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▶ ラピスセミコンダクタ株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181239
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   G03F 9/00 20060101AFI20231214BHJP
   H01L 21/3205 20060101ALI20231214BHJP
   H01L 21/76 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
G03F9/00 H
H01L21/88 J
H01L21/88 S
H01L21/76 L
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023178464
(22)【出願日】2023-10-16
(62)【分割の表示】P 2022179862の分割
【原出願日】2016-07-27
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成25年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「次世代スマートデバイス開発プロジェクト/車載用障害物センシングデバイスの開発」委託研究、産業技術力強化法17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】小澤 あづさ
(57)【要約】
【課題】マスク設計が煩雑となることを回避しつつ赤外線の散乱によるアライメントマークの認識不良の発生を抑制する。
【解決手段】半導体装置は、第1の面に形成された半導体素子を有する素子形成領域、および前記第1の面に形成された絶縁体を有する素子分離領域を含む半導体基板と、半導体基板の第1の面の側に設けられ、半導体素子に接続された第1の配線と、半導体基板の第1の面の側において絶縁体の延在する範囲に内包される領域に設けられたアライメントマークと、半導体基板の第1の面とは反対側の第2の面の側に設けられた第2の配線と、を含む。素子分離領域は、第1の面において半導体基板が島状に露出した複数のダミー部を有する第1領域及び絶縁体からなる第2領域をさらに含み、アライメントマークは、第2領域に設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面に形成された半導体素子を有する素子形成領域、および前記第1の面に形成された絶縁体を有する素子分離領域を含む半導体基板と、
前記半導体基板の前記第1の面の側に設けられ、前記半導体素子に接続された第1の配線と、
前記半導体基板の前記第1の面の側において前記絶縁体の延在する範囲に内包される領域に設けられ、前記第1の配線と異なる材料で構成されたアライメントマークと、
を含む半導体装置。
【請求項2】
前記アライメントマークは、前記第1の配線が設けられる配線層とは異なる配線層に設けられている
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記アライメントマークは、表面の少なくとも一部にメタルシリサイド層を有するポリシリコン膜を含んで構成されている
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記半導体基板の前記第1の面とは反対側の第2の面の側に設けられ、前記第1の配線に対して整合する位置に配置されている第2の配線と、
前記半導体基板を貫通し、前記第1の配線と前記第2の配線とを互いに接続する貫通電極と、
をさらに含む、請求項1に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体の実装技術の1つである貫通電極(TSV:through-silicon via)は、例えば、半導体基板の表面および裏面に形成された配線同士を接続したり、複数の半導体チップを積層したパッケージにおいて、上下のチップ同士を接続したりする場合に用いられる。
【0003】
貫通電極を形成するプロセスの方式として、ビアファースト法、ビアミドル法およびビアラスト法が知られている。ビアファースト法は、半導体基板に半導体素子を形成する前に貫通電極を形成する方式である。ビアミドル法は、半導体基板に半導体素子を形成した後であって素子形成面側の配線を形成する前に貫通電極を形成する方式である。ビアラスト法は、半導体基板に半導体素子および素子形成面側の配線を形成した後に貫通電極を形成する方式である。
【0004】
上記3つ方式のうち、ビアラスト法においては、貫通電極を形成する工程において、半導体基板の素子形成面とは反対側の面(以下、裏面という)から素子形成面側の配線に達する貫通孔を形成する処理を含む。貫通孔の形成位置は、半導体基板の素子形成面側の配線に対して整合させる必要があり、貫通孔を形成するためのエッチングに使用されるマスクの位置合わせが重要となる。
