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特開2023-180707樹脂組成物、硬化物、シート、積層体、及びプリント配線板
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180707
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】樹脂組成物、硬化物、シート、積層体、及びプリント配線板
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/03 20060101AFI20231214BHJP
   C08K 7/24 20060101ALI20231214BHJP
   C08L 21/00 20060101ALI20231214BHJP
   C08K 7/26 20060101ALI20231214BHJP
   C08L 79/00 20060101ALI20231214BHJP
   C08G 73/12 20060101ALI20231214BHJP
   B32B 27/34 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
H05K1/03 610P
C08K7/24
C08L21/00
C08K7/26
C08L79/00 B
C08G73/12
B32B27/34
H05K1/03 610R
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094235
(22)【出願日】2022-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】株式会社レゾナック
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100169454
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 裕之
(74)【代理人】
【識別番号】100221992
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 真由美
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 来
【テーマコード(参考)】
4F100
4J002
4J043
【Fターム(参考)】
4F100AB17B
4F100AB33B
4F100AC02A
4F100AC02H
4F100AG00A
4F100AG00H
4F100AH03A
4F100AH03G
4F100AH03H
4F100AK25A
4F100AK25G
4F100AK25H
4F100AK49A
4F100AK49G
4F100AN02A
4F100AN02G
4F100AN02H
4F100CB10
4F100EC182
4F100EC18A
4F100EC18G
4F100GB41
4F100JA02
4F100JG05A
4F100JJ03
4F100JL01
4J002AC032
4J002AC062
4J002AC082
4J002BG042
4J002CM001
4J002DJ016
4J002EH078
4J002EK007
4J002EK037
4J002EU117
4J002EW137
4J002EW177
4J002FA106
4J002FD147
4J002FD148
4J002FD157
4J002GQ00
4J043PB03
4J043PB08
4J043PB15
4J043PB24
4J043QB26
4J043RA05
4J043RA35
4J043SA06
4J043SA43
4J043SA46
4J043TA22
4J043UA041
4J043UA122
4J043XA14
4J043XA15
4J043XB17
4J043YA06
4J043YB19
4J043YB25
4J043ZB50
(57)【要約】
【課題】プレス成形性に優れ、低誘電率及び低誘電正接が十分に維持されつつ、銅箔に対して優れた接着性を有する硬化物を形成可能な樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】本開示に係る樹脂組成物は、テトラカルボン酸二無水物(a1)、ダイマージアミンを含有するジアミン(a2)、及び無水マレイン酸(a3)を反応させてなるビスマレイミド樹脂(A)と、無機中空粒子(B)と、ゴム(C)と、重合開始剤(D)と、を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テトラカルボン酸二無水物(a1)、ダイマージアミンを含有するジアミン(a2)、及び無水マレイン酸(a3)を反応させてなるビスマレイミド樹脂(A)と、
無機中空粒子(B)と、
ゴム(C)と、
重合開始剤(D)と、を含む、樹脂組成物。
【請求項2】
前記テトラカルボン酸二無水物(a1)が、無水ピロメリット酸、4,4’-オキシジフタル酸無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸ニ無水物、ビスフェノールA型酸二無水物、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、ジシクロヘキシル-3,4,3’,4’-テトラカルボン酸二無水物、及びビシクロ[2.2.2]オクタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸2,3:5,6-二無水物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記ジアミン(a2)が、下記式(1)で表される化合物及び下記式(2)で表される化合物のうちの少なくとも一種を含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
【化1】

【化2】

[式(1)及び(2)中、m、n、p及びqはそれぞれ、m+n=6~17、p+q=8~19となるように選ばれる1以上の整数を表し、破線で示した結合は、炭素-炭素単結合又は炭素-炭素二重結合を意味する。但し、破線で示した結合が炭素-炭素二重結合である場合、式(1)及び(2)は、炭素-炭素二重結合を構成する各炭素原子に結合する水素原子の数を、式(1)及び(2)に示した数から1つ減じた構造となる。]
【請求項4】
前記ビスマレイミド樹脂(A)の重量平均分子量が3000以上30000未満である、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
前記無機中空粒子(B)が中空シリカである、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
前記無機中空粒子(B)の平均粒径が50nm~2.5μmである、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
前記無機中空粒子(B)の含有量が、前記樹脂組成物の不揮発分の全量を基準として、15~70質量%である、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項8】
