(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179473
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】撮像素子、撮像装置、撮像素子の作動方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 23/68 20230101AFI20231212BHJP
H04N 23/54 20230101ALI20231212BHJP
H04N 23/60 20230101ALI20231212BHJP
H04N 25/70 20230101ALI20231212BHJP
【FI】
H04N23/68
H04N23/54
H04N23/60 300
H04N23/60 500
H04N25/70
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023147516
(22)【出願日】2023-09-12
(62)【分割の表示】P 2021574481の分割
【原出願日】2020-11-19
(31)【優先権主張番号】P 2020015751
(32)【優先日】2020-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菅原 一文
(72)【発明者】
【氏名】小林 誠
(72)【発明者】
【氏名】河合 智行
(72)【発明者】
【氏名】桜武 仁史
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 亮
(57)【要約】 (修正有)
【課題】撮像素子によって撮像されることで得られる第1画像データに同期した振動情報が付与された第2画像データを出力する撮像素子、撮像装置、撮像素子の作動方法及びプログラムを提供する
【解決手段】撮像素子は、撮像素子によって撮像されることで得られた第1画像データ(デジタル画像データ)を記憶し、かつ、撮像素子に内蔵されるメモリ64と、第1画像データに対して画像データ処理を行い、かつ、撮像素子に内蔵された処理回路62と、を備える。処理回路62は、第1フレームレートによって規定されるフレーム出力期間内に、撮像素子に与えられる振動に関する振動情報を受け付け、フレーム出力期間内に、第1画像データに設けられた特定の位置に振動情報を付与した第2画像データ(振動情報埋め込み画像データ)を出力する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子であって、
前記撮像素子によって撮像されることで得られた第1画像データを記憶するメモリと、前記第1画像データに対して画像データ処理を行う第1プロセッサと、を備え、
前記第1プロセッサは、
第1フレームレートによって規定されるフレーム出力期間内に、前記撮像素子に与えられる振動に関する振動情報を受け付け、
前記フレーム出力期間内に、前記第1画像データに設けられた特定の位置に前記振動情報を付与した第2画像データを出力する、
撮像素子。
【請求項2】
前記第1画像データは、複数ラインで構成される画素ラインデータであり、
前記特定の位置は、少なくとも1ラインの画素ラインデータに設けられた位置である、
請求項1に記載の撮像素子。
【請求項3】
前記特定の位置は、前記複数ラインの画素ラインデータの各々に設けられた位置である請求項2に記載の撮像素子。
【請求項4】
前記第1プロセッサは、
前記第1画像データのうちの一部領域を指定する一部領域指定情報を受け付け、
前記撮像素子に含まれる複数の画素ラインのうち、前記一部領域に対応する画素ラインの露光期間における前記振動情報を受け付け、
前記特定の位置は、前記一部領域に対応する前記画素ラインデータに設けられた位置である、
請求項2に記載の撮像素子。
【請求項5】
前記第1プロセッサは、前記撮像素子に含まれる複数の画素ラインのうち、前記撮像素子の中央に位置する中央画素ラインの露光期間における前記振動情報を受け付け、
前記特定の位置は、前記中央画素ラインに対応する前記画素ラインデータに設けられた位置である請求項2に記載の撮像素子。
【請求項6】
前記特定の位置は、前記撮像素子に含まれる複数の画素ラインのうち、前記振動情報を取得した期間に最も近い期間で露光された画素ラインについての前記画素ラインデータに設けられた位置である請求項4又は5に記載の撮像素子。
【請求項7】
前記特定の位置は、前記画素ラインデータの先頭又は末尾である請求項2から請求項6のうちの何れか一項に記載の撮像素子。
【請求項8】
前記第1プロセッサは、前記振動情報の値に応じて、前記振動情報を前記第1画像データに付与するか否かを決定する請求項1から請求項7のうちの何れか一項に記載の撮像素子。
【請求項9】
前記第1プロセッサは、前記振動情報が閾値を超えた場合に、前記振動情報を前記第1画像データに付与する請求項8に記載の撮像素子。
【請求項10】
前記振動情報は、角速度、加速度、角度の積分値、加速度の積分値、及び振れ補正量のうちの少なくとも1つである請求項1から請求項9のうちの何れか一項に記載の撮像素子。
【請求項11】
前記撮像素子は、少なくとも光電変換素子と前記メモリとが1チップ化された撮像素子である請求項1から請求項10のうちの何れか一項に記載の撮像素子。
【請求項12】
前記撮像素子は、前記光電変換素子と前記メモリとが積層された積層型撮像素子である請求項11に記載の撮像素子。
【請求項13】
前記第1プロセッサは、前記フレーム出力期間内に、前記第2画像データに付与されている前記振動情報に基づいて、前記第2画像データに対して振れ補正処理を行う請求項1から請求項12のうちの何れか一項に記載の撮像素子。
【請求項14】
前記第1プロセッサは、
前記振動情報の平均値、中央値、又は最頻値を用いて、前記振れ補正処理を行う、
請求項13に記載の撮像素子。
【請求項15】
前記第1プロセッサは、前記第1フレームレートよりも高い第2フレームレートで撮像された前記第1画像データに対して前記画像データ処理を行い、
前記画像データ処理は、
前記第1画像データを取得する取得処理と、
前記振動情報を受け付ける受付処理と、
前記振動情報を前記第1画像データに付与することで前記第2画像データを生成する 生成処理と、
前記第2画像データに付与されている前記振動情報に基づいて、前記第2画像データ に対する振れを補正する振れ補正処理と、を含む、
請求項1から請求項14のうちの何れか一項に記載の撮像素子。
【請求項16】
前記第1プロセッサは、前記フレーム出力期間内に、前記振れ補正処理後の複数フレームの前記第2画像データを合成することで、1フレームの第3画像データを生成して出力する、請求項15に記載の撮像素子。
【請求項17】
請求項1から請求項16のうちの何れか一項に記載の撮像素子と、
前記撮像素子の後段に設けられ、前記撮像素子から前記第2画像データが入力される第2プロセッサと、を備え、
前記第2画像データは、複数ラインの画素ラインデータを含み、
前記複数ラインの画素ラインデータの各々に前記振動情報が付与されており、
前記第2プロセッサは、
前記第2画像データに基づいて、特定被写体の位置を示す特定被写体位置情報を取得し、
前記複数ラインの画素ラインデータのうち、前記特定被写体位置情報に対応する画素ラインデータに付与されている前記振動情報に基づいて、前記第2画像データに対して振れ補正処理を行う、
撮像装置。
【請求項18】
撮像素子によって撮像されることで得られた第1画像データを記憶するメモリと、前記第1画像データに対して処理を行うプロセッサと、を含む前記撮像素子の作動方法であって、
第1フレームレートによって規定されるフレーム出力期間内に、前記撮像素子に与えられる振動に関する振動情報を受け付けること、及び、
前記フレーム出力期間内に、前記第1画像データに設けられた特定の位置に前記振動情報を付与した第2画像データを出力することを含む
撮像素子の作動方法。
【請求項19】
撮像素子によって撮像されることで得られた第1画像データを記憶するメモリと、前記第1画像データに対して処理を行うプロセッサと、を含む前記撮像素子に適用されるコンピュータに、
第1フレームレートによって規定されるフレーム出力期間内に、前記撮像素子に与えられる振動に関する振動情報を受け付けること、及び、
前記フレーム出力期間内に、前記第1画像データに設けられた特定の位置に前記振動情報を付与した第2画像データを出力することを含む処理を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、撮像素子、撮像装置、撮像素子の作動方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2018-011098号公報には、撮像により生成された映像データと撮像中の振れに関する振れ情報とを記録する処理を行う映像処理装置であって、映像データの再生可否を示す再生識別情報として、再生可能を示す再生有効情報と再生不可を示す再生無効情報とを映像データに対して与える付与手段と、映像データ、振れ情報及び再生識別情報を含む記録データを生成して記録する処理手段とを有し、処理手段は、記録開始振動情報に応じて記録開始前の第1の期間における映像データ及び振れ情報と再生無効情報とを含む第1のデータを生成し、記録開始から記録終了指示に応じた記録終了までの第2の期間における映像データ及び振れ情報と再生有効情報とを含む第2のデータを生成し、記録終了後の第3の期間における映像データ及び振れ情報と再生無効情報とを含む第3のデータを生成し、第1、第2及び第3のデータを統合した記録データを生成することを特徴とする映像処理装置が開示されている。
【0003】
特開2012-124614号公報には、被写体を撮像して動画像データを生成して記録媒体に記録する撮像装置であって、動画像記録時における撮像装置の動作情報を記録する装置動作記録手段と、動作情報に対応するカメラワーク種別を判別するカメラワーク判別手段と、動画像データからカメラワーク種別を判別したフレーム範囲を特定するフレーム範囲特定手段と、カメラワーク種別とフレーム範囲とを対応づけてカメラワーク情報として記録するカメラワーク管理手段と、カメラワーク情報の中から、所定の方法に従って動画像を代表するカメラワーク種別を特定する表現対象カメラワーク特定手段と、動画像の代表画像を一覧表示する時に、表現対象カメラワーク特定手段により特定したカメラワーク種別を表現する情報を作成するカメラワーク表現情報作成手段と、を備えることを特徴とする撮像装置が開示されている。
【0004】
特開2016-208483号公報には、Gyroセンサと、このGyroセンサからGyro値を保持する保持手段と、イメージセンサからの水平同期信号をうけ、この同期信号のフレームにおける序列H番号を得るための序列検出手段と、この序列H番号とGyro値とのペアの少なくとも1組をペア化保持するペア化保持手段からなる同期化保持手段を有し、イメージセンサからの画像と、イメージセンサのカメラパラメターと、Gyro値からのブレ角情報をもちいて、画像のブレ位置を特定し、その位置における映像データをもとの位置に戻すことによって、映像のブレを補正し高品質な映像を得ることを特徴とする映像システム及びそれを用いた空撮システムが開示されている。
【発明の概要】
【0005】
本開示の技術に係る一つの実施形態は、撮像素子によって撮像されることで得られる第1画像データに同期した振動情報が付与された第2画像データを出力することができる撮像素子、撮像装置、撮像素子の作動方法、及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の技術に係る第1の態様は、撮像素子であって、撮像素子によって撮像されることで得られた第1画像データを記憶し、かつ撮像素子に内蔵されたメモリと、第1画像データに対して画像データ処理を行い、かつ撮像素子に内蔵された第1プロセッサと、を備え、第1プロセッサは、第1フレームレートによって規定されるフレーム出力期間内に、撮像素子に与えられる振動に関する振動情報を受け付け、フレーム出力期間内に、第1画像データに設けられた特定の位置に振動情報を付与した第2画像データを出力する撮像素子である。
【0007】
本開示の技術に係る第2の態様は、第1画像データは、複数ラインで構成される画素ラインデータであり、特定の位置は、少なくとも1ラインの画素ラインデータに設けられた位置である、第1の態様に係る撮像素子である。
【0008】
本開示の技術に係る第3の態様は、特定の位置は、複数ラインの画素ラインデータの各々に設けられた位置である、第2の態様に係る撮像素子である。
【0009】
本開示の技術に係る第4の態様は、第1プロセッサは、第1画像データのうちの一部領域を指定する一部領域指定情報を受け付け、撮像素子に含まれる複数の画素ラインのうち、一部領域に対応する画素ラインの露光期間における振動情報を受け付け、特定の位置は、一部領域に対応する画素ラインデータに設けられた位置である、第2の態様に係る撮像素子である。
【0010】
本開示の技術に係る第5の態様は、第1プロセッサは、撮像素子に含まれる複数の画素ラインのうち、撮像素子の中央に位置する中央画素ラインの露光期間における振動情報を受け付け、特定の位置は、中央画素ラインに対応する画素ラインデータに設けられた位置である、第2の態様に係る撮像素子である。
【0011】
本開示の技術に係る第6の態様は、特定の位置は、撮像素子に含まれる複数の画素ラインのうち、振動情報を取得した期間に最も近い期間で露光された画素ラインについての画素ラインデータに設けられた位置である、第4の態様又は第5の態様に係る撮像素子である。
【0012】
本開示の技術に係る第7の態様は、特定の位置は、画素ラインデータの先頭又は末尾である、第2の態様から第6の態様のうちの何れか一つの態様に係る撮像素子である。
【0013】
本開示の技術に係る第8の態様は、第1プロセッサは、振動情報の値に応じて、振動情報を第1画像データに付与するか否かを決定する、第1の態様から第7の態様のうちの何れか一つの態様に係る撮像素子である。
【0014】
本開示の技術に係る第9の態様は、第1プロセッサは、振動情報が閾値を超えた場合に、振動情報を第1画像データに付与する、第8の態様に係る撮像素子である。
【0015】
本開示の技術に係る第10の態様は、振動情報は、角速度、加速度、角度の積分値、加速度の積分値、及び振れ補正量のうちの少なくとも1つである、第1の態様から第9の態様のうちの何れか一つの態様に係る撮像素子である。
