(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179354
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】H-ホスホネート法を用いたモルフォリノ核酸の製造方法
(51)【国際特許分類】
C07F 9/6558 20060101AFI20231212BHJP
C40B 50/08 20060101ALN20231212BHJP
C40B 50/14 20060101ALN20231212BHJP
【FI】
C07F9/6558
C40B50/08
C40B50/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】27
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040924
(22)【出願日】2023-03-15
(31)【優先権主張番号】P 2022092499
(32)【優先日】2022-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000125370
【氏名又は名称】学校法人東京理科大学
(71)【出願人】
【識別番号】000000066
【氏名又は名称】味の素株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100151301
【弁理士】
【氏名又は名称】戸崎 富哉
(74)【代理人】
【識別番号】100152308
【弁理士】
【氏名又は名称】中 正道
(74)【代理人】
【識別番号】100201558
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 恵二郎
(72)【発明者】
【氏名】和田 猛
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 一樹
(72)【発明者】
【氏名】鶴▲崎▼ 太樹
(72)【発明者】
【氏名】高橋 大輔
(72)【発明者】
【氏名】平井 邦博
(57)【要約】
【課題】本発明は、効率の良いモルフォリノオリゴヌクレオチドの製造方法の提供を課題とする。
【解決手段】本発明は、モルフォリノヌクレオチドの5’-H-ホスホネート化合物と、5’末端が保護されたモルフォリノヌクレオチドの末端モルフォリン環の3’位との縮合工程、およびインターヌクレオチドのリン原子修飾工程を含んでなる、効率の良いモルフォリノオリゴヌクレオチドの製造方法、ならびにその中間体化合物に関する。本発明は、ブロック合成にも適用可能であることから、高分子量のモルフォリノオリゴヌクレオチドの簡便且つ高効率的な製造方法を提供することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)式(I):
【化1】
[式中、
Rは、一時保護基を表し;
nは、0以上の任意の整数を表し;
n+1個のB
proは、それぞれ独立して、保護基で保護されていてもよい核酸塩基を表し;
n個のXは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、置換されていてもよいジアルキルアミノ基、スルファニル基、ヒドロキシ基、ボラノ(BH
3)基、置換されていてもよいアルキルボラノ基、チオアニオン、またはオキシアニオンを表し; および
M
+は、カチオンを表す。]
で表される化合物、またはその塩を、縮合剤存在下、式(II):
【化2】
[式中、
P
1は、保護基、または固相担体を有する基を表し;
mは、0以上の任意の整数を表し;
m+1個のB
proは、それぞれ独立して、保護基で保護されていてもよい核酸塩基を表し;および
m個のX’は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、置換されていてもよいジアルキルアミノ基、スルファニル基、ヒドロキシ基、ボラノ(BH
3)基、置換されていてもよいアルキルボラノ基、チオアニオン、またはオキシアニオンを表す。]
で表される化合物、またはその塩と縮合させて、式(III):
【化3】
[式中の各記号は、前記と同義を表す。]
で表される化合物、またはその塩を製造する工程、および
(2)前記式(III)で表される化合物、またはその塩におけるリン原子に結合した水素原子を、基X’’に変換することにより、式(V):
【化4】
[式中、X’’は、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、置換されていてもよいジアルキルアミノ基、スルファニル基、ヒドロキシ基、ボラノ(BH
3)基、置換されていてもよいアルキルボラノ基、4位窒素原子が保護基で保護され、さらに置換されていてもよいピペラジノ基、チオアニオン、またはオキシアニオンを表し、その他の各記号は、前記と同義を表す。]
で表される化合物、またはその塩を得る工程を含む、モルフォリノオリゴヌクレオチドの製造方法。
但し、P
1は、基Rを除去し得る条件下では切断されない基を表し、nおよびmがともに0である場合、X’’は、ジメチルアミノ基ではない。
【請求項2】
X、X’およびX’’が、それぞれ独立して、ジC1-6アルキルアミノ基、スルファニル基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基またはボラノ(BH3)基である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
X、X’およびX’’が、それぞれ独立して、スルファニル基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、チオアニオン、ボラノ(BH3)基、または置換されていてもよいアルキルボラノ基である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
X’’が、スルファニル基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、チオアニオン、ボラノ(BH3)基、または置換されていてもよいアルキルボラノ基である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
M+が、第3級アンモニウムイオン、またはアルカリ金属イオンである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記工程(2)が、前記式(III)で表される化合物、またはその塩と、ハロゲン化剤および塩基存在下、式(IV):
【化5】
[式中、X’’は、ヒドロキシ基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、4位窒素原子が保護基で保護され、さらに置換されていてもよいピペラジノ基、または置換されていてもよいジアルキルアミノ基を表す。]
で表される化合物と反応させることにより、前記式(III)のリン原子に結合した水素原子を、基X’’に変換する工程を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項7】
X’’が、置換されていてもよいアルキルスルファニル基である、請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
ハロゲン化剤が、四塩化炭素、四臭化炭素、N-クロロスクシンイミドまたはN-ブロモスクシンイミドである、請求項6に記載の製造方法。
【請求項9】
前記工程(2)が、前記式(III)で表される化合物、またはその塩を、シリル化後、ホウ素化剤または硫黄求電子剤と反応させることにより、前記式(III)のリン原子に結合した水素原子を、基X’’(ここで、X’’は、ボラノ(BH3)基、置換されていてもよいアルキルボラノ基、またはチオアニオンを表す。)に変換する工程を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項10】
ホウ素化剤が、ボラン-N,N-ジイソプロピルエチルアミン、ボラン-ピリジン、ボラン-2-クロロピリジン、ボラン-アニリン、ボラン-テトラヒドロフラン、ボラン-ジメチルスルフィド、または置換されていてもよいアルキルボランである、請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
硫黄求電子剤が、下記式:
【化6】
のいずれかで表される化合物である、請求項9に記載の製造方法。
【請求項12】
P1が、保護基であり、かつ、前記工程(1)および工程(2)を有機溶媒中で行うことを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項13】
前記工程(1)および工程(2)を、前記式(III)で表される化合物、またはその塩を単離精製することなく、ワンポットで行うことを特徴とする、請求項12に記載の製造方法。
【請求項14】
P1が、固相担体を有する基である、請求項1~5のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項15】
前記工程(1)の後に、前記式(III)で表される化合物、またはその塩を溶媒による洗浄操作のみにより単離し、前記工程(2)に供することを特徴とする、請求項14に記載の製造方法。
【請求項16】
前記工程(2)の後に、さらに、
(3)前記式(V)で表される化合物、またはその塩の基Rを除去する工程
を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項17】
前記工程(3)で得られた化合物、またはその塩を、前記工程(1)の式(II)で表される化合物、またはその塩として使用して、前記工程(1)~(3)を繰り返し行うことを特徴とする、請求項16に記載の製造方法。
【請求項18】
基Rが、トリチル基、ジメトキシトリチル基、およびモノメトキシトリチル基からなる群より選択される一時保護基である、請求項16に記載の製造方法。
【請求項19】
前記工程(3)の後に、さらに、
(4)基P1を除去する工程
を含む、請求項16に記載の製造方法。
【請求項20】
式(I’):
【化7】
[式中、
R
1は、水素原子または一時保護基を表し;
n’は、1以上の任意の整数を表し;
n’+1個のB
proは、それぞれ独立して、保護基で保護されていてもよい核酸塩基を表し;
n’個のXは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、置換されていてもよいジアルキルアミノ基、スルファニル基、ヒドロキシ基、ボラノ(BH
3)基、置換されていてもよいアルキルボラノ基、4位窒素原子が保護基で保護され、さらに置換されていてもよいピペラジノ基、チオアニオン、またはオキシアニオンを表し;および
M
+は、カチオンを表す。]
で表されるモルフォリノオリゴヌクレオチド、またはその塩。
【請求項21】
n’個のXが、ジC1-6アルキルアミノ基、スルファニル基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、ボラノ(BH3)基、またはチオアニオンである、請求項20に記載のモルフォリノオリゴヌクレオチド、またはその塩。
【請求項22】
n’個のXが、それぞれ独立して、スルファニル基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、チオアニオン、ボラノ(BH3)基、または置換されていてもよいアルキルボラノ基である、請求項20に記載のモルフォリノオリゴヌクレオチド、またはその塩。
【請求項23】
M+が、第3級アンモニウムイオン、またはアルカリ金属イオンである、請求項20~22のいずれか一項に記載のモルフォリノオリゴヌクレオチド、またはその塩。
【請求項24】
式(III’):
【化8】
[式中、
R
1は、水素原子または一時保護基を表し;
nは、0以上の任意の整数を表し;
mは、0以上の任意の整数を表し;
B
proは、それぞれ独立して、保護基で保護されていてもよい核酸塩基を表し;
m個のX
1およびn個のX
2は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、置換されていてもよいジアルキルアミノ基、スルファニル基、ヒドロキシ基、ボラノ(BH
3)基、置換されていてもよいアルキルボラノ基、4位窒素原子が保護基で保護され、さらに置換されていてもよいピペラジノ基、チオアニオン、またはオキシアニオンを表し;ならびに
P
1は、保護基、または固相担体を有する基を表す。
但し、P
1は、基R
1が一時保護基である場合、R
1を除去し得る条件下では切断されない基を表し、nおよびmが、ともに0であるものを除く。]
で表されるモルフォリノオリゴヌクレオチド、またはその塩。
【請求項25】
m個のX1およびn個のX2が、それぞれ独立して、スルファニル基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、チオアニオン、ボラノ(BH3)基、または置換されていてもよいアルキルボラノ基である、請求項24に記載のモルフォリノオリゴヌクレオチド、またはその塩。
【請求項26】
式(V’):
【化9】
[式中、
R
1は、水素原子または一時保護基を表し;
nは、0以上の任意の整数を表し;
mは、0以上の任意の整数を表し;
B
proは、それぞれ独立して、保護基で保護されていてもよい核酸塩基を表し;
m個のX
1、n個のX
2、およびX
3は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、置換されていてもよいジアルキルアミノ基、スルファニル基、ヒドロキシ基、ボラノ(BH
3)基、置換されていてもよいアルキルボラノ基、4位窒素原子が保護基で保護され、さらに置換されていてもよいピペラジノ基、チオアニオン、またはオキシアニオンを表し;ならびに
P
1は、保護基、または固相担体を有する基を表す。
但し、P
1は、基R
1が一時保護基である場合、R
1を除去し得る条件下では切断されない基を表し、X
1、X
2およびX
3が、すべてジメチルアミノ基である場合を除く。]
で表されるモルフォリノオリゴヌクレオチド、またはその塩。
【請求項27】
m個のX1、n個のX2、およびX3が、それぞれ独立して、スルファニル基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、チオアニオン、ボラノ(BH3)基、または置換されていてもよいアルキルボラノ基である、請求項26に記載のモルフォリノオリゴヌクレオチド、またはその塩。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モルフォリノオリゴヌクレオチドの製造方法、並びに該製造方法における原料および中間体として用いられるモルフォリノ(オリゴ)ヌクレオチドに関する。
【背景技術】
【0002】
モルフォリノオリゴヌクレオチドは、DNA、RNAに対する親和性が高く、各種ヌクレアーゼに対する抵抗性があり、生体内で安定であり、毒性も低いため、アンチセンスオリゴヌクレオチドとしての利用が注目されている化合物である(非特許文献1参照)。
【0003】
モルフォリノオリゴヌクレオチドの製造方法として、固相合成法および液相合成法が報告されている(非特許文献2~3、特許文献1~5参照)。
固相合成法は、自動合成化が可能でありスピード面で有利であるが、設備制約上スケールアップに制限があり、また、反応性が低いため、ヌクレオチド伸長反応において使用される試薬であるモノマーを過剰に使用する必要があり、工業的な大量合成に向かない。また、途中段階での反応の進行状況の確認、中間体構造解析等も困難という欠点もある。
液相合成法は、カラム精製など煩雑な処理が必要であり、アンチセンス医薬品として利用されうる20mer程度の鎖長のモルフォリノオリゴヌクレオチドを大量かつ迅速に合成することは困難であった。
【0004】
一方、本発明者らは、液相法と固相法のそれぞれの欠点を解消しようとする試みとして、疎水性基結合モルフォリノヌクレオシド等を用いたモルフォリノオリゴヌクレオチドの合成方法(擬似固相法)を報告した(特許文献6参照)。
【0005】
しかし、従来公知のモルフォリノオリゴヌクレオチドの製造方法は、1個ずつ段階的にモルフォリノヌクレオチド伸長反応を繰り返す必要があるため、高重合度のモルフォリノオリゴヌクレオチド合成には適さない。それ故、高分子量のモルフォリノオリゴヌクレオチドの製造に適したブロック合成にも適用可能な効率的且つ簡便なモルフォリノオリゴヌクレオチドの製造方法の開発が急務であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第91/09033号
【特許文献2】国際公開第2008/008113号
【特許文献3】米国特許出願公開第2009/0131632号明細書
【特許文献4】国際公開第2009/064471号
【特許文献5】国際公開第2012/043730号
【特許文献6】国際公開第2014/189142号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Summerton,J.等,Antisense and Nucleic Acid Drug Development,1997年,Vol.7,p.187-195.
【非特許文献2】Harakawa等,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2012年,Vol.22,p.1445-1447
【非特許文献3】Bhadra,J.等,Tetrahedron Letters,2015年,Vol.56,p.4565-4568
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、固相法および液相法のいずれにも適用可能であり、ブロック合成も可能な、効率的且つ簡便にモルフォリノオリゴヌクレオチドを製造する方法、および該製造方法における原料および中間体として用いられる新規モルフォリノ(オリゴ)ヌクレオチドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、鋭意検討した結果、モルフォリノオリゴヌクレオチドの合成において、H-ホスホンアミデート中間体を経て、縮合工程毎にインターヌクレオチドのリン原子修飾工程(リン修飾工程)を行うことにより、上記課題が解決できることを見出した。
具体的には、本発明者らがモルフォリノオリゴヌクレオチドの合成法を検討中に、H-ホスホネート法が有効であることを見出したが、縮合工程で生成するH-ホスホンアミデート中間体が不安定であり、単離が難しいという新たな課題に直面した。この課題に対して、本発明者らは、縮合工程毎に、固相法では、溶媒による洗浄処理を行った後に、液相法では、単離工程を省略してワンポットで、それぞれ次の工程、すなわち、インターヌクレオチド修飾工程、を行うことにより、固相法および液相法のいずれにおいても、当該新たな課題を解決できることを見出すと共に、当該製造方法により得られるモルフォリノオリゴヌクレオチドがブロック合成にも適用可能であることも見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下を含む。
[1](1)式(I):
【0010】
【0011】
[式中、
Rは、一時保護基を表し;
nは、0以上の任意の整数を表し;
n+1個のBproは、それぞれ独立して、保護基で保護されていてもよい核酸塩基を表し;
n個のXは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、置換されていてもよいジアルキルアミノ基、スルファニル基、ヒドロキシ基、ボラノ(BH3)基、置換されていてもよいアルキルボラノ基、4位窒素原子が保護基で保護され、さらに置換されていてもよいピペラジノ基、チオアニオン、またはオキシアニオンを表し;および
M+は、カチオンを表す。]
で表される化合物、またはその塩を、縮合剤存在下、式(II):
【0012】
【0013】
[式中、
P1は、保護基、または固相担体を有する基を表し;
mは、0以上の任意の整数を表し;
m+1個のBproは、それぞれ独立して、保護基で保護されていてもよい核酸塩基を表し;および
m個のX’は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、置換されていてもよいジアルキルアミノ基、スルファニル基、ヒドロキシ基、ボラノ(BH3)基、置換されていてもよいアルキルボラノ基、4位窒素原子が保護基で保護され、さらに置換されていてもよいピペラジノ基、チオアニオン、またはオキシアニオンを表す。]
で表される化合物、またはその塩と縮合させて、式(III):
【0014】
【0015】
[式中の各記号は、前記と同義を表す。]
で表される化合物、またはその塩を製造する工程、および
(2)前記式(III)で表される化合物、またはその塩におけるリン原子に結合した水素原子を、基X’’に変換することにより、式(V):
【0016】
【0017】
[式中、X’’は、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、置換されていてもよいジアルキルアミノ基、スルファニル基、ヒドロキシ基、ボラノ(BH3)基、置換されていてもよいアルキルボラノ基、4位窒素原子が保護基で保護され、さらに置換されていてもよいピペラジノ基、チオアニオン、またはオキシアニオンを表し、その他の各記号は、前記と同義を表す。]
で表される化合物、またはその塩を得る工程を含む、モルフォリノオリゴヌクレオチドの製造方法。
但し、P1は、基Rを除去し得る条件下では切断されない基を表し、nおよびmがともに0である場合、X’’は、ジメチルアミノ基ではない。
[2]X、X’およびX’’が、それぞれ独立して、ジC1-6アルキルアミノ基、スルファニル基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、ボラノ(BH3)基、またはチオアニオンである、前記[1]に記載の製造方法。
[3]X、X’およびX’’が、それぞれ独立して、スルファニル基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、チオアニオン、ボラノ(BH3)基、または置換されていてもよいアルキルボラノ基である、前記[1]に記載の製造方法。
[4]X’’が、スルファニル基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、チオアニオン、ボラノ(BH3)基、または置換されていてもよいアルキルボラノ基である、前記[1]に記載の製造方法。
[5]M+が、第3級アンモニウムイオン、またはアルカリ金属イオンである、前記[1]~[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6]前記工程(2)が、前記式(III)で表される化合物、またはその塩と、ハロゲン化剤および塩基存在下、式(IV):
【0018】
【0019】
[式中、X’’は、ヒドロキシ基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、4位窒素原子が保護基で保護され、さらに置換されていてもよいピペラジノ基、または置換されていてもよいジアルキルアミノ基を表す。]
で表される化合物と反応させることにより、前記式(III)のリン原子に結合した水素原子を、基X’’に変換する工程を含む、前記[1]~[5]のいずれかに記載の製造方法。
[7]X’’が、置換されていてもよいアルキルスルファニル基である、前記[6]に記載の製造方法。
[8]ハロゲン化剤が、四塩化炭素、四臭化炭素、N-クロロスクシンイミドまたはN-ブロモスクシンイミドである、前記[6]または[7]に記載の製造方法。
[9]前記工程(2)が、前記式(III)で表される化合物、またはその塩を、シリル化後、ホウ素化剤または硫黄求電子剤と反応させることにより、前記式(III)のリン原子に結合した水素原子を、基X’’(ここで、X’’は、ボラノ(BH3)基、置換されていてもよいアルキルボラノ基、またはチオアニオンを表す。)に変換する工程を含む、前記[1]~[5]のいずれかに記載の製造方法。
[10]ホウ素化剤が、ボラン-N,N-ジイソプロピルエチルアミン、ボラン-ピリジン、ボラン-2-クロロピリジン、ボラン-アニリン、ボラン-テトラヒドロフラン、ボラン-ジメチルスルフィド、または置換されていてもよいアルキルボランである、前記[9]に記載の製造方法。
[11]硫黄求電子剤が、下記式:
【0020】
【0021】
のいずれかで表される化合物である、前記[9]に記載の製造方法。
[12]P1が、保護基であり、かつ、前記工程(1)および工程(2)を有機溶媒中で行うことを特徴とする、前記[1]~[11]のいずれかに記載の製造方法。
[13]前記工程(1)および工程(2)を、前記式(III)で表される化合物、またはその塩を単離精製することなく、ワンポットで行うことを特徴とする、前記[12]に記載の製造方法。
[14]P1が、固相担体を有する基である、前記[1]~[11]のいずれかに記載の製造方法。
[15]前記工程(1)の後に、前記式(III)で表される化合物、またはその塩を溶媒による洗浄操作のみにより単離し、前記工程(2)に供することを特徴とする、前記[14]に記載の製造方法。
[16]前記工程(2)の後に、さらに、
(3)前記式(V)で表される化合物、またはその塩の基Rを除去する工程
を含む、前記[1]~[15]のいずれかに記載の製造方法。
[17]前記工程(3)で得られた化合物、またはその塩を、前記工程(1)の式(II)で表される化合物、またはその塩として使用して、前記工程(1)~(3)を繰り返し行うことを特徴とする、前記[16]に記載の製造方法。
[18]基Rが、トリチル基、ジメトキシトリチル基、またはモノメトキシトリチル基である、前記[1]~[17]のいずれかに記載の製造方法。
[19]前記工程(3)の後に、さらに、
(4)基P1を除去する工程
を含む、前記[16]~[18]のいずれかに記載の製造方法。
[20]式(I’):
【0022】
【0023】
[式中、
R1は、水素原子または一時保護基を表し;
n’は、1以上の任意の整数を表し;
n’+1個のBproは、それぞれ独立して、保護基で保護されていてもよい核酸塩基を表し;
n’個のXは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、置換されていてもよいジアルキルアミノ基、スルファニル基、ヒドロキシ基、ボラノ(BH3)基、置換されていてもよいアルキルボラノ基、4位窒素原子が保護基で保護され、さらに置換されていてもよいピペラジノ基、チオアニオン、またはオキシアニオンを表し; および
M+は、カチオンを表す。]
で表されるモルフォリノオリゴヌクレオチド(以下、「本発明の原料化合物(I’)」と称することもある。)、またはその塩。
[21]n’個のXが、ジC1-6アルキルアミノ基、スルファニル基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、ボラノ(BH3)基、またはチオアニオンである、前記[20]に記載のモルフォリノオリゴヌクレオチド、またはその塩。
[22]n’個のXが、それぞれ独立して、スルファニル基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、チオアニオン、ボラノ(BH3)基、または置換されていてもよいアルキルボラノ基である、前記[20]に記載のモルフォリノオリゴヌクレオチド、またはその塩。
[23]M+が、第3級アンモニウムイオン、またはアルカリ金属イオンである、前記[20]または[22]に記載のモルフォリノオリゴヌクレオチド、またはその塩。
[24]式(III’):
【0024】
【0025】
[式中、
R1は、水素原子または一時保護基を表し;
nは、0以上の任意の整数を表し;
mは、0以上の任意の整数を表し;
Bproは、それぞれ独立して、保護基で保護されていてもよい核酸塩基を表し;
m個のX1およびn個のX2は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、置換されていてもよいジアルキルアミノ基、スルファニル基、ヒドロキシ基、ボラノ(BH3)基、置換されていてもよいアルキルボラノ基、4位窒素原子が保護基で保護され、さらに置換されていてもよいピペラジノ基、チオアニオン、またはオキシアニオンを表し;ならびに
P1は、保護基、または固相担体を有する基を表す。
但し、P1は、基R1が一時保護基である場合、R1を除去し得る条件下では切断されない基を表し、nおよびmが、ともに0であるものを除く。]
で表されるモルフォリノオリゴヌクレオチド(以下、「本発明の中間体化合物(III’)」と称することもある。)、またはその塩。
[25]m個のX1およびn個のX2が、それぞれ独立して、スルファニル基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、チオアニオン、ボラノ(BH3)基、または置換されていてもよいアルキルボラノ基である、前記[24]に記載のモルフォリノオリゴヌクレオチド、またはその塩。
[26]式(V’):
【0026】
【0027】
[式中、
R1は、水素原子または一時保護基を表し;
nは、0以上の任意の整数を表し;
mは、0以上の任意の整数を表し;
Bproは、それぞれ独立して、保護基で保護されていてもよい核酸塩基を表し;
