(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181574
(43)【公開日】2023-12-25
(54)【発明の名称】保護部材形成装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20231218BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20231218BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20231218BHJP
B05C 11/00 20060101ALI20231218BHJP
B05C 13/02 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
H01L21/304 622J
H01L21/68 N
B05C11/10
B05C11/00
B05C13/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094782
(22)【出願日】2022-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(72)【発明者】
【氏名】右山 芳国
【テーマコード(参考)】
4F042
5F057
5F131
【Fターム(参考)】
4F042AA07
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(57)【要約】
【課題】液状樹脂を供給する工程の早い段階で、供給されている液状樹脂が所定量か否かを判断でき、不良ウェーハの除去時間が削減できる保護部材形成装置を提供する。
【解決手段】保護部材形成装置(1)であって、該制御部(40)は、該シリンダ(302)内に液状樹脂を吸入させているときに該負荷検知部(41)が検知した値が予め設定した第一閾値に満たないときに液状樹脂(31)が所定量吸入されていないと判断する第一判断部(42)と、該シリンダ(31)内の液状樹脂(31)を吐出させているときに該負荷検知部(41)が検知した値が予め設定した第二閾値に満たないときに液状樹脂(31)が所定量吐出されていないと判断する第二判断部(43)と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを保持するシート保持テーブルと、ウェーハを保持するウェーハ保持テーブルと、該シート保持テーブルと該ウェーハ保持テーブルとを相対的に接近および離間させる昇降手段と、該シート保持テーブルに保持されたシートまたは該ウェーハ保持テーブルが保持したウェーハに液状樹脂を所定量供給するディスペンサと、制御部と、を備える、保護部材形成装置であって、
該ディスペンサは、
液状樹脂を吸入および吐出するシリンダと、該シリンダ内の容積を膨張及び収縮させる伸縮手段と、該伸縮手段の駆動負荷を検知する負荷検知部と、該シリンダ内に液状樹脂を吸入する吸入路と、該吸入路を開通および遮断する吸入バルブと、該シリンダ内から液状樹脂を吐出する吐出路と、該吐出路を開通および遮断する吐出バルブと、を備え、
該制御部は、
該吸引バルブを開き、該吐出バルブを閉じ、該シリンダ内の容積を膨張させ、
該シリンダ内に液状樹脂を吸入させているときに該負荷検知部が検知した値が予め設定した第一閾値に満たないときに液状樹脂が所定量吸入されていないと判断する第一判断部と、
該吐出バルブを開き、該吸引バルブを閉じ、該シリンダ内の容積を収縮させ、
該シリンダ内の液状樹脂を吐出させているときに該負荷検知部が検知した値が予め設定した第二閾値に満たないときに液状樹脂が所定量吐出されていないと判断する第二判断部と、を備える、保護部材形成装置。
【請求項2】
該伸縮手段は、該シリンダ内の容積を膨張及び収縮させるための駆動源であるモータを備え、
該負荷検知部は、該モータの負荷電流値を検知する請求項1記載の保護部材形成装置。
【請求項3】
該シリンダ内の圧力を測定する圧力計を備え、
該負荷検知部は、該圧力計の値を検知する請求項1記載の保護部材形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護部材形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ウェーハに研削加工等を行う際に、ウェーハの一方の面全面を保護する保護部材を形成する。保護部材は、液状樹脂を硬化させて形成され、保護部材形成装置のテーブルに載置したシート上に液状樹脂を供給し、テーブルの上方でウェーハを保持した保持部を下降させ、保持部が保持したウェーハで液状樹脂を押し広げた後、液状樹脂を硬化させて、ウェーハの一方の面全面に樹脂とシートとからなる保護部材を形成している。
