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特開2023-179812高速通信基板用ボンディングフィルム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179812
(43)【公開日】2023-12-20
(54)【発明の名称】高速通信基板用ボンディングフィルム
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/03 20060101AFI20231213BHJP
   B32B 27/34 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
H05K1/03 610P
H05K1/03 610T
B32B27/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092619
(22)【出願日】2022-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塩原 利夫
(72)【発明者】
【氏名】堤 吉弘
【テーマコード(参考)】
4F100
【Fターム(参考)】
4F100AB17D
4F100AB33D
4F100AG00A
4F100AG00B
4F100AK01A
4F100AK01B
4F100AK42C
4F100AK49A
4F100AK49B
4F100AK53A
4F100AT00C
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA04
4F100BA07
4F100CB00B
4F100DG11A
4F100DG11B
4F100DH01A
4F100DH01B
4F100EJ82A
4F100EJ82B
4F100GB41
4F100JB12A
4F100JG05B
4F100JK06
4F100YY00A
4F100YY00B
(57)【要約】
【課題】多層プリント配線板、フレキシブルプリント配線板等の回路基板の製造において、平滑な導体層と絶縁層との密着向上に特別な処理工程を施すことなく、導体層との接着に優れた高速通信基板用ボンディングフィルムの提供。
【解決手段】
硬化性樹脂組成物を含む硬化性樹脂組成物層の片面又は両面に、ビスマレイミド樹脂を含む硬化性接着剤組成物を含有する、層厚が1μm~100μmの硬化性接着剤組成物層が積層された高速通信基板用硬化性接着剤層付きボンディングフィルム。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性樹脂組成物を含む硬化性樹脂組成物層の片面又は両面に、ビスマレイミド樹脂を含む硬化性接着剤組成物を含有する、層厚が1μm~100μmの硬化性接着剤組成物層が積層された高速通信基板用硬化性接着剤層付きボンディングフィルム。
【請求項2】
ビスマレイミド樹脂が下記式(1)で示されるビスマレイミド樹脂を含むものである請求項1に記載の高速通信基板用ボンディングフィルム。
【化1】
(式(1)中、Aは独立して環状構造を有する4価の有機基であり、Bは独立して炭素数6~60の2価炭化水素基であり、Dは独立して炭素数6~200の2価の炭化水素基であり、Dの少なくとも1つはダイマー酸骨格由来の炭化水素基であり、mは0~100であり、lは0~200であり、m=l=0も含む。m及びlで括られた各繰り返し単位の順序は限定されず、結合様式は、交互であっても、ブロックであっても、ランダムであってもよい。)
【請求項3】
硬化性接着剤組成物が表面粗度(Rz)1.8μm以下の銅箔と接着可能なものである、請求項1に記載の高速通信基板用ボンディングフィルム。
【請求項4】
硬化性接着剤組成物が無機充填材を含有する請求項2に記載の高速通信基板用ボンディングフィルム。
【請求項5】
硬化性接着剤組成物層が、式(1)で示されるビスマレイミド樹脂及び無機充填材を含む硬化性接着剤組成物を石英ガラスクロスに含浸してなるプリプレグである請求項1に記載の高速通信基板用ボンディングフィルム。
【化2】
(式(1)中、Aは独立して環状構造を有する4価の有機基であり、Bは独立して炭素数6~60の2価炭化水素基であり、Dは独立して炭素数6~200の2価の炭化水素基であり、Dの少なくとも1つはダイマー酸骨格由来の炭化水素基であり、mは0~100であり、lは0~200であり、m=l=0も含む。m及びlで括られた各繰り返し単位の順序は限定されず、結合様式は、交互であっても、ブロックであっても、ランダムであってもよい。)
【請求項6】
プリプレグの誘電正接が10GHzで0.002以下である請求項5に記載の高速通信基板用ボンディングフィルム。
【請求項7】
硬化性接着剤組成物層の厚みが1μm~50μmである請求項1に記載の高速通信基板用ボンディングフィルム。
【請求項8】
硬化性樹脂組成物がエポキシ樹脂及び/又はビスマレイミド樹脂と、硬化剤とを含有するものである請求項1に記載の高速通信基板用ボンディングフィルム。
【請求項9】
硬化性樹脂組成物層の厚みが1~100μmである請求項1に記載の高速通信基板用ボンディングフィルム。
【請求項10】
硬化性樹脂組成物層が硬化性樹脂組成物を石英ガラスクロスに含浸してなるプリプレグである請求項1に記載の高速通信基板用ボンディングフィルム。
【請求項11】
硬化性樹脂組成物層の片面に、硬化性接着剤組成物層が積層された請求項1に記載のボンディングフィルムであって、
硬化性樹脂組成物層の硬化性接着剤組成物層と接しない面に支持体を有し、
硬化性接着剤組成物層の硬化性樹脂組成物層と接しない面に別の支持体を有するものであるボンディングフィルム。
【請求項12】
支持体がポリエチレンテレフタレートフィルムである請求項10に記載の高速通信基板用ボンディングフィルム。
【請求項13】
支持体の厚みが10μm~70μmである請求項12に記載の高速通信基板用ボンディングフィルム。
【請求項14】
支持体上に形成された硬化性樹脂組成物層と、支持体上に形成された硬化性接着剤組成物層とを積層するステップを有する高速通信基板用ボンディングフィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面粗度の小さい銅箔との接着に優れる高速通信基板用ボンディングフィルム及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種電子機器に広く使用されている多層プリント配線板、フレキシブルプリント配線板等の回路基板は、電子機器の小型化、高機能化のために、層の薄型化や回路のファインパターン化が求められている。
現在、5Gなどの高速通信化に伴い、ミリ波などの高周波でも伝送損失の少ない高速通信基板やアンテナ基板が強く望まれている。またスマートフォン等の情報端末においては配線基板の高密度実装化や極薄化が著しく進行している。一方、伝送信号は表皮効果によりミリ波などの高周波になればなるほど導体表面を伝搬するようになり、導体表面の粗度が大きくなればなるほど伝送損失が増大する。
【0003】
従来はボンディングフィルムと導体となる銅箔との接着強度を上げるため、表面粗度が大きい銅箔を使っていた。
近年、高密度微細配線の高速信号対応の要求が高まっており、導体表面をできるだけ荒らさず平坦にして、且つ絶縁樹脂との高密着強度を維持する要求が高まっている。そこで、物理的なアンカー効果でなく、化学的結合により高密着を得られるよう、導体表面をシランカップリング剤で処理する方法(特許文献1)や、導体表面にアゾール化合物の被膜を形成する方法(特許文献2)が知られている。
また、銅箔をフィルム上に接着させた後、回路を形成する方法も知られている。この方法では、銅箔とフィルムとの接着性を向上させるため、シランカップリング剤、アゾール化合物、トリアジン化合物、ポルフィリン化合物からなる群より選択される密着向上剤層が、硬化性樹脂組成物からなるフィルム上に積層された密着向上剤層を有する接着フィルムが提案されている(特許文献3)。
【0004】
しかし、このような密着向上剤を使用した接着フィルムを使用しても、ミリ波対応の平滑な銅箔に対しては接着強度が不十分である。
また、絶縁層となる樹脂組成物に密着向上剤を添加することも一般的に知られているが、平滑な導体に対し、密着向上剤を添加したとしても、密着向上剤と樹脂組成物とが反応することから、樹脂組成物の保存安定性が劣り、該組成物の硬化物の吸水性や、絶縁性などに悪影響を及ぼす等の問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2004-536220号公報
【特許文献2】特開2002-321310号公報
【特許文献3】特開2010-120192号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明は、多層プリント配線板、フレキシブルプリント配線板等の回路基板の製造において、表面粗度の小さい導体との接着に優れた高速通信基板用ボンディングフィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意検討した結果、回路基板上に直接密着向上剤層を形成するのではなく、別途、支持体上に硬化性樹脂組成物層(絶縁層)と、平滑な表面を有する導体(例えば、銅箔など)との強固な接着が得られる硬化性接着剤組成物層(接着層)とが予め積層された高速通信基板用ボンディングフィルムを使用することによって、導体との接着に優れた絶縁層を形成できることを見出した。
すなわち、本発明は以下のものである。
【0008】
[1]
硬化性樹脂組成物を含む硬化性樹脂組成物層の片面又は両面に、ビスマレイミド樹脂を含む硬化性接着剤組成物を含有する、層厚が1μm~100μmの硬化性接着剤組成物層が積層された高速通信基板用硬化性接着剤層付きボンディングフィルム。

