IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サノフイの特許一覧

特開2023-179630注射デバイスに取り付けるためのデバイス
<>
  • 特開-注射デバイスに取り付けるためのデバイス 図1
  • 特開-注射デバイスに取り付けるためのデバイス 図2
  • 特開-注射デバイスに取り付けるためのデバイス 図3
  • 特開-注射デバイスに取り付けるためのデバイス 図4
  • 特開-注射デバイスに取り付けるためのデバイス 図5
  • 特開-注射デバイスに取り付けるためのデバイス 図6
  • 特開-注射デバイスに取り付けるためのデバイス 図7
  • 特開-注射デバイスに取り付けるためのデバイス 図8
  • 特開-注射デバイスに取り付けるためのデバイス 図9
  • 特開-注射デバイスに取り付けるためのデバイス 図10
  • 特開-注射デバイスに取り付けるためのデバイス 図11
  • 特開-注射デバイスに取り付けるためのデバイス 図12
  • 特開-注射デバイスに取り付けるためのデバイス 図13
  • 特開-注射デバイスに取り付けるためのデバイス 図14
  • 特開-注射デバイスに取り付けるためのデバイス 図15
  • 特開-注射デバイスに取り付けるためのデバイス 図16
  • 特開-注射デバイスに取り付けるためのデバイス 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179630
(43)【公開日】2023-12-19
(54)【発明の名称】注射デバイスに取り付けるためのデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/315 20060101AFI20231212BHJP
【FI】
A61M5/315
A61M5/315 550L
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023174027
(22)【出願日】2023-10-06
(62)【分割の表示】P 2020534328の分割
【原出願日】2018-12-17
(31)【優先権主張番号】17306845.3
(32)【優先日】2017-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
(71)【出願人】
【識別番号】504456798
【氏名又は名称】サノフイ
【氏名又は名称原語表記】SANOFI
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【弁理士】
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・ヘルマー
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・リーバイン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】注射のための選択された投与量を検出できる注射デバイスを提供する。
【解決手段】薬物送達デバイスに取り付けられるように構成された補助デバイス、補助デバイスは、補助デバイスを、薬物送達デバイスの投与量セレクタに機械的に連結するように適用された第1の手段と、薬物送達デバイスにより送達される投与量を選択するように適用された第2の手段と、第2の手段を用いて行われる投与量選択が、第3の手段を介して第1の手段に伝達されるトルクを生成するように、第2の手段を第1の手段に機械的に連結するように適用された第3の手段と、生成されたトルクを示す信号を出力するように構成されたセンサと、センサから出力された信号を受信し、信号に基づいて選択された投与量を決定するように構成された電子回路とを含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物送達デバイスに取り付けられるように構成された補助デバイスであって:
該補助デバイスを、薬物送達デバイスの投与量セレクタに機械的に連結するように適用された第1の手段と;
薬物送達デバイスにより送達される投与量を選択するように適用された第2の手段と;
該第2の手段を用いて行われる投与量選択が、第3の手段を介して第1の手段に伝達されるトルクを生成するように、第2の手段を第1の手段に機械的に連結するように適用された第3の手段と;
生成されたトルクを示す信号を出力するように構成されたセンサと;
センサから出力された信号を受信し、該信号に基づいて、選択された投与量を決定するように構成された電子回路と
を含む前記補助デバイス。
【請求項2】
第2の手段は、選択された投与量を注射するために、薬物送達デバイスのリリースボタンをトリガするようにさらに適用され、第3の手段は、注射のために第2の手段にかけられた圧縮力をリリースボタンへと伝達するようにさらに適用される、請求項1に記載の補助デバイス。
【請求項3】
第2の手段を、薬物送達デバイスのリリースボタンに対して何も圧縮力がかけられていない初期位置へと強制するばねをさらに含む、請求項2に記載の補助デバイス。
【請求項4】
第3の手段は、トルク伝達のために少なくとも1つのばねを含み、該少なくとも1つのばねの一方の端部は、第2の手段に固定して連結され、他方の端部は、第2の手段によりトルクが生成されたとき、センサに力をかけるように配置され、電子回路は、センサから出力された信号として力の測定を受信し、該力の測定に基づいて、選択された投与量を決定するように構成される、請求項1、2、または3に記載の補助デバイス。
【請求項5】
第3の手段は、トルク伝達のための1つのばねを含み、ばねの両端は、第2の手段に固定して連結され、ばねは、第2の手段によりトルクが生成されたとき、センサに対して力をかけるように形成され、電子回路は、センサから出力された信号として、力の測定を受信し、該力の測定に基づいて、選択された投与量を決定するように構成される、請求項1、2、または3に記載の補助デバイス。
【請求項6】
第3の手段はセンサを含み、該センサは、量子トンネル複合材料から作られた少なくとも1つの素子を含み、投与量を選択したときに生成されるトルクの変化は、量子トンネル複合材料から作られた少なくとも1つの素子の抵抗変化を生じ、電子回路は、センサから出力された信号として、抵抗変化を受信し、受信された抵抗変化に基づき、選択された投与量を決定するように構成される、請求項1、2、または3に記載の補助デバイス。
【請求項7】
第3の手段は、連結プレートと、センサホイールと、第2の手段に固定して連結され、ホイールにおける支承部を通って、薬物送達デバイスのリリースボタンへと延びるピンとを含み、したがって、第2の手段にかけられた圧力が、ピンによってリリースボタンに伝達され、支承部は、ピンの回転がホイールに伝達されるように抗回転ロックを含み、ホイールは、第2の手段の回転がホイールに伝達されるように連結プレートにさらに連結され、ホイールは、ホイールの回転が制限されるように連結プレートに連結され、ホイールは、少なくとも2つの曲げることのできるスポークを含み、該スポークの少なくとも1つは、少なくとも1つのスポークの曲げを測定するように適用されたセンサ素子を含み、さらに、電子回路は、1つまたはそれ以上のセンサ素子から出力された信号として、測定された曲げを受信し、受信された曲げ測定に基づき、選択された投与量を決定するように構成
される、請求項1、2、または3に記載の補助デバイス。
【請求項8】
センサ素子はホイール材料と組み合わされた以下のセンサ材料すなわち:ゴムホイールと組み合わされた量子トンネル複合材料;プラスチックホイールと組み合わされた力検知抵抗材料;プラスチックまたは金属ホイールと組み合わされた歪み計センサ材料のうちの1つから作られる、請求項7に記載の補助デバイス。
【請求項9】
電子回路は、選択された投与量を決定するために、第2の手段の動作を示す信号出力のピーク測定を実行することにより、および測定されたピークをカウントすることにより、センサから出力され、受信された信号を処理するように構成される、請求項1~8のいずれか1項に記載の補助デバイス。
