(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023179855
(43)【公開日】2023-12-20
(54)【発明の名称】映像分割装置、映像合成装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 21/234 20110101AFI20231213BHJP
H04N 21/238 20110101ALI20231213BHJP
H04N 21/44 20110101ALI20231213BHJP
H04N 21/438 20110101ALI20231213BHJP
H04N 7/01 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
H04N21/234
H04N21/238
H04N21/44
H04N21/438
H04N7/01 170
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092720
(22)【出願日】2022-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】100121119
【弁理士】
【氏名又は名称】花村 泰伸
(72)【発明者】
【氏名】池田 善敬
(72)【発明者】
【氏名】山下 誉行
(72)【発明者】
【氏名】大出 訓史
(72)【発明者】
【氏名】野村 光佑
(72)【発明者】
【氏名】正岡 顕一郎
(72)【発明者】
【氏名】日下部 裕一
【テーマコード(参考)】
5C063
5C164
【Fターム(参考)】
5C063AA06
5C063AB11
5C063BA20
5C063CA05
5C164GA02
5C164SB01P
5C164SB08S
5C164SB21P
5C164TA14S
5C164UB01P
5C164UB10S
5C164UB21P
(57)【要約】
【課題】任意のアスペクト比及び画素数の映像信号を伝送する。
【解決手段】映像分割装置1のサブフレーム分割部10は、フルフレームFFの映像をN個のサブフレームSFに分割し、分割情報C(ID1,・・・,ID5)を生成する。有効フレーム指定部11は、ユーザ操作に従い有効フレームEFを指定し、有効フレームEFを識別するための有効フレーム情報Aを生成する。サブ有効フレーム指定部12は、サブフレームSF毎に、分割情報C及び有効フレーム情報Aに基づいてサブ有効フレームSEFを指定し、サブ有効フレームSEFを識別するためのサブ有効フレーム情報B(ID6,ID7)を生成する。映像送信部13は、サブフレームSF毎に、分割情報C及びサブ有効フレーム情報Bを用いて識別情報I(ID1,・・・,ID7)を生成し、サブフレームSF及び識別情報Iを多重し、サブフレームSF毎の映像信号を、SDIの各リンクを介して送信する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フルフレームの映像を分割して送信する映像分割装置において、
前記フルフレームを複数のサブフレームに分割するサブフレーム分割部と、
前記フルフレーム内の所定領域を有効フレームとして指定し、前記フルフレーム内の前記有効フレームの位置を示す有効フレーム情報を生成する有効フレーム指定部と、
前記サブフレーム分割部により分割された前記複数のサブフレームのそれぞれについて、前記有効フレーム指定部により生成された前記有効フレーム情報を用いて、当該サブフレームのうち前記有効フレームと重なる領域をサブ有効フレームとして指定し、当該サブフレーム内の前記サブ有効フレームの位置を示すサブ有効フレーム情報を生成するサブ有効フレーム指定部と、
前記サブフレーム分割部により分割された前記複数のサブフレームのそれぞれについて、前記サブ有効フレーム指定部により生成された当該サブフレームに対応する前記サブ有効フレーム情報を含み、前記有効フレーム及び前記サブ有効フレームを識別するための識別情報を生成し、当該サブフレーム及びこれに対応する前記識別情報を映像信号として、
前記複数のサブフレームに対応する複数の映像信号を、複数のリンクを介して送信する映像送信部と、
を備えたことを特徴とする映像分割装置。
【請求項2】
請求項1に記載の映像分割装置において、
前記識別情報を、前記サブ有効フレーム情報に加え、前記複数のサブフレームの総数、前記フルフレームにおける前記複数のサブフレームの配列関係、及び前記フルフレーム内の当該サブフレームの位置に応じた番号を含む情報とする、ことを特徴とする映像分割装置。
【請求項3】
請求項1に記載の映像分割装置において、
前記サブ有効フレーム情報を、前記サブ有効フレームの水平方向及び垂直方向の画素数、及び前記サブフレームの中心画素と前記サブ有効フレームの中心画素との間における水平方向及び垂直方向の画素数とする、ことを特徴とする映像分割装置。
【請求項4】
請求項1に記載の映像分割装置において、
前記サブ有効フレーム情報を、前記サブ有効フレームにおける左上の画素の座標情報及び右下の画素の座標情報とする、ことを特徴とする映像分割装置。
【請求項5】
請求項1に記載の映像分割装置において、
前記映像送信部は、
前記複数のサブフレームのそれぞれについて、前記サブ有効フレームが当該サブフレームと一致しない場合、前記サブ有効フレーム情報を含む前記識別情報を生成し、
前記サブ有効フレームが当該サブフレームと一致する場合、前記サブ有効フレーム情報を含まず、かつ、前記複数のサブフレームの総数、前記フルフレームにおける前記複数のサブフレームの配列関係、及び前記フルフレームにおける当該サブフレームの位置に応じた番号を含む前記識別情報を生成する、ことを特徴とする映像分割装置。
【請求項6】
映像分割装置から、フルフレームが分割された複数のサブフレームとこれらに対応する複数の識別情報とを含む複数の映像信号を受信し、前記複数のサブフレームを前記フルフレームに合成し、前記フルフレーム内の所定領域を、前記映像分割装置により指定された有効フレームの映像として出力する映像合成装置であって、
前記複数の映像信号を複数のリンクを介して受信し、前記複数の映像信号に含まれる前記複数のサブフレームのそれぞれについて、当該サブフレームと前記有効フレームとが重なる領域をサブ有効フレームとして、当該サブフレームに対応する前記識別情報から、当該サブフレーム内の前記サブ有効フレームの位置を示すサブ有効フレーム情報を抽出する映像受信部と、
前記映像受信部により抽出された前記複数のサブフレームのそれぞれに対応する前記サブ有効フレーム情報を用いて、前記フルフレーム内の前記有効フレームの位置を示す有効フレーム情報を生成するフレーム処理部と、
前記映像受信部により受信された前記複数の映像信号に含まれる前記複数のサブフレームを前記フルフレームに合成し、前記フレーム処理部により生成された前記有効フレーム情報に基づいて、前記フルフレームから前記有効フレームの映像を抽出するサブフレーム合成部と、
を備えたことを特徴とする映像合成装置。
【請求項7】
請求項6に記載の映像合成装置において、
前記識別情報を、前記サブ有効フレーム情報に加え、前記複数のサブフレームの総数、前記フルフレームにおける前記複数のサブフレームの配列関係、及び前記フルフレーム内の当該サブフレームの位置に応じた番号を含む情報とし、
前記映像受信部は、
前記複数のサブフレームのそれぞれについて、当該サブフレームに対応する前記識別情報から前記サブ有効フレーム情報を抽出すると共に、前記複数のサブフレームの総数、前記複数のサブフレームの配列関係及び前記サブフレームの位置を抽出し、前記複数のサブフレームの総数、前記複数のサブフレームの配列関係及び前記サブフレームの位置を用いて、前記映像分割装置により前記フルフレームが前記複数のサブフレームに分割された際の分割情報を生成し、
前記フレーム処理部は、