[2]
ビスマレイミド樹脂が下記式(1)で示されるビスマレイミド樹脂を含むものである[1]に記載の高速通信基板用ボンディングフィルム。
【化1】
(式(1)中、Aは独立して環状構造を有する4価の有機基であり、Bは独立して炭素数6~60の2価炭化水素基であり、Dは独立して炭素数6~200の2価の炭化水素基であり、Dの少なくとも1つはダイマー酸骨格由来の炭化水素基であり、mは0~100であり、lは0~200であり、m=l=0も含む。m及びlで括られた各繰り返し単位の順序は限定されず、結合様式は、交互であっても、ブロックであっても、ランダムであってもよい。)

[3]
硬化性接着剤組成物が、表面粗度(Rz)1.8μm以下の銅箔と接着可能なものである[1]に記載の高速通信基板用ボンディングフィルム。

[4]
硬化性接着剤組成物が無機充填材を含有する[2]に記載の高速通信基板用ボンディングフィルム。

[5]
硬化性接着剤組成物層が、式(1)で示されるビスマレイミド樹脂及び無機充填材を含む硬化性接着剤組成物を石英ガラスクロスに含浸してなるプリプレグである[1]に記載の高速通信基板用ボンディングフィルム。
【化2】
(式(1)中、Aは独立して環状構造を有する4価の有機基であり、Bは独立して炭素数6~60の2価炭化水素基であり、Dは独立して炭素数6~200の2価の炭化水素基であり、Dの少なくとも1つはダイマー酸骨格由来の炭化水素基であり、mは0~100であり、lは0~200であり、m=l=0も含む。m及びlで括られた各繰り返し単位の順序は限定されず、結合様式は、交互であっても、ブロックであっても、ランダムであってもよい。)

[6]
プリプレグの誘電正接が10GHzで0.002以下である[5]に記載の高速通信基板用ボンディングフィルム。

[7]
硬化性接着剤組成物層の厚みが1μm~50μmである[1]に記載の高速通信基板用ボンディングフィルム。

[8]
硬化性樹脂組成物がエポキシ樹脂及び/又はビスマレイミド樹脂と、硬化剤とを含有するものである[1]に記載の高速通信基板用ボンディングフィルム。

[9]
硬化性樹脂組成物層の厚みが1~100μmである[1]に記載の高速通信基板用ボンディングフィルム。

[10]
硬化性樹脂組成物層が硬化性樹脂組成物を石英ガラスクロスに含浸してなるプリプレグである[1]に記載の高速通信基板用ボンディングフィルム。

[11]
硬化性樹脂組成物層の片面に、硬化性接着剤組成物層が積層された[1]に記載のボンディングフィルムであって、
硬化性樹脂組成物層の硬化性接着剤組成物層と接しない面に支持体を有し、
硬化性接着剤組成物層の硬化性樹脂組成物層と接しない面に別の支持体を有するものであるボンディングフィルム。

