(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179425
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】DLBCL患者サブグループのオビヌツズマブ治療
(51)【国際特許分類】
C07K 16/28 20060101AFI20231212BHJP
C12Q 1/6813 20180101ALI20231212BHJP
A61K 31/475 20060101ALI20231212BHJP
A61K 31/573 20060101ALI20231212BHJP
A61K 31/675 20060101ALI20231212BHJP
A61K 31/704 20060101ALI20231212BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20231212BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20231212BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20231212BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20231212BHJP
【FI】
C07K16/28 ZNA
C12Q1/6813 Z
A61K31/475
A61K31/573
A61K31/675
A61K31/704
A61K39/395 T
A61K45/00
A61P35/00
C12N15/13
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023136335
(22)【出願日】2023-08-24
(62)【分割の表示】P 2020505912の分割
【原出願日】2018-08-08
(31)【優先権主張番号】62/542,489
(32)【優先日】2017-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514099673
【氏名又は名称】エフ・ホフマン-ラ・ロシュ・アクチェンゲゼルシャフト
(71)【出願人】
【識別番号】513322707
【氏名又は名称】ナノストリング テクノロジーズ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】エスターガード, ミケル ザール
(57)【要約】 (修正有)
【課題】バイオマーカーによって定義された特定のDLBCL患者及び新規DLBCL患者のサブグループそれぞれの治療における使用のためのオビヌツズマブ(又はその機能的等価物)、オビヌツズマブ(又はその機能的等価物)を用いてDLBCLを治療するための方法、特定のDLBCL患者/新規DLBCL患者のサブグループを同定するための方法、並びにDLBCLの新規形態及び特定のDLBCL患者/新規DLBCL患者サブグループそれぞれを診断するための方法を提供する。
【解決手段】特定のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と軽鎖可変領域をを含む、リツキシマブを用いた治療と比較して改善された臨床成果に到達することによりオビヌツズマブを用いた治療に応答する患者におけるびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の治療における使用のための、ヒト化II型抗CD20抗体を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)配列番号1に示されるか又は配列番号5に含まれる重鎖可変領域(アミノ酸残基1から119;EP-B1 2380910(上掲)に開示された配列番号40)と、配列番号2に示されるか又は配列番号6に含まれる軽鎖可変領域(アミノ酸残基1から115;EP-B1 2380910(上掲)に開示された配列番号76);
(b)(a)の重鎖可変領域の残基を決定する特異性を有する重鎖可変領域と、(a)の軽鎖可変領域の残基を決定する特異性を有する軽鎖可変領域;又は
(c)配列番号3又は配列番号7と少なくとも80%同一である核酸配列によりコードされる重鎖可変領域(EP-B1 2380910(上掲)に開示された配列番号39)と、配列番号4又は配列番号8と少なくとも80%同一である核酸配列によりコードされる軽鎖可変領域(EP-B1 2380910(上掲)に開示された配列番号75)
を含む、リツキシマブを用いた治療と比較して改善された臨床成果に到達することによりオビヌツズマブを用いた治療に応答する患者におけるびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の治療における使用のための、ヒト化II型抗CD20抗体。
【請求項2】
前記臨床成果が無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)及び/又は無再発生存期間(EFS)である、請求項1に記載の使用のための抗体。
【請求項3】
前記患者が予測バイオマーカー定義患者である、請求項1又は2に記載の使用のための抗体。
【請求項4】
前記患者が:
(i)分子濾胞性リンパ腫(FL)様胚中心B細胞(GCB)DLBCLを有する患者;及び/又は
(ii)CD58の遺伝子変異(複数可)及び/又はCD58の低発現を有する患者
である、請求項1から3のいずれか一項に記載の使用のための抗体。
【請求項5】
前記患者が
(i)強GCB DLBCLを有する患者;及び/又は
(ii)BCL2転座及び/又はBCL2の高発現を有するDLBCL患者
である、請求項1から4のいずれか一項、特に請求項4(i)に記載の使用のための抗体。
【請求項6】
前記患者(強GCB DLBCLを有する)が、遺伝子TNFRSF13B、LIMD1、IRF4、CREB3L2、PIM2、CYB5R2、RAB7L1、及びCCDC50と;MME、SERPINA9、ASB13、MAML3、ITPKB、MYBL1、及びS1PR2のうちの一又は複数(好ましくはすべて)を含む一組の遺伝子の発現を決定することにより同定される、請求項1から5のいずれか一項、特に請求項5(i)に記載の使用のための抗体。
【請求項7】
強GCB DLBCLを有する前記患者が、線形予測子スコア(LPS)<1141をもたらす、遺伝子TNFRSF13B、LIMD1、IRF4、CREB3L2、PIM2、CYB5R2、RAB7L1、及びCCDC50と;MME、SERPINA9、ASB13、MAML3、ITPKB、MYBL1、及びS1PR2のうちの一又は複数(好ましくはすべて)を含む一組の遺伝子が加重発現した腫瘍を持つ患者である、請求項5(i)又は6に記載の使用のための抗体。
【請求項8】
前記一組の遺伝子が、遺伝子R3HDM1、WDR55、ISY1、UBXN4、及びTRIM56のうちの一又は複数(好ましくはすべて)をさらに含む、請求項6又は7に記載の使用のための抗体。
【請求項9】
請求項6又は7に記載の前記一又は複数の遺伝子の発現が、請求項8に記載の一又は複数(好ましくはすべて)の遺伝子の発現に合わせて正規化される、請求項6から8のいずれか一項に記載の使用のための抗体。
【請求項10】
前記LPSが、以下の式(式I):
[式中、X
jは遺伝子jの遺伝子発現であり、a
jは遺伝子jの係数である]
に従って計算された前記遺伝子の発現の加重和である、請求項7から9のいずれか一項に記載の使用のための抗体。
【請求項11】
前記遺伝子の発現が、NanoString研究専用リンパ腫サブタイピングテスト(LST)(NanoString Technologies,Inc.,Seattle,WA,USA)により決定される、請求項6から10のいずれか一項に記載の使用のための抗体。
【請求項12】
前記LPSが≦1100である、請求項7から11のいずれか一項に記載の使用のための抗体。
【請求項13】
前記LPSが≦749である、請求項7から12のいずれか一項に記載の使用のための抗体。
【請求項14】
前記LPSが≦725である、請求項7から13のいずれか一項に記載の使用のための抗体。
【請求項15】
糖改変されたFc領域を含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の使用のための抗体。
【請求項16】
前記糖改変されたFc領域に付着した非フコシル化オリゴ糖の割合が増加している、請求項15に記載の抗体。
【請求項17】
前記糖改変されたFc領域に付着した、二分非フコシル化オリゴ糖の割合が増加している、請求項15又は16に記載の抗体。
【請求項18】
非糖改変抗体より及び/又はリツキシマブより有意に高いレベルの、ヒトFcγRIII受容体への結合を有する、請求項1から17のいずれか一項、特に請求項15に記載の抗体。
【請求項19】
非糖改変抗体より及び/又はリツキシマブより有意に高いレベルのADCC活性を有する、請求項1から18のいずれか一項、特に請求項15に記載の抗体。
【請求項20】
オビヌツズマブ(GazyvaTM/GazyvaroTM;GA101)である、請求項1から19のいずれか一項に記載の使用のための抗体。
【請求項21】
さらに一又は複数の他の細胞傷害性剤若しくは化学療法剤又はそのような薬剤の効果を増強する電離放射線が投与される、請求項1から20のいずれか一項に記載の使用のための抗体。
【請求項22】
CHOP化学療法と組み合わせて投与される、請求項1から21のいずれか一項に記載の使用のための抗体。
【請求項23】
薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物に含まれている、請求項1から22のいずれか一項に記載の使用のための抗体。
【請求項24】
リツキシマブを用いた治療と比較して改善された臨床成果に到達することによりオビヌツズマブを用いた治療に応答するDLBCL患者(DLBCLを有する/DLBCLに罹患した患者)を同定するための方法であって、
患者が請求項1から14のいずれか一項に記載の患者であるかどうかを(例えば患者の(腫瘍)試料を用いることにより)決定すること(決定する工程)を含む方法。
【請求項25】
リツキシマブを用いた治療と比較して改善された臨床成果が達成されるようにオビヌツズマブを用いて治療することのできるDLBCLの形態を患者において診断するための方法であって、
患者が請求項1から14のいずれか一項に記載の患者であるかどうかを、(例えば患者の(腫瘍)試料を用いることにより)決定すること(決定する工程)、及び患者が請求項1から14のいずれか一項に記載の患者である場合に前記DLBCLの形態を診断すること(診断する工程)を含む方法。
【請求項26】
(i)(例えば患者の(腫瘍)試料を用いることにより)前記患者が請求項1から14のいずれか一項に記載の患者であるかどうかが決定されているか、(ii)前記患者が請求項24に記載の方法に従って同定されているか、又は(iii)DLBCLの形態が請求項25に記載の方法に従って前記患者において診断されている、請求項1から23のいずれか一項に記載の使用のための抗体。
【請求項27】
前記治療が、(i)治療される患者が請求項1から14のいずれか一項に記載の患者であるかどうかを、(例えば患者の(腫瘍)試料を用いることにより)決定する工程、(ii)請求項24に記載の方法に従ってDLBCL患者を同定する工程、又は(iii)DLBCLの形態を、請求項25に記載の方法に従って患者において診断する工程を含む、請求項1から23のいずれか一項に記載の使用のための抗体。
【請求項28】
DLBCLの治療を必要とする患者においてDLBCLを治療するための方法であって、前記患者が請求項1から14のいずれか一項に記載の患者であり、前記方法が、
患者が請求項1から14のいずれか一項に記載の患者であるかどうかを、(例えば患者の(腫瘍)試料を用いることにより)決定する工程、及び
請求項1及び15から23のいずれか一項に記載の抗体の薬学的有効量を前記患者に投与する工程
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマーカーによって定義された特定のDLBCL患者及び新規DLBCL患者のサブグループそれぞれの治療における使用のためのオビヌツズマブ(又はその機能的等価物)に関する。本発明はさらに、そのような治療を必要とする患者においてオビヌツズマブ(又はその機能的等価物)を用いてDLBCLを治療するための方法に関し、前記患者は特定のバイオマーカー定義DLBCL患者であるか又は新規のバイオマーカー定義DLBCL患者のサブグループに属する。本発明はさらに、特定のバイオマーカー定義DLBCL患者/新規のDLBCL患者サブグループにおけるDLBCLの治療のための薬学的組成物の調製のためのオビヌツズマブ(又はその機能的等価物)の使用に関する。本発明はさらに、特定のDLBCL患者/新規DLBCL患者のサブグループを同定するための方法と、DLBCLの新規形態及び特定のDLBCL患者/新規のDLBCL患者サブグループそれぞれを診断するための方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)は、最も多い種類の侵襲性の非ホジキンリンパ腫(NHL)である。抗CD20モノクローナル抗体(mAb)リツキシマブ(R)と、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾン(CHOP)とを用いる免疫化学療法は、進行期疾患を呈する治療歴のない患者のための標準治療である(Coiffier, N. Engl. J. Med. 346, 2002, 235-242; Tilly, Ann. Oncol. 26, 2015, v116-v125 (suppl 5); NCCN Clincal Practice Guidelines in Oncology: Non-Hodgkin’s Lymphomas, Version 3. 2016; www.NCCN.orgも参照)。研究により、76%の完全寛解及び不確定完全寛解(CR/CRu)率(GELA治験)(Coiffier、上掲)、及び77%の治療成功2年生存率が示された(Habermann, J. Clin. Oncol. 24, 2006, 3121-3127)。DLBCLの第1選択(1L)治療は、多くの患者にとって治癒的である(Maurer, J. Clin. Oncol. 32, 2014, 1066-1073)が、20-40%の、寛解に到達できない又は再発する患者の成果を向上させる必要がまだあり、また救援療法による成果は依然として芳しくない(Sehn, Blood 125, 2015, 22-32)。
【0003】
オビヌツズマブ(GazyvaTM/GazyvaroTM GA101;G)は、Rより大きな直接的な細胞死誘導と抗体依存性細胞媒介性細胞傷害及び食作用とを有する糖改変されたタイプIIの抗CD20 mAbである(Herter, Mol. Cancer Ther. 12, 2013, 2031-2042; Mossner, Blood 115, 2010, 4393-4402;EP-B1 2380910;国際公開2005/04489号;Illidge, Expert Opin. Biol. Ther. 12(5), 2012, 543-5も参照されたい)。慢性リンパ性白血病(CLL)及び共存条件(CLL11)、又は濾胞性リンパ腫(FL;GALLIUM)を有する治療歴のない患者の第3相試験では、GはRより有効であることが証明された(Goede, N. Engl. J. Med. 370, 2014, 1101-1110; Marcus, N. Engl. J. Med.(2017年5月受理:印刷中)。より小規模な試験において、G単剤療法及びG-CHOPは、DLBCLを含む侵襲性形態の非ホジキンリンパ腫(NHL)に有望であることが実証された(Morschhauser, J. Clin. Oncol. 31, 2013, 2912-2919; Zelenetz, Blood 122, 2013, 1820)。また、Owen (Expert Opin. Biol. Ther. 12(3), 2012, 343-51)が、リンパ増殖性疾患の治療のためのオビヌツズマブの使用について考察している。多施設、非盲検、無作為化臨床第3相試験(GOYA;詳細については下記を参照)により、治療歴のないDLBCL患者において、G-CHOPとR-CHOPの有効性及び安全性を比較した。しかしながら、GOYAでは、GOYAにおいて最初に治療されることが意図された1L DLBCL患者のグループ全体に関し、治療歴のないDLBCL(1L DLBCL)ではG-CHOPはR-CHOPに対して臨床成果(例えば無増悪生存期間(PFS))を改善しなかった。
【0004】
Scott(Blood 123(8), 2014, 1214-7; JCO 33(26), 2015, 2848 57; Am. Soc. Clin. Oncol. Educ. Book 2015, 35:e458-66)及びその他(Nowakowski, Am. Soc. Clin. Oncol. Educ. Book 2015, 35:e449-57)は、NanoString Lymph2Cxアッセイを用いることにより、DLBCLの起始細胞(COO)サブタイプの遺伝子発現に基づく決定を実施した(Scott 2014及び2015、上掲)。特に、Scott(2014及び2015、上掲)は、DLBCL、胚中心B細胞様DLBCL(GCB DLBCL)、活性化B細胞様DLBCL(ABC DLBCL)及び未分類DLBCLのCOOサブタイプを、20の遺伝子の遺伝子発現アッセイ及び~<1900、~1900-~2450及び~>2450の線形予測子スコア(LPS)のそれぞれに基づいて割り付けた(Scott 2014、上掲、
図1参照)。Scott(2014及び2015、上掲)は、これらDLBCLのCOOサブタイプに対するR-CHOPの治療効果も評価した。
【0005】
Punnoose(Blood 126, 2015, 3971; http://www.bloodjournal.org/content/126/23/3971も参照)には、ベバシズマブ+R-CHOP(NCT 00486759)を評価したMAIN、第III相治験に基づいて、治療歴のないDLBCL患者のABC及びGCB COOサブタイプ内部でのBCL2及びMYCタンパク質発現の保有率及び予後値が記載されている。
【0006】
Challa-Malladi(Cancer Cell 20, 2011, 728-40)により、β2-ミクログロブリンとCD58の遺伝的不活性化の組み合わせが、DLBCLにおける免疫認識から頻繁に逃れることを明らかにすることが開示されている。
【0007】
しかしながら、DLBCLの治療における成功歴(例えば、特定のR-CHOPにおける、Rによる進歩による)にも関わらず、一部のDLBCL患者(NCCN clinical practice guidelines in oncology; non-Hodgkin’s lymphoma, v 2.2015参照)には、改善された治療(Sehn(上掲)参照)に関して、依然として満たされない高い医学的ニーズがある。
【発明の概要】
【0008】
したがって、本発明の基礎となる技術的問題は、一部の患者において、改善されたDLBCLの治療を提供することである。
【0009】
前記技術的問題に対する解決法がここに提供され、特許請求項の範囲において特徴づけされる。
【0010】
本発明の文脈において、驚くべきことに、すべてのDLBCL患者の中で、一部の患者が、特にリツキシマブを用いた(特に化学療法と組み合わせて、具体的にはCHOP化学療法と組み合わせて)治療と比較して、改善された臨床成果により、オビヌツズマブを用いた(特に化学療法と組み合わせて、具体的にはCHOP化学療法と組み合わせて)治療に応答することが分かった。また、本発明の文脈において、驚くべきことに、特にリツキシマブを用いた(特に化学療法と組み合わせて、具体的にはCHOP化学療法と組み合わせて)治療と比較して、改善された臨床成果により、オビヌツズマブを用いた(特に化学療法と組み合わせて、具体的にはCHOP化学療法と組み合わせて)治療に応答するDLBCL患者のサブグループを同定/決定できることが分かった。また、本発明の文脈において、驚くべきことに、特にリツキシマブを用いた(特に化学療法と組み合わせて、具体的にはCHOP化学療法と組み合わせて)治療と比較して、改善された臨床成果により、オビヌツズマブを用いた(特に化学療法と組み合わせて、具体的にはCHOP化学療法と組み合わせて)治療に応答するDLBCL患者が存在することが分かった。このような特定のDLBCL患者及びDLBCL患者のサブグループそれぞれが、実際に定義可能であること(ここでは「ここに定義される患者」とも呼ばれる)が、本発明の主な要旨である。このような患者がバイオマーカーによって定義できることが本発明のさらなる要旨である(ここではそれぞれ「予測バイオマーカー」及び「予測バイオマーカー定義患者」とも呼ばれる)。
【0011】
特に、GOYAの探索的分析に基づき、本発明の文脈において、GCB DLBCL患者のサブセット(複数可)(例えば新規の分子濾胞性リンパ腫(FL)-様GCB DLBCL患者のサブグループ)及び/又はCD58の変異及び/又はCD58の低発現を有するDLBCL患者では、オビヌツズマブがリツキシマブより優れていること(各々CHOP化学療法と組み合わせた場合)が実証された。それを実施例により示す。一部の患者について、特にここに定義される患者について、Rを上回るオビヌツズマブの有用性が同定されたことは初めてであった。
【0012】
例えば、本発明の文脈において、R(例えばR-CHOP)を用いた治療を上回るG(例えばG-CHOP)を用いた治療の恩恵を享受する、以下のバイオマーカー定義DLBCL患者が同定/決定された。
・BCL2転座患者(例えば、
図4参照);
・BCL2タンパク質発現陽性患者(例えば、
図5参照);
・BCL2タンパク質発現陽性であるBCL2転座患者(例えば、
図6参照);
・GCB DLBCL患者のサブセット(複数可)これらは、例えば:
〇線形予測子スコア(LPS)のカットオフによる、サブグループ「強GCB」患者へのGCB患者のサブグループ(COO)分類(LPS<カットオフである患者;例えばLPS~1900の一般的GCB DLBCLカットオフと比較して)(例えば、
図7、10及び12参照);
〇高BCL2遺伝子発現を有するGCB患者;
〇BCL2タンパク質発現陽性であるGCB患者;
〇BCL2転座を有するGCB患者;
〇BCL2タンパク質発現陽性である、BCL2転座を有するGCB患者(例えば、
図8参照)
として同定することができる;
・CD58変異患者及び/又はCD58の低発現を有する患者(例えば、
図9参照)。
【0013】
さらに詳細には、GOYAの探索的分析に基づき、本発明の文脈において、連続変数としてLPSを評価することにより、G(特にG-CHOP)からR(特にR-CHOP)を上回る恩恵を享受するGCB患者のサブグループが同定された。それを実施例に示す。さらに詳細には、遺伝子発現(GE)アレイプロファイル(LPSより測定)の加重発現が、GOYAにおいてGCB患者に見られるR治療(例えばR-CHOP)を上回るG治療(例えばG-CHOP)の成果とリンクしていることが観察された。
【0014】
これに基づき、R治療を上回るG治療の恩恵を有する患者の強GCB DLBCLサブグループを定義する新規のLPSカットオフを決定することができた。このような新規のカットオフは、GCB DLBCL(~<1900))に通常割り付けられるLPSカットオフを実質的に下回る。例えば、≦749の新規LPSカットオフが、多変量シミュレーション分析(
図10参照)において決定された。この実施例に従って、≦749のLPSを有する患者と定義された「強GCB患者」は、GOYAにおいて、25%(233/933)の評価可能なDLBCL患者及び43%(233/540)の評価可能なGCB患者に相当した。他の一実施例として、≦725の新規のLPSカットオフが、多変量シミュレーション分析において決定された(
図10、12参照)。この実施例によれば、「強GCB」患者は、≦725のLPSを有する患者としてより厳密に定義される。このような患者は、GOYAにおいて、25%(229/933)の評価可能なDLBCL患者及び43%(229/540)の評価可能なGCB患者に相当する。結果の卓越した堅牢性と独立したコホート(「ここに定義される患者」)、即ち強GCB DLBCL患者に対する高い一般化可能性を反映して、725前後のLPSカットオフが示された。このことは、ブートストラップシミュレーションにより示された。
【0015】
G(G-CHOP)を用いて治療された強GCB患者は、例えば、無増悪生存期間(PFS)、無再発生存(EFS)、及び全生存期間(OS)の観点から、R(R-CHOP)を用いて治療された患者より有意に良好な臨床成果をあげた(表4参照)。高レベルの安全性は、どちらの治療レジメンでも同様であった。
【0016】
FoundationOne(登録商標)Heme(FOH)データに対するGESA法において、強GCB患者はさらに、「弱GCB」患者と呼ばれる他のGCB患者と比較して、FL体細胞突然変異ホールマークに有意に偏っていると特徴づけられた(例えば偽発見率、FDR、3.54e-9)。特に、複数のm7-FLIPI遺伝子(BCL2、BCL6、CD70、CDKN2A、CREBBP、EP300、IGH、MEF2B、MYC、MYD88、PCLO、TNFAIP3、TNFRSF14)におけるBCL2転座及び突然変異/突然変異率は、他のDLBCL患者と比較して、強GCB患者、及び/又はBCL2転座及び/又は高いBCL2発現を有するDLBCL患者に高度に偏っていた(FDR<5%;
図11)。中央病理診断には、強GCBサブセットにおける形質転換無痛NHLの証拠はなかった。
【0017】
つまり、DLBCL、特にGCB DLBCLの、臨床的及び分子的に特徴的なサブタイプ、なかでも「強GCB」と呼ばれるサブタイプが同定された。同定されたサブタイプは、de novo DLBCLを表す。これらは、FLの分子的特徴、例えばFLに典型的な突然変異を呈する(Morin, Nature 476 (7360), 2011, 298-303参照)が、臨床的にはFLとは異なる。G(例えばG-CHOP)を用いた治療は、(GCB)DLBCL患者(「ここに定義される患者」)、特に1L(GCB)DLBCLのこれら新規サブセットにおいて、R(例えばR-CHOP)を用いた治療を上回る実質的な臨床的有用性を付与する。
【0018】
したがって、本発明は、オビヌツズマブに、特にさらに有利にはRよりオビヌツズマブに、有利に応答する(GCB)DLBCL患者(「ここに定義される患者」)のサブセット(複数可)を同定/決定/診断するための手段及び方法を提供する。この同定/決定/診断は、複数の方法によって、例えば、BCL2転座及び/又はBCL2タンパク質の過剰発現があるかどうか、CD58に遺伝子変異(複数可)があるかどうか、及び/又はCD58発現の低下があるかどうかを決定することにより、又は、遺伝子発現プロファイリング/加重遺伝子発現の決定により(例えばNanoString COOアッセイを用いることによる)、LPSの新規カットオフ(本明細書の他の部分に記載される)を用いて、実施することができる。
【0019】
さらに詳細には、本発明は、リツキシマブを用いた治療(特に化学療法と組み合わせて、具体的にはCHOP化学療法と組み合わせて)と比較して改善された臨床成果に到達することにより、オビヌツズマブを用いた治療(特に化学療法と組み合わせて、具体的にはCHOP化学療法と組み合わせて)に応答するDLBCL患者(DLBCLを有する/DLBCLに罹患した患者)を同定するための方法に関する。前記方法は、患者がここに定義される患者であるかどうかを(例えば患者の(腫瘍)試料を用いることにより)決定すること(決定する工程)を含む。
【0020】
本発明はさらに、リツキシマブを用いた治療(特に化学療法と組み合わせて、具体的にはCHOP化学療法と組み合わせて)と比較して改善された臨床成果があがるように、オビヌツズマブを用いて(特に化学療法と組み合わせて、具体的にはCHOP化学療法と組み合わせて)治療することができるDLBCLの形態を患者において診断するための方法に関する。前記方法は、患者がここに定義される患者であるかどうかを(例えば患者の(腫瘍)試料を用いることにより)決定すること(決定する工程)を含む。前記方法は(さらに)、患者がここに定義される患者である場合に前記DLBCLの形態を診断すること(診断する工程)を含む。
【0021】
本発明は、オビヌツズマブ、又はその機能的等価物による、ここに定義される患者の医療行為/治療にも関する。原則的には、ここに使用される用語「オビヌツズマブ」は、その機能的等価物も包含する(さらなる説明/定義については以下を参照)。
【0022】
一態様において、本発明は、ここに定義される患者のDLBCLの治療における使用のためのオビヌツズマブに関する。
【0023】
このような使用の文脈では、例えば、(i)(例えば患者の(腫瘍)試料を用いることにより)治療される患者がここに定義される患者であるかどうかが決定されていること、(ii)治療される患者が、本発明の同定するための方法により同定されていること、又は(iii)DLBCLの形態が、本発明の診断するための方法により、治療される患者において診断されていることが想定される。
【0024】
別の態様では、本発明は、ここに定義される患者のDLBCLの治療における使用のためのオビヌツズマブに関し、例えば、前記治療が、(i)治療される(DLBCL)患者がここに定義される患者であるかどうかを決定する(例えば患者の(腫瘍)試料を用いることにより)工程、(ii)本発明の同定するための方法により、DLBCL患者を同定する工程、又は(iii)本発明の診断するための方法により、患者においてDLBCLの形態を診断する工程を含むことが想定される。
【0025】
決定/同定/診断(の工程)の文脈で、(DLBCL)患者の試料、例えば(DLBCL)患者の腫瘍試料を用いてもよい。決定は、(DLBCL)患者の試料、例えば(DLBCL)患者の腫瘍試料において行うことができる。本発明により用いられる特定の試料の非限定的な一実施例は、腫瘍組織/腫瘍生検の試料、さらに詳細にはホルマリン固定パラフィン包埋腫瘍組織/腫瘍生検である。このような試料は、例えば、Scott(2014及び2015、上掲)に記載されるように調製することができる。他の適切な試料が本明細書の他の部分に記載される。
【0026】
別の態様では、本発明は、治療を必要とする患者のDLBCLを治療するための方法に関し、前記患者はここに定義される患者である。方法は、DLBCL療法が考慮される患者の試料を取得する工程及び/又は前記患者がここに定義される患者であるかどうかを決定するために患者の(前記)試料を試験する工程を含みうる。本発明の治療のための方法が、薬学的有効量のオビヌツズマブを、治療される患者に投与する工程を含むことが想定される。これら工程、特に試験する工程の文脈では、(DLBCL)患者の(腫瘍)試料を用いることができる。試験は、(DLBCL)患者の(腫瘍)試料において行うことができる。用いられる「試料」に関する上記及び他の部分の記載は、ここでも準用される。
【0027】
これら工程の文脈で、特に試験する工程の文脈で(又は同工程以外で)、本発明による同定又は診断するための方法も用いることができる。
【0028】
別の態様では、本発明は、ここに定義される患者のDLBCLの治療のための薬学的組成物の調製のためのオビヌツズマブの使用に関する。前記治療は、治療される(DLBCL)患者がここに定義される患者であるかどうかの本発明による決定/同定/診断の工程を含みうる。決定/同定/診断の工程の文脈で、(DLBCL)患者の試料、例えば(DLBCL)患者の腫瘍試料を用いることができる。決定は、(DLBCL)患者の試料、例えば(DLBCL)患者の腫瘍試料において行うことができる。用いられる「試料」に関する本明細書の他の部分の記載は、ここでも準用される。同様に、使用及び治療に関する上記記載は、ここでも準用される。
【0029】
本発明により治療される患者(「ここに定義される患者」)は、リツキシマブを用いた治療(特に化学療法と組み合わせて、具体的にはCHOP化学療法と組み合わせて)と比較して改善された臨床成果に到達することにより、オビヌツズマブを用いた治療(特に化学療法と組み合わせて、具体的にはCHOP化学療法と組み合わせて)に応答する患者、特にDLBCLを有する/DLBCLに罹患した患者である。
【0030】
本発明の一態様/実施態様(態様/実施態様A)において、ここに定義される患者(オビヌツズマブを用いて治療される)は、予測バイオマーカー定義患者である。
【0031】
バイオマーカーは、ここに定義される患者、即ちリツキシマブを用いた治療(特に化学療法と組み合わせて、具体的にはCHOP化学療法と組み合わせて)より有利に、オビヌツズマブを用いた治療(特に化学療法と組み合わせて、具体的にはCHOP化学療法と組み合わせて)に応答する患者を同定するために使用することができる場合(任意選択的に一又は複数の他の(予測)バイオマーカーと組み合わせて)、本発明により「予測的」である。さらに詳細には、バイオマーカーは、治療効果(即ちR治療と比較した場合のG治療)がバイオマーカー定義(サブグループの)患者間で異なる場合、予測的である。このような文脈においては、予測バイオマーカー(複数可)が本明細書の他の部分で定義されるバイオマーカー(複数可)であることが好ましい。本発明の文脈で評価される予測バイオマーカーの特定の実施例は、CD58(例えばその内部での遺伝子変異(複数可)及び/又はその低発現)、BCL2(例えばその転座及び/又は高発現)及び遺伝子TNFRSF13B、LIMD1、IRF4、CREB3L2、PIM2、CYB5R2、RAB7L1、及びCCDC50;並びにMME、SERPINA9、ASB13、MAML3、ITPKB、MYBL1、及びS1PR2のうちの一又は複数(好ましくはすべて)(例えば、~1900を実質的に下回るLPSをもたらすその加重発現)である。このような文脈では、以下の開示、特に態様/実施態様BからG(下記)の文脈での開示にも言及する。
【0032】
本発明の一態様/実施態様(態様/実施態様B)では、ここに定義される患者(オビヌツズマブを用いて治療される)は、分子濾胞性リンパ腫(FL)様胚中心B細胞(GCB)DLBCLを有する/同GCB DLBCLに罹患した患者である。
