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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180323
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】パレット
(51)【国際特許分類】
   B65D 19/44 20060101AFI20231214BHJP
   B65D 19/38 20060101ALI20231214BHJP
   F27D 3/12 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
B65D19/44 D
B65D19/38 B
F27D3/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093518
(22)【出願日】2022-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145872
【弁理士】
【氏名又は名称】福岡 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100091362
【弁理士】
【氏名又は名称】阿仁屋 節雄
(72)【発明者】
【氏名】岩田 正明
【テーマコード(参考)】
3E063
4K055
【Fターム(参考)】
3E063AA13
3E063AA16
3E063BA01
3E063CA04
3E063CA21
3E063FF06
4K055AA05
4K055HA02
4K055HA15
4K055HA17
4K055HA18
(57)【要約】
【課題】育成炉から結晶インゴットを適切に取り出す技術を提供する。
【解決手段】弾性材料により構成された複数の支持部材と、複数の支持部材が所定の間隔で配置されている枠部材と、を有し、複数の支持部材は、点接触により結晶インゴットを支持するように構成されている、パレット。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性材料により構成された複数の支持部材と、
前記複数の支持部材が所定の間隔で配置されている枠部材と、を有し、
前記複数の支持部材は、点接触により結晶インゴットを支持するように構成されている、
パレット。
【請求項2】
前記支持部材として、所定の間隔で配置される複数の第1支持部材を有する、
請求項1に記載のパレット。
【請求項3】
前記第1支持部材は、前記第1支持部材と結晶インゴットとの接触点を結ぶ仮想線が、平面視において矩形を形成するように4つ配置されている、
請求項2に記載のパレット。
【請求項4】
前記支持部材として、前記第1支持部材とは異なる間隔で配置される複数の第2支持部材を有する、
請求項2または3に記載のパレット。
【請求項5】
前記第2支持部材は、前記第2支持部材と結晶インゴットとの接触点を結ぶ仮想線が、平面視において矩形を形成するように4つ配置されている、
請求項4に記載のパレット。
【請求項6】
前記第1支持部材の前記枠部材からの突出方向と、前記第2支持部材の前記枠部材からの突出方向と、は異なるように構成されている、
請求項4に記載のパレット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パレットに関する。
【背景技術】
【0002】
育成炉内で育成された結晶インゴットは、育成炉外に取り出され、その後、支持パレットに載置された状態で搬送され、所定の処理が施されてウエハに加工される場合がある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-255204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、育成炉から取り出す際の結晶インゴットに割れ等が生じると、ウエハの生産性を低下させる場合がある。本発明の目的は、結晶インゴットを育成炉から取り出す際に、結晶インゴットに割れ等を生じさせない技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、
弾性材料によって構成された複数の支持部材と、
前記複数の支持部材が所定の間隔で配置されている枠部材と、を有し、
前記複数の支持部材は、点接触により結晶インゴットを支持するように構成されている、
パレットが提供される。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、結晶インゴットを育成炉から取り出す際に、結晶インゴットに割れ等を生じさせない技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る結晶インゴット200の概略正面図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係るパレット100の構成例を示す斜視図である。
図3図3は、本発明の一実施形態に係るパレット100の要部の構成例を示す模式図である。
図4図4は、本発明の一実施形態に係るパレット100による結晶インゴット200の取り出し例を示す模式図である。
図5図5(a)は、本発明の一実施形態に係る第1支持部材111により結晶インゴット200を支持した状態を示す正面図である。図5(b)は、本発明の一実施形態に係る第1支持部材111により結晶インゴット200を支持した状態を示す平面図である。
