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特開2023-181159媒体処理装置、及び媒体処理装置を備えた画像形成システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181159
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】媒体処理装置、及び媒体処理装置を備えた画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 37/04 20060101AFI20231214BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20231214BHJP
   B42B 5/00 20060101ALI20231214BHJP
   B42B 4/00 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
B65H37/04 D
B65H37/04 Z
G03G15/00 432
B42B5/00
B42B4/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096490
(22)【出願日】2023-06-12
(31)【優先権主張番号】P 2022094394
(32)【優先日】2022-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】深澤 光
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 圭
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 一貴
【テーマコード(参考)】
2H072
3F108
【Fターム(参考)】
2H072AA25
2H072GA07
3F108GA01
3F108GB01
3F108HA02
3F108HA34
3F108HA36
3F108HA45
3F108HA55
(57)【要約】
【課題】従来の針綴じ処理よりも綴じ強度を向上させ、また、綴じ可能枚数を増加させる
ことができる媒体処理装置を提供する。
【解決手段】媒体を重ねた媒体束の一部に、針状部材を貫通させて綴じる針綴じ手段と、媒体束における液体付与領域に液体付与を行なう液体付与手段と、針綴じ手段と液体付与手段による針綴じ動作を制御する制御部と、を備え、針綴じ動作において、液体付与手段が液体付与領域に液体付与を行った後、針綴じ手段が液体付与領域に針状部材を貫通させる、媒体処理装置による。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を重ねた媒体束の一部に、針状部材を貫通させて綴じる針綴じ手段と、
前記媒体束における液体付与領域に液体付与を行なう液体付与手段と、
前記針綴じ手段と前記液体付与手段による針綴じ動作を制御する制御部と、
を備え、
前記針綴じ動作において、前記液体付与手段が前記液体付与領域に液体付与を行った後、前記針綴じ手段が当該液体付与領域に前記針状部材を貫通させる、
ことを特徴とする媒体処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記媒体束を構成する媒体の枚数に応じて、前記針綴じ動作における前記液体付与の実行の有無を切り替える、
請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項3】
前記媒体束の一部を加圧変形させて綴じる圧着手段をさらに備え、
前記制御部は、前記圧着手段による圧着綴じ動作も制御する、
請求項1又は2に記載の媒体処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記媒体束を構成する媒体の枚数に応じて、前記媒体束に対する前記液体付与の実行の有無、及び、前記針綴じ手段による針綴じ動作、又は前記圧着手段による圧着綴じ動作の実行を切り替える、
請求項3に記載の媒体処理装置。
【請求項5】
前記針綴じ手段による針綴じ動作、又は前記圧着手段による圧着綴じ動作を切り替えるための切替条件の設定を行う切替条件設定部を備える、
請求項3に記載の媒体処理装置。
【請求項6】
前記切替条件は、前記媒体の種類、前記媒体の厚み、及び前記媒体束を構成する前記媒体の枚数の少なくとも1つに応じて設定される、
請求項5に記載の媒体処理装置。
【請求項7】
切替条件設定部により、設定された切替条件を保持する切替条件保持部を備える、
請求項5に記載の媒体処理装置。
【請求項8】
前記液体付与手段は、液体を貯留する貯液部と、
前記貯液部内の液体残量を検知する液量検知手段と、を備え、
前記制御部は、前記媒体束を構成する前記媒体の枚数を綴じるのに必要な液体量に比べて、前記液体残量が少ないときは、前記針綴じ手段と前記液体付与手段による針綴じ動作を中止する、
請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項9】
前記針綴じ手段と前記液体付与手段による針綴じ動作を中止した場合に、前記針綴じ手段による針綴じ処理に切り替えることを通知する通知部をさらに備える、
請求項8に記載の媒体処理装置。
【請求項10】
前記媒体に画像を形成する画像形成装置と、
複数の前記媒体からなる媒体束に綴じ動作を行う請求項1に記載の媒体処理装置と、を備えた画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体処理装置、及び媒体処理装置を備えた画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
シート状の媒体を積み重ねたシート束を綴る媒体処理装置が知られている。当該媒体装置に適用される綴じ処理として、シート束に貫通させる針状の部材(綴じ部材)を用いて綴る「針綴じ処理」や、綴じ部材を用いずに、シート束の一部に圧力を加えて変形させて綴る「圧着綴じ処理」などが知られている。なお、針綴じ処理に用いる綴じ部材は、金属製の綴じ針(ステイプル針)が一般的である。
【0003】
針綴じ処理と圧着綴じ処理を選択的に実行可能なシート処理装置において、圧着綴じ処理で綴じることができる枚数を超えるときには、針綴じ処理を実行するように綴じ方式を切り替える技術が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
また、圧着綴じ処理に用いられる凹凸形状の圧着部材で圧着される用紙の部分にあらかじめ水分を加える処理をし、綴じ強度の向上および、綴じ可能枚数を増やす技術が開示されている(例えば、特許文献2を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている針綴じ処理では、剛度の硬い媒体や、厚紙又はコート紙のように厚みが普通紙よりも厚い媒体を、多数を積み重ねたシート束には、綴じ部材が貫通しにくいことがある。そのため、従来の針綴じ処理では、綴じ強度を確保するために、シート束を構成する媒体(シート)の種類や厚さによって綴じ可能枚数が制限されるという課題がある。
【0006】
また、特許文献2に開示されている技術のように、加水してから圧着綴じ処理を行なう場合、加水をしない場合に比較して綴じ可能枚数は増えるが、より多量のシートを綴るには、圧着綴じ処理のみではシート束の綴じ強度が低下してしまうという課題がある。
【0007】
本発明は、従来の針綴じ処理よりも綴じ強度を向上させ、また、綴じ可能枚数を増加させることができる媒体処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、媒体を重ねた媒体束の一部に、針状部材を貫通させて綴じる針綴じ手段と、前記媒体束における液体付与領域に液体付与を行なう液体付与手段と、前記針綴じ手段と前記液体付与手段による針綴じ動作を制御する制御部と、を備え、前記針綴じ動作において、前記液体付与手段が前記液体付与領域に液体付与を行った後、前記針綴じ手段が当該液体付与領域に前記針状部材を貫通させる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、従従来の針綴じ処理よりも綴じ強度を向上させ、また、綴じ可能枚数を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】画像形成システムの全体構成を示す図。
図2】第一実施形態に係る後処理装置の内部構造を示す図。
図3】針綴じ処理部を搬送方向の上流側から見た模式図。
図4】針綴じ処理部を主走査方向の液体付与手段側から見た模式図。
図5】針綴じ処理部の変形例を搬送方向の上流側から見た模式図。
図6】端綴じ処理部を搬送方向の上流側から見た模式図。
図7】端綴じ処理部を主走査方向の第二液体付与手段側から見た模式図。
図8】端綴じ処理部の圧着手段の構成を示す模式図。
図9】第一実施形態に係る後処理装置の動作を制御する制御ブロックのハードウェア構成図。
図10】液体付与針綴じ処理における各綴じ処理部の位置及び動作の第一例を示す図。
図11】液体付与針綴じ処理における各綴じ処理部の位置及び動作の第二例を示す図。
図12】液体付与針綴じ処理における各綴じ処理部の位置及び動作の第三例を示す図。
図13】液体付与針綴じ処理における加水位置と綴じ位置の関係を例示する図。
図14】針綴じ処理と液体付与針綴じ処理を自動切り替え可能とする綴じ処理のフローチャート。
図15】針綴じ処理のフローチャート。
図16】液体付与針綴じ処理のフローチャート。
図17】圧着綴じ処理と針綴じ処理を液体付与の有無を含めて自動的に切り替え可能とする綴じ処理のフローチャート。
図18】綴じ処理の自動切替の設定を変更する処理のフローチャート。
図19図18の処理における設定画面の例。
図20図14の処理における設定画面の例。
図21図14の処理における設定データのデータ構造例。
図22図17の処理における設定画面の例。
図23図17の処理における設定データのデータ構造例。
図24図17の処理における設定画面の例。
図25】第二実施形態に係る後処理装置の内部構造を示す図。
図26】第二実施形態に係る内部トレイを用紙の厚み方向から見た図。
図27】第二実施形態に係る針綴じ処理部を搬送方向の下流側から見た模式図。
図28】第二実施形態に係る液体付与部を用紙の厚み方向から見た図。
図29図26のXXV-XXVにおける断面図。
図30図26のXXVI-XXVIにおける断面図。
図31】第二実施形態に係る後処理装置の制御ブロックのハードウェア構成図。
図32】第二実施形態に係る後処理装置の後処理フローチャート。
図33】画像形成システムの変形例の全体構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る画像形成システム1について、図面を参照しながら説明する。図1は、画像形成システム1の全体構成を示す図である。画像形成システム1は、シート状の媒体としての用紙Pに画像を形成し、画像が形成された用紙Pに対して後処理を施す機能を有する。図1に示すように、画像形成システム1は、画像形成装置2と、本発明に係る後処理装置3(媒体処理装置)とで構成される。
【0012】
画像形成装置2は、用紙Pに画像を形成し、画像を形成した用紙Pを後処理装置3に排出する。画像形成装置2は、用紙Pが収容されたトレイと、トレイに収容された用紙Pを搬送する搬送部と、搬送部によって搬送された用紙Pに画像を形成する画像形成部とを備える。画像形成部は、インクを用いて画像を形成するインクジェット方式でもよいし、トナーを用いて画像を形成する電子写真方式でもよい。画像形成装置2の構成は既に周知なので、詳細な説明は省略する。
【0013】
[後処理装置の第一実施形態]
図2は、第一実施形態に係る後処理装置3(媒体処理装置)の内部構造を示す図である。後処理装置3は、画像形成装置2によって画像が形成された用紙Pに後処理を施す。本実施形態に係る後処理の一つは、画像が形成された複数枚の用紙Pの束(シート束)を、綴じ針を用いて綴じる「針綴じ処理」としての綴じ処理である。また、本実施形態に係る後処理の他の一つは、画像が形成された複数枚の用紙Pの束(シート束)を、綴じ針を用いずに綴じる「圧着綴じ処理」としての綴じ処理である。以下、複数の用紙Pの束(媒体束)を「用紙束Pb」と表記する。
【0014】
なお、本実施形態に係る「圧着綴じ処理」とは、より詳細には、用紙束Pbの一部に相当する綴じ位置に対し圧力を加えて、当該綴じ位置を変形させて(加圧変形させて)綴じる処理であって、「圧着綴じ」と称される処理である。なお、後処理装置3において実行可能な綴じ処理は、用紙束Pbの端部を綴じる端綴じ処理と、用紙束Pbの中央部を綴じる「中綴じ処理」を含む。
【0015】
後処理装置3は、後処理搬送部としての搬送ローラ対10~19と、後処理搬送部における搬送方向を選択的に切り替える分岐切替部としての切替爪20とを備える。搬送ローラ対10~19は、後処理装置3の内部において、画像形成装置2から供給された用紙Pを搬送する。より詳細には、搬送ローラ対10~13は、第一搬送路Ph1に沿って用紙Pを搬送する。搬送ローラ対14~15は、第二搬送路Ph2に沿って用紙Pを搬送する。搬送ローラ対16~19は、第三搬送路Ph3に沿って用紙Pを搬送する。
【0016】
第一搬送路Ph1は、画像形成装置2からの用紙Pの供給口から第一排出トレイ21に至る経路である。第二搬送路Ph2は、搬送方向における搬送ローラ対11、14の間において第一搬送路Ph1から分岐し、内部トレイ22(載置部)を経由して第二排出トレイ26に至る経路である。第三搬送路Ph3は、搬送方向における搬送ローラ対11、14の間において第一搬送路Ph1から分岐し、第三排出トレイ30に至る経路である。
【0017】
切替爪20は、第一搬送路Ph1及び第二搬送路Ph2の分岐位置に配置されている。切替爪20は、第一搬送路Ph1を通じて用紙Pを第一排出トレイ21に排出する第一位置と、第一搬送路Ph1を搬送される用紙Pを第二搬送路Ph2に導く第二位置とに切り替え可能に構成されている。また、第二搬送路Ph2に進入した用紙Pの後端が搬送ローラ対11を通過したタイミングで、搬送ローラ対14を逆回転させることによって、当該用紙Pが第三搬送路Ph3に導かれる。また、後処理装置3は、各搬送路Ph1、Ph2、Ph3上の用紙Pの位置を検知する複数のセンサを備える。なお、搬送時に用紙Pの位置を検知するための搬送センサは、図2において、黒色で塗りつぶされた三角形(▲)で示している。
【0018】
後処理装置3は、第一排出トレイ21を備える。第一搬送路Ph1を通じて排出された用紙Pは、第一排出トレイ21に載置される。第一排出トレイ21には、画像形成装置2から供給される用紙Pのうち、綴じ処理が施されない用紙Pが排出される。
【0019】
また、後処理装置3は、載置トレイとしての内部トレイ22と、エンドフェンス23と、サイドフェンス24L、24Rと、端綴じ処理部25と、針綴じ処理部155と、第二排出トレイ26とを備える。内部トレイ22、エンドフェンス23、サイドフェンス24L、24R、端綴じ処理部25、及び針綴じ処理部155は、第二搬送路Ph2を搬送される複数の用紙Pにより構成される用紙束Pbに端綴じ処理を施す。第二排出トレイ26には、画像形成装置2から供給される用紙Pのうち、端綴じ処理が施された用紙束Pbが排出される。
【0020】
ここでいう「端綴じ処理」とは、用紙束Pbの主走査方向に平行な一辺に沿って綴じ処理を行う「平行綴じ処理」、用紙束Pbの角部に綴じ処理を行う「斜め綴じ処理」、用紙束Pbの搬送方向に平行な一辺に沿って綴じ処理を行う「垂直綴じ処理」が含まれる。
【0021】
以下、搬送ローラ対15からエンドフェンス23に向かう方向を用紙Pの「搬送方向」と定義する。すなわち、本明細書における「搬送方向」とは、画像形成装置2から排出された用紙Pが、搬送ローラ対10等により、第二排出トレイ26の方向に移動した後に、搬送ローラ対15によってエンドフェンス23に向かう方向に相当する。また、用紙Pの厚み方向及び搬送方向に直交する方向を、「主走査方向(用紙Pの幅方向)」と定義する。
【0022】
第二搬送路Ph2を経由して順番に搬送される複数の用紙Pは、載置トレイとしての内部トレイ22に一時的に載置される。エンドフェンス23は、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbの搬送方向の位置を揃える。サイドフェンス24L、24Rは、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbの主走査方向の位置を揃える。端綴じ処理部25及び針綴じ処理部155は、エンドフェンス23及びサイドフェンス24L、24Rによって揃えられた用紙束Pbの端部に対して端綴じ処理を実行する。そして、搬送ローラ対15は、端綴じ処理が施された用紙束Pbを第二排出トレイ26に排出する。