【請求項10】
第2の手段は、電子回路を備えるプリント回路板と、該プリント回路板の電子回路に供給するための電池と、センサとを含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の補助デバイス。
【請求項11】
電子回路は、外部の電子デバイスと通信するように構成された通信回路を含む、請求項10に記載の補助デバイス。
【請求項12】
電子回路は、通信回路を介して、決定され、選択された投与量を送信し、および/またはデータを受信するように構成される、請求項11に記載の補助デバイス。
【請求項13】
薬物送達デバイスの投与量セレクタに機械的に連結したことを検出し、検出したとき、電子回路に電気エネルギーを供給するように適用される、請求項1~12のいずれか1項に記載の補助デバイス。
【請求項14】
表示ユニットをさらに含み、電子回路は、表示ユニットを制御して、選択された投与量が表示ユニットで表示されるように構成される、請求項1~13のいずれか1項に記載の補助デバイス。
【請求項15】
電子回路は、プロセッサおよび少なくとも1つのメモリを含み、プロセッサは、薬物送達デバイスを用いて注射が行われたと決定したとき、選択された投与量、および/または最後に行われた注射動作に関する情報をメモリに記憶させるように構成され、該情報は、最後に行われた注射動作に関連付けられた少なくともタイムスタンプを含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の補助デバイス。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか1項に記載の補助デバイスと、薬物送達デバイスとを含むシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、注射デバイスまたはシリンジを保持するように構成され、注射のための選択された投与量を検出できるデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
薬剤の注射による規則的な治療を必要とする様々な病気が存在する。このような注射は、注射デバイスを用いることにより実施することができ、それは、医療人員により、または患者自身で行われる。
【0003】
注射デバイス(すなわち、医薬品容器から薬剤を送達できるデバイス)は、通常、手動デバイスおよび自動注射器の2つに分類される。
【0004】
手動デバイスでは、ユーザは、針を通して液を送るために機械的エネルギーを与えなくてはならない。これは、通常、注射中にユーザが連続的に押す必要のある何らかの形態のボタン/プランジャにより行われる。この手法からは、ユーザには数多くの不利な点が存在する。ユーザが、ボタン/プランジャを押すのを止めた場合、注射も止まることになる。これは、デバイスが適正に使用されない(例えば、プランジャが、その最後の位置まで十分に押されない)場合、ユーザは、不十分な用量を送達するおそれのあることを意味する。患者が高齢者である、または手先に問題がある場合は特に、注射する力が、ユーザには高すぎる可能性がある。
【0005】
ボタン/プランジャの延長部は大きすぎる可能性がある。したがって、ユーザにとって、完全に延びたボタンに届くようにするには不都合である。注射する力とボタン延長部の組合せは、手の震え/揺れを生ずるおそれがあり、それは次いで、挿入された針が移動したとき不快さを増加させる。
【0006】
自動注射デバイスは、注射治療の自己投与を患者がより容易に行えるようにすることを目的としている。自己投与注射により送達される現在の治療は、糖尿病に対する薬物(インスリンと新しいGLP-1クラスの薬物の両方)、偏頭痛、アレルギー、ホルモン治療、抗凝血などに対する薬物を含む。自動注射デバイスは、特定の救命薬の1回の用量を送達するために使用することができる。例えば、それらは、アナフィラキシーの危険のある人々に処方されることが多い。それらはまた、化学兵器剤から人員を保護するために、軍で使用されることも多い。代替として、自動注射器は、例えば、多発性硬化症、関節リュウマチ、貧血症を患う人々に対して、処方された治療スケジュールに従って薬剤を投与するために使用される。
【0007】
自動注射器は、標準シリンジからの非経口薬物送達に含まれる動作を完全に、または部分的に置き換えるデバイスである。これらの動作は、保護用シリンジキャップの取外し、患者の皮膚内への針の挿入、薬剤の注射、針の取外し、針のシールド、およびデバイスの再使用の防止を含むことができる。これは、手動デバイスの不利益の多くを克服する。ユーザに/ボタン延長部に必要な力、手の揺れ、および不完全な用量を送達する可能性が低減される。トリガすることは、例えば、トリガボタン、または針がその注射深さに達したという動作など、数多くの手段により実施することができる。いくつかのデバイスでは、液を送達するためのエネルギーは、ばねにより提供される。
【0008】
自動注射器は、薬剤の1回の用量を送達するために使用されるだけであり、使用後には廃棄する必要のある使い捨ての、または1回使用のデバイスとすることができる。他のタ
イプの自動注射器は、再使用可能なものとすることができる。通常、それらは、ユーザが標準のシリンジを搭載し、外すことができるように配置される。再使用可能な自動注射器は、複数の非経口薬物送達を実施するために使用することができるが、シリンジは、消費されて自動注射器から外された後、処分される。シリンジは、さらなる機能性を提供するために、さらなる部品を用いてパッケージ化することができる。
【0009】
典型的なシナリオでは、病気は、例えば、毎日、毎週、隔週、または毎月、自動注射器を用いて薬剤用量を注射することにより、患者自身で治療することができる。
【0010】
薬物の正しい投与およびその終了は、薬物の安全性および効力に対して重要である(医薬品安全性監視)。ユーザによる投与における失敗は、注射デバイスおよび適用時間をモニタすることによって最小化することができる。
典型的な患者の失敗は次のものである:
1.ユーザは、その次の注射の正しい満期日を忘れる可能性がある。これは、1日よりも長い薬物治療間隔の場合、特にそうであり、例えば、週2回、1日おき、隔週など、または最初の週は2回、第2週は1日おき、それ以降、第3週は2、2、3の間隔など、治療に特有の間隔の場合がそうである。
2.ユーザは、自動注射器キャップを取り外すことと、注射を実施することの間で時間を経過させ過ぎて、針の目詰まりを生じ、および/またはデバイスが動かなくなるおそれがある。
3.ユーザが、注射の終了後、保持時間(「滞留時間」としても知られる)を実行しないことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本開示は、1回限りの自動注射器で使用するのに適しており、注射履歴を記録し、用量の投与をモニタし、患者が注射を正しく、時間通りに実施するのを支援できる再使用可能なアドオン式デバイスを述べる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の態様は、薬物送達デバイスに取り付けられるように構成された補助デバイス(supplementary device)を提供し、補助デバイスは:
補助デバイスを、薬物送達デバイスの投与量セレクタに機械的に連結するように適用された第1の手段と;
薬物送達デバイスにより送達される投与量を選択するように適用された第2の手段と;
第2の手段を用いて行われる投与量選択が、第3の手段を介して第1の手段に伝達されるトルクを生成するように、第2の手段を第1の手段に機械的に連結するように適用された第3の手段と;
生成されたトルクを示す信号を出力するように構成されたセンサと;
センサから出力された信号を受信し、信号に基づいて、選択された投与量を決定するように構成された電子回路と
を含む。
【0013】