【0033】
この文脈での「分子」は、分子レベルで、患者がFL患者に似ていることを意味する(Morin(上掲)参照)。しかしながら、臨床レベルでは/臨床的には、患者がFL患者に似ていないことが想定される。
【0034】
本発明によれば、この態様/実施態様による分子FL様GCB DLBCLは、好ましくは、本発明による強GCB DLBCL及び/又はBCL2転座及び/又はBCL2の高発現を有する患者におけるDLBCLを特徴とする(以下の態様/実施態様D及びE参照)。
【0035】
本発明による分子FL様GCB DLBCLに罹患した患者はまた、BCL2、BCL6、CD70、CDKN2A、CREBBP、EP300、IGH、MEF2B、MYC、MYD88、PCLO、TNFAIP3及びTNFRSF14からなる群より選択される遺伝子のうちの一又は(好ましくは)複数に一又は(好ましくは)複数の変異を有する患者として特徴づけることができる。やや好ましくないが、本発明による分子FL様GCB DLBCLに罹患した患者はまた、BCL2、CREBBP、EP300、EZH2、MEF2B、PCLO、及びTNFRSF14からなる群より選択される遺伝子のうちの一又は(好ましくは)複数に一又は(好ましくは)複数の変異を有するか、CREBBP、EP300、EZH2、MEF2B及びTNFRSF14からなる群より選択される遺伝子のうちの一又は(好ましくは)複数に一又は(好ましくは)複数の変異を有するか、又はEZH2、MEF2B及びTNFRSF14からなる群より選択される遺伝子のうちの一又は(好ましくは)複数に一又は(好ましくは)複数の変異を有する患者として特徴づけることができる。
【0036】
この点で当てはまる変異の、特定の、しかし非限定的な一実施例は、BCL2変異、特にBCL2転座である(詳細については以下参照)。
【0037】
変異(複数可)は、例えば、以下の実施例に基づいて同定することができる。例えば、Foundation Medicine社の次世代シーケンシングアッセイ、FoundationOne(登録商標)Hemeを、これに関して使用することができる(販売者のマニュアルに従って)。
【0038】
本発明の一態様/実施態様(態様/実施態様C)では、ここに定義される患者(オビヌツズマブを用いて治療される)は、CD58における一又は複数の遺伝子変異及び/又はCD58の低発現を有する患者である。
【0039】
CD58(Challa-Malladi(上掲)も参照)は、腫瘍細胞の免疫認識に関与することが知られており、腫瘍細胞に発現する。CD58は、エフェクターCTL及びNK細胞上のCD2に結合する(それにより免疫エフェクター細胞の活性化シグナルを提供する)。CD58における遺伝子異常の存在は、CD58の表面発現の欠失又は異常に関連付けられる(例えば免疫組織化学(IHC)により検出可能)。DLBCLの症例の67%は、GCB及びABC COOサブグループにおいて同じ割合で;異常なCD58タンパク質発現を示す。
【0040】
CD58をコードするヌクレオチド配列及びCD58、特にホモサピエンス(ヒト)CD58のアミノ酸配列は、当技術分野で周知である。それらは、例えば、Uniform Resource Locator (URL) https://www.ncbi.nlm.nih.gov/search/?term=Homo+sapiens+CD58&utm_expid=.fAeHyO5JTBGxnObh2WlrCA.0&utm_referrer=https%3A%2F%2Fwww.ncbi.nlm.nih.gov%2Fsearch%2F%3Fterm%3DHomo%2Bsapiens%2BCD58に従ってダウンロードすることができる。CD58、特にホモサピエンス(ヒト)CD58をコードするヌクレオチド配列は、例えば、NCBI受入番号:XM_017002869.2(変異体X1);NR_026665.1(変異体3);NM_001779.2(変異体1);NM_001144822.1(変異体2)により入手可能である。CD58、特にホモサピエンス(ヒト)CD58のアミノ酸配列は、例えば、NCBI受入番号:XP_016858358.1(アイソフォームX1);NP_001138294.1(アイソフォーム2);NP_001770.1(アイソフォーム1)により入手可能である。ホモサピエンス(ヒト)CD58をコードするヌクレオチド配列の一例は、配列番号11に示される。ホモサピエンス(ヒト)CD58のアミノ酸配列の一例は、配列番号12に示される。
【0041】
原則的には、本発明の文脈における「発現」は、遺伝子発現、即ち(一次)mRNAの出現(転写レベル)、及びタンパク質発現、即ちタンパク質の出現(翻訳レベル)の両方を意味すると想定される。
【0042】
(一次)mRNAの出現は、例えば、in situハイブリダイゼーション(ISH)技術、例えば蛍光ISH(FISH)により測定/検出することができる。それぞれの手段及び方法は、当技術分野で既知であり、例えば、Zhangに記載されている(Chin. J. Cancer. Res. 23(2), 2011, 160-4; https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3587538/も参照)。
【0043】
(一次)mRNAの遺伝子発現/出現、特にCD58遺伝子の発現/(一次)CD58 mRNAの出現はまた、TruSeq(登録商標)RNA配列を用いることにより(販売者のマニュアルに従って(Illumina(登録商標),Inc.))評価することができる。
【0044】
タンパク質の出現は、例えば、IHCにより測定/検出することができる。それぞれの手段及び方法は、当技術分野で既知であり、例えば、Punnooseに記載されている(上掲.;http://www.bloodjournal.org/content/126/23/3971も参照)。
【0045】
タンパク質発現/タンパク質、特にCD58タンパク質発現の出現は、Challa-Malladi(上掲)に記載されるように測定/検出することもできる。
【0046】
一般に、CD58発現及びCD58変異を評価するための手段及び方法は、当技術分野で既知である(例えば、Challa-Malladi(上掲)参照)。さらに、当業者であれば、所与のCD58発現が、本発明による「低」かどうか、又は本発明によるCD58変異(複数可)が存在するかどうかを容易に評価することができる。さらに、当業者であれば、それと比較して所与のCD58発現が本発明により「より低い」と考慮されるか、又はそれと比較して本発明によるCD58の変異(複数可)が存在すると考慮される、適切なコントロールを容易に選択することができる。このような文脈では、当業者は、例えば、Challa-Malladi(上掲)を援用することもできる。
【0047】
本発明の文脈において、「CD58の低発現」とは、特に適切なコントロールと比較して、CD58が実質的により低いレベルで発現されることを意味する。一般に、本発明による「CD58の低発現」は、CD58発現が、本発明による応答者(即ちリツキシマブを用いた治療(特に化学療法と組み合わせて、具体的にはCHOP化学療法と組み合わせて)と比較して改善された臨床成果に到達することにより、オビヌツズマブを用いた治療(特に化学療法と組み合わせて、具体的にはCHOP化学療法と組み合わせて)に応答する患者;「ここに定義される患者」)におけるCD58発現と同じくらい低い(例えば±10%以下、±7.5%以下、±5%以下、±3%以下、±2%以下、±1%以下、又は場合によっては±0%)、及び/又は本発明による非応答者(即ちリツキシマブを用いた治療(特に化学療法と組み合わせて、具体的にはCHOP化学療法と組み合わせて)と比較して改善された臨床成果に到達しないことにより、オビヌツズマブを用いた治療(特に化学療法と組み合わせて、具体的にはCHOP化学療法と組み合わせて)に応答する患者;非「ここに定義される患者」)におけるCD58の発現より低いことを意味する。当業者であれば、この点においてCD58発現が「低い」ときを評価し、適切なコントロールを適用することができる。例えばこの点におけるコントロールは、共通のDLBCL集団、さらに詳細には、本発明により分類される患者のサブグループに属するものとして分類されないDLBCL患者(非「ここに定義される患者」)である。
【0048】
「CD58の低発現」は、コントロール群、例えばそのような上記コントロール群のCD58発現の中央値より低いCD58発現としてもよい。例えば、本発明による「CD58の低発現」及びCD58発現の「より低いレベル」はそれぞれ、観察されたGOYA患者のCD58発現の中央値より低いCD58発現でもよい。
【0049】
CD58(遺伝子)発現の単位として、正規化されたキロベースミリオン当たりの読み取りである単位log2(nRPKM)が使用されてよい。この単位を用いたGOYA患者のCD58発現の中央値は、5.3前後である。したがって、本発明による「CD58の低発現」及びCD58発現の「より低いレベル」はそれぞれ、単位log2(nRPKM)5.3(患者(複数可)のコントロール(群)におけるCD58発現の中央値)に相当する、患者(複数可)のコントロール(群)(上記参照)におけるCD58発現より低いCD58発現でありうる。換言すれば、本発明による治療される患者におけるCD58発現は、5.3の単位log2(nRPKM)に相当する、患者(複数可)のコントロール(群)におけるCD58発現より実質的に低くてよい。即ち、本発明による治療される患者におけるCD58発現は、単位log2(nRPKM)で≦5.2、≦5.1、≦5.0、≦4.5、≦4.0、≦3.5、≦3.0、≦2.5又は≦2.0に相当するCD58発現でありうる。
【0050】
上述のように、CD58は、腫瘍細胞上とB細胞の表面上に発現される。したがって、特定の一態様では、「CD58の低発現」及びCD58発現の「より低いレベル」はそれぞれ、本発明によれば、CD58が腫瘍細胞及び/又はB細胞上に、共通のDLBCL腫瘍細胞及び/又は共通のDLBCL B細胞上のCD58発現より実質的に低いレベルで発現されることを意味する。「共通のDLBCL」とは、このような文脈では、例えば、腫瘍細胞及びB細胞それぞれが、本発明による非応答者に、好ましくは、ここに定義される患者として分類されないDLBCL患者に由来する、それぞれDLBCL腫瘍細胞DLBCL B細胞に由来することを意味する。
【0051】
例えば、「CD58の低発現」及びCD58発現の(実質的に)「より低いレベル」はそれぞれ、本発明によれば、CD58が、特に適切なコントロール(例えば共通のDLBCL患者/集団;非「ここに定義される患者」)におけるCD58発現と比較して、少なくとも10%低い、少なくとも20%低い、少なくとも30%低い、少なくとも40%低い、少なくとも50%低い、少なくとも75%低い、又は少なくとも100%低いレベルで発現されることを意味する。これは、遺伝子発現及びタンパク質発現の両方に当てはまる。
【0052】
変異、特にCD58変異は、例えば、FoundationOne(登録商標)Heme(FOH)パネルを用いることにより同定することができる(例えば、He, Blood 127(24), 2017, 3004-14参照;実施例も参照のこと)。
【0053】
ここに定義される患者に存在しうる(及び検出されうる)CD58における遺伝子変異の例は、ショートバリアント変異及び/又はコピー数多型である。
【0054】
当業者であれば、本発明によるCD58発現又はCD58変異(複数可)を評価/検出するときに(試験試料又はコントロール試料として)使用するべき適切な試料を容易に選択することができる。
【0055】
CD58の低発現が存在するかどうかを評価/検出するために本発明の文脈で用いられる(試験試料又はコントロール試料として)試料の特定の例は、(CD58発現)腫瘍の試料(例えば生検)及び/又は(CD58発現)B細胞を含む試料(例えば生検)である。
【0056】
CD58変異(複数可)が存在するかどうかを評価/検出するための本発明の文脈で用いられる(試験試料又はコントロール試料として)試料の特定の例は、DNA試料である。
【0057】
本発明の一態様/実施態様(態様/実施態様D)において、ここに定義される患者(オビヌツズマブを用いて治療される)は、強GCB DLBCLを有する/強GCB DLBCLに罹患した患者である。
【0058】
本発明によれば、強GCB DLBCLを有する/強GCB DLBCLに罹患した患者は、遺伝子NFRSF13B、LIMD1、IRF4、CREB3L2、PIM2、CYB5R2、RAB7L1、及びCCDC50(ABC DLBCLに過剰発現される遺伝子);並びにMME、SERPINA9、ASB13、MAML3、ITPKB、MYBL1、及びS1PR2(GCB DLBCLに過剰発現される遺伝子)のうちの一又は複数(好ましくはすべて)(を含む一組の遺伝子)の(加重)発現を決定することにより、同定することができる。
【0059】
さらに詳細には、強GCB DLBCLを有する/強GCB DLBCLに罹患した患者は、遺伝子TNFRSF13B、LIMD1、IRF4、CREB3L2、PIM2、CYB5R2、RAB7L1、及びCCDC50;並びにMME、SERPINA9、ASB13、MAML3、ITPKB、MYBL1、及びS1PR2のうちの一又は複数、好ましくはすべてと;任意選択的に、遺伝子R3HDM1、WDR55、ISY1、UBXN4、及びTRIM56(ハウスキーピング遺伝子)のうちの一又は複数、好ましくはすべてと(を含む一組の遺伝子)の特定の(加重)発現を有する腫瘍を持つ患者として定義されうる。
【0060】
本発明のこの態様/実施態様の文脈では、加重遺伝子発現が評価されることが特に想定される。
【0061】
特に、ここに開示される一組の遺伝子の加重発現から得られる線形予測子スコア(LPS)が特定のカットオフを下回る、即ちGCB DLBCLに通常割り付けられるLPSカットオフを実質的に下回る(~<1900)とき、GCB DLBCLは「強GCB DLBCL」とみなされる。同様に、ここに開示される一組の遺伝子の加重発現が、特定のカットオフを下回るLPS、即ちGCB DLBCLに通常割り付けられるLPSのカットオフを実質的に下回る(~<1900)LPSが得られるここに開示される一組の遺伝子の加重発現に相当するとき、GCB DLBCLは「強GCB DLBCL」とみなされる。本発明によれば、適用可能な、即ち「強GCB DLBCL」を定義する特定のカットオフ、即ち結果として得られるLPSの例は、(約)≦1200、(約)≦1141、(約)≦1100、(約)≦756、(約)≦750、(約)≦749、(約)≦745、(約)≦725又は(約)≦699のカットオフである。好ましいカットオフは、(約)≦750、(約)≦749及び(約)≦725である。特に好ましいカットオフは、(約)≦750及び(約)≦725である。
【0062】
本発明により、即ち強GCB DLBCLの決定/同定/診断に用いられる遺伝子の組は、一又は複数のハウスキーピング遺伝子、例えばハウスキーピング遺伝子R3HDM1、WDR55、ISY1、UBXN4、及びTRIM56のうちの一又は複数(好ましくはすべて)をさらに含む。
【0063】
用いられる他の遺伝子のうちの一又は複数の発現は、一又は複数のハウスキーピング遺伝子、例えばここに定義されるハウスキーピング遺伝子の発現に正規化することができる。当業者であれば、これら他の遺伝子のうちの一又は複数の(及び本発明により用いられる遺伝子の組に含まれうる一又は複数の他の遺伝子の)発現を、一又は複数のハウスキーピング遺伝子に基づいて、例えば上述の一又は複数のハウスキーピング遺伝子に基づいて、容易に正規化することができる。例えば、この点で、(これら)ハウスキーピング遺伝子のうちの少なくとも1、2、3、4又は5を用いることができる。それぞれの手引きについては、当業者は、例えば、Scott(2014及び2015(上掲))を参考にすることができる。
【0064】
原則的には、上述の遺伝子の組のサブセットのみを含む一組の遺伝子も、本発明により用いることができる。例えば、このようなサブセットは、上述の遺伝子の組全体のうち、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18又は19を含みうる。しかしながら、評価する遺伝子が多い程好ましい。
【0065】
本発明により用いられうる遺伝子のこのようなサブセットの例は、遺伝子TNFRSF13B、LIMD1、IRF4、CREB3L2、PIM2、CYB5R2、RAB7L1、及びCCDC50のうちの少なくとも1、2、3、4、5、6又は7、遺伝子MME、SERPINA9、ASB13、MAML3、ITPKB、MYBL1、及びS1PR2のうちの少なくとも1、2、3、4、5又は6、又はこれら二つの遺伝子サブセットの遺伝子のうちの少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、又は14を含む遺伝子のサブセットである。原則的には、遺伝子の数が多い程好ましい。
【0066】
本発明の文脈ではまた、ここに言及された特定の遺伝子の組又は遺伝子のサブセットだけでなく;一又は複数のさらなる遺伝子(例えば2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、20以上、30以上、40以上、50以上、60以上、70以上、80以上、90以上、100以上、150以上、170以上、又は180以上のさらなる遺伝子)を含む遺伝子の(サブ)セットも本発明により評価することができると想定される。この/これらさらなる遺伝子は、例えば、GCB及びABC(及び未分類の)DLBCLを、それらの(加重)発現に基づいて分離/区別することが知られる(約180の)遺伝子のうちの一又は複数でありうる(特に、Lenz(N. Engl. J. Med. 359(2), 2008、2313-23参照)及びさらにはGeiss(Nature Biotechnology 26 (3), 2008, 317-25))。
【0067】
例えば、本発明により評価される一組の遺伝子は、特定の遺伝子の組又は上述の遺伝子のサブセットのいずれかの遺伝子(のうちの少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18又は19)、及び、例えば、GCB及びABC(及び未分類の)DLBCLを、それらの(加重)発現に基づいて分離/区別することが知られる(約180の)遺伝子のうちの、一又は複数のさらなる遺伝子(例えば2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、20以上、30以上、40以上、50以上、60以上、70以上、80以上、90以上、100以上、150以上、170以上、又は180以上のさらなる遺伝子)を含みうる(Lenz and Geiss(上掲)参照)。
【0068】
例えば、一の(又は複数の)他の遺伝子を、遺伝子の上記の組若しくはサブセットのうちの一つ、例えば20、15、8又は7の上記遺伝子を含むパネルのうちの一つに加えることができるか、又は遺伝子の上記の組若しくはサブセットの遺伝子のうちの一(又は複数)、例えば20、15、8又は7の上記遺伝子を含むパネルの遺伝子のうちの一(又は複数)を、一の(又は複数の)他の遺伝子で置き替えることができる。
【0069】
態様/実施態様Dにより用いられる、非限定的であるが好ましい別の遺伝子の例は、BLC2遺伝子である。
【0070】
本発明による上述の遺伝子の発現、特に加重発現を決定するために使用できる手段及び方法の一例は、NanoStringにより提供される(NanoString Technologies,Inc.,Seattle,WA,USA;Lenz(上掲)及びGeiss(上掲)も参照)。上述の遺伝子の(加重)発現を決定することのできる非限定的な特定の例は、NanoString研究専用LSTアッセイである。別の例は、TruSeq(登録商標)RNAツール(Illumina(登録商標),Inc.)である。さらなる例は、Wright ( PNAS 100 (17) , 2003, 9991-6)に記載されている。Wright(上掲)には、(加重)遺伝子発現分析のための、いずれかの適切なパネルの一般的適用可能性も記載される。
【0071】
(加重)発現を決定するために使用することのできる手段及び方法の上記の例によれば、強GCB DLBCLを有する/強GCB DLBCLに罹患した患者は、GCB DLBCLに通常割り付けられるLPSを下回るLPS(~<1900;それぞれのカットオフの例については上記を参照)をもたらす(加重)遺伝子発現を有する腫瘍であって、LPSが、NanoString LSTから、例えばNanoString研究専用LST(NanoString Technologies,Inc.,Seattle,WA,USA)から、Nanostringパネルの中の遺伝子の(加重)遺伝子発現として得られる腫瘍(又はそのような(加重)遺伝子発現に相当する(加重)遺伝子発現を有する腫瘍)を持つ患者と定義することもできる。例えば、上記特定の遺伝子は、Nanostringパネルの中にある。
【0072】
強GCB DLBCLを有する/強GCB DLBCLに罹患した患者は、GCB DLBCLに通常割り付けられるLPSを下回るLPS(~<1900;それぞれのカットオフの例については上記を参照)を有する/そのようなLPSをもたらす(加重)遺伝子発現を有する腫瘍であって、LPSが、(加重)遺伝子発現プロファイリングにより(例えばここに記載されるNanoString LSTを使用することにより)COO分類から得られる腫瘍(又はそのような(加重)遺伝子発現に相当する(加重)遺伝子発現を有する腫瘍)を持つ患者と定義することもできる。
【0073】
原則的には、COO分類(例えば強GCB DCBCL、未分類のGCB DCBCL及び弱GCB DCBCLへの)は、遺伝子発現プロファイリング、特に加重遺伝子発現プロファイリング(例えばNanoString LSTを用いるもの(例えば、NanoString研究専用LSTのような)(NanoString Technologies,Inc.,Seattle,WA,USA)に基づいて行うことができる。
【0074】
原則的には、「LPS」の意味は、当技術分野で既知であり、本発明の文脈ではそれにしたがって当業者によって理解される。特に、本発明によるLPSは連続変数である(遺伝子発現の加重平均;例えばNanostring LST内にありうる、ここに言及される遺伝子の)。
【0075】
GOYAにおいて評価される患者の合計値では、LPSは-1138から4504の範囲を有する。通常は、上述のように、LPSは、患者をCOOサブグループGCB DLBCL、ABC DLBCL、及び未分類DLBCLへと分類するために使用される(上記及びScott 2014及び2015(上掲)参照)。デフォルトのCOOアルゴリズムは、GCB又はABCである可能性に対する≧90%のカットオフに基づくGCB/ABC分類を用いるベイジアン手法を使用する(未分類はバッファーとして働く)。
【0076】
さらに詳細には、本発明によるLPSは、遺伝子発現プロファイリングに用いられる遺伝子の発現の加重和であると想定される(例えば、言及された遺伝子の(サブ)セットに含まれる上記遺伝子)。遺伝子発現の加重和は、以下の式(式I)に従って計算することができる:
[上記式中、Xは各試料を意味し、X
jは遺伝子jの遺伝子発現であり、a
jは遺伝子jの係数である](さらにWright、上掲;特に、「Gene Expression Data」及び「Formulation of the DLBCL Subgroup Predictor」のセクションを参照;参照によりここに包含される)。
【0077】
一般に、当業者であれば、本発明の教示により、遺伝子の発現、特に遺伝子の加重発現を決定することができる。それぞれの手段及び方法は、当技術分野で既知であり、例えば、参照によりここに包含される、Wright(上掲)、特に、“Gene Expression Data”及び“Formulation of the DLBCL Subgroup Predictor”のセクションに記載されている。Wright(上掲)は、例えば、加重遺伝子発現アルゴリズムがどのように使用できるか、及びNanoString LST他のような遺伝子発現プラットフォーム上でどのように移動させることができるかについても概説している。同等の手引きはLenz(上掲)にも与えられている。
【0078】
本発明による強GCB DLBCL分類の文脈において、及び詳細には上述のように、以下がさらに考慮されうる:
多変量Cox比例ハザードモデル及び(/又は)エラスティックネット罰則付き回帰(アルファ=0.5)は、バイオマーカー治療効果を評価するために使用することができる。治療効果のための、例えばNanoString LST及びそれぞれのLPSに基づいて最適なカットオフを同定するシミュレーションを、交差検証及び(/又は)ブートスラッピングを用いて実施することができる。複数の試験調整を、例えばBenjamini-Hochberg手順を用いて、偽発見率(FDR)を見積もることにより行うことができる(例えば有意性<5%のFDR)。パスウェイエンリッチメント分析を、遺伝子セットエンリッチメントにより、例えば、MSigDBホールマーク及び(/又は)精選されたFL体細胞突然変異ホールマーク遺伝子セットを用いることにより定義された遺伝子セットを用いることにより、実施することができる。
【0079】
特に、LPSカットオフ(例えば本明細書の他の部分に記載される)は、(一又は複数の)シミュレーション分析、好ましくは(一又は複数の)多変量シミュレーション分析において決定することができる。
【0080】
LPSカットオフの堅牢性(例えば本明細書の他の部分に記載される)は、ブートストラップシミュレーションにより示されうる。
【0081】
さらに、例えばNanoString LSTの、LPSの特異的な加重アルゴリズムを使用する代わりに、例えば別の発現分析パネル(例えばTruSeq(登録商標)RNAツール(Illumina(登録商標),Inc.))の、結果の主成分分析に基づく第1の主成分を利用して、例えば上述の遺伝子(例えばGCBとABCを分離することが知られている~180の遺伝子のうちの一又は複数)を遺伝子発現により評価することができる。また、本発明により、(NanoString LST-derived)LPSと第1の主成分との間に極めて高い相関関係があることが示された。
【0082】
本発明の一態様/実施態様(態様/実施態様E)では、ここに定義される患者(オビヌツズマブを用いて治療される)は、BCL2転座及び/又はBCL2の高発現を有する患者である。好ましくは、BCL2の高発現を有するBCL2転座患者が、この態様/実施態様の文脈で想定される。
【0083】
BCL2(Zhang、上掲; Punnoose、上掲; Iqbal, Cancer Cancer Res 17(24), 2011, 7785 - 95; Iqbal, JCO 24(6), 2006, 961 - 8; Hu, Blood 121(20), 2013, 4021 - 31; Johnson, JCO 30(28), 2012, 3452 - 67; Green, JCO 30(28), 2012, 3460 - 67参照)は、過剰発現するとミトコンドリアアポトーシス経路に対抗する抗アポトーシスタンパク質であることが一般に知られている。BCL2は、DLBCL患者の腫瘍中に発現することが知られている。
【0084】
BCL2をコードするヌクレオチド配列及びBCL2、特にホモサピエンス(ヒト)BCL2のアミノ酸配列は、当技術分野で周知である。それらは例えば、Uniform Resource Locator (URL) https://www.ncbi.nlm.nih.gov/search/?term=Homo+sapiens+BCL2&utm_expid=.fAeHyO5JTBGxnObh2WlrCA.0&utm_referrer=https%3A%2F%2Fwww.ncbi.nlm.nih.gov%2Fsearch%2F%3Fterm%3DHomo%2Bsapiens%2BBCL2に従ってダウンロードすることができる。BCL2、特にホモサピエンス(ヒト)BCL2をコードするヌクレオチド配列は、例えばNCBI受入番号:XM_017025917.2(変異体X3);XM_011526135.3(変異体X2);XR_935248.3(変異体X1);NM_000657.2(変異体ベータ);NM_000633.2(変異体アルファ)により入手可能である。BCL2、特にホモサピエンス(ヒト)BCL2のアミノ酸配列は、例えばNCBI受入番号:XP_016881406.1(アイソフォームX2);XP_011524437.1(アイソフォームX1);NP_000648.2(アイソフォームベータ);NP_000624.2(アイソフォームアルファ)により入手可能である。ホモサピエンス(ヒト)BCL2をコードするヌクレオチド配列の一例は、配列番号13に示される。ホモサピエンス(ヒト)BCL2のアミノ酸配列の一例は、配列番号14に示される。
【0085】
「発現」、(一次)mRNAの測定/検出及びタンパク質の測定/検出に関して上記で一般的に述べたことは、ここに準用される。
【0086】
一般に、BCL2発現及びBCL2転座を測定/検出するための手段及び方法は、当技術分野で既知であり、例えば、Zhang (上掲) 及びPuunoose (上掲)に記載されている。さらに、当業者であれば、所与のBCL2発現が、本発明により「高い」かどうか、又は本発明によるBCL2転座(複数可)が存在するかどうかを容易に評価することができる。さらに、当業者であれば、それと比較して所与のBCL2発現が本発明により「より高い」と考慮されるか、又はそれと比較して本発明によるBCL2の転座(複数可)が存在すると考慮される適切なコントロールを容易に選択することができる。このような文脈では、当業者は、例えば、Zhang (上掲) 及びPuunoose (上掲)を援用することもできる。
【0087】
BCL2発現は、例えば、Ventana社の免疫組織化学(IHC)アッセイ、例えばVentanaの調査用IHCアッセイ(BCL2抗体クローン124)(供給者のマニュアルに従って)により評価することができる。例えば、BCL2の高発現は、この文脈では、≧50%の腫瘍細胞における中程度又は強度の染色として定義することができる(詳細については下記を参照)。
【0088】
また、BCL2タンパク質のBCL2タンパク質発現/出現は、Punnoose (上掲)、Iqbal (2011及び2006上掲)、Hu (上掲)、Johnson (上掲)、Green(上掲)に記載されるように測定/検出することができる。
【0089】
(一次)mRNAの遺伝子発現/出現、特に(一次)BCL2 mRNAのBCL2遺伝子発現/出現は、例えば、Zhang(上掲)に記載されるように、又は販売者のマニュアルに従ってTruSeq(登録商標)RNA配列((Illumina(登録商標),Inc.)を使用することにより)評価することができる。
【0090】
本発明の文脈において、「BCL2の高発現」とは、特に適切なコントロールと比較して、BCL2が実質的により高いレベルで発現されることを意味する。一般に、本発明による「BCL2の高発現」は、BCL2発現が、本発明による応答者(即ちリツキシマブを用いた治療(特に化学療法と組み合わせて、具体的にはCHOP化学療法と組み合わせて)と比較して改善された臨床成果に到達することにより、オビヌツズマブを用いた治療(特に化学療法と組み合わせて、具体的にはCHOP化学療法と組み合わせて)に応答する患者;「ここに定義される患者」)におけるBCL2発現と同じくらい高いこと(例えば±10%以下、±7.5%以下、±5%以下、±3%以下、±2%以下、±1%以下、又は場合によっては±0%)、及び/又は本発明による非応答者(即ちリツキシマブを用いた治療(特に化学療法と組み合わせて、具体的にはCHOP化学療法と組み合わせて)と比較して改善された臨床成果に到達しないことにより、オビヌツズマブを用いた治療(特に化学療法と組み合わせて、具体的にはCHOP化学療法と組み合わせて)に応答する患者;非「ここに定義される患者」)におけるBCL2の発現より高いことを意味する。当業者であれば、この点においてBCL2発現が「高い」ときを評価し、適切なコントロールを適用することができる。例えばこの点におけるコントロールは、共通のDLBCL集団、さらに詳細には、本発明により分類される患者のサブグループに属するものとして分類されないDLBCL患者(非「ここに定義される患者」)である。「BCL2の高発現」は、コントロール群、例えばそのような上記コントロール群のBCL2発現の中央値より高いBCL2発現としてもよい。例えば、本発明による「BCL2の高発現」及びBCL2発現の「より高いレベル」はそれぞれ、GOYAにおいて評価された患者のBCL2発現の中央値より高いBCL2発現でもよい。
【0091】
それに基づいて本発明の文脈でBCL2発現が「高い」かどうかを考慮することのできるコントロールの一例は、正常組織、即ち非腫瘍組織であり、さらに詳細には正常リンパ組織、即ち非腫瘍リンパ組織である。組織はDLBCL患者由来のものとすることができる。例えば、組織は治療されるDLBCL患者のものでよい。しかしながら、原則的には、組織は正常/健常な対象のものでもよい。
【0092】
それに基づいて本発明の文脈でBCL2発現が「高い」かどうかを考慮することのできるコントロールの好ましい一例は、腫瘍組織、さらに詳細には、本発明による非応答者(非「ここに定義される患者」)由来のリンパ性腫瘍組織である。組織が非応答DLBCL患者(DLBCL患者である非「ここに定義される患者」)に由来することが好ましい。
【0093】
BCL2発現は、例えば、≧30%、≧40%、≧50%又は≧60%の腫瘍細胞がBCL2を発現する(例えばIHCアッセイでBCL2染色を示す)場合、特に中程度から強度のBCL2発現を示す(例えばIHCアッセイで中程度から強度のBCL2染色)を示す場合、「高い」と考えられる。
【0094】
本発明の文脈では、BCL2発現、特に「高い」BCL2発現に、BCL2を発現する腫瘍細胞のパーセンテージ及びこれら細胞におけるBCL2発現の強度の両方が組み込まれることが好ましい。
【0095】