【0016】
本開示の技術に係る第11の態様は、撮像素子は、少なくとも光電変換素子とメモリとが1チップ化された撮像素子である、第1の態様から第10の態様のうちの何れか一つの態様に係る撮像素子である。
【0017】
本開示の技術に係る第12の態様は、撮像素子は、光電変換素子とメモリとが積層された積層型撮像素子である、第11の態様に係る撮像素子である。
【0018】
本開示の技術に係る第13の態様は、第1プロセッサは、フレーム出力期間内に、第2画像データに付与されている振動情報に基づいて、第2画像データに対して振れ補正処理を行う、第1の態様から第12の態様のうちの何れか一つの態様に係る撮像素子である。
【0019】
本開示の技術に係る第14の態様は、第1プロセッサは、振動情報の平均値、中央値、又は最頻値を用いて、振れ補正処理を行う、第13の態様に係る撮像素子である。
【0020】
本開示の技術に係る第15の態様は、第1プロセッサは、第1フレームレートよりも高い第2フレームレートで撮像された第1画像データに対して画像データ処理を行い、画像データ処理は、第1画像データを取得する取得処理と、振動情報を受け付ける受付処理と、振動情報を第1画像データに付与することで第2画像データを生成する生成処理と、第2画像データに付与されている振動情報に基づいて、第2画像データに対する振れを補正する振れ補正処理と、を含む、第1の態様から第14の態様のうちの何れか一つの態様に係る撮像素子である。
【0021】
本開示の技術に係る第16の態様は、第1プロセッサは、フレーム出力期間内に、振れ補正処理後の複数フレームの第2画像データを合成することで、1フレームの第3画像データを生成して出力する、第15の態様に係る撮像素子である。
【0022】
本開示の技術に係る第17の態様は、第1の態様から第16の態様のうちの何れか一つの態様に記載の撮像素子と、撮像素子の後段に設けられ、撮像素子から第2画像データが入力される第2プロセッサと、を備え、第2画像データは、複数ラインの画素ラインデータを含み、複数ラインの画素ラインデータの各々に振動情報が付与されており、第2プロセッサは、第2画像データに基づいて、特定被写体の位置を示す特定被写体位置情報を取得し、複数ラインの画素ラインデータのうち、特定被写体位置情報に対応する画素ラインデータに付与されている振動情報に基づいて、第2画像データに対して振れ補正処理を行う、撮像装置である。
【0023】
本開示の技術に係る第18の態様は、撮像素子によって撮像されることで得られた第1画像データを記憶し、かつ撮像素子に内蔵されたメモリと、第1画像データに対して処理を行い、かつ撮像素子に内蔵されたプロセッサと、を含む撮像素子の作動方法であって、第1フレームレートによって規定されるフレーム出力期間内に、撮像素子に与えられる振動に関する振動情報を受け付けること、及び、フレーム出力期間内に、振動情報を第1画像データに付与した第2画像データを出力することを含む撮像素子の作動方法である。
【0024】
本開示の技術に係る第19の態様は、撮像素子によって撮像されることで得られた第1画像データを記憶し、かつ撮像素子に内蔵されたメモリと、第1画像データに対して処理を行い、かつ撮像素子に内蔵されたプロセッサと、を含む撮像素子に適用されるコンピュータに、第1フレームレートによって規定されるフレーム出力期間内に、撮像素子に与えられる振動に関する振動情報を受け付けること、及び、フレーム出力期間内に、振動情報を第1画像データに付与した第2画像データを出力することを含む処理を実行させるためのプログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】第1乃至第5実施形態に係る撮像装置の外観の一例を示す斜視図である。
【
図2】第1乃至第3実施形態に係る撮像装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図3A】第1乃至第5実施形態に係る撮像装置に含まれる撮像素子の撮像フレームレートの説明に供する概念図である。
【
図3B】第1乃至第5実施形態に係る撮像装置に含まれる撮像素子の出力フレームレートの説明に供する概念図である。
【
図4】第1実施形態に係る撮像装置本体の電気的構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】第1乃至第5実施形態に係る撮像装置に含まれる撮像素子の積層構造の一例、並びに撮像素子、信号処理部、及びコントローラの接続関係の一例を示すブロック図である。
【
図6】第1乃至第5実施形態に係る撮像装置に含まれる撮像素子の光電変換素子に含まれる各画素の撮像面での配置の一例を示す配置図である。
【
図7】第1実施形態に係る撮像装置に含まれる撮像素子の電気系の構成の一例を示すブロック図である。
【
図8】第1実施形態に係る撮像装置に含まれる撮像素子によって生成された振動情報埋め込み画像データの一例を示す概念図である。
【
図9】第1実施形態に係る撮像装置に含まれる撮像素子内での露光期間、振動情報取得タイミング、画素ラインデータ取得タイミング、振動情報埋め込みタイミング、振れ補正処理タイミング、及び振れ補正画像データ記憶タイミングの一例を示すタイムチャートである。
【
図10A】第1実施形態に係る振れ補正画像データ生成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図10B】第1実施形態に係る振れ補正画像データ生成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図11】第2実施形態に係る撮像装置において、ユーザによって入力される一部領域指定情報の説明に供する概念図である。
【
図12】第2実施形態に係る撮像装置本体の電気的構成の一例を示すブロック図である。
【
図13】第2実施形態に係る撮像装置に含まれる撮像素子の電気系の構成の一例を示すブロック図である。
【
図14】第2実施形態に係る撮像装置に含まれる撮像素子によって生成された振動情報埋め込み画像データにおいて、一部領域指定情報が示す一部領域を含む画素ラインの説明に供する概念図である。
【
図15】第2実施形態に係る撮像装置に含まれる撮像素子によって生成された振動情報埋め込み画像データにおいて、中央画素ラインの説明に供する概念図である。
【
図16】第2実施形態に係る振れ補正画像データ生成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図17】第3実施形態に係る撮像装置に含まれる撮像素子の電気系の構成の一例を示すブロック図である。
【
図18】第3実施形態に係る撮像装置に含まれる撮像素子によって生成される振動情報埋め込み画像データの説明に供する概念図である。
【
図19】第3実施形態に係る振れ補正画像データ生成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図20】第4実施形態に係る撮像装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図21】第4実施形態に係る撮像装置に含まれる撮像素子の電気系の構成の一例を示すブロック図である。
【
図22】第4実施形態に係る合成画像データ生成処理の流れの一例を説明する概念図である。
【
図23A】第4実施形態に係る合成画像データ生成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図23B】第4実施形態に係る合成画像データ生成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図24】第5実施形態に係る撮像装置において、振れ補正画像データ生成プログラムが実行される態様の一例を示す概念図である。
【
図25】第5実施形態に係る撮像装置に含まれる撮像素子によって生成された振動情報埋め込み画像データにおいて、特定被写体位置情報によって示される特定被写体を含む画素ラインの説明に供する概念図である。
【
図26】振れ補正画像データ生成プログラムが記憶された記憶媒体から、第5実施形態に係る撮像装置内のコンピュータにインストールされる態様の一例を示す概念図である。
【
図27】プログラムが記憶された記憶媒体から、撮像素子内のコンピュータにインストールされる態様の一例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面に従って本開示の技術に係る撮像装置の実施形態の一例について説明する。
【0027】
先ず、以下の説明で使用される用語の意味について説明する。
【0028】
CPUとは、“Central Processing Unit”の略称を指す。RAMとは、“Random Access Memory”の略称を指す。ROMとは、“Read Only Memory”の略称を指す。DRAMとは、“Dynamic Random Access Memory”の略称を指す。SRAMとは、“Static Random Access Memory”の略称を指す。
【0029】
LSIとは、“Large-Scale Integrated Circuit”の略称を指す。ICとは、“Integrated Circuit”の略称を指す。ASICとは、“Application Specific Integrated Circuit”の略称を指す。PLDとは、“Programmable Logic Device”の略称を指す。FPGAとは、“Field-Programmable Gate Array”の略称を指す。
【0030】
SSDとは、“Solid State Drive”の略称を指す。USBとは、“Universal Serial Bus”の略称を指す。
【0031】
CCDとは、“Charge Coupled Device”の略称を指す。CMOSとは、“Complementary Metal Oxide Semiconductor”の略称を指す。ELとは、“Electro-Luminescence”の略称を指す。A/Dとは、“Analog/Digital”の略称を指す。I/Fとは、“Interface”の略称を指す。UIとは、“User Interface”の略称を指す。AFとは、“Auto-Focus”の略称を指す。AEとは、“Automatic Exposure”の略称を指す。SoCとは、“System-on-a-chip”の略称を指す。OISとは、“Optical Image Stabilizer”の略称を指す。
【0032】
[第1実施形態]
一例として
図1に示すように、撮像装置10は、レンズ交換式カメラである。撮像装置10は、撮像装置本体12と、撮像装置本体12に交換可能に装着される交換レンズ14と、を備えている。
【0033】
撮像装置本体12には、撮像素子44が設けられている。交換レンズ14が撮像装置本体12に装着された場合に、被写体を示す被写体光は、交換レンズ14を透過して撮像素子44の撮像面44Aに結像される。
【0034】
撮像装置本体12の上面には、レリーズボタン20及びダイヤル22が設けられている。ダイヤル22は、撮像系の動作モード及び再生系の動作モード等の設定の際に操作される。レリーズボタン20は、撮像準備指示部及び撮像指示部として機能し、撮像準備指示状態と撮像指示状態との2段階の押圧操作が検出可能である。撮像準備指示状態とは、例えば待機位置から中間位置(半押し位置)まで押下される状態を指し、撮像指示状態とは、中間位置を超えた最終押下位置(全押し位置)まで押下される状態を指す。なお、以下では、「待機位置から半押し位置まで押下される状態」を「半押し状態」といい、「待機位置から全押し位置まで押下される状態」を「全押し状態」という。撮像装置の構成によっては、撮像準備指示状態とは、操作するユーザの指がレリーズボタン20に接触した状態であってもよく、撮像指示状態とは、操作するユーザの指がレリーズボタン20に接触した状態から離れた状態に移行した状態であってもよい。
【0035】
撮像装置10では、動作モードとして撮像モードと再生モードとがユーザの指示に応じて選択的に設定される。撮像モードは、表示動画用撮像モードと記録用撮像モードとに大別される。表示動画用撮像モード及び記録用撮像モードの各々では、ユーザの指示に従ってAFモードが設定される。
【0036】
表示動画用撮像モードにおいて、交換レンズ14の焦点調節設定としてAFモードが設定されると、1フレーム毎に、AE機能が働いて露出状態が設定され、かつ、AF機能が働いて合焦制御され、表示動画像用の撮像が行われる。表示動画像用の撮像が行われることによりライブビュー画像が生成される。なお、一般的に、ライブビュー画像は、スルー画像とも称されている。なおAE機能およびAF機能は必ずしも1フレーム毎に行う必要はない。
【0037】
記録用撮像モードは、動画像記録用撮像モードと静止画像記録用撮像モードとに大別され、動画像記録用撮像モードと静止画像記録用撮像モードとが、ユーザの指示に応じて選択的に設定される。撮像装置10では、動画像記録用撮像モードにおいて、AFモードが設定されると、1フレーム毎に、AE機能が働いて露出状態が設定され、かつ、AF機能が働いて合焦制御され、記録動画像用の撮像が行われる。記録動画像用の撮像が行われることにより得られた動画像は、メモリカード又はUSBメモリ等の既定の記憶媒体に記録される。
【0038】
静止画像記録用撮像モードにおいて、AFモードが設定されると、レリーズボタン20を半押し状態にすることにより撮像条件の調整が行われ、その後、引き続き全押し状態にすると静止画像用の撮像が行われる。つまり、レリーズボタン20を半押し状態にすることによりAE機能が働いて露出状態が設定された後、AF機能が働いて合焦制御され、レリーズボタン20を全押し状態にすると記録静止画像用の撮像が行われる。
【0039】
一例として
図2に示すように、交換レンズ14は、撮像レンズ40を有する。撮像レンズ40は、対物レンズ40A、フォーカスレンズ40B、及び絞り40Cを備えている。対物レンズ40A、フォーカスレンズ40B、及び絞り40Cは、被写体側から撮像装置本体12側にかけて、光軸L1に沿って、対物レンズ40A、フォーカスレンズ40B、及び絞り40Cの順に配置されている。絞り40Cは、モータ等の駆動源(図示省略)からの動力を受けることで作動する。これにより、絞り40Cの開度が変更される。絞り40Cの開度が変更されることで、露出が調節される。
【0040】
