(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179353
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】シート給送装置、自動シート送り装置、画像読取装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 1/00 20060101AFI20231212BHJP
B65H 1/14 20060101ALI20231212BHJP
B65H 1/04 20060101ALI20231212BHJP
B65H 11/00 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
B65H1/00 501A
B65H1/14 322A
B65H1/04 324
B65H11/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039974
(22)【出願日】2023-03-14
(31)【優先権主張番号】P 2022092178
(32)【優先日】2022-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】野崎 航
【テーマコード(参考)】
3F063
3F343
【Fターム(参考)】
3F063AA01
3F063BA04
3F063BA09
3F063CB04
3F063CB05
3F063CD07
3F343FA03
3F343FB01
3F343FB03
3F343FC26
3F343FC30
3F343GA02
3F343GB01
3F343GC01
3F343GD01
3F343HD07
3F343HD17
3F343HE04
3F343HE22
3F343HE23
3F343KB03
3F343KB20
3F343LA04
3F343LA15
3F343LC12
3F343LD10
3F343MA04
3F343MA09
3F343MA12
3F343MA26
3F343MA41
3F343MA44
3F343MB04
3F343MB09
3F343MB12
3F343MC08
3F343MC09
3F343MC17
(57)【要約】
【課題】載置部上のシート束と給送部材とが当接する当接状態になる前に、規制部の位置合わせ作業を完了できない事態を抑制する。
【解決手段】シート束が載置される載置部と、載置部に載置されたシートに当接して給送する給送部材と、シート幅方向へ移動可能に構成され、載置部上におけるシート束のシート幅方向位置を規制する規制部と、を備えたシート給送装置であって、載置部にシート束が載置された後、給送開始指示を待たずに、シート束と給送部材とが離間する離間状態から、シート束と給送部材とが当接する当接状態へと切り替える切替手段105と、シート束のシート幅方向サイズを特定するサイズ特定手段116a~116dと、サイズ特定手段が特定したシート幅方向サイズが所定サイズよりも小さいとき、該所定サイズ以上であるときよりも、離間状態から当接状態への切り替え完了タイミングを遅らせるタイミング変更手段150と、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート束が載置される載置部と、
前記載置部に載置されたシートに当接して給送する給送部材と、
シート幅方向へ移動可能に構成され、前記載置部上におけるシート束のシート幅方向位置を規制する規制部と、を備えたシート給送装置であって、
前記載置部にシート束が載置された後、給送開始指示を待たずに、前記載置部上のシート束と前記給送部材とが離間する離間状態から、前記載置部上のシート束と前記給送部材とが当接する当接状態へと切り替える切替手段と、
前記載置部に載置されるシート束のシート幅方向サイズを特定するサイズ特定手段と、
前記サイズ特定手段が特定したシート幅方向サイズが所定サイズよりも小さいとき、該所定サイズ以上であるときよりも、前記離間状態から前記当接状態への切り替え完了タイミングを遅らせるタイミング変更手段と、を有することを特徴とするシート給送装置。
【請求項2】
請求項1に記載のシート給送装置において、
前記規制部のシート幅方向位置を取得する位置取得手段を有し、
前記サイズ特定手段は、前記位置取得手段の取得結果に基づいて、前記載置部に載置されるシート束のシート幅方向サイズを特定することを特徴とするシート給送装置。
【請求項3】
請求項2に記載のシート給送装置において、
前記位置取得手段は、前記載置部にシート束を載置してから前記切り替えが開始されるまでの期間における前記規制部のシート幅方向位置を取得することを特徴とするシート給送装置。
【請求項4】
シート束が載置される載置部と、
前記載置部に載置されたシートに当接して給送する給送部材と、
シート幅方向へ移動可能に構成され、前記載置部上におけるシート束のシート幅方向位置を規制する規制部と、を備えたシート給送装置であって、
前記載置部にシート束が載置された後、給送開始指示を待たずに、前記載置部上のシート束と前記給送部材とが離間する離間状態から、前記載置部上のシート束と前記給送部材とが当接する当接状態へと切り替える切替手段と、
前記載置部に載置されるシート束のシート幅方向サイズを特定するサイズ特定手段と、
前記規制部のシート幅方向位置を取得する位置取得手段と、
前記サイズ特定手段が特定したシート幅方向サイズに対応する前記規制部のシート幅方向位置と、前記位置取得手段が取得したシート幅方向位置との誤差が所定誤差よりも大きいとき、該所定誤差以下であるときよりも、前記離間状態から前記当接状態への切り替え完了タイミングを遅らせるタイミング変更手段と、を有することを特徴とするシート給送装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシート給送装置において、
前記載置部に載置されるシート束のシート幅方向サイズを特定するためのサイズ特定情報を取得する情報取得手段を有し、
前記サイズ特定手段は、前記情報取得手段が取得したサイズ特定情報に基づいて、前記載置部に載置されるシート束のシート幅方向サイズを特定することを特徴とするシート給送装置。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシート給送装置において、
前記タイミング変更手段は、所定のシート幅方向サイズ範囲内で、前記切り替え完了タイミングを連続的に変更することを特徴とするシート給送装置。
【請求項7】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシート給送装置において、
前記タイミング変更手段は、所定のシート幅方向サイズ範囲内で、前記切り替え完了タイミングを段階的に変更することを特徴とするシート給送装置。
【請求項8】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシート給送装置において、
前記タイミング変更手段は、前記離間状態から前記当接状態への切り替え開始タイミングを変更することにより、前記切り替え完了タイミングを変更することを特徴とするシート給送装置。
【請求項9】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシート給送装置において、
前記タイミング変更手段は、前記離間状態から前記当接状態への切り替え速度を変更することにより、前記切り替え完了タイミングを変更することを特徴とするシート給送装置。
【請求項10】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシート給送装置において、
前記載置部にシート束が載置されたことを検知する検知手段を有し、
前記サイズ特定手段は、前記検知手段の検知時に、前記載置部に載置されるシート束のシート幅方向サイズを特定することを特徴とするシート給送装置。
【請求項11】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシート給送装置において、