選択された投与量の電子的な決定は、例えば、スマートフォンもしくはコンピュータ、特に、タブレットPCもしくはラップトップPCなどのモバイルコンピュータ、または電子的な薬剤注射支援デバイスなどの外部の電子デバイスにより、さらに処理される利点を有する。さらなる処理は、例えば、選択された投与量を、情報のための外部デバイス上に表示すること、または決定された、選択された投与量を、処方された投与量を比較すること、および選択された投与量の処方された投与量からの偏差をユーザに通知することを含むことができる。さらに、決定され、選択された投与量は、後の処理または評価のために
記憶することができる。補助デバイスは、より少ない構成要素で実施することができ、技術的な複雑さを低減し、したがって、生産コストを低減させる。別の利点は、再使用可能性であり、それは、補助デバイスが、いくつかの薬物送達デバイスと共に使用されるように設計できることを意味する。第1の手段は、異なる薬物送達デバイスで使用することもできるように設計することができる。例えば、第1の手段は、補助デバイスが使用されるべき種類の薬物送達デバイスに適用可能にすることができる。唯一の要件は、薬物送達デバイスは、投与量選択用に設計される必要があり、第1の手段を機械的に連結できる投与量セレクタを有する必要があることである。
【0014】
第2の手段は、選択された投与量を注射するために、薬物送達デバイスのリリースボタン(release button)をトリガするようにさらに適用され、第3の手段は、注射のために第2の手段にかけられた圧縮力をリリースボタンへと伝達するようにさらに適用される。例えば、第2の手段は、薬物送達デバイスのリリースボタンを起動するためのボタンを含むことができる。ユーザがこのボタンを押したとき、それは、ボタンに対してユーザによりかけられた圧縮力が、第3の手段によってリリースボタンへと伝達されるので、薬物送達デバイスのリリースボタンをトリガする。
【0015】
補助デバイスは、第2の手段を初期位置へと強制するばねをさらに含むことができ、その場合、薬物送達デバイスのリリースボタン上に圧縮力が加わることはない。第2の手段を初期位置へと強制することは、例えば、注射の終了を検出するための電子回路により処理することができる。
【0016】
実装形態では、第3の手段は、トルク伝達のために少なくとも1つのばねを含むことができる。少なくとも1つのばねの一方の端部は、第2の手段に固定して連結することができ、他方の端部は、第2の手段によりトルクを生成したとき、センサに力をかけるように配置することができる。電子回路は、センサから出力された信号として、力の測定を受信し、力の測定に基づき、選択された投与量を決定するように構成することができる。
【0017】
別の実装形態では、第3の手段は、トルク伝達のために1つのばねを含むことができ、ばねの両端は、第2の手段に固定して連結することができ、ばねは、第2の手段によりトルクを生成したとき、センサに力をかけるように形成することができる。電子回路は、センサから出力された信号として、力の測定を受信し、力の測定に基づいて、選択された投与量を決定するように構成することができる。
【0018】
さらに別の実装形態では、第3の手段は、センサを含むことができ、センサは、量子トンネル複合材料から作られた少なくとも1つの素子を含むことができる。投与量選択が行われたときに生成されたトルクの変化は、次いで、量子トンネル複合材料から作られた少なくとも1つの素子の抵抗変化を生ずることができる。電子回路は、センサから出力された信号として、抵抗変化を受信し、受信された抵抗変化に基づき、選択された投与量を決定するように構成することができる。
【0019】
さらに別の実装形態では、第3の手段は、連結プレートと、センサホイールと、第2の手段に固定して連結され、ホイールにおける支承部を通って、薬物送達デバイスのリリースボタンへと延びるピンとを含むことができ、したがって、第2の手段にかけられた圧力が、ピンによってリリースボタンに伝達される。支承部は、ピンの回転がホイールに伝達されるように、抗回転ロックを含むことができる。ホイールは、第2の手段の回転がホイールに伝達されるように、連結プレートにさらに連結することができる。ホイールは、ホイールの回転が制限されるように連結プレートに連結することができ、ホイールは、少なくとも2つの曲げることのできるスポークを含むことができ、スポークの少なくとも1つは、少なくとも1つのスポークの曲げを測定するように適用されたセンサ素子を含む。電
子回路は、1つまたはそれ以上のセンサ素子から出力された信号として、測定された曲げを受信し、受信された曲げ測定に基づき、選択された投与量を決定するように構成することができる。センサ素子は、ホイール材料と組み合わせて、以下のセンサ材料のうちの1つから作ることができる:ゴムホイールと組み合わされた量子トンネル複合材料;プラスチックホイールと組み合わされた力検知抵抗材料;プラスチックまたは金属ホイールと組み合わされた歪み計センサ材料である。
【0020】
補助デバイスの電子回路は、選択された投与量を決定するために、第2の手段の動作を示す信号出力のピーク測定を実施することにより、および測定されたピークをカウントすることにより、センサからの受信された信号出力を処理するように構成することができる。ピークは、例えば、ユーザが望ましい投与量をダイヤル設定するときなど、投与量の選択中に特に生成されるものとすることができる。電子回路は、次いで、ピーク測定を介して「クリックをカウントする」ことができ、カウントされたピークから、選択された投与量を導出することができる。
【0021】
第2の手段は、電子回路を備えるプリント回路板と、プリント回路板の電子回路およびセンサに供給するための電池とを含むことができる。プリント回路板、および電池は、例えば、共に第2の手段内のバッチとして配置できるように形成することができ、第2の手段は、プリント回路板、電池、第3の手段、および少なくとも部分的に第1の手段を覆うノブまたはキャップとして設計することができる。
【0022】
電子回路は、外部の電子デバイスと通信するように構成された通信回路を含むことができる。通信回路は、例えば、1つまたはそれ以上の外部デバイスにデータを送信し、および/またはそこからデータを受信するための無線ユニットを含むことができる。
【0023】
電子回路は、通信回路を介して、決定され、選択された投与量を送信し、および/またはデータを受信するように構成することができる。例えば、決定され、選択された投与量は、例えば、Bluetooth(登録商標)接続を介して無線で、ユーザのコンピュータまたはスマートフォンに送信することができる。
【0024】
補助デバイスは、薬物送達デバイスの投与量セレクタへの機械的な連結を検出するように、検出したとき、電気エネルギーを電子回路に供給するように適用することができる。例えば、第1の手段は、スイッチを含むことができ、それは、第1の手段が薬物送達デバイスの投与量セレクタに連結されたとき、特に第1の手段が投与量セレクタ上にクリップ留めされたとき、起動することができる。スイッチの起動は、次いで、電池および電子回路を接続し、したがって、電子回路に電源が入り、動作することができるようになる。
【0025】
補助デバイスは、例えば、LCD(液晶ディスプレイ)または電子インクディスプレイなど、表示ユニットをさらに含むことができる。電子回路は、選択された投与量が、表示ユニット上に表示されるように、表示ユニットを制御するように構成することができる。
【0026】
電子回路は、プロセッサおよび少なくとも1つのメモリを含むことができ、プロセッサは、注射が、薬物送達デバイスを用いて行われたと決定したとき、選択された投与量および/または最後に行われた注射動作に関する情報を、メモリに記憶させるように構成することができる。情報は、最後に行われた注射動作に関連付けられたタイムスタンプを少なくとも含むことができる。
【0027】
第2の態様は、第1の態様の補助デバイス、および薬物送達デバイスを含むシステムを提供する。薬物送達デバイスは動力付きの自動注射器とすることができる。動力付きの自動注射器の投薬機構は、事前に圧縮されたばねを動力源とする。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】注射デバイスの分解図である。
