IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社リコーの特許一覧

<>
  • 特開-印刷装置 図1
  • 特開-印刷装置 図2
  • 特開-印刷装置 図3
  • 特開-印刷装置 図4
  • 特開-印刷装置 図5
  • 特開-印刷装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180523
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20231214BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
B41J29/38 350
B41J2/01 305
B41J2/01 451
B41J2/01 401
B41J29/38 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093895
(22)【出願日】2022-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】吉谷 茂
【テーマコード(参考)】
2C056
2C061
【Fターム(参考)】
2C056EA01
2C056EB03
2C056EB06
2C056EB58
2C056EC03
2C056EC12
2C056EC26
2C056EC35
2C056FA02
2C056FA10
2C056HA29
2C061AP01
2C061AQ05
2C061HJ03
2C061HK05
2C061HN04
2C061HN15
2C061HV35
2C061HV44
(57)【要約】
【課題】印刷装置の操作者が、印刷装置が印刷不可なメンテナンス状態から印刷可能状態になるまで、操作画面前で待たなくてよいようにすることができる印刷装置を提供する。
【解決手段】本発明は、媒体を保持する保持部を搬送する搬送機構と、前記搬送機構により搬送される前記媒体に印刷する印刷部と、を備え、前記搬送機構は、前記印刷部のメンテナンスが行われているビジー状態であっても、印刷指示を受け入れて前記保持部の搬送を開始し、当該保持部を印刷開始位置で待機させ、前記印刷部は、前記ビジー状態が解かれた場合に、前記媒体に対する印刷を開始する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を保持する保持部を搬送する搬送機構と、
前記搬送機構により搬送される前記媒体に印刷する印刷部と、を備え、
前記搬送機構は、前記印刷部のメンテナンスが行われているビジー状態であっても、印刷指示を受け入れて前記保持部の搬送を開始し、当該保持部を印刷開始位置で待機させ、
前記印刷部は、前記ビジー状態が解かれた場合に、前記媒体に対する印刷を開始する、印刷装置。
【請求項2】
前記印刷部は、前記ビジー状態である場合、前記印刷部にエラーが発生したか否かを判断し、前記印刷部にエラーが発生した場合、前記媒体に対する印刷を終了する、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記印刷部にエラーが発生した場合、前記印刷部にエラーが発生していることを表示する表示部をさらに備える請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記印刷指示は、印刷指示ボタンの押下により入力され、前記ビジー状態であっても前記印刷指示ボタンを有効である、請求項1から3のいずれか一項に記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷の生産性向上のため、印刷データの受信前に先行して印刷予備動作を行う技術が開発されている。特許文献1には、印刷スループットを早くする目的で、印刷装置のメンテナンス動作と給排紙動作を並行で動かす構成が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記の技術では、印刷装置が準備中(メンテナンス中)である場合は、操作パネル等で印刷処理の指示がすぐに実行できないという課題がある。
