(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179036
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】ベルト装置、及び、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/16 20060101AFI20231212BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
G03G15/16
G03G21/16 180
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092073
(22)【出願日】2022-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100117215
【弁理士】
【氏名又は名称】北島 有二
(72)【発明者】
【氏名】古西 貴大
【テーマコード(参考)】
2H171
2H200
【Fターム(参考)】
2H171FA02
2H171FA03
2H171FA15
2H171FA28
2H171GA13
2H171JA08
2H171JA48
2H171JA49
2H171KA05
2H171KA10
2H171LA03
2H171QA04
2H171QA08
2H171QA24
2H171QB15
2H171QB32
2H171QC03
2H171QC09
2H171SA11
2H171SA19
2H171SA22
2H171SA28
2H200GA12
2H200GA23
2H200GA34
2H200GA44
2H200HB12
2H200JA02
2H200JB07
2H200JB16
2H200JB22
2H200JB32
2H200JC04
2H200LA06
2H200LA17
2H200LA24
2H200LA38
2H200PB17
(57)【要約】
【課題】ベルト部材を回動させても、ベルト部材の表面を検知する光学センサの検知精度にバラツキを生じにくくする。
【解決手段】複数のローラ部材72~78と、複数のローラ部材72~78に張架された2次転写ベルト71(ベルト部材)と、を具備するとともに、複数のローラ部材72~78のうちセンサ対向ローラ74の回転中心74aを中心にして回動可能に構成された2次転写ベルトユニット70(ベルトユニット)が設けられている。また、2次転写ベルトユニット70を回転中心74aを中心にして回動させることによって、中間転写ベルト8(対象体)に対する2次転写ベルト71の当接圧を調整可能な加圧機構92が設けられている。さらに、加圧機構92による2次転写ベルトユニット70の回動に連動することなく、センサ対向ローラ74に対して2次転写ベルト71を介して対向する光学センサ85が設けられている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のローラ部材と、前記複数のローラ部材に張架されたベルト部材と、を具備するとともに、前記複数のローラ部材のうち1つのローラ部材の回転中心を中心にして回動可能に構成されたベルトユニットと、
前記ベルトユニットを前記回転中心を中心にして回動させることによって、対象体に対する前記ベルト部材の当接圧を調整可能な加圧機構と、
前記加圧機構による前記ベルトユニットの回動に連動することなく、前記1つのローラ部材に対して前記ベルト部材を介して対向する光学センサと、
を備えたことを特徴とするベルト装置。
【請求項2】
前記回転中心に直交する断面でみたときに、前記光学センサの検知面が、前記1つのローラ部材の前記回転中心を通る仮想法線に対して直交するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載のベルト装置。
【請求項3】
前記加圧機構による前記ベルトユニットの回動にともない、前記1つのローラ部材における前記ベルト部材の巻付き範囲が変位し、
前記加圧機構によって前記ベルトユニットが回動して前記巻付け範囲が変位しても、前記光学センサが前記巻付け範囲内で前記1つのローラ部材に対して前記ベルト部材を介して対向することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のベルト装置。
【請求項4】
前記加圧機構は、所定の回動範囲で前記ベルトユニットを回動するように構成されたことを特徴とする請求項3に記載のベルト装置。
【請求項5】
前記光学センサは、前記加圧機構に固定して設置されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のベルト装置。
【請求項6】
前記光学センサは、前記回転中心の軸方向に沿って、間隔をあけて複数設置されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のベルト装置。
【請求項7】
前記ベルト部材は、前記対象体としての中間転写ベルトを介して2次転写対向ローラに圧接する2次転写ベルトであって、
前記複数のローラ部材のうち、前記1つのローラ部材とは異なる別の1つのローラ部材は、前記2次転写ベルトを介して前記中間転写ベルトに圧接する2次転写ローラであって
前記光学センサは、反射型フォトセンサであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のベルト装置。
【請求項8】
請求項1又は請求項2に記載のベルト装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、2次転写ベルト、中間転写ベルト、転写ベルトなどのベルト部材が設置されたベルト装置と、それを備えた複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の画像形成装置と、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機やプリンタ等の画像形成装置において、中間転写ベルトや2次転写ベルトなどのベルト部材の表面に形成されたトナー像を検知する光学センサ(トナー像検知センサ)が設けられたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