あるBCL2発現が本発明により「高い」かどうかを評価するとき、当業者であれば、Iqbal (2011及び2006上掲), Hu (上掲), Johnson (上掲) 及びGreen (上掲)も援用することができる。
【0096】
さらに一般的に、「BCL2の高発現」及びBCL2発現の(実質的に)「より高いレベル」はそれぞれ、本発明によれば、BCL2が、特に適切なコントロール(例えば共通のDLBCL患者/集団;非「ここに定義される患者」)におけるBCL2発現と比較して、少なくとも10%高い、少なくとも20%高い、少なくとも30%高い、少なくとも40%高い、少なくとも50%高い、少なくとも75%高い、又は少なくとも100%高いレベルで発現されることを意味する。これは、遺伝子発現及びタンパク質発現の両方に当てはまる。
【0097】
「BCL2転座」の意味は、当技術分野で周知である。典型的には、「BCL2転座」は、BCL2とIgHの間の遺伝子の融合である(染色体14及び18を含む)。BCL2転座(複数可)は、例えば、Zhang (上掲)に記載されている。
【0098】
BCL2転座は、例えば、BCL2 Dual Color Break Apart technology(Vysis,Abbott Molecular)を使用することにより、特にVysis LSI Dual Color Break Apart FISH Probesを使用することにより(例えば供給業者のマニュアルに従って5%(一般的に使用される)又は50%(FISH)のカットオフで)、評価/検出することができる。
【0099】
BCL2転座は、Foundation Medicine次世代シーケンシングアッセイ、FoundationOne(登録商標)Heme(供給者のマニュアルに従って;He(上掲)も参照)を用いて評価/検出することもできる。
【0100】
BCL2転座を評価/検出するための手段及び方法は、当技術分野で既知であり、例えば、Zhang(上掲)及びHe (上掲)に記載されている。
【0101】
当業者であれば、本発明によるBCL2転座(複数可)又はBCL2発現を評価/検出するときに(試験試料又はコントロール試料として)使用するべき適切な試料を容易に選択することができる。
【0102】
BCL2の高発現が存在するかどうかを評価/検出するために本発明の文脈で用いられる試料の特定の例(試験試料又はコントロール試料として)は、(BCL2発現)腫瘍の試料(例えば生検)である。
【0103】
BCL2転座(複数可)が存在するかどうかを評価/検出するための本発明の文脈で用いられる(試験試料又はコントロール試料として)試料の特定の一実施例は、DNA試料である。
【0104】
本発明の一態様/実施態様(態様/実施態様F)では、ここに定義される患者(オビヌツズマブを用いて治療される)は、態様/実施態様A、B、C、D及びE(上掲)において言及された患者の定義のうちのいずれか2、3、4又は5の組み合わせ/交差により定義される。即ち、患者は、態様/実施態様A及びB;A及びC;A及びD;A及びE;B及びC;B及びD、B及びE;C及びD;C及びE;A、B及びC;A、C及びD;A、D及びE;A、B及びD;A、B及びE;A、C及びE;B、C及びD;B、C及びE;B、D及びE;C、D及びE;A、B、C及びD;A、C、D及びE;B、C、D及びE;並びにA、B、D及びEにおいて言及された患者の定義の組み合わせ/交差により定義されうる。好ましいのは、態様/実施態様D及びEによる定義を含む組み合わせ/交差である。
【0105】
本発明の一態様/実施態様(態様/実施態様G)では、ここに定義される患者(オビヌツズマブを用いて治療される)は、上掲の態様/実施態様D及びE(又はA、D又はE)で言及された患者の定義の組み合わせ/交差により定義される。即ち、この態様/実施態様によりここに定義される患者は、(i)強GCB DLBCLを有する/強GCB DLBCLに罹患した患者;及び(ii)BCL2転座及び/又はBCL2の高発現を有する患者である。このような患者の定義の組み合わせ/交差は、好ましい「ここに定義される患者」を定義する。
【0106】
一般に、本発明の文脈で使用されるとき,「コントロール」の非限定的な一実施例は、好ましくは、「非応答者」コントロール、例えば、ここに定義される特定のDLBCLに罹患しておらず、且つリツキシマブ(特に化学療法と組み合わせて、具体的にはCHOP化学療法と組み合わせて)と比較して、オビヌツズマブ(特に化学療法と組み合わせて、具体的にはCHOP化学療法と組み合わせて)に有利に応答しないことが知られている、本発明による一又は複数の患者(非「ここに定義される患者」)から採取された試料/細胞/組織である。「非応答者」コントロールの別の例は、ex-vivo試験において、リツキシマブ(特に化学療法と組み合わせて、具体的にはCHOP化学療法と組み合わせて)と比較して、オビヌツズマブ(特に化学療法と組み合わせて、具体的にはCHOP化学療法と組み合わせて)に対する改善された応答を示さない細胞株/試料/細胞/組織である。「コントロール」の別の非限定的な例は、「内標準」、例えば、各タンパク質/ペプチド/DNA/RNAの量が、ここに記載される「非応答者」コントロールを用いることにより計量されている、精製された又は合成により生成されたタンパク質、ペプチド、DNA及び/又はRNA、或いはこれらの混合物である。
【0107】
原則的には、本発明の文脈で治療される患者は、DLBCL患者であることが想定される。換言すれば、患者は、DLBCLを有する/DLBCLに罹患した患者である。したがって、特に、上掲の態様/実施態様A、B、C、D、E、F、Gのうちのいずれかに関して定義された患者も、それぞれDLBCL患者及びDLBCLを有する/DLBCLに罹患した患者であると想定される。しかしながら、例えばここに定義される患者、特に上掲の態様/実施態様AからGのうちの一つ(又は複数)において定義される患者であるとの決定/同定/診断に先立ち(又はその後で)ある患者がDLBCL患者であると診断されることは必須ではない。しかしながら、本発明により治療される患者が、第1の工程においてDLBCL患者又は少なくともリンパ腫患者であると診断されること、及び第2の工程において、ここに定義される患者、特に上掲の態様/実施態様AからGのうちの一つ(又は複数)において定義される患者であると決定/同定/診断されることが好ましい。原則的に、本発明によれば、所与の患者は、第1の工程においてここに定義される患者であると決定/同定/診断され、第2の工程においてDLBCL患者又は少なくともリンパ腫患者であると診断されうる。しかしながら、後者の選択肢はやや好ましくなく、上述のように、治療される患者が(DLBC)L患者であるかどうかを診断する(先行又は後続の)工程は省略されてもよい。
【0108】
主治医が所与の患者を本発明により治療するべきかどうかを選択する方法の非限定的な一実施例が以下に提供される:
例えばリンパ腫の臨床上の疑いを生じさせる異常(例えばリンパ節肥大)を有する患者から、(腫瘍)試料(例えば(腫瘍)生検)を採取することができる。この(腫瘍)試料は、(DLBC)L陽性と診断されうる(例えば病理学者により)。これは、上述の二つの工程のうちの一つでありうる。
上述のように、この工程は省略可能である。
【0109】
(腫瘍)試料(例えば(腫瘍)組織/生検)(の残り)から、又は同じ若しくは別の患者の別の(腫瘍)試料から、又は同じ若しくは別の患者の別の腫瘍から、タンパク質、RNA(例えば(一次)mRNA)及び/又はDNAを抽出することができる。次いで、サンプリングされたタンパク質、RNA(例えば(一次)mRNA)及び/又はDNAを用いて、ここに定義される患者を決定/同定/診断することができる、即ち本発明による一又は複数のバイオマーカー分析を実施することができる。例えば、試料は、加重遺伝子発現アッセイを用いて(例えばNanoString LSTを使用することにより)分析し、CD58における遺伝子変異(複数可)及び/又はCD58の低発現について試験した、及び/又はBCL2転座及び/又はBCL2の高発現について試験した、LPSを取得することができる。次いで一又は複数の分析の結果により、患者は、本発明により定義されたDLBCLのサブグループに分類される。換言すれば、次いで一又は複数の分析の結果により、患者が「ここに定義される患者」であるかどうかが分類されうる。
これは、上述の二つの工程のうちの他方としてもよい(即ち必須の工程)。
【0110】
一又は複数のバイオマーカー分析の非限定的な例は、以下のようにして本発明により用いることができる:
腫瘍試料、例えばホルマリン固定及び(/又は)パラフィン包埋の、例えば診断用の腫瘍試料(例えば組織生検)を、患者から採取することができる。RNA(又はタンパク質又はDNA)が抽出され、遺伝子発現が、強GCB分類、CD58転座/低発現及び/又はBCL2変異(複数可)/低発現について分析されうる。CD58変異(複数可)を評価するためにDNAを抽出することができる。組織切片、特に腫瘍組織切片を、例えばIHC及び/又は(F)ISH分析のために切断及び包埋することができる。
【0111】
上述のように、本発明の文脈では、ここに定義される患者を治療するために、オビヌツズマブ又はオビヌツズマブの機能的等価物を使用することが想定される。
【0112】
オビヌツズマブ自体は、当技術分野で周知であり、例えば、EP-B1 2380910及び国際公開第2005/044859号に記載されている。オビヌツズマブ自体の詳細についてはさらに下記を参照されたい。
【0113】
また、「オビヌツズマブの機能的等価物」は、当業者には自明である。特に、用語「オビヌツズマブの機能的等価物」は、ここに定義される患者を治療する(特に化学療法と組み合わせて、具体的にはCHOP化学療法と組み合わせて)ために、リツキシマブ(特に化学療法と組み合わせて、具体的にはCHOP化学療法と組み合わせて)より適した抗体、特にヒト化II型抗CD20抗体を指す。換言すれば、この用語は、リツキシマブを用いた治療と比較して改善された臨床成果に到達することにより応答するように、抗体に対してここに定義される患者の治療能を与える特徴及び作用様式(MOA)を有する抗体、特にヒトII型抗CD20抗体を指す。さらに詳細には、用語「オビヌツズマブの機能的等価物」は、オビヌツズマブ自体と同じ特徴及び生物学的機能を有する、特に、抗体に対してここに定義される患者を治療するためにリツキシマブより高い適性を付与するオビヌツズマブ自体と同じ生物学的機能を有する抗体、特にII型抗CD20抗体を指す。
【0114】
本発明によるオビヌツズマブの等価物(及びオビヌツズマブ自体)の最も関連性の高い機能及びMOAの例は、本明細書の他の部分において定義される。それらは当業者によって容易に決定されうる。
【0115】
原則的には、本発明の文脈では、用語「オビヌツズマブの機能的等価物」がオビヌツズマブのバイオシミラーも含むことが想定される。特に、この用語の意味には、ここに定義される患者を治療するためにリツキシマブより適しているオビヌツズマブのいずれかのバイオシミラーも含まれると想定される。換言すれば、「オビヌツズマブの機能的等価物」は、リツキシマブを用いた治療(特に化学療法と組み合わせて、具体的にはCHOP化学療法と組み合わせて)と比較して改善された臨床成果に到達することにより応答するように、ここに定義される患者を治療できるオビヌツズマブのバイオシミラーでありうる。
【0116】
一般に、「バイオシミラー」の意味は、当技術分野で周知である。このような文脈では、「バイオシミラー」は、元の生物学的医薬製品のほぼ同一のコピーである生物学的医薬製品として知られており、バイオ後続品又は後続バイオ医薬品としても知られている。バイオシミラーは、元の「イノベーター」製品の公的に承認されたバージョンである。このような文脈では、例えば、Similar Biological Medicine ProductsのEMEAガイドライン(CHMP/437/04 London, 2005)に言及する。
【0117】
本発明の文脈において、オビヌツズマブ、特にオビヌツズマブの機能的等価物は、
(a)配列番号1に示される重鎖可変領域と、配列番号2に示される軽鎖可変領域(この軽鎖可変領域はKV1軽鎖可変領域としても知られる;「KV1」は、マウスのB-Lylモノクローナル抗体のヒト化軽鎖可変領域を表す;EP-B1 2380910参照);
(b)(a)の重鎖可変領域の残基を決定する特異性を有する重鎖可変領域と、(a)の軽鎖可変領域の残基を決定する特異性を有する軽鎖可変領域;又は
(c)配列番号3と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一である核酸配列によりコードされる重鎖可変領域と、配列番号4と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一である核酸配列によりコードされる軽鎖可変領域(値が大きい程好ましい)
を含む抗体、特にヒト化II型抗CD20抗体であることが想定される。
【0118】
オビヌツズマブ、特に本発明の文脈で用いられるオビヌツズマブの機能的等価物が、モノクローナル抗体、特にモノクローナルヒト化II型抗CD20抗体であることが好ましい。
【0119】
本発明より用いられる抗体が、II型抗CD20抗体、特にヒト化II型抗CD20モノクローナル抗体、又は/好ましくは及び、糖改変されたFc領域、特に以下に定義される糖改変されたFc領域を含む抗体であることが特に好ましい。本発明によれば、このような抗体又は本発明により用いられる他のいずれかの抗体が、特に同等のI型抗CD20抗体と比較して及び/又は非糖改変抗体(例えばリツキシマブ)と比較して、実質的により高いレベルのADCC活性を示すことがさらに好ましい。
【0120】
「II型」抗CD20抗体の意味は、当技術分野で周知である。一般に、抗CD20モノクローナル抗体は、リンパ腫細胞を根絶させるうえでのそれらの作用機序に基づいて二つの別個のカテゴリーに分けられる。I型抗CD20抗体は、標的細胞を殺すために主に補体を利用し、II型抗体は異なる機序、主にアポトーシスにより働く。リツキシマブ及び1F5は、I型抗CD20抗体の例であり、B1はII型抗体の例である。例えば、Cragg (Blood 103(7), 2004, 2738-2743); Teeling (Blood 104(6), 2004, 1793-1800)を参照されたい。これらの内容全体は、参照によりここに包含される。また、オビヌツズマブ自体がII型抗体である。例えばEP-B1 2380910及び国際公開第2005/044859号参照。これらの内容全体は、参照によりここに包含される。
【0121】
当業者であれば、オビヌツズマブの重鎖及び軽鎖可変領域の残基を決定する関連の特性を知っているだけでなく、少なくとも容易にそのような特性を決定することができる。それぞれの手引きに関して、当業者は、例えば、EP-B1 2380910及び国際公開第2005/044859号を援用することができる。
【0122】
一態様において、特に上掲の(b)及び(c)に定義される、本発明の文脈において用いられるオビヌツズマブ/オビヌツズマブの機能的等価物は、特に以下の特徴:
(i)CD20陽性ヒト細胞と共にインキュベートしたとき、リツキシマブを用いる同一条件下のコントロールに対し、より高いレベルのアポトーシスを誘導する能力;
(ii)リツキシマブと比較してCD20+腫瘍B細胞死の増加を引き起こす能力;
(iii)リツキシマブと比較して直接的細胞死の増加を引き起こす能力(理論に拘束されず、これは別の結合幾何学(例えば肘ヒンジ修飾)に起因する);
(iv)リツキシマブと比較して補体依存性細胞傷害性(CDC)の低下を引き起こす能力(理論に拘束されず、これは別の結合幾何学に起因する(例えば肘ヒンジ修飾)に起因する);
(v)リツキシマブと比較して抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)の増大を引き起こす能力(理論に拘束されず、これは糖改変されたFc領域に起因する);
(vi)リツキシマブと比較して抗体依存性細胞食作用(ADCP)の増大を引き起こす能力(理論に拘束されず、これは糖改変されたFc領域に起因する);
(vii)リツキシマブと比較してFcγRIII受容体に対する親和性の上昇(理論に拘束されず、これは糖改変されたFc領域に起因する);
(viii)リツキシマブと比較して、CD20への結合時に表面CD20の内部移行の低減をトリガーする能力
のうちの一又は複数を有すると想定される。
【0123】
別の態様では、特に上掲の(b)及び(c)に定義される、本発明の文脈において用いられるオビヌツズマブ/オビヌツズマブの機能的等価物は、特に、以下のMOA:
(i)CD20陽性ヒト細胞と共にインキュベートしたとき、リツキシマブを用いる同一条件下のコントロールに対して、より高いレベルのアポトーシスを誘導する能力;
(iii)リツキシマブと比較して直接的細胞死の増加を引き起こす能力(理論に拘束されず、これは別の結合幾何学(例えば肘ヒンジ修飾)に起因する);
(iv)リツキシマブと比較して補体依存性細胞傷害性(CDC)の低下を引き起こす能力(理論に拘束されず、これは別の結合幾何学に起因する(例えば肘ヒンジ修飾));
(v)リツキシマブと比較して抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)の増大を引き起こす能力(理論に拘束されず、これは糖改変されたFc領域に起因する);
(vi)リツキシマブと比較して抗体依存性細胞食作用(ADCP)の増大を引き起こす能力(理論に拘束されず、これは糖改変されたFc領域に起因する);
(vii)リツキシマブと比較してFcγRIII受容体に対する親和性の上昇(理論に拘束されず、これは糖改変されたFc領域に起因する);
(viii)リツキシマブと比較して、CD20への結合時に表面CD20の内部移行の低減をトリガーする能力
のうちの一又は複数を示すと想定される。
【0124】
本発明より用いられる抗体の関連の特徴(例えば生物学的機能、MOA)を決定するために使用することのできる手段及び方法は、当技術分野で周知であり、当業者によって容易に適用されうる。
【0125】
アポトーシスのレベル、CD20陽性ヒト細胞と共にインキュベートしたときに、ある抗体が、リツキシマブを用いる同一条件下のコントロールに対して、より高いレベルのアポトーシスを引き起こすことができるかどうかを特に決定するために使用することのできる手段及び方法は、当技術分野で既知であり、例えば、EP-B1 2380910及び国際公開第2005/044859号に記載されている。
【0126】
本発明による「より高いレベルのアポトーシス」は、リツキシマブの同等の適用がもたらすアポトーシスのレベルと比較して、例えば、少なくとも1.2倍高い、少なくとも1.5倍高い、少なくとも2倍高い、少なくとも3倍高い、少なくとも4倍高い、少なくとも5倍高い、又は少なくとも10倍高いことを意味する。
【0127】
CD20+腫瘍B細胞の殺滅、特にリツキシマブと比較してCD20+腫瘍B細胞殺滅が増大するかどうかを決定するために使用することのできる手段及び方法は、当技術分野で既知であり、例えば、EP-B1 2380910及び国際公開第2005/044859号に開示されている。
【0128】
本発明によれば、CD20+腫瘍B細胞の殺滅は、リツキシマブの同等の適用がもたらすCD20+腫瘍B細胞の殺滅と比較して、例えば、少なくとも1.2倍高い、少なくとも1.5倍高い、少なくとも2倍高い、少なくとも3倍高い、少なくとも4倍高い、少なくとも5倍高い、又は少なくとも10倍高い場合、「増大」している。
【0129】
直接的細胞死、特にリツキシマブと比較して直接的細胞死が増大するかどうかを決定するために使用することのできる手段及び方法は、当技術分野で既知であり、例えば、EP-B1 2380910及び国際公開第2005/044859号に開示されている。
【0130】
本発明によれば、直接的細胞死は、リツキシマブの同等の適用がもたらす直接的細胞死と比較して、少なくとも1.2倍高い、少なくとも1.5倍高い、少なくとも2倍高い、少なくとも3倍高い、少なくとも4倍高い、少なくとも5倍高い又は少なくとも10倍高い場合、「増大」している。
【0131】
CDC、特にリツキシマブと比較してCDCが低下したかどうかを決定するために使用することのできる手段及び方法は、当技術分野で既知であり、例えば、Herter(上掲)、Mossner(上掲)、EP-B1238090、国際公開第2005/044859号、国際公開第2015/067586号及び国際公開第2016/207312に開示されている。
【0132】
本発明によれば、CDCは、例えば、リツキシマブの同等の適用がもたらすCDCと比較して、少なくとも1.2倍低い、少なくとも1.5倍低い、少なくとも2倍低い、少なくとも3倍低い、少なくとも4倍低い、少なくとも5倍低い、又は少なくとも10倍低い場合、「低下」している。
【0133】
用語「補体依存性細胞傷害性(CDC)」は、補体の存在下での、本発明により用いられる抗体によるヒト腫瘍標的細胞の溶解を意味する。CDCは、好ましくは、補体の存在下で、本発明により用いられる抗CD20抗体を用いてCD20発現細胞の調製物を処理することにより測定される。CDCは、抗体が、例えば4時間後に、例えば濃度100nMにおいて、腫瘍細胞の、例えば20%以上の溶解(細胞死)を引き起こした場合に見出される。アッセイは、好ましくは51Cr又はEu標識した腫瘍細胞及び放出された51Cr又はEuの測定により実施される。コントロールには、補体を含むがリツキシマブを含まない、及び任意選択的に抗体なしでの、腫瘍標的細胞のインキュベーションが含まれる。
【0134】
当業者であれば、場合によっては、本発明により使用される抗体の適用時に、リツキシマブの適用と比較してCDC活性が低下するかどうかを試験可能にするために、CDCアッセイのこの特定の例を容易に適合させることができる。
【0135】
ADCC、特にリツキシマブと比較してADCCが増大するかどうかを決定するために使用することのできる手段及び方法は、当技術分野で既知であり、例えば、Herter (上掲)、Mossner (上掲)、Tobinai (Adv. Ther. 34, 2017, 324-56)、EP-B1 2380910、国際公開第2005/044859号、国際公開第2015/067596号及び国際公開第2016/207312号に記載されている。
【0136】
本発明によれば、ADCCは、さらに一般的には、例えば、リツキシマブの同等の適用がもたらすADCCと比較して、少なくとも1.2倍高い、少なくとも1.5倍高い、少なくとも2倍高い、少なくとも3倍高い、少なくとも4倍高い、少なくとも5倍高い、又は少なくとも10倍高い場合、「増大」している。
【0137】
受容される一つの非限定的in vitroADCCアッセイは以下の通りである:
1)アッセイは、抗体(CD20)の抗原結合領域によって認識される標的抗原を発現することが既知である標的細胞を使用する;
2)アッセイは、エフェクター細胞として、無作為に選ばれた健常なドナーの血液から単離されたヒト末梢血単核細胞(PBMC)を使用する;
3)アッセイは、以下のプロトコールに従って実行される:
i)標準的な密度遠心分離手順を使用してPBMCを単離し、5x106細胞/mlでRPMI細胞培養培地に懸濁する;
ii)標準的な組織培養法により標的細胞を増殖させ、生存率が90%を超える指数増殖期から回収し、RPMI細胞培養培地中で洗浄し、100マイクロキュリーの51Crで標識し、細胞培養培地で二回洗浄し、105細胞/mlの密度で細胞培養培地に再懸濁する;
iii)100マイクロリットルの上記最終的な標的細胞懸濁液を、96ウェルマイクロタイタープレートの各ウェルに移す;
iv)抗体を、細胞培地において4000ng/mlから0.04ng/mlへ連続的に希釈し、得られた抗体溶液50マイクロリットルを96ウェルマイクロタイタープレートの標的細胞に加え、上記全濃度範囲をカバーする種々の抗体濃度を三重に試験する;
v)最大放出(MR)コントロールのために、標識した標的細胞を含むプレート内のさらに3つのウェルに、抗体溶液(上記iv)の代わりに非イオン性洗剤(Nonidet, Sigma, St. Louis)の2%(VN)水溶液50マイクロリットルを入れる;
vi)自然放出(SR)コントロールのために、標識した標的細胞を含むプレート内のさらに3つのウェルに、抗体溶液(上記iv)の代わりにRPMI細胞培地50マイクロリットルを入れる;
vii)次いで96ウェルマイクロタイタープレートを50×gで1分間遠心分離し、1時間4℃でインキュベートする;
viii)PBMC懸濁液50マイクロリットル(上記i)を各ウェルに加えて、エフェクター対標的の比を25:1とし、プレートを、5%のCO2雰囲気下で37℃で4時間インキュベーター内に置く;
ix)各ウェルの無細胞上清を回収し、γ計数器を用いて実験的に放出された放射能(ER)を定量化する;
x)特異的溶解のパーセンテージを、各抗体濃度について、式(ER-MR)/(MR-SR)×100(ERは、その抗体濃度について定量化された平均放射能(上記ix参照)であり、MRはMRコントロール(上記v参照)について定量化された平均放射能(上記ix参照)であり、SRはSRコントロール(上記vi参照)について定量化された平均放射能(上記ix参照)である)に従って算出する;
4)「ADCCの増大」は、上記試験された抗体濃度範囲内で観察される特異的溶解の最大パーセンテージの上昇、及び/又は上記試験された抗体濃度範囲内で観察される特異的溶解の最大パーセンテージの二分の一を達成するために必要な抗体濃度の低減と定義される。ADCCの増大は、同じ標準的な生成、精製、製剤化、及び貯蔵方法(当業者に既知の)を用いて、但しGnTIIIを過剰発現するように改変された宿主細胞により生成されたものでない、同じ型の宿主細胞により生成され、同じ抗体により媒介される、上記アッセイを用いて測定されたADCCと相対的なものである。
【0138】
当業者であれば、場合によっては、本発明により使用される抗体の適用時に、リツキシマブの適用と比較してADCC活性が上昇するかどうかを試験するために、ADCCアッセイのこの特定の例を容易に適合させることができる。
【0139】
ADCP、特にリツキシマブと比較してADCPが増大するかどうかを決定するために使用することのできる手段及び方法は、当技術分野で既知であり、例えば、Herter (上掲)及びMossner (上掲)に開示されている。
【0140】
本発明によれば、ADCPは、例えば、リツキシマブの同等の適用がもたらすADCPと比較して、少なくとも1.2倍高い、少なくとも1.5倍高い、少なくとも2倍高い、少なくとも3倍高い、少なくとも4倍高い、少なくとも5倍高い、又は少なくとも10倍高い場合、「増大」している。
【0141】
FcγRIII受容体に対する親和性、特にリツキシマブと比較してFcγRIII受容体に対する親和性が上昇するかどうかを決定するために使用することのできる手段及び方法は、当技術分野で既知であり、例えば、Tobinai (上掲)に開示されている。
【0142】
本発明によれば、FcγRIII受容体に対する親和性は、例えば、リツキシマブの同等の適用がもたらすFcγRIII 受容体に対する親和性と比較して、少なくとも1.2倍高い、少なくとも1.5倍高い、少なくとも2倍高い、少なくとも3倍高い、少なくとも4倍高い、少なくとも5倍高い、又は少なくとも10倍高い場合、「上昇」している。
【0143】
表面CD20の内部移行をトリガーする能力(抗CD20抗体への結合時に)、特にリツキシマブと比較して表面CD20の内部移行の低減をトリガーする(オビヌツズマブへの結合時に)能力があるかどうかを決定するために使用することのできる手段及び方法は、当技術分野で既知であり、例えば、Lim (Blood 118(9), 2011, 2530-40)に開示されている。
【0144】
本発明によれば、表面CD20の内部移行は、例えば、リツキシマブの同等の適用がもたらす表面CD20の内部移行をトリガーする能力と比較して、少なくとも1.2倍低い、少なくとも1.5倍低い、少なくとも2倍低い、少なくとも3倍低い、少なくとも4倍低い、少なくとも5倍低い、又は少なくとも10倍低い場合、「低減」している。
【0145】
上述のように、本発明の文脈では、本発明の文脈で用いられるオビヌツズマブ/オビヌツズマブの機能的等価物が、糖改変されたFc領域を含むことが好ましい。このような文脈では、EP-B1 2380910及び国際公開第2005/044859(その内容全体が参照によりここに包含される)も言及される。
【0146】
本発明の文脈では、抗体が上記に、さらに詳細には上掲のセクション(v)、(vi)及び(vii)に言及された特徴及びMOAそれぞれのうちの一又は複数を有するように、用いられる抗体のFc領域が糖改変されていることが特に好ましい。この点で、セクション(v)の特徴/MOA(ADCCの増大)が最も好ましい。
【0147】
本発明の文脈で用いられるオビヌツズマブ/オビヌツズマブの機能的等価物は、前記糖改変されたFc領域に付着した非フコシル化オリゴ糖の割合に増加を有しうる。
【0148】
本発明の文脈で用いられるオビヌツズマブ/オビヌツズマブの機能的等価物は、前記糖改変されたFc領域に付着した、二分された非フコシル化オリゴ糖の割合に増加を有しうる。
【0149】
本発明の文脈で用いられるオビヌツズマブ/オビヌツズマブの機能的等価物は、非糖改変抗体に対して、及び/又はリツキシマブに対して、ヒトFcγRIII受容体に対する有意に高い結合レベルを有しうる。
【0150】
上述のように、本発明の文脈では、特に上掲の(b)及び(c)で定義される、本発明の文脈において用いられるオビヌツズマブ/オビヌツズマブの機能的等価物が、特に非糖改変抗体に対して、及び/又はリツキシマブに対して、有意に高いレベルのADCC活性を呈することが好ましい。理論に拘束されず、有意に高いレベルのADCC活性は、糖改変されたFc領域によりもたらされる(上記参照)。
【0151】
当業者であれば、例えば上述のように及び関連する特徴(複数可)/MOA(複数可)を取得する方式で、本発明により用いられる抗体に到達するために、抗体のFc領域を容易に糖改変することができる。さらに、当業者は、本発明による非フコシル化オリゴ糖の割合の増大及び二分された非フコシル化オリゴ糖の割合の増大がどの程度かを、容易に推定することができる。このような文脈で、当業者は、特に、EP-B1 2380910及び国際公開第2005/044859号により提供される手引きを援用することができる(その内容は参照によりここに包含される)。そのような増大の非限定的な例は、少なくとも1.2倍、少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍又は少なくとも10倍(非糖改変抗体に対して)の増大である。
【0152】
本発明によれば、二つ(以上)の核酸配列の文脈において、用語「同一性」又は「同一」又は「パーセント同一性」又は「パーセンテージ同一性」又は「配列同一性」は、同じであるか、又は比較ウィンドウ上で、又は当技術分野で既知の配列比較アルゴリズムを用いて測定された設計領域上で、又は手作業によるアラインメント及び視覚検査により、対応が最大となるように比較及び整列したときに、特定のパーセンテージの同じヌクレオチド(好ましくは少なくとも80%の同一性、さらに好ましくは少なくとも85%、90%、95%、96%、97%又は98%の同一性、最も好ましくは少なくとも99%の同一性)を有する、二つ(以上)の配列又は部分配列を指す。例えば、80%から90%、又はそれ以上の配列同一性を有する配列は、実質的に同一であると考慮される。このような定義は、試験配列の補体にも当てはまる。記載される同一性は、少なくとも約15から25のヌクレオチド長である領域にわたり、少なくとも約50から100ヌクレオチド長である領域にわたり、又は少なくとも約800から1200ヌクレオチド長である領域にわたり(又は配列の全長)に存在しうる。当業者であれば、例えば、当技術分野で知られる、CLUSTALWコンピュータープログラム(Thompson Nucl. Acids Res. 2 (1994), 4673-4680)又はFASTDB (Brutlag Comp. App. Biosci. 6 (1990), 237-245)に基づくものといったアルゴリズムを使用して、配列間/配列中のパーセント同一性を決定する方法を知っているだろう。
【0153】
FASTDBアルゴリズムは通常、配列内部の一致しない削除又は付加、即ちギャップをその計算において考慮しないが、これは%同一性の過大評価を避けるために手作業で補正することができる。しかしながら、CLUSTALWは、配列のギャップをその同一性の計算において考慮する。やはり当業者が利用できるものとして、BLAST及びBLAST2.0アルゴリズム(Altschul, (1997) Nucl. Acids Res. 25:3389-3402; Altschul (1993) J. Mol. Evol. 36:290-300; Altschul (1990) J. Mol. Biol. 215 (403-410)が挙げられる。核酸配列のためのBLASTNプログラムは、初期設定として、ワード長(W)11、期待値(E)10、M=5、N=4、及び両鎖の比較を使用する。BLOSUM62スコアリングマトリックス(Henikoff (1989) PNAS 89:10915)は、アラインメント(B)50、期待値(E)10、M=5、N=4、及び両鎖の比較を使用する。
【0154】
核酸配列中のヌクレオチド残基が所与のヌクレオチド配列中の特定の位置に対応するかどうかを決定するために、当業者は、当技術分野で周知の手段及び方法、例えば、手作業による又はここに言及されるようなコンピュータープログラムを使用することによるアラインメントを使用することができる。例えば、Basic Local Alignment Search Tool BLASTを意味するBLAST 2.0 (Altschul (1997), 上掲; Altschul (1993), 上掲; Altschul (1990), 上掲)を、局所配列アラインメントを検索するために使用することができる。上述のBLASTは、配列同一性を決定するための、ヌクレオチド配列のアラインメントを生成する。アラインメントの局所的性質のために、BLASTは、完全な一致の決定又は類似配列の同定において特に有用である。BLASTアルゴリズム出力の基礎的な単位は、High-scoring Segment Pair(HSP)である。HSPは、局所的に最大のアラインメントを有し、且つユーザによって設定された閾値又はカットオフスコアをそのアラインメントスコアが満たす又は超える、任意であるが等しい長さの二つの配列断片からなる。BLAST手法は、問い合わせ配列とデータベース配列の間のHSPを探し、見つかったすべての一致の統計的有意性を評価し、ユーザが選択した有意性の閾値を満たす一致のみを報告する。パラメーターEは、データベース配列の一致を報告するための統計的に有意な閾値を確立する。Eは、データベース検索全体の文脈内でのHSP(又はHSPの組)の偶発的発生の予測頻度の上限と解釈される。その一致がEを満たすすべてのデータベース配列が、プログラムの出力において報告される。