前記映像受信部により抽出された前記サブ有効フレーム情報、及び前記映像受信部により生成された前記分割情報に基づいて、前記有効フレーム情報を生成する、ことを特徴とする映像合成装置。
【請求項8】
請求項6に記載の映像合成装置において、
前記サブ有効フレーム情報を、前記サブ有効フレームの水平方向及び垂直方向の画素数、及び前記サブフレームの中心画素と前記サブ有効フレームの中心画素との間における水平方向及び垂直方向の画素数とする、ことを特徴とする映像合成装置。
【請求項9】
請求項6に記載の映像合成装置において、
前記サブ有効フレーム情報を、前記サブ有効フレームにおける左上の画素の座標情報及び右下の画素の座標情報とする、ことを特徴とする映像合成装置。
【請求項10】
請求項6に記載の映像合成装置において、
前記映像受信部は、
前記複数のサブフレームのそれぞれについて、当該サブフレームに対応する前記識別情報に前記サブ有効フレーム情報が含まれている場合、当該サブフレームに対応する前記識別情報から前記サブ有効フレーム情報を抽出し、
当該サブフレームに対応する前記識別情報に前記サブ有効フレーム情報が含まれていない場合、前記サブ有効フレームが当該サブフレームと一致することを示す前記サブ有効フレーム情報を設定し、
前記フレーム処理部は、
前記映像受信部により抽出または設定された前記複数のサブフレームのそれぞれに対応する前記サブ有効フレーム情報を用いて、前記有効フレーム情報を生成する、ことを特徴とする映像合成装置。
【請求項11】
フルフレームの映像を分割して送信する映像分割装置を構成するコンピュータを、
前記フルフレームを複数のサブフレームに分割するサブフレーム分割部、
前記フルフレーム内の所定領域を有効フレームとして指定し、前記フルフレーム内の前記有効フレームの位置を示す有効フレーム情報を生成する有効フレーム指定部、
前記サブフレーム分割部により分割された前記複数のサブフレームのそれぞれについて、前記有効フレーム指定部により生成された前記有効フレーム情報を用いて、当該サブフレームのうち前記有効フレームと重なる領域をサブ有効フレームとして指定し、当該サブフレーム内の前記サブ有効フレームの位置を示すサブ有効フレーム情報を生成するサブ有効フレーム指定部、及び、
前記サブフレーム分割部により分割された前記複数のサブフレームのそれぞれについて、前記サブ有効フレーム指定部により生成された当該サブフレームに対応する前記サブ有効フレーム情報を含み、前記有効フレーム及び前記サブ有効フレームを識別するための識別情報を生成し、当該サブフレーム及びこれに対応する前記識別情報を映像信号として、
前記複数のサブフレームに対応する複数の映像信号を、複数のリンクを介して送信する映像送信部として機能させるためのプログラム。
【請求項12】
映像分割装置から、フルフレームが分割された複数のサブフレームとこれらに対応する複数の識別情報とを含む複数の映像信号を受信し、前記複数のサブフレームを前記フルフレームに合成し、前記フルフレーム内の所定領域を、前記映像分割装置により指定された有効フレームの映像として出力する映像合成装置を構成するコンピュータを、
前記複数の映像信号を複数のリンクを介して受信し、前記複数の映像信号に含まれる前記複数のサブフレームのそれぞれについて、当該サブフレームと前記有効フレームとが重なる領域をサブ有効フレームとして、当該サブフレームに対応する前記識別情報から、当該サブフレーム内の前記サブ有効フレームの位置を示すサブ有効フレーム情報を抽出する映像受信部、
前記映像受信部により抽出された前記複数のサブフレームのそれぞれに対応する前記サブ有効フレーム情報を用いて、前記フルフレーム内の前記有効フレームの位置を示す有効フレーム情報を生成するフレーム処理部、及び、
前記映像受信部により受信された前記複数の映像信号に含まれる前記複数のサブフレームを前記フルフレームに合成し、前記フレーム処理部により生成された前記有効フレーム情報に基づいて、前記フルフレームから前記有効フレームの映像を抽出するサブフレーム合成部として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像信号をスタジオ機器間で伝送する技術に関し、特に、映像を分割して送信する映像分割装置、映像を受信して合成する映像合成装置、及びこれらのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハイビジョン放送が開始されて以降、放送事業者によるコンテンツ制作における映像のアスペクト比は、固定的に16:9が使用されている。これは、放送における映像フォーマットの規定として採用された2K,4K,8Kのアスペクト比が16:9であることに由来している。
【0003】
放送サービスにより映像を送出して視聴する場合、表示装置のアスペクト比も16:9であるため、映像及び表示のアスペクト比は同じであり、1対1に対応している。これにより、表示装置上ではどの領域にも映像が表示され、非表示の領域はない。
【0004】
一方、近年では通信サービスを通して映像を提供する事業者が増えている。通信サービスにより映像を送出し視聴する場合、表示装置のアスペクト比は、テレビと同様の16:9に限定されない。例えば、スマートフォンまたはタブレット端末を用いてアスペクト比16:9の映像を視聴する場合、映像の長辺が横方向であるのに対し、表示装置の長辺が縦方向である等、映像と表示装置との間でアスペクト比が異なる場合がある。
【0005】
このため、通信サービスで取り扱われるアスペクト比の種類は、放送サービスのそれとは異なり様々である。
【0006】
このような2K,4K,8Kの映像で採用されているアスペクト比16:9とは異なるアスペクト比の映像信号を、SDI(Serial Digital Interface:シリアルデジタルインターフェース)によるスタジオ機器間の伝送で取り扱うための規格として、SMPTE(Society of Motion Picture and Television Engineers:米国映画テレビ技術者協会)標準規格ST2016-2が規定されている(非特許文献1を参照)。
【0007】
この標準規格ST2016-2では、送信側が、SDIで伝送されるフルフレームの映像のうち一部の領域をアスペクト比指定識別及び横縦の画素数の指定情報により指定し、受信側が、この指定情報を検出する場合において、16:9とは異なるアスペクト比及び画素数の映像を放送局内で伝送するための補助情報について規定している。
【0008】
この他、将来的な映像フォーマットとして画素数が8Kを超える映像フォーマットの検討も進められている。
【0009】
例えばITU-R勧告BT.2123では、観視者の視野の広範囲に映像を提示し、没入体験を提供するための具体的な映像パラメータとして、30,720×15,360の画素数を規定している(非特許文献2を参照)。
【0010】
このITU-R勧告BT.2123で規定される画素数を映像信号として伝送する場合、映像パラメータの特徴としてアスペクト比が非16:9であること、及び8Kを超える画素数であることの2点を考慮する必要がある。
【0011】
まずアスペクト比については、前述の通信サービスによる表示装置のアスペクト比と同様に、現行の放送サービスで扱われているアスペクト比16:9と異なることから、前述の非特許文献1の標準規格ST2016-2に準じて映像信号を伝送する必要がある。
【0012】
次に画素数については、前述の非特許文献2のITU-R勧告BT.2123で規定される画素数は8Kを超える画素数であるが、このような映像信号を1本の物理接続(リンク)で実現するインターフェースは市場に存在しない。このため、既存のインターフェースを利用した運用を行う場合には、複数のリンクによって映像信号を伝送しなければならない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】SMPTE Standard ST2016-2, “Format for Pan-Scan Information,” 2014.