【0023】
さらに、後処理装置3は、エンドフェンス27と、中綴じ処理部28と、用紙折りブレード29と、第三排出トレイ30とをさらに備える。エンドフェンス27、中綴じ処理部28、及び用紙折りブレード29は、第三搬送路Ph3を搬送される複数の用紙Pにより構成される用紙束Pbに中綴じ処理を施す。第三排出トレイ30には、画像形成装置2から供給される用紙Pのうち、中綴じ処理が施された用紙束Pbが排出される。
【0024】
エンドフェンス27は、第三搬送路Ph3を順番に搬送される複数の用紙Pの搬送方向の位置を揃える。また、エンドフェンス27は、用紙束Pbの中央を、中綴じ処理部28に対面させる綴じ位置と、用紙折りブレード29に対面させる折り位置とに移動可能に構成されている。中綴じ処理部28は、綴じ位置のエンドフェンス27によって揃えられた用紙束Pbの中央を綴じる。用紙折りブレード29は、折り位置のエンドフェンス27に載置された用紙束Pbを半分に折って、搬送ローラ対18に挟持させる。搬送ローラ対18、19は、中綴じ処理が施された用紙束Pbを第三排出トレイ30に排出する。
【0025】
[針綴じ処理部155の詳細説明]
図3は、液体付与と針綴じ処理とを行う針綴じ処理部155を搬送方向の上流側から見た模式図である。図4は、針綴じ処理部155を主走査方向の液体付与手段61側から見た模式図である。図3に示すように針綴じ処理部155は、液体付与に係る処理動作を実行する液体付与手段61と、後処理手段の一例であって針綴じ処理を行う針綴じ手段62とを備える。液体付与手段61及び針綴じ部62aは、内部トレイ22より搬送方向の下流側において、主走査方向に隣接して配置されている。
【0026】
図3に示すように、針綴じ処理部155は、針綴じ処理部移動機構77を備える。針綴じ処理部移動機構77は、内部トレイ22に載置された用紙Pの搬送方向の下流側の端部に沿って、針綴じ処理部155(すなわち、液体付与手段61及び針綴じ手段62)を主走査方向に移動させる。針綴じ処理部移動機構77は、例えば、ベース部材78と、案内軸49と、針綴じ処理部移動モータ80と、駆動力伝達機構81と、待機位置センサ51(図9参照)とを備える。
【0027】
液体付与手段61及び針綴じ手段62は、主走査方向に隣接させた状態でベース部材78に取り付けられている。案内軸49は、内部トレイ22より搬送方向の下流側において、主走査方向に延設されている。また、案内軸49は、ベース部材78を主走査方向に移動可能に支持している。針綴じ処理部移動モータ80は、針綴じ処理部155を移動させるための駆動力を発生させる。針綴じ処理部移動モータ80は、針綴じ処理部155を移動させるための駆動力を発生させる。駆動力伝達機構81は、針綴じ処理部移動モータ80の駆動力を、プーリ81a、81b及びタイミングベルト81cを介してベース部材78に伝達する。
【0028】
これにより、ベース部材78によって一体化された液体付与手段61及び針綴じ手段62は、案内軸49に沿って主走査方向に移動する。液体付与手段61及び針綴じ手段62の位置は、例えば、針綴じ処理部移動モータ80の出力軸に取り付けられたエンコーダセンサ541(図9参照)によって把握することができる。また、待機位置センサ51(図9参照)は、針綴じ処理部155が待機位置HP1(図10(C)参照)に到達したことを検知する。
【0029】
図10(C)に示すように、待機位置HP1は、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbから幅方向に外れた位置である。また、図10(B)~図10(C)に示すように、液体付与手段61及び針綴じ手段62は、主走査方向において、内部トレイ22に載置された用紙束Pbの綴じ位置B(液体付与位置B)に対面し得る位置に、案内軸49に沿って移動することができる。
【0030】
なお、液体付与手段61によって用紙P又は用紙束Pbに対して液体付与が行われる位置(液体付与位置、又は液体付与領域)は、針綴じ手段62によって用紙束Pbに対して針綴じが行われる予定である位置(綴じ位置、又は綴じ領域)に対応する。したがって、以下の説明では、液体付与位置(又は、液体付与領域)と綴じ位置(又は綴じ領域)には同一符号を付している。
【0031】
[液体付与手段61の構成]
図3及び図4に示すように、液体付与手段61は、第一貯液タンク73(貯液部)に貯留された液体を、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbに付与する。以下、用紙P又は用紙束Pbに対して液体を付与することを「液体付与」と表記し、液体付与を行うための処理を「液体付与処理」と表記する。
【0032】
ここで、「液体付与」するために、第一貯液タンク73に貯留される液体とは、さらに詳しくは、化学式「H2O」で表される水素と酸素の化合物の液体状態を主成分とするものである。液体状態であれば、その温度状態は問わず、いわゆる温水や熱水であってもよい。また、純水に限らず、精製水はもちろんのこと、イオン化した塩類が含まれていても良い。金属イオン含有量もいわゆる軟水から超硬水まで硬度は問わない。
【0033】
また主成分に加えて添加物が加えられていてもよい。水道水として用いられる残留塩素を含んでいてもよいし、着色剤・浸透剤・pH調整剤・フェノキシエタノールなどの防腐剤・グリセリンなどの乾燥防止剤等が添加されていることも望ましい。さらには、インクジェット方式の印刷装置で用いられるインクや、水性ペンに用いられるインクも成分として水を用いているので、これを「液体付与」として用いても良い。
【0034】
ここで具体的に挙げたものに限らず、次亜塩素酸水や消毒用に希釈したエタノール水溶液など広義の「水」であっても機能するが、綴じ処理後の綴じ強度を高める作用を発揮させるためだけの用途であれば入手・管理が容易な水道水を用いればよい。又、液体としては、上記に例示したような水を主成分とする液体を用いる方が、水を主成分としていない液体を用いるよりも用紙束Pbの綴じ強度を向上させることができる。
【0035】
図3及び図4に示すように、液体付与手段61は、用紙P又は用紙束Pbの載置台としての下押圧板63と、上押圧板64と、液体付与部移動機構65と、液体付与機構66とを備える。液体付与手段61の構成部品(下押圧板63、上押圧板64、液体付与部移動機構65、液体付与機構66)は、液体付与フレーム31a及びベース部材78により保持されている。
【0036】
下押圧板63及び上押圧板64は、内部トレイ22より搬送方向の下流側に配置されている。内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbは、下押圧板63にも載置される。下押圧板63は、下押圧板保持体331上に設けられている。上押圧板64は、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbに対面する位置において、用紙P又は用紙束Pbの厚み方向に移動可能に構成されている。すなわち、下押圧板63及び上押圧板64は、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbを挟んで、用紙P又は用紙束Pbの厚み方向(以下、単に「厚み方向」と表記する。)に対向して配置されている。さらに、上押圧板64には、ベースプレート70に取り付けられた保持部76を介して保持される液体付与部材74(液体付与手段の一部)の先端に対面する位置に、厚み方向に貫通する貫通口64aが形成されている。
【0037】
液体付与部移動機構65は、上押圧板64、ベースプレート70、保持部76、液体付与部材74、第一液体供給部75、及び第一貯液タンク73を用紙P又は用紙束Pbの厚み方向に移動させる。本実施形態に係る液体付与部移動機構65は、単一の液体付与部移動モータ67によって、上押圧板64、ベースプレート70、第一貯液タンク73、液体付与部材74、第一液体供給部75、及び保持部76を連動(一体化)して移動させる。液体付与部移動機構65は、例えば、液体付与部移動モータ67と、台形ネジ68と、ナット69と、ベースプレート70と、柱状部材71a、71bと、コイルバネ72a、72bとを備える。
【0038】
液体付与部移動モータ67は、上押圧板64、ベースプレート70、保持部76、液体付与部材74、第一液体供給部75、及び第一貯液タンク73を移動させる駆動力を発生させる。台形ネジ68は、用紙P又は用紙束Pbの厚み方向に延設されると共に、液体付与手段61の液体付与フレーム31aに正逆方向に回転可能に支持されている。また、台形ネジ68は、プーリやベルト等を介して液体付与部移動モータ67の出力軸に接続されている。ナット69は、台形ネジ68に螺合されている。そして、液体付与部移動モータ67の駆動力が伝達されて台形ネジ68が正逆方向に回転することによってナット69が台形ネジ68上を往復移動する。
【0039】
また、ベースプレート70は、上押圧板64に対して離間した位置に配置されている。また、ベースプレート70は、液体付与部材74の先端をベースプレート70から上押圧板64に向けて突出させた状態で、液体付与部材74を保持している。さらに、ベースプレート70は、ナット69を介して台形ネジ68に接続されて、台形ネジ68が正逆方向に回転することによって台形ネジ68に沿って往復移動可能に構成されている。そして、ベースプレート70の用紙P又は用紙束Pbの厚み方向の位置は、位置検知センサ40a(図9参照)によって検知される。
【0040】
柱状部材71a、71bは、液体付与部材74の先端の周囲において、ベースプレート70から上押圧板64に向かって突出している。また、柱状部材71a、71bは、ベースプレート70に対して厚み方向に相対移動可能に構成されている。さらに、柱状部材71a、71bは、下押圧板63側の先端部で上押圧板64を保持している。又、柱状部材71a、71bの下押圧板63と反対側の先端部には、柱状部材71a、71bがベースプレート70から外れるのを防止する抜け止めが設けられている。コイルバネ42a、42bは、ベースプレート70と上押圧板64との間において、柱状部材71a、71bに外挿されている。そして、コイルバネ42a、42bは、上押圧板64及び柱状部材71a、71bを、ベースプレート70に対して下押圧板63側に向かって付勢する。
【0041】
液体付与機構66は、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbに液体付与する。より詳細には、液体付与手段61は、液体付与部材74を用紙P又は用紙束Pbに接触させることによって、用紙束Pbを構成する少なくとも1枚の用紙Pに液体付与する。
【0042】
液体付与機構66は、第一液量検知センサ73a(第一液量検知手段)と、第一貯液タンク73と、液体付与部材74と、第一液体供給部75と、保持部76とを備える。第一貯液タンク73は、用紙P又は用紙束Pbに液体付与するための液体を貯留する。第一貯液タンク73に貯留された液体の量は、第一液量検知センサ73aによって検知される。第一貯液タンク73は、保持部76を介してベースプレート70に連結されている。
【0043】
液体付与部材74は、第一貯液タンク73に貯留された液体を用紙P又は用紙束Pbに付与する。液体付与部材74と、液体付与部材74に密着するよう設置された第一液体供給部75は、共に保持部76に保持されている。また、保持部76は、ベースプレート70に保持されている。保護部材75aは、第一液体供給部75に外挿される長尺の筒体(例えば、チューブ)である。これにより、第一液体供給部75が吸収した液体が漏れ出したり、蒸発するのを防止できる。
【0044】
第一液体供給部75は、一方の端部が液体付与部材74に密着し、他方の端部が第一貯液タンク73に貯留された液体に浸っている。すなわち、第一液体供給部75の他方の端部は、液体を吸い上げて液体付与部材74へと供給する浸液部に相当する。液体付与部材74及び第一液体供給部75は、例えば連続気泡で形成された弾性樹脂のように、吸液率の高い材料(例えば、スポンジや繊維など)で構成されている。したがって、第一液体供給部75の他方の端部が貯留されている液体に浸ると、毛細管現象により液体を吸い上げる状態になり、その結果、第一液体供給部75及び液体付与部材74へ、液体を充填する。
【0045】
また、液体付与部材74及び第一液体供給部75は、別体として構成されていてもよい。それにより、液体付与部材74を第一液体供給部75に対して着可能に構成することができる。その結果、例えば液体付与部材74が液体付与動作の繰り返しにより変形が生じ、適切な量の液体を用紙P又は用紙束Pbに付与できない状態になった場合は、液体付与部材74のみを交換可能とすることができるので、ユーザのラニングコスト低減に寄与することができる。
【0046】
尚、上述の説明では、液体付与部材74と第一液体供給部75とが別体で構成されているものについて説明したが、液体付与部材74と第一液体供給部75とを一体的に形成したものであっても問題ない。そのように液体付与部材74と第一液体供給部75を一体的に形成することにより、製造コストの低減を図れるとともに、第一貯液タンク73の液体を、毛細管現象により液体付与部材74及び第一液体供給部75により効率的に充填することができる。
【0047】
本実施形態に係る液体付与部材74の先端面は、平坦面である。さらに、本実施形態に係る液体付与部材74は、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbに先端面が平行になるように、ベースプレート70に支持されている。
【0048】
また、液体付与手段61の構成品を保持する液体付与フレーム31aは、その底面に駆動伝達ギヤ562aを備えた液体付与手段回転軸562が固定されている。液体付与手段回転軸562及び駆動伝達ギヤ562aは、液体付与フレーム31aが設けられるベース部材78に正逆方向に回転可能に保持されている。又、駆動伝達ギヤ562aは、液体付与手段回動モータ563の出力ギヤ563aに噛み合っている。そして、液体付与手段61は、液体付与手段回動モータ563の駆動力が、出力ギヤ563a及び駆動伝達ギヤ562aを介して液体付与手段回転軸562に伝達されることによって、ベース部材78上において、液体付与手段回転軸562を中心として正逆方向に回転可能に構成されている。
【0049】
[第二貯液部の構成]
図4に示すように、後処理装置3は、第一貯液タンク73に液体を供給するために、第二貯液タンク固定部52(第二貯液部の一部)と、第二貯液タンク53(第二貯液部の一部)と、第二液体供給部54と、液体供給ポンプ55とをさらに備える。但し、第一貯液タンク73に液体を供給する具体的な方法は、以下の例に限定されず、ユーザが第一貯液タンク73に直接液体を補給する構成でもよい。
【0050】
第二貯液タンク固定部52は、第一貯液タンク73に供給するための液体を貯留する。また、第二貯液タンク固定部52は、主走査方向における針綴じ処理部155(液体付与手段61)の移動範囲外に取り付けられている。また、第二貯液タンク固定部52に貯留された液体の量は、第二液量検知センサ52a(第二液量検知手段)によって検知される。
【0051】
第二貯液タンク53(液体ボトル)は、第二貯液タンク固定部52に供給するための液体を貯留する。また、第二貯液タンク53は、第二貯液タンク固定部52に着脱可能に構成されている。そして、第二貯液タンク53が第二貯液タンク固定部52に装着されると、第二貯液タンク固定部52内の液体の量が第二上限値に達するまで、第二貯液タンク53から第二貯液タンク固定部52に液体が移動する。一方、第二貯液タンク固定部52内の液体の量が第二上限値に達すると、第二貯液タンク53から第二貯液タンク固定部52への液体の移動が停止する。
【0052】
第二液体供給部54は、第二貯液タンク固定部52と第一貯液タンク73とを接続する。そして、第二液体供給部54は、第二貯液タンク固定部52に貯留された液体を、第一貯液タンク73に供給する。第二液体供給部54は、例えば、配管、ホース、またはこれらの組み合わせで構成される。第二液体供給部54の直径(内径寸法)は、例えば、第二液体供給部54を通じて第二貯液タンク固定部52から第一貯液タンク73に供給される液体の供給速度(第二供給速度)を、第一液体供給部75を通じて第一貯液タンク73から液体付与部材74に供給される液体の供給速度(第一供給速度)より速くできる大きさに設定される。
【0053】
液体供給ポンプ55は、第二貯液タンク固定部52と共に、後処理装置3の本体に取り付けられている。液体供給ポンプ55は、第二貯液タンク固定部52に貯留された液体を、第二液体供給部54を通じて第一貯液タンク73に供給(圧送)する。