【0155】
BLAST(Altschul (1997), 上掲; Altschul (1993), 上掲; Altschul (1990), 上掲)を用いるアナログコンピューター技術は、GenBank又はEMBLといったヌクレオチドデータベース内で同一又は関連分子を検索するために使用される。この分析は、複数の膜に基づくハイブリダイゼーションよりずっと速い。加えて、コンピューター検索の感度は、いずれかの特定の一致が完全一致として分類されるか又は類似として分類されるかを決定するために修正することができる。検索の基礎は:
%配列同一性×%最大BLASTスコア/100
と定義される積のスコアであり、二つの配列間の同一性の程度及び配列一致の長さの両方を考慮する。例えば、積スコア40の場合、一致は1-2%の誤差の範囲内で正確であり、70の場合、一致は正確であろう。類似の分子は通常、積スコア15から40を示すものを選択することにより同定されるが、それよりも低いスコアも関連分子を同定しうる。配列アラインメントを生成できるプログラムの別の例は、当技術分野で既知の、CLUSTALWコンピュータープログラム(Thompson (1994) Nucl. Acids Res. 2:4673-4680)又はFASTDB (Brutlag (1990) Comp. App. Biosci. 6:237-245)である。
【0156】
一般に、ここで使用される用語「抗体」、「抗体」又は「その機能的等価物」は、当技術分野において認識される用語であり、既知の抗原、特に免疫グロブリン分子、及び免疫グロブリン分子の免疫学的に活性の部分に結合する分子又は分子の活性断片、即ち免疫特異的に抗原に結合する結合部位を含む分子を指すものと理解される。免疫グロブリンは、原則的に、任意のタイプ(IgG、IgM、IgD、IgE、IgA及びIgY)又はクラス(IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2)又はサブクラスの免疫グロブリン分子でありうる。
【0157】
「抗体」は、本発明の範囲内にモノクローナル抗体、ポリクローナル、キメラ、単鎖、二重特異性、サル化、ヒト及びヒト化抗体、並びにそれらの活性断片を含むことを意図している。既知の抗原に結合する分子の活性断片の例には、Fab免疫グロブリン発現ライブラリーの生成物、及び上述の抗体及び断片のいずれかのエピトープ結合断片を含むFab及びF(ab’)2断片が含まれる。
【0158】
これら活性断片は、多数の技術により、特定の抗体(例えばオビヌツズマブ)から誘導することができる。例えば、精製されたモノクローナル抗体を、ペプシンなどの酵素で切断し、HPLCゲル濾過に供することができる。Fab断片を含む適切な画分は次いで、膜ろ過などにより収集及び濃縮することができる。抗体の活性断片の単離のための一般的技術のさらなる記載については、例えば、Khaw, B. A. et al. J. Nucl. Med. 23:1011-1019 (1982); Rousseaux et al. Methods Enzymology, 121:663-69, Academic Press, 1986を参照のこと。
【0159】
「ヒト化抗体」は、そのCDRが非ヒトドナーの免疫グロブリンに由来し、残りの分子の免疫グロブリン由来部分は一(又は複数)のヒト免疫グロブリンに由来する、改変された抗体の一つのタイプを指す。
【0160】
ヒト化抗体はさらに、そのフレームワーク領域のうちの一又は複数がヒト(又は霊長類)のアミノ酸を有する可変領域を有する抗体を指す。加えて、フレームワーク支持残基は、結合親和性を保存するように変更されてもよい。「ヒト化抗体」を取得するための方法は当業者に周知である。(例えば、Queen et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 86:10029-10032 (1989), Hodgson et al., Bio/Technoloy, 9:421 (1991)参照)。
【0161】
「ヒト化抗体」は、例えば、ウサギなどの大型動物における親和性成熟ヒト様ポリクローナル抗体の生成を可能にする新規の遺伝子工学的手法により取得することもできる(http://www.rctech.com/bioventures/therapeutic.php)。
【0162】
用語「モノクローナル抗体」は、やはり当技術分野でよく認識されており、単一のクローンから研究室において大量生産され、且つ一つの抗原しか認識しない抗体を指す。モノクローナル抗体は、典型的には、通常短命な、抗体生成B細胞を、がん細胞などの急速に増殖する細胞(時に「不死化」細胞と呼ばれる)に融合することにより作製される。その結果得られるハイブリッド細胞、又はハイブリドーマは、急速に増殖し、大量の抗体を生成するクローンをつくりだす。
【0163】
用語「抗原」は、生物体、特に動物、さらに詳細にはヒトを含む哺乳動物に免疫応答を誘導することのできる実体又はその断片を指す。この用語は、抗原性又は抗原決定基を担う免疫原及び領域を含む。
【0164】
ここで使用される用語「可溶型」は、水溶液に部分的に又は完全に溶解することを意味する。
【0165】
ここで使用される用語「免疫原性」は、免疫原性剤に対して向けられた抗体、T細胞及びその他の反応性免疫細胞の生成を誘導又は増強し、ヒト又は動物における免疫応答に貢献する物質を指す。
【0166】
用語「ハイブリドーマ」は、当技術分野で認識されており、抗体生成細胞と不死化細胞、例えば多発性骨髄腫細胞との融合により生成される細胞を指すと当業者により理解される。このハイブリッド細胞は、抗体の連続的供給を生成することができる。融合の方法のさらに詳細な記載については、上記「モノクローナル抗体」の定義を参照されたい。
【0167】
一実施態様において、オビヌツズマブの機能的等価物は、オビヌツズマブ自体の定常重鎖領域(例えば配列番号5のアミノ酸位120から449)、又はオビヌツズマブ自体の定常軽鎖領域(例えば配列番号6のアミノ酸位116から219)、又はオビヌツズマブ自体の定常重鎖及び軽鎖領域の両方を含むと想定される。オビヌツズマブの機能的等価物に含まれる定常重鎖及び/又は軽鎖領域のアミノ酸配列は、オビヌツズマブ自体の定常重鎖及び/又は軽鎖領域のアミノ酸配列と100%同一でありうる。しかしながら、同配列は、このようなアミノ酸配列(複数可)といくらか異なってもよい。例えば、同配列は、オビヌツズマブ自体の対応のアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%同一でありうる。しかしながら、このような変異体の定常重鎖及び/又は軽鎖領域はそれぞれ、依然としてオビヌツズマブ及びオビヌツズマブの機能的等価物それぞれの関連する特徴(詳細については上記参照)、特にここで定義されるように糖改変されているという特徴に寄与し、ここに定義されるADCC活性の有意により高いレベルに寄与していると想定される。
【0168】
最も好ましくは、本発明により使用される抗体は、オビヌツズマブ自体である(Gazyva
TM/Gazyvaro
TM及びGA101としても知られる;WHO Drug Information 27(1), 2013, 90, Recommended INN: List 69)。既述のように、オビヌツズマブは、当技術分野で周知であり、例えばEP-B1 2380910及び国際公開第2005/044859号に記載されている。オビヌツズマブは以下の構造を有する:
【0169】
抗体リツキシマブ(医薬製品名:MabThera(登録商標);Rituxan(登録商標)としても知られる)も当技術分野で既知である。それについては、例えばEP-B11005870(例えば
図4及び5)に記載がある。リツキシマブの重鎖のアミノ酸配列は、配列番号9に記載されている。リツキシマブの軽鎖のアミノ酸配列は、配列番号10に記載されている。
【0170】
本発明によれば、当業者であれば、患者が、リツキシマブを用いた治療(特に化学療法と組み合わせて、具体的にはCHOP化学療法と組み合わせて)と比較して、オビヌツズマブを用いた治療(特に化学療法と組み合わせて、具体的にはCHOP化学療法と組み合わせて)に有利に応答するかどうかを容易に評価することができる。特に、治療の臨床成果又は臨床エンドポイントは、この点で評価することができる。この点で評価されうる臨床成果/臨床エンドポイントは、当業者に利用可能であり、例えば、Goede (上掲), Owen (Expert Opin. Biol. Ther. 12(3), 2012, 343-51) 及びIllidge (Expert Opin. Biol. Ther. 12(5), 2012, 543-5)と実施例に記載されている。
【0171】
本発明によって評価される臨床成果の好ましい例は、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)及び/又は無再発生存期間(EFS)である。本発明による、リツキシマブを上回るオビヌツズマブの優位性も、一又は複数の臨床エンドポイントに基づいて決定されうる。原則的には、本発明によれば、臨床成果という用語は、治療の間のある時間に言及していると想定され、臨床エンドポイントという用語は、治療の最後(又は後)の時間に言及していると想定される。本発明によれば、臨床エンドポイントは、一次臨床エンドポイントでありうる。特定の、但し非限定的な臨床成果及び臨床エンドポイントは、実施例において記載される。
【0172】
当業者であれば、所与の臨床成果が本発明により改善したかどうか、即ちリツキシマブを用いた治療と比較して改善したかどうかを容易に決定することができる。例えば、この文脈における「改善」とは、臨床成果(オビヌツズマブ/オビヌツズマブの機能的等価物(特に化学療法と組み合わせて、具体的にはCHOP化学療法と組み合わせて)を用いた治療の結果得られる)が、相当するリツキシマブを用いた治療(特に化学療法と組み合わせて、具体的にはCHOP化学療法と組み合わせて)の結果得られる臨床成果と比較して、少なくとも3%高い、少なくとも5%高い、少なくとも7%高い、少なくとも10%高い、少なくとも15%高い、少なくとも20%高い、少なくとも25%高い、少なくとも30%高い、少なくとも40%高い、少なくとも50%高い、少なくとも75%高い、少なくとも100%高い、又は少なくとも120%高いことを意味する。
【0173】
臨床成果/臨床エンドポイントを評価する時点は、当業者により容易に決定されうる。原則的には、それは、二回の治療の間の臨床成果/臨床エンドポイントの差(オビヌツズマブ治療対リツキシマブ治療)が(有意に)明白になる一の時点において決定される。この時間は、例えば、治療開始後少なくとも1カ月、少なくとも2カ月、少なくとも3カ月、少なくとも6カ月、少なくとも12カ月、少なくとも18カ月、少なくとも24カ月、少なくとも30カ月、少なくとも36カ月、少なくとも42カ月、又は少なくとも48カ月である。
【0174】
好ましくは、本発明により治療される(DLBCL)患者は、ヒト患者/ヒトである。
【0175】
最も好ましくは、本発明により治療される(DLBCL)患者は、1L DLBCLヒト患者である。これは、DLBCL患者が治療歴のないDLBCL患者であることを意味する。
【0176】
しかしながら、原則的には、他の患者、例えば非ヒト患者、例えば、ペット(例えばイヌ、ネコ、ウサギ、ラット又はマウス)、家畜(例えばウシ、ブタ、ヒツジ)、ウマ又はポニー又は鳥(例えばニワトリ、ダチョウ、オウム)も本発明により治療されてよい。他の恒温動物も本発明により治療されうる。
【0177】
上述のように、特に、本発明の文脈では、ここに定義される患者が、リツキシマブを用いた治療(特に化学療法と組み合わせて、具体的にはCHOP化学療法と組み合わせて)と比較して改善された臨床成果に到達することにより、オビヌツズマブを用いた治療(特に化学療法と組み合わせて、具体的にはCHOP化学療法と組み合わせて)に応答することが想定される。
【0178】
本発明の文脈で使用される抗体(即ちオビヌツズマブ又はその機能的等価物)は、さらなる薬剤と組み合わせて投与されうる。例えば、一又は複数の追加の他の細胞傷害性剤又は化学療法剤、又はそのような薬剤の効果を増強する電離放射線が、共投与されうる;例えば、それぞれの例について、EP-B1 2380910、国際公開第2005/044859号、国際公開第2015/067586号及び国際公開第2016/207312号を参照されたい。
【0179】
用語「と組み合わせて投与」又は「共投与」、「「共投与する」、「併用療法」又は「併用治療」は、例えば別々の製剤/適用(又は単一の製剤/適用)としての、ここに記載される抗体と、ここに記載される他の薬剤(複数可)との投与を指す。共投与は、同時であっても、又は任意の順序で順次的であってもよいが、両方(又はすべて)の活性剤がそれらの生物活性を同時に発揮する期間があることが好ましい。前記抗体及び前記さらなる薬剤(複数可)は、例えば連続的注入により、同時に又は順次的に(例えば静脈内(i.v.))投与される。両方の治療剤が順次的に共投与されるとき、二回の別々の投与において同日に投与される用量、又は薬剤の一方は、1日目に投与することができ、二回目は2から7日目、好ましくは2から4日目に投与することができる。このように、一実施態様では、用語「順次的に」は、第1の成分の用量から(約)7日以内を、好ましくは第1の成分の用量から(約)4日以内を意味し;用語「同時に」は同じ時点を意味する。抗体及び/又はさらなる薬剤(複数可)の維持量に関する用語「共投与」は、それら維持量が、治療サイクルが両方の薬物について適切であれば同時に、例えば毎週、共投与可能であること、又は例えばさらなる薬剤が、例えば毎回1日目から3日目まで投与され、前記抗体が毎週投与されることを意味する。或いは、維持量は、一日以内又は七日以内に、順次的に共投与される。
【0180】
抗体に加えて、任意選択的に他の薬剤(複数可)と組み合わせて、化学療法剤(複数可)又は標的療法を投与することができる。
【0181】
共投与可能なそのような追加の化学療法剤には、限定されないが、アルキル化剤を含む抗腫瘍性薬剤を含み、これには、ナイトロジェンマスタード、例えばメクロレタミン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン及びクロラムブシル;ニトロソウレア類、例えばカルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、及びセムスチン(メチル-CCNU);テモダール(TM)(テモゾロマイド)、エチレンイミン/メチルメラミン、例えばトリエチレンメラミン(TEM)、トリエチレン、チオリンアミド(チオテパ)、ヘキサメチルメラミン(HMM、アルトレタミン);スルホン酸アルキル、例えばブスルファン;トリアジン、例えばダカルバジン(DTIC);葉酸アナログ、例えばメトトレキサート及びトリメトレキサート、ピリミジンアナログ、例えば5-フルオロウラシル(5FU)、フルオロデオキシウリジン、ゲムシタビン、シトシンアラビノシド(AraC、シタラビン)、5-アザシチジン、2,2’-ジフルオロデオキシシチジン、プリンアナログ、例えば;6-メルカプトプリン、6-チオグアニン(thioguamne)、アザチオプリン、T-デオキシコホルマイシン(ペントスタチン)、エリトロヒドロキシノニルアデニン(EHNA)、リン酸フルダラビン、及び2-クロロデオキシアデノシン(クラドリビン、2-CdA)を含む代謝拮抗薬;抗有糸分裂薬、例えばパクリタキセル、ビンブラスチン(VLB)、ビンクリスチン、及びビノレルビンを含むビンカアルカロイド、タキソテール、エストラムスチン、及びリン酸エストラムスチンを含む天然物;ピポドフィロトキシン、例えばエトポシド及びテニポシド;抗生物質、例えばアクチノマイシンD、ダウノマイシン(ルビドマイシン)、ドキソルビシン、ミトキサントロン、イダルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)、マイトマイシンC、及びアクチノマイシン;酵素、例えばL-アスパラギナーゼ;生物学的応答修飾剤、例えばインターフェロン-アルファ、IL-2、G-CSF及びGM-CSF;白金配位錯体、例えばオキサリプラチン、シスプラチン及びカルボプラチン、アントラセンジオン、例えばミトキサントロン、置換尿素、例えばヒドロキシウレア、N-メチルヒドラジン(MIH)及びプロカルバジンを含むメチルヒドラジン誘導体、副腎皮質抑制剤、例えばミトタン(o、p-DDD)及びアミノグルテチミドを含む様々な薬剤;副腎皮質ステロイドアンタゴニスト、例えばプレドニゾンとその等価物、デキサメタゾン及びアミノグルテチミドを含むホルモン及びアンタゴニスト;ジェムザール(TM)(ゲムシタビン)、プロゲスチン、例えばカプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、メドロキシプロテステロンアセテート及び酢酸メゲストロール;エストロゲン、例えばジエチルスチルベストロール及びエチニルエストラジオール等価物;抗エストロゲン、例えばタモキシフェン;テストステロンプロピオナート及びフルオキシメステロン/等価物を含むアンドロゲン;抗アンドロゲン、例えばフルタミド、ゴナドトロピン放出ホルモンアナログ及びロイプロリド;及び非ステロイド性抗アンドロゲン、例えばフルタミドが含まれる。ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、脱メチル化剤(例えばVidaza)及び転写抑制解放(ATRA)療法を含むがこれらに限定されない後成的機序を標的とする療法も、抗原結合タンパク質と組み合わせることができる。一実施態様では、化学療法剤は、タキサン(例えばパクリタキセル(タキソール)のような)、ドセタキセル(タキソテール)、修飾されたパクリタキセル(例えば、アブラキサン及びオパキシオ)、ドキソルビシン、スニチニブ(スーテント)、ソラフェニブ(ネクサバール)、及び他の多種キナーゼ阻害剤、オキサリプラチン、シスプラチン及びカルボプラチン、エトポシド、ゲムシタビン、並びにビンブラスチンからなる群より選択される。一実施態様では、化学療法剤は、タキサン(例えばタキソール(パクリタキセル)、ドセタキセル(タキソテール)、修飾されたパクリタキセル(例えばアブラキサン及びオパキシオ)など)からなる群より選択される。一実施態様では、追加的化学療法剤は、5-フルオロウラシル(5-FU)、ロイコボリン、イリノテカン、又はオキサリプラチンから選択される。一実施態様では、化学療法剤は、5-フルオロウラシル、ロイコボリン及びイリノテカン(FOLFIRI)である。一実施態様では、化学療法剤は、5-フルオロウラシル、及びオキサリプラチン(FOLFOX)である。
【0182】
好ましい一実施態様では、ここに定義される抗体(即ちオビヌツズマブ及びその機能的等価物)は、化学療法と組み合わせて、例えばCHOP化学療法と共に(さらに好ましい)、又はCHOEP化学療法、CHOP-14化学療法若しくはACVBP化学療法のようなCHOP化学療法の変形例と組み合わせて投与することができる(例えば、以下の実施例、並びにEP-B1 2380910、国際公開第2005/044859号及びScott、2014及び2015(上掲)参照)。したがって、好ましい一実施態様では、共投与される追加の化学療法剤は、シクロホスファミド、ヒドロキシダウノルビシン、オンコビン(Oncovein)、プレドニゾン又はプレドニゾロンと、任意選択的にエトポシドからなる群より選択される。
【0183】
本発明の文脈で使用される抗体は、組成物、特に薬学的組成物に含めることができる。薬学的組成物は、薬学的に許容される担体を含むことができる。
【0184】
適切な薬学的組成物及び薬学的に許容される担体は、当技術分野で既知であり、例えば、EP-B1 2380910、国際公開第2005/044859号、国際公開第2015/067586号及び国際公開第2016/207312号に記載されている。
【0185】
したがって、別の態様では、任意選択的に薬学的に許容される担体と一緒に製剤化された、ここに定義される抗体又はその抗原結合部分を含む組成物、例えば薬学的組成物が、本発明により用いられると想定される。
【0186】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」には、生理学的に適合する、任意の及びすべての溶媒、分散媒、コーティング、抗細菌剤及び抗真菌剤、等張剤並びに吸収/再吸収遅延剤などが含まれる。好ましくは、薬学的組成物及び担体はそれぞれ、注射又は点滴に適している。
【0187】
薬学的に許容される担体には、滅菌水溶液又は分散液、及び滅菌注射溶液若しくは分散液の調製用の滅菌粉末が含まれる。薬学的に活性な物質のためのこのような媒体及び薬剤の使用は、当技術分野で既知である。水に加えて、担体は、例えば等張緩衝生理食塩水とすることができる。
【0188】
許容可能な担体、賦形剤又は安定剤は、用いられる投与量及び濃度でレシピエントに対して非毒性であり、リン酸塩、クエン酸塩及び他の有機酸のようなバッファー;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(例えば、オクタデシルジメチオルベンジルアンモニウムクロリド;ヘキサメトニウムクロリド;ベンザルコニウムクロリド、ベンゼトニウムクロリド;フェノール、ブチル又はベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えば、メチル又はプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾール);低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;タンパク質、例えば血清アルブミン、ゼラチン又は免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン又はリジン;グルコース、マンノース又はデキストリンを含む、単糖類、二糖類及び他の炭水化物;キレート剤、例えばEDTA;糖類、例えばスクロース、マンニトール、トレハロース又はソルビトール;塩形成対イオン、例えばナトリウム、金属錯体(例えばZn-タンパク質錯体);及び/又はTWEENTM、PLURONICSTM若しくはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤を含むことが想定される。
【0189】
本発明の組成物は、当技術分野において知られている多様な方法により投与されうる。当業者により認識されているように、投与経路及び/又は投与様式は、所望の結果に応じて変化するだろう。
【0190】
選択された投与経路に関わらず、適切な水和形態で使用されうる本発明の化合物、及び/又は本発明の薬学的組成物は、当業者に知られている一般的な方法により薬学的に許容される剤形に製剤化される。
【0191】
適切に適合されて本発明により用いることのできる例示的抗体製剤は、国際公開第98/56418号にも記載されている。この公報には、2-8℃で二年の最短貯蔵寿命を有する、40mg/mLの抗体、25mMのアセテート、150mMのトレハロース、0.9%のベンジルアルコール、0.02%のポリソルベート20(pH5.0)を含む液体マルチドーズ製剤が記載されている。別の抗体製剤は、9.0mg/mLの塩化ナトリウム、7.35mg/mLのクエン酸ナトリウム二水和物、0.7mg/mLのポリソルベート80、及び滅菌注射用水(pH6.5)中、10mg/mLの抗体を含んでいる。
【0192】
本発明の薬学的組成物中の有効成分の実際の用量レベルは、患者(の有効量)に対して毒性でなく、特定の患者、組成物、及び投与様式に関して所望の治療的応答を達成するために効果的な有効成分の量を得るために、多様であってよい。選択された用量レベルは、使用される本発明の特定の組成物、又はそのエステル、塩若しくはアミド、投与経路、投与時間、使用される特定の化合物の排泄速度、使用される特定の組成物と併用して用いられる他の薬物、化合物及び/又は物質、治療される患者の年齢、性別、体重、状態、全身健康状態、及び既往歴、並びに医学の技術分野において周知である同様の要因を含む多様な薬物動態因子に依存するであろう。
【0193】
用語「治療方法」又はこの同義語は、例えばDLBCL、及びここに定義される患者にそれぞれ適用されるとき、例えば、患者におけるDLBCL細胞の数を減少又は消滅させるように、又はDLBCL腫瘍の症候を緩和するように設計された手順又は作用過程を指す。しかしながら、DLBCLの「治療方法」は、DLBCL腫瘍細胞が、実際に消滅すること、細胞の数が実際に減少すること、又はDLBCL腫瘍の症候が実際に緩和されることを、必ずしも意味しなくてもよい。しばしば、成功の確率が低くても、患者の既往歴や推定生存期間を前提として、特にリツキシマブ治療と比較して、総合的に有効な作用過程を誘導するとみなされるDLBCLの治療方法が実施されるであろう。
【0194】
例えば、研究者、獣医、医師若しくは他の臨床家が求める組織、系、動物若しくはヒトの、生物学的又は医学的奏功を引き出すであろうそれぞれの化合物又は組み合わせの量である「治療的有効量」(又は単に「有効量」)で、抗体が患者に投与されることは自明である。
【0195】
(共)投与の量及び(共)投与のタイミングは、治療される患者のタイプ(人種、性別、年齢、体重など)及び状態、並びに治療される疾患又は状態の重症度に依存する。抗体と、任意選択的なさらなる薬剤は、単回で、又は一連の治療にわたって、例えば同日又は翌日に、患者に対して適切に(共)投与される。
【0196】
疾患のタイプ及び重症度に応じて、ここに定義される抗体の約0.1mg/kgから50mg/kg(例えば0.1-20mg/kg)が、患者に対する共投与のための初回候補投与量である。
【0197】
オビヌツズマブ/オビヌツズマブの機能的等価物(さらに詳細にはG-CHOP)のための投与スキーム(投与経路及び投薬量を含む)の特定の、但し非限定的な例は、実施例により記載及び提供される(特にGOYA試験の文脈で適用される試験設計及び治療を詳細に記載する実施例1及び実施例2)。当業者は、必要であれば容易に、本発明により適切でありうる他のあらゆるG投与スキームに、G投与スキームのこの実施例を適合することができる。
【0198】
本発明により用いられる抗体及び薬学的組成物はそれぞれ、取扱説明書又は指示リーフレットと一緒に提供されてもよい。取扱説明書/リーフレットは、本発明によりDLBCL及びここに定義される患者を治療する方法に関する当業者/主治医のための手引きを含むことができる。例えば、取扱説明書/リーフレットは、ここに記載される投与様式/投与レジメン(例えば投与経路、投与計画、投与時間、投与頻度)に関する手引きを含むことができる。特に、取扱説明書/リーフレットは、治療される患者、即ちここに定義される患者に関する情報を含むことができる。原則的には、オビヌツズマブ、治療される患者、投与様式/投与レジメン(投薬量などを含む)などに関する本明細書の他の部分の記載が、取扱説明書/リーフレットに含まれうる。
【0199】
本発明の文脈で用いられる好ましい試料は、患者の腫瘍組織に由来する(例えば生検として)。例えば、ホルマリン固定又は/好ましくは及びパラフィン包埋腫瘍組織を用いることができる(例えば対象スライド上の腫瘍組織の切片)。しかしながら、他の試料、例えば、他の組織、血液試料、血清試料、又は他の体液試料などの切片/生検が本発明の文脈で用いられることも想定される。
【0200】
本明細書には、特許/特許出願を含む複数の文献が引用されている。これら文献の開示内容は、本発明の特許性に関連すると考慮されないが、それらの全体が参照によりここに包含される。さらに詳細には、すべての引用文献が、各個別の文献が特異的に及び個別に参照により包含されることが示されるのと同じ程度に、参照によりここに包含される。
【0201】
これより、本発明について、添付図面及び実施例を参照することにより記載するが、それらは本発明の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0202】
【
図1】GOYAにおける患者の内訳。*中止は、試験(抗体)治療を中止した患者を指す。
†各群の中位観察時間は29カ月であった;治療の完了は、試験(抗体)治療を完了した患者を指す。患者は、IPIスコア(低/低-中、高-中、及び高リスク)、CHOPサイクル(8対6)の予定回数、及び地域(西欧、東欧、南米及び中米、北米、アジア、並びにその他)による無作為化において階層化された。G-CHOP、オビヌツズマブ+シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾン/プレドニゾロン;R-CHOP、リツキシマブ+シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾン/プレドニゾロン。
【
図2】GOYAにおけるPFS及びOSのカプラン・マイヤー推定。(A)治療による治験責任医師評価PFS(主要評価項目)、治療意図集団、(B)治療によるOS、治療意図集団(C)起始細胞データを有する患者の起始細胞サブタイプ(試験治療に関係なく)による治験責任医師評価PFS。ABC、活性化B細胞様;CI、信頼区間;GCB、胚中心B細胞様;G-CHOP、オビヌツズマブ+シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾン;HR、ハザード比;OS、全生存期間;PFS、無増悪生存期間;R-CHOP、リツキシマブ+シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾン。
【
図3】GOYA患者のサブグループにおける治験責任医師評価PFSの非階層化ハザード比。(A)無作為化階層化因子及び(B)ベースライン特性。ABC、活性化B細胞様;CI、信頼区間;DLBCL、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫;ECOG PS、米国東海岸癌臨床試験グループのパフォーマンスステータス;GCB、胚中心B細胞様;G-CHOP、オビヌツズマブ+シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾン;IPI、国際予後指標;KM、カプラン・マイヤー;PFS、無増悪生存期間;R-CHOP、リツキシマブ+シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾン。*節外関連のeCRFで「yes」がチェックされた症例;節外部位0を有する14名の患者は誤ってチェックした。
【
図4】GOYAにおいてBCL2転座患者に見られたGazyvaの有用性
【
図5】GOYAにおいてBCL2タンパク質発現陽性患者に見られたGazyvaの有用性
【
図6】GOYAにおいてBCL2タンパク質発現陽性であるBCL2転座患者に見られたGazyvaの有用性GOYAにおけるBCL2 IHC(陽/陰)及びBCL2 FISH(陽/陰)により定義された治療効果の評価(四通り)。Gazyvaの優位性はBCL2 IHC+/FISH+患者に特異的であることが示された。
【
図7A】GOYAにおいて線形予測子スコアの様々なカットオフにより定義されるGCBのサブグループにおけるGazyvaの有用性:FOREST Plot 25%-36%カットオフ(%) □強GCB GOYA患者におけるHR*(95% CI)-PFS:0.33[0.18-0.63]、p値=0.0007 □強GCB患者は、LPS<749であるGOYAの全DLBCL患者の25%(n=233/933)に相当する。 □強GCB患者は、GOYAのGCB患者の43%(n=233/540)を占める。
【
図7B】GOYAにおいて線形予測子スコアの別のカットオフにより規定されるGCBのサブグループにおけるGazyvaの有用性:FOREST Plot 25%-50% カットオフ(%)。 □強GCB GOYA患者におけるHR*(95% CI)-PFS:0.33[0.18-0.63]、p値=0.0007 □強GCB患者は、LPS<749であるGOYAの全DLBCL患者の25%(n=233/933)に相当する。 □強GCB患者は、GOYAのGCB患者の43%(n=233/540)を占める。
【
図7C】GOYAにおいてさらに別の線形予測子スコアのカットオフにより規定されるGCBのサブグループにおけるGazyvaの有用性:LPSカットオフ<749における主要評価項目(INV-PFS)に関する強GCBサブグループでのGazyvaの有用性 □強GCB GOYA患者におけるHR*(95% CI)-PFS:0.33[0.18-0.63]、p値=0.0007 □強GCB患者は、LPS<749であるGOYAの全DLBCL患者の25%(n=233/933)に相当する。 □強GCB患者は、GOYAのGCB患者の43%(n=233/540)を占める。
【
図8】GOYAにおいてBCL2転座及びBCL2タンパク質発現陽性であるGCB患者に見られたGazyvaの有用性
【
図9-1】GOYAにおいてCD58変異患者及び/又は低CD58遺伝子発現を有する患者に見られたGazyvaの有用性
【
図9-2】GOYAにおいてCD58変異患者及び/又は低CD58遺伝子発現を有する患者に見られたGazyvaの有用性
【
図10】COO分析(N=xx)による、バイオマーカー評価可能患者の無増悪生存期間に対する、R-CHOPを上回るG-CHOPの有用性のLPSカットオフの多変量シミュレーション最適化 GOYA元データにおける強GCB治療効果のLPSカットオフ最適化*治療に合わせて調整された多変量HR、国際予後指標、化学療法サイクルの数(6又は8)、及び地域。青線、HRのポイント推定、黄線、95% CI;CI、信頼区間;COO、起始細胞;HR、ハザード比;LPS、線形予測子スコア.