m個のX1、n個のX2、およびX3は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、置換されていてもよいジアルキルアミノ基、スルファニル基、ヒドロキシ基、ボラノ(BH3)基、置換されていてもよいアルキルボラノ基、4位窒素原子が保護基で保護され、さらに置換されていてもよいピペラジノ基、チオアニオン、またはオキシアニオンを表し;ならびに
P1は、保護基、または固相担体を有する基を表す。
但し、P1は、基R1が一時保護基である場合、R1を除去し得る条件下では切断されない基を表し、X1、X2およびX3が、すべてジメチルアミノ基である場合を除く。]
で表されるモルフォリノオリゴヌクレオチド(以下、「本発明の化合物(V’)」と称することもある。)、またはその塩。
[27]m個のX1、n個のX2、およびX3が、それぞれ独立して、スルファニル基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、チオアニオン、ボラノ(BH3)基、または置換されていてもよいアルキルボラノ基である、前記[26]に記載のモルフォリノオリゴヌクレオチド、またはその塩。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、モルフォリノオリゴヌクレオチドの固相合成および液相合成において、H-ホスホンアミデート中間体を経ることにより、ブロック合成にも適用可能な、効率的且つ簡便なモルフォリノオリゴヌクレオチドの製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、本発明の製造方法において生成する不安定であるため、単離が難しいH-ホスホンアミデート中間体に対し、縮合工程毎に、固相法では、溶媒による洗浄処理を行った後に、または、液相法では、単離工程を省略してワンポットで、次工程であるインターヌクレオチドのリン原子修飾工程に付すことにより、固相合成および液相合成のいずれにおいても、最終工程でまとめてインターヌクレオチドのリン原子修飾を行うよりも、収率良く目的物へと変換することができる。
また、本発明は、モルフォリノオリゴヌクレオチドのインターヌクレオチド部位として、1個のH-ホスホンアミデート部位:
【0029】
【0030】
と下記式:
【0031】
【0032】
(式中の各記号は前記と同義を表す。)
のいずれかで表される構造を共に含んでなる、新規な中間体化合物を提供することができる。
さらに、本発明は、モルフォリノオリゴヌクレオチドのインターヌクレオチド部位が、全て下記式:
【0033】
【0034】
(式中の各記号は前記と同義を表す。)
のいずれかで表される構造を有する、ブロック合成に有用な新規モルフォリノオリゴヌクレオチド(但し、全てのインターヌクレオチド部位が、下記式:
【0035】
【0036】
で表される構造を有する場合を除く。)を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0037】
1.用語
文中で特に断らない限り、本明細書で用いるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般に理解されるのと同じ意味をもつ。本明細書に記載されたものと同様または同等の任意の方法および材料は、本発明の実施または試験において使用することができるが、好ましい方法および材料を以下に記載する。本明細書で言及したすべての刊行物および特許は、例えば、記載された発明に関連して使用されうる刊行物に記載されている、構築物および方法論を記載および開示する目的で、参照として本明細書に組み入れられる。
【0038】
1-1.基に関する用語
本明細書中、「Ca-b」は、炭素数がa以上b以下(a、bは整数を表す)を意味する。
【0039】
本明細書中、「ハロゲン原子」は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を意味する。
【0040】
本明細書中、「炭化水素基」としては、例えば、脂肪族炭化水素基、芳香脂肪族炭化水素基、単環式飽和炭化水素基および芳香族炭化水素基等が挙げられ、その具体例としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキレン基、アリーレン基等の1価基および2価基が挙げられる。
【0041】
本明細書中、「アルキル(基)」は、直鎖状または分岐鎖状のいずれでもよい。「アルキル(基)」としては、炭素数1以上のアルキル基が挙げられ、特に炭素数範囲の限定がない場合には、好ましくはC1-22アルキル基であり、より好ましくはC1-10アルキル基であり、さらに好ましくはC1-6アルキル基である。その具体例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル等が挙げられる。
【0042】
本明細書中、「アルケニル(基)」は、直鎖状または分岐鎖状のいずれでもよい。「アルケニル(基)」としては、例えば、C2-6アルケニル基等が挙げられる。具体的には、例えば、ビニル、1-プロペニル、アリル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル等が挙げられる。
【0043】
本明細書中、「アルキニル(基)」は、直鎖状または分岐鎖状のいずれでもよい。「アルキニル(基)」としては、例えば、C2-6アルキニル基等が挙げられる。その具体例としては、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、3-ブチニル、1-ペンチニル、2-ペンチニル、3-ペンチニル、4-ペンチニル、1-ヘキシニル、2-ヘキシニル、3-ヘキシニル、4-ヘキシニル、5-ヘキシニル等が挙げられる。
【0044】
本明細書中、「シクロアルキル(基)」は、環状アルキル基を意味し、例えばC3-8シクロアルキル基、好ましくはC3-6シクロアルキル基が挙げられる。その具体例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等が挙げられる。
【0045】
本明細書中、「アリール(基)」は、単環式または多環式(縮合)の芳香族炭化水素基を意味し、例えば、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、ビフェニリル、1-アントリル、2-アントリル等のC6-14アリール基が挙げられる。中でもC6-10アリール基がより好ましく、フェニルが特に好ましい。
【0046】
本明細書中、「アラルキル(基)」としては、C7-20アラルキル基が挙げられ、好ましくはC7-16アラルキル基(C6-10アリール-C1-6アルキル基)である。その具体例としては、ベンジル、1-フェニルエチル、2-フェニルエチル、1-フェニルプロピル、ナフチルメチル、1-ナフチルエチル、1-ナフチルプロピル等が挙げられる。
【0047】
本明細書中、「アルキレン(基)」は、前記アルキル(基)から誘導される2価の直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基を意味する。「アルキレン(基)」としては、炭素数1以上のアルキレン基が挙げられ、特に炭素数範囲の限定がない場合には、好ましくはC1-22アルキレン基であり、より好ましくはC1-10アルキレン基であり、さらに好ましくはC1-6アルキレン基である。その具体例としては、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレンが挙げられる。
【0048】
本明細書中、「アリーレン(基)」は、前記アリール(基)から誘導される2価の芳香族炭化水素基を意味する。該「アリーレン(基)」としては、例えば、ベンゼン-1,4-ジイル(以下、1,4-フェニレンともいう)、ベンゼン-1,3-ジイル(以下、1,3-フェニレンともいう)、ベンゼン-1,2-ジイル(以下、1,2-フェニレンともいう)、ナフタレン-1,8-ジイル(以下、1,8-ナフチレンともいう)、ナフタレン-1,5-ジイル(以下、1,5-ナフチレンともいう)、アントラセン-1,4-ジイル等のC6-14アリーレンが挙げられ、好適には、C6-10アリーレン基であり、より好適には、フェニレン基(例、1,4-フェニレン、1,3-フェニレンまたは1,2-フェニレン)である。
【0049】
本明細書中、「アルコキシ(基)」は、直鎖状または分岐鎖状のいずれでもよい。「アルコキシ(基)」としては、炭素数1以上のアルコキシ基が挙げられ、特に炭素数範囲の限定がない場合には、好ましくはC1-10アルコキシ基であり、より好ましくはC1-6アルコキシ基である。その具体例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ等が挙げられる。
【0050】
本明細書中、「アルキルスルファニル(基)」は、前記アルキル基が硫黄原子に結合した基を意味し、直鎖状または分岐鎖状のいずれでもよい。「アルキルスルファニル(基)」としては、炭素数1以上のアルキルスルファニル基が挙げられ、特に炭素数範囲の限定がない場合には、好ましくはC1-10アルキルスルファニル基であり、より好ましくはC1-6アルキルスルファニル基である。その具体例としては、メチルスルファニル、エチルスルファニル、プロピルスルファニル、イソプロピルスルファニル、ブチルスルファニル、イソブチルスルファニル、sec-ブチルスルファニル、tert-ブチルスルファニル、ペンチルスルファニル、ヘキシルスルファニル等が挙げられる。
【0051】
本明細書中、「ジアルキルアミノ(基)」としては、炭素数1以上のジアルキルアミノ基が挙げられ、特に炭素数範囲の限定がない場合には、好ましくはジC1-10アルキルアミノ基であり、より好ましくはジC1-6アルキルアミノ基である。その具体例としては、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジイソプロピルアミノ、ジブチルアミノ、ジペンチルアミノ、ジヘキシルアミノ等が挙げられる。
【0052】
本明細書中、「アルキルボラノ(基)」としては、炭素数1以上のトリアルキルボラノ基が挙げられ、特に炭素数範囲の限定がない場合には、好ましくはトリC1-10アルキルボラノ基であり、より好ましくはトリC1-6アルキルボラノ基である。その具体例としては、トリメチルボラノ、トリエチルボラノ、トリプロピルボラノ、トリブチルボラノ、トリペンチルボラノ、トリヘキシルボラノ等が挙げられる。
【0053】
本明細書中、「アシル(基)」は、直鎖状または分岐鎖状のいずれでもよい。「アシル(基)」としては、例えば、C1-6アルカノイル基、C7-13アロイル基等が挙げられる。「アシル(基)」の具体例としては、ホルミル、アセチル、n-プロピオニル、イソプロピオニル、n-ブチリル、イソブチリル、ピバロイル、バレリル、ヘキサノイル、ベンゾイル、ナフトイル、レブリニル等が挙げられる。「アシル(基)」は、置換されていてもよい。
【0054】
本明細書中、「カチオン」は、正の電荷を帯びた原子または原子団を意味する。該「カチオン」としては、金属カチオン(例、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン等);アンモニウムイオン;第1級、第2級または第3級アミン由来のアンモニウムイオン;第4級アンモニウムイオン等が挙げられる。
【0055】
本明細書中、「2環式の縮合芳香族複素環」は、炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれるヘテロ原子を環構成原子として含有する2環式の縮合芳香族複素環を意味する。「2環式の縮合芳香族複素環」としては、例えば、ベンゾチオフェン環、ベンゾフラン環、イソベンゾフラン環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾトリアゾール環、インド-ル環、イソインドール環、1H-インダゾール環、プリン環、イソキノリン環、5,6,7,8-テトラヒドロイソキノリン環、キノリン環、5,6,7,8-テトラヒドロキノリン環、フタラジン環、プテリジン環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キナゾリン環、シンノリン環等が挙げられる。
【0056】
本明細書中、「パーフルオロアルキル基」とは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基を意味する。
【0057】
本明細書中、「リンカー」としては、例えば、-O-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-NR’-、-C(=O)NR’-、-NR’C(=O)-、-S-、-SO-、-SO2-、-Si(R’)(R”)O-、-Si(R’)(R’’)-(R’およびR’’は、それぞれ独立に、水素原子またはC1-22炭化水素基を表す)等が挙げられる。リンカーは、好ましくは-O-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-C(=O)NH-、-NHC(=O)-、-S-、-SO-、-SO2-、-Si(R’)(R’’)O-、または-Si(R’)(R’’)-(R’およびR’’は、それぞれ独立に、水素原子またはC1-22炭化水素基を表す)である。
【0058】
本明細書中、「置換されていてもよい」または「置換基を有してもいてもよい」各基の置換基としては、例えば、前述のハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、アシル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基に加えて、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、グアニジル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基(アルコキシ部は前記アルコキシ基と同様)、スルホ基、ホスホ基、アルキルスルファニル基 (アルキル部は前記アルキル基と同様)、アルキルスルフィニル基(アルキル部は前記アルキル基と同様)、アルキルスルホニル基(アルキル部は前記アルキル基と同様)、アミノ基、モノアルキルアミノ基(アルキル部は前記アルキル基と同様)、ジアルキルアミノ基(アルキル部は前記アルキル基と同様)、オキソ基等が挙げられる。
【0059】
本明細書中、「保護基」としては、特に限定はなく、公知の保護基を使用することができる。当該「保護基」としては、例えば、ポリエチレングリコール等の「親水性保護基」や国際公開第2017/104836号に「アンカー」と記載されている「疎水性保護基」も使用することもできる。
【0060】
本明細書中、「一時保護基」としては、酸性条件下で除去可能な保護基(例えば、トリチル基、9-フェニル-9-キサンテニル基、9-フェニル-9-チオキサンテニル基、1,1-ビス(4-メトキシフェニル)-1-フェニルメチル基(本明細書中「ジメトキシトリチル基」と記載することがある)等のビス(C1-6アルコキシ)トリチル基、1-(4-メトキシフェニル)-1,1-ジフェニルメチル基(本明細書中「モノメトキシトリチル基」と記載することがある)等のモノ(C1-18アルコキシ)トリチル基等)が挙げられる。脱保護の容易さ等の観点から、当該一時保護基は、好ましくはトリチル基、ジメトキシトリチル基またはモノメトキシトリチル基であり、より好ましくはトリチル基である。
【0061】
本明細書中、「ヒドロキシ基の保護基」に特に限定はなく、公知の保護基を使用することができる。該保護基としては、例えば、メチル基、ベンジル基、p-メトキシベンジル基、tert-ブチル基、メトキシメチル基、2-メトキシエチル基、2-テトラヒドロピラニル基、2-エトキシエチル基、2-シアノエチル基、(2-シアノエトキシ)メチル基、1-(2-シアノエトキシ)エチル基、ビス(2-アセトキシエトキシ)メチル(ACE)基、(2-ニトロベンジル)オキシメチル(NBOM)基、2-(p-ニトロベンゼン)エチル基、2-トリメチルシリルエチル基、(2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル(SEM)基、1-(2-シアノエトキシ)エチル基、2-((4-メチルフェニル)スルホニル)エトキシメチル(TEM)基、tert-ブチルジチオメチル(DTM)基、((2-(メチルチオ)フェニル)チオ)メチル(MPTM)基、(N-ジクロロアセチル-N-メチル)アミノベンジルオキシメチル(DCMABOM)基、(2-アセチルエチル)カルボニルオキシメチル基(当該分野において「アセタールレブニリルエステル(ALE)基」とも呼ばれる)、フェニルカルバモイル基、ジフェニルカルバモイル基、1,1-ジオキソチオモルホリン-4-チオカルバモイル基、アセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、トリ置換シリル基(例、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、tert-ブチルジフェニルシリル(TBDPS)基)、[(トリイソプロピルシリル)オキシ]メチル(Tom)基、1-(4-クロロフェニル)-4-エトキシピペリジン-4-イル(Cpep)基等が挙げられる。
【0062】
本明細書中、「アミノ基の保護基」に特に限定はなく、公知の保護基を使用することができる。該保護基としては、例えば、ピバロイル基、ピバロイロキシメチル基、アセチル基、トリフルオロアセチル基、フェニルアセチル基、フェノキシアセチル基、4-イソプロピルフェノキシアセチル基、4-tert-ブチルフェノキシアセチル基、ベンゾイル基、イソブチリル基、(2-ヘキシル)デカノイル基、ジメチルホルムアミジニル基、=NC(R11)-N(R12)(R13)で表される基(式中、R11は、メチル基を表し、R12およびR13は、それぞれ独立にC1-6アルキル基を表すか、またはR11およびR12が一緒になって、それらが結合する炭素原子および窒素原子と共に5または6員の含窒素複素環を形成していてもよい。)(例、1-(ジメチルアミノ)エチリデン基等)、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル基等を挙げることができる。これらの中で、アセチル基、フェノキシアセチル基、4-イソプロピルフェノキシアセチル基、ベンゾイル基、イソブチリル基、(2-ヘキシル)デカノイル基、ジメチルホルムアミジニル基、または1-(ジメチルアミノ)エチリデン基が好ましい。
【0063】
本明細書中、インターヌクレオチド部位の「リン酸基の保護基」に特に限定はなく、公知の保護基を使用することができる。リン酸基の保護基としては、例えば、以下のものが挙げられる:
メチル基、
ベンジル基、
下記式(Pg-1)で表される2-シアノエチル基、
下記式(Pg-2)で表される2-[2-(4,4’-ジメトキシトリチルオキシ)エチルスルホニル]エチル基、
下記式(Pg-3)で表される[3-(4,4’-ジメトキシトリチルオキシ)-2,2-ジ(エトキシカルボニル)]プロピル基、
下記式(Pg-4)で表される[3-(4,4’-ジメトキシトリチルオキシ)-2,2-ジ(N-メチルカルバモイル)]プロピル基。
リン酸基の保護基は、好ましくは2-シアノエチル基である。
【0064】
【0065】
[式中、Meは、メチル基を表し、Etは、エチル基を表し、DMTrは、4,4’-ジメトキシトリチル基を表し、および*は、リン酸基との結合位置を表す。]
【0066】
本明細書中、「疎水性保護基」としては、例えば、国際公開第2017/104836号に「アンカー」と記載されている保護基を使用することができる。
【0067】
疎水性保護基は、好ましくは、下記式(Pg-5)で表される保護基である:
【0068】
【0069】
[式中、
**は保護される基(5’位ヒドロキシ基)との結合位置を表し;
Lは、単結合、または式(Pg-i-1)若しくは(Pg-i-2):
【0070】
【0071】
(式中、
*は、Yとの結合位置を表し;
**は前記と同義であり;
R1pおよびR2pは、それぞれ独立に、C1-22炭化水素基を表し;
L1は、置換されていてもよいC1-22アルキレン基を表し、前記C1-22アルキレン基中の-CH2-はリンカーで置き換わっていてもよく;
L2は、単結合を表すか、または***C(=O)N(R3p)-R4p-N(R5p)****(式中、***は、L1との結合位置を表し、****は、C=Oとの結合位置を表し、R4pは、C1-22アルキレン基を表し、R3pおよびR5pは、それぞれ独立に、水素原子若しくはC1-22アルキル基を表すか、またはR3pおよびR5pが一緒になって、環を形成していてもよい。)で表される基を表す。)で表される基を表し;
Yは、単結合、酸素原子、またはNR’’’(R’’’は、水素原子、アルキル基またはアラルキル基を表す。)を表し;および
Zは、式(Pg-ii-1)~式(Pg-ii-5)のいずれか:
【0072】
【0073】
[式中、
*は、結合位置を表し;
環Aは、ベンゼン環を表し;
環Bは、シクロヘキサン環を表し;
環Dは、ナフタレン環または2環式の縮合芳香族複素環を表し;
R6pは、水素原子であるか、或いはRbが、下記式(Pg-iii)で表される基である場合には、環Aまたは環BのR6pは、R8pと一緒になって単結合または-O-を表して、環Aまたは環Bおよび環Cと共に縮合環を形成していてもよく;
kは、1~4の整数を表し;
k個のQは、それぞれ独立に、-O-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-NR’-、-C(=O)NR’-または-NR’C(=O)-(前記式中、R’は、それぞれ独立に、水素原子またはC1-6アルキル基を表す)を表し(k個のQは、好ましくは、それぞれ独立に、-O-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-C(=O)NH-または-NHC(=O)-を表し);
k個のQ’は、それぞれ独立に、単結合、-O-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-NR’-、-C(=O)NR’-または-NR’C(=O)-(前記式中、R’は、それぞれ独立に、水素原子またはC1-6アルキル基を表す)を表し;
k個のR7pは、それぞれ独立に、炭素数10以上の直鎖状の脂肪族炭化水素基が単結合またはリンカーを介して結合した炭化水素基を表し;
環Aおよび環Bは、それぞれ独立に、k個のQR7pに加えて、さらにハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基、およびハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基からなる群から選択される置換基を有していてもよく;
Raは、水素原子を表し;および
Rbは、水素原子、または式(Pg-iii):
【0074】
【0075】
(式中、
*は、結合位置を表し;
環Cは、ベンゼン環を表し:
jは、0~4の整数を表し;
j個のQは、それぞれ独立に、前記と同義であり;
j個のR9pは、それぞれ独立に、炭素数10以上の直鎖状の脂肪族炭化水素基が単結合またはリンカーを介して結合した炭化水素基を表し;
R8pは、水素原子を表すか、或いは環Aまたは環BのR6pと一緒になって単結合または-O-を表して、環Aまたは環Bおよび環Cと共に縮合環を形成していてもよく;
環Cは、j個のQR9pに加えて、さらにハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基、およびハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基からなる群から選択される置換基を有していてもよい。)で表される基を表すか、或いは
RaおよびRbが、一緒になってオキソ基を形成し;
uは、1または2を表し;および
R10pは、C2-21パーフルオロアルキル基を表す。]
で表される基を表す。]
【0076】
なお、環A、環C、R6pおよびR8pが縮合環を形成する場合、環Aおよび環Cは、それぞれ、前記縮合環中のベンゼン環部分を表す。環B、環C、R6pおよびR8pが縮合環を形成する場合、環Cは、前記縮合環中のベンゼン環部分を表し、環Bは、前記縮合環中のシクロヘキサン環部分を表す。
【0077】
前記炭素数10以上の直鎖状の脂肪族炭化水素基は、好ましくは直鎖状のC10-40アルキル基および直鎖状のC10-40アルケニル基から選ばれる基であり、より好ましくは直鎖状のC10-40アルキル基であり、さらに好ましくは直鎖状のC10-30アルキル基であり、特に好ましくは直鎖状のC12-28アルキル基であり、最も好ましくは直鎖状のC14-26アルキル基である。
【0078】
前記リンカーは、好ましくは-O-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-NR’-、-C(=O)NR’-または-NR’C(=O)-(R’は、水素原子またはC1-22炭化水素基を表す)であり、より好ましくは-O-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-C(=O)NH-または-NHC(=O)-であり、さらに好ましくは-O-である。
【0079】
前記「炭素数10以上の直鎖状の脂肪族炭化水素基が単結合またはリンカーを介して結合した炭化水素基」は、好ましくは、直鎖状のC10-40アルキル基、1~3個の直鎖状のC10-40アルキル基が-O-を介して結合したベンジル基、または1~3個の直鎖状のC10-40アルキル基が-O-を介して結合したシクロヘキシルメチル基である。
【0080】
Qは、好ましくは-O-、-C(=O)NH-または-NHC(=O)-であり、より好ましくは-O-である。
【0081】
Q’は、好ましくは単結合、-O-、-C(=O)NH-または-NHC(=O)-であり、より好ましくは単結合または-O-である。
【0082】
式(Pg-5)において、式(Pg-i-1)で表されるLの好ましい態様は、
L1が、C1-22アルキレン基、またはCH2-O-1,4-フェニレン-O-CH2であり;および
L2が、単結合であるか、または***C(=O)N(R3p)-R4p-N(R5p)****(式中、***は、L1との結合位置を表し、****は、C=Oとの結合位置を表し、R4pは、C1-6アルキレン基を表し、R3pおよびR5pは、それぞれ独立に水素原子、若しくは置換されていてもよいC1-6アルキル基を表すか、またはR3pおよびR5pが一緒になって、置換されていてもよいC1-6アルキレン基を形成していてもよい。)で表される基である、
基である。
【0083】
式(Pg-i-1)で表されるLの別の好ましい態様は、
L1が、C1-22アルキレン基であり;および
L2が単結合である、
基である。
【0084】
式(Pg-i-1)で表されるLの別の好ましい態様は、
L1が、エチレン基であり;および
L2が、***C(=O)N(R3p)-R4p-N(R5p)****(式中、***は、L1との結合位置を表し、****は、C=Oとの結合位置を表し、R4pは、C1-22アルキレン基を表し、R3pおよびR5pは、それぞれ独立に、水素原子若しくはC1-22アルキル基を表すか、またはR3pおよびR5pが一緒になって、環を形成していてもよい。)で表される基である、
基である。
【0085】
式(Pg-i-1)で表されるLの別の好ましい態様は、
L1が、エチレン基であり;および
L2が、***C(=O)N(R3p)-R4p-N(R5p)****(式中、***は、L1との結合位置を表し、****は、C=Oとの結合位置を表し、N(R3p)-R4p-N(R5p)部分が、1,4-ピペラジンジイル基を形成する。)で表される基である、
基である。
【0086】
式(Pg-i-1)で表されるLの別の好ましい態様は、
L1が、エチレン基であり;および
L2が、***C(=O)N(R3p)-R4p-N(R5p)****(式中、***は、L1との結合位置を表し、****は、C=Oとの結合位置を表し、R4pは、ペンチレン基、またはヘキシレン基を表し、R3pおよびR5pは、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基を表す。)で表される基である、
基である。
【0087】
式(Pg-i-1)で表されるLの別の好ましい態様は、
L1が、置換されていてもよいフェニレン基であり;および
L2が、***C(=O)N(R3p)-R4p-N(R5p)****(式中、***は、L1との結合位置を表し、****は、C=Oとの結合位置を表し、N(R3p)-R4p-N(R5p)部分が、1,4-ピペラジンジイル基を形成する。)で表される基である、
基である。
【0088】
式(Pg-i-1)で表されるLは、特に好ましくはスクシニル基である。
【0089】
次に、式(Pg-5)において式(Pg-i-2)で表されるLについて説明する。
式(Pg-i-2)中のL1は、好ましくはC6-10アリーレン基であり、より好ましくはフェニレン基である。
式(Pg-i-2)中のL2は、好ましくは単結合である。
式(Pg-i-2)中のL1およびL2の好ましい組合せとしては、L1がC6-10アリーレン基であり、L2が単結合である、組合せである。式(Pg-i-2)中のL1およびL2のより好ましい組合せとしては、L1がフェニレン基であり、L2が単結合である、組合せである。
式(Pg-i-2)中のR1pおよびR2pは、それぞれ独立に、好ましくはC1-22アルキル基であり、より好ましくはC1-10アルキル基である。
【0090】
式(Pg-i-2)で表されるLの好ましい態様は、