【0004】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、印刷装置の操作者が、印刷装置が印刷不可なメンテナンス状態から印刷可能状態になるまで、操作画面前で待たなくてよいようにすることができる印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、媒体を保持する保持部を搬送する搬送機構と、前記搬送機構により搬送される前記媒体に印刷する印刷部と、を備え、前記搬送機構は、前記印刷部のメンテナンスが行われているビジー状態であっても、印刷指示を受け入れて前記保持部の搬送を開始し、当該保持部を印刷開始位置で待機させ、前記印刷部は、前記ビジー状態が解かれた場合に、前記媒体に対する印刷を開始する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、印刷装置の操作者が、当該印刷装置が印刷不可なメンテナンス状態から印刷可能状態になるまで、操作画面前で待たなくてよいようにすることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1の実施の形態にかかる印刷装置を適用したインクジェットプリンタの構成の一例を示す図である。
図2図2は、第1の実施の形態にかかるインクジェットプリンタが有する搬送プラテンの構成の一例を説明するための図である。
図3図3は、第1の実施の形態にかかるインクジェットプリンタの制御部の概要の一例を説明するための図である。
図4図4は、従来のインクジェットプリンタによる印刷実行時の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図5図5は、第1の実施の形態にかかるインクジェットプリンタによる印刷実行時の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図6図6は、第2の本実施の形態にかかるインクジェットプリンタによる印刷実行時の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照して、印刷装置の実施の形態を詳細に説明する。
【0009】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態にかかる印刷装置を適用したインクジェットプリンタの構成の一例を示す図である。本発明の技術範囲には、この実施の形態に記載の範囲には限定されず、複合機、用紙以外の布帛などに印刷を行う装置等、その他の形態も含まれる。
【0010】
このインクジェットプリンタは、板金と一体となったスライドレール104でキャリッジ100を保持し、主走査モータ105によって、駆動プーリ106と従動プーリ107間に渡したタイミングベルト102を介してキャリッジ100を主走査方向に移動走査する。
【0011】
このキャリッジ100には、例えば、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)、ホワイト1(W1)、ホワイト2(W2)の各色のインク滴を吐出する4個の液滴吐出ヘッドを有する記録ヘッド118が設けられている。記録ヘッド118は、複数のインク吐出口(ノズル)を形成したノズル面のノズル列を主走査方向と直行する方向(副走査方向)に配列され、インク吐出口方向を下方に向けて装着されている。ここでは、各色の記録液の液滴(インク滴)を吐出する複数のノズル列を有する1または複数のヘッドを用いる構成であるが、独立した液滴吐出ヘッドを用いることもできる。また、液滴吐出ヘッドの色の数および配列順序は、これに限るものではない。
【0012】
記録ヘッド118を構成するインクジェットヘッドとしては、圧電素子等の圧電アクチュエータ、発熱抵抗体等の電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータ等を、液滴を吐出するための圧力を発生する圧力発生手段として備えたもの等を使用できる。
【0013】
また、キャリッジ100には、スリットを形成したエンコーダスケール103を主走査方向に沿って設け、キャリッジ100にはエンコーダスケール103のスリットを検出するエンコーダセンサ117を設ける。これらによって、キャリッジ100の主走査方向位置を検知するためのリニアエンコーダを構成している。
【0014】
一方、記録媒体108を搬送するために、記録媒体108を記録ヘッド118に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送プラテン101を備えている。この搬送プラテン101は、副走査モータ8によって、搬送駆動プーリ112と搬送ローラプーリ113間に渡したタイミングベルト114を介して搬送ローラ109を回転駆動することで、駆動している。
【0015】
