(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180098
(43)【公開日】2023-12-20
(54)【発明の名称】軸受
(51)【国際特許分類】
F16C 25/04 20060101AFI20231213BHJP
F16C 27/02 20060101ALI20231213BHJP
F16C 17/02 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
F16C25/04 A
F16C27/02 A
F16C17/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093221
(22)【出願日】2022-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100163061
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】橋元 洋人
(72)【発明者】
【氏名】笠谷 哲司
(72)【発明者】
【氏名】本田 修一郎
【テーマコード(参考)】
3J011
3J012
【Fターム(参考)】
3J011AA03
3J011AA08
3J011BA02
3J011BA13
3J011CA04
3J011KA02
3J011MA12
3J011PA02
3J012AB04
3J012AB06
3J012BB01
3J012CB04
3J012DB13
3J012EB06
3J012EB07
3J012FB01
3J012HB02
(57)【要約】
【課題】摺動部材とハウジングとの間の熱膨張量の差に起因して軸受に不具合が生じることを抑制することができる技術を提供する。
【解決手段】軸受10は、軸Axを軸支するための軸受であって、軸受が軸を軸支した場合に当該軸に摺動するように構成された、円筒状の摺動部材20と、摺動部材を内部に収容するハウジング30と、摺動部材がハウジングから外れないように摺動部材及びハウジングに付勢力を付与するように構成された少なくとも1つの弾性部材40と、を備え、少なくとも1つの弾性部材は、軸受の温度が上昇して摺動部材及びハウジングが熱膨張した場合に、摺動部材及びハウジングの熱膨張量の差に応じて変形するように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸を軸支するための軸受であって、
前記軸受が前記軸を軸支した場合に当該軸に摺動するように構成された、円筒状の摺動部材と、
前記摺動部材を内部に収容するハウジングと、
前記摺動部材が前記ハウジングから外れないように前記摺動部材及び前記ハウジングに付勢力を付与するように構成された少なくとも1つの弾性部材と、を備え、
少なくとも1つの前記弾性部材は、前記軸受の温度が上昇して前記摺動部材及び前記ハウジングが熱膨張した場合に、前記摺動部材及び前記ハウジングの熱膨張量の差に応じて変形するように構成されている、軸受。
【請求項2】
少なくとも1つの前記弾性部材は、複数の弾性部材を含み、
複数の前記弾性部材は、前記摺動部材の外周面と当該外周面に対向する前記ハウジングの内周面との間に配置されるとともに、前記摺動部材の周方向に配列されている、請求項1に記載の軸受。
【請求項3】
各々の前記弾性部材は、平板部を有する板バネを備える、請求項2に記載の軸受。
【請求項4】
前記摺動部材は、前記摺動部材の周方向に、複数の収容片に分割され、
少なくとも1つの前記弾性部材は、複数の弾性部材を含み、
各々の前記弾性部材は、互いに隣接する前記収容片のうち一方の前記収容片と他方の前記収容片との間に配置されている、請求項1に記載の軸受。
【請求項5】
前記ハウジングは、前記摺動部材を内部に収容する円筒状の収容部材と、前記収容部材の径方向で外側に、前記収容部材との間に空間を有するように配置されたリング部材と、を有し、
前記収容部材は、前記収容部材の周方向に、複数の収容片に分割され、
互いに隣接する前記収容片のうち一方の前記収容片と他方の前記収容片との間には、スリットが設けられ、
少なくとも1つの前記弾性部材は、複数の弾性部材を含み、
各々の前記弾性部材は、前記収容部材と前記リング部材との間の前記空間に配置されて、各々の前記収容片と前記リング部材とを接続している、請求項1に記載の軸受。
【請求項6】
各々の前記弾性部材は、前記リング部材の内周面に接続された第1端部と、前記リング部材の内周面に接続された第2端部と、を有し、
各々の前記弾性部材における前記第1端部と前記第2端部との間の部分は、前記収容部材の中心に向かって屈曲し、且つ、前記収容片に接続されている、請求項5に記載の軸受。
【請求項7】
複数の前記収容片は、前記収容部材の軸線を含む第1仮想平面の第1の側に配置された第1収容片と、前記第1仮想平面の第2の側に配置された第2収容片と、を含み、
複数の前記弾性部材は、第1弾性部材、第2弾性部材、第3弾性部材、及び、第4弾性部材を含み、