図2】本開示の態様による図1の注射デバイスに解放可能に取り付けるための補助デバイスの第1の実施形態の斜視図である。
図3】第1の実施形態の切欠図である。
図4】第1の実施形態のプリント回路板上の2つのばねとその配置を含む実装形態の斜視図である。
図5】第1の実施形態の注射デバイスのキャリアインターフェースの斜視図である。
図6】第1の実施形態のプリント回路板上の1つのばねとその配置を含む実装形態の斜視図である。
図7】投与量選択ノブが2つの異なる状態にある第1の実施形態の2つの切欠図である。
図8】本開示の態様による図1の注射デバイスに解放可能に取り付けるための補助デバイスの第2の実施形態の斜視図である。
図9】第2の実施形態のプリント回路板上のQTC構成要素とその配置を含む実装形態の斜視図である。
図10】補助デバイスの第2の実施形態を用いた投与量選択を決定するための電子回路の回路図である。
図11】第2の実施形態の代替的な実装形態の斜視図である。
図12】注射ボタンが2つの異なる位置にある第2の実施形態の2つの切欠図である。
図13】本開示の態様による図1の注射デバイスに解放可能に取り付けるための補助デバイスの第3の実施形態の切欠図である。
図14】第3の実施形態のセンサクラッチの斜視図である。
図15】第3の実施形態のセンサホイール設計の概略図である。
図16】本開示の態様によるセンサにより生成された信号の例示的な進行の図である。
図17】補助デバイスの電子回路100のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下では、本開示の実施形態は、自動注射器を参照して述べられる。しかし、本開示は、このような用途に限定されず、他の薬剤を放出する注射デバイスを用いて、またはシリンジ、充填済みシリンジ、無針注射器、および吸入器など、他のタイプの薬物送達デバイスを用いても、同様に良好に展開することができる。
【0030】
諸実施形態による注射デバイス10が、次に図1Aおよび図1Bを参照して述べられる。いくつかの実施形態では、注射デバイス10は、1回使用の自動注射器10である。自動注射器10は、近位端Pおよび遠位端Dを有する。近位端Pは、注射中、患者の注射部位の方向を向いているが、遠位端Dは、注射部位とは離れた方向を向いている。
【0031】
自動注射器10は、本体9およびキャップ12(本明細書では、外側針キャップまたはONC12とも呼ばれる)を含む。本体9は、外側ハウジング11を含む。外側ハウジング11は、細長い管である。外側ハウジング11は、カートリッジホルダ、またはシリンジホルダ(図示せず)を含み、それは、液体薬剤16を含むカートリッジまたはシリンジ18を支持する。本記述は、以降では、カートリッジホルダ(図示せず)により支持されるカートリッジ18を指すものとする。カートリッジ18は、図1Bにおいて、破線で示されている。
【0032】
外側ハウジング11はまた、注射中に薬剤16を投薬させるための投薬機構(図示せず)を収容する。
【0033】
中空の針17は、カートリッジ18の内部容積と通じており、注射中に液体薬剤16用の導管として働く。針17およびカートリッジ18は、互いに対して、および本体9に対して固定された位置にある。ストッパ、プランジャ、ピストン、または栓14は、投薬機構の動作下で、カートリッジ18内に含まれた薬剤を、針17を通して排出するように、カートリッジ18内で移動可能である。
【0034】
投薬機構は、カートリッジ18のピストン14に機械的に連結される。投薬機構は、針17を通して薬剤16を投薬するために、ピストンをカートリッジ18に沿って軸方向に、近位方向へと移動させるように構成される。投薬機構は、ユーザにより行われる作動入力に応じて、ピストン14に力を加えるように協動する構成要素を含む。ここで、ピストン14への力の付与をトリガする作動入力は、自動注射器10の遠位端に位置する用量投薬ボタン13で受け入れられる。投薬機構は、投薬ボタン13に機械的に連結される。
【0035】
本体9は、外側ハウジング11の遠位端において投与量セレクタ23をさらに含む。投与量セレクタ23は、それを時計方向に回転することにより、注射すべき投与量を手動で選択できるようにする。選択された投与量を注射するように調整するために、内部機構(図示せず)が投薬機構に機械的に連結される。
【0036】
本体9はまた、外側ハウジング11の近位端に、キャップサポート19を含む。キャップサポートは、外側ハウジング11と同心であり、より小さな直径を有することができる。キャップサポート19は、ハウジング11の近位端から延びる。ONC12は、キャップサポート19の上に受け入れられて、本体9の近位端を閉じ、針17を覆う。ONC12は、円筒形の壁21と端部壁22とを含む。図1Aで示されるように、本体9上に位置するONC12を用いる場合、ONC12が取り付けられた位置で保持されるように、円筒形の壁21の内部表面はしっかりと隣接する関係で、キャップサポート19の外部表面に接する。
【0037】
薬剤16を注射する前に、ユーザは、投与量セレクタ23を介して、注射すべき用量を選択する。薬剤16を注射するために、ONC12は、ユーザによりデバイス10から外されて、図1Bで示される配置になる。次に、自動注射器10の近位端が、ユーザまたは別の人物でありうる患者の注射部位に対して置かれる。ユーザは、次に、投薬ボタン13を作動させる。こうすることは、投薬機構に、ピストン14を強制して、薬剤をカートリッジ18から針17を通して患者の注射部位へと排出させる。
【0038】
カートリッジ18は透明であり、カートリッジ18内に含まれる薬剤16が見えるように、窓15が、カートリッジ18と一致してハウジング11に設けられる。自動注射器のユーザは、調べることにより、薬剤16の全体量が、注射中にカートリッジ18から放出されたかどうかを判定することができる。
【0039】
ラベルが、ハウジング11上に設けられる。ラベルは、薬剤を識別する情報を含む、注射デバイス10内に含まれる薬剤に関する情報100を含む。薬剤を識別する情報100は、テキスト形式とすることができる。薬剤を識別する情報100はまた、色の形式とすることができる。薬剤を識別する情報100はまた、バーコード、QRコード、または同様のものへとコード化することができる。薬剤を識別する情報100はまた、白黒のパターン、色パターン、またはシェーディング形式とすることができる。
【0040】
図2は、図1の注射デバイス10に解放可能に取り付けられた補助デバイス50の実施
形態の概略図である。補助デバイス50は、図1の注射デバイス10の投与量セレクタ23に機械的に連結されるように、特に、投与量セレクタ23上にクランプされて、インターフェース51の回転が、投与量セレクタ23に伝達されるように構成されたキャリアインターフェース51を含む。補助デバイス50は、投与量選択のためのダイヤルノブ52をさらに含む。ダイヤルノブ52は、少なくとも部分的にキャリアインターフェース51と重複する。
【0041】
図3は、投与量選択のための内部機構を示す補助デバイス50の第1の実施形態の切欠図である。キャリアインターフェース51は、注射デバイスの投与量セレクタ23上にクランプされる。金属ばね53は、ダイヤルノブ52のトルク伝達、およびそのリセット位置を画成するために、電子回路およびセンサを含むプリント回路板(PCB)54上に取り付けられる。PCB54の電子回路に供給するための電池55が、PCB54とダイヤルノブ52の内側との間に配置される。2つのガイド56、57は、図Aで分かるように、インターフェース51の外側に含まれる。ガイド56、57は、ダイヤルノブ52に対して設けられ、それは2つの機能、すなわち、本体9の軸周りで回転させることによる投与量選択と、注射デバイスのリリースボタン13へと押し下げることによる注射との2つの機能を提供する。ガイド57は、デバイス端停止部に達したとき、センサおよび/またはばね53の損傷を防止し、ダイヤルノブ52のリセット位置を画成する。ガイド56は、ダイヤルノブ52の巻きすぎを防止する。さらなるばね58が、ダイヤルノブ52をリセット位置に押すように、キャリアインターフェース51とダイヤルノブ52の間に配置される。