【非特許文献2】Recommendation ITU-R BT.2123-0, “Video parameter values for advanced immersive audio-visual systems for production and international programme exchange in broadcasting,” 2019.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ここで、前述の非特許文献2のITU-R勧告BT.2123で規定されるような、アスペクト比が非16:9であり、かつインターフェース1本のリンクで伝送可能な画素数を超えた映像信号をSDI等の従来のスタジオ機器間のインターフェースによって伝送する場合を想定する。
【0015】
この場合、前述の非特許文献1の標準規格ST2016-2は、映像信号をSDIの1本のリンクにて伝送することを前提としたものであるため、当該標準規格ST2016-2をそのまま利用することができない。具体的には、前述の非特許文献1の標準規格ST2016-2では、フルフレームの映像を1本のリンクで伝送することを前提としているため、フルフレームの映像に対する有効フレーム(表示装置にて表示される映像)を指定することができる。これに対し、前述の非特許文献2のITU-R勧告BT.2123で規定されるような映像信号を、前述の非特許文献1の標準規格ST2016-2に準じて伝送しようとすると、2本以上のリンクで伝送する必要があることから、フルフレームの映像に対する有効フレームを指定するだけでは足りない。
【0016】
このように、前述の非特許文献2のITU-R勧告BT.2123で規定される画素数を映像信号として伝送する場合、映像パラメータの特徴として、アスペクト比が非16:9であること、及び8Kを超える画素数であることの2点を考慮する必要がある。
【0017】
現在、SMPTEではアスペクト比16:9とは異なるアスペクト比、及び8Kを超える画素数の映像信号の伝送方法について検討が進められているが、その伝送方法への対応を想定した送受信の仕組み及び装置は存在しない。
【0018】
そこで、本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、任意のアスペクト比及び画素数の映像信号を伝送可能な映像分割装置、映像合成装置及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前記課題を解決するために、請求項1の映像分割装置は、フルフレームの映像を分割して送信する映像分割装置において、前記フルフレームを複数のサブフレームに分割するサブフレーム分割部と、前記フルフレーム内の所定領域を有効フレームとして指定し、前記フルフレーム内の前記有効フレームの位置を示す有効フレーム情報を生成する有効フレーム指定部と、前記サブフレーム分割部により分割された前記複数のサブフレームのそれぞれについて、前記有効フレーム指定部により生成された前記有効フレーム情報を用いて、当該サブフレームのうち前記有効フレームと重なる領域をサブ有効フレームとして指定し、当該サブフレーム内の前記サブ有効フレームの位置を示すサブ有効フレーム情報を生成するサブ有効フレーム指定部と、前記サブフレーム分割部により分割された前記複数のサブフレームのそれぞれについて、前記サブ有効フレーム指定部により生成された当該サブフレームに対応する前記サブ有効フレーム情報を含み、前記有効フレーム及び前記サブ有効フレームを識別するための識別情報を生成し、当該サブフレーム及びこれに対応する前記識別情報を映像信号として、前記複数のサブフレームに対応する複数の映像信号を、複数のリンクを介して送信する映像送信部と、を備えたことを特徴とする。
【0020】
また、請求項2の映像分割装置は、請求項1に記載の映像分割装置において、前記識別情報を、前記サブ有効フレーム情報に加え、前記複数のサブフレームの総数、前記フルフレームにおける前記複数のサブフレームの配列関係、及び前記フルフレーム内の当該サブフレームの位置に応じた番号を含む情報とする、ことを特徴とする。
【0021】
また、請求項3の映像分割装置は、請求項1に記載の映像分割装置において、前記サブ有効フレーム情報を、前記サブ有効フレームの水平方向及び垂直方向の画素数、及び前記サブフレームの中心画素と前記サブ有効フレームの中心画素との間における水平方向及び垂直方向の画素数とする、ことを特徴とする。
【0022】
また、請求項4の映像分割装置は、請求項1に記載の映像分割装置において、前記サブ有効フレーム情報を、前記サブ有効フレームにおける左上の画素の座標情報及び右下の画素の座標情報とする、ことを特徴とする。
【0023】
また、請求項5の映像分割装置は、請求項1に記載の映像分割装置において、前記映像送信部が、前記複数のサブフレームのそれぞれについて、前記サブ有効フレームが当該サブフレームと一致しない場合、前記サブ有効フレーム情報を含む前記識別情報を生成し、
前記サブ有効フレームが当該サブフレームと一致する場合、前記サブ有効フレーム情報を含まず、かつ、前記複数のサブフレームの総数、前記フルフレームにおける前記複数のサブフレームの配列関係、及び前記フルフレームにおける当該サブフレームの位置に応じた番号を含む前記識別情報を生成する、ことを特徴とする。
【0024】
さらに、請求項6の映像合成装置は、映像分割装置から、フルフレームが分割された複数のサブフレームとこれらに対応する複数の識別情報とを含む複数の映像信号を受信し、前記複数のサブフレームを前記フルフレームに合成し、前記フルフレーム内の所定領域を、前記映像分割装置により指定された有効フレームの映像として出力する映像合成装置であって、前記複数の映像信号を複数のリンクを介して受信し、前記複数の映像信号に含まれる前記複数のサブフレームのそれぞれについて、当該サブフレームと前記有効フレームとが重なる領域をサブ有効フレームとして、当該サブフレームに対応する前記識別情報から、当該サブフレーム内の前記サブ有効フレームの位置を示すサブ有効フレーム情報を抽出する映像受信部と、前記映像受信部により抽出された前記複数のサブフレームのそれぞれに対応する前記サブ有効フレーム情報を用いて、前記フルフレーム内の前記有効フレームの位置を示す有効フレーム情報を生成するフレーム処理部と、前記映像受信部により受信された前記複数の映像信号に含まれる前記複数のサブフレームを前記フルフレームに合成し、前記フレーム処理部により生成された前記有効フレーム情報に基づいて、前記フルフレームから前記有効フレームの映像を抽出するサブフレーム合成部と、を備えたことを特徴とする。
【0025】
また、請求項7の映像合成装置は、請求項6に記載の映像合成装置において、前記識別情報を、前記サブ有効フレーム情報に加え、前記複数のサブフレームの総数、前記フルフレームにおける前記複数のサブフレームの配列関係、及び前記フルフレーム内の当該サブフレームの位置に応じた番号を含む情報とし、前記映像受信部が、前記複数のサブフレームのそれぞれについて、当該サブフレームに対応する前記識別情報から前記サブ有効フレーム情報を抽出すると共に、前記複数のサブフレームの総数、前記複数のサブフレームの配列関係及び前記サブフレームの位置を抽出し、前記複数のサブフレームの総数、前記複数のサブフレームの配列関係及び前記サブフレームの位置を用いて、前記映像分割装置により前記フルフレームが前記複数のサブフレームに分割された際の分割情報を生成し、前記フレーム処理部が、前記映像受信部により抽出された前記サブ有効フレーム情報、及び前記映像受信部により生成された前記分割情報に基づいて、前記有効フレーム情報を生成する、ことを特徴とする。
【0026】
また、請求項8の映像合成装置は、請求項6に記載の映像合成装置において、前記サブ有効フレーム情報を、前記サブ有効フレームの水平方向及び垂直方向の画素数、及び前記サブフレームの中心画素と前記サブ有効フレームの中心画素との間における水平方向及び垂直方向の画素数とする、ことを特徴とする。
【0027】
また、請求項9の映像合成装置は、請求項6に記載の映像合成装置において、前記サブ有効フレーム情報を、前記サブ有効フレームにおける左上の画素の座標情報及び右下の画素の座標情報とする、ことを特徴とする。
【0028】