図6図6(a)は、本発明の一実施形態に係る第2支持部材112により結晶インゴット200を支持した状態を示す正面図である。図6(b)は、本発明の一実施形態に係る第2支持部材112により結晶インゴット200を支持した状態を示す平面図である。
図7図7は、本発明の他の実施形態に係るパレット100の要部の構成例を示す模式図である。
図8図8は、本発明の他の実施形態に係るパレット100の要部の構成例を示す模式図である。
図9図9は、本発明の他の実施形態に係るパレット100の要部の構成例を示す模式図である。
図10図10は、本発明の他の実施形態に係るパレット100の要部の構成例を示す模式図である。
図11図11は、本発明の他の実施形態に係るパレット100の要部の構成例を示す模式図である。
図12図12は、本発明の他の実施形態に係るパレット100の要部の構成例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施形態に係るパレット100について図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0009】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。以下の各図において、矢印X、矢印Yおよび矢印Zが相互に直交する三軸の直交座標系(XYZ座標系)を用いて図中の方向を説明する。一例として、このXYZ座標系においては、鉛直方向をZ方向とし、水平方向をX方向、Y方向(X軸とY軸を含むXY平面を水平方向)とする。また、X方向、Y方向、及びZ方向のそれぞれについて、矢印の先端側を+方向と称し、その反対側(原点側)を-方向と称す。本実施形態では、X方向を左右方向、+X方向を右方向、-X方向を左方向と称し、Y方向を前後方向、+Y方向を前方向、-Y方向を後方向と称し、Z方向を上下方向、+Z方向を上方向、-Z方向を下方向と称することもある。
【0010】
なお、以下の説明において用いられる図面は、いずれも模式的なものであり、図面に示される、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。
【0011】
<結晶インゴットの構成例>
本実施形態の結晶インゴット200は、例えば、融解した原料融液に種結晶を浸し、種結晶を回転させながら上方に引き上げるチョクラルスキー法(Cz法)により形成される。結晶インゴット200は、例えば、タンタル酸リチウム(LT)、または、ニオブ酸リチウム(LN)等の単結晶により構成されており、図1に示すように、例えば、直胴部200aと、その下方が徐々に縮径するテーパ部200bと、を有して構成されている。結晶インゴット200の直胴部200aの直径等は、引き上げ速度等により変動するが、本実施形態では、一例として、直胴部200aの直径が約11~18cmである場合について説明する。
【0012】
このようにして形成される結晶インゴット200は、熱膨張係数の異方性により割れやすく、また、局所的な温度変化があるとクラックが発生しやすい性質を有している。本実施形態のパレット100は、結晶インゴット200に割れ等が生じないよう育成炉から取り出し可能に構成されている。
【0013】
<本発明の一実施形態>
以下に、本発明の一実施形態について、図面を用いて説明する。
【0014】
(1)パレット100の構成例
本発明の一実施形態にかかるパレット100の構成例について説明する。パレット100は、育成炉内で育成された結晶インゴット200を支持し、炉外に取り出すために用いられる。図2に示すように、パレット100は、主として、枠体105(枠部材105a)と、支持部材110と、を有している。
【0015】
枠体105は、略矩形に形成されている。枠体105は、例えば、それぞれ直方体に構成された4つの枠部材105aを備えており、これらの枠部材105aは、枠体105をなす略矩形の4辺を構成している。枠体105(枠部材105a)は、例えば、アルミ、ステンレス鋼(SUS)等の金属材料により構成されている。
【0016】
枠部材105aには、結晶インゴット200を支持する複数の支持部材110が配置されている。本実施形態では、枠部材105aに、支持部材110として、複数の第1支持部材111と、複数の第2支持部材112と、が配置されている。具体的には、例えば、互いに対向する2組の枠部材105aのうちの一方の組の枠部材105aの上面には、第1支持部材111が配置されており、これらの枠部材105aの内側面には、第2支持部材112が配置されている。より具体的には、例えば、図2図3に示すように、前後方向に延び、左右方向において互いに対向する枠部材105aの上面には、それぞれ2つずつ、合計4つの第1支持部材111が、鉛直上方に突出するように配置されている。さらに、これらの枠部材105aの内側面には、それぞれ2つずつ、合計4つの第2支持部材112が、互いに向き合うように、水平方向(左右方向)に突出するように配置されている。複数の支持部材110(第1支持部材111と第2支持部材112)は、例えばゴムや合成樹脂等の弾性材料により構成されている。
【0017】
4つの第1支持部材111は、それぞれ、例えば円錐台状に構成されており、結晶インゴット200のテーパ部200bに接触して結晶インゴット200を支持するように構成されている。4つの第2支持部材112も、それぞれ、例えば第1支持部材111と同じ形状・同じ大きさの円錐台状に構成されており、結晶インゴット200のテーパ部200bに接触して結晶インゴット200を支持するように構成されている。
【0018】