【0003】
特許文献1に開示されるように、保護部材を形成する工程において、ディスペンサによって、所定量の液状樹脂を供給している。また、特許文献2では、液状樹脂が所定量供給されているか否かは、ウェーハを保持したウェーハ保持部と、シートを載置するテーブルとの距離を所定の距離に近づけ、液状樹脂を押した荷重値を検知して、判断している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-141639号公報
【特許文献2】特開2022-018500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、ディスペンサの漏れや、液状樹脂の粘度が所望の粘度より高い等により、ディスペンサは所定量の液状樹脂を吸入、および、吐出することができず、所定量の液状樹脂を供給できず、所望の保護部材を形成できないという問題が発生している。さらに、保護部材形成に失敗した不良ウェーハから液状樹脂または保護部材を除去しなければならず、除去に時間がかかってしまう。
【0006】
したがって、保護部材形成の失敗を抑止するため、保護部材形成装置は、液状樹脂を供給する工程の早い段階で、供給されている液状樹脂が所定量か否かを判断する必要がある。
【0007】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、液状樹脂を供給する工程の早い段階で、供給されている液状樹脂が所定量か否かを判断でき、不良ウェーハの除去時間が削減できる保護部材形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の保護部材形成装置は、シートを保持するシート保持テーブルと、ウェーハを保持するウェーハ保持テーブルと、該シート保持テーブルと該ウェーハ保持テーブルとを相対的に接近および離間させる昇降手段と、該シート保持テーブルに保持されたシートまたは該ウェーハ保持テーブルが保持したウェーハに液状樹脂を所定量供給するディスペンサと、制御部と、を備える保護部材形成装置であって、該ディスペンサは、液状樹脂を吸入および吐出するシリンダと、該シリンダ内の容積を膨張及び収縮させる伸縮手段と、該伸縮手段の駆動負荷を検知する負荷検知部と、該シリンダ内に液状樹脂を吸入する吸入路と、該吸入路を開通および遮断する吸入バルブと、該シリンダ内から液状樹脂を吐出する吐出路と、該吐出路を開通および遮断する吐出バルブと、を備え、該制御部は、該吸引バルブを開き、該吐出バルブを閉じ、該シリンダ内の容積を膨張させ、該シリンダ内に液状樹脂を吸入させているときに該負荷検知部が検知した値が予め設定した第一閾値に満たないときに液状樹脂が所定量吸入されていないと判断する第一判断部と、該吐出バルブを開き、該吸引バルブを閉じ、該シリンダ内の容積を収縮させ、該シリンダ内の液状樹脂を吐出させているときに該負荷検知部が検知した値が予め設定した第二閾値に満たないときに液状樹脂が所定量吐出されていないと判断する第二判断部と、を備える、ことを特徴とする。
【0009】
本発明の一態様は、該伸縮手段は、該シリンダ内の容積を膨張及び収縮させるための駆動源であるモータを備え、該負荷検知部は、該モータの負荷電流値を検知する。
【0010】
本発明の一態様は、該シリンダ内の圧力を測定する圧力計を備え、該負荷検知部は、該圧力計の値を検知する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の保護部材形成装置によれば、液状樹脂にウェーハが接触する前に、供給されている液状樹脂が所定量か否かを判断でき、不良ウェーハの除去時間が削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施形態の保護部材形成装置を示す斜視図である。
【
図3】吸入時のディスペンサの構成を示す断面図である。
【
図4】吐出時のディスペンサの構成を示す断面図である。
【
図5】本実施形態の負荷検知部が検知した検知値によって供給されている液状樹脂が所定量か否かを判断する一例を説明するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本実施形態に係る液状樹脂の硬化判断方法及び保護部材形成装置について説明する。