R1pおよびR2pが、それぞれ独立に、C1-22アルキル基であり;
L1が、C6-10アリーレン基であり;および
L2が、単結合である、
基である。
【0091】
式(Pg-i-2)で表されるLの別の好ましい態様は、
R1pおよびR2pが、それぞれ独立に、C1-10アルキル基であり;
L1が、フェニレン基であり;および
L2が、単結合である、
基である。
【0092】
式(Pg-5)におけるYがNR11pである場合、前記R11pは、好ましくは、水素原子、C1-6アルキル基またはC7-16アラルキル基であり、より好ましくは水素原子、メチル、エチルまたはベンジルであり、さらに好ましくは水素原子である。Yは、好ましくは単結合、酸素原子またはNR11pであり、より好ましくは単結合または酸素原子である。
【0093】
式(Pg-ii-1)において、R6pは水素原子であることが好ましい。また、式(Pg-ii-1)において、RaおよびRbが、水素原子であるか、または一緒になってオキソ基を形成することが好ましい。
【0094】
式(Pg-ii-1)で表されるZの好ましい態様は、
RaおよびRbが、水素原子であり;
R6pが、水素原子であり;
kが、1~3の整数であり;
k個のQが、-O-であり;および
k個のR7pが、それぞれ独立に、直鎖状のC10-40アルキル基である、
基である。
【0095】
式(Pg-ii-1)で表されるZの好ましい別の態様は、
RaおよびRbが、水素原子であり;
R6pが、水素原子であり;
kが、1~3の整数であり;
k個のQが、-O-であり;および
k個のR7pが、それぞれ独立に、1~3個の直鎖状のC10-40アルキル基が-O-を介して結合したベンジル基、または1~3個の直鎖状のC10-40アルキル基が-O-を介して結合したシクロヘキシルメチル基である、
基である。
【0096】
式(Pg-ii-1)で表されるZの好ましい別の態様は、
Raが、水素原子であり;
R6pが、水素原子であり;
kが、1~3の整数であり;
k個のQが、-O-であり;および
k個のR7pが、それぞれ独立に、直鎖状のC10-40アルキル基であり;および
Rbが、式(Pg-iii)(式中、*は結合位置であり、jが、0~3の整数であり、j個のQが、-O-であり、j個のR9pが、それぞれ独立に、直鎖状のC10-40アルキル基であり、およびR8pが、水素原子である。)で表される基である、
基である。
【0097】
式(Pg-ii-1)で表されるZの好ましい別の態様は、
Raが、水素原子であり;
kが、1~3の整数であり;
k個のQが、-O-であり;および
k個のR7pが、それぞれ独立に、直鎖状のC10-40アルキル基であり;および
Rbが、式(Pg-iii)(式中、*は結合位置であり、jが、0~3の整数であり、j個のQが、-O-であり、j個のR9pが、それぞれ独立に、直鎖状のC10-40アルキル基であり、およびR8pは、R6pと一緒になって単結合または-O-を表して、環Aおよび環Cと共に縮合環を形成する。)で表される基である、
基である。
【0098】
式(Pg-ii-1)で表されるZの好ましい別の態様は、
RaおよびRbが、一緒になってオキソ基を形成し;
R6pが、水素原子であり;
kが、1~3の整数であり;
k個のQが、-O-であり;および
k個のR7pが、それぞれ独立に、直鎖状のC10-40アルキル基である、
基である。
【0099】
式(Pg-ii-1)で表されるZの好ましい別の態様は、
RaおよびRbが、一緒になってオキソ基を形成し;
R6pが、水素原子であり;
kが、1~3の整数であり;
k個のQが、-O-であり;
k個のR7pが、それぞれ独立に、1~3個の直鎖状のC10-40アルキル基が-O-を介して結合したベンジル基、または1~3個の直鎖状のC10-40アルキル基が-O-を介して結合したシクロヘキシルメチル基である、
基である。
【0100】
式(Pg-ii-2)で表されるZの好ましい態様は、
R6pが、水素原子であり;
kが、1~3の整数であり;
k個のQが、-O-であり;および
k個のR7pが、それぞれ独立に、直鎖状のC10-40アルキル基、1~3個の直鎖状のC10-40アルキル基が-O-を介して結合したベンジル基、または1~3個の直鎖状のC10-40アルキル基が-O-を介して結合したシクロヘキシルメチル基である、
基である。
【0101】
式(Pg-ii-3)において、R6pは水素原子であることが好ましい。また、式(Pg-ii-3)において、RaおよびRbが、水素原子であるか、または一緒になってオキソ基を形成することが好ましい。
【0102】
式(Pg-ii-3)で表されるZの好ましい態様は、
RaおよびRbが、水素原子であり;
R6pが、水素原子であり;
kが、1~3の整数であり;
k個のQが、-O-であり;および
k個のR7pが、それぞれ独立に、直鎖状のC10-40アルキル基である、
基である。
【0103】
式(Pg-ii-3)で表されるZの好ましい別の態様は、
RaおよびRbが、水素原子であり;
R6pが、水素原子であり;
kが、1~3の整数であり;
k個のQが、-O-であり;および
k個のR7pが、それぞれ独立に、1~3個の直鎖状のC10-40アルキル基が-O-を介して結合したベンジル基、または1~3個の直鎖状のC10-40アルキル基が-O-を介して結合したシクロヘキシルメチル基である、
基である。
【0104】
式(Pg-ii-3)で表されるZの好ましい別の態様は、
Raが、水素原子であり;
R6pが、水素原子であり;
kが、1~3の整数であり;
k個のQが、-O-であり;および
k個のR7pが、それぞれ独立に、直鎖状のC10-40アルキル基であり;および
Rbが、式(Pg-iii)(式中、*は結合位置であり、jが、0~3の整数であり、j個のQが、-O-であり、j個のR9pが、それぞれ独立に、直鎖状のC10-40アルキル基であり、およびR8pが、水素原子である。)で表される基である、
基である。
【0105】
式(Pg-ii-3)で表されるZの好ましい別の態様は、
Raが、水素原子であり;
kが、1~3の整数であり;
k個のQが、-O-であり;および
k個のR7pが、それぞれ独立に、直鎖状のC10-40アルキル基であり;および
Rbが、式(Pg-iii)(式中、*は結合位置であり、jが、0~3の整数であり、j個のQが、-O-であり、j個のR9pが、それぞれ独立に、直鎖状のC10-40アルキル基であり、およびR8pは、R6pと一緒になって単結合または-O-を表して、環Bおよび環Cと共に縮合環を形成する。)で表される基である、
基である。
【0106】
式(Pg-ii-3)で表されるZの好ましい別の態様は、
RaおよびRbが、一緒になってオキソ基を形成し;
R6pが、水素原子であり;
kが、1~3の整数であり;
k個のQが、-O-であり;および
k個のR7pが、それぞれ独立に、直鎖状のC10-40アルキル基である、
基である。
【0107】
式(Pg-ii-3)で表されるZの好ましい別の態様は、
RaおよびRbが、一緒になってオキソ基を形成し;
R6pが、水素原子であり;
kが、1~3の整数であり;
k個のQが、-O-であり;
k個のR7pが、それぞれ独立に、1~3個の直鎖状のC10-40アルキル基が-O-を介して結合したベンジル基、または1~3個の直鎖状のC10-40アルキル基が-O-を介して結合したシクロヘキシルメチル基である、
基である。
【0108】
式(Pg-ii-4)で表されるZの好ましい態様は、
環D’が、ナフタレン環であり;
RaおよびRbが、水素原子であり;
kが、1~3の整数であり;
k個のQ’が、-O-であり;および
k個のR7pが、それぞれ独立に、直鎖状のC10-40アルキル基、1~3個の直鎖状のC10-40アルキル基が-O-を介して結合したベンジル基、または1~3個の直鎖状のC10-40アルキル基が-O-を介して結合したシクロヘキシルメチル基である、
基である。
【0109】
式(Pg-ii-4)で表されるZの好ましい別の態様は、
環D’が、インドール環であり;
RaおよびRbが、水素原子であり;
kが、1であり;
Q’が、単結合であり;および
R7pが、直鎖状のC10-40アルキル基、1~3個の直鎖状のC10-40アルキル基が-O-を介して結合したベンジル基、または1~3個の直鎖状のC10-40アルキル基が-O-を介して結合したシクロヘキシルメチル基であり;および
R7pが、インドール環の窒素原子に結合している、
基である。
【0110】
式(Pg-ii-5)で表されるZの好ましい態様は、
uが、1または2であり;および
R10pが、C4-10パーフルオロアルキル基である、
基である。
【0111】
Zは、好ましくは式(Pg-ii-1)、式(Pg-ii-2)または式(Pg-ii-3)で表される基である。
【0112】
保護基(Pg-5)は、好ましくは、
Lが、スクシニル基であるか、または式(Pg-i-2)で表される基(式(Pg-i-2)中、R1pおよびR2pが、それぞれ独立に、C1-10アルキル基であり、L1が、フェニレン基であり、L2が、単結合である。)であり、および
Y-Zが、3,4,5-トリス(オクタデシルオキシ)ベンジルオキシ基、3,5-ビス(ドコシルオキシ)ベンジルオキシ基、3,5-ビス[3’,4’,5’-トリス(オクタデシルオキシ)ベンジルオキシ]ベンジルオキシ基、3,4,5-トリス[3’,4’,5’-トリス(オクタデシルオキシ)ベンジルオキシ]ベンジルオキシ基、3,4,5-トリス(オクタデシルオキシ)ベンジルアミノ基、2,4-ビス(ドコシルオキシ)ベンジルアミノ基、3,5-ビス(ドコシルオキシ)ベンジルアミノ基、ビス(4-ドコシルオキシフェニル)メチルアミノ基、4-メトキシ-2-[3’,4’,5’-トリス(オクタデシルオキシ)ベンジルオキシ]ベンジルアミノ基、4-メトキシ-2-[3’,4’,5’-トリス(オクタデシルオキシ)シクロヘキシルメチルオキシ]ベンジルアミノ基、2,4-ビス(ドデシルオキシ)ベンジルアミノ基、フェニル(2,3,4-トリス(オクタデシルオキシ)フェニル)メチルアミノ基、ビス[4-(12-ドコシルオキシドデシルオキシ)フェニル]メチルアミノ基、3,5-ビス[3’,4’,5’-トリス(オクタデシルオキシ)ベンジルオキシ]ベンジルアミノ基、3,4,5-トリス[3’,4’,5’-トリス(オクタデシルオキシ)ベンジルオキシ]ベンジルアミノ基、3,4,5-トリス(オクタデシルオキシ)シクロヘキシルメチルオキシ基、3,5-ビス(ドコシルオキシ)シクロヘキシルメチルオキシ基、3,5-ビス[3’,4’,5’-トリス(オクタデシルオキシ)シクロヘキシルメチルオキシ]シクロヘキシルメチルオキシ基、3,4,5-トリス[3’,4’,5’-トリス(オクタデシルオキシ)シクロヘキシルメチルオキシ]シクロヘキシルメチルオキシ基、3,4,5-トリス(オクタデシルオキシ)シクロヘキシルメチルアミノ基、2,4-ビス(ドコシルオキシ)シクロヘキシルメチルアミノ基、3,5-ビス(ドコシルオキシ)シクロヘキシルメチルアミノ基、ビス(4-ドコシルオキシシクロへキシル)メチルアミノ基、4-メトキシ-2-[3’,4’,5’-トリス(オクタデシルオキシ)シクロヘキシルメチルオキシ]シクロヘキシルメチルアミノ基、4-メトキシ-2-[3’,4’,5’-トリス(オクタデシルオキシ)シクロヘキシルメチルオキシ]シクロヘキシルメチルアミノ基、2,4-ビス(ドデシルオキシ)シクロヘキシルメチルアミノ基、フェニル(2,3,4-トリス(オクタデシルオキシ)シクロへキシル)メチルアミノ基、ビス[4-(12-ドコシルオキシドデシルオキシ)シクロへキシル]メチルアミノ基、3,5-ビス[3’,4’,5’-トリス(オクタデシルオキシ)シクロヘキシルメチルオキシ]シクロヘキシルメチルアミノ基、または3,4,5-トリス[3’,4’,5’-トリス(オクタデシルオキシ)シクロヘキシルメチルオキシ]シクロヘキシルメチルアミノ基である、
基であるか、または
L-Yが、単結合またはスクシニル-1,4-ピペラジンジイル基であり、および
Zが、3,4,5-トリス(オクタデシルオキシ)ベンゾイル基、3,5-ビス(ドコシルオキシ)ベンゾイル基、3,5-ビス[3’,4’,5’-トリス(オクタデシルオキシ)ベンジルオキシ]ベンゾイル基、または3,4,5-トリス[3’,4’,5’-トリス(オクタデシルオキシ)ベンジルオキシ]ベンゾイル基である、
基である。
【0113】
保護基(Pg-5)は、より好ましくは、
Lが、スクシニル基であり、および
Y-Zが、3,4,5-トリス(オクタデシルオキシ)ベンジルオキシ基、3,5-ビス(ドコシルオキシ)ベンジルオキシ基、3,5-ビス[3’,4’,5’-トリス(オクタデシルオキシ)ベンジルオキシ]ベンジルオキシ基、3,4,5-トリス[3’,4’,5’-トリス(オクタデシルオキシ)ベンジルオキシ]ベンジルオキシ基、3,4,5-トリス(オクタデシルオキシ)ベンジルアミノ基、2,4-ビス(ドコシルオキシ)ベンジルアミノ基、3,5-ビス(ドコシルオキシ)ベンジルアミノ基、ビス(4-ドコシルオキシフェニル)メチルアミノ基、4-メトキシ-2-[3’,4’,5’-トリス(オクタデシルオキシ)ベンジルオキシ]ベンジルアミノ基、4-メトキシ-2-[3’,4’,5’-トリス(オクタデシルオキシ)シクロヘキシルメチルオキシ]ベンジルアミノ基、2,4-ビス(ドデシルオキシ)ベンジルアミノ基、フェニル(2,3,4-トリス(オクタデシルオキシ)フェニル)メチルアミノ基、ビス[4-(12-ドコシルオキシドデシルオキシ)フェニル]メチルアミノ基、3,5-ビス[3’,4’,5’-トリス(オクタデシルオキシ)ベンジルオキシ]ベンジルアミノ基、3,4,5-トリス[3’,4’,5’-トリス(オクタデシルオキシ)ベンジルオキシ]ベンジルアミノ基、3,4,5-トリス(オクタデシルオキシ)シクロヘキシルメチルオキシ基、3,5-ビス(ドコシルオキシ)シクロヘキシルメチルオキシ基、3,5-ビス[3’,4’,5’-トリス(オクタデシルオキシ)シクロヘキシルメチルオキシ]シクロヘキシルメチルオキシ基、3,4,5-トリス[3’,4’,5’-トリス(オクタデシルオキシ)シクロヘキシルメチルオキシ]シクロヘキシルメチルオキシ基、3,4,5-トリス(オクタデシルオキシ)シクロヘキシルメチルアミノ基、2,4-ビス(ドコシルオキシ)シクロヘキシルメチルアミノ基、3,5-ビス(ドコシルオキシ)シクロヘキシルメチルアミノ基、ビス(4-ドコシルオキシシクロへキシル)メチルアミノ基、4-メトキシ-2-[3’,4’,5’-トリス(オクタデシルオキシ)シクロヘキシルメチルオキシ]シクロヘキシルメチルアミノ基、4-メトキシ-2-[3’,4’,5’-トリス(オクタデシルオキシ)シクロヘキシルメチルオキシ]シクロヘキシルメチルアミノ基、2,4-ビス(ドデシルオキシ)シクロヘキシルメチルアミノ基、フェニル(2,3,4-トリス(オクタデシルオキシ)シクロへキシル)メチルアミノ基、ビス[4-(12-ドコシルオキシドデシルオキシ)シクロへキシル]メチルアミノ基、3,5-ビス[3’,4’,5’-トリス(オクタデシルオキシ)シクロヘキシルメチルオキシ]シクロヘキシルメチルアミノ基、または3,4,5-トリス[3’,4’,5’-トリス(オクタデシルオキシ)シクロヘキシルメチルオキシ]シクロヘキシルメチルアミノ基である、
基であるか、または
L-Yが、単結合またはスクシニル-1,4-ピペラジンジイル基であり、および
Zが、3,4,5-トリス(オクタデシルオキシ)ベンゾイル基、3,5-ビス(ドコシルオキシ)ベンゾイル基、3,5-ビス[3’,4’,5’-トリス(オクタデシルオキシ)ベンジルオキシ]ベンゾイル基、または3,4,5-トリス[3’,4’,5’-トリス(オクタデシルオキシ)ベンジルオキシ]ベンゾイル基である、
基である。
【0114】
保護基(Pg-5)は、さらに好ましくは、
Lが、スクシニル基であり、および
Y-Zが、3,4,5-トリス(オクタデシルオキシ)ベンジルオキシ基、3,4,5-トリス(オクタデシルオキシ)シクロヘキシルメチルオキシ基、3,5-ビス(ドコシルオキシ)シクロヘキシルメチルオキシ基、3,5-ビス[3’,4’,5’-トリス(オクタデシルオキシ)シクロヘキシルメチルオキシ]シクロヘキシルメチルオキシ基、3,4,5-トリス[3’,4’,5’-トリス(オクタデシルオキシ)シクロヘキシルメチルオキシ]シクロヘキシルメチルオキシ基、3,4,5-トリス(オクタデシルオキシ)シクロヘキシルメチルアミノ基、2,4-ビス(ドコシルオキシ)シクロヘキシルメチルアミノ基、3,5-ビス(ドコシルオキシ)シクロヘキシルメチルアミノ基、4-メトキシ-2-[3’,4’,5’-トリス(オクタデシルオキシ)シクロヘキシルメチルオキシ]シクロヘキシルメチルアミノ基、4-メトキシ-2-[3’,4’,5’-トリス(オクタデシルオキシ)シクロヘキシルメチルオキシ]シクロヘキシルメチルアミノ基、2,4-ビス(ドデシルオキシ)シクロヘキシルメチルアミノ基、3,5-ビス[3’,4’,5’-トリス(オクタデシルオキシ)シクロヘキシルメチルオキシ]シクロヘキシルメチルアミノ基、または3,4,5-トリス[3’,4’,5’-トリス(オクタデシルオキシ)シクロヘキシルメチルオキシ]シクロヘキシルメチルアミノ基である、
基であるか、または
L-Yが、単結合またはスクシニル-1,4-ピペラジンジイル基であり、および
Zが、3,4,5-トリス(オクタデシルオキシ)ベンゾイル基である、
基である。
【0115】
保護基(Pg-5)は、特に好ましくは、
Lが、スクシニル基であり、および
Y-Zが、3,4,5-トリス(オクタデシルオキシ)ベンジルオキシ基、3,4,5-トリス(オクタデシルオキシ)シクロヘキシルメチルオキシ基またはフェニル(2,3,4-トリス(オクタデシルオキシ)フェニル)メチルアミノ基である、
基であるか、または
L-Yが、スクシニル-1,4-ピペラジンジイル基であり、および
Zが、3,4,5-トリス(オクタデシルオキシ)ベンゾイル基である、
基である。
【0116】
保護基(Pg-5)は、最も好ましくは、
Lが、スクシニル基であり、および
Y-Zが、3,4,5-トリス(オクタデシルオキシ)ベンジルオキシ基、または3,4,5-トリス(オクタデシルオキシ)シクロヘキシルメチルオキシ基である基であるか、または
L-Yが、スクシニル-1,4-ピペラジンジイル基であり、および
Zが、3,4,5-トリス(オクタデシルオキシ)ベンゾイル基である、
基である。
【0117】
保護基(Pg-5)、およびそれを形成するために用いられる化合物は、公知の方法(例えば、国際公開第2014/189142号、国際公開第2017/104836号、国際公開第2019/131719号、国際公開第2020/235658号、国際公開第2021/039935号または国際公開第2021/198883号に記載の方法)またはそれに準じた方法によって、形成または製造することができる。
【0118】
本明細書中、「その塩」とは、化合物が、酸性基または塩基性基を有する場合に、塩基または酸と反応させることにより、塩基性塩または酸性塩にすることができるので、その塩を示す。
【0119】
「塩基性塩」としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等のアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩;N-メチルモルホリン塩、トリエチルアミン塩、トリブチルアミン塩、ジイソプロピルエチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N-メチルピペリジン塩、ピリジン塩、4-ピロリジノピリジン塩、ピコリン塩等の有機塩基塩;グリシン塩、リジン塩、アルギニン塩、オルニチン塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩等のアミノ酸塩等が挙げられ、好ましくは、有機塩基塩またはアルカリ金属塩である。
【0120】
「酸性塩」としては、例えば、フッ化水素酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩等のハロゲン化水素酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機酸塩;メタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩等の低級アルカンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩等のアリールスルホン酸塩、酢酸塩、リンゴ酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、酒石酸塩、蓚酸塩、マレイン酸塩等の有機酸塩;グリシン塩、リジン塩、アルギニン塩、オルニチン塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩のようなアミノ酸塩等が挙げられ、好ましくは、ハロゲン化水素酸塩(特に、塩酸塩)である。
【0121】
1-2.モルフォリノオリゴヌクレオチド合成に関する用語
本明細書中、モルフォリノオリゴヌクレオチドの合成における「H-ホスホンアミデート中間体」とは、モルフォリノオリゴヌクレオチドにおけるインターヌクレオチド部位の非架橋酸素原子の一つが水素原子で置換された下記式:
【0122】
【0123】
で表される基を1個有するモルフォリノオリゴヌクレオチド誘導体を意味する。中でも、好ましくは、前記式(III’)で表されるモルフォリノオリゴヌクレオチドである。
【0124】
本明細書中、モルフォリノオリゴヌクレオチドのインターヌクレオチド部位とは、2個のモルフォリノヌクレオシドの連結部位を意味し、具体的には、一方の5’位ヒドロキシ基と他方のモルフォリン環の窒素原子とを連結する、下記式:
【0125】
【0126】
(式中の各記号は、前記と同義を表す。)
のいずれかで表される構造が挙げられる。該「インターヌクレオチド部位」としては、好ましくは、下記式:
【0127】
【0128】
(式中、R2、R3、R4、R5およびR6は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル基を表す。)
のいずれかで表される構造である。
なお、本明細書において、ボラノホスフェート化合物の部分構造として、式:
【0129】
【0130】
(式中の各記号は、前記と同義を表す。)を便宜上使用することがあるが、正しくは、下記式:
【0131】
【0132】
(式中の各記号は、前記と同義を表す。)
で表される構造を示す。
【0133】
本明細書中、「固相担体」とは、当該分野においてオリゴヌクレオチド合成の固相合成に使用されるものであれば特に制限されず、例えば、ガラスビーズ、樹脂ビーズ等が挙げられる。固相担体として用いられる支持体または樹脂は、当技術分野において公知であり、固相合成での使用に適した、あらゆる支持体または樹脂であり得る。前記支持体または樹脂としては、例えば、ポリスチレン支持体(ポリスチレン支持体は、例えばp-メチルベンジル-ヒドリルアミンによってさらに機能化されていてもよい)、珪藻土封入ポリジメチルアクリルアミド(ペプシンK)、シリカ、微細孔性ガラス、両親媒性のポリスチレン-ポリエチレングリコール(PEG)樹脂、PEG-ポリアミド、PEG-ポリエステル樹脂、Wang-PEGレジン、Rink-アミドPEGレジン等が挙げられる。前記支持体または樹脂は、修飾されていてもよい。修飾された支持体または樹脂としては、例えば、長鎖アルキルアミノ制御細孔ガラス(long chain alkylamino Controlled Pore Glass, lcaa CPG)等が挙げられる。
【0134】
本明細書中、「固相担体を有する基」とは、前記「固相担体」自体、または前記「固相担体」を含む基であればよく、「固相担体を有する基」中の「固相担体」以外の部位は任意に設定することができる。好ましくは、前記「固相担体」が、前記「リンカー」を介して、または介さないで結合した下記式:
【0135】
【0136】
(式中、**は、固相担体、または固相担体が結合した前記「リンカー」との結合位置を表し;
*は、酸素原子との結合位置を表し;
LおよびYは、前記と同義を表す。)
で表される基(好ましくは、スクシニル基、スクシニル-1,4-ピペラジンジイル基)である。
【0137】
本明細書中、「核酸塩基」とは、核酸の合成に使用されるものであれば特に制限されず、例えば、シトシル基(シトシン塩基)、ウラシル基(ウラシル塩基)、チミニル基(チミン塩基)等のピリミジン塩基、アデニル基(アデニン塩基)、グアニル基(グアニン塩基)等のプリン塩基を挙げることができる。また、「保護基で保護されていてもよい核酸塩基」とは、例えば、核酸塩基中のアミノ基、カルボニル基等が保護されていてもよいことを意味する。保護されていてもよい核酸塩基は、好ましくは前述のアミノ基の保護基でアミノ基が保護されていてもよい核酸塩基であり、より好ましくはアミノ基を有さない核酸塩基、または前述のアミノ基の保護基で保護されたアミノ基を有する核酸塩基である。中でも、核酸塩基のアミノ基がモルフォリノヌクレオチドのモルフォリン環窒素原子の脱保護条件(酸性条件)に耐え得る保護基により保護されている核酸塩基が特に好ましい。
【0138】
保護されていてもよいカルボニル基とは、核酸塩基のカルボニル基が互変異性体を形成するため、核酸塩基のカルボニル基は芳香族複素環に結合したヒドロキシ基と等価であることから、保護されていてもよいヒドロキシ基と同義を示す。当該保護基の例としては、前記「ヒドロキシ基の保護基」と同様の基が挙げられる。
【0139】
本明細書の「核酸塩基」には、核酸塩基が置換基(例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシアルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、シアノ、ニトロ等)で置換されている修飾核酸塩基(例えば、8-ブロモアデニル基、8-ブロモグアニル基、5-ブロモシトシル基、5-ヨードシトシル基、5-ブロモウラシル基、5-ヨードウラシル基、5-フルオロウラシル基、5-メチルシトシル基、8-オキソグアニル基、ヒポキサンチニル基等)も包含される。
【0140】
本明細書中、モルフォリノオリゴヌクレオチドの構成単位となる「モルフォリノヌクレオシド」とは、下記式(i)で表される化合物である。
【0141】
【0142】
(式中、Bproは、保護基で保護されていてもよい核酸塩基を表す)
モルフォリノヌクレオシド(i)は、自体公知の方法(例えば、国際公開第91/09033号に記載の方法)、またはそれに準じた方法に従い調製することができる。具体的には、下記スキームに示すように、対応するリボヌクレオシド(ii)を過ヨウ素酸ナトリウム等で酸化開環して対応する2’,3’-ジアルデヒド(iii)とし、ジアルデヒド(iii)をアンモニアで閉環して2’,3’-ジヒドロキシモルフォリノヌクレオシド(iv)とし、ジヒドロキシモルフォリノヌクレオシド(iv)を還元剤(例、水素化シアノホウ素ナトリウム、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウムなど)で還元することにより、モルフォリノヌクレオシド(i)を得ることができる。
【0143】
【0144】
なお、本明細書において、モルフォリノヌクレオシドの位置番号(1’、2’など)は、原料であるリボヌクレオシド(ii)のリボースの炭素原子の位置番号に対応したものを使用するものとする。
【0145】
本明細書において、モルフォリノオリゴヌクレオチドとは、2以上のモルフォリノヌクレオシドが5’位ヒドロキシ基とモルフォリン環の窒素原子を介して、下記式:
【0146】
【0147】
(式中、Xは、前記と同義を表す。)
で表される結合により重合した化合物を意味し、例えば、m’+1個重合したモルフォリノオリゴヌクレオチドとしては、下記式(v)で表される化合物が挙げられる。
【0148】
【0149】
(式中、
m’は、1以上の任意の整数を表し、
m’+1個のBproは、独立してそれぞれ保護基で保護されていてもよい核酸塩基を表し、および
m’個のXは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、置換されていてもよいジアルキルアミノ基、スルファニル基、ヒドロキシ基、ボラノ(BH3)基、置換されていてもよいアルキルボラノ基、チオアニオン、オキシアニオン、または4位窒素原子が保護基で保護され、さらに置換されていてもよいピペラジノ基を表す。)
【0150】
本明細書において、「4位窒素原子が保護基で保護され、さらに置換されていてもよいピペラジノ基」とは、ピペラジノ基の4位窒素原子が保護基で保護されていることを意味し、モルフォリノヌクレオチドのモルフォリン環窒素原子の脱保護条件に耐え得る保護基により保護されているピペラジノ基が好ましい。かかる「ピペラジノ基4位窒素原子の保護基」としてはアシル基が好ましく、例えば、モノフルオロアセチル基、ジフルオロアセチル基、トリフルオロアセチル基、2-フルオロプロピオニル基、2,2-ジフルオロプロピオニル基、3,3,3-トリフルオロプロピオニル基、2,3,3,3-テトラフルオロプロピオニル基、ペンタフルオロプロピオニル基等の炭素鎖にフルオロ基を有するアシル基がより好ましい(国際公開第2008/008113号参照)。ピペラジノ基は、ピペラジノ基の炭素原子に結合する水素原子が置換されていてもよく、置換基としては、メチル基等のアルキル基(好ましくは炭素原子数1~3)等が挙げられる。
【0151】
本明細書において、核酸化学の慣例に倣い、モルフォリノオリゴヌクレオチドの5’位の遊離ヒドロキシ基を有する側の末端(上記式(v)の左上側)のモルフォリノヌクレオシドを「5’-末端」、反対側の末端(上記式(v)の右下側)のモルフォリノヌクレオシドを「3’-末端」と称すものとする。