前記第1弾性部材は、前記第1収容片と、前記リング部材における、前記第1仮想平面に垂直な第2仮想平面の第1の側にある箇所であって前記第1仮想平面の第2の側にある箇所と、を接続し、
前記第2弾性部材は、前記第1収容片と、前記リング部材における前記第2仮想平面の第2の側にある箇所であって前記第1仮想平面の第2の側にある箇所と、を接続し、
前記第3弾性部材は、前記第2収容片と、前記リング部材における前記第2仮想平面の
第1の側にある箇所であって前記第1仮想平面の第1の側にある箇所と、を接続し、
前記第4弾性部材は、前記第2収容片と、前記リング部材における前記第2仮想平面の第2の側にある箇所であって前記第1仮想平面の第1の側にある箇所と、を接続している、請求項5に記載の軸受。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、軸を軸支するための軸受が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような軸受は、軸を軸支した場合に当該軸に摺動するように構成された円筒状の摺動部材と、この摺動部材を内部に収容するハウジングと、を備えている。具体的には、特許文献1に記載されたハウジングは、円筒状の裏金を備えており、この裏金が摺動部材の外周面を保持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような従来の軸受の場合、軸受の温度が上昇して摺動部材が熱膨張した場合に、この摺動部材の熱膨張量に応じてハウジングが熱膨張できる構成になっていない。このため、軸受の温度が上昇した場合に、摺動部材とハウジングとの間の熱膨張量の差に起因して、例えば摺動部材とハウジングとの間に大きな隙間が生じるおそれがある。この場合、例えば摺動部材がハウジングから外れるといった不具合が生じるおそれがある。
【0005】
本発明は、上記のことを鑑みてなされたものであり、摺動部材とハウジングとの間の熱膨張量の差に起因して軸受に不具合が生じることを抑制することができる技術を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(態様1)
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る軸受は、軸を軸支するための軸受であって、前記軸受が前記軸を軸支した場合に当該軸に摺動するように構成された、円筒状の摺動部材と、前記摺動部材を内部に収容するハウジングと、前記摺動部材が前記ハウジングから外れないように前記摺動部材及び前記ハウジングに付勢力を付与するように構成された少なくとも1つの弾性部材と、を備え、少なくとも1つの前記弾性部材は、前記軸受の温度が上昇して前記摺動部材及び前記ハウジングが熱膨張した場合に、前記摺動部材及び前記ハウジングの熱膨張量の差に応じて変形するように構成されている。
【0007】
この態様によれば、軸受の温度が上昇して摺動部材とハウジングとの間の熱膨張量に差が生じた場合であっても、この熱膨張量の差に応じて変形する弾性部材の付勢力によって、摺動部材がハウジングから外れないようにすることができる。これにより、摺動部材とハウジングとの間の熱膨張量の差に起因して軸受に不具合が生じることを抑制することができる。
【0008】
(態様2)
上記の態様1において、少なくとも1つの前記弾性部材は、複数の弾性部材を含み、複数の前記弾性部材は、前記摺動部材の外周面と当該外周面に対向する前記ハウジングの内周面との間に配置されるとともに、前記摺動部材の周方向に配列されていてもよい。
【0009】
(態様3)
上記の態様2において、各々の前記弾性部材は、平板部を有する板バネを備えていてもよい。
【0010】
(態様4)
上記の態様1において、前記摺動部材は、前記摺動部材の周方向に、複数の収容片に分割され、少なくとも1つの前記弾性部材は、複数の弾性部材を含み、各々の前記弾性部材は、互いに隣接する前記収容片のうち一方の前記収容片と他方の前記収容片との間に配置されていてもよい。
【0011】
(態様5)
上記の態様1において、前記ハウジングは、前記摺動部材を内部に収容する円筒状の収容部材と、前記収容部材の径方向で外側に、前記収容部材との間に空間を有するように配置されたリング部材と、を有し、前記収容部材は、前記収容部材の周方向に、複数の収容片に分割され、互いに隣接する前記収容片のうち一方の前記収容片と他方の前記収容片との間には、スリットが設けられ、少なくとも1つの前記弾性部材は、複数の弾性部材を含み、各々の前記弾性部材は、前記収容部材と前記リング部材との間の前記空間に配置されて、各々の前記収容片と前記リング部材とを接続していてもよい。
【0012】
(態様6)
上記の態様5において、各々の前記弾性部材は、前記リング部材の内周面に接続された第1端部と、前記リング部材の内周面に接続された第2端部と、を有し、各々の前記弾性部材における前記第1端部と前記第2端部との間の部分は、前記収容部材の中心に向かって屈曲し、且つ、前記収容片に接続されていてもよい。
【0013】
(態様7)
