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特開2023-180015搬送装置、画像形成装置、制御方法、及び、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180015
(43)【公開日】2023-12-20
(54)【発明の名称】搬送装置、画像形成装置、制御方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   B65H 9/12 20060101AFI20231213BHJP
   B65H 9/00 20060101ALI20231213BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
B65H9/12
B65H9/00 A
B65H9/00 J
G03G15/00 450
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093050
(22)【出願日】2022-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100186853
【弁理士】
【氏名又は名称】宗像 孝志
(72)【発明者】
【氏名】高橋 元春
【テーマコード(参考)】
2H072
3F102
【Fターム(参考)】
2H072AA09
2H072AA13
2H072AA24
2H072CA01
2H072HB07
2H072JA02
3F102AA01
3F102AB01
3F102AB05
3F102AB06
3F102AB07
3F102AB08
3F102AB09
3F102AB10
3F102BA02
3F102BB04
3F102BB08
3F102CA05
3F102CB02
3F102CB06
3F102EA03
3F102FA03
3F102FA08
(57)【要約】
【課題】シートの搬送開始を早くする。
【解決手段】搬送装置が、記録媒体を搬送方向へ搬送する第1搬送部と、前記記録媒体の姿勢を検出する姿勢検出部と、前記第1搬送部より下流に配置され、かつ、前記姿勢に応じて回転、又は、並行移動して前記第1搬送部が搬送する前記記録媒体を受け取る第2搬送部と、前記姿勢を補正するように、前記第2搬送部を回転、又は、移動させる制御を行う制御部と、前記制御部の制御特性を記憶する記憶部と、前記制御特性に基づき、前記第2搬送部の現在値が目標値に収束する前であって、オーバーシュート、又は、アンダーシュートしたタイミングで、前記記録媒体の搬送を行うタイミング調整部とを備える。
【選択図】図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を搬送方向へ搬送する第1搬送部と、
前記記録媒体の姿勢を検出する姿勢検出部と、
前記第1搬送部より下流に配置され、かつ、前記姿勢に応じて回転、又は、並行移動して前記第1搬送部が搬送する前記記録媒体を受け取る第2搬送部と、
前記姿勢を補正するように、前記第2搬送部を回転、又は、移動させる制御を行う制御部と、
前記制御部の制御特性を記憶する記憶部と、
前記制御特性に基づき、前記第2搬送部の現在値が目標値に収束する前であって、オーバーシュート、又は、アンダーシュートしたタイミングで、前記記録媒体の搬送を行うタイミング調整部と
を備える搬送装置。
【請求項2】
前記タイミング調整部は、
オーバーシュート、又は、アンダーシュートがピークになると、前記記録媒体の搬送を行う
請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記記憶部は、
前記制御特性を、シミュレーション、又は、実験で記憶する
請求項1又は2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記第1搬送部は、
前記姿勢検出部、及び、前記第2搬送部より上流に配置され、
前記姿勢検出部は、
前記第1搬送部、及び、前記第2搬送部の間で、前記記録媒体に生じる位置ズレ、及び、前記記録媒体に生じる傾きを含む前記姿勢を検出し、
前記第2搬送部は、前記位置ズレ、及び、前記傾きを補正する補正動作を行い、前記補正動作の後、前記タイミング調整部が調整したタイミングで前記記録媒体を搬送し、
前記タイミング調整部は、
前記補正動作において前記第2搬送部が回転、又は、移動を開始した後、かつ、前記第2搬送部の位置、又は、角度が前記目標値に収束する前のタイミングで前記記録媒体の搬送を行う
