(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181575
(43)【公開日】2023-12-25
(54)【発明の名称】保護部材形成装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20231218BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20231218BHJP
B05C 1/02 20060101ALI20231218BHJP
B05C 9/12 20060101ALI20231218BHJP
B05C 11/00 20060101ALI20231218BHJP
B05C 13/02 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
H01L21/304 622J
H01L21/304 631
H01L21/68 N
B05C1/02 104
B05C9/12
B05C11/00
B05C13/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094783
(22)【出願日】2022-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(72)【発明者】
【氏名】右山 芳国
【テーマコード(参考)】
4F040
4F042
5F057
5F131
【Fターム(参考)】
4F040AA20
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5F131KB49
(57)【要約】
【課題】液状樹脂を硬化させる際に、ウェーハの一方の面全面に広がった液状樹脂に気泡が含まれていることを検知する保護部材形成装置を提供する。
【解決手段】樹脂(31)とシート(30)とからなる保護部材(32)を形成する保護部材形成装置(1)であって、該シート側から該液状樹脂(31)に紫外線を照射して硬化させる紫外線照射部(23)と、該紫外線が該樹脂で反射した反射光を受光して該樹脂(31)を撮像するカメラ(24)と、該カメラ(24)が該樹脂全域を撮像した撮像画に黒色の画素があると該樹脂に気泡があると判断する判断部(41)と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェーハの一方の面より広い面積のシートとウェーハとを相対的に接近させウェーハの一方の面全面に押し広げた紫外線硬化型の液状樹脂に紫外線を照射して硬化させ、樹脂とシートとからなる保護部材を形成する保護部材形成装置であって、
該シート側から該液状樹脂に紫外線を照射して硬化させる紫外線照射部と、
該紫外線が該樹脂で反射した反射光を受光して該樹脂を撮像するカメラと、
該カメラが該樹脂全域を撮像した撮像画に黒色の画素があると該樹脂に気泡があると判断する判断部と、
を備える保護部材形成装置。
【請求項2】
該保護部材を剥離する剥離装置を備え、該判断部によって該樹脂に気泡があると判断されたウェーハに形成されている該保護部材を該剥離装置で剥離したのち、再び該保護部材を形成する請求項1記載の保護部材形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護部材形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ウェーハに研削加工等を行う際に、ウェーハの一方の面全面を保護する保護部材を形成する。保護部材を形成する保護部材形成装置は、テーブルに載置したシートの上に液状樹脂を供給し、テーブルの上方でウェーハを保持した保持部を下降させ、保持部が保持したウェーハで液状樹脂を押し広げた後、液状樹脂を硬化させて、ウェーハの一方の面全面に樹脂とシートとからなる保護部材を形成している。
【0003】
保護部材を形成する液状樹脂は、紫外線硬化型樹脂や熱硬化型樹脂のように、特定の外的刺激を付与することによって硬化するものが用いられる。例えば、特許文献1のように、紫外線硬化型の液状樹脂の場合は、予め設定した時間にて紫外線を照射して硬化させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
液状樹脂を硬化させる際に、ウェーハの一方の面全面に広がった液状樹脂に気泡が含まれていると、硬化させた樹脂内に空洞が形成され、次の研削工程でウェーハを砥石で研削した際に、空洞部分により砥石の荷重でウェーハが撓むため研削されたウェーハは、均一な厚みにならない問題がある。
【0006】
