(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179594
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置及び基板支持台アセンブリ
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20231212BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20231212BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20231212BHJP
H05H 1/46 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
H01L21/302 101B
H01L21/31 C
H01L21/68 R
H05H1/46 M
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023171216
(22)【出願日】2023-10-02
(62)【分割の表示】P 2020144810の分割
【原出願日】2020-08-28
(31)【優先権主張番号】P 2019182194
(32)【優先日】2019-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122507
【弁理士】
【氏名又は名称】柏岡 潤二
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 良
(57)【要約】
【課題】カバーリングの消耗によるプロセス変動を回避するための技術を提供する。
【解決手段】開示されるプラズマ処理装置は、プラズマ処理チャンバ、基板支持台、少なくとも一つの絶縁性リング、内側導電性リング、外側導電性リング、及び高周波電源を備える。基板支持台は、基台及び静電チャックを含み、チャンバ内に配置されている。少なくとも一つの絶縁性リングは、基板支持台を囲むように配置されている。内側導電性リングは、外側面を有し、静電チャック上の基板を囲むように静電チャック及び少なくとも一つの絶縁性リング上に配置されている。外側導電性リングは、内側導電性リングの側面に対面する内側面を有し、内側導電性リングに接触することなく内側導電性リングを囲むように少なくとも一つの絶縁性リング上に配置されている。高周波電源は、基板支持台に電気的に結合されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理チャンバと、
基台及び静電チャックを含み、前記プラズマ処理チャンバ内に配置された基板支持台と、
前記基板支持台を囲むように配置された少なくとも一つの絶縁性リングと、
外側面を有し、前記静電チャック上の基板を囲むように前記静電チャック及び前記少なくとも一つの絶縁性リング上に配置された内側導電性リングと、
前記内側導電性リングの前記外側面に対面する内側面を有し、前記内側導電性リングに接触することなく該内側導電性リングを囲むように前記少なくとも一つの絶縁性リング上に配置された外側導電性リングと、
前記基板支持台に電気的に結合された高周波電源と、
を備えるプラズマ処理装置。
【請求項2】
前記少なくとも一つの絶縁性リングは、第1の絶縁性リング及び該第1の絶縁性リングを囲む第2の絶縁性リングを含み、
前記内側導電性リングは、前記第1の絶縁性リング上に配置されており、
前記外側導電性リングは、前記第2の絶縁性リング上に配置されている、
請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記第1の絶縁性リングの上面は、第1の内側領域及び第1の外側領域を有し、
前記内側導電性リングは、第1の内側領域上に配置され、
前記第1の外側領域は、前記内側導電性リングの前記外側面と前記外側導電性リングの前記内側面との間の空隙に晒される、
請求項2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記第2の絶縁性リングの上面は、第2の内側領域及び第2の外側領域を有し、
前記外側導電性リングは、前記第2の内側領域上に配置され、
前記第2の外側領域は、前記プラズマ処理チャンバのプラズマ処理空間に晒される、
請求項3に記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
前記外側導電性リングの上面の位置は、前記内側導電性リングの上面の位置よりも高い、請求項4に記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
前記外側導電性リングは、該外側導電性リングの前記内側面と該外側導電性リングの前記上面との間に傾斜面を有する、請求項5に記載のプラズマ処理装置。
【請求項7】
前記第2の絶縁性リングの上面は、内側領域及び外側領域を有し、
前記外側導電性リングは、前記内側領域上に配置され、
前記外側領域は、プラズマ処理チャンバのプラズマ処理空間に晒される、
請求項2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項8】
前記外側導電性リングの上面の位置は、前記内側導電性リングの上面の位置よりも高い、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項9】
前記外側導電性リングは、該外側導電性リングの前記内側面と該外側導電性リングの前記上面との間に傾斜面を有する、請求項8に記載のプラズマ処理装置。
【請求項10】
前記内側導電性リングと前記外側導電性リングは、前記内側導電性リングの前記外側面と前記外側導電性リングの前記内側面との間で容量結合している、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項11】