フォーカスレンズ40Bは、スライド機構(図示省略)に取り付けられており、モータ等の駆動源(図示省略)から与えられた動力に応じて光軸L1に沿って移動する。AFモードでは、フォーカスレンズ40Bが、コントローラ46の制御下で、光軸L1に沿って移動することで、被写体距離に応じた合焦位置に到達する。ここで言う「合焦位置」とは、ピントが合っている状態でのフォーカスレンズ40Bの光軸L1上での位置を指す。フォーカスレンズ40Bが被写体距離に応じた合焦位置に到達すると、被写体光が撮像レンズ40によって撮像素子44の撮像面44Aに結像される。
【0041】
撮像装置本体12は、メカニカルシャッタ42及び撮像素子44を備えている。メカニカルシャッタ42は、モータ等の駆動源(図示省略)からの動力を受けることで作動する。交換レンズ14が撮像装置本体12に装着された場合に、被写体光は、撮像レンズ40を透過し、メカニカルシャッタ42を介して撮像素子44の撮像面44Aに結像される。
【0042】
撮像装置本体12は、振動センサ47を備えている。振動センサ47は、ジャイロセンサを含むデバイスであり、撮像素子44に与えられた角速度を振動として検出する。撮像素子44に対して与えられる振動としては、例えば、撮像装置10を把持しているユーザが撮像素子44に対して与える振動、三脚等の支持台に設置されている撮像装置10に対する風による振動、及び車両から与えられる振動等が挙げられる。
【0043】
ジャイロセンサは、ピッチ軸PAと、ヨー軸YAと、ロール軸RAとの各軸周り(
図1参照)の角速度を検出する。振動センサ47は、ジャイロセンサによって検出されたピッチ軸PA周りの角速度及びヨー軸YA周りの角速度をピッチ軸PA及びヨー軸YAに平行な2次元状の面内での角速度に変換することで、撮像素子44に与えられた振動を検出する。なお、本開示の技術に係る第1実施形態での平行の意味には、完全な平行の意味の他に、設計上及び製造上において許容される誤差を含む略平行の意味も含まれる。
【0044】
振動センサ47は、通信ライン58を介してコントローラ46に接続されており、コントローラ46の制御下で、撮像素子44に与えられた振動を検出する。そして、振動センサ47は、通信ライン52を介して撮像素子44に接続されており、振動センサ47は、検出した振動を示す振動情報を撮像素子44へ出力する。ここでは、振動情報の一例として角速度が採用されている。なお、振動情報は角速度などのデータであってもよいし、データが何らかの処理によって加工された情報となっているものでもよい。
【0045】
撮像装置本体12は、コントローラ46、UI系デバイス48、及び信号処理部50を備えている。コントローラ46及び信号処理部50の各々は、LSIによって実現されている。また、コントローラ46及び信号処理部50の各々は、撮像素子44の後段に位置しているので、撮像素子44の後段回路とも言える。
【0046】
コントローラ46は、撮像装置10の全体を制御する。UI系デバイス48は、ユーザに対して情報を提示したり、ユーザからの指示を受け付けたりするデバイスである。コントローラ46には、UI系デバイス48が接続されており、コントローラ46は、UI系デバイス48からの各種情報の取得、及びUI系デバイス48の制御を行う。
【0047】
撮像素子44は、通信ライン57を介してコントローラ46に接続されており、コントローラ46の制御下で、被写体を撮像することで、被写体の画像を示す画像データを生成する。
【0048】
撮像素子44は、通信ライン53を介して信号処理部50に接続されている。信号処理部50は、ASICを含むデバイスである。信号処理部50には、通信ライン60を介してコントローラ46が接続されている。
【0049】
信号処理部50には、撮像素子44から通信ライン53を介して画像データが入力される。信号処理部50は、画像データに対して各種の信号処理を行う。各種の信号処理には、例えば、ホワイトバランス調整、シャープネス調整、ガンマ補正、色空間変換処理、及び色差補正などの公知の信号処理が含まれる。
【0050】
なお、本第1実施形態では、信号処理部50としてASICを含むデバイスを例示しているが、本開示の技術はこれに限定されず、信号処理部50は、ASIC、FPGA、及び/又はPLDを含むデバイスであってもよい。また、信号処理部50は、CPU、ROM、及びRAMを含むコンピュータであってもよい。CPUは、単数であってもよいし、複数であってもよい。また、信号処理部50は、ハードウェア構成及びソフトウェア構成の組み合わせによって実現されてもよい。
【0051】
撮像素子44は、本開示の技術に係る「積層型撮像素子」の一例である。本実施形態において、撮像素子44は、CMOSイメージセンサである。また、ここでは、撮像素子44としてCMOSイメージセンサを例示しているが、本開示の技術はこれに限定されず、例えば、撮像素子44がCCDイメージセンサであっても本開示の技術は成立する。
【0052】
撮像素子44では、撮像フレームレートで被写体が撮像されることで、一例として
図3Aに示すように、被写体の画像を各々示す複数フレームの画像データが生成される。また、撮像素子44で生成された複数フレームの画像データは、出力フレームレートで出力される。撮像フレームレート及び出力フレームレートは何れも可変なフレームレートである。なお、出力フレームレートは、本開示の技術に係る「第1フレームレート」の一例であり、撮像フレームレートは、本開示の技術に係る「第2フレームレート」の一例である。
【0053】
撮像フレームレートと出力フレームレートは、“撮像フレームレート≧出力フレームレート”の関係性を有している。つまり、撮像フレームレートは、出力フレームレート以上に高いフレームレートである。例えば、撮像フレームレートは、
図3Aに示すように、期間T内に8フレーム分の撮像が行われるフレームレートであり、出力フレームレートは、
図3Bに示すように、期間T内に2フレーム分の出力が行われるフレームレートである。具体的には、撮像フレームレートの一例として、240fps(frame per second)が挙げられ、出力フレームレートの一例として、60fpsが挙げられる。
【0054】
一例として
図4に示すように、コントローラ46は、CPU46A、ストレージ46B、メモリ46C、第1通信I/F46D1、及び第2通信I/F46D2を備えている。CPU46A、ストレージ46B、メモリ46C、第1通信I/F46D1、及び第2通信I/F46D2は、バスライン88を介して相互に接続されている。
【0055】
ストレージ46Bには、撮像装置10の制御プログラムが記憶されている。CPU46Aは、ストレージ46Bから制御プログラムを読み出し、読み出した制御プログラムをメモリ46Cに展開する。CPU46Aは、メモリ46Cに展開した制御プログラムに従って撮像装置10の全体を制御する。
【0056】
第1通信I/F46D1、及び第2通信I/F46D2の各々は、FPGAを有する通信デバイスである。第1通信I/F46D1及び第2通信I/F46D2は、例えば、PCI-eの接続規格を採用している。第1通信I/F46D1は通信ライン60を介して信号処理部50に接続されている。第1通信I/F46D1には、信号処理部50により各種の信号処理が施された画像データが通信ライン60を介して入力される。第1通信I/F46D1は、信号処理部50から入力された画像データをCPU46Aに転送する。
【0057】
第2通信I/F46D2は、通信ライン57を介して撮像素子44に接続されている。CPU46Aは、第2通信I/F46D2を介して撮像素子44を制御する。また、第2通信I/F46D2は、通信ライン58を介して振動センサ47に接続されている。CPU46Aは、第2通信I/F46D2を介して振動センサ47を制御する。
【0058】
UI系デバイス48は、タッチパネル・ディスプレイ26及び受付デバイス84を備えている。ディスプレイ32は、バスライン88に接続されている。ディスプレイ32の一例としては、液晶ディスプレイが挙げられる。ディスプレイ32は、液晶ディスプレイではなく、有機ELディスプレイ等の他種類のディスプレイであってもよい。ディスプレイ32は、CPU46Aの制御下で、ライブビュー画像及び静止画像等の各種画像の他、文字情報も表示する。
【0059】
受付デバイス84は、ハードキー部25及びタッチパネル34を備えている。ハードキー部25は、レリーズボタン20及びダイヤル22を含む複数のハードキーである。タッチパネル34は、透過型のタッチパネルであり、ディスプレイ32の表示領域の表面に重ねられている。タッチパネル34は、例えば、指又はスタイラスペン等の指示体による接触を検知する。ハードキー部25及びタッチパネル34は、バスライン88に接続されており、CPU46Aは、ハードキー部25及びタッチパネル34の各々によって受け付けられた各種指示に従って動作する。
【0060】
一例として
図5に示すように、撮像素子44には、光電変換素子61、処理回路62、及びメモリ64が内蔵されている。撮像素子44は、光電変換素子61、処理回路62、及びメモリ64が1チップ化された撮像素子である。すなわち、光電変換素子61、処理回路62、及びメモリ64は1パッケージ化されている。撮像素子44では、光電変換素子61に対して処理回路62及びメモリ64が積層されている。具体的には、光電変換素子61及び処理回路62は、銅等の導電性を有するバンプ(図示省略)によって互いに電気的に接続されており、処理回路62及びメモリ64も、銅等の導電性を有するバンプ(図示省略)によって互いに電気的に接続されている。
【0061】
処理回路62は、例えば、LSIであり、メモリ64は、例えば、DRAMである。但し、本開示の技術はこれに限らず、メモリ64としてDRAMに代えてSRAMを採用してもよい。
【0062】
処理回路62は、ASIC及びFPGAを含むデバイスであり、コントローラ46の指示に従って、撮像素子44の全体を制御する。なお、ここでは、処理回路62がASIC及びFPGAを含むデバイスによって実現される例を挙げているが、本開示の技術はこれに限定されるものではなく、例えば、ASIC、FPGA、及び/又はPLDを含むデバイスであってもよい。また、処理回路62として、CPU、ストレージ、及びメモリを含むコンピュータが採用されてもよい。CPUは、単数であってもよいし、複数であってもよい。また、処理回路62は、ハードウェア構成及びソフトウェア構成の組み合わせによって実現されてもよい。
【0063】
光電変換素子61は、マトリクス状に配置された多数のフォトダイオードを有している。複数のフォトダイオードの一例としては、“4896×3265”画素分のフォトダイオードが挙げられる。
【0064】
光電変換素子61に含まれる各フォトダイオードには、カラーフィルタが配置されている。カラーフィルタは、輝度信号を得るために最も寄与するG(緑)に対応するGフィルタ、R(赤)に対応するRフィルタ、及びB(青)に対応するBフィルタを含む。光電変換素子61は、R画素、G画素、及びB画素を有する(
図6参照)。R画素は、Rフィルタが配置されたフォトダイオードに対応する画素であり、G画素は、Gフィルタが配置されたフォトダイオードに対応する画素であり、B画素は、Bフィルタが配置されたフォトダイオードに対応する画素である。
【0065】
撮像素子44は、いわゆる電子シャッタ機能を有しており、コントローラ46の制御下で電子シャッタ機能を働かせることで、光電変換素子61内の各フォトダイオードの電荷蓄積時間を制御する。電荷蓄積時間とは、いわゆるシャッタスピードを指す。
【0066】
撮像装置10では、ローリングシャッタ方式で、静止画像用の撮像と、動画像用の撮像とが行われる。静止画像記録用撮像モードにおいて、静止画像用の撮像は、電子シャッタ機能を働かせ、かつ、メカニカルシャッタ42(
図2参照)を作動させることで実現される。また、静止画像記録用撮像モードにおいて、連写用の撮像は、メカニカルシャッタ42を作動させずに、電子シャッタ機能を働かせることで実現することも可能である。また、動画像記録用撮像モードにおいて、動画像用の撮像も、メカニカルシャッタ42を作動させずに、電子シャッタ機能を働かせることで実現される。更に、表示動画用撮像モードにおいて、ライブビュー画像用の撮像も、メカニカルシャッタ42を作動させずに、電子シャッタ機能を働かせることで実現される。なお、ここでは、電子シャッタ機能を実現する方式としてローリングシャッタ方式が例示しているが、本開示の技術はこれに限らず、ローリングシャッタ方式に代えてグローバルシャッタ方式を適用してもよい。
【0067】
処理回路62は、光電変換素子61により被写体が撮像されることで得られた画像データを読み出す。画像データは、光電変換素子61に蓄積された信号電荷である。処理回路62は、光電変換素子61から読み出したアナログ画像データに対してA/D変換を行う。処理回路62は、アナログ画像データに対してA/D変換を行うことで得たデジタル画像データをメモリ64に記憶する。ここで、処理回路62は、本開示の技術に係る「第1プロセッサ」の一例であり、メモリ64は、本開示の技術に係る「メモリ」の一例である。デジタル画像データは、本開示の技術に係る「第1画像データ」の一例である。
【0068】
処理回路62は、通信ライン53を介して信号処理部50に接続されている。また、処理回路62は、通信ライン57を介してコントローラ46の第2通信I/F46D2に接続されている。
【0069】
メモリ64は、複数の記憶領域を備えており、各々の記憶領域には、例えば、1フレーム毎にデジタル画像データが記憶される。また、複数の記憶領域に対しては処理回路62によってランダムアクセスが行われる。
【0070】
一例として
図6に示すように、光電変換素子61の撮像面44Aでは、R画素、G画素、及びB画素が、行方向(水平方向)及び列方向(垂直方向)の各々に既定の周期性で配置されている。本第1実施形態では、R画素、G画素、及びB画素がX-Trans(登録商標)配列に対応した周期性で配列されている。なお、
図6に示す例では、X-Trans配列を例示しているが、本開示の技術はこれに限定されず、R画素、G画素、及びB画素の配列は、ベイヤ配列又はハニカム配列などであってもよい。
【0071】
撮像素子44は、複数の画素ライン61Aを有する。各画素ライン61Aは、行方向に沿ってR画素、G画素、及びB画素が配置されている。複数の画素ライン61Aは、本開示の技術に係る「複数の画素ライン」の一例である。
【0072】
一例として
図7に示すように、処理回路62は、読出回路62A、デジタル処理回路62B、制御回路62C、及び出力回路62Dを備えている。