請求項1又は2に記載の搬送装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の搬送装置を有する画像形成装置。
【請求項6】
記録媒体を搬送方向へ搬送する第1搬送部と、
前記第1搬送部より下流に配置され、かつ、前記記録媒体の姿勢に応じて回転、又は、並行移動して前記第1搬送部が搬送する前記記録媒体を受け取る第2搬送部と
を備える搬送装置が行う制御方法であって、
前記姿勢を検出する姿勢検出手順と、
前記姿勢を補正するように、前記第2搬送部を回転、又は、移動させる制御を行う制御手順と、
前記制御手順における制御特性を記憶する記憶手順と、
前記制御特性に基づき、前記第2搬送部の現在値が目標値に収束する前であって、オーバーシュート、又は、アンダーシュートしたタイミングで、前記記録媒体の搬送を行うタイミング調整手順と
を含む制御方法。
【請求項7】
請求項6に記載の制御方法を搬送装置に実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置、画像形成装置、制御方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
シートを搬送する搬送装置を備える画像形成装置が知られている。このよう画像形成装置において、シートを搬送するのに、搬送中のシートが理想的な姿勢から傾斜して搬送されてしまう「斜行」、又は、理想的な搬送位置から外れて搬送されてしまう「ズレ」等が生じることがある。そして、「斜行」及び「ズレ」を補正しないで画像形成を実行すると、画像の位置が理想的な位置からずれてしまい、画像の質が低下することになる。したがって、画像形成装置に備える搬送装置は、シートの斜行及びズレを適宜補正する。このような補正を行う技術が知られている。
【0003】
具体的には、搬送装置がシートの位置検出を2回行う。そして、搬送装置は、2回の検出結果に基づき、シートの位置を補正する。このようにして、精度良くシートの位置を補正する技術が知られている(例えば、特許文献1等である)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術を適用した場合、搬送装置は、シートを搬送して生じた斜行、又は、ズレを補正する動作を行うことで、シートの姿勢が補正されるまで(すなわち、斜行等が解消されるまでである。)シートの搬送が停止する。すなわち、補正によるシートの動作が収束するまでの時間は搬送を待つことになるので、画像形成部に向けたシートの搬送開始が遅くなる、という課題がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、シートの搬送開始を早くさせることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、搬送装置は、
記録媒体を搬送方向へ搬送する第1搬送部と、
前記記録媒体の姿勢を検出する姿勢検出部と、
前記第1搬送部より下流に配置され、かつ、前記姿勢に応じて回転、又は、並行移動して前記第1搬送部が搬送する前記記録媒体を受け取る第2搬送部と、
前記姿勢を補正するように、前記第2搬送部を回転、又は、移動させる制御を行う制御部と、
前記制御部の制御特性を記憶する記憶部と、
前記制御特性に基づき、前記第2搬送部の現在値が目標値に収束する前であって、オーバーシュート、又は、アンダーシュートしたタイミングで、前記記録媒体の搬送を行うタイミング調整部と
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、シートの搬送開始を早くできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】画像形成装置の例を示す図である。
図2】搬送装置の例を示す図である。
図3】直線搬送経路上におけるCIS等の配置例を示す図である。
図4】ハードウェア構成例を示す図である。
図5】搬送における第1状態を示す図である。
図6】搬送における第2状態を示す図である。
図7】搬送における第3状態を示す図である。
図8】搬送における第4状態を示す図である。
図9】搬送における第5状態を示す図である。
図10】搬送における第6状態を示す図である。
図11】制御特性の例を説明する図である。
図12】比較例を示す図である。
図13】全体処理例を示す図である。
図14】機能構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付する図面を参照し、具体例を説明する。なお、実施形態は、以下に説明する具体例に限られない。
【0010】
[画像形成装置、及び、搬送装置の構成例]
