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特開2023-179837リモート通知ユニット、分析システム用プログラム、及び分析システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179837
(43)【公開日】2023-12-20
(54)【発明の名称】リモート通知ユニット、分析システム用プログラム、及び分析システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/00 20060101AFI20231213BHJP
【FI】
G01N35/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092679
(22)【出願日】2022-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000155023
【氏名又は名称】株式会社堀場製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】滝本 哲也
(72)【発明者】
【氏名】猪口 祐次
(72)【発明者】
【氏名】安藤 嘉健
(72)【発明者】
【氏名】櫻本 啓二郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 優穂
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058GE10
(57)【要約】
【課題】セキュリティ性を担保しつつ、分析装置の状態をリモートで把握できるようにする。
【解決手段】分析装置3に接続された情報端末4から専用通信規格を介して分析装置3の状態をコード化したコード化情報を取得する取得部11と、取得部11が取得したコード化情報を分析装置3の状態を示す状態情報に変換する変換部12と、状態情報を外部の通信端末2に送信する送信部13とを備えるようにした。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析装置に接続された情報端末から専用通信規格を介して前記分析装置の状態をコード化したコード化情報を取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記コード化情報を前記分析装置の状態を示す状態情報に変換する変換部と、
前記状態情報を外部の通信端末に送信する送信部とを備えることを特徴とするリモート通知ユニット。
【請求項2】
前記状態情報の宛先を示す複数の宛先情報を記憶する宛先情報記憶部をさらに備え、
前記送信部が、前記複数の宛先情報の中から予め選択された宛先情報の示す宛先に前記状態情報を送信することを特徴とする請求項1記載のリモート通知ユニット。
【請求項3】
前記宛先情報を受け付けて前記宛先情報記憶部に記憶させる宛先情報設定部をさらに備え、
前記宛先情報設定部が、前記宛先情報を新たに受け付けた場合に、前記宛先情報記憶部に記憶されている前記宛先情報を消去することを特徴とする請求項2記載のリモート通知ユニット。
【請求項4】
前記コード化情報と前記状態情報とを対応付けた変換用データを格納する変換用データ記憶部をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至3記載のうち何れか一項に記載のリモート通知ユニット。
【請求項5】
前記取得部としての機能を発揮する処理基板が、USBポートを介して前記情報端末に接続されることを特徴とする請求項1乃至4記載のうち何れか一項に記載のリモート通知ユニット。
【請求項6】
前記専用通信規格が、前記情報端末と前記取得部との間の通信のみに使用可能な規格であることを特徴とする請求項1乃至5記載のうち何れか一項に記載のリモート通知ユニット。
【請求項7】
前記分析装置及び前記情報端末の双方がネットワークに接続されていない分析システムに用いられることを特徴とする請求項1乃至6記載のうち何れか一項に記載のリモート通知ユニット。
【請求項8】
分析装置と、前記分析装置に接続された情報端末と、前記情報端末から情報を取得するリモート通知ユニットと、前記リモート通知ユニットと通信可能な通信端末とを備えた分析システムに用いられるプログラムであって、
前記情報端末から専用通信規格を介して前記分析装置の状態をコード化したコード化情報を取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記コード化情報を前記分析装置の状態を示す状態情報に変換する変換部と、