上記の態様5において、複数の前記収容片は、前記収容部材の軸線を含む第1仮想平面の第1の側に配置された第1収容片と、前記第1仮想平面の第2の側に配置された第2収容片と、を含み、複数の前記弾性部材は、第1弾性部材、第2弾性部材、第3弾性部材、及び、第4弾性部材を含み、前記第1弾性部材は、前記第1収容片と、前記リング部材における、前記第1仮想平面に垂直な第2仮想平面の第1の側にある箇所であって前記第1仮想平面の第2の側にある箇所と、を接続し、前記第2弾性部材は、前記第1収容片と、前記リング部材における前記第2仮想平面の第2の側にある箇所であって前記第1仮想平面の第2の側にある箇所と、を接続し、前記第3弾性部材は、前記第2収容片と、前記リング部材における前記第2仮想平面の第1の側にある箇所であって前記第1仮想平面の第1の側にある箇所と、を接続し、前記第4弾性部材は、前記第2収容片と、前記リング部材における前記第2仮想平面の第2の側にある箇所であって前記第1仮想平面の第1の側にある箇所と、を接続していてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態1に係る軸受が軸を軸支した様子を示す模式的断面図である。
【
図2】実施形態1に係る軸受のA1-A1線断面を模式的に示す図である。
【
図3】実施形態1に係る複数の弾性部材のうち1つの弾性部材の模式的な斜視図である。
【
図5】実施形態2に係る軸受のA1-A1線断面を模式的に示す図である。
【
図6】実施形態2に係る1つの弾性部材の周辺構成の模式的な拡大断面図である。
【
図7】実施形態3に係るハウジングを軸線方向の側から視認した模式的な正面図である。
【
図8】実施形態3に係る弾性部材と収容部材との軸線方向の位置関係を示す模式的側面図である。
【
図9】実施形態3の変形例に係るハウジングを軸線方向の側から視認した模式的な正面図である。
【
図10】実施形態3の変形例に係る収容部材と弾性部材との軸線方向の位置関係を示す模式的側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の各実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、図面は、実施形態の特徴の理解を容易にするために模式的に図示されており、各構成要素の寸法比率等は実際のものと同じであるとは限らない。また、いくつかの図面には、参考用として、X-Y-Zの直交座標が図示されている。以下の各実施形態において、同一又は対応する構成については同一の符号を付して説明を適宜省略する場合がある。
【0016】
(実施形態1)
まず、実施形態1に係る軸受10について説明する。
図1は、本実施形態に係る軸受10が軸Axを軸支した様子を示す模式的断面図である。本実施形態に係る軸受10は、使用時に軸Axを回転可能に軸支するように構成されている。具体的には、本実施形態に係る軸受10は、一例として、すべり軸受であり、より具体的には、自液潤滑型のジャーナル型のすべり軸受である。
【0017】
軸受10が軸支する軸Axの具体的な構成は特に限定されるものではないが、軸Axとして、ポンプの回転軸や、あるいは、ポンプ以外の装置(工作機械等)の回転軸等を用いることができる。本実施形態に係る軸支する軸Axは、一例として、ポンプの回転軸である。この場合、軸Axには、ポンプのインペラ(図示せず)が接続されている。
【0018】
また、本実施形態に係るポンプは、一例として、溶融塩を吸引するためのポンプである。この溶融塩の具体的な種類は特に限定されるものではなく、オキシ酸塩系の溶融塩、アルカリ金属ハロゲン系の溶融塩等、種々の溶融塩を用いることができる。本実施形態では、この溶融線の一例として、オキシ酸塩系の溶融塩を用いており、この具体例として、硝酸カリウム(KNO3)と硝酸ナトリウム(NaNO3)とを含む溶融塩を用いている。
【0019】
本実施形態の場合、ポンプの使用時において、軸受10の温度は、所定温度以上の高温(一例を挙げると、400℃以上の温度であり、具体的には400℃以上700℃以下の範囲内の温度)になる。すなわち、本実施形態に係る軸受10は、一例として、高温の雰囲気で使用される軸受である。
【0020】
図2は、軸受10のA1-A1線断面を模式的に示す図である。なお、
図2において、軸Ax及び後述するハウジング本体31の図示は省略されている。また、
図2は、軸受10の温度が高温になった場合の状態を模式的に図示している。
図1及び
図2を参照して、軸受10は、摺動部材20と、ハウジング30と、少なくとも1つの弾性部材40と、を備えている。
【0021】
図1に例示されている軸線L1は、軸Axの軸線(中心軸を示す線)であるとともに、摺動部材20及びハウジング30の軸線でもある。すなわち、本実施形態に係る軸受10において、軸Axの軸線と摺動部材20の軸線とハウジング30の軸線とは一致している。
【0022】
摺動部材20は、軸受10に軸支された軸Axに摺動するように構成されている。具体的には、本実施形態に係る摺動部材20は、円筒状の部材によって構成されている。摺動部材20の具体的な材質は、特に限定されるものではないが、本実施形態では、一例とし