4つの第1支持部材111は、第1支持部材111と、載置された結晶インゴット200との接触点を結ぶ仮想線(図3に示す点線1A参照)が、平面視において矩形を形成するように、所定の間隔、例えば、12~14cmの間隔を空けて配置されている。また、4つの第2支持部材112は、第1支持部材111と載置された結晶インゴット200との接触点を結ぶ仮想線(図3に示す点線2A参照)が、平面視において矩形を形成するように、それぞれ、例えば、6~8cmの間隔を空けて配置されている。
【0019】
このように、第1支持部材111と第2支持部材112は、それぞれ異なる間隔で配置されているので、1つのパレット100で、異なるサイズの結晶インゴット200に対応可能となっている。具体的には、上述した間隔で配置された4つの第1支持部材111により、直胴部200aの直径が、例えば16cm以上18cm以下の結晶インゴット200が支持されるようになっている。また、上述した間隔で配置された4つの第2支持部材112により、直胴部200aの直径が、例えば11cm以上14cm未満の結晶インゴット200が支持されるようになっている。
【0020】
枠部材105aの上面には、2つの把持部160が備えられている。具体的には、例えば、図2に示すように、左右方向に延びる2つの枠部材105aの左右両端部に、それぞれ前後方向に延び、左右方向において互いに対向する円筒状の把持部160が備えられている。把持部160は、例えば作業者がパレット100を操作等する際に把持する部材であり、例えば固定金具165を介して枠部材105aに取り付けられている。
【0021】
枠部材105aの上面には、ストッパ170が備えられている。具体的には、例えば、図2に示すように、左右方向に延びる2つの枠部材105aのうちの前方に配置されている枠部材105aの上面に、ストッパ170が備えられている。ストッパ170は、パレット100上に載置された結晶インゴット200が落下することを防止する部材である。
【0022】
(2)パレット100を用いた育成炉からの結晶インゴットの取り出し方法例
本実施形態のパレット100を用いて結晶インゴット200を育成炉から取り出す方法の一例について説明する。
【0023】
本実施形態の結晶インゴット200は、例えば、円筒状の育成炉300を用いて坩堝(不図示)内の原料融液に種結晶を浸し、種結晶を引上げ軸(シード棒)400により回転させながら上方に引上げるCz法により育成される。結晶インゴット200の育成後、坩堝を降下させ、所定時間が経過したら、育成炉300を左右方向に開く。これにより、育成炉300内の結晶インゴット200が開放された状態となる(図4参照)。このときの結晶インゴット200の表面温度は、例えば80℃以下となっている。
【0024】
結晶インゴット200が開放された状態となったら、作業者によりパレット100を作業者の手前から結晶インゴット200下方の所定位置まで差し込む。その後、結晶インゴット200を支持部材110上に載置し、シード棒400を所定箇所で切断する。シード棒400から分離した結晶インゴット200は、パレット100を使って運搬する。結晶インゴット200は、そのサイズに応じて第1支持部材111または第2支持部材112のいずれかにより支持される。図4では、第1支持部材111により支持される場合を例示している。
【0025】
上述したように本実施形態では、第1支持部材111は、隣接する第1支持部材111との間隔が、第2支持部材112とこれに隣接する第2支持部材112との間隔よりも大きくなるように配置されている(図3参照)。これにより、比較的大きい(例えば、直胴部200aの直径が16cm以上18cm以下の)結晶インゴット200は、4つの第1支持部材111により支持され(図5(a)、図5(b)参照)、比較的小さい(例えば、直胴部200aの直径が11cm以上14cm未満の)結晶インゴット200は、4つの第2支持部材112により支持される(図6(a)、図6(b)参照)。
【0026】
結晶インゴット200が第1支持部材111上に載置された場合には、例えば円錐台状の第1支持部材111の一部、例えば天面(上面)の円周部の一部が、結晶インゴット200のテーパ部200bの一部に接触(点接触)し、結晶インゴット200を支持する(図5(a)、図5(b)参照)。同様に、結晶インゴット200が第2支持部材112上に載置された場合には、例えば円錐台状の第2支持部材112の一部、例えば天面の円周部の一部が、結晶インゴット200のテーパ部200bに接触(点接触)し、結晶インゴット200を支持する(図6(a)、図6(b)参照)。なお、本明細書において点接触とは、例えば、支持部材110の天面部、天面の円周部、または支持部材110の外周側面部のいずれかと、テーパ部200bと、が点で接触する等、微小領域で当接することを意味するものであり、支持部材110の天面または外周側面と、テーパ部200bと、が広範な領域で当接するいわゆる面接触を排除するものである。
【0027】
結晶インゴット200を支持部材110上に載置させたら、作業者によりパレット100を作業者の手前に引き出し、結晶インゴット200を育成炉300内から取り出す。
【0028】
(3)本実施形態に係る効果
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果を奏する。
【0029】
(a)本実施形態において、支持部材110は、弾性部材により構成されているので、結晶インゴット200を傷つけずに支持できる。これにより、育成炉からの取り出し時における結晶インゴット200の割れ等を回避することができる。
【0030】