前記状態情報を前記通信端末に送信する送信部と、としての機能をコンピュータに発揮させる分析システム用プログラム。
【請求項9】
分析装置と、前記分析装置に接続された情報端末と、前記情報端末から情報を取得するリモート通知ユニットと、前記リモート通知ユニットと通信可能な通信端末とを備えた分析システムであって、
前記情報端末から専用通信規格を介して前記分析装置の状態をコード化したコード化情報を取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記コード化情報を前記分析装置の状態を示す状態情報に変換する変換部と、
前記状態情報を前記通信端末に送信する送信部とを備える分析システム。
【請求項10】
分析装置と、前記分析装置に接続された情報端末と、前記情報端末から情報を取得するリモート通知ユニットと、前記リモート通知ユニットと通信可能な通信端末とを備えた分析システムであって、
前記情報端末から専用通信規格を介して前記分析装置の状態をコード化したコード化情報を取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記コード化情報を前記通信端末に送信する送信部と、
前記コード化情報を前記分析装置の状態を示す状態情報に変換する変換部とを備える分析システム。
【請求項11】
前記情報端末が、前記リモート通知ユニットからの情報を受け付けないように構成されていることを特徴とする請求項9又は10のうち何れか一項に記載の分析システム。
【請求項12】
前記通信端末が、前記リモート通知ユニットからの情報を受け付けた際に、そのことをプッシュ通知する通知部をさらに備えることを特徴とする請求項9乃至11のうち何れか一項に記載の分析システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リモート通知ユニット、分析システム、及び分析システム用プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、分析に長時間を要する分析装置を使用する場合や、複数の分析装置を同時併用する場合など、1台の分析装置にユーザが付きっきりで分析することができないことがある。
【0003】
こうした場合にでも、外部から分析結果を確認したいという要望を解決するべく、特許文献1に示すように、分析装置の制御コンピュータと手元の通信端末とを、インターネットを介して通信可能にした分析システムがある。
【0004】
このような構成であれば、分析結果や分析装置の様々な状態をリモートでユーザに通知することが可能となる。
【0005】
しかしながら、このように構成であると、分析装置がインターネットに接続されているため、外部から分析装置にアクセスされる恐れがあり、セキュリティ性を担保できないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009―300127
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は上述した問題を一挙に解決するものであり、セキュリティ性を担保しつつ、分析装置の状態をリモートで把握できるようにすることをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち本発明にかかわるリモート通知ユニットは、分析装置に接続された情報端末から専用通信規格を介して前記分析装置の状態をコード化したコード化情報を取得する取得部と、前記取得部が取得した前記コード化情報を前記分析装置の状態を示す状態情報に変換する変換部と、前記状態情報を外部の通信端末に送信する送信部とを備えることを特徴とするものである。
【0009】
このような構成であれば、分析装置の状態をコード化したコード化情報を専用通信規格を介して取得し、そのコード化情報を状態情報に変換して外部の通信端末に送信するので、分析装置及び分析装置に接続された情報端末をネットワーク接続することなく、言い換えればセキュリティ性を担保しながらも、分析装置の状態をリモートで把握することができる。
【0010】
前記状態情報の宛先を示す複数の宛先情報を記憶する宛先情報記憶部をさらに備え、前記送信部が、前記複数の宛先情報の中から予め選択された宛先情報の示す宛先に前記状態情報を送信することが望ましい。
このような構成であれば、ユーザが状態情報を送信する宛先を予め選択しておくことで、状態情報が自動的に選択された宛先に送信されるので、ユーザにとって使い勝手が良いものとなる。