【0152】
本明細書中、「ワンポット合成」または「ワンポットで行う」とは、中間体を合成する工程および目的の最終生成物を合成する工程を含む多段階の工程からなる合成であって、前記中間体を単離しない合成を意味する。なお、前記「中間体を合成する工程」は、一つのみでもよく、二つ以上でもよい。
【0153】
本明細書中、「ブロック合成」とは、モルフォリノオリゴヌクレオチド合成の際に、モルフォリノヌクレオシドから1個ずつ段階的にモルフォリノヌクレオチド鎖を伸長するのではなく、2個のモルフォリノオリゴヌクレオチド単位(ブロック)の一方の5’-末端と他方の3’-末端とを縮合させることによりモルフォリノヌクレオチド鎖を伸長する効率的な合成法である。
【0154】
2.本発明の製造方法
以下、本発明の製造方法について説明する。本発明の製造方法は、モルフォリノオリゴヌクレオチドの固相合成および液相合成において、H-ホスホンアミデート中間体を経ること、および縮合工程毎に、当該H-ホスホンアミデート中間体のインターヌクレオチド部位のリン原子修飾工程に付すことを第一の特徴とする。すなわち、具体的には、本発明の製造方法は、
(1)式(I):
【0155】
【0156】
[式中、
Rは、一時保護基を表し;
nは、0以上の任意の整数を表し;
n+1個のBproは、それぞれ独立して、保護基で保護されていてもよい核酸塩基を表し;
n個のXは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、置換されていてもよいジアルキルアミノ基、スルファニル基、ヒドロキシ基、ボラノ(BH3)基、置換されていてもよいアルキルボラノ基、4位窒素原子が保護基で保護され、さらに置換されていてもよいピペラジノ基、チオアニオン、またはオキシアニオンを表し; および
M+は、カチオンを表す。]
で表される化合物(以下、「化合物(I)」と称することもある。)またはその塩を、縮合剤存在下、式(II):
【0157】
【0158】
[式中、
P1は、保護基、または固相担体を有する基を表し;
mは、0以上の任意の整数を表し;
m+1個のBproは、それぞれ独立して、保護基で保護されていてもよい核酸塩基を表し;および
m個のX’は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、置換されていてもよいジアルキルアミノ基、スルファニル基、ヒドロキシ基、ボラノ(BH3)基、置換されていてもよいアルキルボラノ基、4位窒素原子が保護基で保護され、さらに置換されていてもよいピペラジノ基、チオアニオン、またはオキシアニオンを表す。]
で表される化合物(以下、「化合物(II)」と称することもある。)またはその塩と縮合させて、式(III):
【0159】
【0160】
[式中の各記号は、前記と同義を表す。]
で表される化合物(以下、「化合物(III)」と称することもある。)またはその塩を製造する工程、および
(2)前記式(III)で表される化合物(化合物(III))またはその塩におけるリン原子に結合した水素原子を、基X’’に変換することにより、式(V):
【0161】
【0162】
[式中、X’’は、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、置換されていてもよいジアルキルアミノ基、スルファニル基、ヒドロキシ基、ボラノ(BH3)基、置換されていてもよいアルキルボラノ基、4位窒素原子が保護基で保護され、さらに置換されていてもよいピペラジノ基、チオアニオン、またはオキシアニオンを表し、その他の各記号は、前記と同義を表す。]
で表される化合物(以下、「化合物(V)」と称することもある。)またはその塩を得る工程を含む(但し、P1は、基Rを除去し得る条件下では切断されない基を表し、nおよびmがともに0である場合、X’’は、ジメチルアミノ基ではない)ことを第一の特徴とする。
【0163】
工程(1)
本工程は、化合物(I)またはその塩を、縮合剤存在下、化合物(II)またはその塩と縮合させて、化合物(III)またはその塩を得る工程である。
化合物(I)またはその塩は、後述する一般合成法、実施例に記載の方法またはそれに準じた方法により製造することができる。
【0164】
化合物(I)またはその塩の使用量は、化合物(II)またはその塩1モルに対して、通常1モル~1.5モルであり、好ましくは1.2モル~1.5モルである。
【0165】
本反応は、塩基存在下、反応に影響を及ぼさない溶媒中で行なうことができる。反応溶媒としては、特に限定されないが、例えば、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類、テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトニトリル等のニトリル類等が挙げられる。中でも、ニトリル類が好ましく、アセトニトリルがより好ましい。
【0166】
使用する塩基としては、特に限定されないが、例えば、トリエチルアミン、ピリジン、2,6-ジメチルピリジン、2,6-ジtert-ブチルピリジン、キノリン等の有機塩基類が挙げられる。中でも、ピリジンが好ましい。
塩基の使用量は、化合物(I)またはその塩1モルに対して、通常1モル~過剰量(溶媒と同量)であり、好ましくは3モル~過剰量(溶媒と同量)である。
【0167】
使用する縮合剤としては、特に限定されないが、例えば、ホスゲン、1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-ベンゾトリアゾリウム3-オキシドヘキサフルオロホスファート(HBTU)、1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム-3-オキシドヘキサフルオロホスファート(HATU)、トリクロロメチルクロロホルメート、ビス(トリクロロメチル)カルボネート(BTC)、Ph3PCl2、(PhO)3PCl2、ヘキサフルオロリン酸(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリピロリジノホスホニウム(PyBOP)、3-ニトロ-
1,2,4-トリアゾール-1-イル-トリス(ピロリジン-1-イル)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyNTP)、ビス(2-オキソ-3-オキサゾリジニル)ホスフィン酸クロリド(BOPCl)、2-(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)-1,3-ジメチル-2-ピロリジン-1-イル-1,3,2-ジアザホスホリジニウムヘキサフルオロホスフェート(BOMP)、1,3-ジメチル-2-(3-ニトロ-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-ピロリジン-1-イル-1,3,2-ジアザホスホリジニウム ヘキサフルオロホスフェート(MNTP)等が挙げられ、中でも、BOMP、PyNTP、MNTP等のホスホニウム型縮合剤が好ましい。
【0168】
縮合剤の使用量は、化合物(II)またはその塩1モルに対して、通常1.5モル~5モルであり、好ましくは3モルである。
【0169】
反応温度は、通常-20~40℃、好ましくは-10~10℃であり、より好ましくは0℃である。反応時間は、通常10分~6時間程度であるが、本発明では反応が速やかに進行するため、好ましくは10分~30分である。
【0170】
工程(2)
本工程は、化合物(III)またはその塩におけるリン原子に結合した水素原子を、基X’’に変換することにより、化合物(V)またはその塩を得る工程である。
本工程における、リン原子に結合した水素原子を、基X’’に変換する方法としては、基X’’の種類により、以下の2つに大別することができる。
(i)基X’’が、ボラノ(BH3)基または置換されていてもよいアルキルボラノ基、あるいはチオアニオンである場合、化合物(III)またはその塩を、シリル化剤と反応させることによりシリル化後、ホウ素化剤または硫黄求電子剤と反応させ、その後シリル基を除去することにより、リン原子に結合した水素原子を、基X’’に変換する工程を含む方法(以下、「工程(2)-(i)」という。)。
(ii)基X’’が、前記(i)以外である場合、化合物(III)またはその塩と、ハロゲン化剤および塩基存在下、式(IV):
【0171】
【0172】
[式中、X’’は、ヒドロキシ基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、4位窒素原子が保護基で保護され、さらに置換されていてもよいピペラジノ基、または置換されていてもよいジアルキルアミノ基を表す。]
で表される化合物(以下、「化合物(IV)」と称することもある。)と反応させることにより、リン原子に結合した水素原子を、基X’’に変換する工程を含む方法(以下、「工程(2)-(ii)」という。)。
【0173】
工程(2)-(i)
本工程は、反応に影響を及ぼさない溶媒中で行なうことができる。反応溶媒としては、特に限定されないが、例えば、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類;テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトニトリル等のニトリル類等が挙げられる。中でも、ニトリル類が好ましく、アセトニトリルがより好ましい。
【0174】
使用するシリル化剤としては、特に限定されないが、例えば、クロロトリメチルシラン(TMS-Cl)、トリイソプロピルシリルクロリド(TEPS-Cl)、tert-ブチルジメチルシリルクロリド(TBDMS-Cl)、tert-ブチルジフェニルシリルクロリド(TBDPS-Cl)、1,1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、N-トリメチルシリルジメチルアミン(TMSDMA)、N-トリメチルシリルジエチルアミン(TMSDEA)、N-トリメチルシリルアセトアミド(TMSA)、N,O-ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(BSA)、N,O-ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド(BSTFA)等が挙げられる。
シリル化剤の使用量は、化合物(III)またはその塩1モルに対して、通常1.2モル~3モルであり、好ましくは1.5モル~2モルである。
【0175】
使用するホウ素化剤としては、特に限定されないが、例えば、ボラン-N,N-ジイソプロピルエチルアミン(BH3・DIPEA)、ボラン-ピリジン(BH3・Py)、ボラン-2-クロロピリジン(BH3・CPy)、ボラン-アニリン(BH3・An)、ボラン-テトラヒドロフラン(BH3・THF)、ボラン-ジメチルスルフィド(BH3・Me2S)等が挙げられる。
ホウ素化剤の使用量は、化合物(III)またはその塩1モルに対して、通常1.2モル~3モルであり、好ましくは1.5モル~2.5モルである。
【0176】
反応温度は、通常-10~40℃、好ましくは0℃~室温である。反応時間は、通常1分~12時間程度であるが、本反応は速やかに進行するため、好ましくは5分~30分である。
【0177】
使用する硫黄求電子剤としては、特に限定されないが、例えば、下記式:
【0178】
【0179】
のいずれかで表される化合物を好適に使用することができる。
硫黄求電子剤の使用量は、化合物(III)またはその塩1モルに対して、通常1.2モル~5モルであり、好ましくは1.5モル~5モルである。
【0180】
反応温度は、通常-10~40℃、好ましくは0℃~室温である。反応時間は、通常10分~12時間程度であるが、本反応は速やかに進行するため、好ましくは10分~30分である。
【0181】
工程(2)-(ii)
本工程は、反応に影響を及ぼさない溶媒中で行なうことができる。反応溶媒としては、特に限定されないが、例えば、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類;テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類;これら2種以上の混合溶媒等が挙げられる。中でも、ニトリル類が好ましく、アセトニトリルがより好ましい。
【0182】
使用する塩基としては、特に限定されないが、例えば、トリエチルアミン、ピリジン、2,6-ジメチルピリジン、2,6-ジtert-ブチルピリジン等の有機塩基類が挙げられる。中でも、ピリジンが好ましい。
塩基の使用量は、化合物(III)またはその塩1モルに対して、通常1モル~過剰量(溶媒と同量)であり、好ましくは3モル~過剰量(溶媒と同量)である。
【0183】
使用するハロゲン化剤としては、特に限定されないが、ヨウ素、四塩化炭素、四臭化炭素、N-クロロスクシンイミド、N-ブロモスクシンイミド等が挙げられる。中でも、四塩化炭素、四臭化炭素、N-クロロスクシンイミドまたはN-ブロモスクシンイミドが好ましく、四塩化炭素がより好ましい。
ハロゲン化剤の使用量は、化合物(III)またはその塩1モルに対して、通常1.5モル~50モルであり、好ましくは10モル~30モルであり、より好ましくは20モルである。
【0184】
使用する化合物(IV)としては、前記式(IV)中のX’’が、ヒドロキシ基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、4位窒素原子が保護基で保護され、さらに置換されていてもよいピペラジノ基または置換されていてもよいジアルキルアミノ基である化合物が挙げられ、中でも、X’’が、ヒドロキシ基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキルスルファニル基、またはジC1-6アルキルアミノ基である化合物が好ましく、X’’が、ジC1-6アルキルアミノ基(例、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ)である化合物がより好ましい。
【0185】
反応温度は、通常-10~40℃、好ましくは0℃~室温である。反応時間は、通常1分~12時間程度であるが、本反応は速やかに進行するため、好ましくは1分~20分、より好ましくは1分~5分である。
【0186】
本発明の製造方法の前記工程(1)で得られる化合物(III)またはその塩は、後処理条件下で分解反応が進行するため不安定であることが確認された。それ故、本発明の製造方法の第二の特徴は、
液相合成(前記式(II)、式(III)および式(V)中のP1が、保護基(例、トリ置換シリル基、疎水性保護基等)であり、かつ工程(1)および(2)が有機溶媒中の反応)の場合、前記工程(1)および工程(2)を、化合物(III)またはその塩を単離精製することなく、ワンポットで行う(ワンポット合成する)こと、または
固相合成(前記式(II)、式(III)および式(V)中のP1が、固相担体を有する基である反応)の場合、前記工程(1)の後に、化合物(III)またはその塩を、過剰の残留試薬を取り除くための溶媒による洗浄操作のみにより単離し、前記工程(2)に供すること
である。
上記操作により、化合物(III)またはその塩の分解や副反応によるロスを抑えることが出来、さらに後述する単離工程(固液分離、抽出または溶媒による洗浄)を行うことにより、収率良く化合物(V)またはその塩を得ることができる。
【0187】
本発明の製造方法では、前記工程(2)の後に、さらに、化合物(V)またはその塩の基Rを除去する工程(工程(3))を含んでもよい。
【0188】
工程(3)(一時保護基の除去)
工程(3)は、化合物(V)またはその塩の一時保護基である基Rを除去する工程である。
【0189】
化合物(V)またはその塩の3’-末端のモルフォリン環窒素原子の保護基として用いることができる一時保護基Rとしては、酸性条件下で除去可能であり、アミノ基の保護基として用いられるものであれば、特に限定はされないが、例えば、トリチル基、9-フェニル-9-キサンテニル基、9-フェニル-9-チオキサンテニル基、1,1-ビス(4-メトキシフェニル)-1-フェニルメチル基(本明細書中「ジメトキシトリチル基」と記載することがある)等のビス(C1-6アルコキシ)トリチル基、1-(4-メトキシフェニル)-1,1-ジフェニルメチル基(本明細書中「モノメトキシトリチル基」と記載することがある)等のモノ(C1-18アルコキシ)トリチル基等が挙げられる。脱保護の容易さ等の観点から、当該一時保護基は、好ましくはトリチル基、ジメトキシトリチル基またはモノメトキシトリチル基であり、より好ましくはトリチル基である。
【0190】
工程(3)では、工程(2)で得られる化合物(V)またはその塩に酸を添加して、化合物(V)またはその塩の3’-末端のモルフォリン環窒素原子の一時保護基Rを除去して、3’-末端が保護されていないモルフォリノオリゴヌクレオチド(下記化合物(VI))を形成する。酸は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0191】
【0192】
使用する酸としては、一時保護基を良好に除去できれば特に限定されないが、例えば、トリフルオロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリクロロ酢酸、メタンスルホン酸、塩酸、酢酸、p-トルエンスルホン酸等が挙げられる。良好な一時保護基の除去の観点から、トリフルオロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリクロロ酢酸がより好ましく、トリフルオロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸がさらに好ましく、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸がさらに一層好ましく、トリフルオロ酢酸が特に好ましい。
酸の使用量は、化合物(V)またはその塩1モルに対し、通常1モル~100モル、好ましくは1モル~40モルである。
【0193】
本工程は、反応に影響を及ぼさない溶媒中で行なうことができる。反応溶媒としては、特に限定されないが、例えば、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類;テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類;これら2種以上の混合溶媒等が挙げられる。中でも、ハロゲン化炭化水素類が好ましく、ジクロロメタンがより好ましい。
【0194】
反応温度は、反応が進行しさえすれば特に限定されないが、例えば-10℃~50℃、好ましくは0℃~40℃である。反応時間は、使用する化合物(V)またはその塩、酸の種類および非極性溶媒の種類、反応温度等により異なるが、例えば5分~6時間である。
【0195】
化合物(V)またはその塩の一時保護基の除去前、その間または除去後に、カチオン捕捉剤を溶液に添加することが好ましい。すなわち、一時保護基の除去をカチオン捕捉剤の存在下で行うか、または一時保護基の除去後に反応液にカチオン捕捉剤を添加することが好ましい。カチオン捕捉剤は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0196】
カチオン捕捉剤としては、除去された一時保護基による再保護または脱保護された官能基への副反応が進行しなければ、特に限定されないが、ピロール、2-メチルピロール、3-メチルピロール、2,3-ジメチルピロール、2,4-ジメチルピロール等のピロール誘導体;インドール、3-メチルインドール、4-メチルインドール、5-メチルインドール、6-メチルインドール、7-メチルインドール、5,6-ジメチルインドール、6,7-ジメチルインドール、5-メトキシインドール等のインドール誘導体;2-メチルフラン、2,3-ジメチルフラン、2-メチル-3-(メチルチオ)フラン、メントフラン等のフラン誘導体を使用することができる。カチオン捕捉剤の使用量は、前記化合物(V)またはその塩1モルに対して、好ましくは1モル~50モル、より好ましくは5モル~20モルである。
【0197】
本工程では、一時保護基の除去に使用した酸を中和するために、脱保護反応後の溶液に塩基を添加する工程をさらに含んでいてもよい。但し、後述する単離工程(固液分離、抽出または溶媒による洗浄)を行うことによって、本工程(3)で使用した酸を化合物(VI)またはその塩から除去することができるため、中和は必須ではない。
【0198】
塩基は1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。塩基としては、特に限定されないが、例えば、ピリジン、2,4,6-トリメチルピリジン、ベンズイミダゾール、1,2,4-トリアゾール、N-フェニルイミダゾール、2-アミノ-4,6-ジメチルピリミジン、1,10-フェナントロリン、イミダゾール、N-メチルイミダゾール、2-クロロベンズイミダゾール、2-ブロモベンズイミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-フェニルベンズイミダゾール、N-フェニルベンズイミダゾール、5-ニトロベンズイミダゾール等の有機塩基、および炭酸水素ナトリウム等の無機塩基が挙げられる。これらの中で、ピリジン、2,4,6-トリメチルピリジン、ベンズイミダゾール、1,2,4-トリアゾール、N-フェニルイミダゾール、N-メチルイミダゾール、2-アミノ-4,6-ジメチルピリミジン、1,10-フェナントロリン、または炭酸水素ナトリウムが好ましく、ピリジン、2,4,6-トリメチルピリジン、ベンズイミダゾール、1,2,4-トリアゾール、N-フェニルイミダゾール、または炭酸水素ナトリウムがより好ましく、ピリジン、2,4,6-トリメチルピリジン、ベンズイミダゾール、1,2,4-トリアゾール、または炭酸水素ナトリウムがさらに好ましく、ピリジン、2,4,6-トリメチルピリジン、ベンズイミダゾール、または炭酸水素ナトリウムが特に好ましい。
【0199】
中和における塩基の使用量は、工程(3)における酸の使用量1モルに対して、好ましくは1モル~10モルであり、より好ましくは1モル~3モルである。
【0200】
単離工程
工程(2)、(3)で得られる化合物(V)または化合物(VI)、あるいはそれらの塩は、基P1の種類に応じて、固液分離、抽出または溶媒洗浄を行うことにより効率よく単離することができる。
【0201】
(固液分離または抽出)
基P1が、前記した保護基(例、トリ置換シリル基、疎水性保護基等)である場合には、化合物(V)または化合物(VI)、あるいはそれらの塩を含む反応溶液(すなわち、前記工程(2)または工程(3)後の反応溶液)に極性溶媒を添加し、前記化合物(V)または化合物(VI)、あるいはそれらの塩を析出させて、それらを単離するか(固液分離)、または反応溶液に極性溶媒を添加し、極性溶媒-非極性溶媒間で分層させ、非極性溶媒層に化合物(V)または化合物(VI)、あるいはそれらの塩を移行させて抽出することにより単離することができる。
【0202】
固液分離で使用する極性溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類;アセトン、2-ブタノン等のケトン類;1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン等の極性エーテル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;水等が挙げられる。極性溶媒は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ニトリル類が好ましく、アセトニトリルがより好ましい。
【0203】
前記化合物(V)または化合物(VI)の回収率を高めるために、固液分離における極性溶媒の添加量は、溶液中に含まれる非極性溶媒1mLに対して、好ましくは1mL~20mL、より好ましくは5mL~20mL、さらに好ましくは5mL~10mLである。
【0204】
前記化合物(V)または化合物(VI)の回収率を高めるために、国際公開第2016/117663号に記載されているような沈殿促進剤(例えば、3,4,5-トリス(オクタデシルオキシ)ベンジルピバレート)を使用してもよい。
【0205】
析出した化合物(V)または化合物(VI)は、濾過等の公知の手段によって回収することができる。
【0206】
基P1の種類により固液分離できない場合には、抽出操作により単離することも可能である。抽出の操作は、特に限定されないが、好ましくは、化合物(V)または化合物(VI)を含む反応溶液に極性溶媒を添加して、極性溶媒-非極性溶媒間で分層させ、非極性溶媒層に化合物(V)または化合物(VI)を移行させることによって行われる。この抽出によって、残存する原料、副生成物等の不純物を極性溶媒層に移行させ、除去することができる。
【0207】
抽出で使用される極性溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類;アセトン、2-ブタノン等のケトン類;1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン等の極性エーテル類;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピペリドン等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;水等、並びにこれら2種以上の混合溶媒が挙げられる。中でも、アミド類、ニトリル類、およびこれらの組合せが好ましく、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、またはこれらの組合せがより好適に使用される。これらの中でも、ニトリル類が好ましく、アセトニトリルがより好ましい。
【0208】
抽出で使用される極性溶媒は、非極性溶媒との分層性を向上させるために水を含んでいてもよい。この場合、極性溶媒中の水の含有量は、1~10%(v/v)が好ましく、3~8%(v/v)がより好ましい。水の含有量が低すぎる場合は、分層性があまり向上しない場合があり、水の含有量が高すぎる場合は、不純物の極性溶媒に対する溶解度が下がり、その除去効率が低下する傾向がある。
【0209】
抽出のために必要に応じて、極性溶媒と共に、非極性溶媒を反応液に添加してもよい。非極性溶媒は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。必要に応じて添加される非極性溶媒としては、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸イソプロピル等のエステル類;ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、オクタン、ノナン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;ジエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル等の非極性エーテル類等が挙げられる。これらの中でも、芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類、またはこれらの組合せが好ましく、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、ノナン、シクロヘキサンまたは、これらの組合せ等が好ましく、トルエン、ヘプタン、ノナンまたは、これらの組合せがより好ましく、トルエン、ヘプタンまたは、これらの組合せがさらに好ましく、ヘプタンが特に好ましい。
【0210】
極性溶媒-非極性溶媒間で分層後に、極性溶媒層を除く操作によって、不純物を除去することができる。極性溶媒層を除いた非極性溶媒層に、さらに極性溶媒を添加し、攪拌し、分層させた後、極性溶媒を除く操作を行うことによって、さらに不純物の量を低減させてもよい。
【0211】
1回の抽出操作のために用いられる極性溶媒の量は、非極性溶媒1mLに対して、好ましくは0.1mL~10mL、より好ましくは0.2mL~5mL、さらに好ましくは0.2mL~1mLである。
【0212】
得られた非極性溶媒層を濃縮することによって、化合物(V)または化合物(VI)を単離することができる。
【0213】
(溶媒洗浄)
基P1が、前記した固相担体を有する基である場合には、工程(1)、工程(2)または工程(3)の後に、化合物(V)または化合物(VI)、あるいはそれらの塩を含む反応溶液を濾過後、副生成物、不純物、および/または過剰の試薬を取り除くために、溶媒で洗浄する操作のみにより単離することができる。
【0214】
洗浄に使用する溶媒としては、特に限定されないが、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類;アセトン、2-ブタノン、N-メチル-2-ピロリドン等のケトン類;1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類等が挙げられる。中でも、アセトニトリルが好ましい。
【0215】
前記工程(1)~(3)(好ましくは工程(1)~(3)および単離工程)により得られる化合物(VI)またはその塩を、前記工程(1)の化合物(II)またはその塩として使用して、前記工程(1)~(3)を繰り返すことによって、モルフォリノオリゴヌクレオチド鎖を高純度および高収率で伸長させることができる。このような繰り返しを含むモルフォリノオリゴヌクレオチドの製造方法も、本発明の製造方法に包含される。