【0073】
読出回路62Aは、光電変換素子61、デジタル処理回路62B、及び制御回路62Cに接続されている。メモリ64は、制御回路62Cに接続されている。出力回路62Dも、制御回路62Cに接続されている。制御回路62Cは、通信ライン57を介してコントローラ46に接続されており、通信ライン52を介して振動センサ47に接続されている。出力回路62Dは、通信ライン53を介して信号処理部50に接続されている。
【0074】
コントローラ46は、タイミング制御信号を、通信ライン57を介して制御回路62Cに供給する。タイミング制御信号は、垂直同期信号を含む。垂直同期信号は、1フレーム単位の露光期間を規定する同期信号である。
【0075】
読出回路62Aは、撮像フレームレートで被写体が撮像されることで得られたアナログ画像データを水平画素ライン単位で読み出す。すなわち、読出回路62Aは、制御回路62Cの制御下で、光電変換素子61を制御し、光電変換素子61からアナログ画像データを水平画素ライン単位で読み出す。
【0076】
読出回路62Aは、光電変換素子61から読み出されたアナログ画像データに対してアナログ信号処理を行う。アナログ信号処理には、相関二重サンプリング処理、アナログゲイン処理、及びノイズキャンセル処理などの公知の処理が含まれる。相関二重サンプリング処理はアナログ画像データの熱雑音を低減する処理である。アナログゲイン処理は、アナログ画像データに対してゲインをかける処理である。ノイズキャンセル処理は、光電変換素子61に含まれる画素間の特性のばらつきに起因するノイズをキャンセルする処理である。このようにしてアナログ信号処理が行われたアナログ画像データは、読出回路62Aによってデジタル処理回路62Bに出力される。
【0077】
デジタル処理回路62Bは、A/D変換器62B1を備えている。デジタル処理回路62Bは、読出回路62Aから入力されたアナログ画像データに対してデジタル信号処理を行う。デジタル信号処理には、例えば、A/D変換器62B1によるA/D変換、及びデジタルゲイン処理が含まれる。
【0078】
アナログ画像データに対しては、A/D変換器62B1によってA/D変換が行われ、これによって、アナログ画像データがデジタル化され、デジタル画像データが得られる。そして、デジタル画像データに対しては、デジタル処理回路62Bによってデジタルゲイン処理が行われる。デジタルゲイン処理とは、デジタル画像データに対してゲインをかける処理を指す。
【0079】
制御回路62Cは、デジタル信号処理によって得られたデジタル画像データを、水平画素ライン単位で、デジタル処理回路62Bから取得する。ここで、読出回路62Aによって行われるアナログ信号処理及びデジタル処理回路62Bによって行われるデジタル信号処理は、本開示の技術に係る「画像データ処理」の一例である。
【0080】
コントローラ46は、垂直同期信号を、通信ライン58を介して振動センサ47に供給する。振動センサ47は、垂直同期信号を受け付けて、1フレームの画像データの露光期間に撮像素子44に与えられた角速度を、水平画素ライン単位で検出する。振動センサ47は、角速度を制御回路62Cに供給する。なお、角速度は、本開示の技術に係る「振動情報」の一例である。
【0081】
制御回路62Cは、振動情報埋め込み部62C1と、振れ補正部62C2とを備えている。振動情報埋め込み部62C1は、出力フレームレートによって規定されるフレーム出力期間内に、振動センサ47から振動情報を受け付ける。そして、振動情報埋め込み部62C1は、フレーム出力期間内に、デジタル画像データに設けられた特定の位置に振動情報を埋め込み、メモリ64へ出力する。
【0082】
一例として
図8に示すように、1フレームのデジタル画像データは、第1画素ラインデータ、第2画素ラインデータ、・・・、第N画素ラインデータを含むNラインの画素ラインデータから成る。ここで、光電変換素子61の最上ラインを構成する1ラインの水平画素ラインを第1画素ラインと称し、第1画素ラインから読み出された画素データを第1画素ラインデータと称する。光電変換素子61の2ライン目を構成する1ラインの水平画素ラインを第2画素ラインと称し、第2画素ラインから読み出された画素データを第2画素ラインデータと称する。以下、同様に、Nライン目となる最下ラインの水平画素ラインを第N画素ラインと称し、第N画素ラインから読み出された画素データを第N画素ラインデータと称する。
【0083】
なお、第1、第2、・・・第N画素ラインを区別して説明する必要がない場合、単に「画素ライン」と称する。また、第1、第2、・・・第N画素ラインデータを区別して説明する必要がない場合、単に「画素ラインデータ」と称する。ここで、画素ラインデータは、本開示の技術に係る「画素ラインデータ」の一例である。
【0084】
振動情報埋め込み部62C1は、画素ライン振動情報を、画素ラインデータの先頭に埋め込む。なお、画素ライン振動情報とは、1つの画素ラインの露光期間中に、振動センサ47によって取得された振動を示す情報を指し、具体的には、1つの画素ラインの露光期間中に、振動センサ47から撮像素子44に入力された振動情報を指す。各画素ラインデータの先頭には、対応する画素ライン振動情報を埋め込むためのビット領域が予め設けられている。なお、各画素ラインデータの先頭は、本開示の技術に係る「特定の位置」の一例である。
【0085】
振動情報埋め込み部62C1は、画素ライン振動情報を埋め込んだ画素ラインデータを、メモリ64のうちの対応する記憶領域に記憶する。
【0086】
メモリ64は、複数フレームの振動情報埋め込み画像データを記憶可能なメモリである。画素ライン振動情報が埋め込まれた画素ラインデータは、振動情報埋め込み画像データとして、フレーム単位でメモリ64に記憶される。なお、振動情報埋め込み画像データは、本開示の技術に係る「第2画像データ」の一例である。
【0087】
制御回路62Cは、メモリ64に対してランダムアクセス可能であり、フレーム出力期間内に、メモリ64から振動情報埋め込み画像データを読み出して、振れ補正部62C2に供給する。なお、フレーム出力期間は、本開示の技術に係る「フレーム出力期間」の一例である。ここで、フレーム出力期間とは、出力フレームレートで規定された出力タイミングが時間軸上で隣接するフレーム間の時間間隔を指す。
【0088】
振れ補正部62C2は、振動情報埋め込み画像データから、N個の画素ライン振動情報を読み出して、画素ライン振動情報の平均値を算出する。振れ補正部62C2は、算出した平均値に基づいて、振動情報埋め込み画像データに対して既知の振れ補正処理を施す。振れ補正部62C2は、フレーム出力期間内に、振れ補正処理後の画像データを振れ補正画像データとしてメモリ64に記憶する。なお、振れ補正処理は、本開示の技術に係る「振れ補正処理」の一例である。
【0089】
制御回路62Cは、フレーム出力期間内に、振れ補正画像データをメモリ64から読み出し、出力回路62Dに出力する。出力回路62Dは、入力された振れ補正画像データを信号処理部50へ出力する。
【0090】
一例として
図9に示すように、垂直同期信号は、出力フレームレートによって規定される1つのフレーム出力期間内に、例えば4回立ち下がる。垂直同期信号の立ち下がりに同期して撮像素子44の露光期間が開始される。従って、本第1実施形態によれば、1つのフレーム出力期間内に4フレームのデジタル画像データが取得される。
【0091】
光電変換素子61は、垂直同期信号の立ち下がりに同期してリセットされ、露光を開始する。撮像装置10は、ローリングシャッタ方式を採用しているため、水平画素ライン毎に一定の時間間隔を保ちながら露光を開始する。すなわち、
図9の斜線部分に示す1フレームの露光期間のうち、時間軸に沿って延びる最上部の領域90は第1画素ラインの露光期間を示し、最下部の領域92は第N画素ラインの露光期間を表す。
【0092】
予め定められた露光期間の中央で、振動センサ47は、水平画素ライン単位で振動情報を取得する。振動センサ47は、第1画素ラインから第N画素ラインに対応するNライン分の振動情報を、一定の時間間隔で順次取得する。振動センサ47は、Nライン分の振動情報を振動情報埋め込み部62C1へ出力する。
【0093】
予め定められた露光期間が終了すると、読出回路62Aは、水平画素ライン単位で、光電変換素子61からアナログの画素ラインデータを読み出す。読出回路62Aは、アナログの画素ラインデータに対してアナログ信号処理を行い、アナログ信号処理後の画素ラインデータをデジタル処理回路62Bへ出力する。
【0094】
デジタル処理回路62Bは、アナログの画素ラインデータに対してデジタル信号処理を行い、デジタルの画素ラインデータに変換する。その後、デジタル処理回路62Bは、デジタル信号処理後の画素ラインデータを振動情報埋め込み部62C1へ出力する。
【0095】
振動情報埋め込み部62C1は、画素ラインデータの先頭に、対応する画素ライン振動情報を埋め込む。振動情報埋め込み部62C1は、画素ライン振動情報が埋め込まれた画素ラインデータを順次メモリ64に記憶する。全ての画素ラインについて、画素ライン振動情報が埋め込まれた画素ラインデータが記憶されると、振れ補正部62C2は、1フレームの振動情報埋め込み画像データを読み出す。振れ補正部62C2は、Nライン分の画素ライン振動情報の平均値を算出し、平均値を用いて、振動情報埋め込み画像データに対して振れ補正処理を行う。振れ補正部62C2は、振れ補正処理によって生成された振れ補正画像データをメモリ64に記憶する。
【0096】
出力回路62Dは、各フレーム出力期間の最後に生成された振れ補正画像データを後段の信号処理部50へ出力する。すなわち、各フレーム出力期間で生成される4フレームの振れ補正画像データのうち、各フレーム出力期間の最後に生成される1フレームの振れ補正画像データだけが、出力回路62Dを介して信号処理部50へ出力される。残り3フレームの振れ補正画像データは出力されずにメモリ64から消去される。なお、ここでは、フレーム出力期間の最後に生成される1フレームの振れ補正画像データが信号処理部50へ出力される形態例を挙げているが、本開示の技術はこれに限定されず、既定の他フレームの振れ補正画像データが信号処理部50へ出力されるようにしてもよい。
【0097】
次に、本第1実施形態に係る撮像素子44の作用について説明する。
【0098】
図10A及び
図10Bには、撮像素子44の処理回路62によってフレーム出力期間内に実行される振れ補正画像データ生成処理の流れの一例が示されている。
【0099】
図10A及び
図10Bに示す振れ補正画像データ生成処理では、先ず、ステップST10で、振動情報埋め込み部62C1は、露光開始タイミングが到来したか否かを判定する。撮像素子44の露光は、コントローラ46から出力される垂直同期信号の立ち下がりに同期して開始される。ステップST10において、露光開始タイミングが到来していない場合には、判定が否定されて、振れ補正画像データ生成処理は、
図10Bに示すステップST26へ移行する。ステップST10において、露光開始タイミングが到来した場合には、判定が肯定されて、振れ補正画像データ生成処理はステップST11へ移行する。
【0100】
ステップST11で、振動情報埋め込み部62C1は、変数nを1に設定する。変数nは、撮像素子44に含まれる画素ラインの数を表す。その後、振れ補正画像データ生成処理はステップST12へ移行する。
【0101】
ステップST12で、振動情報埋め込み部62C1は、変数nが2以上か否かを判定する。ステップST12において、変数nが1の場合は、判定が否定されて、振れ補正画像データ生成処理はステップST13へ移行する。ステップST12において、変数nが2以上の場合は、判定が肯定されて振れ補正画像データ生成処理はステップST14へ移行する。まず、変数nが1の場合について説明する。
【0102】
ステップST13で、振動情報埋め込み部62C1は、読出回路62Aを制御することにより第n画素ラインの露光を開始する。すなわち、n=1の場合には、ステップST13で第1画素ラインの露光が開始される。その後、振れ補正画像データ生成処理はステップST18へ移行する。
【0103】
ステップST18で、振動情報埋め込み部62C1は、変数nが撮像素子44に含まれる画素ライン数Nに等しいか否かを判定する。変数nが1の場合には、変数nは画素ライン数Nに等しくないので、ステップST18において判定が否定されて、振れ補正画像データ生成処理はステップST19へ移行する。
【0104】
ステップST19で、振動情報埋め込み部62C1は、変数nに1を加えることにより、変数nを1だけ繰り上げる。すなわち、変数nは2にインクリメントされる。その後、振れ補正画像データ生成処理はステップST12へ移行する。以下、変数nが2以上の場合について説明する。
【0105】
ステップST12で、変数nは2以上であるので判定が肯定されて、振れ補正画像データ生成処理はステップST14へ移行する。
【0106】
ステップST14で、振動情報埋め込み部62C1は、第n画素ラインの露光を開始する。その後、振れ補正画像データ生成処理はステップST15へ移行する。
【0107】
ステップST15で、振動情報埋め込み部62C1は、読出回路62A及びデジタル処理回路62Bを制御することによって、第n-1画素ラインデータを取得する。その後、振れ補正画像データ生成処理はステップST16へ移行する。
【0108】
ステップST16で、振動情報埋め込み部62C1は、振動センサ47から第n-1画素ライン振動情報を取得する。その後、振れ補正画像データ生成処理はステップST17へ移行する。
【0109】
ステップST17で、振動情報埋め込み部62C1は、第n-1画素ライン振動情報を第n-1画素ラインデータに埋め込んでメモリ64に記憶する。その後、振れ補正画像データ生成処理はステップST18へ移行する。
【0110】
ステップST18で、振動情報埋め込み部62C1は、変数nが撮像素子44に含まれる画素ライン数Nに等しいか否かを判定する。ステップST18において、変数nが画素ライン数Nに等しくない場合には、判定が否定されて、振れ補正画像データ生成処理はステップST19へ移行する。ステップST18において、変数nが画素ライン数Nに等しい場合には、判定が肯定されて、振れ補正画像データ生成処理は、ステップST20へ移行する。
【0111】
