(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180784
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】保護部材形成装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20231214BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20231214BHJP
B05C 1/02 20060101ALI20231214BHJP
B05C 9/12 20060101ALI20231214BHJP
B05C 11/00 20060101ALI20231214BHJP
B05C 13/02 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
H01L21/304 622J
H01L21/68 N
B05C1/02 104
B05C9/12
B05C11/00
B05C13/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094367
(22)【出願日】2022-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】右山 芳国
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 良信
【テーマコード(参考)】
4F040
4F042
5F057
5F131
【Fターム(参考)】
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5F131KB49
(57)【要約】
【課題】ガラステーブルの載置面またはウェーハ保持部の保持面に液状樹脂が付着していることを良好に検知する。
【解決手段】シート載置面22の撮像画である第1撮像画およびウェーハ保持面53の撮像画である第2撮像画を取得し、これらの撮像画に所定の波長以上の波長の光に応じた画像が含まれていたら、シート載置面22あるいはウェーハ保持面53に液状樹脂が付着していると判断する。これにより、シート載置面22あるいはウェーハ保持面53に液状樹脂が付着していることを、良好に検知することができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェーハの一方の面の全面に紫外線硬化型の液状樹脂を押し広げて硬化させた樹脂とシートとからなる保護部材を形成する保護部材形成装置であって、
シートが載置されるシート載置面を有するガラステーブルと、
該ガラステーブルの上方においてウェーハ保持面によってウェーハを保持するウェーハ保持部と、
該ウェーハ保持部を昇降させる昇降機構と、
液状樹脂を該シートの上に供給する液状樹脂供給部と、
カメラと、
該液状樹脂に紫外線を照射する紫外線照射部と、
第1制御部とを備え、
該第1制御部は、該紫外線照射部から該シート載置面に紫外線を照射して、該カメラによって該シート載置面を撮像することによって第1撮像画を取得し、
硬化した液状樹脂で反射した反射光は、該紫外線照射部から照射される紫外線の波長とは異なる所定の波長以上の波長の光に変化し、
該第1撮像画内に、該所定の波長以上の波長の光に応じた画像が含まれていたら、該ガラステーブルの該シート載置面に液状樹脂が付着していると判断する第1判断部をさらに備える、
保護部材形成装置。
【請求項2】
該カメラは、該ガラステーブルの下方に配置されていて、
該紫外線照射部は、該ガラステーブルの下方における該カメラの撮像領域外に配置されていて、該ガラステーブルを介して液状樹脂に紫外線を照射する、
請求項1記載の保護部材形成装置。
【請求項3】
第2制御部をさらに備え、
該第2制御部は、該ウェーハ保持部を下降させて該シート載置面と該ウェーハ保持面との間に僅かな隙間を形成した状態で、該紫外線照射部から該ガラステーブルを介して該ウェーハ保持面に紫外線を照射して、該カメラによって該ウェーハ保持面を撮像することによって第2撮像画を取得し、
該第2撮像画内に、該所定の波長以上の波長の光に応じた画像が含まれていたら、該ウェーハ保持面に液状樹脂が付着していると判断する第2判断部をさらに備える、
請求項1又は2記載の保護部材形成装置。
【請求項4】
ウェーハの一方の面の全面に紫外線硬化型の液状樹脂を押し広げて硬化させた樹脂とシートとからなる保護部材を形成する保護部材形成装置であって、
ウェーハ保持面によってウェーハを保持するウェーハ保持部と、
該ウェーハ保持部の上方に配置されるガラステーブルと、
該ガラステーブルの外側に配置されたシート保持部と、
液状樹脂を該ウェーハ保持面に保持されたウェーハの上に供給する液状樹脂供給部と、
カメラと、
該ウェーハの上の液状樹脂に紫外線を照射する紫外線照射部と、
該ガラステーブル、該シート保持部、該カメラおよび該紫外線照射部を昇降させる昇降機構と、
第3制御部とを備え、
該第3制御部は、該紫外線照射部から該ガラステーブルに紫外線を照射して、該カメラによって該ガラステーブルの下面を撮像することによって第3撮像画を取得し、
硬化した液状樹脂で反射した反射光は、該紫外線照射部から照射される紫外線の波長とは異なる所定の波長以上の波長の光に変化し、
該第3撮像画内に、該所定の波長以上の波長の光に応じた画像が含まれていたら、該ガラステーブルの下面に液状樹脂が付着していると判断する第3判断部をさらに備える、
保護部材形成装置。
【請求項5】
該カメラは、該ガラステーブルの上方に配置されていて、
該紫外線照射部は、該ガラステーブルの上方における該カメラの撮像領域外に配置されていて、該ガラステーブルを介して液状樹脂に紫外線を照射する、