搬送プラテン101には、スリットを形成したエンコーダホイール115を搬送ローラ109と同軸に設け、側板にはエンコーダホイール115のスリットを検出するエンコーダセンサ116を設け、これらによって、搬送プラテン101の副走査方向位置を検知するためのホイールエンコーダを構成している。この搬送プラテン101は、フラットベッド方式であり、搬送ローラ109とテンションローラ110との間に掛け渡したタイミングベルト119を介して、副走査方向に水平に搬送される。
【0016】
図2は、第1の実施の形態にかかるインクジェットプリンタが有する搬送プラテンの構成の一例を説明するための図である。本実施の形態では、搬送プラテン101は、昇降プラテン等、記録媒体108(媒体の一例)を保持する保持部の一例である。インクジェットプリンタは、図2に示すように、ステッピングモータ(または、DCモータ)等、ギア10を介して当該搬送プラテン101を上下に昇降させるプラテン昇降モータ9を有する。すなわち、プラテン昇降モータ9およびギア10は、搬送プラテン101を搬送する搬送機構の一例である。具体的には、プラテン昇降モータ9およびギア10は、搬送プラテン101を待機位置から印刷開始位置に搬送する搬送機構である。
【0017】
図3は、第1の実施の形態にかかるインクジェットプリンタの制御部の概要の一例を説明するための図である。本実施の形態にかかるインクジェットプリンタは、図3に示すように、制御部2、プリンタドライバ3、操作パネル4、ヘッドドライバ5、主走査モータ6、リニアエンコーダ7、副走査モータ8、ホイールエンコーダ11、キャリッジ100、プラテン昇降モータ9、および搬送プラテン101を有する。
【0018】
制御部2は、CPU(Central Processing Unit)201、ROM(Read Only Memory)202、RAM(Random Access Memory)203、不揮発性RAM204、およびASIC(Application Specific Integrated Circuit)205を有する。CPU201は、インクジェットプリンタ全体の制御を司る、用紙の搬送動作および記録ヘッド118の移動動作に関する制御を司る手段を兼ねる。
【0019】
ROM202は、CPU201が実行するプログラム、その他の固定データを格納する。RAM203は、画像データ等を一時格納する。不揮発性RAM204は、インクジェットプリンタの電源が遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能なメモリである。ASIC205は、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理、その他装置全体を制御するための入出力信号を処理する。
【0020】
また、制御部2は、ホストI/F206、印刷制御部(ヘッド制御部)207、主走査モータ駆動部208、副走査モータ駆動部209、I/O210、およびギャップ調整部211を有する。ホストI/F206は、ホスト側とのデータおよび各種信号の送受信を行うためのI/Fである。印刷制御部207は、記録ヘッド118を駆動するための駆動波形を生成するとともに、記録ヘッド118の圧力発生手段を選択駆動させる画像データ及びそれに伴う各種データをヘッドドライバ5に出力する。
【0021】
主走査モータ駆動部208は、主走査モータ6を駆動する。副走査モータ駆動部209は、副走査モータ8を駆動する。I/O210は、リニアエンコーダ7、ホイールエンコーダ11からの検出パルス、およびその他の各種センサからの検知信号を入力するためのI/Oである。操作パネル4は、インクジェットプリンタに必要な情報の入力および表示を行う。具体的には、操作パネル4は、インクジェットプリンタの操作者からの印刷指示の受け入れ等を行う。
【0022】
ここで、制御部2は、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置、イメージスキャナ等の画像読み取り装置、デジタルカメラ等の撮像装置等のホストのプリンタドライバ3が生成した印刷データ等をケーブル或いはネットワークを介してホストI/F206で受信する。
【0023】
そして、CPU201は、ホストI/F206に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC205にて必要な画像処理、データの並び替え処理等を行って印刷制御部207に転送し、印刷制御部207から所要のタイミングでヘッドドライバ5に画像データおよび駆動波形を出力する。なお、画像出力するためのドットパターンデータの生成は、例えば、ROM202にフォントデータを格納して行っても良いし、ホスト側のプリンタドライバ3で画像データをビットマップデータに展開して、インクジェットプリンタに転送するようにしても良い。ここでは、プリンタドライバ3で行うようにしている。