詳しくは、特許文献1における画像形成装置は、複数のローラ部材によって中間転写ベルト(ベルト部材)が張架・支持されていて、1つのテンションローラ(ローラ部材)に対して中間転写ベルトを介して対向するようにトナー像検知センサ(光学センサ)が設置されている。そして、中間転写ベルトの表面に形成されたトナー像をトナー像検知センサによって検知して、その検知結果に基づいて画像濃度や位置ズレなどの調整をおこなっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の画像形成装置は、対象体に対するベルト部材の当接圧を可変するために、ベルト部材を接離方向に回動可能(搖動可能)に構成した場合に、ベルト部材の回動によってベルト部材に対する光学センサの相対的な姿勢が変化してしまって、ベルト部材の表面を検知する光学センサの検知精度にバラツキが生じてしまう可能性があった。そして、そのように光学センサの検知精度にバラツキが生じてしまうと、光学センサの検知結果に基づいた画像濃度や位置ズレなどの制御の精度にも影響してしまうことになる。
また、このような問題を解決するために、ベルト部材の回動によってベルト部材に対する光学センサの相対的な姿勢が変化しないように、光学センサがベルト部材の回動に連動して移動するように構成してしまうと、装置が大型化、高コスト化してしまうことになる。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、ベルト部材を回動させても、ベルト部材の表面を検知する光学センサの検知精度にバラツキが生じにくい、ベルト装置、及び、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明におけるベルト装置は、複数のローラ部材と、前記複数のローラ部材に張架されたベルト部材と、を具備するとともに、前記複数のローラ部材のうち1つのローラ部材の回転中心を中心にして回動可能に構成されたベルトユニットと、前記ベルトユニットを前記回転中心を中心にして回動させることによって、対象体に対する前記ベルト部材の当接圧を調整可能な加圧機構と、前記加圧機構による前記ベルトユニットの回動に連動することなく、前記1つのローラ部材に対して前記ベルト部材を介して対向する光学センサと、を備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ベルト部材を回動させても、ベルト部材の表面を検知する光学センサの検知精度にバラツキが生じにくい、ベルト装置、及び、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】この発明の実施の形態における画像形成装置を示す全体構成図である。
【
図3】中間転写ベルトと2次転写ベルト装置との近傍を示す概略図である。
【
図5】(A)2次転写ベルトユニットが中間転写ベルトの側に回動した状態を示す図と、(B)2次転写ベルトユニットが中間転写ベルトから離れる側に回動した状態を示す図と、である。
【
図6】光学センサとセンサ対向ローラとを示す拡大図である。
【
図7】2次転写ベルトユニットと加圧機構とを示す図である。
【
図8】センサ対向ローラと複数の光学センサとを幅方向に示す図である。
【
図9】比較例としての、光学センサとセンサ対向ローラとを示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0010】
まず、
図1及び
図2にて、画像形成装置100における全体の構成・動作について説明する。
図1は画像形成装置としてのプリンタを示す構成図であり、
図2はその作像部の一部を示す拡大図である。
図1に示すように、画像形成装置100の中央には、像担持体としての中間転写ベルト8(中間転写体)が設置されている。また、中間転写ベルト8に対向するように、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した作像部6Y、6M、6C、6Kが並設されている。
また、画像形成装置100の上部には、印刷動作(画像形成動作)に関わる情報が表示されたり操作をおこなったりするための操作表示パネル(操作表示部)が設置されている。
【0011】
図2を参照して、イエローに対応した作像部6Yは、感光体としての感光体ドラム1Yと、感光体ドラム1Yの周囲に配設された帯電部4Y、現像部5Y、クリーニング部2Y、潤滑剤供給装置3、除電部、等で構成されている。そして、感光体ドラム1Y上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程、除電工程)がおこなわれて、感光体ドラム1Y上にイエロー画像が形成されることになる。
【0012】
なお、他の3つの作像部6M、6C、6Kも、使用されるトナーの色が異なる以外は、イエローに対応した作像部6Yとほぼ同様の構成となっていて、それぞれのトナー色に対応した画像が形成される。以下、他の3つの作像部6M、6C、6Kの説明を適宜に省略して、イエローに対応した作像部6Yのみの説明をおこなうことにする。
【0013】
図2を参照して、感光体ドラム1Yは、駆動モータによって反時計方向に回転駆動される。そして、帯電部4Yの位置で、感光体ドラム1Yの表面が一様に帯電される(帯電工程である。)。
その後、感光体ドラム1Yの表面は、露光部7から発せられたレーザ光Lの照射位置に達して、この位置での幅方向(
図1、
図2の紙面垂直方向であって、主走査方向である。)の露光走査によってイエローに対応した静電潜像が形成される(露光工程である。)。
【0014】
その後、感光体ドラム1Yの表面は、現像部5Yとの対向位置に達して、この位置で静電潜像が現像されて、イエローのトナー像が形成される(現像工程である。)。
その後、感光体ドラム1Yの表面は、中間転写ベルト8及び1次転写ローラ9Yとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1の表面に形成されたトナー像が中間転写ベルト8の表面に1次転写される(1次転写工程である。)。このとき、感光体ドラム1Y上には、僅かながら未転写トナーが残存する。