【0005】
近年、半導体基板の裏面側から赤外線を照射して、その反射光または透過光を受光することにより半導体基板の素子形成面側に形成されたアライメントマークを認識し、このアライメントマークに基づいて半導体基板の裏面側におけるマスクの位置合わせを行う技術が用いられている。
【0006】
例えば、特許文献1には、赤外線放射を基板の少なくとも一部を通ってアライメントマーク上に導くステップと、非結像検出器を用いてアライメントマークから反射した赤外線放射を検出するステップと、検出された赤外線放射を用いてアライメントマークの位置を測定するステップとを備えるリソグラフィ装置を用いた位置合わせ方法が記載されている。
【0007】
ところで、半導体基板上に形成される半導体素子同士を絶縁分離するための手法としてSTI(Shallow Trench Isolation)が知られている。STI法では、半導体基板の表面にトレンチを形成し、半導体基板上に上記トレンチを埋めるように絶縁膜を形成し、絶縁膜の表面を平坦化する。ここで、トレンチの幅が広くなると、平坦化処理によって絶縁膜の表面中央が凹むディッシングが発生することが知られている。このディッシングの発生を抑制するために、例えば、特許文献2に記載されるように、素子分離領域に形成される絶縁膜(フィールド酸化膜)中に半導体基板の母材を島状に露出させたダミーパターンを形成することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009-147317号公報
【特許文献2】特開2004-356316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の特許文献1には、シリコン基板に注入されるドーパントが、アライメントマークを認識するために照射された赤外線を散乱させる可能性がある旨が記載されている。特許文献1には、この問題を解決するために、ドーパントの注入が行われる際に、アライメントマーク上にレジストを保持することにより、ドーパントがアライメントマークの近傍のシリコンに注入されることを阻止することが記載されている。具体的には、パターニング用デバイスが、(レジストがネガ・レジストであるかポジ・レジストであるかに応じて)リソグラフィの間にアライメントマークと重なる領域が投影放射ビームに露光されないように、あるいはリソグラフィの間にそれらが露光されるように構成されることが記載されている。
【0010】
しかしながら、この手法によれば、ドーパントを注入する工程毎に、アライメントマークに対応する位置にレジストを形成する必要がある。ドーパントの注入に使用されるレジストとして、ポジ型およびネガ型のレジストが適宜利用されるため、ドーパントを注入する工程毎にアライメントマークに対応する位置にレジストを形成する場合には、マスク設計において、煩雑な手順を経る必要がある。また、ドーパントが注入された領域を非破壊検査によって確認することは困難であり、誤ったマスク設計によりアライメントマークの近傍にドーパントが注入されたとしても、半導体素子を形成する前工程においてマスク設計の誤りを発見することは困難である。この場合、半導体素子の形成後の貫通孔形成時に、シリコン基板の裏面から素子形成面側のアライメントマークを認識するための赤外線照射を行うときに初めてマスク設計の誤りが判明することとなり、製品の開発期間が長くなるという問題を生じるおそれがある。
【0011】
本発明は、上記した点に鑑みてなされたものであり、煩雑なマスク設計手順を経ることなく赤外線の散乱によるアライメントマークの認識不良の発生を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る半導体装置は、第1の面に形成された半導体素子を有する素子形成領域、および前記第1の面に形成された絶縁体を有する素子分離領域を含む半導体基板と、
前記半導体基板の前記第1の面の側に設けられ、前記半導体素子に接続された第1の配線と、前記半導体基板の前記第1の面の側において前記絶縁体の延在する範囲に内包される領域に設けられ、前記第1の配線と異なる材料で構成されたアライメントマークと、を含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、煩雑なマスク設計手順を経ることなく赤外線の散乱によるアライメントマークの認識不良の発生を抑制することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
図2A】本発明の実施形態に係る半導体装置の、アライメントマーク近傍の構成を示す平面図である。
図2B図2Aにおける2B-2B線に沿った断面図である。
