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特開2023-181082ラミネート処理装置及び画像形成システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181082
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】ラミネート処理装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20231214BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20231214BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20231214BHJP
   B41J 29/377 20060101ALI20231214BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
G03G15/20 510
G03G21/00 370
B41J29/00 H
B41J29/377 103
B41J29/38 104
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023062618
(22)【出願日】2023-04-07
(31)【優先権主張番号】P 2022094308
(32)【優先日】2022-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】下舘一輝
(72)【発明者】
【氏名】杉山恵介
(72)【発明者】
【氏名】加藤裕一郎
(72)【発明者】
【氏名】吉田翔太
(72)【発明者】
【氏名】落合恭也
(72)【発明者】
【氏名】高井直樹
(72)【発明者】
【氏名】西東洋輔
【テーマコード(参考)】
2C061
2H033
2H270
【Fターム(参考)】
2C061AP07
2C061AQ06
2C061AS02
2C061BB17
2C061BB19
2C061BB28
2C061CK07
2C061CK13
2C061CN01
2C061CN07
2C061CN16
2C061HH01
2C061HH03
2C061HJ10
2C061HK10
2H033AA25
2H033BA31
2H033BB05
2H033BB13
2H033BB14
2H033BB15
2H033BE08
2H033CA06
2H033CA07
2H033CA36
2H033CA38
2H033CA40
2H033CA43
2H270LA25
2H270LA71
2H270MA34
2H270MA35
2H270MC44
2H270MD02
2H270MD10
2H270MD14
2H270MH16
(57)【要約】
【課題】停止処理時間を短縮化しつつ、ニップ部での熱加圧部の変形などの熱加圧部ダメージを防ぐ。
【解決手段】2枚重ねシートSと2枚重ねシートSに挿入されたシート状媒体Pをラミネート処理するラミネート処理装置100であって、2枚重ねシートを加熱及び加圧する熱加圧ローラ対120と、熱加圧ローラ対120を加熱する加熱手段123と、熱加圧ローラ対120を回転させる駆動部129と、を備え、熱加圧ローラ対120の動作を停止させるとき、加熱手段123への通電を遮断した後、熱加圧ローラ対120の状態に応じて熱加圧ローラ対120の即座停止又は回転動作後停止が選択されるラミネート処理装置100によって解決される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚重ねシートと前記2枚重ねシートに挿入されたシート状媒体をラミネート処理するラミネート処理装置であって、
前記2枚重ねシートを加熱及び加圧する熱加圧部と、
前記熱加圧部を加熱する加熱手段と、
前記熱加圧部を回転させる駆動手段と、を備え、
前記熱加圧部の動作を停止させるとき、前記加熱手段への通電を遮断した後、前記熱加圧部の状態に応じて前記熱加圧部の即座停止又は回転動作後停止が選択される、ことを特徴とするラミネート処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のラミネート処理装置において、
異常発生時には前記加熱手段への通電を即時遮断し、前記熱加圧部の状態に応じて前記熱加圧部の即座停止又は回転動作後停止が選択される、ことを特徴とするラミネート処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のラミネート処理装置において、
前記熱加圧部のための温度検知手段を備え、
前記熱加圧部の状態は前記温度検知手段で検知される温度である、ことを特徴とするラミネート処理装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のラミネート処理装置において、
前記加熱手段に接続したコントローラを備え、
前記熱加圧部の状態は前記コントローラで判断される前記加熱手段の点灯量である、ことを特徴とするラミネート処理装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のラミネート処理装置において、
前記熱加圧部の状態に応じて前記熱加圧部の回転動作の継続時間が決定される、ことを特徴とするラミネート処理装置。
【請求項6】
請求項1又は2に記載のラミネート処理装置において、
前記熱加圧部の状態に応じて前記熱加圧部の回転動作の回転速度が変更される、ことを特徴とするラミネート処理装置。
【請求項7】
請求項1又は2に記載のラミネート処理装置において、
前記熱加圧部は、一対のローラ部材から構成されている、ことを特徴とするラミネート処理装置。
【請求項8】
請求項7に記載のラミネート処理装置において、
前記熱加圧部は、表層としてのフッ素樹脂層と、当該表層の内側に位置する弾性層と、当該弾性層の内側に位置する中心部の芯金部とを有する、ことを特徴とするラミネート処理装置。
【請求項9】
前記シート状媒体に画像を形成する画像形成装置と、
請求項1又は2に記載のラミネート処理装置と、を備えた画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラミネート処理装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンター、複写機等の画像形成装置は、定着ローラ対によりシート上のトナー像を加熱・加圧して定着させる定着装置を備えている。このような定着装置に、シートを2枚のラミネートフィルムで挟持してなる積層シートを通紙させて、ラミネートフィルムを溶着させる処理(ラミネート処理)が可能なラミネート処理モードを有する画像形成装置が従来から知られている。