【0216】
工程(4)(脱保護)
本発明の製造方法においては、前記工程(3)の後に、得られたモルフォリノオリゴヌクレオチド(化合物(VI))の保護基P1を、公知の方法によって除去する工程を含んでいてもよい。また、必要に応じて、保護基P1以外の、核酸塩基の保護基やインターヌクレオチド部位のリン酸基の保護基も併せて除去する脱保護条件を選択することもできる。脱保護の方法としては、例えば、グリーンズ・プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Greene’s PROTECTIVE GROUPS in ORGANIC SYNTHESIS)、第4版、ウィリー・インターサイエンス(Wiley-Interscience)出版(2006年)等に記載されている各種保護基の脱保護方法、特許文献1~6等に記載の脱保護方法に従い、モルフォリノオリゴヌクレオチドの全ての保護基を除去する工程を行うことができる。具体的には、例えば、保護基P1(基Rを除去し得る条件下では切断されない基(例、トリ置換シリル基、疎水性保護基等))、フェニルアセチル基、フェノキシアセチル基、アセチル基等の核酸塩基の保護基、リン酸基の保護基等は、アンモニア水、アンモニア水/エタノール溶液、またはアンモニア水とメチルアミン水溶液の混合液で処理することにより、全て除去することができる。
【0217】
上記各工程における反応の進行の確認は、液相合成の場合、いずれも一般的な液相有機合成反応と同様の方法を適用できる。すなわち、薄層シリカゲルクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー等を用いて反応を追跡することができる。固相合成の場合は、例えば、工程(3)の一時保護基(例、トリチル基)の除去により生じるトリチルカチオンの量を分光光度計で測定することにより、各工程の収率を決定することができる。
【0218】
工程(3)または工程(4)で得られたモルフォリノオリゴヌクレオチドは、更に有機合成反応を施すことにより、所望のモルフォリノオリゴヌクレオチド誘導体へと導くこともできる。
【0219】
本発明によって製造されたモルフォリノオリゴヌクレオチドは、各種人体用または動物用の医薬品(RNA、DNA、オリゴ核酸医薬、ペプチド修飾モルフォリノオリゴヌクレオチド、等)、機能性食品、特定保健食品、食品、化成品、生体用や工業用の高分子材料、等の各種用途に使用することができる。
【0220】
3.新規化合物
前記した「本発明の原料化合物(化合物(I’))」またはその塩、「本発明の中間体化合物(化合物(III’))」またはその塩、および「本発明の化合物(化合物(V’))」またはその塩は、新規化合物である。以下に、各化合物について説明する。
【0221】
3-1.本発明の原料化合物(化合物(I’))
本発明の原料化合物は、下記式(I’):
【0222】
【0223】
[式中、
R1は、水素原子または一時保護基を表し;
n’は、1以上の任意の整数を表し;
n’+1個のBproは、それぞれ独立して、保護基で保護されていてもよい核酸塩基を表し;
n’個のXは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、置換されていてもよいジアルキルアミノ基、スルファニル基、ヒドロキシ基、ボラノ(BH3)基、置換されていてもよいアルキルボラノ基、4位窒素原子が保護基で保護され、さらに置換されていてもよいピペラジノ基、チオアニオン、またはオキシアニオンを表し;および
M+は、カチオンを表す。]
で表されるモルフォリノオリゴヌクレオチドである。
以下、前記式(I’)中の各基について説明する。
【0224】
R1は、水素原子または一時保護基を表す。
【0225】
R1は、好ましくは、一時保護基であり、より好ましくは酸性条件下で除去可能な一時保護基(例えば、トリチル基、9-フェニル-9-キサンテニル基、9-フェニル-9-チオキサンテニル基、ジメトキシトリチル基等のビス(C1-6アルコキシ)トリチル基、モノメトキシトリチル基等のモノ(C1-18アルコキシ)トリチル基等)が挙げられる。脱保護の容易さ等の観点から、トリチル基、ジメトキシトリチル基またはモノメトキシトリチル基がさらに好ましく、トリチル基が特に好ましい。
【0226】
n’は、1以上の任意の整数を表す。
【0227】
n’は、好ましくは1以上200以下の任意の整数であり、より好ましくは1以上50以下の任意の整数であり、さらに好ましくは1以上30以下の任意の整数である。
【0228】
Xは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、置換されていてもよいジアルキルアミノ基、スルファニル基、ヒドロキシ基、ボラノ(BH3)基、置換されていてもよいアルキルボラノ基、4位窒素原子が保護基で保護され、さらに置換されていてもよいピペラジノ基、チオアニオン、またはオキシアニオンを表す。
【0229】
Xは、好ましくは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、置換されていてもよいジアルキルアミノ基、スルファニル基、ヒドロキシ基、ボラノ(BH3)基、チオアニオン、またはオキシアニオンであるか、あるいは、それぞれ独立して、スルファニル基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、チオアニオン、ボラノ(BH3)基、または置換されていてもよいアルキルボラノ基であり、より好ましくは、それぞれ独立して、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキルスルファニル基、C1-6ジアルキルアミノ基、スルファニル基、ヒドロキシ基、ボラノ(BH3)基、チオアニオン、またはオキシアニオンであるか、あるいは、それぞれ独立して、スルファニル基、C1-6アルキルスルファニル基、チオアニオン、ボラノ(BH3)基、またはC1-6アルキルボラノ基であり、さらに好ましくは、それぞれ独立して、C1-6アルキルスルファニル基、C1-6ジアルキルアミノ基、ボラノ(BH3)基またはチオアニオンであるか、あるいは、それぞれ独立して、C1-6アルキルスルファニル基、スルファニル基、チオアニオン、またはボラノ(BH3)基である。
【0230】
M+は、カチオンを表す。
【0231】
M+は、好ましくは、第3級アンモニウムイオンまたはアルカリ金属イオンであり、より好ましくは、第3級アンモニウムイオンであり、さらに好ましくは、トリエチルアンモニウムイオン(HEt3N+)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エニウムイオン(HDBN+)または1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エニウムイオン(HDBU+)であり、特に好ましくは、トリエチルアンモニウムイオン(HEt3N+)または1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エニウムイオン(HDBU+)である。
【0232】
化合物(I’)またはその塩としては、以下の化合物が好適である。
[化合物(I’A)]
R1が、一時保護基であり;
n’が、1以上200以下の任意の整数であり;
n’+1個のBproが、それぞれ独立して、保護基で保護されていてもよい核酸塩基であり;
n’個のXが、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、置換されていてもよいジアルキルアミノ基、スルファニル基、ヒドロキシ基、ボラノ(BH3)基、チオアニオン、またはオキシアニオンであり;および
M+が、第3級アンモニウムイオンまたはアルカリ金属イオンである、
化合物(I’)またはその塩。
【0233】
別の好適な化合物(I’)またはその塩は、以下の化合物である。
[化合物(I’A’)]
R1が、一時保護基であり;
n’が、1以上200以下の任意の整数であり;
n’+1個のBproが、それぞれ独立して、保護基で保護されていてもよい核酸塩基であり;
n’個のXが、それぞれ独立して、スルファニル基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、チオアニオン、ボラノ(BH3)基、または置換されていてもよいアルキルボラノ基であり;および
M+が、第3級アンモニウムイオンまたはアルカリ金属イオンである、
化合物(I’)またはその塩。
【0234】
より好適な化合物(I’)またはその塩は、以下の化合物である。
[化合物(I’B)]
R1が、酸性条件下で除去可能な一時保護基(例えば、トリチル基、9-フェニル-9-キサンテニル基、9-フェニル-9-チオキサンテニル基、ジメトキシトリチル基等のビス(C1-6アルコキシ)トリチル基、モノメトキシトリチル基等のモノ(C1-18アルコキシ)トリチル基等)であり;
n’が、1以上50以下の任意の整数であり;
n’+1個のBproが、それぞれ独立して、保護基で保護されていてもよい核酸塩基であり;
n’個のXが、それぞれ独立して、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキルスルファニル基、C1-6ジアルキルアミノ基、スルファニル基、ヒドロキシ基、ボラノ(BH3)基、チオアニオン、またはオキシアニオンであり;および
M+が、第3級アンモニウムイオン(好ましくは、トリエチルアンモニウムイオン(HEt3N+)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エニウムイオン(HDBN+)または1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エニウムイオン(HDBU+))である、
化合物(I’)またはその塩。
【0235】
別のより好適な化合物(I’)またはその塩は、以下の化合物である。
[化合物(I’B’)]
R1が、酸性条件下で除去可能な一時保護基(例えば、トリチル基、9-フェニル-9-キサンテニル基、9-フェニル-9-チオキサンテニル基、ジメトキシトリチル基等のビス(C1-6アルコキシ)トリチル基、モノメトキシトリチル基等のモノ(C1-18アルコキシ)トリチル基等)であり;
n’が、1以上50以下の任意の整数であり;
n’+1個のBproが、それぞれ独立して、保護基で保護されていてもよい核酸塩基であり;
n’個のXが、それぞれ独立して、C1-6アルキルスルファニル基、スルファニル基、チオアニオン、ボラノ(BH3)基、またはC1-6アルキルボラノ基であり;および
M+が、第3級アンモニウムイオン(好ましくは、トリエチルアンモニウムイオン(HEt3N+)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エニウムイオン(HDBN+)または1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エニウムイオン(HDBU+))である、
化合物(I’)またはその塩。
【0236】
さらに好適な化合物(I’)またはその塩は、以下の化合物である。
[化合物(I’C)]
R1が、トリチル基、ジメトキシトリチル基またはモノメトキシトリチル基(好ましくは、トリチル基)であり;
n’が、1以上30以下の任意の整数であり;
n’+1個のBproが、それぞれ独立して、保護基で保護されていてもよい核酸塩基であり;
n’個のXが、それぞれ独立して、C1-6アルキルスルファニル基、C1-6ジアルキルアミノ基、ボラノ(BH3)基、またはチオアニオンであり;および
M+が、トリエチルアンモニウムイオン(HEt3N+)または1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エニウムイオン(HDBU+)である、
化合物(I’)またはその塩。
【0237】
別のさらに好適な化合物(I’)またはその塩は、以下の化合物である。
[化合物(I’C’)]
R1が、トリチル基、ジメトキシトリチル基またはモノメトキシトリチル基(好ましくは、トリチル基)であり;
n’が、1以上30以下の任意の整数であり;
n’+1個のBproが、それぞれ独立して、保護基で保護されていてもよい核酸塩基であり;
n’個のXが、それぞれ独立して、C1-6アルキルスルファニル基、スルファニル基、チオアニオン、またはボラノ(BH3)基であり;および
M+が、トリエチルアンモニウムイオン(HEt3N+)または1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エニウムイオン(HDBU+)である、
化合物(I’)またはその塩。
【0238】
(本発明の原料化合物(化合物(I’))またはその塩の製造方法)
化合物(I’)またはその塩は、下記スキームに示されるように、化合物(1-n’)を、塩基存在下、イミダゾールおよび三塩化リンと反応(工程-1)後、塩形成させることにより合成することができる。具体的には、例えば、M+が、トリエチルアンモニウムイオンである化合物(I’)は、工程-1の後、トリエチルアミン重炭酸塩緩衝溶液と反応(工程-2)させることにより合成することができる。また、M+が、トリエチルアンモニウムイオン以外である化合物(I’)は、工程-2の後に、所望のカチオン種(M+)への塩交換(工程-3)を行うことにより合成することができる。
【0239】
【0240】
本反応は、反応に影響を及ぼさない溶媒中で行なうことができる。反応溶媒としては、特に限定されないが、例えば、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類等が挙げられる。中でも、ジクロロメタン中で行うのが好ましい。
【0241】
使用する塩基としては、特に限定されないが、例えば、トリエチルアミン、ピリジン、2,6-ジメチルピリジン、2,6-ジtert-ブチルピリジン、N-メチルモルフォリン、N-エチルモルフォリン等の有機塩基類が挙げられる。中でも、トリエチルアミンまたはN-メチルモルフォリンが好ましい。
塩基の使用量は、化合物(1-n’)またはその塩1モルに対して、通常1モル~過剰量(溶媒量)であり、好ましくは5モル~過剰量(溶媒量)である。
【0242】
トリエチルアミン重炭酸塩緩衝溶液の使用量は、化合物(1-n’)またはその塩1モルに対して、通常過剰量(溶媒量)である。
【0243】
塩交換に使用する塩としては、特に限定されないが、安定性と取扱い易さの観点から、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)重炭酸塩が好ましい。
DBU重炭酸塩の使用量は、化合物(1-n’)またはその塩1モルに対して、通常過剰量(溶媒量)である。
【0244】
工程-1の反応温度は、通常-78~40℃、好ましくは-78℃~室温であり、反応時間は、通常-78℃で2~4時間、その後、室温で1~3時間程度である。
工程-2の反応温度は、通常0~40℃、好ましくは室温であり、反応時間は、通常1分~1時間程度である。
工程-3の反応温度は、通常室温であり、反応時間は、通常0.5~2時間程度である。
【0245】
3-2.本発明の中間体化合物(化合物(III’))
本発明の中間体化合物は、下記式(III’):
【0246】
【0247】
[式中、
R1は、水素原子または一時保護基を表し;
nは、0以上の任意の整数を表し;
mは、0以上の任意の整数を表し;
Bproは、それぞれ独立して、保護基で保護されていてもよい核酸塩基を表し;
m個のX1およびn個のX2は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、置換されていてもよいジアルキルアミノ基、スルファニル基、ヒドロキシ基、ボラノ(BH3)基、置換されていてもよいアルキルボラノ基、4位窒素原子が保護基で保護され、さらに置換されていてもよいピペラジノ基、チオアニオン、またはオキシアニオンを表し;ならびに
P1は、保護基、または固相担体を有する基を表す。
但し、P1は、基R1が一時保護基である場合、R1を除去し得る条件下では切断されない基を表し、nおよびmが、ともに0であるものを除く。]
で表されるモルフォリノオリゴヌクレオチドである。
以下、前記式(III’)中の各基について説明する。
【0248】
R1は、水素原子または一時保護基を表す。
【0249】
R1は、好ましくは、一時保護基であり、より好ましくは酸性条件下で除去可能な一時保護基(例えば、トリチル基、9-フェニル-9-キサンテニル基、9-フェニル-9-チオキサンテニル基、ジメトキシトリチル基等のビス(C1-6アルコキシ)トリチル基、モノメトキシトリチル基等のモノ(C1-18アルコキシ)トリチル基等)が挙げられる。脱保護の容易さ等の観点から、トリチル基、ジメトキシトリチル基またはモノメトキシトリチル基がさらに好ましく、トリチル基が特に好ましい。
【0250】
nは、0以上の任意の整数を表す。
【0251】
nは、好ましくは0以上200以下の任意の整数であり、より好ましくは0以上50以下の任意の整数であり、さらに好ましくは0以上30以下の任意の整数である。
【0252】
mは、0以上の任意の整数を表す。
【0253】
mは、好ましくは0以上200以下の任意の整数であり、より好ましくは0以上50以下の任意の整数であり、さらに好ましくは0以上30以下の任意の整数である。
【0254】
m個のX1およびn個のX2は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、置換されていてもよいジアルキルアミノ基、スルファニル基、ヒドロキシ基、ボラノ(BH3)基、置換されていてもよいアルキルボラノ基、チオアニオン、またはオキシアニオンを表す。
【0255】
m個のX1およびn個のX2は、好ましくは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、置換されていてもよいジアルキルアミノ基、スルファニル基、ヒドロキシ基、ボラノ(BH3)基、チオアニオン、またはオキシアニオンであるか、あるいは、それぞれ独立して、スルファニル基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、チオアニオン、ボラノ(BH3)基、または置換されていてもよいアルキルボラノ基であり、より好ましくは、それぞれ独立して、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキルスルファニル基、C1-6ジアルキルアミノ基、スルファニル基、ヒドロキシ基、ボラノ(BH3)基、チオアニオン、またはオキシアニオンであるか、あるいは、それぞれ独立して、スルファニル基、C1-6アルキルスルファニル基、チオアニオン、ボラノ(BH3)基、またはC1-6アルキルボラノ基であり、さらに好ましくは、それぞれ独立して、C1-6アルキルスルファニル基、C1-6ジアルキルアミノ基、ボラノ(BH3)基、またはチオアニオンであるか、あるいは、それぞれ独立して、C1-6アルキルスルファニル基、スルファニル基、チオアニオン、またはボラノ(BH3)基である。
【0256】
P1は、保護基、または固相担体を有する基を表す。
【0257】
P1は、好ましくは、保護基、または、固相担体が前記「リンカー」を介して、または介さないで結合した下記式:
【0258】
【0259】
(式中、**は、固相担体、または固相担体が結合した前記「リンカー」との結合位置を表し;
*は、酸素原子との結合位置を表し;
LおよびYは、前記と同義を表す。)
で表される基(より好ましくは、スクシニル基、スクシニル-1,4-ピペラジンジイル基)であり、さらに好ましくは、保護基(好ましくは、トリ置換シリル基または疎水性保護基)である。
【0260】
化合物(III’)またはその塩としては、以下の化合物が好適である。
[化合物(III’A)]
R1が、一時保護基であり;
nが、0以上200以下の任意の整数であり;
mが、0以上200以下の任意の整数であり;
n+m+2個のBproが、それぞれ独立して、保護基で保護されていてもよい核酸塩基であり;
m個のX1およびn個のX2が、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、置換されていてもよいジアルキルアミノ基、スルファニル基、ヒドロキシ基、ボラノ(BH3)基、チオアニオン、またはオキシアニオンであり;ならびに
P1が、保護基、または、固相担体が、前記「リンカー」を介して、または介さないで結合した下記式:
【0261】
【0262】
(式中、**は、固相担体、または固相担体が結合した前記「リンカー」との結合位置を表し;
*は、酸素原子との結合位置を表し;
LおよびYは、前記と同義を表す。)
で表される基である(但し、P1は、基R1を除去し得る条件下では切断されない基を表し、nおよびmが、ともに0であるものを除く。)、
化合物(III’)またはその塩。
【0263】
別の好適な化合物(III’)またはその塩は、以下の化合物である。
[化合物(III’A’)]
R1が、一時保護基であり;
nが、0以上200以下の任意の整数であり;
mが、0以上200以下の任意の整数であり;
n+m+2個のBproが、それぞれ独立して、保護基で保護されていてもよい核酸塩基であり;
m個のX1およびn個のX2が、それぞれ独立して、それぞれ独立して、スルファニル基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、チオアニオン、ボラノ(BH3)基、または置換されていてもよいアルキルボラノ基であり;ならびに
P1が、保護基、または、固相担体が、前記「リンカー」を介して、または介さないで結合した下記式:
【0264】
【0265】
(式中、**は、固相担体、または固相担体が結合した前記「リンカー」との結合位置を表し;
*は、酸素原子との結合位置を表し;
LおよびYは、前記と同義を表す。)
で表される基である(但し、P1は、基R1を除去し得る条件下では切断されない基を表し、nおよびmが、ともに0であるものを除く。)、
化合物(III’)またはその塩。
【0266】
より好適な化合物(III’)またはその塩は、以下の化合物である。
[化合物(III’B)]
R1が、一時保護基であり;
nが、0以上50以下の任意の整数であり;
mが、0以上50以下の任意の整数であり;
n+m+2個のBproが、それぞれ独立して、保護基で保護されていてもよい核酸塩基であり;
m個のX1およびn個のX2が、それぞれ独立して、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキルスルファニル基、C1-6ジアルキルアミノ基、スルファニル基、ヒドロキシ基、ボラノ(BH3)基、チオアニオン、またはオキシアニオンであり;ならびに
P1が、保護基、または、固相担体が前記「リンカー」を介して、または介さないで結合した、スクシニル基またはスクシニル-1,4-ピペラジンジイル基である(但し、P1は、基R1を除去し得る条件下では切断されない基を表し、nおよびmが、ともに0であるものを除く。)、
化合物(III’)またはその塩。
【0267】
別のより好適な化合物(III’)またはその塩は、以下の化合物である。
[化合物(III’B’)]
R1が、一時保護基であり;
nが、0以上50以下の任意の整数であり;
mが、0以上50以下の任意の整数であり;
n+m+2個のBproが、それぞれ独立して、保護基で保護されていてもよい核酸塩基であり;
m個のX1およびn個のX2が、それぞれ独立して、スルファニル基、C1-6アルキルスルファニル基、チオアニオン、ボラノ(BH3)基、またはC1-6アルキルボラノ基であり;ならびに
P1が、保護基、または、固相担体が前記「リンカー」を介して、または介さないで結合した、スクシニル基またはスクシニル-1,4-ピペラジンジイル基である(但し、P1は、基R1を除去し得る条件下では切断されない基を表し、nおよびmが、ともに0であるものを除く。)、
化合物(III’)またはその塩。
【0268】
さらに好適な化合物(III’)またはその塩は、以下の化合物である。
[化合物(III’C)]
R1が、一時保護基であり;
nが、0以上30以下の任意の整数であり;
mが、0以上30以下の任意の整数であり;
n+m+2個のBproが、それぞれ独立して、保護基で保護されていてもよい核酸塩基であり;
m個のX1およびn個のX2が、それぞれ独立して、C1-6アルキルスルファニル基、C1-6ジアルキルアミノ基(例、ジメチルアミノ基)、ボラノ(BH3)基、またはチオアニオンであり;ならびに
P1が、保護基(好ましくは、トリ置換シリル基または疎水性保護基)である(但し、P1は、基R1を除去し得る条件下では切断されない基を表し、nおよびmが、ともに0であるものを除く。)、
化合物(III’)またはその塩。
【0269】
別のさらに好適な化合物(III’)またはその塩は、以下の化合物である。
[化合物(III’C’)]
R1が、一時保護基であり;
nが、0以上30以下の任意の整数であり;
mが、0以上30以下の任意の整数であり;
n+m+2個のBproが、それぞれ独立して、保護基で保護されていてもよい核酸塩基であり;
m個のX1およびn個のX2が、それぞれ独立して、C1-6アルキルスルファニル基、スルファニル基、チオアニオン、またはボラノ(BH3)基であり;ならびに
P1が、保護基(好ましくは、トリ置換シリル基または疎水性保護基)である(但し、P1は、基R1を除去し得る条件下では切断されない基を表し、nおよびmが、ともに0であるものを除く。)、
化合物(III’)またはその塩。
【0270】
3-3.本発明の化合物(V’)
本発明の化合物(V’)またはその塩は、下記式(V’):
【0271】
【0272】
[式中、
R1は、水素原子または一時保護基を表し;
nは、0以上の任意の整数を表し;
mは、0以上の任意の整数を表し;
Bproは、それぞれ独立して、保護基で保護されていてもよい核酸塩基を表し;
m個のX1、n個のX2、およびX3は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、置換されていてもよいジアルキルアミノ基、スルファニル基、ヒドロキシ基、ボラノ(BH3)基、置換されていてもよいアルキルボラノ基、4位窒素原子が保護基で保護され、さらに置換されていてもよいピペラジノ基、チオアニオン、またはオキシアニオンを表し;ならびに
P1は、保護基、または固相担体を有する基を表す。
但し、P1は、基R1が一時保護基である場合、R1を除去し得る条件下では切断されない基を表し、X1、X2およびX3が、すべてジメチルアミノ基である場合を除く。]
で表されるモルフォリノオリゴヌクレオチドである。
以下、前記式(V’)中の各基について説明する。
【0273】
R1は、水素原子または一時保護基を表す。
【0274】
R1は、好ましくは、一時保護基であり、より好ましくは酸性条件下で除去可能な一時保護基(例えば、トリチル基、9-フェニル-9-キサンテニル基、9-フェニル-9-チオキサンテニル基、ジメトキシトリチル基等のビス(C1-6アルコキシ)トリチル基、モノメトキシトリチル基等のモノ(C1-18アルコキシ)トリチル基等)が挙げられる。脱保護の容易さ等の観点から、トリチル基、ジメトキシトリチル基、またはモノメトキシトリチル基がさらに好ましく、トリチル基が特に好ましい。
【0275】
nは、0以上の任意の整数を表す。
【0276】
nは、好ましくは0以上200以下の任意の整数であり、より好ましくは0以上50以下の任意の整数であり、さらに好ましくは0以上30以下の任意の整数である。
【0277】
mは、0以上の任意の整数を表す。
【0278】
mは、好ましくは0以上200以下の任意の整数であり、より好ましくは0以上50以下の任意の整数であり、さらに好ましくは0以上30以下の任意の整数である。
【0279】
m個のX1、n個のX2、およびX3は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、置換されていてもよいジアルキルアミノ基、スルファニル基、ヒドロキシ基、ボラノ(BH3)基、置換されていてもよいアルキルボラノ基、チオアニオン、またはオキシアニオンを表す。
【0280】
m個のX1、n個のX2、およびX3は、好ましくは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、置換されていてもよいジアルキルアミノ基、スルファニル基、ヒドロキシ基、ボラノ(BH3)基、チオアニオン、またはオキシアニオンであるか、あるいは、それぞれ独立して、スルファニル基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、チオアニオン、ボラノ(BH3)基、または置換されていてもよいアルキルボラノ基であり、より好ましくは、それぞれ独立して、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキルスルファニル基、C1-6ジアルキルアミノ基、スルファニル基、ヒドロキシ基、ボラノ(BH3)基、チオアニオン、またはオキシアニオンであるか、あるいは、それぞれ独立して、スルファニル基、C1-6アルキルスルファニル基、チオアニオン、ボラノ(BH3)基、またはC1-6アルキルボラノ基であり、さらに好ましくは、それぞれ独立して、C1-6アルキルスルファニル基、C1-6ジアルキルアミノ基、ボラノ(BH3)基、またはチオアニオンであるか、あるいは、それぞれ独立して、C1-6アルキルスルファニル基、スルファニル基、チオアニオン、またはボラノ(BH3)基である。
【0281】