請求項4記載の保護部材形成装置。
【請求項6】
第4制御部をさらに備え、
該第4制御部は、該ガラステーブル、該シート保持部、該カメラおよび該紫外線照射部を下降させて、該ガラステーブルの下面と該ウェーハ保持面との間に僅かな隙間を形成した状態で、該紫外線照射部から該ガラステーブルを介して該ウェーハ保持面に紫外線を照射して、該カメラによって該ウェーハ保持面を撮像することによって第4撮像画を取得し、
該第4撮像画内に、該所定の波長以上の波長の光に応じた画像が含まれていたら、該ウェーハ保持面に液状樹脂が付着していると判断する第4判断部をさらに備える、
請求項4又は5記載の保護部材形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護部材形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の保護部材形成装置では、ガラステーブルの載置面に載置したシートの上に、液状樹脂を供給する。そして、ガラステーブルの上方に配置されたウェーハ保持部の保持面によってウェーハを保持し、ウェーハ保持部を下降させて、シートの上の液状樹脂をウェーハによって押し広げる。押し広げられた液状樹脂を硬化させることにより、ウェーハの下面に保護部材を形成する。このような保護部材形成装置では、たとえば液状樹脂をウェーハで押し広げることができない場合に、作業者が、液状樹脂が供給されたシートを、液状樹脂およびウェーハと共に、ガラステーブルから取り出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したシートの取り出し作業の際に、液状樹脂がガラステーブルの載置面に付着することがある。また、液状樹脂は、ウェーハを保持する保持面に付着することもある。載置面や保持面に液状樹脂が付着していると、次のウェーハに形成した保護部材が均一な厚みになりにくい。
しかしながら、液状樹脂は、透明なので、人の目では、載置面や保持面に付着していることを見つけることは困難である。
【0005】
したがって、本発明の目的は、ガラステーブルの載置面またはウェーハ保持部の保持面に液状樹脂が付着していることを良好に検知することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1保護部材形成装置は、ウェーハの一方の面の全面に紫外線硬化型の液状樹脂を押し広げて硬化させた樹脂とシートとからなる保護部材を形成する保護部材形成装置であって、シートが載置されるシート載置面を有するガラステーブルと、該ガラステーブルの上方においてウェーハ保持面によってウェーハを保持するウェーハ保持部と、該ウェーハ保持部を昇降させる昇降機構と、液状樹脂を該シートの上に供給する液状樹脂供給部と、カメラと、該液状樹脂に紫外線を照射する紫外線照射部と、第1制御部とを備え、該第1制御部は、該紫外線照射部から該シート載置面に紫外線を照射して、該カメラによって該シート載置面を撮像することによって第1撮像画を取得し、硬化した液状樹脂で反射した反射光は、該紫外線照射部から照射される紫外線の波長とは異なる所定の波長以上の波長の光に変化し、該第1撮像画内に、該所定の波長以上の波長の光に応じた画像が含まれていたら、該ガラステーブルの該シート載置面に液状樹脂が付着していると判断する第1判断部をさらに備える。
【0007】
第1保護部材形成装置では、該カメラは、該ガラステーブルの下方に配置されていてもよく、該紫外線照射部は、該ガラステーブルの下方における該カメラの撮像領域外に配置されていてもよく、該ガラステーブルを介して液状樹脂に紫外線を照射してもよい。
【0008】
第1保護部材形成装置は、第2制御部をさらに備えてもよく、該第2制御部は、該ウェーハ保持部を下降させて該シート載置面と該ウェーハ保持面との間に僅かな隙間を形成した状態で、該紫外線照射部から該ガラステーブルを介して該ウェーハ保持面に紫外線を照射して、該カメラによって該ウェーハ保持面を撮像することによって第2撮像画を取得してもよく、該第2撮像画内に、該所定の波長以上の波長の光に応じた画像が含まれていたら、該ウェーハ保持面に液状樹脂が付着していると判断する第2判断部をさらに備えてもよい。
【0009】
本発明の第2保護部材形成装置は、ウェーハの一方の面の全面に紫外線硬化型の液状樹脂を押し広げて硬化させた樹脂とシートとからなる保護部材を形成する保護部材形成装置であって、ウェーハ保持面によってウェーハを保持するウェーハ保持部と、該ウェーハ保持部の上方に配置されるガラステーブルと、該ガラステーブルの外側に配置されたシート保持部と、液状樹脂を該ウェーハ保持面に保持されたウェーハの上に供給する液状樹脂供給部と、カメラと、該ウェーハの上の液状樹脂に紫外線を照射する紫外線照射部と、該ガラステーブル、該シート保持部、該カメラおよび該紫外線照射部を昇降させる昇降機構と、第3制御部とを備え、該第3制御部は、該紫外線照射部から該ガラステーブルに紫外線を照射して、該カメラによって該ガラステーブルの下面を撮像することによって第3撮像画を取得し、硬化した液状樹脂で反射した反射光は、該紫外線照射部から照射される紫外線の波長とは異なる所定の波長以上の波長の光に変化し、該第3撮像画内に、該所定の波長以上の波長の光に応じた画像が含まれていたら、該ガラステーブルの下面に液状樹脂が付着していると判断する第3判断部をさらに備える。
【0010】
第2保護部材形成装置では、該カメラは、該ガラステーブルの上方に配置されていてもよく、該紫外線照射部は、該ガラステーブルの上方における該カメラの撮像領域外に配置されていてもよく、該ガラステーブルを介して液状樹脂に紫外線を照射してもよい。
【0011】