ステップST19で、振動情報埋め込み部62C1は、変数nに1を加えることにより、変数nを1だけ繰り上げる。その後、振れ補正画像データ生成処理はステップST12へ移行する。従って、振れ補正画像データ生成処理は、変数nを2からNまで1ずつインクリメントしながら、ステップST12からステップST17を繰り返し、変数nが画素ライン数Nに至ると、振れ補正画像データ生成処理はステップST20へ移行する。
【0112】
ステップST20で、振動情報埋め込み部62C1は、読出回路62A及びデジタル処理回路62Bを制御することによって、第n画素ラインデータを取得する。その後、振れ補正画像データ生成処理はステップST21へ移行する。
【0113】
ステップST21で、振動情報埋め込み部62C1は、振動センサ47から第n画素ライン振動情報を取得する。その後、振れ補正画像データ生成処理はステップST22へ移行する。
【0114】
ステップST22で、振動情報埋め込み部62C1は、第n画素ライン振動情報を第n画素ラインデータに埋め込んでメモリ64に記憶する。その後、振れ補正画像データ生成処理は、
図10Bに示すステップST23へ移行する。
【0115】
図10Bに示すステップST23で、振れ補正部62C2は、1フレームの振動情報埋め込み画像データをメモリ64から読み出す。その後、振れ補正画像データ生成処理はステップST24へ移行する。
【0116】
ステップST24で、振れ補正部62C2は、ステップST23で読み出した振動情報埋め込み画像データに含まれている画素ライン振動情報の平均値を算出する。その後、振れ補正画像データ生成処理はステップST25へ移行する。
【0117】
ステップST25で、振れ補正部62C2は、ステップST24で算出した平均値に基づいて、振動情報埋め込み画像データに対して振れ補正処理を施して、振れ補正画像データを生成する。その後、振れ補正画像データ生成処理はステップST26へ移行する。
【0118】
ステップST26で、振れ補正部62C2は、ステップST25で生成した振れ補正画像データをメモリ64に記憶する。その後、振れ補正画像データ生成処理はステップST27へ移行する。
【0119】
ステップST27で、振れ補正部62C2は、振れ補正画像データの出力タイミングが到来したか否かを判定する。振れ補正画像データの出力タイミングは、フレーム出力期間で規定されたタイミングである。振れ補正画像データの出力タイミングが到来した場合には、判定が肯定されて、振れ補正画像データ生成処理はステップST28へ移行する。振れ補正画像データの出力タイミングが到来していない場合には、判定が否定されて、振れ補正画像データ生成処理はステップST10へ移行する。
【0120】
ステップST28で、振れ補正部62C2は、メモリ64から振れ補正画像データを読み出し、出力回路62Dを介して信号処理部50へ出力する。その後、振れ補正画像データ生成処理はステップST29へ移行する。
【0121】
ステップST29で、振れ補正部62C2は、振れ補正画像データ生成処理を終了する条件(以下、「振れ補正画像データ生成処理終了条件」と称する)を満足したか否かを判定する。振れ補正画像データ生成処理終了条件としては、例えば、振れ補正画像データ生成処理を終了させる指示が受付デバイス84(
図4参照)によって受け付けられた、との条件が挙げられる。ステップST29において、振れ補正画像データ生成処理終了条件を満足していない場合には、判定が否定されて、振れ補正画像データ生成処理はステップST10へ移行する。ステップST29において、振れ補正画像データ生成処理終了条件を満足した場合には、判定が肯定されて、振れ補正画像データ生成処理が終了する。
【0122】
以上説明したように、本第1実施形態に係る撮像素子44によれば、撮像素子44は、撮像素子44によって撮像されることで得られたアナログ画像データに対してアナログ信号処理及びデジタル信号処理を行う処理回路62と、処理回路62によってアナログ画像データから変換されたデジタル画像データを記憶するメモリ64とを有する。処理回路62は、出力フレームレートによって規定されるフレーム出力期間内に、撮像素子44に与えられた振動を示す振動情報を受け付ける。処理回路62は、デジタル画像データを構成する複数ラインの画素ラインデータの各々の先頭に、画素ライン振動情報を埋め込み、画素ライン振動情報を埋め込んだ画素ラインデータをメモリ64に記憶する。処理回路62は、1つのフレーム出力期間中に4フレームの振動情報埋め込み画像データをメモリ64に記憶し、フレーム出力期間の最後に記憶された1フレームの振動情報埋め込み画像データを出力する。従って、本構成によれば、デジタル画像データに同期した振動情報を含む振動情報埋め込み画像データを出力することができる。
【0123】
また、本第1実施形態に係る撮像素子44によれば、処理回路62は、複数ラインの画素ラインデータの各々に、対応する画素ライン振動情報を埋め込む。従って、各画素ラインの画素ラインデータに画素ライン振動情報が埋め込まれない場合に比べ、画素ラインデータと振動情報とを的確に同期させることができる。
【0124】
また、本第1実施形態に係る撮像素子44によれば、処理回路62は、複数ラインの画素ラインデータの先頭に、対応する画素ライン振動情報を埋め込む。従って、画素ラインデータの先頭に画素ライン振動情報が埋め込まれない場合に比べ、画素ライン振動情報を画素ラインデータから容易に取り出すことができる。
【0125】
また、本第1実施形態に係る撮像素子44によれば、撮像素子44は、少なくとも光電変換素子61とメモリ64とが1チップ化された撮像素子である。従って、光電変換素子61とメモリ64とが1チップ化されていない場合に比べ、撮像素子44の小型化に寄与することができる。
【0126】
また、本第1実施形態に係る撮像素子44によれば、撮像素子44は、光電変換素子61とメモリ64とが積層された積層型撮像素子である。従って、光電変換素子61とメモリ64とが積層されていない場合に比べ、光電変換素子61とメモリ64とを接続する配線を短くすることができるため、配線遅延を減らし、画像データの転送速度を速めることができる。
【0127】
また、本第1実施形態に係る撮像素子44によれば、制御回路62Cの振れ補正部62C2は、フレーム出力期間内に、振動情報埋め込み画像データに付与されている画素ライン振動情報に基づいて、振動情報埋め込み画像データに対して振れ補正処理を行う。従って、撮像素子44内で振れ補正処理が行われるので、振れ補正処理を別の後段回路で行う場合に比べ、撮像装置10の小型化を図ることができる。
【0128】
また、本第1実施形態に係る撮像素子44によれば、振れ補正部62C2は、画素ライン振動情報の平均値を用いて振れ補正処理を行う。従って、画素ライン振動情報の平均値を用いない場合に比べ、精度良く振れ補正処理を行うことができる。
【0129】
なお、本第1実施形態では、振動情報として、角速度が用いられたが、本開示の技術はこれに限定されない。振動情報は、加速度、角度の積分値、加速度の積分値、及び振れ補正量のうちの少なくとも1つであってもよい。従って、振動情報が一種類の値である場合に比べ、振れ補正処理の仕様に合わせて最適な振動情報を埋め込むことができる。
【0130】
また、本第1実施形態では、振動情報埋め込み部62C1は、各画素ラインデータの先頭に画素ライン振動情報を埋め込んだが、本開示の技術はこれに限定されない。画素ラインデータの末尾に画素ライン振動情報を埋め込むビット領域を予め用意しておき、振動情報埋め込み部62C1は、各画素ラインデータの末尾に画素ライン振動情報を埋め込んでもよい。この場合にも、各画素ラインデータの先頭に画素ライン振動情報を埋め込む場合と同じ効果が得られる。
【0131】
また、本第1実施形態では、複数ラインの画素ラインデータの各々の先頭に、画素ライン振動情報を埋め込むためのビット領域が設けられているが、本開示の技術はこれに限定されない。複数ラインの画素ラインデータのうち、少なくとも1ラインの画素ラインデータの先頭に、画素ライン振動情報を埋め込むためのビット領域が設けられていればよい。この場合にも、少なくとも1ラインの画素ラインデータに振動情報が埋め込まれない場合に比べ、画素ラインデータと振動情報とを的確に同期させることができる。
【0132】
また、本第1実施形態では、振れ補正部62C2は、振動情報の平均値を用いて振れ補正処理を行ったが、本開示の技術はこれに限定されない。振れ補正部62C2は、振動情報の平均値の代わりに、振動情報の中央値、又は最頻値を用いて振れ補正処理を行ってもよい。この場合にも、画素ライン振動情報の平均値を用いて振れ補正処理を行うのと同じ効果が得られる。
【0133】
また、本第1実施形態では、各画素ラインは1ラインからなる水平画素ラインから構成されているが、本開示の技術はこれに限定されず、複数ラインからなる水平画素ラインから各画素ラインを構成してもよい。
【0134】
また、本第1実施形態では、振動センサ47は、予め定められた露光期間の中央で、水平画素ライン単位で振動情報を取得したが、本開示の技術はこれに限定されない。振動センサ47は、各画素ラインの露光期間とは非同期に振動情報を取得してもよい。この場合、振動情報埋め込み部62C1は、振動情報を取得した期間に最も近い期間で露光された画素ラインについての画素ラインデータの先頭に、振動情報を埋め込んでもよい。この場合、振動情報が、振動情報の取得期間に最も近い露光期間を有する画素ラインについての画素ラインデータに埋め込まれない場合に比べ、振動情報の取得期間と画素ラインの露光期間とが的確に合った画素ラインデータに振動情報を埋め込むことができる。なお、各画素ラインの露光期間と、振動情報の取得期間は非同期であるので、この場合、全ての画素ラインデータに振動情報が埋め込まれなくてもよい。
【0135】
[第2実施形態]
一例として
図11に示すように、本第2実施形態に係る撮像装置10では、ユーザがタッチパネル・ディスプレイ26に表示されたライブビュー画像のうちの一部領域に指又はスタイラスペン等の指示体で接触することにより、精度良く振れ補正処理を行う領域を指定する。コントローラ46は、一部領域指定情報を撮像素子44へ出力する。一部領域指定情報とは、ライブビュー画像としてディスプレイ32に表示されたデジタル画像データにおいて、ユーザによりタッチパネル34を介して指定された一部領域の位置を示す情報であり、例えば、一部領域を構成する少なくとも1つの画素の位置を示す座標である。例えば、デジタル画像データにより示される画像の左上の画素を原点とした場合に、一部領域指定情報は、ユーザにより指定された画素の座標(X,Y)である(
図14参照)。撮像素子44は、一部領域指定情報により示される一部領域の位置に対応する画素ラインの露光中に取得された画素ライン振動情報に基づいて、振れ補正処理を行う。
【0136】
本第2実施形態による撮像素子44の構成は、上記第1実施形態による撮像素子44と同じであるので、上記第1実施形態で説明した構成要素と同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0137】
一例として
図12に示すように、本第2実施形態による撮像装置10では、記録用撮像モードにおいて、処理回路62により取得されたデジタル画像データは、出力フレームレートで、出力回路62Dを介して信号処理部50へ出力される。信号処理部50は、デジタル画像データに対して各種の信号処理を行い、第1通信I/F46D1を介してCPU46Aへ出力する。CPU46Aは、入力されたデジタル画像データをライブビュー画像としてタッチパネル・ディスプレイ26に表示する。
【0138】
ユーザは、タッチパネル・ディスプレイ26に表示されたライブビュー画像を見て画角を決定し、指示体を用いて、ライブビュー画像のうちの一部領域に接触する(
図11参照)。一部領域としては、ライブビュー画像に表示された特定被写体のうち、特に鮮明に撮像したい領域が選択される。例えば、特定被写体が人物である場合には、一部領域として人物の顔を含む領域が選択される。
【0139】
タッチパネル34は、ディスプレイ32に表示されたライブビュー画像のうちの一部領域に対する接触を検知する。タッチパネル34は、検知した接触の位置を特定する情報を、一部領域指定情報として、CPU46Aへ出力する。CPU46Aは、一部領域指定情報を、第2通信I/F46D2を介して撮像素子44へ出力する。
【0140】
一例として
図13に示すように、制御回路62Cは、コントローラ46から入力された一部領域指定情報を受け付け、メモリ64に記憶する。
【0141】
この後、ユーザは、決定された画角で撮像装置10に対して撮像を行わせる。処理回路62は、上記第1実施形態と同様に、撮像フレームレートで撮像を行い、水平画素ライン単位でデジタル画像データを取得する。さらに、制御回路62Cは、撮像素子44に与えられた振動を示す振動情報を水平画素ライン単位で受け付け、振動情報埋め込み部62C1は、デジタル画像データを構成する複数ラインの画素ラインデータの各々の先頭に、画素ライン振動情報を埋め込む。振動情報埋め込み部62C1は、画素ライン振動情報を埋め込んだ画素ラインデータを順次メモリ64に記憶する。
【0142】
全ての画素ラインデータをメモリ64に記憶すると、振れ補正部62C2は、1フレームの振動情報埋め込み画像データと、一部領域指定情報とをメモリ64から読み出す。振れ補正部62C2は、一部領域指定情報に含まれる座標(X,Y)のY座標に基づいて、ユーザにより指定された一部領域に対応する画素ラインを特定する。
【0143】
一例として
図14に示すように、一部領域指定情報に含まれる座標(X,Y)が、振動情報埋め込み画像データの第5画素ラインに相当する場合、振れ補正部62C2は、第5画素ラインデータの先頭に埋め込まれた第5画素ライン振動情報を読み出す。ここで、第5画素ライン振動情報は、ユーザにより指定された一部領域に対応する第5画素ラインの露光期間に、振動センサ47によって取得された振動情報である。振れ補正部62C2は、第5画素ライン振動情報に基づいて、振動情報埋め込み画像データに対して振れ補正処理を行い、振れ補正処理によって生成された振れ補正画像データをメモリ64に記憶する。
【0144】
なお、本第2実施形態では、ユーザが撮像を行う前に一部領域を指定したが、ユーザによって一部領域が指定されない場合もあり得る。この場合には、一例として
図15に示すように、制御回路62Cは、撮像素子44に含まれる複数の画素ラインのうち、撮像素子44の中央に位置する中央画素ラインを特定する。