図1は、本実施形態に係る保護部材形成装置の全体と一部を示している。
図2から
図4は、ディスペンサの構成、および、ディスペンサの動作を説明する図である。
図5は、本実施形態の負荷検知部が検知した検知値によって供給されている液状樹脂が所定量か否かを判断する一例を説明するグラフである。
【0014】
各図に示すX軸方向、Y軸方向、Z軸方向は互いに垂直な関係にある。X軸方向とY軸方向は略水平な方向であり、Z軸方向は上下方向(鉛直方向)である。各図において、X軸方向を示す両矢線のうち、Xの文字が付されている側を左方とし、Xの文字が付されていない側を右方とする。Y軸方向を示す両矢線のうち、Yの文字が付されている側を前方とし、Yの文字が付されていない側を後方とする。Z軸方向を示す両矢線のうち、Zの文字が付されている側を上方とし、Zの文字が付されていない側を下方とする。
【0015】
図1に示す保護部材形成装置1は、ウェーハWの一方の面の全面に押し広げられた液状樹脂に外的刺激を付与して硬化させることによって保護部材を形成する装置の一例である。
図1においては、保護部材形成装置1の外部筐体10を破線で示し、外部筐体10の内側の構成要素を透視した状態で表している。ウェーハWのうち、保護部材形成装置1での処理時に上側を向く面を上面Waとし、下側を向く面を下面Wbとする。
【0016】
詳細は後述するが、保護部材形成装置1では、シート保持テーブル16に載置したシート30上に液状樹脂31を供給して、ウェーハ保持部20に保持したウェーハWを、シート保持テーブル16の上方から液状樹脂31に押し付けるように動作する。シート30に向けてウェーハWの下面Wbが押し付けられることで、ウェーハWとシート30の間で液状樹脂31が押し広げられる。この状態で液状樹脂31に外的刺激を付与して硬化させて、硬化した樹脂とシート30とによって保護部材が形成される。また、硬化した樹脂とシート30を付着させたウェーハWは、ワークと呼称してもよい。
【0017】
このような一連の動作は、保護部材形成装置1を統括制御する制御部40(
図1)による制御の下で行われる。以下に説明する各部の動作について、制御の主体が明記されていない場合は、制御部40から送られる制御信号によって動作が制御されているものとする。
【0018】
ウェーハWは、例えば、円柱状のシリコン等のインゴットから切り出した円板状のアズスライスウェーハである。なお、ウェーハWは、デバイス形成前のアズスライスウェーハに限らず、デバイス形成後のデバイスウェーハ等でもよい。
【0019】
保護部材形成装置1は、外部筐体10のX軸方向の一端側(左側の端部)に、カセット収容部11を備えている。カセット収容部11には上下2段の収容スペース111、112が形成されている。上段の収容スペース111には、保護部材が形成される前の複数枚のウェーハWを収容する搬入側のカセットC1が載置される。下段の収容スペース112には、保護部材を形成した後のウェーハWを収容する搬出側のカセットC2が載置される。カセットC1とカセットC2にはそれぞれ複数枚のウェーハWを収容可能である。
【0020】
カセット収容部11のX軸方向の右側の位置には、仮置きテーブル13とシートカットテーブル14が設けられている。上側に仮置きテーブル13が位置し、下側にシートカットテーブル14が位置する。仮置きテーブル13には、保護部材が形成される前のウェーハWの中心位置及び向きを検出するウェーハ検出部131が設けられている。シートカットテーブル14には、ウェーハWに貼着されたシート30をウェーハWの外形に沿って切断するシートカッター141が設けられている。
【0021】
仮置きテーブル13及びシートカットテーブル14に対してY軸方向の前方側に、各カセットC1、C2に対してウェーハWの搬入及び搬出を行う第1ウェーハ搬送手段12が設けられている。第1ウェーハ搬送手段12は、台座121上に支持されるロボットハンド122を備え、Y軸方向に延びる一対のガイドレール123に沿って台座121が移動可能に支持されている。台座121は、Y軸方向に延びるボールネジ124に対して螺合する螺合部(図示略)を備える。モータの駆動力によってボールネジ124を回転させると、台座121がY軸方向に移動する。
【0022】