前記給送部材は、前記載置部に載置されたシート束の最上位シートに当接して給送することを特徴とするシート給送装置。
【請求項12】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシート給送装置を備えた自動シート送り装置。
【請求項13】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシート給送装置を備えた画像読取装置。
【請求項14】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシート給送装置を備えた画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート給送装置、自動シート送り装置、画像読取装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、シート束が載置される載置部と、前記載置部に載置されたシートに当接して給送する給送部材と、シート幅方向へ移動可能に構成され、前記載置部上におけるシート束のシート幅方向位置を規制する規制部と、を備えたシート給送装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、原稿トレイ(載置部)上に載置された原稿(シート)の幅方向位置を規制する原稿規制板(規制部)を備えたシート給送装置が開示されている。このシート給送装置において、原稿トレイは、昇降手段(切替手段)により昇降可能に構成され、原稿トレイに原稿が載置される前は所定の下降位置(原稿の上面と呼込ローラ(給送部材)とが離間する離間状態)をとる。原稿トレイに原稿が載置されると、原稿のサイズが検知手段に検知され、検知手段の検知結果が定型サイズである場合には、原稿が原稿トレイ上に適正に載置されていると判断される。この場合、原稿が載置されてから所定時間が経過した時点で原稿トレイの上昇が開始され、原稿トレイが所定の上昇位置(原稿の上面と呼込ローラとが当接する当接状態)をとる。その後、原稿読取開始信号の入力(給送開始指示)がされることで、即座に原稿の給送が開始される。一方、検知手段の検知結果が定型サイズでない場合には、原稿が原稿トレイ上に適正に載置されていないと判断される。この場合、原稿読取開始信号の入力がされるまでは、原稿トレイの上昇が開始されない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のシート給送装置では、載置部上のシート束と給送部材とが当接する当接状態になる前に、シート束の幅に合わせる規制部の位置決め(規制部の位置合わせ作業)を完了することができないことがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、シート束が載置される載置部と、前記載置部に載置されたシートに当接して給送する給送部材と、シート幅方向へ移動可能に構成され、前記載置部上におけるシート束のシート幅方向位置を規制する規制部と、を備えたシート給送装置であって、前記載置部にシート束が載置された後、給送開始指示を待たずに、前記載置部上のシート束と前記給送部材とが離間する離間状態から、前記載置部上のシート束と前記給送部材とが当接する当接状態へと切り替える切替手段と、前記載置部に載置されるシート束のシート幅方向サイズを特定するサイズ特定手段と、前記サイズ特定手段が特定したシート幅方向サイズが所定サイズよりも小さいとき、該所定サイズ以上であるときよりも、前記離間状態から前記当接状態への切り替え完了タイミングを遅らせるタイミング変更手段と、を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、載置部上のシート束と給送部材とが当接する当接状態になる前に、シート束の幅に合わせる規制部の位置決め(規制部の位置合わせ作業)を完了できないという事態の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態における複写機の概略構成を示す説明図。
【
図2】同複写機におけるADFの概略構成を示す説明図。
【
図4】同ADFにおける原稿テーブルの可動テーブルを模式的に示す平面図。
【
図5】同原稿テーブル上に、幅方向サイズが所定サイズよりも小さい小サイズ原稿の原稿束Pがセットされた状態を示す平面図。
【
図6】同可動テーブル(底板)の上昇動作を示すフローチャート。
【
図7】実施形態において、2つのサイドフェンス間の幅と可動テーブル(底板)の上昇開始までの待ち時間との関係の一例を示すグラフ。
【
図8】実施形態において、2つのサイドフェンス間の幅と可動テーブル(底板)の上昇開始までの待ち時間との関係の他の例を示すグラフ。
【
図9】ユーザーが原稿束の幅方向サイズを入力するための操作画面の一例を示す説明図。
【
図10】変形例1において、2つのサイドフェンス間の幅と可動テーブル(底板)の上昇速度との関係の一例を示すグラフ。
【
図11】変形例1において、2つのサイドフェンス間の幅と可動テーブル(底板)の上昇速度との関係の他の例を示すグラフ。
【
図12】変形例1における可動テーブル(底板)の上昇動作を示すフローチャート。
【
図13】変形例2における可動テーブル(底板)の上昇動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態について、図面を用いて説明する。
ここでは、本発明に係るシート給送装置を、自動シート送り装置としての自動原稿搬送装置(ADF)、画像読取装置および画像形成装置に適用した一例を示す。
【0009】
図1は、本実施形態における画像形成装置としての複写機1の概略構成を示す説明図である。
この複写機1は、自動原稿搬送装置(ADF)100と、給送部2と、画像形成部3とを備えている。
【0010】
給送部2は、サイズの異なる記録材としての転写紙(用紙)を収納する給送カセット21,22と、給送カセット21,22に収納された転写紙を画像形成部3へ搬送する各種ローラからなる給送手段23とを有している。
【0011】
画像形成部3は、露光装置31と、4色ごとの感光体ドラム32と、現像装置33と、転写ベルト34と、定着装置35とを備えている。 画像形成部3は、ADF100の内部に設けられた画像読取部により読み取られた原稿の画像データに基づいて、露光装置31により各感光体ドラム32を露光して各感光体ドラム32に各色の潜像を形成する。その後、各色の現像装置33により各感光体ドラム32に各色のトナーを供給し、各感光体ドラム32の潜像を現像してトナー像を形成する。 そして、画像形成部3は、転写ベルト34により、給送部2から供給された記録紙に各感光体ドラム32のトナー像を転写した後、記録紙に転写されたトナー像のトナーを定着装置35により溶融して、記録紙にカラー画像を定着する。
【0012】
図2は、画像読取装置としての機能を有する自動原稿搬送装置(ADF)100の概略構成を示す説明図である。
ADF100は、
図1に示すように、複写機1の上部に備わっている。ADF100は、原稿束がセットされる原稿セット部Aと、セットされた原稿束から一枚ずつ原稿を分離して給送する分離給送部Bと、給送された原稿を一次突当整合するとともに整合後の原稿を引き出し搬送するレジスト部Cと、搬送される原稿をターンさせて原稿面を第一画像読取部131による読み取り側(図中の下方)に向けて搬送するターン部Dと、原稿の表面画像をコンタクトガラス4の下方から第一画像読取部131により読み取る第一読取搬送部Eと、表面画像が読み取られた後の原稿の裏面画像を第二画像読取部132により読み取る第二読取搬送部Fと、表裏の画像の読み取りが完了した原稿を機外に排出する排紙部Gと、排出された原稿を積載保持するスタック部Hとを備える。
【0013】
原稿セット部Aには、読み取りを行う1枚の原稿又は2枚以上の原稿の束(以下、まとめて「原稿束」という。)がセットされる。原稿束がセットされるのは、可動テーブル121を含む載置部としての原稿テーブル120上である。
【0014】
本実施形態において、複写機1の本体上面には、透光性部材からなるコンタクトガラス4が設けられ、コンタクトガラスに隣接するようにADF100が設けられている。ADF100はヒンジ機構を介してコンタクトガラス4を開放および閉塞するように開閉自在になっている。