本実施形態において、支持部材110は、点接触により結晶インゴット200を支持するので、比較的高温である結晶インゴット200に生じさせる局所的な温度変化を小さくできる。これにより、育成炉からの取り出し時における結晶インゴット200のクラックの発生を防止し、結晶インゴット200の割れ等を回避することができる。
【0031】
(b)本実施形態では、複数の支持部材110(第1支持部材111)が所定の間隔で配置されているので、特にこの間隔に対応するサイズの結晶インゴット200を好適に支持できる。
【0032】
(c)本実施形態では、第1支持部材111と結晶インゴット200との接触点を結ぶ仮想線が、平面視において矩形を形成するように4つ配置されている。このように、第1支持部材111が矩形状に配置されることにより、第1支持部材111上の結晶インゴット200の安定性を確保し、結晶インゴット200の落下、破損を防止できる。また、第1支持部材111の数が少ない(4つ)ことにより、結晶インゴット200に生じさせる局所的な温度変化を小さくすることができる。これらにより、育成炉からの取り出し時における結晶インゴット200の割れ等を確実に回避することができる。
【0033】
(d)本実施形態では、第1支持部材111に加え、第1支持部材111とは異なる間隔で複数の第2支持部材が配置されているので、1つのパレット100で、複数のサイズの結晶インゴット200に対応できる。これにより、結晶インゴット200のサイズに応じたパレットの差し替え頻度を少なくできるので、作業者等の作業負担を小さくすることができる。
【0034】
(e)本実施形態では、第2支持部材112と結晶インゴット200との接触点を結ぶ仮想線が、平面視において矩形を形成するように4つ配置されている。このように、第2支持部材112が矩形状に配置されることにより、第2支持部材112上の結晶インゴット200の安定性を確保し、結晶インゴット200の落下、破損を防止できる。また、第2支持部材112の数が少ない(4つ)ことにより、結晶インゴット200に生じさせる局所的な温度変化を小さくすることができる。これらにより、育成炉からの取り出し時における結晶インゴット200の割れ等を確実に回避することができる。
【0035】
(f)本実施形態では、第1支持部材111と第2支持部材112は、それぞれ突出方向が異なるように枠部材105aに配置されているので、同一の枠部材105aに第1支持部材111と第2支持部材112とを配置することが可能となる。これにより、支持部材110の配置スペースを小さくすることができ、パレット100のコンパクト化を図ることができる。また、第1支持部材111と第2支持部材112の突出方向を異ならせることにより、同一形状・同一の大きさの支持部材を共用することができるので、パレット100を簡易的かつ経済的に製造することができる。
【0036】
<本発明の他の実施形態>
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0037】
上述の実施形態では、第1支持部材111と第2支持部材112とが、それぞれ4つずつ配置されている場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1支持部材111と第2支持部材112とは、それぞれ3つずつ配置されてもよいし、5つ以上配置されてもよい。また、本発明は、第1支持部材111と第2支持部材112が、それぞれ2つずつ配置される場合を排除するものではないが、3つ以上配置されている方が、結晶インゴット200を安定に支持する上で有用である。また、上述の実施形態では、第1支持部材111と第2支持部材112とが、同じ数(4つ)ずつ配置されている場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1支持部材111が4つ、第2支持部材112が3つ、というように、それぞれ異なる数の支持部材が配置されていても、上述の態様と同様の効果を得ることができる。
【0038】
上述の実施形態では、互いに対向する2組の枠部材105aのうちの一方の組の枠部材105aに、第1支持部材111と第2支持部材112とが、それぞれ2つずつ配置されている場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、4つの枠部材105aに、第1支持部材111と第2支持部材112のいずれか、またはいずれもが、平面視において矩形または菱形を形成するように、それぞれ1つずつ配置されてもよい(図7参照)。ただし、このような場合には、ストッパ170を、結晶インゴット200の載置の妨げにならない位置に配置する必要がある。
【0039】
上述の実施形態では、枠体105は、4つの枠部材105aを有している場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、枠体105は、4つの枠部材105aに加えて、左右方向に延び、前後方向において互いに対向する枠部材105bを有していてもよい(図8図9参照)。この場合、2つの枠部材105bの内側面に、第2支持部材112を、それぞれ2つずつ水平方向(前方向、後方向)に突出するように配置してもよい(図8参照)。また、前後方向に延びる2つの枠部材105aと、左右方向に延びる2つの枠部材105bと、の内側面に、第2支持部材112を、それぞれ1つずつ水平方向(前方向、後方向、左方向、右方向)に突出するように配置してもよい(図9参照)。このような配置にしても、上述の態様と同様の効果を得ることができる。
【0040】