また、請求項10の映像合成装置は、請求項6に記載の映像合成装置において、前記映像受信部が、前記複数のサブフレームのそれぞれについて、当該サブフレームに対応する前記識別情報に前記サブ有効フレーム情報が含まれている場合、当該サブフレームに対応する前記識別情報から前記サブ有効フレーム情報を抽出し、当該サブフレームに対応する前記識別情報に前記サブ有効フレーム情報が含まれていない場合、前記サブ有効フレームが当該サブフレームと一致することを示す前記サブ有効フレーム情報を設定し、前記フレーム処理部が、前記映像受信部により抽出または設定された前記複数のサブフレームのそれぞれに対応する前記サブ有効フレーム情報を用いて、前記有効フレーム情報を生成する、ことを特徴とする。
【0029】
さらに、請求項11のプログラムは、フルフレームの映像を分割して送信する映像分割装置を構成するコンピュータを、前記フルフレームを複数のサブフレームに分割するサブフレーム分割部、前記フルフレーム内の所定領域を有効フレームとして指定し、前記フルフレーム内の前記有効フレームの位置を示す有効フレーム情報を生成する有効フレーム指定部、前記サブフレーム分割部により分割された前記複数のサブフレームのそれぞれについて、前記有効フレーム指定部により生成された前記有効フレーム情報を用いて、当該サブフレームのうち前記有効フレームと重なる領域をサブ有効フレームとして指定し、当該サブフレーム内の前記サブ有効フレームの位置を示すサブ有効フレーム情報を生成するサブ有効フレーム指定部、及び、前記サブフレーム分割部により分割された前記複数のサブフレームのそれぞれについて、前記サブ有効フレーム指定部により生成された当該サブフレームに対応する前記サブ有効フレーム情報を含み、前記有効フレーム及び前記サブ有効フレームを識別するための識別情報を生成し、当該サブフレーム及びこれに対応する前記識別情報を映像信号として、前記複数のサブフレームに対応する複数の映像信号を、複数のリンクを介して送信する映像送信部として機能させることを特徴とする。
【0030】
また、請求項12のプログラムは、映像分割装置から、フルフレームが分割された複数のサブフレームとこれらに対応する複数の識別情報とを含む複数の映像信号を受信し、前記複数のサブフレームを前記フルフレームに合成し、前記フルフレーム内の所定領域を、前記映像分割装置により指定された有効フレームの映像として出力する映像合成装置を構成するコンピュータを、前記複数の映像信号を複数のリンクを介して受信し、前記複数の映像信号に含まれる前記複数のサブフレームのそれぞれについて、当該サブフレームと前記有効フレームとが重なる領域をサブ有効フレームとして、当該サブフレームに対応する前記識別情報から、当該サブフレーム内の前記サブ有効フレームの位置を示すサブ有効フレーム情報を抽出する映像受信部、前記映像受信部により抽出された前記複数のサブフレームのそれぞれに対応する前記サブ有効フレーム情報を用いて、前記フルフレーム内の前記有効フレームの位置を示す有効フレーム情報を生成するフレーム処理部、及び、前記映像受信部により受信された前記複数の映像信号に含まれる前記複数のサブフレームを前記フルフレームに合成し、前記フレーム処理部により生成された前記有効フレーム情報に基づいて、前記フルフレームから前記有効フレームの映像を抽出するサブフレーム合成部として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
以上のように、本発明によれば、任意のアスペクト比及び画素数の映像信号を伝送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の概要を説明するための具体例を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態による映像分割装置の構成例を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態による映像分割装置の処理例を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の実施形態による映像合成装置の構成例を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態による映像合成装置の処理例を示すフローチャートである。
【
図7】フルフレームFF、サブフレームSF、有効フレームEF及びサブ有効フレームSEFを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて詳細に説明する。
〔用語の定義〕
まず、本発明の概要及び実施形態の説明に先立って、これらの説明に使用する用語を定義する。映像信号は、スタジオ機器間を接続するインターフェースによって伝送される映像データを示す。画素数は、映像信号のうち1フレームあたりの画素数を示す。例えば横が3,840画素、縦が2,160画素の場合、画素数は3,840×2,160と表記する。
【0034】
アスペクト比は、映像の横方向の画素数と縦方向の画素数との間の比率を示す。ここでは、横対縦の比を横:縦と表記する。映像フォーマットは、映像信号を規定する画素数、フレーム周波数等の映像パラメータの組み合わせを示す。SDIは、スタジオ機器間の伝送に使用されるインターフェースを示す。
【0035】
フルフレームは、1フレームに含まれる全ての画素で構成される映像データを示す。例えば映像信号の画素数が3,840×2,160の場合、フルフレームはこれらの全ての画素によって構成される3,840×2,160の映像データである。有効フレームは、フルフレームにおいて、付加情報(後述する有効フレーム情報)によって指定される領域、すなわちフルフレーム内の所定領域を示す。フルフレーム内の所定領域には、フルフレーム内の一部の領域だけでなく、フルフレームと一致する領域も含まれる。後者の場合、有効フレームはフルフレームと一致することとなる。
【0036】
2Kは、画素数が1,920×1,080の映像データを示し、4Kは 画素数が3,840×2,160の映像データを示し、8Kは、画素数が7,680×4,320の映像データを示す。
【0037】
サブフレームは、フルフレームから複数の映像に分割された映像データを示す。サブ有効フレームは、サブフレームにおいて、付加情報(後述するサブ有効フレーム情報)によって指定される領域、すなわちサブフレーム内の所定領域を示す。サブフレーム内の所定領域には、サブフレーム内の一部の領域だけでなく、サブフレームと一致する領域も含まれる。後者の場合、サブ有効フレームはサブフレームと一致することとなる。
【0038】
放送サービスは、地上デジタル放送及び4K,8Kを含む衛星放送を通して送出される映像サービスを示す。通信サービスは、インターネット上での同時再送信、オンデマンド配信、ソーシャルメディアを通した再送信等の通信路を通して送出される映像サービスを示す。
【0039】
〔発明の概要〕
次に、発明の概要について説明する。本発明の映像分割装置は、フルフレームの映像を複数のサブフレームに分割し、複数のサブフレームを対応する複数のリンクの信号に振り分けて送信する際に、予め設定されたフルフレーム内の有効フレームを識別するための付加情報を生成し、当該付加情報を複数のサブフレームと共に送信することを特徴とする。
【0040】
また、本発明の映像合成装置は、複数のサブフレームとフルフレーム内の有効フレームを識別するための付加情報とを含む複数のリンクの信号を受信し、複数のサブフレームからフルフレームの映像を合成し、付加情報に基づいて、フルフレームの映像から有効フレームを抽出することを特徴とする。
【0041】
次に、発明の概要について具体例を挙げて説明する。
図1は、本発明の概要を説明するための具体例を示す図である。尚、この具体例は、本発明そのものを示しているものではない。
図1(1)は、画素数2560×1080、アスペクト比2.4:1、フレーム周波数30Hzプログレッシブ及びYCbCr 10ビットの有効フレームEFを2つの2Kサイズのコンテナ(サブフレームSF)を使用して伝送する場合の映像信号の流れを示している。以下、説明の便宜上コンテナの名称を使用する場合もあるが、コンテナとサブフレームSFは同義である。
【0042】
コンテナの配列としては、その領域をタイル状に配列する方式であるスクエアディヴィジョン(Square Division)を採用する。また、映像信号源として、ここでは4Kカメラを想定している。4Kカメラの出力インターフェースとしては、3G-SDI(level B-DS)を使用している。
【0043】
尚、3G-SDI(level B-DS)の詳細については、以下の文献を参照されたい。
[非特許文献3] SMPTE Standard ST425-1, “Source Image Format and Ancillary Data Mapping for the 3 Gb/s Serial Interface,” 2014.