第1ウェーハ搬送手段12は、Y軸方向への台座121の移動と、ロボットハンド122の動作とによって、カセット収容部11と仮置きテーブル13及びシートカットテーブル14との間でのウェーハWの搬送を行う。より詳しくは、第1ウェーハ搬送手段12は、保護部材が形成される前のウェーハWを、収容スペース111内のカセットC1から搬出して仮置きテーブル13に載せることができる。また、第1ウェーハ搬送手段12は、保護部材が形成された後のウェーハWを、シートカットテーブル14から搬出して、収容スペース112内のカセットC2に搬入することができる。
【0023】
保護部材形成装置1は、仮置きテーブル13及びシートカットテーブル14対してX軸方向の右側に基台15を備えている。基台15には、シート保持テーブル16が設けられている。シート保持テーブル16は、石英ガラス等の透光性材料からなり、円板状に形成されている。シート保持テーブル16の上面は、シート30を載置するための平坦なシート支持面161になっている。
【0024】
シート保持テーブル16のシート支持面161上にシート30を搬送して載置するシート搬送部17を備える。シート搬送部17は、ロール状に巻かれたシート30が支持されるシート供給部171と、X軸方向に移動可能なアーム172と、アーム172の側面に取り付けられたクランプ部173と、を備えている。シート搬送部17では、シート供給部171に支持されたロール状のシート30をクランプ部173によって保持し、アーム172をX軸方向に移動させてシート30を引っ張ることによって、シート保持テーブル16のシート支持面161上にシート30を載置する。
【0025】
シート30は透光性材料からなる。シート30として、例えば、ポリエチレンテレフタレート等で形成されたフィルム等を用いることができる。なお、これ以外の材質からなるシート30を用いてもよい。
【0026】
シート保持テーブル16のシート支持面161には、複数の吸引孔(図示略)が形成されている。吸引孔は吸引源に接続している。吸引源を動作させて吸引孔に吸引力を作用させることにより、シート支持面161上に載置されたシート30がシート支持面161に吸引保持される。
【0027】
シート保持テーブル16の近傍には、シート支持面161上のシート30の上面に所定量の液状樹脂31を供給する樹脂供給部18が設けられている。樹脂供給部18は、基台15内に設けられたタンク350に接続するディスペンサ300と、ディスペンサ300から延びる接続管351が接続する樹脂供給ノズル352とを備える。樹脂供給ノズル352はZ軸方向に向く軸を中心として旋回可能であり、シート保持テーブル16の上方に樹脂供給ノズル352を位置付ける状態と、シート保持テーブル16の上方から樹脂供給ノズル352を退避させる状態とにさせることができる。
【0028】
タンク350に貯留された液状樹脂31が、接続管351を経由しディスペンサ300に送られる。ディスペンサ300は、接続管353を経由して液状樹脂31を樹脂供給ノズル352に送り、樹脂供給ノズル352は、下方に向けて液状樹脂31を滴下する。樹脂供給ノズル352からの液状樹脂31の供給量は、ディスペンサ300によって調整可能である。
【0029】
液状樹脂31は、外的刺激によって硬化する性質を有する。本実施形態では、紫外線の照射により硬化する紫外線硬化樹脂を用いている。
【0030】
シート保持テーブル16に対してX軸方向の左側の位置に、基台15から上方へ突出するコラム19が設けられている。コラム19には、ウェーハ保持部20をZ軸方向へ移動させて、シート保持テーブル16に対して接近及び離間させる昇降手段21が設けられている。昇降手段21は、Z軸方向に延びる一対のガイドレール211と、一対のガイドレール211に対してZ軸方向に移動可能に支持された昇降テーブル212と、Z軸方向に延びて昇降テーブル212の螺合部に螺合するボールネジ213(
図2参照)と、を備えている。モータ214の駆動力によってボールネジ213を回転させると、一対のガイドレール211に沿って昇降テーブル212がZ軸方向に移動する。ボールネジ213を第1の方向へ回転させると昇降テーブル212が下方へ移動し、ボールネジ213を第2の方向へ回転させると昇降テーブル212が上方へ移動する。
【0031】
ウェーハ保持部20は昇降テーブル212により支持されており、昇降テーブル212に伴ってウェーハ保持部20がZ軸方向へ移動される。ウェーハ保持部20は円板状のウェーハ保持テーブル201を備えている。図示しないが、ウェーハ保持テーブル201の下面側には、円板状の多孔質部材が設けられている。多孔質部材の下面は、シート保持テーブル16の上方に位置するウェーハ保持面である。ウェーハ保持面は、シート保持テーブル16のシート支持面161と略並行な面である。