【0015】
ADF100は、シートスルー読取方式(自動搬送モード)と、原稿固定読取方式(圧板モード)のいずれにも対応可能なものである。シートスルー読取方式は、第一画像読取部131を固定した状態で、読取対象の原稿を所定の速度で搬送しながら、第一画像読取部131及び第二画像読取部132の一方または両方で画像を読み取る。原稿固定読取方式は、読取対象の原稿をコンタクトガラス4上に載置して、第一画像読取部131をコンタクトガラス4に沿って移動させながら画像を読み取る。
【0016】
本実施形態の複写機1では、ユーザー操作を受け付ける操作受付手段としての操作部5(
図3参照)の操作により、上述した原稿固定読取方式で原稿を読み取る自動搬送モード(ADFモード)、上述したシートスルー読取方式で原稿を読み取る圧板モードなどの動作モードが任意に設定できるように構成されている。
【0017】
図3は、ADF100の制御部の構成を示すブロック図である。
ADF100には、
図3に示すように、各機構部A~Hにおける原稿給送動作(原稿搬送動作)のための駆動を行う駆動部101~105や、駆動部101~105の動作を含む各種動作を制御する回路からなる制御部150なども備わっている。
【0018】
制御部150は、ADF100に配設された各部に対して電源を供給するとともに、複写機1の本体に設けられる本体制御部6から送信される制御信号に基づいて、ADF100に配設された各部に対する制御を実施する。
【0019】
原稿固定読取方式により原稿画像を読み取る場合に、原稿をコンタクトガラス4上にセットし、ADF100を閉状態にする。このADF100の底部には、原稿固定読取方式で原稿を読み取るときに原稿をコンタクトガラス4に圧接するための圧板が設けられている。ADF100を閉状態にして、操作部5に対して原稿読取指示操作が行われると、第一画像読取部131を
図1中左右方向に移動させながら原稿を読み取る。なお、原稿固定読取方式では、例えば、1枚のA4判原稿の読み取りごとに、制御部150から第一画像読取部131に対してゲート信号が送信され、読み取り制御が行われる。
【0020】
シートスルー読取方式により原稿画像を読み取る場合、可動テーブル121を含む原稿テーブル120(載置部)上に、原稿面(第一面)を上向きにした状態で原稿束をセットする。さらに、原稿束の幅方向(原稿搬送方向に直交する方向)を規制部としてのサイドフェンス122によって規制し、原稿束の幅に合わせてサイドフェンス122の位置決め(位置合わせ)を行う。原稿束がセットされたこと(セット状態)は、可動テーブル121に設けられる原稿セットセンサ115によって検知され、インタフェース(I/F)を介して本体制御部6に送信される。
【0021】
可動テーブル(底板)101は、可動テーブル121の後端(原稿給送方向後方)が回動軸121aの回りで回動可能に支持されている。可動テーブル121は、底板上昇モータ105により回動軸121aの回りで回動することで、可動テーブル121の先端側(原稿給送方向前方)が昇降可能に構成されている。
【0022】
原稿が原稿テーブル120上に載置される前は、原稿テーブル120の可動テーブル121はホームポジション位置(下降位置)に位置している。可動テーブル121がホームポジション位置にある状態で、ユーザーは原稿テーブル120上に原稿束を載置させる。このとき、ホームポジション位置にある可動テーブル121上の原稿束の最上面は、ピックアップローラ141から離間した離間状態をとる。
【0023】
制御部150は、原稿がセットされたことを原稿セットセンサ115が検知すると、底板上昇モータ105を正転させて、可動テーブル121上の原稿束の最上面が給送部材としてのピックアップローラ141と当接状態になるように、可動テーブル121を上昇させる。可動テーブル121が上昇して、可動テーブル121上の原稿束の上面によりピックアップローラ141が押し上げられると、これがテーブル上昇センサ118により検知される。この検知信号を受信した制御部150は、底板上昇モータ105の駆動を停止させるので、可動テーブル121は適正な位置で停止される。
【0024】
すなわち、テーブル上昇センサ118は、可動テーブル121が適正な位置に達したことを検出して、原稿束の上面が適正な給送高さに保持するためのセンサである。詳しくは、テーブル上昇センサ118がONになったら可動テーブル121の上昇を停止し、その後、原稿給送を繰り返すことで原稿束の上面位置が下がってきてテーブル上昇センサ118がOFFになったら、可動テーブル121を再び上昇させる。そして、テーブル上昇センサ118が再びONになったら、可動テーブル121の上昇を停止する。このような制御動作を繰り返し行うことで、原稿束の上面位置(最上位原稿の高さ)が原稿給送に適した高さ範囲内に保持される。
【0025】
なお、可動テーブル121の昇降に替えてテーブルを固定にしてピックアップローラを降昇させてもよい。また、原稿セットされるテーブル上の原稿束の最下面が給送部材により給送できるように、固定テーブルの下方に昇降するピックアップローラを設け、このピックアップローラが下方からテーブルの開口や切り欠きに入り込みテーブルの上方にある原稿束の最下面に当接させてもよい。また、原稿セットされるテーブル上の原稿束の最下面が給送部材により給送できるように、テーブルとテーブルから突出するピックアップローラとを一体に上昇させ上昇する原稿束の最上面が上面規制部材に当接、または一体のテーブルとテーブルから突出するピックアップローラが昇降せず上面規制部材が下降して原稿束の最上面に当接するようにしてもよい。この場合、ピックアップローラと原稿とが当接する当接状態とは原稿束の最上面が上面規制部材に当接しピックアップローラが適切に原稿を給送できる程度の接触圧がある状態であり、離間する離間状態とは原稿束の最上面が上面規制部材に当接せずピックアップローラが適切に原稿を給送できないスリップしてしまう程度の軽い接触圧の状態である。
【0026】
原稿テーブル120上にセットされた原稿束が全て給送されると、原稿セットセンサ115がOFFになり、制御部150は、底板上昇モータ105を逆転させて、次の原稿束を原稿テーブル120上にセットできるように、ホームポジション位置へと可動テーブル121を下降させる。本実施形態では、可動テーブル121がホームポジション位置にあることを検知する底板ホームポジションセンサ117が設けられており、制御部150は、可動テーブル121がホームポジション位置にあるかどうかを確認できるようになっている。
【0027】
可動テーブル121上の原稿束の最上面とピックアップローラ141とが当接状態で操作部5に対して原稿読取指示操作(給送開始指示)が行われると、本体制御部6からインタフェースを介して、制御部150に原稿給送信号(給送スタート信号)が送信される。これにより、給送動作が開始され、可動テーブル121上の原稿束の上面が適正な給送高さに保たれた状態で、ピックアップローラ141が給送モータ102の正転により回転駆動し、原稿テーブル120上の数枚(理想的には1枚)の原稿がピックアップされる。このときの回転方向は、最上位の原稿を給送方向前方へ搬送する方向である。分離ローラ対142は、給送ローラ142Aとこれに対向するリバースローラ142Bとから構成され、給送ローラ142Aは給送モータ102の正転により給送方向に回転駆動され、リバースローラ142Bは給送モータ102の正転により給送方向とは逆方向に回転駆動される。
【0028】
分離ローラ対142により1枚に分離された原稿は、給送ローラ142Aによってさらに搬送され、突当センサ111によって先端が検知された後、さらに進んで、停止しているプルアウトローラ対143に突き当たる。その後、原稿は、突当センサ111の検知タイミングから予め定められた距離だけ搬送されることで、プルアウトローラ対143に対して所定量の撓みを持って先端が押し当てられた状態になる。この状態で、給送モータ102を停止させることにより、原稿を搬送している給送ローラ142Aの駆動が停止する。
【0029】