【0011】
前記宛先情報を受け付けて前記宛先情報記憶部に記憶させる宛先情報設定部をさらに備え、前記宛先情報設定部が、前記宛先情報を新たに受け付けた場合に、前記宛先情報記憶部に記憶されている前記宛先情報を消去することが望ましい。
このような構成であれば、ユーザが新たに宛先情報を設定した場合に、それ以前に使用していたユーザの宛先情報が消去されるので、ユーザの個人情報の保護を図れる。
【0012】
前記コード化情報と前記状態情報とを対応付けた変換用データを格納する変換用データ記憶部をさらに備えることが望ましい。
このような構成であれば、変換用データを編集することで、通知したい状態情報を追加したり、状態情報の内容を変更したりすることができ、汎用性の向上を図れる。
【0013】
また、リモート通知ユニットと情報端末とをワンタッチで簡単に接続するためには、前記取得部としての機能を発揮する処理基板が、USBポートを介して前記情報端末に接続されることが望ましい。
【0014】
前記専用通信規格が、前記情報端末と前記取得部との間の通信のみに使用可能な規格であることが望ましい。
このような構成であれば、外部から取得部を介して情報端末にアクセスされてしまうことを防ぐことができ、セキュリティ性の向上を図れる。
【0015】
また、本発明の作用効果が顕著に発揮される実施態様としては、リモート通知ユニットが、前記分析装置及び前記情報端末の双方がネットワークに接続されていない分析システムに用いられる態様を挙げることができる。
【0016】
本発明に係る分析システム用プログラムは、分析装置と、前記分析装置に接続された情報端末と、前記情報端末から情報を取得するリモート通知ユニットと、前記リモート通知ユニットと通信可能な通信端末とを備えた分析システムに用いられるプログラムであって、前記情報端末から専用通信規格を介して前記分析装置の状態をコード化したコード化情報を取得する取得部と、前記取得部が取得した前記コード化情報を前記分析装置の状態を示す状態情報に変換する変換部と、前記状態情報を前記通信端末に送信する送信部と、としての機能をコンピュータに発揮させることを特徴とするものである。
【0017】
本発明に係る分析システムは、分析装置と、前記分析装置に接続された情報端末と、前記情報端末から情報を取得するリモート通知ユニットと、前記リモート通知ユニットと通信可能な通信端末とを備えた分析システムであって、前記情報端末から専用通信規格を介して前記分析装置の状態をコード化したコード化情報を取得する取得部と、前記取得部が取得した前記コード化情報を前記分析装置の状態を示す状態情報に変換する変換部と、前記状態情報を前記通信端末に送信する送信部とを備えることを特徴とするものである。
【0018】
また、本発明に係る分析システムは、分析装置と、前記分析装置に接続された情報端末と、前記情報端末から情報を取得するリモート通知ユニットと、前記リモート通知ユニットと通信可能な通信端末とを備えた分析システムであって、前記情報端末から専用通信規格を介して前記分析装置の状態をコード化したコード化情報を取得する取得部と、前記取得部が取得した前記コード化情報を前記通信端末に送信する送信部と、前記コード化情報を前記分析装置の状態を示す状態情報に変換する変換部とを備えることを特徴とするものである。
【0019】
前記情報端末が、前記リモート通知ユニットからの情報を受け付けないように構成されていることが望ましい。
【0020】
この構成によれば、外部から、取得部を介して情報端末にアクセスすることができないため、セキュリティ性をより一層高めることができる。
【0021】
ところで、ユーザが手元の通信端末で状態情報を受信したとしても、例えば、状態情報を受信するページを更新するといった動作によって、ユーザは状態情報を受信したか否かを能動的に確認する必要がある。
この場合、ユーザは常に通信端末で受信ページを開いておいたり、頻繁に受信ページを更新したりする必要があり、ユーザへの負担が大きい。
【0022】
そこで、前記通信端末が、前記リモート通知ユニットからの情報を受け付けた際に、そのことをプッシュ通知する通知部をさらに備えることが望ましい。
【0023】
この構成によれば、ユーザがプッシュ通知によって、状態情報を受信した旨を速やかに知ることができるため、ユーザの負担を減らすことができる。
【0024】
以上のような分析システム用プログラム及び分析システムであれば、上述したリモート通知ユニットと同様の作用効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0025】