前記内側導電性リングの前記外側面と前記外側導電性リングの前記内側面との間の距離は、ゼロより大きく、且つ、前記内側導電性リングの厚さよりも小さい、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項12】
前記外側導電性リングの下面の位置は、前記内側導電性リングの下面の位置よりも低い、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項13】
前記内側導電性リングは、シリコン又はシリコンカーバイドから形成されている、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項14】
前記外側導電性リングは、シリコン又はシリコンカーバイドから形成されている、請求項13に記載のプラズマ処理装置。
【請求項15】
前記少なくとも一つの絶縁性リングは、石英から形成されている、請求項14に記載のプラズマ処理装置。
【請求項16】
プラズマ処理装置に使用するための基板支持台アセンブリであって、
基板支持台と、
前記基板支持台を囲むように配置された少なくとも一つの絶縁性リングと、
外側面を有し、前記基板支持台上の基板を囲むように前記基板支持台及び前記少なくとも一つの絶縁性リングのうち少なくとも一方の上に配置された内側導電性リングと、
前記内側導電性リングの前記外側面と対面する内側面を有し、前記内側導電性リングと接することなく前記内側導電性リングを囲むように前記少なくとも一つの絶縁性リング上に配置された外側導電性リングと、
を備える基板支持台アセンブリ。
【請求項17】
前記外側導電性リングの上面の位置は、前記内側導電性リングの上面の位置よりも高い、請求項16に記載の基板支持台アセンブリ。
【請求項18】
前記外側導電性リングは、該外側導電性リングの前記内側面と前記上面との間に傾斜面を有する、請求項17に記載の基板支持台アセンブリ。
【請求項19】
前記内側導電性リングと前記外側導電性リングは、前記内側導電性リングの前記外側面と前記外側導電性リングの前記内側面との間で容量結合している、請求項16に記載の基板支持台アセンブリ。
【請求項20】
前記内側導電性リングの前記外側面と前記外側導電性リングの前記内側面との間の距離は、ゼロより大きく、且つ、前記内側導電性リングの厚さよりも小さい、請求項16に記載の基板支持台アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の例示的実施形態は、プラズマ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板処理を行うプラズマ処理装置は、例えば特許文献1に開示されているように、フォーカスリング(focus ring)及びカバーリング(cover ring)を備える構成を有し得る。半導体基板の周囲を囲むように導電性のフォーカスリングを配置することにより、基板端部におけるバイアス電位の不連続性が緩和され、プラズマ処理の均一性が向上する。このフォーカスリング(エッジリングとも呼ばれる)の周囲には、石英のカバーリングが設けられる。フォーカスリングの外周側面はカバーリングによって覆われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フォーカスリングの外周側面を覆う石英等のカバーリングは、プラズマのイオン等によるスパッタによって経時的に消耗し得る。カバーリングは、フォーカスリング近傍側が特に消耗するため、カバーリングの消耗に伴って、カバーリングにより覆われていたフォーカスリングの外周側面がプラズマに対し露出する。このような場合、フォーカスリングのカソードとしての面積が変動する。すなわち、フォーカスリングの外周側面がカバーリングで覆われている場合は、フォーカスリングの上面がカソードとして機能する。これに対しカバーリングが消耗してフォーカスリングの外周側面が露出すると、フォーカスリングの外周側面もカソードとして機能してしまう。したがって、カバーリングの消耗前後により、基板端部におけるチルティングの発生等のプロセス変動が生じ得る。本開示は、カバーリングの消耗によるプロセス変動を抑制するための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理装置が提供される。プラズマ処理装置は、プラズマ処理チャンバ、基板支持台、少なくとも一つの絶縁性リング、内側導電性リング、外側導電性リング、及び高周波電源を備える。基板支持台は、基台及び静電チャックを含み、チャンバ内に配置されている。少なくとも一つの絶縁性リングは、基板支持台を囲むように配置されている。内側導電性リングは、外側面を有し、静電チャック上の基板を囲むように静電チャック及び少なくとも一つの絶縁性リング上に配置されている。外側導電性リングは、内側導電性リングの側面に対面する内側面を有し、内側導電性リングに接触することなく内側導電性リングを囲むように少なくとも一つの絶縁性リング上に配置されている。高周波電源は、基板支持台に電気的に結合されている。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、カバーリングの消耗によるプロセス変動を抑制するための技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置の構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、一つの例示的実施形態に係る導電性リングの構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、一つの例示的実施形態に係る導電性リングの構成の他の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、一つの例示的実施形態に係る導電性リングの構成の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、導電性リングの内周下面の構成及び離隔部の構成のバリエーションを示す図である。