制御部150は、原稿先端が突当センサ111により検知されると、ピックアップモータ101を回転させ、ピックアップローラ141を原稿上面から退避させる。したがって、原稿は、分離ローラ対142の給送ローラ142Aの搬送力のみで搬送されることになる。このような動作により、原稿先端は、プルアウトローラ対143のニップ部に進入し、先端の整合(スキュー補正)が行われる。プルアウトローラ対143は、スキュー補正機能を有するとともに、分離後にスキュー補正された原稿を中間ローラ144まで搬送するためのローラで、給送モータ102の逆転により駆動される。また、給送モータ102の逆転時には、プルアウトローラ対143と中間ローラ144は駆動されるが、ピックアップローラ141と給送ローラ142Aは駆動されない。
【0030】
原稿の搬送方向長さは、原稿の先端と後端を突当センサ111で検知することにより、モータパルスから検出されるように構成されている。プルアウトローラ対143および中間ローラ144の駆動により、レジスト部Cからターン部Dに原稿が搬送される際には、レジスト部Cにおける搬送速度が、第一読取搬送部Eにおける搬送速度よりも高速になるように設定することで、原稿を第一読取搬送部Eへ送り込む処理時間の短縮を図ることができる。原稿先端が読取入口センサ112により検出されると、読取入口ローラ対145のニップ部に原稿先端が進入する前に、原稿搬送速度を読取搬送速度と同速にするために減速を開始すると同時に、読取モータ103を正転駆動して読取入口ローラ対145、第一読取出口ローラ146、第二読取出口ローラ147を駆動する。
【0031】
原稿の先端をレジストセンサ113にて検知すると、制御部150は、原稿を第一読取搬送部Eの手前で一時停止させるとともに、インタフェースを介して本体制御部6にレジスト停止信号を送信する。次いで、制御部150は、本体制御部6より読取開始信号を受信すると、レジスト停止していた原稿の先端が第一読取搬送部Eに到達するまでに所定の搬送速度に立ち上がるように、増速して搬送させる。制御部150は、読取モータ103のパルスカウントにより検出された原稿先端が第一読取搬送部Eに到達するタイミングで、第一画像読取部131に対して第一面の副走査方向有効画像領域を示すゲート信号を送信する。このゲート信号は、第一読取搬送部Eを原稿後端が抜けるまで送信される。
【0032】
片面読み取りの場合、第一読取搬送部Eを通過した原稿は、第二読取搬送部Fを通過して排紙部Gへと搬送される。このとき、制御部150は、排紙センサ114が原稿の先端を検知すると、排紙モータ104を正転駆動して排紙ローラ対148を回転させる。また、制御部150は、排紙センサ114により原稿の先端が検知されてから、排紙モータ104のパルスをカウントし、原稿後端が排紙ローラ対148のニップ部から抜ける直前に排紙モータ104の駆動速度を減速させて、スタック部Hの排紙トレイ上に排出される原稿が飛び出さないように制御する。
【0033】
両面読み取りの場合には、制御部150は、第一読取搬送部Eを通過した原稿の先端を排紙センサ114にて検知してから、読取モータ103のパルスをカウントする。次いで、制御部150は、第二読取搬送部Fに原稿先端が到達するタイミングで第二画像読取部132に対し、副走査方向の有効画像領域を示すゲート信号を送信する。このゲート信号は、第二読取搬送部Fを原稿後端が抜けるまで送信される。その後、第二読取搬送部Fを通過した原稿は排紙部Gへと搬送される。
【0034】
次に、ADF100の原稿テーブル120上に配置される規制部としてのサイドフェンス122について説明する。
図4は、本実施形態における原稿テーブル120の可動テーブル121を模式的に示す平面図である。
図5は、本実施形態における原稿テーブル120上に、シート幅方向サイズが所定サイズよりも小さいシート、すなわち所定サイズ未満である小サイズ原稿の原稿束Pがセットされた状態(サイドフェンスの位置合わせ作業が完了した状態)を示す平面図である。
【0035】
本実施形態におけるADF100の原稿テーブル120上に配置されるサイドフェンス122は、原稿テーブル120上に載置される原稿束Pの幅方向位置を規制するものである。ADF100の原稿テーブル120は、幅方向片側の端部位置を原稿束Pのセット位置基準とする端部基準方式であってもよいし、幅方向中央位置を原稿束Pのセット位置基準とする中央基準方式であってもよい。本実施形態では、中央基準方式を採用する。
【0036】
端部基準方式の場合、原稿テーブル120上に、原稿束Pの幅方向一方側に当接する固定規制部としての固定フェンスを設ける。そして、サイドフェンス122は、原稿束Pの幅方向他方側に当接するように構成する。この場合、原稿束Pを原稿テーブル120上にセットする際には、固定フェンスとサイドフェンス122との間に原稿束Pを載置し、その後、サイドフェンス122が原稿束Pの幅方向他端側に当接するまで、サイドフェンス122を原稿幅方向に沿って移動させる。これにより、原稿束Pの幅方向位置を固定フェンスとサイドフェンス122とで規制する。
【0037】
中央基準方式の場合、
図4及び
図5に示すように、原稿テーブル120上に、原稿束Pの幅方向一方側と他方側にそれぞれ当接する規制部材として、2つのサイドフェンス122を設ける。これら2つのサイドフェンス122は、各サイドフェンス122と原稿幅方向中央位置との距離が常に一定となるように、互いに連動して原稿幅方向へ移動可能に構成されている。この場合、原稿束Pを原稿テーブル120上にセットする際には、2つのサイドフェンス122の間に原稿束Pを載置し、その後、2つのサイドフェンス122で原稿束Pを幅方向から挟み込むまで、2つのサイドフェンス122を原稿幅方向に沿って移動させる。これにより、原稿束Pの幅方向位置を2つのサイドフェンス122で規制する。
【0038】
本実施形態において、原稿テーブル120の可動テーブル121には、サイドフェンス122が原稿幅方向に沿って移動するように案内するガイド溝123が設けられている。ガイド溝123は、
図4及び
図5に示すように、原稿幅方向に沿って延び、可動テーブル121上に開口している。ガイド溝123には、サイドフェンス122の下部に設けられるガイドピンが嵌り込んでおり、これにより、サイドフェンス122はガイド溝123に沿って原稿幅方向へ移動することができる。
【0039】
また、本実施形態における可動テーブル121には、ガイド溝123に沿って、4つのサイドフェンス幅センサ116a~116dが配置されている。サイドフェンス幅センサ116a~116dは、光学センサによって構成され、サイドフェンス122のガイドピンに取り付けられたフィラー124を検知することで、サイドフェンス122の原稿幅方向位置を検出する。なお、サイドフェンス幅センサ116a~116dの数には特に制限はなく、1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。
【0040】
本実施形態では、各サイドフェンス幅センサ116a~116dは、サイドフェンス122のフィラー124を検知している時にオンして、その検知結果が制御部150に送られる。制御部150は、サイドフェンス幅センサ116a~116dとともに位置取得手段として機能し、4つのサイドフェンス幅センサ116a~116dのうちのどのセンサがオンしているかによって、サイドフェンス122の原稿幅方向位置を取得できる。
【0041】
図6は、本実施形態における可動テーブル(底板)101の上昇動作を示すフローチャートである。
本実施形態において、ユーザーが、原稿テーブル120上に原稿束Pを載置すると、その原稿束Pが原稿セットセンサ115によって検知される(S1)。これにより、制御部150は、原稿セットセンサ115の検知時から所定の待ち時間が経過したら(S4)、底板上昇モータ105を正転させて、可動テーブル121上の原稿束Pの最上面がピックアップローラ141と当接する当接状態(上昇位置)になるように可動テーブル121を上昇させ、原稿読取指示操作(給送開始指示)に備える(S5)。
【0042】