【0003】
しかし、従来のラミネート処理モードを有する画像形成装置では、ラミネート時には画像形成装置内の定着装置からの熱エネルギーを与えてラミネートフィルムを溶着させているが、不給紙などの異常が発生した際には安全性の観点からマシン動作を停止し、定着ヒータへの通電を遮断していた。そのため、ラミネート処理中に高温状態でマシンが停止すると、高温状態の定着ローラ対も回転を停止するため、定着ローラ対のニップ部に熱が集中して、ニップ部での定着ローラ対の変形などのローラダメージが発生する場合がある(図13)。
【0004】
このため、異常処理として、定着ヒータへの通電を即時遮断(以下、「ヒータ即断」とも言う)後に定着ローラ対を一定時間回転させて放熱させることで、ニップ部での定着ローラ対の変形を防ぐことが行われる(図14)。しかし、異常処理前の定着ローラの温度やヒータ点灯率によってローラダメージの程度が変わってくるところ、これらの条件に関わらず、一定時間定着ローラ対を回転させれば停止処理が闇雲に長くなり、次のジョブ再開までに時間がかかっていた。
【0005】
特許文献1には、画像形成装置における定着装置において加熱ローラが異常高温になったとしても加熱ローラを破損しにくくするために、加熱ローラの検出温度が許容温度範囲の上限温度より高い場合に異常であると判断し、ハロゲンランプによる発熱を停止させるとともに、加熱ローラを回転させる構成が開示されている。
【0006】
これは異常発生時における加熱ローラの停止制御に関する技術であるが、加熱ローラを一定時間回転させるため、停止処理終了までに時間がかかり、次のジョブ再開までに時間がかかってしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、停止処理時間を短縮化しつつ、ニップ部での熱加圧部の変形などの熱加圧部ダメージを防ぐことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、2枚重ねシートと前記2枚重ねシートに挿入されたシート状媒体をラミネート処理するラミネート処理装置であって、前記2枚重ねシートを加熱及び加圧する熱加圧部と、前記熱加圧部を加熱する加熱手段と、前記熱加圧部を回転させる駆動手段と、を備え、前記熱加圧部の動作を停止させるとき、前記加熱手段への通電を遮断した後、前記熱加圧部の状態に応じて前記熱加圧部の即座停止又は回転動作後停止が選択される、ことを特徴とするラミネート処理装置により解決される。
【発明の効果】
【0009】
停止処理時間を短縮化しつつ、ニップ部での熱加圧部の変形などの熱加圧部ダメージを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係るラミネート処理装置の全体構成図である。
図2】熱加圧ローラ対120から排紙トレイ104までの部分を示す部分拡大図である。
図3】熱加圧ローラ対120から排紙トレイ104までの部分を示す別な部分拡大図である。
図4】ラミネート処理装置の動作を制御する制御ブロックのハードウェア構成図である。
図5】ラミネート処理装置の排紙動作の実施形態を示すフローチャートである。
図6】ラミネート処理装置の排紙動作の別な実施形態を示すフローチャートである。
図7】本発明の実施形態に係るラミネート処理装置を備える画像形成装置の一例を示す全体構成図である。
図8】本発明の実施形態に係るラミネート処理装置を備える画像形成システムの一例を示す全体構成図である。
図9】熱加圧ローラ対120を有する定着部の概略図である。
図10】本発明の第1実施形態に係る熱加圧ローラ対の停止処理を示すフローチャートである。
図11】本発明の第2実施形態に係る熱加圧ローラ対の停止処理を示すフローチャートである。
図12】ヒータ点灯量D=時間t×ヒータ点灯率を示す図である。
図13】装置の異常停止時に定着ローラ対が停止することで熱により生じるローラのダメージを示す、従来の定着部の概略図である。
図14】装置の異常停止時にも定着ローラ対を所定時間回転させることで熱により生じるローラのダメージを回避する、定着部の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係るラミネート処理装置の全体構成図である。本実施形態のラミネート処理装置100は、2枚重ねシート(以下、シートSという)を互いに剥離し、その剥離したシートS内にシート状媒体(以下、中紙Pという)を挿入して挟持させるものである。
【0012】
ここで、シートSとは、2枚のシートが重ねられ、その一部(又は一辺)が接合された2枚重ねシートである。2枚重ねシートとしては、例えば、片側を透明ポリエステルシートなどの透過性シートとし、反対側を透明又は不透明シートとして、それらの一辺で接合したものがある。また、2枚重ねシートには、ラミネートフィルムも含まれる。
【0013】
中紙Pは、それら2枚重ねシートに挿入されるシート状媒体の一例である。シート状媒体には、普通紙以外に、厚紙、はがき、封筒、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙など)、トレーシングペーパ、OHPシートなどが含まれる。
【0014】
図1に示すように、ラミネート処理装置100は、シートSを積載する第1積載手段である給紙トレイ102と、給紙トレイ102からシートSを給送するピックアップローラ105と、第1搬送ローラ対107とを備える。また、ラミネート処理装置100の給紙トレイ102には、シートSのサイズを検知する複数のサイズ検知センサC11が配置されている。
【0015】
中紙挿入が完了したシートSは、第3搬送ローラ対113又はそれ以降に配置されたローラ等で排紙トレイ104に排出・スタックする。排紙トレイ104は、ラミネート処理装置100の筐体内部に配置されている。これにより、排紙トレイ104に向かうシートSの垂直搬送が容易化される。
【0016】
第1搬送ローラ対107の搬送方向下流には、シートSの搬送位置を検出する搬送センサC1が設けられ、入口ローラ146の搬送方向下流には、中紙Pの搬送位置を検出する搬送センサC2が設けられている。
【0017】
またラミネート処理装置100は、第1搬送ローラ対107の搬送方向下流に、第2搬送ローラ対108と、回転部材としての巻付けローラ109と、第3搬送ローラ対113と、第4搬送ローラ対144と、第5搬送ローラ対145と、排出ローラ対121と、排紙トレイ104などを備える。巻付けローラ109と第3搬送ローラ対113の間に、シートSの幅方向に移動可能に設けられた剥離部材116を備える。剥離部材116はシートSを剥離する剥離手段の一例である。
【0018】