第2保護部材形成装置は、第4制御部をさらに備えてもよく、該第4制御部は、該ガラステーブル、該シート保持部、該カメラおよび該紫外線照射部を下降させて、該ガラステーブルの下面と該ウェーハ保持面との間に僅かな隙間を形成した状態で、該紫外線照射部から該ガラステーブルを介して該ウェーハ保持面に紫外線を照射して、該カメラによって該ウェーハ保持面を撮像することによって第4撮像画を取得してもよく、該第4撮像画内に、該所定の波長以上の波長の光に応じた画像が含まれていたら、該ウェーハ保持面に液状樹脂が付着していると判断する第4判断部をさらに備えてもよい。
【発明の効果】
【0012】
第1保護部材形成装置および第2保護部材形成装置では、シート載置面あるいはガラステーブルの下面の撮像画、および、ウェーハ保持面の撮像画を取得し、これらの撮像画に所定の波長以上の波長の光に応じた画像が含まれていたら、シート載置面、ガラステーブルの下面あるいはウェーハ保持面に液状樹脂が付着していると判断する。これにより、これらに液状樹脂が付着していることを、良好に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1保護部材形成装置の構成を示す斜視図である。
【
図2】第1ウェーハ保持機構および第1シート保持機構の構成を示す説明図である。
【
図3】液状樹脂が付着しているシート載置面を示す説明図である。
【
図4】時間とともに変化する、シート載置面あるいはウェーハ保持面に付着した液状樹脂からの反射光のG値の例を示すグラフである。
【
図5】第2保護部材形成装置の構成を示す斜視図である。
【
図6】第2シート保持機構および第2ウェーハ保持機構の構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1に示す第1保護部材形成装置1は、ウェーハ100の一方の面の全面に紫外線硬化型の液状樹脂を押し広げて硬化させた樹脂とシートとからなる保護部材を形成する装置である。
【0015】
ウェーハ100は、たとえば、円板状のシリコンのアズスライスウェーハである。ウェーハ100は、たとえば円板状に形成されており、表面101および裏面102を有している。ウェーハ100の裏面102および表面101は、それぞれ、ウェーハ100の一方の面および他方の面の一例に相当する。
【0016】
第1保護部材形成装置1は、筐体200と、筐体200内に配設された装置ベース201と、装置ベース201に立設されたコラム202と、装置ベース201に隣接して配設された支持ベース203と、筐体200の後端側に連結されたカセット収容本体204と、を備えている。
【0017】
カセット収容本体204には、カセット207が収容されている。カセット207には、保護部材が形成される前の複数のウェーハ100、および、保護部材が形成された複数のウェーハ100が収容される。
【0018】
カセット収容本体204の-Y方向側には、仮置きテーブル211と、仮置きテーブル211の下方側に位置するカットテーブル212とが配設されている。カットテーブル212には、シートカッター8が配設されている。シートカッター8は、ウェーハ100の外形に沿って、余分なシート12を切断する。
【0019】
カセット収容本体204と仮置きテーブル211との間には、第1ウェーハ搬送機構4が配設されている。第1ウェーハ搬送機構4は、カセット207に対するウェーハ100の搬出および搬入を行う。すなわち、第1ウェーハ搬送機構4は、保護部材が形成される前のウェーハ100を、カセット207から搬出して、仮置きテーブル211に搬入する。さらに、第1ウェーハ搬送機構4は、保護部材が形成されたウェーハ100を、カットテーブル212から搬出して、カセット207に搬入する。
【0020】
第1ウェーハ搬送機構4の-Y方向側には、第2ウェーハ搬送機構5が配置されている。第2ウェーハ搬送機構5は、保護部材が形成されたウェーハ100を回収して、カットテーブル212に搬入する。また、第2ウェーハ搬送機構5は、仮置きテーブル211からウェーハ100を搬出して、第1ウェーハ保持機構50の保持テーブル52に受け渡す。
【0021】
装置ベース201には、ロール状に巻かれたシート12を含むロール部11を有するシート供給機構10と、シート12を保持するガラステーブル21を含む第1シート保持機構20と、第1シート載置機構30と、が備えられる。
【0022】
第1シート載置機構30は、Y軸方向と交差するX軸方向に延在するアーム部31と、アーム部31に取り付けられたクランプ部32とを備えている。そして、第1シート載置機構30は、ロール部11に巻かれたシート12を、クランプ部32によってクランプして、アーム部31によって+Y方向に引っ張り、ガラステーブル21上に位置付けて、所定の大きさに切断する。これにより、第1シート載置機構30は、ガラステーブル21上にシート12を載置することができる。
【0023】
第1シート保持機構20は、ガラステーブル21と、ガラステーブル21を支持するテーブル支持台24とを有している。ガラステーブル21は、シート12が載置されるシート載置面22を備えている。ガラステーブル21、および、ガラステーブル21の上面であるシート載置面22は、たとえば、石英ガラス等のガラス製である。このシート載置面22に、第1シート載置機構30によってシート12が載置される。
【0024】
また、
図2に示すように、第1シート保持機構20におけるガラステーブル21のシート載置面22の周囲には、吸引源222および吸引路223に連通される円形の吸引口224が設けられている。この吸引口224は、ガラステーブル21の外側に配置されたシート保持部の一例である。この吸引口224により、シート載置面22は、吸引源222からの吸引力を用いて、シート12を吸引保持することができる。
【0025】
また、
