IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 国立大学法人 長崎大学の特許一覧 ▶ 株式会社トクヤマの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179533
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】カルボニル化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 45/30 20060101AFI20231212BHJP
   C07C 49/78 20060101ALI20231212BHJP
   C07C 51/29 20060101ALI20231212BHJP
   C07D 203/24 20060101ALI20231212BHJP
   B01J 31/02 20060101ALI20231212BHJP
   C07C 47/11 20060101ALI20231212BHJP
   C07C 47/02 20060101ALN20231212BHJP
   C07C 53/126 20060101ALN20231212BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20231212BHJP
【FI】
C07C45/30
C07C49/78
C07C51/29
C07D203/24
B01J31/02 102Z
C07C47/11
C07C47/02
C07C53/126
C07B61/00 300
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023157438
(22)【出願日】2023-09-22
(62)【分割の表示】P 2019109306の分割
【原出願日】2019-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】504205521
【氏名又は名称】国立大学法人 長崎大学
(71)【出願人】
【識別番号】000003182
【氏名又は名称】株式会社トクヤマ
(72)【発明者】
【氏名】尾野村 治
(72)【発明者】
【氏名】栗山 正巳
(72)【発明者】
【氏名】山本 耕介
(72)【発明者】
【氏名】菊池 直登
(72)【発明者】
【氏名】本山 (上原) 杏梨
(72)【発明者】
【氏名】楠本 悠紀
(72)【発明者】
【氏名】森脇 正之
(72)【発明者】
【氏名】角田 大
(57)【要約】
【課題】 第一または第二アルコール化合物を酸化してカルボニル化合物を得る方法を、次亜塩素酸ソーダを酸化剤として用いる方法よりもより高い収率で実施すること。
【解決手段】 第一または第二アルコール化合物を、次亜塩素酸テトラアルキルアンモニウムの存在下、好適には、さらにニトロキシラジカル触媒及びハロゲン化金属系助触媒の共存下に酸化させて、アルデヒド化合物、カルボン酸化合物、ケトン化合物からなるカルボニル化合物を製造させる。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機溶媒中、第一または第二アルコール化合物を、次亜塩素酸テトラアルキルアンモニウムの存在下に酸化させることを特徴とする、カルボニル化合物の製造方法。
【請求項2】
第一または第二アルコール化合物の、次亜塩素酸テトラアルキルアンモニウムの存在下での酸化を、さらに、ニトロキシラジカル触媒及びハロゲン化金属系助触媒の共存下に実施する、請求項1記載のカルボニル化合物の製造方法。
【請求項3】
第一アルコール化合物を酸化して、アルデヒド化合物及び/又はカルボン酸化合物を生成させる、請求項1記載のカルボニル化合物の製造方法。
【請求項4】
第一アルコールが、アルキルアルコールの2位の炭素に、保護基で保護されたアミノ基が結合したアミノアルコールである、請求項3記載のカルボニル化合物の製造方法。
【請求項5】
アルキルアルコールが、アルキル基の末端炭素に芳香族炭化水素基が結合した構造である、請求項4記載のカルボニル化合物の製造方法。
【請求項6】
アルキルアルコールの2位の炭素に、保護基で保護されたアミノ基が結合したアミノアルコールが、該2位の炭素と、保護基で保護されたアミノ基の窒素原子との間で、アジリジン環が形成された構造である、請求項4記載のカルボニル化合物の製造方法。
【請求項7】
アミノ基の保護基が、トシル基である、請求項4~6のいずれか一項に記載のカルボニル化合物の製造方法。
【請求項8】
次亜塩素酸テトラアルキルアンモニウムが、次亜塩素酸テトラメチルアンモニウムまたは次亜塩素酸テトラエチルアンモニウムである、請求項1~7のいずれか一項に記載のカルボニル化合物の製造方法。
【請求項9】
ニトロキシラジカル触媒が、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル系触媒、または2-アザアダマンタン-N-オキシル化合物系触媒である、請求項2~8のいずれか一項に記載のカルボニル化合物の製造方法。