【0044】
4Kカメラは、後述する映像分割装置1に相当し、表示装置は、後述する映像合成装置2に相当する。
【0045】
4Kカメラは、フルフレームFFの映像を撮影する際に、ユーザ操作に従い、送信対象の映像(表示装置に表示する映像)である目的の2560×1080の有効フレームEFの領域を指定し、4Kイメージセンサーの領域の一部を使って、有効フレームEFの領域を取得する。
【0046】
図1(2)に示すように、フルフレームFF内の所定領域である有効フレームEF(
図1(2)において内側の実線の枠で囲んだ領域)が指定される。
【0047】
4Kカメラは、有効フレームEFの左半分をコンテナ番号(Container No.)1に割り当て、右半分をコンテナ番号2に割り当てる。この場合、
図1(3)に示すように、割り当てられたコンテナにおけるサブ有効フレームSEF-1の画素数は1280×1080である。サブ有効フレームSEF-2についても同様である。尚、コンテナの画素数、すなわちサブフレームSF-1,SF-2の画素数は1920×1080である。
【0048】
4Kカメラは、フルフレームFF内の有効フレームEFを含む領域(
図1(2)において2つの点線の枠を合わせた領域)を2つのサブフレームSF-1,SF-2(
図1(2)において点線の枠で囲んだ左右それぞれの領域)に分割し、所定の付加情報である識別情報I-1,I-2を生成する。識別情報I-1,I-2の詳細については後述する。
【0049】
尚、
図1の例は、フルフレームFFの全ての領域が2つのサブフレームSF-1,SF-2に分割されるものではない。これは、発明の概要を説明するために、分割後のサブフレームSF-1,SF-2を便宜的に示しているからである。実際は、後述する
図3に示すように、フルフレームFFの全ての領域が複数のサブフレームSFに分割されることとなる。
【0050】
4Kカメラは、サブフレームSF-1(画素数1920×1080及びフレーム周波数30Hz)に識別情報I-1を多重し、これをデータストリーム1とする。また、4Kカメラは、サブフレームSF-2(画素数1920×1080及びフレーム周波数30Hz)に識別情報I-2を多重し、これをデータストリーム2とする。
【0051】
4Kカメラは、多重信号であるデータストリーム1,2を、2つのHD-SDI信号に割り当て、2本のストリームで構成された3G-SDI(level B-DS)信号(画素数1920×1080及びフレーム周波数60Hz)として表示装置へ出力する。
【0052】
表示装置は、多重信号であるデータストリーム1,2の3G-SDI(level B-DS)信号を入力し、2つのサブフレームSF-1,SF-2及び2つの識別情報I-1,I-2を分離し、2つのサブフレームSF-1,SF-2を合成し、識別情報I-1,I-2に基づいて、合成画像から、サブ有効フレームSEF-1,SEF-2が合成された有効フレームEF(画素数2560×1080及びフレーム周波数30Hz)を抽出して画面表示する。
【0053】
尚、サブフレームSF-1,SF-2には、4Kイメージセンサーで撮影した画像(
図1(2)における2つの点線の枠を合わせた領域)のうち、有効フレームEF以外の画像(
図1(2)及び(3)における網掛けの領域)が含まれる。
【0054】
この網掛けの領域は、後段の処理として取り扱わないため、撮影した当該領域の画像をそのまま出力したり、黒画像等の特定のパターンで塗りつぶしたりして、ユーザがサブフレームSF-1,SF-2内の有効フレームEFを理解し易くするようにしてもよい。また、サブフレームSF-1,SF-2の画素数はそれぞれ1920×1080であり、フレーム周波数は30Hzプログレッシブであり、ビットレート1.5Gbpsで伝送可能である。このため、4Kカメラの出力としては、Dual-Link HD-SDI信号として、2つのインターフェースから出力することができる。
【0055】
Dual-Link HD-SDIの詳細については、以下の文献を参照されたい。
[非特許文献4] SMPTE Standard ST372, “Dual Link 1.5 Gb/s Digital Interface for 1920 × 1080 and 2048 × 1080 Picture Formats,” 2017.
【0056】
図1(1)では、ケーブルの取り回しを簡単にするため、それぞれに2KサイズのサブフレームSF-1,SF-2を搭載した2つのHD-SDI信号の2本のストリームで構成された3G-SDI(level B-DS)信号として出力する例を記載している。
【0057】
次に、識別情報I-1,I-2(総称して「識別情報I」という。)について説明する。
図2は、識別情報Iの例を示す図である。識別情報Iは、サブフレームSF毎(コンテナ毎、データストリーム毎)に生成され多重される。
図1(1)の例では、サブフレームSF-1が伝送されるコンテナ番号1のデータストリーム1に対して識別情報I-1が生成され、サブフレームSF-2が伝送されるコンテナ番号2のデータストリーム2に対して識別情報I-2が生成され、それぞれ多重される。
【0058】
識別情報Iは、ID番号1~7(ID No.1~7)であるID1~ID7の各パラメータからなる。ID1~ID5の各パラメータは、フルフレームFFが複数のサブフレームSFに分割されたときの分割情報Cに基づいて設定される。また、ID6,ID7は、分割情報C、及びフルフレームFF内の有効フレームEFの位置に基づいて設定される。分割情報Cの詳細については後述する。
【0059】
ID1のパラメータは、コンテナ(サブフレームSF)の総数(Total number of containers)を示す。
図1(1)の例ではコンテナの総数は2であり、コンテナ番号1,2共にID1=2である。
【0060】
ID2のパラメータは、全てのコンテナ(サブフレームSF)で形成される配列(Array、行(Row)及び列(Column))関係を示す。
図1(1)の例では全てのコンテナは縦方向に1行、横方向に2列の配列を構成するため、コンテナ番号1,2共に、ID2=(1(配列の行),2(配列の列))が設定される。
【0061】
ID3のパラメータは、各コンテナ(サブフレームSF)の識別番号(Container No.)を示す。すなわち、フルフレームFF内における各サブフレームSFの位置に応じた識別番号を示す。
図1(1)の例では、コンテナ番号1のID3=1、コンテナ番号2のID3=2が設定される。
【0062】
例えばコンテナの配列関係がID2=(m(配列の行),n(配列の列))(m,nは2以上の整数)である場合を想定する。この場合、各コンテナの識別番号は、配列における左上のコンテナ番号についてID3=1、右に向かってカウントした値を各コンテナ番号のID3とし、同一行のカウント(n列までのカウント)が終了すると、1行下の左から右へ向かってカウントした値を各コンテナ番号のID3とし、同様に、m行までカウントすることで設定される。
【0063】
ID4のパラメータは、全てのコンテナ(サブフレームSF)によって伝送される映像の画素マッピング構造(Mapping structure)(分割方式)を示し、ツーサンプルインターリーブ(2 Sample Interleave(SI))またはスクエアディヴィジョン(Square Division(SQD))のうちのいずれかが選択される。
図1(1)の例では、コンテナ番号1,2共に、ID4=スクエアディヴィジョンが設定される。
【0064】
ID5のパラメータは、コンテナ(サブフレームSF)として使用する画素数(Total container size、水平(Horizontal)方向(横方向)の画素数及び垂直(Vertical)方向(縦方向)の画素数)を示す。すなわち、サブフレームSFの画素数を示す。
図1(1)の例では、コンテナ番号1,2共に、ID5=(1920(コンテナの水平方向の画素数),1080(コンテナの垂直方向の画素数))が設定される。
【0065】
ID6,7のパラメータは、コンテナ(サブフレームSF)内のどの位置に有効フレームEFが配置されているかを示す。すなわち、サブフレームSF内のサブ有効フレームSEFの位置を示す。具体的には、ID6のパラメータは、コンテナ内のサブ有効フレームSEFの画素数(Active area size、水平(Horizontal)方向の画素数及び垂直(Vertical)方向の画素数)を示す。
図1(1)の例では、コンテナ番号1,2共に、ID6=(1280(サブ有効フレームSEFの水平方向の画素数),1080(サブ有効フレームSEFの垂直方向の画素数))が設定される。
【0066】