【
図11】GOYAにおける強GCB患者
#の分子的特徴づけ強GCB患者は、有意に高いFL体細胞突然変異ホールマークの保有率を有している。(A)FL体細胞突然変異ホールマーク*(いずれかの変異型)の保有率(B)BCL2転座
†の保有率
#他のバイオマーカーが、弱GCBから強GCBを特徴づけるために(保有率に有意な差は同定されなかった):遺伝子発現、間質-1/2遺伝子シグネチャー、免疫応答1/2遺伝子シグネチャー、CD20、及びPTENにより;タンパク質発現、BCL2、MYC、及びBCL2/MYC二重発現者により;及び遺伝子転座、MYC転座及びBCL2/MYCに二重ヒットにより評価された。ABC、活性化B細胞;DLBCL、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫;FDR、偽発見率;FISH、蛍光in situハイブリダイゼーション;FL、濾胞性リンパ腫;GCB、胚中心B細胞;NGS、次世代シーケンシング。
【
図12】ブートストラップ試料全体の最適LPSカットオフの分布 □「min.HRルール」を用いて同定された最適LPSの堅牢性及び一般化可能性をさらに試験するブートストラップ多変量シミュレーション □ブートストラップ試料全体の一番のピークはLPS=725である。 □固有のピークを有するLPS分布は、治療効果シグナルの堅牢性を支持している。 □検証的試験の新規候補に示唆される最適LPSカットオフはLPS ≦725である。-このOBRFにおいて提示されるバイオマーカー分析を含め、これまですべてのGOYAバイオマーカー分析は、強GCBを、<749(GOYAにおいて25%の患者)と定義した。-n=725<LPS<749である4名の患者、すべてG-CHOP(発症1)
【
図13】治療意図集団における次の抗リンパ腫治療(副次評価項目)までの時間のカプラン・マイヤー推定CI、信頼区間;G-CHOP、オビヌツズマブ+シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾン/プレドニゾロン;HR、ハザード比;R-CHOP、リツキシマブ+シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾン/プレドニゾロン。
【
図14-1】COOデータを有する患者の治療群(COOサブタイプによってサブグループ分けされた)による治験責任医師評価PFSのカプラン・マイヤー推定(A)GCB;(B)ABC;(C)未分類。ABC、活性化B細胞様;CI、信頼区間;COO、起始細胞;GCB、胚中心B細胞様;G-CHOP、オビヌツズマブ+シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾン/プレドニゾロン;HR、ハザード比;R-CHOP、リツキシマブ+シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾン/プレドニゾロン。
【
図14-2】COOデータを有する患者の治療群(COOサブタイプによってサブグループ分けされた)による治験責任医師評価PFSのカプラン・マイヤー推定(A)GCB;(B)ABC;(C)未分類。ABC、活性化B細胞様;CI、信頼区間;COO、起始細胞;GCB、胚中心B細胞様;G-CHOP、オビヌツズマブ+シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾン/プレドニゾロン;HR、ハザード比;R-CHOP、リツキシマブ+シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾン/プレドニゾロン。
【0203】
ABC、活性化B細胞様(サブグループ);ECOG PS、米国東海岸癌臨床試験グループパフォーマンスステータス;G-CHOP、オビヌツズマブ+シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾン/プレドニゾロン;GCB、胚中心B細胞様(サブグループ);IPI、国際予後指標;LDH、乳酸デヒドロゲナーゼ;PET、ポジトロン放射型断層撮影;R-CHOP、リツキシマブ+シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾン/プレドニゾロン。
*別途指定のない限り、すべてのパラメーターに対し、G-CHOPについてはn=706及びR-CHOPについてはn=712。
†節外関連のeCRFで「yes」がチェックされた症例;節外部位0を有する14名の患者は誤ってチェックした。
‡485名の患者(G-CHOP、235;R-CHOP、250)についてはCOOサブタイプ分類がなかった;これには、輸出免状がなかったことにより分析できなかった中国由来の試料が含まれる-これら試料の分析は、近い将来に予定されている。
【0204】
CI、信頼区間;CR、完全寛解;DFS、無疾患生存;EFS、無再発生存;
G-CHOP、オビヌツズマブ+シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾン/プレドニゾロン;HR、ハザード比;IRC、独立審査委員会;ORR、全奏効率;OS、全生存期間;PET、ポジトロン放射型断層撮影;PFS、無増悪生存期間;R-CHOP、リツキシマブ+シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾン/プレドニゾロン。
*階層化因子は、国際予後指標スコア及びCHOPサイクルの予定数(6又は8)であった。
†改訂版応答基準に従う。
13
【0205】
AE、有害事象;G-CHOP、オビヌツズマブ+シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾン/プレドニゾロン;R-CHOP、リツキシマブ+シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾン/プレドニゾロン。
*基本語として列挙される、各グループにおいて複数の患者に報告された致死的AEは:G-CHOP群において、敗血症性ショック(6名[0.9%]の患者)、肺炎(5名[0.7%])、死亡(原因不明;3名[0.4%])、肺塞栓(2名[0.3%])及び脳血管発作(2名[0.3%])、並びにR-CHOP群において、肺炎(6名[0.9%])、敗血症(3名[0.4%])、脳血管発作(2名[0.3%])及び 死亡(原因不明;2名[0.3%])であった。
【0206】
*治療群、国際予後指標、化学療法サイクルの数(6又は8)、及び地域について調整
CI、信頼区間;EFS、無再発生存;GCB、胚中心B細胞;HR、ハザード比;OS、全生存期間;PFS、無増悪生存期間(治験責任医師評価);yr、年
【0207】
G-CHOP、オビヌツズマブ+シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾン;R-CHOP、リツキシマブ+シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾン。
*点滴の中断及び点滴速度の低下を含む。
【0208】
AE、有害事象;G-CHOP、オビヌツズマブ+シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾン/プレドニゾロン;R-CHOP、リツキシマブ+シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾン/プレドニゾロン。
【0209】
AE、有害事象;G-CHOP、オビヌツズマブ+シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾン/プレドニゾロン;HBV、B型肝炎感染;MedDRA、医薬品規制用語集;R-CHOPリツキシマブ+シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾン/プレドニゾロン。
*器官別大分類感染及び寄生における任意の基本語
†標準化されたMedDRAクエリー
‡AEとして報告された好中球減少症及び関連合併症、異常な臨床検査値を含まない
§点滴による治療に関連し、点滴の間/24時間以内に発生したもの
¶器官別大分類の心機能障害の任意の基本語
**第1の試験薬の摂取後6か月後に始まった器官別大分類の腫瘍(良性、悪性及び未特定)(嚢胞及びポリープを含む)の任意の基本語
††≧100IU/mlのHBV DNAレベル上昇又はB型肝炎再活性化のAEのうちの少なくとも一つ
‡‡標準化されたMedDRAクエリー、穿孔事象(器官別大分類の胃腸障害の任意の基本語)及び膿瘍及びその他事象(その他器官別大分類の基本語)を含む。
§§標準化されたMedDRAクエリー、出血性脳血管状態、及び出血(研究室及び非研究室用語)を含む
【実施例0210】
実施例1 - 一般的な材料と方法
NanoString LSTアッセイの説明
別途指定のない限り、本発明の文脈では、販売者のマニュアルに従ってNanoString LSTアッセイが実施された(NanoString Technologies,Inc.,Seattle,WA,USA)。このアッセイに関するさらなる手引きは、Scott (2014及び2015上掲)に提供されている。
【0211】
COOアッセイの概要
NanoStringのLST遺伝子発現アッセイは、nCounter(登録商標)分析システムでのCOOサブタイプの同定を可能にするために開発された。nCounter(登録商標)遺伝子発現アッセイは、NanoString技術と一緒になって、逆転写又は増幅を使用せずに、nCounter Reporter Probesと呼ばれる分子バーコードを用いてmRNAを検出するための超高感度で高度に多重化された方法を提供する(Geiss上掲)。mRNAの検出は、色分けされたプローブ対の使用による標的分子のデジタル検出及び直接的分子バーコーディングに基づいている。プローブ対は、5’末端にシグナルを担持するReporter Probeと、Capture Probeからなる。カラーコードは六つの位置を有し、各位置を四色のうちの一つにすることにができ、それにより、標的への直接的ハイブリダイゼーションのための単一ウェル内で混合することができ、さらにはデータ収集の間に個々に分解及び同定されうる多様なタグが可能となる。NanoString Reporter and Capture Probe技術では、色分けされたバーコードを担持するReporter Probeと、データ収集のために複合体を固定化することのできるCapture Probeとが用いられる。
【0212】
カスタマイズされたLSTプローブ対は、確実に各標的がプローブ対を発見するように、標的mRNAに対して極めて過剰な量で、標本RNAと混合する。ハイブリダイゼーション後、過剰な未結合プローブを洗い流し、データ収集のためにTarget/Probe複合体をカートリッジ内に固定する。nCounter(登録商標)Digital Analyzerでデータ収集が実行される。デジタル画像を処理し、バーコード数を、試料正規化及びデータ分析の準備が整ったカンマ区切り(CSV)形式で作表する。
【0213】
データ分析の前に、各試料を、合成RNA参照コントロール転写物及びハウスキーピング遺伝子から生成された基準数に正規化する。
【0214】
患者試料中のCOO状態の決定
LSTアッセイは、20の遺伝子について各患者の遺伝子発現データを生成する(表5参照)。これら遺伝子のうちの5はハウスキーピング参照遺伝子であり、他の15の遺伝子がABCからGCBを区別する(特に8の遺伝子がABC様DLBCLに過剰発現されることが知られており、7の遺伝子がGCB様DLBCLに過剰発現されることが知られている)(Scott 2014上掲に基づく)。
【0215】
【0216】
線形予測子スコア(LPS)は、遺伝子発現データに基づき、各患者について計算される。LPSは、LSTアッセイにおける20の遺伝子の遺伝子発現の加重和である:
[上式中、X
j遺伝子j及びa
jの遺伝子発現は、遺伝子jの係数である]。
【0217】
次いで、各患者のLPSを所定の閾値と比較し、患者のDLBCL COOサブタイプを決定する。個々のLPSスコアについて、腫瘍がABCサブタイプの一部である可能性が高いのか又はGCBサブタイプの一部である可能性が高いのかについて確率を決定する。ABCである可能性が90%を上回る腫瘍はABCと考え、GCBである可能性が90%を上回る腫瘍はGCBと考える。ABCである可能性又はGCBである可能性が90%未満の腫瘍は未分類と考える(Scott 2014及び2015、上掲)。
【0218】
G-CHOP及びR-CHOPレジメン
患者は、二つの免疫化学療法レジメンのうちの一方を用いた治療を受ける:
・G-CHOP(治験群):オビヌツズマブと組み合わせたCHOP化学療法
・R-CHOP(コントロール群):リツキシマブと組み合わせたCHOP化学療法
オビヌツズマブ及びリツキシマブは、このプロトコールの目的のための、治験医薬製品と考えられる。
【0219】
試験群において、オビヌツズマブは、8サイクルにわたり、各21日サイクルの1日目に、1000mgの絶対(フラット)用量でIV点滴により投与される。サイクル1の間に、オビヌツズマブは、8日目及び15日目にも点滴される。オビヌツズマブとCHOPの両方が投与される日のオビヌツズマブの投与は、化学療法投与が開始される少なくとも30分前には完了しているべきである。
【0220】
CHOP化学療法は、オビヌツズマブ点滴の期間により翌日のCHOP点滴の投与が必要になる場合、オビヌツズマブ投与の翌日に提供されうる。CHOP化学療法は、セクション4.5.3.a及び表5に記載されるように、最大で6又は8サイクルにわたって行われる。CHOP化学療法が6サイクルだけ投与される場合(表5参照),サイクル7及び8のオビヌツズマブは単剤療法として21日毎のスケジュールで与えられる。
【0221】
試験のコントロール群では、リツキシマブは、8サイクルにわたり、各21日のサイクルの1日目に、375mg/m2の用量でIV点滴により投与される。リツキシマブはCHOPの前に投与され、点滴は完了しなければならず、患者はCHOPの開始前少なくとも30分間観察される。CHOPは、リツキシマブの点滴期間により翌日のCHOP点滴が必要になる場合、2日目に与えられうる。CHOP化学療法が6サイクルだけ投与される場合(表5参照),サイクル7及び8のリツキシマブは単剤療法として21日毎のスケジュールで与えられる。
【0222】
リツキシマブと化学療法の用量は、スクリーニング評価での患者の体重に基づいて計算する(14日目から1日目)。その後の全投与に関し、スクリーニングに基づき>10%の変化があれば、リツキシマブ及び化学療法の用量をそれに応じて修正する。用量の調節をトリガーする重量は、新規の参照重量として将来の用量調節のために取得される。
【0223】
セクション3.6.1.cに記したように、≧60歳である患者及び共存症を有する患者には、ASCO、EORTC、及びESMOガイドラインに従って、G-CSFの使用が推奨される。これは、G-CHOPを用いて治療されるすべての患者について、サイクル1で強く推奨される。
【0224】
オビヌツズマブ(技術データ)
a.製剤
オビヌツズマブは、公称1000mgのオビヌツズマブを含む、50mLの製薬グレードのガラスバイアル中に、単回用量の滅菌液体製剤として提供される(G3物質)。製剤化された医薬製品は、ヒスチジン、トレハロース、及びポロキサマー188中で製剤化された25mg/mLの原体(G3)からなる。バイアルは41 mLを収容する(2.5%の過充填を含む)。
さらなる詳細については、オビヌツズマブの治験薬概要書を参照されたい。
b.取り扱い及び貯蔵
オビヌツズマブ医薬製品の推奨される貯蔵条件は、光から保護された2℃から8℃の間である。0.9%の塩化ナトリウム(NaCl)中でのオビヌツズマブの化学的及び物理的な使用時の安定性は、2℃-8℃で24時間、常温での室内周囲照明下で実証された。調製され希釈された製品は、直ちに使用されるべきである。直ちに使用しない場合、使用に先立つ使用貯蔵時間及び条件は、ユーザの責任であり、通常2℃-8℃で24時間を超えないであろう。オビヌツズマブは、凍結させたり振盪したりしてはならない。やさしく混ぜる。すべての移送手順は、無菌技術の厳格な順守を要する。吸着の可能性があるため、追加のインラインフィルタを使用してはならない。
さらなる詳細については、オビヌツズマブの治験薬概要書を参照されたい。
c.オビヌツズマブの用量及びスケジュール
オビヌツズマブは、8サイクルにわたり、各21日サイクルの1日目に、1000mgの絶対(フラット)用量としてIV点滴により投与される。オビヌツズマブはCHOPの前に投与され、患者はCHOP開始の30分前に観察しなければならない。オビヌツズマブ療法の期間が長いことによりCHOPが1日目に完了しない場合、CHOP化学療法は2日目に投与してよい。サイクル1の間、オビヌツズマブは、8日目及び15日目にも点滴される。CHOP化学療法がサイクル7及び8で行われない場合、オビヌツズマブは単剤療法として投与される。
d.オビヌツズマブの調製
IV点滴を意図したオビヌツズマブ医薬製品は、医薬製品を、0.9%のNaClを含む点滴バッグ中で、最終薬物濃度4mg/mLになるまで希釈することにより調製される。0.9%のNaClを含む250mLの点滴バッグを使用することにより、40mLの塩化ナトリウムが引き出されて棄てられる。単一のガラスバイアルからの40mLのオビヌツズマブを引き出し、点滴バッグへ注入する(バイアルに残ったオビヌツズマブの未使用部分は廃棄する)。点滴バッグをゆっくりと逆転させて溶液を混合する;振盪しないこと。
ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン(PUR)、又はポリエチレンを製品接触表面として含む投与セットと、ポリオレフィン、ポリプロピレン(PP)、PVC、又はポリエチレンを、製品接触表面として含むIVバッグとが適合しており、使用可能である。
箱に印刷された有効期限を過ぎたオビヌツズマブを使用してはならない。
e.オビヌツズマブの投与
オビヌツズマブは、完全な救急蘇生設備が直ちに利用可能な臨床の場で患者に投与されなければならず(入院患者又は外来患者)、患者は常時治験責任医師の厳重な監督下になければならない。IVプッシュ又はボーラスとしての投与はしてはならない。初回点滴が終わった後、IVライン又は中心静脈カテーテルは、必要に応じてIV薬物を投与することができるように、2時間以上その場に残さなければならない。2時間後に有害事象が発生しなければ、IVラインを取り外すことができるか、又は中心静脈カテーテルを処分することができる。その後の点滴のために、点滴終了から少なくとも1時間にわたりアクセス(IVライン又は中心静脈カテーテルを通して)をそのまま残すべきであり、1時間後に有害事象が発生していなければ、IVアクセスを取り外すことができる。
【0225】
オビヌツズマブの投与に先立ち、セクション4.3.5の一般的注意事項(前投薬の使用及び腫瘍溶解症候群の予防に関する手引き)を参照すること。オビヌツズマブの初回及びその後点滴に関する指示は表1に提示されている。
【0226】
【0227】
オビヌツズマブは、専用のラインで、低速のIV点滴として与えられなければならない。オビヌツズマブの点滴レートを制御するために、IV点滴ポンプを使用するべきである。IVプッシュ又はボーラスとしての投与はしてはならない。
【0228】
オビヌツズマブとCHOPの両方が与えられる日には、オビヌツズマブはCHOPの前に投与され、患者はCHOP開始の30分前に観察しなければならない。CHOP化学療法は、オビヌツズマブ投与と同日に行うことができなければ、翌日投与してもよい。CHOPと組み合わせて行われる各オビヌツズマブ点滴の前に(サイクル1-6又はサイクル1-8の1日目)、患者は、CHOPレジメンの各サイクルについて特定された経口プレドニゾン(100mg)の1日目の用量を摂取しなければならない。コルチコステロイドの予防的使用(例えば、100mgのIVプレドニゾロン又は等価物)は、治験責任医師が適切とみなせば、IRRの危険が高いと考えられる患者のためにも考慮されてよく、やはりオビヌツズマブの点滴の前に投与される。
IRR及びアナフィラキシーの管理については、セクション4.3.6.a及び表3を参照されたい。
【0229】
CHOP化学療法
CHOPは、DLBCLの治療のための標準治療と考えられる。施設の選択により、実施施設は、試験開始に先立ち、CHOP化学療法を8サイクル投与するか又は6サイクル投与するかを選ぶ。
【0230】
a投薬量及び投与
CHOP化学療法は、IVシクロホスファミド、IVドキソルビシン、IVプッシュにより投与されるビンクリスチン、及び経口プレドニゾン又はプレドニゾロンからなる。標準のCHOPは、6から8回の21日サイクルで投与されるであろう。サイクル7と8のCHOP化学療法は、予定される6対8のサイクルに対する施設の前向き選択に従って投与される。
・1日目に静脈内投与されるシクロホスファミド750mg/m2
・1日目に静脈内投与されるドキソルビシン50mg/m2
・2.0mgの推奨キャップを用いて1日目にIVプッシュにより投与されるビンクリスチン1.4mg/m2
・1-5日目における経口(PO)プレドニゾン100mg/日
注記:プレドニゾンの用量は、Cruzman et al. 1999; Hiddemann et al. 2005に基づいた全米総合癌センターネットワークの推奨(2010)に従っている。プレドニゾンは、プレドニゾンが入手不能であるか又選択される治療法でない国ではプレドニゾロンで置き換えることができる(1:1の変換、100mg)、或いはプレドニゾン/プレドニゾロンにアクセスを持たない国又は実施施設では80mgのメチルプレドニゾロンで置き換えることができる。
【0231】
CHOPは、各治験実施施設においてリツキシマブ又はオビヌツズマブの点滴の後で、標準の調製及び点滴手順により投与されるであろう。調製、投与、及び貯蔵ガイドラインに関する特定の添付文書を参照されたい。治験責任医師の裁量において、ビンクリスチンの用量は2mgにキャップされうる。≧70歳の患者については、ビンクリスチンの用量は、1.5mgにキャップされてもよい。BSAは、治験基準で2m2にキャップされてもよい。
【0232】
オビヌツズマブ又はリツキシマブとCHOPとが同日投与されることがスケジュールされているとき、プレドニゾン(100mg)をオビヌツズマブ又はリツキシマブの点滴の前に投与することが推奨される。オビヌツズマブ又はリツキシマブの投与は、CHOP(シクロホスファミド、ビンクリスチン、及びアドリアマイシン)点滴の投与の少なくとも30分前に完了しなければならない。治験責任医師又は実施施設の強い希望であれば(例えば、論理的な理由で)、リツキシマブ又はオビヌツズマブの投与は、前投薬によりCHOPの投与の前日に行うことが許される(セクション4.3.5に定義)。患者のIRRリスクが上昇している場合(高い腫瘍負荷、高い末梢リンパ球数)は、抗体(リツキシマブ又はオビヌツズマブ)の点滴を2日間に分けることも許される。また、オビヌツズマブ又はリツキシマブの点滴の間に有害事象のある患者においては、オビヌツズマブの投与を、必要に応じて翌日に継続することができる。サイクル1の1日目のオビヌツズマブの用量を分割する場合、両方の点滴が適切な前投薬で及び初回点滴レートで行われなければならない(表2参照)。CHOPがサイクルの2日目以降に開始される場合、21日という規則的な化学療法の間隔を維持するために、予定される次のサイクルの1日目は、CHOPが実際に開始された日から計算するべきである。
【0233】
実施例2 - 治療歴のないDLBCLにおけるオビヌツズマブ又はリツキシマブ(+CHOP)(Roche社GOYA(B021005)臨床第3相試験の説明)
患者
適格な患者は、≧18歳で:治療歴がなく、組織学的な記録がなされ、CD20陽性のDLBCLであり(地域の病理学研究室による評価);≧1の二次元的に測定可能な病変を有し(コンピューター断層撮影法[CT]において>1.5cmの最大寸法);米国東海岸癌臨床試験グループパフォーマンスステータス0-2;十分な血液学的肝臓及び腎臓機能;左心駆出率≧50%;国際予後指標(IPI)スコア≧2であった(並びに、巨大腫瘤病変を有する又は有さない、IPIスコアが1である≦60歳の患者、及びIPIスコアが0であり巨大腫瘤病変、即ち≧7.5cmの病変を有する患者)。完全な選択/除外基準を以下に詳述する。すべての患者は文書によるインフォームドコンセントを提供した。
【0234】
詳細な選択及び除外基準
患者は、治験に登録するために、以下の基準を満たさねばならなかった:
1.文書によるインフォームドコンセント。
2.以下を用いて組織学的な記録がなされた、未治療のCD20陽性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL):
a.病理報告の閲覧が可能であり、組織ブロックが施設でのレトロスペクティブな確認のために送付されなければならない。
b.ホルマリン固定パラフィン包埋組織ブロックが好ましい;しかしながら、異なる固定剤を用いる国では、利用可能ないずれの組織ブロックも認められ、固定剤の種類が注記される。
c.利用可能な組織ブロックがない場合、15の未染色スライド(厚さ3-5μm)が認められる。
d.任意選択的なRoche社治験リポジトリ試料及び必要な探索的バイオマーカー試料は同じ組織ブロックから取得される。提出された材料に対する施設の確認が実施できない場合、診断に用いられる染色スライドも要求することができる。
3.高、高-中、又は低-中のうちの一つに当てはまる国際予後指標(IPI)疾患リスク群の患者。
a.低リスク群の患者は、適格であるが、巨大腫瘤病変の有無にかかわらずIPIスコア1を有さねばならないか、又は≧7.5cmの一つの病変として定義される巨大腫瘤病変を有する場合IPIスコア0を有さねばならない。
b.注:年齢のみが原因でIPI 1を有する(即ち、他のリスク因子を持たない>60歳の)、巨大腫瘤病変を有さない患者は、本治験には適格でない。
4.コンピューター断層撮影法でその最大寸法が>1.5cmと定義される、少なくとも一つの二次元的に測定可能な病変。
5.治験プロトコール手順に応じる能力及び意思。
6.年齢≧18歳。
7.0、1、又は2の米国東海岸癌臨床試験グループパフォーマンスステータス。
8.心臓マルチゲートスキャン又は心エコーにおいて左心駆出率≧50%
9.以下により定義される、十分な血液学的機能(広範な骨髄の関与により確立された基礎疾患によるものでない限り、又は治験責任医師ごとのDLBCLによる脾臓の関与に二次的な脾機能亢進によるものでない限り):
a.ヘモグロビン≧9g/dl;
b.好中球絶対数≧1.5×109/l;
c.血小板数≧75×109/l.