前記ゴム(C)が、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、スチレンーブタジエンゴム、及びアクリルゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項9】
前記重合開始剤(D)が、有機過酸化物、イミダゾール化合物、ホスフィン化合物、及びホスホニウム塩化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項10】
モノマ(E)を更に含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項11】
前記モノマ(E)が、アクリレート化合物、メタクリレート化合物、及びアリル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する、請求項10に記載の樹脂組成物。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の樹脂組成物の硬化物。
【請求項13】
請求項1~11のいずれか一項に記載の樹脂組成物及び基材を備えるシート。
【請求項14】
請求項13に記載のシートの接着面に更に基材が熱圧着されてなる積層体。
【請求項15】
請求項13に記載のシートを用いてなるプリント配線板。
【請求項16】
請求項14に記載の積層体を用いてなるプリント配線板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、樹脂組成物、硬化物、シート、積層体、及びプリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板及びそれを用いた多層配線板は、携帯電話、スマートフォン等のモバイル型通信機器、その基地局装置、サーバー・ルーター等のネットワーク関連電子機器、大型コンピュータ等の製品で使用されている。
【0003】
近年、それらの製品においては、大容量の情報を高速で伝送・処理するために高周波の電気信号が使用されているが、高周波信号は非常に減衰し易いため、伝送損失を抑えるために、上記プリント配線板及び多層配線板等に用いられる絶縁材料として、誘電特性の優れた絶縁材料が求められる。
【0004】
上記絶縁材料としては、特許文献1~3に開示されたエポキシ樹脂組成物が知られている。この特許文献1には、エポキシ樹脂、活性エステル化合物及びトリアジン含有クレゾールノボラック樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物が低誘電正接化に有効であることが開示されている。また、特許文献2及び3には、エポキシ樹脂及び活性エステル化合物を必須成分とする樹脂組成物が、誘電正接が低い硬化物を形成でき、絶縁材料として有用であることが開示されている。しかしながら、これらのエポキシ樹脂組成物は、高周波帯用途として満足できないことがわかってきた。
【0005】
一方、特許文献4では、非エポキシ系の材料として長鎖アルキル基を有するビスマレイミド樹脂及び無機充填材を含有する樹脂組成物からなる樹脂フィルムが、誘電特性に優れる(低比誘電率かつ低誘電正接である)ことが報告されている。しかしながら、このような樹脂組成物は、溶融粘度が低いためプレス時に樹脂フローが大きくなってしまい、プレス成形し難い傾向にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011-132507号公報
【特許文献2】特開2015-101626号公報
【特許文献3】特開2017-210527号公報
【特許文献4】国際公開第2022/025123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示は、プレス成形性に優れ、低誘電率及び低誘電正接が十分に維持されつつ、銅箔に対して優れた接着性を有する硬化物を形成可能な樹脂組成物を提供することを目的とする。本開示はまた、上記樹脂組成物を用いた硬化物、シート、積層体、及びプリント配線板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、テトラカルボン酸二無水物(a1)、ダイマージアミンを含有するジアミン(a2)、及び無水マレイン酸(a3)を反応させてなるビスマレイミド樹脂(A)と、無機中空粒子(B)と、ゴム(C)と、重合開始剤(D)とを含む樹脂組成物が、プレス成形性に優れ、低誘電率及び低誘電正接が十分に維持されつつ、銅箔に対して優れた接着性を有する硬化物を形成可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
本開示の一態様は、以下の樹脂組成物、シート、積層板、プリント配線板に関する。
[1]テトラカルボン酸二無水物(a1)、ダイマージアミンを含有するジアミン(a2)、及び無水マレイン酸(a3)を反応させてなるビスマレイミド樹脂(A)と、無機中空粒子(B)と、ゴム(C)と、重合開始剤(D)と、を含む、樹脂組成物。
[2]前記テトラカルボン酸二無水物(a1)が、無水ピロメリット酸、4,4’-オキシジフタル酸無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸ニ無水物、ビスフェノールA型酸二無水物、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、ジシクロヘキシル-3,4,3’,4’-テトラカルボン酸二無水物、及びビシクロ[2.2.2]オクタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸2,3:5,6-二無水物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する、上記[1]に記載の樹脂組成物。
[3]前記ダイマージアミン(a2)が、下記式(1)で表される化合物及び下記式(2)で表される化合物のうちの少なくとも一種を含む、[1]に記載の樹脂組成物。
【化1】

【化2】

[式(1)及び(2)中、m、n、p及びqはそれぞれ、m+n=6~17、p+q=8~19となるように選ばれる1以上の整数を表し、破線で示した結合は、炭素-炭素単結合又は炭素-炭素二重結合を意味する。但し、破線で示した結合が炭素-炭素二重結合である場合、式(1)及び(2)は、炭素-炭素二重結合を構成する各炭素原子に結合する水素原子の数を、式(1)及び(2)に示した数から1つ減じた構造となる。]