図1に示すように、ガラステーブル21の近傍には、液状樹脂をシート12の上に供給する液状樹脂供給部としての第1樹脂供給部40が備えられている。第1樹脂供給部40は、シート12に液状樹脂を供給するための樹脂供給ノズル41を有している。本実施形態では、樹脂供給ノズル41は、第1シート載置機構30のアーム部31に備えられており、アーム部31とともにY軸方向に移動する。第1樹脂供給部40は、この樹脂供給ノズル41により、ガラステーブル21のシート載置面22によって保持されたシート12の上面中央に、図示しない液状樹脂タンクから吸い取った液状樹脂を供給する。
【0026】
本実施形態では、液状樹脂は、ウェーハ100の表面101の全面を保護する保護部材の形成に用いられる、紫外線硬化型の樹脂である。保護部材の形成では、ガラステーブル21のシート載置面22に載置されたシート12の上に供給された液状樹脂に、その上方からウェーハ100の裏面102を押し付け、裏面102の全面に液状樹脂を押し広げて、液状樹脂を硬化させる。
【0027】
コラム202の-Y方向側には、第2ウェーハ搬送機構5から受け渡されたウェーハ100を保持する第1ウェーハ保持機構50、および、第1ウェーハ保持機構50を昇降させる昇降機構60が配されている。
【0028】
第1ウェーハ保持機構50は、昇降機構60に取り付けられた支持構造51、および、支持構造51に取り付けられた保持テーブル52を有している。支持構造51は、保持テーブル52を支持した状態で、昇降機構60に取り付けられており、昇降機構60によってZ軸方向に移動する。
【0029】
第1ウェーハ保持機構50の保持テーブル52は、
図1および
図2に示すように、ガラステーブル21のシート載置面22に対向するように配設されたウェーハ保持面53を有している。保持テーブル52は、ガラステーブル21の上方においてウェーハ保持面53によってウェーハ100を保持するウェーハ保持部の一例である。
ウェーハ保持面53は、たとえばポーラス材からなる。保持テーブル52では、このウェーハ保持面53を吸引源(図示せず)に連通させることによって、ウェーハ保持面53により、ウェーハ100の他方の面である表面101を吸引保持することができる。
【0030】
図1に示す昇降機構60は、保持テーブル52を昇降させるものである。すなわち、昇降機構60は、保持テーブル52を含む第1ウェーハ保持機構50を、ガラステーブル21のシート載置面22に対してZ軸方向に沿って接近させることによって、シート載置面22に保持されているシート12上に供給された液状樹脂を、保持テーブル52に保持されているウェーハ100の一方の面である裏面102の全面に押し広げる。
【0031】
昇降機構60は、Z軸方向に延在するボールネジ61、ボールネジ61の一端に接続されたモータ62、ボールネジ61と平行に延在する一対のガイドレール63、および、第1ウェーハ保持機構50が取り付けられた昇降板64を備える。昇降板64は、一対のガイドレール63に対してスライド可能に設置されている。また、昇降板64には、ナット部(図示せず)が形成されている。このナット部には、ボールネジ61が螺合している。
【0032】
昇降機構60では、モータ62によってボールネジ61が回動されることにより、一対のガイドレール63に沿って、昇降板64が、第1ウェーハ保持機構50とともにZ軸方向に移動する。これにより、昇降機構60は、ガラステーブル21のシート載置面22に対して略垂直なZ軸方向に沿って、第1ウェーハ保持機構50を昇降させることができる。このようにして、昇降機構60は、ウェーハ100の裏面102の全面に、シート載置面22上に蓄積された液状樹脂を押し広げることができる。
【0033】
また、
図2に示すように、第1シート保持機構20は、ガラステーブル21の下方に、ウェーハ100の裏面102の全面に押し広げられたシート載置面22上の液状樹脂に紫外線を照射する紫外線照射部90、および、カメラ80を備えている。カメラ80は、被写体のカラー画像を取得することの可能なカラーカメラである。本実施形態では、カメラ80は、シート載置面22あるいはウェーハ保持面53を撮像するために用いられる。
【0034】
本実施形態では、カメラ80は、ガラステーブル21の下方に配置されている。そして、カメラ80を囲むように、複数の紫外線照射部90が配置されている。
【0035】
紫外線照射部90は、液状樹脂に紫外線を照射するものである。すなわち、紫外線照射部90は、たとえば比較的に強い強度の紫外線を、ガラステーブル21を介して、昇降機構60によってウェーハ100の裏面102の全面に押し広げられた液状樹脂に照射することにより、この液状樹脂を硬化させる。このようにして、第1保護部材形成装置1は、ウェーハ100の裏面102の全面に押し広げられた紫外線硬化型の液状樹脂を硬化させることにより、硬化した樹脂とシートとを含む保護部材をウェーハ100の裏面102に形成することができる。
【0036】
カメラ80は、シート載置面22にシート12が載置されておらず、かつ、ウェーハ保持面53にウェーハ100が保持されていないときに、紫外線照射部90からの光を用いて、シート載置面22あるいはウェーハ保持面53を下方から撮像するために用いられる。なお、紫外線照射部90は、カメラ80による撮像を邪魔しないように、ガラステーブル21の下方におけるカメラ80の撮像領域外に配置されている。
【0037】
また、第1保護部材形成装置1は、たとえばカセット収容本体204の側面に、タッチパネル9を備えている。
【0038】
タッチパネル9には、第1保護部材形成装置1に関する各種情報が表示される。また、タッチパネル9は、各種情報を設定するためにも用いられる。このように、タッチパネル9は、情報を入力するための入力部材として機能するとともに、情報を表示するための表示部材としても機能する。