上述の実施形態では、枠体105は、4つの枠部材105aを有している場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、枠体105は、4つの枠部材105aに加えて、前後方向に延び、左右方向において互いに対向する枠部材105cを有していてもよい(図10図11参照)。この場合、2つの枠部材105cの上面に、第2支持部材112を、それぞれ2つずつ鉛直上方に突出するように配置してもよい(図10参照)。ただし、この場合には、例えば第2支持部材112の高さ(突出量)を第1支持部材111の高さ(突出量)よりも低く(小さく)する必要がある。また、2つの枠部材105cの内側面に、第2支持部材112を、それぞれ2つずつ水平方向(左方向、右方向)に突出するように配置してもよい(図11参照)。このような配置にしても、上述の態様と同様の効果を得ることができる。
【0041】
上述の実施形態では、互いに対向する2組の枠部材105aのうちの一方の組の枠部材105aに、それぞれ突出方向の異なる第1支持部材111と第2支持部材112とが配置されている場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、これらの枠部材105aの上面に、それぞれ鉛直上方に突出する第1支持部材111と第2支持部材112とが配置されてもよい(図12参照)。ただし、この場合には、例えば第2支持部材112の高さ(突出量)を第1支持部材111の高さ(突出量)よりも低く(小さく)する必要がある。
【0042】
また、上述の態様では、所定の結晶インゴット200を支持する際に、4つの第1支持部材111または4つの第2支持部材112のいずれかで、4点接触する場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1支持部材111および第2支持部材112の双方の8点接触により所定の結晶インゴット200を支持してもよい。ただし、結晶インゴット200に接触する支持部材の数が少ない方が、結晶インゴット200に生じさせる局所的な温度変化を小さくすることができるので、結晶インゴット200のクラックの発生を防止し、結晶インゴット200の割れ等を回避する点で有用である。
【0043】
上述の実施形態では、第1支持部材111が鉛直上方に突出し、第2支持部材112が水平方向(左右方向)に突出する場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1支持部材111は、上方に突出しつつ左右方向に傾いてもよいし、第2支持部材112は、左右方向に突出しつつ上方向または下方向に傾いてもよい。また、第1支持部材111が水平方向(左右方向)に突出し、第2支持部材112が鉛直上方に突出してもよい。これらのように、第1支持部材111と第2支持部材112は、それぞれ結晶インゴット200のテーパ部200bの一部に点接触できれば、その突出方向は特に限定されない。
【0044】
上述の実施形態では、第1支持部材111と第2支持部材112は、それぞれ、同じ形状・同じ大きさの円錐台状に構成されている場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。結晶インゴット200を点接触で支持できる形状であればよく、例えば、円柱状、直方体状、立方体状に構成されていてもよい。また、第1支持部材111と第2支持部材112は、それぞれ、異なる形状・異なる大きさに構成されていてもよい。
【0045】
上述の実施形態では、枠部材105a同士を固定(接着)する方法について、説明していないが、例えば、前後方向に延びる枠部材105aの両端部に設けられた凸部と、左右方向延びる枠部材105aの内側面に設けられた溝部または凹部とを、嵌め込んで固定してもよい。また、ネジや接着剤を用いて固定してもよいし、溶接により固定してもよい。これらを併用してもよい。
【0046】
上述の実施形態では、枠部材105aに支持部材を固定(接着)する方法について、説明していないが、例えば、支持部材の底部に設けられた凸部と、枠部材105aの上面および内側面に設けられた溝部または凹部とを、嵌め込んで固定してもよい。また、ネジや接着剤等を用いて固定してもよいし、溶接により固定してもよい。これらを併用してもよい。
【0047】
上述の実施形態では、枠部材105aが直方体状に構成されている場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。支持部材110を配置できる形状であればよく、例えば、円柱状、多角柱状に構成されていてもよい。
【0048】
上述の実施形態では説明しなかったが、枠体105を強化の観点等から、前後方向に延びる枠部材105aと、左右方向に延びる枠部材105aとは、所定の直角固定具190で固定されることが好ましい(図3参照)。
【0049】
上述の実施形態では、作業者がパレット100を操作する場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、コンピュータによりパレット100を操作してもよい。
【0050】
上述の実施形態では、結晶インゴット200をCz法により形成する場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ブリッジマン法やフローティングゾーン法によって形成されてもよい。
【符号の説明】
【0051】
100 パレット
105 枠体
105a 枠部材
110 支持部材
111 第1支持部材
112 第2支持部材
160 把持部
170 ストッパ
200 結晶インゴット
300 育成炉
図1
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図12