P1は、保護基、または固相担体を有する基を表す。
【0282】
P1は、好ましくは、保護基、または、固相担体が前記「リンカー」を介して、または介さないで結合した下記式:
【0283】
【0284】
(式中、**は、固相担体、または固相担体が結合した前記「リンカー」との結合位置を表し;
*は、酸素原子との結合位置を表し;
LおよびYは、前記と同義を表す。)
で表される基(より好ましくは、スクシニル基、スクシニル-1,4-ピペラジンジイル基)であり、さらに好ましくは、保護基(好ましくは、トリ置換シリル基または疎水性保護基)である。
【0285】
化合物(V’)またはその塩としては、以下の化合物が好適である。
[化合物(V’A)]
R1が、一時保護基であり;
nが、0以上200以下の任意の整数であり;
mが、0以上200以下の任意の整数であり;
n+m+2個のBproが、それぞれ独立して、保護基で保護されていてもよい核酸塩基であり;
m個のX1、n個のX2、およびX3が、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、置換されていてもよいジアルキルアミノ基、スルファニル基、ヒドロキシ基、ボラノ(BH3)基、チオアニオン、またはオキシアニオンであり;ならびに
P1は、保護基、または、固相担体が前記「リンカー」を介して、または介さないで結合した下記式:
【0286】
【0287】
(式中、**は、固相担体、または固相担体が結合した前記「リンカー」との結合位置を表し;
*は、酸素原子との結合位置を表し;
LおよびYは、前記と同義を表す。)
で表される基である(但し、P1は、基R1を除去し得る条件下では切断されない基を表し、X1、X2およびX3が、すべてジメチルアミノ基である場合を除く。)、
化合物(V’)またはその塩。
【0288】
別の好適な化合物(V’)またはその塩は、以下の化合物である。
[化合物(V’A’)]
R1が、一時保護基であり;
nが、0以上200以下の任意の整数であり;
mが、0以上200以下の任意の整数であり;
n+m+2個のBproが、それぞれ独立して、保護基で保護されていてもよい核酸塩基であり;
m個のX1、n個のX2、およびX3が、それぞれ独立して、スルファニル基、置換されていてもよいアルキルスルファニル基、チオアニオン、ボラノ(BH3)基、または置換されていてもよいアルキルボラノ基であり;ならびに
P1は、保護基、または、固相担体が前記「リンカー」を介して、または介さないで結合した下記式:
【0289】
【0290】
(式中、**は、固相担体、または固相担体が結合した前記「リンカー」との結合位置を表し;
*は、酸素原子との結合位置を表し;
LおよびYは、前記と同義を表す。)
で表される基である(但し、P1は、基R1を除去し得る条件下では切断されない基を表し、X1、X2およびX3が、すべてジメチルアミノ基である場合を除く。)、
化合物(V’)またはその塩。
【0291】
より好適な化合物(V’)またはその塩は、以下の化合物である。
[化合物(V’B)]
R1が、一時保護基であり;
nが、0以上50以下の任意の整数であり;
mが、0以上50以下の任意の整数であり;
n+m+2個のBproが、それぞれ独立して、保護基で保護されていてもよい核酸塩基であり;
m個のX1、n個のX2、およびX3が、それぞれ独立して、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキルスルファニル基、C1-6ジアルキルアミノ基、スルファニル基、ヒドロキシ基、ボラノ(BH3)基、チオアニオン、またはオキシアニオンであり;ならびに
P1が、保護基、または、固相担体が前記「リンカー」を介して、または介さないで結合した、スクシニル基またはスクシニル-1,4-ピペラジンジイル基である(但し、P1は、基R1を除去し得る条件下では切断されない基を表し、X1、X2およびX3が、すべてジメチルアミノ基である場合を除く。)、
化合物(V’)またはその塩。
【0292】
別のより好適な化合物(V’)またはその塩は、以下の化合物である。
[化合物(V’B’)]
R1が、一時保護基であり;
nが、0以上50以下の任意の整数であり;
mが、0以上50以下の任意の整数であり;
n+m+2個のBproが、それぞれ独立して、保護基で保護されていてもよい核酸塩基であり;
m個のX1、n個のX2、およびX3が、それぞれ独立して、スルファニル基、C1-6アルキルスルファニル基、チオアニオン、ボラノ(BH3)基、またはC1-6アルキルボラノ基であり;ならびに
P1が、保護基、または、固相担体が前記「リンカー」を介して、または介さないで結合した、スクシニル基またはスクシニル-1,4-ピペラジンジイル基である(但し、P1は、基R1を除去し得る条件下では切断されない基を表し、X1、X2およびX3が、すべてジメチルアミノ基である場合を除く。)、
化合物(V’)またはその塩。
【0293】
さらに好適な化合物(V’)またはその塩は、以下の化合物である。
[化合物(V’C)]
R1が、一時保護基であり;
nが、0以上30以下の任意の整数であり;
mが、0以上30以下の任意の整数であり;
n+m+2個のBproが、それぞれ独立して、保護基で保護されていてもよい核酸塩基であり;
m個のX1、n個のX2、およびX3が、それぞれ独立して、C1-6アルキルスルファニル基、C1-6ジアルキルアミノ基(例、ジメチルアミノ基)、ボラノ(BH3)基、またはチオアニオンであり;ならびに
P1が、保護基(好ましくは、トリ置換シリル基または疎水性保護基)である(但し、P1は、基R1を除去し得る条件下では切断されない基を表し、X1、X2およびX3が、すべてジメチルアミノ基である場合を除く。)、
化合物(V’)またはその塩。
【0294】
別のさらに好適な化合物(V’)またはその塩は、以下の化合物である。
[化合物(V’C’)]
R1が、一時保護基であり;
nが、0以上30以下の任意の整数であり;
mが、0以上30以下の任意の整数であり;
n+m+2個のBproが、それぞれ独立して、保護基で保護されていてもよい核酸塩基であり;
m個のX1、n個のX2、およびX3が、それぞれ独立して、C1-6アルキルスルファニル基、スルファニル基、チオアニオン、またはボラノ(BH3)基であり;ならびに
P1が、保護基(好ましくは、トリ置換シリル基または疎水性保護基)である(但し、P1は、基R1を除去し得る条件下では切断されない基を表し、X1、X2およびX3が、すべてジメチルアミノ基である場合を除く。)、
化合物(V’)またはその塩。
【実施例0295】
以下、実施例等を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例等によって制限を受けるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
各種分析器は以下に示した機種を用いた。
1H-核磁気共鳴スペクトル(1H-NMR):JEOL JNM-ECZ400S(400MHz)
31P-核磁気共鳴スペクトル(31P-NMR):JEOL JNM-ECZ400S(162MHz)
なお、1H-NMRにはテトラメチルシラン(TMS)を内部標準として用い、31P-NMRには85%H3PO4を外部標準として用いた。
【0296】
HRMS(ESI-TOF):Sciex X500R QTOF
カラムクロマトグラフィーに充填するシリカゲルには、KANTO CHEMICALのSilica Gel 60Nを用いた。
逆相HPLCに使用したカラム(分析):waters μ-BOUNDASPHERE,C18 5μm,100Å,3.9mm×150mm
【0297】
以下の実施例等に記載の「室温」とは、「20℃~30℃」を意味する。また、断りのない限り、「%」は質量基準である。
また、以下の実施例等で使用する略号の意味は、以下の通りである。
【0298】
DMF:ジメチルホルムアミド
THF:テトラヒドロフラン
TBDPS:tert-ブチルジフェニルシリル
TBDPSCl:tert-ブチルジフェニルシリルクロリド
Tr:トリチル
Bpro:保護基で保護されていてもよい核酸塩基
bz:ベンゾイル
ib:イソブチリル
CE:2-シアノエチル
Et3N:トリエチルアミン
TFA:トリフルオロ酢酸
DCA:ジクロロ酢酸
TEA:トリエチルアミン
TEAB緩衝溶液:トリエチルアミン重炭酸塩緩衝溶液
TEAA緩衝液:トリエチルアミン-酢酸緩衝液
DBU bicarbonate:1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン重炭酸塩
HBTU:1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-ベンゾトリアゾリウム3-オキシドヘキサフルオロホスファート
PyBOP:ヘキサフルオロリン酸(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリピロリジノホスホニウム
PyNTP:3-ニトロ-1,2,4-トリアゾール-1-イル-トリス(ピロリジン-1-イル)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート
BOPCl:ビス(2-オキソ-3-オキサゾリジニル)ホスフィン酸クロリド
BOMP:2-(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)-1,3-ジメチル-2-ピロリジン-1-イル-1,3,2-ジアザホスホリジニウムヘキサフルオロホスフェート
MNTP:1,3-ジメチル-2-(3-ニトロ-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-ピロリジン-1-イル-1,3,2-ジアザホスホリジニウム ヘキサフルオロホスフェート
TBAF:テトラn-ブチルアンモニウムフルオリド
PMO:ホスホロジアミダート モルフォリノオリゴヌクレオチド
【0299】
実施例、合成例中、モルフォリノオリゴヌクレオチドを記載する際の略号として、例えば、CPHCとは、H-ホスホンアミデート結合を介して、5’末端が保護されたモルフォリノシチジンと3’末端のモルフォリン環の窒素原子が基Rで保護されたモルフォリノシチジンが結合したモルフォリノジヌクレオチドを表し、CPNCとは、N,N-ジメチルアミノ-ホスホロジアミデート結合を介して、5’末端が保護されたモルフォリノシチジンと3’末端のモルフォリン環の窒素原子が基Rで保護されたモルフォリノシチジンが結合したモルフォリノジヌクレオチドを表す。すなわち、大文字A、G、C、T、Uは、モルフォリノヌクレオシドの核酸塩基の種類を表し、大文字の数は、何量体かを表し、また、下付き大文字表記は、インターヌクレオチド部位の結合の種類(例えば、PHは、H-ホスホンアミデート結合を表し、PNは、ホスホロジアミデート結合を表し、PSは、ホスホロチオアミデート結合を表し、PBは、ボラノホスホロアミデート結合を表し、POMeは、O-メチルホスホロアミデート結合を表し、PTは、ホスホロチオモルフォネート結合を表す。ここで、PNおよびPTは、それぞれホスホロジアミデート結合を意味し、リン酸背骨格がジメチルアミノ基により修飾された結合をPNと表し、リン酸背骨格がチオモルフォリノ基により修飾された結合をPTと表す。)を表す。また、右端(すなわち、3’末端)が、例えば、C-NHと表記される場合は、3’末端のモルフォリン環の窒素原子が脱保護されたモルフォリノシチジンが結合状態であることを表す。さらに、左端(すなわち、5’末端)が、例えば、「H-ホスホネート」と表記される場合は、5’末端が、M+O-(例、DBU+HO-、Et3N+HO-等)である状態を表す。具体的には、例えば、「H-ホスホネートCPNC」とは、5’末端が、M+O--(例、DBU+HO-、Et3N+HO-等)であるCPNCを意味する。
【0300】
モルフォリノヌクレオシドの核酸塩基が保護されているとき、保護基は核酸塩基の略号(A、G、C、TおよびU)の右側に上付きで表記するものとする。
例えば、Cbzは、シトシンのアミノ基がベンゾイル基で保護されていることを意味し、Abzは、アデニンのアミノ基がベンゾイル基で保護されていることを意味し、Gib(CE)は、グアニンのアミノ基がイソブチリル基で保護され、かつO6位が2-シアノエチル基で保護されていることを意味する。
【0301】
合成例1:モルフォリノヌクレオシド(化合物(3))の合成
【0302】
【0303】
化合物(1a)、(1g)、(1c)または(1t)(化合物(1))(Abz:0.597g,1.0mmol;Gib(CE):0.879g,1.39mmol;Cbz:5.73g,10mmol;またはT;0.967g,2.0mmol)をDMF(Abz:50mL;Gib(CE):6.95mL;Cbz:0.5mL;またはT:10mL)に溶解させ、0℃で撹拌し、イミダゾール(Abz:0.545g,8.0mmol;Gib(CE):0.757g,11.12mmol;Cbz:5.45g,80mmol;またはT;1.09g,16mmol)、TBDPSCl(Abz:1.0mL,4.0mmol;Gib(CE):1.43mL,5.56mmol;Cbz:10.24mL,40mmol;またはT;2.05mL,8.0mmol)を加えた。反応温度を室温に戻し、1時間撹拌した。メタノール(Abz:5mL;Gib(CE):5mL;Cbz:5mL;またはT;1mL)を加えて反応を停止し、反応溶液を酢酸エチル(Abz:30mL;Gib(CE):50mL;Cbz:100mL;またはT;20mL)で希釈した後に、飽和食塩水(Abz:30mL×3回;Gib(CE):50mL×3回;Cbz:100mL×3回;またはT;30mL×3回)で洗浄し、集めた水層を酢酸エチル(Abz:90mL×3回;Gib(CE):150mL×3回;Cbz:100mL×3回;またはT;90mL×3回)で逆抽出した。有機層を集め、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過し、溶媒を減圧留去することにより、化合物(2a)、(2g)、(2c)または(2t)(化合物(2))を得た。化合物(2)はこれ以上の精製をせず、次の反応に用いた。
【0304】
化合物(2)をジクロロメタン(Abz:20mL;Gib(CE):28mL;Cbz:50mL;またはT;10mL)に溶解させ、室温で撹拌した。ここに、別途調製したジクロロ酢酸-ジクロロメタン溶液(Abz:6%,20mL;Gib(CE):6%,28mLmL;Cbz:16%,50mL;またはT;16%,10mL)を加え、室温で1時間撹拌した。メタノール(Abz:5mL;Gib(CE):5mL;Cbz:5mL;またはT;1mL)を加え、反応を停止し、反応溶液をジクロロメタン(Abz:10mL;Gib(CE):10mL;Cbz:50mL;またはT;10mL)で希釈した後に、飽和重曹水(Abz:30mL×3回;Gib(CE):50mL×3回;Cbz:100mL×3回;またはT;30mL×3回)で洗浄した。集めた水層をジクロロメタン(Abz:90mL×3回;Gib(CE):150mL×3回;Cbz:100mL×3回;またはT;90mL×4回)で逆抽出した。有機層を集め、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過し、溶媒を減圧留去して残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:3a:ジクロロメタン-メタノール(99:1-95:5,v/v);3g:クロロホルム-メタノール(99:1-95:5, v/v);3c:クロロホルム-メタノール(100:0-95:5,v/v);3t:クロロホルム-メタノール(99.5;0.5-97:3,v/v))で精製することにより、化合物(3a)、(3g)、(3c)または(3t)(化合物(3))(Abz:0.499g,0.842mmol,収率:84%;Gib(CE):0.764g,1.21mmol,収率:88%;Cbz:5.17g,9.09mmol,収率:91%;T:0.786g,1.64mmol,収率:82%)を得た。
【0305】
化合物(3a)
1H NMR(400 MHz,CDCl3)δ9.04(s, 1H),8.80(s, 1H),8.12(s,1H),8.02(d, J=7.3 Hz, 2H), 7.66-7.59(m, 5H),7.52(t, 7.6 Hz, 2H),7.44-7.33(m, 6H),5.92(dd, 10.1, 2.3 Hz, 1H), 4.1-3.97(m, 1H),3.79 (dd, J=10.8,4.8 Hz,1H),3.72(dd, J=10.5, 5.5 Hz,1H),3.37(dd, J = 11.9,2.3 Hz, 1H), 3.15 (dd, 12.6, 2.1 Hz, 1H), 3.03 (dd, J = 11.2, 10.1 Hz, 1H), 2.82 (dd, J = 11.7, 10.8 Hz, 1H), 1.9 (s, 1H), 1.05 (s, 9H);
ESI-MS m/z calcd for C33H37N6O3Si+[M+H]+, 593.2691; found 593.2692.
【0306】
化合物(3g)
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ7.94 (s, 1H), 7.85 (br, 1H), 7.64 (td, J = 6.8, 1.8 Hz, 4H), 7.44-7.33 (m, 6H), 5.78 (dd, 10.1, 2.3 Hz, 1H), 4.82-4.76 (m, 2H), 3.98-3.95 (m, 1H), 3.77 (dd, J = 10.8, 5.0 Hz, 1H), 3.69 (dd, J = 10.5, 5.5 Hz, 2H), 3.31 (dd, J = 12.1, 2.7 Hz, 1H), 3.13 (dd, J = 12.6, 2.3 Hz, 1H), 3.01 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 3.03-2.96 (m, 1H), 2.98 (d, J = 10.1 Hz, 1H), 2.78 (dd, J = 12.8, 10.5 Hz, 1H), 1.29 (dd, J = 6.9, 1.4 Hz, 6H), 1.04 (s, 9H);
ESI-MS m/z calcd for C33H42N7O4Si+[M+H]+, 628.3062; found 628.3061.
【0307】
化合物(3c)
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ7.91 (d, J= 7.3 Hz, 2H), 7.80 (d, J= 7.3 Hz, 1H), 7.66 (td, J= 7.1, 1.4 Hz, 4H), 7.61 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 7.52 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 7.47 (m, 1H), 7.46-7.36 (m, 6H), 5.72 (dd, J = 9.6 Hz, 2.3 Hz, 1H), 3.90 (m, 1H), 3.79 (dd J = 11.0, 4.6 Hz, 1H), 3.73 (dd, J = 10.8, 5.3 Hz, 1H), 3.40 (dd, J = 12.4 Hz, 2.3 Hz, 1H), 3.07 (dd, J = 13.0 Hz, 2.1 Hz, 1H), 2.73 (dd, J = 13.0, 10.8 Hz, 1H), 2.42 (dd, J = 12.4, 9.6 Hz, 1H), 1.93 (br, 1H), 1.06 (s, 9H);
ESI-MS m/z calcd for C32H37N4O4Si+[M+H]+, 569.2578; found 569.2570.
【0308】
化合物(3t)
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ7.64 (t, J = 8 Hz, 4H), 7.42-7.34 (m, 6H), 7.21 (s, 1H), 5.66 (d, J = 10.1 Hz, 1H), 3.86 (s, 1H), 3.75-3.66 (m, 2H), 3.11 (d, J = 12.1 Hz, 1H), 3.04 (d, J = 12.8 Hz, 1H), 2.71 (t, J = 11.8, 1H), 2.58 (t, 11.1 Hz, 1H), 1.87 (s, 3H), 1.05 (s, 9H);
ESI-MS m/z calcd for C26H34N3O4Si+[M+H]+, 480.2313; found 480.2298.
【0309】
合成例2:H-ホスホネートモノマー(化合物(4-1)、化合物(4-2))の合成
下記スキームに従って、H-ホスホネートモノマー(化合物(4-1)、化合物(4-2))の合成を行った。
【0310】
【0311】
イミダゾール(Abz:2.32g,34mmol;Gib(CE):0.232g,3.4mmol;Cbz:5.79g,85mmol;またはT;2.32g,34mmol)をジクロロメタン(Abz:100mL;Gib(CE):10mL;Cbz:250mL;またはT;100mL)に溶解させ、トリエチルアミンまたはN-メチルモルフォリン(Abz:トリエチルアミン:14mL,100mmol;Gib(CE):N-メチルモルフォリン:1.1mL,10mmol;Cbz:35mL,250mmol;またはT;14mL,100mmol)と三塩化リン(Abz:0.88mL,10mmol;Gib(CE):0.087mL,1.0mmol;Cbz:2.2mL,25mmol;またはT;0.88mL,10mmol)を加え、室温で45分撹拌した後、反応溶液を-78℃に冷却した。化合物(1a)、(1g)、(1c)または(1t)(化合物(1))(Abz:1.19g,2.0mmol;Gib(CE):0.126g,0.2mmol;Cbz:2.86g,5.0mmol;またはT;0.967g,2.0mmol)をピリジン(5mL×3回)で共沸し、ジクロロメタン(Abz:30mL;Gib(CE):3.3mL;Cbz:75mL;またはT;30mL)に溶解させ、上記の反応溶液に1時間かけて滴下した。滴下完了後、-78℃で30分撹拌した後、さらに室温で2時間撹拌した。1M TEAB緩衝溶液(pH7.0)(Abz:150mL;Gib(CE):15mL;Cbz:375mL;またはT;150mL)を加えて反応を停止し、有機層を分離後、水層をジクロロメタン(Abz:400mL×3回;Gib(CE):60mL×3mL;Cbz:500mL×2回;またはT;150mL×3回)で逆抽出した。有機層を集め、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過し、溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:Abz:ジクロロメタン-メタノール-トリエチルアミン(96:3:1-95:4:1,v/v/v);Gib(CE):クロロホルム-メタノール-トリエチルアミン(96.5:3.0:0.5-93.5:6:0.5,v/v/v);Cbz:クロロホルム-メタノール-トリエチルアミン(99:0:1-89:10:1,v/v/v);T:ジクロロメタン-メタノール-トリエチルアミン(96:3:1-95:4:1,v/v/v))で精製し、Abz、Gib(CE)およびTについては、溶媒を減圧留去することにより、化合物(4a)、(4c’)、(4g)、または(4t)(化合物(4-1))を得た。化合物(4c’)については、精製後、0.2M DBU bicarbonateによる塩交換行い、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を減圧留去することにより、化合物(4c)(化合物(4-2))(Abz:1.36g,1.79mmol,収率:90%;Gib(CE):0.158g,0.198mmol,収率:99%;Cbz:3.57g,4.53mmol,収率:91%;T:1.24g,1.90mmol,収率:95%)を得た。
【0312】
化合物(4a)
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ9.59 (br, 1H), 8.77 (s, 1H), 8.00 (s, 2H), 7.98 (d, J = 1.4 Hz, 1H), 7.62 (s, 0.5H), 7.58-7.45 (m, 8H), 7.29 (t, J = 7.9 Hz, 6H), 7.18 (t, J = 7.1 Hz, 3H), 6.39 (dd, J = 9.8, 2.1 Hz, 1H), 6.06 (s, 0.5H), 4.46 (m, 1H), 3.95-3.83 (m, 2H), 3.50 (d, J = 11.0 Hz, 1H), 3.26 (d, J = 11.9 Hz, 1H), 2.93 (q, J = 7.3 Hz, 6H), 1.83 (t, J = 10.5 Hz, 1H), 1.62 (t, J = 11.2 Hz, 1H), 1.23 (t, J = 7.3 Hz, 9H);
31P{1H}NMR (162 MHz, CDCl3) δ 4.9 (1JPH = 631 Hz);
ESI-MS m/z calcd for C36H32N6O5P-[M-H-TEA]-, 659.2177; found 659.2153.
【0313】
化合物(4g)
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ8.65 (br, 1H), 7.78 (s,1H), 7.65 (s, 0.5H), 7.47 (br, 5H), 7.28 (t, J = 7.8 Hz, 7H), 7.17 (t, J = 6.9 Hz, 3H), 6.25 (dd, J = 9.8, 2.1 Hz, 1H), 6.08 (s, 0.5H), 4.76 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 4.45-4.42 (m, 1H), 3.92-3.82 (m, 2H), 3.45(d, J = 11.4 Hz, 1H), 3.22 (d, 11.9 Hz, 1H), 3.02-2.95 (m, 8H), 1.81 (t, J = 10.5 Hz, 1H), 1.56 (t, J = 11.2 Hz, 1H), 1.34 (d, 6.9Hz, 3H), 1.32 (d, J = 6.9Hz, 3H), 1.26 (t, J = 7.3 Hz, 9H);
31P{1H}NMR (162 MHz, CDCl3) δ 4.9 (1JPH =626 Hz);
ESI-MS m/z calcd for C36H37N7O6P-[M-H-TEA]-, 694.2548; found 694.2544.
【0314】
化合物(4c)
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ7.89 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 7.80 (br, 1H), 7.73 (d, J = 7.3 Hz, 1H),7.62 (S, 0.5H), 7.57 (t, J = 7.1 Hz, 1H), 7.48-7.45 (m, 6H), 7.33-7.25 (m, 8H), 7.16 (t, J = 7.1 Hz, 3H), 6.22 (d, J = 7.3Hz, 1H), 6.07 (s, 0.5H), 4.36 (m, 1H), 3.87 (m, 2H), 3.53 (d, J = 11.0 Hz, 1H), 3.45-3.31 (m, 6H), 3.16 (d, J = 11.4 Hz, 1H), 2.80 (m, 2H), 1.95 (m, 2H), 1.71-1.60 (m, 6H), 1.51 (t, J = 11.2 Hz, 1H), 1.28 (t, J = 10.5 Hz, 1H); 31P{1H}NMR (162 MHz, CDCl3) δ 5.1 (1JPH= 610 Hz);
ESI-MS m/z calcd for C35H32N4O6P-[M-H-DBU]-, 635.2065; found 635.2045.
【0315】
化合物(4t)
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ7.64 (s, 0.5H), 7.45 (br, 5H), 7.30-7.26 (m, 7H), 7.19-7.15 (m, 3H), 7.01 (d, J = 0.9 Hz, 1H), 6.12 (dd, J = 9.6, 2.3 Hz, 1H), 6.09 (s, 0.5H), 4.38-4.34 (m, 1H), 3.90-3.82 (m, 2H), 3.32 (d, J = 11.0 Hz, 1H), 3.17 (d, J = 11.9 Hz, 1H), 3.00 (q, J = 7.32 Hz, 6H), 1.79 (s, 3H), 1.49-1.42 (m, 2H), 1.29 (t, J = 7.3 Hz, 9H);
31P{1H}NMR (162 MHz, CDCl3) δ 5.0 (1JPH = 618 Hz);
ESI-MS m/z calcd for C29H29N3O6P-[M-H-TEA]-, 546.1799; found 546.1800.