第2搬送ローラ対108の搬送方向下流には、シートS及び中紙Pの搬送位置を検出する搬送センサC3が設けられ、巻付けローラ109の搬送方向下流には、シートSの状態を検出する異常状態検出センサC4が設けられている。そして、第3搬送ローラ対113の搬送方向下流には、シートSの搬送位置を検出する搬送センサC5が設けられている。
【0019】
なお、ピックアップローラ105、第1搬送ローラ対107、第2搬送ローラ対108、及び巻付けローラ109は、第1給送手段の一例である。
【0020】
図1において、第2搬送ローラ対108及び第3搬送ローラ対113は、それぞれ、例えば対となった2つのローラであり、駆動手段(モータなど)により回転駆動される。第2搬送ローラ対108は一方向に回転駆動され、第3搬送ローラ対113は正逆方向に回転駆動されることで、シートS及び中紙Pを挟持して搬送する。
【0021】
第2搬送ローラ対108は、シートS及び中紙Pを第3搬送ローラ対113に向けて鉛直下方に搬送する。
【0022】
一方、第3搬送ローラ対113は、その回転を正逆の両方向に切り替え可能である。第3搬送ローラ対113は、挟持したシートSを排紙トレイ104に向けて鉛直下方に搬送できるとともに、その逆方向(引き戻す方向)となる巻付けローラ109に向けてシートSを鉛直上方に搬送することもできる。
【0023】
また、ラミネート処理装置100は、これら第2搬送ローラ対108と第3搬送ローラ対113との間に、シート剥離部1を備えている。シート剥離部1は、回転部材である巻付けローラ109と、剥離部材116とを備える。巻付けローラ109は、駆動手段である巻付けローラモータ109a(図4参照)により正逆方向に回転駆動され、その回転を両方向(時計回り/反時計回り)に切り替え可能である。
【0024】
巻付けローラ109は、ローラ部材111と、ローラ部材111に設けられ、シートSを把持する可動の把持手段110とを有する。把持手段110は、把持手段モータ110a(図4参照)によりローラ部材111に対して回動可能に構成されている。そして、把持手段110は、ローラ部材111との間でシートSの先端を把持することを特徴とする。以上では把持手段110は、ローラ部材111とは別部品で構成される場合について説明したが、ローラ部材111の外周に一体的に把持手段110(把持部)に成形されてもよい。
【0025】
続いて、図1を用いて、ラミネート処理装置100の一連の動作、すなわちシートSの剥離から中紙Pの挿入までの動作を説明する。
【0026】
図1において、給紙トレイ102上のシートSは、2枚のシートの接合された一部が、ピックアップローラ105の給送方向(搬送方向)の下流側に位置するように積載される。そして、ラミネート処理装置100は、給紙トレイ102上のシートSをピックアップローラ105にてピックし、第1搬送ローラ対107に向けて搬送する。
【0027】
次いで、第1搬送ローラ対107の搬送方向下流に配置された第2搬送ローラ対108により、シートSを巻付けローラ109に向けて搬送する。ここでラミネート処理装置100は、シートSの4辺中の一辺である端部が接合された側を鉛直方向(鉛直下方)の下流側として搬送する。
【0028】
続いて、ラミネート処理装置100は、鉛直方向(鉛直下方)におけるシートSの後端部が巻付けローラ109を通過した時点で、その搬送を一時停止する。
【0029】
次に、ラミネート処理装置100は、把持手段110を開口するとともに、第3搬送ローラ対113の回転方向を反転し、把持手段110の開口部に向けて、シートSを鉛直上方に搬送する。
【0030】
続いて、ラミネート処理装置100は、シートSの端部を開口した把持手段110に挿入した時点で搬送を停止し、把持手段110を閉じてシートSの端部を把持する。なお、これら動作は、シートSを指定量搬送することで実施される。
【0031】
次いで、ラミネート処理装置100は巻付けローラ109を時計回りに回転し、シートSを巻付けローラ109に巻き付ける。ここでシートSは、2枚のシートの接合されていない側から巻付けローラ109に巻き付けられる。
【0032】
シートSを巻付けローラ109に巻き付けると、2枚重ねシートの巻き付け周長差(巻き付け量の差)によって内周側のシートが余り、シートSの接合した端に向けて弛みが生じる。その結果、2枚のシート間に空間が生じる。この生じた空間に剥離部材116をシートSの両側から挿入することで、2枚のシート間の空間を確実に維持することができる。なお、これら動作は、搬送センサC5によるシートSの先端検出をトリガとし、搬送センサC5から指定量搬送することで実施される。
【0033】
ラミネート処理装置100は、シートSに生じた空間に剥離部材116を挿入した状態で、巻付けローラ109を反時計回りに回転し、シートSの剥離した空間を鉛直方向(鉛直下方)におけるシートSの後端部まで移動させる。そして、指定量移動した時点で把持手段110を開放し、シートSの後端を上下に分離した状態とする。
【0034】
この状態で、ラミネート処理装置100はシートSの搬送を一時停止し、今度は剥離部材116をシートSの幅方向の両端部から中央部へ向かって移動させることで、シートSの後端の全域を剥離する。なお、これら動作は、搬送センサC5によるシートSの先端検出をトリガとし、搬送センサC5から指定量搬送することで実施される。
【0035】
次いで、ラミネート処理装置100は今度は第3搬送ローラ対113を反時計回りに回転させ、シートSを逆搬送方向に搬送する。シート先端が搬送センサC5を抜けたタイミングで、分岐部材118を切り替えることが可能となる。非定着経路にシートSを搬送する場合、分岐部材118は図示の位置のままとなるが、定着経路128にシートSを搬送する場合は、分岐部材118は、シートSを定着経路128に誘導する方向に切り替えられる。
【0036】
シートSの剥離された2枚のシートは、剥離部材116によりそれぞれ左右方向に案内され、2枚のシート全体が互いに剥離される。そして、ラミネート処理装置100はシートSの搬送を一時停止し、シートSの接合部を第3搬送ローラ対113にて把持(ニップ)した状態とする。したがって、シートSは接合された一辺を端として、大きく開口することになる。
【0037】
なお、これら動作は、搬送センサC5によるシートSの先端検出をトリガとし、搬送センサC5から指定量搬送することで実施される。
【0038】
次いで、ラミネート処理装置100は、第2搬送ローラ対108を回転し、画像形成装置側から搬送された中紙Pを第3搬送ローラ対113に向けて鉛直下方に搬送する。画像形成装置については図7を用いて後述する。
【0039】
続いて、ラミネート処理装置100は、第3搬送ローラ対113を回転してシートSと中紙Pを合流させ、開口したシートS内に中紙Pを挿入する。
以上が、シートSの剥離から中紙Pの挿入までの動作である。なお、開口したシートSの様子は図8に示されている。
【0040】