【0054】
[針綴じ手段62の構成]
図3に示すように、針綴じ処理部155は、綴じ針を用いて用紙束Pbを綴じる針綴じ手段62(第一綴じ手段)を備える。針綴じ手段62は、内部トレイ22より搬送方向の下流側において、端綴じ処理部25に対して主走査方向に離間して配置されている(図11及び図12参照)。
【0055】
後処理手段としての針綴じ手段62は、綴じ針を用いて用紙束Pbを綴じる、いわゆる「針綴じ処理」を行う構成を備えている。より詳細には、針綴じ手段62は、針綴じ部62aを駆動する針綴じ部駆動モータ62d(図9参照)を備えている。そして、針綴じ部62aは、針綴じ部駆動モータ62dの駆動力により針綴じ部62aに装填された綴じ針を、用紙束Pbに貫通させることによって用紙束Pbを綴じる。針綴じ手段62の構成は既に周知なので、詳細な説明は省略する。
【0056】
針綴じ手段62の構成品を保持する針綴じフレーム62bの底面には、駆動伝達ギヤ83aを備えた針綴じ手段回転軸83が固定されている。針綴じ手段回転軸83及び駆動伝達ギヤ83aは、針綴じフレーム62bが設けられるベース部材78に正逆方向に回転可能に保持されている。又、駆動伝達ギヤ83aは、針綴じ手段回動モータ82の出力ギヤ82aと噛み合っている。そして、針綴じ手段62は、針綴じ手段回動モータ82の駆動力が、出力ギヤ82a及び駆動伝達ギヤ83aを介して針綴じ手段回転軸83に伝達されることによって、ベース部材78上において、針綴じ手段回転軸83を中心として正逆方向に回転可能に構成されている。
【0057】
図3で示した針綴じ処理部155のように、針綴じ処理においても、用紙Pに液体付与を施すことで、綴じ位置をほぐして柔らかくし、綴じ針を貫通しやすくすることができる。これによって、液体付与をせずに針綴じ処理を施す場合と比較すると、用紙束Pbの一束当たりの綴じ枚数を増やすことができる。
【0058】
[針綴じ処理部155の変形例の構成]
図5は、針綴じ処理部155の変形例としての針綴じ処理部155´を示したものであり、針綴じ処理部155´を搬送方向の上流側から見た模式図である。針綴じ処理部155´は、針綴じ手段62のみで構成されており、液体付与手段61を備えていない点で針綴じ処理部155と相違する。なお、針綴じ手段62の構成は、図3において説明した針綴じ処理部155の針綴じ手段62と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0059】
[端綴じ処理部25の詳細説明]
図6は、液体付与と圧着綴じ処理とを行う端綴じ処理部25を搬送方向の上流側から見た模式図である。図7は、端綴じ処理部25を主走査方向の第二液体付与手段31側から見た模式図である。図6に示すように、端綴じ処理部25は、液体付与に係る処理動作を実行する第二液体付与手段31と、後処理手段の一例であって圧着綴じ処理を行う圧着手段32とを備える。第二液体付与手段31及び圧着手段32は、内部トレイ22より搬送方向の下流側において、主走査方向に隣接して配置されている。
【0060】
第二液体付与手段31と圧着手段32は、共に、端綴じ処理部移動モータ50の駆動力が伝達されることによって主走査方向に移動可能に構成されている。第二液体付与手段31によって用紙P又は用紙束Pbに対して液体付与が行われる位置(液体付与位置、又は液体付与領域)は、圧着手段32によって用紙束Pbに対して圧着綴じが行われる予定である位置(綴じ位置、又は綴じ領域)に対応する。
【0061】
また、図6に示すように、端綴じ処理部25は、端綴じ処理部移動機構47を備える。端綴じ処理部移動機構47は、内部トレイ22に載置された用紙Pの搬送方向の下流側の端部に沿って、端綴じ処理部25(すなわち、第二液体付与手段31及び圧着手段32)を主走査方向に移動させる。端綴じ処理部移動機構47は、例えば、ベース部材48と、案内軸49と、端綴じ処理部移動モータ50と、駆動力伝達機構551とを備える。
【0062】
第二液体付与手段31及び圧着手段32は、主走査方向に隣接させた状態でベース部材48に取り付けられている。案内軸49は、内部トレイ22より搬送方向の下流側において、主走査方向に延設されている。また、案内軸49は、ベース部材48を主走査方向に移動可能に支持している。端綴じ処理部移動モータ50は、端綴じ処理部25を移動させるための駆動力を発生させる。端綴じ処理部移動モータ50は、端綴じ処理部25を移動させるための駆動力を発生させる。駆動力伝達機構551は、端綴じ処理部移動モータ50の駆動力を、プーリ551a、551bやタイミングベルト551cを介してベース部材48に伝達する。
【0063】
[第二液体付与手段31の構成]
また、図7に示すように、第二液体付与手段31は、第三貯液タンク43に貯留された液体を、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbに付与する「液体付与」を実行する。第二液体付与手段31によって用紙P又は用紙束Pbに液体付与が行われる位置を含む所定の領域は、針綴じを行なう予定である綴じ位置に相当する。図6及び図7に示すように、第二液体付与手段31は、下押圧板保持体331上に設けられた第二下押圧板33と、貫通口34aを備えた第二上押圧板34と、第二液体付与部移動機構35と、第二液体付与機構36とを備える。第二液体付与部移動機構35は、例えば、第二液体付与部移動モータ37と、第二台形ネジ38と、第二ナット39と、第二ベースプレート40と、第二柱状部材41(41a、41b)と、第二コイルバネ42(42a、42b)とを備える。第二液体付与機構36は、第三貯液タンク43と、第二液体付与部材44と、保護部材45aが外挿された第三液体供給部45と、第二ジョイント46とを備える。第二液体付与機構36の構成は、液体付与機構66と共通するので、詳細な説明は省略する。
【0064】
[圧着手段32の構成]
図6に示すように、圧着手段32(後処理手段)は、用紙束Pbの第二液体付与手段31で液体を付与された少なくとも一部分(すなわち、液体付与位置)を、凹凸状の上圧着歯32aと下圧着歯32bで挟持して加圧し変形させることによって、用紙束Pbを綴じる。以下、上圧着歯32aと下圧着歯32bによる挟持・加圧することで用紙束Pbの少なくとも一部を変形させて綴る処理及び動作を「圧着綴じ」と表記する。すなわち、圧着手段32は、綴じ針などの綴じ部材を用いずに、用紙束Pbを綴じることができる。圧着手段32の構成部品(上圧着歯32aと下圧着歯32b)は、圧着フレーム32cに設けられている。
【0065】
図8は、圧着手段32の構成を示す模式図である。図8に示すように、圧着手段32は、一対の綴じ歯(上圧着歯32aと下圧着歯32b)を備える。上圧着歯32a及び下圧着歯32bは、内部トレイ22に載置された用紙束Pbを挟むことができるように、用紙束Pbの厚み方向に対向して配置されている。上圧着歯32a及び下圧着歯32bの互いに対向する面は、凹部及び凸部が交互に形成された凹凸状に形成されている。また、上圧着歯32a及び下圧着歯32bは、互いに噛合うように、凹部及び凸部がずれて形成されている。そして、上圧着歯32a及び下圧着歯32bは、接離モータ32d(図9参照)の駆動力によって接離する。
【0066】
用紙束Pbを構成する複数の用紙Pが内部トレイ22に供給される過程では、図8(A)に示すように、上圧着歯32a及び下圧着歯32bは互いに離間している。そして、用紙束Pbを構成する全ての用紙Pが内部トレイ22に載置されると、図8(B)に示すように、上圧着歯32a及び下圧着歯32bが噛み合って、用紙束Pbを厚み方向から加圧変形させる。これにより、内部トレイ22に載置された用紙束Pbが圧着綴じされる。また、圧着綴じされた用紙束Pbは、搬送ローラ対15によって、第二排出トレイ26に排出される。
【0067】
尚、圧着手段32の構成としては、圧着機構を構成する上圧着歯32a及び下圧着歯32bが噛み合えばよいので、本実施形態で例示したような動作機構の構造に限定されることではない。例えば、正転のみ、又は正逆転する駆動源とリンク機構を使って上圧着歯32a及び下圧着歯32bの圧着及び離間動作を行うリンク機構方式の圧着機構(例えば、特許6057167号に開示されているもの)であっても良いし、駆動源の正逆方向の回転運動を直線的な往復運動に変換するねじ機構により、上圧着歯32a及び下圧着歯32bの圧着及び離間動作を直線的に行う直動方式の圧着機構であってもよい。
【0068】
また、図6に示すように、圧着手段32の構成品を保持する圧着フレーム32cは、その底面に駆動伝達ギヤ561aを備えた圧着手段回転軸561が固定されている。圧着手段回転軸561及び駆動伝達ギヤ561aは、圧着フレーム32cが設けられるベース部材48に正逆方向に回転可能に保持されている。又、駆動伝達ギヤ561aは、圧着手段回動モータ56の出力ギヤ56aと噛み合っている。そして、圧着手段32は、圧着手段回動モータ56の駆動力が、出力ギヤ56a及び駆動伝達ギヤ561aを介して圧着手段回転軸561に伝達されることによって、ベース部材48上において、圧着手段回転軸561を中心として正逆方向に回転可能に構成されている。
【0069】
なお、図8において上圧着歯32a及び下圧着歯32bがそれぞれ有する凹部及び凸部は頂点部分が鋭角状で描かれているが、この形状に限定するものではなく、それぞれの頂点部分が所定の曲率をもって描かれる円弧状でもよい。また、図8に示すような縦断面の形状が、三角形に限定するものではなく台形であってもよい。
【0070】
なお、針綴じ処理部155、及び端綴じ処理部25は、共通の案内軸49に支持されている(図11及び図12参照)。すなわち、針綴じ処理部移動機構77、及び端綴じ処理部移動機構47は、共通の案内軸49に沿って針綴じ処理部155、及び端綴じ処理部25を主走査方向に移動させる。さらに、針綴じ処理部移動機構77、及び端綴じ処理部移動機構47は、針綴じ処理部155、及び端綴じ処理部25をそれぞれ独立して移動することができる。
【0071】
また、図3から図7を用いて説明したように、針綴じ処理部155は、針綴じ手段62と液体付与手段61を備え、端綴じ処理部25は、圧着手段32と第二液体付与手段31とを備える。しかしながら、本実施形態に係る後処理装置3の構成は、これらに限定されるものではない。
【0072】
例えば、針綴じ処理部155には、針綴じ手段62のみを備え、液体付与を行なう機構は端綴じ処理部25が備える第二液体付与手段31を利用する形態でもよい。また、逆に、端綴じ処理部25には、圧着手段32のみを備え、液体付与を行なう機構は針綴じ処理部155が備える液体付与手段61を利用する形態でもよい。
【0073】
また、針綴じ処理部155は、針綴じ手段62と液体付与手段61が一体的に案内軸49に沿って同時に移動するような形態として説明したが、これに限定するものでもなく、針綴じ手段62と液体付与手段61が、それぞれ別個に独立して移動できる構成でもよい。
【0074】
また、端綴じ処理部25は、圧着手段32と第二液体付与手段31が一体的に案内軸49に沿って同時に移動するような形態として説明したが、これに限定するものでもなく、圧着手段32と第二液体付与手段31が、それぞれ別個に独立して移動できる構成でもよい。
【0075】
[後処理装置3の制御ブロックの構成]
次に、後処理装置3の制御部としての制御ブロック構成について、図9を用いて説明する。図9は、後処理装置3において実行される制御処理を実行するためのハードウェア構成を例示している。図9に示すように、後処理装置3は、CPU(Central Processing Unit)101、RAM(Random Access Memory)102、ROM(Read Only Memory)103、HDD(Hard Disk Drive)104、及びI/F105が共通バス109を介して接続されている構成を備える。
【0076】
CPU101は演算手段であり、後処理装置3全体の動作を制御する。RAM102は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU101が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM103は、読み出し専用の不揮発性の記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD104は、情報の読み書きが可能であって記憶容量が大きい不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーションプログラムなどが格納される。
【0077】
後処理装置3は、記憶手段としてのROM103に格納された制御プログラム、記憶手段としてのHDD104などの記憶媒体から記憶手段としてのRAM102にロードされた情報処理プログラム(アプリケーションプログラム)などをCPU101が備える演算機能によって処理する。その処理によって、後処理装置3の種々の機能モジュールを含む処理動作を実現するソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、後処理装置3に搭載されるハードウェア資源との組み合わせによって、後処理装置3の機能を実現する機能ブロックが構成される。すなわち、CPU101、RAM102、ROM103、及びHDD104は、後処理装置3の動作を制御するコントローラ100(制御部)を構成する。
【0078】
I/F105は、搬送ローラ対10、11、14、15、切替爪20、サイドフェンス24、針綴じ部駆動モータ62d、針綴じ手段回動モータ82、液体付与部移動モータ67、液体付与手段回動モータ563、針綴じ処理部移動モータ80、接離モータ32d、圧着手段回動モータ56、端綴じ処理部移動モータ50、液体供給ポンプ55、位置検知センサ40a、第一液量検知センサ73a、第二液量検知センサ52a、待機位置センサ51、エンコーダセンサ541、及び操作パネル110(通知部)を、共通バス109に接続するインタフェースである。
【0079】
コントローラ100は、I/F105を通じて、搬送ローラ対10、11、14、15、切替爪20、サイドフェンス24、針綴じ部駆動モータ62d、針綴じ手段回動モータ82、液体付与部移動モータ67、液体付与手段回動モータ563、針綴じ処理部移動モータ80、接離モータ32d、圧着手段回動モータ56、端綴じ処理部移動モータ50、及び液体供給ポンプ55の動作を制御する。また、コントローラ100は、位置検知センサ40a、第一液量検知センサ73a、第二液量検知センサ52a、待機位置センサ51、及びエンコーダセンサ541の検知結果を取得する。なお、図9には針綴じ処理を実行する針綴じ処理部155、及び端綴じ処理部25に関する構成部品のみを図示しているが、中綴じ処理を実行する中綴じ処理部28に関する構成部品も同様にコントローラ100によって制御される。
【0080】
図1に示すように、画像形成装置2は、操作パネル110を備えている。操作パネル110は、ユーザからの入力操作を受け付ける操作部と、ユーザに情報を知らせる報知部としてのディスプレイとを備える。操作部は、例えば、ハードキー、ディスプレイに重畳されたタッチパネル等を含む。そして、操作パネル110は、操作部を通じてユーザから情報を取得し、ディスプレイを通じてユーザに情報を提供する。なお、報知部の具体例はタッチパネルのような接触型入力機能付きのディスプレイに限定されず、LEDランプやスピーカ等などの出力装置でもよい。又、後処理装置3に上記と同様の操作パネル110を備えるようにしてもよい。
【0081】
以上説明をしたとおり、後処理装置3は、コントローラ100が備えるハードウェア資源を用いて、CPU101が実行するソフトウェア(制御プログラム)によって、液体付与、及び綴じ処理(針綴じ処理、圧着綴じ処理)に関連する動作制御を行う機能を実現する。
【0082】
制御部としてのコントローラ100は、例えば、画像形成装置2から、画像形成装置2における画像形成処理の開始の通知とともに、綴じ処理の実行指示(以下、「綴じ処理指示」と表記する。)を取得する。そして取得した綴じ処理指示に応じて、綴じ処理を実行する。綴じ処理指示は、例えば、用紙Pの種類(素材や厚みなど液体の広がりに影響を与える情報)、用紙束Pbを構成する用紙Pの枚数と、綴じ処理を施すべき用紙束Pbの数(以下、「必要部数M」と表記する。)と、綴じ位置の数及び主走査方向の位置と、操作パネル110を通じて選択された動作モードを含む。なお、以下において、用紙束Pbの一束当たりの用紙Pの枚数(用紙束Pbを構成する用紙Pの枚数)を「所定枚数N」と表記する。
【0083】