【0015】
その後、感光体ドラム1Yの表面は、クリーニング部2Yとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1Y上に残存した未転写トナーがクリーニングブレード2aによってクリーニング部2Y内に回収される(クリーニング工程である。)。
ここで、クリーニング部2Yの内部には、潤滑剤供給ローラ3a、固形潤滑剤3b、圧縮スプリング3c(付勢部材)などからなる潤滑剤供給装置3(感光体用潤滑剤供給装置)が内設されている。そして、
図2の時計方向に回転する潤滑剤供給ローラ3aによって、固形潤滑剤3bから潤滑剤が少量ずつ削られて、潤滑剤供給ローラ3aによって感光体ドラム1Yの表面に潤滑剤が供給されることになる。
最後に、感光体ドラム1Yの表面は、除電部との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1上の残留電位が除去される。
こうして、感光体ドラム1Y上でおこなわれる、一連の作像プロセスが終了する。
【0016】
なお、上述した作像プロセスは、他の作像部6M、6C、6Kでも、イエロー作像部6Yと同様におこなわれる。すなわち、作像部の上方に配設された露光部7から、画像情報に基づいたレーザ光Lが、各作像部6M、6C、6Kの感光体ドラム1M、1C、1K上に向けて照射される。詳しくは、露光部7は、光源からレーザ光Lを発して、そのレーザ光Lを回転駆動されたポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学素子を介して感光体ドラム上に照射する。なお、露光部7として複数のLEDを幅方向に並べて配置したものを用いてもよい。
その後、各現像部5M、5C、5Kによる現像工程を経て各感光体ドラム1M、1C、1K上に形成した各色のトナー像を、中間転写ベルト8上に重ねて1次転写する。こうして、中間転写ベルト8上にカラー画像が形成される。
【0017】
ここで、中間転写ベルト8は、複数のローラ部材16~22、80、によって張架・支持されるとともに、駆動モータによる1つのローラ部材(駆動ローラ16)の回転駆動によって
図3中の矢印方向に無端移動される。
4つの1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kは、それぞれ、中間転写ベルト8を感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kとの間に挟み込んで1次転写ニップを形成している。そして、1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kに、トナーの極性とは逆の極性の転写電圧(1次転写バイアス)が印加される。
そして、中間転写ベルト8は、矢印方向に走行して、1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kの1次転写ニップを順次通過する。こうして、感光体ドラム1Y、1M、1C、1K上の各色のトナー像が、中間転写ベルト8の表面に重ねて1次転写される(1次転写工程である。)。
【0018】
その後、各色のトナー像が重ねて1次転写された中間転写ベルト8は、転写回転体としての2次転写ベルト71との対向位置に達する。この位置では、2次転写対向ローラ80が、2次転写ローラ72との間に中間転写ベルト8と2次転写ベルト71とを挟み込んで2次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト8上に形成された4色のトナー像は、この2次転写ニップの位置に搬送された用紙等のシートP上に2次転写される(2次転写工程である。)。このとき、中間転写ベルト8には、シートPに転写されなかった未転写トナーが残存する。
【0019】
その後、中間転写ベルト8は、中間転写クリーニング部10の位置に達する。そして、この位置で、中間転写ベルト8の表面に付着した未転写トナーなどの付着物が除去される。
さらに、中間転写ベルト8は、中間転写潤滑剤供給装置としての潤滑剤供給装置30の位置に達する。そして、この位置で、中間転写ベルト8の表面に潤滑剤が供給される。
こうして、中間転写ベルト8上でおこなわれる、一連の転写プロセスが終了する。
【0020】
ここで、
図1を参照して、2次転写ニップの位置に搬送されるシートPは、装置本体100の下方に配設された給紙部26から、給紙ローラ27やレジストローラ対28等を経由して搬送されるものである。
詳しくは、給紙部26には、転写紙等のシートPが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ27が
図1中の反時計方向に回転駆動されると、一番上のシートPが第1搬送経路K1を経由してレジストローラ対28のローラ間に向けて給送される。
【0021】
レジストローラ対28(タイミングローラ対)に搬送されたシートPは、回転駆動を停止したレジストローラ対28のローラニップの位置で一旦停止する。そして、中間転写ベルト8上のカラー画像にタイミングを合わせて、レジストローラ対28が回転駆動されて、シートPが2次転写ニップに向けて搬送される。こうして、シートP上に、所望のカラー画像が転写される。
【0022】
その後、2次転写ニップ(転写ニップ)の位置でカラー画像が転写されたシートPは、2次転写ベルト71によって搬送されて、2次転写ベルト71から分離された後に、搬送ベルト60によって定着部50の位置に搬送される。そして、この位置で、定着ベルト及び圧力ローラによる熱と圧力とにより、表面に転写されたカラー画像がシートP上に定着される(定着工程である。)。
その後、シートPは、第2搬送経路K2を経由して、排紙ローラ対によって装置外へと排出される。排紙ローラ対によって装置外に排出されたシートPは、出力画像として、スタック部上に順次スタックされる。
こうして、画像形成装置における、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0023】
ここで、