[12]
支持体がポリエチレンテレフタレートフィルムである[10]に記載の高速通信基板用ボンディングフィルム。

[13]
支持体の厚みが10μm~70μmである[12]に記載の高速通信基板用ボンディングフィルム。

[14]
支持体上に形成された硬化性樹脂組成物層と、支持体上に形成された硬化性接着剤組成物層とを積層するステップを有する高速通信基板用ボンディングフィルムの製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、低粗化処理された導体(表面粗度の小さい導体)に接着する硬化性接着剤組成物層(接着層)が積層されたボンディングフィルムを使用することによって、導体に特別な処理工程を施すことなく、導体との密着に優れた硬化性樹脂組成物層(絶縁層)を導体上に簡便に形成できる。また、硬化性接着剤組成物層(接着層)が積層されたボンディングフィルムを使用することにより、樹脂組成物中に密着向上剤を配合する必要が無いため、保管時に樹脂組成物の保存安定性を損なうことも無い。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
【0011】
本発明の高速通信基板用ボンディングフィルムは、支持体上に硬化性樹脂組成物層と、導体と強固な接着を形成する硬化性接着剤組成物層とを積層したことが主たる特徴である。
本発明のボンディングフィルムは、必要に応じて支持体を剥離する工程、及び硬化性樹脂組成物層(絶縁層)と硬化性接着剤組成物層(接着層)とを硬化する工程により、導体に特別な処理を施すことなく、導体との接着に優れた絶縁層を導体上に簡便に形成することができ、多層プリント配線板、フレキシブルプリント配線板等の回路基板を効率よく製造することができる。
【0012】
導体となる銅箔には、電解箔と圧延箔があるが、どちらの銅箔にも本発明品を適用することができる。硬化性接着剤組成物層(接着層)と貼り合わせる面の銅箔の表面粗度(Rz)は1.8μm以下であり、1.0μm以下が好ましい。表面粗度が1.8μmを超えると伝送損失が大きくなり、高速通信基板用の導体としての実用性能を満足しない場合がある。
表面粗度(Rz)とは、JIS B0601-2001に従って測定される値をさす。
【0013】
<支持体>
本発明のボンディングフィルムにおいて、支持体は自己支持性を有するフィルムまたはシート状物であれば制限なく使用することができる。その材質は特に限定されないが、取扱い性、コスト、汎用性等の観点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリカーボネート等のフレキシブルなプラスチックシートが好ましく、中でも、安価なポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
支持体は、マット処理、コロナ処理等の表面処理が施してあってもよい。また、シリコーン樹脂系離型剤、アルキッド樹脂系離型剤、フッ素樹脂系離型剤等の離型剤で離型処理が施してあってもよい。
また、支持体の厚みは、好ましくは10μm~70μm、より好ましくは15μm~70μmである。厚みが薄すぎると、取扱い性に劣る場合があり、支持体の剥離性低下や平滑な金属膜層の形成に不具合が生じる場合がある。また、厚みが厚すぎると、コスト高になる場合がある。
また、ボンディングフィルムは、支持体と接する面と反対側に保護フィルム(カバーフィルム)を有していてもかまわない。
【0014】
<硬化性接着剤組成物層>
硬化性接着剤組成物層(接着層)で用いられる硬化性接着剤組成物に含まれる硬化性樹脂(硬化性接着剤)は、使用する導体の金属(例えば、金属薄膜)と、樹脂組成物との接着を向上させるものであり、低粗化処理された金属膜との接着に優れる下記に示されるビスマレイミド樹脂が金属薄膜(例えば、銅箔)と樹脂組成物(例えば、エポキシ樹脂組成物)との接着に適している。
【0015】
本発明で用いるビスマレイミド樹脂は、下記の一般式(1)で示されるビスマレイミド樹脂が耐熱性、低弾性、強靭性、接着性に優れていることから好適である。
【化3】
(式(1)中、Aは独立して環状構造を有する4価の有機基であり、Bは独立して炭素数6~60の2価炭化水素基であり、Dは独立して炭素数6~200の2価の炭化水素基であり、Dの少なくとも1つはダイマー酸骨格由来の炭化水素基であり、mは0~100であり、lは0~200であり、m=l=0も含む。m及びlで括られた各繰り返し単位の順序は限定されず、結合様式は、交互であっても、ブロックであっても、ランダムであってもよい。)
【0016】
式(1)で示されるビスマレイミド樹脂は、少なくとも1つのダイマー酸骨格由来の炭化水素基を有する。
ダイマー酸とは、植物系油脂などの天然物を原料とする炭素数18の不飽和脂肪酸の二量化によって生成された、炭素数36のジカルボン酸を主成分とする液状の二塩基酸であり、ダイマー酸は単一の骨格ではなく、複数の構造を有し、何種類かの異性体が存在する。ダイマー酸の代表的なものは直鎖型(a)、単環型(b)、芳香族環型(c)、多環型(d)という名称で分類される。
本明細書において、ダイマー酸骨格とは、このようなダイマー酸のカルボキシ基を1級アミノメチル基で置換した構造を有するダイマージアミンから誘導される基をいう。すなわち、前記ビスマレイミド樹脂は、ダイマー酸骨格として、下記(a)~(d)で示される各ダイマー酸において、2つのカルボキシ基がメチレン基で置換された基を有するものが好ましい。また、前記ビスマレイミド樹脂が有するダイマー酸骨格由来の炭化水素基は、水添反応により、該ダイマー酸骨格由来の炭化水素基中の炭素-炭素二重結合が低減した構造を有するものが、硬化物の耐熱性や信頼性の観点からより好ましい。
【化4】
【0017】
式(1)で示されるビスマレイミド樹脂のAは、独立して環状構造を含む4課の有機基であり、中でも下記構造式で示される4価の有機基のいずれかであることが好ましい。
【化5】
(上記構造式中の置換基が結合していない結合手は、式(1)において環状イミド構造を形成するカルボニル炭素と結合するものである。)
【0018】
式(1)中のBは、独立して炭素数6~60、好ましくは7~50、より好ましくは8~45の2価炭化水素基である。中でも、前記2価炭化水素基中の水素原子の1個以上が、炭素数6~60、好ましくは7~50、より好ましくは8~45のアルキル基又はアルケニル基で置換されている分岐状2価炭化水素基であることが好ましい。分岐状2価炭化水素基としては、飽和脂肪族炭化水素基、不飽和炭化水素基のいずれでもよく、分子鎖の途中に脂環式構造又は芳香族環構造を有していてもよい。
【0019】
前記式(1)中、Dは、独立して炭素数6~200、好ましくは8~100、より好ましくは10~50の2価炭化水素基である。同様に、前記2価炭化水素基中の水素原子の1個以上が、炭素数6~200、好ましくは8~100、より好ましくは10~50のアルキル基又はアルケニル基で置換されている分岐状2価炭化水素基であることが好ましい。分岐状2価炭化水素基としては、飽和脂肪族炭化水素基、不飽和炭化水素基のいずれでもよく、分子鎖の途中に脂環式構造又は芳香族環構造を有していてもよい。
同様に、前記分岐状2価炭化水素基として、具体的には、ダイマージアミンと呼ばれる両末端ジアミン由来の2価炭化水素基が挙げられる。従って、Dは、上記(a)~(d)で示される各ダイマー酸において、2つのカルボキシ基がそれぞれメチレン基で置換された基が特に好ましく、1分子中に少なくとも1つはこのダイマー酸由来の骨格を有する。
【0020】
式(1)において、mは0~100であり、lは0~200であり、m=l=0も含む。好ましくはm、nともに0以上20以下である。mとnともに大きすぎると溶解性や流動性が低下し、積層や含浸などの成型性に劣るおそれがある。
【0021】
代表的な式(1)のビスマレイミド樹脂として、式(2)の下記樹脂(SLK-6895;商品名、信越化学工業(株)製)や式(3)の下記樹脂(SLK-3000:商品名、信越化学工業(株)製)がある。
【化6】
【0022】
式(1)のビスマレイミド樹脂を単独で用いても、異なる2種以上を併用してもよい。
ビスマレイミド樹脂としては、上記したSLK-6895(信越化学工業(株)製)、SLK-3000(信越化学工業(株)製)の他に、SLK-2000シリーズ(信越化学工業(株)製)などがある。
【0023】