【
図6】
図6は、一つの例示的実施形態に係る導電性リングの構成の他の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、一つの例示的実施形態に係る導電性リングの構成の他の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、一つの例示的実施形態に係る導電性リングの構成の他の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、種々の例示的実施形態について説明する。一つの例示的実施形態において、プラズマ処理装置が提供される。プラズマ処理装置は、載置台、フォーカスリング、カバーリング、導電性リング、高周波電源を備える。載置台は、基板を載置する基板載置部と基板載置部を取り囲む周縁部とを有する。フォーカスリングは、載置台の周縁部に載置されており、導電性を有する。カバーリングは、載置台の外周を囲み、誘電体で構成されている。導電性リングは、カバーリングに載置される。高周波電源は、載置台に結合される。フォーカスリングの外周部にある第1の面と、導電性リングの内周部にある第2の面とは、互いに対向して離隔する。カバーリングは、フォーカスリングと導電性リングとを離隔させる離隔部を有する。フォーカスリングの外周にある第1側面と、導電性リングの内周にある第2側面とは、互いに対向して離隔している。フォーカスリングは、プラズマ処理中においてカソードとして機能する。このようなフォーカスリングの外周に対向するように、電気的にフロート状態の導電性リングが設けられる。
【0009】
一つの例示的実施形態において、フォーカスリングの内周部は、載置台の周縁部により支持され、フォーカスリングの外周部は、カバーリングの内周部上面を覆う。
【0010】
一つの例示的実施形態において、第1の面は、フォーカスリングの外周部側面であり、第2の面は、導電性リングの内周部側面である。
【0011】
一つの例示的実施形態において、第1の面は、フォーカスリングの外周部下面であり、第2の面は、導電性リングの内周部上面である。
【0012】
一つの例示的実施形態において、第1の面は、フォーカスリングの外周部上面であり、第2の面は、導電性リングの内周部下面である。
【0013】
一つの例示的実施形態において、フォーカスリングの外周部側面と、導電性リングの内周部側面とが、互いに対向して離隔している。
【0014】
一つの例示的実施形態において、フォーカスリングの外周部下面と対向する導電性リングの内周部上面の面積は、フォーカスリングの外周部側面と対向する導電性リングの内周部側面の面積よりも大きい。
【0015】
一つの例示的実施形態において、フォーカスリングの外周部下面と導電性リングの内周部上面との間の隙間は、フォーカスリングの外周部側面と導電性リングの内周部側面との間の隙間よりも狭い。
【0016】
一つの例示的実施形態において、フォーカスリングと導電性リングは、第1の面と第2の面で容量結合している。
【0017】
一つの例示的実施形態において、第1の面と第2の面との間の距離は、ゼロより大きく、且つ、フォーカスリングの厚みよりも小さい。
【0018】
一つの例示的実施形態において、導電性リングの内周部下面は、フォーカスリングの外周部下面よりも下方に位置する。
【0019】
一つの例示的実施形態において、離隔部は、カバーリングの表面に形成された溝部である。導電性リングの内周部下面は、溝部内に収容される。
【0020】
一つの例示的実施形態において、離隔部は、導電性リングの内周部側面が当接するように構成された、カバーリングの表面に形成された段差部である。
【0021】
一つの例示的実施形態において、導電性リングは、導電性リングの外周がカバーリングの外周の内側に位置するように配置される。カバーリングの外周部上面は、プラズマ処理空間に露出している。
【0022】
一つの例示的実施形態において、カバーリングは、複数の誘電体部品で構成される。
【0023】
一つの例示的実施形態において、基板載置部および周縁部が静電チャックで構成される。
【0024】
一つの例示的実施形態において、基板載置部は静電チャックで構成され、周縁部は載置台の基台で構成される。
【0025】
一つの例示的実施形態において、導電性リングは、導電性リングの上面と導電性リングの内周部側面との間に傾斜部を有する。
【0026】
一つの例示的実施形態において、導電性リングの材料は、シリコンまたはシリコンカーバイドである。カバーリングの材料は、石英である。
【0027】
以下、図面を参照して種々の例示的実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0028】
一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置1は、チャンバ10を備える。チャンバ10は、その中に内部空間12cを提供する。チャンバ10はチャンバ本体12を含む。チャンバ本体12は、略円筒形状を有する。チャンバ本体12の材料は、例えばアルミニウムであり得る。チャンバ本体12の内壁面上には、耐腐食性を有する膜が設けられている。当該膜の材料は、酸化アルミニウム、酸化イットリウムなどのセラミックであり得る。
【0029】
チャンバ本体12の側壁には、通路12pが形成されている。基板Wは、通路12pを通して内部空間12cとチャンバ10の外部との間で搬送される。通路12pは、チャンバ本体12の側壁に沿って設けられるゲートバルブ12gによって開閉される。