したがって、保護部材形成装置は、ウェーハの一方の面に広げられた液状樹脂を硬化させた際に気泡が含まれていることを検知する必要がある。
【0007】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、液状樹脂を硬化させる際に、ウェーハの一方の面全面に広がった液状樹脂に気泡が含まれていることを検知する保護部材形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の保護部材形成装置は、ウェーハの一方の面より広い面積のシートとウェーハとを相対的に接近させウェーハの一方の面全面に押し広げた紫外線硬化型の液状樹脂に紫外線を照射して硬化させ、樹脂とシートとからなる保護部材を形成する保護部材形成装置であって、該シート側から該液状樹脂に紫外線を照射して硬化させる紫外線照射部と、該紫外線が該樹脂で反射した反射光を受光して該樹脂を撮像するカメラと、該カメラが該樹脂全域を撮像した撮像画に黒色の画素があると該樹脂に気泡があると判断する判断部と、を備える。
【0009】
本発明の一態様は、該保護部材を剥離する剥離装置を備え、該判断部によって該樹脂に気泡があると判断されたウェーハに形成されている該保護部材を該剥離装置で剥離したのち、再び該保護部材を形成する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の保護部材形成装置によれば、液状樹脂を硬化させる際に、ウェーハの一方の面全面に広がった液状樹脂に気泡が含まれていることを検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態の保護部材形成装置を示す斜視図である。
【
図3】保護部材形成装置におけるシート搬入工程を示す説明図である。
【
図4】保護部材形成装置における液状樹脂供給工程を示す説明図である。
【
図5】保護部材形成装置におけるウェーハ保持工程を示す説明図である。
【
図6】保護部材形成装置における押し広げ工程を示す説明図である。
【
図7】保護部材形成装置における硬化工程を示す説明図である。
【
図8】保護部材形成装置におけるウェーハの下面から撮像した液状樹脂の撮影画の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本実施形態に係る保護部材形成装置について説明する。
図1及び
図2は、本実施形態に係る保護部材形成装置の全体と一部を示している。
図3から
図7は、保護部材形成装置で行う各工程を説明する図である。
図8は、保護部材形成装置におけるウェーハの下面から撮像した液状樹脂の撮影画の模式図である。
【0013】
各図に示すX軸方向、Y軸方向、Z軸方向は互いに垂直な関係にある。X軸方向とY軸方向は略水平な方向であり、Z軸方向は上下方向(垂直方向)である。各図において、X軸方向を示す両矢線のうち、Xの文字が付されている側を左方とし、Xの文字が付されていない側を右方とする。Y軸方向を示す両矢線のうち、Yの文字が付されている側を前方とし、Yの文字が付されていない側を後方とする。Z軸方向を示す両矢線のうち、Zの文字が付されている側を上方とし、Zの文字が付されていない側を下方とする。
【0014】
図1に示す保護部材形成装置1は、ウェーハWの一方の面の全面に押し広げられた液状樹脂に外的刺激を付与して硬化させることによって保護部材を形成する装置の一例である。
図1においては、保護部材形成装置1の外部筐体10を破線で示し、外部筐体10の内側の構成要素を透視した状態で表している。ウェーハWのうち、保護部材形成装置1での処理時に上側を向く面を上面Waとし、下側を向く面を下面Wbとする。
【0015】
詳細は後述するが、保護部材形成装置1では、保護部材形成ステージ16に載置したシート30上に液状樹脂31(
図2、
図4、
図5参照)を供給して、ウェーハ保持部20に保持したウェーハWを、保護部材形成ステージ16の上方から液状樹脂31に押し付けるように動作する。シート30に向けてウェーハWの下面Wbが押し付けられることで、ウェーハWとシート30の間で液状樹脂31が押し広げられる(
図6参照)。この状態で液状樹脂31に外的刺激を付与して硬化させて、硬化した樹脂とシート30とによって保護部材32が形成される(
図7参照)。
【0016】
このような一連の動作は、保護部材形成装置1を統括制御する制御部40(
図1)による制御の下で行われる。以下に説明する各部の動作について、制御の主体が明記されていない場合は、制御部40から送られる制御信号によって動作が制御されているものとする。
【0017】