図1は、画像形成装置の例を示す図である。以下、図1に示す画像形成装置1を例に説明する。画像形成装置1は、複写機である。
【0011】
画像形成装置1は、原稿読込装置2、露光装置3、作像装置4、感光体ドラム5、転写装置7、原稿搬送装置10、第1給紙装置12、第2給紙装置13、第3給紙装置14、定着装置20、搬送装置30、及び、挟持ローラ31を備える。
【0012】
原稿読込装置2は、原稿Dに形成される画像を光学的に読み込む。
【0013】
露光装置3は、露光光Lを感光体ドラム5上に発する。
【0014】
作像装置4は、感光体ドラム5上にトナー像を形成する。
【0015】
転写装置7は、感光体ドラム5上に形成されたトナー像をシートPに転写する。
【0016】
原稿搬送装置10は、原稿Dを原稿読込装置2に搬送する。
【0017】
第1給紙装置12、第2給紙装置13、及び、第3給紙装置14は、シートPを収納する。
【0018】
定着装置20は、シートPに形成する画像を定着させる。具体的には、定着装置20は、定着ローラ21、及び、加圧ローラ22を有する構成である。
【0019】
搬送装置30は、搬送ローラ、及び、モータ等のアクチュエータを用いてシートPを搬送する。
【0020】
挟持ローラ31は、シートPを挟持して、転写装置7へシートPを搬送する。また、挟持ローラ31は、シートPのズレ、及び、傾き等を補正する。
【0021】
原稿Dは、原稿搬送装置10によって、原稿台から原稿読込装置2へ搬送される。そして、原稿Dは、原稿読込装置2上を通過する。
【0022】
また、原稿読込装置2は、上方を通過する原稿Dの画像を光学的に読み取る。次に、原稿読込装置2に読み取るによって生成される画像情報は、露光装置3に送信される。
【0023】
続いて、露光装置3は、画像情報に基づいて、露光光Lを感光体ドラム5に向けて発する。
【0024】
作像プロセス(いわゆる帯電工程、露光工程、及び、現像工程である。)を経ると、感光体ドラム5上には、画像情報に対応したトナー像が形成される。その後、トナー像は、転写装置7によりシートP上に転写される。
【0025】
図2は、搬送装置の例を示す図である。搬送装置30は、シートPを以下のように搬送する。
【0026】
第1給紙装置12、第2給紙装置13、及び、第3給紙装置14のうち、搬送装置30は、1つの給紙装置を選択する。以下、第1給紙装置12を選択した例で説明する。
【0027】
第1給紙装置12から1枚のシートPが給紙ローラ41によって選ばれる。次に、第1搬送ローラ対42、第2搬送ローラ対43は、シートPを搬送する。その後、シートPは、合流地点Xを通過して、第3搬送ローラ対44に搬送される。次に、シートPは、整合装置51に搬送される。
【0028】
整合装置51は、挟持ローラ31を備える装置である。挟持ローラ31は、シートPに対して、傾き補正、及び、位置ズレ補正を行う。また、挟持ローラ31は、感光体ドラム5上に形成するトナー画像との位置合わせのタイミングに応じて、転写装置7にシートPを搬送する。具体的には、挟持ローラ31は、上部ローラ31a、及び、下部ローラ31bの組み合わせである。
【0029】
転写工程後、シートPは、定着装置20に搬送される。シートPが定着装置20に到着すると、定着ローラ21と加圧ローラ22が、シートPを挟む。そのため、定着ローラ21と加圧ローラ22による圧力、及び、定着ローラ21による加熱によって、シートPに画像が定着する。定着後、シートPは、画像形成装置1から排出される。
【0030】
搬送装置30は、第1搬送ローラ対42、第2搬送ローラ対43、及び、第3搬送ローラ対44を用いてシートPを搬送する。具体的には、各々のローラ対は、駆動ローラと従動ローラの組み合わせである。駆動ローラは、アクチュエータによる駆動で回転するローラである。従動ローラは、駆動ローラの回転に従動して回転するローラである。
【0031】
各々のローラ対は、シートPを2つのローラで挟持して搬送する。
【0032】
転写装置7は、転写バイアスが印加された状態で感光体ドラム5と当接する。そして、転写装置7は、感光体ドラム5とシートPを挟持して搬送する。さらに、転写装置7は、感光体ドラム5に形成される画像をシートPに転写する。
【0033】
第1給紙装置12から給紙する場合の搬送経路、第2給紙装置13から給紙する場合の搬送経路、及び、第3給紙装置14から給紙する場合の搬送経路は、合流地点Xで合流する。次に、合流地点Xから転写装置7までの搬送経路として、略直線状の搬送経路を「直線搬送経路103」とする。以下、直線搬送経路103において、搬送方向11にシートPが搬送されるとする。具体的には、シートPは、先端部Pbを先頭にして、上流から下流へ搬送される。