図15に示す例では、1フレームのデジタル画像データは、第1画素ラインデータから第15画素ラインデータを含む15ラインの画素ラインデータから構成されているので、第8画素ラインが中央画素ラインとして特定される。制御回路62Cは、第8画素ラインデータの先頭に埋め込まれた第8画素ライン振動情報を読み出す。ここで、第8画素ラインデータは、中央画素ラインである第8画素ラインの露光期間に、振動センサ47によって取得された振動情報である。
【0145】
振れ補正部62C2は、第8画素ライン振動情報に基づいて、振動情報埋め込み画像データに対して振れ補正処理を行い、振れ補正処理によって生成された振れ補正画像データをメモリ64に記憶する。
【0146】
次に、本第2実施形態に係る撮像素子44の作用について説明する。撮像素子44の処理回路62によってフレーム出力期間内に実行される振れ補正画像データ生成処理について、
図10A及び
図16を参照しながら説明する。
【0147】
図10Aに示す振れ補正画像データ生成処理に含まれるステップST10からステップST22の処理は、上記第1実施形態で説明した処理と同じであるので、その説明を省略する。また、
図16に示す振れ補正画像データ生成処理に含まれるステップST23の処理、及びステップST26からステップST29の処理は、上記第1実施形態で説明した処理と同じであるので、その説明を省略する。以下、上記第1実施形態との相違点のみを説明する。
【0148】
図16に示すステップST30で、振れ補正部62C2は、ユーザにより、一部領域が指定されているか否かを判定する。一部領域が指定されている場合には、メモリ64に一部領域指定情報が記憶されているので、制御回路62Cは一部領域指定情報の有無を確認することで、一部領域が指定されているか否かを判定することができる。ステップST30において、一部領域が指定されている場合には、判定が肯定されて、振れ補正画像データ生成処理はステップST31へ移行する。ステップST30において、一部領域が指定されていない場合には、判定が否定されて、振れ補正画像データ生成処理はステップST33へ移行する。
【0149】
ステップST31で、振れ補正部62C2は、一部領域指定情報をメモリ64から読み出す。その後、振れ補正画像データ生成処理はステップST32へ移行する。
【0150】
ステップST32で、振れ補正部62C2は、一部領域指定情報で指定された画素を含む画素ラインを特定する。一部領域指定情報は、例えば、ユーザにより指定された画素の座標(X,Y)であり、振れ補正部62C2は、座標(X,Y)のY座標に基づいて、ユーザにより指定された一部領域に対応する画素ラインを特定する。その後、振れ補正画像データ生成処理はステップST34へ移行する。
【0151】
一方、ステップST33で、振れ補正部62C2は、撮像素子44の中央に位置する中央画素ラインを特定する。その後、振れ補正画像データ生成処理はステップST34へ移行する。
【0152】
ステップST34で、振れ補正部62C2は、特定された画素ラインの画素ラインデータに含まれる画素ライン振動情報を用いて、振動情報埋め込み画像データに対して振れ補正処理を行う。すなわち、ステップST30で一部領域が指定されている場合には、ステップST32において、一部領域指定情報で指定された画素を含む画素ラインが特定されている。従って、振れ補正部62C2は、一部領域指定情報で指定された画素を含む画素ラインの画素ラインデータに含まれる画素ライン振動情報を用いて、振れ補正処理を行う。一方、ステップST30で一部領域が指定されていなかった場合には、ステップST33において、中央画素ラインが特定されている。従って、振れ補正部62C2は、中央画素ラインの画素ラインデータに含まれる画素ライン振動情報を用いて、振れ補正処理を行う。その後、振れ補正画像データ生成処理はステップST26へ移行する。
【0153】
以上説明したように、本第2実施形態に係る撮像素子44によれば、制御回路62Cは、デジタル画像データのうちの一部領域を指定する一部領域指定情報を受け付ける。制御回路62Cは、撮像素子44に含まれる複数の画素ラインのうち、一部領域に対応する画素ラインの画素ラインデータの先頭に埋め込まれた画素ライン振動情報を読み出して、振れ補正処理に用いる。振れ補正処理に用いられる画素ライン振動情報は、一部領域に対応する画素ラインの露光期間に、振動センサ47によって取得された画素ライン振動情報である。従って、撮像素子44に含まれる複数の画素ラインのうち、ユーザが意図する画素ラインに対応する画素ライン振動情報に基づいて振れ補正処理を行うことができる。
【0154】
また、本第2実施形態に係る撮像素子44によれば、一部領域指定情報が受け付けられなかった場合、制御回路62Cは、撮像素子44に含まれる複数の画素ラインのうち、撮像素子44の中央に位置する中央画素ラインの露光期間における画素ライン振動情報を受け付ける。制御回路62Cは、中央画素ラインの画素ラインデータの先頭に埋め込まれた画素ライン振動情報を読み出して、振れ補正処理に用いる。従って、中央画素ラインの露光期間における画素ライン振動情報が受け付けられない場合に比べ、振動情報とデジタル画像データとを的確に同期させることができる。
【0155】
なお、本第2実施形態では、一部領域指定情報は、一部領域を構成する少なくとも1つの画素の座標(X,Y)であったが、本開示の技術はこれに限定されない。一部領域指定情報は、デジタル画像データが示す画像の左上の画素から、一部領域を構成する少なくとも1つの画素までのX軸方向及びY軸方向、各々の画素数であってもよい。
【0156】
また、本第2実施形態では、デジタル画像データが示す画像の左上の画素を原点として一部領域指定情報を表したが、本開示の技術はこれに限定されず、画像の他の画素を原点としてもよく、また画像の中央の画素を原点としてもよい。
【0157】
また、本第2実施形態では、一部領域として1つの画素が指定されたが、本開示の技術はこれに限定されず、一部領域は2つ以上の画素を含んでいてもよい。この結果、一部領域に対応する画素ラインが複数になる場合には、振れ補正部62C2は、一部領域に対応する複数の画素ラインの画素ラインデータに含まれる画素ライン振動情報の平均値、中央値、又は最頻値を用いて、振動情報埋め込み画像データに対して振れ補正処理を行ってもよい。
【0158】
[第3実施形態]
一例として
図17に示すように、本第3実施形態に係る撮像素子44では、制御回路62Cが、比較部62C3を有する。比較部62C3は、振動情報の値に応じて、振動情報を画素ラインデータに埋め込むか否かを決定する。第3実施形態による撮像素子44のその他の構成は、上記第1実施形態による撮像素子44と同じであるので、上記第1実施形態で説明した構成要素と同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0159】
比較部62C3には、振動情報と比較するための閾値が予め定められている。閾値は、固定値であっても、可変値であってもよい。本第3実施形態では、振動情報は撮像素子44に与えられた振動を示す角速度であるので、比較部62C3には、角速度に対する閾値が予め設けられている。また、撮像装置10の光学ズーム倍率が大きくなればなるほど、撮像素子44に与えられる振動による画像データの振れは大きくなるので、閾値は、撮像装置10の光学ズーム倍率に応じて定められてもよい。
【0160】
一例として
図18に示すように、閾値は、プラスの値とマイナスの値を含む絶対値である。比較部62C3は、振動センサ47により検出された振動情報を取得する。比較部62C3は、水平画素ライン単位で、取得した振動情報を閾値と比較する。比較部62C3は、振動情報が閾値を超えた場合に、振動情報を振動情報埋め込み部62C1に出力する。振動情報埋め込み部62C1は、比較部62C3から入力された振動情報を、対応する画素ラインデータに埋め込む。
【0161】
図18に示す例では、比較部62C3は、水平画素ライン単位で、振動情報を閾値と比較する。第1画素ラインから第3画素ラインの露光中に振動センサ47によって取得された第1画素ライン振動情報から第3画素ライン振動情報は、閾値よりも小さい。この場合、比較部62C3は、画素ライン振動情報が閾値よりも小さいと判断して、画素ライン振動情報を振動情報埋め込み部62C1へ出力しない。
【0162】
一方、第4画素ラインの露光中に振動センサ47によって取得された振動情報である第4画素ライン振動情報は、閾値よりも大きい。比較部62C3は、第4画素ライン振動情報が閾値よりも大きいと判断して、第4画素ライン振動情報を振動情報埋め込み部62C1へ出力する。振動情報埋め込み部62C1は、入力された第4画素ライン振動情報を第4画素ラインデータに埋め込み、第4画素ライン振動情報を埋め込んだ第4画素ラインデータをメモリ64の対応する記憶領域に記憶する。
【0163】
同様に、第6画素ラインの露光中に振動センサ47によって取得された振動情報である第6画素ライン振動情報も、閾値よりも大きい。比較部62C3は、第6画素ライン振動情報が閾値よりも大きいと判断して、第6画素ライン振動情報を振動情報埋め込み部62C1へ出力する。振動情報埋め込み部62C1は、入力された第6画素ライン振動情報を第6画素ラインデータに埋め込み、第6画素ライン振動情報を埋め込んだ第6画素ラインデータをメモリ64の対応する記憶領域に記憶する。
【0164】
従って、本第3実施形態による振動情報埋め込み画像データでは、露光中に、閾値よりも大きい振動情報が取得された画素ラインの画素ラインデータにのみ、画素ライン振動情報が埋め込まれている。
【0165】
全ての画素ラインについて、比較部62C3は、振動情報と閾値とを比較し、振動情報埋め込み部62C1は、閾値よりも大きい振動情報を埋め込んだ画素ラインデータをメモリ64に記憶すると、振れ補正部62C2は、メモリ64から1フレームの振動情報埋め込み画像データを読み出す。振れ補正部62C2は、振動情報埋め込み画像データに埋め込まれた画素ライン振動情報の平均値を算出し、平均値を用いて、振動情報埋め込み画像データに対して振れ補正処理を行う。振れ補正部62C2は、振れ補正処理によって生成した振れ補正画像データをメモリ64に記憶する。
【0166】
次に、本第3実施形態に係る撮像素子44の作用について説明する。ここでは、撮像素子44の処理回路62によってフレーム出力期間内に実行される振れ補正画像データ生成処理について、
図19及び
図10Bを参照しながら説明する。
【0167】
図19に示す振れ補正画像データ生成処理に含まれるステップST10からステップST16の処理、及びステップST18からステップST22の処理は、上記第1実施形態で説明した
図10Aに示す処理と同じであるので、その説明を省略する。また、
図10Bに示す振れ補正画像データ生成処理に含まれるステップST23からステップST29の処理は、上記第1実施形態で説明した処理と同じであるのでその説明を省略する。以下、上記第1実施形態との相違点のみを説明する。
【0168】
ステップST40で、比較部62C3は、第n-1画素ライン振動情報を閾値と比較する。その後、振れ補正画像データ生成処理は、ステップST41へ移行する。
【0169】
ステップST41で、比較部62C3は、第n-1画素ライン振動情報が閾値よりも大きいか否かを判定する。ステップST41において、第n-1画素ライン振動情報が閾値よりも大きい場合には、判定が肯定されて、振れ補正画像データ生成処理はステップST42へ移行する。ステップST41において、第n-1画素ライン振動情報が閾値以下の場合には、判定が否定されて、振れ補正画像データ生成処理はステップST43へ移行する。
【0170】
ステップST42で、比較部62C3は、第n-1画素ライン振動情報を振動情報埋め込み部62C1へ出力し、振動情報埋め込み部62C1は、入力された第n-1画素ライン振動情報を第n-1画素ラインデータに埋め込む。その後、振れ補正画像データ生成処理は、ステップST43へ移行する。
【0171】
ステップST43で、振動情報埋め込み部62C1は、第n-1画素ラインデータをメモリ64に記憶する。その後、振れ補正画像データ生成処理はステップST18へ移行する。
【0172】
以上説明したように、本第3実施形態に係る撮像素子44によれば、制御回路62Cは、振動情報の値に応じて、振動情報をデジタル画像データに埋め込むか否かを決定する。従って、振動情報がデジタル画像データに常に埋め込まれる場合に比べ、振動情報を埋め込む処理負荷を軽減することができる。
【0173】
また、本第3実施形態に係る撮像素子44によれば、制御回路62Cは、振動情報が予め定められた閾値を超えた場合に、振動情報を対応する画素ラインデータに埋め込む。従って、閾値を超えた振動情報だけが画素ラインデータに埋め込まれるので、振動情報が全ての画素ラインの画素ラインデータに埋め込まれる場合に比べ、振動情報を埋め込む処理負荷を軽減することができる。
【0174】
なお、上記第3実施形態では、
図18において、振動情報が連続的なアナログのデータとして描かれているが、本開示の技術はこれに限定されない。振動センサ47は、画素ラインの露光時間に同期して、水平画素ライン毎に1つ又は複数の振動情報の値を取得し、比較部62C3は、取得された振動情報の値を閾値と比較してもよい。
【0175】
また、本第3実施形態では、閾値は、撮像素子44に与えられた角速度に対する値であったが、本開示の技術はこれに限定されない。振動情報として、加速度、角度の積分値、加速度の積分値、又は振れ補正量が採用される場合には、各々の種類に応じた値が閾値として設けられる。
【0176】
[第4実施形態]
一例として
図20に示すように、本第4実施形態に係る撮像装置10は、光学式振れ補正機構96を備えている。光学式振れ補正機構96は、撮像装置10に与えられる振動を打ち消す方向に撮像レンズ40を変位させることで、撮像装置10によって撮像されることで得られる画像の振れを補正する。ここでは、光学式振れ補正機構96として、いわゆるOISが採用されている。本第4実施形態による撮像装置10のその他の構成は、上記第1実施形態による撮像装置10と同じであるので、上記第1実施形態で説明した構成要素と同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0177】
一例として