ここで、ユーザーがADF100の原稿テーブル120上に原稿束Pをセットする場合、通常、原稿テーブル120上に原稿束Pを載置させ(シート載置作業)、その後にサイドフェンス122を原稿束Pに寄せて原稿束Pの幅に合わせるサイドフェンス122の位置決め(位置合わせ作業)を行う。そのため、上述した所定の待ち時間が経過するまでに、ユーザーがサイドフェンス122の位置合わせ作業が完了できないという事態が起こり得る。
【0043】
サイドフェンス122の位置合わせ作業が完了する前に可動テーブル121が上昇位置まで上昇すると(当接状態になると)、サイドフェンス122を原稿束Pに寄せて移動させようとしても、原稿束Pが可動テーブル121とピックアップローラ141との間に挟まっているため原稿束Pが動かず、サイドフェンス122の位置合わせ作業を完了することができなくなる。サイドフェンス122の位置合わせ作業を完了しないまま原稿給送が開始されると、サイドフェンス122による原稿の幅方向位置の規制が不十分なため、原稿のスキューなどの給送不良が発生しやすい。
【0044】
ここで、原稿幅方向サイズが所定サイズよりも小さい小サイズ原稿の場合、可動テーブル121が上昇位置(当接状態)になるまでにユーザーがサイドフェンス122の位置合わせ作業を完了できないという事態が起こりやすい。これは次の理由によるものと考えられる。
【0045】
例えばハガキサイズのような小サイズ原稿は、一般に、原稿幅方向サイズが所定サイズ以上である大サイズ原稿(例えば、原稿幅方向が縦長になるようにセットしたA4判サイズ)よりも使用頻度が少ない。そのため、小サイズ原稿を原稿テーブル120に載置させる直前のサイドフェンス122の位置は、大サイズ原稿に合わせた位置のままの状態であることが多い。よって、小サイズ原稿を原稿テーブル120に載置させる場合、サイドフェンス122を原稿束Pへ寄せて位置合わせするには、大サイズ原稿を原稿テーブル120に載置させる場合よりも、サイドフェンス122を大きく動かす必要が出てくる。したがって、原稿束の幅方向サイズが小さいほど、サイドフェンス122の位置合わせ作業には時間がかかりやすい。
【0046】
しかも、原稿の幅方向サイズが小さいほど、より正確にサイドフェンス122を位置合わせして原稿束Pの幅方向位置を規制しないと、原稿のスキューが発生しやすい。このように原稿の幅方向サイズが小さいほどサイドフェンス122の位置合わせ精度が求められることから、原稿束の幅方向サイズが小さいほど、サイドフェンス122の位置合わせ作業には時間がかかりやすい。
【0047】
このような理由から、原稿束の幅方向サイズが小さいほど、可動テーブル121が上昇位置(当接状態)になるまでにユーザーがサイドフェンス122の位置合わせ作業を完了できないという事態が起こりやすいと考えられる。
【0048】
そこで、本実施形態においては、原稿テーブル120に載置される原稿束Pの幅方向サイズを特定するサイズ特定手段と、特定した原稿束Pの幅方向サイズが所定サイズよりも小さいときに、当該所定サイズ以上であるときよりも、可動テーブル121が上昇位置(当接状態)に達するまでのタイミング(切り替え完了タイミング)を遅らせるタイミング変更手段(制御部150)とを設けている。これによれば、小サイズ原稿の場合に、原稿テーブル120に小サイズ原稿が載置された後、給送開始指示を待たずに、可動テーブル121が離間状態から上昇して上昇位置(当接状態)になるまでにユーザーがサイドフェンス122の位置合わせ作業を完了できないという事態の発生を抑制することができる。
【0049】
本実施形態におけるサイズ特定手段は、サイドフェンス122の原稿幅方向位置を検知するサイドフェンス幅センサ116a~116dを備えており、検知結果を利用している。具体的には、原稿テーブル120上に載置された原稿束Pを原稿セットセンサ115が検知したら(S1)、制御部150は、サイドフェンス幅センサ116a~116dの検知結果から、サイドフェンス122の原稿幅方向位置を取得する(S2)。本実施形態では、原稿束Pの載置時(原稿セットセンサ115の検知時)におけるサイドフェンス122の原稿幅方向位置から、載置された原稿束Pの幅方向サイズを推定(特定)する。
【0050】
詳しくは、ユーザーは、小サイズ原稿の原稿束Pを原稿テーブル120にセットする場合、原稿テーブル120上に原稿束Pを載置させるシート載置作業よりも先に、サイドフェンス122の位置を原稿束Pのおおよその幅に合わせる作業(概略位置合わせ作業)を行うことが一般的である。したがって、原稿テーブル120に原稿束Pを載置してから可動テーブル121の上昇を開始するまでの期間におけるサイドフェンス122の原稿幅方向位置を取得することで、可動テーブル121の上昇開始前に、原稿テーブル120に載置された原稿束Pの幅方向サイズを特定することが可能である。すなわち、上述したユーザーの一般的な作業内容を考慮すれば、前記期間におけるサイドフェンス122の原稿幅方向位置に対応する原稿幅方向サイズが小さいほど、原稿テーブル120に載置された原稿束Pの幅方向サイズが小さいと推定(特定)することができる。
【0051】
図7は、本実施形態において、2つのサイドフェンス122間の幅(サイドフェンス122の原稿幅方向位置)と可動テーブル(底板)121の上昇開始までの待ち時間との関係の一例を示すグラフである。
本実施形態においては、
図7に示すグラフの内容に従い、制御部150は、サイドフェンス122の原稿幅方向位置に応じて、可動テーブル(底板)121の上昇開始までの待ち時間を決定する(S3)。本実施形態によれば、
図7に示すグラフのように、2つのサイドフェンス122間の幅(サイドフェンス122の原稿幅方向位置)に応じて、可動テーブル(底板)121の上昇開始までの待ち時間が4段階で変化する。
【0052】
具体的には、2つのサイドフェンス122間の幅が240[mm]以上である場合、可動テーブル(底板)121の上昇開始までの待ち時間は0.5[秒]に決定される。また、2つのサイドフェンス122間の幅が、240[mm]未満である場合(かつ、210[mm]以上である場合)、可動テーブル(底板)121の上昇開始までの待ち時間は、240[mm]以上である場合よりも上昇開始が遅れるように、1.5[秒]に決定される。また、2つのサイドフェンス122間の幅が、210[mm]未満である場合(かつ、180[mm]以上である場合)、可動テーブル(底板)121の上昇開始までの待ち時間は、210[mm]以上である場合よりも上昇開始が遅れるように、2.5[秒]に決定される。また、2つのサイドフェンス122間の幅が、180[mm]未満である場合、可動テーブル(底板)121の上昇開始までの待ち時間は、180[mm]以上である場合よりも上昇開始が遅れるように、3.5[秒]に決定される。
【0053】
本実施形態においては、サイドフェンス122の原稿幅方向位置から推定される原稿束Pの幅方向サイズが小さいほど、可動テーブル(底板)121の上昇開始までの待ち時間が長くなる。したがって、本実施形態によれば、原稿束Pの幅方向サイズが小さいほど、可動テーブル121が上昇位置(当接状態)に達するまでのタイミング(切り替え完了タイミング)が遅くなる。したがって、サイドフェンス122の位置合わせ作業に時間がかかりやすい小サイズ原稿をセットする場合でも、可動テーブル121が上昇位置(当接状態)になるまでにユーザーがサイドフェンス122の位置合わせ作業を完了しやすくなる。
【0054】
可動テーブル(底板)121の上昇開始までの待ち時間が固定であった従来構成においても、この待ち時間を十分に長く設定しておけば、可動テーブル121が上昇位置になるまでにユーザーがサイドフェンス122の位置合わせ作業を完了しやすくなる。しかしながら、この場合、例えば大サイズ原稿のように、ユーザーがサイドフェンス122の位置合わせ作業の完了に時間がかからないときにも待ち時間が長くなってしまう。これでは、原稿読取指示操作(給送開始指示)がなされる前に可動テーブル121の上昇を完了させておくことによる生産性向上(原稿読取指示操作(給送開始指示)があってから原稿が給送されるまでの時間の短縮)のメリットが減退してしまう。本実施形態によれば、生産性向上のメリットを維持しつつ、可動テーブル121が上昇位置になるまでにユーザーがサイドフェンス122の位置合わせ作業を完了しやすくなる。
【0055】