【0032】
多孔質部材は、吸引源を動作させて吸引力を付与することにより、ウェーハ保持面でウェーハWの上面Waを吸引保持することができる。
【0033】
ウェーハ保持部20のウェーハ保持面にウェーハWの上面Waを吸引保持した状態(
図2)で、昇降手段21によってウェーハ保持部20を下降させると、シート30上に供給された液状樹脂31にウェーハWの下面Wbが接触して、ウェーハWを下降させる力によって液状樹脂31が押し広げられる。
【0034】
シート保持テーブル16の下部には、シート支持面161上のシート30に滴下された液状樹脂31に外的刺激を付与して硬化させる硬化手段23が設けられている。液状樹脂31が紫外線硬化型の場合に硬化手段23は、図示しないが、紫外線UVを発することが可能な複数の紫外線照射部を備えており、透光性を有するシート保持テーブル16及びシート30を通じて液状樹脂31に紫外線UVを照射して硬化させる。
【0035】
図1に示すように、基台15に対してY軸方向の前方側に、第2ウェーハ搬送手段25が設けられている。第2ウェーハ搬送手段25は、台座251上に支持されるロボットハンド252を備え、X軸方向に延びる一対のガイドレール253に沿って台座251が移動可能に支持されている。台座251は、X軸方向に延びるボールネジ254に対して螺合する螺合部(図示略)を備える。モータの駆動力によってボールネジ254を回転させると、台座251がX軸方向に移動する。
【0036】
第2ウェーハ搬送手段25は、X軸方向への台座251の移動と、ロボットハンド252の動作とによって、仮置きテーブル13及びシートカットテーブル14とウェーハ保持部20との間でのウェーハWの搬送を行う。より詳しくは、第2ウェーハ搬送手段25は、保護部材が形成される前のウェーハWを仮置きテーブル13から受け取って搬送し、ウェーハ保持部20のウェーハ保持テーブル201に受け渡すことができる。また、第2ウェーハ搬送手段25は、保護部材が形成された後のウェーハWをウェーハ保持部20のウェーハ保持テーブル201から回収して、シートカットテーブル14へ搬送することができる。
【0037】
保護部材形成装置1は、制御部40(
図1)によって統括的に制御され、制御部40は、各種処理を実行するプロセッサと、各種パラメータやプログラムなどを記憶する記憶部(メモリ)と、によって構成されている。
【0038】
制御部40の記憶部には、各種処理を実行するプログラムが記憶されている。例えば、ディスペンサ300による液状樹脂31の吸入および吐出を制御し、各種処理を実行するプログラムが記憶されている。ディスペンサ300について、負荷検知部41が、後述するシリンダの伸縮手段の駆動負荷を、検知している。
【0039】
制御部40は、第一判断部42、および、第二判断部43を備える。第一判断部42は、液状樹脂31吸入時に、負荷検知部41が検知した値が予め設定された閾値に基づいて、所定量の液状樹脂が吸入されているか否かを判断している。第二判断部43は、液状樹脂31吐出時に、負荷検知部41が検知した値が予め設定された閾値に基づいて、所定量の液状樹脂が吐出されているか否かを判断している。
【0040】
保護部材形成装置1は、発報機器44を備える。第一判断部42、および、第二判断部43によって、所定量の液状樹脂31が、吸入、または、吐出されていないと判断された場合、発報機器を通じて作業者に対して報知される。発報機器44は、外部筐体10に設けたスピーカー、モニタ画面、表示灯などであり、スピーカーからの発音、モニタ画面でのエラー表示、表示灯の表示態様の変化(点灯形態の変化、色の変化等)によって、報知を行う。
【0041】
以上のように構成された保護部材形成装置1における、ディスペンサ300の構成とついて、説明する。
【0042】
図2は、ディスペンサ300の構成を示している。ディスペンサ300は、液状樹脂31を収容および吐出するシリンダ302と、シリンダ302を伸縮させる伸縮手段310と、を、備えている。吸入バルブ320が、吸入路303を開通、および、遮断する。また、一方で吐出バルブ330が、吐出路304を開通、および、遮断する。
【0043】
シリンダ302は、蛇腹構造となっており、円筒形状に形成されている。シリンダ302は、タンク350と接続した接続管351を経由し、吸入路303から液状樹脂31が供給される。また、供給された液状樹脂31は、吐出路304を通って、接続管353を経由して、ノズル352から吐出される。