[4]前記ビスマレイミド樹脂の重量平均分子量が3000以上30000未満である、上記[1]~[3]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[5]前記無機中空粒子(B)が中空シリカである、上記[1]~[4]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[6]前記無機中空粒子(B)の平均粒径が50nm~2.5μmである、上記[1]~[5]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[7]前記無機中空粒子(B)の含有量が、樹脂組成物中の不揮発分の総量を基準として15~70質量%である、上記[1]~[6]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[8]前記ゴム(C)が、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、スチレンーブタジエンゴム、及びアクリルゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する、上記[1]~[7]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[9]前記重合開始剤(D)が、有機過酸化物、イミダゾール化合物、ホスフィン化合物、及びホスホニウム塩化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する、上記[1]~[8]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[10]モノマ(E)を更に含む、上記[1]~[9]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[11]モノマ(E)が、アクリレート化合物、メタクリレート化合物、及びアリル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する、上記[10]に記載の樹脂組成物。
[12]上記[1]~[11]のいずれかに記載の樹脂組成物の硬化物。
[13]上記[1]~[11]のいずれかに記載の樹脂組成物及び基材を備えるシート。
[14]上記[13]に記載のシートの接着面に更に基材を熱圧着されてなる積層体。
[15]上記[13]に記載のシートを用いてなるプリント配線板。
[16]上記[14]の積層体を用いてなるプリント配線板。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、プレス成形性に優れ、低誘電率及び低誘電正接が十分に維持されつつ、銅箔に対して優れた接着性を有する硬化物を形成可能な樹脂組成物、それを用いた硬化物、シート、積層体、及びプリント配線板を提供することができる。
【0011】
本開示に係る樹脂組成物は、高周波帯の低誘電特性に優れるだけなく、銅箔への接着性を有し、更にプレス成形性に優れる。また、当該樹脂組成物は、プリント回路基板(ビルドアップ基板、フレキシブルプリント配線板等)及びフレキシブルプリント配線板用銅張り板の製造に用いる接着剤としてのみならず、半導体層間材料、コーティング剤、レジストインキ、導電ペースト等としても有用である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施の形態について詳細に説明する。
【0013】
[樹脂組成物]
本実施形態の樹脂組成物は、テトラカルボン酸二無水物(a1)(以下、(a1)成分ともいう。)、ダイマージアミンを含有するジアミン(a2)(以下、(a2)成分ともいう。)、及び無水マレイン酸(a3)(以下、(a3)成分ともいう。)を反応させてなるビスマレイミド樹脂(A)(以下、(A)成分ともいう。)と、無機中空粒子(B)(以下、(B)成分ともいう。)と、ゴム(C)(以下、(C)成分ともいう。)と、重合開始剤(D)(以下、(D)成分ともいう。)と、を含む。本実施形態の樹脂組成物は、更にモノマ(E)(以下、「(E)成分」ともいう。)を含んでもよい。また、本実施形態の樹脂組成物は、更に有機溶剤(F)(以下、「(F)成分」ともいう。)を含んでもよい。
【0014】
((A)成分:ビスマレイミド樹脂)
(A)成分は、(a1)成分、(a2)成分、及び(a3)成分を反応させて得ることができる。
【0015】
(a1)成分のテトラカルボン酸二無水物としては、ポリイミドの原料として公知のものを使用できる。(a1)成分としては、例えば、無水ピロメリット酸、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、1,3,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-5(テトラヒドロ-2,5-ジオキソ-3-フラニル)ナフト[1,2-C]フラン-1,3-ジオン、4,4’-オキシジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-(4,4’-イソプロピリデンジフェノキシ)ジフタル酸無水物、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-5(テトラヒドロ-2,5-ジオキソ-3-フラニル)ナフト[1,2-C]フラン-1,3-ジオン、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-テトラメチル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ビス(1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-5-カルボン酸)1,4-フェニレン、9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物、4,4’-(エチン-1,2-ジイル)ジフタル酸無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、ジシクロヘキシル-3,4,3’,4’-テトラカルボン酸二無水物、3,4’-オキシジフタル酸無水物、3,4’-ビフタル酸無水物、及びノルボルナン-2-スピロ-α-シクロペンタノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0016】
低誘電特性及び耐熱性の観点から、(a1)成分は、無水ピロメリット酸、4,4’-オキシジフタル酸無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸ニ無水物、ビスフェノールA型酸二無水物、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、ジシクロヘキシル-3,4,3’,4’-テトラカルボン酸二無水物、及びビシクロ[2.2.2]オクタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸2,3:5,6-二無水物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましく、無水ピロメリット酸を含有することがより好ましい。
【0017】
(a2)成分は、ダイマージアミンを必須成分として含有する。ダイマージアミンは、例えば、特開平9-12712号公報に記載されているように、オレイン酸等の不飽和脂肪酸の二量体であるダイマー酸から誘導される化合物である。(a2)成分としてダイマージアミンを用いることで、硬化物の誘電特性を低くすることができる。本実施形態では、公知のダイマージアミンを特に制限なく使用できる。(a2)成分は、例えば、下記式(1)で表される化合物及び下記式(2)で表される化合物のうちの少なくとも一種を含むことが好ましい。
【0018】
【化3】

【化4】
【0019】
式(1)及び(2)中、m、n、p及びqはそれぞれ、m+n=6~17、p+q=8~19となるように選ばれる1以上の整数を表し、破線で示した結合は、炭素-炭素単結合又は炭素-炭素二重結合を意味する。但し、破線で示した結合が炭素-炭素二重結合である場合、式(1)及び(2)は、炭素-炭素二重結合を構成する各炭素原子に結合する水素原子の数を、式(1)及び(2)に示した数から1つ減じた構造となる。
【0020】