【0030】
チャンバ本体12の底部上には、筒状部28が設けられている。筒状部28の材料は、絶縁材料であり得る。筒状部28は、略円筒形状を有する。筒状部28は、内部空間12cの中で、チャンバ本体12の底部から上方に延在している。
【0031】
内部空間12c内では、支持部15が、略円筒形状の筒状部28の内側の側面に沿ってチャンバ本体12の底部から上方に延在している。支持部15は、略円筒形状を有している。支持部15の材料は、セラミック等の絶縁材料であり得る。支持部15上には載置台16が搭載されている。載置台16は、支持部15によって支持されている。載置台16は、内部空間12cの中において、基板Wを支持するように構成されている。
【0032】
載置台16は、支持部15上に設けられる。載置台16は、載置部31、基台18、電極プレート21を備える。
【0033】
載置部31は、基板Wを載置する領域である基板載置部31aと、基板載置部31aを取り囲む領域である周縁部31bを備える。周縁部31bには導電性を有するフォーカスリングFRが載置される。導電性リングDRは、フォーカスリングFRの外周OPcに沿って同心円状にカバーリングCRの上に載置される。載置部31は、静電チャック20で構成してもよい。
【0034】
カバーリングCRは、筒状部28上に設けられる。カバーリングCRは、絶縁体であり、載置台16の外周に沿って延在している。カバーリングCRは、載置部31の上方から見て(上部電極30の側から見て)、載置部31の外周を囲むように設けられる。カバーリングCRの材料は、絶縁性を有する材料であり、例えば石英又はアルミナなどのセラミックであり得る。カバーリングCRは、複数の誘電体部品で構成し得る。
【0035】
導電性リングDRは、カバーリングCRの上方に配置される。導電性リングDRは、載置部31の上方から見て、フォーカスリングFRを囲むように設けられる。導電性リングDRは、略環状板形状を有しており、導電性を有する材料から形成されている。導電性リングDRの材料は、例えば、シリコン(Si)やシリコンカーバイド(SiC)であり得る。
【0036】
電極プレート21は、アルミニウムといった導電性材料から形成されており、略円盤形状を有する。基台18は、電極プレート21上に設けられている。基台18は、アルミニウムといった導電性材料から形成されており、略円盤形状を有する。基台18は、電極プレート21に電気的に接続されており、下部電極として機能する。
【0037】
静電チャック20は、載置部31として基台18上に設けられている。静電チャック20の上面に基板Wが載置される。静電チャック20は、本体及び電極を有する。静電チャック20の本体は、略円盤形状を有する。静電チャック20の本体の材料は、誘電体である。静電チャック20の電極は、膜状の電極であり、静電チャック20の本体内に設けられている。静電チャック20の電極は、スイッチ20sを介して直流電源20pに接続されている。静電チャック20の電極に直流電源20pからの電圧が印加されると、静電チャック20と基板Wとの間に静電引力が発生する。その静電引力によって、基板Wが静電チャック20に保持される。
【0038】
フォーカスリングFRは、基板載置部31aに載置された基板Wの外周を囲むように、周縁部31bに配置される。フォーカスリングFRは、基板Wに対するプラズマ処理の面内均一性を向上させる。フォーカスリングFRは、略環状板形状を有しており、導電性を有する材料から形成されている。フォーカスリングFRの材料は、例えばシリコン(Si)またはシリコンカーバイド(SiC)であり得る。
【0039】
基台18の内部には、流路18fが設けられている。流路18fには、チャンバ10の外部に設けられているチラーユニット(図示しない)から配管23aを介して熱交換媒体(例えば冷媒)が供給される。流路18fに供給された熱交換媒体は、配管23bを介してチラーユニットに戻される。プラズマ処理装置1では、静電チャック20上に載置された基板Wの温度が、熱交換媒体と基台18との熱交換によって、調整され得る。
【0040】
プラズマ処理装置1には、ガス供給ライン25が設けられている。ガス供給ライン25は、伝熱ガス供給機構からの伝熱ガス(例えばHeガス)を、静電チャック20の上面と基板Wの裏面との間に供給する。
【0041】
プラズマ処理装置1は、上部電極30を更に備える。上部電極30は、載置台16の上方に設けられている。上部電極30は、部材32を介して、チャンバ本体12の上部に支持されている。部材32の材料は、絶縁性を有する材料であり得る。上部電極30と部材32とは、チャンバ本体12の上部開口を閉じている。
【0042】
上部電極30は、天板34及び支持体36を含み得る。天板34の下面は、内部空間12cの側の下面であり、内部空間12cを画成する。天板34は、発生するジュール熱の少ない低抵抗の導電体又は半導体から形成され得る。天板34は、天板34をその板厚方向に貫通する複数のガス吐出孔34aを有する。
【0043】
支持体36は、天板34を着脱自在に支持する。支持体36の材料は、アルミニウム等の導電性材料であり得る。支持体36の内部には、ガス拡散室36aが設けられている。支持体36は、ガス拡散室36aから下方に延びる複数のガス孔36bを有する。複数のガス孔36bは、複数のガス吐出孔34aにそれぞれ連通している。支持体36には、ガス導入口36cが形成されている。ガス導入口36cは、ガス拡散室36aに接続している。ガス導入口36cには、ガス供給管38が接続されている。
【0044】