そして、コントローラ100は、綴じ処理指示に含まれる、用紙Pの種類や一枚当たりの厚さ、及び用紙束Pbを構成する用紙Pの枚数(所定枚数N)、用紙束Pbの部数(必要部数M)、及び綴じ処理に係る各種設定情報に応じて、液体付与を伴う針綴じ処理(以下「液体付与針綴じ処理」と表記する)、液体付与を伴わない針綴じ処理(以下「針綴じ処理」と表記する)、または液体付与を伴う圧着綴じ処理(以下「液体付与圧着綴じ処理」と表記する)、及び液体付与を伴わない圧着綴じ処理(以下「圧着綴じ処理」と表記する)を自動的に切り替えることができる。すなわち、制御部としてのコントローラ100は、用紙束Pbに対する綴じ処理を行う際に、用紙Pの枚数等に応じて、綴じ種類、綴じ位置及び綴じ数を自動的に切り替えることによって、綴じ処理指示に含まれる条件に合わせて最適な綴じ処理を選択して実行することができるように構成されている。
【0084】
[針綴じ処理における動作の第一例]
図10は、後処理装置3により、用紙束Pbの一箇所に液体付与針綴じ処理を行なう場合の、針綴じ処理の動作の流れを示す図である。図10では、針綴じ処理部155は、液体付与手段61と針綴じ手段62がそれぞれ一つずつ備えられていて、液体付与手段61と針綴じ手段62は併設されている構成を例示している。なお、液体付与手段61と針綴じ手段62は、併設されていなくてもよく、それぞれが独立して移動可能に構成されていてもよい。
【0085】
まず、コントローラ100は、針綴じ処理の開始時点において、針綴じ処理部移動モータ80を駆動して、液体付与手段61が液体付与位置Bに対面するように、針綴じ処理部155を第一待機位置HP1から主走査方向(図10(A)矢印の方向)に移動させる。なお、コントローラ100は、搬送ローラ対10、11、14、15によって最初の用紙Pが内部トレイ22に搬送される前に、針綴じ処理部155を第一待機位置HP1から、液体付与手段61が液体付与位置Bに対面する位置まで移動させておく。また、第一待機位置HP1は、主走査方向において、内部トレイ22に対して用紙Pが収容されてくる動作の障害にならない位置に配置されている。
【0086】
次に、図10(A)に示すように、コントローラ100は、後処理搬送部としての搬送ローラ対10、11、14、15を動作させて、画像形成装置2によって画像が形成された用紙Pを内部トレイ22に搬送する。また、コントローラ100は、用紙Pが内部トレイ22に搬送された後に、サイドフェンス24L、24Rを対向する方向に移動させることで、内部トレイ22に載置された用紙Pの主走査方向の端部の位置を揃える処理としての「ジョギング処理」を実行する。ジョギング処理によって内部トレイ22に載置された用紙P及び用紙束Pbの主走査方向の端部の位置を揃えることができる。
【0087】
用紙Pに対するジョギング処理が終了した後、コントローラ100は、内部トレイ22に載置された用紙Pに対して、液体付与位置Bに位置する液体付与手段61に液体付与処理を実行させる。すなわち、コントローラ100は、液体付与部移動モータ67を駆動して、内部トレイ22に載置された用紙Pの液体付与位置Bに液体付与部材74を接触させる。
【0088】
次に、コントローラ100は、内部トレイ22に搬送された用紙Pの枚数が、綴じ処理指示で指示された所定枚数Nに達したか否かを判定し、所定枚数Nに達していないと判定した場合は、コントローラ100は、搬送ローラ対10、11、14、15による、次の用紙Pの内部トレイ22への搬送を実行し、その後、液体付与手段61による、内部トレイ22に載置された用紙Pの液体付与位置Bへの液体付与を実行する。すなわち、一枚の用紙Pの内部トレイ22への搬送動作、内部トレイ22に載置された用紙Pに対するジョギング処理、用紙Pに対する液体付与手段61による液体付与動作を、用紙束Pbを構成する用紙Pの枚数分繰り返す。すなわち、用紙束Pbを構成する用紙Pごとに、液体付与手段61による液体付与が実行される。
【0089】
一方、内部トレイ22に収容された用紙Pの数が所定枚数Nに達したと判定した場合は、コントローラ100は、図10(B)に示すように、針綴じ処理部移動モータ80を駆動して、針綴じ手段62が液体付与された用紙Pを含む用紙束Pbの綴じ位置Bに対面するように、針綴じ処理部155を主走査方向(図10(B)矢印の方向)に移動させる。そして、コントローラ100は、用紙束Pbの綴じ位置Bにおいて、針綴じ手段62による針綴じ処理を実行する。
【0090】
その後、図10(C)に示すように、コントローラ100は、後処理搬送部としての搬送ローラ対15による、綴じ処理された用紙束Pbの第二排出トレイ26への排出動作を実行する。また、コントローラ100は、針綴じ処理部移動モータ80を駆動して、針綴じ処理部155を主走査方向(図10(C)矢印の方向)に移動させる。それにより、針綴じ処理部155は第一待機位置HP1に戻る。
【0091】
[針綴じ処理における動作の第二例]
図11は、後処理装置3により、用紙束Pbの一箇所に針綴じを行なう場合の、針綴じ処理の動作の流れの別の例を示す図である。図11に示す針綴じ処理部155´は、図5で説明した針綴じ処理部155の変形例に相当する。つまり、針綴じ処理部155´は、針綴じ手段62のみで構成されており、液体付与手段61を備えていない。従って、針綴じ処理部155´による綴じ動作における液体付与は、端綴じ処理部25が備えている第二液体付与手段31により行われる。ここで、端綴じ処理部25は、針綴じ処理部155´とは別個に、共通する案内軸49上を主走査方向に移動可能に構成されている。
【0092】
図11では、端綴じ処理部25は、第二液体付与手段31と圧着手段32が併設されている構成を示している。なお、第二液体付与手段31と圧着手段32は、併設されていなくてもよく、それぞれが独立して移動可能に構成されていてもよい。
【0093】
まず、コントローラ100は、針綴じ処理の開始時点において、針綴じ処理部移動モータ80を駆動して、針綴じ手段62を第一待機位置HP1に移動させた状態にしておく。また、コントローラ100は、端綴じ処理部移動モータ50を駆動して、第二液体付与手段31が液体付与位置Bに対面するように、端綴じ処理部25を第二待機位置HP2から主走査方向(図11(A)矢印の方向)に移動させる。なお、コントローラ100は、搬送ローラ対10、11、14、15によって最初の用紙Pが内部トレイ22に搬送される前に、端綴じ処理部25を第二待機位置HP2から、第二液体付与手段31が液体付与位置Bに対面する位置まで移動させておく。
【0094】
なお、第一待機位置HP1と第二待機位置HP2は、主走査方向において、案内軸49の互いに対向する異なる端部付近に配置されている。すなわち、第一待機位置HP1と第二待機位置HP2は、内部トレイ22に対して用紙Pが収容されてくる動作の障害にならない位置に配置されている。
【0095】
次に、図11(A)に示すように、コントローラ100が、後処理搬送部としての搬送ローラ対10、11、14、15を動作させて、画像形成装置2によって画像が形成された用紙Pを内部トレイ22に収容する。また、コントローラ100は、用紙Pが内部トレイ22に収容された後に、サイドフェンス24L、24Rを対向する方向に移動させることで、内部トレイ22に載置された用紙Pの主走査方向の端部の位置を揃える処理としての「ジョギング処理」を実行する。ジョギング処理によって内部トレイ22に載置された用紙P及び用紙束Pbの主走査方向の端部の位置を揃えることができる。
【0096】
用紙Pに対するジョギング処理が終了した後、コントローラ100は、内部トレイ22に載置された用紙Pに対して、液体付与位置Bに位置する第二液体付与手段31に液体付与処理を実行させる。すなわち、コントローラ100は、第二液体付与部移動モータ37を駆動して、内部トレイ22に載置された用紙Pの液体付与位置Bに第二液体付与部材44を接触させる。
【0097】
次に、コントローラ100は、内部トレイ22に収容された用紙Pの枚数が、綴じ処理指示で指示された所定枚数Nに達したか否かを判定し、所定枚数Nに達していないと判定した場合は、コントローラ100は、搬送ローラ対10、11、14、15による、次の用紙Pの内部トレイ22への収容動作を実行し、その後、第二液体付与手段31による、収容された用紙Pの液体付与位置Bへの液体付与を実行する。すなわち、一枚の用紙Pの内部トレイ22への収容動作、ジョギング処理、第二液体付与手段31による液体付与動作を、用紙束Pbを構成する用紙Pの枚数分繰り返す。すなわち、用紙束Pbを構成する用紙Pごとに、第二液体付与手段31による液体付与が実行される。
【0098】
一方、内部トレイ22に収容された用紙Pの数が所定枚数Nに達したと判定した場合は、コントローラ100は、図11(B)に示すように、コントローラ100は、端綴じ処理部移動モータ50を駆動して、端綴じ処理部25を第二待機位置HP2に向かって移動させるとともに、針綴じ処理部移動モータ80を駆動して、針綴じ手段62を、第一待機位置HP1から、針綴じ手段62が液体付与された用紙Pを含む用紙束Pbの綴じ位置Bに対面する位置に向かって、針綴じ処理部155を主走査方向(図11(B)矢印の方向)に移動させる。そして、コントローラ100は、用紙束Pbの綴じ位置Bにおいて、針綴じ手段62による針綴じ処理を実行する。
【0099】
その後、図11(C)に示すように、コントローラ100は、後処理搬送部としての搬送ローラ対15による、綴じ処理された用紙束Pbの第二排出トレイ26への排出動作を実行する。また、コントローラ100は、針綴じ処理部移動モータ80を駆動して、針綴じ処理部155を主走査方向(図11(C)矢印の方向)に移動させる。それにより、針綴じ処理部155は第一待機位置HP1に戻る。
【0100】
[針綴じ処理における動作の第三例]
図12は、後処理装置3により、用紙束Pbの複数個所に針綴じを行なう場合の、針綴じ処理の動作の流れを示す図である。図12では、針綴じ処理部155は、液体付与手段61及び針綴じ手段62を備えており、端綴じ処理部25も同様に第二液体付与手段31及び圧着手段32を備えている。なお、針綴じ処理部155及び端綴じ処理部25は、共通する案内軸49上を主走査方向に移動可能に構成されている。
【0101】
図12では、液体付与手段61及び針綴じ手段62は、併設されている構成を例示しているが、これらは併設されていなくてもよく、それぞれが独立して移動可能に構成されていてもよい。また、第二液体付与手段31及び圧着手段32も併設されている構成を例示しているが、これらは併設されていなくてもよく、それぞれが独立して移動可能に構成されていてもよい。
【0102】
まず、コントローラ100は、針綴じ処理の開始時点において、針綴じ処理部155及び端綴じ処理部25を図10(A)に示す第一待機位置HP1及び第二待機位置HP2からそれぞれ主走査方向に移動させる。すなわち、コントローラ100は、針綴じ処理部移動モータ80を駆動して、液体付与手段61が液体付与位置B1に対面するように、針綴じ処理部155を第一待機位置HP1から主走査方向(図12(B)白矢印の方向)に移動させる。また、コントローラ100は、端綴じ処理部移動モータ50を駆動して、第二液体付与手段31が液体付与位置B2に対面するように、端綴じ処理部25を第二待機位置HP2から主走査方向(図12(B)黒矢印の方向)に移動させる。
【0103】
なお、コントローラ100は、搬送ローラ対10、11、14、15によって最初の用紙Pが内部トレイ22に搬送される前に、針綴じ処理部155及び端綴じ処理部25を、図12(A)に示す第一待機位置HP1及び第二待機位置HP2から、図12(B)に示す液体付与手段61及び第二液体付与手段31が液体付与位置B1及びに液体付与位置B2に対面する位置まで予め移動させておく。これにより、複数の液体付与位置に液体付与するためのタクトタイムを短縮し、液体付与動作の効率を向上することが可能となる。なお、第一待機位置HP1と第二待機位置HP2は、内部トレイ22に対して用紙Pが収容されてくる動作の障害にならない位置に配置されている。
【0104】
次に、図12(B)に示すように、コントローラ100は、後処理搬送部としての搬送ローラ対10、11、14、15を動作させて、画像形成装置2によって画像が形成された用紙Pを内部トレイ22に収容する。また、コントローラ100は、用紙Pが内部トレイ22に収容された後に、サイドフェンス24L、24Rを対向する方向に移動させることで、内部トレイ22に載置された用紙Pの主走査方向の端部の位置を揃える処理としての「ジョギング処理」を実行する。ジョギング処理によって内部トレイ22に載置された用紙P及び用紙束Pbの主走査方向の端部の位置を揃えることができる。
【0105】
用紙Pに対するジョギング処理が終了した後、コントローラ100は、内部トレイ22に載置された用紙Pに対して、液体付与位置B1に位置する液体付与手段61に液体付与処理を実行させる。すなわち、コントローラ100は、液体付与部移動モータ67を駆動して、内部トレイ22に載置された用紙Pの液体付与位置Bに液体付与部材74を接触させる。また、コントローラ100は、内部トレイ22に載置された用紙Pに対して、液体付与位置B2に位置する第二液体付与手段31に液体付与処理を実行させる。すなわち、コントローラ100は、第二液体付与部移動モータ37を駆動して、内部トレイ22に載置された用紙Pの液体付与位置B2に第二液体付与部材44を接触させる。
【0106】
次に、コントローラ100は、内部トレイ22に収容された用紙Pの枚数が、綴じ処理指示で指示された所定枚数Nに達したか否かを判定し、所定枚数Nに達していない判定した場合は、コントローラ100は、搬送ローラ対10、11、14、15による、次の用紙Pの内部トレイ22への収容動作を実行し、その後、液体付与手段61及び第二液体付与手段31による、収容された用紙Pの液体付与位置B1及び液体付与位置B2への液体付与を実行する。すなわち、一枚の用紙Pの内部トレイ22への収容動作、ジョギング処理、液体付与手段61及び第二液体付与手段31による液体付与動作を、用紙束Pbを構成する用紙Pの枚数分繰り返す。すなわち、用紙束Pbを構成する用紙Pごとに、液体付与手段61及び第二液体付与手段31による液体付与が実行される。
【0107】
一方、内部トレイ22に収容された用紙Pの数が所定枚数Nに達したと判定した場合は、コントローラ100は、図12(C)に示すように、針綴じ処理部移動モータ80を駆動して、針綴じ手段62が液体付与された用紙Pを含む用紙束Pbの綴じ位置B1に対面するように、針綴じ処理部155を主走査方向(図12(C)白矢印の方向)に移動させる。そして、コントローラ100は、用紙束Pbの綴じ位置Bにおいて、針綴じ手段62による針綴じ処理を実行する。その際に、コントローラ100は、端綴じ処理部移動モータ50を駆動して、端綴じ処理部25を主走査方向(図12(C)黒矢印の方向)に移動させて、端綴じ処理部25を第二待機位置HP2に戻す。
【0108】
次に、コントローラ100は、図12(D)に示すように、針綴じ処理部移動モータ80を駆動して、針綴じ手段62が液体付与された用紙Pを含む用紙束Pbの綴じ位置B2に対面するように、針綴じ処理部155を主走査方向(図12(D)白矢印の方向)に移動させる。そして、コントローラ100は、用紙束Pbの綴じ位置B2において、針綴じ手段62による針綴じ処理を実行する。
【0109】
その後、図12(E)に示すように、コントローラ100は、後処理搬送部としての搬送ローラ対15による、綴じ処理された用紙束Pbの第二排出トレイ26への排出動作を実行する。また、針綴じ処理部移動モータ80を駆動して、針綴じ処理部155を主走査方向(図12(E)白矢印の方向)に移動させ、針綴じ処理部155を第一待機位置HP1に戻す。
【0110】
図12に例示した構成のように、針綴じ処理部155及び端綴じ処理部25を備える場合において、針綴じ処理部155により複数の箇所に綴じ処理を行なうときには、針綴じ処理部155の液体付与手段61、及び端綴じ処理部25の第二液体付与手段31により、複数の箇所への液体付与を分担して同時に実行することが可能となる。その結果、複数の箇所に対して同時に液体付与を実行できるので、針綴じ処理部155による綴じ処理に要する時間を短縮することができ、後処理装置3による用紙束Pbの生産性を向上させることができる。
【0111】
[液体付与及び針綴じ処理のイメージ]
図13は、図10乃至図12において説明した液体付与と針綴じ処理のイメージを示す図である。図13(A)に示すように、針綴じ処理部155及び端綴じ処理部25の液体付与手段61及び第二液体付与手段31による液体付与により用紙Pにおいて綴じ領域を含む一部に相当する「液体付与領域Wp」(液体付与領域)を形成する。
【0112】
そして、図13(B)に示すように、用紙束Pbを構成する枚数分の用紙Pのそれぞれに対して、液体付与をすることで各用紙Pに液体付与領域Wpを形成する。