【0044】
伸縮手段310は、ボールネジ311と、ボールネジ311の一端部に接続されたサーボモータ312と、ボールネジ311またはサーボモータ312に連結するエンコーダ315と、ボールネジ311の他端に接続された軸受部313と、端部にボールネジ311に螺合するナット構造を有しボールネジ311の回転によってボールネジ311の延在方向の矢印AおよびB方向に移動する移動基台314とを備えている。
【0045】
シリンダ302は、連結部302aによって連結プレート307に接続され、連結プレート307の流路370に連通している。また、シリンダ302の底部302bは、伸縮手段310の移動基台314に連結している。伸縮手段310が動作した際、サーボモータ312の駆動によってボールネジ311が回動する。これにより、移動基台314をシリンダ302の中心軸と平行な方向に移動させシリンダ302を矢印AおよびB方向に伸縮させることができる。
【0046】
移動基台314の移動によって、シリンダ302内の容積を膨張または収縮させている。なお、シリンダ302は、蛇腹構造に限定するものではない。シリンダは、円筒状であてもよい。円筒状のシリンダの場合は、内部を矢印AおよびB方向に移動可能なピストンと、ピストンと底部302bとを連結するシャフトとを備えて、移動基台314の移動にともなってピストンを移動させ、シリンダ内の容積を膨張または収縮させるようにしてもよい。
【0047】
なお、エンコーダ315の回転角度を検知することによって、シリンダ内の容積を所定の大きさにして、液状樹脂31の吐出量を調整している。
【0048】
なお、伸縮手段310は、上記のように電動アクチュエータに限定するものではない。空圧式アクチュエータまたは、油圧式アクチュエータであってもよい。
【0049】
吸入時、または、吐出時における、サーボモータ312の駆動負荷である負荷電流値は、負荷検知部41に送られる。
【0050】
また、シリンダ302は、連結部302aには圧力計308が設けられている。圧力計308は、吸入時、または、吐出時におけるシリンダ302内に掛かる圧力を計測し、駆動負荷として、圧力計308が測定した圧力値を負荷検知部41に送る構成としてもよい。
【0051】
なお、吸入時と吐出時との圧力を別々に測定するように圧力計を2つ配置してもよい。つまり、吸入時の吸引路303内の圧力を測定する吸入圧力計と、吐出時の吐出路304内の圧力を測定する吐出圧力計とを備え、各々の圧力計の値を、負荷検知部41に送ってもよい。
【0052】
吸入バルブ320は、吸入内側パイプ321と、吸入外側パイプ322を備える。さらに、吸入外側パイプ322には、吸入内側パイプ321の外径より大きい内径を有する円筒空洞状の吸入バルブプレート323が設けられている。吸入内側パイプ321には、吸入バルブプレート323の内壁に対向する吸入穴305が形成されている。
【0053】
吐出バルブ330は、吐出内側パイプ331と、吐出外側パイプ332を備える。さらに、吐出外側パイプ332には、吐出内側パイプ331の外径より大きい内径を有する円筒空洞状の吐出バルブプレート333が設けられている。吐出内側パイプ331には、吐出バルブプレート333の内壁に対向する吐出穴306が形成されている。
【0054】
吸入バルブプレート323、および、吐出バルブプレート333は、これらを同時に連動させる連動手段340に接続されている。連動手段340は、エアシリンダ341と、ピストン342と、吸入バルブプレート323および吐出バルブプレート333に連結された連結部343とを備えている。そして、連動手段340が作動すると、エアシリンダ341内をピストン342が矢印CおよびD方向に摺動し、連結部343に連結された吸入バルブプレート323および吐出バルブプレート333を矢印C及びD方向に連動させることができる。
【0055】
以上のように構成されたディスペンサ300の樹脂供給動作について、説明する。
【0056】
図3を用いて、ディスペンサ300の吸入動作を説明する。
図3Aは、吸入動作時のディスペンサの状態を示している。
図3Bは、吸入バルブ320における、a-a’断面図であり、
図3Cは、吐出バルブ330における、b-b’断面図である。
【0057】
図3Aに示すように、連動手段340が動作し、ピストン342が矢印C方向に摺動する。これに伴って、連結部343に連結された吸入バルブプレート323および吐出バルブプレート333が、連動して矢印C方向に移動する。