図3A】アライメントマーク近傍の構成の比較例を示す平面図である。
図3B図3Aにおける3B-3B線に沿った断面図である。
図4A】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図4B】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図4C】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図4D】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図4E】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図4F】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図4G】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図4H】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図4I】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図4J】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図4K】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図5A】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図5B】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図5C】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図5D】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図5E】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図5F】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図5G】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図5H】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図5I】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図5J】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図5K】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図6】本発明の実施形態に係るアライメントマークの形成位置の一例を示す平面図である。
図7】本発明の他の実施形態に係るアライメントマークの構成を示す断面である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、開示の技術の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一または等価な構成要素および部分には同一の参照符号を付与している。
【0016】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置1の構成を示す断面図である。半導体装置1は、素子形成領域R1および素子分離領域(フィールド領域)R2を有する半導体基板10を備えている。素子形成領域R1は、トランジスタや抵抗素子等の半導体素子が形成される領域である。図1には、素子形成領域R1に形成される半導体素子として、MOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)30が例示されている。なお、図1には、1つの素子形成領域R1が示されているが、半導体装置1は、複数の素子形成領域R1を含み得る。
【0017】
素子分離領域R2は、複数の素子形成領域R1を互いに電気的に分離するための領域である。素子分離領域R2において、半導体基板10の素子形成面S1側の表層部には、SiO等の絶縁体11aを含んで構成される絶縁体層11が設けられている。絶縁体層11は、フィールド酸化膜とも呼ばれ、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)構造を有する。
【0018】