【0316】
合成例3:液相法によるPMO2量体の合成
【0317】
【0318】
合成例3-1:化合物(5)の液相合成
[比較合成例3-1]
固相法を用いたTPHT結合を有するPMO2量体の合成法が報告されている(Tetrahedron Lett.2015,56(31),4565-4568.)。当該合成法の縮合条件を用いて、上記スキームに従い、液相法でのCPHC結合形成反応を検討した。具体的には、化合物(3c)(0.0284g,0.05mmol)をピリジン(3mL×3回)で共沸乾燥してピリジン(0.25mL)とアセトニトリル(0.25mL)の混合溶媒に溶解した(溶液A)。化合物(4c)(0.0473g,0.06mmol)、2,4,6-トリクロロフェノール(0.0296g,3当量,0.15mmol)および、p-ニトロフェノール(0.0208g,3当量,0.15mmol)をピリジン(3mL×3回)で共沸乾燥してピリジン(0.5mL)とアセトニトリル(0.5mL)の混合溶媒に溶解した。この反応溶液を室温(25℃)にて攪拌しつつ、縮合剤としてピバロイルクロリド(0.018mL,3当量,0.15mmol)を加え、5分間攪拌した。その後、反応温度を0℃とし、溶液Aを加え、15分攪拌した。その後、反応溶液をNMRサンプルチューブに移し、31P NMRの測定を行うことにより、縮合効率を算出した。結果を表1に示す。
【0319】
[合成例3-1-1]
化合物(3c)(0.0284g,0.05mmol)と化合物(4c)(0.0473g,0.06mmol)をピリジン(3mL×3回)で共沸乾燥してピリジン(0.5mL)とアセトニトリル(0.5mL)の混合溶媒に溶解した。この反応溶液を氷浴下(0℃)にて攪拌しつつ、縮合剤としてピバロイルクロリド(0.018mL,0.15mmol)を加え、15分間攪拌した。その後、反応溶液をNMRサンプルチューブに移し、31P NMRの測定を行うことにより、縮合効率を算出した。結果を表1に示す。
【0320】
[合成例3-1-2]
縮合剤としてピバロイルクロリドの代わりにHBTU(0.0569g,0.15mmol)を用いた以外は合成例3-1-1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
【0321】
[合成例3-1-3]
縮合剤としてピバロイルクロリドの代わりにBOPCl(0.0382g,0.15mmol)を用いた以外は合成例3-1-1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
【0322】
[合成例3-1-4]
縮合剤としてピバロイルクロリドの代わりにPyNTP(0.0773g,0.15mmol)を用いた以外は合成例3-1-1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
【0323】
[合成例3-1-5]
縮合剤としてピバロイルクロリドの代わりにMNTP(0.0668g,0.15mmol)を用いた以外は合成例3-1-1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
【0324】
[合成例3-1-6]
縮合剤としてピバロイルクロリドの代わりにPyBOP(0.0781g,0.15mmol)を用いた以外は合成例3-1-1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
【0325】
[合成例3-1-7]
縮合剤としてピバロイルクロリドの代わりにBOMP(0.0700g,0.15mmol)を用いた以外は合成例3-1-1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
【0326】
【0327】
【0328】
表1中、縮合効率は31P NMRのCbz
PHCbzのシグナル(δ 13.3, 14.2 ppm, 1JPH657 Hz in CD3CN)の積分比Cbz
PHCbz(化合物(5c))/(Cbz
PHCbz(化合物(5c))+副生成物)より算出した。
【0329】
比較合成例3-1と比較して、合成例3-1-2、合成例3-1-3、合成例3-1-4、合成例3-1-5、合成例3-1-6および合成例3-1-7の方が、高い縮合効率が得られた。特に合成例3-1-3、合成例3-1-4、合成例3-1-5および合成例3-1-7で高い縮合効率を示した。比較合成例3-1では、目的とするCbz
PHCbz(化合物(5c))のシグナル(31P NMR : δ13.3, 14.2 ppm, 1JPH 657 Hz in CD3CN)が観測されなかった。これより、前記文献の固相法による方法を液相法に適用することは難しいことが分かった。これにより、Cbz
PHCbz(化合物(5c))の合成においては、合成例3-1-2~合成例3-1-7の方法が、液相法にも固相法にも適していることが確認された。
【0330】
合成例3-2:化合物(6)の液相合成
[合成例3-2-1]
化合物(3c)(0.0284g,0.05mmol)と化合物(4c)(0.0473g,0.06mmol)をピリジン(3mL×3回)で共沸乾燥してピリジン(0.5mL)とアセトニトリル(0.5mL)の混合溶媒に溶解した。この反応溶液を氷浴下(0℃)にて攪拌しつつ、縮合剤としてBOPCl(0.0382g,0.15mmol)を加え、0℃で20分間攪拌した。その後、反応溶液にヨウ素(0.0635g,0.25mmol)、ジメチルアミンの2M THF溶液(0.054mL,0.11mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(0.035mL,0.2mmol)を加え、0℃で20分間攪拌した。その後、反応溶液をNMRサンプルチューブに移し、31P NMRの測定を行うことにより、化合物(6c)への変換効率を算出した。結果を表2に示す。
【0331】
[合成例3-2-2]
ハロゲン化剤としてヨウ素の代わりに四臭化炭素(0.332g,20当量,1.0mmol)を用いた以外は合成例3-2-1と同様の操作を行った。結果を表2に示す。
【0332】
[合成例3-2-3]
ハロゲン化剤としてヨウ素の代わりに四塩化炭素(0.096mL,1.0mmol)を用いた以外は合成例3-2-1と同様の操作を行った。結果を表2に示す。
【0333】
[合成例3-2-4]
化合物(3c)(0.0284g,0.05mmol)と化合物(4c)(0.0473g,0.06mmol)をピリジン(3mL×3回)で共沸乾燥してピリジン(0.5mL)とアセトニトリル(0.5mL)の混合溶媒に溶解した。この反応溶液を氷浴下(0℃)にて攪拌しつつ、縮合剤としてPyNTP(0.0773g,3当量,0.15mmol)を加え、0℃で20分間攪拌した。その後、反応溶液に四塩化炭素(0.096mL,1.0mmol)、ジメチルアミンの2M THF溶液(0.24mL,0.48mmol)を加え、0℃で20分間攪拌した。その後、反応溶液をNMRサンプルチューブ(10mm×180mm)に移し、31P NMRの測定を行うことにより、化合物(6c)への変換効率を算出した。結果を表2に示す。
【0334】
[合成例3-2-5]
ジメチルアミンの2M THF溶液(0.24mL,9.6当量,0.48mmol)の代わりにジメチルアミンの9.5M水溶液(0.2mL,1.9mmol)を用いた以外は合成例3-2-4と同様の操作を行った。結果を表2に示す。
【0335】
[合成例3-2-6]
縮合剤をPyNTPの代わりにBOMPを用いた以外は、合成例3-2-5と同様の操作を行った。結果を表2に示す。
【0336】
【0337】
表2中、化合物(6c)への変換効率は、31P NMRの積分比Cbz
PNCbz(化合物(6c))/(Cbz
PNCbz(化合物(6c))+Cbz
PHCbz(化合物(5c))+副生成物)より算出した。合成例3-2-1~合成例3-2-3ではハロゲン化剤の検討を行った。合成例3-2-3でハロゲン化剤として四塩化炭素を用いた場合に、最も高い変換率を示したことから、四塩化炭素がハロゲン化剤として最適であると確認できた。合成例3-2-3~合成例3-2-6では縮合剤と酸化的アミノ化条件の最適化を行った。合成例3-2-3と比較して、合成例3-2-4~合成例3-2-6が高い変換効率を示したことから、ホスホニウム型縮合剤を用いることがCbz
PNCbz(化合物(6c))合成の最適条件であることを確認した。
【0338】
[合成例3-2-7]
化合物(3c)の代わりに化合物(3a)を用い、化合物(4c)の代わりに化合物(4a)を用いた以外は、合成例3-2-5と同様の操作を行った。結果を表3に示す。
【0339】
[合成例3-2-8]
化合物(3c)の代わりに化合物(3g)を用い、化合物(4c)の代わりに化合物(4g)を用いた以外は、合成例3-2-5と同様の操作を行った。結果を表3に示す。
【0340】
[合成例3-2-9]
化合物(3c)の代わりに化合物(3t)を用い、化合物(4c)の代わりに化合物(4t)を用いた以外は、合成例3-2-5と同様の操作を行った。結果を表3に示す。
【0341】
【0342】
表3中、変換効率は、前記[合成例3-2-1]の化合物(6c)への変換効率と同様にして、31P NMRの測定を行うことにより、化合物(6a)、化合物(6g)および化合物(6t)への変換効率を算出した。合成例3-2-7~合成例3-2-9が高い変換効率を示したことから、ホスホニウム型縮合剤が、4種の核酸塩基全てに適応可能であることが確認された。
【0343】
合成例3-3:化合物(7)の液相合成
[合成例3-3-1]
【0344】
【0345】
化合物(3c)(0.0142g,0.025mmol)と化合物(4c)(0.0237g,0.03mmol)をピリジン(0.25mL)とアセトニトリル(0.25mL)の混合溶媒に溶解した。この反応溶液を氷浴下(0℃)にて攪拌しつつ、縮合剤としてPyNTP(0.0374g,0.075mmol)を加え、0℃で20分間攪拌した。その後、反応溶液にビストリメチルシリルアセトアミド(BSA)(0.031mL,0.125mmol)と5-フェニル-3H-1,2,4-ジチアゾール-3-オン(POS)(0.0244g,0.125mmol)を加え、室温で20分間攪拌した。クロロホルム(30mL)で希釈し、1.0M TEAB緩衝液(20mL×3回)で洗浄した後、水層を集め、クロロホルム(30mL×2回)で逆抽出を行った。有機層を集め、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過し、溶媒を減圧下で留去することにより、化合物(7c)を黄色油状として得た。この粗生成物の31P NMRを測定し、変換効率を算出したところ、98%であった(31P NMR: δ 62.2,63.4ppm in CDCl3)。変換効率は31P NMRの積分比Cbz
PSCbz/(Cbz
PSCbz+副生成物)より算出した。
【0346】
Cbz
PSCbz(化合物(7c))
ESI-MS m/z calcd for C67H66N8O9PSSi-[M-H]-, 1217.4186; found 1217.4207.
【0347】
合成例3-4:化合物(8)の液相合成
[合成例3-4-1]
【0348】
【0349】
化合物(3t)(0.0120g,0.025mmol)と化合物(4t’)(0.0195g,0.03mmol)をクロロホルム(0.50mL)とピリジン(0.012mL)の混合溶媒に溶解した。この反応溶液を氷浴下(0℃)にて攪拌しつつ、縮合剤としてPyNTP(0.0374g,0.075mmol)を加え、0℃で20分間攪拌した。その後、反応溶液にビストリメチルシリルアセトアミド(BSA)(0.062mL,0.25mmol)とジメチルスルフィドボラン錯体(0.047mL,0.50mmol)を加え、室温で20分間攪拌した。クロロホルム(30mL)で希釈し、1.0M TEAB緩衝液(20mL×3回)で洗浄した後、水層を集め、クロロホルム(30mL×2回)で逆抽出を行った。有機層を集め、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過し、溶媒を減圧下で留去することにより、化合物(8t)を黄色油状として得た。この粗生成物の31P NMRを測定し、変換効率を算出したところ、99%であった(31P NMR: δ 97.2ppm in CDCl3)。変換効率は31P NMRの積分比TPBT/(TPBT+副生成物)より算出した。
【0350】
TPBT(化合物(8t))
ESI-MS m/z calcd for C55H63BN6O9PSi- [M-H]-, 1020.4298; found 1020.4299.
【0351】
合成例3-5:化合物(9)の液相合成
[合成例3-5-1]
【0352】
【0353】
化合物(3c)(0.0142g,0.025mmol)と化合物(4c)(0.0237g,0.03mmol)をピリジン(0.25mL)とアセトニトリル(0.25mL)の混合溶媒に溶解した。この反応溶液を氷浴下(0℃)にて攪拌しつつ、縮合剤としてBOPCl(0.0191g,0.075mmol)を加え、0℃で20分間攪拌した。その後、反応溶液に四臭化炭素(0.0415g,0.125mmol)、メタノール(0.10mL,2.5mmol)、N-メチルモルフォリン(0.10mL,0.90mmol)を加え、室温で1時間攪拌した。クロロホルム(30mL)で希釈し、飽和重曹水(20mL×3回)で洗浄した後、有機層を集め、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過し、溶媒を減圧下で留去することにより、化合物(9c)を黄色油状として得た。この粗生成物の31P NMRを測定し、変換効率を算出したところ、62%であった(31P NMR: δ 8.8,9.0ppm in CDCl3)。変換効率は31P NMRの積分比CPOMeC/(CPOMeC+副生成物)より算出した。
【0354】
Cbz
POMeCbz(化合物(9c))
ESI-MS m/z calcd for C68H70N8O10PSi+ [M+H]+, 1217.4716; found 1217.4734.
【0355】
合成例4:液相法によるダイマービルディングブロック合成
【0356】
【0357】
合成例4-1:化合物(II-2)の液相合成
[合成例4-1-1]
化合物(3c)(0.455g,0.8mmol)と化合物(4c)(0.757g,0.96mmol)をピリジン(3mL×3回)で共沸乾燥してピリジン(8mL)とアセトニトリル(8mL)の混合溶媒に溶解した。この反応溶液を氷浴下(0℃)にて攪拌しつつ、縮合剤としてPyNTP(1.19g,2.4mmol)を加え、0℃で20分間攪拌した。その後、反応溶液に四塩化炭素(1.55mL,16mmol)、9.5M ジメチルアミン水溶液(3.2mL,30.4mmol)を加え、0℃で20分間攪拌した。クロロホルム(100mL)で希釈し、飽和重曹水(100mL×3回)で洗浄した後、水層を集め、クロロホルム(300mL×3回)で逆抽出を行った。有機層を集め、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過し、溶媒を減圧下留去した。トルエン(5mL×3回)で共沸し、黄色油状の化合物(化合物(6c))を得た。これ以上の精製を行わず、次の反応に用いた。得られた黄色油状の化合物(化合物(6c))をジクロロメタン(16mL)に溶解させ、室温で撹拌した(溶液A)。3-シアノピリジン(0.833g,8mmol)とトリフルオロ酢酸(0.61mL,8mmol)をジクロロメタン-トリフルオロエタノール(10:6,v/v)溶液(16mL)に溶解させた(溶液B)。溶液Aに溶液Bを加え、室温で1時間撹拌した。反応溶液をジクロロメタン(40mL)で希釈した後に、飽和重曹水(50mL×3回)で洗浄した。集めた水層をクロロホルム(150mL×3回)で逆抽出した。有機層を集め、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過し、溶媒を減圧留去して残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム-メタノール(97:3-95:5,v/v))で精製することにより、Cbz
PNCbz-NH(化合物(II-2-c))(0.615g,0.622mmol,収率:78%(化合物(3c)からの収率))を得た。
【0358】
Cbz
PNCbz-NH(化合物(II-2-c))
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ8.12 (d, J = 7.8 Hz, 0.5 H) 8.03 (d, J = 7.8 Hz, 0.5 H), 7.94-7.85 (m, 4H), 7.78-7.74 (m, 1H), 7.69-7.63 (m,5H), 7.59-7.53 (m, 2H), 7.52-7.36 (m,11H), 5.81 (dd, J = 10.5 Hz, 2.1 Hz, 1H), 5.69 (dd, J = 9.6 Hz, 2.3 Hz, 1H), 4.12-3.97 (m, 3H), 3.91-3.74 (m, 4H), 3.45-3.36 (m, 2H), 3.07-2.93 (m,1H), 2.87-2.80 (m, 1H), 2.75 (d, J = 9.6 Hz, 4H), 2.71 (m, 1H), 2.68 (d, J = 10.1 Hz, 2H), 2.54-2.47 (m, 2H), 1.07 (s, 9H); 31P{1H}NMR (162 MHz, CDCl3) δ 17.0, 16.4;
ESI-MS m/z calcd for C50H59N9O9PSi [M+H]+, 988.3937; found 988.3930.
【0359】
[合成例4-1-2]
化合物(3g)(0.628g,1.0mmol)と化合物(4t)(0.778g,1.2mmol)をピリジン(3mL×3回)で共沸乾燥してピリジン(10mL)とアセトニトリル(10mL)の混合溶媒に溶解した。この反応溶液を氷浴下(0℃)にて攪拌しつつ、縮合剤としてPyNTP(1.5g,3当量,3.0mmol)を加え、0℃で20分間攪拌した。その後、反応溶液に四塩化炭素(1.93mL,20当量,20mmol)、ジメチルアミンの9.5M水溶液(4mL,9.6当量,38mmol)を加え、0℃で1分間攪拌した。クロロホルム(50mL)で希釈し、飽和重曹水(50mL×3回)で洗浄した後、水層を集め、クロロホルム(150mL×3回)で逆抽出を行った。有機層を集め、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過し、溶媒を減圧下留去した。トルエン(5mL×3回)で共沸し、黄色油状の化合物(化合物(6gt))を得た。これ以上の精製を行わず、次の反応に用いた。得られた黄色油状の化合物をジクロロメタン(20mL)に溶解させ、室温で撹拌した(溶液A)。3-シアノピリジン(1.04g,10当量,10mmol)とトリフルオロ酢酸(0.76mL,10当量,10mmol)をジクロロメタン-トリフルオロエタノール(10:6,v/v)溶液(20mL)に溶解させた(溶液B)。溶液Aに溶液Bを加え、室温で1時間撹拌した。反応溶液をジクロロメタン(40mL)で希釈した後に、飽和重曹水(50mL×3回)で洗浄した。集めた水層をクロロホルム(150mL×3回)で逆抽出した。有機層を集め、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過し、溶媒を減圧留去して残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒クロロホルム-メタノール(99:1-90:10,v/v))で精製することにより、Gib(CE)
PNT-NH(化合物(II-2-gt))(0.919g,0.959mmol,収率:96%(化合物(3g)からの収率))を得た。
【0360】
Gib(CE)
PNT-NH(化合物(II-2-gt))
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ7.94 (d, J = 12.8 Hz, 1H), 7.66-7.61 (m, 4H), 7.44-7.34 (m, 6H), 7.23 (dd, J =9.4, 0.9 Hz, 1H), 5.83 (dt, J = 10.1, 2.3 Hz, 1H), 5.74 (dt, J = 8.9, 2.3 Hz, 1H), 4.85-4.76 (m, 2H), 4.18-3.95 (m, 4H), 3.82-3.63 (m, 3.5H), 3.43 (t, J = 10.3 Hz, 0.5H), 3.17-2.85 (m, 8.5H), 2.78-2.62 (m, 6.5H), 1.80 (s, 3H), 1.27 (d, J = 6.9 Hz, 6H), 1.05 (s, 9H);
31P{1H}NMR (162 MHz, CDCl3) δ 17.5, 17.1;
ESI-MS m/z calcd for C45H61N11O9PSi+[M+H]+, 958.4155; found 958.4157.
【0361】
合成例4-2:化合物(I-2-1)または(I-2-2)の液相合成
[合成例4-2-1]
化合物(3c)(0.455g,0.8mmol)と化合物(4c)(0.757g,0.96mmol)をピリジン(3mL×3回)で共沸乾燥してピリジン(8mL)とアセトニトリル(8mL)の混合溶媒に溶解した。この反応溶液を氷浴下(0℃)にて攪拌しつつ、縮合剤としてPyNTP(1.19g,2.4mmol)を加え、0℃で20分間攪拌した。その後、反応溶液に四塩化炭素(1.55mL,16mmol)、9.5M ジメチルアミン水溶液(3.2mL,30.4mmol)を加え、0℃で20分間攪拌した。クロロホルム(100mL)で希釈し、飽和重曹水(100mL×3回)で洗浄した後、水層を集め、クロロホルム(300mL×3回)で逆抽出を行った。有機層を集め、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過し、溶媒を減圧下留去した。トルエン(5mL×3回)で共沸し、黄色油状の化合物(化合物(6c))を得た。これ以上の精製を行わず、得られた黄色油状の化合物(化合物(6c))をテトラヒドロフラン(8mL)に溶解させ、氷浴下(0℃)で撹拌した。1M TBAF溶液(2.4mL,2.4mmol)、酢酸(0.137mL,2.4mmol)を加え、氷浴下(0℃)で2時間撹拌した。反応溶液をクロロホルム(100mL)で希釈した後に、飽和重曹水(100mL×3回)で洗浄した。集めた水層をクロロホルム(300mL×3回)で逆抽出した。有機層を集め、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過し、溶媒を減圧留去し、残渣をピリジン(3mL×3回)で共沸し、ジクロロメタン(13.3mL)に溶解した(溶液A)。イミダゾール(0.924g,13.6mmol)をジクロロメタン(40mL)に溶解させ、トリエチルアミン(5.6mL,40mmol)と三塩化リン(0.35mL,4mmol)を加え、室温で30分撹拌した後、反応溶液を-78℃に冷却した。ここに溶液Aを35分かけて滴下した。滴下完了後、-78℃で30分攪拌後、さらに室温(25℃)で1.5時間攪拌した。1M TEAB緩衝溶液(pH7.0)(60mL)を加えて反応を停止し、有機層を分離後、水層をクロロホルム(60mL×6回)で逆抽出した。有機層を集め、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過し、溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム-メタノール-トリエチルアミン(98:1:1-92:7:1,v/v/v))で精製した後、0.2M DBU bicarbonateによる塩交換行い、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧留去することでH-ホスホネートCbz
PNCbz(化合物(I-2-c))(0.877g,0.73mmol,収率:91%(化合物(3c)からの収率))を得た。
【0362】
H-ホスホネートCbz
PNCbz(化合物(I-2-c))
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ8.03-7.93 (m, 4H), 7.89 (d, J = 7.8 Hz, 0.8H), 7.83 (d, J = 7.3 Hz, 0.2H), 7.73-7.64 (m, 1H), 7.59-7.39 (m,14H), 7.33-7.21 (m, 6H), 7.21-7.10 (m, 3H), 7.02 (s, 0.5H), 6.25 (t, J = 7.3 Hz, 1H), 6.12 (d, J = 7.8 Hz, 0.5H), 5.65 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 4.40 (s, 1H), 4.03-3.81 (m, 4H), 3.65 (s, 1H), 3.51-3.32 (m,10H), 3.23 (t, J = 8.8 Hz, 1H), 3.12 (t, J = 10.5 Hz, 1H), 2.84 (br, 3H), 2.64 (d, J = 9.6 Hz, 3H), 2.59 (d, J = 10.1 Hz, 3H), 2.51-2.31 (m,3H), 2.00-1.90 (m, 2H), 1.78-1.58 (m, 12H), 1.55-1.40 (m,2H), 1.37-1.04 (m, 3H);
31P{1H}NMR (162 MHz, CDCl3) δ 16.9, 16.6, 5.1 (1JPH= 610 Hz), 5.0 (1JPH= 610 Hz);
ESI-MS m/z calcd for C53H54N9O11P2[M-H-DBU]-,1054.3424; found 1054.3413.
【0363】
[合成例4-2-2]
化合物(3c)(0.569g,1.0mmol)と化合物(4a)(0.914g,1.2mmol)をピリジン(3mL×3回)で共沸乾燥してピリジン(10mL)とアセトニトリル(10mL)の混合溶媒に溶解した。この反応溶液を氷浴下(0℃)にて攪拌しつつ、縮合剤としてPyNTP(1.50g,3当量,3.0mmol)を加え、0℃で20分間攪拌した。その後、反応溶液に四塩化炭素(1.93mL,20当量,20mmol)、ジメチルアミンの9.5M水溶液(4mL,9.6当量,38mmol)を加え、0℃で1分間攪拌した。クロロホルム(50mL)で希釈し、飽和重曹水(50mL×3回)で洗浄した後、水層を集め、クロロホルム(150mL×3回)で逆抽出を行った。有機層を集め、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過し、溶媒を減圧下留去した。トルエン(5mL×3回)で共沸し、黄色油状の化合物(化合物(6ca))を得た。これ以上の精製を行わず、次の反応に用いた。得られた黄色油状の化合物をテトラヒドロフラン(10mL)に溶解させ、氷浴下(0℃)で撹拌した。1M TBAF溶液(3mL,3当量,3mmol)、酢酸(0.17mL,3当量,3mmol)を加え、氷浴下(0℃)で1時間、室温(25℃)に戻しさらに1時間撹拌した。反応溶液をクロロホルム(50mL)で希釈した後に、飽和重曹水(50mL×3回)で洗浄した。集めた水層をクロロホルム(150mL×3回)で逆抽出した。有機層を集め、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過し、溶媒を減圧留去した。これ以上の精製を行わず、次の反応に用いた。得られた化合物をピリジン(3mL×3回)で共沸し、ジクロロメタン(16.6mL)に溶解した(溶液A)。イミダゾール(1.16g,17mmol)をジクロロメタン(50mL)に溶解させ、トリエチルアミン(7.0mL,50mmol)と三塩化リン(0.44mL,5mmol)を加え、室温(25℃)で30分撹拌した後、反応溶液を-78℃に冷却した。ここに溶液Aを30分かけて滴下した。滴下完了後、-78℃で30分攪拌後、さらに室温(25℃)で1時間攪拌した。1M TEAB緩衝溶液(pH7.0)(70mL)を加えて反応を停止し、有機層を分離後、水層をクロロホルム(70mL×3回)で逆抽出した。有機層を集め、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過し、溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム-メタノール-トリエチルアミン(98:1:1-94:5:1,v/v/v))で精製することにより、H-ホスホネートCbz
PNAbz(化合物(I-2-ca))(1.034g,0.88mmol,収率:88%(化合物(3c)からの収率))を得た。
【0364】
H-ホスホネートCbz
PNAbz(化合物(I-2-ca))
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ8.79, 8.74 (s, 1H), 8.18-7.92 (m, 6H), 7.80, 7.78 (s, 0.5H), 7.65-7.42 (m, 14H), 7.33-7.29 (m,4H), 7.19-7.17 (m, 3H), 7.08 (s, 1H), 6.41 (t, J = 8.7 Hz, 1H), 6.10, 6.06 (s, 0.5H), 5.65, 5.56 (d, J = 9.6, 9.2 Hz, 1H), 4.51, 4.45 (s, 1H), 4.03-3.76 (m, 5H), 3.66-3.61 (m, 0.5H), 3.58-3.51 (m, 1H), 3.45-3.41 (m, 1H), 3.35-3.30 (m, 0.5H), 3.23-3.16 (m, 1H), 3.00 (q, J = 6.9 Hz, 6H), 2.78 (m, 0.5H), 2.64, 2.61 (s, 3H), 2.54, 2.52 (s, 3H), 2.45-2.24 (m, 1H), 1.89 (t, J = 10.5 Hz, 1H), 1.63 (q, J = 10.5 Hz, 1H), 1.29 (t, J = 7.3 Hz, 9H);
31P{1H}NMR (162 MHz, CDCl3) δ 17.0, 16.6, 5.2 (1JPH= 620 Hz), 5.0 (1JPH= 620 Hz);
ESI-MS m/z calcd for C54H54N11O10P2
-[M-H-TEA]-, 1078.3536; found 1078.3527.