図21に示すように、本第4実施形態に係る撮像素子44は、制御回路62Cに比較部62C3と、画像合成部62C4とを備えている点で、上記第1実施形態による撮像素子44と異なっている。本第4実施形態による撮像素子44のその他の構成は、上記第1実施形態による撮像素子44と同じであるので、上記第1実施形態で説明した構成要素と同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0178】
本第4実施形態による撮像素子44では、静止画像記録用撮像モードにおいて、処理回路62は、出力フレームレートよりも高い高速撮像フレームレートで、複数フレームの画像データを取得する。処理回路62は、複数フレームの画像データの各々に対して、振れ補正処理を含む画像データ処理を行った後、複数フレームの画像データを合成して、必要な露光量を有する1フレームの画像データを生成する。
図21に示す例では、4フレームの画像データを合成して1フレームの合成画像データを生成するので、高速撮像フレームレートは、標準的な露光量を有する1フレームの画像データを生成する場合の撮像フレームレートの1/4に設定されている。ここで、高速撮像フレームレートは、本開示の技術に係る「第2フレームレート」の一例である。
【0179】
制御回路62Cは、画像データ処理を行う。詳しくは、後述するが、画像データ処理は、取得処理、受付処理、生成処理、及び振れ補正処理を含む。ここで、取得処理は、本開示の技術に係る「取得処理」の一例であり、受付処理は、本開示の技術に係る「受付処理」の一例であり、生成処理は、本開示の技術に係る「生成処理」の一例であり、振れ補正処理は、本開示の技術に係る「振れ補正処理」の一例である。
【0180】
取得処理は、デジタル処理回路62Bからデジタル画像データを取得する処理である。受付処理は、振動センサ47から入力された振動情報を、フレーム単位で受け付ける処理である。生成処理は、入力された振動情報を画像データに埋め込んで、振動情報埋め込み画像データを生成する処理である。振れ補正処理は、振動情報に基づいて、埋め込み画像データに対して振れ補正を行う処理である。
【0181】
比較部62C3は、予め定められた閾値を有する。比較部62C3は、入力された振動情報を閾値と比較する。本第4実施形態において、振動情報は撮像素子44に与えられた振動を示す角速度であるので、比較部62C3には、角速度に対する閾値が予め設けられている。また、一例として
図22に示すように、閾値は、プラスの値とマイナスの値を含む絶対値である。
【0182】
一例として
図22に示す例では、第1、第2、及び第4フレームで、入力された振動情報が閾値よりも小さい。この場合、比較部62C3は、振動情報を振動情報埋め込み部62C1に出力しない。振動情報埋め込み部62C1は、対応する振動情報を埋め込まずに、第1、第2、及び第4フレームのデジタル画像データを、第1、第2、及び第4フレーム画像データとしてメモリ64に記憶する。
【0183】
図22に示す例では、第3フレームで、撮像素子44に大きな振動が与えられている。第3フレームの画像データは、光学式振れ補正機構96により、撮像レンズ40に含まれる防振レンズ(図示省略)が、撮像素子44に対して与えられた振動の方向と反対の方向に変位した状態で、撮像素子44によって撮像されることで得られた画像データである。
図22において、第3フレーム画像データの右側及び下側に示されたハッチング部分は、光学式振れ補正機構96による撮像レンズ40の変位量を示す。
【0184】
さらに、第3フレームでは、入力された振動情報が閾値を超えているので、比較部62C3は、振動情報を振動情報埋め込み部62C1に出力する。ここで、振動情報埋め込み部62C1は、生成処理を行う。生成処理は、入力された振動情報を第3フレーム画像データに埋め込んで、第3フレーム振動情報埋め込み画像データを生成する処理である。振動情報埋め込み部62C1は、第3フレーム振動情報埋め込み画像データをメモリ64に記憶する。
【0185】
振れ補正部62C2は、振れ補正処理を行う。振れ補正処理は、第3フレーム振動情報埋め込み画像データをメモリ64から読み出して、第3フレーム振動情報埋め込み画像データに対して振れ補正を行う処理である。すなわち、振れ補正処理は、第3フレーム振動情報埋め込み画像データに埋め込まれている振動情報に基づいて、第3フレーム画像データに対する振れを補正する処理である。振れ補正部62C2は、振れ補正処理によって生成された第3フレーム振れ補正画像データを、メモリ64の第3フレーム振動情報埋め込み画像データの記憶領域に上書きして記憶する。以下、第1、第2、及び第4フレーム画像データと第3フレーム振れ補正画像データとを区別して説明する必要がない場合、単に「合成用画像データ」と称する。
【0186】
画像合成部62C4は、フレーム出力期間内に、メモリ64から合成用画像データを読み出し、合成することによって、1フレームの合成画像データを生成する。合成画像データは、必要な露光量を有する1フレームの画像データである。ここで、合成画像データは、本開示の技術に係る「第3画像データ」の一例である。
【0187】
出力回路62Dは、メモリ64から合成画像データを読み出して、信号処理部50に出力する。
【0188】
次に、本第4実施形態に係る撮像素子44の作用について説明する。ここでは、撮像素子44の処理回路62によってフレーム出力期間内に実行される合成画像データ生成処理について、
図23A及び
図23Bを参照しながら説明する。
【0189】
図23A及び
図23Bに示す合成画像データ生成処理では、先ず、ステップST50で、比較部62C3は、撮像タイミングが到来したか否かを判定する。ステップST50において、撮像タイミングが到来していない場合には、判定が否定されて、合成画像データ生成処理はステップST64へ移行する。ステップST50において、撮像タイミングが到来した場合には、判定が肯定されて、合成画像データ生成処理はステップST51へ移行する。
【0190】
ステップST51で、比較部62C3は、変数nを1に設定する。その後、合成画像データ生成処理はステップST52へ移行する。
【0191】
ステップST52で、比較部62C3は、読出回路62A及びデジタル処理回路62Bを制御することにより、第nフレーム画像データを取得する。制御回路62Cは、取得した第nフレーム画像データを振動情報埋め込み部62C1に出力する。その後、合成画像データ生成処理はステップST53へ移行する。
【0192】
ステップST53で、比較部62C3は、第nフレーム画像データに関する露光中に振動センサ47によって検出された振動情報を取得する。以後、第nフレーム画像データに関する露光中に振動センサ47によって検出された振動情報を「第nフレーム振動情報」と称する。その後、合成画像データ生成処理はステップST54へ移行する。
【0193】
ステップST54で、比較部62C3は、第nフレーム振動情報が予め定められた閾値より大きいか否かを判定する。ステップST54において、第nフレーム振動情報が閾値以下の場合には、判定が否定されて、合成画像データ生成処理はステップST56へ移行する。ステップST54において、第nフレーム振動情報が閾値より大きい場合には、判定が肯定されて、合成画像データ生成処理は、ステップST55へ移行する。
【0194】
ステップST55で、比較部62C3は、第nフレーム振動情報を振動情報埋め込み部62C1に出力する。振動情報埋め込み部62C1は、第nフレーム振動情報を第nフレーム画像データに埋め込んで第nフレーム振動情報埋め込み画像データを生成する。その後、合成画像データ生成処理はステップST56へ移行する。
【0195】
ステップST56で、振動情報埋め込み部62C1は、第nフレーム画像データ又は第nフレーム振動情報埋め込み画像データをメモリ64に記憶する。ステップST54で、第nフレーム振動情報が閾値以下であると判定された場合には、振動情報は第nフレーム画像データに埋め込まれないので、振動情報埋め込み部62C1は、振動情報を含まない第nフレーム画像データをメモリ64に記憶する。一方、ステップST54で、第nフレーム振動情報が閾値を超えていると判断された場合には、ステップST55で振動情報が第nフレーム画像データに埋め込まれるので、振動情報埋め込み部62C1は、第nフレーム振動情報埋め込み画像データをメモリ64に記憶する。その後、合成画像データ生成処理はステップST57へ移行する。
【0196】
ステップST57で、振れ補正部62C2は、ステップST56でメモリ64に記憶された第nフレーム画像データ又は第nフレーム振動情報埋め込み画像データを、メモリ64から読み出す。その後、合成画像データ生成処理はステップST58へ移行する。
【0197】
ステップST58で、振れ補正部62C2は、メモリ64から読み出した画像データが振動情報を含んでいるか否かを判断する。ステップST58において、メモリ64から読み出した画像データが第nフレーム画像データの場合には、振動情報を含んでいないので、判定が否定されて、合成画像データ生成処理はステップST61へ移行する。ステップST58において、メモリ64から読み出した画像データが第nフレーム振動情報埋め込み画像データの場合には、振動情報を含んでいるので、判定が肯定されて、合成画像データ生成処理はステップST59へ移行する。
【0198】
ステップST59で、振れ補正部62C2は、第nフレーム振動情報埋め込み画像データに含まれている振動情報に基づいて、第nフレーム振動情報埋め込み画像データに対して振れ補正処理を行う。その後、合成画像データ生成処理はステップST60へ移行する。
【0199】
ステップST60で、振れ補正部62C2は、ステップST59において振れ補正処理を行うことで生成された第nフレーム振れ補正画像データをメモリ64に記憶する。その後、合成画像データ生成処理はステップST61へ移行する。
【0200】
ステップST61で、処理回路62は、変数nが4であるか否かを判定する。ステップST61において、変数nが4である場合には、判定が肯定されて、合成画像データ生成処理はステップST63へ移行する。ステップST61において、変数nが4でない場合には、判定が否定されて、合成画像データ生成処理はステップST62へ移行する。
【0201】
ステップST62で、処理回路62は、変数nを1だけ増加させる。その後、合成画像データ生成処理はステップST52へ移行する。従って、変数nを1から4まで変化させながら、ステップST52からステップST60の処理が繰り返し実行される。
【0202】
ステップST63で、画像合成部62C4は、4フレームの合成用画像データをメモリ64から読み出す。その後、合成画像データ生成処理はステップST64へ移行する。
【0203】
ステップST64で、画像合成部62C4は、4フレームの合成用画像データに対して画像合成処理を行う。その後、合成画像データ生成処理はステップST65へ移行する。
【0204】
ステップST65で、画像合成部62C4は、ステップST64において生成された合成画像データをメモリ64に記憶する。その後、合成画像データ生成処理はステップST66へ移行する。
【0205】
ステップST66で、画像合成部62C4は、合成画像データをメモリ64から読み出して、読み出した合成画像データを、出力回路62Dを介して信号処理部50に出力する。その後、合成画像データ生成処理はステップST67へ移行する。
【0206】
ステップST67で、画像合成部62C4は、合成画像データ生成処理を終了する条件(以下、「合成画像データ生成処理終了条件」と称する)を満足したか否かを判定する。合成画像データ生成処理終了条件としては、例えば、合成画像データ生成処理を終了させる指示が受付デバイス84(
図4参照)によって受け付けられた、との条件が挙げられる。ステップST67において、合成画像データ生成処理終了条件を満足していない場合には、判定が否定されて、合成画像データ生成処理はステップST50へ移行する。ステップST67において、合成画像データ生成処理終了条件を満足した場合には、判定が肯定されて、合成画像データ生成処理が終了する。
【0207】
以上説明したように、本第4実施形態による撮像素子44によれば、処理回路62は、出力フレームレートよりも高い高速撮像フレームレートで撮像されたデジタル画像データに対して画像データ処理を行う。画像データ処理は、デジタル画像データを取得する取得処理と、振動情報を受け付ける受付処理と、振動情報をデジタル画像データに埋め込むことで振動情報埋め込み画像データを生成する生成処理と、振動情報埋め込み画像データに埋め込まれている振動情報に基づいて、振動情報埋め込み画像データに対する振れを補正する振れ補正処理と、を含む。従って、高速撮像フレームレートで撮像されることで得られたデジタル画像データに対して、振れ補正処理を含む画像データ処理を行うことができる。
【0208】
また、本第4実施形態による撮像素子44によれば、処理回路62は、フレーム出力期間内に、振れ補正処理後の複数フレームの合成用画像データを合成することで、1フレームの合成画像データを生成して出力する。従って、複数フレームの合成用画像データが合成されない場合に比べ、品質の良い画像データを出力することができる。
【0209】
なお、上記第4実施形態では、
図22において、振動情報が連続的なアナログのデータとして描かれているが、本開示の技術はこれに限定されない。振動センサ47は、各フレームの露光時間に同期して、フレーム単位で1つ又は複数の振動情報の値を取得し、比較部62C3は、取得された振動情報の値を閾値と比較してもよい。
【0210】
また、本第4実施形態では、予め定められた閾値を有する比較部62C3が処理回路62に備えられており、比較部62C3によって振動情報が閾値を超えたと判定された場合に、振動情報埋め込み部62C1が、振動情報を、対応するデジタル画像データに埋め込んだが、本開示の技術はこれに限定されない。振動情報埋め込み部62C1は、上記第1実施形態と同様に、振動情報をフレーム単位で取得し、振動情報の大小に関わらず、取得した振動情報を、対応するデジタル画像データに埋め込んでもよい。
【0211】
また、本第4実施形態では、閾値は、撮像素子44に与えられた角速度に対する値であったが、本開示の技術はこれに限定されない。振動情報として、加速度、角度の積分値、加速度の積分値、又は振れ補正量が採用される場合には、各々の種類に応じた値が閾値として設けられる。
【0212】
また、本第4実施形態では、撮像装置10に光学式振れ補正機構96が設けられているが、本開示の技術はこれに限定されず、光学式振れ補正機構96を設けなくてもよい。
【0213】
[第5実施形態]