ダイマージアミンとしては、有機溶剤への溶解性、耐熱性、耐熱接着性、低粘度等の観点より、上記式(2)で表される化合物が好ましく、特に下記式(3)で表される化合物が好ましい。
【化5】
【0021】
ダイマージアミンの市販品としては、例えば、PRIAMINE1075、PRIAMINE1074(いずれもクローダジャパン株式会社製)等が挙げられる。
【0022】
(a2)成分は、第2のジアミンとして、ダイマージアミン以外のジアミンを更に含んでもよい。第2のジアミンとして脂環式ジアミンを使用することで、誘電率をより低くすることができる。第2のジアミンとして芳香族ジアミンを使用することで、硬化物の弾性率及びTgを向上させることができる。
【0023】
第2のジアミンとしては、例えば、1,3-ジアミノプロパン、ノルボルナンジアミン、4,4-メチレンジアニリン、1,3-ビス[2-(4-アミノフェニル)-2-プロピル]ベンゼン、4,4’-ジアミノ-2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(アミノメチル)ノルボルナン、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジアニリン、3(4),8(9)-ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、1,3-シクロヘキサンジアミン、1,4-シクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、4,4’-メチレンビス(2-メチルシクロヘキシルアミン)、1,1-ビス(4-アミノフェニル)シクロヘキサン、2,7-ジアミノフルオレン、4,4’-エチレンジアニリン、4,4’-メチレンビス(2,6-ジエチルアニリン)、4,4’-メチレンビス(2-エチル-6-メチルアニリン)、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]メタン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2’-ジメチルビフェニル-4,4’-ジアミン、(4,4’-ジアミノ)ジフェニルエーテル、(3,3’―ジアミノ)ジフェニルエーテ、パラフェニレンジアミン、オルトフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、2,2’-ジメチルビフェニル-4,4’-ジアミン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、及びビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホンが挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0024】
(a2)成分中、ダイマージアミンのモル比は、全ジアミンに対して、50モル%以上が好ましく、70モル%以上がより好ましい。ダイマージアミンのモル比が50モル%以上にすることで、樹脂組成物の硬化物の低誘電特性をより向上することができる。
【0025】
(A)成分は、各種公知の方法により製造できる。例えば、先ず、(a1)成分と(a2)成分を60~120℃程度、好ましくは、70~90℃の温度において、通常0.1~2時間程度、好ましくは0.1~1.0時間重付加反応させる。次いで、得られた重付加物を更に80~250℃程度、好ましくは100~200℃の温度において、0.5~30時間程度、好ましくは0.5~10時間イミド化反応、即ち脱水閉環反応させる。続いて、脱水閉環反応させた物と(a3)成分を60~250℃程度、好ましくは80~200℃の温度において、0.5~30時間程度、好ましくは0.5~10時間マレイミド化反応、即ち脱水閉環反応させることにより、目的とする(A)成分が得られる。
【0026】
イミド化反応又はマレイミド化反応において、各種公知の反応触媒、脱水剤、及び後述する有機溶剤を使用できる。反応触媒としては、トリエチルアミン等の脂肪族第3級アミン類、ジメチルアニリン等の芳香族第3級アミン類、ピリジン、ピコリン、イソキノリン等の複素環式第3級アミン類、又はメタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸一水和物等の有機酸等が挙げられる。脱水剤としては、例えば、無水酢酸等の脂肪族酸無水物、無水安息香酸等の芳香族酸無水物などが挙げられる。
【0027】
(A)成分は各種公知の方法により精製でき、純度を上げることができる。例えば、先ず、有機溶剤に溶かした(A)成分と純水を分液ロートに入れる。次いで、分液ロートを振り、静置させる。続いて、水層と有機層が分離した後、有機層のみを回収することで、(A)成分を精製できる。
【0028】
(A)成分の分子量は、(a1)成分と(a2)成分のモル数で制御することができ、(a1)成分のモル数が(a2)成分のモル数より小さいほど、分子量を小さくすることができる。本発明の効果を達成し易くする目的において、通常、〔(a1)成分のモル数〕/〔(a2)成分のモル数〕が0.30~0.85程度、好ましくは0.50~0.80の範囲が良い。
【0029】
(A)成分の分子量としては、溶剤への溶解性及び耐熱性の観点から、重量平均分子量で3000以上30000未満、5000以上25000以下、又は7000以上20000以下であってもよい。重量平均分子量が30000未満であると、有機溶剤への溶解性が良好となり、3000以上であると、耐熱性を向上させる効果が十分に得られる傾向がある。
【0030】
(A)成分は、市販の化合物を用いることもでき、好ましい例としては、DESIGNER MOLECURES Inc.製のBMI-3000CG(ダイマージアミン、無水ピロメリット酸及びマレイン酸無水物より合成)、BMI-1500、BMI-1700、BMI-5000等を好適に用いることができる。
【0031】
((B)成分:無機中空粒子)
(B)成分は、樹脂組成物に使用可能な無機中空粒子であれば各種公知のものを特に限定なく使用できる。無機中空粒子は、内部に空隙部を有する粒子である。中空無機粒子の外殻を構成する無機材料としては、例えば、シリカ、アルミナ、ガラス、コーディエライト、シリコン酸化物、硫酸バリウム、炭酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト、ベーマイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化マンガン、ホウ酸アルミニウム、炭酸ストロンチウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸バリウム、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、リン酸タングステン酸ジルコニウム、及びアルミノシリケートが挙げられる。これらの中で、シリカは特に低誘電正接に優れるため、(B)成分として中空シリカを用いることが好ましい。
【0032】
(B)成分の平均粒径は、50nm以上、100nm以上、又は200nm以上であってよく、2.5μm以下、2.0μm以下、又は1.0μm以下であってよい。(B)成分の平均粒径は、50nm~2.5μmが好ましく、100nm~2.0μmがより好ましく、200nm~1.0μmが更に好ましい。(B)成分の平均粒径が上記範囲であると、シートの表面粗度を小さくし、銅箔、ポリイミドフィルム等の基材との接着性を高めることができる。(B)成分の平均粒径として、50%となるメディアン径(d50)の値が採用される。上記平均粒径は、レーザー回折散乱方式の粒度分布測定装置を用いて測定可能である。