【0034】
図3は、直線搬送経路上におけるCIS等の配置例を示す図である。図3(a)は、平面図である。図3(b)は、側面図である。
【0035】
直線搬送経路103は、シートPの表裏面を挟むように配置する直線搬送ガイド板で形成する。
【0036】
以下、CIS(Contact Image Sensor)が読取装置の例で説明する。ただし、読取装置は、CISに限られず、他の種類のセンサでもよい。
【0037】
CISは、LED(Light Emitting Diode、発光ダイオード)等を光源とし、リニアセンサで画像を読み取る装置である。
【0038】
例えば、CISは、シートPの幅方向における一端である側面端部Pa等を検出する。
【0039】
直線搬送経路103上に、第3搬送ローラ対44、挟持ローラ31、第1CIS100、第2CIS101、及び、第3CIS102を配置する例とする。
【0040】
第1CIS100、第2CIS101、及び、第3CIS102は、シートPの幅方向に対して平行、すなわち、搬送方向11に対して直交する方向に配置する。また、第1CIS100、第2CIS101、及び、第3CIS102は、各々の位置関係、及び、挟持ローラ31に対して位置関係が事前に定まる。
【0041】
挟持ローラ31は、幅方向の位置ズレα、及び、搬送方向11に対する傾きβ等を補正する。そのため、挟持ローラ31は、軸104aを中心に、回転Wの自由度(DOF、degree of freedom)を有する。さらに、挟持ローラ31は、幅方向へ並行移動Sの自由度を有する。なお、自由度は、他の方向への移動、又は、他の軸を中心とする回転を行う自由度が更にあってもよい。
【0042】
[ハードウェア構成例]
図4は、ハードウェア構成例を示す図である。搬送装置30は、第1メモリ211、第1センサ212、第1A/D変換器213、第1コントローラ214、第1モータドライバ215、及び、第1カムモータ216を備える。さらに、搬送装置30は、第2メモリ221、第2センサ222、第2A/D変換器223、第2コントローラ224、第2モータドライバ225、及び、第2カムモータ226を備える。
【0043】
第1メモリ211、及び、第2メモリ221は、記憶装置の例である。
【0044】
第1センサ212、及び、第2センサ222は、シートPの姿勢を検出するセンサの例である。
【0045】
第1A/D変換器213、及び、第2A/D変換器223は、A/D変換(Analog/Digital Conversion)を行う。
【0046】
第1コントローラ214、及び、第2コントローラ224は、制御装置、及び、演算装置の例である。
【0047】
第1モータドライバ215、及び、第2モータドライバ225は、制御装置の例である。
【0048】
第1カムモータ216、及び、第2カムモータ226は、アクチュエータの例である。
【0049】
なお、上記に説明したハードウェア構成は、2自由度用の例である。したがって、ハードウェア構成は、自由度の数に応じて、上記以外の装置を更に備える構成でもよい。
【0050】
なお、ハードウェア構成は、上記の構成に限られない。例えば、ハードウェア構成は、演算装置、記憶装置、制御装置、入力装置、出力装置、及び、補助装置が更にある構成でもよい。
【0051】
[搬送例]
例えば、以下に示すような構成、及び、制御を行う場合の例で説明する。
【0052】
図5は、搬送における第1状態を示す図である。
【0053】
図6は、搬送における第2状態を示す図である。
【0054】
図7は、搬送における第3状態を示す図である。
【0055】
図8は、搬送における第4状態を示す図である。
【0056】
図9は、搬送における第5状態を示す図である。
【0057】
図10は、搬送における第6状態を示す図である。
【0058】
以下、搬送装置30が図5乃至図10に示す第1状態乃至第6状態の順でシートPを搬送する例で説明する。
【0059】
図5乃至図10に示すように、搬送方向11において上流から下流に向かって、第1ローラ301、第2ローラ302、及び、第3ローラ303の順でローラが配置されるとする。
【0060】
具体的には、第1ローラ301は、第2ローラ302より上流に位置し、最も上流に配置されるローラである。
【0061】
また、第2ローラ302は、第1ローラ301より下流、かつ、第3ローラ303より上流に位置する。
【0062】
さらに、第3ローラ303は、第2ローラ302より下流に位置し、最も下流に配置されるローラである。
【0063】