【0024】
印刷制御部207の駆動波形生成部は、ROM202に格納されてCPU201で読み出される駆動パルスのパターンデータをD/A変換するD/A変換器、および増幅器等を有し、1つの駆動パルス或いは複数の駆動パルスで構成される駆動波形をヘッドドライバ5に対して出力する。
【0025】
ヘッドドライバ5は、印刷制御部207の駆動波形生成部から与えられる駆動波形を構成する駆動パルスを、選択的に記録ヘッド118の圧力発生手段に対して印加する。これにより、ヘッドドライバ5は、記録ヘッド118を駆動する。本実施の形態では、ヘッドドライバ5および記録ヘッド118は、印刷開始位置に搬送された搬送プラテン101により保持される記録媒体108に印刷する印刷部の一例として機能する。なお、印刷制御部207の駆動波形生成部は、シリアルに入力される記録ヘッド118の1行分に相当する画像データ(ドットパターンデータ)に基づいて駆動波形を生成する。このヘッドドライバ5は、例えば、シフトレジスタ、ラッチ回路、レベル変換回路、アナログスイッチアレイを有する。シフトレジスタは、クロック信号および画像データであるシリアルデータを入力する。ラッチ回路は、シフトレジスタのレジスト値をラッチ信号でラッチする。レベル変換回路は、ラッチ回路の出力値をレベル変化するレベルシフタである。アナログスイッチアレイは、このレベルシフタでオン/オフが制御されるスイッチ手段である。アナログスイッチアレイのオン/オフを制御することで、駆動波形に含まれる所要の駆動パルスを選択的に記録ヘッド118の圧力発生手段に印加する。
【0026】
ギャップ調整部211は、プラテン昇降モータ9で搬送プラテン101を上下駆動し、LEDセンサで搬送プラテン101を検出して高さ調整を行う。
【0027】
ここで、従来のインクジェットプリンタにおける印刷手順の一例について説明する。まず、インクジェットプリンタの操作者によって操作パネル4が有する高さ調整ボタンが押下されかつ当該操作パネル4において搬送プラテン101が選択されると、制御部2は、ギャップ調整部211を介してプラテン昇降モータ9を制御して、搬送プラテン101の高さを調整する。これにより、制御部2は、搬送プラテン101を待機位置から印刷開始位置に移動させる。
【0028】
次に、操作パネル4上で本体メモリまたはUSBメモリに保存されている画像データが選択されると、制御部2は、当該画像データをヘッドドライバ5に出力する。その後、操作パネル4が有する印刷開始ボタンが押下されると、ヘッドドライバ5は、記録ヘッド118を制御して、記録媒体108に画像データを印刷する。
【0029】
記録媒体108への印刷が完了すると、制御部2は、記録ヘッド118のメンテナンスを開始する。記録ヘッド118のメンテナンス中、操作パネル4は、当該操作パネル4が有するUSBメモリボタンおよび印刷開始ボタンを操作できない状態にして、操作者からの印刷指示を受け入れない。そのため、制御部2は、ヘッドドライバ5に対して画像データを出力できない。操作者は操作パネル4の印刷開始ボタンを押下しても印刷を開始できず、操作パネル4は、ビジー状態で印刷できない旨のメッセージを表示する。
【0030】
記録ヘッド118のメンテナンスが終了してビジー状態が解除されると、操作パネル4は、USBメモリボタンおよび印刷開始ボタンを操作可能な有効状態に変更する。そして、操作パネル4の印刷開始ボタンが押下されると、制御部2は、画像データをヘッドドライバ5に送信して、記録媒体108に対する印刷を開始する。
【0031】
次に、本実施の形態にかかるインクジェットプリンタにおける印刷手順の一例について説明する。まず、インクジェットプリンタの操作者によって操作パネル4が有する高さ調整ボタンが押下されかつ当該操作パネル4において搬送プラテン101が選択されると、制御部2は、ギャップ調整部111を介して、プラテン昇降モータ9を制御して、搬送プラテン101の高さを調整する。これにより、制御部2は、搬送プラテン101を待機位置から印刷開始位置に移動させる。
【0032】
次に、操作パネル4上で本体メモリまたはUSBメモリに保存されている画像データが選択されると、制御部2は、当該画像データをヘッドドライバ5に出力する。その後、操作パネル4が有する印刷開始ボタンが押下されると、ヘッドドライバ5は、記録ヘッド118を制御して、記録媒体108に画像データを印刷する。