硬化性接着剤組成物中のビスマレイミド樹脂の含有量は、好ましくは10~99.9質量%であり、より好ましくは20~99.5質量%であり、さらに好ましくは50~99質量%である。
【0024】
硬化性接着剤組成物層は、ビスマレイミド樹脂等の樹脂をガラスクロス、石英ガラスクロス、炭素繊維織布、カーボンナノチューブ不織布などのシート状補強基材に含浸したプリプレグとすることもできる。シート状補強基材としては誘電正接が小さく、伝送損失の少ない石英ガラスクロスが好ましい。石英ガラスクロスは低誘電ガラスとして知られているNEガラスなどより優れた誘電特性を持っている。石英ガラスクロスは、10~70GHzの周波数範囲において、誘電正接が好ましくは0.002以下、より好ましくは0.001以下、更に好ましくは0.0008以下、特に好ましくは0.0004以下のものが好ましい。これによって低粗化処理された銅箔と接着する接着剤層は誘電損失が非常に小さいものとなる。
【0025】
シート状補強基材に対する硬化性樹脂(硬化性接着剤)の含浸量及び積層量は、補強基材100質量部に対し10~200質量部である。
硬化性接着剤組成物層の層厚みは、1μm~100μmであり、好ましくは1μm~50μmである。厚みが薄すぎると、接着向上の効果が十分発揮されない場合があり、また厚みが厚すぎると、硬化性樹脂(硬化性接着剤)が加圧成型時に流れ出し、厚みの制御が難しく良好な製品が製造できない場合がある。
【0026】
硬化性接着剤組成物層(接着層)で用いられる硬化性接着剤組成物には下記に示す硬化剤を含有してもよい。硬化剤は、硬化性接着剤組成物層のビスマレイミド樹脂を硬化するものであり、架橋反応を促進するものであれば特に制限されるものではなく、ラジカル重合開始剤、アニオン重合開始剤などが使用される。例えば、有機過酸化物、ヒドロペルオキシド、アゾイソブチロニトリル等のラジカル重合開始剤、イミダゾール類、第3級アミン類、第4級アンモニウム塩類、三フッ化ホウ素アミン錯体、オルガノホスフィン類、オルガノホスホニウム塩等のアニオン重合開始剤などが挙げられる。これらの中でもラジカル重合開始剤として有機過酸化物、アニオン重合開始剤としてイミダゾール類、第3級アミン類が好ましい。好ましい有機過酸化物としては、ジクミルパーオキシド、t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-アミルパーオキシベンゾエート、ジベンゾイルパーオキシド、ジウラロイルパーオキシド等が挙げられる。好ましいイミダゾール類としては、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール等が挙げられる。
硬化剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0027】
硬化剤の配合量は、硬化性接着剤組成物の有機樹脂量100質量部に対して0.05~10質量部であり、0.1~5質量部とすることが好ましい。上記範囲を外れると硬化物の耐熱性と耐湿性とのバランスが悪くなったり、成型時の硬化速度が非常に遅くなったり、速くなったりするおそれがある。
【0028】
硬化性接着剤組成物は、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、シアネート樹脂、反応性PPE、マレイミド化合物、ベンゾオキサジン化合物、アリル基含有化合物、不飽和ポリエステル樹脂、さらにこれら複数種からなるハイブリッド樹脂等を含有してもよい。
【0029】
硬化性接着剤組成物には下記に示されるようなシランカップリング剤を含有してもよい。
シランカップリング剤としては、公知慣用のものが使用でき、ビニルトリメトキシシラン、ビニルフェニルトリメトキシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、4-グリシジルブチルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-3-(4-(3-アミノプロポキシ)ブトキシ)プロピル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、イミダゾールシラン、トリアジンシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0030】
また、硬化性接着剤組成物には、硬化後の低熱膨張化のために無機充填材を含有させることができる。無機充填材としては、例えば、シリカ、アルミナ、雲母、マイカ、珪酸塩、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム、酸化チタン等が挙げられ、シリカ、アルミナが好ましく、特にシリカが好ましい。
無機充填材としては球状や破砕上の粒子を使用することができる。中でも溶融シリカからなる球状シリカが好ましく、平均粒径は10μm以下であれば使用可能であるが、絶縁信頼性の観点から、また樹脂層、接着層の厚み、外観の観点から、平均粒径が0.1~5μmであるのが好ましく、特に平均粒径が0.6μm以下と微細な粒径のものがより好ましい。一方、平均粒径の下限は特に限定はされないが、平均粒径としては0.1μm以上が好ましい。0.1μm未満では粒子の表面積が大きくなり、チキソ性が出ることで作業性が悪くなる場合がある。
【0031】
無機充填材の表面を前述したシランカップリング剤で処理したものは、樹脂と無機充填材の表面と強固に結合できることから好ましい。
配合量に関しては、硬化性樹脂の総量100質量部に対し、0.2~10.0質量部、特に1.0~5.0質量部が好ましい。0.2質量部より少ないと樹脂と無機充填材の表面が強固に結合できなくなり、10質量部より多くなるとカップリング剤が染み出したり、乾燥時に揮発量が多くなりボイドが発生し、外観不良になるおそれがある。なお、表面処理に用いるカップリング剤の表面処理方法については特に制限されるものではなく、適宜選択することができる。
【0032】
硬化性接着剤組成物中の無機充填材の含有量は、硬化性接着剤組成物中、好ましくは0~60質量%であり、より好ましくは20~50質量%である。無機充填材が未含有の場合、樹脂の熱膨張率が大きく接着界面への熱応力により剥離の要因となる。また、無機充填材の含有量が60質量%を超えると、組成物の粘度が高くなり作業性が悪くなり、硬化物の機械強度が低下するだけでなく、十分な接着力を発揮できないなどの不具合が生ずる場合がある。
特に低誘電化するために無機充填材を添加する場合は、10~70GHzの周波数帯において、誘電正接が0.005以下、望ましくは0.003以下、特に望ましくは0.001以下のものである。
【0033】
<硬化性樹脂組成物層>
硬化性樹脂組成物層では熱硬化性を有する樹脂であれば、特に限定なく使用できる。例えば、エポキシ樹脂、シアネートエステル樹脂、フェノール樹脂、ビスマレイミド-トリアジン樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ビニルベンジル樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、等の硬化性樹脂と、その硬化剤とを含む組成物が使用できる。
多層プリント配線板、フレキシブルプリント配線板等の回路基板の製造に使用する場合には、硬化性樹脂がとして、エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂を含む組成物が好ましい。特にエポキシ樹脂及び/又はビスマレイミド樹脂と、その硬化剤とを少なくとも含有する組成物がより好ましい。
【0034】
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、アラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノール類とフェノール性ヒドロキシル基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物のエポキシ化物、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、キサンテン型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート等を挙げることができる。エポキシ樹脂は1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0035】