なお、本実施形態では、2つのサイドフェンス122間の幅(サイドフェンス122の原稿幅方向位置)に応じて、可動テーブル(底板)121の上昇開始までの待ち時間を4段階で変化させるが、段階数はこれに限られない。例えば、
図7の破線で示すように、2段階(閾値が1つ)で変化させるようにしてもよい。
【0056】
また、本実施形態では、原稿幅方向サイズが最も小さい場合(2つのサイドフェンス122間の幅が180[mm]未満である場合)であっても、可動テーブル(底板)121の上昇開始までの待ち時間が3.5[秒]に決定されるが、これに限られない。すなわち、例えば、原稿幅方向サイズが最も小さい場合には、操作部5に対して原稿読取指示操作(給送開始指示)が行われるのを待ってから可動テーブル121を上昇させる(給送開始指示が行われる前に可動テーブル121が上昇しない)ように構成してもよい。
【0057】
また、本実施形態では、4つのサイドフェンス幅センサ116a~116dを利用してサイドフェンス122の原稿幅方向位置を不連続(4段階)で検出する構成であるが、サイドフェンス122の原稿幅方向位置を検出する構成は、特に限定されるものではない。例えば、サイドフェンス122の原稿幅方向位置に応じて電気抵抗値が変化する可変抵抗を利用した構成を採用してもよい。この構成の場合、サイドフェンス122の原稿幅方向位置を本実施形態の構成よりも詳細に検知することが可能であるうえ、構成も簡易に実現できる。このようにサイドフェンス122の原稿幅方向位置を連続的に検出する構成の場合、例えば、
図8に示すようなグラフの内容に従い、サイドフェンス122の原稿幅方向位置に応じて、より細かく待ち時間を変更するようにしてもよい。
【0058】
また、本実施形態においては、原稿テーブル120に載置される原稿束Pの幅方向サイズを特定する方法として、サイドフェンス122の原稿幅方向位置から推定(特定)する方法を採用しているが、これに限られない。例えば、
図9に示すような操作画面が表示された操作部5をユーザーが操作するなどして、原稿束Pの幅方向サイズをユーザーが入力し、その入力結果(サイズ特定情報)から原稿テーブル120に載置される原稿束Pの幅方向サイズを特定する方法であってもよい。
図9の例では、ユーザーは、操作画面上に表示される原稿幅の数値を適宜選択し、操作画面上の「給排紙処理実行」を操作することで原稿読取指示操作(給送開始指示)がなされる。なお、操作画面を操作することに代えて、機械的にスイッチをユーザーが操作することで、原稿束Pの幅方向サイズをユーザーが入力するようにしてもよい。
【0059】
また、原稿テーブル120に載置される原稿束Pの幅方向サイズを特定する方法としては、例えば、原稿テーブル120上の原稿束Pの有無を検知する複数の光学センサ等のセンサ機器を原稿幅方向に沿って並べて配置し、これらのセンサ機器の検知結果に基づいて原稿テーブル120上の原稿束Pの幅方向サイズを検知する構成のように、原稿束Pの幅方向サイズを直接的に検知するものであってもよい。ただし、サイドフェンス122によって規制される前の時点における原稿テーブル120上の原稿束Pは、原稿幅方向の端部が不揃いの状態であったり、原稿テーブル120上における載置位置が基準位置から外れている状態であったりすることが多い。このような状態の原稿束Pは、原稿束Pの幅方向サイズを直接的に検知する構成では幅方向サイズを正確に検知することが困難であり、誤検知を引き起こすおそれがある点に留意すべきである。
【0060】
〔変形例1〕
次に、本実施形態における可動テーブル121の上昇動作の一変形例(以下、本変形例を「変形例1」という。)について説明する。
上述した実施形態においては、可動テーブル121が上昇位置(当接状態)に達するまでのタイミング(切り替え完了タイミング)を遅せる方法として、可動テーブル(底板)121の上昇開始までの待ち時間を長くする方法を採用している。本変形例1では、
図10に示すグラフのように、可動テーブル121が上昇位置(当接状態)に達するまでのタイミング(切り替え完了タイミング)を遅せる方法として、可動テーブル(底板)121の上昇速度を遅くするという方法を採用する。
【0061】
この変形例1によれば、可動テーブル(底板)121の上昇開始までの待ち時間が固定であっても、可動テーブル121が上昇位置(当接状態)に達するまでのタイミング(切り替え完了タイミング)を遅せることができる。なお、サイドフェンス122の原稿幅方向位置を連続的に検出する構成の場合には、例えば、
図11に示すようなグラフを用いればよい。
【0062】
図12は、本変形例1における可動テーブル(底板)101の上昇動作を示すフローチャートである。
本変形例1においては、
図10に示すグラフの内容に従い、制御部150は、サイドフェンス122の原稿幅方向位置に応じて、可動テーブル(底板)121の上昇速度を決定する(S3')。そして、制御部150は、原稿セットセンサ115の検知時から所定の待ち時間(固定)が経過したら(S4)、決定した上昇速度に対応する回転数で底板上昇モータ105を正転させ、可動テーブル121上の原稿束Pの最上面がピックアップローラ141と当接する当接状態(上昇位置)になるように、可動テーブル121を上昇させる(S5')。
【0063】
本変形例1においては、サイドフェンス122の原稿幅方向位置から推定される原稿束Pの幅方向サイズが小さいほど、可動テーブル(底板)121の上昇速度が遅くなる。したがって、本変形例1でも、原稿束Pの幅方向サイズが小さいほど、可動テーブル121が上昇位置(当接状態)に達するまでのタイミング(切り替え完了タイミング)が遅くなる。したがって、サイドフェンス122の位置合わせ作業に時間がかかりやすい小サイズ原稿をセットする場合でも、可動テーブル121が上昇位置(当接状態)になるまでにユーザーがサイドフェンス122の位置合わせ作業を完了しやすくなる。
【0064】
〔変形例2〕
次に、本実施形態における可動テーブル121の上昇動作の他の変形例(以下、本変形例を「変形例2」という。)について説明する。
上述した実施形態においては、検知されたサイドフェンス122の幅(幅方向位置)が狭いとき(原稿束Pの幅方向サイズが所定サイズよりも小さいとき)、可動テーブル121が上昇位置(当接状態)に達するまでのタイミング(切り替え完了タイミング)を遅くする。本変形例2では、検知されたサイドフェンス122の幅(幅方向位置)と、原稿束Pの幅方向サイズ(原稿束Pの幅方向サイズに対応するサイドフェンス122の幅方向位置)との誤差が所定誤差よりも大きいときに、可動テーブル121が上昇位置(当接状態)に達するまでのタイミング(切り替え完了タイミング)を遅くする。
【0065】
本変形例2では、サイドフェンス122の幅(幅方向位置)を取得する位置取得手段と、原稿テーブル120に載置される原稿束Pの幅方向サイズを特定するサイズ特定手段とが必要である。位置取得手段は、上述した実施形態と同様、4つのサイドフェンス幅センサ116a~116dがサイドフェンス122のガイドピンに取り付けられたフィラー124を検知する結果を用いて、制御部150がサイドフェンス122の原稿幅方向位置を取得する。
【0066】
本変形例2のサイズ特定手段は、位置取得手段とは別の手段を用いる必要がある。そのため、本変形例2では、例えば、
図9に示したような操作画面が表示された操作部5をユーザーが操作するなどして、原稿束Pの幅方向サイズをユーザーが入力し、その入力結果から原稿テーブル120に載置される原稿束Pの幅方向サイズを特定するサイズ特定手段を採用する。
【0067】
図13は、本変形例2における可動テーブル(底板)101の上昇動作を示すフローチャートである。
ユーザーが原稿テーブル120上に原稿束Pを載置する前又は後において、制御部150は、
図9に示したような操作画面を操作部5に表示させる(S11)。これを受けて、原稿テーブル120上に載置した原稿束Pの幅方向サイズをユーザーが操作部5に入力すると、制御部150は、その入力結果から原稿テーブル120に載置された原稿束Pの幅方向サイズを特定する(S12)。
【0068】