【0033】
(B)成分の空隙率は、20~80%が好ましく、25~70%がより好ましく、30~60%が更に好ましい。(B)成分の空隙率が上記範囲であると、低誘電特性(特に低誘電率)の効果を十分に得られ易い。(B)成分の比重は、0.4~1.9g/cmが好ましく、0.5~1.8g/cmがより好ましく、0.6~1.6g/cmが更に好ましい。(B)成分の比重が上記範囲であると、プレス加工性の効果を十分に得られ易い。
【0034】
(B)成分は、(B’)成分として内部に空隙を有しない無機粒子を更に含有してもよい。(B’)成分は、表面処理されていることが好ましく、カップリング剤による表面処理物であることが好ましく、シランカップリング剤による表面処理物であることが更に好ましい。(B’)成分が表面処理されていることにより、樹脂組成物中の分散性を高めることができるだけでなく、更にシートの表面の表面粗さがより一層小さくなり、銅箔、ポリイミドフィルム等の基材との接着性を高めることができる。
【0035】
カップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、及びアルミニウムカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤としては、例えば、メタクリルシラン、アクリルシラン、アミノシラン、アミノフェニルシラン、イミダゾールシラン、フェニルシラン、ビニルシラン、及びエポキシシランが挙げられる。
【0036】
(B)成分の含有量は、特に制限されないが、樹脂組成物中の不揮発分の全量(100質量%)を基準として、15~70質量%、20~60質量%、又は30~55質量%であってよい。(B)成分の含有量が15質量%以上であると、低誘電特性及びプレス成形性をより向上させ易くなり、70質量%以下であると、接着性の低下を抑制し易くなる。(B)成分の含有量は、樹脂組成物の体積を基準として、15~60体積%、20~55体積%、又は25~50体積%であってよい。(B)成分の含有量を15体積%以上であると、低誘電特性及びプレス成形性をより向上させ易くなり、60体積%以下であると、接着性の低下を抑制し易くなる。
【0037】
((C)成分:ゴム)
(C)成分としては、樹脂組成物に使用可能なゴムであれば各種公知のものを特に限定なく使用できる。(C)成分としては、例えば、水素化ニトリルゴム(HNBR)、スチレンーブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、エピクロルヒドリンゴム(ECO)、及びアクリルゴム(ACM)が挙げられる。これらの中で、特にブタジエンゴム、イソプレンゴム、及びスチレンーブタジエンゴムが、低誘電特性をより向上し易い。
【0038】
(C)成分は、側鎖にアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、マレイミド基、エポキシ基等の反応性重合基が付加されていてもよく、特に反応性又は低誘電特性の観点から、アクリロイル基又はメタクリロイル基が付加されていることが好ましい。
【0039】
((D)成分:重合開始剤)
(D)成分としては、樹脂組成物に使用可能な重合開始剤であれば各種公知のものを特に限定なく使用できる。(D)成分としては、例えば、有機過酸化物、イミダゾール化合物、ホスフィン化合物、ホスホニウム塩化合物等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を併用して用いることができる。これらの中でも、特に有機過酸化物が優れた硬化性と低誘電特性の観点で優れるため好ましい。
【0040】
有機過酸化物としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1-ビス(t-ヘキシルパーオキシ)3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2-ビス(4,4-ジ-t-ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロドデカン、n-ブチル4,4-ビス(t-ブチルパーオキシ)バレレート、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)ブタン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-2-メチルシクロヘキサン、t-ブチルハイドロパーオキサイド、P-メンタンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、t-ヘキシルハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、α,α’-ビス(t-ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、イソブチリルパーオキサイド、3,5,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、桂皮酸パーオキサイド、m-トルオイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ-3-メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ-2-エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ-sec-ブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3-メチル-3-メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、α,α’-ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3,-テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1-シクロヘキシル-1-メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t-ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ヘキシルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシピバレート、2,5-ジメチル-2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルへキサノエート、1-シクロヘキシル-1-メチルエチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシマレイックアシッド、t-ブチルパーオキシラウレート、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルモノカーボネート、2,5-ジメチル-2,5-ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルパーオキシアセテート、t-ヘキシルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシ-m-トルオイルベンゾエート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、ビス(t-ブチルパーオキシ)イソフタレート、t-ブチルパーオキシアリルモノカーボネート、及び3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンが挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を併用して用いることができる。これらの有機過酸化物の中でも、ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、α,α’-ビス(t-ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン等が好ましい。