【0042】
図4は、2つのばね53、53’を含み、PCB54上にそれらを配置した実装形態の斜視図を示す。ばね53、53’は共に、一方の端部53’’でPCB54に溶接される。ばね53、53’の他方の端部は、PCB54上のセンサ素子59の上に配置されて自由に移動可能である。末端停止部53’’’は、それぞれの方向に自由に移動可能なばね端部の動きを制限する。ユーザが、ダイヤルノブ52を回転させて投与量を選択する(時計方向)、または選択を解除する、もしくは選択された投与量を訂正する(反時計方向)とき、ダイヤルを設定する力が、ダイヤルノブ52内に設けられたカム51’、51’’を介して(図5)ばね53、53’にかけられる、それは、センサ素子59上における自由に移動可能なばね端部の動きを生ずる。PCB54の回転は、抗回転ロック54’により防止される。ばね端部の動きは、センサ素子59に配置された末端停止部53’’’により制限される。センサ素子59上のばね端部の動きは、センサ信号を生ずることができ、それは、PCB54の電子回路によって検出され、処理されて、選択された投与量を決定することができ、それは、図16を参照して後で説明するものとする。
【0043】
図6は、1つのばね53’’’’を含み、PCB54上にそれを配置した別の実装形態の斜視図である。ばね53’’’’の2つの端部は、共にPCB54の対向する縁部付近で溶接される。ばね53’’’’は、その一方の側でPCB54に溶接される2つのセンサ素子59’と接触する。1つのセンサ素子は、ダイヤルノブ52の左回りの回転を検出する(例えば、用量の選択を解除するときなど)ように設けられ、他方のセンサは、ダイヤルノブ52の右回り回転を検出する(例えば、用量を選択するときなど)ように設けられる。両方のセンサ素子59’は、ばね53’’’’の異なる側に配置される。
【0044】
図7は、投与量選択、またはダイヤルノブ52が2つの異なる状態にある第1の実施形態の2つの切欠図を示す。上の図は、未使用の状態、または投与量をダイヤル設定する、もしくは選択する状態を示しており、ダイヤルノブ52に対して、圧力は何もかかっていない。下の図は、ダイヤルノブ52が押し下げられたときの注射する状態を示す。
【0045】
さらなる実施形態の説明を続ける前に、PCB55の電子回路による、選択された投与
量、および注射の決定を、図16の図に関して説明するものとし、図は、補助デバイス50を用いて投与量をダイヤル設定する、または選択する間に、および選択された投与量を注射する間に生成されたセンサの信号の例示的な進行を示す。注射デバイス10と共に補助デバイス50を使用することは、投与量選択に提供される注射デバイスボタン23上に補助デバイス50を取り付けることで開始する。補助デバイス50は、例えば、キャリアインターフェース51内に配置され、および取り付けられたとき起動されるマイクロスイッチにより、取付けを自動的に検出することができる。この検出は、PCB54の電子回路の電源55をトリガすることができる。次いで、ユーザは、特に「0」投与量選択である、絶対値を設定するために、初期の単位位置を確認することができる。補助デバイス50は、その後にいつでも使用することができる。ユーザは、次に、例えば、時計方向など、ダイヤルノブ52を回転させることにより、注射デバイス10により注射すべき望ましい投与量を選択、またはダイヤル設定することができる。時計方向の回転は、上記で述べたように、例えば、補助デバイス50のばね53、53’の自由端の動きのセンサ測定に対応するセンサ信号を生ずる。測定は、通常、図16の図で示されるように、ユーザの投与量選択により生じたクリックに対応する、例えば、測定電圧の電圧ピークであるピークを含む。これらのピーク測定をカウントすることにより、電子回路は、選択された投与量を決定することができる。次いで、ユーザが、ダイヤルノブ52を押し下げたとき、ばね53、53’は、リリースボタン13へと前方に移動し、リリースボタン13上に押されて、後者が注射を起動する。同時に、ばね53、53’の自由に移動可能な端部は、センサ素子59上にダイヤルノブ52を押すことにより加圧され、この圧力をセンサ素子59が検出して、ピークよりも大きい強い信号を生成することができ、その信号はさらに、注射の開始として電子回路により検出される。センサ素子59により測定可能なリセット力(リセットの進行)により、注射位置または時間の正しい終了を検出することができる。
【0046】
図8は、図1の注射デバイス10に解放可能に取り付けられた補助デバイス60の第2の実施形態の斜視図である。補助デバイス60は、図1の注射デバイス10の投与量セレクタ23に機械的に連結されるように、特に投与量セレクタ23上にクランプされて、インターフェース61の回転が、投与量セレクタ23に伝達されるように構成されたキャリアインターフェース61を含む。補助デバイス60は、投与量選択のためのダイヤルノブ62と、注射ボタン63とをさらに含む。デバイス60内に、PCB64、およびPCB64の電子回路に対する電源として電池65が配置される(図8の破線)。センサ66は、量子トンネル複合(QTC)材料から作られる。
【0047】
図9は、センサ66として使用されるQTC構成要素を備えたPCB64の斜視図である。QTC構成要素66は、互いに対向して配置された2つのブレード66’’’を含む。ブレード66’’’は、PCB64の電子回路と接続するための電気的な接続点66’、66’’を含むことができる。接続点66’、66’’の間のQTC構成要素の表面抵抗は、ブレード66’’’にかけられる圧力によって影響される。圧力は、投与量選択のためにユーザによって回されるダイヤルノブ62によって加えられる。ノブ62は、センサ66に対する、特にブレード66’’’に対するトルク変化を伝達する。接続点66’、66’’の間の抵抗の変化は、選択された投与量を決定するために、例えば、図10で示される回路により処理されて、検出することができる:マイクロコントローラは、点66’、66’’の間の基準抵抗Rref、およびQTC構成要素抵抗を含む電圧デバイダ回路により分割される電圧Uを検出するように構成することができる。
【0048】
図11は、第2の実施形態の代替的な実装形態の斜視図であり、電子回路を備えるPCBは、強制器(forcer)67の方向に対して約90°の角度で配置することができる。リリースボタン13および投与量セレクタ23を備える注射デバイスの遠位端を示すために、部分的に透明に示されたダイヤルノブ62’は、ユーザが投与量を選択またはダイヤル設定するとき、回転させると、QTCセンサ66に圧力を直接加えるように形成さ
れる。強制器67は、注射を開始するために、本体9の軸において、リリースボタン13上にかけられる圧力を伝達する。QTCセンサ66は、複数の電気的な接続点により表されるいくつかの表面抵抗を含むことができる。すべての抵抗は、最低の表面抵抗が、並列接続の合計抵抗に対して比較的大きな影響を有するように、例えば、PCBの電子回路により並列に接続することができる。
【0049】
図12は、注射ボタン63が2つの異なる位置にある図8からの実施形態の2つの切欠図を示す。上の図は、未使用状態、または投与量をダイヤル設定する、もしくは選択する状態を示しており、注射ボタン63に対して圧力が何もかかっていない。下の図は、注射ボタン63が押し下げられたときの注射の状態を示す。この状態では、注射ボタン63にかけられた圧力は、電池65、PCB64、QTCセンサ66、および強制器67を介して、注射デバイスのリリースボタン13へと伝達される。
【0050】