【0033】
記録媒体108への印刷が完了すると、制御部2は、記録ヘッド118のメンテナンスを開始する。記録ヘッド118のメンテナンス中、操作パネル4は、USBメモリボタンおよび印刷開始ボタンを操作可能な有効状態にして、操作者からの印刷指示を受け入れる。そして、記録ヘッド118のメンテナンス中(ビジー状態)において操作パネル4により印刷指示が受け入れられると、制御部2は、ヘッドドライバ5に対して画像データを出力する。そして、ヘッドドライバ5は、記録ヘッド118のメンテナンスが終了すると、記録媒体108に対する印刷を開始する。
【0034】
ここで、印刷指示は、操作パネル4が有する印刷開始ボタン(印刷指示ボタンの一例)の押下により入力される。そして、印刷開始ボタンは、記録ヘッド118のメンテナンス中であるビジー状態においても有効である。ここで、印刷開始ボタンが有効であるとは、当該印刷開始ボタンが押下(操作)可能な状態であり、すなわち、印刷指示を入力可能な状態である。本実施の形態では、印刷開始ボタン(ソフトウェアキー)は、操作パネル4に設けられているが、これに限定するものではなく、印刷開始ボタンは、物理ボタン(ハードウェアキー)として設けられていても良い。
【0035】
具体的には、記録ヘッド118のメンテナンスが行われているビジー状態であっても、操作パネル4は、操作者からの印刷指示を受け入れる。印刷指示が受け入れられると、制御部2は、ギャップ調整部111を介してプラテン昇降モータ9を制御して、搬送プラテン101の搬送を開始し、当該搬送プラテン101を印刷開始位置で待機させる。そして、制御部2は、ビジー状態が解かれた場合に、ヘッドドライバ5を制御して、記録媒体108に対する印刷を開始する。これにより、記録ヘッド118がメンテナンス中でも、印刷指示を実行することができる。その結果、インクジェットプリンタの操作者が、インクジェットプリンタが印刷不可なメンテナンス状態から印刷可能状態になるまで、操作パネル4の前で待たなくてよいようにすることができる。
【0036】
図4は、従来のインクジェットプリンタによる印刷実行時の処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、インクジェットプリンタの操作者が操作パネル4が有するUSBメモリボタンを押下して印刷ジョブを選択し(ステップS401)、さらに、操作パネル4が有する印刷開始ボタンを押下すると(ステップS402)、制御部2は、搬送プラテン101を印刷開始位置に移動させる(ステップS403)。
【0037】
次に、制御部2は、ヘッドドライバ5を制御して、用紙等の記録媒体108に対する印刷を開始する(ステップS404)。記録媒体108に対する印刷が終了すると、制御部2は、記録ヘッド118等の印刷部のメンテナンスを開始する(ステップS405)。さらに、制御部2は、搬送プラテン101を印刷開始位置から待機位置に移動させる(ステップS406)。
【0038】
印刷部のメンテナンスが行われている間、制御部2は、メンテナンスが終了するのを待ち(ステップS407)、メンテナンスが終了したか否かを判断する(ステップS408)。メンテナンスが終了していない場合(ステップS408:No)、制御部2は、ステップS407に戻り、メンテナンスが終了するのを待つ。一方、メンテナンスが終了した場合(ステップS408:Yes)、制御部2は、操作パネル4が有するUSBメモリボタンおよび印刷開始ボタンを操作可能な有効状態に変更する(ステップS409)。すなわち、従来のインクジェットプリンタでは、メンテナンスが終了するまでは、操作パネル4のUI(USBメモリボタンおよび印刷開始ボタン)を操作することができず、印刷指示を実行することができない。
【0039】
次に、制御部2は、印刷を終了するか否かを判断する(ステップS410)。印刷を終了しない場合(ステップS410:No)、制御部2は、ステップS401に戻る。一方、印刷を終了する場合(ステップS410:Yes)、制御部2は、印刷を終了する。
【0040】
図5は、第1の実施の形態にかかるインクジェットプリンタによる印刷実行時の処理の流れの一例を示すフローチャートである。以下の説明では、図3と同様の処理については説明を省略する。
【0041】