また、前述したビスマレイミド樹脂も低誘電化や低弾性化のために最も適したものである。
該ビスマレイミド樹脂としては、上記式(1)のビスマレイミド樹脂や、上記したSLK-6895(信越化学工業(株)製)、SLK-3000(信越化学工業(株)製)の他に、SLK-2000シリーズ(信越化学工業(株)製)などがある。ビスマレイミド樹脂は1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、用途や必要とする特性に合わせてビスマレイミド樹脂とエポキシ樹脂を混合して使用することもできる。混合比率としてはエポキシ樹脂0~100質量部、ビスマレイミド樹脂0~100質量部の範囲で自由に選択できる。
【0036】
硬化剤としては、例えば、アミン系硬化剤、グアニジン系硬化剤、イミダゾール系硬化剤、フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、酸無水物系硬化剤、又はこれらのエポキシアダクトやマイクロカプセル化したもの、シアネートエステル樹脂等を挙げることができる。中でも、フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、シアネートエステル樹脂が好ましい。本発明において、硬化剤は1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
【0037】
エポキシ樹脂と硬化剤の配合比率は、フェノール系硬化剤またはナフトール系硬化剤の場合、エポキシ樹脂のエポキシ当量1に対してこれら硬化剤のフェノール性水酸基当量が0.4~2.0の範囲となる比率が好ましく、0.5~1.0の範囲となる比率がより好ましい。シアネートエステル樹脂の場合は、エポキシ当量1に対してシアネート当量が0.3~3.3の範囲となる比率が好ましく、0.5~2の範囲となる比率がより好ましい。反応基当量比がこの範囲外であると、硬化物の機械強度や耐水性が低下する傾向にある。
【0038】
また、エポキシ樹脂やシアネート樹脂と硬化剤の反応を促進するために硬化促進剤を使用することができる。このような硬化促進剤としては、イミダゾール系化合物、有機ホスフィン系化合物等が挙げられ、具体例としては、例えば、2-メチルイミダゾール、4-ジメチルアミノピリジン、トリフェニルホスフィンなどを挙げることができる。
硬化促進剤を用いる場合、エポキシ樹脂に対して0.1~3.0質量部の範囲で用いるのが好ましい。なお、エポキシ樹脂硬化剤としてシアネートエステル樹脂を使用する場合には、硬化時間を短縮する目的で、従来からエポキシ樹脂組成物とシアネート化合物とを併用した系で硬化触媒として用いられている有機金属化合物を添加してもよい。有機金属化合物としては、銅(II)アセチルアセトナート等の有機銅化合物、亜鉛(II)アセチルアセトナート等の有機亜鉛化合物、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート等の有機コバルト化合物などが挙げられる。
有機金属化合物の添加量は、シアネートエステル樹脂に対し、金属換算で好ましくは10~500ppm、より好ましくは25~200ppmの範囲である。
エポキシ基の反応を介さないビスマレイミド樹脂を使用する場合は、上記したジクミルパーオキシド、t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-アミルパーオキシベンゾエート、ジベンゾイルパーオキシド、ジウラロイルパーオキシド等の過酸化物を使用してもよい。
【0039】
硬化性樹脂組成物には前述した硬化性接着剤組成物と同様に、該組成物の硬化物の低熱膨張化のために無機充填材を含有させることができる。無機充填材としては、例えば、シリカ、アルミナ、雲母、マイカ、珪酸塩、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム、酸化チタン等が挙げられ、シリカ、アルミナが好ましく、特にシリカが好ましい。無機充填材としては球状や破砕上の粒子を使用することができる。中でも溶融シリカからなる球状シリカが好ましく、平均粒径は10μm以下であれば使用可能であるが、絶縁信頼性の観点から、また樹脂層、接着層の厚み、外観の観点から、平均粒径が0.1~5μmであるのが好ましく、特に平均粒径が0.6μm以下と微細な粒径のものがより好ましい。一方、平均粒径の下限は特に限定はされないが、平均粒径としては0.1μm以上が好ましい。0.1μm未満では粒子の表面積が大きくなり、チキソ性が出ることにより作業性が悪くなる場合がある。
【0040】
無機充填材の表面を前述したシランカップリング剤で処理したものは、樹脂と無機充填材の表面と強固に結合することから好ましい。
配合量に関しては、熱硬化性樹脂の総量100質量部に対し、0.2~10.0質量部、特に1.0~5.0質量部が好ましい。0.2質量部より少ないと樹脂と無機充填材の表面が強固に結合できなくなり、10質量部より多くなるとカップリング剤が染み出したり、乾燥時に揮発量が多くなりボイドが発生し、外観不良になるおそれがある。なお、表面処理に用いるカップリング剤の配合量及び表面処理方法については特に制限されるものではなく、適宜選択することができる。
【0041】
硬化性樹脂組成物中の無機充填材の含有量は、硬化性樹脂組成物中、好ましくは0~60質量%であり、より好ましくは20~50質量%である。無機充填材が未含有の場合、樹脂の熱膨張率が大きく接着界面への熱応力により剥離の要因となる。また、無機充填材の含有量が60質量%を超えると、組成物の粘度が高くなり作業性が悪くなり、硬化物の機械強度が低下するだけでなく、十分な接着力を発揮できないなどの不具合が生ずる場合がある。
特に低誘電化するために無機充填材を添加する場合は、10~70GHzの周波数帯において、誘電正接が0.005以下、望ましくは0.003以下、特に望ましくは0.001以下のものである。
【0042】
硬化性樹脂組成物や硬化性接着剤組成物はボンディングフィルムを製造する際、塗工によりフィルムを製造するにあたり、有機溶剤を添加し、樹脂成分を溶解してワニスとして扱うこともできる。
該組成物をワニス化することによってフィルム化しやすくなるだけでなく、Eガラスや低誘電ガラス、石英ガラスなどでできたガラスクロスに塗布や含浸し、乾燥させることでボンディングフィルムとして使用することができる。
該有機溶剤については樹脂成分が溶解するものであれば制限なく使用することができる。例えば、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)等のようなケトン系有機溶剤;テトラリン、メシチレン、キシレン、トルエンのような炭化水素系有機溶剤;アニソール、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル等が挙げられる。
前述のマレイミド化合物を含有する場合、アニソール、テトラリン、メシチレン、キシレン、トルエンのような芳香族系有機溶剤が好ましい。メチルエチルケトン(MEK)やメチルイソブチルケトン(MIBK)のようなケトン系溶剤もワニス化するのによく用いられるが、前述のマレイミド化合物である場合はこれらのようなケトン系溶剤に対する溶解性が低く、使用は好ましくない。なお、これらの溶剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0043】
ワニス状の樹脂組成物(樹脂ワニス)は、例えば、以下のようにして調製される。まず、樹脂組成物の組成のうち有機溶剤に溶解できる各成分を、有機溶剤に投入して溶解させる。この際、必要に応じて、加熱してもよい。その後、必要に応じて用いられる、無機充填材など有機溶剤に溶解しない成分を添加して、ボールミル、ビーズミル、プラネタリーミキサー、ロールミル等を用いて、所定の分散状態になるまで分散させることにより、ワニス状の樹脂組成物が調製される。
【0044】
以下にフィルムの製造方法を例示するが、これに限定されるものではない。例えば、有機溶剤に溶解した硬化性樹脂組成物(ワニス)を基材に塗布した後、通常80℃以上、好ましくは100℃以上の温度で0.5~20分加熱することによって有機溶剤を除去することで硬化性樹脂組成物からなるボンディングフィルムを製造することができる。