以上に述べた本発明によれば、セキュリティ性を担保しつつ、分析装置の状態をリモートで把握できるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態に係る分析システムの全体構成を示す模式図。
図2】同実施形態の分析システムの機能を示す機能ブロック図。
図3】同実施形態のリモート通知ユニットの動作を示すフローチャート。
図4】その他の実施形態の分析システムの機能を示す機能ブロック図。
図5】その他の実施形態の分析システムの機能を示す機能ブロック図。
図6】その他の実施形態の分析システムの動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係るリモート通知ユニットの一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0028】
<装置構成>
本実施形態におけるリモート通知ユニット1は、図1に示すように、ユーザが所持する通信端末2、サンプルを分析する分析装置3、及び分析装置3に接続された情報端末4とともに用いられるものであり、これらとともに分析システム100を構築する。
【0029】
この分析システム100は、リモート通知ユニット1に特徴があるので、まずは通信端末2、分析装置3、及び情報端末4について簡単に説明する。
【0030】
通信端末2は、後述するリモート通知ユニット1から送信される情報を受信するものであり、携帯可能なスマートフォンやタブレット等の携帯端末である。ただし、通信端末2は、これに限らず例えばノートパソコンなどのコンピュータであっても良い。
【0031】
分析装置3は、サンプルの物性を分析するものであり、例えば物質の構成、構造、組成、性質、状態等を、定性的又は定量的に測定するものである。
【0032】
具体的に分析装置3としては、例えば、粒子径分布測定装置、ラマン分光装置、分子構造分析装置、結晶性分析装置、表面分析装置、薄膜分析装置、元素分析装置、蛍光分析装置、水質分析装置などを挙げることができる。
【0033】
この分析装置3は、情報を伝達するためのネットワークには接続されておらず、少なくとも上述した通信端末2とは通信不能なものである。
【0034】
情報端末4は、分析装置3に接続されるものであり、分析装置3と同様、情報を伝達するためのネットワークには接続されておらず、少なくとも上述した通信端末2とは通信不能なものである。
【0035】
具体的にこの情報端末4は、CPUやメモリなどを備える汎用乃至専用のコンピュータであり、前記メモリの格納されたプログラムに従ってCPUやその周辺機器が協働することにより、図2に示すように、分析装置3を制御する制御部41、及び、分析装置3により得られた分析結果を記憶する結果記憶部42としての機能を発揮するものである。
【0036】
然して、この情報端末4は、同図2に示すように、分析装置3の状態をコード化した情報であるコード化情報を作成するコード化情報作成部43、及び、コード化情報をリモート通知ユニット1に送信するコード化情報送信部44としての機能をさらに備えている。
【0037】
コード化情報は、ユーザが分析装置3から離れた位置で(リモートで)知ろうとする分析装置3の状態をコード化した情報であり、言い換えれば、分析装置3の種々の状態の中からユーザが取捨選択した状態をコード化した情報である。
【0038】
具体的にコード化情報としては、例えば分析装置3が分析開始前の状態にあること、分析中の状態にあること、分析が完了した状態にあること、異常又は故障が生じている状態であることなどをコード化したものである。
なお、このコード化情報には、分析の全体に要する時間、分析の進捗状況、分析完了までの残り時間、分析装置3に発生している異常箇所又は故障個所などを含ませることができる。
【0039】
コード化情報作成部43は、上述した制御部41から分析装置3に出力される制御信号、又は、分析装置3を構成する分析計、電流計、電圧計、温度センサ、圧力センサなどの種々のセンサから出力される検出信号に基づいて、分析装置3の状態を判断するように構成されている。
【0040】
より具体的に説明すると、コード化情報作成部43は、例えば、制御部41から分析装置3に制御信号として分析を開始させるための分析開始信号が出力されるまでは、分析装置3が分析開始前の状態にあると判断し、分析開始信号が出力されていから所定時間が経過するまでは分析装置3が分析中の状態にあると判断し、分析開始信号が出力されてから所定時間が経過した後は、分析装置3が分析を完了した状態にあると判断する。
【0041】