【0058】
図3Bに示すように、上記の連動により円筒空洞を有する吸入バルブプレート323の内壁323aが吸入内側パイプ321の側壁に接触すると、吸入穴305は開状態となり吸入路303が開通される。一方で、
図3Cに示すように、円筒空洞を有する吐出バルブプレート333の内壁が吐出穴306に接触すると、吐出穴306は閉状態となり、接続管353を経由したノズル352に連通する吐出路304が遮断される。
【0059】
図3Aに示すように、伸縮手段310が動作し、サーボモータ312の駆動によってボールネジ311が回動し、移動基台314が移動する。これによりシリンダ302は矢印B方向に引き伸ばされる。引き伸ばされたシリンダ302の内部には、吸引力が発生する。これと同時にタンク350から吸入路303に液状樹脂31を供給すると、吸引力によって、液状樹脂31は吸入穴305を通過して流路370に流れ込みシリンダ302の内部に収容される。
【0060】
図4を用いて、ディスペンサ300の吐出動作を説明する。
図4Aは、吐出動作時のディスペンサの状態を示している。
図4Bは、吸入バルブ320における、a-a’断面図であり、
図4Cは、吐出バルブ330における、b-b’断面図である。
【0061】
図4Aに示すように、連動手段340が動作し、ピストン342が矢印D方向に摺動する。これに伴って連結部343に連結された吸入バルブプレート323および吐出バルブプレート333が連動して、矢印D方向に移動する。
【0062】
図4Bに示すように、円筒空洞を有する吸入バルブプレート323の内壁が吸入穴305に接触すると、吸入穴305は閉状態となり、
図4に示した吸入路303が遮断される。一方で、上記の連動とともに、
図4Cに示すように、円筒空洞を有する吐出バルブプレート333の内壁が吐出内側パイプ331の側壁に接触すると、吐出穴306は開状態となり、吐出路304が開通され、接続管353を経由し、ノズル352から液状樹脂31が吐出可能になる。
【0063】
図4Aに示すように、伸縮手段310が動作し、サーボモータ312の駆動によってボールネジ311が回動し、移動基台314を移動する。これによりシリンダ302は矢印A方向に指定距離だけ縮む。シリンダ302の内部に収容された液状樹脂31が流路370に押し出され、押し出された溶液は、吐出路304に流れ込み、吐出穴306を通過して、接続管353を経由し、ノズル352から外部へ吐出される。
【0064】
図5は、本実施形態の負荷検知部が検知した検知値によって供給されている液状樹脂が所定量か否かを判断する一例を説明するグラフである。
【0065】
図5を用いて、本実施形態の負荷検知部41が検知した検知値によって供給されている液状樹脂が所定量か否かを、どのように判断するかを説明する。ここで、検知値とは、例えば、サーボモータ312の負荷電流値、または、圧力計308の圧力値であることが好ましい。
【0066】
本実施形態の保護部材形成装置は、負荷検知部41が検知した検知値によって供給されている液状樹脂31が所定量か否かを判断する。この場合、液状樹脂を供給する工程の早い段階で、供給される液状樹脂31が所定量か否かを判断できる。早い段階で液状樹脂31が所定量か否かを判断できるため、保護部材形成の失敗を抑止することができ、結果として不良ウェーハの除去時間を削減できる。
【0067】
図5では、負荷検知部41が検知した値を縦軸に示し、伸縮手段310のAB間の距離を横軸に示す。負荷検知部41が、検知した値を検出値Pとする。
【0068】
シリンダ302内に液状樹脂31を吸入しているとき、検出値P1は、負の値として検出され、AB方向に推移する。一方で、シリンダ302内の液状樹脂31を吐出しているとき、検出値P2は、正の値として検出され、BA方向に推移する。
【0069】
ここで制御部40では、閾値Rが予め設定されている。閾値Rは、目的に応じて適宜設定されるが、例えば、
図5に示すように、第一閾値R1、第二閾値R2を定め、第一閾値R1より低い第三閾値R3、第二閾値R2より高い第四閾値R4を定めてもよい。そして、閾値Rに基づいて、第一判断部42、および、第二判断部43は、所定量の液状樹脂31が吸入、または、吐出されているか否かを判断している。
【0070】
吸引バルブ320を開き、吐出バルブ330を閉じ、シリンダ302内の容積を膨張させ、シリンダ302内に液状樹脂31を吸入しているとき、所定量の液状樹脂31が吸入されているか否かを判断する一例を説明する。検出値P1が閾値R1と閾値R3の間を推移する場合、第一判断部は、所定量の液状樹脂31が吸入されていると判断する。