有機溶剤を除去するための乾燥工程、及びその後の加熱硬化工程での温度は、それぞれ一定であってもよいが、段階的に温度を上げていくことが好ましい。これにより、有機溶剤を効率的に組成物外に除去するとともに、樹脂の硬化反応を効率よく進めることができる。ワニスの塗布方法として、スピンコーター、スリットコーター、スプレー、ディップコーター、バーコーター等が挙げられるが特に制限はない。
ここでいう基材とは、前述の支持体にあたり、自己支持性を有するフィルムまたはシート状物であれば制限なく使用することができる。その材質は特に限定されないが、取扱い性、コスト、汎用性等の観点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリカーボネート等のフレキシブルなプラスチックシートが好ましく、中でも、安価なポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
塗工層の厚さも前述の通りであり、さらに前述の通り塗工層の上にカバーフィルムを使用してもかまわない。他にも、有機溶剤は使用せずに各成分をあらかじめプレ混合し、溶融混練機を用いてシート状又はフィルム状に押し出してそのまま使用することもできる。
【0045】
硬化性樹脂組成物や硬化性接着剤組成物には低弾性化や強靭性を付与するため熱可塑性樹脂を添加してもよい。熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂としては特にフェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂が好ましい。これらはいずれか1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
熱可塑性樹脂の添加量としては硬化性樹脂組成物や硬化性接着剤組成物中の有機樹脂量100質量部に対し、0.5~60質量部の割合で配合するのが好ましく、より好ましくは3~40質量部である。
熱可塑性樹脂の配合割合が0.5質量部未満の場合、十分な低弾性化が達成できない場合があり、60質量部を超える場合、樹脂組成物の溶融粘度が高く、基板上の配線パターンへの埋め込みが困難になる場合がある。
【0046】
本発明において、硬化性樹脂組成物層の厚さは特に限定されないが、回路基板を構成する導体厚によって異なり1~100μm程度であり、層間での絶縁信頼性の観点から10~90μmが好ましく、より好ましくは15~80μmである。
【0047】
本発明において、硬化性樹脂組成物層は、硬化性接着剤組成物層と同様に、繊維からなるシート状補強基材中に上述の硬化性樹脂組成物を含浸したプリプレグであってもよい。シート状補強基材の繊維としては、例えば、ガラスクロス、石英ガラスクロス、炭素繊維織布、カーボンナノチューブ不織布等、プリプレグ用繊維として常用されているものを用いることができるが、誘電正接が小さく、伝送損失の少ない石英ガラスクロスが最も好ましい。
【0048】
プリプレグは硬化性樹脂組成物や硬化性接着剤組成物をガラスクロスや石英ガラスクロスにホットメルト法又はソルベント法により含浸させ、加熱により半硬化させることで形成することができる。硬化性樹脂組成物のシート状補強基材に対する含浸量及び積層量は、補強基材100質量部に対し10~200質量部であることが好ましい。
積層方法は、例えば、支持体上に、硬化性樹脂組成物層、硬化性接着剤組成物層を順次形成することによって製造する方法;支持フィルム上に硬化性接着剤組成物層を作製する一方、支持体上に硬化性樹脂組成物層を形成したフィルムを作製し、これら硬化性接着剤フィルムと硬化性樹脂組成物フィルムとを硬化性樹脂組成物層と硬化性接着剤組成物層が接触するように加熱条件下で貼り合わせる方法などがある。
支持フィルムとしては、上述の支持体と同じく、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のプラスチックフィルムが挙げられる。プラスチックフィルム表面には、マット処理、コロナ処理等の表面処理、シリコーン樹脂系離型剤、アルキッド樹脂系離型剤、フッ素樹脂系離型剤等の離型剤で離型処理が施してあってもよい。
【0049】
<高速通信基板用ボンディングフィルム>
支持体上に、硬化性樹脂組成物層、及び表面粗度1.8μm以下の銅箔と接着を形成する硬化性接着剤組成物層が積層された高速通信基板用ボンディングフィルムの製造方法は特に制限されない。
また、積層形態も特に制限されることはなく、支持体上の硬化性接着剤組成物層を硬化性樹脂組成物層の両面に積層した高速通信基板用ボンディングフィルムや複数の硬化性接着剤組成物層を有するボンディングフィルムを積層したものであってもよく、ラミネート法で積層されるものが好ましい。
ラミネートの条件は、特に限定されるものではないが、例えば、圧着温度(ラミネート温度)を好ましくは70~140℃、圧着圧力を好ましくは1~11kgf/cm2(9.8×104~107.9×104N/m2)とし、空気圧20mmHg(26.7hPa)以下の減圧下でラミネートするのが好ましい。なかでも、真空ラミネート法により減圧下でラミネートするのが好適である。また、ラミネートの方法はバッチ式であってもロールでの連続式であってもよい。
真空ラミネートは市販の真空ラミネーターを使用して行うことができる。市販の真空ラミネーターとしては、例えば、バッチ式真空加圧ラミネーターMVLP-500(名機(株)製)、バキュームアップリケーター(ニチゴー・モートン(株)製)、真空加圧式ラミネーター((株)名機製作所製)、ロール式ドライコータ((株)日立インダストリイズ製)、真空ラミネーター(日立エーアイーシー(株)製)等を挙げることができる。
【0050】
本発明の高速通信基板用ボンディングフィルムはミリ波やテラヘルツ波を使用する伝送損失の非常に少ない高速通信向け多層基板やアンテナ基板などの製造に適したものである。
また、硬化性接着剤組成物層は少なくとも硬化性樹脂組成物層の片面に積層されているものであり、両面に積層されていても構わない。
【実施例0051】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0052】
[硬化性樹脂組成物の作製]
ビスフェノールF型エポキシ樹脂(三菱ケミカル(株)製「jER-1750」、エポキシ当量159)5質量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル(株)製「jER-1001」、エポキシ当量475)5質量部、ビスマレイミド樹脂(信越化学(株)製「SLK-6895」)100質量部、及びフェノキシ樹脂(三菱ケミカル(株)製「YX7553BH30」含有固形分30質量%溶液(シクロヘキサノン:メチルエチルケトン(MEK)の1:1溶液)5質量部を、ソルベントナフサ20質量部及びシクロヘキサノン5質量部の混合溶媒に撹拌しながら加熱溶解させた。室温にまで冷却した後、そこへ、トリアジン骨格含有フェノールノボラック系硬化剤(水酸基当量125、DIC(株)製「LA-7054」、固形分60%のMEK溶液)5質量部、トリアジン骨格含有クレゾールノボラック系硬化剤(水酸基当量151、DIC(株)製「LA-3018-50P」、固形分50%の2-メトキシプロパノール溶液)10質量部、ナフトール系硬化剤(新日鉄住金化学(株)製「SN485」、水酸基当量215、固形分60%のMEK溶液)10質量部、アミン系硬化促進剤(4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、固形分5質量%のMEK溶液)1質量部、フェニルアミノシラン系カップリング剤(信越化学工業社製、「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(平均粒径0.5μm、比表面積5.8m2/g、アドマテックス社製「SO-C2」)50質量部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散した後、カートリッジフィルター(ROKITECHNO社製「SHP100」)で濾過して、硬化性樹脂組成物(1)を作製した。
【0053】
[硬化性接着剤組成物の作製]
(1)ビスマレイミド樹脂(信越化学工業(株)製SLK-3000)100質量部、硬化触媒(日油(株)製ジクミルパーオキサイド「パークミルD」)2.0質量部、シランカップリング剤(信越化学工業(株)製KBM-803)0.5質量部を525質量部のMEKに高速回転ミキサーで均一に分散した後、カートリッジフィルター(ROKITECHNO社製「SHP100」)で濾過して、硬化性接着剤組成物(1)を作製した。