また、コード化情報作成部43としては、上述した種々のセンサから出力される検出信号の大きさが正常範囲を超えた場合に、分析装置3に異常又は故障が生じている状態であると判断するように構成されていても良い。
【0042】
さらに、コード化情報作成部43は、制御部41が分析装置3のCPUと通信して取得可能な情報に基づいて分析装置3の状態を判断しても良い。
このような情報としては、分析装置3を構成する機器の電源のオンオフ等の稼働状態を示す情報や、ユーザが予め設定した分析シーケンスを示す情報などを挙げることができる。
【0043】
上述したコード化情報は、例えば、分析装置3の状態を英字又は数字の一方又は両方を用いて暗号化したものであり、具体的には不規則な文字列からなるものなどを挙げることができる。
【0044】
本実施形態では、分析装置3の状態と、その状態に対応して予め定めたコード化情報とを対応付けたテーブル等のコード化用データをコード化用データ記憶部45に記憶させている(図2参照)。
【0045】
かかる構成において、コード化情報作成部43は、上述したように分析装置3の状態を判断するとともに、コード化用データ記憶部45に記憶されているコード化用データを用いて、判断した状態に対応するコード化情報を作成する。
【0046】
コード化情報送信部44は、上述したコード化情報をリモート通知ユニット1に送信するものであり、具体的には、コード化情報をリモート通知ユニット1に逐次送信しても良いし、一定の時間間隔で送信しても良いし、或いは、リモート通知ユニット1から要求された場合にコード化情報を送信しても良い。
【0047】
次に、分析システム100の特徴的な構成であるリモート通知ユニット1について説明する。
【0048】
リモート通知ユニット1は、コード化情報送信部44から送信されたコード化情報を取得し、そのコード化情報を分析装置3の状態を示す状態情報に変換したうえで通信端末2に送信するものである。
【0049】
具体的にリモート通知ユニット1は、CPUやメモリを備えたものであり、前記メモリに記憶されている分析システム用プログラムに従ってCPUやその周辺機器が協働することにより、図2に示すように、取得部11、変換部12、及び送信部13としての機能を発揮するものである。
【0050】
取得部11は、上述したコード化情報送信部44から送信されたコード化情報を取得するものであり、この実施形態では、USBシリアル基板等の処理基板Aにその機能を担わせている。ただし、取得部11としての機能は、必ずしもUSBシリアル基板に発揮させる必要はなく、具体的な物理構成は適宜変更して構わない。
【0051】
このUSBシリアル基板等の処理基板Aは、情報端末4に設けられたUSBポートを介して情報端末4に接続されているが、処理基板Aと情報端末4とは電気ケーブルを介して接続されていても構わない。
【0052】
取得部11は、専用通信規格を介して、情報端末4のコード化情報送信部44から送信されたコード化情報を取得するように構成されており、言い換えれば、情報端末4と、上述したUSBシリアル変換基板等の処理基板Aとが専用通信規格ケーブルBを介して接続されている。
【0053】
この専用通信規格は、例えばイーサネットやWi-Fiなどの汎用性の高い通信規格とは異なり、情報端末4と取得部11との間の通信にのみ使用可能な通信規格であり、例えば専用データフォーマットで通信される直接接続(一対一の接続)のシリアル通信や、信号線を有する専用ケーブルを用いた通信などである。
【0054】
本実施形態では、情報端末4から処理基板Aに一方的にコード化情報が出力されるように構成されており、処理基板Aを介して情報端末4の例えば結果記憶部42などにはアクセスできないように構成されている。すなわち、本実施形態の情報端末4は、リモート通知ユニット1からの情報を受け付けないように構成されている。
【0055】
変換部12は、取得部11が取得したコード化情報を、分析装置3の状態を示す状態情報に変換するものであり、この実施形態では、CPU、メモリ、通信ポート等を備えたシングルボードコンピュータCにその機能を担わせている。ただし、変換部12としての機能は、必ずしもシングルボードコンピュータCに発揮させる必要はなく、具体的な物理構成は適宜変更して構わない。
【0056】
本実施形態では、コード化情報と、そのコード化情報の元になる分析装置3の状態を示す状態情報とを対応付けたテーブル等の変換用データを変換用データ記憶部14に記憶させている(図2参照)。
【0057】