ウェーハWは、例えば、円柱状のシリコン等のインゴットから切り出した円板状のアズスライスウェーハである。なお、ウェーハWは、デバイス形成前のアズスライスウェーハに限らず、デバイス形成後のデバイスウェーハ等でもよい。
【0018】
保護部材形成装置1は、外部筐体10のX軸方向の一端側(左側の端部)に、カセット収容部11を備えている。カセット収容部11には上下2段の収容スペース111、112が形成されている。上段の収容スペース111には、保護部材32が形成される前の複数枚のウェーハWを収容する搬入側のカセットC1が載置される。下段の収容スペース112には、保護部材32を形成した後のウェーハWを収容する搬出側のカセットC2が載置される。カセットC1とカセットC2にはそれぞれ複数枚のウェーハWを収容可能である。
【0019】
カセット収容部11のX軸方向の右側の位置には、仮置きテーブル13とシートカットテーブル14が設けられている。上側に仮置きテーブル13が位置し、下側にシートカットテーブル14が位置する。仮置きテーブル13には、保護部材32が形成される前のウェーハWの中心位置及び向きを検出するウェーハ検出部131が設けられている。シートカットテーブル14には、ウェーハWに貼着されたシート30をウェーハWの外形に沿って切断するシートカッター141が設けられている。
【0020】
仮置きテーブル13及びシートカットテーブル14に対してY軸方向の前方側に、各カセットC1、C2に対してウェーハWの搬入及び搬出を行う第1搬送機構12が設けられている。第1搬送機構12は、台座121上に支持されるロボットハンド122を備え、Y軸方向に延びる一対のガイドレール123に沿って台座121が移動可能に支持されている。台座121は、Y軸方向に延びるボールネジ124に対して螺合する螺合部(図示略)を備える。モータの駆動力によってボールネジ124を回転させると、台座121がY軸方向に移動する。
【0021】
第1搬送機構12は、Y軸方向への台座121の移動と、ロボットハンド122の動作とによって、カセット収容部11と仮置きテーブル13及びシートカットテーブル14との間でのウェーハWの搬送を行う。より詳しくは、第1搬送機構12は、保護部材32が形成される前のウェーハWを、収容スペース111内のカセットC1から搬出して仮置きテーブル13に載せることができる。また、第1搬送機構12は、保護部材32が形成された後のウェーハWを、シートカットテーブル14から搬出して、収容スペース112内のカセットC2に搬入することができる。
【0022】
保護部材形成装置1は、仮置きテーブル13及びシートカットテーブル14対してX軸方向の右側に基台15を備えている。基台15には、保護部材形成ステージ16が設けられている。保護部材形成ステージ16は、石英ガラス等の透光性材料からなり、円板状に形成されている。保護部材形成ステージ16の上面は、シート30を載置するための平坦なシート支持面161になっている。
【0023】
保護部材形成ステージ16のシート支持面161上にシート30を搬送して載置するシート搬送機構17を備える。シート搬送機構17は、ロール状に巻かれたシート30が支持されるシート供給部171と、X軸方向に移動可能なアーム172と、アーム172の側面に取り付けられたクランプ部173と、を備えている。シート搬送機構17では、シート供給部171に支持されたロール状のシート30をクランプ部173によって保持し、アーム172をX軸方向に移動させてシート30を引っ張ることによって、保護部材形成ステージ16のシート支持面161上にシート30を載置する。
【0024】
シート30は透光性材料からなる。シート30として、例えば、ポリエチレンテレフタレート等で形成されたフィルム等を用いることができる。なお、これ以外の材質からなるシート30を用いてもよい。
【0025】
保護部材形成ステージ16のシート支持面161には、複数の吸引孔(図示略)が形成されている。吸引孔は吸引源162(
図2参照)に接続している。吸引源162を動作させて吸引孔に吸引力を作用させることにより、シート支持面161上に載置されたシート30がシート支持面161に吸引保持される。
【0026】
保護部材形成ステージ16の近傍には、シート支持面161上のシート30の上面に所定量の液状樹脂31を供給する樹脂供給機構18が設けられている。樹脂供給機構18は、基台15内に設けられたタンク184に接続するディスペンサ181と、ディスペンサ181から延びる接続管182が接続する樹脂供給ノズル183とを備える。樹脂供給ノズル183はZ軸方向に向く軸を中心として旋回可能であり、保護部材形成ステージ16の上方に樹脂供給ノズル183を位置付ける状態と、保護部材形成ステージ16の上方から樹脂供給ノズル183を退避させる状態とにさせることができる。