(2)ビスマレイミド樹脂(信越化学工業(株)製SLK-3000)100質量部、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(三菱ケミカル(株)製「jER-1750」、エポキシ当量約159)10質量部、硬化触媒(四国化成工業(株)製1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール「C11Z-CN」)1.0質量部、シランカップリング剤(信越化学工業(株)製KBM-903)0.5質量部を578質量部のMEKに高速回転ミキサーで均一に分散した後、カートリッジフィルター(ROKITECHNO社製「SHP100」)で濾過して、硬化性接着剤組成物(2)を作製した。

(3)ビスマレイミド樹脂(信越化学工業(株)製SLK-3000)50質量部、ビスマレイミド樹脂(信越化学工業(株)製SLK-6895)40質量部、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(三菱ケミカル(株)製「jER-1750」、エポキシ当量約159)10質量部、硬化触媒(四国化成工業(株)製1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール「C11Z-CN」)1.0質量部、シランカップリング剤(信越化学工業(株)製KBM903)0.5質量部を578質量部のMEKに高速回転ミキサーで均一に分散した後、カートリッジフィルター(ROKITECHNO社製「SHP100」)で濾過して、硬化性接着剤組成物(3)を作製した。

(4)ビスマレイミド樹脂(信越化学工業(株)製SLK-3000)100質量部、無機充填材((株)アドマテックス製SO-25R(平均粒径0.5μm))40質量部、硬化触媒(日油(株)製ジクミルパーオキサイド「パークミルD」)2.0質量部、シランカップリング剤(信越化学工業(株)製KBM803)0.5質量部を525質量部のMEKに高速回転ミキサーで均一に分散した後、カートリッジフィルター(ROKITECHNO社製「SHP100」)で濾過して、硬化性接着剤組成物(4)を作製した。
【0054】
<硬化性樹脂層フィルムの作製>
(参考例1)硬化性樹脂層フィルム(1)の作製
アルキド樹脂系離型剤(リンテック(株)製「AL-5」)で離型処理したPETフィルム(東レ(株)製「ルミラーR80」、厚み38μm、軟化点130℃、「離型処理PETフィルム」)上に、硬化性樹脂組成物(1)を乾燥後の樹脂組成物層の厚みが50μmになるよう、ダイコーターにて均一に塗布し、120℃で5分間乾燥することにより未硬化の硬化性樹脂組成物層(1)(硬化性樹脂層フィルム(1))を作製した。

(参考例2)硬化性樹脂層フィルム(2)の作製
参考例1と同様にして離型処理PETフィルムを作製した。その上にフィラメント径5.0μm、厚さ45μm、クロス重量42.5g/m2の石英ガラスクロスに、乾燥後の硬化性樹脂組成物層の厚みが60μmになるよう、硬化性樹脂組成物(1)を含浸して硬化性樹脂組成物層(2)(硬化性樹脂層フィルム(2))を作製した。

<硬化性接着剤組成物層の作製>
(参考例3)硬化性接着剤組成物層フィルム(1)の作製
参考例1と同様にして作製した離型処理PETフィルムを作製した。その離型処理PETフィルム上に硬化性接着剤組成物(1)を、乾燥後の接着剤組成物層の厚みが20μmになるよう、ダイコーターにて均一に塗布し、120℃で5分間乾燥することにより、未硬化の硬化性接着剤組成物層(1)(硬化性接着剤組成物層フィルム(1))を作製した。

(参考例4)硬化性接着剤組成物層フィルム(2)の作製
参考例3と同様に硬化性接着剤組成物(2)を用い、20μm厚みで未硬化の硬化性接着剤組成物層(2)(硬化性接着剤組成物層フィルム(2))を作製した。

(参考例5)硬化性接着剤組成物層フィルム(3)の作製
参考例3と同様に硬化性接着剤組成物(3)を用い、10μm厚みで未硬化の硬化性接着剤組成物層(3)(硬化性接着剤組成物層フィルム(3))を作製した。

(参考例6)硬化性接着剤組成物層フィルム(4)の作製
参考例3と同様に硬化性接着剤組成物(3)を用い、10μm厚みで未硬化の硬化性接着剤組成物層(4)(硬化性接着剤組成物層フィルム(4))を作製した。

(参考例7)硬化性接着剤組成物層フィルム(5)の作製
参考例3と同様に硬化性接着剤組成物(1)を用い、110μm厚みで未硬化の硬化性接着剤組成物層(5)(硬化性接着剤組成物層フィルム(5)を作製した。