て、カーボンやセラミックス等の非金属材料が用いられている。
【0023】
ハウジング30は、その内部に摺動部材20を収容するように構成されている。本実施形態に係るハウジング30は、その内部に、弾性部材40も収容している。ハウジング30の具体的な材質は、特に限定されるものではないが、本実施形態では、一例として、ステンレス鋼等の金属材料が用いられている。なお、本実施形態において、摺動部材20の熱膨張係数は、ハウジング30の熱膨張係数よりも小さい。
【0024】
図1に例示するように、本実施形態に係るハウジング30は、ハウジング本体31と、このハウジング本体31の内周面に配置された裏金32と、を備えている。ハウジング本体31及び裏金32は、軸線L1の方向に延在する円筒状の部材によって構成されている。本実施形態に係るハウジング本体31及び裏金32は、金属材料によって構成されている。ハウジング本体31及び裏金32の金属材料の具体的な材質は特に限定されるものではないが、本実施形態では一例としてステンレス鋼が用いられている。
【0025】
図1及び
図2を参照して、本実施形態において、少なくとも1つの弾性部材40は、「複数の弾性部材40」を含んでいる。弾性部材40は、摺動部材20がハウジング30から外れないように摺動部材20及びハウジング30に付勢力を付与するように構成されている。また、弾性部材40は、軸受10の温度が上昇して摺動部材20及びハウジング30が熱膨張した場合に、摺動部材20及びハウジング30の熱膨張量の差に応じて変形するように構成されている。
【0026】
具体的には、
図2に例示するように、本実施形態に係る複数の弾性部材40は、摺動部材20の外周面と、ハウジング30(具体的には裏金32)の内周面(摺動部材20の外周面に対向する内周面)と、の間の空間60aに、配置されている。すなわち、複数の弾性部材40は、摺動部材20の外周面とハウジング30の内周面とに接するように、空間60aに配置されている。また、複数の弾性部材40は、摺動部材20の周方向に配列されている。
【0027】
各々の弾性部材40は、摺動部材20の外周面とハウジング30の内周面との間隔が広がる方向の付勢力を、摺動部材20及びハウジング30に付与している。この複数の弾性部材40の付勢力によって、摺動部材20がハウジング30から外れないようになっている。具体的には、摺動部材20の軸線L1とハウジング30の軸線L1との相対位置がずれないようになっている。また、軸受10の温度が上昇して摺動部材20及びハウジング30が熱膨張した場合、弾性部材40は、摺動部材20及びハウジング30の熱膨張量の差に応じて、摺動部材20及びハウジング30の径方向に変形(具体的には伸縮変形)することができる。なお、弾性部材40と摺動部材20及びハウジング30との間の摩擦力によって、軸Axの回転時に摺動部材20がハウジング30に対して相対的に回転することは抑制されている。
【0028】
図3は、複数の弾性部材40のうち、1つの弾性部材40の模式的な斜視図である。
図2及び
図3を参照して、弾性部材40は、板バネによって構成されていてもよい。
【0029】
具体的には、
図3に例示する弾性部材40は、平板状の部位である平板部41と、摺動部材20の径方向で外側(外周側)に向けて屈曲した屈曲部42aと、摺動部材20の径方向で内側(中心側)に向けて屈曲した屈曲部42bと、を備えている。平板部41は、屈曲部42aと屈曲部42bとを連結するように設けられている。すなわち、屈曲部42aは、弾性部材40の一方の端部に設けられ、屈曲部42bは弾性部材40の他方の端部に設けられている。
図2に例示した実施形態では、このような弾性部材40が、摺動部材20の周方向に複数個(一例として、10個)、配置されている。
【0030】
図2及び
図3を参照して、本実施形態に係る弾性部材40は、互いに隣接する2つの弾性部材40のうち、一方の弾性部材40の屈曲部42a(すなわち、一端)が他方の弾性部材40の屈曲部42b(すなわち、他端)に連結されている。また、弾性部材40の屈曲部42aは、ハウジング30の内周面(裏金32の内周面)にも接続されている。また、
図2に例示するように、軸受10の温度が高温になり、この結果、摺動部材20とハウジング30との間の空間60aの幅が大きくなった場合、本実施形態に係る平板部41は、摺動部材20の外周面に接触する一方で、ハウジング30の内周面には接触しない。
【0031】
また、軸受10は、
図2及び
図3に例示するような、摺動部材20の周方向に配置された複数の弾性部材40(これを、「弾性部材群」と称する)を、摺動部材20の軸線方向(Z方向)にも、複数個、備えていてもよい。すなわち、軸受10は、この弾性部材群を、摺動部材20の軸線方向(Z方向)に、2個、3個、又は、これ以上備えていてもよい。
【0032】