【0027】
タンク184に貯留された液状樹脂31がディスペンサ181によって接続管182を経由して送られ、樹脂供給ノズル183から下方に向けて液状樹脂31が滴下される。樹脂供給ノズル183からの液状樹脂31の供給量は、ディスペンサ181によって調整可能である。
【0028】
液状樹脂31は、外的刺激によって硬化する性質を有する。本実施形態では、紫外線の照射により硬化する紫外線硬化樹脂を用いている。
【0029】
保護部材形成ステージ16に対してX軸方向の左側の位置に、基台15から上方へ突出するコラム19が設けられている。コラム19には、ウェーハ保持部20をZ軸方向へ移動させて、保護部材形成ステージ16に対して接近及び離間させる昇降機構21が設けられている。昇降機構21は、Z軸方向に延びる一対のガイドレール211と、一対のガイドレール211に対してZ軸方向に移動可能に支持された昇降テーブル212と、Z軸方向に延びて昇降テーブル212の螺合部215(
図2参照)に螺合するボールネジ213(
図2参照)と、を備えている。モータ214の駆動力によってボールネジ213を回転させると、一対のガイドレール211に沿って昇降テーブル212がZ軸方向に移動する。ボールネジ213を第1の方向へ回転させると昇降テーブル212が下方へ移動し、ボールネジ213を第2の方向へ回転させると昇降テーブル212が上方へ移動する。
【0030】
ウェーハ保持部20は昇降テーブル212により支持されており、昇降テーブル212に伴ってウェーハ保持部20がZ軸方向へ移動される。ウェーハ保持部20は円板状の保持テーブル201を備えている。
図2、
図5から
図7に示すように、保持テーブル201の下面側には、円板状の多孔質部材202が設けられている。多孔質部材202の下面は、保護部材形成ステージ16の上方に位置するウェーハ保持面203である。ウェーハ保持面203は、保護部材形成ステージ16のシート支持面161と略並行な面である。
【0031】
図2に示すように、多孔質部材202は吸引路204を介して吸引源205に連通している。吸引源205を動作させて多孔質部材202に吸引力を付与することにより、ウェーハ保持面203でウェーハWの上面Waを吸引保持することができる。
【0032】
ウェーハ保持部20のウェーハ保持面203にウェーハWの上面Waを吸引保持した状態(
図2)で、昇降機構21によってウェーハ保持部20を下降させると、シート30上に供給された液状樹脂31にウェーハWの下面Wbが接触して、ウェーハWを下降させる力によって液状樹脂31が押し広げられる。
【0033】
ウェーハ保持部20は、荷重検知部22を備えている。保持テーブル201の上面側に位置を異ならせて複数の荷重センサ221が設けられており、これらの荷重センサ221によって荷重検知部22が構成される(
図5)。荷重検知部22は、複数の荷重センサ221の出力によって、ウェーハWの下面Wbに加わる垂直方向(Z軸方向)の荷重を検知することができ、液状樹脂31の広がり状態を判断する。
【0034】
保護部材形成ステージ16の下部には、シート支持面161上のシート30に滴下された液状樹脂31に外的刺激を付与して硬化させる硬化機構23が設けられている。硬化機構23は、紫外線UV(
図7)を発することが可能な複数の紫外線照射部231を備えており、透光性を有する保護部材形成ステージ16及びシート30を通じて液状樹脂31に紫外線UVを照射して硬化させる。紫外線照射部231に用いる光源はLEDを用いて、もよい。
【0035】
また、保護部材形成ステージ16の下部には、シート支持面161の方向を撮像するカメラ24が設けられている。カメラ24は、レンズと撮像素子で構成され、シート支持面161上のシート30に押し広げられる液状樹脂31の全域や、液状樹脂31を押し広げているときのウェーハWの下面Wbの全体を、シート支持面161の下方側から撮像可能な撮像範囲を有する。
【0036】
図1に示すように、基台15に対してY軸方向の前方側に、第2搬送機構25が設けられている。第2搬送機構25は、台座251上に支持されるロボットハンド252を備え、X軸方向に延びる一対のガイドレール253に沿って台座251が移動可能に支持されている。台座251は、X軸方向に延びるボールネジ254に対して螺合する螺合部(図示略)を備える。モータの駆動力によってボールネジ254を回転させると、台座251がX軸方向に移動する。
【0037】