さらに、第11CIS311、第12CIS312、及び、第13CIS313の3つのセンサを配置する例とする。具体的には、第11CIS311は、第1ローラ301より上流に配置するCISである。また、第12CIS312は、第1ローラ301と第2ローラ302の間に配置するCISである。さらに、第13CIS313は、第2ローラ302と第3ローラ303の間に配置するCISである。
【0064】
なお、ローラ、及び、CISの配置、及び、数は、上記以外であってもよい。したがって、上記に示す以外の位置に更にローラ、又は、CISがある構成でもよい。
【0065】
以下、第1カムモータ216、及び、第2カムモータ226を制御すると、第2ローラ302が、回転W、及び、並行移動Sができる構成を例に説明する。
【0066】
次に、図6に示すように、シートPが、位置ズレα、及び、傾きβの発生している姿勢であるとする。このような姿勢、すなわち、位置ズレα、及び、傾きβは、第11CIS311、及び、第12CIS312による各々の検出結果に基づき検出される。
【0067】
ゆえに、第11CIS311、及び、第12CIS312による検出結果により、シートPがどのような姿勢であるかが特定される。
【0068】
例えば、何らかの外力等が加わると、シートPには、位置ズレα、及び、傾きβが生じる。したがって、図6では、シートPは、位置ズレα、及び、傾きβが生じた姿勢で、第1ローラ301によって、搬送方向11に搬送される。
【0069】
そして、第2ローラ302は、例えば、図6に示すような姿勢のシートPを以下のように回転W、及び、並行移動Sして受け取る。
【0070】
図7は、図6と比較すると、第2ローラ302が回転W、及び、並行移動Sした後の状態である点が異なる。以下、図7のように、シートPの姿勢に応じて、第2ローラ302を回転W、及び、並行移動Sさせる補正動作を例に説明する。
【0071】
補正動作は、上流から搬送されるシートPを受け取る際に、シートPの姿勢に応じて、位置ズレα、及び、傾きβを補正する動作である。
【0072】
図7が示すように、第2ローラ302は、位置ズレα、及び、傾きβが生じた姿勢のシートPに対し、正対する位置、及び、角度となる。補正動作は、いわゆる「迎え動作」である。具体的には、第2ローラ302は、傾きβに応じて、左回転W1するように制御される。さらに、第2ローラ302は、位置ズレαに応じて、下移動S1するように制御される。以下、左回転W1、及び、下移動S1を行う前の位置を「基準位置」という。基準位置は事前に設定する。
【0073】
次に、第2ローラ302が図7に示す状態下で、シートPを第1ローラ301から第2ローラ302に搬送して、第2ローラ302は、シートPを受け取る。受け取り後、第2ローラ302は、以下のように動作する。
【0074】
図8は、図7と比較すると、第1ローラ301が離間して、シートPを把持していない状態である。さらに、図8は、第2ローラ302が右回転W2、及び、上移動S2した後であり、基準位置に戻っている状態を示す。
【0075】
図8に示すように、第2ローラ302は、シートPを把持した状態で、右回転W2、及び、上移動S2するように制御される。
【0076】
シートPは、第2ローラ302に把持され、かつ、第1ローラ301には把持されていないため、第2ローラ302の回転、及び、並行移動によって、姿勢が変化する。
【0077】
第2ローラ302は、右回転W2、及び、上移動S2によって基準位置となるように制御される。このような第2ローラ302の動きに合わせて、シートPの姿勢が補正されるため、シートPは、位置ズレα、及び、傾きβが少なくなる。
【0078】
以上のような補正動作を行うと、搬送装置30は、シートPの姿勢を補正できる。
【0079】
次に、図9が示すように、第2ローラ302は、シートPの姿勢に応じて、再度、補正を行う。まず、第12CIS312、及び、第13CIS313によって、シートPの姿勢が検出される。そして、第2ローラ302は、第12CIS312、及び、第13CIS313による姿勢の検出結果に応じて、回転W、及び、並行移動Sを行う。再度の補正が行われた後、第2ローラ302は、シートPを下流へ搬送する。
【0080】
図10が示すように、第2ローラ302からシートPの搬送が開始されると、シートPは、第3ローラ303によって把持される。
【0081】
なお、補正動作は、回転W、及び、並行移動S以外の自由度でもよい。すなわち、補正動作は、上記以外の回転、又は、並行移動を行ってもよい。例えば、補正動作は、1自由度、又は、3自由度以上でもよい。ただし、補正動作は、回転W、及び、並行移動Sの組み合わせであると、位置ズレα、及び、傾きβが精度良く補正できる。