図1に示すように、本実施の形態における画像形成装置100には、2次転写ニップ(転写ニップ)でオモテ面にトナー像が転写された後のシートPのウラ面に中間転写ベルト8上のトナー像を転写するために、シートPを2次転写ニップに向けて搬送する両面搬送装置40が設置されている。
具体的に、シートPの両面(オモテ面とウラ面とである。)への印刷をおこなう「両面印刷モード」が選択されている場合には、オモテ面への定着工程が終了したシートPは、上述した「片面印刷モード」が選択されているときのようにそのまま排紙されることなく、両面搬送装置40における第3搬送経路K3に導かれて、その搬送方向が反転された後に、第4搬送経路K4を経由して再び2次転写ニップ(2次転写ベルト装置69)の位置に向けて搬送される。そして、2次転写ニップの位置で先に説明したものと同様の画像形成プロセス(画像形成動作)によってシートPのウラ面への画像形成(2次転写)がおこなわれ、その後に定着部50での定着工程を経て、第2搬送経路K2を経由して、画像形成装置本体100から排出される。
【0024】
次に、
図2にて、作像部における現像部5Y(現像装置)の構成・動作について、さらに詳しく説明する。
現像部5Yは、感光体ドラム1Yに対向する現像ローラ51Yと、現像ローラ51Yに対向するドクターブレード52Yと、現像剤収容部内に配設された2つの搬送スクリュ55Yと、現像剤中のトナー濃度を検知する濃度検知センサ56Yと、等で構成される。現像ローラ51Yは、内部に固設されたマグネットや、マグネットの周囲を回転するスリーブ等で構成される。現像剤収容部内には、キャリアとトナーとからなる2成分現像剤Gが収容されている。
【0025】
このように構成された現像部5Yは、次のように動作する。
現像ローラ51Yのスリーブは、
図2の矢印方向に回転している。そして、マグネットにより形成された磁界によって現像ローラ51Y上に担持された現像剤Gは、スリーブの回転にともない現像ローラ51Y上を移動する。ここで、現像部5Y内の現像剤Gは、現像剤G中のトナーの割合(トナー濃度)が所定の範囲内になるように調整される。具体的に、現像部5Yに設置されたトナー濃度センサによってトナー濃度が低い状態が検知されたときには、トナー濃度が所定の範囲内になるように、トナー容器58から現像部5Y内に新品トナーが補給される。
その後、トナー容器58から現像剤収容部内に補給されたトナーは、2つの搬送スクリュ55Yによって、現像剤Gとともに混合・撹拌されながら、隔絶された2つの現像剤収容部を循環する(
図2の紙面垂直方向の移動である。)。そして、現像剤G中のトナーは、キャリアとの摩擦帯電によりキャリアに吸着して、現像ローラ51Y上に形成された磁力によりキャリアとともに現像ローラ51Y上に担持される。
【0026】
現像ローラ51Y上に担持された現像剤Gは、
図2中の矢印方向に搬送されて、ドクターブレード52Yの位置に達する。そして、現像ローラ51Y上の現像剤Gは、この位置で現像剤量が適量化された後に、感光体ドラム1Yとの対向位置(現像領域である。)まで搬送される。そして、現像領域に形成された電界によって、感光体ドラム1Y上に形成された潜像にトナーが吸着される。その後、現像ローラ51Y上に残った現像剤Gはスリーブの回転にともない現像剤収容部の上方に達して、この位置で現像ローラ51Yから離脱される。
なお、トナー容器58は、現像部5Y(画像形成装置100)に対して着脱可能(交換可能)に設置されている。そして、トナー容器58は、その内部に収容された新品のトナーが空になると、現像部5Y(画像形成装置100)から取り外されて新品のものに交換されることになる。
【0027】
次に、
図3等を用いて、本実施の形態における中間転写ベルト装置について詳述する。
図3を参照して、中間転写ベルト装置は、対象体(像担持体)としての中間転写ベルト8、4つの1次転写ローラ9Y、9M、9C、9K 、駆動ローラ16、従動ローラ17、転写前ローラ18、テンションローラ19、クリーニング対向ローラ20、潤滑剤対向ローラ21、バックアップローラ22、中間転写クリーニング部10、中間転写潤滑剤供給装置としての潤滑剤供給装置30、2次転写対向ローラ80、等で構成される。
【0028】
中間転写ベルト8は、各色のトナー像をそれぞれ担持する4つの感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kに当接して1次転写ニップを形成している。中間転写ベルト8は、主として8つのローラ部材(駆動ローラ16、従動ローラ17、転写前ローラ18、テンションローラ19、クリーニング対向ローラ20、潤滑剤対向ローラ21、バックアップローラ22、2次転写対向ローラ80、である。)によって張架され支持されている。
【0029】
本実施の形態において、中間転写ベルト8は、PVDF(フッ化ビニルデン)、ETFE(エチレン-四フッ化エチレン共重合体)、PI(ポリイミド)、PC(ポリカーボネート)、等を単層又は複数層に構成して、カーボンブラック等の導電性材料を分散させたものである。中間転写ベルト8は、体積抵抗率が106~1013Ωcm、ベルト裏面側の表面抵抗率が107~1013Ωcmの範囲となるように調整されている。また、中間転写ベルト8は、厚さが20~200μmの範囲となるように設定されている。本実施の形態では、中間転写ベルト8の厚さが60μm程度に、体積抵抗率が109Ωcm程度に、設定されている。
なお、必要に応じて中間転写ベルト8の表面に離型層をコートすることもできる。その際、コートに用いる材料として、ETFE(エチレン-四フッ化エチレン共重合体)、PTFE(ポリ四フッ化エチレン)、PVDF(フッ化ビニルデン)、PEA(パーフルオロアルコキシフッ素樹脂)、FEP(四フッ化エチレン-六フッ化プロピレン共重合体)、PVF(フッ化ビニル)、等のフッ素樹脂を使用できるが、これに限定されるものではない。
【0030】