第2搬送機構25は、X軸方向への台座251の移動と、ロボットハンド252の動作とによって、仮置きテーブル13及びシートカットテーブル14とウェーハ保持部20との間でのウェーハWの搬送を行う。より詳しくは、第2搬送機構25は、保護部材32が形成される前のウェーハWを仮置きテーブル13から受け取って搬送し、ウェーハ保持部20の保持テーブル201に受け渡すことができる。また、第2搬送機構25は、保護部材32が形成された後のウェーハWをウェーハ保持部20の保持テーブル201から回収して、シートカットテーブル14へ搬送することができる。
【0038】
保護部材形成装置1は、制御部40(
図1)によって統括的に制御される。制御部40は、各種処理を実行するプロセッサと、各種パラメータやプログラム等を記憶する記憶部(メモリ)と、によって構成されている。制御部40の記憶部には、保護部材形成装置1の制御プログラムの一部として、後述するカメラ24が液状樹脂31の全域を撮像した撮像画から各種処理を実行するためのプログラムが記憶されている。
【0039】
制御部40の機能ブロックの1つとして判断部41が含まれる。判断部41は、カメラ24が液状樹脂31の全域を撮像した撮像画に基づいて、液状樹脂31に気泡が含まれるか否かを判断する。
【0040】
なお、判断部41の機能は、制御部40を構成するプロセッサやメモリ等の動作によって実現されるものであり、判断部41が独立した電子部品で構成されていることを意味しているのではない。また、
図1では、判断部41とカメラ24との間の接続関係のみを模式的に示しているが、制御部40は、カメラ24以外の保護部材形成装置1の各部に対しても、信号の送受が可能に接続されている。
【0041】
剥離装置300が、保護部材形成装置1に隣接して、または、保護部材形成装置1の内部に設置されている。剥離装置300は、失敗したウェーハWにおける、硬化した液状樹脂31とシート30からなる保護部材32をウェーハWから剥離し、装置内のゴミ箱に廃棄する。
【0042】
以上のように構成された保護部材形成装置1による保護部材の形成について説明する。
【0043】
図3は、シート搬入工程を示している。シート搬入工程では、シート搬送機構17において、クランプ部173でシート30の端部をクランプしてアーム172をX軸方向へ移動させ、シート供給部171からシート30を引き出して保護部材形成ステージ16側へ搬送する。引き出されたシート30は所定の長さでカットされる。シート30を保護部材形成ステージ16のシート支持面161上に載置して、吸引源162の動作によってシート支持面161の吸引孔(図示略)に吸引力を作用させてシート30を吸引保持する。これにより、シート30はシート支持面161に密着する。この段階でのシート支持面161上のシート30の面積は、ウェーハWの下面Wbの面積よりも大きい。
【0044】
図4は、液状樹脂供給工程を示している。液状樹脂供給工程では、先のシート搬入工程によってシート支持面161上に載置されたシート30の上方に、樹脂供給機構18の樹脂供給ノズル183を位置付ける。そして、ディスペンサ181を制御して樹脂供給ノズル183に液状樹脂31を送出し、樹脂供給ノズル183からシート30に向けて液状樹脂31を滴下させる。樹脂供給ノズル183は保護部材形成ステージ16の中央付近の上方に位置付けられており、樹脂供給ノズル183から滴下された液状樹脂31は、ウェーハWの面積よりも狭い範囲でシート30の上面の中央付近に溜まった状態になる。
【0045】
制御部40は、ウェーハWの大きさ等の情報に基づいて、ウェーハWの下面Wbの全面に行き渡る量(所定量)の液状樹脂31を、樹脂供給機構18によってシート30へ供給させる。所定量の液状樹脂31の供給が完了したら、樹脂供給ノズル183を旋回動作させて保護部材形成ステージ16の上方から離脱させ、液状樹脂供給工程を完了する。
【0046】
図5は、ウェーハ保持工程によってウェーハ保持部20にウェーハWを保持させた状態を示している。ウェーハ保持工程では、第1搬送機構12によって、保護部材32を形成する前のウェーハWが、収容スペース111内のカセットC1から取り出されて、仮置きテーブル13に搬送される。仮置きテーブル13では、ウェーハ検出部131によって、ウェーハWの向きや中心が検出される。ウェーハWの向きや中心が検出されると、第2搬送機構25によって、ウェーハWがウェーハ保持部20まで搬送される。ウェーハ保持部20では、吸引源205を動作させて多孔質部材202に吸引力を作用させ、ウェーハ保持面203にウェーハWの上面Waを吸引して保持する。
【0047】