次いで、ラミネート処理装置100は、第3搬送ローラ対113により、中紙Pが挿入されたシートSを鉛直下方に搬送することで、シートSの2枚のシートを再度重ね、開口を閉じる。そして、中紙Pが挟み込まれたシートSを、第3搬送ローラ対113又はそれ以降に配置されたローラ等により、一対のローラ部材から構成されている熱加圧ローラ対120(「熱加圧部」に相当)を有する定着部へ搬送する。
【0041】
熱加圧ローラ対120の通過時にシートSが熱加圧され、定着される。シートSは熱加圧ローラ対120の通過後に排紙トレイ104に向かって鉛直下方に搬送され続け、排紙トレイ104に積載される。このように熱加圧ローラ対120の通過後に圧着されたシートSが鉛直下方に排出されるため、熱を帯びたシートSが外力によって湾曲することを抑制しつつシートSを排紙トレイ104に積載することができる。
【0042】
より詳細には、本発明の実施形態に係る垂直搬送によれば、シートSが鉛直下向きに排出されるため、シートSにかかる重力は熱加圧ローラ対120の定着ニップの接線と平行になり、シートSを変形させ得る外力がシートSにかからない。よって、シートSが垂直に排出し続ける限り、シートSの変形は抑制される。また、排紙トレイ104は、シートSの後端が熱加圧ローラ対120及び排出ローラ対121を抜けた後に配置されており、排紙トレイ104に到達するまでにシートSは冷却されるため、排紙トレイ104の積載面の傾斜はシートSが変形し得る外力をシートSに与えない。
【0043】
また、シートSが鉛直下方に搬送されることでシートSの先端が熱加圧ローラ対120に到達し、シートSの後端が熱加圧ローラ対120を抜け切るまで、シートSを鉛直下方に搬送し続ける。これにより、シートSの垂直搬送が確保され、熱加圧後のシートSが外力によって湾曲することを抑制することができる。
【0044】
このラミネート処理装置100は、シートSの給紙、剥離、中紙Pの挿入、及び熱加圧によるラミネート処理までの一連の動作を1台で実施できる構成である。この一連の動作を、人手を要さずに自動で実施でき、従来技術よりも利便性を向上できる。ラミネート処理装置100が熱加圧ローラ対120を有する定着部を備えており、ラミネート処理を実施できるため、ラミネート処理装置100は狭義にはラミネート処理装置であると言ってもよい。
【0045】
図2は、熱加圧ローラ対120から排紙トレイ104までの部分を示す部分拡大図である。
この例では、排紙トレイ104には複数枚のシート(ラミネート処理されたシートSG)が積載されている。そして図示のように、熱加圧ローラ対120の定着ニップから搬送経路延長線上の排紙トレイ104の積載面又は排紙トレイ104に積載されたシートSGの最上面までの距離LがシートSの搬送方向長さよりも長いように構成されている。これにより、シートSの後端が熱加圧ローラ対120を抜け切るまで、シートSの先端が排紙トレイ104の積載面又は積載されたシートSGに触れないため、熱を帯びたシートSの外力による湾曲を防ぐことができる。
【0046】
排紙トレイ104は、例えばシートSを50mmの厚さまで積載することができる。シートSGの満杯を検知するために、積載されたシートSGの最上面を検知する光学センサである満杯検知センサ160(例えば、レーザー変位計)が排紙トレイ104に配置されている。この場合、少なくともシートSGの50mmの厚さまで、距離LはシートSの搬送方向長さよりも長い。
【0047】
図3は、熱加圧ローラ対120から排紙トレイ104までの部分を示す別な部分拡大図である。
この例では、排紙トレイ104には図2に示す例よりも多いシート(ラミネート処理されたシートSG)が積載されている。図示のように、排出ローラ対121から排出された排紙中のシートSの先端が、排紙トレイ104内の定着後のシートSGの最上面に接触した場合、シートSは湾曲する。
【0048】
ここで、排紙中のシートSの先端とシートSGの最上面との接触点と、排出ローラ対121のニップを通る鉛直線との距離Dが30mm以下であるように、ラミネート処理装置100は構成される。例えば、距離Dが30mmとなる位置に有る、積載されたシートSまでの距離を検知する満杯検知センサ160(例えば、レーザー変位計)を排紙トレイ104に設置することで、距離Dが30mm以下かどうかを判断することができる。
【0049】
距離Dを30mm以下にすることで、排紙中のシートSの先端がシートSGの最上面に接触したとしても、シートSの湾曲を小さく抑えることができるとともに、スタック性能が向上する。また満杯検知センサ160が、距離Dが30mmを超えたことを検知した場合は、排紙トレイ104が満杯になったと判断し、ラミネート処理装置100は、シートSの定着及び搬送を停止する。このようにして距離Dが30mmより大きくなることを防止することで、排紙中のシートSの先端がシートSGの最上面に接触した際に、シートSが大きく湾曲することを防止できる。ただし、30mmという数値は一例にすぎず、ラミネート処理装置の仕様に依存して使用されるシートSや中紙Pの厚みにより予め評価して決定される数値である。
【0050】
また、図1乃至図3に示すように、熱加圧ローラ対120の下流に、排紙トレイ104に向かってシートSを排出する排出ローラ対121が配置されている。排出ローラ対121で排出することによって、熱加圧後のシートSの皺の形成を抑制することができる。排出ローラ対121によりシートSを鉛直方向に排紙することで、熱加圧後のシートSの湾曲を抑制することができる。
【0051】
図4は、ラミネート処理装置100において実行される制御処理を実行するためのハードウェア構成である。
図4に示すように、ラミネート処理装置100は、CPU(Central Processing Unit)901、RAM(Random Access Memory)902、ROM(Read Only Memory)903、HDD(Hard Disk Drive)904、及びI/F905が接続されている構成を備える。
【0052】
CPU901は演算手段であり、ラミネート処理装置100の全体の動作を制御する。RAM902は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU901が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM903は、読み出し専用の不揮発性の記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD904は、情報の読み書きが可能であって記憶容量が大きい不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーションプログラムなどが格納される。
【0053】