1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kは、それぞれ、中間転写ベルト8を介して対応する感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kに当接している。詳しくは、イエロー用の転写ローラ9Yは中間転写ベルト8を介してイエロー用の感光体ドラム1Yに当接して、マゼンタ用の転写ローラ9Mは中間転写ベルト8を介してマゼンタ用の感光体ドラム1Mに当接して、シアン用の転写ローラ9Cは中間転写ベルト8を介してシアン用の感光体ドラム1Cに当接して、ブラック用(黒色用)の転写ローラ9Kは中間転写ベルト8を介してブラック用(黒色用)の感光体ドラム1Kに当接している。
【0031】
駆動ローラ16は、4つの感光体ドラムに対して中間転写ベルトの走行方向下流側の位置で、中間転写ベルト8が120度程度の巻付き角度で巻き付けられた状態で中間転写ベルト8の内周面に当接するように配置されている。駆動ローラ16は、制御部90によって制御される駆動モータMt1によって
図3の時計方向に回転駆動される。これにより、中間転写ベルト8は所定の走行方向(
図3の時計方向である。)に走行することになる。
【0032】
従動ローラ17は、4つの感光体ドラムに対して中間転写ベルト8の走行方向上流側の位置で、中間転写ベルト8が180度程度の巻付き角度で巻き付けられた状態で中間転写ベルト8の内周面に当接するように配置されている。中間転写ベルト8において、従動ローラ17から駆動ローラ16に至る部分は、ほぼ水平面になるように設定されている。従動ローラ17は、中間転写ベルト8の走行にともない
図3の時計方向に従動回転する。
【0033】
テンションローラ19は、中間転写ベルト8の外周面に当接している。転写前ローラ18、クリーニング対向ローラ20、潤滑剤対向ローラ21、バックアップローラ22、2次転写対向ローラ80は、中間転写ベルト8の内周面に当接している。
2次転写対向ローラ80と潤滑剤対向ローラ21との間には、中間転写ベルト8を介してクリーニング対向ローラ20に当接するように中間転写クリーニング部10(クリーニングブレード)が設置されている。
クリーニング対向ローラ20とテンションローラ19との間には、中間転写ベルト8を介して潤滑剤対向ローラ21に当接するように潤滑剤供給装置30(中間転写潤滑剤供給装置)が設置されている。潤滑剤供給装置30は、感光体ドラム用の潤滑剤供給装置3と同様に、潤滑剤供給ローラ、固形潤滑剤、圧縮スプリング(付勢部材)などからなる。そして、
図3の反時計方向に回転する潤滑剤供給ローラによって、固形潤滑剤から潤滑剤が少量ずつ削られて、潤滑剤供給ローラによって中間転写ベルト8の表面に潤滑剤が供給されることになる。
駆動ローラ16を除くローラ部材17~22、80は、いずれも、中間転写ベルト8の走行にともない
図3の時計方向に従動回転する。
【0034】
図4を参照して、2次転写対向ローラ80は、中間転写ベルト8と2次転写ベルト71とを介して2次転写ローラ72(2次転写ベルト装置69)に当接している。2次転写対向ローラ80は、ステンレス鋼等からなる円筒状の芯金の外周面に、体積抵抗が10
7~10
8Ω程度で、硬度(JIS-A硬度)が48~58度程度のNBRゴムからなる弾性層83(層厚は5mm程度である。)が形成されたものである。
【0035】
また、本実施の形態において、2次転写対向ローラ80は、電源部99(バイアス出力手段)に電気的に接続されていて、その電源部99から-5kV程度の高圧電圧となる2次転写バイアスが印加される。この2次転写対向ローラ80に印加される2次転写バイアスは、2次転写ニップに搬送されるシートPに、中間転写ベルト8の表面に1次転写されたトナー像を2次転写するためのものであって、トナーの極性と同じ極性(本実施の形態ではマイナス極性である。)の2次転写バイアス(直流電圧)である。これにより、中間転写ベルト8のトナー担持面(外周面)に担持されたトナーが、2次転写電界によって2次転写対向ローラ80側から2次転写装置70側に向かって静電移動することになる。
【0036】
以下、
図4を参照して、ベルト装置としての2次転写ベルト装置69について説明する。
図4を参照して、2次転写ベルト装置69は、中間転写ベルト8(中間転写ベルト装置)に対向するように設置されている。
2次転写ベルト装置69は、ベルトユニットとしての2次転写ベルトユニット70、加圧機構92、光学センサ85、などで構成されている。また、2次転写ベルトユニット70は、ベルト部材としての2次転写ベルト71、2次転写ローラ72、分離ローラ73、センサ対向ローラ74、第1テンションローラ75、第2テンションローラ76、第3テンションローラ77、第4テンションローラ78、等で構成される。
【0037】
2次転写ベルト71(ベルト部材)は、7つのローラ部材(2次転写ローラ72、分離ローラ73、センサ対向ローラ74、第1~第4テンションローラ75~78、である。)に張架され支持された無端ベルトであって、中間転写ベルト8とほぼ同じ材料で形成されている。2次転写ベルト71(ベルト部材)は、中間転写ベルト8(対象体)に当接して転写ニップとしての2次転写ニップを形成するとともに、2次転写ニップから送出されたシートPを搬送するものである。
【0038】
2次転写ローラ72は、2次転写対向ローラ80との間に中間転写ベルト8と2次転写ベルト71とを挟んで2次転写ニップを形成している。2次転写ローラ72は、ステンレス鋼、アルミニウム等からなる中空状の芯金上に、硬度(アスカーC硬度)が40~50度程度の弾性層が形成(被覆)されたものである。2次転写ローラ72の弾性層は、ポリウレタン、EPDM、シリコーン等のゴム材料に、カーボン等の導電性フィラーを分散させたり、イオン性の導電材料を含有させたりして、ソリッド状又は発泡スポンジ状に形成することができる。本実施の形態において、弾性層は、転写電流の集中を抑えるために、その体積抵抗が10
6.5~10
7.5Ω程度に設定されている。なお、本実施の形態において、2次転写ローラ72は、接地(アース)されている。
また、2次転写ローラ72は、制御部90によって制御される駆動モータ(不図示)によって
図4の反時計方向に回転駆動されて、2次転写ベルト71を
図3、
図4の反時計方向に回転(走行)させる。それにともない、2次転写ベルト71の内周面(又は外周面)に当接する複数のローラ部材73~78が従動回転する。
【0039】