半導体装置1は、半導体基板10の素子形成面S1側を覆う第1の配線50を有する。第1の配線50は、素子形成領域R1に形成された半導体素子(MOSFET30)に接続された回路配線を含む。第1の配線50は、図1に示すように多層構造を有していてもよい。積層された配線の各々は、半導体基板10の素子形成面S1を覆う絶縁膜40によって絶縁され、若しくは、ビア41によって互いに接続される。
【0019】
半導体装置1は、素子形成面S1とは反対側の裏面S2側を覆う第2の配線90を有する。第2の配線90は、半導体基板10を貫通する貫通電極80によって、第1の配線50に接続されている。なお、第2の配線90は、再配線とも呼ばれる。本実施形態において、貫通電極80はビアラスト法を用いて形成される。すなわち、半導体基板10の素子形成面S1側にMOSFET30等の半導体素子および第1の配線50を形成した後に、半導体基板10の裏面S2側から第1の配線50に達する貫通孔を形成し、この貫通孔の側面および底面を覆うCu等の導体で構成される導体膜82を形成することによって貫通電極80が形成される。第2の配線90は、貫通電極80と同じ導体膜82によって構成されている。貫通電極80は、半導体基板10の素子分離領域R2に形成される。
【0020】
半導体基板10と、第2の配線90および貫通電極80との間には、それぞれ、SiO等の絶縁体で構成される絶縁膜70、71が設けられており、半導体基板10は、第2の配線90および貫通電極80から絶縁されている。また、第2の配線90および貫通電極80の下地膜81は、バリアメタル膜を含んでいる。バリアメタル膜は、貫通電極80および第2の配線90を構成する導体成分(例えばCu)の半導体基板10内への拡散を防止する役割を担う。
【0021】
半導体基板10の裏面S2には、第2の配線90を覆うとともに、貫通電極80の形成工程において形成される貫通孔を埋めるソルダーレジスト110が設けられている。第2の配線90には、外部接続端子としての半田バンプ120が接続されている。
【0022】
上記のように、ビアラスト法によって貫通電極80を形成する場合、半導体基板10の裏面S2側から第1の配線50に達する貫通孔を形成する。貫通孔の形成位置は、半導体基板10の素子形成面S1側に設けられた第1の配線50に対して整合させる必要がある。すなわち、第1の配線50に形成されたパッド部51に対応する位置に貫通孔の形成位置を合わせする必要がある。本実施形態では、第1の配線50が設けられる配線層に形成されたアライメントマーク60を位置合わせの基準として用いることで、貫通孔の形成位置を第1の配線50に対して整合させる。アライメントマーク60は、半導体基板10の裏面S2側からアライメントマーク60に向けて赤外線を照射し、その反射光または透過光を受光することで認識することができる。また、第2の配線90の配置を、第1の配線50に対して整合させる場合にもアライメントマーク60を用いることが可能である。
【0023】
図2Aは、半導体装置1のアライメントマーク60近傍の構成を示す平面図、図2Bは、図2Aにおける2B-2B線に沿った断面図である。なお、図2Aにおいて、絶縁膜40については図示が省略されている。
【0024】
本実施形態において、アライメントマーク60は、第1の配線50が設けられる配線層に形成されており、第1の配線50と同じ導体によって構成されている。アライメントマーク60のサイズおよび形状は、特に限定されるものではなく、例えば、図2Aに示されるような格子状であってもよく、一辺の長さは、例えば100μm程度であってもよい。アライメントマーク60は、半導体基板10の素子分離領域R2に対応する位置に配置されている。なお、アライメントマーク60は、後述するように、素子分離領域R2のうち、スクライブ領域に配置されていてもよい。
【0025】
ここで、素子分離領域R2に形成される絶縁体層(フィールド酸化膜)11はSTI法を用いて形成されるSTI構造を有する。すなわち、絶縁体層11は、半導体基板10の素子形成面S1にトレンチを形成し、トレンチにSiO等の絶縁体を埋め込み、絶縁体の表面をCMP(Chemical Mechanical Polishing)法により平坦化することで形成される。絶縁体層11を構成する絶縁体11aの面積が大きくなると、CMP工程において実施される研磨処理のストッパー膜として用いられるシリコン窒化膜(Si)と絶縁体層11を構成する絶縁体(SiO)11aとの研磨レートの差に起因して、絶縁体層11の表面中央部が皿状に凹むディッシングが発生する。ディッシングが発生すると半導体基板10の素子形成面S1側の平坦性が損なわれ、第1の配線50の形成が困難となる。ディッシングの発生を抑制するために、図2Aおよび図2Bに示すように、絶縁体層11内に半導体基板10の母材(シリコン)を島状に露出させたダミーアクティブ(ダミー部)12が設けられている。素子分離領域R2において絶縁体層11内に複数のダミーアクティブ12を配置することによってディッシングの発生を抑制することができる。
【0026】