【0039】
また、第1保護部材形成装置1には、第1保護部材形成装置1の各部材を制御する制御部7が備えられている。
【0040】
制御部7は、制御プログラムに従って演算処理を行うCPU、および、メモリ等の記憶媒体等を備えている。制御部7は、第1保護部材形成装置1の上述した各部材を制御して、様々な動作を実行する。たとえば、制御部7は、ウェーハ100に対する保護部材形成動作を実行する。
【0041】
また、制御部7は、第1制御部71、第2制御部72、第1判断部73および第2判断部74を備えており、これらを用いて、シート載置面22あるいはウェーハ保持面53に、液状樹脂が付着しているか否かを判断する樹脂付着検知動作を実施する。
【0042】
以下に、樹脂付着検知動作について説明する。
まず、樹脂付着検知の概要について説明する。
図3に示すように、ガラステーブル21のシート載置面22に液状樹脂300が付着した場合、液状樹脂は、紫外線照射部90からの紫外線の照射を受けると硬化する。そして、硬化した液状樹脂で反射した反射光(蛍光)は、紫外線照射部90から照射される紫外線の波長とは異なる所定の波長以上の波長の光に変化する。
【0043】
ここで、シート載置面22あるいはウェーハ保持面53に付着した液状樹脂からの反射光の波長は、反射光のG成分(RGBにおけるG)の値(G値;256階調)と対応している。そして、反射光のG値は、紫外線の照射時間の経過とともに液状樹脂が硬化してゆくにつれて、徐々に上がっていく。
【0044】
図4は、時間経過とともに変化する、シート載置面22あるいはウェーハ保持面53に付着した液状樹脂が硬化していく状態での反射光のG値の例を示すグラフである。この図に示す例では、紫外線照射部90から照射される紫外線の波長は、356nmである。この場合、シート載置面22あるいはウェーハ保持面53上において完全に硬化した液状樹脂で反射した反射光の波長は、430nmであり、この波長は、G値236に対応している。また、硬化が開始された直後の液状樹脂で反射した反射光の波長は、たとえば400nmであり、この波長は、G値190に対応している。
【0045】
したがって、シート載置面22あるいはウェーハ保持面53のカラーの撮像画をカメラ80によって取得し、G値190を閾値として、この撮像画に含まれる反射光のG値に基づいて、シート載置面22あるいはウェーハ保持面53に液状樹脂が付着しているか否かを判断することができる。すなわち、閾値である190以上のG値の光(所定の波長である400nm以上の波長の光)に応じた画像(画素)が撮像画に含まれていたら、シート載置面22あるいはウェーハ保持面53に液状樹脂が付着していると判断することができる。
【0046】
そこで、樹脂付着検知動作では、まず、シート載置面22に対する液状樹脂の付着の有無の判断が実施される。すなわち、第1制御部71が、カメラ80のピントを、ガラステーブル21のシート載置面22に合わせる。そして、第1制御部71は、紫外線照射部90からシート載置面22に紫外線を照射して、カメラ80によってシート載置面22を撮像する。これによって、第1制御部71は、シート載置面22の画像である第1撮像画を取得する。なお、この撮像における撮像範囲は、たとえば、シート載置面22の全面である。
【0047】
次に、第1判断部73が、第1撮像画内に、所定の波長(上記の例では400nm)以上の波長の光に応じた画像が含まれているか否かを判断する。この判断は、たとえば、190以上のG値の光に応じた画像が第1撮像画に含まれているか否かに基づいて実施される。そして、第1判断部73は、このような画像が第1撮像画に含まれている場合に、シート載置面22に液状樹脂が付着していると判断する。
【0048】
そして、第1判断部73が、シート載置面22に液状樹脂が付着していると判断した場合、制御部7は、タッチパネル9を用いて、シート載置面22に液状樹脂が付着していることを、音声および/または画像によって作業者に表示する。
【0049】
このようなシート載置面22に対する液状樹脂の付着の有無の判断が実施された後、ウェーハ保持面53に対する液状樹脂の付着の有無の判断が実施される。すなわち、第2制御部72が、昇降機構60を制御して保持テーブル52を下降させて、保持テーブル52のウェーハ保持面53とガラステーブル21のシート載置面22との間に僅かな隙間を形成した状態を形成する。この状態で、第2制御部72は、カメラ80のピントをウェーハ保持面53に合わせる。そして、第2制御部72は、紫外線照射部90からガラステーブル21を介してウェーハ保持面53に紫外線を照射して、カメラ80によってウェーハ保持面53を撮像する。これによって、第2制御部72は、ウェーハ保持面53の画像である第2撮像画を取得する。なお、この撮像における撮像範囲は、たとえば、ウェーハ保持面53の全面である。
【0050】
次に、第2判断部74が、第2撮像画内に、所定の波長(上記の例では400nm)以上の波長の光に応じた画像が含まれているか否かを判断する。この判断は、たとえば、190以上のG値の光に応じた画像が第2撮像画に含まれているか否かに基づいて実施される。そして、第2判断部74は、このような画像が第2撮像画に含まれている場合に、ウェーハ保持面53に液状樹脂が付着していると判断する。
【0051】
そして、第2判断部74が、ウェーハ保持面53に液状樹脂が付着していると判断した場合、制御部7は、タッチパネル9を用いて、ウェーハ保持面53に液状樹脂が付着していることを、音声および/または画像によって作業者に表示する。
【0052】
以上のように、本実施形態では、シート載置面22の撮像画である第1撮像画およびウェーハ保持面53の撮像画である第2撮像画を取得し、これらの撮像画に所定の波長以上の波長の光に応じた画像が含まれていたら、シート載置面22あるいはウェーハ保持面53に液状樹脂が付着していると判断する。これにより、シート載置面22あるいはウェーハ保持面53に液状樹脂が付着していることを、良好に検知することができる。