ラミネート処理装置100は、ROM903に格納された制御プログラムからRAM902にロードされた情報処理プログラム(アプリケーションプログラム)などをCPU901が備える演算機能によって処理する。その処理によって、ラミネート処理装置100の種々の機能モジュールを含むソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、ラミネート処理装置100に搭載されるハードウェア資源との組み合わせによって、ラミネート処理装置100の機能を実現する機能ブロックが構成される。すなわち、CPU901、RAM902、ROM903、及びHDD904は、は、ラミネート処理装置100の動作を制御するコントローラ127(制御部)を構成する。
【0054】
I/F905は、ピックアップローラ15、第1搬送ローラ対107、第2搬送ローラ対108、第3搬送ローラ対113、第4搬送ローラ対144、第5搬送ローラ対145、排出ローラ対121、サイズ検知センサC11、搬送センサC1~C5,C12、巻付けローラモータ109a、把持手段モータ110a、剥離部材モータ116a、分岐部材モータ118a、熱加圧ローラモータ129a、ヒータ123(「加熱手段」に相当)、サーミスタ125(「温度検知手段」に相当)、満杯検知センサ160、及び操作パネル10をコントローラ127に接続するインターフェースである。
【0055】
また、コントローラ127は、I/F905を通じて、ピックアップローラ15、第1搬送ローラ対107、第2搬送ローラ対108、第3搬送ローラ対113、第4搬送ローラ対144、第5搬送ローラ対145、排出ローラ対121、巻付けローラモータ109a、把持手段モータ110a、剥離部材モータ116a、分岐部材モータ118a、熱加圧ローラモータ129a、及びヒータ123の動作を制御する。また、コントローラ127は、サイズ検知センサC11、搬送センサC1~C5,C12、サーミスタ125、及び満杯検知センサ160からの検知結果を取得する。
【0056】
なお、巻付けローラモータ109aは、巻付けローラ109を正逆方向に回転させるための駆動手段である。把持手段モータ110aは、把持手段110を回動させるための駆動手段である。剥離部材モータ116aは、剥離部材116をシートSの幅方向に移動させるための駆動手段である。分岐部材モータ118aは、分岐部材118の位置を切替るための駆動手段である。
【0057】
図5は、ラミネート処理装置の排紙動作の実施形態を示すフローチャートである。
熱加圧ローラ対120を有する定着部での熱加圧動作の開始後、ラミネート処理装置100は、ステップS1にてシートSの後端が熱加圧ローラ対120を抜け切ったかどうか判断する。このために、ラミネート処理装置100はシートSを検出する検出手段を有し、検出手段は、例えば熱加圧ローラ対120の搬送方向下流に配置された搬送センサC12(図3)である。
【0058】
シートSの後端が熱加圧ローラ対120を抜け切ったら(S1,Yes)、ラミネート処理装置100は、シートSの排紙動作を停止し(S2)、排出ローラ対121によってシートSを保持する。次いで、ステップS3において、サイズ検知センサC11により検知されたシートSのサイズに応じて、ラミネート処理装置100に備えられた計時手段が待ち時間Tを設定し、ステップS4において待ち時間Tが経過したかどうか判断する。次いで、待ち時間Tが経過したら(S4,Yes)、ラミネート処理装置100は、ステップS5においてシートSの排紙動作を再開し、排紙する。
【0059】
以上のように、排出ローラ対121を停止させ、排出ローラ対121によってシートSを保持し、待ち時間T(所要時間)が経過するのを待ってから排紙動作を再開する。これにより、熱加圧されたシートSの温度が低下するのを待ってから排紙するので、シートSの湾曲を抑制することができる。
【0060】
図6は、ラミネート処理装置の排紙動作の別な実施形態を示すフローチャートである。
熱加圧ローラ対120を有する定着部での熱加圧動作の開始後、ラミネート処理装置100は、ステップS11にてシートSの後端が熱加圧ローラ対120を抜け切ったかどうか判断する。このために、ラミネート処理装置100はシートSを検出する検出手段を有し、検出手段は、例えば熱加圧ローラ対120の搬送方向下流に配置された搬送センサC12(図3)である。
【0061】
シートSの後端が熱加圧ローラ対120を抜け切ったら(S11,Yes)、ラミネート処理装置100は、ステップS12において排出ローラ対121の回転速度を増加させて、シートSの搬送速度を増加させる。これにより、熱加圧されたシートSの先端が排紙トレイ104の積載面又は積載されたシートSGの最上面に接触する時間が短くなるため、シートSの湾曲を抑制することができる。
【0062】
図7は、本発明の実施形態に係るラミネート処理装置と、画像形成装置を備えた画像形成システムを備える画像形成装置の一例を示す全体構成図である。この画像形成システム500は、中紙Pなどに画像形成を行う画像形成装置300と、ラミネート処理装置部として外部にラミネート処理装置100とを備える。ラミネート処理装置100は、シートSを積載する給紙トレイ102を備えるとともに、中紙Pを画像形成装置300から中継装置310を介してラミネート処理装置100に搬送可能に構成されている。したがって、画像形成装置300(例えば、プリンタ、コピー機など)により、画像が形成されたシートSの中に挿入する中紙Pをインラインで挿入できる。そのため、画像形成システム500は、シートSの給紙から剥離、中紙挿入、熱加圧によるラミネート処理までの一連の動作を、人手を要さずに実施可能である。
【0063】
画像形成装置300の外装部には、画像形成装置300における情報表示や、操作入力の受付を行う表示操作手段である操作パネル10が設置されている。また、この操作パネル10は、ユーザーに知覚信号を発する報知手段としての役割を兼ねる。なお、代替として、操作パネル10以外の報知手段を、画像形成装置300に別途設ける構成としてもよい。
【0064】
図8は、本発明の実施形態に係るラミネート処理装置と、画像形成装置を備えた画像形成システムの他の一例を示す全体構成図である。画像形成システム500は、画像形成装置300、中継装置310、ラミネート処理装置100及び後処理装置400を有する。
画像形成システム500は、中継装置310を介して画像形成装置300で画像が形成された中紙Pを、ラミネート処理装置100へ搬送可能に構成されており、ラミネート処理装置100の下流にさらにラミネート処理装置100とは別の後処理装置400が設置されている。このように、ラミネート処理装置100の下流にさらにラミネート処理装置100とは別の後処理装置400を設置することで、ラミネート処理しない印刷ジョブの場合であって、かつ他の後処理(例えば綴じ処理や折り処理)が必要な印刷ジョブの場合には、画像形成装置300から搬送されたシート(中紙)を、ラミネート処理装置100を単に通過させて、後処理装置400へ搬送し、シート(中紙)に対して後処理装置400による後処理を実行することが可能になる。よって、ユーザーのニーズに合わせて効率を落とすことなく画像形成システム500を使用することが可能となる。