【0082】
以上のような補正動作では、第2ローラ302は、図7に示すような下移動S1を行う。以下、下移動S1の制御を例に説明する。
【0083】
図11は、制御特性の例を説明する図である。横軸が時間を示し、縦軸が位置を示す。そして、時間が「0」の時点では、第2ローラ302は、基準位置に位置する。
【0084】
目標値401は、下移動S1で移動させるシフト量である。したがって、目標値401は、位置ズレαの検出結果によって定まる値である。
【0085】
例えば、図11に示すように、目標値401は、位置ズレαの検出結果に基づき、「180パルス」等と設定する。目標値401が定まると、例えば、目標軌道402が定まる。
【0086】
目標軌道402となるように制御しても、実際には、現在値403は、目標軌道402とは異なる軌道となる。
【0087】
図11に示すように、現在値403は、オーバーシュート404が生じる制御特性である。具体的には、図11に示す制御特性では、オーバーシュート404のピーク405で位置が「200パルス」程度になる。すなわち、オーバーシュート404では、オーバーシュート量が、ピーク405において、最大で「20」程度となる。また、図11に示す制御特性では、オーバーシュート404のピーク405は、「0.04秒」のタイミングである。オーバーシュート404は、ゲイン等の条件によって生じる。
【0088】
図11に示すような制御特性は、事前にシミュレーション、又は、実機による実験で取得できる。したがって、制御特性は、事前にシミュレーション、又は、実機による実験を行うとき記憶でき、以降、搬送装置30は、制御特性を把握する。
【0089】
制御特性は、時系列のデータである。具体的には、制御特性は、初期位置(図における「0」である。)から、目標値401まで動作させるための位置と時間の関係を示すデータである。
【0090】
制御特性は、アクチュエータの特性、機構の剛性、及び、ゲイン(Gain)等の条件が同じであれば、再現性が高い。したがって、同じ条件のシミュレーション結果、又は、実験結果があると、搬送装置30は、オーバーシュート404のピーク405のタイミング等が精度良く特定できる。したがって、搬送装置30は、条件ごとに制御特性を記憶する。
【0091】
搬送装置30は、ピーク405のタイミングで、シートPを搬送するのが望ましい。このように、ピーク405のタイミングでシートPをグリップ(grip)させると、オーバーシュート404が収束するよりも前のタイミングでシートPの搬送ができる。ゆえに、搬送装置30は、オーバーシュート404の収束を待つ場合よりも早いタイミングで搬送を開始できる。
【0092】
また、ピーク405のタイミングでは、並行移動Sの速度が「0」に近くなる。そのため、ピーク405のタイミングでシートPを搬送すると、安定してシートPを搬送できる。
【0093】
[比較例]
図12は、比較例を示す図である。図12は、図11と同じ条件の制御特性である。
【0094】
比較例は、オーバーシュート404の収束を待って、搬送を行う。そのため、搬送装置30は、並行移動Sの移動開始(図における「0」のタイミングである。)から、「0.12秒」まで待つことになる。
【0095】
[全体処理例]
図13は、全体処理例を示す図である。
【0096】
ステップS1301では、搬送装置30は、制御特性を記憶する。なお、ステップS1301は、ステップS1302以降の処理より前に実行されていればよい。したがって、ステップS1301、及び、ステップS1302は連続して実行されなくともよい。
【0097】
ステップS1302では、搬送装置30は、シートPの姿勢を検出する。
【0098】
ステップS1303では、搬送装置30は、検出結果に基づき、補正量を算出する。
【0099】
ステップS1304では、搬送装置30は、補正動作を行う。
【0100】
ステップS1305では、搬送装置30は、オーバーシュート、又は、アンダーシュートのピークに達したか否かを判断する。
【0101】
次に、ピークのタイミングになると(ステップS1305でYES)、搬送装置30は、ステップS1306に進む。一方で、ピークのタイミングになると(ステップS1305でNO)、搬送装置30は、ステップS1304の補正動作を続行する。
【0102】
ステップS1306では、搬送装置30は、搬送を行う。
【0103】
[機能構成例]
図14は、機能構成例を示す図である。具体的には、搬送装置30は、第1搬送部30F1、姿勢検出部30F2、第2搬送部30F3、制御部30F4、記憶部30F5、及び、タイミング調整部30F6を備える。