【0113】
そして、図13(C)に示すように、重ねられた複数の用紙Pに対してジョギング処理を行なうことで端部が揃えられた用紙束Pbの液体付与領域Wpに対して、針綴じ手段62による針綴じ処理を実行する。これによって、液体付与領域Wpに綴じ針Sn(針状部材)が貫通して針綴じ処理が完了する。
【0114】
なお、本実施形態に係る後処理装置3は、後述するように、用紙Pの種類や一枚当たりの厚さ、及び用紙束Pbを構成する用紙Pの枚数に応じて、液体付与を伴う針綴じ処理(以下「液体付与針綴じ処理」と表記する)、液体付与を伴わない針綴じ処理(以下「針綴じ処理」と表記する)、または液体付与を伴う圧着綴じ処理(以下「液体付与圧着綴じ処理」と表記する)や液体付与を伴わない圧着綴じ処理(以下「圧着綴じ処理」と表記する)を自動的に切り替えることができる。
【0115】
[綴じ処理フローの第一実施形態]
次に、本実施形態に係る後処理装置3が有する処理機能において実現される綴じ処理の流れについて、図14のフローチャートを用いて説明する。以下において用いられるフローチャートで示される処理は、コントローラ100において媒体処理プログラムが実行されることにより実現されるものである。
【0116】
まず、ユーザの指示操作によって、画像形成システム1の動作が開始される。この動作の開始の指示において、ユーザが操作パネル110を介して任意に、画像形成装置2から排出される画像形成済みの用紙Pに対する綴じ処理の内容を設定する。なお、綴じ処理の内容には、用紙束Pbを構成する用紙Pの数(以下、「所定枚数N」と表記する。)や、綴じ処理を施すべき用紙束Pbの数(以下、「必要部数M」と表記する。)を示す情報が含まれる。また、用紙Pの種類を示す情報や、用紙Pの一枚当たりの厚みを示す情報も含まれる。
【0117】
コントローラ100は、画像形成装置2において画像形成処理が開始されたことを示す情報とともに、綴じ処理の内容を示す情報を含む「綴じ処理指示」を取得する(S1201)。
【0118】
次に、コントローラ100は、S1201において取得した所定枚数Nが、予め設定される「切替条件」を満たすか否かを判定する(S1202)。ここでの切替条件は、針綴じ処理を行なうときの「液体付与を行なうか否か」を切り替えるための条件に相当する。切替条件は、予めコントローラ100が取得可能な形式で記憶手段に記憶されているものであって、コントローラ100が制御する処理動作における「綴じ処理」の種類を切り替えるための条件である。なお、切替条件は、用紙Pを積み重ねた用紙束Pbの単位当たりの厚み(媒体束の厚み)に対して、綴じ強度や綴じ状態の保持などの観点から好適な「綴じ処理」を選択するために設定される。
【0119】
例えば、切替条件が、用紙束Pbを構成する用紙Pの枚数である場合に、コントローラ100は、用紙束Pbの枚数が100枚以下であるか否かを「切替条件」として設定する。
【0120】
そして、綴じ処理指示に含まれる所定枚数Nが50枚である場合は(S1202:No)、針綴じ処理部155の針綴じ手段62による針綴じ処理を実行する(S1203)。針綴じ処理の詳細は後述する。
【0121】
一方、綴じ処理指示に含まれる所定枚数Nが110枚である場合は(S1202:Yes)、液体付与を行ってから針綴じ処理を実行する方が、用紙束Pbの綴じ強度を維持できるので、液体付与針綴じ処理を行なうことになる(S1205)。そこで、コントローラ100は、まず、第一貯液タンク73の液体残量が、針綴じ処理部155による液体付与針綴じ処理における液体付与を行うために必要となる液体量に比較して十分な液体残量であるか否かを、第一液量検知センサ73aの出力に基づいて判定する(S1204)。ここで「液体付与を行うために必要となる液体量」とは、所定枚数N(本例では110枚)に液体付与を行う際に消費される予定の液体量を意味する。
【0122】
コントローラ100は、第一貯液タンク73の液体残量が、所定枚数Nに対して液体付与を行うために必要となる液体量に比較して十分な液体残量であると判断した場合は(S1204:Yes)、針綴じ処理部155による液体付与針綴じ処理を実行する(S1205)。液体付与針綴じ処理の詳細は後述する。
【0123】
一方、コントローラ100は、第一貯液タンク73の液体残量が、所定枚数Nに対して液体付与を行うために必要となる液体量に比較して十分な液体残量ではないと判断した場合は(S1204:No)、針綴じ処理部155による液体付与針綴じ処理を実行しても用紙束Pbを綴じることができないので、綴じ処理を中止する(S1206)。
【0124】
また、第一貯液タンク73の液体残量が、液体付与針綴じ処理における液体付与を行うために必要となる液体量に比較して十分な液体残量でないことにより、綴じ処理を中止する場合は(ステップS1204でNoと判断され、ステップS1206に進んだ場合)、コントローラ100は、画像形成装置2から排出される画像形成済みの用紙Pは、内部トレイ22には搬送せずに、第一排出トレイ21に排出するように後処理装置3の動作を制御する。また、コントローラ100は、操作パネル110にポップアップ表示等を行い、第一貯液タンク73の液体残量の不足により、綴じ処理の種類を液体付与針綴じ処理から針綴じ処理に切替える旨をユーザに通知する(S1207)。
【0125】
[針綴じ処理の動作説明]
次に、針綴じ処理(図14のステップS1203)の詳細について説明する。図15は、針綴じ処理の流れを示すフローチャートである。まず、コントローラ100は、針綴じ処理部移動モータ80を駆動し、綴じ処理の開始時点において、針綴じ処理部155を第一待機位置HP1に移動させる(S1301)。そして、コントローラ100は、針綴じ処理部移動モータ80を駆動して、針綴じ手段62が綴じ位置Bに対面するように、針綴じ処理部155を第一待機位置HP1から液体付与位置Bに向かって主走査方向に移動させる(S1302)。
【0126】
次に、コントローラ100は、後処理搬送部としての搬送ローラ対10、11、14、15を回転させて、画像形成装置2によって画像が形成された用紙Pを内部トレイ22に搬送する(S1303)。また、コントローラ100は、サイドフェンス24L、24Rを対向する方向に移動させて、内部トレイ22に載置された用紙Pにジョギング処理を実行する(S1304)。
【0127】
次に、コントローラ100は、内部トレイ22に搬送された用紙Pの数が、綴じ処理指示で指示された所定枚数Nに達したか否かを判定する(S1304)。そして、コントローラ100は、内部トレイ22に搬送された用紙の数が所定枚数Nに達していないと判定した場合は(S1304:No)、ステップS1303~S1304の処理を再び実行する。すなわち、コントローラ100は、搬送ローラ対10、11、14、15によって内部トレイ22に用紙Pが搬送される度に、ステップS1303~S1304の処理を実行する。
【0128】
一方、コントローラ100は、内部トレイ22に搬送された用紙Pの数が所定枚数Nに達したと判定した場合は(S1305:Yes)、内部トレイ22に載置された用紙束Pbに対して、針綴じ手段62による針綴じ処理を実行する(S1306)。そして、コントローラ100は、搬送ローラ対15により、針綴じされた用紙束Pbを第二排出トレイ26に排出する(S1307)。すなわち、コントローラ100は、針綴じ部駆動モータ62dを駆動して、針綴じ部62aに装填された綴じ針Snを内部トレイ22に載置された用紙束Pbの綴じ位置Bに貫通させることによって用紙束Pbを綴じる。その後、コントローラ100は、搬送ローラ対15を回転させることによって、針綴じされた用紙束Pbを第二排出トレイ26に排出する。
【0129】
次に、コントローラ100は、第二排出トレイ26に排出された用紙束Pbの数が、綴じ処理指示で示された必要部数Mに達したか否かを判定する(S1308)。そして、コントローラ100は、必要部数Mに達していないと判定した場合は(S1308:No)、ステップS1303以降の処理を再び実行する。すなわち、コントローラ100は、第二排出トレイ26に排出した用紙束Pbの数が、必要部数Mに達するまでステップS1303~S1307の処理を繰り返し実行する。
【0130】
一方、コントローラ100は、第二排出トレイ26に排出された用紙束Pbの数が、必要部数Mに達したと判定した場合は(S1308:Yes)、針綴じ処理部移動モータ80を駆動して、針綴じ処理部155を第一待機位置HP1に移動させる(S1309)。
【0131】
以上のように、綴じ枚数が、図14のステップS1202の切替条件である所定枚数N以下である場合、すなわち、針綴じ処理のみで用紙束Pbを綴じることができる場合には、図14のステップS1203の針綴じ処理を実行する。
【0132】
[液体付与針綴じ処理の動作説明]
次に、液体付与針綴じ処理(図14のステップS1205)の詳細について説明する。図16は、液体付与針綴じ処理の流れを示すフローチャートである。まず、コントローラ100は、針綴じ処理部移動モータ80を駆動し、綴じ処理の開始時点において、針綴じ処理部155を第一待機位置HP1に移動させる(S1401)。そして、コントローラ100は、針綴じ処理部移動モータ80を駆動して、液体付与手段61が液体付与位置Bに対面するように、針綴じ処理部155を第一待機位置HP1から液体付与位置Bに向かって主走査方向に移動させる(S1402)。
【0133】
次に、コントローラ100は、後処理搬送部としての搬送ローラ対10、11、14、15を回転させて、画像形成装置2によって画像が形成された用紙Pを内部トレイ22に搬送する(S1403)。また、コントローラ100は、サイドフェンス24L、24Rを対向する方向に移動させて、内部トレイ22に載置された用紙Pにジョギング処理を実行する(S1404)。
【0134】
次に、コントローラ100は、サイドフェンス24L、24Rによる用紙Pに対するジョギング処理が終了した後、液体付与位置Bに対面する液体付与手段61に、内部トレイ22に載置された用紙Pの液体付与位置B(液体付与領域Wp)に対して、液体付与処理を実行させる(S1405)。
【0135】
次に、コントローラ100は、内部トレイ22に搬送された用紙Pの数が、綴じ処理指示で指示された所定枚数Nに達したか否かを判定する(S1406)。そして、コントローラ100は、内部トレイ22に搬送された用紙の数が所定枚数Nに達していないと判定した場合(S1406:No)は、ステップS1403~S1405の処理を再び実行する。すなわち、コントローラ100は、搬送ローラ対10、11、14、15によって内部トレイ22に用紙Pが搬送される度に、S1403~S1405の処理を実行する。
【0136】
そして、コントローラ100は、内部トレイ22に搬送された用紙Pの数が所定枚数Nに達したと判定した場合は(S1406:Yes)、針綴じ処理部移動モータ80を駆動して、針綴じ手段62が綴じ位置Bに対面するように、針綴じ処理部155を主走査方向に移動させる(S1407)。
【0137】
次に、コントローラ100は、内部トレイ22載置された用紙束Pbに対して針綴じ手段62による針綴じ処理を実行する(S1408)。すなわち、コントローラ100は、針綴じ部駆動モータ62dを駆動して、内部トレイ22に載置された用紙束Pbの綴じ位置Bに綴じ針Sn貫通させることによって用紙束Pbを綴じる。そして、コントローラ100は、搬送ローラ対15により、針綴じ手段62により針綴じされた用紙束Pbを第二排出トレイ26に排出する(S1409)。
【0138】
次に、コントローラ100は、第二排出トレイ26に排出された用紙束Pbの数が、綴じ処理指示で示された必要部数Mに達したか否かを判定する(S1410)。そして、コントローラ100は、第二排出トレイ26に排出された用紙束Pbの数が、必要部数Mに達していないと判定した場合(S1410:No)は、ステップS1403以降の処理を再び実行する。すなわち、コントローラ100は、第二排出トレイ26に排出した用紙束Pbの数が必要部数Mに達するまで、ステップS1403~S1409の処理を繰り返し実行する。
【0139】
一方、コントローラ100は、第二排出トレイ26に排出された用紙束Pbの数が、必要部数Mに達したと判定した場合は(S1410:Yes)、針綴じ処理部移動モータ80を駆動して、針綴じ処理部155を第一待機位置HP1に移動させる(S1411)。
【0140】
以上のように、綴じ枚数が、図14のステップS1202の切替条件である所定枚数Nより大きい場合、すなわち、針綴じ処理のみで用紙束Pbを綴じることができない場合には、図14のステップS1205の液体付与針綴じ処理を実行する。このように、綴じ枚数が多いとき、用紙Pの綴じ領域を含む一部に対して液体付与を施すことで、用紙Pを柔らかくし、用紙束Pbの綴じ位置をほぐして綴じ針Snを貫通しやすくすることで、大量の用紙Pからなるに用紙束Pbに対しても、針綴じ処理による用紙束Pbの綴じ強度を向上させることができる。
【0141】
[綴じ処理フローの第二実施形態]
次に、本実施形態に係る後処理装置3が有する処理機能において実現される綴じ処理の流れの別の例について、図17のフローチャートを用いて説明する。なお、以下において用いられるフローチャートで示される処理は、コントローラ100において媒体処理プログラムが実行されることにより実現されるものである。
【0142】
まず、ユーザの指示操作によって、画像形成システム1の動作が開始される。この動作の開始の指示において、ユーザが操作パネル110を介して任意に、画像形成装置2から排出される画像形成済みの用紙Pに対する綴じ処理の内容を設定する。なお、綴じ処理の内容には、用紙Pを積み重ねる枚数(用紙束Pbを構成する用紙Pの数)としての「所定枚数N」や、綴じ処理を施すべき用紙束Pbの数(以下、「必要部数M」と表記する。)を示す情報が含まれる。また、用紙Pの種類を示す情報や、用紙Pの一枚当たりの厚みを示す情報も含まれる。
【0143】
コントローラ100は、画像形成装置2において画像形成処理が開始されたことを示す情報とともに、綴じ処理の内容を示す情報を含む「綴じ処理指示」を取得する(S1501)。
【0144】
次に、コントローラ100は、ステップS1501において取得した所定枚数Nが、予め設定される「第一切替条件」を満たすか否かを判定する(S1502)。第一切替条件は、液体付与を行わない圧着綴じ処理(圧着綴じ処理)を行なうか、他の綴じ処理を行なうか、を切り替えるための条件に相当する。
【0145】
例えば、第一切替条件が、用紙束Pbを構成する用紙Pの枚数である場合に、コントローラ100は、用紙束Pbの枚数が2枚以上5枚以下であることを「第一切替条件」として設定する。そして、綴じ処理指示に含まれる所定枚数Nが3枚である場合は(S1502:Yes)、コントローラ100は、端綴じ処理部25の圧着手段32による用紙束Pbの綴じ位置Bに対する圧着綴じ処理を実行する(S1503)。圧着綴じ処理の流れは、図15を用いてすでに説明をした流れにおいて、針綴じ処理部155の針綴じ手段62による針綴じ処理に替えて、端綴じ処理部25の圧着手段32による圧着綴じ処理を実行するものに相当するので、詳細な説明を省略する。
【0146】
一方、綴じ処理指示に含まれる所定枚数Nが6枚以上である場合は(S1502:NO)、コントローラ100は、所定枚数Nが第二切替条件を満たすか否かを判定する(S1504)。第二切替条件は、液体付与を伴う圧着綴じ処理(液体付与圧着綴じ処理)を行なうか、他の綴じ処理を行なうか、を切り替えるための条件に相当する。
【0147】
例えば、第二切替条件が、用紙束Pbを構成する用紙Pの枚数である場合に、コントローラ100は、用紙束Pbの枚数が6枚以上15枚以下であることを「第二切替条件」として設定する。
【0148】
そして、綴じ処理指示に含まれる所定枚数Nが10枚である場合は(S1504:Yes)、コントローラ100は、第一貯液タンク73内の液体残量が、端綴じ処理部25による液体付与圧着綴じ処理における液体付与を行うために必要となる液体量に比較して十分な液体残量であるか否かを、第一液量検知センサ73aの出力に基づいて判定する(S1505)。ここで「液体付与を行うために必要となる液体量」とは、所定枚数N(本例では10枚)に対して液体付与を行う際に消費される予定の液体量を意味する。
【0149】