図2Aおよび図2Bに示すように、素子分離領域R2は、アライメントマーク60の近傍に位置する部分において、複数のダミーアクティブ12が設けられた第1の領域A1と、ダミーアクティブが設けられていない第2の領域A2と、を含んでいる。図2Aにおいて、破線で囲まれた領域の内側が第2の領域A2であり、破線で囲まれた領域の外側が第1の領域A1である。第2の領域A2において、半導体基板10の表層部は絶縁体11aで埋め尽くされている。アライメントマーク60は、絶縁体11aで埋め尽くされた第2の領域A2に内包される領域に設けられている。すなわち、アライメントマーク60の、半導体基板10の主面(素子形成面S1および裏面S2)に対して垂直な方向に投影された領域は、複数のダミーアクティブ12のいずれとも重ならない領域に内包されている。
【0027】
ここで、図3Aは、アライメントマーク60近傍の構成の比較例を示す平面図、図3Bは、図3Aにおける3B-3B線に沿った断面図である。図3Aおよび図3Bに示す比較例において、素子分離領域R2には、複数のダミーアクティブ12が、素子分離領域R2の全域に亘って均一に配置されており、従って、アライメントマーク60は、ダミーアクティブ12と重なる部分を有している。素子形成領域R1に半導体素子を形成する際に半導体基板10に注入されるドーパントは、ダミーアクティブ12にも注入される場合がある。図3Aおよび図3Bに示す比較例の構成によれば、アライメントマーク60の直下にドーパントDが注入されたダミーアクティブ12が存在することになる。ここで、赤外線は、シリコンに注入されたドーパントによって散乱することが知られている。従って、アライメントマーク60を認識するために半導体基板10の裏面S2側からアライメントマーク60に向けて照射された赤外線Iは、ダミーアクティブ12に注入されたドーパントDによって散乱され、アライメントマーク60の認識不良が発生するおそれがある。
【0028】
本発明者は、絶縁体中に注入されたドーパントは、赤外線の散乱を生じさせないという知見を得た。本実施形態に係る半導体装置1は、この知見に基づいて構成されたものである。図2Aおよび図2Bに示すように、本実施形態に係る半導体装置1において、アライメントマーク60は、絶縁体層11のうち、絶縁体11aで埋め尽くされている第2の領域A2に内包される領域に設けられおり、アライメントマーク60の半導体基板10の主面に対して垂直な方向に投影された領域は、複数のダミーアクティブ12のいずれとも重ならない領域に内包されている。従って、アライメントマーク60を認識するために半導体基板10の裏面S2側からアライメントマーク60に向けて照射された赤外線Iは、第2の領域A2に延在する絶縁体11aを通過し、ドーパントDが注入されたダミーアクティブ12を通過しないので、赤外線Iは散乱されることなくアライメントマーク60に達する。これにより、アライメントマーク60を適切に認識することが可能となり、アライメントマーク60の認識不良の発生が抑制される。
【0029】
以下に、本発明の実施形態に係る半導体装置1の製造方法の一例について説明する。はじめに、半導体基板10の素子形成面S1側の処理について図4A図4Kを参照しつつ説明する。
【0030】
はじめに、シリコン等の半導体で構成される半導体基板10を用意する(図4A)。次に、公知の熱酸化法を用いて半導体基板10の素子形成面S1を覆うようにシリコン酸化膜(SiO膜)201を形成する。続いて、公知のCVD(chemical vapor deposition)法を用いてシリコン酸化膜201を覆うようにシリコン窒化膜(Si膜)202を形成する(図4B)。
【0031】
次に、公知のフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて、シリコン酸化膜201およびシリコン窒化膜202にパターニングを施す。シリコン酸化膜201およびシリコン窒化膜202は、素子分離領域R2に形成されるダミーアクティブを含む絶縁体層(フィールド酸化膜)11のパターンに応じたパターニングが施される。後の工程において形成されるアライメントマーク60を内包する第2の領域A2(図2A図2B参照)においてはシリコン酸化膜201およびシリコン窒化膜202は除去される(図4C)。
【0032】
次に、シリコン酸化膜201およびシリコン窒化膜202をマスクとして半導体基板10をエッチングすることにより、半導体基板10の素子分離領域R2にトレンチ203を形成する。後の工程において形成されるアライメントマーク60を内包する第2の領域A2には、トレンチ203が形成され、トレンチを形成しない領域を島状に配置することで第2の領域A2に隣接する第1の領域A1には複数のダミーアクティブ12が形成される(図4D)。
【0033】
次に、公知のCVD法を用いて、半導体基板10の素子形成面S1を覆うように、SiO等の絶縁体で構成される絶縁膜11fを形成する。絶縁膜11fは、シリコン酸化膜201およびシリコン窒化膜202の上面を覆う厚さで形成される。先の工程で形成されたトレンチ203には、絶縁膜11fが埋め込まれる(図4E)。