【0053】
また、本実施形態では、シート載置面22あるいはウェーハ保持面53に液状樹脂が付着している場合に、その旨をタッチパネル9を用いて作業者に表示している。したがって、作業者は、これらに液状樹脂が付着していることを、容易に認識することができる。さらに、作業者は、付着している液状樹脂を除去して、シート載置面22およびウェーハ保持面53に液状樹脂が付着していない状態で、ウェーハ100に保護部材を形成することができる。このため、均一な厚みの保護部材を形成することが可能になる。すなわち、不均一な厚みの保護部材が形成されることを防止することが可能になる。
【0054】
なお、第1保護部材形成装置1では、カメラ80および紫外線照射部90が、ガラステーブル21の下方に配置されている。これに関し、カメラ80は、ガラステーブル21のシート載置面22および保持テーブル52のウェーハ保持面53を撮像できる位置であれば、どの位置に設置されていてもよい。また、紫外線照射部90も、カメラ80の撮像領域外であって、ウェーハ100の裏面102に押し広げられた液状樹脂、シート載置面22およびウェーハ保持面53に紫外線を照射できる位置であれば、どの位置に設置されていてもよい。
【0055】
また、本実施形態にかかる保護部材形成装置は、
図5に示す第2保護部材形成装置2であってもよい。第2保護部材形成装置2は、第1保護部材形成装置1と同様に、ウェーハ100の一方の面の全面に紫外線硬化型の液状樹脂を押し広げて硬化させた樹脂とシートとからなる保護部材を形成する装置である。
【0056】
図5に示す第2保護部材形成装置2は、
図1に示した第1保護部材形成装置1の構成において、第1シート保持機構20、第1シート載置機構30、第1樹脂供給部40および第1ウェーハ保持機構50に代えて、第2シート保持機構120、第2シート載置機構130、第2樹脂供給部140および第2ウェーハ保持機構150を備えている。
【0057】
図5に示すように、第2保護部材形成装置2における装置ベース201には、シート12のロール部11を有する上述したシート供給機構10と、シート12を保持する第2シート保持機構120と、第2シート保持機構120にシートを受け渡す第2シート載置機構130と、ウェーハ100を保持する第2ウェーハ保持機構150とが備えられる。
【0058】
第2シート載置機構130は、たとえばスポンジからなる円形の弾性部材136を有する搬送テーブル135、および、シート12を把持する把持部133を有するシート配置機構132を備えている。シート配置機構132は、シート供給機構10におけるロール部11のシート12の外周辺を把持部133によって把持して水平方向(+Y方向)に引き出すとともに、搬送テーブル135の弾性部材136を覆うようにシート12を位置付けて、所定の大きさに切断することができる。
【0059】
また、第2シート載置機構130は、搬送テーブル135をY軸方向に沿って移動させるテーブル移動機構131を有している。テーブル移動機構131は、シート12に覆われた弾性部材136を有する搬送テーブル135を、第2シート保持機構120の下方に配置することができる。
【0060】
第2シート保持機構120は、支持構造65を介して昇降機構60の昇降板64に取り付けられており、昇降機構60によって昇降されるように構成されている。
【0061】
図6に示すように、第2シート保持機構120は、第2ウェーハ保持機構150の上方に配置されるガラステーブル121と、ガラステーブル121を支持するテーブル支持台124とを有している。ガラステーブル121は、シート12を保持するシート保持面122を備えている。ガラステーブル121、および、ガラステーブル121の下面であるシート保持面122は、たとえば、石英ガラス等のガラス製である。
【0062】
また、
図6に示すように、第2シート保持機構120におけるガラステーブル121のシート保持面122の周囲には、吸引源222および吸引路223に連通される円形の吸引口224が設けられている。吸引口224は、ガラステーブルの外側に配置されるシート保持部の一例である。
【0063】
第2シート保持機構120は、シート12に覆われた弾性部材136を有する搬送テーブル135が第2シート保持機構120の下方に配置された際、昇降機構60によって下方に移動される。これにより、第2シート保持機構120のシート保持面122が、弾性部材136を覆うシート12に接触し、シート12を介して弾性部材136を押圧する。この状態で、吸引源222からの吸引力を吸引口224に作用させることにより、シート保持面122が、弾性部材136上のシート12を吸引保持することができる。
【0064】
第2保護部材形成装置2では、昇降機構60は、ガラステーブル121、吸引口224、カメラ80および紫外線照射部90を含む第2シート保持機構120を昇降させるように構成されている。シート保持面122によってシート12を吸引保持した第2シート保持機構120は、昇降機構60によって上方に移動される。
【0065】
また、第2シート保持機構120の下方には、第2ウェーハ保持機構150が配置されている。第2ウェーハ保持機構150は、第2ウェーハ搬送機構5によって仮置きテーブル211から搬出されたウェーハ100を保持するものである。
【0066】
図6に示すように、第2ウェーハ保持機構150は、ピンチャック型の保持テーブルであり、凹状の空間を有する枠体153を有している。枠体153の凹状の空間には、複数の支持ピン155が設けられている。そして、これら複数の支持ピン155の上端面によって、