コントローラ100は、第一貯液タンク73の液体残量が、所定枚数Nに対して液体付与を行うために必要となる液体量に比較して十分な液体残量であると判断した場合は(S1505:Yes)、端綴じ処理部25による液体付与圧着綴じ処理を実行する(S1506)。一方、コントローラ100は、第一貯液タンク73の液体残量が、所定枚数Nに対して液体付与を行うために必要となる液体量に比較して十分な液体残量はでないと判断した場合は(S1505:No)、液体付与圧着綴じ処理によっては、用紙束Pbの綴じ強度が十分に得られないので、針綴じ処理部155の針綴じ手段62による針綴じ処理を実行する(S1508)。なお、液体付与圧着綴じ処理の流れは、図16を用いてすでに説明をした流れにおいて、針綴じ処理部155の針綴じ手段62による針綴じ処理に替えて、端綴じ処理部25の圧着手段32による圧着綴じ処理を実行するものに相当するので、詳細な説明を省略する。
【0150】
一方、綴じ処理指示に含まれる所定枚数Nが16枚である場合は(S1504:NO)、コントローラ100は、所定枚数Nが第三切替条件を満たすか否かを判定する(S1507)。第三切替条件は、液体付与を伴わない針綴じ処理(針綴じ処理)を行なうか、液体付与を伴う針綴じ処理(液体付与針綴じ処理)を行なうか、を切り替えるための条件に相当する。
【0151】
例えば、第三切替条件が、用紙束Pbを構成する用紙Pの枚数である場合に、コントローラ100は、用紙束Pbの枚数が16枚以上100枚以下であることを「第三切替条件」として設定する。
【0152】
そして、綴じ処理指示に含まれる所定枚数Nが50枚である場合は(S1507:Yes)、針綴じ処理部155の針綴じ手段62による針綴じ処理を実行する(S1508)。針綴じ処理の詳細は、図15のフローチャートを用いて説明したとおりである。
【0153】
一方、綴じ処理指示に含まれる所定枚数Nが110枚である場合は(S1507:No)、コントローラ100は、第一貯液タンク73内の液体残量が、針綴じ処理部155による液体付与針綴じ処理における液体付与を行うために必要となる液体量に比較して十分な液体残量であるか否かを、第一液量検知センサ73aの出力に基づいて判定する(S1509)。ここで「液体付与を行うために必要となる液体量」とは、所定枚数N(本例では110枚)に対して液体付与を行う際に消費される予定の液体量を意味する。
【0154】
コントローラ100は、第一貯液タンク73の液体残量が、所定枚数Nに対して液体付与を行うために必要となる液体量に比較して十分な液体残量であると判断した場合は(S1509:Yes)、針綴じ処理部155による液体付与針綴じ処理を実行する(S1510)。
【0155】
一方、コントローラ100は、第一貯液タンク73の液体残量が、所定枚数Nに対して液体付与を行うために必要となる液体量に比較して十分な液体残量ではないと判断した場合は(S1509:No)、針綴じ処理部155による液体付与針綴じ処理を実行しても用紙束Pbを綴じることができないので、綴じ処理を中止する(S1511)。
【0156】
また、第一貯液タンク73の液体残量が、液体付与針綴じ処理における液体付与を行うために必要となる液体量に比較して十分な液体残量でないことにより、綴じ処理を中止する場合は(ステップS1509でNoと判断され、ステップS1511に進んだ場合)、コントローラ100は、画像形成装置2から排出される画像形成済みの用紙Pは、内部トレイ22には搬送せずに、第一排出トレイ21に排出するように後処理装置3の動作を制御する。また、コントローラ100は、操作パネル110にポップアップ表示等を行い、第一貯液タンク73の液体残量の不足により、綴じ処理の種類を液体付与針綴じ処理から針綴じ処理に切替える旨をユーザに通知する(S1512)。
【0157】
以上のとおり、本実施形態によれば、複数の切替条件を設定しておき、その切替条件を用紙Pの枚数とすることにより、所定枚数Nに応じて好適な綴じ処理を実行することできる。すなわち、ユーザが複数の切替条件を任意に設定することにより、用紙Pの枚数に応じて綴じ処理の種類を「圧着綴じ処理」、「液体付与圧着綴じ処理」、「針綴じ処理」、及び「液体付与針綴じ処理」の中から任意に選択して実行させることができる。なお、綴じ処理の種類の選択を用紙Pの枚数に応じて自動的に切り替えることもできるし、一旦、操作パネル110に、綴じ処理の種類の切替に関する諾否を入力できる入力画面を操作パネル110に表示し、ユーザに選択させることもできる。また、液体付与にて消費される液体量、及び第一貯液タンク73内の液体残量に基づいて、綴じ処理の種類の変更や、綴じ処理の実行中止を切り替えることができる。
【0158】
なお、本実施形態において例示した切替条件は、用紙Pの枚数に関するものであって、例えば、用紙束Pbの枚数が「2枚~5枚のとき」は、綴じ処理として、液体付与を行わずに圧着綴じ処理を実行する。そして、用紙束Pbの枚数が「6枚~15枚のとき」は、液体付与を行って圧着綴じ処理を実行する。また、用紙束Pbの枚数が「16枚~100枚のとき」は、液体付与を行わずに針綴じ処理を実行する。そして、用紙束Pbの枚数が「101枚以上のとき」は、液体付与を行って針綴じ処理を実行する。
【0159】
[綴じ処理の自動切替処理]
綴じ処理フローの第一実施形態及び第二実施形態は、主に、所定枚数Nに応じて、綴じ処理の種類を自動的に切り替えるものであるが、後処理装置3における綴じ処理において、これに限定するものではない。
【0160】
例えば、図18に示すように、綴じ処理の開始の後、コントローラ100は、操作パネル110に綴じ処理の種類を選択可能にする選択画面を表示させ、ユーザが任意に綴じ処理の種類を選択することできるようにする(S1601)。
【0161】
その結果、コントローラ100は、ユーザが選択した種類の綴じ処理を実行する(S1602)。
【0162】
続いて、綴じ処理を行なうすべてのジョブ(印刷ジョブ)が完了しているか否かの判定を行い(S1603)、完了していなければ(S1603:No)、処理をS1602に戻す。すべてのジョブが完了していれば(S1603:yes)、ユーザが選択した種類の綴じ処理を終了する。
【0163】
[綴じ処理の切替制御選択]
図19に、コントローラ100が操作パネル110に表示する、綴じ処理の切替パターンを選択するため選択画面(条件設定部)の例を示す。図19に示すように、綴じ処理自動切替設定画面1701には、綴じ処理の自動切替機能を動作させるための第一選択ボタン1701A(自動切替ONボタン)と、第二選択ボタン1701B(自動切替OFFボタン)が含まれる。またポップアップには、ユーザが綴じ処理の自動切替の適用有無を判断する際に参考とする「自動切替機能」の説明がメッセージ1701Eとして表示される。
【0164】
すなわち、第一選択ボタン1701A(自動切替ONボタン)をユーザが操作すれば、綴じ処理フローの第一実施形態及び第二実施形態において説明したように、用紙Pの所定枚数Nに応じて綴じ処理の種類を自動的に切り替わる。
【0165】
一方、第二選択ボタン1701B(自動切替OFFボタン)をユーザが操作すれば、図18を用いて説明したように、ユーザが任意に選択した種類の綴じ処理が実行される。
【0166】
[切替条件設定画面の第一実施形態]
次に、図14のステップS1202の判定処理において用いられる切替条件の閾値を設定するための設定画面(閾値設定部)について図20を用いて説明する。
【0167】
図20に示すように、液体付与を行わずに針綴じ処理(針綴じ処理)のみを行なうときの最大枚数設定画面1801(切替条件設定部)には、液体付与が必要となる針綴じ処理の下限に相当し、液体付与を行わずに針綴じ処理を行なうことができる上限に相当する最大枚数の初期値表示とともに、閾値設定欄1801Bとテンキー1801A及び設定ボタン1801Dが表示される。
【0168】
各欄に、テンキー1801Aを介して所定の数値を入力し、設定ボタン1801Dを押下すると、コントローラ100が備える記憶領域に一時的に閾値が格納される。
【0169】
以上のように、本実施形態に係る後処理装置3は、針綴じ処理において、針綴じ処理と液体付与針綴じ処理を切り替える条件をユーザが任意に設定することができる。例えば設定値を「70」に変更する場合について説明する。この場合、初めに現在の設定枚数が表示されている閾値設定欄1801Bにユーザが触れてから、テンキー1801Aの操作で[7]キーを押した後に続けて[0]キーを押し、[エンター]キーを押すことで設定値の入力が完了する。
【0170】
設定変更時に入力中の値は、閾値設定欄1801Bに常に表示される。設定変更時に[C]キーを押すと、入力中の値が消去され、設定値を再度入力することが可能である。
【0171】
[切替条件の第一設定例]
次に、後処理装置3において適用可能な切替条件の設定例について説明する。図21は、コントローラ100が備える記憶手段としてのROM103に記憶される切替条件テーブルデータ1901(切替条件保持部)の例である。切替条件テーブルデータ1901は、液体付与を行わない針綴じ処理(針綴じ処理)を実行できる最大枚数を、用紙種別や厚みの違いによって区別する構造を備えている。図21では、「パターン1」~「パターン15」まで区別して設定できる構造を例示している。
【0172】
綴じ処理指示に含まれる用紙Pの種類や、厚みに応じて、切替条件テーブルデータ1901の中から該当するパターンを選択し、当該パターンに設定されている閾値Aを読み出して切替条件の判定(図14のステップS1202の判断)に用いる。
【0173】
なお、図21に例示した切替条件テーブルデータ1901によれば、15種類に区別して切替条件を設定し、各切替条件において所定枚数Nに対する閾値Aの具体的な枚数を示す数値を設定することができる。また、初期値とは異なる値をユーザが任意に設定した場合には、ユーザ設置値に数字が保持されるので、切替条件の選択時には、ユーザ設定値が優先して用いられる。
【0174】
[切替条件設定画面の第二実施形態]
次に、図17のステップS1502、S1504、S1507の判定処理において用いられる第一~第三切替条件としての閾値を設定するための設定画面について図22を用いて説明する。
【0175】
[第一切替条件(ステップS1502の判断条件)の設定]
図22(A)に示すように、液体付与を行わずに圧着綴じ処理(圧着綴じ処理)を行なうときの最大枚数設定画面2001(切替条件設定部)には、液体付与を行わずに圧着綴じ処理を行なうことができる上限に相当する最大枚数の初期値が表示されるとともに、閾値設定欄2001Bとテンキー2001A及び設定ボタン2001Dが表示される。
【0176】
各欄に、テンキー2001Aを介して所定の数値を入力し、設定ボタン2001Dを押下すると、コントローラ100が備える記憶領域に一時的に閾値が格納される。
【0177】
以上のように、本実施形態に係る後処理装置3は、液体付与を行わない圧着綴じ処理と、それ以外の綴じ処理の切替条件をユーザが任意に設定することができる。
【0178】
[第二切替条件(ステップS1504の判断条件)の設定]
また、図22(B)に示すように、液体付与を行って圧着綴じ処理(液体圧着綴じ処理)を行なうときの最大枚数設定画面2002(切替条件設定部)には、液体付与を行って圧着綴じ処理を行なうことができる上限に相当する最大枚数の初期値が表示されるとともに、閾値設定欄2002Bとテンキー2002A及び設定ボタン2002Dが表示される。
【0179】
各欄に、テンキー2002Aを介して所定の数値を入力し、設定ボタン2002Dを押下すると、コントローラ100が備える記憶領域に一時的に閾値が格納される。
【0180】
以上のように、本実施形態に係る後処理装置3は、液体付与を行う圧着綴じ処理と、それ以外の綴じ処理の切替条件をユーザが任意に設定することができる。
【0181】
[第三切替条件(ステップS1507の判断条件)の設定]
また、図22(C)に示すように、液体付与を行わずに針綴じ処理(針綴じ処理)を行なうときの最大枚数設定画面2003(切替条件設定部)には、液体付与を行わずに針綴じ処理を行なうことができる上限に相当する最大枚数の初期値が表示される表示とともに、閾値設定欄2003Bとテンキー2003A及び設定ボタン2003Dが表示される。
【0182】
各欄に、テンキー2003Aを介して所定の数値を入力し、設定ボタン2003Dを押下すると、コントローラ100が備える記憶領域に一時的に閾値が格納される。
【0183】
以上のように、本実施形態に係る後処理装置3は、針綴じ処理と液体付与針綴じ処理を切り替える条件をユーザが任意に設定することができる。
【0184】
[切替条件の第二設定例]
次に、後処理装置3において適用可能な切替条件の別の設定例について説明する。図23は、コントローラ100が備える記憶手段としてのROM103に記憶される切替条件テーブルデータ2101(切替条件保持部)の例である。切替条件テーブルデータ2101は、液体付与を行わない圧着綴じ処理(圧着綴じ処理)、液体付与を行う圧着綴じ処理(液体付与圧着綴じ処理)、液体付与を行わない針綴じ処理(針綴じ処理)のそれぞれを実行可能とする上限(最大枚数)を、用紙種別や厚みの違いによって区別する構造を備えている。図23では、「パターン1」~「パターン15」まで区別して設定できる構造を例示している。
【0185】
綴じ処理指示に含まれる用紙Pの種類や、厚みに応じて、切替条件テーブルデータ2101の中から該当するパターンを選択し、当該パターンに設定されている閾値Aを読み出して第一~第三切替条件の判定(図17のステップS1502、S1504、S1507の判断)に用いる。
【0186】
なお、図23に例示した切替条件テーブルデータ2101によれば、15種類に区別して切替条件を設定し、各切替条件において所定枚数Nに対する閾値A、閾値B、閾値Cの具体的な枚数を示す数値を設定することができる。また、初期値とは異なる値をユーザが任意に設定した場合には、ユーザ設置値に数字が保持されるので、切替条件の選択時には、ユーザ設定値が優先して用いられる。
【0187】
[液体不足時の綴じ処理自動切替設定画面]
図24は、すでに説明をした図17のステップS1505(液体付与圧着綴じ処理が可能な液体残量か否かを判断するステップ)において、第一貯液タンク73内の液体残量が十分でないとき(S1505:No)、自動的に針綴じ処理への切替を行なう前に、操作パネル110を介してユーザに処理内容の切替確認を促すための画面表示例である。
【0188】
図24に示すように、液体補充・処理選択画面2201は、第一貯液タンク73内の液体残量不足を知らせて、第一貯液タンク73への液体の補充を促すメッセージ2201Cと、綴じ処理の種類を液体付与圧着綴じ処理から針綴じ処理に切り替えるための切替選択ボタン2201Aと、液体付与圧着綴じ処理の中止を指示するための中止選択ボタン2201Bが含まれる。
【0189】
切替選択ボタン2201Aが操作されたときは、コントローラ100は操作パネル110に、針綴じ処理が選択された旨の通知を表示した後に、針綴じ処理(S1508)へ処理を移行する。
【0190】
中止選択ボタン2201Bが操作されたときは、コントローラ100は、操作パネル110に、中止が選択された旨の通知を表示した後に綴じ処理を終了する。
【0191】
以上のように後処理装置3では、コントローラ100は、液体付与を伴う綴じ処理を行おうとするときに、第一貯液タンク73内の液体残量が不足しているか否かを判定し、仮に液体残量が不足しているときは、選択された綴じ処理よりも高い綴じ強度が得られる別の綴じ処理に自動的に切り替える。なお、切り替えることができる綴じ処理がないときには、処理を中止する。
【0192】
また、後処理装置3によれば、用紙Pの綴じ領域を含む一部に対して液体付与を行う機構を持つことで、液体付与を行った後に針綴じ処理を行うことができるので、針綴じの用紙対応力向上という効果を奏する。
【0193】
[後処理装置の第二実施形態]
次に、図25図33を参照して、第二実施形態に係る後処理装置3Aを説明する。なお、第一実施形態に係る後処理装置3と共通の構成要素には同一の参照番号を付して、詳細な説明を省略することがある。
【0194】
第二実施形態に係る後処理装置3Aの針綴じ処理部156は、液体付与手段61と針綴じ手段62が併設された第一実施形態に係る後処理装置3の針綴じ処理部155とは異なり、針綴じ手段62´のみを備え、液体付与手段131を搬送路の上流側に設けている。これにより、液体付与処理後に用紙Pを所定枚数プレスタックして、下流側に設けられた針綴じ処理部156の針綴じ手段62´へ搬送することができるので、針綴じ手段62´での綴じ処理の生産性を向上させることが可能となる。
【0195】
又、搬送ローラ対10、11、14が用紙Pを搬送する方向は、上述で定義した「搬送方向」とは、逆方向であるため、「逆搬送方向」と定義する。また、逆搬送方向及び用紙Pの厚み方向に直交する方向を、「主走査方向(用紙Pの幅方向)」と定義する。又、液体付与手段131によって用紙P又は用紙束Pbに液体付与が行われる位置(液体付与位置)は、針綴じ手段62´が用紙束Pbに対して針綴じを行う予定である綴じ位置に相当する。よって、以下において液体付与位置と綴じ位置には同一符号を付して説明する。