【0034】
次に、公知のCMP法を用いて、絶縁膜11fを平坦化する。CMP法による平坦化においては、研磨液(スラリー)を流しながら絶縁膜11fを研磨する。シリコン窒化膜202は、研磨処理におけるストッパー膜として機能する。素子分離領域R2にダミーアクティブ12を形成しておくことで、研磨処理後の絶縁膜11fの表面が凹むディッシングの発生が抑制される(図4F)。
【0035】
次に、シリコン酸化膜201およびシリコン窒化膜202をエッチングにより除去する。以上の工程を経ることにより、半導体基板10の素子分離領域R2において、素子形成面S1の表層部にダミーアクティブ12を含む絶縁体層(フィールド酸化膜)11が形成される(図4G)。後の工程において形成されるアライメントマーク60を内包する第2の領域A2にはダミーアクティブは設けられず、絶縁体で埋め尽くされている。なお、素子分離領域R2において、貫通電極80が貫通する領域A3にもダミーアクティブが設けられていないことが好ましい。
【0036】
次に、公知の熱酸化法を用いて半導体基板10の素子形成面S1にゲート絶縁膜31を形成する。続いて、公知のCVD法を用いて、ゲート絶縁膜31上にゲートを構成するポリシリコン膜を形成する。次に、公知のフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術により、ゲート絶縁膜31およびポリシリコン膜をパターニングして、半導体基板10の素子形成領域R1にゲート32を形成する(図4H)。
【0037】
次に、公知のフォトリソグラフィ技術およびイオン注入技術を用いて半導体基板10の素子形成領域R1において、素子形成面S1の表層部分に低ドーズ量にてヒ素またはボロン等のドーパントを注入してLDD(Lightly Doped Drain)33を形成する。次に、公知のCVD法を用いて、半導体基板10の素子形成面S1全体を覆うシリコン窒化膜(Si)を形成し、公知の異方性エッチング技術を用いてこのシリコン窒化膜をエッチバックすることで、ゲート32の側面を覆うサイドウォール34を形成する。次に、公知のフォトリソグラフィ技術およびイオン注入技術を用いて、半導体基板10の素子形成領域R1において、素子形成面S1の表層部分に高ドーズ量にてヒ素またはボロン等のドーパントを注入してソース35sおよびドレイン35dを形成する。このイオン注入においては、ゲート32およびサイドウォール34がマスクの一部として機能することで、ソース35sおよびドレイン35dは、ゲート32およびLDD33に対して自己整合的に形成される。以上の工程を経ることにより、半導体基板10の素子形成領域R1にMOSFET30が形成される。なお、素子分離領域R2においては、ダミーアクティブ12にもドーパントDが注入され得る(図4I)。
【0038】
次に、半導体基板10の素子形成面S1全体を覆うようにSiO等の絶縁体で構成される絶縁膜40を形成する。次に、絶縁膜40を貫通して素子形成領域R1に形成されたMOSFET30のソース35sおよびドレイン35dに接続されるビア41を形成する。次に、絶縁膜40の表面にAl等の導電体で構成される導電膜を形成し、この導電膜を公知のフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いてパターニングすることにより、MOSFET30または素子形成領域R1に形成された他の半導体素子(図示せず)に接続された第1の配線50としての回路配線を形成するとともに、アライメントマーク60を形成する。アライメントマーク60は、素子分離領域R2に設けられた絶縁体層11のうち、絶縁体11aで埋め尽くされた第2の領域A2の上方に配置され、複数のダミーアクティブ12のいずれにも重ならない位置に配置される(図4J)。
【0039】
次に、必要に応じて、半導体基板10の素子形成面S1側に、絶縁膜および配線を交互に積層することで、半導体基板10の素子形成面S1側に多層配線構造を形成する。その後、絶縁膜40の表面にシリコン窒化膜等の絶縁体で構成される保護膜42を形成する(図4K)。
【0040】
以下に、半導体基板10の裏面S2側の処理について図5A図5Kを参照しつつ説明する。なお、図5A~5Kにおいては、素子形成面S1側に形成されたMOSFET30およびダミーアクティブ12については図示を省略し、第1の配線50については、図示を簡略化している。
【0041】
図5Aは、素子形成面S1側における各処理を経た状態の半導体基板10である。この半導体基板10の素子形成面S1側に形成された保護膜42に糊材210を用いて支持基板220を貼り付ける。支持基板220は、半導体基板10を支持することができる機械的強度を有する材料で構成されていればよく、支持基板220として例えばガラス基板を用いることができる。次に、公知のバックグラインディング技術を用いて半導体基板10の裏面S2を研削することにより、半導体基板10を所望の厚さにまで薄化する(図5B)。