10.不妊手術を受けていない男性について:治療期間中及びオビヌツズマブ又はリツキシマブの最終投与後≧3カ月までの又はCHOP化学療法の治験ガイドラインに従うバリアー避妊法の使用うち、より長い期間にわたる方のへの同意、並びにパートナーが経口避妊薬、子宮内避妊器具、バリアー法、又は殺精子ゼリーといった追加的避妊法を使用するようにとの要求への同意。
11.不妊手術を受けていない生殖能を有する女性について:治療期間中及びオビヌツズマブ又はリツキシマブの最終投与後≧12カ月まで、又はCHOP化学療法の治験ガイドラインに従って、殺精子ゼリーと併せた経口避妊薬、子宮内避妊器具、又はバリアー避妊法といった二つの適切な避妊法を使用することのうち、より長い期間にわたる方への同意。
【0235】
以下の基準のいずれかを満たす患者は、試験への登録から除外された:
1.ヒト化若しくはマウスモノクローナル抗体に対する重度のアレルギー若しくはアナフィラキシー反応の既往歴、又はマウス生成物若しくはCHOP又はオビヌツズマブのいずれかの成分に対する既知の感受性若しくはアレルギー。
2.アントラサイクリンの事前投与を含む、CHOPの個々の成分のいずれかに対する禁忌。
3.形質転換リンパ腫を有する患者及びステージ3bの濾胞性リンパ腫を有する患者。
4.リンパ節生検又は局部照射を例外とする、DLBCLの事前治療。
5.別の状態(例えば、関節リウマチ)のための細胞傷害性薬又はリツキシマブを用いた事前治療又は抗CD20抗体の事前使用。
6.サイクル1の開始から3カ月以内のなんらかのモノクローナル抗体の事前使用。
7.リンパ腫症候の制御以外の目的での、コルチコステロイドの使用>30mg/日のプレドニゾン又は等価物。
a.≦30mg/日のプレドニゾン又は等価物を用いたコルチコステロイド治療を受ける患者は、無作為化に先立つ少なくとも4週間にわたり安定用量を受けることが文書により示されなければならない(サイクル1、1日目)。
b.試験治療の開始に先立ち、グルココルチコイド治療がリンパ腫の症候の制御に急遽必要である場合、プレドニゾン100mg又は等価物を最大5日間投与することができるが、すべての腫瘍評価はグルココルチコイド治療の開始前に完了しなければならない。
8.原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫、リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、又はバーキットリンパ腫への形質転換の組織学的証拠による続発性CNSの関与、原発性縦隔DLBCL、原発性滲出液リンパ腫、形質芽球性リンパ腫、及び原発性皮膚DLBCL。
9.無作為化前28日以内の生ワクチンを用いたワクチン接種。
10.サイクル1の開始前28日以内のなんらかの験的治療。
11.プロトコール順守又は結果の解釈に影響しうる他の悪性腫瘍の病歴。
a.試験前のあらゆる時期における、根治治療された基底細胞癌若しくは扁平上皮癌、又は皮膚の黒色腫又はin-situ子宮頸癌の病歴を有する患者は適格である。
b.根治を意図して外科的処置のみで治療された他のいずれかの悪性腫瘍を有し、悪性腫瘍が登録前≧5年間治療なしで寛解にある患者は適格である。
12.重大な心血管疾患(例えばニューヨーク心臓協会分類III又はIVの心血管疾患、最近6カ月以内の心筋梗塞、不安定な不整脈、又は不安定な扁桃炎)又は肺疾患(閉塞性肺疾患及び気管支痙攣の病歴を含む)を含む、プロトコールの順守又は結果の解釈に影響しうる重大で制御されない合併症の証拠。
13.診断以外の、最近行われた大手術(サイクル1の開始前4週以内の)。
14.以下の異常な臨床検査値のいずれか(これら異常のいずれかが根底にあるリンパ腫に起因するものでない限り):
a.クレアチニン>正常な上限の1.5倍(ULN;クレアチニンクリアランスが正常でない限り)、又は計算されたクレアチニンクリアランス<40ml/分(Cockcroft-Gault式を用いて)。
b.アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ又はアラニンアミノトランスフェラーゼ>2.5×ULN。
c.総ビリルビン≧1.5×ULN:文書により示されたジルベール病を有する患者は、総ビリルビンが≦3.0×ULNであれば登録可能である。
d.治療的抗凝固剤の非存在下において国際標準化比>1.5×ULN。
e.狼瘡抗凝固剤の非存在下において部分的トロンボプラスチン時間又は活性化部分的トロンボプラスチン時間>1.5×ULN。
15.サイクル1の開始前4週以内の、既知の活性な細菌、ウイルス、真菌、マイコバクテリア、寄生虫、又はその他感染(爪床の真菌感染を除く)又は静脈内抗生物質又は入院による治療を必要とする感染のいずれかの大きな発症(腫瘍熱のためである場合を除く抗生物質の過程の完了に関する)。
16.活性又は潜状結核の疑いのある患者。
a.潜状結核は、陽性インターフェロンガンマ遊離試験により確認される必要がある。
17.慢性B型肝炎感染の陽性試験結果(陽性HBsAg血清学と定義される)。
a.不明な又は以前のB型肝炎感染(陽性総B型肝炎コア抗体及び陰性HBsAgと定義される)を有する患者は、HBV DNAが検出不能である場合に含まれうる。これら患者は月に一度のDNA検査を受ける意思がなければならない。
18.C型肝炎の陽性の試験結果(HCV抗体血清学試験)。
a.HCV抗体陽性の患者は、ポリメラーゼ連鎖反応がHCV RNAについて陰性である場合のみ適格である。
19.HIV血清陽性状態の既知の病歴。
a.未知のHIV状態を有する患者について、地方条例により必要であれば、スクリーニングにおいてHIV検査が実施される。
20.ヒトT-リンパ増殖性1ウイルス(HTLV)の陽性結果。
a.流行国(日本及びメラネシア、並びにカリブ海沿岸、南米、中米、及びサハラ以南のアフリカの国々)の現地の患者にはHTLV検査が必要とされる。
21.確認された進行性多巣性白質脳症の病歴を有する患者。
22.妊娠又は授乳。
23.余命<12カ月。
【0236】
試験設計及び治療
GOYAは、多施設、非盲検、無作為化の第3相試験である。患者を、G(サイクル1の1、8、及び15日目と、サイクル2-8の1日目に1000mgの静脈内投与[IV])、又はR(サイクル1-8の1日目に375mg/m2のIV)の八回にわたる21日サイクルのいずれか+以下の用量で6又は8サイクルのCHOP:シクロホスファミド750mg/m2のIV(1日目);ドキソルビシン50mg/m2のIV(1日目);ビンクリスチン1.4mg/m2のIV(1日目,最大2.0mg);及びプレドニゾン100mg/日の経口投与(1-5日目)を投与されるように無作為化した(1:1の比)。両群のCHOPサイクル数は、各試験実施施設に前もって同意された;CHOPが6サイクルのみ投与される場合、抗体はサイクル7-8の間単剤療法として投与された。巨大腫瘤病変又は節外性疾患の初期部位に予定された放射線療法は、最終抗体サイクルの1日目から8週以内及び治療終了時評価の完了後に許可された。前投薬、許可された併用療法、及び投与遅延/低減の許可された理由の詳細は、付録に記載されている。無作為化は、予定される化学療法サイクルの数(6/8サイクルのCHOP)、IPIスコア、及び地域(西欧、東欧、南米及び中米、北米、及びアジア、並びにその他)による階層化を用いて対話型音声応答システムにより実施された。
【0237】
GOYAは、欧州臨床試験指令(欧州施設の)及び医薬品の臨床試験の実施に関する基準の医薬品規制調和国際会議ガイドラインに従って実施された。プロトコールは、参加施設の倫理委員会により承認され、ClinicalTrials.govに登録された(NCT01287741)。
【0238】
前投薬、用量変更、及び許可された治療法
すべての患者は、オビヌツズマブ(G)又はリツキシマブ(R)の投与の前に、経口アセトアミノフェン及び抗ヒスタミンの前投薬を受けた。シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾン(CHOP)の投与はG又はRの投与の少なくとも30分後に開始されることが推奨された。G又はRがCHOPと共に投与される各サイクルでは、1日目の経口プレドニゾンの用量は抗体の点滴の前に投与された。点滴関連反応のリスクが高いと考えられる患者には、追加のグルココルチコイド治療薬も投与することができた。高い腫瘍負荷を有し、腫瘍溶解のリスクを有すると考えられる患者のために、腫瘍溶解予防(十分な水和及びアロプリノール)が推奨された。グレード3又は4の血液毒性又はグレード2-4の非血液毒性の場合には、治療薬の投与は最大2週間遅延された;毒性が解消しない場合、患者は試験治療から脱落した。化学療法については減量が許されたが、G又はRには許されなかった。
【0239】
年齢が≧60歳の患者及び/又は併存症を有する患者には、サイクル1の間に、G-CHOP群のすべての患者についてG-CSFによる予防が推奨された。G-CSFはまた、好中球減少症の治療のために許可された。化学療法(CHOP以外の)、免疫療法、ホルモン療法(避妊薬、ホルモン補充療法、又は酢酸メゲストロール以外)、及びリンパ腫の治療を目的とするいずれの治療法の使用も禁止された(放射線療法に関しては、本文を参照されたい)。
【0240】
試験のエンドポイント及び評価
主要評価項目は、治験責任医師の評価による、無増悪生存期間(PFS)(無作為化の日付から、疾患の進行、再発、又はいずれかの原因による死亡の初回発生までの時間と定義される)であった。偏向を排除して主要分析を支持するために、PFSも独立審査委員会(IRC)によって審査された。副次評価項目には、全生存期間(OS)、無再発生存(EFS)、CR率、全奏効率(ORR、CR及び部分寛解を含む)、無病生存期間(DFS)、奏功期間、次の抗リンパ腫治療(TTNT)までの時間、及び安全性が含まれた。PFSは、DLBCL起始細胞(COO)サブグループ(胚中心B細胞様[GCB]、活性化B細胞様[ABC]、及び未分類;探索的分析)においても分析された。COO分類は、NanoString研究専用リンパ腫サブタイピングテスト(NanoString Technologies,Inc.,Seattle,WA,USA)を用いて、遺伝子発現プロファイリングに基づいていた。
【0241】
腫瘍応答及び進行は、Revised Response Criteria for Malignant Lymphoma (Cheson, J Clin Oncol 25, 2007, 579-586)に従い、定期的な臨床及び研究室での実験とCTスキャンを用いて治験責任医師が評価した。18F-フルデオキシグルコースポジトロン放射型断層撮影(FDG-PET)スキャン(PETスキャナを有する実施施設において必須)を行ったこれら患者について、FDG-PETの結果を組み込んで別個の応答評価を実施した。主要評価項目分析は、従来のCTスキャンを用いた全患者の評価に基づいていた。応答は、最後の試験治療の4-8週(CT)又は6-8週(FDG-PET)後、又は早期中止の場合はそれよりも早く、評価した。
【0242】
安全性は、研究室評価、バイタルサイン測定値、及び身体検査から同定された異常を含む、すべての有害事象(AE)及び重篤なAE(SAE)のモニタリング及び記録により評価された。AEは、アメリカ国立がん研究所の有害事象共通用語基準v4.0を用いてグレード分類した。研究室安全性評価には、常套的な血液学及び血液化学、並びに免疫パラメーターの試験が含まれた。独立データモニタリング委員会(IDMC)が、定期的な安全性審査を実施した。
【0243】
統計分析
試料の大きさを計算したところ、0.05の両面アルファレベル及び80%の出力でのG-CHOP対R-CHOPにより、疾患進行、再発、又は死亡のリスクに25%の低減が検出された(即ち、R-CHOPを上回るG-CHOPのPFSハザード比[HR]は0.75であった)。これを達成するために、且つ5%の年間脱落者率を許容するために、405のPFS事象が一次分析に必要であり、3年間で1400患者名の登録を必要とした。
【0244】
すべての無作為化患者を含む治療意図(ITT)集団に対し、有効性の評価が実施された。安全性分析集団には、いずれかの試験薬(抗体又はCHOP)を投与されたすべての患者が含まれた。PFSの治療比較は、両面レベル0.05階層化ログランク検定を用いて実施した。各治療群のPFS分布の推定にはカプラン・マイヤー法を使用した。治療効果の推定値は、95%の信頼区間(CI)を含む、階層化コックス比例ハザード分析を用いたHRとして表された。
【0245】
IDMCは、三つの正式な中間分析(無益性のための二つと有効性のための一つ)において有効性及び安全性を評価した。予定されたサブグループ分析は、PFSに基づいて、COOサブタイプを含む、選択されたベースライン患者特性の影響を評価した。
【0246】
結果
概要
29カ月の中央値観察後、治験責任医師が評価したPFS事象の数は、G(201、28.5%)とR(215、30.2%)で同様であった;階層化ハザード比は0.92であった(95%の信頼区間、0.76から1.11;P=.39);3年PFS比は、それぞれ70%及び67%であった。独立して審査されたPFS、その他のtime-to-eventエンドポイント、及び腫瘍奏功率の副次評価項目は、群間で同様であった。探索的サブグループ分析では、胚中心B細胞様サブタイプは、治療に関係なく活性化B細胞様より良好なPFSを有していた。グレード3-5の有害事象(AE;73.7%対64.7%)及び重篤なAE(42.6%対37.6%)の発生回数は、G-CHOPでより高かった。致死的AEの発生回数は、G-CHOPで5.8%、R-CHOPで4.3%であった。最も多いAEは、好中球減少症(G-CHOP、48.3%;R-CHOP、40.7%)、点滴関連反応(36.1%;23.5%)、吐き気(29.4%;28.3%)、及び便秘(23.4%;24.5%)であった。
【0247】
患者の特性と治療
患者は、29の国の207の施設で登録された。合計1418名の患者が2011年7月と2014年6月の間に無作為化されてG-CHOP(n=706)又はR-CHOP(n=712)を投与され、1188名の患者が予定の治療を完了した(G-CHOP、587;R-CHOP、601)(
図1)。AEは両群において試験(抗体)治療中止の主な理由であり、これはG-CHOP群においてより多く報告された。進行性疾患の結果としての試験(抗体)治療の中止は、G-CHOP群と比較してR-CHOP群で概ね二倍であった。
【0248】
人口統計学的及びベースラインの疾患特性は、二群間で良好に均衡していた(表1)。COOサブグループ情報が933名の患者について入手可能であった;サブタイプによる分配はうまく均衡が取れており、COOサブタイプ内で群間に臨床関連の差はなかった。COO情報がない場合その理由は:バイオマーカー評価を予め除外する中国の試料輸出許可の制限(n=252)、中央検査機関により確認されないCD20陽性DLBCL(n=102;注:これら患者は治療群間で均衡していた:G-CHOP、n=53;R-CHOP、n=49)、及び欠損した/不十分な組織(n=131)であった。
【0249】
曝露期間の中央値は、Gでは25.3(範囲、1-32)週、Rでは25.3(0-32)週であった。G及びRの用量強度は、それぞれ患者の95.3%及び99.1%で、90%を超えていた。両群の大部分の患者(>88%)は、各CHOP成分の予定用量の90%超を投与された。抗体投与の遅延は、G-CHOP群の方が多かった:≦7日の少なくとも一の遅延(G-CHOP、34.9%;R-CHOP、30.0%)及び>7日の少なくとも一の遅延(G-CHOP、13.1%;R-CHOP、9.1%)(表5)。新規の(予定外の)抗リンパ腫治療が、疾患進行前の103名の患者に対して行われ(G-CHOP、49;R-CHOP、54)、これには、試験治療完了後に残存疾患の兆候を有する23名の患者(G-CHOP、9;R-CHOP、14)、及び疾患進行後の227名の患者(G-CHOP、102;R-CHOP、125)に対する放射線療法が含まれた。
【0250】
有効性
2016年4月30日の時点で、及び29カ月間の中央値観察後、治験責任医師が評価したITT集団中のPFSの事象の数は、G-CHOP(201、28.5%)とR-CHOP(215、30.2%)で同様であった(階層化HR、0.92(95% CI、0.76から1.11;P=.3868))。予測される3年PFS率は、それぞれ69.6%及び66.9%であった(
図2A;表2)。
【0251】
副次評価項目は、主要評価項目と矛盾せず、IRC評価PFSについても、他のいずれのtime-to-eventエンドポイント(OS、EFS、DFS、及びTTNT)についても、治療群間に臨床的に有意な差はなかった(
図2B、表2、
図13)。
【0252】
サブグループと探索的分析
G-CHOPの有効性対R-CHOPの有効性(治験責任医師評価PFSの非階層化HR)は、6又は8サイクルのCHOPを投与された患者を含む選択された患者のサブグループ間で概ね同様であった(
図3)。
【0253】
異なるCOOサブタイプを有する患者におけるPFSのカプラン・マイヤー分析は(試験治療に関係なく)、ABC又は未分類サブタイプより良い成果がGCBサブタイプに伴うことを示唆した。PFSのHRは、ABC-GCB比較では1.71(95% CI、1.31から2.23)、未分類-GCBの比較では1.57(95% CI、1.14から2.15)、ABC-未分類の比較では1.08(95% CI 0.77から1.52)であった(
図2C);GCB、ABC、及び未分類サブタイプの3年PFS率は、それぞれ75%、59%、及び63%であった。治験責任医師評価PFSの探索的分析では、利用可能なCOOデータを有する933名の患者に関するR-CHOPに対するG-CHOPの階層化HRは0.82(95% CI、0.64から1.04)であり、これにより、ITT母集団に対する潜在的選択バイアスが示唆された。GCB COOサブグループにおける540名の患者の階層化HRは、0.72であり(95% CI、0.51から1.03;3年PFS、79%[G-CHOP]対71%[R-CHOP]);治療群間においてPFSに臨床的に有意な差がないことが、ABCサブタイプを有する243名の患者(HR、0.86[95% CI、0.57から1.29];3年PFS、61%対58%]))又は未分類COOサブタイプを有する150名の患者(HR、1.02[95% CI、0.60から1.75];3年PFS、62%対64%];
図14)に見られた。
【0254】
安全性
安全性の解析対象集団において、いずれかのグレードの少なくとも一つのAEを有する患者の割合は、G-CHOP群とR-CHOP群とで同様であった(それぞれ97.0%[683/704]及び93.5%[657/703])(表3)。両群において最も多いAEは、好中球減少症(G-CHOP、48.3%;R-CHOP、40.7%)、点滴関連反応(IRR;36.1%;23.5%)、吐き気(29.4%;28.3%)、及び便秘(23.4%;24.5%)であった(表6)。グレード3-5のAEは、G-CHOP群の方で多く(73.7%[519/704]対64.7%[455/703])、SAEも同様であった(42.6%[300/704]対37.6%[264/703])。両群において最も多いグレード3-5のAEは、好中球減少症(G-CHOP、46.2%;R-CHOP、38.1%)、感染(19.2%;15.5%)、発熱性好中球減少症(17.5%;15.2%)、及び白血球減少(13.6%;10.1%)であった(表3)。
【0255】
特に注目されるAEの分析は、あらゆるグレードの感染、好中球減少症、IRR、心イベント、血小板減少症、及び出血性事象(並びにグレード3-5のAE及びSAE)がR-CHOPよりG-CHOPで多いことを示すものであった(表7)。注記すべき点として、B型肝炎再活性化率は、R-CHOP(0.9%)より G-CHOP(2.3%)で高かったが、事象の大部分はグレード1又は2であり、グレード3又は4の事象は二群にうまく均衡していた(G-CHOPで0.3%対R-CHOPで0.3%)。特に注目される他のすべてのAE群、即ち日和見感染、腫瘍溶解症候群、二次的な悪性腫瘍、及び胃腸穿孔(膿瘍を除く)は、二群に同様の発生回数で生じた(表7)。
【0256】
各群で同様の割合の患者に、試験期間中少なくとも一用量のG-CSFが投与された(G-CHOP、611[86.5%];R-CHOP、586[82.3%])。
【0257】
R-CHOP群よりG-CHOP群で高い割合の患者が、AEのために試験治療の≧1の成分を中止した(84[11.9%]対60[8.5%])。致死的AEは71名の患者に起こった(G-CHOP、5.8%[41/704];R-CHOP、4.3%[30/703])。この詳細は表3に示す。
【0258】
考察
治療歴のないDLBCL患者の本試験において、G-CHOP及びR-CHOPは、すべてのtime-to-eventエンドポイントについて同様の有効性を示し、治験責任医師の評価によるPFSの主要評価項目は満たされなかった。侵襲性のNHLを有する集団においてR-CHOPを上回るG-CHOPの優位性が示されなかったことは、CLL及びFLにおいてGを評価する試験の結果と対照的である。GALLIUM試験では、Gに基づく導入及び維持療法は、1202名の治療歴のないFL患者において、Rに基づく治療法に対し治験責任医師評価PFSを有意に改善した(Marcus、上掲)。Gはまた、フェーズ3CLL11試験において両群をクロラムブシルと組み合わせたとき、未治療のCLL患者(n=663)においてRよりもPFSを延長した(Goede、上掲)。
【0259】
FL及びCLL患者におけるGに基づく治療法の有利性を考えると、GOYAにおいてDLBCL患者にG-CHOPの有用性がなかったことは予想外であった。それは、FL及びCLLといった無痛リンパ増殖性疾患と、DLBCLといった侵襲性のものとの間の、生物学的及び臨床的プロファイルの差に単純に起因していた可能性がある(Lenz, N. Engl. J. Med.362, 2010, 1417-1429; Lim、上掲)。実際、オビヌツズマブは、侵襲性が比較的低いか、又はFL同様胚中心に由来するリンパ腫において有用性が高いと思われる。胚中心に由来し、他のDLBCLサブタイプと比べてFLに似ていることが知られているGCBサブタイプ(Morin, Nature 476 2011, 298-303; Shaffer, Nat. Rev. Immunol. 2, 2002, 920-932)は、ABC及び未分類サブタイプより好ましい予後及びそれらとは異なる免疫微小環境を有し、GOYAにおいてR-CHOPを上回るG-CHOPの有効性の傾向が現れ、この発見を支持している。また、オビヌツズマブとリツキシマブの異なる作用モードは、FL及びDLBCLにおいて、これら薬剤の異なる有用性に関与している可能性がある。しかしながら、この意見を支持するために利用できるデータはまだない。進行中のGOYAバイオマーカーデータ分析が、これら差へのさらなる洞察を提供するであろう。特に、投与の中断及びサイクル1での投与のスキップは、G-CHOPの方が発生回数が多く、このことはAE(IRR及び血球減少)の率が高いことを反映している;このことが、R-CHOPと比較して効果がなかったことに貢献したかもしれない。
【0260】
リツキシマブが最初にCHOPに追加された後の成果の劇的な改善(Coiffier、上掲)以来、DLBCL患者の管理において主な進歩はなされていない。無作為化治験は、サイクル間の間隔を短縮すること(Cunningham, Lancet 381, 2013, 1817-1826)、又は高用量化学療法及び自家幹細胞移植を用いた強化(Stiff, N. Engl. J. Med. 369, 2013, 1681-1690; Schmitz, Lancet Oncol 13, 2012, 1250-1259)の利点を示すことができなかった;R-CHOPに対するボルテゾミブの追加も、非GCB DLBCL患者の無作為化治験において成果を改善することはできず(Leonard, Blood 126, 2015, 811)、レナリドミドを用いた維持はOSを改善しなかった(Thieblemont, Blood 128, 2016, 471)。DLBCLの侵襲性の挙動を考えると、異なる作用モードを有する新規の抗CD20抗体によるリツキシマブの置換は、化学療法への不応性を克服するために十分ではないだろう。R-CHOPと薬物コンジュゲート抗体又は抗BCL2剤との併用は、最近の第1/2相試験の予備調査結果が示すように、より有望であると思われる(Zelenetz, Blood 128, 2016, 3032; Tilly, Blood 128, 2016, 1853)。
【0261】
遺伝子発現プロファイリングを用いたCOO状態の決定は、GCB及びABC起源サブタイプを含む生物学的に特徴的なサブタイプのDLBCLを同定した(Lenz, Proc Natl Acad Sci USA 105, 2008, 13520-13525; Scott, J. Clin. Oncol. 33, 2015, 2848-2856)。これら分子サブタイプは、現行の世界保健機関のDLBCLの分類に含まれることに反映されるように、腫瘍形成及び治療成果に関して重要な意味を有している(Swerdlow, Blood 127, 2016, 2375-2390)。GCBサブタイプを有する患者は典型的により好ましい成果を有し、ABCサブタイプには化学療法又は免疫化学療法(R-CHOPを含む)後にそれより低い成果が伴っており、医療ニーズが満たされていない患者の低リスクサブセットを表していると考えられる(後ろ向き研究に示される)(Lenz, Proc. Natl. Acad. Sci. USA、上掲; Scott 2015、上掲)。GOYAは、臨床成果に対するCOOの影響を評価するための最大規模の前向き研究である。COOサブタイプによるPFSの比較は、GCB DLBCLにおけるよりよい成果と一貫しており、そのHRは、GCBサブタイプと比較して、ABCを有する患者における疾患進行のリスクに70%の上昇を示した。未分類サブグループの成果は、ABCサブグループのものと同様であり、これはいくつかの先行する研究(Scott 2015(上掲))で報告されたものと対照的である。興味深いことに、COO分類は、ORR及び/又はREMoDL-B(Davies, Blood 126, 2015, 812)又はPYRAMID (Leonard、上掲)といった他の前向きに定義された研究におけるPFSの予備評価と相関していなかった。但し、これら研究は異なるCOOアッセイを使用していた。DLBCLのCOOサブタイプを狙った特定の治療は、成果を改善するために別の戦略を提供することができる。B細胞受容体又はNF-κB経路を選択的に標的化することは、例えば、R-CHOPを用いてレナリドミド又はイブルチニブを評価した第2相試験の結果により示唆されるように、DLBCLサブタイプ(ABC又は非GCB)における有効性を証明することができる(Nowakowski, J Clin Oncol 33, 2015, 251-257; Vitolo, Lancet Oncol. 152014, 730-737; Younes, Lancet Oncol 15, 2014, 1019-1026)。このような戦略は、現在無作為化第3相試験において評価されている。
【0262】
G-CHOP治療患者に報告されるAEのプロファイル及び性質は、予想通りであり、新規の安全性シグナルを有さなかった。グレード3-5のAE、SAE、及びAEによる治療中止の発生率は、R-CHOP群よりG-CHOP群でやや高く、他の研究において報告されたものと一致していた。このような不整合は、GとRの異なる構造的及び生物学的プロパティーによるものであろう。
【0263】
つまり、本試験は、これら患者の大集団において、依然として治療歴のないDLBCL患者の標準治療であるR-CHOPと比較して、G-CHOPがPFSを改善しないことを実証した。新規の安全性シグナルは同定されなかった。
【0264】
実施例3 - DLBCLの新規サブグループにおけるリツキシマブを上回るオビヌツズマブの優位性(予測バイオマーカーによって定義;GOYA臨床第3相試験の探索的分析の説明と結果)
【0265】
実施例3.1 - GazyvaTM-CHOPは、DLBCLのバイオマーカー定義サブセットにおいてリツキシマブ-CHOPより優れている-Roche社GOYA(BO21005)ph3臨床治験の結果
【0266】
概要
リツキシマブ(R)+CHOP化学療法は、未治療のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の標準治療である。オビヌツズマブ(G)は、糖改変されたII型抗CD20モノクローナル抗体である。GOYAは、未治療の進行期DLBCLにおいてG-CHOPとR-CHOPとを比較する無作為化第3相試験であった。
【0267】
1L DLBCLにおけるGOYA治験は、その主要評価項目:階層化HR、PFS:0.92(95% CI 0.76-1.12)を満たさなかったが、GALLIUM治験は、1L FL(HR 0.66、95% CI 0.51-0.85;現在提出中)においてリツキシマブを上回るGazyvaの優位性を実証した。
【0268】
GOYAの探索的分析において、リツキシマブを上回るGazyvaTMの優位性は、GCB DLBCL患者のサブセット及び/又はCD58の変異及び/又はCD58の低発現を有する患者に見られる。Gazyvaの有用性がDLBCLのバイオマーカー定義サブグループにおいて同定されたのは初めてである。
【0269】
この結果は、Gazyvaに応答するGCB DLBCL患者のサブセット(複数可)が、複数の方法で、例えばBCL2転座及びBCL2タンパク質過剰発現を決定することにより、また遺伝子発現プロファイリングを測定すること、例えば線形予測子スコア(LPS)に新規カットオフを用いるNanostring起始細胞(COO)アッセイにより、同定可能であることを示唆している。
【0270】
方法
胚中心B細胞(GCB)、活性化B細胞(ABC)、及び未分類のサブグループへの起始細胞(COO)分類は、NanoString研究専用リンパ腫サブタイピングテスト(NanoString Technologies,Inc.,Seattle,WA,USA)を用いる遺伝子発現プロファイリングに基づいていた。
【0271】
線形予測子スコア(LPS)は、GOYAの範囲が-1138から4504の連続変数(Nanostringリンパ腫サブタイピングアッセイでの遺伝子の遺伝子発現のための加重平均)である。通常、LPSは、患者をCOOサブグループGCB、ABC、未分類へと分類するために使用される。デフォルトのCOOアルゴリズムは、GCB又はABCである可能性に関する≧90%のカットオフに基づくGCB/ABC分類を用いるベイジアン手法を使用する(未分類はバッファーとして働く)。
【0272】
LPSは、初めて臨床成果について直接分析された。LPSは、GOYA治験の探索的不特定分析での治療効果(G-CHOP対R-CHPの有効性)の評価のための連続変数として扱われた。
【0273】
BCL-2転座は、Bcl-2 Dual Color Break Apart(Vysis,Abbott Molecular)及びさらにFoundation Medicine次世代シーケンシングアッセイ、FoundationOne Hemeを用いて評価された。BCL-2タンパク質発現は、Ventana調査用IHCアッセイ(BCL2抗体クローン、124)を用いて評価された。GOYA治験における全トランスクリプトーム遺伝子発現は、TruSeq(登録商標)RNA Access Library Prep Kitを用いて評価された。CD58変異は、FoundationOne heme遺伝子パネルを用いて同定された。
【0274】
結果
R(R-CHOP)よりG(G-CHOP)の恩恵を受けるDLBCLのバイオマーカー定義サブグループが同定された:
・BCL2転座患者(
図4参照)
・BCL2タンパク質発現陽性患者(
図5参照)
・BCL2タンパク質発現陽性であるBCL2転座患者(
図6参照)
・GCB DLBCL患者のサブセット。これらは:
〇 線形予測子スコアの新規カットオフによる、新規サブグループ「強GCB」(LPS<カットオフを有する患者)へのGCB患者の新規サブグループ分類(
図7参照)
〇又は高BCL2遺伝子発現を有するGCB患者
〇又はBCL2タンパク質発現陽性であるGCB患者
〇又はBCL2転座を有するGCB患者
〇又はBCL2タンパク質発現陽性であるBCL2転座を有するGCB患者(
図8参照)
として同定することができる。
・一般に、CD58変異患者及び/又はCD58の低発現を有する患者(
図9参照)。
【0275】
実施例3.2 - DLBCLの新規分子FL様サブグループにおけるリツキシマブを上回るオビヌツズマブの優位性-第3相GOYA治験の結果
方法
GOYAは、1418名のDLBCL患者(pts)において1L G-CHOPとR-CHOPとを比較することを含む非盲検、無作為化第3相試験であった。バイオマーカー試験を、治療前に収集されたホルマリン固定、パラフィン包埋腫瘍組織に対して実施し、中央検査機関において後ろ向きに試験した。COOを、933名の患者において、NanoString研究専用LST(NanoString Technologies Inc.,Seattle,WA,USA)を用いて評価した。分子の特徴づけに用いられた追加的なバイオマーカー分析には、FoundationOne(登録商標)Heme(FOH)パネル(n=499名の患者)を用いた467の遺伝子のDNA標的化配列決定が含まれ、全トランスクリプトーム遺伝子発現が552名の患者においてTruSeq(登録商標)RNA配列決定を用いて評価された。Vysis LSI Dual Color Break Apart FISHプローブを使用して、BCL2転座(n=644名の患者;FISHカットオフ、50%)を同定し、Ventana調査用IHCアッセイを用いてBCL2発現(BCL2抗体クローン、124)を評価し;BCL2±IHCを、≧50%の腫瘍細胞における中程度/強い染色と定義した。多変量Cox比例ハザードモデル及びエラスティックネット罰則付き回帰(アルファ=0.5)が、バイオマーカー治療効果を評価するために使用された。加えて、ブートストラップシミュレーションを実施して、GOYAにおいて観察される治療効果の堅牢性及び独立の試験集団に対する治療効果の一般化可能性を反映するための最適LPS(NanoString LST)を同定した。Benjamini-Hochberg手順を用いてFDRを予測することにより、複数の試験調整を行った(有意性、<5% FDR)。パスウェイエンリッチメント分析が超幾何分布検定を用いて実施された;MSigDBホールマークによって定義された遺伝子セット及び最近の公開物に基づく精選されたFL体細胞突然変異ホールマーク遺伝子セットを用いる遺伝子セット濃縮による。すべての患者はバイオマーカー分析に同意した。
【0276】
結果
連続変数としてLPSを評価することにより、G-CHOPの恩恵を受けるGCB患者のサブグループが同定された。特に、胚中心遺伝子発現プロファイルの強い発現(LPSによる)は、GOYAの患者のR-CHOPとの対比を用いるG-CHOP治療の成果における恩恵にリンクしていた。ブートストラップシミュレーションは、G-CHOPの有効性を、LPSスコアが最低であったGOYA患者の25%(233/933)と予測するための最適なLPSカットオフ(≦725)を同定した。これら患者は、特に「強GCB」患者と呼ばれ、GOYAにおいて評価可能なGCB患者の43%(233/540)を占めた。G-CHOPを用いて治療された強GCB患者は、治験責任医師が評価した無増悪(HR=0.33、p=0.0007)、無再発(HR=0.47、p=0.003)、及び全生存期間(HR=0.41、p=0.019)の観点から、R-CHOPを用いて治療された患者より有意によい臨床成果を達成した(図 10、12;表4参照)。多変量分析では、観察された有用性はベースラインの実態的人口統計学及び疾患特性とは無関係であった。安全性は、いずれかのレジメンと同様であった。FOH、TruSeq RNA、及びBCL2 IHC/FISH GOYAデータを、強GCB患者の分子の特徴づけに使用した。他のGCB患者と比較したFOHデータに対する遺伝子セット分析では、強GCB患者はFL患者(「弱GCB」:FDR、3.54e-9)に特徴的な変異について有意に偏っていた。特に、複数のm7-FLIPI遺伝子におけるBCL2転座及び変異は、他のDLBCLサブグループに対し、強GCB患者に高度に濃縮されていた(
図11)。中央病理診断には、強GCBサブセットにおける形質転換無痛NHLの証拠はなかった。
【0277】
結論