ガス供給管38には、バルブ群44、流量制御器群42、及びガスソース群40が接続されている。ガスソース群40、バルブ群44、及び流量制御器群42、は、ガス供給部を構成している。ガスソース群40は、複数のガスソースを含む。バルブ群44は、複数の開閉バルブを含む。流量制御器群42は、複数の流量制御器を含む。流量制御器群42の複数の流量制御器の各々は、マスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器である。ガスソース群40の複数のガスソースの各々は、バルブ群44の対応の開閉バルブ、及び流量制御器群42の対応の流量制御器を介して、ガス供給管38に接続されている。
【0045】
筒状部28とチャンバ本体12の側壁との間には、バッフルプレート48が設けられている。バッフルプレート48は、例えば、アルミニウムから形成された母材の表面に耐腐食性を有する膜(酸化イットリウムなどの膜)を形成することによって構成される。バッフルプレート48には、複数の貫通孔が形成されている。バッフルプレート48よりも下方、且つ、チャンバ本体12の底部には、排気口が設けられている。排気口には、排気管52を介して排気装置50が接続されている。排気装置50は、圧力調整弁及びターボ分子ポンプなどの真空ポンプを含む。
【0046】
プラズマ処理装置1は、第1の高周波電源62及び第2の高周波電源64を備えている。第1の高周波電源62は、第1の高周波電力を発生する電源である。第1の高周波電力は、プラズマの生成に適した周波数を有する。第1の高周波電力の周波数は、例えば27~100[MHz]の範囲内の周波数である。第1の高周波電源62は、整合器66及び電極プレート21を介して基台18に接続されている。整合器66は、第1の高周波電源62の出力インピーダンスと負荷側(基台18の側)のインピーダンスを整合させるための回路を有する。なお、第1の高周波電源62は、整合器66を介して、上部電極30に接続されていてもよい。
【0047】
第2の高周波電源64は、第2の高周波電力を発生する電源である。第2の高周波電力は、第1の高周波電力の周波数よりも低い周波数を有する。第1の高周波電力と共に第2の高周波電力が用いられる場合には、第2の高周波電力は基板Wにイオンを引き込むためのバイアス用の高周波電力として用いられる。第2の高周波電力の周波数は、例えば400[kHz]~13.56[MHz]の範囲内の周波数である。第2の高周波電源64は、整合器68及び電極プレート21を介して基台18に接続されている。整合器68は、第2の高周波電源64の出力インピーダンスと負荷側(基台18側)のインピーダンスを整合させるための回路を有する。
【0048】
なお、第1の高周波電力を用いずに、第2の高周波電力を用いて、即ち、単一の高周波電力のみを用いてプラズマを生成してもよい。この場合には、第2の高周波電力の周波数は、13.56[MHz]よりも大きな周波数、例えば40[MHz]であり得る。プラズマ処理装置1は、第1の高周波電源62及び整合器66を備えなくてもよい。
【0049】
プラズマ処理装置1において、ガス供給部から内部空間12cにガスが供給されて、プラズマが生成される。第1の高周波電力及び第2の高周波電力の少なくとも一方が供給されることによって、上部電極30と基台18(下部電極)との間で高周波電界が生成される。生成された高周波電界によってプラズマが生成される。
【0050】
プラズマ処理装置1は、制御部MCを更に備え得る。制御部MCは、プロセッサ、メモリなどの記憶部、入力装置、表示装置、信号の入出力インターフェイス等を備えるコンピュータであり得る。制御部MCは、プラズマ処理装置1の各部を制御する。
【0051】
制御部MCでは、入力装置を用いて、オペレータがプラズマ処理装置1を管理するためにコマンドの入力操作等を行うことができる。また、制御部MCでは、表示装置によって、プラズマ処理装置1の稼働状況を可視化して表示することができる。さらに、記憶部には、制御プログラム及びレシピデータが格納されている。制御プログラムは、プラズマ処理装置1で各種処理を実行するために、プロセッサによって実行される。プロセッサが、制御プログラムを実行し、レシピデータに従ってプラズマ処理装置1の各部を制御する。
【0052】
図2を参照して、
図1に示す載置台16の領域ERの構成を説明する。特に、導電性リングDR、フォーカスリングFRの構成を詳細に説明する。
【0053】
図2に示す例では、カバーリングCRは内側カバーリングCRaと外側カバーリングCRbの2つの誘電体部材で構成されている。なお、カバーリングCRは、1つの誘電体部材で構成してもよいし、3つ以上の誘電体部材で構成してもよい。
【0054】
フォーカスリングFRの内周側(内周部)は載置部31の周縁部31bである静電チャック20上に載置され、外周側(外周部)は内側カバーリングCRaを覆うように配置される。フォーカスリングFRの外周部は、内側カバーリングCRaに載置されていてもよい。フォーカスリングFRの内周部が周縁部31bで確実に支持されるよう、内側カバーリングCRaの上面SFaを周縁部31bの上面よりも低く形成し、フォーカスリングFRの外周部下面と内側カバーリングCRaの上面SFaとの間に隙間が設けられてもよい。すなわち、フォーカスリングFRの外周部は内側カバーリングCRaに載置されていなくてもよい。静電チャック20の本体の厚みは、内側カバーリングCRaの厚みと比較して極めて小さい。このため、フォーカスリングFRは、静電チャック20を介して第1の高周波電源62及び第2の高周波電源64と高周波回路として結合している。また、
図3に示すように、内側カバーリングCRaに設けた貫通孔に、直流電源DCと接続されフォーカスリングFRの下面と接触する給電棒SPを配置し、フォーカスリングFRに直流電圧も印加することができるように構成してもよい。
【0055】
導電性リングDRは、外側カバーリングCRbの上に載置されている。外側カバーリングCRbの厚みは大きいため、導電性リングDRは、外側カバーリングCRbを介して第1の高周波電源62及び第2の高周波電源64と高周波回路として結合していない。
【0056】