【0065】
次に、本発明の実施形態に係る定着部の詳細な構成を説明する。
図9は、熱加圧ローラ対120を有する定着部の概略図である。
熱加圧ローラ対120は、その表層としてのフッ素樹脂層(PFAチューブ)120A、表層の内側に位置する弾性層としてのゴム層120B及び弾性層の内側に位置する中心部の芯金部120Cを有するローラ部材である。表層としてフッ素樹脂層を用いることで表層に汚れが付着しにくくなる。ただし、フッ素樹脂層は熱によるダメージを受けやすいので、場合により熱加圧ローラ対120の停止前の継続回転動作が必要となる。また、熱加圧ローラ対120はローラ対として形成されており、それらの間にはシートSを挟持するニップ部が形成されている。また、それぞれの熱加圧ローラ対120内には熱加圧ローラ対120を加熱する加熱手段としてのヒータ123がそれぞれ設置されている。また、ニップ部入口側には、加熱される熱加圧ローラ対120の温度を検知するための温度検知手段としてのサーミスタ125が熱加圧ローラ対120に対向して配置されている。また、コントローラ127がサーミスタ125及びヒータ123に接続している。また、熱加圧ローラ対120を回転駆動させる駆動部129(「駆動手段」に相当)が熱加圧ローラ対120に接続している。駆動部129の一例は熱加圧ローラモータ129a(図4参照)である。
【0066】
次に、本発明の特徴的な構成について説明する。
図10は、本発明の第1実施形態に係る熱加圧ローラ対の停止処理を示すフローチャートである。
本実施形態では、サーミスタ125による熱加圧ローラ対120の温度検知によって熱加圧ローラ対120の状態を判断し、その状態に応じて熱加圧ローラ対120の即座停止又は回転動作後停止が選択される。装置の停止処理発生時の熱加圧ローラ対120の温度によってその適正な停止制御を行うことで、熱加圧ローラ対120にダメージを与えずに停止させることができる。
【0067】
具体的には、ステップS101にて熱加圧ローラ対120の停止処理が発生した場合(すなわち、異常発生時)、ステップS102にて安全性を考慮してヒータ123の即断を実施する。異常発生時にはヒータ123の即断を実施し、熱加圧ローラ対120の適切な停止時回転制御を行うことで安全に装置を停止できる。次に、ステップS103にて、ヒータ即断時におけるローラ温度をサーミスタ125により検知し、ローラ温度が第1所定温度T1=180℃以下かどうかコントローラ127にて判断し、熱加圧ローラ対120の回転要否を判定する。
【0068】
ヒータ即断時におけるローラ温度が第1所定温度T1=180℃以下の場合(S103,Yes)、コントローラ127は、ステップS108にて熱加圧ローラ対120の回転を即座に停止する。
一方で、ヒータ即断時におけるローラ温度が第1所定温度T1=180℃より大きい場合(S103,No)、ステップS104にてローラ温度が第2所定温度T2=200℃以下かどうかコントローラ127にて判断する。ここで、第2所定温度T2>第1所定温度T1である。
【0069】
ローラ温度が第2所定温度T2=200℃以下の場合(S104,Yes)、ステップS105にてコントローラ127により熱加圧ローラ対120の回転時間を第1回転時間A=30秒に設定する一方、ローラ温度が第2所定温度T2=200℃より大きい場合(S104,No)、ステップS106にてコントローラ127により熱加圧ローラ対120の回転時間を第2回転時間B=60秒に設定する。すなわち、熱加圧ローラ対120は回転動作後に停止される。ここで、第2回転時間B>第1回転時間Aである。装置の停止時の状態によって、最小の熱加圧ローラ対120の回転動作の継続時間(回転時間)を決定することで、必要以上に回転させず、停止処理時間を短縮化することができる。
【0070】
次に、コントローラ127は、ステップS107にて設定時間(30秒又は60秒)が経過したかどうか判定し、経過したら(S107,Yes)、ステップS108にて熱加圧ローラ対120の回転を停止し、動作完了とする。
【0071】
なお、第1所定温度T1、第2所定温度T2、第1回転時間A、第2回転時間Bの大きさはそれぞれ、適宜変更することができる。
【0072】
図11は、本発明の第2実施形態に係る熱加圧ローラ対の停止処理を示すフローチャートである。
本実施形態では、サーミスタ125による熱加圧ローラ対120の温度検知及びコントローラ127によるヒータ点灯量(時間×点灯率)の判断によって熱加圧ローラ対120の状態を判断し、その状態に応じて熱加圧ローラ対120の即座停止又は回転動作後停止が選択される。ここで、サーミスタ125の温度検知に代えて、ヒータ点灯量によって熱加圧ローラ対120の状態を判断してもよい。装置停止時の直前のヒータ点灯量によって、熱加圧ローラ対120の適正な停止制御を行うことで、熱加圧ローラ対120にダメージを与えずに停止させることができる。センサ情報(サーミスタ情報)に依存しないので、センサ異常時でも装置を安全に停止させることができる。
【0073】
具体的には、ステップS201にて熱加圧ローラ対120の停止処理が発生した場合(すなわち、異常発生時)、ステップS202にて安全性を考慮してヒータ123の即断を実施する。異常発生時にはヒータ123の即断を実施し、熱加圧ローラ対120の適切な停止時回転制御を行うことで安全に装置を停止できる。次に、ステップS203にて、ヒータ即断時におけるローラ温度をサーミスタ125により検知し、ローラ温度が第1所定温度T1=180℃以下であり且つヒータ点灯量D1=4800J以下であるかどうかコントローラ127にて判断し、熱加圧ローラ対120の回転要否を判定する。
【0074】
ここで、ヒータ点灯量は、図12に示すように、停止処理発生時のヒータ即断時から所定時間t=5秒分のヒータ点灯率を示す。つまり、ヒータ点灯量D=時間t×ヒータ点灯率である。
【0075】
コントローラ127が、ステップS203の条件が満たされると判断したとき(S203,Yes)、ステップS211にて熱加圧ローラ対120の回転を即座に停止する。
一方で、コントローラ127が、ステップS203の条件が満たされないと判断したとき(S203,No)、コントローラ127は、ステップS204にてローラ温度が第2所定温度T2=200℃以下かどうかを判定する(第2所定温度T2>第1所定温度T1)。
【0076】