(参考例8)硬化性接着剤組成物層フィルム(6)の作製
硬化性接着剤組成物(1)をPETフィルム上にコータにより塗布し、熱風乾燥炉を用いて室温から120℃まで昇温速度3℃/秒で昇温することで溶剤を除去し、PETフィルム上に厚みが0.5μmの未硬化の硬化性接着剤組成物層(6)(硬化性接着剤組成物層フィルム(6))を作製した。

(参考例9)硬化性接着剤樹脂層プリプレグ(7)の作製
塗工機を用いてフィラメント径5.0μm、厚さ45μm、クロス重量42.5g/m2の石英ガラスクロスに硬化性接着剤組成物(4)を含浸して硬化性樹脂組成物層(7)(硬化性樹脂層フィルム(7))を作製した。
【0055】
(実施例1)
参考例1で離型処理PETフィルム上に作製した未硬化の硬化性樹脂組成物層(1)(硬化性樹脂フィルム(1))のPETに接合していない面に、参考例3で離型処理PETフィルム上に作製した未硬化の硬化性接着剤組成物層(1)(硬化性接着剤組成物フィルム(1))のPETに接合していない面を接合するように積層した。
樹脂組成物層の厚みが50μm、接着剤組成物層の厚みが20μmの各樹脂フィルム(150×100mm角)を、バッチ式真空加圧ラミネーター(ニッコー・マテリアルズ(株)製)を用いてラミネート処理し、各樹脂層を積層した。ラミネート処理は、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とした後、100℃、圧力0.74MPaにて30秒間圧着させることにより実施し、ボンディングシート(1)を作製した。
これにより離型処理フィルム(PET)、硬化性樹脂フィルム(1)、硬化性接着剤組成物フィルム(1)、離型処理フィルム(PET)の順からなるボンディングシートを得た。
【0056】
(実施例2)
参考例1で離型処理PETフィルム上に作製した未硬化の硬化性樹脂組成物層(1)(硬化性樹脂フィルム(1))のPETに接合していない面に、参考例4で離型処理PETフィルム上に作製した未硬化の硬化性接着剤組成物層(2)(硬化性接着剤組成物フィルム(2))のPETに接合していない面を接合するように積層した。
各樹脂層の積層は実施例1と同様にバッチ式真空加圧ラミネーターにて行い、ボンディングシート(2)を作製した。
【0057】
(実施例3)
参考例1で離型処理PETフィルム上に作製した未硬化の硬化性樹脂組成物層(1)(硬化性樹脂フィルム(1))のPETに接合していない面に、参考例5で離型処理PETフィルム上に作製した未硬化の硬化性接着剤組成物層(3)(硬化性接着剤組成物フィルム(3))のPETに接合していない面を接合するように積層した。
各樹脂層の積層は実施例1と同様にバッチ式真空加圧ラミネーターにて行い、ボンディングシート(3)を作製した。
【0058】
(実施例4)
参考例2で離型処理PETフィルム上に作製した硬化性樹脂組成物層(2)(硬化性樹脂層フィルム(2))のPETに接合していない面に、参考例3で離型処理PETフィルム上に作製した未硬化の硬化性接着剤組成物層(1)(硬化性接着剤組成物フィルム(1))のPETに接合していない面を接合するように積層した。
各樹脂層の積層は実施例1と同様にバッチ式真空加圧ラミネーターにて行い、ボンディングシート(4)を作製した。
【0059】
(実施例5)
参考例1で離型処理PETフィルム上に作製した硬化性樹脂組成物層(1)(硬化性樹脂層フィルム(4))のPETに接合していない面に、参考例6で離型処理PETフィルム上に作製した未硬化の硬化性接着剤組成物層(4)(硬化性接着剤組成物フィルム(1))のPETに接合していない面を接合するように積層した。
各樹脂層の積層は実施例1と同様にバッチ式真空加圧ラミネーターにて行い、ボンディングシート(5)を作製した。
【0060】
(実施例6)
参考例1で離型処理PETフィルム上に作製した硬化性樹脂組成物層(1)(硬化性樹脂層フィルム(4))のPETに接合していない面に、参考例9で離型処理PETフィルム上に作製した未硬化の硬化性接着剤組成物層(7)(硬化性接着剤組成物フィルム(1))のPETに接合していない面を接合するように積層した。
各樹脂層の積層は実施例1と同様にバッチ式真空加圧ラミネーターにて行い、ボンディングシート(6)を作製した。
【0061】
(比較例1)
参考例1で離型処理PETフィルム上に作製した未硬化の硬化性樹脂組成物層(1)(硬化性樹脂フィルム(1))のPETに接合していない面に、参考例7で離型処理PETフィルム上に作製した硬化性接着剤組成物層(5)(硬化性接着剤組成物フィルム(5))のPETに接合していない面を接合するように積層した。
各樹脂層の積層は実施例1と同様にバッチ式真空加圧ラミネーターにて行い、ボンディングシート(7)を作製した。
【0062】
(比較例2)
参考例1で離型処理PETフィルム上に作製した未硬化の硬化性樹脂組成物層(1)(硬化性樹脂フィルム(1))のPETに接合していない面に、参考例8で離型処理PETフィルム上に作製した硬化性接着剤組成物層(6)(硬化性接着剤組成物フィルム(6))のPETに接合していない面を接合するように積層した。
各樹脂層の積層は実施例1と同様にバッチ式真空加圧ラミネーターにて行い、ボンディングシート(8)を作製した。
【0063】
<銅箔との接着強度試験>
各ボンディングシートの銅箔との接着強度を評価した。各ボンディングシートを10mm×76mmに切断し、該シートから支持体を除去して得られたフィルム(ボンディングフィルム)を、接着剤層を銅箔に、樹脂層をガラスに面するように、バッチ式真空加圧ラミネーター(ニッコー・マテリアルズ(株)製、2ステージビルドアップラミネーター、CVP700)を用いて、銅箔(厚さ:18μm、表面粗度1.0μm)とガラスとを該フィルムを介して30秒間減圧して気圧を13hPa以下とした後、温度120℃、圧力0.74MPaの条件にて30秒間圧着させることにより実施した。貼り合わせ後、180℃、2時間で硬化させ試験用の試料を作製した。
銅箔との接着強度は、上記試験用の試料に対して、90°ピール強度試験をオートグラフ(AG-IS、島津製作所(株)製)を用いて測定速度:50mm/min.の条件で測定した。その結果を表1に示す。
硬化性樹脂組成物層と硬化性接着剤組成物層との接着強度は目視で評価した。高接着であり、接着強度が十分で基材破壊は〇、接着しているが接着強度が不十分で界面剥離しているものは×とした。
【0064】
【表1】