ID7のパラメータは、コンテナ(サブフレームSF)に対するサブ有効フレームSEFのオフセット(Offset、水平(Horizontal)方向の画素数及び垂直(Vertical)方向の画素数)を示す。すなわち、サブフレームSFに対するサブ有効フレームSEFのオフセットを示す。
図1(1)の例では、コンテナ番号1のID7=(320(サブフレームSF-1に対するサブ有効フレームSEF-1のオフセットである水平方向の画素数),0(サブフレームSF-1に対するサブ有効フレームSEF-1のオフセットである垂直方向の画素数))が設定される。また、コンテナ番号2のID7=(-320,0)が設定される。
【0067】
尚、ID6,7により示されるサブフレームSF内のサブ有効フレームSEFの位置については、様々なフォーマットが考えられる。
図2の例では、前述の非特許文献1の標準規格ST2016-2に記載されているフォーマットに従い、ID6では水平及び垂直方向の画素数、ID7ではサブフレームSFの中心から水平及び垂直方向にオフセットした場合のサブフレームSFに対するサブ有効フレームSEFの画素数が設定される。
【0068】
〔映像分割装置〕
次に、本発明の実施形態による映像分割装置について説明する。
図3は、本発明の実施形態による映像分割装置の構成例を示す図であり、
図4は、その処理例を示すフローチャートである。
【0069】
この映像分割装置1は、サブフレーム分割部10、有効フレーム指定部11、サブ有効フレーム指定部12及び映像送信部13を備えている。
【0070】
サブフレーム分割部10は、入力映像であるフルフレームFFの映像を入力する(ステップS401)。そして、サブフレーム分割部10は、予め設定された分割規則に従い、フルフレームFFをN個のサブフレームSF-1,・・・,SF-N(総称して「サブフレームSF」という。)に分割すると共に、サブフレームSF毎に、フルフレームFFと当該サブフレームSFとの間の関係を規定する分割情報Cを生成する(ステップS402)。すなわち、サブフレーム分割部10は、分割情報Cとして、
図2に示したID1,・・・,ID5を生成する。分割情報Cは、サブフレームSF-1,・・・,SF-Nのそれぞれに対応する分割情報C-1,・・・,C-Nの総称である。
【0071】
この場合、サブフレーム分割部10は、後述する映像送信部13がN個のサブフレームSF-1,・・・,SF-NのそれぞれをSDIのN個のリンクのそれぞれに割り当てるように、分割処理を行う。つまり、分割処理により生成されたN個のサブフレームSF-1,・・・,SF-Nは、SDIのN個のリンクに対応し、当該インターフェースにより後述する識別情報I-1,・・・,I-Nと共に送信される。
【0072】
サブフレームSF毎の分割情報Cは、
図2に示したとおり、ID1としてサブフレームSFの総数(N)、ID2として全てのサブフレームSFで形成される配列関係、ID3としてサブフレームSFの位置に応じた識別番号(本例では1,・・・,N)、ID4として全てのサブフレームSFによって伝送される映像の画素マッピング構造(分割方式)(本例ではスクエアディヴィジョン)、ID5としてサブフレームSFの画素数から構成される。
【0073】
これにより、サブフレームSF-1,・・・,SF-Nのそれぞれについて、フルフレームFFとサブ有効フレームSEF-1,・・・,SEF-Nとの間の関係を規定する分割情報C-1,・・・,C-Nが生成される。
【0074】
サブフレーム分割部10は、サブフレームSF-1,・・・,SF-Nの映像データを映像送信部13に出力すると共に、分割情報C-1,・・・,C-N(サブフレームSF毎のID1,・・・,ID5)をサブ有効フレーム指定部12に出力する。
【0075】
図7は、フルフレームFF、サブフレームSF、有効フレームEF及びサブ有効フレームSEFを説明する図である。
図7(1)及び
図3に示したサブフレーム分割部10の下部分を参照して、フルフレームFFは、1~N番のサブフレームSF-1,・・・,SF-Nから構成される。サブフレーム分割部10により、フルフレームFFはN個のサブフレームSF-1,・・・,SF-Nに分割される。
【0076】
図3及び
図4に戻って、ユーザ操作に従い、フルフレームFF内の有効フレームEFの位置が指示される。そうすると、有効フレーム指定部11は、当該ユーザ操作に従い、フルフレームFF内の有効フレームEFを指定し、フルフレームFF内の有効フレームEFを識別するための有効フレーム情報Aを生成する(ステップS403)。有効フレーム指定部11は、有効フレーム情報Aをサブ有効フレーム指定部12に出力する。
【0077】
図7(2)及び
図3に示した有効フレーム指定部11の下部分を参照して、有効フレームEFは、フルフレームFF内の所定領域であり、ユーザ操作により指定される。
【0078】
図3及び
図4に戻って、有効フレーム情報Aにより、フルフレームFF内の有効フレームEFの位置が特定される。例えば有効フレーム情報Aは、有効フレームEFの水平方向及び垂直方向の画素数、及び、フルフレームFFに対する有効フレームEFのオフセットを示す水平方向の画素数及び垂直方向の画素数(フルフレームFFの中心画素と有効フレームEFの中心画素との間における水平方向及び垂直方向の画素数)からなる。
【0079】
尚、有効フレーム情報Aは、有効フレームEFにおける左上の画素の座標情報及び右下の画素の座標情報からなるようにしてもよい。
【0080】
サブ有効フレーム指定部12は、サブフレーム分割部10から分割情報C-1,・・・,C-Nを入力すると共に、有効フレーム指定部11から有効フレーム情報Aを入力する。
【0081】
サブ有効フレーム指定部12は、サブフレームSF毎に、分割情報C及び有効フレーム情報Aに基づいて、当該サブフレームSF内の有効フレームEFと重なる領域をサブ有効フレームSEFとして指定し、当該サブフレームSF内のサブ有効フレームSEFを識別するためのサブ有効フレーム情報Bを生成する(ステップS404)。すなわち、サブ有効フレーム指定部12は、サブ有効フレーム情報Bとして、
図2に示したID6,ID7を生成する。サブ有効フレーム情報Bは、サブフレームSF-1,・・・,SF-N内のサブ有効フレームSEF-1,・・・,SEF-Nのそれぞれに対応するサブ有効フレーム情報B-1,・・・,B-Nの総称である。
【0082】
サブフレームSF毎のサブ有効フレーム情報Bは、
図2に示したとおり、ID6としてサブ有効フレームSEFの画素数、ID7としてサブフレームSFに対するサブ有効フレームSEFのオフセットから構成される。
【0083】
これにより、サブフレームSF-1,・・・,SF-Nのそれぞれについて、対応するサブ有効フレームSEF-1,・・・,SEF-Nを識別するためのサブ有効フレーム情報B-1,・・・,B-Nが生成される。
【0084】
サブ有効フレーム指定部12は、分割情報C-1,・・・,C-N(サブフレームSF毎のID1,・・・,ID5)及びサブ有効フレーム情報B-1,・・・,B-N(サブフレームSF毎のID6,ID7)を映像送信部13に出力する。
【0085】
図7(3)及び
図3に示したサブ有効フレーム指定部12の右下部分を参照して、サブ有効フレームSEF-1,・・・,SEF-Nは、サブフレームSF-1,・・・,SF-N内の所定領域である。
【0086】
図3及び
図4に戻って、サブ有効フレーム情報Bにより、サブフレームSF内のサブ有効フレームSEFの位置が特定される。
【0087】
尚、サブ有効フレーム情報Bは、サブ有効フレームSEFにおける左上の画素の座標情報及び右下の画素の座標情報からなるようにしてもよい。
【0088】
映像送信部13は、サブフレーム分割部10からサブフレームSF-1,・・・,SF-Nの映像データを入力する。また、映像送信部13は、サブ有効フレーム指定部12から分割情報C-1,・・・,C-N(サブフレームSF毎のID1,・・・,ID5)及びサブ有効フレーム情報B-1,・・・,B-N(サブフレームSF毎のID6,ID7)を入力する。
【0089】
映像送信部13は、サブフレームSF毎に、対応する分割情報C及びサブ有効フレーム情報Bを用いて、ID1,・・・,ID7からなる識別情報Iを生成する(ステップS405)。
【0090】
これにより、サブフレームSF-1,・・・,SF-Nのそれぞれについて、対応する識別情報I-1,・・・,I-Nが生成される。
【0091】
映像送信部13は、サブフレームSF毎に、当該サブフレームSF及びこれに対応する識別情報Iを多重し、多重信号を生成する(ステップS406)。
【0092】
