である。乳化剤の種類が前記のものであると、さらに、米飯中に所望の平均粒子径の油脂粒子を含有させ易くなる。
【0013】
本発明における油脂は、構成脂肪酸として炭素数6~12の中鎖脂肪酸を有するトリアシルグリセロールを含有してもよく、該トリアシルグリセロールの含有量は、好ましくは25質量%以上、より好ましくは30~80質量%、さらにより好ましくは35~70質量%、最も好ましくは40~60質量%である。炭素数6~12の中鎖脂肪酸を有するトリアシルグリセロールの含有量が上記の範囲にあると、さらに、米飯中に所望の平均粒子径の油脂粒子を含有させ易くなる。
前記構成脂肪酸として炭素数6~12の中鎖脂肪酸を有するトリアシルグリセロールは、構成脂肪酸が炭素数6~12の中鎖脂肪酸のみであるトリアシルグリセロール(以下、MCTともいう。)であってもよいし、構成脂肪酸として炭素数6~12の中鎖脂肪酸と他の脂肪酸とを含む混酸基トリアシルグリセロール(以下、MLCTともいう。)であってもよい。ここで、各々の中鎖脂肪酸のグリセリンへの結合位置は、特に限定されない。また、MLCTである場合には、構成脂肪酸の一部に炭素数6~12以外の脂肪酸を含んでいてもよく、例えば、炭素数が14以上の長鎖脂肪酸を含んでいてもよい。
また、前記中鎖脂肪酸は、好ましくは炭素数8及び/又は10の直鎖飽和脂肪酸である。
【0014】
本発明における構成脂肪酸として炭素数6~12の中鎖脂肪酸を有するトリアシルグリセロールは、好ましくは炭素数8及び/又は10の中鎖脂肪酸のみであるMCTである。前記構成脂肪酸が炭素数8及び/又は10の中鎖脂肪酸のみであるMCTの本発明における油脂中の含有量は、好ましくは25質量%以上、より好ましくは30~80質量%、さらにより好ましくは35~70質量%、最も好ましくは40~60質量%である。炭素数8及び/又は10の中鎖脂肪酸のみであるMCTの含有量が上記の範囲にあると、さらに、米飯中に所望の平均粒子径の油脂粒子を含有させ易くなる。
【0015】
本発明における油脂は、乳化剤とMCTとを含有する場合、乳化剤の含有量が、好ましくは1~5質量%、より好ましくは1.5~4質量%、最も好ましくは1.5~3質量%であり、MCTの含有量が、好ましくは30~80質量%、さらにより好ましくは35~70質量%、最も好ましくは40~60質量%であり、残りはMCT以外の油脂を含有してもよい。乳化剤とMCTの含有量が上記の範囲にあると、さらに、米飯中に所望の平均粒子径の油脂粒子を含有させ易くなる。
【0016】
本発明の米飯は、平均粒子径が0.1~0.55μmである油脂粒子を含有する。米飯中の油脂粒子の平均粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を用いて求めることができる。具体的には、米飯を四酸化オスニウム水溶液に室温で1時間浸漬して固定し、蒸留水を用いて洗浄する。次に、液体窒素を用いて試料を凍結した後、ナイフで米飯粒の長軸方向に割断し、割断面を上向きにした状態で試料台に固定し,走査型電子顕微鏡(例えば、JSM-7100F、日本電子(株)製)を用いて、加速電圧15kV、低真空モードにて目視観察する。観察部位は米飯粒の表層から約0.6mmの領域で行い、米飯粒3粒について米飯粒中に確認できる油脂粒子の大きさを全て測定し、平均値を算出する。
本発明の米飯中の油脂粒子の平均粒子径は、好ましくは0.2~0.5μm、より好ましくは0.25~0.45μm、最も好ましくは0.3~0.4μmである。平均粒子径が上記の範囲にあると、低温保存による米飯の硬化を抑制する効果がより優れる。
【0017】
〔米飯の製造方法〕
本発明の米飯の製造方法は、炊飯する前に、油脂を、生米100重量部に対し0.5~10.0質量部添加し、炊飯することで、平均粒子径が0.1~0.55μmである油脂粒子を含有する米飯を得るものであり、炊飯自体は通常行われている方法を採用することができる。
本発明の米飯の製造方法は、例えば、洗った米類に、洗う前の米類の容量の1.2~1.5倍(好ましくは1.3~1.4倍)の水を加え、20~60分間浸漬した後、又は浸漬をせずに、洗う前の米類100重量部に対し0.5~10.0質量部の油脂を添加し、炊飯器で100~120℃、20~80分間(好ましくは40~60分間)炊飯する方法である。ここで、前記炊飯器は、家庭用、又は業務用の炊飯器を使用することができる。また、本発明の米飯類の製造方法では、米類を水に浸漬する工程で、本発明における油脂を添加してもよい。また、前記生米100重量部に対しする油脂の添加量は、好ましくは0.5~8質量部、より好ましくは0.5~5質量部、最も好ましくは1~3質量部である。油脂の添加量が上記の範囲にあると、低温保存による米飯の硬化を抑制する効果がより優れる。
【0018】
本発明の米飯の製造方法において、油脂の好ましい態様、油脂粒子の好ましい平均粒子径等は、上述した「本発明の米飯」と同様である。
【0019】
〔硬化抑制方法〕
本発明の米飯の低温保存時の硬化抑制方法は、米飯中に平均粒子径が0.1~0.55μmである油脂粒子を含有させる方法である。ここで、本発明において低温保存とは、0~15℃(好ましくは0~10℃)で、3時間~3日間保存する状態を指す。また、本発明において硬化抑制とは、特定の平均粒子径の油脂粒子を含有する米飯と、油脂粒子を含有しない米飯とを、低温保存後に官能評価で比較したときに、特定の平均粒子径の油脂粒子を含有する米飯が、明らかに柔らかい食感であることが確認できる状態を指す。
【0020】
本発明の米飯の低温保存時の硬化抑制方法において、油脂の好ましい態様、油脂粒子の好ましい平均粒子径、油脂の添加量、炊飯条件等は、上述した「本発明の米飯」及び「本発明の米飯の製造方法」と同様である。
【実施例0021】
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例の記載に何ら限定されるものではない。
【0022】
〔油脂(炊飯油)の調製〕
表1の配合に従い、各原料を均一に混合して炊飯油A、B、及びCを調製した。なお、表中の原料は、下記のものを使用した。
キャノーラ油(商品名:日清キャノーラ油、日清オイリオグループ(株)製)
MCT(商品名:日清MCTオイル、日清オイリオグループ(株)製)
乳化剤(ジグリセリンオレイン酸エステルと、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルとの1:1(質量)混合物)
【0023】
【表1】