【0365】
〈液相法によるPMO4量体の合成〉
実施例1:化合物(V-4)の液相合成(工程(1)および(2))
[実施例1-1:Cbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz(化合物(V-4-c))の液相合成]
【0366】
【0367】
Cbz
PNCbz-NH(化合物(II-2-c))(4.94mg,5μmol)とH-ホスホネートCbz
PNCbz(化合物(I-2-c))(9.06mg,7.5μmol)をピリジン(1mL×3回)で共沸乾燥してピリジン(50μL)とアセトニトリル(50μl)の混合溶媒に溶解した。この反応溶液を氷浴下(0℃)にて攪拌しつつ、縮合剤としてPyNTP(15mg,30μmol)を加え、0℃で20分間攪拌することにより、化合物(III-4-c)の生成を確認した。その後、化合物(III-4-c)を含む反応溶液に四塩化炭素(10μL,100μmol)、9.5M ジメチルアミン水溶液(20μL,190μmol)を加え、0℃で1分間攪拌した。クロロホルム(3mL×3回)、トルエン(3mL×3回)で共沸することにより得られた(化合物(V-4-c))の粗生成物を逆相HPLCにて分析した。逆相HPLCは0.1M TEAA緩衝液(pH7)中で、40~100%アセトニトリルの直線濃度勾配を使用して、60分間、50℃にて、流速0.5mL/minで分析した。結果を表4に示す。
【0368】
[実施例1-2]
縮合剤をPyNTPの代わりにBOMPを用いた以外は、実施例1-1と同様の操作を行った。結果を表4に示す。
【0369】
【0370】
表4中のHPLC収率は、HPLC分析結果における面積比Cbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz(化合物(V-4-c))/(Cbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz(化合物(V-4-c))+Cbz
PNCbz-NH(化合物(II-2-c)))より算出した。いずれにおいても、化合物(V-4-c)が主生成物で得られることを確認した。
【0371】
[実施例1-3:Cbz
PNCbz
PTCbz
PNCbz(化合物(V-5-c))の液相合成]
【0372】
【0373】
Cbz
PNCbz-NH(化合物(II-2-c))(4.94mg,5μmol)とH-ホスホネートCbz
PNCbz(化合物(I-2-c))(9.06mg,7.5μmol)をピリジン(1mL×3回)で共沸乾燥してピリジン(50μL)とアセトニトリル(50μl)の混合溶媒に溶解した。この反応溶液を氷浴下(0℃)にて攪拌しつつ、縮合剤としてPyNTP(15mg,30μmol)を加え、0℃で20分間攪拌することにより、化合物(III-4-c)の生成を確認した。その後、化合物(III-4-c)を含む反応溶液に四塩化炭素(10μL,100μmol)、チオモルフォリン(18μL,190μmol)を加え、0℃で20分間攪拌した。クロロホルム(3mL×3回)、トルエン(3mL×3回)で共沸することにより得られた(化合物(V-5-c))の粗生成物を逆相HPLCにて分析した。逆相HPLCは0.1M TEAA緩衝液(pH7)中で、40~100%アセトニトリルの直線濃度勾配を使用して、60分間、50℃にて、流速0.5mL/minで分析した。HPLC収率は、HPLC結果における面積比Cbz
PNCbz
PTCbz
PNCbz(化合物V-5-c)/(Cbz
PNCbz
PTCbz
PNCbz(化合物(V-5-c))+化合物(II-c-2))より算出した。HPLC収率は90%となり、4量体が主生成物で得られることを確認した。
【0374】
Cbz
PNCbz
PTCbz
PNCbz(化合物(V-5-c))
ESI-MS m/z calcd for C107H120N19O19P3SSi+2 [M+2H]+2, 1063.8850; found 1063.8855.
【0375】
〈液相法によるテトラマービルディングブロックの合成〉
【0376】
【0377】
実施例2:化合物(VI-4)の液相合成(工程(3))
[実施例2-1:Cbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz-NH(化合物(VI-4-c))の液相合成]
Cbz
PNCbz-NH(化合物(II-2-c))(0.198g,0.2mmol)とH-ホスホネートCbz
PNCbz(化合物(I-2-c))(0.289g,0.24mmol)をピリジン(3mL×3回)で共沸乾燥してピリジン(2mL)とアセトニトリル(2mL)の混合溶媒に溶解した。この反応溶液を氷浴下(0℃)にて攪拌しつつ、縮合剤としてPyNTP(0.299g,0.6mmol)を加え、0℃で20分間攪拌することにより、化合物(III-4-c)の生成を確認した(31P NMR:δ13.6, 14.3, 14.5 ppm (PH), 16.6-17.2 ppm (PN) in CD3CN)。その後、化合物(III-4-c)を含む反応溶液に四塩化炭素(0.39mL,4mmol)、9.5M ジメチルアミン水溶液(0.8mL,7.6mmol)を加え、0℃で20分間攪拌した。クロロホルム(30mL)で希釈し、飽和重曹水(30mL×3回)で洗浄した後、水層を合わせてクロロホルム(90mL×3回)で逆抽出を行った。有機層を集め、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過し、溶媒を減圧下留去した。トルエン(5mL×3回)で共沸し、黄色油状の化合物(化合物(V-4-c))を得た。これ以上の精製を行わず、得られた黄色油状の化合物(化合物(V-4-c))をジクロロメタン(4mL)に溶解させ、室温で撹拌した(溶液A)。3-シアノピリジン(0.208g,2mmol)とトリフルオロ酢酸(0.15mL,2mmol)をジクロロメタンートリフルオロエタノール(10:6,v/v)溶液(4mL)に溶解させた(溶液B)。溶液Aに溶液Bを加え、室温で1時間撹拌した。反応溶液をクロロホルム(30mL)で希釈した後に、飽和重曹水(30mL×3回)で洗浄した。集めた水層をクロロホルム(90mL×3回)で逆抽出した。有機層を集め、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過し、溶媒を減圧留去して残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム-メタノール(97:3-84:16,v/v))で精製することにより、Cbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz-NH(化合物(VI-4-c))(0.241g,0.132mmol,収率:66%(化合物(II-2-c)からの収率))を得た。
【0378】
Cbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz-NH(化合物(VI-4-c))
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ8.18-7.82 (m, 10H), 7.76-7.50 (m, 13H), 7.47-7.36 (m, 15H), 5.89-5.68 (m, 4H), 4.23-3.74 (m, 15H), 3.61-3.36 (m, 3H), 3.04-2.81 (m, 2H), 2.79-2.61 (m, 21H), 2.57-2.41 (m, 3H), 1.29-1.22 (s, 2H), 1.06 (s, 9H);
31P{1H}NMR (162 MHz, CDCl3) δ 17.0-16.4;
ESI-MS m/z calcd for C86H104N19O19P3Si2+[M+2H]2+,913.8364;found 913.8364.
【0379】
[実施例2-2:Gib(CE)
PNTPNCbz
PNAbz-NH(化合物(VI-4-gtca))の液相合成]
Gib(CE)
PNT-NH(化合物(II-2-gt))(0.192g,0.2mmol)とH-ホスホネートCbz
PNAbz(化合物(I-2-ca))(0.283g,0.24mmol)をピリジン(3mL×3回)で共沸乾燥してピリジン(2mL)とアセトニトリル(2mL)の混合溶媒に溶解した。この反応溶液を氷浴下(0℃)にて攪拌しつつ、縮合剤としてPyNTP(0.3g,3当量,0.6mmol)を加え、0℃で20分間攪拌した。その後、反応溶液に四塩化炭素(0.39mL,20当量,4mmol)、ジメチルアミンの9.5M水溶液(0.8mL,9.6当量,7.6mmol)を加え、0℃で1分間攪拌した。クロロホルム(30mL)で希釈し、飽和重曹水(30mL×3回)で洗浄した後、水層を集め、クロロホルム(90mL×3回)で逆抽出を行った。有機層を集め、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過し、溶媒を減圧下留去した。トルエン(5mL×3回)で共沸し、黄色油状の化合物(化合物(V-4-gtca))を得た。これ以上の精製を行わず、次の反応に用いた。得られた黄色油状の化合物(化合物(V-4-gtca))をジクロロメタン(4mL)に溶解させ、室温で撹拌した(溶液A)。3-シアノピリジン(0.208g,10当量,2mmol)とトリフルオロ酢酸(0.15mL,10当量,2mmol)をジクロロメタンートリフルオロエタノール(10:6,v/v)溶液(4mL)に溶解させた(溶液B)。溶液Aに溶液Bを加え、室温で30分撹拌した。反応溶液をクロロホルム(30mL)で希釈した後に、飽和重曹水(30mL×3回)で洗浄した。集めた水層をクロロホルム(90mL×3回)で逆抽出した。有機層を集め、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過し、溶媒を減圧留去して残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム-メタノール(97:3-82:18,v/v))で精製することにより、Gib(CE)
PNTPNCbz
PNAbz-NH(化合物(VI-4-gtca))(0.252g,0.141mmol,収率:71%(化合物(II-2-gt)からの収率))を得た。
【0380】
Gib(CE)
PNTPNCbz
PNAbz-NH(化合物(VI-4-gtca))1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ8.82-8.74 (m, 1H), 8.63-8.38 (m, 2H), 8.11-7.87 (m, 7H), 7.65-7.33 (m, 15H), 7.25-7.19 (m, 1H), 6.09 (s, 1H), 5.86-5.64 (m, 3H), 4.79-4.74 (m, 2H), 4.22-3.69 (m, 14H), 3.65 (s, 1H), 3.54-3.00 (m,8H), 2.89-2.58 (m, 25H), 1.77-1.62 (m, 3H), 1.43-1.38 (m, 1H), 1.26-1.24 (m, 7H), 1.03 (s, 9H);
31P{1H}NMR (162 MHz, CDCl3) δ 17.4-15.6;
ESI-MS m/z calcd for C82H106N23O18P3Si2
2+ [M+2H]2+, 910.8529; found 910.8528.
【0381】
実施例3:化合物(I-4)の液相合成
[実施例3-1:H-ホスホネート-Cbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz(化合物(I-4-c))の液相合成]
Cbz
PNCbz-NH(化合物(II-2-c))(0.198g,0.2mmol)とH-ホスホネートCbz
PNCbz(化合物(I-2-c))(0.289g,0.24mmol)をピリジン(3mL×3回)で共沸乾燥してピリジン(2mL)とアセトニトリル(2mL)の混合溶媒に溶解した。この反応溶液を氷浴下(0℃)にて攪拌しつつ、縮合剤としてPyNTP(0.299g,0.6mmol)を加え、0℃で20分間攪拌した。その後、化合物(III-4-c)を含む反応溶液に四塩化炭素(0.39mL,4mmol)、9.5M ジメチルアミン水溶液(0.8mL,7.6mmol)を加え、0℃で20分間攪拌した。クロロホルム(30mL)で希釈し、飽和重曹水(30mL×3回)で洗浄した後、水層を集め、クロロホルム(90mL×3回)で逆抽出を行った。有機層を集め、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過し、溶媒を減圧下留去した。トルエン(5mL×3回)で共沸し、黄色油状の化合物(化合物(V-4-c)を含む)を得た。これ以上の精製を行わず、得られた黄色油状の化合物をテトラヒドロフラン(2mL)に溶解させ、氷浴下(0℃)で撹拌した。1M TBAF溶液(1mL,5当量,1mmol)、酢酸(0.057mL,5当量,1mmol)を加え、氷浴下(0℃)で1.5時間撹拌した。反応溶液をクロロホルム(30mL)で希釈した後に、飽和重曹水(30mL×3回)で洗浄した。集めた水層をクロロホルム(90mL×3回)で逆抽出した。有機層を集め、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過し、溶媒を減圧留去した。化合物(1c-4)を含む残渣をピリジン(3mL×3回)で共沸し、ジクロロメタン(3.3mL)に溶解した(溶液A)。イミダゾール(0.231g,3.4mmol)をジクロロメタン(10mL)に溶解させ、トリエチルアミン(1.4mL,10mmol)と三塩化リン(0.087mL,1mmol)を加え、室温で30分撹拌した後、反応溶液を-78℃に冷却した。ここに溶液Aを20分かけて滴下した。滴下完了後-78℃で30分攪拌後、さらに室温(25℃)で1時間攪拌した。1M TEAB緩衝溶液(pH7.0)(15mL)を加えて反応を停止し、有機層を分離後、水層をクロロホルム-ピリジン(2:1,v/v)(20mL×3回)で逆抽出した。有機層を集め、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過し、溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム-メタノール-トリエチルアミン(96:3:1-92:7:1,v/v/v))で精製した後、0.2M DBU bicarbonateによる塩交換行い、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧留去することにより、H-ホスホネートCbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz(化合物(I-4-c))(0.293g,0.143mmol,収率:72%(Cbz
PNCbz-NH(化合物(II-2-c))からの収率))を得た。
【0382】
H-ホスホネートCbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz(化合物(I-4-c))
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ11.9 (s, 1H), 8.12-7.77 (m, 12.5H), 7.71-7.32 (m, 25H), 7.17-7.11 (m, 6H), 6.30-6.25 (m, 1H), 6.11 (s, 0.5H), 5.79-5.68 (m, 3H), 4.38 (s, 1H), 4.18-3.96 (m, 10H), 3.65 (s, 1H), 3.49-3.41 (m, 8H), 3.37-3.20 (m, 1H), 3.08-3.05 (m,1H), 2.93 (m, 2H), 2.79-2.40 (m, 19H), 2.04-1.97 (m, 3H), 1.76-1.68 (m, 11H), 1.60-1.23 (m, 2H), 1.15-1.09 (m, 0.5H), 1.01 (t, J = 7.3 Hz, 0.5H), 0.90-0.83 (m, 1H);
31P{1H}NMR (162 MHz, CDCl3) δ 17.1-16.5, 5.3, 5.1 (1JPH= 616 Hz);
ESI-MS m/z calcd for C89H97N19O21P4
2-[M-2H-DBU]2-,945.8034;found 945.8037.
【0383】
[実施例3-2:H-ホスホネート-Gib(CE)
PNTPNCbz
PNAbz(化合物(I-4-gtca))の液相合成]
Gib(CE)
PNT-NH(化合物(II-2-gt))(0.192g,0.2mmol)とH-ホスホネートCbz
PNAbz(化合物(I-2-ca))(0.283g,0.24mmol)をピリジン(3mL×3回)で共沸乾燥してピリジン(2mL)とアセトニトリル(2mL)の混合溶媒に溶解した。この反応溶液を氷浴下(0℃)にて攪拌しつつ、縮合剤としてPyNTP(0.3g,3当量,0.6mmol)を加え、0℃で20分間攪拌した。その後、反応溶液に四塩化炭素(0.39mL,20当量,4mmol)、ジメチルアミンの9.5M水溶液(0.8mL,9.6当量,7.6mmol)を加え、0℃で1分間攪拌した。クロロホルム(30mL)で希釈し、飽和重曹水(30mL×3回)で洗浄した後、水層を集め、クロロホルム(90mL×3回)で逆抽出を行った。有機層を集め、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過し、溶媒を減圧下留去した。トルエン(5mL×3回)で共沸し、黄色油状の化合物(化合物(V-4-gtca))を得た。これ以上の精製を行わず、次の反応に用いた。得られた黄色油状の化合物(化合物(V-4-gtca))をテトラヒドロフラン(2mL)に溶解させ、氷浴下(0℃)で撹拌した。1M TBAF溶液(0.6mL,3当量,0.6mmol)、酢酸(0.034mL,3当量,0.6mmol)を加え、氷浴下(0℃)で30分撹拌し、室温に戻しさらに1時間攪拌した。反応溶液をクロロホルム(30mL)で希釈した後に、飽和重曹水(30mL×3回)で洗浄した。集めた水層をクロロホルム(90mL×3回)で逆抽出した。有機層を集め、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過し、溶媒を減圧留去した。これ以上の精製を行わず、次の反応に用いた。得られた混合物をピリジン(3mL×3回)で共沸し、ジクロロメタン(3.3mL)に溶解した(溶液A)。イミダゾール(0.231g,3.4mmol)をジクロロメタン(10mL)に溶解させ、N―メチルモルフォリン(1.1mL,10mmol)と三塩化リン(0.087mL,1mmol)を加え、室温で30分撹拌した後、反応溶液を-78℃に冷却した。ここに溶液Aを25分かけて滴下した。滴下完了後-78℃で30分攪拌後、さらに室温(25℃)で30分攪拌した。1M TEAB緩衝溶液(pH7.0)(15mL)とクロロホルム―ピリジン(2:1,v/v)(60mL)を加えて反応を停止し、有機層を分離後、水層をクロロホルム(50mL×3回)で逆抽出した。有機層を集め、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過し、溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム-メタノール-トリエチルアミン(96.5:3:0.5-87.5:12:0.5,v/v/v))で精製することにより、H-ホスホネート-Gib(CE)
PNTPNCbz
PNAbz(化合物(I-4-gtca))(0.303g,0.152mmol,収率:76%(Gib(CE)
PNT-NH(化合物(II-2-gt))からの収率))を得た。
【0384】
H-ホスホネート-Gib(CE)
PNTPNCbz
PNAbz(化合物(I-4-gtca))
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ8.84-8.70 (m, 1H), 8.23-7.92 (m, 7H), 7.63-7.42 (m, 12.5H), 7.33-7.25 (m, 6H), 7.19-7.11 (m, 5H), 6.47-6.45 (m, 1H), 6.07 (m, 0.5H), 5.78-5.66 (m, 4H), 4.77 (s, 2H), 4.53-4.48 (m, 1H), 3.97-3.77 (m, 12H), 3.65 (s, 1H), 3.56-3.36 (m, 4H), 3.31-3.08 (m, 2H), 3.02 (q, J = 7.3 Hz, 8H), 2.71-2.43 (m, 20H), 1.99-1.60 (m, 5.5H), 1.45-1.38 (m, 0.5H), 1.32-1.26 (m, 15H), 1.14-1.12 (m, 2H), 0.97 (t, J = 7.3 Hz, 1H), 0.88-0.86 (m, 1H);
31P{1H}NMR (162 MHz, CDCl3) δ 17.3-16.4, 15.7-15.6, 5.4 (1JPH= 620 Hz);
ESI-MS m/z calcd for C85H100N23O20P4
-[M-H-TEA]1-, 1886.6471; found 1886.6472.
【0385】
〈液相法によるPMO6量体の合成〉
実施例4:化合物(V-6)の液相合成(工程(1)および(2))
[実施例4-1:Cbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz-NH(化合物(VI-4-c))+H-ホスホネートCbz
PNCbz(化合物(I-2-c))によるPMO6量体合成]
【0386】
【0387】
Cbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz-NH(化合物(VI-4-c))(9.13mg,5μmol)とH-ホスホネートCbz
PNCbz(化合物(I-2-c))(9.06mg,7.5μmol)をピリジン(1mL×3回)で共沸乾燥してピリジン(50μL)とアセトニトリル(50μL)の混合溶媒に溶解した。この反応溶液を氷浴下(0℃)にて攪拌しつつ、縮合剤としてPyNTP(15mg,30μmol)を加え、0℃で20分間攪拌し、化合物(III-6-c)の生成を確認した。その後、化合物(III-6-c)を含む反応溶液に四塩化炭素(10μL,100μmol)、9.5M ジメチルアミン水溶液(20μL,190μmol)を加え、0℃で1分間攪拌した。クロロホルム(3mL×3回)、およびトルエン(3mL×3回)で共沸し、Cbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz(化合物(V-6-c))の粗生成物を逆相HPLCにて前述と同様に分析した。結果を表5に示す。
【0388】
[実施例4-2:Cbz
PNCbz-NH(化合物(VI-2-c))+H-ホスホネートCbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz(化合物(I-4-c))によるPMO6量体(Cbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz(化合物(V-6-c)))の合成]
【0389】
【0390】
Cbz
PNCbz-NH(化合物(VI-2-c))(4.94mg,5μmol)とH-ホスホネートCbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz(化合物(I-4-c))(15.35mg,7.5μmol)をピリジン(1mL×3回)で共沸乾燥してピリジン(50μL)とアセトニトリル(50μL)の混合溶媒に溶解した。この反応溶液を氷浴下(0℃)にて攪拌しつつ、縮合剤としてPyNTP(15mg,30μmol)を加え、0℃で20分間攪拌し、化合物(III-6-c)の生成を確認した。その後、化合物(III-6-c)を含む反応溶液に四塩化炭素(10μL,100μmol)、9.5M ジメチルアミン水溶液(20μL,190μmol)を加え、0℃で1分間攪拌した。クロロホルム(3mL×3回)、およびトルエン(3mL×3回)で共沸し、Cbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz(化合物(V-6-c))の粗生成物を逆相HPLCにて前述と同様に分析した。結果を表5に示す。
【0391】
[実施例4-3:Cbz
PNCbz-NH(化合物(VI-2-c))+H-ホスホネートCbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz(化合物(I-4-c))によるPMO6量体(Cbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz(化合物(V-6-c)))の合成]
縮合剤をPyNTPの代わりにMNTPを用いた以外は、実施例4-2と同様の操作を行った。結果を表5に示す。
【0392】
【0393】
表5中、HPLC収率は、HPLC分析結果における面積比、Cbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz(化合物(V-6-c))/(Cbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz(化合物(V-6-c))+Cbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz-NH(化合物(VI-4-c))またはCbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz(化合物(V-6-c))/(CPNCPNCPNCPNCPNC(化合物(V-6-c))+Cbz
PNCbz-NH(化合物(VI-2-c))より算出した。いずれにおいても、ブロック縮合によるPMO6量体の合成が達成された。なお、H-ホスホネート側の鎖長が伸びた実施例4-2では実施例4-1より収率が低下したが、実施例4-3のように縮合剤をPyNTPよりも活性の高いMNTPに変えることで、反応性の低下に伴う収率の低下を抑制できることが確認された。
【0394】
Cbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz(化合物(V-6-c))ESI-MS m/z calcd for C141H160N29O29P5Si[M+2H]2+1454.020;found 1454.352.
【0395】
〈液相法によるPMO8量体の合成〉
実施例5:化合物(V-8)の液相合成(工程(1)および(2))
[実施例5-1:Cbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz-NH(化合物(VI-4-c))+H-ホスホネートCbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz(化合物(I-4-c))によるPMO8量体(Cbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz(化合物(V-8-c)))の合成]
【0396】
【0397】
Cbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz-NH(化合物(VI-4-c))(9.13mg,5μmol)とH-ホスホネートCbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz(化合物(I-4-c))(15.35mg,7.5μmol)をピリジン(1mL×3回)で共沸乾燥してピリジン(50μL)とアセトニトリル(50μL)の混合溶媒に溶解した。この反応溶液を氷浴下(0℃)にて攪拌しつつ、縮合剤としてPyNTP(15mg,30μmol)を加え、0℃で20分間攪拌し、化合物(III-8-c)の生成を確認した。その後、化合物(III-8-c)を含む反応溶液に四塩化炭素(10μL,100μmol)、9.5M ジメチルアミン水溶液(20μL,190μmol)を加え、0℃で1分間攪拌した。クロロホルム(3mL×3回)、トルエン(3mL×3回)で共沸し、Cbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz(化合物(V-8-c))の粗生成物を逆相HPLCにて前述と同様に分析した。結果を表6に示す。
【0398】
[実施例5-2]
縮合剤をPyNTPの代わりにMNTPを用いた以外は、実施例5-1と同様の操作を行った。結果を表6に示す。
【0399】
Cbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz(化合物(V-8-c))
ESI-MS m/z calcd for C177H204N39O39P7Si[M+2H]2+1873.156; found 1874.634.
【0400】
[実施例5-3:Gib(CE)
PNTPNCbz
PNAbz-NH(化合物(VI-4-gtca))+H-ホスホネート-Gib(CE)
PNTPNCbz
PNAbz(化合物(I-4-gtca))によるPMO8量体(Gib(CE)
PNTPNCbz
PNAbz
PNGib(CE)
PNTPNCbz
PNAbz(化合物(V-8-gtca)))の合成]
Cbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz-NH(化合物(VI-4-c))(9.13mg,5μmol)の代わりにGib(CE)
PNTPNCbz
PNAbz-NH(化合物(VI-4-gtca))(9.10mg,5μmol)を用い、H-ホスホネートCbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz(化合物(I-4-c))(15.35mg,7.5μmol)の代わりにH-ホスホネート-Gib(CE)
PNTPNCbz
PNAbz(化合物(I-4-gtca))(14.92mg,7.5μmol)を用い、PyNTPの代わりにMNTPを用いた以外は、実施例4-1と同様の操作を行った。結果を表6に示す。
【0401】
Gib(CE)
PNTPNCbz
PNAbz
PNGib(CE)
PNTPNCbz
PNAbz(化合物(V-8-gtca))
ESI-MS m/z calcd for C169H211N47O37P7Si3
3+[M+3H]3+, 1245.1330; found 1245.1357.
【0402】
【0403】
表6中、実施例5-1及び実施例5-2のHPLC収率は、HPLC分析結果における面積比Cbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz(化合物(V-8-c))/(Cbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz(化合物(V-8-c))+Cbz
PNCbz
PNCbz
PNCbz-NH(化合物(VI-4-c)))より算出し、実施例5-3のHPLC収率も同様に、HPLC分析結果における面積比((化合物(V-8-gtca))/[(化合物(V-8-gtca))+(化合物(VI-4-gtca))])より算出した。実施例5-1、実施例5-2および実施例5-3のいずれにおいても、ブロック合成によるPMO8量体が得られたが、縮合剤としてMNTPがより良好な結果を与えた。
本発明によれば、モルフォリノオリゴヌクレオチドの固相合成および液相合成において、H-ホスホンアミデート中間体を経ることにより、ブロック合成にも適用可能な、効率的且つ簡便なモルフォリノオリゴヌクレオチドの製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、不安定であるため、単離が難しいH-ホスホンアミデート中間体に対し、縮合工程毎に、固相法では、溶媒による洗浄処理を行った後に、または、液相法では、単離工程を省略してワンポットで、次工程であるインターヌクレオチドのリン原子修飾工程に付すことにより、固相合成および液相合成のいずれにおいても、最終工程でまとめてインターヌクレオチドのリン原子修飾を行うよりも、収率良く目的物へと変換することができる。
さらに、本発明は、モルフォリノオリゴヌクレオチドのブロック合成に有用な新規な、原料化合物、中間体化合物等を提供することができる。