かかる構成において、変換部12は、取得部11が取得したコード化情報を、変換用データ記憶部14に記憶されている変換用データを用いて、コード化情報に対応する状態情報に変換する。
【0058】
送信部13は、変換部12により変換された状態情報を、外部の通信端末2に送信するものであり、その通信端末2の所有者に分析装置3の状態を通知するものである。
【0059】
送信部13は、上述した変換部12と共通のCPUにより発揮される機能であっても良いが、この実施形態では変換部12とは別のCPUにより発揮される機能であり、具体的にはUSB型の通信用端末Dにその機能を担わせている。ただし、送信部13としての機能は、必ずしもUSB型の通信用端末Dに発揮させる必要はなく、具体的な物理構成は適宜変更して構わない。
【0060】
次に、本実施形態におけるリモート通知ユニット1の動作について、図3を参照しながら説明する。
【0061】
まず、分析装置3の電源を投入することで、分析装置3と情報端末4とが通信可能となり、情報端末4とリモート通知ユニット1とが通信可能となる。
【0062】
そして、分析の開始前、分析中、又は分析の完了後において、情報端末4のコード化情報作成部43が、分析装置3の状態を判断するとともに、その状態を示すコード化情報を作成する(S1)。
【0063】
このコード化情報は、コード化情報送信部44から専用通信規格を介してリモート通知ユニット1に出力されるとともに、取得部11により取得される(S2)。
【0064】
そして、変換部12が、取得部11により取得されたコード化情報を分析装置3の状態を示す状態情報に変換する(S3)。
【0065】
その後、送信部13が、変換部12によって変換された状態情報を外部の通信端末2に送信する(S4)。
【0066】
なお、本実施形態の通信端末2は、リモート通知ユニット1からの情報を受け付けた際に、そのことをプッシュ通知する通知部を備えている。
【0067】
<本実施形態の効果>
このように構成されたリモート通知ユニット1であれば、分析装置3の状態をコード化したコード化情報を専用通信規格を介して取得し、そのコード化情報を状態情報に変換して外部の通信端末2に送信するので、分析装置3及び情報端末4をネットワーク接続することなく、言い換えればセキュリティ性を担保しながらも分析装置3の状態をリモートで把握することができる。
【0068】
これにより、分析装置3に付きっきりになることなく、例えば分析が完了したことや分析装置3に異常又は故障が生じていることなどをリモートで確認することができ、ユーザが必要に応じて分析現場に速やかに向かうことができる。
【0069】
また、コード化情報を作成するためにコード化用データが用いられており、コード化情報を状態情報に変換するために変換用データが用いられているので、これらのコード化用データや変換用データを編集することで、通知したい状態情報を追加したり、状態情報の内容を変更したりすることができ、汎用性の向上を図れる。
【0070】
さらに、情報端末4と、取得部11としての機能を発揮する処理基板AとがUSBポートを介して接続されているので、リモート通知ユニット1と情報端末4とをワンタッチで簡単に接続することができる。
【0071】
そのうえ、専用通信規格が、情報端末4と取得部11との間の通信のみに使用可能な規格であるので、外部から取得部11を介して情報端末4にアクセスされてしまうことを防ぐことができ、セキュリティ性の向上を図れる。
【0072】
加えて、情報端末4が、リモート通知ユニット1からの情報を受け付けないように構成されているので、外部から取得部11を介して情報端末4にアクセスすることができず、セキュリティ性をより一層高めることができる。
【0073】
さらに加えて、通信端末2がリモート通知ユニット1からの情報を受け付けた際に、そのことがプッシュ通知されるので、ユーザは頻繁に通信端末2を確認することなく、状態情報を受信した旨を速やかに知ることができる。
【0074】
<その他の実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。
【0075】
例えば、本発明に係る分析システム100としては、図4に示すように、状態情報の宛先を示す複数の宛先情報を記憶する宛先情報記憶部15と、宛先情報を受け付けて宛先情報記憶部15に記憶させる宛先情報設定部16とをさらに備えていても良い。
【0076】
宛先情報記憶部15は、リモート通知ユニット1のメモリの所定領域に設定されており、通信端末2或いは通信端末2の所持者を識別する識別子(例えば、氏名やIDなど)、通信端末2のメールアドレス、又は通信端末2の電話番号などを宛先情報として記憶するものである。