【請求項10】
ハロゲン化金属系助触媒が、臭化カリウムである、請求項2~9のいずれか一項に記載のカルボニル化合物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルボニル化合物の製造方法、詳しくは、第一または第二アルコール化合物を反応原料とし、これを酸化させるカルボニル化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、第一または第二アルコール化合物を反応原料とし、これを酸化させて、アルデヒド化合物、カルボン酸化合物、またはケトン化合物等のカルボニル化合物を製造することが知られている。上記反応を遂行させるためには、酸化剤の使用が必要であるが、例えば、次亜塩素酸ソーダは、比較的安価な化合物で、簡便に反応を実行できる等の理由から、その水溶液を用いた報告がある(例えば、非特許文献1,及び特許文献1~4参照)。さらに、次亜塩素酸ソーダに代えて、次亜塩素酸ソーダ五水和物を用いて、その反応性を高めることも知られている(特許文献5)
これらの次亜塩素酸ソーダ類よる酸化では、触媒として、TEMPO(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル)や、AZADO(2-アザアダマンタン-N-オキシル)のニトロキシラジカル触媒を使用することが有効とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】P.L.Anelli,et al.,J.Org.Chem. 1987, 52, 2559-2562
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第04809229号公報
【特許文献2】特許第04803074号公報
【特許文献3】特表2002-511440号公報
【特許文献4】特表2006-517584号公報
【特許文献5】特開2015-63504号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記次亜塩素酸ソーダ類を用いての、前記アルコール化合物の酸化反応は、上記ニトロキシラジカル触媒と組合せて反応を実施したとしても、得られるカルボニル化合物の収率において、今一歩満足できなかった。よって、さらにその反応性を高めることが求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、上記課題に鑑み、第一または第二アルコール化合物の酸化反応を高い収率で実施する方法を開発すべく、鋭意研究を続けてきた。その結果、次亜塩素酸テトラアルキルアンモニウムの存在下で反応を進行させることにより、上記の課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明は、有機溶媒中、第一または第二アルコール化合物を、次亜塩素酸テトラアルキルアンモニウムの存在下に酸化させることを特徴とする、カルボニル化合物の製造方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、第一または第二アルコール化合物を原料に、次亜塩素酸テトラアルキルアンモニウムを用いた酸化反応により、対応するカルボニル化合物を簡便に高い反応性で有機合成できる。この反応は、触媒として、ニトロキシラジカル触媒及びハロゲン化金属系助触媒の共存下に実施することにより、一層に収率を向上させることができ、工業的に極めて有用である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施の形態について、以下に詳細に説明する。ただし、本発明はこれらの形態に限定されるものではない。
【0010】
本発明の製造方法では、原料として、第一または第二アルコール化合物を用いる(以下、単に「アルコール化合物」とも略する)。係る第一または第二アルコール化合物は、公知のものが特に制限なく適用できる。これらアルコール化合物は、脂肪族アルコール及び芳香族アルコールのいずれであっても良いが、好適には一般式(1)
【0011】
【化1】
【0012】
(式中、R はアルキル基、芳香族炭化水素基、または脂環式炭化水素基であり、Rはアルキル基、芳香族炭化水素基、脂環式炭化水素基、または水素原子であり、R及びRは一緒になって脂肪族炭化水素環を形成していてもよい)
で示す化合物であるのが好ましい。ここで、上記アルコール化合物は、Rが水素原子の場合に第一アルコールになり、Rがアルキル基、芳香族炭化水素基、または脂環式炭化水素基の場合に第二アルコールになる。
【0013】