図13は、図1の注射デバイス10に解放可能に取り付けられた補助デバイス70の第3の実施形態の切欠図である。補助デバイス70は、図1の注射デバイス10の投与量セレクタ23に機械的に連結されるように、特に投与量セレクタ23上にクランプされるように構成されたキャリアインターフェース77を含み、したがって、インターフェース77の回転が投与量セレクタ23に伝達される。補助デバイス70は、投与量選択のためのダイヤルノブ71をさらに含む。デバイス70内で、PCB72、およびPCB72の電子回路に対する電源としての電池73が配置される。注射トルクピン74が、軸76に沿ってダイヤルノブ71上にかけられる圧力を注射用のリリースボタン13へと伝達するために設けられる。注射トルクピン74は、キャリアインターフェース77の一部であるクラッチ連結プレートと、クラッチ連結プレート内に配置されるセンサホイール75とを通って延びる。
【0051】
キャリアインターフェース77のセンサホイール75およびクラッチ連結プレートは、図14でより詳細に示される。ホイール75は、少なくとも2つのスポーク79と、注射トルクピン74がそれを通って延びることのできる中心の支承部78とを有する。中心の支承部78は、支承部内でピン74の回転を防止し、ダイヤルノブ71によるピン74にかけられるトルクが、確実に、スポーク79およびホイール75に伝達されるようにする抗回転ロック78’を含む。ホイール75の外側輪郭は、キャリアインターフェース77の内側にある対応する歯と一致する歯75’を含む。歯は、投与量セレクタ23に対する恒久的な自由に動作するインターフェースのために実施することができる(歯は、多かれ少なかれ必要になる)。
【0052】
スポーク79の少なくとも1つを用いて、センサ素子を実施することができる。実施されるセンサ素子は、スポーク79の曲げを検出する。センサ素子は、異なるセンサ技法と異なるセンサホイール材料の様々な組合せで実施することができる。組合せは、例えば、ゴムホイールと組み合わされたQTC材料;プラスチックホイールと組み合わされた力検知抵抗材料;プラスチックもしくは金属ホイールと組み合わされた歪み計センサ材料とすることができる。
【0053】
センサ技法とセンサホイール材料の組合せに応じて、実施されるセンサ素子を備えたホイールの設計は異なる可能性がある。ホイール75のスポークは可撓性があり、ホイール75の回転が防止されたとき、ホイール75に対してトルクがかけられると曲がる。特別に設計されたスポーク79’を備えたホイール75が図15で示されている。スポーク79’は、センサ素子R1、R2が中に配置された凹部を含む。
【0054】
凹部により生じたスポーク79’のテーパ付けは、図15の左の図で見られるように、スポーク79’のより大きな曲げを可能にする。用量がダイヤル設定されたとき、例えば
、ユーザがダイヤルノブ71を時計方向に回転させることにより用量を選択したとき、またはユーザが、ダイヤルノブ71を反時計方向に回転させることにより、選択された用量を訂正したとき、トルクが、ダイヤルノブ71から、注射トルクピン74を介してホイール75に伝達され、それは、図15の左の左右の図で示されるように、スポーク79’の曲げを生ずる。トルクが、ホイール75に対して何もかからないとき、左の中央の図で示されるように、自由状態にあり、スポーク79’は曲がることはない。スポーク79’の曲げは、センサ素子R1、R2を起動し、それは、PCB72の電子回路によって測定することができる。ホイール75のリセット力(自由状態に戻る)は、特にスポーク79’のホイール材料、設計、およびデバイスの反力など、いくつかのパラメータに依存する。
【0055】
注射デバイスは、本明細書で開示されるように、補助デバイス内に少なくとも部分的に保持することができるが、それにもかかわらす、例えば、注射デバイスが空になり、交換する必要のあるときなど、補助デバイスから取り外すことができる。注射デバイスおよび補助デバイスは、補助デバイスが、注射デバイスに対して、確実に、正しく方向付けられ、位置決めされるように協動する位置合せ構成を含むことができる。例えば、注射デバイスおよび補助デバイスは、バヨネットフィッティングを用いて共に解放可能に固定することができ、その場合、注射デバイスは、ハウジング上に突起部を有し、補助デバイスは、突起部を受け入れるための対応する溝を有する。
【0056】
図17は、補助デバイスの電子回路100のブロック図である。電子回路100は、プロセッサ101と、プロセッサ101のためのオペレーティングシステムを記憶するメモリ102と、センサ信号を処理し、処理されたセンサ信号、ならびにデータ送信および受信から、選択された投与量を決定するためのソフトウェア104とを含む。プロセッサ101は、無線によって別のデバイスとの間で、情報を送信および/または受信するように構成された、特に無線ユニットである通信回路106を制御する。このような送信は、例えば、無線送信、または光送信に基づくことができる。いくつかの実施形態では、無線ユニットは、Bluetooth送受信機である。代替として、無線ユニットは、例えば、ケーブルもしくはファイバ接続を介するなど、別のデバイスとの間で有線接続で情報を送信し、および/または受信するように構成された有線ユニットにより置き換えられる、または補完される。データが送信されたとき、伝達されるデータの単位(値)は、明示的に、または暗黙的に定義することができる。例えば、インスリン用量の場合、常に国際的な単位(IU)を使用することができ、その他の場合、使用される単位は、例えば、コード化された形式で、明示的に伝達することができる。送信されるデータはまた、注射に関連付けられたタイムスタンプを含むことができる。
【0057】
電池105は、電源103によりプロセッサ101および他の構成要素に電力を供給する。補助デバイスの注射デバイスへの取付けは、自動的に起動されるセンサ、またはマイクロスイッチにより検出することができ、これは、トリガされたときのウェイクアップまたはスイッチとして使用することができる。したがって、補助デバイスは、注射デバイスに取り付けられたとき、自動的に電源が入り動作を開始することができる。同様に、補助デバイスが注射デバイスから取り外されたとき、自動的に電源が切れて、電池の電力を節約することができる。
【0058】
動作において、プロセッサ101は、図16で示されるものなど、補助デバイスの1つまたはそれ以上のセンサ108により出力された信号を受信し、処理するように、ソフトウェア104により構成される。プロセッサ101は、センサ信号のピークをカウントし、カウントされたピークから、ユーザにより選択された投与量を導出することができる。例えば、プロセッサ101は、ユーザが補助デバイスのダイヤルノブを回転させたとき、1つのクリックに対応する、カウントされたピークの数と用量単位とを乗算することができる。プロセッサ101はまた、センサ信号から、注射の開始および終了を検出するよう
に構成することができる。図16を参照して上記で述べたように、注射ボタンが押されたとき、出力されたセンサ信号は、例えば、大きなピーク測定によって、注射の開始を明確に示すことができる。プロセッサ101が、このような信号を検出した場合、それは、タイムスタンプを生成し、それを、決定され、選択された投与量と共にメモリ102に記憶することができる。さらに、注射の終了を、プロセッサ101により検出することができ、タイムスタンプはメモリ102に記憶することができる。注射の後、プロセッサ101は、薬剤の選択された投与量および/または注射デバイスの使用に関する記憶された情報を、通信回路106を介して、例えば、スマートフォンもしくはコンピュータなど外部の電子デバイスに送信するように構成することができる。この情報はまた、注射デバイスのユーザにより使用されるディスプレイ107上に表示することができる。情報は、補助デバイスそれ自体により処理される、または別のデバイス(例えば、血糖モニタリングシステム、またはコンピューティングデバイス)に少なくとも部分的に提供することができる。
【0059】
プロセッサ101は、ユーザの注射履歴を記録するようにさらに構成することができる。注射デバイスは、1回使用の自動注射器とすることができるが、補助デバイスは再使用可能であり、使用された注射器から取り外されて、新しい注射器に取り付けるように構成することができる。補助デバイスのプロセッサ101は、注射イベントに関連付けられたタイムスタンプを生成するために、内部クロックを有することができる。クロックは、相対的なクロック、または絶対的なクロックとすることができる。補助デバイスは、無線ユニット106を介して外部デバイスと通信するように構成され、外部デバイスは、絶対時間を提供することができる。