外側カバーリングCRbは、内周側の上面SFcと外周側の上面SFdを備える。外側カバーリングCRbの内周側は、フォーカスリングFRに近いため、外周側よりも消耗しやすい。したがって、
図2の例では、消耗しやすい箇所(外側カバーリングCRbの内周側の上面SFc)のみを覆うように導電性リングDRを配置している。すなわち、導電性リングDRの外周OPdは、カバーリングCRの外周OPeよりも内側に位置するよう配置され、カバーリングCRの外周上面がプラズマ処理空間(内部空間12c)に露出している。ただし、導電性リングDRは、外側カバーリングCRbの上面全てを覆うように配置してもよい。なお、
図2の例では、外周側の上面SFdと導電性リングDRで覆われている内周側の上面SFcとが同一平面上にあるように構成されているが、同一平面上にないように構成してもよい。例えば、導電性リングDRによって覆われない外側カバーリングCRbの上面SFdは、導電性リングDRの上面SFbより高くなるようにしてもよいし、同一の高さにしてもよい。
【0057】
図2に示すように、フォーカスリングFRと導電性リングDRとの間には、空隙ASが設けられている。より具体的に、フォーカスリングFRの外周OPcにある第1側面SSaと、導電性リングDRの内周IPbにある第2側面SSbとは、互いに対向して離隔している。導電性リングDRの内周下面ILSbは、フォーカスリングFRの外周下面ILSaよりも下方に位置する。
【0058】
図2に示す例では、第2側面SSbの面積は、導電性リングDRの上面SFbの面積よりも小さくなるように構成されている。導電性リングDRの上面SFbは、フォーカスリングFRの上面よりも高くなっている。換言すれば、導電性リングDRの内周IPbの厚みは、フォーカスリングFRの外周OPcの厚みよりも厚くなっている。
【0059】
第1側面SSaと第2側面SSbとの間の距離GAは、空隙ASの幅である。後述する通り、第1側面SSa及び第2側面SSbはキャパシタとして機能する。したがって、距離GAは、ゼロより大きく、且つ、フォーカスリングFRの厚みSHよりも小さいことが望ましい。
【0060】
カバーリングCRは、更に離隔部DTを備える。離隔部DTは、フォーカスリングFRの第1側面SSaと導電性リングDRの第2側面SSbとを離隔させる。
【0061】
図2に示す例では、内側カバーリングCRaの上面SFaよりも外側カバーリングCRbの内周側の上面SFcを低く構成することにより、内側カバーリングCRaと外側カバーリングCRbとの間に段差部を設けることで離隔部DTを構成している。段差部と導電性リングDRの第2側面SSbとが当接するため、導電性リングDRの第2側面SSbとフォーカスリングFRの第1側面SSaとは接触しない。すなわち、離隔部DTを設けることにより、第1側面SSaと第2側面SSbとが接触し、キャパシタとして機能しなくなることを防ぐことができる。
【0062】
上記した構成の載置台16において、導電性リングDRはカバーリングCRの上に配置される。カバーリングCRの厚みは静電チャック20の本体の厚みと比較して大きいため、導電性リングDRは、第1の高周波電源62及び第2の高周波電源64とカバーリングCRを介して高周波回路として結合されていない。また、フォーカスリングFRの外周OPcの第1側面SSaと、導電性リングDRの内周IPbの第2側面SSbとは、互いに対向して離隔している。従って、第1側面SSa及び第2側面SSbは、キャパシタとして機能する。すなわち、フォーカスリングFRと導電性リングDRとが、第1側面SSa及び第2側面SSbにて容量結合する。高周波電力が基台18に印加されると、フォーカスリングFRの外周OPcにある第1側面SSaに存在する正または負の電荷により、導電性リングDRの内部で静電誘導が生じる。このため、導電性リングDRの第2側面SSbに集まった電荷と等量かつ逆の電荷が、プラズマの電位に引き寄せられて導電性リングDRの上面SFbに集まる。上面SFbの面積は、第2側面SSbの面積よりも大きいため、上面SFbに存在する単位面積当たりの電荷の量は、第2側面SSbに存在する単位面積当たりの電荷の量より小さくなる。したがって、フォーカスリングFRの電位よりも導電性リングDRの電位が低くなり、導電性リングDRに向かうプラズマ中のイオンの加速が低減される。よって、導電性リングDR(すなわち、フォーカスリングFRの外側の領域)がスパッタされにくくなる。
【0063】
導電性リングDRは、カバーリングCRの消耗しやすい箇所を覆うように配置され、カバーリングCRよりもスパッタに対する耐性が高い材質で形成されている。また、導電性リングDRに向かうイオンの加速が低減されるため、導電性リングDR自体もスパッタされにくくなっている。したがって、フォーカスリングFRの外周周囲のカバーリングCRの消耗により、フォーカスリングFRのカソードとしての面積の変動を抑制することができる。このため、基板端部におけるチルティングの発生等のプロセス変動を抑制することができる。
【0064】
また、導電性リングDRの上面SFbの面積を調整することによって、導電性リングDRの上面SFbの電位を調整することができる。
【0065】
さらに、導電性リングDRは、フォーカスリングFRの第1側面SSaと対向して配置される。フォーカスリングFRの第1側面SSaの側方側に物体(導電性リングDR)が存在するため、第1側面SSaに向かうイオンは導電性リングDRにより遮られる。よって、フォーカスリングFRは第1側面SSaからスパッタされにくくなるため、フォーカスリングFRの消耗を抑制することができる。
【0066】
なお、
図2に示す例では、基板載置部31aとフォーカスリングFRを載置する周縁部31bを静電チャック20で構成しているが、これに限られない。基板載置部31aの静電チャックと周縁部31bの静電チャックは、それぞれ独立して設けてもよい。また、