本実施形態のように、軸受10が溶融塩用のポンプに適用される場合、弾性部材40の材質は、高温での耐熱性、及び、溶融塩に対する耐腐食性が良好なものを用いることが好ましい。このような弾性部材40の好適な材質の一例を挙げると、ニッケルをベースとした合金(すなわち、ニッケル合金)が挙げられる。
【0033】
このニッケル合金の具体例として、ニッケルに、鉄、クロム、モリブデン、及び、ニオブの中から選択された少なくとも1つの合金元素が添加されたものが挙げられる。このようなニッケル合金の好適な一例として、インコネル(登録商標)が挙げられる。具体的には、インコネル600、インコネル625、インコネル718、インコネルX750等が挙げられる。但し、これらは、弾性部材40の材質の一例であり、弾性部材40の材質はこれらに限定されるものではない。
【0034】
本実施形態の場合、前述したように、摺動部材20の熱膨張係数がハウジング30の熱膨張係数よりも小さいので、軸受10の温度が高くなるほど、摺動部材20とハウジング30との熱膨張係量の差によって、摺動部材20とハウジング30との間の空間60aの幅(径方向の長さ)は大きくなる。一方、軸受10の温度が低くなるほど、摺動部材20とハウジング30との間の空間60aの幅は小さくなり、この結果、弾性部材40は、摺動部材20とハウジング30とによって押しつぶされるように変形する。
【0035】
以上説明したような本実施形態の作用効果について、比較例に係る軸受500と比較しつつ説明する。
図4は、比較例に係る軸受500の模式的断面図である。具体的には、
図4は、比較例に係る軸受500について、
図2と同様の箇所(A1-A1線断面)を模式的に図示している。但し、
図4は、比較例に係る軸受500の温度が低温(一例として、100℃以下)の状態を模式的に図示している。比較例に係る軸受500は、弾性部材40を備えていない点において、主として実施形態に係る軸受10と異なっている。比較例に係る軸受500の摺動部材20は、ハウジング30(具体的には裏金32)に、焼き嵌めされている。
【0036】
このような比較例に係る軸受500の場合、軸受500の温度が上昇して摺動部材20が熱膨張した場合に、この摺動部材20の熱膨張量に応じてハウジング30が熱膨張するように構成されていない。このため、軸受500の温度が上昇した場合に、摺動部材20とハウジング30との間の熱膨張量の差に起因して、例えば摺動部材20とハウジング30との間に大きな隙間が生じるおそれがある。この場合、例えば、摺動部材20がハウジング30から外れるといった不具合が生じるおそれがある。
【0037】
これに対して、本実施形態によれば、軸受10の温度が上昇して摺動部材20とハウジング30との間の熱膨張量に差が生じた場合であっても、摺動部材20とハウジング30との間に配置された弾性部材40は、この摺動部材20とハウジング30との間の熱膨張量の差(特に、径方向の熱膨張量の差)に応じて変形することができる。そして、この熱膨張量の差に応じて変形する弾性部材40の付勢力によって、摺動部材20がハウジング30から外れないようにすることができる。これにより、摺動部材20とハウジング30との間の熱膨張量の差に起因して軸受10に不具合が生じることを抑制することができる。
【0038】
なお、比較例に係る軸受500において、軸受500の温度が上昇した場合に摺動部材20とハウジング30との間に大きな隙間が生じないようにするために、例えば摺動部材20の外径を予め大きくしておく(あるいは、ハウジング30の内径を予め小さくしておく)ことが考えられる。
【0039】
しかしながら、この場合、焼き嵌めによって摺動部材20をハウジング30の内部に収容した後に、軸受500の温度が低下した場合に、摺動部材20及びハウジング30に加わる応力が摺動部材20やハウジング30の降伏強度を超えてしまうおそれがある。この場合、摺動部材20やハウジング30に塑性変形や破損等が生じるおそれがある。これに対して、本実施形態によれば、このような摺動部材20やハウジング30に塑性変形や破損等が生じるといった不具合が生じることも抑制されている。
【0040】
(実施形態2)
続いて、実施形態2に係る軸受10Aについて説明する。
図5は、実施形態2に係る軸受10AのA1-A1線断面を模式的に示す図である。本実施形態に係る軸受10Aは、摺動部材20に代えて摺動部材20Aを備える点と、弾性部材40に代えて弾性部材40Aを備える点と、において、前述した実施形態1に係る軸受10と異なっている。
【0041】
図6は、1つの弾性部材40Aの周辺構成の模式的な拡大断面図である。
図5及び
図6を参照して、摺動部材20Aは、摺動部材20Aの周方向に複数に分割されている。分割された摺動部材20Aの各々を、摺動片21と称する。各々の弾性部材40Aは、互いに隣接する摺動片21のうち、一方の摺動片21と他方の摺動片21との間に配置されている。
【0042】
具体的には、各々の弾性部材40Aは、一方の摺動片21と他方の摺動片21との間の空間60bに配置されている。すなわち、各々の弾性部材40Aは、一方の摺動片21の周方向端部と、この周方向端部に対向する他方の摺動片21の周方向端部と、によって挟持されている。より具体的には、各々の弾性部材40Aは、一方の摺動片21と他方の摺動片21とを連結している。