ステップS204にてローラ温度が第2所定温度T2=200℃以下の場合(S204,Yes)、コントローラ127は、ステップS205にて熱加圧ローラ対120の回転時間を第1回転時間A=30秒に設定する一方、ローラ温度が第2所定温度T2=200℃より大きい場合(S204,No)、コントローラ127は、ステップS206にて熱加圧ローラ対120の回転時間を第2回転時間B=60秒に設定する(第2回転時間B>第1回転時間A)。すなわち、熱加圧ローラ対120は回転動作後に停止される。装置停止時の状態によって、最小の熱加圧ローラ対120の回転動作の継続時間(回転時間)を決定することで、必要以上に回転させず、停止処理時間を短縮化することができる。
【0077】
次に、コントローラ127は、ステップS207にて、ヒータ即断時におけるローラ温度が第1所定温度T1=180℃以下であり且つヒータ点灯量D1=4800J以下であるかどうかによって、ローラ回転速度を設定する。装置停止時の状態によって熱加圧ローラ対120の回転速度を変更することで、熱加圧ローラ対120の温度を早く下げ、ユーザーの待ち時間を低減させることができる。
【0078】
コントローラ127が、ステップS207の条件が満たされると判断したとき(S207,Yes)、コントローラ127は、ステップS208にて熱加圧ローラ対120の回転速度を第1回転速度A=15mm/secに変更し、ステップS207の条件が満たされない場合(S207,No)、コントローラ127は、ステップS209にて熱加圧ローラ対120の回転速度を第2回転速度B=30mm/secに変更する(第2回転速度B>第1回転速度A)。
【0079】
次に、コントローラ127は、ステップS210にて設定時間(30秒又は60秒)が経過したかどうか判定し、設定時間経過後(S210,Yes)、ステップS211にて熱加圧ローラ対120の回転を停止し、動作完了とする。
【0080】
なお、第1所定温度T1、第2所定温度T2、第1回転時間A、第2回転時間B、第1回転速度A、第2回転速度B、ヒータ点灯量D1の大きさは適宜変更することができる。
また、第1所定温度T1、第2所定温度T2、第3所定温度T3・・・のように、各パラメータの設定閾値を増やし、より細かい条件を有する制御を行ってもよい。
【0081】
以上説明したように、本発明の実施形態に係るラミネート処理装置によれば、異常発生時には定着ヒータへの通電を即時遮断し、熱加圧ローラ対120の状態に応じて熱加圧ローラ対120の即座停止又は回転動作後停止を選択することで、停止処理時間を短縮化しつつ、ニップ部での熱加圧ローラ対の変形などのローラダメージを防ぐことができる。熱加圧ローラ対120の回転動作を行う際も、ローラ温度やヒータ点灯率によってローラ回転時間やローラ回転速度を変更することで停止処理時間が短縮化され、次のプリントジョブまでの復帰時間を短くすることができる。
【0082】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
(態様1)
2枚重ねシートと前記2枚重ねシートに挿入されたシート状媒体をラミネート処理するラミネート処理装置であって、
前記2枚重ねシートを加熱及び加圧する熱加圧部と、
前記熱加圧部を加熱する加熱手段と、
前記熱加圧部を回転させる駆動手段と、を備え、
前記熱加圧部の動作を停止させるとき、前記加熱手段への通電を遮断した後、前記熱加圧部の状態に応じて前記熱加圧部の即座停止又は回転動作後停止が選択される、ことを特徴とするラミネート処理装置。
(態様2)
態様1に記載のラミネート処理装置において、
異常発生時には前記加熱手段への通電を即時遮断し、前記熱加圧部の状態に応じて前記熱加圧部の即座停止又は回転動作後停止が選択される、ことを特徴とするラミネート処理装置。
(態様3)
態様1又は2に記載のラミネート処理装置において、
前記熱加圧部のための温度検知手段を備え、
前記熱加圧部の状態は前記温度検知手段で検知される温度である、ことを特徴とするラミネート処理装置。
(態様4)
態様1~3のいずれか一項に記載のラミネート処理装置において、
前記加熱手段に接続したコントローラを備え、
前記熱加圧部の状態は前記コントローラで判断される前記加熱手段の点灯量である、ことを特徴とするラミネート処理装置。
(態様5)
態様1~4のいずれか一項に記載のラミネート処理装置において、
前記熱加圧部の状態に応じて前記熱加圧部の回転動作の継続時間が決定される、ことを特徴とするラミネート処理装置。
(態様6)
態様1~5のいずれか一項に記載のラミネート処理装置において、
前記熱加圧部の状態に応じて前記熱加圧部の回転動作の回転速度が変更される、ことを特徴とするラミネート処理装置。
(態様7)
態様1~6のいずれか一項に記載のラミネート処理装置において、
前記熱加圧部は、一対のローラ部材から構成されている、ことを特徴とするラミネート処理装置。
(態様8)
態様7に記載のラミネート処理装置において、
前記熱加圧部は、表層としてのフッ素樹脂層と、当該表層の内側に位置する弾性層と、当該弾性層の内側に位置する中心部の芯金部とを有する、ことを特徴とするラミネート処理装置。
(態様9)
前記シート状媒体に画像を形成する画像形成装置と、
態様1~8のいずれか一項に記載のラミネート処理装置と、を備えた画像形成システム。
【符号の説明】
【0083】
100 ラミネート処理装置
120 熱加圧ローラ対(熱加圧部)
123 ヒータ(加熱手段)
129 駆動部(駆動手段)
P 中紙(シート状媒体)
S シート(2枚重ねシート)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0084】
【特許文献1】特開2011-221261号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2023-05-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
第1搬送ローラ対107の搬送方向下流には、シートSの搬送位置を検出する搬送センサC1が設けられ、入口ローラ対146の搬送方向下流であって、出口ローラ対147の上流には、中紙Pの搬送位置を検出する搬送センサC2が設けられている。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0039】
続いて、ラミネート処理装置100は、第3搬送ローラ対113を回転してシートSと中紙Pを合流させ、開口したシートS内に中紙Pを挿入する。
以上が、シートSの剥離から中紙Pの挿入までの動作である。なお、剥離されたシートSは、図8の符号SRで示すように、シートSを構成する2枚のシートが各々左右方向に分離された状態となっている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0054
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0054】