【0041】
イミダゾール化合物としては、例えば、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2,4-ジメチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、1-ビニル-2-メチルイミダゾール、1-プロピル-2-メチルイミダゾール、2-イソプロピルイミダゾール、1-シアノメチル-2-メチル-イミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール等が挙げられる。なかでも、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール及び2-エチル-4-メチルイミダゾールが、本実施形態に係る樹脂組成物との溶解性が高く好ましい。これらは1種単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
【0042】
ホスフィン化合物としては、例えば、エチルホスフィン、プロピルホスフィンのようなアルキルホスフィン、フェニルホスフィン等の1級ホスフィン;ジメチルホスフィン、ジエチルホスフィンのようなジアルキルホスフィン、ジフェニルホスフィン、メチルフェニルホスフィン、エチルフェニルホスフィン等の2級ホスフィン;及びトリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、アルキルジフェニルホスフィン、ジアルキルフェニルホスフィン、トリベンジルホスフィン、トリトリルホスフィン、トリ-p-スチリルホスフィン、トリス(2,6-ジメトキシフェニル)ホスフィン、トリ-4-メチルフェニルホスフィン、トリ-4-メトキシフェニルホスフィン、トリ-2-シアノエチルホスフィン等の3級ホスフィンが挙げられる。中でも、3級ホスフィンが好ましく使用される。これらは1種単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
【0043】
ホスホニウム塩化合物としては、例えば、テトラフェニルホスホニウム塩、アルキルトリフェニルホスホニウム塩、テトラアルキルホスホニウム等を有する化合物が挙げられ、具体的には、テトラフェニルホスホニウム-チオシアネート、テトラフェニルホスホニウム-テトラ-p-メチルフェニルボレート、ブチルトリフェニルホスホニウム-チオシアネート、テトラフェニルホスホニウム-フタル酸、テトラブチルホスホニウム-1,2-シクロへキシルジカルボン酸、テトラブチルホスホニウム-1,2-シクロへキシルジカルボン酸、及びテトラブチルホスホニウム-ラウリン酸が挙げられる。
【0044】
(D)成分の含有量は、特に限定されないが、(A)成分100質量部に対して、0.1~10.0質量部が好ましく、1.0~5.0質量部がより好ましい。
【0045】
((E)成分:モノマ)
(E)成分としては、樹脂組成物に使用可能なモノマであれば各種公知のもの使用できる。(E)成分としては、例えば、アクリレート化合物、メタクリレート化合物、アリル化合物、及びベンゾオキサジン化合物等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を併用して用いることができる。これらの中で、特に(A)成分のマレイミド基との反応性及び低誘電特性の観点から、(E)成分は、アクリレート化合物、メタクリレート化合物、及びアリル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有してもよい。
【0046】
アクリレート化合物としては、例えば、イソボルニルアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジメタクリレート、2-アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、アダマンタンアクリレート、ジメチルトリシクロデカンジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート等の環状炭化水素系アクリレート;ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、ノニルフェノールエチレンオキサイド付加物アクリレート、2-アクリロイロキシエチルフタル酸、2-アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチルフタル酸、ネオペンチルグリコールアクリル酸安息香酸エステル等の芳香族系アクリレート;及びトリメチロールプロパントリアクリレート、トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ビス(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールポリアクリレート等の多官能系アクリルレートが挙げられる。
【0047】
メタクリレート化合物としては、例えば、メタクリル酸、メチルメタアクリレート、n-ブチルメタアクリレート、i-ブチルメタアクリレート、t-ブチルメタアクリレート、2-エチルヘキシルメタアクリレート、ラウリルメタアクリレート、トリデシルメタアクリレート、ステアリルメタアクリレート、グリシジルメタアクリレート、及びヒドロキシプロピルメタアクリレートが挙げられる。
【0048】
アリル化合物としては、例えば、イソニコチン酸アリル、アリルフェニルエーテル、アリルp-トリルエーテル、フェノキシ酢酸アリル、1-アリルナフタレン、フェニル酢酸アリル、トリアリル(メチル)シラン、トリアリル(フェニル)シラン、安息香酸アリル、アリルベンジルエーテル、アリルo-トリルエーテル、N-アリルオキシフタルイミド、アリルシクロヘキサン、アリルベンゼン、9,9-ビス(4-アリルオキシフェニル)フルオレン、及びイソシアヌル酸トリアリルが挙げられる。
【0049】
(E)成分の含有量は、特に限定されないが、(A)成分100質量部に対して、1.0~30.0質量部、3.0~20.0質量部、又は5.0~10.0質量部であってもよい。
【0050】
((F)成分:有機溶剤)