【0043】
各々の弾性部材40Aは、互いに隣接する一方の摺動片21と他方の摺動片21との間の空間60bが広がって摺動部材20Aが拡径するように、摺動片21を付勢している。この弾性部材40Aから摺動片21に付与される付勢力によって、摺動片21はハウジング30の内周面に押圧される。すなわち、弾性部材40Aは、摺動片21(すなわち摺動部材20A)のみならず、摺動片21を介してハウジング30にも付勢力を付与している。この付勢力により、摺動部材20Aがハウジング30から外れることが抑制されている。
【0044】
すなわち、本実施形態に係る弾性部材40Aも、摺動部材20Aがハウジング30から外れないように摺動部材20A及びハウジング30に付勢力を付与している。また、弾性部材40Aは、軸受10Aの温度が上昇して摺動部材20A及びハウジング30が熱膨張
した場合に、摺動部材20A及びハウジング30の熱膨張量の差に応じて、周方向に変形することができる。
【0045】
なお、弾性部材40Aとしては、例えば、コイル状のバネ等を用いることができる。この弾性部材40Aの材質は、特に限定されるものではないが、例えば、前述した実施形態1に係る弾性部材40と同様の金属を用いてもよい。
【0046】
本実施形態によれば、軸受10Aの温度が上昇して摺動部材20Aとハウジング30との間の熱膨張量に差が生じた場合であっても、弾性部材40Aが、この摺動部材20Aとハウジング30との間の熱膨張量の差に応じて変形することができる。そして、この弾性部材40Aの付勢力によって、摺動部材20Aがハウジング30から外れないようにすることができる。これにより、摺動部材20Aとハウジング30との間の熱膨張量の差に起因して軸受10Aに不具合が生じることを抑制することができる。
【0047】
具体的には、本実施形態によれば、例えば軸受10Aの温度が上昇して、摺動部材20Aとハウジング30との間の熱膨張量の差によって摺動部材20Aとハウジング30との間に隙間が生じそうになった場合であっても、弾性部材40Aが伸長するとともに、この弾性部材40Aの付勢力によって、隣接する摺動片21の空間60bが広がって摺動部材20Aが拡径することで、摺動部材20Aの外周面とハウジング30の内周面とが密接した状態を維持することができる。
【0048】
(実施形態3)
続いて、実施形態3に係る軸受10Bについて説明する。
図7は、実施形態3に係る軸受10Bのハウジング30Bを軸線方向の側から視認した模式的な正面図である。本実施形態に係る軸受10Bは、ハウジング30に代えてハウジング30Bを備える点と、弾性部材40に代えて弾性部材40Bを備える点と、において、前述した実施形態1に係る軸受10と異なっている。
【0049】
ハウジング30Bは、収容部材33Bとリング部材37とを備えている。収容部材33Bは、円筒状になっている。リング部材37は、収容部材33Bの径方向で外側に、収容部材33Bとの間に空間60cを有するように配置された、リング状の部材によって構成されている。
【0050】
収容部材33Bの内部には、実施形態1で前述したような摺動部材20が収容されている。なお、ハウジング30の形状を視認し易くするために、
図7において、摺動部材20は二点鎖線で図示されている。本実施形態において、摺動部材20の外周面と収容部材33Bの内周面との間には裏金32は配置されていない。但し、この構成に限定されるものではなく、摺動部材20の外周面と収容部材33Bの内周面との間に裏金32が配置されていてもよい。
【0051】
収容部材33Bは、収容部材33Bの周方向に、複数の収容片34に分割されている。この一例として、本実施形態に係る収容部材33Bは、3つの収容片34に分割されている。互いに隣接する一方の収容片34と他方の収容片34との間には、収容部材33Bの軸線方向に延在するスリット35が設けられている。
【0052】
なお、
図7に例示するように、各々の収容片34の内周面には、収容部材33Bの軸線方向に延在する、少なくとも1つの溝36が設けられていてもよい。本実施形態において、各々の収容片34に設けられている溝36の個数は複数(一例として、3つ)である。
【0053】
本実施形態に係る弾性部材40Bの個数は、一例として、3つである。
図8は、弾性部
材40Bと収容部材33Bとの軸線方向の位置関係を示す模式的側面図である。
図7及び
図8を参照して、各々の弾性部材40Bは、収容部材33Bとリング部材37との間の空間60cに配置されて、各々の収容片34とリング部材37とを接続している。
【0054】
具体的には、
図7に例示するように、各々の弾性部材40Bは、リング部材37の内周面に接続された第1端部43aと、リング部材37の内周面における第1端部43aが配置された箇所とは異なる箇所に接続された第2端部43bと、を有している。各々の弾性部材40Bにおける第1端部43aと第2端部43bとの間の部分は、収容部材33Bの中心に向かって屈曲し、且つ、収容片34の外周面に接続されている。
【0055】