本第5実施形態に係る撮像装置10は、上記第1実施形態に係る撮像素子44と同様の撮像素子44を備えている。但し、本第5実施形態による撮像素子44の制御回路62Cは振れ補正部62C2を備えておらず(
図7参照)、処理回路62は、振動情報に基づく振れ補正処理を行わない。処理回路62は、振動情報埋め込み画像データを後段の信号処理部50を介してコントローラ46に出力する。本第5実施形態に係る撮像素子44のその他の構成は、上記第1実施形態に係る撮像素子44と同じであるので、その説明を省略する。
【0214】
一例として
図24に示すように、第5実施形態による撮像装置10において、ストレージ46Bには、振れ補正画像データ生成プログラムが記憶されている。CPU46Aは、ストレージ46Bから振れ補正画像データ生成プログラムを読み出し、読み出した振れ補正画像データ生成プログラムをメモリ46C上で実行する。CPU46Aは、メモリ46C上で実行する振れ補正画像データ生成プログラムに従って画像データ取得部46A1、特定被写体検出部46A2、特定被写体位置情報取得部46A3、及び振れ補正部46A4として動作する。CPU46Aは、画像データ取得部46A1、特定被写体検出部46A2、特定被写体位置情報取得部46A3、及び振れ補正部46A4として動作することで、振れ補正画像データ生成処理を実行する。ここで、CPU46Aは、本開示の技術に係る「第2プロセッサ」の一例である。
【0215】
画像データ取得部46A1は、撮像素子44のメモリ64に記憶された振動情報埋め込み画像データを出力回路62D、信号処理部50、及び第1通信I/F46D1を介して取得する。一例として
図25に示すように、振動情報埋め込み画像データは複数ラインの画素ラインデータを含み、複数ラインの画素ラインデータの各々の先頭には、各画素ラインの露光期間に取得された振動情報が埋め込まれている。振動情報埋め込み画像データ及び振動情報については、上記第1実施形態で説明したので、ここでは説明を省略する。
【0216】
特定被写体検出部46A2は、振動情報埋め込み画像データに基づいて、特定被写体を検出する。ここでは、特定被写体を検出する方法として、パターンマッチングが採用されている。なお、ここで、特定被写体は、本開示の技術に係る「特定被写体」の一例である。
【0217】
特定被写体位置情報取得部46A3は、特定被写体検出部46A2で検出された特定被写体を含む領域の位置情報を、特定被写体位置情報として取得する。
図25に示す例では、人物の顔が特定被写体として特定被写体検出部46A2により検出されており、特定被写体を囲む矩形の領域がハッチングで示されている。特定被写体位置情報取得部46A3は、ハッチングで示された領域の位置情報を、特定被写体位置情報として取得する。特定被写体位置情報は、矩形領域の対角線上にある2つの画素、例えば、左上と右下の画素の座標である。ここで、特定被写体位置情報は、本開示の技術に係る「特定被写体位置情報」の一例である。
【0218】
振れ補正部46A4は、振動情報埋め込み画像データと、特定被写体位置情報とを取得し、特定被写体位置情報に基づいて、特定被写体の位置が複数の画素ラインのうちのどの画素ラインに対応しているかを検出する。例えば、
図25に示す例では、特定被写体の位置は、第3画素ラインから第7画素ラインに対応している。
【0219】
この場合、振れ補正部46A4は、振動情報埋め込み画像データから、第3~第7画素ラインデータの先頭に埋め込まれた第3~第7画素ライン振動情報を取得し、第3~第7画素ライン振動情報の平均値を算出する。振れ補正部46A4は、算出した平均値に基づいて、振動情報埋め込み画像データに対して振れ補正処理を行う。
【0220】
以上説明したように、本第5実施形態による撮像装置10は、撮像素子44と、撮像素子44の後段に設けられ、撮像素子44から振動情報埋め込み画像データが入力されるCPU46Aとを備える。振動情報埋め込み画像データは、複数ラインの画素ラインデータを含み、複数ラインの画素ラインデータの各々の先頭に振動情報が埋め込まれている。特定被写体位置情報取得部46A3は、振動情報埋め込み画像データに基づいて、特定被写体の位置を示す特定被写体位置情報を取得する。振れ補正部46A4は、複数ラインの画素ラインデータのうち、特定被写体位置情報に対応する画素ラインに埋め込まれている振動情報に基づいて、振動情報埋め込み画像データに対して振れ補正処理を行う。従って、振れ補正処理が後段回路のCPU46Aで行われるので、振れ補正処理が撮像素子44内の処理回路62で行われる場合に比べ、処理回路62の負荷を軽減することができる。
【0221】
なお、本第5実施形態では、特定被写体を検出する方法として、パターンマッチングが用いられたが、本開示の技術はこれに限定されない。特定被写体検出部46A2は、画像のコントラスト又は機械学習を用いて特定被写体を検出してもよい。
【0222】
また、本第5実施形態では、特定被写体位置情報は、矩形領域の対角線上にある2つの画素、例えば、左上と右下の画素の座標であったが、本開示の技術はこれに限定されない。特定被写体位置情報は、矩形領域の対角線上にある左下と右上の画素の座標であってもよい。また、特定被写体位置情報は、矩形領域の左上の画素の座標、及び矩形領域の4辺のうちの隣り合う2辺各々の画素数であってもよい。
【0223】
また、本第5実施形態では、特定被写体位置情報は、矩形ではなく、円形又は楕円形等、特定被写体を囲む任意の図形の位置情報であってもよい。特定被写体位置情報が、円形で表される図形の位置情報である場合、特定被写体位置情報は、円の中心に相当する画素の座標と、半径に相当する画素数を含む情報であってもよい。
【0224】
また、本第5実施形態では、ストレージ46Bに振れ補正画像データ生成プログラムが記憶されているが、本開示の技術はこれに限定されない。一例として
図26に示すように、コントローラ46に内蔵されたコンピュータ98に、上述した振れ補正画像データ生成処理を実行させるための振れ補正画像データ生成プログラムを記憶媒体100に記憶させておく。
【0225】
図26に示すように、コンピュータ98は、CPU46A、ストレージ46B、及びメモリ46Cを備えている。記憶媒体100に記憶されている振れ補正画像データ生成プログラムは、コンピュータ98にインストールされる。CPU46Aは、振れ補正画像データ生成プログラムに従って、上述した振れ補正画像データ生成処理を実行する。
【0226】
ここでは、CPU46Aとして、単数のCPUを例示しているが、本開示の技術はこれに限定されず、CPU46Aに代えて複数のCPUを採用してもよい。なお、記憶媒体100の一例としては、フラッシュメモリカード、SSD又はUSBメモリなどの任意の可搬型の記憶媒体が挙げられる。
【0227】
また、通信網(図示省略)を介してコンピュータ98に接続される他のコンピュータ又はサーバ装置等の記憶部に振れ補正画像データ生成プログラムを記憶させておき、撮像装置10の要求に応じて振れ補正画像データ生成プログラムがコンピュータ98にダウンロードされるようにしてもよい。この場合、ダウンロードされた振れ補正画像データ生成プログラムがコンピュータ98のCPU46Aによって実行される。
【0228】
なお、上記各実施形態では、振動情報が画素ラインデータの先頭、又はデジタル画像データの特定の位置に埋め込まれる場合について説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。振動情報は、画素ラインデータ又はデジタル画像データの特定の位置に予め設けられたビット領域に付与又は付加されるのであれば、その方法及び形式は特に限定されない。
【0229】
また、上記各実施形態では、第1通信I/F46D1及び第2通信I/F46D2の通信規格としてPCI-eを例示したが、本開示の技術はこれに限定されない。第1通信I/F46D1及び第2通信I/F46D2は、例えば、MIPI、LVDS、SATA、又はSLVS-EC等を含む他の通信規格を採用してもよい。また、第1通信I/F46D1と第2通信I/F46D2とが、それぞれ別々の通信規格を採用してもよい。
【0230】
また、上記各実施形態では、処理回路62がASIC及びFPGAを含むデバイスによって実現される形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、上述した撮像処理は、コンピュータによるソフトウェア構成により実現されるようにしてもよい。
【0231】
一例として
図27に示すように、撮像素子44の処理回路62はコンピュータ102を内蔵している。振れ補正画像データ生成処理及び合成画像データ生成処理を実行させるためのプログラムは、記憶媒体104に記憶されている。
【0232】
コンピュータ102は、CPU102A、ストレージ102B、及びメモリ102Cを備えている。そして、記憶媒体に記憶されているプログラムは、コンピュータ102にインストールされる。CPU102Aは、プログラムに従って、上述した振れ補正画像データ生成処理及び合成画像データ生成処理を実行する。
【0233】
CPU102Aは、単数のCPUに限定されず、複数のCPUを採用してもよい。なお、記憶媒体104の一例としては、フラッシュメモリカード、SSD又はUSBメモリなどの任意の可搬型の記憶媒体が挙げられる。
【0234】
記憶媒体104にプログラムを記憶する代わりに、例えば、ストレージ102Bにプログラムを予め記憶させておいてもよい。CPU102Aがストレージ102Bからプログラムを読み出し、メモリ102C上でプログラムを実行するようにしてもよい。また、ストレージ102Bとメモリ102Cを同一の媒体、例えばメモリで実現してもよい。
【0235】
また、通信網(図示省略)を介してコンピュータ102に接続される他のコンピュータ又はサーバ装置等の記憶部にプログラムを記憶させておき、撮像装置10の要求に応じてプログラムがコンピュータ102にダウンロードされるようにしてもよい。この場合、ダウンロードされたプログラムがコンピュータ102のCPU102Aによって実行される。
【0236】
また、コンピュータは、撮像素子44の外部に設けられるようにしてもよい。この場合、コンピュータがプログラムに従って処理回路62を制御するようにすればよい。
【0237】
上記各実施形態で説明した振れ補正画像データ生成処理及び合成画像データ生成処理(以下、「各種処理」と称する)を実行するハードウェア資源としては、次に示す各種のプロセッサを用いることができる。プロセッサとしては、例えば、上述したように、ソフトウェア、すなわち、プログラムを実行することで、各種処理を実行するハードウェア資源として機能する汎用的なプロセッサであるCPUが挙げられる。また、プロセッサとしては、例えば、FPGA、PLD、又はASICなどの特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路が挙げられる。
【0238】
各種処理を実行するハードウェア資源は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせ、又はCPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、各種処理を実行するハードウェア資源は1つのプロセッサであってもよい。
【0239】
1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアント及びサーバなどのコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが、撮像装置内処理を実行するハードウェア資源として機能する形態がある。第2に、SoCなどに代表されるように、各種処理を実行する複数のハードウェア資源を含むシステム全体の機能を1つのICチップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、撮像装置内処理は、ハードウェア資源として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて実現される。
【0240】
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路を用いることができる。
【0241】
また、上記各実施形態では、撮像装置10としてレンズ交換式カメラを例示したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、スマートデバイスに対して本開示の技術を適用するようにしてもよい。スマートデバイスには、上記実施形態で説明した撮像素子44が搭載されている。このように構成されたスマートデバイスであっても、上記各実施形態で説明した撮像装置10と同様の作用及び効果が得られる。なお、スマートデバイスに限らず、パーソナル・コンピュータ又はウェアラブル端末装置に対しても本開示の技術は適用可能である。
【0242】
また、上記の各種処理はあくまでも一例である。従って、主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよいことは言うまでもない。
【0243】
以上に示した記載内容及び図示内容は、本開示の技術に係る部分についての詳細な説明であり、本開示の技術の一例に過ぎない。例えば、上記の構成、機能、作用、及び効果に関する説明は、本開示の技術に係る部分の構成、機能、作用、及び効果の一例に関する説明である。よって、本開示の技術の主旨を逸脱しない範囲内において、以上に示した記載内容及び図示内容に対して、不要な部分を削除したり、新たな要素を追加したり、置き換えたりしてもよいことは言うまでもない。また、錯綜を回避し、本開示の技術に係る部分の理解を容易にするために、以上に示した記載内容及び図示内容では、本開示の技術の実施を可能にする上で特に説明を要しない技術常識等に関する説明は省略されている。
【0244】
本明細書において、「A及び/又はB」は、「A及びBのうちの少なくとも1つ」と同義である。つまり、「A及び/又はB」は、Aだけであってもよいし、Bだけであってもよいし、A及びBの組み合わせであってもよい、という意味である。また、本明細書において、3つ以上の事柄を「及び/又は」で結び付けて表現する場合も、「A及び/又はB」と同様の考え方が適用される。
【0245】
本明細書に記載された全ての文献、特許出願及び技術規格は、個々の文献、特許出願及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。