図4に示すように、基板載置部31aのみを静電チャック20とし、周縁部31bを基台18にて構成してもよい。また、フォーカスリングFRの内周側だけでなく、フォーカスリング全体を周縁部31bに載置するようにしてもよい。周縁部31bは、基板載置部31aよりも低く形成し、段差部としてもよい。
【0067】
また、
図2に示す例では、内側カバーリングCRaの上面SFaよりも外側カバーリングCRbの内周側の上面SFcを低く構成することにより、離隔部DTを構成したが、これに限られない。
図5に示すように、導電性リングDRが載置されているカバーリングCRに凹状の溝を設け、導電性リングDRの内周下面ILSbを下方に向けて凸状に設けられていても良い。この場合、導電性リングDRの内周下面ILSbは、カバーリングCRの凹部(溝)内に収容される。凸状の内周下面ILSbが凹状の溝に嵌め込まれることによって、カバーリングCRにおける導電性リングDRの位置が安定的に維持され得る。なお、
図5では離隔部DTとして外側カバーリングCRbに溝を設けているが、内側カバーリングCRa側に設けてもよい。この場合、導電性リングDRの内周側は内側カバーリングCRaに載置され、導電性リングDRの外周側は外側カバーリングCRbに載置される。また、
図5では、フォーカスリングFRが載置されているカバーリングCRの上面SFaと、導電性リングDRが載置されているカバーリングCRの上面SFcが同一の高さで構成されているが、異なる高さで構成してもよい。例えば、導電性リングDRが載置されているカバーリングCRの上面SFcが、フォーカスリングFRが載置されているカバーリングCRの上面SFaよりも高くなるように構成してもよい。
【0068】
また、
図2に示す例では、フォーカスリングFRの第1側面SSaと、導電性リングDRの第2側面SSbとを、互いに対向して離隔させることによりキャパシタとして機能させているが、これに限られない。
図6に示すように、フォーカスリングFRの外周部下面と導電性リングDRの内周部上面とが、互いに対向して離隔するように構成してもよい。
図6に示す導電性リングDRは、内周部の下部が内周側に突出している。導電性リングDRの突出した下部内周部の上面とフォーカスリングFRの下面とは、互いに対向して離隔している。また、フォーカスリングFRの第1側面SSaと、導電性リングDRの上部内周部の側面である第2側面SSbとは、互いに対向して離隔している。
【0069】
内側カバーリングCRaの上面SFaよりも外側カバーリングCRbの内周側の上面SFcが低くなっており、内側カバーリングCRaと外側カバーリングCRbとの間に離隔部DTとなる段差部が形成されている。導電性リングDRの下部内周部の側面である第3側面SScが段差部(内側カバーリングCRaの外周側面)に当接するため、導電性リングDRの上部内周部の側面である第2側面SSbとフォーカスリングFRの第1側面SSaとは接触しない。また、内側カバーリングCRaの上面SFaは、導電性リングDRの下部内周部の上面よりも高い位置に形成されている。したがって、フォーカスリングFRの下面が内側カバーリングCRaの上面SFaに当接するため、導電性リングDRの下部内周部の上面とフォーカスリング下面とは接触しない。
【0070】
図6に示す例では、第1側面SSaおよび第2側面SSbのみならず、フォーカスリングFRの外周部下面と導電性リングDRの下部内周部上面もキャパシタとして機能させることができる。これにより、フォーカスリングFRと導電性リングDRとの間のキャパシタンスを大きくすることができる。
【0071】
フォーカスリングFRの外周部下面と導電性リングDRの下部内周部上面との間の距離GBは、第1側面SSaと第2側面SSbとの間の距離GAよりも小さくなるように構成してもよい。距離GBは距離GAよりも小さいため、第1側面SSaと第2側面SSbとの間のキャパシタンスよりも、フォーカスリングFRの外周部下面と導電性リングDRの下部内周部上面との間のキャパシタンスの方が大きくなる。このため、フォーカスリングFRおよび導電性リングDRの消耗により第1側面SSaと第2側面SSbの面積が変動しても、フォーカスリングFRと導電性リングDRとの間のキャパシタンスの変動を小さくすることができる。さらに、第1側面SSaと第2側面SSbとの間の距離GAを大きくすることができるため、堆積物により空隙ASが閉塞してキャパシタとして機能しなくなる(もしくはキャパシタンスが大きく変動する)ことを抑制することができる。
【0072】
フォーカスリングFRの外周部下面と対向する導電性リングDRの下部内周部上面の面積を、フォーカスリングFRの外周部側面と対向する導電性リングDRの内周部側面の面積よりも大きくなるように構成してもよい。フォーカスリングFRの外周部下面と導電性リングDRの下部内周部上面との間のキャパシタンスが大きくなるため、フォーカスリングFRと導電性リングDRとの間のキャパシタンスの変動を小さくすることができる。
【0073】
図6に示す例のように、導電性リングDRの内周部側面と上面との間に傾斜部を形成してもよい。傾斜部を設けることにより、フォーカスリングFRの上面と導電性リングDRの上面の高さの変化が緩和され、導電性リングDRおよびフォーカスリングFRの上方に形成されるシースの不連続性を緩和することができる。
【0074】
図2~
図6に示す例では、導電性リングDRの上面SFbがフォーカスリングFRの上面よりも高くなるように構成しているが、これに限られない。導電性リングDRの上面SFbをフォーカスリングFRの上面と同じ高さになるように構成してもよいし、フォーカスリングFRの上面よりも低く構成してもよい。
【0075】
図6に示す例では、フォーカスリングFRの外周部下面と導電性リングDRの内周部上面とが、互いに対向して離隔している。なお、
図7に示すように、フォーカスリングFRの外周部上面と導電性リングDRの内周部下面とが、互いに対向して離隔するように構成されていてもよい。