映像送信部13は、サブフレームSFである複数のサブフレームSF-1,・・・,SF-Nのそれぞれ(の多重信号)をSDIにおけるN個のリンク(N個のSDI信号)のそれぞれに割り付ける。そして、映像送信部13は、サブフレームSF毎の多重信号を映像信号として、サブフレームSF毎の映像信号を、物理的なインターフェースであるSDIの各リンク(マルチリンク)を介して後述する映像合成装置2へ送信する(ステップS407)。
【0093】
これにより、サブフレームSF-1,・・・,SF-N及び識別情報I-1,・・・,I-NがSDIのマルチリンクの映像信号として送信される。
【0094】
以上のように、本発明の実施形態の映像分割装置1によれば、サブフレーム分割部10は、フルフレームFFの映像を入力してN個のサブフレームSFに分割し、分割情報C(ID1,・・・,ID5)を生成する。
【0095】
有効フレーム指定部11は、ユーザ操作に従い有効フレームEFを指定し、フルフレームFF内の有効フレームEFを識別するための有効フレーム情報Aを生成する。サブ有効フレーム指定部12は、サブフレームSF毎に、分割情報C及び有効フレーム情報Aに基づいてサブ有効フレームSEFを指定し、当該サブフレームSF内のサブ有効フレームSEFを識別するためのサブ有効フレーム情報B(ID6,ID7)を生成する。
【0096】
映像送信部13は、サブフレームSF毎に、分割情報C及びサブ有効フレーム情報Bを用いて、ID1,・・・,ID7からなる識別情報Iを生成し、当該サブフレームSF及び識別情報Iを多重し、サブフレームSF毎の映像信号を、SDIの各リンクを介して送信する。
【0097】
これにより、後述する映像合成装置2は、サブフレームSF毎の映像信号を受信してN個のサブフレームSF及びN個の識別情報Iを分離し、サブ有効フレーム情報B及び有効フレーム情報Aを復元し、フルフレームFFを合成し、フルフレームFFから有効フレームEFを抽出することができる。この有効フレームEFは、映像分割装置1の有効フレーム指定部11により任意のアスペクト比及び画素数の画像として指定される。
【0098】
したがって、映像分割装置1から映像合成装置2へ、任意のアスペクト比及び画素数の映像信号を伝送することができる。つまり、非16:9のアスペクト比でかつ2K,4K,8K以外の画素数の映像を、スタジオ機器間で伝送することが可能となる。
【0099】
〔映像合成装置〕
次に、本発明の実施形態による映像合成装置について説明する。
図5は、本発明の実施形態による映像合成装置の構成例を示す図であり、
図6は、その処理例を示すフローチャートである。
【0100】
この映像合成装置2は、映像受信部20、サブ有効フレーム処理部21、有効フレーム処理部22及びサブフレーム合成部23を備えている。
【0101】
映像受信部20は、前述の映像分割装置1からSDIの各リンクを介して、サブフレームSF毎の映像信号(多重信号)を受信する(ステップS601)。そして、映像受信部20は、映像信号毎に(サブフレームSF毎に)、当該サブフレームSF及びこれに対応する識別情報Iを分離する(ステップS602)。前述のとおり、識別情報Iは、ID1,・・・,ID7から構成される。
【0102】
これにより、サブフレームSF毎に、サブフレームSF-1,・・・,SF-N及び対応する識別情報I-1,・・・,I-Nが得られる。
【0103】
映像受信部20は、サブフレームSF毎に、識別情報Iを構成するID1,・・・,ID7からID1,・・・,ID5及びID6,ID7を抽出する。そして、映像受信部20は、サブフレームSF毎に、ID1,・・・,ID5を分割情報Cに設定する(ステップS603)。これは、
図4のステップS405にて、映像分割装置1の映像送信部13により分割情報C(ID1,・・・,ID5)及びサブ有効フレーム情報B(ID6,ID7)を用いて、識別情報I(ID1,・・・,ID7)を生成する処理に対応している。
【0104】
映像受信部20は、サブフレームSF毎に、当該サブフレームSFのID6,ID7をサブ有効フレーム情報Bに設定する(ステップS604)。これも、
図4のステップS404の処理に対応している。
【0105】
これにより、サブフレームSF毎に、サブフレームSF-1,・・・,SF-Nに対応するサブ有効フレーム情報B-1,・・・,B-Nが得られる。
【0106】
映像受信部20は、サブフレームSF-1,・・・,SF-Nの映像データをサブフレーム合成部23に出力する。また、映像受信部20は、分割情報C-1,・・・,C-N(サブフレームSF毎のID1,・・・,ID5)及びサブ有効フレーム情報B-1,・・・,B-N(サブフレームSF毎のID6,ID7)をサブ有効フレーム処理部21に出力する。
【0107】
サブ有効フレーム処理部21は、映像受信部20から分割情報C-1,・・・,C-N及びサブ有効フレーム情報B-1,・・・,B-Nを入力する。そして、サブ有効フレーム処理部21は、サブフレームSF毎の分割情報C及びサブ有効フレーム情報Bに基づいて、有効フレーム情報Aを復元する(ステップS605)。
【0108】
これは、
図4のステップS403にて、映像分割装置1の有効フレーム指定部11により有効フレーム情報Aを生成する処理に対応している。前述のとおり、分割情報C-1,・・・,C-NであるID1,・・・,ID5は、フルフレームFFがN個のサブフレームSFに分割されたときのフルフレームFFと個々のサブフレームSFとの間の関係を規定する情報である。また、サブ有効フレーム情報B-1,・・・,B-NであるID6,ID7は、サブフレームSF内のサブ有効フレームSEFを識別するための情報である。
【0109】
このため、これらのサブフレームSF毎の分割情報C-1,・・・,C-N及びサブフレームSF毎のサブ有効フレーム情報B-1,・・・,B-Nを用いることにより、サブフレームSF-1,・・・,SF-N内のサブ有効フレームSEFを合成することで、フルフレームFF内の有効フレームEFを識別するための有効フレーム情報Aを復元することができる。
【0110】
サブ有効フレーム処理部21は、有効フレーム情報Aを有効フレーム処理部22に出力すると共に、分割情報C-1,・・・,C-Nをサブフレーム合成部23に出力する。
【0111】
有効フレーム処理部22は、サブ有効フレーム処理部21から有効フレーム情報Aを入力し、有効フレーム情報Aに基づいて、フルフレームFFから有効フレームEFを抽出するための指定情報を生成する(ステップS606)。そして、有効フレーム処理部22は、指定情報をサブフレーム合成部23に出力する。
【0112】
サブフレーム合成部23は、映像受信部20からサブフレームSF-1,・・・,SF-Nの映像データを入力すると共に、サブ有効フレーム処理部21から分割情報を入力する。また、サブフレーム合成部23は、有効フレーム処理部22から指定情報を入力する。
【0113】
サブフレーム合成部23は、分割情報に基づいて、サブフレームSF-1,・・・,SF-NをフルフレームFFに合成する(ステップS607)。これは、
図4のステップS402にて、映像分割装置1のサブフレーム分割部10によりフルフレームFFがサブフレームSF-1,・・・,SF-Nに分割され、分割情報が生成される処理に対応している。
【0114】
サブフレーム合成部23は、指定情報に基づいて、フルフレームFFから出力映像である有効フレームEFの映像を抽出し、有効フレームEFの映像を出力する(ステップS608)。
【0115】
これにより、
図3に示した映像分割装置1の有効フレーム指定部11により指定された有効フレームEFが、映像合成装置2から出力される。
【0116】
以上のように、本発明の実施形態の映像合成装置2によれば、映像受信部20は、映像分割装置1からSDIの各リンクを介して、サブフレームSF毎の映像信号を受信し、N個のサブフレームSF及びN個の識別情報Iを分離し、サブフレームSF毎の識別情報Iを用いて、分割情報C及びサブ有効フレーム情報Bを設定する。
【0117】
サブ有効フレーム処理部21は、サブフレームSF毎の分割情報C及びサブ有効フレーム情報Bに基づいて、有効フレーム情報Aを復元する。有効フレーム処理部22は、有効フレーム情報Aに基づいて、フルフレームFFにおける有効フレームEFの指定情報を生成する。
【0118】
サブフレーム合成部23は、N個のサブフレームSFをフルフレームFFに合成し、指定情報に基づいてフルフレームFFから有効フレームEFを抽出し、有効フレームEFの映像を出力する。
【0119】
この有効フレームEFは、映像分割装置1の有効フレーム指定部11により任意のアスペクト比及び画素数の画像として指定されたものである。
【0120】