一般式(1)において、R、Rのアルキル基は、直鎖状でも分岐状でもよく、例えば、炭素数1~20のアルキル基が挙げられる。このようなアルキル基として、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、イソペンチル基、2-メチルブチル基、1-エチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、4-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、1-メチルペンチル基、3,3-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、1,1-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、1-エチルブチル基、2-エチルブチル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、セチル基、ステアリル基等が挙げられる。上記アルキル基の炭素数は1~12が好ましく、1~6の低級アルキル基がより好ましく、メチル基であるのが最も好ましい。
【0014】
また、芳香族炭化水素基は、例えば炭素数6~20の基が挙げられ、具体的には、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、アントリル基、フェナンスリル基、2-ビフェニル基、3-ビフェニル基、4-ビフェニル基、ターフェニル基等が挙げられ、フェニル基が特に好ましい。
【0015】
さらに、脂環式炭化水素基は、例えば炭素数が3~20とすればよく、5~15が好ましく、6~12がより好ましい。具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、メチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等の単環式基,アダマンチル基、ビシクロ(2,2,1)ヘプチル基等の有橋脂環基が挙げられ、このうちシクロヘキシル基が特に好ましい。また、これらの脂環基は、芳香族炭化水素環や、さらに他の脂肪族炭化水素環が縮合した縮合脂環基であっても良い。
【0016】
さらに、これらのR及びRは一緒になって脂肪族炭化水素環を形成していてもよい。こうしたR及びRが一緒になって形成される脂肪族炭化水素環は、前記R、Rで示した脂環式炭化水素基に対応するスピロ環が挙げられ、特には、シクロアルキル環や、これに芳香族環や、他の脂肪族環が縮合した縮合脂肪族環が好ましい。
【0017】
前記R、Rがアルキル基の場合において、該アルキル基は置換基を有していても良い。こうした置換基としては、ハロゲン原子(好ましくは、塩素原子)、保護基で保護されたアミノ基、前記で示した芳香族炭化水素基または脂環式炭化水素基等が挙げられる。特に、末端炭素に芳香族炭化水素基が結合したアリールアルキル基であるのが好ましい。
【0018】
さらに、R、Rが芳香族炭化水素基または脂環式炭化水素基の場合において、これら基も置換基を有していても良く、こうした置換基としては、前記で示したアルキル基や、ハロゲン原子(好ましくは、塩素原子)、チオ基、水酸基等が挙げられる。
【0019】
本発明の方法では、こうしたアルコール化合物を、次亜塩素酸テトラアルキルアンモニウムの存在下に酸化させて、カルボニル化合物を生成させる。得られるカルボニル化合物は、反応原料のアルコール化合物が第一アルコールであれば、これが酸化されたアルデヒド化合物、例えば、一般式(2)
【0020】
【化2】
【0021】
(式中、Rは、前記一般式(1)と同じである)
になり、さらに酸化が進行した場合には、その少なくとも一部がカルボン酸化合物、例えば、一般式(3)
【0022】
【化3】
【0023】
(式中、Rは、前記一般式(1)と同じである)
に置き換わる。酸化反応が、アルデヒド化合物で留まるか、或いはカルボン酸化合物にまでどの程度進行するかは、原料の第一アルコールの構造によって異なり、一概には決定されない。
【0024】
他方で、反応原料のアルコール化合物が第二アルコールであれば、これが酸化されたケトン化合物、例えば、一般式(4)
【0025】
【化4】
【0026】
(式中、R及びRは、前記一般式(1)と同じである)
になる。
【0027】
酸化に存在させる次亜塩素酸テトラアルキルアンモニウムは、アルキル基として、メチル基、エチル基等の炭素数1~5のものを有するものが好適である。このような次亜塩素酸テトラアルキルアンモニウムとしては、次亜塩素酸テトラメチルアンモニウム、次亜塩素酸テトラエチルアンモニウム、次亜塩素酸テトラプロピルアンモニウム、次亜塩素酸テトラブチルアンモニウム等が例示され、次亜塩素酸テトラメチルアンモニウム及び次亜塩素酸テトラエチルアンモニウムが特に好ましい。これら次亜塩素酸テトラアルキルアンモニウムは、2種以上を混合して使用することもできる。
【0028】
上記次亜塩素酸テトラアルキルアンモニウムは、如何なる製造方法によって得られたものを用いても良く、具体的には、テトラアルキルアンモニウム水酸化物溶液に塩素ガスを吹き込んで当該目的化合物を生成させる塩素化法や、テトラアルキルアンモニウム水酸化物溶液をイオン交換樹脂に通過させてテトラアルキルアンモニウムに置換し、次いで次亜塩素酸ナトリウム等の次亜塩素酸塩溶液を通過させることで、当該目的化合物を溶離させるイオン交換樹脂法で得られたものが好ましい。これら製法に由来して、これら次亜塩素酸テトラアルキルアンモニウムには、テトラアルキルアンモニウムクロリドやテトラアルキルアンモニウム水酸化物等が混存していても良い。