【0104】
第1搬送部30F1は、シートPを搬送方向11に搬送する第1搬送手順を行う。例えば、第1搬送部30F1は、第1ローラ301等で実現する。
【0105】
姿勢検出部30F2は、シートPの姿勢を検出する姿勢検出手順を行う。例えば、姿勢検出部30F2は、第12CIS312等で実現する。
【0106】
第2搬送部30F3は、姿勢に応じて回転、又は、並行移動して、第1搬送部30F1が搬送するシートPを受け取る第2搬送手順を行う。例えば、第2搬送部30F3は、第2ローラ302等で実現する。
【0107】
制御部30F4は、姿勢を補正するように、第2搬送部30F3を回転、又は、移動させる制御を行う制御手順を行う。例えば、制御部30F4は、第2コントローラ224等で実現する。
【0108】
記憶部30F5は、制御部30F4の制御特性を記憶する記憶手順を行う。例えば、記憶部30F5は、第1メモリ211等で実現する。
【0109】
タイミング調整部30F6は、制御特性に基づき、第2搬送部30F3の現在値が目標値に収束する前であって、オーバーシュート、又は、アンダーシュートしたタイミングで、シートPの搬送を行うタイミング調整手順を行う。例えば、第1コントローラ214等で実現する。
【0110】
以上のような構成であると、搬送装置30は、補正動作において、現在値が収束するのを待たずに、シートPの搬送開始を早くできる。
【0111】
待ち時間を短くするために、収束する時間を短くしようとすると、強力なモータ、又は、剛性の高い機構等を採用するため、コストが高くなりやすい。又は、補正動作等の時間を確保するために、再補正等の処理を短い時間内で行う必要がある。一方で、上記のような構成であれば、コストをかけずにシートPの搬送開始を早くできる。
【0112】
具体的には、シートPを「B2サイズ(JIS)」、かつ、搬送速度を「1500mm/s」とした条件では、収束する時間を短くしようとすると、30W程度のモータが望ましい。一方で、上記のような構成であれば、20W程度の低出力なモータでもよい。
【0113】
なお、上記の構成は、他の装置に適用されてもよい。すなわち、補正動作のような機構を回転、又は、並行移動させる制御の収束を待つ構成であれば、上記の構成は、ハードウェア、及び、機構の種類を問わない。
【0114】
上記の例では、オーバーシュートの場合を例に説明したが、アンダーシュートの場合を対象としてもよい。また、上記の例では、主に並行移動を例に説明したが、回転、又は、他の自由度を対象としてもよい。
【0115】
[その他の実施形態]
記録媒体は、例えば、用紙(「普通紙」等ともいう。)である。ただし、記録媒体は、用紙以外のコート紙、ラベル紙等の他、オーバヘッドプロジェクタシート、フィルム、又は、可撓性を持つ薄板等でもよい。すなわち、記録媒体の素材は、インク滴が付着可能、一時的に付着可能、付着して固着、又は、付着して浸透する材質等であればよい。具体的には、記録媒体は、用紙、フィルム、若しくは、布等の被記録媒体、電子基板、圧電素子(「圧電部材」等ともいう。)等の電子部品、粉体層(「粉末層」等ともいう。)、臓器モデル、又は、検査用セル等である。このように、記録媒体の材質は、液体が付着可能であって、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス、又は、これらの組み合わせ等であればよい。
【0116】
上記の制御方法は、例えば、搬送装置30等のコンピュータに処理を実行させて実現させる。なお、本発明に係る制御方法は、上記に示す以外の処理が含まれてもよい。また、制御方法は、一部の処理を外部装置による処理又は操作等で実行される方法を含む。
【0117】
上記の制御方法は、上記に例示する処理、又は、上記に示す処理と等価な処理を実行するプログラム(ファームウェア、及び、プログラムに準ずるものを含む。以下単に「プログラム」という。)で実現されてもよい。
【0118】
すなわち、上記の制御方法は、コンピュータに対して指令を行って所定の結果が得られるように、プログラミング言語等で記載されたプログラム等で実現されてもよい。なお、プログラムは、処理の一部をIC(集積回路、Integrated Circuit)等のハードウェア等で実行する構成であってもよい。
【0119】
プログラムは、コンピュータが有する演算装置、制御装置、及び、記憶装置等を協働させて上記に示す処理等をコンピュータに実行させる。すなわち、プログラムは、主記憶装置等にロードされて、演算装置に命令を発して演算を行わせてコンピュータを動作させる。
【0120】