(F)成分としては、(A)成分を溶解させるものであれば、特に限定されない。(F)成分としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、プロパンジオール、フェノール等のアルコール系溶剤;アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、ペンタノン、ヘキサノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソホロン、アセトフェノン等のケトン系溶剤;メチルセルソルブ、エチルセルソルブ等のセルソルブ類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、ギ酸ブチル等のエステル系溶剤;及びエチレングリコールモノn-ブチルエーテル、エチレングリコールモノiso-ブチルエーテル、エチレングリコールモノtert-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノn-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノiso-ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノn-ブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノn-ブチルエーテ等のグリコールエーテル系溶剤が挙げられる。これらは1種又は2種以上を併用することができる。(A)成分の溶解性が高いトルエン、メシチレン等の芳香族炭化水素と、(B)成分の分散性が高いメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤とを併用してもよい。
【0051】
(F)成分の使用量は特に限定されないが、通常、本実施形態の樹脂組成物の不揮発分が20~70質量%程度となる範囲で用いればよい。
【0052】
本実施形態の樹脂組成物の調製は、一般的に採用されている方法に準じて実施される。例えば、溶融混合、粉体混合、溶液混合等の方法が挙げられる。また、この際には、本実施形態に係る必須成分以外の、例えば、離型剤、難燃剤、イオントラップ剤、酸化防止剤、接着付与剤、低応力剤、着色剤、カップリング剤等を、本開示の効果を損なわない範囲において配合してもよい。
【0053】
離型剤は、金型からの離型性を向上させるために添加される。離型剤としては、例えば、カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、ポリエチレン、酸化ポリエチレン、ポリプロピレン、モンタン酸、モンタン酸と飽和アルコール、2-(2-ヒドロキシエチルアミノ)エタノール、エチレングリコール、グリセリン等とのエステル化合物であるモンタンワックス、ステアリン酸、ステアリン酸エステル、ステアリン酸アミド等公知のものを全て使用することができる。これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0054】
難燃剤は、難燃性を付与するために添加され、公知のものを全て使用することができ、特に制限されない。難燃剤としては、例えば、ホスファゼン化合物、シリコン化合物、モリブデン酸亜鉛担持タルク、モリブデン酸亜鉛担持酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化モリブデン等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0055】
イオントラップ剤は、液状樹脂組成物中に含まれるイオン不純物を捕捉し、熱劣化及び吸湿劣化を防ぐために添加される。イオントラップ剤は公知のものを全て使用することができ、特に制限されない。イオントラップ剤としては、例えば、ハイドロタルサイト類、水酸化ビスマス化合物、希土類酸化物等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0056】
[硬化物]
本実施形態の硬化物は、本実施形態の樹脂組成物を硬化させたものである。具体的には、当該組成物を150~250℃程度で10分~3時間程度加熱処理することで得ることができる。
【0057】
硬化物の形状は特に限定されないが、基材の接着用途に供する場合には、膜厚が通常1~100μm程度、好ましくは3~50μm程度のシート状とすることができ、膜厚は用途に応じて適宜調整できる。
【0058】
[シート]
本実施形態のシートは、本実施形態の樹脂組成物及び基材を備える。当該シートは、基材上に、上述した樹脂組成物を含む樹脂層が形成されている。樹脂層はシートの接着面となる。本実施形態のシートは、例えば、本実施形態の樹脂組成物を基材(シート基材)に塗布し、乾燥させることによって得られる。
【0059】
基材としては、例えば、ポリイミド、ポリイミド-シリカハイブリッド、ポリアミド、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)、ポリスチレン樹脂(PSt)、ポリカーボネート樹脂(PC)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂(ABS)、エチレンテレフタレート、フェノール、フタル酸、ヒドロキシナフトエ酸等とパラヒドロキシ安息香酸とから得られる芳香族系ポリエステル樹脂(所謂液晶ポリマー;(株)クラレ製、「ベクスター」等)などの有機基材が挙げられ、これらの中でも耐熱性及び寸法安定性等の点より、ポリイミドフィルム、特にポリイミド-シリカハイブリッドフィルムが好ましい。また、上記基材としては、ガラス、鉄、アルミ、42アロイ、銅等の金属、ITO、シリコン、シリコンカーバイド等の無機基材を用いてもよい。上記基材の厚みは用途に応じて適宜設定できる。
【0060】
[積層体]
本実施形態の積層体は、上記シートの接着面に更に基材が熱圧着されている。当該積層体は、上記シートの接着面に更に基材を熱圧着させることにより得られる。当該基材としては、ガラス、鉄、アルミ、42アロイ、銅等の金属;又はITO、シリコン、シリコンカーバイド等の無機基材が好適である。上記基材の厚みは用途に応じて適宜設定できる。当該積層体は、更に加熱処理したものであってよい。
【0061】
[プリント基板及びプリント配線板]
本実施形態のプリント基板は、上記シートを用いたもの、又は、上記積層体を用いたものである。本実施形態のプリント基板は、例えば、上記積層体の無機基材面に更に上記シートの接着面を貼りあわせることにより得られる。当該プリント基板としては、有機基材としてポリイミドフィルムを、無機基材として金属箔(特に銅箔)を用いたものが好ましい。そして、かかるプリント基板の金属表面をソフトエッチング処理して回路を形成し、そのうえに更に上記シートを貼りあわせて熱プレスすることにより、プリント配線板が得られる。
【0062】
本実施形態に係る樹脂組成物は、高周波帯の低誘電特性に優れるだけなく、銅箔と高い接着性を有し、プレス成形性に優れる。そのため、当該接着剤組成物は、プリント回路基板(ビルドアップ基板、フレキシブルプリント配線板等)、フレキシブルプリント配線板用銅張り板の製造に用いる接着剤としてのみならず、半導体層間材料、コーティング剤、レジストインキ、導電ペースト等としても有用である。
【実施例0063】
以下、本開示を実施例及び比較例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0064】
(ビスマレイミド樹脂の合成)