【0029】
次亜塩素酸テトラアルキルアンモニウムの使用量は、特に制限されるものではないが、アルコール化合物の1モルに対して等モル以上が好ましい。目的とするカルボニル化合物を高収量で得る観点から、より好ましくは1~6モルであり、特に好ましくは1.2~5モルである。
【0030】
上記アルコール化合物の酸化反応を実施するための溶媒は、係る原料化合物を溶解させる有機溶媒において、該有機溶媒自体が、酸化剤の次亜塩素酸テトラアルキルアンモニウムに酸化されにくいものが使用される。具体的には、ジクロロメタン、クロロホルム、エチレンジクロリド等のハロゲン系溶媒や、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒や、アセトニトリル、ピロピオニトリル等の脂肪族ニトリル系溶媒、例えばニトロベンゼン、ベンゾトリフルオリド、4-クロロベンゾトリフルオリド等の電子不足型の芳香族系溶媒等を例示でき、好適にはハロゲン系溶媒であり、特に好適にはジクロロメタンである。これらは2種以上を混合して使用しても良い。さらに、ハロゲン系溶媒は、アルコール、酸化剤等を溶解させるとの理由から、少量の水、具体的には、ハロゲン系溶媒1モルに対して、水を0.5~20モル混合させて用いるのが好適態様である。
【0031】
溶媒の好適な使用量は、溶媒1mlに対して、原料化合物を0.02~0.5mmol、より好適には0.03~0.4mmol溶解させる量である。
【0032】
前記第一または第二アルコール化合物の、次亜塩素酸テトラアルキルアンモニウムの存在下での酸化反応は、さらに、ニトロキシラジカル触媒及びハロゲン化金属系助触媒の共存下に実施することで、その反応性を大きく高めることができる。特に、該アルコール化合物の酸化反応は、第一アルコールよりも、第二アルコールにおいて反応性がより高い。従って、第二アルコールの場合には、前記次亜塩素酸テトラアルキルアンモニウムを存在させるだけで、ある程度の収率の高さで目的とするカルボニル化合物を得ることができるが、これが第一アルコールの場合には、十分な収率で当該目的化合物を得ることができないことが多く、上記ニトロキシラジカル触媒及びハロゲン化金属系助触媒の共存させるのが望ましい。
【0033】
上記ニトロキシラジカル触媒としては、ニトロキシラジカル部位をもつフリーラジカル化合物として公知のものが制限無く使用できる。具体的には、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(TEMPO)、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル、4-メトキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル等のTEMPO系触媒;2-アザアダマンタン-N-ヒドロキシル(AZADO)、2-アザアダマンタン-N-オキシル、1-メチル-2-アザアダマンタン-N-オキシル、9-アザノルアダマンタン-N-オキシル、1,5-ジメチル-9-アザノルアダマンタン-N-オキシル等のAZADO系触媒、及びアザビシクロ[3,3,1]ノナン-N-オキシル化合物等を例示することができ、特に、AZADO系触媒が、第一アルコールに対する酸化反応の活性化作用が高く好ましい。これらニトロキシラジカル触媒は、その1 種のみを単独で使用できるほか、2 種以上の混合物として使用することもできる。
【0034】
上記ニトロキシルラジカル触媒の使用量は、いわゆる触媒量の使用量でよく、アルコール化合物1モルに対して、通常0.00001~0.1モル、好ましくは0.001~0.01モルの範囲で使用される。
【0035】
他方、ハロゲン化金属系助触媒は、代表的にはハロゲン原子とアルカリ金属またはアルカリ土類金属との塩が挙げられる。好適なハロゲン化金属を例示すれば、ヨウ化カリウム、ヨウ化カルシウム等のヨウ化物;臭化カリウム、臭化カルシウム等の臭化物;塩化カルシウム等の塩化物を挙げることができる。これらハロゲン化金属塩は各々単一で使用しても、2 種以上を混合して使用してもよい。
【0036】
上記ハロゲン化金属系助触媒の使用量は、特に制限はないが、大過剰に使用しても使用量に見合った効果が得られなく、あまり量が少ないと十分な酸化反応向上効果が得られないため、アルコール化合物1モルに対して、通常0.01~10モル、好ましくは0.05~2モルの範囲で使用される。
【0037】
前記したように、本発明のアルコール化合物の酸化反応は、次亜塩素酸テトラアルキルアンモニウムに加えて、ニトロキシラジカル触媒及びハロゲン化金属系助触媒の共存下に実施すれば、該反応性が低い第一アルコールにおいても、その収率を大きく高めることができ有用である。特に、第一アルコールにおいて、アルキルアルコールの2位の炭素に、保護基で保護されたアミノ基が結合したアミノアルコールを原料とした場合には、医薬品、農薬、香料などの生理活性物質の中間体化合物として有用なアミノアルデヒド、アミノカルボン酸を高収率で得ることを可能にするため好ましい。上記アミノアルコールは、アルキルアルコールにおいて、アルキル基の末端炭素に芳香族炭化水素基が結合した構造のものが前記有用性に優れる。