【0196】
図25は、第二実施形態に係る後処理装置3Aの内部構造を示す図である。針綴じ処理部156は、図26に示すように、針綴じ手段62´のみを備えている。図26に示すように、針綴じ手段62´及び端綴じ処理部251は、内部トレイ22より搬送方向の下流側に配置されている。また、針綴じ手段62´及び端綴じ処理部251は、内部トレイ22に載置された用紙束Pbの搬送方向の下流側の端部に対面し得る位置において、主走査方向に移動可能に構成されている。さらに、針綴じ手段62´及び端綴じ処理部251は、内部トレイ22に載置された用紙束Pbの厚み方向に延びる針綴じ手段回転軸83及び圧着手段回転軸561を中心に正逆方向に回転可能に構成されている。すなわち、針綴じ手段62´及び端綴じ処理部251は、コーナー斜め綴じ、平行一箇所綴じ、平行二箇所綴じなどのように、内部トレイ22に載置された用紙束Pbの主走査方向の任意の位置を、任意の角度で綴じることができる。
【0197】
また、針綴じ手段62´は、内部トレイ22に載置された用紙束Pbの綴じ位置に、針綴じ部62aに装填された綴じ針を貫通させることによって用紙束Pbを綴じる(以下、「針綴じ」と表記する。)。一方、端綴じ処理部251は、内部トレイ22に載置された用紙束Pbの綴じ位置を凹凸状の上圧着歯32a、及び下圧着歯32bで加圧変形させることによって、当該用紙束Pbを圧着綴じすることができる。
【0198】
図26は、内部トレイ22を用紙束Pbの厚み方向から見た模式図である。図27は、針綴じ手段62´を搬送方向の上流側から見た模式図である。図26に示すように、針綴じ手段62´及び端綴じ処理部251は、内部トレイ22より搬送方向の下流側に配置されている。針綴じ手段62´は、内部トレイ22に載置された用紙束Pbの表面に沿って主走査方向に移動可能で、且つ内部トレイ22に載置された用紙束Pbの厚み方向に延びる針綴じ手段回転軸83を中心として、正逆方向に回転可能に構成されている。又、端綴じ処理部251についても同様に、用紙束Pbの主走査方向に移動可能で、且つ用紙束Pbの厚み方向に延びる圧着手段回転軸561を中心として、正逆方向に回転可能に構成されている。尚、端綴じ処理部251のその他の構成は、第一実施形態に係る後処理装置3の端綴じ処理部25の圧着手段32(図6参照)と同様なので詳細な説明は省略する。
【0199】
図26に示すように、内部トレイ22より搬送方向の下流側には、ガイドレール337が主走査方向に延設されている。図27に示すように、針綴じ手段62´は、針綴じ処理部移動モータ80の駆動力が、プーリ81a、81b及びタイミングベルト81cを備える駆動力伝達機構81により伝達されることによって、内部トレイ22に載置された用紙束Pbの表面(換言すれば、ガイドレール337)に沿って、主走査方向に移動する。さらに、針綴じ手段62´の構成品を保持する針綴じフレーム62bは、その底面に駆動伝達ギヤ83aを備えた針綴じ手段回転軸83が固定されている。針綴じ手段回転軸83及び駆動伝達ギヤ83aは、針綴じフレーム62bが設けられるベース部材78に正逆方向に回転可能に保持されている。又、駆動伝達ギヤ83aは、針綴じ手段回動モータ82の出力ギヤ82aと噛み合っている。そして、針綴じ手段62´は、針綴じ手段回動モータ82の駆動力が、出力ギヤ82a及び駆動伝達ギヤ83aを介して針綴じ手段回転軸83に伝達されることによって、内部トレイ22に載置された用紙Pの厚み方向に延びる針綴じ手段回転軸83を中心として、ベース部材78上で正逆方向に回転する。ガイドレール337、針綴じ処理部移動モータ80、針綴じ手段回動モータ82、針綴じ手段回転軸83、及び駆動力伝達機構81は、針綴じ手段62´の駆動機構の一例を構成する。
【0200】
針綴じ手段62´は、図26(A)に示す待機位置HP3と、図26(B)及び図26(C)に示す綴じ位置B3に対面する位置とに移動可能に構成されている。待機位置HP3は、内部トレイ22に載置された用紙束Pbから主走査方向の一方側に外れた位置である。綴じ位置B3は、内部トレイ22に載置された用紙束Pb上の位置である。但し、綴じ位置B3の具体的な位置は、図26の例に限定されず、用紙Pの搬送方向の下流側の端部における主走査方向の任意の位置で、かつ複数であってもよい。
【0201】
また、針綴じ手段62´は、図26(B)に示す平行綴じ姿勢と、図26(C)に示す斜め綴じ姿勢とに姿勢が変化する。つまり、針綴じ手段62´は、針綴じ手段回転軸83を中心として正逆方向に回転可能に構成されている。ここで、平行綴じ姿勢とは、針綴じ部62a(換言すれば、長方形の針綴じ痕)の長手方向が主走査方向を向く針綴じ手段62´の姿勢である。又、斜め綴じ姿勢とは、針綴じ部62a(換言すれば、長方形の針綴じ痕)の長手方向が主走査方向に対して傾いた針綴じ手段62´の姿勢である。
【0202】
なお、斜め綴じ姿勢における回転角度(主走査方向に対する針綴じ部62aの角度)は、図26(C)の例に限定されず、内部トレイ22に載置された用紙束Pbに針綴じ部62aが対面していれば、任意の角度でよい。
【0203】
後処理装置3Aは、液体付与手段131と、パンチ孔穿設手段132(処理部)とを備える。液体付与手段131及びパンチ孔穿設手段132は、内部トレイ22より逆搬送方向の上流側に配置されている。また、液体付与手段131及びパンチ孔穿設手段132は、搬送ローラ対10~19によって搬送される1枚の用紙Pに同時に対面し得る位置において、逆搬送方向にずれて配置されている。本実施形態に係る液体付与手段131及びパンチ孔穿設手段132は、搬送ローラ対10、11の間に配置されている。但し、液体付与手段131及びパンチ孔穿設手段132の配置は、図25の例に限定されない。例えば、図33に示すように画像形成装置2と後処理装置3Aの間にインサーター6が配置されている場合は、液体付与手段131を後処理装置3Aの上流側に位置するインサーター6内に設けることもできる。インサーター6としては、画像形成装置2から搬送された用紙Pとともに後処理装置3Aに搬送するプレプリント媒体を、表紙、挿入紙または仕切紙として、画像形成装置2を通さずに給紙することができる装置が挙げられる。
【0204】
又、搬送ローラ対11は、図28(A)に示すように、液体付与手段131の液体付与ヘッド146により液体が付与された用紙Pの液体付与位置B3と主走査方向において重ならない位置に配置されている。これは、搬送ローラ対11が用紙Pを搬送する際に、複数のローラ対が、液体付与位置B3を当接することにより液体付与位置B3の液量が減少することを防止するためである。その結果、用紙Pが、液体付与手段131よりも逆搬送方向の下流側に設けられた針綴じ手段62´に到達した時点で、液体付与位置B3の液量は、綴じ強度を維持するのに必要な液量を確保できているので、搬送過程で液体付与位置B3(綴じ位置B3に相当)の液量が減少することによる用紙束Pbの綴じ強度の低下を防止することができる。
【0205】
更に、搬送ローラ対11を構成する複数のローラ対を、用紙Pの液体付与位置B3と主走査方向において重ならない位置に配置することにより、複数のローラ対に液体が付着して用紙Pの搬送性が悪化することや、搬送性の悪化が原因で生じる搬送ジャムを防止することができる。
【0206】
なお、以上では搬送ローラ対11についてのみ説明したが、搬送ローラ対14~15を構成する複数のローラ対も同様に、用紙Pの液体付与位置B3と主走査方向において重ならない位置に配置することが好ましい。
【0207】
液体付与手段131は、搬送ローラ対10、11によって搬送される用紙Pに液体を付与(以下、「液体付与」と表記する。)する。パンチ孔穿設手段132は、搬送ローラ対10、11によって搬送される用紙Pに、厚み方向に貫通するパンチ孔を穿つ。なお、液体付与手段131に近接して設けられる処理部は、パンチ孔穿設手段132に限定されず、搬送ローラ対10、11によって搬送される用紙Pの傾き(スキュー)を補正する傾き補正部でもよい。
【0208】
図28は、第二実施形態に係る液体付与手段131を用紙Pの厚み方向から見た図である。図29は、図28のXXV-XXVにおける断面図である。図30は、図28のXXVI-XXVIにおける断面図である。図28図30に示すように、液体付与手段131は、一対のガイド軸133a、133bと、一対のプーリ134a、134bと、無端環状ベルト135、136と、液体付与部移動モータ137と、待機位置センサ138(図31参照)と、液体付与ユニット140とを備える。
【0209】
一対のガイド軸133a、133bは、逆搬送方向に離間した位置において、各々が主走査方向に延設されている。また、一対のガイド軸133a、133bは、後処理装置3Aの一対の側板4a、4bに支持されている。そして、一対のガイド軸133a、133bは、液体付与ユニット140を主走査方向に移動可能に支持する。
【0210】
一対のプーリ134a、134bは、逆搬送方向における一対のガイド軸133a、133bの間に配置されている。また、一対のプーリ134a、134bは、主走査方向に離間して配置されている。さらに、一対のプーリ134a、134bは、用紙Pの厚み方向に延びる回転軸回りに正逆方向に回転可能に、後処理装置3Aのフレームに支持されている。
【0211】
無端環状ベルト135は、一対のプーリ134a、134bに掛け渡されている。また、無端環状ベルト135には、接続部135aによって液体付与ユニット140に接続されている。無端環状ベルト136は、プーリ134aと液体付与部移動モータ137の出力軸に固定された駆動プーリ137aとに掛け渡されている。液体付与部移動モータ137は、液体付与ユニット140を主走査方向に移動させるための駆動力を発生させる。
【0212】
液体付与部移動モータ137が回転することによって、プーリ134a及び駆動プーリ137aの間を無端環状ベルト136が周回し、プーリ134aを回転させる。また、プーリ134aが回転することによって、一対のプーリ134a、134bの間を無端環状ベルト135が周回する。これにより、液体付与ユニット140は、一対のガイド軸133a、133bに沿って主走査方向に移動する。また、液体付与部移動モータ137の回転方向を切り替えることによって、液体付与ユニット140は、主走査方向に往復移動する。
【0213】
待機位置センサ138は、液体付与ユニット140が主走査方向の待機位置に到達したことを検知し、検知結果を示す待機位置信号を後述する制御部としてのコントローラ100(図31参照)に出力する。待機位置センサ138は、例えば、発光部及び受光部を備える光学センサである。そして、待機位置の液体付与ユニット140は、発光部及び受光部の間の光路を遮断する。そして、待機位置センサ138は、発光部から出力された光が受光部で受光されないことに応じて、待機位置信号を出力する。但し、待機位置センサ138の具体的な構成は、前述の例に限定されない。
【0214】
図29に示すように、後処理装置3A内の搬送路は、用紙Pの厚み方向に離間して配置された上ガイド板5a及び下ガイド板5bによって画定される。そして、液体付与ユニット140は、上ガイド板5aに設けられた開口に対面する位置に配置されている。すなわち、液体付与ユニット140は、上ガイド板5aの開口を通じて搬送路(すなわち、用紙Pに対面し得る位置)に対面して配置されている。
【0215】
図28図30に示すように、液体付与ユニット140は、ベース部材141と、回転ブラケット142と、貯液タンク143と、移動手段144と、保持部材145と、液体付与ヘッド146と、柱状部材147a、147bと、押圧板148と、コイルバネ149a、149bと、付与ヘッド回動モータ150と、付与ヘッド移動モータ151(図31参照)と、待機角度センサ152(図31参照)とを備える。
【0216】
ベース部材141は、主走査方向にスライド可能に一対のガイド軸133a、133bに支持されている。また、ベース部材141は、接続部135aによって無端環状ベルト135に接続されている。さらに、ベース部材141は、液体付与ユニット140の構成部品142~152を支持している。
【0217】
回転ブラケット142は、用紙Pの厚み方向に延びる回転軸回りに正逆方向に回転可能にベース部材141の下面に取り付けられている。また、回転ブラケット142は、付与ヘッド回動モータ150の駆動力が伝達されることによって、ベース部材141に対して正逆方向に回転する。さらに、回転ブラケット142は、貯液タンク143、移動手段144、保持部材145、液体付与ヘッド146、柱状部材147a、147b、押圧板148、及びコイルバネ149a、149bを保持している。
【0218】
待機角度センサ152(図31参照)は、回転ブラケット142が待機角度に到達したことを検知し、検知結果を示す待機角度信号をコントローラ100に出力する。待機角度とは、例えば、平行綴じするときの角度である。待機角度センサ152は、例えば、発光部及び受光部を備える光学センサである。そして、待機角度の回転ブラケット142は、発光部及び受光部の間の光路を遮断する。そして、待機角度センサ152は、発光部から出力された光が受光部で受光されないことに応じて、待機角度信号を出力する。但し、待機角度センサ152の具体的な構成は、前述の例に限定されない。
【0219】
なお、図28(A)に示した回転ブラケット142は、液体付与手段131より下流側の針綴じ手段62´が平行綴じする際(図26(B)参照)の状態を示している。又、図28(B)に示した回転ブラケット142は、液体付与手段131より下流側の針綴じ手段62´が斜め綴じ(角綴じ)する際(図26(C)参照)の状態を示している。
【0220】
貯液タンク143は、用紙Pに付与するための液体を貯留する。移動手段144は、用紙Pの厚み方向に移動(例えば昇降)可能に貯液タンク143に取り付けられている。また、移動手段144は、付与ヘッド移動モータ151の駆動力が伝達されることによって、貯液タンク143に対して移動する。保持部材145は、移動手段144の下端に取り付けられている。液体付与ヘッド146は、保持部材145から搬送路に向けて(本実施形態では、下方)に突出している。また、液体付与ヘッド146には、貯液タンク143に貯留された液体が供給される。さらに、液体付与ヘッド146は、吸液率の高い材料(例えば、スポンジ、繊維)で構成されている。
【0221】
柱状部材147a、147bは、液体付与ヘッド146の周囲において、保持部材145から下方に突出している。また、柱状部材147a、147bは、保持部材145に対して厚み方向に相対的に移動可能に構成されている。さらに、柱状部材147a、147bは、下端で押圧板148を保持している。押圧板148には、液体付与ヘッド146に対面する位置に貫通口148aが形成されている。コイルバネ149a、149bは、保持部材145と押圧板148との間において、柱状部材147a、147bに外挿されている。そして、コイルバネ149a、149bは、柱状部材147a、147b及び押圧板148を、保持部材145から離間する方向に向かって付勢する。
【0222】
図29(A)及び図30(A)に示すように、上ガイド板5aの開口に対面する位置に用紙Pが搬送される前の段階では、押圧板148は開口の位置または開口より上方に位置している。次に、搬送ローラ対10、11によって搬送された用紙Pの液体付与位置B3が開口に対面する位置で停止すると、付与ヘッド移動モータ151を第一の方向に回転させる。これにより、移動手段144、保持部材145、液体付与ヘッド146、柱状部材147a、147b、押圧板148、及びコイルバネ149a、149bが一体となって下降して、押圧板148が用紙Pに当接する。なお、液体付与位置B3とは、針綴じ処理部156(すなわち針綴じ手段62´)によって針綴じされる予定の位置(すなわち、綴じ位置B3)である。
【0223】
そして、押圧板148が用紙Pに当接した後も付与ヘッド移動モータ151を第一の方向に回転させることによって、コイルバネ149a、149bが圧縮されて、移動手段144、保持部材145、液体付与ヘッド146、及び柱状部材147a、147bがさらに下降する。そして、図29(B)及び図30(B)に示すように、液体付与ヘッド146の下面が貫通口148aを通じて用紙Pに当接する。その結果、液体付与ヘッド146に含まれる液体が用紙Pに付与される。
【0224】
さらに、図29(C)及び図30(C)に示すように、付与ヘッド移動モータ151をさらに第一の方向に回転させることによって、液体付与ヘッド146を用紙Pにさらに強く押し付けることができる。これにより、用紙Pに対する液体付与量が増加する。すなわち、液体付与手段131は、用紙Pに対する液体付与ヘッド146の押し付け力を変更することによって、液体付与量を調整することができる。
【0225】