分離ローラ73は、2次転写ニップに対してシートPの搬送方向下流側の位置に配置されている。2次転写ニップから送出されたシートPは、
図4の反時計方向に走行する2次転写ベルト71に沿うように搬送された後に、分離ローラ73の位置で、分離ローラ73の外周に沿うように曲面が形成された2次転写ベルト71によって、2次転写ベルト71から分離(曲率分離)されることになる。
なお、センサ対向ローラ74は、2次転写ベルト71を介して光学センサ85に対向するローラ部材であるが、これについては後で詳しく説明する。
また、本実施の形態では、7つのローラ部材72~78で2次転写ベルト71を張架・支持するように構成するとともに、第3テンションローラ77のみが2次転写ベルト71の外周面に当接するように構成したが、2次転写ベルト71を張架・支持するローラ部材の数や、ベルト外周面に当接するローラ部材の数や位置などは、本実施の形態のものに限定されない。
【0040】
以下、
図4~
図8等を用いて、本実施の形態におけるベルト装置としての2次転写ベルト装置69の、特徴的な構成・動作について詳述する。
先に説明したように、本実施の形態において、ベルト装置としての2次転写ベルト装置69は、ベルトユニットとしての2次転写ベルトユニット70、加圧機構92、光学センサ85、などで構成されている。
図4に示すように、ベルトユニットとしての2次転写ベルトユニット70は、複数のローラ部材(2次転写ローラ72、分離ローラ73、センサ対向ローラ74、第1~第4テンションローラ75~78、の7つのローラ部材である。)と、その複数のローラ部材72~78に張架されたベルト部材としての2次転写ベルト71と、が設けられている。
ベルト部材としての2次転写ベルト71は、対象体としての中間転写ベルト8を介して2次転写対向ローラ80に圧接するものである。
【0041】
そして、
図4~
図6を参照して、2次転写ベルトユニット70は、複数のローラ部材72~78のうち1つのローラ部材(センサ対向ローラ74である。)の回転中心74aを中心にして回動可能(搖動可能)に構成されている。
なお、先に説明したように、複数のローラ部材72~78のうち、センサ対向ローラ74(1つのローラ部材)とは異なる別の1つのローラ部材としての2次転写ローラ72は、2次転写ベルト71を介して中間転写ベルト8に圧接している。
【0042】
加圧機構92は、2次転写ベルトユニット70(ベルトユニット)を回転中心74a(センサ対向ローラ74の回転中心である。)を中心にして回動させることによって、対象体としての中間転写ベルト8に対する2次転写ベルト71(ベルト部材)の当接圧を調整可能に構成されている。
詳しくは、
図7を参照して、加圧機構92は、2次転写ベルトユニット70のユニットケース70aの底部に当接するカム93や、カム93を回転駆動するモータ(不図示)、などで構成されている。一方、ユニットケース70aには、7つのローラ部材72~78が軸受を介して回転可能に保持されていて、2次転写ローラ72を回転駆動する駆動モータ(不図示)も固定設置されている。
そして、制御部90によるモータ制御によってカム93が狙いの姿勢(回転方向の姿勢である。)になるように回転されることで、中間転写ベルト8(2次転写対向ローラ80)に対する2次転写ベルト71(2次転写ローラ)の当接圧(2次転写ニップのニップ圧)が調整されることになる。
【0043】
具体的に、
図5(A)に示すように、加圧機構92によって2次転写ベルトユニット70が回転中心74aを中心にして反時計方向に回動されると、2次転写ニップのニップ圧が大きくなる。これに対して、
図5(B)に示すように、加圧機構92によって2次転写ベルトユニット70が回転中心74aを中心にして時計方向に回動されると、2次転写ニップのニップ圧が小さくなる。
なお、2次転写ニップのニップ圧が小さくなる状態は、
図5(B)に示すように、中間転写ベルト8に対して2次転写ベルト71が完全に離間してニップ圧が0になる状態も含むものとする。
【0044】
さらに具体的に、本実施の形態では、2次転写ニップに搬送(通紙)されるシートPの厚さ(紙厚)が厚い場合には、薄い場合に比べて、2次転写ニップのニップ圧が小さくなるように、加圧機構92が制御部90によって制御される。これにより、シートPの厚さに関わらず、2次転写ニップにおけるシートPの良好な搬送性が確保されることになる。
また、2次転写ニップに搬送(通紙)されるシートPの種類(紙種)が転写性の低いものである場合には、転写性が高いものである場合に比べて、2次転写ニップのニップ圧が大きくなるように、加圧機構92が制御部90によって制御される。これにより、シートPの種類に関わらず、2次転写ニップにおける良好な転写性が確保されることになる。
また、シートPに2次転写されるトナー像(画像)の画像面積率(有効画像領域において画像部が占める割合である。)が低い場合には、画像面積率が高い場合に比べて、2次転写ニップのニップ圧が小さくなるように、加圧機構92が制御部90によって制御される。これにより、画像面積率の大小に関わらず、2次転写ニップにおける安定した転写性が確保されることになる。
なお、シートPの厚さや種類に関する情報は、ユーザーによる操作表示パネル95の操作によって入力されたシートPに関する情報に基づいて制御部90で取得することができる。また、画像面積率に関する情報は、露光部7による書込み情報に基づいて制御部90で取得することができる。
【0045】
また、本実施の形態では、
図5(B)に示すように、中間転写ベルト8に対して2次転写ベルト71を完全に離間できるように構成している。
このような状態になるように制御する場合としては、主として、装置停止時や印刷終了後など、画像形成装置100において印刷動作(画像形成プロセス)がおこなわれない場合である。このような制御をおこなうことで、中間転写ベルト8や2次転写ベルト71が常に圧接することによって弾性歪みが生じてしまうような不具合を軽減することができる。
【0046】
ここで、
図4~
図7を参照して、本実施の形態において、光学センサ85は、加圧機構92による2次転写ベルトユニット70(ベルトユニット)の回動に連動することなく、センサ対向ローラ74(回動中心になる1つのローラ部材である。)に対して2次転写ベルト71(ベルト部材)を介して対向するように構成されている。