【0024】
〔米飯の製造〕
精白米(富山県産コシヒカリ)320gを、20℃の水道水で25回撹拌3回繰り返し洗米した。次に、加水比1:1.4(生米の質量:加えた水の質量)となるように水を加え、1時間浸漬した後、炊飯直前に上記で調製した炊飯油のいずれかを、米に対し1%(w/w)または3%(w/w)添加し、IHジャー(パナソニック(株)製:SR-FC107)の「浸した米コース」で炊飯した。炊き上がり後、米飯をバットに移し、しゃもじで撹拌後、1時間放冷し品温が25~30℃である米飯を得た。
【0025】
〔米飯の弾性率の測定〕
上記で製造した米飯(炊飯油1%(w/w)添加)を、5℃で24時間保存した後、レオメータ(RE2-33005C(XZ)、(株)山電製)を用いて、弾性率を測定した。具体的には、米飯粒の長軸が試料台と平行になり,プランジャーが米飯粒の中心領域を短軸方向に圧縮するように1粒を設置した。次に、直径3mmの円柱プランジャーを用い,圧縮速度0.5mm・s-1、最大ひずみ:0.05で単軸等速圧縮した。これを米飯12~14粒について測定し、対応のないt検定を用い、危険率5%未満の場合に有意差ありと判断した。測定結果を表2に示す。
【0026】
【表2】

【0027】
表2の結果より、5℃で24時間保存後の米飯において、実施例1と実施例2の米飯は、比較例1の米飯よりも弾性率が低値(すなわち柔らかい物性)であった。また、比較例1と実施例1の弾性率、及び、比較例1と実施例2の弾性率には、有意差(p<0.05)が認められた。
【0028】
〔米飯の官能評価〕
上記で製造した米飯(炊飯油1%(w/w)添加)を、5℃で24時間保存した後、15名のパネルが各20gを食して評価した。具体的には、炊飯油を添加せずに上記と同様に製造した米飯と、上記で製造した米飯(実施例1、実施例2、比較例1)とをペアで比較し、軟らかいと感じる米飯を選択した結果を集計し、15名中、実施例1、実施例2、または比較例1を選択した人数の割合(%)を算出した。評価結果を表3に示す。
【0029】
【表3】

【0030】
表3の結果より、5℃で24時間保存後の米飯において、実施例1と2の米飯は、炊飯油を添加せずに製造した米飯と比べて、軟らかいと感じたパネルの割合が多い傾向が認められた。他方、比較例1の米飯は、炊飯油を添加せずに製造した米飯と比べて、軟らかいと感じたパネルの割合が約半分であった。
【0031】
〔米飯中の油滴の測定〕
米飯中に含有する油滴の平均粒子径の測定を、走査型電子顕微鏡を用いて行った。具体的には、上記で製造した米飯(炊飯油3%(w/w)添加)について、2%(w/w)四酸化オスニウム水溶液に室温で1時間浸漬して固定し、蒸留水を用いて洗浄した。次に、液体窒素を用いて試料を凍結した後、ナイフで米飯粒の長軸方向に割断し、割断面を上向きにした状態で試料台に固定し,走査型電子顕微鏡(JSM-7100F、日本電子(株)製)を用いて、加速電圧15kV、低真空モードにて観察した。観察部位は米飯粒の表層から約0.6mmの領域であり、米飯粒3粒について米飯粒中に確認できる油脂粒子の大きさを全て測定し、Tukey-Kramer法を用い、危険率5%未満の場合に有意差ありと判断した。測定結果を表4に示す。
【0032】
【表4】


表4の結果より、米飯中に含有する油脂粒子の平均粒子径は、比較例2、実施例3、実施例4の順で小さくなった。また、比較例2と実施例3の平均粒子径、及び、比較例2と実施例4の平均粒子径には、有意差(p<0.01)が認められ、さらに、実施例3と実施例4の平均粒子径にも、有意差(p<0.01)が認められた。
【0033】
上記表2~4の結果より、米飯に油脂粒子を含有させ、かつ、該油脂粒子の平均粒子径を0.1~0.55μmとすることで、低温保存による米飯の硬化が抑制されることが明らかになった。
さらに、乳化剤とMCTとを含有する炊飯油(炊飯油B)を添加して得られた米飯は、他の炊飯油を使用した場合と比べて、米飯中の油脂粒子の平均粒子径がより小さくなり、低温保存による米飯の硬化を抑制する効果がより優れるものであった。