【0071】
吸入時、ディスペンサ300内に漏れが発生している等の問題が発生している場合を説明する。この場合、検出値P1が、閾値R1に達しない。第一判断部は、検出値P1が閾値R1に達しないことから、所定量の液状樹脂31が吸入されていないと判断する。
【0072】
吸入時、液状樹脂31の粘度が高い等の問題が発生している場合を説明する。この場合、検出値P1が、閾値R3より低い値となる。第一判断部は、検出値P1が閾値R3に達することから、所定量の液状樹脂31が吸入されていないと判断する。
【0073】
吐出バルブ330を開き、吸引バルブ220を閉じ、シリンダ302内の容積を収縮させ、シリンダ302内に液状樹脂31を吐出しているとき、所定量の液状樹脂31が吐出されているか否か判断する一例を説明する。検出値P2が閾値R2と閾値R4の間を推移する場合、第二判断部は、所定量の液状樹脂31が吐出されていると判断する。
【0074】
吐出時、ディスペンサ300内に漏れが発生している等の問題が発生している場合を説明する。この場合、検出値P2が、閾値R2に達しない。第二判断部は、検出値P2が閾値R2に達しないことから、所定量の液状樹脂31が吐出されていないと判断する。
【0075】
吐出時、液状樹脂31の粘度が高い等の問題が発生している場合を説明する。この場合、検出値P2が、閾値R4より高い値となる。第二判断部は、検出値P2が閾値R4に達することから、所定量の液状樹脂31が吐出されていないと判断する。
【0076】
なお、本発明の実施の形態は上記の実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、本発明の技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、本発明の技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
【産業上の利用可能性】
【0077】
以上説明したように、本発明の保護部材形成装置は、供給されている液状樹脂が所定量か否かを判断することができ、保護部材形成の失敗を抑止できる。したがって、所望の保護部材が形成されたウェーハの形成が可能となり、ウェーハの一方の面に保護部材を形成する工程を含む半導体等の製造分野において特に有用である。
【符号の説明】
【0078】
1 :保護部材形成装置
10 :外部筐体
11 :カセット収容部
12 :第1ウェーハ搬送手段
13 :仮置きテーブル
14 :シートカットテーブル
15 :基台
16 :シート保持テーブル
17 :シート搬送部
18 :樹脂供給部
19 :コラム
20 :ウェーハ保持部
21 :昇降手段
23 :硬化手段
25 :第2ウェーハ搬送手段
30 :シート
31 :液状樹脂
40 :制御部
41 :負荷検知部
42 :第一判断部
43 :第二判断部
44 :発報機器
111 :収容スペース
112 :収容スペース
121 :台座
122 :ロボットハンド
123 :ガイドレール
124 :ボールネジ
131 :ウェーハ検出部
141 :シートカッター
161 :シート支持面
171 :シート供給部
172 :アーム
173 :クランプ部
201 :ウェーハ保持テーブル
211 :ガイドレール
212 :昇降テーブル
213 :ボールネジ
214 :モータ
251 :台座
252 :ロボットハンド
253 :ガイドレール
254 :ボールネジ
300 :ディスペンサ
302 :シリンダ
302a :連結部
302b :底部
303 :吸入路
304 :吐出路
305 :吸入穴
306 :吐出穴
307 :連結プレート
308 :圧力計
310 :伸縮手段
311 :ボールネジ
312 :サーボモータ
313 :軸受部
314 :移動基台
315 :エンコーダ
320 :吸入バルブ
321 :吸入内側パイプ
322 :吸入外側パイプ
323 :吸入バルブプレート
330 :吐出バルブ
331 :吐出内側パイプ
332 :吐出外側パイプ
333 :吐出バルブプレート
340 :連動手段
341 :エアシリンダ
342 :ピストン
343 :連結部
350 :タンク
351 :接続管
352 :ノズル
353 :接続官
370 :流路
C1 :カセット
C2 :カセット
W :ウェーハ
Wa :上面
Wb :下面