詳しくは、光学センサ85は、発光素子と受光素子とがベルト外周面に対向するように配置された反射型フォトセンサであって、
図7に示すように加圧機構92に固定して設置されている。すなわち、光学センサ85は、2次転写ベルトユニット70に固定設置されているのではなくて、2次転写ベルトユニット70の回動に連動しない加圧機構92に固定設置されている。
【0047】
なお、本実施の形態では、印刷開始前や紙間など、通常の画像形成時のタイミングとは異なるタイミングで、先に説明した画像形成プロセスによって中間転写ベルト8上に形成した画像パターン(画像調整用のトナー像である。)を、シートP上ではなくて、2次転写ベルト71上に2次転写して、その画像パターン(又は、地肌部)を光学センサ85で光学的に検知している。そして、そのようにして光学センサ85で検知した結果に基づいて、2次転写工程時における諸条件(2次転写バイアス、2次転写ニップのニップ圧、2次転写ローラ72の回転数、などである。)を調整している。これにより、2次転写工程における転写効率(画像濃度)が最適化されたり、シートP上における2次転写画像の位置ズレが軽減されたり、することになる。
【0048】
このように、本実施の形態では、2次転写ベルトユニット70の回動中心を回転中心74aとするローラ部材(センサ対向ローラ74)に対向するように光学センサ85を設置するとともに、光学センサ85が2次転写ベルトユニット70の回動に連動して移動しないように固定している。これにより、2次転写ベルト71(2次転写ベルトユニット70)を回動させても、2次転写ベルト71の表面を検知する光学センサ85の検知精度にバラツキが生じにくくなるとともに、2次転写ベルト装置69が大型化、高コスト化しにくくなる。
詳しくは、
図9(A)に示すように、センサ対向ローラ174の回転中心とは異なる位置(例えば、第1テンションローラ75の回転中心である。)を回動中心として2次転写ベルトユニットが回動されるように構成してしまうと、2次転写ベルトユニットが回動されることによって、加圧機構に固定設置された光学センサ185の2次転写ベルト71(センサ対向ローラ174)に対する姿勢が変化してしまう。そのため、2次転写ベルト71の表面を検知する光学センサ185の検知精度にバラツキが生じてしまって、光学センサ85の検知結果に基づいた画像濃度や位置ズレなどの制御の精度も悪化してしまう。
また、
図9(B)に示すように、2次転写ベルトユニットの回動によって2次転写ベルト71(センサ対向ローラ274)に対する光学センサ285の相対的な姿勢が変化しないように、光学センサ285が2次転写ベルトユニットの回動に連動して移動するように構成してしまうと、光学センサ285を保持する部材を設置したり、その部材の揺動スペースを確保したりしなければならず、2次転写ベルト装置が大型化、高コスト化してしまう。
これに対して、本実施の形態では、2次転写ベルトユニット70の回動中心を回転中心74aとするセンサ対向ローラ74に対向するように光学センサ85を設置するとともに、光学センサ85が2次転写ベルトユニット70の回動に連動して移動しないように固定しているため、そのような不具合が生じにくくなる。
【0049】
ここで、
図6を参照して、回転中心74aに直交する断面でみたときに、光学センサ85の検知面85aが、センサ対向ローラ74(1つのローラ部材)の回転中心74aを通る仮想法線Sに対して直交するように構成されている。
すなわち、光学センサ85は、その検知面85a(受光面)が、センサ対向ローラ74に対して法線方向に向くように配置されている。
これにより、光学センサ85の検知面85aが仮想法線Sに対して直交せずに傾斜する場合に比べて、2次転写ベルト71の表面を検知する光学センサ85の検知精度を高めることができる。
【0050】
また、
図6を参照して、本実施の形態では、加圧機構92による2次転写ベルトユニット70(ベルトユニット)の回動にともない、センサ対向ローラ74(1つのローラ部材)における2次転写ベルト71の巻付き範囲θ(ベルトが接触する範囲である。)が変位することになる。
具体的に、
図6において、2次転写ベルトユニット70が実線で示す位置から破線で示す位置に回動すると、実線で示す2次転写ベルト71の巻付き範囲θも回転中心74aを中心に破線で示す巻付き範囲θ´に変位(回動)する。
そして、本実施の形態では、そのように加圧機構92によって2次転写ベルトユニット70が回動して巻付け範囲θ(θ´)が変位しても、光学センサ85が巻付け範囲θ(θ´)内でセンサ対向ローラ74(1つのローラ部材)に対して2次転写ベルト71を介して対向するように構成されている。すなわち、2次転写ベルトユニット70が回動しても、光学センサ85は、常に2次転写ベルト71(巻付け範囲)を介してセンサ対向ローラ74の回転中心74aに正対することになる(仮想法線Sに検知面85aが直交することになる)。
これにより、2次転写ベルトユニット70を回動させても、2次転写ベルト71の表面を検知する光学センサ85の検知精度にバラツキが生じにくくなる。
【0051】
特に、本実施の形態において、加圧機構92は、所定の回動範囲で2次転写ベルトユニット70(ベルトユニット)を回動するように構成されている。
すなわち、加圧機構92は、2次転写ベルトユニット70を無制限に回動可能に構成されているのではなくて、2次転写ベルトユニット70の回動範囲には上限と下限とが設けられている。具体的に、2次転写ベルトユニット70の回動範囲が所定のものとなるように、カム93の形状が設定されたり、2次転写ベルトユニット70に当接可能なストッパ部が設けられたりしている。
そして、所定の回動範囲で2次転写ベルトユニット70が回動しても、光学センサ85が常に巻付け範囲θ内でセンサ対向ローラ74に対して2次転写ベルト71を介して対向するように構成している。
これにより、2次転写ベルトユニット70を回動させても、2次転写ベルト71の表面を検知する光学センサ85の検知精度にバラツキが生じにくくなる。
【0052】
ここで、
図8に示すように、本実施の形態において、光学センサ85を、センサ対向ローラ74の回転中心74aの軸方向(