図1に示す円形のウェーハ保持面152が形成される。
【0067】
このように、第2ウェーハ保持機構150は、ウェーハ保持面152によってウェーハ100を保持するウェーハ保持部の一例である。すなわち、第2ウェーハ保持機構150では、枠体153の凹状の空間を吸引源(図示せず)に連通させることにより、複数の支持ピン155の上端面であるウェーハ保持面152によって、ウェーハ100の他方の面である表面101を吸引保持することができる。
なお、第2ウェーハ保持機構150は、ポーラス部材からなる保持面を備えるポーラスチャック型の保持テーブルであってもよい。
【0068】
また、
図5に示すように、第2ウェーハ保持機構150の近傍には、ウェーハ保持面152に保持されたウェーハ100の上に液状樹脂を供給する液状樹脂供給部としての第2樹脂供給部140が備えられている。第2樹脂供給部140は、シート12に液状樹脂を供給するための樹脂供給ノズル141を有している。本実施形態では、樹脂供給ノズル141は、第2ウェーハ保持機構150のウェーハ保持面152によって保持されたウェーハ100の上面である裏面102の中央に、図示しない液状樹脂タンクから吸い取った液状樹脂を供給するように構成されている。
【0069】
第2保護部材形成装置2では、第2ウェーハ保持機構150に保持されているウェーハ100に液状樹脂が供給されているとともに、第2シート保持機構120のシート保持面122(
図6参照)がシートを保持している状態で、昇降機構60が、第2シート保持機構120をウェーハ100に対してZ軸方向に沿って接近させて、シート12を保持しているシート保持面122をウェーハ100上の液状樹脂に押し付ける。これによって、ウェーハ100の一方の面である裏面102の全面に、液状樹脂を押し広げることができる。
【0070】
また、
図6に示すように、第2シート保持機構120は、ガラステーブル121の上方に、ウェーハ100の裏面102の全面に押し広げられたシート保持面122上の液状樹脂に紫外線を照射する上述した紫外線照射部90、および、ガラステーブル121の下面であるシート保持面122あるいはウェーハ保持面152を撮像するための上述したカメラ80を備えている。
【0071】
第2保護部材形成装置2では、カメラ80は、ガラステーブル121の上方に配置されている。そして、カメラ80を囲むように、複数の紫外線照射部90が配置されている。
【0072】
紫外線照射部90は、上述したように、たとえば比較的に強い強度の紫外線を、ガラステーブル121を介して、昇降機構60によってウェーハ100の裏面102の全面に押し広げられた液状樹脂に照射することにより、この液状樹脂を硬化する。このようにして、第2保護部材形成装置2は、ウェーハ100の裏面102の全面に押し広げられた紫外線硬化型の液状樹脂を硬化させることにより、硬化した樹脂とシートとを含む保護部材をウェーハ100の裏面102に形成することができる。
【0073】
カメラ80は、シート保持面122にシート12が保持されておらず、かつ、ウェーハ保持面152にウェーハ100が保持されていないときに、紫外線照射部90からの光を用いて、シート保持面122あるいはウェーハ保持面152を上方から撮像するために用いられる。なお、第2保護部材形成装置2においても、紫外線照射部90は、カメラ80による撮像を邪魔しないように、ガラステーブル121の上方におけるカメラ80の撮像領域外に配置されている。
【0074】
また、
図5に示すように、第2保護部材形成装置2では、制御部7は、第3制御部75、第4制御部76、第3判断部77および第4判断部78を備えており、これらを用いて、シート保持面122あるいはウェーハ保持面152に液状樹脂が付着しているか否かを判断する樹脂付着検知動作を実施する。
【0075】
以下に、第2保護部材形成装置2における樹脂付着検知動作について説明する。
上述した第1保護部材形成装置1の場合と同様に、第2保護部材形成装置2における樹脂付着検知動作においても、シート保持面122あるいはウェーハ保持面152のカラーの撮像画をカメラ80によって取得し、G値190を閾値として、この撮像画に含まれる反射光のG値に基づいて、液状樹脂の有無を判断する。すなわち、190以上のG値の光(所定の波長である400nm以上の光)に応じた画像(画素)が撮像画に含まれていたら、シート保持面122あるいはウェーハ保持面152に液状樹脂が付着していると判断する。
【0076】
具体的には、第2保護部材形成装置2における樹脂付着検知動作では、まず、ガラステーブル121の下面であるシート保持面122に対する液状樹脂の付着の有無の判断が実施される。すなわち、第3制御部75が、カメラ80のピントを、ガラステーブル121のシート保持面122に合わせる。そして、第3制御部75は、紫外線照射部90からガラステーブル121に紫外線を照射して、ガラステーブル121の下面であるシート保持面122を、カメラ80によって撮像する。これによって、第3制御部75は、シート保持面122の画像である第3撮像画を取得する。なお、この撮像における撮像範囲は、たとえば、シート保持面122の全面である。
【0077】
次に、第3判断部77が、第3撮像画内に、所定の波長(上記の例では400nm)以上の波長の光に応じた画像が含まれているか否かを判断する。この判断は、たとえば、190以上のG値の光に応じた画像が第3撮像画に含まれているか否かに基づいて実施される。そして、第3判断部77は、このような画像が第3撮像画に含まれている場合に、シート保持面122に液状樹脂が付着していると判断する。
【0078】
そして、第3判断部77が、シート保持面122に液状樹脂が付着していると判断した場合、制御部7は、タッチパネル9を用いて、シート保持面122に液状樹脂が付着していることを、音声および/または画像によって作業者に表示する。