一方、ユーザーが原稿テーブル120上に原稿束Pを載置すると、その原稿束Pが原稿セットセンサ115によって検知される(S13)。原稿セットセンサ115が原稿束Pを検知すると、制御部150は、サイドフェンス幅センサ116a~116dの検知結果から、サイドフェンス122の原稿幅方向位置を取得する(S14)。
【0069】
その後、制御部150は、特定した原稿束Pの幅方向サイズ(特定した原稿束Pの幅方向サイズに対応するサイドフェンス122の幅方向位置)と、取得したサイドフェンス122の原稿幅方向位置との誤差に応じて、可動テーブル(底板)121の上昇開始までの待ち時間を決定する(S15)。例えば、この誤差が大きいほど、可動テーブル(底板)121の上昇開始までの待ち時間が長くなるように、段階的に又は連続的に変化させる。
【0070】
そして、制御部150は、原稿セットセンサ115の検知時から、決定した待ち時間が経過したら(S16)、底板上昇モータ105を正転させて、可動テーブル121上の原稿束Pの最上面がピックアップローラ141と当接する当接状態(上昇位置)になるように、可動テーブル121を上昇させる(S17)。
【0071】
本変形例2においては、特定した原稿束Pの幅方向サイズ(特定した原稿束Pの幅方向サイズに対応するサイドフェンス122の幅方向位置)と、取得したサイドフェンス122の原稿幅方向位置との誤差が大きいほど、可動テーブル121が上昇位置(当接状態)に達するまでのタイミング(切り替え完了タイミング)が遅くなる。この誤差が大きいほど、サイドフェンス122を原稿束Pへ寄せて位置合わせするにはサイドフェンス122を大きく動かす必要があるため、サイドフェンス122の位置合わせ作業には時間がかかりやすい。したがって、本変形例2によれば、この誤差が大きくてサイドフェンス122の位置合わせ作業に時間がかかりやすい場合でも、可動テーブル121が上昇位置(当接状態)になるまでにユーザーがサイドフェンス122の位置合わせ作業を完了しやすくなる。
【0072】
なお、本実施形態(変形例を含む。)では、ADF100に備わっている画像読取部の読み取り対象である原稿(シート)を原稿テーブル120上にセットする例について説明したが、本発明は、これに限られない。例えば、画像形成部3により画像が形成される記録紙(シート)を手差しトレイなどの給送トレイにセットする場合にも同様に適用可能である。具体的には、複写機1の給送部2に設けられる給送カセット21,22や、複写機1の手差しトレイにも、本発明は適用可能である。
【0073】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。[第1態様]
第1態様は、シート束(例えば原稿束P)が載置される載置部(例えば原稿テーブル120)と、前記載置部に載置されたシートに当接して給送する給送部材(例えばピックアップローラ141)と、シート幅方向へ移動可能に構成され、前記載置部上におけるシート束のシート幅方向位置を規制する規制部(例えばサイドフェンス122)と、を備えたシート給送装置(例えばADF100の原稿セット部A)であって、前記載置部にシート束が載置された後、給送開始指示を待たずに、前記載置部上のシート束と前記給送部材とが離間する離間状態(例えば可動テーブル121が下降位置にある状態)から、前記載置部上のシート束と前記給送部材とが当接する当接状態(例えば可動テーブル121が上昇位置にある状態)へと切り替える切替手段(例えば底板上昇モータ105)と、前記載置部に載置されるシート束のシート幅方向サイズを特定するサイズ特定手段(例えばサイドフェンス幅センサ116a~116d、操作部5)と、前記サイズ特定手段が特定したシート幅方向サイズが所定サイズよりも小さいとき、該所定サイズ以上であるときよりも、前記離間状態から前記当接状態への切り替え完了タイミングを遅らせるタイミング変更手段(例えば制御部150)と、を有することを特徴とするものである。
一般に、ユーザーは、載置部上にシート束を載置させ(シート載置作業)、その後に規制部をシート束に寄せてシート束の幅に合わせる規制部の位置決め(規制部の位置合わせ作業)を行う。従来、給送開始指示を待たずに、載置部上のシート束と給送部材とが離間している離間状態から、載置部上のシート束と給送部材とが当接する当接状態へと切り替える構成では、規制部の位置合わせ作業が完了する前に、当接状態になってしまう事態が起こり得る。規制部の位置合わせ作業が完了する前に当接状態になってしまうと、規制部をシート束に寄せて移動させようとしても、シート束が載置部と給送部材との間に挟持されているのでシート束が動かず、規制部の位置合わせ作業を完了することができなくなる。規制部の位置合わせ作業を完了しないままシート給送を開始してしまうと、規制部によるシートの幅方向位置の規制が不十分なため、シートのスキューなどのシート給送不良が発生しやすい。
本発明者は、シート幅方向サイズが小サイズであるシート(所定サイズよりも小さいシート)の場合に、当接状態になるまでにユーザーが規制部の位置合わせ作業を完了できない事態が起こりやすいことを見出した。これは次の理由によるものと考えられる。
シート幅方向サイズが所定サイズよりも小さい小サイズシート(例えばハガキサイズ)は、一般に、シート幅方向サイズが所定サイズ以上である大シート(例えばA4判サイズ)よりも使用頻度が少ない。そのため、小サイズシートを載置部に載置させる直前の規制部の位置は、大シートに合わせた位置のままであることが多い。よって、小サイズシートを載置部に載置させる場合、規制部をシート束へ寄せて位置合わせするには、大シートを載置部に載置させる場合よりも、規制部を大きく動かす必要が出てくる。しかも、シートの幅方向サイズが小さいほど、より正確に規制部を位置合わせしてシート束の幅方向位置を規制しないと、シートのスキューが発生しやすい。このようにシートの幅方向サイズが小さいほど規制部の位置合わせ精度が求められることから、小サイズシートについての規制部の位置合わせ作業には時間がかかりやすい。このような理由から、小サイズシートの場合には、当接状態になるまでにユーザーが規制部の位置合わせ作業を完了できない事態が起こりやすいと考えられる。
そこで、本態様においては、タイミング変更手段によって、サイズ特定手段が特定したシート幅方向サイズが所定サイズよりも小さいときには、当該所定サイズ以上であるときよりも、離間状態から当接状態への切り替え完了タイミングを遅らせる。これによれば、小サイズシートの場合に、当接状態になるまでにユーザーが規制部の位置合わせ作業を完了できないという事態の発生を抑制することができる。
【0074】
[第2態様]
第2態様は、第1態様において、前記規制部のシート幅方向位置を取得する位置取得手段(例えばサイドフェンス幅センサ116a~116d)を有し、前記サイズ特定手段は、前記位置取得手段の取得結果に基づいて、前記載置部に載置されるシート束のシート幅方向サイズを特定することを特徴とするものである。
ユーザーは、小サイズシートのシート束を載置部に載置させるとき、載置部上にシート束を載置させる作業(シート載置作業)よりも先に、規制部の位置をシート束のおおよその幅に合わせる作業(概略位置合わせ作業)を行うことが一般的である。したがって、規制部のシート幅方向位置を位置取得手段により取得することで、当該切り替えの開始前に、載置部に載置されるシート束のシート幅方向サイズを特定することが可能である。すなわち、上述したユーザーの一般的な作業内容を考慮すれば、前記期間における規制部のシート幅方向位置に対応するシート幅方向サイズが小さいほど、載置部に載置されるシート束のシート幅方向サイズが小さいと推定(特定)することができる。
【0075】
[第3態様]
第3態様は、第2態様において、前記位置取得手段は、前記載置部にシート束を載置してから前記切り替えが開始されるまでの期間における前記規制部のシート幅方向位置を取得することを特徴とするものである。
これによれば、載置部にシート束を載置してから、離間状態から当接状態への切り替えが開始されるまでの期間における規制部のシート幅方向位置を位置取得手段により取得することができるので、当該切り替えの開始前に、載置部に載置されるシート束のシート幅方向サイズを特定することが可能である。
【0076】
[第4態様]