図8の左右方向である。)に沿って、間隔をあけて複数設置することもできる。
そのように構成した場合には、先に説明した2次転写工程時における諸条件の調整時に、2次転写ベルト71上に形成した画像パターン(又は、地肌部)を複数の光学センサ85で幅方向(軸方向)にわたって検知することができる。そのため、複数の光学センサ85で検知した結果に基づいて、2次転写工程時における諸条件を幅方向にわたって精度よく調整することができる。
【0053】
以上説明したように、本実施の形態における2次転写ベルト装置69は、複数のローラ部材72~78と、複数のローラ部材72~78に張架された2次転写ベルト71(ベルト部材)と、を具備するとともに、複数のローラ部材72~78のうち1つのローラ部材(センサ対向ローラ74)の回転中心74aを中心にして回動可能に構成された2次転写ベルトユニット70(ベルトユニット)が設けられている。また、2次転写ベルトユニット70を回転中心74aを中心にして回動させることによって、中間転写ベルト8(対象体)に対する2次転写ベルト71の当接圧を調整可能な加圧機構92が設けられている。さらに、加圧機構92による2次転写ベルトユニット70の回動に連動することなく、センサ対向ローラ74に対して2次転写ベルト71を介して対向する光学センサ85が設けられている。
これにより、2次転写ベルト71(2次転写ベルトユニット70)を回動させても、2次転写ベルト71の表面を検知する光学センサ85の検知精度にバラツキが生じにくくなる。
【0054】
なお、本実施の形態では、2次転写対向ローラ80に2次転写バイアスを印加するように電源部99が構成された、斥力転写方式の画像形成装置100に対して、本発明を適用した。これに対して、2次転写ローラ72に2次転写バイアスを印加するように電源部が構成された、引力転写方式の画像形成装置に対しても、本発明を適用することができる。その場合、2次転写バイアスは、斥力転写方式のものに対して逆の極性になる。また、斥力転写方式と引力転写方式とが併用された画像形成装置に対しても、本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、ベルト部材として2次転写ベルト71を用いたベルト装置69に対して本発明を適用したが、本発明が適用されるベルト装置はこれに限定されることなく、例えば、ベルト部材として中間転写ベルト8や転写ベルトなどを用いたベルト装置に対しても本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、カラー画像を形成する画像形成装置100に対して、本発明を適用した。これに対して、モノクロ画像のみを形成する画像形成装置に対しても本発明を適用することができる。
そして、それらのような場合であっても、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
【0055】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【符号の説明】
【0056】
1Y、1M、1C、1K 感光体ドラム(感光体)、
8 中間転写ベルト(対象体)、
69 2次転写ベルト装置(ベルト装置)、
70 2次転写ベルトユニット(ベルトユニット)、
70a ユニットケース(筐体)、
71 2次転写ベルト(ベルト部材)、
72 2次転写ローラ(ローラ部材)、
74 センサ対向ローラ(ローラ部材)、
74a 回転中心(回転中心軸)、
80 2次転写対向ローラ、
85 光学センサ、
85a 検知面、
92 加圧機構、
93 カム、
100 画像形成装置(画像形成装置本体)、
θ、θ´ 巻付け範囲(巻付け角度)、 S 仮想法線。
【0057】
なお、本発明における態様は、例えば、以下の通り付記1~8の組み合わせとすることもできる。
(付記1)
複数のローラ部材と、前記複数のローラ部材に張架されたベルト部材と、を具備するとともに、前記複数のローラ部材のうち1つのローラ部材の回転中心を中心にして回動可能に構成されたベルトユニットと、
前記ベルトユニットを前記回転中心を中心にして回動させることによって、対象体に対する前記ベルト部材の当接圧を調整可能な加圧機構と、
前記加圧機構による前記ベルトユニットの回動に連動することなく、前記1つのローラ部材に対して前記ベルト部材を介して対向する光学センサと、
を備えたことを特徴とするベルト装置。
(付記2)
前記回転中心に直交する断面でみたときに、前記光学センサの検知面が、前記1つのローラ部材の前記回転中心を通る仮想法線に対して直交するように構成されたことを特徴とする付記1に記載のベルト装置。
(付記3)
前記加圧機構による前記ベルトユニットの回動にともない、前記1つのローラ部材における前記ベルト部材の巻付き範囲が変位し、
前記加圧機構によって前記ベルトユニットが回動して前記巻付け範囲が変位しても、前記光学センサが前記巻付け範囲内で前記1つのローラ部材に対して前記ベルト部材を介して対向することを特徴とする付記1又は付記2に記載のベルト装置。
(付記4)
前記加圧機構は、所定の回動範囲で前記ベルトユニットを回動するように構成されたことを特徴とする付記3に記載のベルト装置。
(付記5)
前記光学センサは、前記加圧機構に固定して設置されたことを特徴とする付記1~付記4のいずれかに記載のベルト装置。
(付記6)
前記光学センサは、前記回転中心の軸方向に沿って、間隔をあけて複数設置されたことを特徴とする付記1~付記5のいずれかに記載のベルト装置。
(付記7)
前記ベルト部材は、前記対象体としての中間転写ベルトを介して2次転写対向ローラに圧接する2次転写ベルトであって、
前記複数のローラ部材のうち、前記1つのローラ部材とは異なる別の1つのローラ部材は、前記2次転写ベルトを介して前記中間転写ベルトに圧接する2次転写ローラであって
前記光学センサは、反射型フォトセンサであることを特徴とする付記1~付記6のいずれかに記載のベルト装置。
(付記8)
付記1~付記7のいずれかに記載のベルト装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0058】