【0038】
特に、一般式(5)
【0039】
【化5】
【0040】
(式中、R は芳香族炭化水素基であり、Rはアルキル基、芳香族炭化水素基、脂環式炭化水素基、または水素原子であり、Aはアミノ基の保護基であり、nは1~6の整数である)
で示されるアミノアルコールは、不斉炭素原子を有しており、これを原料とすれば、一般式(6)
【0041】
【化6】
【0042】
(式中、R 、R、A、及びnは、前記一般式(5)と同じである)
で示されるアミノアルデヒドと
一般式(7)
【0043】
【化7】
【0044】
(式中、R 、R、A、及びnは、前記一般式(5)と同じである)で示されるアミノカルボン酸とが得られ、光学活性物質の合成法として展開でき価値が高い。
【0045】
ここで、R及びRの芳香族炭化水素基は、前記一般式(1)のR及びRで示したものと同様の基が挙げられ、フェニル基が特に好ましい。同じく、Rのアルキル基、及び脂環式炭化水素基も、前記一般式(1)のR及びRで示したものと同様の基が挙げられ、メチル基等のアルキル基が特に好ましい。
【0046】
また、Aで示されるアミノ基の保護基は、該アミノ基を不活性な官能基に変換しうる公知の基が適宜採択でき、例えば、メチル基; アリル基; tert-ブチル基; ベンジル基;p-ニトロベンジル基;アセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、トリフルオロアセチル基などのアシル基系保護基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基系保護基; トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、tert-ブチルジフェニルシリル基などのシリル基系保護基;メシル基、トシル基、p-ニトロベンゼンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基などのスルホニル基系保護基などが挙げられる。このうちスルホニル基系保護基が好ましく、トシル基が最も好ましい。
【0047】
前記一般式(5)において、nは1~6の整数であり、1~4であるのが特に好ましい。
【0048】
また、第一アルコールとして、前記アルキルアルコールの2位の炭素に、保護基で保護されたアミノ基が結合したアミノアルコールを使用する場合、該アミノアルコールは、2位の炭素と、保護基で保護されたアミノ基の窒素原子との間で、アジリジン環が形成された構造であっても良い。アルコールの酸化反応が進行しても、上記アジリジン環は良好に維持され、対応するアジリジン環含有アルデヒド、カルボン酸が収率良く得られる。従って、この方法も、光学活性物質の合成法として適用でき有用である。具体的には、一般式(8)
【0049】
【化8】
【0050】
(式中、Rはアルキル基、芳香族炭化水素基、脂環式炭化水素基、または水素原子であり、Aはアミノ基の保護基である)
で示されるアジリジン環含有アルコールをとして用い、一般式(9)
【0051】
【化9】
【0052】
(式中、R及びAは、前記一般式(8)と同じである)
で示されるアジリジン環含有アルデヒドと一般式(10)
【0053】
【化10】
【0054】
(式中、R及びAは、前記一般式(8)と同じである)
で示されるアジリジン環含有カルボン酸を得る反応である。
【0055】
以上の酸化反応は、通常、0~50℃の反応温度で撹拌下に行われ、好ましくは0~35℃の反応温度で撹拌下に行われる。反応温度を60℃以上にすることは、次亜塩素酸テトラアルキルアンモニウムの分解反応と酸化反応との競争反応になり、次亜塩素酸テトラアルキルアンモニウムの使用量が増大するので好ましくなく、また、反応温度を反応系が固化しない程度の低温(0℃未満)まで下げることは、特別に設備的な対応が必要になるほか、反応速度の低下を招く等、かえって利点が少ない。
【0056】
反応時間は通常、0.2~8時間、より好ましくは0.5~4時間の範囲から採択される。
【実施例0057】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0058】
実施例1
酢酸エチル0.62mlを溶媒に、第二アルコールである、1-フェニルエタノールを0.5mmol、次亜塩素酸テトラメチルアンモニウムを1mmol、酢酸を1mmol仕込み、室温で2時間撹拌することで反応させた。
【0059】
得られた反応液について、生成物をH-NMRにより測定し、アセトフェノンが収率78%で得られることを確認した。
【0060】
実施例2
次亜塩素酸テトラメチルアンモニウムの代わりに、次亜塩素酸テトラエチルアンモニウムを用いる以外は実施例1と同様に行った。得られた反応液について、生成物をH-NMRにより測定し、アセトフェノンが収率89%で得られることを確認した。