I/F905は、ピックアップローラ105、第1搬送ローラ対107、第2搬送ローラ対108、第3搬送ローラ対113、第4搬送ローラ対144、第5搬送ローラ対145、排出ローラ対121、サイズ検知センサC11、搬送センサC1~C5,C12、巻付けローラモータ109a、把持手段モータ110a、剥離部材モータ116a、分岐部材モータ118a、熱加圧ローラモータ129a、ヒータ123(「加熱手段」に相当)、サーミスタ125(「温度検知手段」に相当)、満杯検知センサ160、及び操作パネル10をコントローラ127に接続するインターフェースである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0055
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0055】
また、コントローラ127は、I/F905を通じて、ピックアップローラ105、第1搬送ローラ対107、第2搬送ローラ対108、第3搬送ローラ対113、第4搬送ローラ対144、第5搬送ローラ対145、排出ローラ対121、巻付けローラモータ109a、把持手段モータ110a、剥離部材モータ116a、分岐部材モータ118a、熱加圧ローラモータ129a、及びヒータ123の動作を制御する。また、コントローラ127は、サイズ検知センサC11、搬送センサC1~C5,C12、サーミスタ125、及び満杯検知センサ160からの検知結果を取得する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0062
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0062】
図7は、本発明の実施形態に係るラミネート処理装置と、画像形成装置を備えた画像形成システムの一例を示す全体構成図である。この画像形成システム500は、中紙Pなどに画像形成を行う画像形成装置300と、ラミネート処理装置部として外部にラミネート処理装置100とを備える。ラミネート処理装置100は、シートSを積載する給紙トレイ102を備えるとともに、中紙Pを画像形成装置300から中継装置310を介してラミネート処理装置100に搬送可能に構成されている。したがって、画像形成装置300(例えば、プリンタ、コピー機など)により、画像が形成されたシートSの中に挿入する中紙Pをインラインで挿入できる。そのため、画像形成システム500は、シートSの給紙から剥離、中紙挿入、熱加圧によるラミネート処理までの一連の動作を、人手を要さずに実施可能である。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0069
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0069】
ローラ温度が第2所定温度T2=200℃以下の場合(S104,Yes)、ステップS105にてコントローラ127により熱加圧ローラ対120の回転時間を第1回転時間TA=30秒に設定する一方、ローラ温度が第2所定温度T2=200℃より大きい場合(S104,No)、ステップS106にてコントローラ127により熱加圧ローラ対120の回転時間を第2回転時間TB=60秒に設定する。すなわち、熱加圧ローラ対120は回転動作後に停止される。ここで、第2回転時間TB>第1回転時間TAである。装置の停止時の状態によって、最小の熱加圧ローラ対120の回転動作の継続時間(回転時間)を決定することで、必要以上に回転させず、停止処理時間を短縮化することができる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0071
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0071】
なお、第1所定温度T1、第2所定温度T2、第1回転時間TA、第2回転時間TBの大きさはそれぞれ、適宜変更することができる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0076
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0076】
ステップS204にてローラ温度が第2所定温度T2=200℃以下の場合(S204,Yes)、コントローラ127は、ステップS205にて熱加圧ローラ対120の回転時間を第1回転時間TA=30秒に設定する一方、ローラ温度が第2所定温度T2=200℃より大きい場合(S204,No)、コントローラ127は、ステップS206にて熱加圧ローラ対120の回転時間を第2回転時間TB=60秒に設定する(第2回転時間TB>第1回転時間TA)。すなわち、熱加圧ローラ対120は回転動作後に停止される。装置停止時の状態によって、最小の熱加圧ローラ対120の回転動作の継続時間(回転時間)を決定することで、必要以上に回転させず、停止処理時間を短縮化することができる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0078
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0078】
コントローラ127が、ステップS207の条件が満たされると判断したとき(S207,Yes)、コントローラ127は、ステップS208にて熱加圧ローラ対120の回転速度を第1回転速度SA=15mm/secに変更し、ステップS207の条件が満たされない場合(S207,No)、コントローラ127は、ステップS209にて熱加圧ローラ対120の回転速度を第2回転速度SB=30mm/secに変更する(第2回転速度SB>第1回転速度SA)。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0080
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0080】
なお、第1所定温度T1、第2所定温度T2、第1回転時間TA、第2回転時間TB、第1回転速度SA、第2回転速度SB、ヒータ点灯量D1の大きさは適宜変更することができる。
また、第1所定温度T1、第2所定温度T2、第3所定温度T3・・・のように、各パラメータの設定閾値を増やし、より細かい条件を有する制御を行ってもよい。
【手続補正11】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図10
【補正方法】変更
【補正の内容】
図10
【手続補正12】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図11
【補正方法】変更
【補正の内容】
図11