【0060】
「薬物」または「薬剤」という用語は、本明細書では同義的に用いられ、1つもしくはそれ以上の活性医薬成分またはそれらの薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物と、場合により薬学的に許容可能な担体と、を含む医薬製剤を記述する。活性医薬成分(「API」)とは、最広義には、ヒトまたは動物に対して生物学的効果を有する化学構造体のことである。薬理学では、薬剤または医薬は、疾患の治療、治癒、予防、または診断に使用されるか、さもなければ身体的または精神的なウェルビーイングを向上させるために使用される。薬物または薬剤は、限定された継続期間で、または慢性障害では定期的に使用可能である。
【0061】
以下に記載されるように、薬物または薬剤は、1つもしくはそれ以上の疾患の治療のために各種タイプの製剤中に少なくとも1つのAPIまたはその組合せを含みうる。APIの例としては、500Da以下の分子量を有する低分子、ポリペプチド、ペプチド、およびタンパク質(例えば、ホルモン、成長因子、抗体、抗体フラグメント、および酵素)、炭水化物および多糖、ならびに核酸、二本鎖または一本鎖DNA(ネイキッドおよびcDNAを含む)、RNA、アンチセンス核酸例えばアンチセンスDNAおよびRNA、低分子干渉RNA(siRNA)、リボザイム、遺伝子、およびオリゴヌクレオチドが挙げられうる。核酸は、ベクター、プラスミド、またはリポソームなどの分子送達システムに取り込み可能である。1つまたはそれ以上の薬物の混合物も企図される。
【0062】
薬物または薬剤は、薬物送達デバイスでの使用に適合化された一次パッケージまたは「薬物容器」に包含可能である。薬物容器は、例えば、1つもしくはそれ以上の薬物の収納(例えば、短期または長期の収納)に好適なチャンバを提供するように構成されたカートリッジ、シリンジ、リザーバ、または他の硬性もしくは可撓性のベッセルでありうる。例えば、いくつかの場合には、チャンバは、少なくとも1日間(例えば、1日間~少なくとも30日間)にわたり薬物を収納するように設計可能である。いくつかの場合には、チャンバは、約1カ月~約2年間にわたり薬物を収納するように設計可能である。収納は、室温(例えば、約20℃)または冷蔵温度(例えば、約-4℃~約4℃)で行うことが可能
である。いくつかの場合には、薬物容器は、投与される医薬製剤の2つ以上の成分(例えば、APIと希釈剤、または2つの異なる薬物)を各チャンバに1つずつ個別に収納するように構成されたデュアルチャンバカートリッジでありうるか、またはそれを含みうる。かかる場合には、デュアルチャンバカートリッジの2つのチャンバは、人体もしくは動物体への投薬前および/または投薬中に2つ以上の成分間の混合が可能になるように構成可能である。例えば、2つのチャンバは、互いに流体連通するように(例えば、2つのチャンバ間の導管を介して)かつ所望により投薬前にユーザによる2つの成分の混合が可能になるように構成可能である。代替的または追加的に、2つのチャンバは、人体または動物体への成分の投薬時に混合が可能になるように構成可能である。
【0063】
本明細書に記載の薬物送達デバイスに含まれる薬物または薬剤は、多くの異なるタイプの医学的障害の治療および/または予防のために使用可能である。障害の例としては、例えば、糖尿病または糖尿病に伴う合併症例えば糖尿病性網膜症、血栓塞栓障害例えば深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症が挙げられる。障害のさらなる例は、急性冠症候群(ACS)、アンギナ、心筋梗塞、癌、黄斑変性、炎症、枯草熱、アテローム硬化症および/または関節リュウマチである。APIおよび薬物の例は、ローテリステ2014年(Rote Liste 2014)(例えば、限定されるものではないがメイングループ12(抗糖尿病薬剤)または86(オンコロジー薬剤))やメルク・インデックス第15版(Merck Index,15th edition)などのハンドブックに記載されているものである。
【0064】
1型もしくは2型糖尿病または1型もしくは2型糖尿病に伴う合併症の治療および/または予防のためのAPIの例としては、インスリン、例えば、ヒトインスリン、もしくはヒトインスリンアナログもしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP-1)、GLP-1アナログもしくはGLP-1レセプターアゴニスト、はそのアナログもしくは誘導体、ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP4)阻害剤、またはそれらの薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、またはそれらのいずれかの混合物が挙げられる。本明細書で用いられる場合、「アナログ」および「誘導体」という用語は、天然に存在するペプチドに存在する少なくとも1つのアミノ酸残基の欠失および/または交換によりおよび/または少なくとも1つのアミノ酸残基の付加により天然に存在するペプチドの構造例えばヒトインスリンの構造から形式的に誘導可能な分子構造を有するポリペプチドを指す。付加および/または交換アミノ酸残基は、コード可能アミノ酸残基または他の天然に存在する残基または純合成アミノ酸残基のどれかでありうる。インスリンアナログは、「インスリンレセプターリガンド」とも呼ばれる。特に、「誘導体」という用語は、天然に存在するペプチドの構造から形式的に誘導可能な分子構造、例えば、1つまたはそれ以上の有機置換基(例えば脂肪酸)がアミノ酸の1つまたはそれ以上に結合したヒトインスリンの分子構造を有するポリペプチドを指す。場合により、天然に存在するペプチドに存在する1つまたはそれ以上のアミノ酸が、欠失し、および/または非コード可能アミノ酸を含めて他のアミノ酸によって置き換えられ、または天然に存在するペプチドに非コード可能なものを含めてアミノ酸が付加される。
【0065】
インスリンアナログの例は、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン(インスリングラルギン);Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン(インスリングルリジン);Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン(インスリンリスプロ);Asp(B28)ヒトインスリン(インスリンアスパルト);位置B28のプロリンがAsp、Lys、Leu、ValまたはAlaに置き換えられたうえに位置B29のLysがProに置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28~B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリンおよびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0066】