【0061】
比較例1
次亜塩素酸テトラメチルアンモニウムの代わりに、次亜塩素酸ソーダ五水和物を用いる以外は実施例1と同様に行った。得られた反応液について、生成物をH-NMRにより測定し、アセトフェノンが収率57%で得られることを確認した。
【0062】
参考例3
ジクロロメタン1.3mlと水2.7mlの溶媒に、第一アルコールである、オクチルアルコールを0.5mmol、次亜塩素酸テトラメチルアンモニウムを1.25mmol、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル0.005mmol、臭化カリウム0.05mmol仕込み、室温で15時間撹拌することで反応させた。得られた反応液について、生成物をH-NMRにより測定し、オクタン酸が収率32%、オクチルアルデヒドが収率15%で得られることを確認した。
【0063】
参考例4
2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシルの代わりに2-ヒドロキシ-2-アザアダマンタンを用いて、室温で23時間撹拌する以外は実施例3と同様に行った。得られた反応液について、生成物をH-NMRにより測定し、オクタン酸が収率87%で得られることを確認した。
【0064】
参考例5
次亜塩素酸テトラメチルアンモニウムの代わりに、次亜塩素酸テトラエチルアルキルアンモニウムを用いる以外は実施例4と同様に行った。得られた反応液について、生成物をH-NMRにより測定し、オクタン酸が収率78%で得られることを確認した。
【0065】
比較例2
次亜塩素酸テトラエチルアンモニウムの代わりに、次亜塩素酸ソーダ五水和物を用いる以外は実施例5と同様に行った。得られた反応液について、生成物をH-NMRにより測定し、オクタン酸が収率12%、オクチルアルデヒドが収率5%で得られることを確認した。
【0066】
参考例6
ジクロロメタン1.3mlと水2.7mlの溶媒に、ベンジルアルコールを0.5mmol、次亜塩素酸テトラメチルアンモニウムを1.75mmol、2-ヒドロキシ-2-アザアダマンタン0.005mmol、臭化カリウム0.05mmol仕込み、室温で24時間撹拌することで反応させた。得られた反応液について、生成物をH-NMRにより測定し、安息香酸が収率62%、ベンズアルデヒドが収率26%で得られることを確認した。
【0067】
参考例7
第一アルコールとして、ベンジルアルコールの代わりに、ペンチルアルコールを用いる以外は実施例6と同様に行った。得られた反応液について、生成物をH-NMRにより測定し、ペンタン酸が収率95%で得れることを確認した。
【0068】
参考例8
第一アルコールとして、ベンジルアルコールの代わりに、ヘキシルアルコールを用いる以外は実施例6と同様に行った。得られた反応液について、生成物をH-NMRにより測定し、ヘキサン酸が収率83%、ヘキシルアルデヒドが僅かに検出されることを確認した。
【0069】
参考例9
第一アルコールとして、ベンジルアルコールの代わりに、ドデシルアルコールを用いる以外は実施例6と同様に行った。得られた反応液について、生成物をH-NMRにより測定し、ドデカン酸が収率95%で得られることを確認した。
【0070】
実施例10
酢酸エチル0.62mlの溶媒に、(2-メチル-1-トシルアジリジン-2-イル)メタノールを0.25mmol、次亜塩素酸テトラメチルアンモニウムを0.6mmol、2-ヒドロキシ-2-アザアダマンタン0.0025mmol、臭化カリウム0.025mmol仕込み、0℃で6.5時間撹拌することで反応させた。得られた反応液から、(2-メチル-1-トシルアジリジン-2-イル)カルボン酸を収率89%で単離した。得られた(2-メチル-1-トシルアジリジン-2-イル)カルボン酸は、H-NMRにより測定した下記のデータより同定した。
H-NMR(400MHz,CDCl):δ1.95(s,3H),2.46(s,3H),2.70(s,1H),2.84(s,1H),7.36(d,J=8.3Hz,2H),7.85(d,J=8.3Hz,2H).
【0071】
実施例11
酢酸エチル0.62mlの溶媒に、(2-メチル-1-トシルアジリジン-2-イル)メタノールを0.25mmol、次亜塩素酸テトラメチルアンモニウムを0.3mmol、2-ヒドロキシ-2-アザアダマンタン0.0025mmol、臭化カリウム0.025mmol仕込み、0℃で6.5時間撹拌することで反応させた。得られた反応液から、(2-メチル-1-トシルアジリジン-2-イル)カルボン酸を収率45%で単離した。合わせて(2-メチル-1-トシルアジリジン-2-イル)カルボアルデヒドを収率14%で得た。得られた(2-メチル-1-トシルアジリジン-2-イル)カルボアルデヒドは、H-NMRにより測定した下記のデータより同定した。
H-NMR(400MHz,CDCl):δ1.69(s,3H),2.46(s,3H),2.84(s,1H),2.88(s,1H),7.36(d,J=8.8Hz,2H),7.85(d,J=8.2Hz,2H),9.07(s,1H).