したがって、映像分割装置1から映像合成装置2へ、任意のアスペクト比及び画素数の映像信号を伝送することができる。つまり、非16:9のアスペクト比でかつ2K,4K,8K以外の画素数の映像を、スタジオ機器間で伝送することが可能となる。
【0121】
以上、実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
【0122】
例えば前述の実施形態では、
図5に示した映像合成装置2は、サブ有効フレーム処理部21及び有効フレーム処理部22を備え、サブフレーム合成部23が、有効フレーム処理部22により生成された指定情報に基づいて、フルフレームFFから有効フレームEFを抽出するようにした。
【0123】
これに対し、映像合成装置2は、サブ有効フレーム処理部21及び有効フレーム処理部22の代わりに、フレーム処理部を備えるようにしてもよい。具体的には、フレーム処理部は、サブ有効フレーム処理部21と同様に、サブフレームSF毎の分割情報C及びサブ有効フレーム情報Bに基づいて、有効フレーム情報Aを復元する。そして、サブフレーム合成部23は、フレーム処理部により復元された有効フレーム情報Aに基づいて、フルフレームFFから有効フレームEFを抽出する。
【0124】
また、前述の実施形態では、
図3に示した映像分割装置1の映像送信部13は、サブフレームSFとID1,・・・,ID7の識別情報Iとが多重された映像信号を送信し、
図5に示した映像合成装置2の映像受信部20は、この映像信号を受信するようにした。これに対し、映像分割装置1は、サブ有効フレームSEFがサブフレームSFと一致する場合、当該サブフレームSFについて、ID6,ID7の送信を省略するようにしてもよい。これにより、映像分割装置1から映像合成装置2へ送信される映像信号の信号量を減らすことができる。
【0125】
具体的には、映像分割装置1の映像送信部13は、サブフレームSFについて、ID5(サブフレームSFの画素数)とID6(サブ有効フレームSEFの画素数)とを比較する。映像送信部13は、ID5とID6とが同一でない場合、サブ有効フレームSEFがサブフレームSFと一致しないと判定し、ID5とID6とが同一である場合、サブ有効フレームSEFがサブフレームSFと一致すると判定する。
【0126】
そして、映像送信部13は、サブ有効フレームSEFがサブフレームSFと一致しないと判定した場合(サブ有効フレームSEFがサブフレームSFの一部であると判定した場合)、前述のとおり、ID1,・・・,ID7からなる識別情報Iを生成し、当該サブフレームSFとID1,・・・,ID7の識別情報Iとを多重して送信する。
【0127】
一方、映像送信部13は、サブ有効フレームSEFがサブフレームSFと一致すると判定した場合、ID1,・・・,ID5からなる識別情報Iを生成し、当該サブフレームSFとID1,・・・,ID5の識別情報Iとを多重して送信する。この場合、映像送信部13は、ID6,ID7を送信しない。
【0128】
ここで、映像送信部13は、サブ有効フレームSEFがサブフレームSFと一致すると判定した場合、ブランク(またはヌル)のID6,ID7を設定し、ID1,・・・,ID7からなる識別情報Iを生成し、当該サブフレームSFとID1,・・・,ID7の識別情報Iとを多重して送信するようにしてもよい。
【0129】
一方、映像合成装置2の映像受信部20は、映像分割装置1からサブフレームSF毎の映像信号を受信し、サブフレームSF-1,・・・,SF-N及びこれに対応する識別情報I-1,・・・,I-Nを分離する。そして、映像受信部20は、サブフレームSF毎に、識別情報IにID6,ID7が含まれているか否かを判定する。
【0130】
映像受信部20は、識別情報IにID6,ID7が含まれていると判定した場合、前述と同様に、ID6,ID7を抽出してサブ有効フレーム情報Bに設定する等の処理を行う。
【0131】
これに対し、映像受信部20は、識別情報IにID6,ID7が含まれていないと判定した場合、サブ有効フレームSEFが当該サブフレームSFと一致すると判定し、当該サブフレームSFについてのID6,ID7をサブ有効フレーム情報Bとして設定し、その後は前述と同様の処理を行う。この場合のサブ有効フレーム情報Bは、サブ有効フレームSEFが当該サブフレームSFと一致することを示す情報でもあり、ID6として、ID5と同じ当該サブフレームSFの画素数が設定され、ID7として、オフセットである水平方向及び垂直方向の画素数0が設定される。
【0132】
ここで、映像受信部20は、ID6,ID7にブランク(またはヌル)が設定されている場合、識別情報IにID6,ID7が含まれていないと判定し、前述と同様の処理を行う。
【0133】
また、前述の実施形態では、映像分割装置1と映像合成装置2との間のインターフェースをSDIとして説明したが、本発明はSDIに限定されるものではなく、他のインターフェースを用いるようにしてもよい。
【0134】
図3に示した映像分割装置1の映像送信部13は、サブフレームSF毎に、当該サブフレームSF及びこれに対応する識別情報Iを多重して多重信号を生成し、サブフレームSFである複数のサブフレームSF-1,・・・,SF-Nのそれぞれ(の多重信号)をSDIにおけるN個のリンクのそれぞれに割り付け、サブフレームSF毎の多重信号を映像信号として、SDIの各リンクを介して映像合成装置2へ送信するようにした。
【0135】
これに対し、映像送信部13は、例えばサブフレームSF毎に、多重信号をN個のリンクのそれぞれに割り付け、多重信号をIPパケットに格納し、複数のサブフレームSF-1,・・・,SF-Nに対応する複数のIPパケットを、各リンクを介して映像合成装置2へ送信するようにしてもよい。この場合、映像合成装置2の映像受信部20は、映像分割装置1から各リンクを介して複数のIPパケットを受信し、IPパケットから多重信号を抽出し、前述と同様の処理にて、サブフレームSF毎に、サブフレームSF及びこれに対応する識別情報Iを分離し、前述と同様の処理にて、分割情報Cを抽出(設定)すると共に、サブ有効フレーム情報Bを抽出(設定)する。
【0136】
尚、映像分割装置1は、多重信号を生成することなく、サブフレームSF及び識別情報Iをそれぞれ送信するようにしてもよい。具体的には、映像分割装置1の映像送信部13は、サブフレームSF毎の当該サブフレーム及びこれに対応する識別情報をN個のリンクのそれぞれに割り付け、当該サブフレーム及びこれに対応する識別情報を映像信号として、複数のサブフレームに対応する複数の映像信号をN個のリンクを介して映像合成装置2へ送信する。
【0137】
図5に示した映像合成装置2の映像受信部20は、複数のサブフレームに対応する複数の映像信号をN個のリンクを介して受信し、映像信号毎に(サブフレームSF毎に)、サブフレームSF及びこれに対応する識別情報Iを認識し、前述と同様の処理にて、分割情報Cを抽出(設定)すると共に、サブ有効フレーム情報Bを抽出(設定)する。
【0138】
尚、本発明の実施形態による映像分割装置1及び映像合成装置2のハードウェア構成としては、通常のコンピュータを使用することができる。映像分割装置1及び映像合成装置2のそれぞれは、CPU、RAM等の揮発性の記憶媒体、ROM等の不揮発性の記憶媒体、及びインターフェース等を備えたコンピュータによって構成される。
【0139】
映像分割装置1に備えたサブフレーム分割部10、有効フレーム指定部11、サブ有効フレーム指定部12及び映像送信部13の各機能は、これらの機能を記述したプログラムをCPUに実行させることによりそれぞれ実現される。
【0140】
また、映像合成装置2に備えた映像受信部20、サブ有効フレーム処理部21、有効フレーム処理部22及びサブフレーム合成部23の各機能も、これらの機能を記述したプログラムをCPUに実行させることによりそれぞれ実現される。
【0141】
これらのプログラムは、前記記憶媒体に格納されており、CPUに読み出されて実行される。また、これらのプログラムは、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD-ROM、DVD等)、半導体メモリ等の記憶媒体に格納して頒布することもでき、ネットワークを介して送受信することもできる。
【符号の説明】
【0142】
1 映像分割装置
2 映像合成装置
10 サブフレーム分割部
11 有効フレーム指定部
12 サブ有効フレーム指定部
13 映像送信部
20 映像受信部
21 サブ有効フレーム処理部
22 有効フレーム処理部
23 サブフレーム合成部
FF フルフレーム
EF 有効フレーム
SF サブフレーム
SEF サブ有効フレーム
A 有効フレーム情報
B サブ有効フレーム情報
C 分割情報
I 識別情報