【0042】
次に、公知のCVD法を用いて、半導体基板10の裏面S2上にSiO等の絶縁体で構成される絶縁膜70を形成する(図5C)。
【0043】
次に、絶縁膜70の表面に感光性樹脂で構成されるフォトレジスト230を塗布する(図5D)。続いて、公知のフォトリソグラフィ技術を用いてフォトレジスト230をパターニングする。すなわち、フォトレジスト230の貫通電極の形成位置に対応する部分に開口部231を形成する(図5E)。具体的には、フォトレジスト230の開口パターンに対応したフォトマスクを介してフォトレジスト230を露光し、その後、現像処理を行う。
【0044】
開口部231の形成位置は、半導体基板10の素子形成面S1側に形成されている第1の配線50に対して整合している必要がある。開口部231の形成位置は、フォトレジスト230に開口パターンを形成するためのフォトマスクの位置合わせによって定められる。フォトマスクの位置合わせを行う際、半導体基板10の素子形成面S1側に形成されたアライメントマーク60が位置合わせの基準として用いられる。アライメントマーク60は、露光装置に備えられた光源から照射された赤外線を半導体基板10の裏面S2側からアライメントマーク60に向けて照射し、照射した赤外線の反射光または透過光を受光することによって認識される。本実施形態に係る製造方法によれば、半導体基板10の裏面S2側から入射した赤外線は、素子分離領域R2に形成された絶縁体層11のうち、絶縁体で埋め尽くされた第2の領域A2を通過し、ドーパントDが注入されたダミーアクティブ12を通過しない。従って、半導体基板10の裏面S2側から入射した赤外線は、散乱されることなくアライメントマーク60に達する。これにより、アライメントマーク60を適切に認識することが可能となり、フォトレジスト230に開口パターンを形成するためのフォトマスクの位置合わせを適切に行うことができる。
【0045】
次に、パターニングが施されたフォトレジスト230をマスクとして半導体基板10を裏面S2側からエッチングすることにより、第1の配線50に達する貫通孔240を形成する(図5F)。
【0046】
次に、公知のCVD法を用いて、貫通孔240の側面および底面を覆うSiO等の絶縁体で構成される絶縁膜71を形成する。続いて、絶縁膜71の貫通孔240の底面を覆う部分をエッチングにより除去することにより、貫通孔240の底面において第1の配線50を露出させる(図5G)。
【0047】
次に、公知のスパッタ法を用いて、貫通孔240の側壁および底面と、半導体基板10の裏面S2を覆うTiおよびNiの積層によるバリアメタル膜、並びにCuによるめっきシード膜からなる下地膜81を形成する。続いて、下地膜81の表面にフォトレジスト250を塗布し、公知のフォトリソグラフィ技術を用いてフォトレジスト250をパターニングする。すなわち、フォトレジスト250には、半導体基板10の裏面S2側に設けられる第2の配線90の配線パターンに応じた開口部251が形成される。フォトレジスト250のパターニングに使用されるフォトマスクの位置合わせを、アライメントマーク60に基づいて行ってもよい。これにより、第2の配線90の配置を、第1の配線50に対して整合させることができる(図5H)。
【0048】
続いて、電解めっき法を用いて、フォトレジスト250の開口部251から露出した下地膜81の表面に、Cu等の導電体で構成される導体膜82を形成する(図5I)。その後、フォトレジスト250を除去する(図5J)。貫通孔240の側面および底面に形成された導体膜82により貫通電極80が形成される。また、半導体基板10の裏面S2に形成された導体膜82により第2の配線90が形成される。貫通電極80は貫通孔240の底面において第1の配線50に接続される。第2の配線90は貫通電極80を介して第1の配線50に電気的に接続される。
【0049】
次に、半導体基板10の裏面S2側の全体を覆うように光硬化性エポキシ樹脂で構成されるソルダーレジスト110を塗布し、乾燥後、フォトマスクを介して露光処理を行い、ソルダーレジスト110の露光部分を光硬化させる。貫通孔240の内部はソルダーレジスト110が充填される。その後、ソルダーレジスト110の未露光部分を選択的に除去することにより、半田バンプ形成位置に開口部を形成する。次に、電界めっき法を用いてにより、ソルダーレジスト110の開口部から露出している第2の配線90のパッド部に半田バンプ120を形成する(図5K)。
【0050】