【0072】
実施例12
ジクロロメタン0.62mlの溶媒に、2-メチル-3-フェニル-2-トシルアミノ-1-プロピルアルコールを0.25mmol、次亜塩素酸テトラメチルアルキルアンモニウムを0.3mmol、2-ヒドロキシ-2-アザアダマンタン0.0025mmol、臭化カリウム0.025mmol仕込み、0℃で17.5時間撹拌することで反応させた。得られた反応液について、生成物をH-NMRにより測定し、2-メチル-3-フェニル-2-トシルアミノ-1-プロピルアルデヒドを収率67%で得られることを確認した。得られた2-メチル-3-フェニル-2-トシルアミノ-1-プロピルアルデヒドは、H-NMRにより測定した下記のデータより同定した。
H-NMR(400MHz,CDCl):δ1.30(s,3H),2.41(s,3H),3.08(d,J=14.1Hz,1H),3.11(d,J=13.7Hz,1H),5.13(s,1H),7.14-7.31(m,7H),7.71(d,J=8.3Hz,2H),9.47(s,1H).
【手続補正書】
【提出日】2023-10-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を含まない有機溶媒中のみで、第一または第二アルコール化合物を、次亜塩素酸テトラアルキルアンモニウムの存在下に酸化させることを特徴とする、カルボニル化合物の製造方法。
【請求項2】
第一または第二アルコール化合物の、次亜塩素酸テトラアルキルアンモニウムの存在下での酸化を、さらに、ニトロキシラジカル触媒及びハロゲン化金属系助触媒の共存下に実施する、請求項1記載のカルボニル化合物の製造方法。
【請求項3】
第一アルコール化合物を酸化して、アルデヒド化合物及び/又はカルボン酸化合物を生成させる、請求項1記載のカルボニル化合物の製造方法。
【請求項4】
第一アルコールが、アルキルアルコールの2位の炭素に、保護基で保護されたアミノ基が結合したアミノアルコールである、請求項3記載のカルボニル化合物の製造方法。
【請求項5】
アルキルアルコールが、アルキル基の末端炭素に芳香族炭化水素基が結合した構造である、請求項4記載のカルボニル化合物の製造方法。
【請求項6】
アルキルアルコールの2位の炭素に、保護基で保護されたアミノ基が結合したアミノアルコールが、該2位の炭素と、保護基で保護されたアミノ基の窒素原子との間で、アジリジン環が形成された構造である、請求項4記載のカルボニル化合物の製造方法。
【請求項7】
アミノ基の保護基が、トシル基である、請求項4~6のいずれか一項に記載のカルボニル化合物の製造方法。
【請求項8】
次亜塩素酸テトラアルキルアンモニウムが、次亜塩素酸テトラメチルアンモニウムまたは次亜塩素酸テトラエチルアンモニウムである、請求項1~7のいずれか一項に記載のカルボニル化合物の製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
しかしながら、前記次亜塩素酸ソーダ類を用いての、前記アルコール化合物の酸化反応
は、上記ニトロキシラジカル触媒と組合せて反応を実施したとしても、今一歩満足できなかった
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
即ち、本発明は、水を含まない有機溶媒中のみで、第一または第二アルコール化合物を、次亜塩素酸テトラアルキルアンモニウムの存在下に酸化させることを特徴とする、カルボニル化合物の製造方法である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
上記アルコール化合物の酸化反応を実施するための溶媒は、係る原料化合物を溶解させる有機溶媒において、該有機溶媒自体が、酸化剤の次亜塩素酸テトラアルキルアンモニウムに酸化されにくいものが使用される。具体的には、ジクロロメタン、クロロホルム、エチレンジクロリド等のハロゲン系溶媒や、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒や、アセトニトリル、ピロピオニトリル等の脂肪族ニトリル系溶媒、例えばニトロベンゼン、ベンゾトリフルオリド、4-クロロベンゾトリフルオリド等の電子不足型の芳香族系溶媒等を例示でき、好適にはハロゲン系溶媒であり、特に好適にはジクロロメタンである。これらは2種以上を混合して使用しても良い
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0063
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0063】
参考例4
2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシルの代わりに2-ヒドロキシ-2-アザアダマンタンを用いて、室温で23時間撹拌する以外は参考例3と同様に行った。得られた反応液について、生成物をH-NMRにより測定し、オクタン酸が収率87%で得られることを確認した。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0064
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0064】
参考例5
次亜塩素酸テトラメチルアンモニウムの代わりに、次亜塩素酸テトラエチルアルキルアンモニウムを用いる以外は参考例4と同様に行った。得られた反応液について、生成物をH-NMRにより測定し、オクタン酸が収率78%で得られることを確認した。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0065