【0077】
宛先情報記憶部15に記憶されている複数の宛先情報は、例えばマウスやタッチパネル等の入力手段によって選択可能であり、送信部13は、複数の宛先情報の中からユーザにより予め選択された宛先情報の示す宛先に状態情報を送信する。
なお、宛先情報記憶部15に記憶されている宛先情報は、1つのみを選択できるようにしても良いし、複数を同時に選択できるようにしても良い。
【0078】
宛先情報設定部16は、ユーザが新たな宛先情報を宛先情報記憶部15に記憶させる際に、その新たな宛先情報を受け付けるものである。具体的には、キーボードやタッチパネル等の入力手段を介してユーザが入力した新たな宛先情報を受け付ける。
【0079】
ここでは、宛先情報設定部16が、新たな宛先情報を受け付けた場合に、宛先情報記憶部15に記憶されている既存の宛先情報を消去するように構成されている。
【0080】
ただし、既存の宛先情報は、必ずしも宛先情報設定部16により自動的に消去される必要はなく、ユーザが手動により任意のタイミングで消去できるように構成されていても良い。また、宛先情報設定部16による自動消去と、ユーザの手動による消去とが切り替え可能に構成されていても良い。
【0081】
このような構成であれば、ユーザが状態情報を送信する宛先を予め選択しておくことで、状態情報が自動的に選択された宛先に送信されるため、ユーザにとって使い勝手が良い。
【0082】
具体的には、例えば分析装置3を次に使うユーザの通信端末2を宛先に追加しておくことにより、分析が完了していることや、分析を完了するまでの時間などを次のユーザに通知することができ、分析装置3の使いまわしがスムーズになるとともに、分析装置3の空き時間を削減することができる。
【0083】
また、宛先情報設定部16が、宛先情報を新たに受け付けた場合に、宛先情報記憶部15に記憶されている宛先情報、すなわち、それ以前に使用していたユーザの宛先情報が消去されるため、ユーザの個人情報の保護を図れる。
なお、宛先情報記憶部15に記憶されている宛先情報を消去するタイミングとしては、必ずしも宛先情報設定部16が新たな宛先情報を受け付けたタイミングには限らず、例えば、リモート通知ユニット1が情報端末4から取り外されたタイミングなどにしても構わない。
【0084】
また、前記実施形態では、変換部12としての機能をリモート通知ユニット1に備えさせていたが、図5に示すように、通信端末2に備えさせても良い。
【0085】
この場合の動作としては、図6に示すように、まず、情報端末4のコード化情報作成部43が、分析装置3の状態を判断するとともに、その状態を示すコード化情報を作成する(S1’)。
【0086】
このコード化情報は、コード化情報送信部44から専用通信規格を介してリモート通知ユニット1に送信されるとともに、取得部11により取得される(S2’)。
【0087】
そして、リモート通知ユニット1の送信部13が、コード化情報を取得するとともに、取得したコード化情報を外部の通信端末2に送信する(S3’)。
【0088】
そして、通信端末2に備えさせた変換部12が、取得したコード化情報を、変換用データ記憶部14に記憶された変換用データを用いて、コード化情報に対応する状態情報に変換する(S4’)。
【0089】
このような構成によれば、専用通信規格を介して取得したコード化情報を通信端末2に送信して、そのコード化情報を通信端末で状態情報に変換するので、前記実施形態と同様、セキュリティ性を担保しつつ、分析装置3の状態をリモートで把握することができる。
【0090】
また、前記実施形態では、コード化情報の一例として、分析装置3に異常又は故障が生じていることをコード化したものを挙げたが、分析装置3が正常であることをコード化した情報をコード化情報として用いても良い。
この場合、分析装置3が正常であることを通知し続けることにより、ユーザとしては、この通知が届かなくなった場合に、分析装置3に何らかの異常が生じていることを知ることができる。
【符号の説明】
【0091】
100・・・分析システム
1 ・・・リモート通知ユニット
11 ・・・取得部
12 ・・・変換部
13 ・・・送信部
14 ・・・変換用データ記憶部
15 ・・・宛先情報記憶部
16 ・・・宛先情報設定部
2 ・・・通信端末
3 ・・・分析装置
4 ・・・情報端末
41 ・・・制御部
42 ・・・結果記憶部
43 ・・・コード化情報作成部
44 ・・・コード化情報送信部
45 ・・・コード化用データ記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6