冷却管、分離槽、窒素導入管、熱電対、攪拌機を備えた2Lの耐圧性のSUS容器(轟産業株式会社製)に、無水ピロメリット酸(株式会社ダイセル製)111質量部、トルエン(富士フイルム和光純薬株式会社製)907質量部、及び、メタノール(大伸化学株式会社製)200質量部を投入した。次に、容器内に窒素ガスを導入してゲージ圧250kPaに加圧した後、80℃に昇温し、0.5時間保温した。続いて、ダイマージアミン(商品名「PRIAMINE1075」、クローダジャパン株式会社製)368質量部を滴下速度12.3g/minで滴下した。滴下後、80℃で0.5時間保温した後、メタンスルホン酸6.5質量部を加えた。その後、160℃に昇温し、2時間脱水閉環反応を行い、反応液中の水とメタノールを除去し、中間体のポリイミド樹脂を得た。続いて、得られたポリイミド樹脂を135℃に冷却し、無水マレイン酸(三井化学株式会社製)50質量部を加え、160℃に昇温し、2時間脱水閉環反応を行い、反応液中の水を除去し、イミド延長されたビスマレイミド樹脂を得た。脱水閉環反応工程は、容器内のゲージ圧を250±10kPaに制御しつつ、反応液を回転数300rpmで攪拌しながら行った。
【0065】
得られたビスマレイミド樹脂を分液ロートに入れ、純水2000質量部を投入し、分液ロートを振り、静置させた。静置後、水層と有機層が分離した後、有機層のみを回収した。回収した有機層を冷却器、窒素導入管、熱伝対、攪拌機、真空ポンプを備えた2Lのガラス製容器に投入し、88~93℃に昇温し、水を除去した後、110~120℃に昇温し、トルエンを一部除去し、ビスマレイミド樹脂(A-1)の溶液(不揮発分:58.9%)を得た。
【0066】
(不揮発分)
ビスマレイミド樹脂(A-1)の溶液を金属シャーレに精密天秤で0.75g±0.25g量り取った後、熱風乾燥機で150℃、0.5時間乾燥させ、次式より不揮発分(NV)を算出した。
NV(質量%)={(W3-W1)/W2}×100
W1:空の金属シャーレの質量(g)
W2:乾燥前のビスマレイミド樹脂の溶液の質量(g)
W3:乾燥後の金属シャーレ+ビスマレイミド樹脂の質量(g)
【0067】
(重量平均分子量)
(A-1)の重量平均分子量(Mw)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した。テトラヒドロフラン(THF)にビスマレイミド樹脂(A)を濃度3質量%となるように溶解させたサンプルを、30℃に加温されたカラム(GL-R420×1本、GL-R430×1本、GL-R440(株式会社日立ハイテクフィールディング製)×1本)に50μL注入し、展開溶媒としてTHFを用い、流速1.6mL/minの条件で測定を行った。なお、検出器には、L-3350 RI検出器(株式会社日立製作所製)を用い、溶出時間から標準ポリスチレン(東ソー株式会社製)を用いて作成した分子量/溶出時間曲線によりMwを換算した。(A-1)のMwは16000であった。
【0068】
[樹脂組成物]
以下に示す各成分を表1に示す組成(質量部)で配合して、実施例及び比較例の樹脂組成物を調製した。樹脂組成物の不揮発分について、上記と同様の操作で測定した。
(A)成分:ビスマレイミド樹脂(A-1)
(B)成分:中空シリカ(粒径0.5μm、比重1.2g/cm、空隙率40%)
(B’)成分:シリカ(株式会社アドマテックス製、商品名「5SX-CM16」、フェニルアミノシラン処理シリカを70質量%含有するスラリー、粒径0.5μm、比重2.1g/cm
(C)成分:イソプレンゴム(株式会社クラレ製、商品名「UC―102M」)
(D)成分:ジクミルパーオキサイド(日油株式会社製、商品名「パークミルD」)
(E)成分:A-DCP(新中村化学工業株式会社製、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート)、TAIC(東京化成工業株式会社製、トリアリルイソシアヌレート)
(F)成分:MIBK(富士フイルム和光純薬株式会社製、メチルイソブチルケトン)
【0069】
[シート(1)の作製]
アプリケータを用いて、フィルムバイナ(登録商標)(PETフィルム、藤森工業株式会社製、商品名「NS14」、厚さ75μm)の上に上記樹脂組成物を乾燥後に100μmの厚さになるように塗布し、乾燥機で130℃、15分間の乾燥処理を行い、シート(1)を作製した。
【0070】
[積層体及び硬化シートの作製]
PETフィルムを剥離したシート(1)の両面に、銅箔(三井金属鉱業株式会社製、品名:3EC―M2S―VLP)を積層し、真空ラミネータ装置で75℃、30秒、-100kPaで貼り合せた後、乾燥機で200℃、1時間の硬化処理を行い、銅箔、シート状の硬化物、銅箔がこの順に積層された積層体を得た。積層体の銅箔を過硫酸アンモニウム水溶液でエッチングにより除去し、110℃で30分間乾燥させて硬化シートを得た。
【0071】
(接着強度)
積層体を用いて銅箔との接着強度を測定した。接着強度は、90°剥離測定機(株式会社山電製、RHEONER II CREEP METER RE2-3305B)を使用し、常温で引張速度5mm/秒で測定した。接着強度が1.0kN/m以上である場合を「A」、接着強度が0.5kN/m以上1.0kN/m未満である場合を「B」、接着強度が0.5kN/m未満である場合を「C」と判定した。
【0072】
(誘電率及び誘電正接)
硬化シートから80mm×60mmのサイズを有する試験片を作製し、SPDR誘電体共振器(Agilent Technologies社製)にて10GHzの比誘電率(Dk)及び誘電正接(Df)を測定した。
【0073】
(線熱膨張係数)
硬化シートから30mm×4mmのサイズを有する試験片を作製した。この試験片を用いて、熱機械分析装置(商品名「TMA/SS7100」、株式会社日立ハイテクサイエンス製)を用いて線膨張係数(CTE)を測定した。測定モードは引張りモード、測定荷重は50mN、測定雰囲気は大気雰囲気、昇温速度は5℃/分とし、2ndランの100~200℃における測定結果をCTEとした。
【0074】
[シート(2)の作製]
アプリケータを用いて、フィルムバイナ(登録商標)(PETフィルム、藤森工業株式会社製、商品名「NS14」、膜厚75μm)の上に上記樹脂組成物を乾燥後に25μmの厚さになるように塗布し、乾燥機で130℃、15分間の乾燥処理を行い、シート(2)を得た。
【0075】
(溶融粘度)
PETフィルムを剥離したシート(2)同士を真空ラミネータで貼り合せ、600μmの厚みのシート(3)を作製した。シート(3)を直径20mmの円形にカットし、レオメータ装置(Thermo ELECTRON製、品名:HAKKA RheoStress 600)を用いて溶融粘度を測定した。測定条件は、昇温速度5℃/分、測定温度40~220℃で行った。
【0076】
(プレス加工性)
PETフィルムを剥離したシート(2)の両面に、銅箔(三井金属鉱業株式会社製、品名:3EC―M2S―VLP)を真空ラミネータ装置で75℃、30秒、-100kPaで貼り合せて、シート(4)を得た。シート(4)から100mm×100mmのサイズを有する試験片を作製した。試験片を200℃で熱プレスし、樹脂フロー量を測定し、プレス加工性を評価した。樹脂フローが1mm未満の場合を「A」と、樹脂フローが1mm以上の場合を「B」と判定した。
【0077】
【表1】
【0078】
表1から明らかなように、本開示に係る樹脂組成物は、プレス成形性に優れ、低誘電率及び低誘電正接が十分に維持されつつ、銅箔に対して優れた接着性を有する硬化物を形成することができる。