本実施の形態では、操作パネル4は、記録ヘッド118等の印刷部のメンテナンスが行われているビジー状態であっても、当該操作パネル4が有するUI(例えば、USBメモリボタンおよび印刷開始ボタン)を操作可能な有効状態として、操作者からの印刷指示を受け入れる。そして、操作者からの印刷指示が受け入れられると、搬送機構(プラテン昇降モータ9およびギア10)は、搬送プラテン101の搬送を開始する。その後、搬送プラテン101が印刷開始位置に移動すると(ステップS403)、制御部2は、搬送プラテン101を印刷開始位置で待機させ(ステップS501)、印刷部のメンテナンスの終了待ちか否かを判断する(ステップS502)。
【0042】
印刷部のメンテナンスの終了待ちである場合(ステップS502:No)、制御部2は、メンテナンスが終了するのを待つ。一方、メンテナンスが終了している場合(ステップS502:Yes)、すなわち、ビジー状態が解除された場合、制御部2は、ステップS404に進み、印刷部によって記録媒体108に対する印刷を開始する。
【0043】
このように、第1の実施の形態にかかるインクジェットプリンタによれば、記録ヘッド118がメンテナンス中でも、印刷指示を実行することができる。その結果、インクジェットプリンタの操作者が、インクジェットプリンタが印刷不可なメンテナンス状態から印刷可能状態になるまで、操作パネル4の前で待たなくてよいようにすることができる。
【0044】
(第2の実施の形態)
本実施の形態は、ビジー状態である場合、印刷部にエラーが発生したか否かを判断し、印刷部にエラーが発生した場合、記録媒体に対する印刷を終了する例である。以下の説明では、第1の実施の形態と同様の構成については説明を省略する。
【0045】
本実施の形態では、ヘッドドライバ5は、ビジー状態である場合、記録ヘッド118等の印刷部にエラーが発生したか否かを判断する。そして、ヘッドドライバ5は、印刷部にエラーが発生した場合、記録媒体108に対する印刷を終了する。これにより、印刷指示を受け入れていた場合でも、メンテナンス中に何らかのエラーが発生した場合には、印刷を終了させることができる。
【0046】
また、本実施の形態では、操作パネル4は、記録ヘッド118等の印刷部にエラーが発生した場合、印刷部にエラーが発生していることを表示する表示部の一例としても機能する。
【0047】
図6は、第2の本実施の形態にかかるインクジェットプリンタによる印刷実行時の処理の流れの一例を示すフローチャートである。以下の説明では、図4と同様の処理については説明を省略する。
【0048】
本実施の形態では、ビジー状態において操作者からの印刷指示を受け入れ、搬送プラテン101が印刷開始位置に移動すると(ステップS403)、制御部2は、印刷部のメンテナンスの終了待ちか否かを判断する(ステップS502)。メンテナンスの終了待ちである場合(ステップS502:No)、制御部2は、メンテナンスにエラーが発生しているか否かを判断する(ステップS601)。
【0049】
メンテナンスにエラーが発生している場合(ステップS601:Yes)、制御部2は、操作パネル4に対して、エラーが発生していることを表示するとともに、印刷処理を終了する(ステップS602)。一方、メンテナンスが正常に行われている場合(ステップS601:No)、制御部2は、ステップS501に戻り、メンテナンスが終了するのを待つ。
【0050】
一方、メンテナンスが終了している場合(ステップS502:Yes)、すなわち、ビジー状態が解除された場合、制御部2は、ステップS404に進み、印刷部によって記録媒体108に対する印刷を開始する。
【0051】
このように、第2の実施の形態にかかるインクジェットプリンタによれば、刷指示を受け入れていた場合でも、メンテナンス中に何らかのエラーが発生した場合には、印刷を終了させることができる。
【0052】
なお、上記実施の形態では、本発明の印刷装置を、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機に適用した例を挙げて説明するが、複写機、プリンタ、スキャナ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置であればいずれにも適用することができる。
【符号の説明】
【0053】
2 制御部
4 操作パネル
5 ヘッドドライバ
9 プラテン昇降モータ
10 ギア
100 キャリッジ
101 搬送プラテン
108 記録媒体
118 記録ヘッド
211 ギャップ調整部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0054】
【特許文献1】特開2007-1186号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6