なお、ウェーハ保持工程の少なくとも一部を、シート搬入工程及び液状樹脂供給工程と並行して(同時に)行ってもよい。
【0048】
ウェーハ保持部20に保持されたウェーハWが、シート30上の液状樹脂31の上方に対向して位置する状態(
図5)になったら、
図6に示す押し広げ工程に進む。押し広げ工程では、昇降機構21でモータ214を動作させて昇降テーブル212及びウェーハ保持部20を所定の送り速度で下降させる。
【0049】
ウェーハ保持部20の下降によって、ウェーハWの下面Wbが保護部材形成ステージ16に接近して液状樹脂31に接触する。そして、ウェーハWの下面Wbによって液状樹脂31が押圧されて、液状樹脂31がウェーハWの径方向に押し広げられる。ウェーハWの下面Wbが接触する前の液状樹脂31はシート30の中央付近にまとまって位置しており(
図5参照)、ウェーハWから押圧されることにより、液状樹脂31はウェーハWの外縁側に向けて広がる(
図6参照)。
【0050】
なお、液状樹脂31の広がり状態を判断する際に、荷重検知部22によって検知してもよく、カメラ24によって撮像された画像を参照してもよい。
【0051】
押し広げ工程が完了して、ウェーハWの下面Wbの全体を液状樹脂31が覆う状態になったら、
図7に示す硬化工程に進む。硬化工程では、液状樹脂31を硬化させる強度(波長)の紫外線UVを、硬化機構23の紫外線照射部231からシート支持面161に向けて照射する。紫外線照射部231から発した紫外線UVは、透光性を有する保護部材形成ステージ16及びシート30を透過して液状樹脂31に達し、紫外線硬化樹脂である液状樹脂31を硬化させる。液状樹脂31が十分に硬化したと判断される状態になったら、硬化機構23からの紫外線UVの照射を終了する。
【0052】
押し広げ工程、硬化工程または任意のタイミングで、液状樹脂31に対して気泡検知を行っている。カメラ24が、ウェーハWの下面Wbを撮像している。
図8は、カメラ24が撮像した撮像画の模式図である。
【0053】
図8Aは、ウェーハWの下面Wbの下面全面に押し広げられた液状樹脂を撮像した撮像画の模式図である。
図8Bは、
図8Aの範囲Xを拡大した画像の模式図である。
図8Aおよび
図8Bに示すように範囲Xには気泡Yが存在している。
【0054】
本実施形態では、紫外線照射時のウェーハWの下面Wbを撮像した撮像画に基づいて、液状樹脂31に対して気泡検知を行う。
【0055】
カメラ24は、紫外線の照射光が液状樹脂31で反射(蛍光)した光を受光しており、
図8Aおよび
図8Bの画像の模式図では色まで判別されないが、全体に青白色の画像が撮像される。
【0056】
ここで、範囲Xの気泡Yは、紫外線の照射光によって蛍光しないため、黒色の画素として撮像される。本実施形態では、カメラ24によって撮像された紫外線照射時の撮像画は、制御部40に送信される。制御部40において、判断部41が、撮像画の黒色画素の有無を検知し、液状樹脂31に気泡が含まれているか否かを判断する。例えば、撮像画に黒色画素のある場合、液状樹脂31に気泡があると判断する。
【0057】
このように本実施形態では、液状樹脂31を硬化させる際に、ウェーハWの一方の面全面に広がった液状樹脂31に気泡が含まれていることを検知することができる。液状樹脂31を硬化させた直後に気泡の有無を確認するので、研削する前に再び保護部材を形成し直すことが可能となり、ウェーハを無駄にすることがない。
【0058】
また、本実施形態の変形例として、判断部41が、撮像画の黒色画素の数が、予め設定した数以上の場合、気泡があると判断してもよい。
【0059】
また、本実施形態の変形例として、判断部41が、撮像画の黒色画素の数が、予め設定した数に満たない場合であっても、撮像画の隣接しつながった黒色画素の面積が一定以上の場合、気泡があると判断してもよい。
【0060】
また、本実施形態の変形例として、判断する画素の色を黒色に限定せず、他の色に基づいて判断してもよく、所定の彩度、または、明度の設定値に基づいて判断してもよい。
【0061】
判断部41が、液状樹脂31に気泡が含まれていると判断した場合、保護部材形成が失敗したウェーハWとして、第1搬送機構12または第2搬送機構25によって、剥離装置300に搬送される。剥離装置300は、硬化した液状樹脂31とシート30からなる保護部材32をウェーハWから剥離し、装置内のゴミ箱に廃棄する。保護部材32を剥離したウェーハWは、保護部材形成装置1に搬送され、再び保護部材形成の工程に供される。再び供される工程は、例えば、ウェーハ保持工程に供されることが好ましい。
【0062】
液状樹脂31に気泡が含まれていないと判断され、液状樹脂31が硬化した場合は、保護部材32の形成が完了する。