インスリン誘導体の例は、例えば、B29-N-ミリストイル-des(B30)ヒトインスリン、Lys(B29)(N-テトラデカノイル)-des(B30)ヒトインスリン(インスリンデテミル、レベミル(Levemir)(登録商標));B29-N-パルミトイル-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-ミリストイルヒトインスリン;B29-N-パルミトイルヒトインスリン;B28-N-ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28-N-パルミトイル-LysB28ProB29ヒトインスリン;B30-N-ミリストイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30-N-パルミトイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29-N-(N-パルミトイル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン、B29-N-オメガ-カルボキシペンタデカノイル-ガンマ-L-グルタミル-des(B30)ヒトインスリン(インスリンデグルデク、トレシーバ(Tresiba)(登録商標));B29-N-(N-リトコリル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)-des(B30)ヒトインスリンおよびB29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0067】
GLP-1、GLP-1アナログおよびGLP-1レセプターアゴニストの例は、例えば、リキシセナチド(リキスミア(Lyxumia)(登録商標))、エキセナチド(エキセンジン-4、バイエッタ(Byetta)(登録商標)、ビデュリオン(Bydureon)(登録商標)、ヒラモンスターの唾液腺により産生される39アミノ酸ペプチド)、リラグルチド(ビクトーザ(Victoza)(登録商標))、セマグルチド、タスポグルチド、アルビグルチド(シンクリア(Syncria)(登録商標))、デュラグルチド(トルリシティ(Trulicity)(登録商標))、rエキセンジン-4、CJC-1134-PC、PB-1023、TTP-054、ラングレナチド/HM-11260C、CM-3、GLP-1エリゲン、ORMD-0901、NN-9924、NN-9926、NN-9927、ノデキセン、ビアドール-GLP-1、CVX-096、ZYOG-1、ZYD-1、GSK-2374697、DA-3091、MAR-701、MAR709、ZP-2929、ZP-3022、TT-401、BHM-034、MOD-6030、CAM-2036、DA-15864、ARI-2651、ARI-2255、エキセナチド-XTENおよびグルカゴン-Xtenである。
【0068】
オリゴヌクレオチドの例は、例えば、家族性高コレステロール血症の治療のためのコレステロール低下アンチセンス治療剤ミポメルセンナトリウム(キナムロ(Kynamro)(登録商標))である。
【0069】
DPP4阻害剤の例は、ビダグリプチン、シタグリプチン、デナグリプチン、サキサグリプチン、ベルベリンである。
【0070】
ホルモンの例としては、脳下垂体ホルモンもしくは視床下部ホルモンまたはレギュラトリー活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニスト、例えば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(Somatropine)(ソマトロピン(Somatropin))、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、リュープロレリン、ブセレリン、ナファレリン、およびゴセレリンが挙げられる。
【0071】
多糖の例としては、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリンもしくは超低分子量ヘパリンもしくはそれらの誘導体、もしくは硫酸化多糖例えばポリ硫酸化形の上述した多糖、および/またはそれらの薬学的に許容可能な塩が挙げられる。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容可能な塩の例は、エノキサパリンナトリウムである。ヒアルロン酸誘導体の例は、ハイランG-F20(シンビスク(Synvisc)(登録商標))、ヒアルロン酸ナトリウムである。
【0072】
本明細書で用いられる「抗体」という用語は、イムノグロブリン分子またはその抗原結合部分を指す。イムノグロブリン分子の抗原結合部分の例としては、抗原への結合能を保持するF(ab)およびF(ab’)2フラグメントが挙げられる。抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、組換え抗体、キメラ抗体、脱免疫化もしくはヒト化抗体、完全ヒト抗体、非ヒト(例えばネズミ)抗体、または一本鎖抗体でありうる。いくつかの実施形態では、抗体は、エフェクター機能を有するとともに補体を固定可能である。いくつかの実施形態では、抗体は、Fcレセプターへの結合能が低減されているか、または結合能がない。例えば、抗体は、Fcレセプターへの結合を支援しない、例えば、Fcレセプター結合領域の突然変異もしくは欠失を有するアイソタイプもしくはサブタイプ、抗体フラグメントまたは突然変異体でありうる。抗体という用語は、4価二重特異的タンデムイムノグロブリン(TBTI)および/またはクロスオーバー結合領域配向を有する二重可変領域抗体様結合タンパク質(CODV)に基づく抗原結合分子も含む。
【0073】
「フラグメント」または「抗体フラグメント」という用語は、完全長抗体ポリペプチドを含まないが依然として抗原に結合可能な完全長抗体ポリペプチドの少なくとも一部分を含む抗体ポリペプチド分子由来のポリペプチド(例えば、抗体重鎖および/または軽鎖ポリペプチド)を指す。抗体フラグメントは、完全長抗体ポリペプチドの切断部分を含みうるが、この用語は、かかる切断フラグメントに限定されるものではない。本開示に有用な抗体フラグメントとしては、例えば、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv(一本鎖Fv)フラグメント、線状抗体、単一特異的または多重特異的な抗体フラグメント、例えば、二重特異的、三重特異的、四重特異的および多重特異的抗体(例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ)、1価または多価抗体フラグメント、例えば、2価、3価、4価および多価の抗体、ミニボディ、キレート化組換え抗体、トリボディまたはビボディ、イントラボディ、ナノボディ、小モジュール免疫医薬(SMIP)、結合ドメインイムノグロブリン融合タンパク質、ラクダ化抗体、およびVHH含有抗体が挙げられる。抗原結合抗体フラグメントの追加の例は当技術分野で公知である。
【0074】
「相補性決定領域」または「CDR」という用語は、特異的抗原認識を媒介する役割を主に担う、重鎖および軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内の短いポリペプチド配列を指す。「フレームワーク領域」という用語は、CDR配列でないかつ抗原結合が可能になるようにCDR配列の適正配置を維持する役割を主に担う、重鎖および軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内のアミノ酸配列を指す。フレームワーク領域自体は、典型的には抗原結合に直接関与しないが、当技術分野で公知のように、ある特定の抗体のフレームワーク領域内のある特定の残基は、抗原結合に直接関与しうるか、またはCDR内の1つもしくはそれ以上のアミノ酸と抗原との相互作用能に影響を及ぼしうる。
【0075】
抗体の例は、抗PCSK-9 mAb(例えば、アリロクマブ)、抗IL-6 mAb(例えば、サリルマブ)、および抗IL-4 mAb(例えば、デュピルマブ)である。
【0076】
本明細書に記載のいずれのAPIの薬学的に許容可能な塩も、薬物送達デバイスで薬物または薬剤に使用することが企図される。薬学的に許容可能な塩は、例えば、酸付加塩および塩基性塩である。
【0077】
当業者であれば、本明細書で述べられたAPI、製剤、装置、方法、システム、および実施形態の様々な構成要素の修正(追加および/または除去)は、本開示の完全な範囲および趣旨から逸脱することなく行えること、それは、このような修正、およびその任意の、すべての等価な形態を包含することが理解されよう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【外国語明細書】