また、プログラムは、コンピュータが読み込み可能な記録媒体、又は、ネットワーク等の電気通信回線を介して提供されてもよい。
【0121】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
【0122】
<1>記録媒体を搬送方向へ搬送する第1搬送部と、
前記記録媒体の姿勢を検出する姿勢検出部と、
前記第1搬送部より下流に配置され、かつ、前記姿勢に応じて回転、又は、並行移動して前記第1搬送部が搬送する前記記録媒体を受け取る第2搬送部と、
前記姿勢を補正するように、前記第2搬送部を回転、又は、移動させる制御を行う制御部と、
前記制御部の制御特性を記憶する記憶部と、
前記制御特性に基づき、前記第2搬送部の現在値が目標値に収束する前であって、オーバーシュート、又は、アンダーシュートしたタイミングで、前記記録媒体の搬送を行うタイミング調整部と
を備える搬送装置である。
【0123】
<2>前記タイミング調整部は、
オーバーシュート、又は、アンダーシュートがピークになると、前記記録媒体の搬送を行う
上記<1>に記載の搬送装置である。
【0124】
<3>前記記憶部は、
前記制御特性を、シミュレーション、又は、実験で記憶する
上記<1>又は<2>に記載の搬送装置である。
【0125】
<4>前記第1搬送部は、
前記姿勢検出部、及び、前記第2搬送部より上流に配置され、
前記姿勢検出部は、
前記第1搬送部、及び、前記第2搬送部の間で、前記記録媒体に生じる位置ズレ、及び、前記記録媒体に生じる傾きを検出し、
前記第2搬送部は、前記位置ズレ、及び、前記傾きを補正する補正動作を行い、前記補正動作の後、前記タイミング調整部が調整したタイミングで前記記録媒体を搬送し、
前記タイミング調整部は、
前記補正動作において前記第2搬送部が回転、又は、移動を開始した後、かつ、前記第2搬送部の位置、又は、角度が前記目標値に収束する前のタイミングで前記記録媒体の搬送を行う
上記<1>乃至<3>のいずれか1つに記載の搬送装置である。
【0126】
<5>上記<1>乃至<4>のいずれか1つに記載の搬送装置を有する画像形成装置である。
【0127】
<6>記録媒体を搬送方向へ搬送する第1搬送部と、
前記第1搬送部より下流に配置され、かつ、前記記録媒体の姿勢に応じて回転、又は、並行移動して前記第1搬送部が搬送する前記記録媒体を受け取る第2搬送部と
を備える搬送装置が行う制御方法であって、
前記姿勢を検出する姿勢検出手順と、
前記姿勢を補正するように、前記第2搬送部を回転、又は、移動させる制御を行う制御手順と、
前記制御手順における制御特性を記憶する記憶手順と、
前記制御特性に基づき、前記第2搬送部の現在値が目標値に収束する前であって、オーバーシュート、又は、アンダーシュートしたタイミングで、前記記録媒体の搬送を行うタイミング調整手順と
を含む制御方法である。
【0128】
<7>上記<6>に記載の制御方法を搬送装置に実行させるためのプログラムである。
【0129】
なお、本発明は、上記に例示する各実施形態に限定されない。したがって、本発明は、技術的な要旨を逸脱しない範囲で、構成要素の追加、又は、変形が可能である。ゆえに、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項のすべてが本発明の対象となる。なお、上記に例示する実施形態は、実施において好適な具体例である。そして、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現で可能であって、このような変形例は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0130】
1 :画像形成装置
11 :搬送方向
30 :搬送装置
30F1 :第1搬送部
30F2 :姿勢検出部
30F3 :第2搬送部
30F4 :制御部
30F5 :記憶部
30F6 :タイミング調整部
100 :第1CIS
101 :第2CIS
102 :第3CIS
301 :第1ローラ
302 :第2ローラ
303 :第3ローラ
311 :第11CIS
312 :第12CIS
313 :第13CIS
401 :目標値
402 :目標軌道
404 :オーバーシュート
405 :ピーク
P :シート
S :並行移動
S1 :下移動
S2 :上移動
W :回転
W1 :左回転
W2 :右回転
α :位置ズレ
β :傾き
【先行技術文献】
【特許文献】
【0131】
【特許文献1】特許第6604539号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14