弾性部材40Bは、例えば板バネによって構成されていてもよく、バネ性を有する棒状の金属部材によって構成されていてもよく、他の構成であってもよい。弾性部材40Bの具体的な材質は、特に限定されるものではないが、例えば、前述した実施形態1に係る弾性部材40と同様の金属を用いてもよい。
【0056】
本実施形態に係る弾性部材40Bは、収容部材33Bの収容片34を縮径する方向に付勢している。この弾性部材40Bから収容部材33Bに付与される付勢力によって、収容片34は摺動部材20の外周面に押圧される。すなわち、弾性部材40Bは、ハウジング30Bに対して付勢力を付与するとともに、ハウジング30Bの収容片34を介して、摺動部材20にも付勢力を付与している。この付勢力により、摺動部材20がハウジング30Bの収容片34から外れることが抑制されている。
【0057】
すなわち、本実施形態に係る弾性部材40Bも、摺動部材20がハウジング30Bから外れないように摺動部材20及びハウジング30Bに付勢力を付与している。また、弾性部材40Bは、軸受10Bの温度が上昇して摺動部材20及びハウジング30Bが熱膨張した場合に、摺動部材20及びハウジング30Bの熱膨張量の差に応じて、ハウジング30Bの径方向に変形することができる。
【0058】
本実施形態によれば、軸受10Bの温度が上昇して摺動部材20とハウジング30Bとの間の熱膨張量に差が生じた場合であっても、弾性部材40Bは、この摺動部材20とハウジング30Bとの間の熱膨張量の差に応じて変形することができる。そして、この弾性部材40Bの付勢力によって、摺動部材20がハウジング30Bから外れないようにすることができる。これにより、摺動部材20とハウジング30Bとの間の熱膨張量の差に起因して軸受10Bに不具合が生じることを抑制することができる。
【0059】
具体的には、本実施形態によれば、例えば軸受10Bの温度が上昇して、摺動部材20とハウジング30Bの収容部材33Bとの間の熱膨張量の差によって摺動部材20とハウジング30Bの収容部材33Bとの間に隙間が生じそうになった場合であっても、弾性部材40Bの付勢力によって収容部材33Bの収容片34が縮径することで、摺動部材20の外周面と収容部材33Bの内周面とが密接した状態を維持することができる。
【0060】
また、本実施形態によれば、収容部材33Bが複数の収容片34に分割されており、且つ、隣接する収容片34の間にスリット35が設けられているので、収容部材33Bが熱膨張した場合に、収容片34はその周方向に所定量、伸長することができる。これにより、収容部材33Bにスリット35が設けられていない場合(収容部材33Bが収容片34に分割されていない場合)に比較して、収容部材33Bが熱膨張した場合に収容部材33Bに局所的な応力(例えば、収容部材33Bの周方向に加わる圧縮応力)が発生することを抑制することもできる。
【0061】
(実施形態3の変形例)
続いて、実施形態3の変形例に係る軸受10Cについて説明する。
図9は、実施形態3の変形例に係る軸受10Cのハウジング30Cを軸線方向の側から視認した模式的な正面図である。本変形例に係る軸受10Cは、ハウジング30Bに代えてハウジング30Cを備える点と、弾性部材40Bに代えて弾性部材40Cを備える点と、において、
図7に例示した実施形態3に係る軸受10Bと異なっている。本変形例に係るハウジング30Cは、収容部材33Bに代えて、収容部材33Cを備えている点において、
図7に例示した実施形態3に係るハウジング30Cと異なっている。
【0062】
なお、
図9には、収容部材33Cの軸線L1を含む第1仮想平面PL1と、この第1仮想平面PL1に垂直な第2仮想平面PL2と、が例示されている。第2仮想平面PL2も、収容部材33Cの軸線L1を含んでいる。
図9に例示する第1仮想平面PL1は、X-Z平面に平行な平面であり、第2仮想平面PL2は、Y-Z平面に平行な平面である。
【0063】
なお、仮に第1仮想平面PL1が水平面になるように軸受10Cを配置した場合において(この場合、第2仮想平面PL2は地面に垂直な鉛直平面になる)、
図9のように軸線方向で一方の側(
図9では-Z方向の側)から軸受10Cを視認したとき、「第1仮想平面PL1の第1の側」は、第1仮想平面PL1の上方側に相当し、「第2仮想平面PL2の第1の側」は、第2仮想平面PL2の右側に相当する。
【0064】
図9に例示するように、本変形例に係る収容部材33Cは、一例として、2つの収容片34に分割されている。具体的には、2つの収容片34は、第1仮想平面PL1の第1の側に配置された#1の収容片34(「第1収容片」)と、第1仮想平面PL1の第2の側に配置された#2の収容片34(「第2収容片」)と、である。互いに隣接する#1の収容片34と#2の収容片34との間には、収容部材33Cの軸線方向に延在するスリット35が設けられている。
【0065】
なお、
図9に例示するように、本変形例に係る収容部材33Cは、その内周面に溝36が設けられていない。但し、この構成に限定されるものではなく、前述した収容部材33Bの場合と同様に、収容部材33Cの内周面にも溝36が設けられていてもよい。