以上の説明から明らかなように、本発明の実施形態に係る半導体装置1およびその製造方法によれば、アライメントマーク60は、素子分離領域R2に設けられる絶縁体層(フィールド酸化膜)11のうち、絶縁体11aで埋め尽くされている第2の領域A2に内包される領域に設けられおり、アライメントマーク60の半導体基板10の主面に対して垂直な方向に投影された領域は、複数のダミーアクティブ12のいずれとも重ならない領域に内包されている。従って、アライメントマーク60を認識するために半導体基板10の裏面S2側から入射した赤外線は、第2の領域A2に延在する絶縁体11aを通過する一方、ドーパントが注入されたダミーアクティブ12を通過しないので、散乱されることなくアライメントマーク60に達する。これにより、アライメントマーク60の認識不良の発生を抑制することができ、貫通電極80の形成位置を第1の配線50に整合させるためのフォトマスクの位置合わせを的確に行うことができる。
【0051】
また、本発明の実施形態に係る半導体装置1およびその製造方法によれば、素子分離領域R2に形成される絶縁体層(フィールド酸化膜)11のパターンを決定するマスクの設計においてのみアライメントマーク60の形成位置を考慮すればよい。すなわち、ドーパントを注入する工程毎にアライメントマークに対応する位置にレジストを形成することは不要であり、煩雑なマスク設計手順を経ることを要しない。
【0052】
また、素子分離領域R2に形成される絶縁体層(フィールド酸化膜)11のパターンについては、光学顕微鏡および電子顕微鏡による観察が可能であり、非破壊検査による検証が容易である。従って、絶縁体層11のパターンを決定するマスクの設計において誤りが生じた場合でも、半導体装置1の製造工程における早期の段階でマスク設計の誤りを発見することができるので、マスク設計の誤りに起因して製品の開発期間が長くなるという問題を回避することができる。
【0053】
図6は、半導体基板10内におけるアライメントマーク60の形成位置の一例を示す平面図である。図6に示すように、半導体基板10は、複数の半導体チップ100を含む半導体ウエハの形態を有する。半導体チップ100は最終的にダイシングにより個片化される。ダイシング工程においてダイシングブレードによって切断される領域であるスクライブ領域300は、素子分離領域R2に含まれる。アライメントマーク60は、素子分離領域R2のうち、スクライブ領域300内に配置することが可能である。ここで、レジストを露光する露光装置は、図6において破線で囲まれた露光領域Eを順次移動させることで、半導体基板10の全域に亘って露光処理を行う。アライメントマーク60は、露光処理におけるフォトマスクの位置合わせに用いることが想定される。従って、図6に示すように、露光装置における1ショット分の露光領域E毎に1つまたは複数のアライメントマーク60が配備されるように構成してもよい。
【0054】
[第2の実施形態]
図7は、本発明の第2の実施形態に係るアライメントマーク60Aの構成を示す断面である。上記の第1の実施形態では、アライメントマーク60は、第1の配線50が設けられる配線層に形成され、第1の配線50の材料と同じ材料で構成されるものであった。これに対して、第2の実施形態に係るアライメントマーク60Aは、絶縁体層(フィールド酸化膜)11を構成する絶縁体11a上に設けられた、表面にメタルシリサイド層62を有するポリシリコン膜61を含んで構成されている。メタルシリサイド層62は、ポリシリコン膜61上にコバルト、ニッケルまたはチタン等の金属を堆積した後、熱処理を実施することで形成することができる。ポリシリコン膜61は、素子形成領域R1に形成されるMOSFET30のゲート32を形成する工程と同じ工程で形成することができる。
【0055】
アライメントマーク60Aは、素子分離領域R2に設けられる絶縁体層(フィールド酸化膜)11のうち、絶縁体で埋め尽くされている第2の領域A2に内包される領域に設けられおり、上面視において複数のダミーアクティブ12のいずれとも重ならない位置に設けられている。従って、アライメントマーク60Aを認識するために半導体基板10の裏面S2側から入射した赤外線は、第2の領域A2に延在する絶縁体11aを通過し、ドーパントDが注入されたダミーアクティブ12を通過しないので、散乱されることなくアライメントマーク60Aに達する。これにより、アライメントマーク60Aの認識不良の発生を抑制することができ、貫通電極80の形成位置を第1の配線50に整合させるためのフォトマスクの位置合わせを的確に行うことができる。
【符号の説明】
【0056】
1 半導体装置
10 半導体基板
11 絶縁体層
12 ダミーアクティブ
30 MOSFET
50 第1の配線
60、60A アライメントマーク
80 貫通電極
90 第2の配線
R1 素子形成領域
R2 素子分離領域
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図4I
図4J
図4K
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H
図5I
図5J
図5K
図6
図7