【0076】
図7に示す導電性リングDRは、内周部の上部が内周側に突出している。導電性リングDRの突出した上部内周部の下面とフォーカスリングFRの上面とは、互いに対向して離隔している。また、フォーカスリングFRの第1側面SSaと、導電性リングDRの下部内周部の側面である第2側面SSbとは、互いに対向して離隔している。
【0077】
内側カバーリングCRaの上面SFaよりも外側カバーリングCRbの内周側の上面SFcが低くなっており、内側カバーリングCRaと外側カバーリングCRbとの間に離隔部DTとなる段差部が形成されている。導電性リングDRの下部内周部の側面である第2側面SSbが段差部(内側カバーリングCRaの外周側面)に当接するため、導電性リングDRの上部内周部の側面である第2側面SSbとフォーカスリングFRの第1側面SSaとは接触しない。また、導電性リングDRの突出した上部内周部の下面は、フォーカスリングの外周部の上面よりも高い位置に形成されている。したがって、導電性リングDRの上部内周部の下面とフォーカスリング上面とは接触しない。
【0078】
図6に示す例と同様に、フォーカスリングFRの外周部上面と導電性リングDRの上部内周部下面との間の距離GCは、第1側面SSaと第2側面SSbとの間の距離GAよりも小さくなるように構成されていてもよい。フォーカスリングFRの外周部上面と対向する導電性リングDRの上部内周部下面の面積は、フォーカスリングFRの外周部側面と対向する導電性リングDRの内周部側面の面積より大きくてもよい。
【0079】
図7に示す例では、空隙ASが導電性リングDRの上部内周部により覆われているため、堆積物により空隙ASが閉塞してキャパシタとして機能しなくなる(もしくはキャパシタンスが大きく変動する)ことを抑制することができる。
【0080】
図6および
図7に示す例では、フォーカスリングFRの外周部下面(上面)と導電性リングDRの内周部上面(下面)とが互いに対向して離隔するとともに、フォーカスリングFRの第1側面SSaと導電性リングDRの第2側面SSbとが互いに対向して離隔する。しかしながら、フォーカスリングFRの外周部下面(上面)と導電性リングDRの内周部上面(下面)のみが互いに対向して離隔していてもよい。
【0081】
図2~7に示す例では、フォーカスリングFRの外周側(外周部)で内側カバーリングCRaを覆うようにフォーカスリングFRを配置した。しかしながら、フォーカスリングFR全体を静電チャック20上または基台18に配置しても良い。すなわち、フォーカスリングFRの内周側(内周部)のみならず、外周側(外周部)も載置部31の周縁部31bである静電チャック20上または基台18に載置してもよい。
【0082】
図8には、フォーカスリングFRの外周部上面と導電性リングDRの内周部下面のみが互いに対向して離隔するように構成された例が示されている。また、フォーカスリングFR全体は、静電チャック20上に載置されている。
【0083】
カバーリングCRの内周部は、フォーカスリングFRの外周部に載置されている。導電性リングDRはカバーリングCRに載置されている。導電性リングDRの内周部は下方に突出する突出部を有し、突出部下面(内周部下面)はフォーカスリングFRの外周部上面と互いに対向して離隔している。導電性リングDRはカバーリングCRに載置されているため、カバーリングCR上面と導電性リングDRの外周部下面は当接する。すなわち、カバーリングCRの上面が離隔部DTとなり、導電性リングDRの突出部下面とフォーカスリングFRの外周部上面とは接触しない。なお、
図8に示す例では、導電性リングDRの内周部に下方に突出する突出部が形成されているが、導電性リングDRの内周部下面とフォーカスリング外周部上面との間で十分なキャパシタンスが得られるようであれば、突出部は形成されていなくてもよい。
【0084】
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、上述した例示的実施形態に限定されることなく、様々な省略、置換、及び変更がなされてもよい。また、異なる例示的実施形態における要素を組み合わせて他の例示的実施形態を形成することが可能である。
【0085】
以上の説明から、本開示の種々の例示的実施形態は、説明の目的で本明細書で説明されており、本開示の範囲及び主旨から逸脱することなく種々の変更をなし得ることが、理解されるであろう。したがって、本明細書に開示した種々の例示的実施形態は限定することを意図しておらず、真の範囲と主旨は、添付の特許請求の範囲によって示される。
【符号の説明】
【0086】
1…プラズマ処理装置、10…チャンバ、12…チャンバ本体、12c…内部空間、12g…ゲートバルブ、12p…通路、15…支持部、16…載置台、18…基台、18f…流路、20…静電チャック、20p…直流電源、20s…スイッチ、21…電極プレート、23a…配管、23b…配管、25…ガス供給ライン、28…筒状部、30…上部電極、31…載置部、31a…基板載置部、31b…周縁部、32…部材、34…天板、34a…ガス吐出孔、36…支持体、36a…ガス拡散室、36b…ガス孔、36c…ガス導入口、38…ガス供給管、40…ガスソース群、42…流量制御器群、44…バルブ群、48…バッフルプレート、50…排気装置、52…排気管、62…第1の高周波電源、64…第2の高周波電源、66…整合器、68…整合器、AS…空隙、CR…カバーリング、CRa…内側カバーリング、CRb…外側カバーリング、DC…直流電源、DR…導電性リング、DT…離隔部、ER…領域、FR…フォーカスリング、GA…距離、ILSa…外周下面、ILSb…内周下面、IPb…内周、MC…制御部、OPc…外周、OPd…外周、OPe…外周、SFa…上面、SFb…上面、SFc…上面、SFd…上面、SH…厚み、SP…給電棒、SSa…第1側面、SSb…第2側面、W…基板。