第4態様は、シート束(例えば原稿束P)が載置される載置部(例えば原稿テーブル120)と、前記載置部に載置されたシートに当接して給送する給送部材(例えばピックアップローラ141)と、シート幅方向へ移動可能に構成され、前記載置部上におけるシート束のシート幅方向位置を規制する規制部(例えばサイドフェンス122)と、を備えたシート給送装置(例えばADF100の原稿セット部A)であって、前記載置部にシート束が載置された後、給送開始指示を待たずに、前記載置部上のシート束と前記給送部材とが離間する離間状態(例えば可動テーブル121が下降位置にある状態)から、前記載置部上のシート束と前記給送部材とが当接する当接状態(例えば可動テーブル121が上昇位置にある状態)へと切り替える切替手段(例えば底板上昇モータ105)と、前記載置部に載置されるシート束のシート幅方向サイズを特定するサイズ特定手段(例えば操作部5)と、前記規制部のシート幅方向位置を取得する位置取得手段(例えばサイドフェンス幅センサ116a~116d)と、前記サイズ特定手段が特定したシート幅方向サイズに対応する前記規制部のシート幅方向位置と、前記位置取得手段が取得したシート幅方向位置との誤差が所定誤差よりも大きいとき、該所定誤差以下であるときよりも、前記離間状態から前記当接状態への切り替え完了タイミングを遅らせるタイミング変更手段(例えば制御部150)と、を有することを特徴とするものである。
載置部に載置されたシート束の幅方向サイズに対して、規制部のシート幅方向位置が大きく外れているほど、規制部をシート束へ寄せて位置合わせするには規制部を大きく動かす必要があり、規制部の位置合わせ作業に時間がかかりやすい。
本態様においては、タイミング変更手段によって、サイズ特定手段が特定したシート幅方向サイズに対応する規制部のシート幅方向位置と、位置取得手段が取得したシート幅方向位置との誤差が所定誤差よりも大きいときには、当該所定誤差以下であるときよりも、離間状態から当接状態への切り替え完了タイミングを遅らせる。これによれば、載置部に載置されたシート束の幅方向サイズに対して、規制部のシート幅方向位置が大きく外れている場合に、当接状態になるまでにユーザーが規制部の位置合わせ作業を完了できないという事態の発生を抑制することができる。
【0077】
[第5態様]
第5態様は、第1乃至第4態様のいずれかにおいて、前記載置部に載置されるシート束のシート幅方向サイズを特定するためのサイズ特定情報(例えば操作部5への入力結果)を取得する情報取得手段(例えば操作部5)を有し、前記サイズ特定手段は、前記情報取得手段が取得したサイズ特定情報に基づいて、前記載置部に載置されるシート束のシート幅方向サイズを特定することを特徴とするものである。
これによれば、シート給送装置に搭載されている既存の情報取得手段を利用して、載置部に載置されるシート束のシート幅方向サイズを特定することができるので、サイズ特定手段(センサ機器など)を別途設ける必要がなく、構成を簡略化することができる。
【0078】
[第6態様]
第6態様は、第1乃至第5態様のいずれかにおいて、前記タイミング変更手段は、所定のシート幅方向サイズ範囲内で、前記切り替え完了タイミングを連続的に変更することを特徴とするものである。
これによれば、切り替え完了タイミングを遅らせる制御をより細かく実現することができる。
【0079】
[第7態様]
第7態様は、第1乃至第5態様のいずれかにおいて、前記タイミング変更手段は、所定のシート幅方向サイズ範囲内で、前記切り替え完了タイミングを段階的に変更することを特徴とするものである。
これによれば、切り替え完了タイミングを遅らせる制御を簡易に実現することができる。
【0080】
[第8態様]
第8態様は、第1乃至第7態様のいずれかにおいて、前記タイミング変更手段は、前記離間状態から前記当接状態への切り替え開始タイミングを変更することにより、前記切り替え完了タイミングを変更することを特徴とするものである。
これによれば、離間状態から当接状態への切り替え速度を固定したままでも、切り替え完了タイミングを遅らせることができる。
【0081】
[第9態様]
第9態様は、第1乃至第8態様のいずれかにおいて、前記タイミング変更手段は、前記離間状態から前記当接状態への切り替え速度を変更することにより、前記切り替え完了タイミングを変更することを特徴とするものである。
これによれば、離間状態から当接状態への切り替え開始タイミングを固定したままでも、切り替え完了タイミングを遅らせることができる。
【0082】
[第10態様]
第10態様は、第1乃至第9態様のいずれかにおいて、前記載置部にシート束が載置されたことを検知する検知手段(例えば原稿セットセンサ115)を有し、前記サイズ特定手段は、前記検知手段の検知時に、前記載置部に載置されるシート束のシート幅方向サイズを特定することを特徴とするものである。
これによれば、載置部に載置されるシート束のシート幅方向サイズを早期に特定することができる。
[第11態様]
第11態様は、第1乃至第10態様のいずれかにおいて、前記給送部材は、前記載置部に載置されたシート束の最上位シートに当接して給送することを特徴とするものである。
これによれば、載置部に載置されたシート束の最上位シートを給送するシート給送装置において、載置部上のシート束と給送部材とが当接する当接状態になる前に、シート束の幅に合わせる規制部の位置決め(規制部の位置合わせ作業)を完了できないという事態の発生を抑制することができる。
【0083】
[第12態様]
第12態様は、自動シート送り装置(例えばADF100)であって、第1乃至第11態様のいずれかのシート給送装置を備えたものである。
これによれば、自動シート送り装置において、載置部上のシート束と給送部材とが当接する当接状態になる前に、シート束の幅に合わせる規制部の位置決め(規制部の位置合わせ作業)を完了できないという事態の発生を抑制することができる。
【0084】
[第13態様]
第13態様は、画像読取装置(例えばADF100)であって、第1乃至第11態様のいずれかのシート給送装置を備えたものである。
これによれば、画像読取装置において、載置部上のシート束と給送部材とが当接する当接状態になる前に、シート束の幅に合わせる規制部の位置決め(規制部の位置合わせ作業)を完了できないという事態の発生を抑制することができる。
【0085】
[第14態様]
第14態様は、画像形成装置(例えば複写機1)であって、第1乃至第11態様のいずれかのシート給送装置を備えたものである。
これによれば、画像形成装置において、載置部上のシート束と給送部材とが当接する当接状態になる前に、シート束の幅に合わせる規制部の位置決め(規制部の位置合わせ作業)を完了できないという事態の発生を抑制することができる。
【符号の説明】
【0086】
1 :複写機
2 :給送部
3 :画像形成部
4 :コンタクトガラス
5 :操作部
6 :本体制御部
31 :露光装置
32 :感光体ドラム
33 :現像装置
34 :転写ベルト
35 :定着装置
100 :ADF
101 :ピックアップモータ
102 :給送モータ
103 :読取モータ
104 :排紙モータ
105 :底板上昇モータ
111 :突当センサ
112 :読取入口センサ
113 :レジストセンサ
114 :排紙センサ
115 :原稿セットセンサ
116a~116d:サイドフェンス幅センサ
117 :底板ホームポジションセンサ
118 :テーブル上昇センサ
120 :原稿テーブル
121 :可動テーブル
121a :回動軸
122 :サイドフェンス
123 :ガイド溝
124 :フィラー
131 :第一画像読取部
132 :第二画像読取部
141 :ピックアップローラ
142 :分離ローラ対
142A :給送ローラ
142B :リバースローラ
143 :プルアウトローラ対
144 :中間ローラ
145 :読取入口ローラ対
146 :第一読取出口ローラ
147 :第二読取出口ローラ
148 :排紙ローラ対
150 :制御部
A :原稿セット部
B :分離給送部
C :レジスト部
D :ターン部
E :第一読取搬送部
F :第二読取搬送部
G :排紙部
H :スタック部
P :原稿束
【先行技術文献】
【特許文献】
【0087】