【0066】
本変形例に係る複数の弾性部材40Cの個数は、一例として、4つである。具体的には、本変形例に係る複数の弾性部材40Cは、#1の弾性部材40C(「第1弾性部材」)と、#2の弾性部材40C(「第2弾性部材」)と、#3の弾性部材40C(「第3弾性部材」)と、#4の弾性部材40C(「第4弾性部材」)と、である。各々の弾性部材40Cは、収容部材33Cの外周面に接続された第1端部43aと、リング部材37の内周面に接続された第2端部43bと、を有している。
【0067】
図10は、収容部材33Cと弾性部材40Cとの軸線方向の位置関係を示す模式的側面図である。
図9及び
図10を参照して、#1の弾性部材40Cは、#1の収容片34と、リング部材37における第2仮想平面PL2の第1の側にある箇所であって第1仮想平面PL1の第2の側にある箇所と、を接続している。#2の弾性部材40Cは、#1の収容片34と、リング部材37における第2仮想平面PL2の第2の側にある箇所であって第1仮想平面PL1の第2の側にある箇所と、を接続している。
【0068】
#3の弾性部材40Cは、#2の収容片34と、リング部材37における第2仮想平面PL2の第1の側にある箇所であって第1仮想平面PL1の第1の側にある箇所と、を接続している。#4の弾性部材40Cは、#2の収容片34と、リング部材37における第2仮想平面PL2の第2の側にある箇所であって第1仮想平面PL1の第1の側にある箇所と、を接続している。
【0069】
なお、実際には、複数の弾性部材40Cは交差していないが、
図9に例示するように、軸線方向(Z軸の方向)から視認した場合に、#1の弾性部材40Cと#3の弾性部材40Cとは交差しているように見え、#2の弾性部材40Cと#4の弾性部材40Cとは交差しているように見える。
【0070】
また、
図10に例示するように、#1の弾性部材40Cは#2の弾性部材40Cよりも軸線方向で一方の側(Z方向側)に位置していてもよく、#4の弾性部材40Cは#3の弾性部材40Cよりも軸線方向で一方の側(Z方向側)に位置していてもよい。また、#1の弾性部材40Cと#4の弾性部材40Cとの軸線方向における配置位置は同じであってもよく、#2の弾性部材40Cと#3の弾性部材40Cとの軸線方向における配置位置は同じであってもよい。
【0071】
弾性部材40Cは、例えば板バネによって構成されていてもよく、バネ性を有する棒状の金属部材によって構成されていてもよく、他の構成であってもよい。弾性部材40Cの具体的な材質は、特に限定されるものではないが、例えば、前述した実施形態1に係る弾性部材40と同様の金属を用いてもよい。
【0072】
本変形例に係る弾性部材40Cも、前述した弾性部材40Bと同様に、収容部材33Cの収容片34を縮径する方向に付勢している。具体的には、#1及び#2の弾性部材40Cは#1の収容片34を第1仮想平面PL1の第2の側(-Y方向側)に付勢し、#3及び#4の弾性部材40Cは#2の収容片34を第1仮想平面PL1の第1の側(Y方向側)に付勢している。
【0073】
この弾性部材40Cから収容部材33Cに付与される付勢力によって、収容片34は摺動部材20の外周面に押圧される。すなわち、弾性部材40Cは、ハウジング30Cに対して付勢力を付与するとともに、ハウジング30Cの収容片34を介して、摺動部材20に対しても付勢力を付与している。この付勢力により、摺動部材20がハウジング30Cの収容片34から外れることが抑制されている。
【0074】
すなわち、本変形例に係る弾性部材40Cも、摺動部材20がハウジング30Cから外れないように摺動部材20及びハウジング30Cに付勢力を付与している。また、弾性部材40Cは、軸受10Cの温度が上昇して摺動部材20及びハウジング30Cが熱膨張した場合に、摺動部材20及びハウジング30Cの熱膨張量の差に応じて変形(収容部材33Cを縮径させる方向に変形)することができる。これにより、摺動部材20と収容部材33Cとが密着した状態を維持させることができる。
【0075】
本変形例においても、前述した実施形態3と同様の作用効果を奏することができる。すなわち、本変形例においても、摺動部材20とハウジング30Cとの間の熱膨張量の差に起因して軸受10Cに不具合が生じることを抑制することができる。
【0076】
以上、本発明の実施形態や変形例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態や変形例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、さらなる種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0077】
10 軸受
20 摺動部材
21 摺動片
30 ハウジング
32 裏金
34 収容片
35 スリット
37 リング部材
40 弾性部材
41 平板部
60a,60b,60c 空間
Ax 軸
L1 軸線
PL1 第1仮想平面
PL2 第2仮想平面