GOYA治験のデータを分析することにより同定されたのは、「強GCB」と呼ばれる全DLBCL患者の少なくとも約25%を含む、新規の臨床的及び分子的に特徴的なGCB DLBCLのサブグループであった。この特徴的なサブグループは、遺伝子発現プロファイリング(例えば、Nanostring LSTアッセイにLPSカットオフ≦725を用いる)によって同定可能であり、FL患者にも多く同定される変異を特徴としていた(Morin(上掲)参照)。G-CHOPを用いる治療は、1L DLBCL患者のこの新規サブセットにおいて、R-CHOPを上回る実質的な臨床的有用性をもたらすものである。
【0278】
本発明は、以下のヌクレオチド及びアミノ酸配列を参照する:
配列番号1:
オビヌツズマブの重鎖可変領域のアミノ酸配列。
マウス-ヒトキメラポリペプチド。
Gln Val Gln Leu Val Gln Ser Gly Ala Glu Val Lys Lys Pro Gly Ser
Ser Val Lys Val Ser Cys Lys Ala Ser Gly Tyr Ala Phe Ser Tyr Ser
Trp Ile Asn Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Gln Gly Leu Glu Trp Met
Gly Arg Ile Phe Pro Gly Asp Gly Asp Thr Asp Tyr Asn Gly Lys Phe
Lys Gly Arg Val Thr Ile Thr Ala Asp Lys Ser Thr Ser Thr Ala Tyr
Met Glu Leu Ser Ser Leu Arg Ser Glu Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys
Ala Arg Asn Val Phe Asp Gly Tyr Trp Leu Val Tyr Trp Gly Gln Gly
Thr Leu Val Thr Val Ser Ser
配列番号2:
オビヌツズマブのKV1軽鎖可変領域のアミノ酸配列
マウス-ヒトキメラポリペプチド
Asp Ile Val Met Thr Gln Thr Pro Leu Ser Leu Pro Val Thr Pro Gly
Glu Pro Ala Ser Ile Ser Cys Arg Ser Ser Lys Ser Leu Leu His Ser
Asn Gly Ile Thr Tyr Leu Tyr Trp Tyr Leu Gln Lys Pro Gly Gln Ser
Pro Gln Leu Leu Ile Tyr Gln Met Ser Asn Leu Val Ser Gly Val Pro
Asp Arg Phe Ser Gly Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr Leu Lys Ile
Ser Arg Val Glu Ala Glu Asp Val Gly Val Tyr Tyr Cys Ala Gln Asn
Leu Glu Leu Pro Tyr Thr Phe Gly Gly Gly Thr Lys Val Glu Ile Lys
Arg Thr Val
配列番号3:
オビヌツズマブの重鎖可変領域をコードする核酸配列
マウス-ヒトキメラDNA
caggtgcaat tggtgcagtc tggcgctgaa gttaagaagc ctgggagttc agtgaaggtc 60
tcctgcaagg cttccggata cgccttcagc tattcttgga tcaattgggt gcggcaggcg 120
cctggacaag ggctcgagtg gatgggacgg atctttcccg gcgatgggga tactgactac 180
aatgggaaat tcaagggcag agtcacaatt accgccgaca aatccactag cacagcctat 240
atggagctga gcagcctgag atctgaggac acggccgtgt attactgtgc aagaaatgtc 300
tttgatggtt actggcttgt ttactggggc cagggaaccc tggtcaccgt ctcctca 357
配列番号4:
オビヌツズマブのKV1軽鎖可変領域をコードする核酸配列
マウス-ヒトキメラDNA
gatatcgtga tgacccagac tccactctcc ctgcccgtca cccctggaga gcccgccagc 60
attagctgca ggtctagcaa gagcctcttg cacagcaatg gcatcactta tttgtattgg 120
tacctgcaaa agccagggca gtctccacag ctcctgattt atcaaatgtc caaccttgtc 180
tctggcgtcc ctgaccggtt ctccggatcc gggtcaggca ctgatttcac actgaaaatc 240
agcagggtgg aggctgagga tgttggagtt tattactgcg ctcagaatct agaacttcct 300
tacaccttcg gcggagggac caaggtggag atcaaacgta cggtg 345
配列番号5:
オビヌツズマブの重鎖のアミノ酸配列。可変領域はアミノ酸位置1から119を含む。
配列番号6:
オビヌツズマブのKV1軽鎖のアミノ酸配列。可変領域はアミノ酸位置1から115を含む。
配列番号7:
オビヌツズマブの重鎖可変領域をコードする核酸配列(B-HH6)。
配列番号8:
オビヌツズマブのKV1軽鎖可変領域をコードする核酸配列。
配列番号9:
リツキシマブの重鎖のアミノ酸配列。
配列番号10:
リツキシマブの軽鎖のアミノ酸配列。
配列番号11:
ホモサピエンス(ヒト)CD58をコードするヌクレオチド配列の例(変異体1)。
1 gggccgccgg ctgccagccc agggcggggc ggagccctac ttctggccga ccgcgtaggc
61 ggtgcttgaa cttagggctg cttgtggctg ggcactcgcg cagaggccgg cccgacgagc
121 catggttgct gggagcgacg cggggcgggc cctgggggtc ctcagcgtgg tctgcctgct
181 gcactgcttt ggtttcatca gctgtttttc ccaacaaata tatggtgttg tgtatgggaa
241 tgtaactttc catgtaccaa gcaatgtgcc tttaaaagag gtcctatgga aaaaacaaaa
301 ggataaagtt gcagaactgg aaaattctga attcagagct ttctcatctt ttaaaaatag
361 ggtttattta gacactgtgt caggtagcct cactatctac aacttaacat catcagatga
421 agatgagtat gaaatggaat cgccaaatat tactgatacc atgaagttct ttctttatgt
481 gcttgagtct cttccatctc ccacactaac ttgtgcattg actaatggaa gcattgaagt
541 ccaatgcatg ataccagagc attacaacag ccatcgagga cttataatgt actcatggga
601 ttgtcctatg gagcaatgta aacgtaactc aaccagtata tattttaaga tggaaaatga
661 tcttccacaa aaaatacagt gtactcttag caatccatta tttaatacaa catcatcaat
721 cattttgaca acctgtatcc caagcagcgg tcattcaaga cacagatatg cacttatacc
781 cataccatta gcagtaatta caacatgtat tgtgctgtat atgaatggta ttctgaaatg
841 tgacagaaaa ccagacagaa ccaactccaa ttgattggta acagaagatg aagacaacag
901 cataactaaa ttattttaaa aactaaaaag ccatctgatt tctcatttga gtattacaat
961 ttttgaacaa ctgttggaaa tgtaacttga agcagctgct ttaagaagaa atacccacta
1021 acaaagaaca agcattagtt ttggctgtca tcaacttatt atatgactag gtgcttgctt
1081 tttttgtcag taaattgttt ttactgatga tgtagatact tttgtaaata aatgtaaata
1141 tgtacacaag tga
配列番号12:
ホモサピエンス(ヒト)CD58のアミノ酸配列の例(アイソフォーム1)。
1 mvagsdagra lgvlsvvcll hcfgfiscfs qqiygvvygn vtfhvpsnvp lkevlwkkqk
61 dkvaelense frafssfknr vyldtvsgsl tiynltssde deyemespni tdtmkfflyv
121 leslpsptlt caltngsiev qcmipehyns hrglimyswd cpmeqckrns tsiyfkmend
181 lpqkiqctls nplfnttssi ilttcipssg hsrhryalip iplavittci vlymngilkc
241 drkpdrtnsn
配列番号13:
ホモサピエンス(ヒト)BCL2をコードするヌクレオチド配列の例。
(変異体アルファ)。
1 tttctgtgaa gcagaagtct gggaatcgat ctggaaatcc tcctaatttt tactccctct
61 ccccgcgact cctgattcat tgggaagttt caaatcagct ataactggag agtgctgaag
121 attgatggga tcgttgcctt atgcatttgt tttggtttta caaaaaggaa acttgacaga
181 ggatcatgct gtacttaaaa aatacaacat cacagaggaa gtagactgat attaacaata
241 cttactaata ataacgtgcc tcatgaaata aagatccgaa aggaattgga ataaaaattt
301 cctgcatctc atgccaaggg ggaaacacca gaatcaagtg ttccgcgtga ttgaagacac
361 cccctcgtcc aagaatgcaa agcacatcca ataaaatagc tggattataa ctcctcttct
421 ttctctgggg gccgtggggt gggagctggg gcgagaggtg ccgttggccc ccgttgcttt
481 tcctctggga aggatggcgc acgctgggag aacagggtac gataaccggg agatagtgat
541 gaagtacatc cattataagc tgtcgcagag gggctacgag tgggatgcgg gagatgtggg
601 cgccgcgccc ccgggggccg cccccgcacc gggcatcttc tcctcccagc ccgggcacac
661 gccccatcca gccgcatccc gggacccggt cgccaggacc tcgccgctgc agaccccggc
721 tgcccccggc gccgccgcgg ggcctgcgct cagcccggtg ccacctgtgg tccacctgac
781 cctccgccag gccggcgacg acttctcccg ccgctaccgc cgcgacttcg ccgagatgtc
841 cagccagctg cacctgacgc ccttcaccgc gcggggacgc tttgccacgg tggtggagga
901 gctcttcagg gacggggtga actgggggag gattgtggcc ttctttgagt tcggtggggt
961 catgtgtgtg gagagcgtca accgggagat gtcgcccctg gtggacaaca tcgccctgtg
1021 gatgactgag tacctgaacc ggcacctgca cacctggatc caggataacg gaggctggga
1081 tgcctttgtg gaactgtacg gccccagcat gcggcctctg tttgatttct cctggctgtc
1141 tctgaagact ctgctcagtt tggccctggt gggagcttgc atcaccctgg gtgcctatct
1201 gggccacaag tgaagtcaac atgcctgccc caaacaaata tgcaaaaggt tcactaaagc
1261 agtagaaata atatgcattg tcagtgatgt accatgaaac aaagctgcag gctgtttaag
1321 aaaaaataac acacatataa acatcacaca cacagacaga cacacacaca cacaacaatt
1381 aacagtcttc aggcaaaacg tcgaatcagc tatttactgc caaagggaaa tatcatttat
1441 tttttacatt attaagaaaa aaagatttat ttatttaaga cagtcccatc aaaactcctg
1501 tctttggaaa tccgaccact aattgccaag caccgcttcg tgtggctcca cctggatgtt
1561 ctgtgcctgt aaacatagat tcgctttcca tgttgttggc cggatcacca tctgaagagc
1621 agacggatgg aaaaaggacc tgatcattgg ggaagctggc tttctggctg ctggaggctg
1681 gggagaaggt gttcattcac ttgcatttct ttgccctggg ggctgtgata ttaacagagg
1741 gagggttcct gtggggggaa gtccatgcct ccctggcctg aagaagagac tctttgcata
1801 tgactcacat gatgcatacc tggtgggagg aaaagagttg ggaacttcag atggacctag
1861 tacccactga gatttccacg ccgaaggaca gcgatgggaa aaatgccctt aaatcatagg
1921 aaagtatttt tttaagctac caattgtgcc gagaaaagca ttttagcaat ttatacaata
1981 tcatccagta ccttaagccc tgattgtgta tattcatata ttttggatac gcacccccca
2041 actcccaata ctggctctgt ctgagtaaga aacagaatcc tctggaactt gaggaagtga
2101 acatttcggt gacttccgca tcaggaaggc tagagttacc cagagcatca ggccgccaca
2161 agtgcctgct tttaggagac cgaagtccgc agaacctgcc tgtgtcccag cttggaggcc
2221 tggtcctgga actgagccgg ggccctcact ggcctcctcc agggatgatc aacagggcag
2281 tgtggtctcc gaatgtctgg aagctgatgg agctcagaat tccactgtca agaaagagca
2341 gtagaggggt gtggctgggc ctgtcaccct ggggccctcc aggtaggccc gttttcacgt
2401 ggagcatggg agccacgacc cttcttaaga catgtatcac tgtagaggga aggaacagag
2461 gccctgggcc cttcctatca gaaggacatg gtgaaggctg ggaacgtgag gagaggcaat
2521 ggccacggcc cattttggct gtagcacatg gcacgttggc tgtgtggcct tggcccacct
2581 gtgagtttaa agcaaggctt taaatgactt tggagagggt cacaaatcct aaaagaagca
2641 ttgaagtgag gtgtcatgga ttaattgacc cctgtctatg gaattacatg taaaacatta
2701 tcttgtcact gtagtttggt tttatttgaa aacctgacaa aaaaaaagtt ccaggtgtgg
2761 aatatggggg ttatctgtac atcctggggc attaaaaaaa aaatcaatgg tggggaacta
2821 taaagaagta acaaaagaag tgacatcttc agcaaataaa ctaggaaatt tttttttctt
2881 ccagtttaga atcagccttg aaacattgat ggaataactc tgtggcatta ttgcattata
2941 taccatttat ctgtattaac tttggaatgt actctgttca atgtttaatg ctgtggttga
3001 tatttcgaaa gctgctttaa aaaaatacat gcatctcagc gtttttttgt ttttaattgt
3061 atttagttat ggcctataca ctatttgtga gcaaaggtga tcgttttctg tttgagattt
3121 ttatctcttg attcttcaaa agcattctga gaaggtgaga taagccctga gtctcagcta
3181 cctaagaaaa acctggatgt cactggccac tgaggagctt tgtttcaacc aagtcatgtg
3241 catttccacg tcaacagaat tgtttattgt gacagttata tctgttgtcc ctttgacctt
3301 gtttcttgaa ggtttcctcg tccctgggca attccgcatt taattcatgg tattcaggat
3361 tacatgcatg tttggttaaa cccatgagat tcattcagtt aaaaatccag atggcaaatg
3421 accagcagat tcaaatctat ggtggtttga cctttagaga gttgctttac gtggcctgtt
3481 tcaacacaga cccacccaga gccctcctgc cctccttccg cgggggcttt ctcatggctg
3541 tccttcaggg tcttcctgaa atgcagtggt gcttacgctc caccaagaaa gcaggaaacc
3601 tgtggtatga agccagacct ccccggcggg cctcagggaa cagaatgatc agacctttga
3661 atgattctaa tttttaagca aaatattatt ttatgaaagg tttacattgt caaagtgatg
3721 aatatggaat atccaatcct gtgctgctat cctgccaaaa tcattttaat ggagtcagtt
3781 tgcagtatgc tccacgtggt aagatcctcc aagctgcttt agaagtaaca atgaagaacg
3841 tggacgtttt taatataaag cctgttttgt cttttgttgt tgttcaaacg ggattcacag
3901 agtatttgaa aaatgtatat atattaagag gtcacggggg ctaattgctg gctggctgcc
3961 ttttgctgtg gggttttgtt acctggtttt aataacagta aatgtgccca gcctcttggc
4021 cccagaactg tacagtattg tggctgcact tgctctaaga gtagttgatg ttgcattttc
4081 cttattgtta aaaacatgtt agaagcaatg aatgtatata aaagcctcaa ctagtcattt
4141 ttttctcctc ttcttttttt tcattatatc taattatttt gcagttgggc aacagagaac
4201 catccctatt ttgtattgaa gagggattca catctgcatc ttaactgctc tttatgaatg
4261 aaaaaacagt cctctgtatg tactcctctt tacactggcc agggtcagag ttaaatagag
4321 tatatgcact ttccaaattg gggacaaggg ctctaaaaaa agccccaaaa ggagaagaac
4381 atctgagaac ctcctcggcc ctcccagtcc ctcgctgcac aaatactccg caagagaggc
4441 cagaatgaca gctgacaggg tctatggcca tcgggtcgtc tccgaagatt tggcaggggc
4501 agaaaactct ggcaggctta agatttggaa taaagtcaca gaattaagga agcacctcaa
4561 tttagttcaa acaagacgcc aacattctct ccacagctca cttacctctc tgtgttcaga
4621 tgtggccttc catttatatg tgatctttgt tttattagta aatgcttatc atctaaagat
4681 gtagctctgg cccagtggga aaaattagga agtgattata aatcgagagg agttataata
4741 atcaagatta aatgtaaata atcagggcaa tcccaacaca tgtctagctt tcacctccag
4801 gatctattga gtgaacagaa ttgcaaatag tctctatttg taattgaact tatcctaaaa
4861 caaatagttt ataaatgtga acttaaactc taattaattc caactgtact tttaaggcag
4921 tggctgtttt tagactttct tatcacttat agttagtaat gtacacctac tctatcagag
4981 aaaaacagga aaggctcgaa atacaagcca ttctaaggaa attagggagt cagttgaaat
5041 tctattctga tcttattctg tggtgtcttt tgcagcccag acaaatgtgg ttacacactt
5101 tttaagaaat acaattctac attgtcaagc ttatgaaggt tccaatcaga tctttattgt
5161 tattcaattt ggatctttca gggatttttt ttttaaatta ttatgggaca aaggacattt
5221 gttggagggg tgggagggag gaagaatttt taaatgtaaa acattcccaa gtttggatca
5281 gggagttgga agttttcaga ataaccagaa ctaagggtat gaaggacctg tattggggtc
5341 gatgtgatgc ctctgcgaag aaccttgtgt gacaaatgag aaacattttg aagtttgtgg
5401 tacgaccttt agattccaga gacatcagca tggctcaaag tgcagctccg tttggcagtg
5461 caatggtata aatttcaagc tggatatgtc taatgggtat ttaaacaata aatgtgcagt
5521 tttaactaac aggatattta atgacaacct tctggttggt agggacatct gtttctaaat
5581 gtttattatg tacaatacag aaaaaaattt tataaaatta agcaatgtga aactgaattg
5641 gagagtgata atacaagtcc tttagtctta cccagtgaat cattctgttc catgtctttg
5701 gacaaccatg accttggaca atcatgaaat atgcatctca ctggatgcaa agaaaatcag
5761 atggagcatg aatggtactg taccggttca tctggactgc cccagaaaaa taacttcaag
5821 caaacatcct atcaacaaca aggttgttct gcataccaag ctgagcacag aagatgggaa
5881 cactggtgga ggatggaaag gctcgctcaa tcaagaaaat tctgagacta ttaataaata
5941 agactgtagt gtagatactg agtaaatcca tgcacctaaa ccttttggaa aatctgccgt
6001 gggccctcca gatagctcat ttcattaagt ttttccctcc aaggtagaat ttgcaagagt
6061 gacagtggat tgcatttctt ttggggaagc tttcttttgg tggttttgtt tattatacct
6121 tcttaagttt tcaaccaagg tttgcttttg ttttgagtta ctggggttat ttttgtttta
6181 aataaaaata agtgtacaat aagtgttttt gtattgaaag cttttgttat caagattttc
6241 atacttttac cttccatggc tctttttaag attgatactt ttaagaggtg gctgatattc
6301 tgcaacactg tacacataaa aaatacggta aggatacttt acatggttaa ggtaaagtaa
6361 gtctccagtt ggccaccatt agctataatg gcactttgtt tgtgttgttg gaaaaagtca
6421 cattgccatt aaactttcct tgtctgtcta gttaatattg tgaagaaaaa taaagtacag
6481 tgtgagatac tg
配列番号14::
ホモサピエンス(ヒト)BCL2のアミノ酸配列の例
(アイソフォームアルファ)。
1 mahagrtgyd nreivmkyih yklsqrgyew dagdvgaapp gaapapgifs sqpghtphpa
61 asrdpvarts plqtpaapga aagpalspvp pvvhltlrqa gddfsrryrr dfaemssqlh
121 ltpftargrf atvveelfrd gvnwgrivaf fefggvmcve svnremsplv dnialwmtey
181 lnrhlhtwiq dnggwdafve lygpsmrplf dfswlslktl lslalvgaci tlgaylghk
結論
GOYA治験のデータを分析することにより同定されたのは、「強GCB」と呼ばれる全DLBCL患者の少なくとも約25%を含む、新規の臨床的及び分子的に特徴的なGCB DLBCLのサブグループであった。この特徴的なサブグループは、遺伝子発現プロファイリング(例えば、Nanostring LSTアッセイにLPSカットオフ≦725を用いる)によって同定可能であり、FL患者にも多く同定される変異を特徴としていた(Morin(上掲)参照)。G-CHOPを用いる治療は、1L DLBCL患者のこの新規サブセットにおいて、R-CHOPを上回る実質的な臨床的有用性をもたらすものである。
<本開示の更なる実施態様>
[実施態様1]
(a)配列番号1に示されるか又は配列番号5に含まれる重鎖可変領域(アミノ酸残基1から119;EP-B1 2380910(上掲)に開示された配列番号40)と、配列番号2に示されるか又は配列番号6に含まれる軽鎖可変領域(アミノ酸残基1から115;EP-B1 2380910(上掲)に開示された配列番号76);
(b)(a)の重鎖可変領域の残基を決定する特異性を有する重鎖可変領域と、(a)の軽鎖可変領域の残基を決定する特異性を有する軽鎖可変領域;又は
(c)配列番号3又は配列番号7と少なくとも80%同一である核酸配列によりコードされる重鎖可変領域(EP-B1 2380910(上掲)に開示された配列番号39)と、配列番号4又は配列番号8と少なくとも80%同一である核酸配列によりコードされる軽鎖可変領域(EP-B1 2380910(上掲)に開示された配列番号75)
を含む、リツキシマブを用いた治療と比較して改善された臨床成果に到達することによりオビヌツズマブを用いた治療に応答する患者におけるびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の治療における使用のための、ヒト化II型抗CD20抗体。
[実施態様2]
前記臨床成果が無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)及び/又は無再発生存期間(EFS)である、実施態様1に記載の使用のための抗体。
[実施態様3]
前記患者が予測バイオマーカー定義患者である、実施態様1又は2に記載の使用のための抗体。
[実施態様4]
前記患者が:
(i)分子濾胞性リンパ腫(FL)様胚中心B細胞(GCB)DLBCLを有する患者;及び/又は
(ii)CD58の遺伝子変異(複数可)及び/又はCD58の低発現を有する患者
である、実施態様1から3のいずれか一に記載の使用のための抗体。
[実施態様5]
前記患者が
(i)強GCB DLBCLを有する患者;及び/又は
(ii)BCL2転座及び/又はBCL2の高発現を有するDLBCL患者
である、実施態様1から4のいずれか一、特に実施態様4(i)に記載の使用のための抗体。
[実施態様6]
前記患者(強GCB DLBCLを有する)が、遺伝子TNFRSF13B、LIMD1、IRF4、CREB3L2、PIM2、CYB5R2、RAB7L1、及びCCDC50と;MME、SERPINA9、ASB13、MAML3、ITPKB、MYBL1、及びS1PR2のうちの一又は複数(好ましくはすべて)を含む一組の遺伝子の発現を決定することにより同定される、実施態様1から5のいずれか一、特に実施態様5(i)に記載の使用のための抗体。
[実施態様7]
強GCB DLBCLを有する前記患者が、線形予測子スコア(LPS)<1141をもたらす、遺伝子TNFRSF13B、LIMD1、IRF4、CREB3L2、PIM2、CYB5R2、RAB7L1、及びCCDC50と;MME、SERPINA9、ASB13、MAML3、ITPKB、MYBL1、及びS1PR2のうちの一又は複数(好ましくはすべて)を含む一組の遺伝子が加重発現した腫瘍を持つ患者である、実施態様5(i)又は6に記載の使用のための抗体。
[実施態様8]
前記一組の遺伝子が、遺伝子R3HDM1、WDR55、ISY1、UBXN4、及びTRIM56のうちの一又は複数(好ましくはすべて)をさらに含む、実施態様6又は7に記載の使用のための抗体。
[実施態様9]
実施態様6又は7に記載の前記一又は複数の遺伝子の発現が、実施態様8に記載の一又は複数(好ましくはすべて)の遺伝子の発現に合わせて正規化される、実施態様6から8のいずれか一に記載の使用のための抗体。
[実施態様10]
前記LPSが、以下の式(式I):
[式中、X
j
は遺伝子jの遺伝子発現であり、a
j
は遺伝子jの係数である]
に従って計算された前記遺伝子の発現の加重和である、実施態様7から9のいずれか一に記載の使用のための抗体。
[実施態様11]
前記遺伝子の発現が、NanoString研究専用リンパ腫サブタイピングテスト(LST)(NanoString Technologies,Inc.,Seattle,WA,USA)により決定される、実施態様6から10のいずれか一に記載の使用のための抗体。
[実施態様12]
前記LPSが≦1100である、実施態様7から11のいずれか一に記載の使用のための抗体。
[実施態様13]
前記LPSが≦749である、実施態様7から12のいずれか一に記載の使用のための抗体。
[実施態様14]
前記LPSが≦725である、実施態様7から13のいずれか一に記載の使用のための抗体。
[実施態様15]
糖改変されたFc領域を含む、実施態様1から14のいずれか一に記載の使用のための抗体。
[実施態様16]
前記糖改変されたFc領域に付着した非フコシル化オリゴ糖の割合が増加している、実施態様15に記載の抗体。
[実施態様17]
前記糖改変されたFc領域に付着した、二分非フコシル化オリゴ糖の割合が増加している、実施態様15又は16に記載の抗体。
[実施態様18]
非糖改変抗体より及び/又はリツキシマブより有意に高いレベルの、ヒトFcγRIII受容体への結合を有する、実施態様1から17のいずれか一、特に実施態様15に記載の抗体。
[実施態様19]
非糖改変抗体より及び/又はリツキシマブより有意に高いレベルのADCC活性を有する、実施態様1から18のいずれか一、特に実施態様15に記載の抗体。
[実施態様20]
オビヌツズマブ(Gazyva
TM
/Gazyvaro
TM
;GA101)である、実施態様1から19のいずれか一に記載の使用のための抗体。
[実施態様21]
さらに一又は複数の他の細胞傷害性剤若しくは化学療法剤又はそのような薬剤の効果を増強する電離放射線が投与される、実施態様1から20のいずれか一に記載の使用のための抗体。
[実施態様22]
CHOP化学療法と組み合わせて投与される、実施態様1から21のいずれか一に記載の使用のための抗体。
[実施態様23]
薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物に含まれている、実施態様1から22のいずれか一に記載の使用のための抗体。
[実施態様24]
リツキシマブを用いた治療と比較して改善された臨床成果に到達することによりオビヌツズマブを用いた治療に応答するDLBCL患者(DLBCLを有する/DLBCLに罹患した患者)を同定するための方法であって、
患者が実施態様1から14のいずれか一に記載の患者であるかどうかを(例えば患者の(腫瘍)試料を用いることにより)決定すること(決定する工程)を含む方法。
[実施態様25]
リツキシマブを用いた治療と比較して改善された臨床成果が達成されるようにオビヌツズマブを用いて治療することのできるDLBCLの形態を患者において診断するための方法であって、
患者が実施態様1から14のいずれか一に記載の患者であるかどうかを、(例えば患者の(腫瘍)試料を用いることにより)決定すること(決定する工程)、及び患者が実施態様1から14のいずれか一に記載の患者である場合に前記DLBCLの形態を診断すること(診断する工程)を含む方法。
[実施態様26]
(i)(例えば患者の(腫瘍)試料を用いることにより)前記患者が実施態様1から14のいずれか一に記載の患者であるかどうかが決定されているか、(ii)前記患者が実施態様24に記載の方法に従って同定されているか、又は(iii)DLBCLの形態が実施態様25に記載の方法に従って前記患者において診断されている、実施態様1から23のいずれか一に記載の使用のための抗体。
[実施態様27]
前記治療が、(i)治療される患者が実施態様1から14のいずれか一に記載の患者であるかどうかを、(例えば患者の(腫瘍)試料を用いることにより)決定する工程、(ii)実施態様24に記載の方法に従ってDLBCL患者を同定する工程、又は(iii)DLBCLの形態を、実施態様25に記載の方法に従って患者において診断する工程を含む、実施態様1から23のいずれか一に記載の使用のための抗体。
[実施態様28]
DLBCLの治療を必要とする患者においてDLBCLを治療するための方法であって、前記患者が実施態様1から14のいずれか一に記載の患者であり、前記方法が、
患者が実施態様1から14のいずれか一に記載の患者であるかどうかを、(例えば患者の(腫瘍)試料を用いることにより)決定する工程、及び
実施態様1及び15から23のいずれか一に記載の抗体の薬学的有効量を前記患者に投与する工程
を含む方法。
<配列表>
SEQUENCE LISTING
<110> F. Hoffmann-La Roche AG
NanoString Technologies, Inc.