【0079】
このようなシート保持面122に対する液状樹脂の付着の有無の判断が実施された後、ウェーハ保持面152に対する液状樹脂の付着の有無の判断が実施される。すなわち、第4制御部76が、昇降機構60を制御して、ガラステーブル121、吸引口224、カメラ80および紫外線照射部90を含む第2シート保持機構120を下降させる。これにより、第4制御部76は、第2ウェーハ保持機構150のウェーハ保持面152とガラステーブル121のシート保持面122との間に僅かな隙間を形成した状態を形成する。この状態で、第4制御部76は、カメラ80のピントをウェーハ保持面152に合わせる。そして、第4制御部76は、紫外線照射部90からガラステーブル121を介してウェーハ保持面152に紫外線を照射して、カメラ80によってウェーハ保持面152を撮像する。これによって、第4制御部76は、ウェーハ保持面152の画像である第4撮像画を取得する。なお、この撮像における撮像範囲は、たとえば、ウェーハ保持面152の全面である。
【0080】
次に、第4判断部78が、第4撮像画内に、所定の波長(上記の例では400nm)以上の波長の光に応じた画像が含まれているか否かを判断する。この判断は、たとえば、190以上のG値の光に応じた画像が第4撮像画に含まれているか否かに基づいて実施される。そして、第4判断部78は、このような画像が第4撮像画に含まれている場合に、ウェーハ保持面152に液状樹脂が付着していると判断する。
【0081】
そして、第4判断部78が、ウェーハ保持面152に液状樹脂が付着していると判断した場合、制御部7は、タッチパネル9を用いて、ウェーハ保持面152に液状樹脂が付着していることを、音声および/または画像によって作業者に表示する。
【0082】
このように、第2保護部材形成装置2においても、シート保持面122の撮像画である第3撮像画およびウェーハ保持面152の撮像画である第4撮像画を取得し、これらの撮像画に所定の波長以上の波長の光に応じた画像が含まれていたら、シート保持面122あるいはウェーハ保持面152に液状樹脂が付着していると判断する。これにより、シート保持面122あるいはウェーハ保持面152に液状樹脂が付着していることを、良好に検知することができる。
【0083】
また、本実施形態では、シート保持面122あるいはウェーハ保持面152に液状樹脂が付着している場合に、その旨をタッチパネル9を用いて作業者に表示している。したがって、作業者は、これらに液状樹脂が付着していることを、容易に認識することができる。さらに、作業者は、付着している液状樹脂を除去して、シート保持面122およびウェーハ保持面152に液状樹脂が付着していない状態で、ウェーハ100に保護部材を形成することができる。このため、均一な厚みの保護部材を形成することが可能になる。
【0084】
なお、第2保護部材形成装置2では、カメラ80および紫外線照射部90が、ガラステーブル121の上方に配置されている。これに関し、カメラ80は、ガラステーブル121の下面であるシート保持面122および第2ウェーハ保持機構150のウェーハ保持面152を撮像できる位置であれば、どの位置に設置されていてもよい。また、紫外線照射部90も、カメラ80の撮像領域外であって、ウェーハ100の裏面102に押し広げられた液状樹脂、シート保持面122およびウェーハ保持面152に紫外線を照射できる位置であれば、どの位置に設置されていてもよい。
なお、カメラ80は、ウェーハ保持面152とシート保持面122とを撮像できればよいため、ウェーハ保持面152とシート保持面122とを別々に撮像するように、カメラ80を水平方向に延在するアームに配置して、アームを回転させてもよい。
【0085】
なお、第1保護部材形成装置1および第2保護部材形成装置2では、カメラ80によって取得されるカラー画像の画素が小さいほど、小さな樹脂を検出することができる。たとえば、1画素が1μmであれば、撮像画から1μmの樹脂を検出することができる。したがって、カメラ80の画素は、できるだけ小さいことが好ましい。
【符号の説明】
【0086】
1:第1保護部材形成装置、2:第2保護部材形成装置、4:第1ウェーハ搬送機構、
5:第2ウェーハ搬送機構、7:制御部、8:シートカッター、9:タッチパネル、
10:シート供給機構、11:ロール部、12:シート、20:第1シート保持機構、
21:ガラステーブル、22:シート載置面、24:テーブル支持台、
30:第1シート載置機構、31:アーム部、32:クランプ部、
40:第1樹脂供給部、41:樹脂供給ノズル、
50:第1ウェーハ保持機構、51:支持構造、52:保持テーブル、
53:ウェーハ保持面、60:昇降機構、61:ボールネジ、62:モータ、
63:ガイドレール、64:昇降板、65:支持構造、71:第1制御部、
72:第2制御部、73:第1判断部、74:第2判断部、75:第3制御部、
76:第4制御部、77:第3判断部、78:第4判断部、80:カメラ、
90:紫外線照射部、100:ウェーハ、101:表面、102:裏面、
120:第2シート保持機構、121:ガラステーブル、122:シート保持面、
124:テーブル支持台、130:第2シート載置機構、131:テーブル移動機構、
132:シート配置機構、133:把持部、135:搬送テーブル、136:弾性部材、
140:第2樹脂供給部、141:樹脂供給ノズル、150:第2ウェーハ保持機構、
152:ウェーハ保持面、153:枠体、155:支持ピン、190:G値、
200:筐体、201:装置ベース、202:コラム、203:支持ベース、
204:カセット収容本体、207:カセット、211:仮置きテーブル、
212:カットテーブル、222:吸引源、223:吸引路、224:吸引口、
300:液状樹脂