【0063】
硬化機構23の紫外線照射部231からの紫外線UVの照射を終了し、硬化した状態の樹脂(元の液状樹脂31)とシート30とによって、ウェーハWの下面Wbを覆う保護部材32が形成される。また、吸引源162の動作を停止させて、保護部材形成ステージ16のシート支持面161へのシート30の吸引保持を解除する。
【0064】
続いて、昇降機構21でモータ214を動作させて昇降テーブル212及びウェーハ保持部20を上昇させ、保護部材32を形成済みのウェーハWを、ウェーハ保持部20から第2搬送機構25のロボットハンド252に受け渡す。この受け渡しの際に、ウェーハ保持部20におけるウェーハ保持面203と吸引源205の連通を遮断して、ウェーハ保持部20によるウェーハWの吸引保持を解除する。具体的には、吸引路204に設けた開閉バルブ(図示略)を閉じたり、吸引源205の動作を停止したりすることで、ウェーハ保持面203に吸引力が作用しなくなる。ウェーハ保持部20側の吸引保持が解除されると、ウェーハ保持部20の下方に位置させたロボットハンド252へのウェーハWの受け渡しが可能になる。
【0065】
第2搬送機構25は、ウェーハ保持部20から受け渡されたウェーハWをシートカットテーブル14へ搬送する。シートカッター141を用いて、シートカットテーブル14に載置されたウェーハWの外形に沿って余分なシート30が切断される。
【0066】
続いて、第1搬送機構12によって、ウェーハWがシートカットテーブル14からカセット収容部11に搬送されて、収容スペース112内のカセットC2に収容される。
【0067】
以上のようにして、保護部材形成装置1でのウェーハWに対する保護部材32の形成が完了する。保護部材32が形成されたウェーハWは、保護部材形成装置1とは別の加工装置へ搬送されて加工される。
【0068】
以上に説明した通り、本実施形態における保護部材形成装置では、カメラ24によって撮像された紫外線照射時の撮像画の黒色画素を検知し、液状樹脂31に気泡が含まれているか否かを判断する。これにより、液状樹脂31を硬化させる際に、ウェーハWの一方の面全面に広がった液状樹脂31に気泡が含まれていることを検知することができる。
【0069】
なお、本発明の実施の形態は上記の実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、本発明の技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、本発明の技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
【産業上の利用可能性】
【0070】
以上説明したように、本発明の保護部材形成装置は、液状樹脂を硬化させる際に、ウェーハの一方の面全面に広がった液状樹脂に気泡が含まれていることを検知することができる。したがって、所望の保護部材が形成されたウェーハの形成が可能となり、ウェーハの一方の面に保護部材を形成する工程を含む半導体等の製造分野において特に有用である。
【符号の説明】
【0071】
1 :保護部材形成装置
10 :外部筐体
11 :カセット収容部
12 :第1搬送機構
13 :仮置きテーブル
14 :シートカットテーブル
15 :基台
16 :保護部材形成ステージ
17 :シート搬送機構
18 :樹脂供給機構
19 :コラム
20 :ウェーハ保持部
21 :昇降機構
22 :荷重検知部
23 :硬化機構
24 :カメラ
25 :第2搬送機構
30 :シート
31 :液状樹脂
32 :保護部材
40 :制御部
41 :判断部
111 :収容スペース
112 :収容スペース
121 :台座
122 :ロボットハンド
123 :ガイドレール
124 :ボールネジ
131 :ウェーハ検出部
141 :シートカッター
161 :シート支持面
162 :吸引源
171 :シート供給部
172 :アーム
173 :クランプ部
181 :ディスペンサ
182 :接続管
183 :樹脂供給ノズル
184 :タンク
201 :保持テーブル
202 :多孔質部材
203 :ウェーハ保持面
204 :吸引路
205 :吸引源
211 :ガイドレール
212 :昇降テーブル
213 :ボールネジ
214 :モータ
215 :螺合部
221 :荷重センサ
231 :紫外線照射部
251 :台座
252 :ロボットハンド
253 :ガイドレール
254 :ボールネジ
300 :剥離装置
C1 :カセット
C2 :カセット
UV :紫外線
W :ウェーハ
Wa :上面
Wb :下面
X :範囲
Y :気泡