<120> Obinutuzumab treatment of novel DLBCL patient subgroup
<130> AA1470 PCT S3
<150> US62/542,489
<151> 2017-08-08
<160> 14
<170> BiSSAP 1.3
<210> 1
<211> 119
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> The heavy chain variable region of obinutuzumab; mouse-human
chimeric polypeptide
<400> 1
Gln Val Gln Leu Val Gln Ser Gly Ala Glu Val Lys Lys Pro Gly Ser
1 5 10 15
Ser Val Lys Val Ser Cys Lys Ala Ser Gly Tyr Ala Phe Ser Tyr Ser
20 25 30
Trp Ile Asn Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Gln Gly Leu Glu Trp Met
35 40 45
Gly Arg Ile Phe Pro Gly Asp Gly Asp Thr Asp Tyr Asn Gly Lys Phe
50 55 60
Lys Gly Arg Val Thr Ile Thr Ala Asp Lys Ser Thr Ser Thr Ala Tyr
65 70 75 80
Met Glu Leu Ser Ser Leu Arg Ser Glu Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys
85 90 95
Ala Arg Asn Val Phe Asp Gly Tyr Trp Leu Val Tyr Trp Gly Gln Gly
100 105 110
Thr Leu Val Thr Val Ser Ser
115
<210> 2
<211> 115
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> The KV1 light chain variable region of obinutuzumab; mouse-human
chimeric polypeptide
<400> 2
Asp Ile Val Met Thr Gln Thr Pro Leu Ser Leu Pro Val Thr Pro Gly
1 5 10 15
Glu Pro Ala Ser Ile Ser Cys Arg Ser Ser Lys Ser Leu Leu His Ser
20 25 30
Asn Gly Ile Thr Tyr Leu Tyr Trp Tyr Leu Gln Lys Pro Gly Gln Ser
35 40 45
Pro Gln Leu Leu Ile Tyr Gln Met Ser Asn Leu Val Ser Gly Val Pro
50 55 60
Asp Arg Phe Ser Gly Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr Leu Lys Ile
65 70 75 80
Ser Arg Val Glu Ala Glu Asp Val Gly Val Tyr Tyr Cys Ala Gln Asn
85 90 95
Leu Glu Leu Pro Tyr Thr Phe Gly Gly Gly Thr Lys Val Glu Ile Lys
100 105 110
Arg Thr Val
115
<210> 3
<211> 357
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Nucleic acid sequence encoding the heavy chain variable region of
obinutuzumab; mouse-human chimeric DNA
<400> 3
caggtgcaat tggtgcagtc tggcgctgaa gttaagaagc ctgggagttc agtgaaggtc 60
tcctgcaagg cttccggata cgccttcagc tattcttgga tcaattgggt gcggcaggcg 120
cctggacaag ggctcgagtg gatgggacgg atctttcccg gcgatgggga tactgactac 180
aatgggaaat tcaagggcag agtcacaatt accgccgaca aatccactag cacagcctat 240
atggagctga gcagcctgag atctgaggac acggccgtgt attactgtgc aagaaatgtc 300
tttgatggtt actggcttgt ttactggggc cagggaaccc tggtcaccgt ctcctca 357
<210> 4
<211> 345
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> nucleic acid sequence encoding the KV1 light chain variable
region of obinutuzumab; mouse-human chimeric DNA
<400> 4
gatatcgtga tgacccagac tccactctcc ctgcccgtca cccctggaga gcccgccagc 60
attagctgca ggtctagcaa gagcctcttg cacagcaatg gcatcactta tttgtattgg 120
tacctgcaaa agccagggca gtctccacag ctcctgattt atcaaatgtc caaccttgtc 180
tctggcgtcc ctgaccggtt ctccggatcc gggtcaggca ctgatttcac actgaaaatc 240
agcagggtgg aggctgagga tgttggagtt tattactgcg ctcagaatct agaacttcct 300
tacaccttcg gcggagggac caaggtggag atcaaacgta cggtg 345
<210> 5
<211> 449
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> the heavy chain of obinutuzumab
<400> 5
Gln Val Gln Leu Val Gln Ser Gly Ala Glu Val Lys Lys Pro Gly Ser
1 5 10 15
Ser Val Lys Val Ser Cys Lys Ala Ser Gly Tyr Ala Phe Ser Tyr Ser
20 25 30
Trp Ile Asn Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Gln Gly Leu Glu Trp Met
35 40 45
Gly Arg Ile Phe Pro Gly Asp Gly Asp Thr Asp Tyr Asn Gly Lys Phe
50 55 60
Lys Gly Arg Val Thr Ile Thr Ala Asp Lys Ser Thr Ser Thr Ala Tyr
65 70 75 80
Met Glu Leu Ser Ser Leu Arg Ser Glu Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys
85 90 95
Ala Arg Asn Val Phe Asp Gly Tyr Trp Leu Val Tyr Trp Gly Gln Gly
100 105 110
Thr Leu Val Thr Val Ser Ser Ala Ser Thr Lys Gly Pro Ser Val Phe
115 120 125
Pro Leu Ala Pro Ser Ser Lys Ser Thr Ser Gly Gly Thr Ala Ala Leu
130 135 140
Gly Cys Leu Val Lys Asp Tyr Phe Pro Glu Pro Val Thr Val Ser Trp
145 150 155 160
Asn Ser Gly Ala Leu Thr Ser Gly Val His Thr Phe Pro Ala Val Leu
165 170 175
Gln Ser Ser Gly Leu Tyr Ser Leu Ser Ser Val Val Thr Val Pro Ser
180 185 190
Ser Ser Leu Gly Thr Gln Thr Tyr Ile Cys Asn Val Asn His Lys Pro
195 200 205
Ser Asn Thr Lys Val Asp Lys Lys Val Glu Pro Lys Ser Cys Asp Lys
210 215 220
Thr His Thr Cys Pro Pro Cys Pro Ala Pro Glu Leu Leu Gly Gly Pro
225 230 235 240
Ser Val Phe Leu Phe Pro Pro Lys Pro Lys Asp Thr Leu Met Ile Ser
245 250 255
Arg Thr Pro Glu Val Thr Cys Val Val Val Asp Val Ser His Glu Asp
260 265 270
Pro Glu Val Lys Phe Asn Trp Tyr Val Asp Gly Val Glu Val His Asn
275 280 285
Ala Lys Thr Lys Pro Arg Glu Glu Gln Tyr Asn Ser Thr Tyr Arg Val
290 295 300
Val Ser Val Leu Thr Val Leu His Gln Asp Trp Leu Asn Gly Lys Glu
305 310 315 320
Tyr Lys Cys Lys Val Ser Asn Lys Ala Leu Pro Ala Pro Ile Glu Lys
325 330 335
Thr Ile Ser Lys Ala Lys Gly Gln Pro Arg Glu Pro Gln Val Tyr Thr
340 345 350
Leu Pro Pro Ser Arg Asp Glu Leu Thr Lys Asn Gln Val Ser Leu Thr
355 360 365
Cys Leu Val Lys Gly Phe Tyr Pro Ser Asp Ile Ala Val Glu Trp Glu
370 375 380
Ser Asn Gly Gln Pro Glu Asn Asn Tyr Lys Thr Thr Pro Pro Val Leu
385 390 395 400
Asp Ser Asp Gly Ser Phe Phe Leu Tyr Ser Lys Leu Thr Val Asp Lys
405 410 415
Ser Arg Trp Gln Gln Gly Asn Val Phe Ser Cys Ser Val Met His Glu
420 425 430
Ala Leu His Asn His Tyr Thr Gln Lys Ser Leu Ser Leu Ser Pro Gly
435 440 445
Lys
<210> 6
<211> 219
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> the KV1 light chain of obinutuzumab
<400> 6
Asp Ile Val Met Thr Gln Thr Pro Leu Ser Leu Pro Val Thr Pro Gly
1 5 10 15
Glu Pro Ala Ser Ile Ser Cys Arg Ser Ser Lys Ser Leu Leu His Ser
20 25 30
Asn Gly Ile Thr Tyr Leu Tyr Trp Tyr Leu Gln Lys Pro Gly Gln Ser
35 40 45
Pro Gln Leu Leu Ile Tyr Gln Met Ser Asn Leu Val Ser Gly Val Pro
50 55 60
Asp Arg Phe Ser Gly Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr Leu Lys Ile
65 70 75 80
Ser Arg Val Glu Ala Glu Asp Val Gly Val Tyr Tyr Cys Ala Gln Asn
85 90 95
Leu Glu Leu Pro Tyr Thr Phe Gly Gly Gly Thr Lys Val Glu Ile Lys
100 105 110
Arg Thr Val Ala Ala Pro Ser Val Phe Ile Phe Pro Pro Ser Asp Glu
115 120 125
Gln Leu Lys Ser Gly Thr Ala Ser Val Val Cys Leu Leu Asn Asn Phe
130 135 140
Tyr Pro Arg Glu Ala Lys Val Gln Trp Lys Val Asp Asn Ala Leu Gln
145 150 155 160
Ser Gly Asn Ser Gln Glu Ser Val Thr Glu Gln Asp Ser Lys Asp Ser
165 170 175
Thr Tyr Ser Leu Ser Ser Thr Leu Thr Leu Ser Lys Ala Asp Tyr Glu
180 185 190
Lys His Lys Val Tyr Ala Cys Glu Val Thr His Gln Gly Leu Ser Ser
195 200 205
Pro Val Thr Lys Ser Phe Asn Arg Gly Glu Cys
210 215
<210> 7
<211> 357
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> nucleic acid sequence encoding the heavy chain variable region of
obinutuzumab (B-HH6)
<400> 7
caggtgcaat tggtgcagtc tggcgctgaa gttaagaagc ctgggagttc agtgaaggtc 60
tcctgcaagg cttccggata cgccttcagc tattcttgga tcaattgggt gcggcaggcg 120
cctggacaag ggctcgagtg gatgggacgg atctttcccg gcgatgggga tactgactac 180
aatgggaaat tcaagggcag agtcacaatt accgccgaca aatccactag cacagcctat 240
atggagctga gcagcctgag atctgaggac acggccgtgt attactgtgc aagaaatgtc 300
tttgatggtt actggcttgt ttactggggc cagggaaccc tggtcaccgt ctcctca 357
<210> 8
<211> 345
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> nucleic acid sequence encoding the KV1 light chain variable
region of obinutuzumab
<400> 8
gatatcgtga tgacccagac tccactctcc ctgcccgtca cccctggaga gcccgccagc 60
attagctgca ggtctagcaa gagcctcttg cacagcaatg gcatcactta tttgtattgg 120
tacctgcaaa agccagggca gtctccacag ctcctgattt atcaaatgtc caaccttgtc 180
tctggcgtcc ctgaccggtt ctccggatcc gggtcaggca ctgatttcac actgaaaatc 240
agcagggtgg aggctgagga tgttggagtt tattactgcg ctcagaatct agaacttcct 300
tacaccttcg gcggagggac caaggtggag atcaaacgta cggtg 345
<210> 9
<211> 451
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> the heavy chain of rituximab
<400> 9
Gln Val Gln Leu Gln Gln Pro Gly Ala Glu Leu Val Lys Pro Gly Ala
1 5 10 15
Ser Val Lys Met Ser Cys Lys Ala Ser Gly Tyr Thr Phe Thr Ser Tyr
20 25 30
Asn Met His Trp Val Lys Gln Thr Pro Gly Arg Gly Leu Glu Trp Ile
35 40 45
Gly Ala Ile Tyr Pro Gly Asn Gly Asp Thr Ser Tyr Asn Gln Lys Phe
50 55 60
Lys Gly Lys Ala Thr Leu Thr Ala Asp Lys Ser Ser Ser Thr Ala Tyr
65 70 75 80
Met Gln Leu Ser Ser Leu Thr Ser Glu Asp Ser Ala Val Tyr Tyr Cys
85 90 95
Ala Arg Ser Thr Tyr Tyr Gly Gly Asp Trp Tyr Phe Asn Val Trp Gly
100 105 110
Ala Gly Thr Thr Val Thr Val Ser Ala Ala Ser Thr Lys Gly Pro Ser
115 120 125
Val Phe Pro Leu Ala Pro Ser Ser Lys Ser Thr Ser Gly Gly Thr Ala
130 135 140
Ala Leu Gly Cys Leu Val Lys Asp Tyr Phe Pro Glu Pro Val Thr Val
145 150 155 160
Ser Trp Asn Ser Gly Ala Leu Thr Ser Gly Val His Thr Phe Pro Ala
165 170 175
Val Leu Gln Ser Ser Gly Leu Tyr Ser Leu Ser Ser Val Val Thr Val
180 185 190
Pro Ser Ser Ser Leu Gly Thr Gln Thr Tyr Ile Cys Asn Val Asn His
195 200 205
Lys Pro Ser Asn Thr Lys Val Asp Lys Lys Ala Glu Pro Lys Ser Cys
210 215 220
Asp Lys Thr His Thr Cys Pro Pro Cys Pro Ala Pro Glu Leu Leu Gly
225 230 235 240
Gly Pro Ser Val Phe Leu Phe Pro Pro Lys Pro Lys Asp Thr Leu Met
245 250 255
Ile Ser Arg Thr Pro Glu Val Thr Cys Val Val Val Asp Val Ser His
260 265 270
Glu Asp Pro Glu Val Lys Phe Asn Trp Tyr Val Asp Gly Val Glu Val
275 280 285
His Asn Ala Lys Thr Lys Pro Arg Glu Glu Gln Tyr Asn Ser Thr Tyr
290 295 300
Arg Val Val Ser Val Leu Thr Val Leu His Gln Asp Trp Leu Asn Gly
305 310 315 320
Lys Glu Tyr Lys Cys Lys Val Ser Asn Lys Ala Leu Pro Ala Pro Ile
325 330 335
Glu Lys Thr Ile Ser Lys Ala Lys Gly Gln Pro Arg Glu Pro Gln Val
340 345 350
Tyr Thr Leu Pro Pro Ser Arg Asp Glu Leu Thr Lys Asn Gln Val Ser
355 360 365
Leu Thr Cys Leu Val Lys Gly Phe Tyr Pro Ser Asp Ile Ala Val Glu
370 375 380
Trp Glu Ser Asn Gly Gln Pro Glu Asn Asn Tyr Lys Thr Thr Pro Pro
385 390 395 400
Val Leu Asp Ser Asp Gly Ser Phe Phe Leu Tyr Ser Lys Leu Thr Val
405 410 415
Asp Lys Ser Arg Trp Gln Gln Gly Asn Val Phe Ser Cys Ser Val Met
420 425 430
His Glu Ala Leu His Asn His Tyr Thr Gln Lys Ser Leu Ser Leu Ser
435 440 445
Pro Gly Lys
450
<210> 10
<211> 213
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> the light chain of rituximab
<400> 10
Gln Ile Val Leu Ser Gln Ser Pro Ala Ile Leu Ser Ala Ser Pro Gly
1 5 10 15
Glu Lys Val Thr Met Thr Cys Arg Ala Ser Ser Ser Val Ser Tyr Ile
20 25 30
His Trp Phe Gln Gln Lys Pro Gly Ser Ser Pro Lys Pro Trp Ile Tyr
35 40 45
Ala Thr Ser Asn Leu Ala Ser Gly Val Pro Val Arg Phe Ser Gly Ser
50 55 60
Gly Ser Gly Thr Ser Tyr Ser Leu Thr Ile Ser Arg Val Glu Ala Glu
65 70 75 80
Asp Ala Ala Thr Tyr Tyr Cys Gln Gln Trp Thr Ser Asn Pro Pro Thr
85 90 95
Phe Gly Gly Gly Thr Lys Leu Glu Ile Lys Arg Thr Val Ala Ala Pro
100 105 110
Ser Val Phe Ile Phe Pro Pro Ser Asp Glu Gln Leu Lys Ser Gly Thr
115 120 125
Ala Ser Val Val Cys Leu Leu Asn Asn Phe Tyr Pro Arg Glu Ala Lys
130 135 140
Val Gln Trp Lys Val Asp Asn Ala Leu Gln Ser Gly Asn Ser Gln Glu
145 150 155 160
Ser Val Thr Glu Gln Asp Ser Lys Asp Ser Thr Tyr Ser Leu Ser Ser
165 170 175
Thr Leu Thr Leu Ser Lys Ala Asp Tyr Glu Lys His Lys Val Tyr Ala
180 185 190
Cys Glu Val Thr His Gln Gly Leu Ser Ser Pro Val Thr Lys Ser Phe
195 200 205
Asn Arg Gly Glu Cys
210
<210> 11
<211> 1153
<212> DNA
<213> Homo sapiens
<400> 11
gggccgccgg ctgccagccc agggcggggc ggagccctac ttctggccga ccgcgtaggc 60
ggtgcttgaa cttagggctg cttgtggctg ggcactcgcg cagaggccgg cccgacgagc 120
catggttgct gggagcgacg cggggcgggc cctgggggtc ctcagcgtgg tctgcctgct 180
gcactgcttt ggtttcatca gctgtttttc ccaacaaata tatggtgttg tgtatgggaa 240
tgtaactttc catgtaccaa gcaatgtgcc tttaaaagag gtcctatgga aaaaacaaaa 300
ggataaagtt gcagaactgg aaaattctga attcagagct ttctcatctt ttaaaaatag 360
ggtttattta gacactgtgt caggtagcct cactatctac aacttaacat catcagatga 420
agatgagtat gaaatggaat cgccaaatat tactgatacc atgaagttct ttctttatgt 480
gcttgagtct cttccatctc ccacactaac ttgtgcattg actaatggaa gcattgaagt 540
ccaatgcatg ataccagagc attacaacag ccatcgagga cttataatgt actcatggga 600
ttgtcctatg gagcaatgta aacgtaactc aaccagtata tattttaaga tggaaaatga 660
tcttccacaa aaaatacagt gtactcttag caatccatta tttaatacaa catcatcaat 720
cattttgaca acctgtatcc caagcagcgg tcattcaaga cacagatatg cacttatacc 780
cataccatta gcagtaatta caacatgtat tgtgctgtat atgaatggta ttctgaaatg 840
tgacagaaaa ccagacagaa ccaactccaa ttgattggta acagaagatg aagacaacag 900
cataactaaa ttattttaaa aactaaaaag ccatctgatt tctcatttga gtattacaat 960
ttttgaacaa ctgttggaaa tgtaacttga agcagctgct ttaagaagaa atacccacta 1020
acaaagaaca agcattagtt ttggctgtca tcaacttatt atatgactag gtgcttgctt 1080
tttttgtcag taaattgttt ttactgatga tgtagatact tttgtaaata aatgtaaata 1140
tgtacacaag tga 1153
<210> 12
<211> 250
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 12
Met Val Ala Gly Ser Asp Ala Gly Arg Ala Leu Gly Val Leu Ser Val
1 5 10 15
Val Cys Leu Leu His Cys Phe Gly Phe Ile Ser Cys Phe Ser Gln Gln
20 25 30
Ile Tyr Gly Val Val Tyr Gly Asn Val Thr Phe His Val Pro Ser Asn
35 40 45
Val Pro Leu Lys Glu Val Leu Trp Lys Lys Gln Lys Asp Lys Val Ala
50 55 60
Glu Leu Glu Asn Ser Glu Phe Arg Ala Phe Ser Ser Phe Lys Asn Arg
65 70 75 80
Val Tyr Leu Asp Thr Val Ser Gly Ser Leu Thr Ile Tyr Asn Leu Thr
85 90 95
Ser Ser Asp Glu Asp Glu Tyr Glu Met Glu Ser Pro Asn Ile Thr Asp
100 105 110
Thr Met Lys Phe Phe Leu Tyr Val Leu Glu Ser Leu Pro Ser Pro Thr
115 120 125
Leu Thr Cys Ala Leu Thr Asn Gly Ser Ile Glu Val Gln Cys Met Ile
130 135 140
Pro Glu His Tyr Asn Ser His Arg Gly Leu Ile Met Tyr Ser Trp Asp
145 150 155 160
Cys Pro Met Glu Gln Cys Lys Arg Asn Ser Thr Ser Ile Tyr Phe Lys
165 170 175
Met Glu Asn Asp Leu Pro Gln Lys Ile Gln Cys Thr Leu Ser Asn Pro
180 185 190
Leu Phe Asn Thr Thr Ser Ser Ile Ile Leu Thr Thr Cys Ile Pro Ser
195 200 205
Ser Gly His Ser Arg His Arg Tyr Ala Leu Ile Pro Ile Pro Leu Ala
210 215 220
Val Ile Thr Thr Cys Ile Val Leu Tyr Met Asn Gly Ile Leu Lys Cys
225 230 235 240
Asp Arg Lys Pro Asp Arg Thr Asn Ser Asn
245 250
<210> 13
<211> 6492
<212> DNA
<213> Homo sapiens
<400> 13
tttctgtgaa gcagaagtct gggaatcgat ctggaaatcc tcctaatttt tactccctct 60
ccccgcgact cctgattcat tgggaagttt caaatcagct ataactggag agtgctgaag 120
attgatggga tcgttgcctt atgcatttgt tttggtttta caaaaaggaa acttgacaga 180
ggatcatgct gtacttaaaa aatacaacat cacagaggaa gtagactgat attaacaata 240
cttactaata ataacgtgcc tcatgaaata aagatccgaa aggaattgga ataaaaattt 300
cctgcatctc atgccaaggg ggaaacacca gaatcaagtg ttccgcgtga ttgaagacac 360
cccctcgtcc aagaatgcaa agcacatcca ataaaatagc tggattataa ctcctcttct 420
ttctctgggg gccgtggggt gggagctggg gcgagaggtg ccgttggccc ccgttgcttt 480
tcctctggga aggatggcgc acgctgggag aacagggtac gataaccggg agatagtgat 540
gaagtacatc cattataagc tgtcgcagag gggctacgag tgggatgcgg gagatgtggg 600
cgccgcgccc ccgggggccg cccccgcacc gggcatcttc tcctcccagc ccgggcacac 660
gccccatcca gccgcatccc gggacccggt cgccaggacc tcgccgctgc agaccccggc 720
tgcccccggc gccgccgcgg ggcctgcgct cagcccggtg ccacctgtgg tccacctgac 780
cctccgccag gccggcgacg acttctcccg ccgctaccgc cgcgacttcg ccgagatgtc 840
cagccagctg cacctgacgc ccttcaccgc gcggggacgc tttgccacgg tggtggagga 900
gctcttcagg gacggggtga actgggggag gattgtggcc ttctttgagt tcggtggggt 960
catgtgtgtg gagagcgtca accgggagat gtcgcccctg gtggacaaca tcgccctgtg 1020
gatgactgag tacctgaacc ggcacctgca cacctggatc caggataacg gaggctggga 1080
tgcctttgtg gaactgtacg gccccagcat gcggcctctg tttgatttct cctggctgtc 1140
tctgaagact ctgctcagtt tggccctggt gggagcttgc atcaccctgg gtgcctatct 1200
gggccacaag tgaagtcaac atgcctgccc caaacaaata tgcaaaaggt tcactaaagc 1260
agtagaaata atatgcattg tcagtgatgt accatgaaac aaagctgcag gctgtttaag 1320
aaaaaataac acacatataa acatcacaca cacagacaga cacacacaca cacaacaatt 1380
aacagtcttc aggcaaaacg tcgaatcagc tatttactgc caaagggaaa tatcatttat 1440
tttttacatt attaagaaaa aaagatttat ttatttaaga cagtcccatc aaaactcctg 1500
tctttggaaa tccgaccact aattgccaag caccgcttcg tgtggctcca cctggatgtt 1560
ctgtgcctgt aaacatagat tcgctttcca tgttgttggc cggatcacca tctgaagagc 1620
agacggatgg aaaaaggacc tgatcattgg ggaagctggc tttctggctg ctggaggctg 1680
gggagaaggt gttcattcac ttgcatttct ttgccctggg ggctgtgata ttaacagagg 1740
gagggttcct gtggggggaa gtccatgcct ccctggcctg aagaagagac tctttgcata 1800
tgactcacat gatgcatacc tggtgggagg aaaagagttg ggaacttcag atggacctag 1860
tacccactga gatttccacg ccgaaggaca gcgatgggaa aaatgccctt aaatcatagg 1920
aaagtatttt tttaagctac caattgtgcc gagaaaagca ttttagcaat ttatacaata 1980
tcatccagta ccttaagccc tgattgtgta tattcatata ttttggatac gcacccccca 2040
actcccaata ctggctctgt ctgagtaaga aacagaatcc tctggaactt gaggaagtga 2100
acatttcggt gacttccgca tcaggaaggc tagagttacc cagagcatca ggccgccaca 2160
agtgcctgct tttaggagac cgaagtccgc agaacctgcc tgtgtcccag cttggaggcc 2220
tggtcctgga actgagccgg ggccctcact ggcctcctcc agggatgatc aacagggcag 2280
tgtggtctcc gaatgtctgg aagctgatgg agctcagaat tccactgtca agaaagagca 2340
gtagaggggt gtggctgggc ctgtcaccct ggggccctcc aggtaggccc gttttcacgt 2400
ggagcatggg agccacgacc cttcttaaga catgtatcac tgtagaggga aggaacagag 2460
gccctgggcc cttcctatca gaaggacatg gtgaaggctg ggaacgtgag gagaggcaat 2520
ggccacggcc cattttggct gtagcacatg gcacgttggc tgtgtggcct tggcccacct 2580
gtgagtttaa agcaaggctt taaatgactt tggagagggt cacaaatcct aaaagaagca 2640
ttgaagtgag gtgtcatgga ttaattgacc cctgtctatg gaattacatg taaaacatta 2700
tcttgtcact gtagtttggt tttatttgaa aacctgacaa aaaaaaagtt ccaggtgtgg 2760
aatatggggg ttatctgtac atcctggggc attaaaaaaa aaatcaatgg tggggaacta 2820
taaagaagta acaaaagaag tgacatcttc agcaaataaa ctaggaaatt tttttttctt 2880
ccagtttaga atcagccttg aaacattgat ggaataactc tgtggcatta ttgcattata 2940
taccatttat ctgtattaac tttggaatgt actctgttca atgtttaatg ctgtggttga 3000
tatttcgaaa gctgctttaa aaaaatacat gcatctcagc gtttttttgt ttttaattgt 3060
atttagttat ggcctataca ctatttgtga gcaaaggtga tcgttttctg tttgagattt 3120
ttatctcttg attcttcaaa agcattctga gaaggtgaga taagccctga gtctcagcta 3180
cctaagaaaa acctggatgt cactggccac tgaggagctt tgtttcaacc aagtcatgtg 3240
catttccacg tcaacagaat tgtttattgt gacagttata tctgttgtcc ctttgacctt 3300
gtttcttgaa ggtttcctcg tccctgggca attccgcatt taattcatgg tattcaggat 3360
tacatgcatg tttggttaaa cccatgagat tcattcagtt aaaaatccag atggcaaatg 3420
accagcagat tcaaatctat ggtggtttga cctttagaga gttgctttac gtggcctgtt 3480
tcaacacaga cccacccaga gccctcctgc cctccttccg cgggggcttt ctcatggctg 3540
tccttcaggg tcttcctgaa atgcagtggt gcttacgctc caccaagaaa gcaggaaacc 3600
tgtggtatga agccagacct ccccggcggg cctcagggaa cagaatgatc agacctttga 3660
atgattctaa tttttaagca aaatattatt ttatgaaagg tttacattgt caaagtgatg 3720
aatatggaat atccaatcct gtgctgctat cctgccaaaa tcattttaat ggagtcagtt 3780
tgcagtatgc tccacgtggt aagatcctcc aagctgcttt agaagtaaca atgaagaacg 3840
tggacgtttt taatataaag cctgttttgt cttttgttgt tgttcaaacg ggattcacag 3900
agtatttgaa aaatgtatat atattaagag gtcacggggg ctaattgctg gctggctgcc 3960
ttttgctgtg gggttttgtt acctggtttt aataacagta aatgtgccca gcctcttggc 4020
cccagaactg tacagtattg tggctgcact tgctctaaga gtagttgatg ttgcattttc 4080
cttattgtta aaaacatgtt agaagcaatg aatgtatata aaagcctcaa ctagtcattt 4140
ttttctcctc ttcttttttt tcattatatc taattatttt gcagttgggc aacagagaac 4200
catccctatt ttgtattgaa gagggattca catctgcatc ttaactgctc tttatgaatg 4260
aaaaaacagt cctctgtatg tactcctctt tacactggcc agggtcagag ttaaatagag 4320
tatatgcact ttccaaattg gggacaaggg ctctaaaaaa agccccaaaa ggagaagaac 4380
atctgagaac ctcctcggcc ctcccagtcc ctcgctgcac aaatactccg caagagaggc 4440
cagaatgaca gctgacaggg tctatggcca tcgggtcgtc tccgaagatt tggcaggggc 4500
agaaaactct ggcaggctta agatttggaa taaagtcaca gaattaagga agcacctcaa 4560
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tgtggccttc catttatatg tgatctttgt tttattagta aatgcttatc atctaaagat 4680
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atcaagatta aatgtaaata atcagggcaa tcccaacaca tgtctagctt tcacctccag 4800
gatctattga gtgaacagaa ttgcaaatag tctctatttg taattgaact tatcctaaaa 4860
caaatagttt ataaatgtga acttaaactc taattaattc caactgtact tttaaggcag 4920
tggctgtttt tagactttct tatcacttat agttagtaat gtacacctac tctatcagag 4980
aaaaacagga aaggctcgaa atacaagcca ttctaaggaa attagggagt cagttgaaat 5040
tctattctga tcttattctg tggtgtcttt tgcagcccag acaaatgtgg ttacacactt 5100
tttaagaaat acaattctac attgtcaagc ttatgaaggt tccaatcaga tctttattgt 5160
tattcaattt ggatctttca gggatttttt ttttaaatta ttatgggaca aaggacattt 5220
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gggagttgga agttttcaga ataaccagaa ctaagggtat gaaggacctg tattggggtc 5340
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tacgaccttt agattccaga gacatcagca tggctcaaag tgcagctccg tttggcagtg 5460
caatggtata aatttcaagc tggatatgtc taatgggtat ttaaacaata aatgtgcagt 5520
tttaactaac aggatattta atgacaacct tctggttggt agggacatct gtttctaaat 5580
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gagagtgata atacaagtcc tttagtctta cccagtgaat cattctgttc catgtctttg 5700
gacaaccatg accttggaca atcatgaaat atgcatctca ctggatgcaa agaaaatcag 5760
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caaacatcct atcaacaaca aggttgttct gcataccaag ctgagcacag aagatgggaa 5880
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gacagtggat tgcatttctt ttggggaagc tttcttttgg tggttttgtt tattatacct 6120
tcttaagttt tcaaccaagg tttgcttttg ttttgagtta ctggggttat ttttgtttta 6180
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tgcaacactg tacacataaa aaatacggta aggatacttt acatggttaa ggtaaagtaa 6360
gtctccagtt ggccaccatt agctataatg gcactttgtt tgtgttgttg gaaaaagtca 6420
cattgccatt aaactttcct tgtctgtcta gttaatattg tgaagaaaaa taaagtacag 6480
tgtgagatac tg 6492
<210> 14
<211> 239
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 14
Met Ala His Ala Gly Arg Thr Gly Tyr Asp Asn Arg Glu Ile Val Met
1 5 10 15
Lys Tyr Ile His Tyr Lys Leu Ser Gln Arg Gly Tyr Glu Trp Asp Ala
20 25 30
Gly Asp Val Gly Ala Ala Pro Pro Gly Ala Ala Pro Ala Pro Gly Ile
35 40 45
Phe Ser Ser Gln Pro Gly His Thr Pro His Pro Ala Ala Ser Arg Asp
50 55 60
Pro Val Ala Arg Thr Ser Pro Leu Gln Thr Pro Ala Ala Pro Gly Ala
65 70 75 80
Ala Ala Gly Pro Ala Leu Ser Pro Val Pro Pro Val Val His Leu Thr
85 90 95
Leu Arg Gln Ala Gly Asp Asp Phe Ser Arg Arg Tyr Arg Arg Asp Phe
100 105 110
Ala Glu Met Ser Ser Gln Leu His Leu Thr Pro Phe Thr Ala Arg Gly
115 120 125
Arg Phe Ala Thr Val Val Glu Glu Leu Phe Arg Asp Gly Val Asn Trp
130 135 140
Gly Arg Ile Val Ala Phe Phe Glu Phe Gly Gly Val Met Cys Val Glu
145 150 155 160
Ser Val Asn Arg Glu Met Ser Pro Leu Val Asp Asn Ile Ala Leu Trp
165 170 175
Met Thr Glu Tyr Leu Asn Arg His Leu His Thr Trp Ile Gln Asp Asn
180 185 190
Gly Gly Trp Asp Ala Phe Val Glu Leu Tyr Gly Pro Ser Met Arg Pro
195 200 205
Leu Phe Asp Phe Ser Trp Leu Ser Leu Lys Thr Leu Leu Ser Leu Ala
210 215 220
Leu Val Gly Ala Cys Ile Thr Leu Gly Ala Tyr Leu Gly His Lys
225 230 235