一方、付与ヘッド移動モータ151を第一の方向と逆向きの第二の方向に回転させることによって、移動手段144、保持部材145、液体付与ヘッド146、柱状部材147a、147b、押圧板148、及びコイルバネ149a、149bが一体となって上昇する。これにより、図29(A)及び図30(A)に示すように、液体付与ヘッド146及び押圧板148が用紙Pから離間する。すなわち、液体付与手段131は、用紙Pに切離可能な液体付与ヘッド146を備える。
【0226】
図31は、第二実施形態に係る後処理装置3Aの動作を制御する制御ブロックのハードウェア構成図である。図31に示すように、後処理装置3Aは、CPU(Central Processing Unit)101、RAM(Random Access Memory)102、ROM(Read Only Memory)103、HDD(Hard Disk Drive)104、及びI/F105が共通バス109を介して接続されている構成を備える。
【0227】
CPU101は演算手段であり、後処理装置3A全体の動作を制御する。RAM102は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU101が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM103は、読み出し専用の不揮発性の記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD104は、情報の読み書きが可能であって記憶容量が大きい不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーションプログラムなどが格納される。
【0228】
後処理装置3Aは、ROM103に格納された制御プログラム、HDD104などの記憶媒体からRAM102にロードされた情報処理プログラム(アプリケーションプログラム)などをCPU101が備える演算機能によって処理する。その処理によって、後処理装置3Aの種々の機能モジュールを含むソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、後処理装置3Aに搭載されるハードウェア資源との組み合わせによって、後処理装置3Aの機能を実現する機能ブロックが構成される。すなわち、CPU101、RAM102、ROM103、及びHDD104は、後処理装置3Aの動作を制御するコントローラ100を構成する。
【0229】
I/F105は、搬送ローラ対10、11、14、15、切替爪20、サイドフェンス24L、24R、針綴じ処理部移動モータ80、針綴じ手段回動モータ82、針綴じ部駆動モータ62d、液体付与部移動モータ137、付与ヘッド回動モータ150、付与ヘッド移動モータ151、待機位置センサ138、待機角度センサ152、パンチ孔穿設手段132、及び操作パネル110を、共通バス109に接続するインタフェースである。コントローラ100は、I/F105を通じて、搬送ローラ対10、11、14、15、切替爪20、サイドフェンス24L、24R、針綴じ処理部移動モータ80、針綴じ手段回動モータ82、針綴じ部駆動モータ62d、液体付与部移動モータ137、付与ヘッド回動モータ150、付与ヘッド移動モータ151、及びパンチ孔穿設手段132の動作を制御する。
【0230】
又、コントローラ100は、I/F105を通じて、待機位置センサ138、待機角度センサ152からの検知結果を取得する。なお、図31には主に針綴じ処理を実行する針綴じ処理部156(針綴じ手段62´)及び液体付与手段131の構成部品を図示しているが、中綴じ処理を実行する中綴じ処理部28の構成部品も同様にコントローラ100によって制御される。
【0231】
操作パネル110は、ユーザからの入力操作を受け付ける操作部と、ユーザに情報を報知するディスプレイとを備える。操作部は、例えば、ハードキー、ディスプレイに重畳されたタッチパネル等を含む。そして、操作パネル110は、操作部を通じてユーザから情報を取得し、ディスプレイを通じてユーザに情報を提供する。
【0232】
図32は、第二実施形態に係る後処理装置3Aの後処理のフローチャートである。具体的には、図26に示す一箇所綴じを実行する際のフローチャートである。
【0233】
コントローラ100は、例えば、画像形成装置2から後処理の実行指示(以下、「後処理指示」と表記する。)を取得したことに応じて、図32に示す後処理を実行する。後処理指示は、例えば、用紙束Pbを構成する用紙Pの数(以下、「所定枚数N」と表記する。)と、綴じ処理を施すべき用紙束Pbの数(以下、「必要部数M」と表記する。)と、綴じ位置B3(液体付与位置B3に相当)と、綴じ位置B3の角度(液体付与位置B3の角度に相当)と、綴じ処理の種類(平行綴じ処理、斜め綴じ処理)と、液体付与処理と並行して実行される処理(本実施形態では、パンチ孔の穿設)とを含む。なお、後処理の開始時点において、液体付与ユニット140は待機位置HP3(図26の待機位置HP3に相当する位置)に位置し、回転ブラケット142は待機角度(「平行綴じ姿勢」に相当)に保持されているものとする。
【0234】
まず、コントローラ100は、液体付与部移動モータ137を駆動することによって、液体付与ユニット140(液体付与手段の一部)を主走査方向に移動させることで、液体付与ヘッド146を待機位置HP3から液体付与位置B3(図26の綴じ位置B3に相当する位置)に対面し得る位置に移動させる。また、後処理指示で指示された綴じ処理の種類が「斜め綴じ処理」である場合は、コントローラ100は、付与ヘッド回動モータ150を駆動し、回転ブラケット142を回転させることで、液体付与ヘッド146を待機角度から「斜め綴じ姿勢」に対応する液体付与角度に回転させる(S801)。液体付与ヘッド146が液体付与位置B3に対面し得る位置及び液体付与角度に達したことは、液体付与部移動モータ137及び付与ヘッド回動モータ150のロータリエンコーダから出力されるパルス信号によって把握できる。尚、後処理指示で指示された綴じ処理の種類が「平行綴じ処理」である場合は、コントローラ100は、上述した回転ブラケット142を回転させる動作を省略する。すなわち、液体付与ユニット140は、回転ブラケット142を待機角度に保持したまま主走査方向に移動する。
【0235】
又、コントローラ100は、針綴じ処理部移動モータ80を駆動することによって、図26(A)、図26(B)に示すように、針綴じ手段62´を待機位置HP3から綴じ位置B3に対面し得る位置に移動させる(S801)。また、後処理指示で指示された綴じ処理の種類が「斜め綴じ処理」である場合は、コントローラ100は、針綴じ手段回動モータ82を駆動することにより、針綴じ手段62´を待機角度から「斜め綴じ姿勢」に対応する綴じ角度に回転させる(S801)。針綴じ手段62´が、綴じ位置B3に対面し得る位置、及び綴じ角度に達したことは、針綴じ処理部移動モータ80及び針綴じ手段回動モータ82のロータリエンコーダから出力されるパルス信号によって把握できる。尚、後処理指示で指示された綴じ処理の種類が「平行綴じ処理」である場合は、コントローラ100は、上述した針綴じ手段62´を回転させる動作を省略する。すなわち、針綴じ手段62´は、待機角度を保持したまま主走査方向に移動する。
【0236】
次に、コントローラ100は、搬送ローラ対10、11を駆動することによって、画像形成装置2によって画像が形成された用紙Pの搬送を開始する(S802)。コントローラ100は、用紙Pの液体付与位置B3が液体付与ユニット140(より詳細には、液体付与ヘッド146)に対面するまで、搬送ローラ対10、11の駆動を継続する(S803:No)。そして、コントローラ100は、用紙Pの液体付与位置B3が液体付与ヘッド146に対面したことに応じて(S803:Yes)、搬送ローラ対10、11を停止する(S804)。用紙Pの液体付与位置B3が液体付与ヘッド146に対面したことは、搬送ローラ対10、11を駆動するモータのロータリエンコーダから出力されるパルス信号によって把握できる。
【0237】
コントローラ100は、液体付与ユニット140によって用紙Pの液体付与位置B3に液体を付与する処理を実行する(S805)。より詳細には、コントローラ100は、付与ヘッド移動モータ151を第一の方向に回転させることによって、液体付与ヘッド146を用紙Pの液体付与位置B3に当接させる。また、コントローラ100は、用紙Pに対する液体付与量に応じて、液体付与ヘッド146の押し付け力(すなわち、付与ヘッド移動モータ151の回転量)を変更する。
【0238】
用紙Pに対する液体付与量は、用紙束Pbを構成する全ての用紙Pに対して同一でもよいし、用紙P毎に異なっていてもよい。例えば、コントローラ100は、後に搬送される用紙Pほど液体付与量を減少させてもよい。また、付与ヘッド移動モータ151の回転量は、付与ヘッド移動モータ151のロータリエンコーダから出力されるパルス信号によって把握できる。
【0239】
次に、コントローラ100は、搬送ローラ対10、11、14、15を駆動することによって、用紙Pを内部トレイ22に載置する(S806)。また、コントローラ100は、サイドフェンス24L、24Rを移動させることによって、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbの主走査方向の位置を揃える(所謂、ジョギング処理)(S806)。
【0240】
次に、コントローラ100は、内部トレイ22に載置された用紙Pの数が、後処理指示で指示された所定枚数Nに達したか否かを判定する(S807)。そして、コントローラ100は、内部トレイ22に載置された用紙Pの数が所定枚数Nに達していないと判定し場合は(S807:No)、ステップS802~S806の処理を再び実行する。
【0241】
一方、コントローラ100は、内部トレイ22に載置された用紙Pの数が所定枚数Nに達したと判定した場合は(S807:Yes)、針綴じ手段62´に、液体付与ユニット140によって液体を付与された用紙束Pbの綴じ位置B3(液体付与位置B3に相当)を針綴じさせる(S808)。さらに、コントローラ100は、搬送ローラ対15を回転させることによって、針綴じされた用紙束Pbを第二排出トレイ26に排出する(S808)。
【0242】
そして、コントローラ100は、液体付与部移動モータ137を駆動して液体付与ユニット140を待機位置HP3に移動させるとともに、針綴じ処理部移動モータ80を駆動して針綴じ手段62´を待機位置HP3に移動させる。
【0243】
また、後処理指示に複数の用紙束Pb(必要部数Mという)を形成する指示が含まれている場合は、図16のステップS1410と同様に、コントローラ100は、第二排出トレイ26に排出された用紙束Pbの数が、必要部数Mに達したか否かを判定する。そして、コントローラ100は、第二排出トレイ26に排出された用紙束Pbの数が、必要部数Mに達していないと判定した場合には、ステップS802~S808の処理を繰り返し実行する。一方、コントローラ100は、第二排出トレイ26に排出された用紙束Pbの数が、必要部数Mに達していると判断した場合には、上述したように液体付与ユニット140及び針綴じ手段62´を待機位置HP3に移動させる。
【0244】
また、本発明は、端綴じ処理を実行する綴じ処理部25のみならず、中綴じ処理を実行する綴じ処理部28にも適用することができる。
【0245】
なお、上記に説明したコントローラ100による制御方法は、すでに説明のとおり、コンピュータのハードウェア資源をとコンピュータソフトウェアとしてのプログラムとの協働により実現される。すなわち、制御方法は、プログラムに基づいて、演算装置、記憶装置、入力装置、出力装置、及び、制御装置を協働して動作させて、コンピュータが実行する方法である。また、プログラムは、記憶装置、又は、記憶媒体等に書き込まれて配布、又は、電気通信回線等を通じて配布されてもよい。
【0246】
そして、本発明は、上記に例示する各実施形態に限定されるものではなく、その技術的要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項のすべてが本発明の対象となる。上記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現することが可能である。そのような変形例も、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【0247】
[本発明の態様]
本発明の内容は、例えば、以下のとおりである。
<1>媒体を重ねた媒体束の一部に、針状部材を貫通させて綴じる針綴じ手段と、
前記媒体束における液体付与領域に液体付与を行なう液体付与手段と、
前記針綴じ手段と前記液体付与手段による針綴じ動作を制御する制御部と、
を備え、
前記針綴じ動作において、前記液体付与手段が前記液体付与領域に液体付与を行った後、前記針綴じ手段が当該液体付与領域に前記針状部材を貫通させる、
ことを特徴とする媒体処理装置である。
【0248】
<2>前記制御部は、前記媒体束を構成する媒体の枚数に応じて、前記針綴じ動作における前記液体付与の実行の有無を切り替える、前記<1>に記載の媒体処理装置である。
【0249】
<3>前記媒体束の一部を加圧変形させて綴じる圧着手段をさらに備え、前記制御部は、前記圧着手段による圧着綴じ動作も制御する、前記<1>又は前記<2>に記載の媒体処理装置である。
【0250】
<4>前記制御部は、前記媒体束を構成する媒体の枚数に応じて、前記媒体束に対する前記液体付与の実行の有無、及び、前記針綴じ手段による針綴じ動作、又は前記圧着手段による圧着綴じ動作の実行を切り替える、前記<3>に記載の媒体処理装置である。
【0251】
<5>前記針綴じ手段による針綴じ動作、又は前記圧着手段による圧着綴じ動作を切り替えるための切替条件の設定を行う切替条件設定部を備える、前記<3>又は前記<4>に記載の媒体処理装置である。
【0252】
<6>前記切替条件は、前記媒体の種類、前記媒体の厚み、及び前記媒体束を構成する前記媒体の枚数の少なくとも1つに応じて設定される、前記<5>に記載の媒体処理装置である。
【0253】
<7>切替条件設定部により、設定された切替条件を保持する切替条件保持部を備える、前記<5>に記載の媒体処理装置である。
【0254】
<8>前記液体付与手段は、液体を貯留する貯液部と、
前記貯液部内の液体残量を検知する液量検知手段と、を備え、
前記制御部は、前記媒体束を構成する前記媒体の枚数を綴じるのに必要な液体量に比べて、前記液体残量が少ないときは、前記針綴じ手段と前記液体付与手段による針綴じ動作を中止する、前記<1>乃至前記<7>のいずれか一つに記載の媒体処理装置である。
【0255】
<9>前記針綴じ手段と前記液体付与手段による針綴じ動作を中止した場合に、前記針綴じ手段による針綴じ処理に切り替えることを通知する通知部をさらに備える、前記<8>に記載の媒体処理装置である。
【0256】
<10>前記媒体に画像を形成する画像形成装置と、
複数の前記媒体からなる媒体束に綴じ動作を行う前記<1>乃至前記<9>のいずれか一つに記載の媒体処理装置と、を備えた画像形成システムである。
【0257】
1 :画像形成システム
2 :画像形成装置
3 :後処理装置
25 :端綴じ処理部
31 :第二液体付与手段
32 :圧着手段
49 :案内軸
50 :端綴じ処理部移動モータ
155 :針綴じ処理部
61 :液体付与手段
62 :針綴じ手段
73a :第一液量検知センサ
100 :コントローラ
110 :操作パネル
1701 :綴じ処理自動切替設定画面
1701A :第一選択ボタン
1701B :第二選択ボタン
1701E :メッセージ
1801 :針綴じ処理最大枚数設定画面
1801A :テンキー
1801B :閾値設定欄
1801D :設定ボタン
1901 :第一設定例の切替条件テーブルデータ
2001 :圧着綴じ処理最大枚数設定画面
2001A :テンキー
2001B :閾値設定欄
2001D :設定ボタン
2002 :液体圧着綴じ処理最大枚数設定画面
2002A :テンキー
2002B :閾値設定欄
2002D :設定ボタン
2003 :針綴じ処理最大枚数設定画面
2003A :テンキー
2003B :閾値設定欄
2003D :設定ボタン
2101 :第二設定例の切替条件テーブルデータ
2201 :液体補充・処理選択画面
2201A :切替選択ボタン
2201B :中止選択ボタン
2201C :メッセージ
Sn :綴じ針
Wp :被加水領域
【先行技術文献】
【特許文献】
【0258】
【特許文献1】特開2016-216227号公報
【特許文献2】特開2015-166281号公報
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