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0065】
比較例2
次亜塩素酸テトラエチルアンモニウムの代わりに、次亜塩素酸ソーダ五水和物を用いる以外は参考例5と同様に行った。得られた反応液について、生成物をH-NMRにより測定し、オクタン酸が収率12%、オクチルアルデヒドが収率5%で得られることを確認した。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0067
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0067】
参考例7
第一アルコールとして、ベンジルアルコールの代わりに、ペンチルアルコールを用いる以外は参考例6と同様に行った。得られた反応液について、生成物をH-NMRにより測定し、ペンタン酸が収率95%で得れることを確認した。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0068
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0068】
参考例8
第一アルコールとして、ベンジルアルコールの代わりに、ヘキシルアルコールを用いる以外は参考例6と同様に行った。得られた反応液について、生成物をH-NMRにより測定し、ヘキサン酸が収率83%、ヘキシルアルデヒドが僅かに検出されることを確認した。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0069
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0069】
参考例9
第一アルコールとして、ベンジルアルコールの代わりに、ドデシルアルコールを用いる以外は参考例6と同様に行った。得られた反応液について、生成物をH-NMRにより測定し、ドデカン酸が収率95%で得られることを確認した。
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0070
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0070】
参考例10
酢酸エチル0.62mlの溶媒に、(2-メチル-1-トシルアジリジン-2-イル)メタノールを0.25mmol、次亜塩素酸テトラメチルアンモニウムを0.6mmol、2-ヒドロキシ-2-アザアダマンタン0.0025mmol、臭化カリウム0.025mmol仕込み、0℃で6.5時間撹拌することで反応させた。得られた反応液から、(2-メチル-1-トシルアジリジン-2-イル)カルボン酸を収率89%で単離した。得られた(2-メチル-1-トシルアジリジン-2-イル)カルボン酸は、H-NMRにより測定した下記のデータより同定した。
H-NMR(400MHz,CDCl):δ1.95(s,3H),2.46(s,3H),2.70(s,1H),2.84(s,1H),7.36(d,J=8.3Hz,2H),7.85(d,J=8.3Hz,2H).
【手続補正18】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0071
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0071】
参考例11
酢酸エチル0.62mlの溶媒に、(2-メチル-1-トシルアジリジン-2-イル)メタノールを0.25mmol、次亜塩素酸テトラメチルアンモニウムを0.3mmol、2-ヒドロキシ-2-アザアダマンタン0.0025mmol、臭化カリウム0.025mmol仕込み、0℃で6.5時間撹拌することで反応させた。得られた反応液から、(2-メチル-1-トシルアジリジン-2-イル)カルボン酸を収率45%で単離した。合わせて(2-メチル-1-トシルアジリジン-2-イル)カルボアルデヒドを収率14%で得た。得られた(2-メチル-1-トシルアジリジン-2-イル)カルボアルデヒドは、H-NMRにより測定した下記のデータより同定した。
H-NMR(400MHz,CDCl):δ1.69(s,3H),2.46(s,3H),2.84(s,1H),2.88(s,1H),7.36(d,J=8.8Hz,2H),7.85(d,J=8.2Hz,2H),9.07(s,1H).
【手続補正19】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0072
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0072】
参考例12
ジクロロメタン0.62mlの溶媒に、2-メチル-3-フェニル-2-トシルアミノ-1-プロピルアルコールを0.25mmol、次亜塩素酸テトラメチルアルキルアンモニウムを0.3mmol、2-ヒドロキシ-2-アザアダマンタン0.0025mmol、臭化カリウム0.025mmol仕込み、0℃で17.5時間撹拌することで反応させた。得られた反応液について、生成物をH-NMRにより測定し、2-メチル-3-フェニル-2-トシルアミノ-1-プロピルアルデヒドを収率67%で得られることを確認した。得られた2-メチル-3-フェニル-2-トシルアミノ-1-プロピルアルデヒドは、H-NMRにより測定した下記のデータより同定した。
H-NMR(400MHz,CDCl):δ1.30(s,3H),2.41(s,3H),3.08(d,J=14.1Hz,1H),3.11(d,J=13.7Hz,1H),5.13(s,1H),7.14-7.31(m,7H),7.71(d,J=8.3Hz,2H),9.47(s,1H).