(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181576
(43)【公開日】2023-12-25
(54)【発明の名称】保護部材形成装置、および、液状樹脂の供給量の算出方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20231218BHJP
【FI】
H01L21/304 631
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094784
(22)【出願日】2022-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(72)【発明者】
【氏名】右山 芳国
【テーマコード(参考)】
5F057
【Fターム(参考)】
5F057AA12
5F057AA19
5F057BA26
5F057CA13
5F057DA11
5F057EC02
5F057EC05
5F057EC12
5F057EC16
5F057GB02
5F057GB17
(57)【要約】
【課題】バンプを備えたウェーハに応じて、液状樹脂の供給量を自動で算出し、調整する保護部材形成装置と液状樹脂の供給量の算出方法を提供する。
【解決手段】一方の面にバンプを有するウェーハの該一方の面を保護する保護部材を形成する保護部材形成装置であって、該カメラが撮像した撮像画によって該ウェーハの外周から外に該樹脂がはみ出した幅と、該シート保持テーブルと該ウェーハ保持テーブルとの距離とから、該樹脂がはみ出した体積を算出して、次から第一シートの上面に供給する液状樹脂の供給量を算出する液状樹脂の供給量算出部と、を備える保護部材形成装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面にバンプを有するウェーハの該一方の面を保護する保護部材を形成する保護部材形成装置であって、
ウェーハの一方の面を覆いウェーハの外周から外に環状のはみ出し部を形成可能な第一シートを該一方の面全面と外側面とに密着させたウェーハの他方の面を保持するウェーハ保持テーブルと、
該ウェーハ保持テーブルが保持したウェーハの該第一シートの上面に液状樹脂を供給する液状樹脂供給部と、
該ウェーハ保持テーブルの上方でウェーハの一方の面を覆うことが可能な面積の第二シートを保持するシート保持テーブルと、
該シート保持テーブルと該ウェーハ保持テーブルとを予め設定した距離に接近させ該第一シートの上面に供給された液状樹脂を押し広げ該ウェーハの外周よりも外に液状樹脂をはみ出させる拡張手段と、
該シート保持テーブルに配置され該第二シート側から該液状樹脂に紫外線を照射する紫外線照射部と、
該液状樹脂が硬化した該樹脂で該紫外線が反射した反射光を受光して、少なくともはみ出した該樹脂を撮像するカメラと、
該カメラが撮像した撮像画によって該ウェーハの外周から外に該樹脂がはみ出した幅と、該シート保持テーブルと該ウェーハ保持テーブルとの距離とから、該樹脂がはみ出した体積を算出して、次から第一シートの上面に供給する液状樹脂の供給量を算出する液状樹脂の供給量算出部と、を備える保護部材形成装置。
【請求項2】
該供給量算出部は、該樹脂がはみ出した体積に該液状樹脂の収縮率を割って、該はみ出した該樹脂を形成した液状樹脂の量を算出して、算出した該液状樹脂の量を当初、該第一シートに供給した該液状樹脂の供給量から差し引き、次から第一シートの上面に供給する液状樹脂の供給量を算出する、請求項1記載の保護部材形成装置。
【請求項3】
一方の面にバンプを有するウェーハの該一方の面全面に液状樹脂を押し広げて硬化させ保護部材を形成するために所定量の液状樹脂を供給する液状樹脂の供給量の設定方法であって、
ウェーハの一方の面を覆いウェーハの外周から外に環状のはみ出し部を形成可能な第一シートを該一方の面全面と外側面とに密着させたウェーハの他方の面をウェーハ保持テーブルが保持するウェーハ保持工程と、
該ウェーハ保持テーブルが保持したウェーハの該第一シートの上面に液状樹脂を供給する液状樹脂供給工程と、
シート保持テーブルに第二シートを保持させるシート保持工程と、
該シート保持テーブルと該ウェーハ保持テーブルとを予め設定した距離に接近させ該第一シートの上面に供給された液状樹脂を押し広げ該ウェーハの外周よりも外に該液状樹脂をはみ出させる拡張工程と、
該第二シート側から該液状樹脂に紫外線を照射して硬化させる硬化工程と、
カメラで該液状樹脂が硬化した該樹脂で該紫外線が反射した反射光を受光して少なくともはみ出した該樹脂を撮像する撮像工程と、
該カメラが撮像した撮像画によって該ウェーハの外周から外に該樹脂がはみ出した幅と、該シート保持テーブルと該ウェーハ保持テーブルとの距離とから、該樹脂がはみ出した体積を算出するはみ出し量算出工程と、
該液状樹脂供給工程で供給した該液状樹脂の供給量から該はみ出し量算出工程で算出した該樹脂のはみ出し量を差し引き、次から該液状樹脂供給部が第一シートの上面に液状樹脂を供給する供給量を算出する供給量算出工程と、を備える、液状樹脂の供給量の算出方法。
【請求項4】
該供給量算出工程は、該液状樹脂を硬化させたときの収縮率を該樹脂の該はみ出し量に割って、該ウェーハからはみ出した該樹脂を形成した液状樹脂の量を算出する液状樹脂量算出工程を含み、該液状樹脂供給工程で供給した該液状樹脂の供給量から該液状樹脂量算出工程で算出した該液状樹脂の量を差し引き、次から該液状樹脂供給部が第一シートの上面に液状樹脂を供給する供給量を算出する、請求項3記載の液状樹脂の供給量の算出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護部材形成装置、および、液状樹脂の供給量の算出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一方の面にバンプを備えたウェーハの研削加工を行う際に、ウェーハの一方の面全面を保護する保護部材形成を行う。保護部材形成装置は、特許文献1に開示のように、バンプを形成する一方の面にシートを密着させ、シートの上に液状樹脂を供給して、さらに、シート保持テーブルが保持したシートを液状樹脂に押し付けてウェーハの一方の面全面に液状樹脂を押し広げて硬化させ保護部材を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ウェーハのバンプを備えた面に保護部材を形成する場合、液状樹脂を押し広げて液状樹脂の量が多いとウェーハの縁から樹脂がはみ出してしまう。このはみ出す樹脂の量は、バンプの数、高さ、バンプ間の隙間によって変動する。つまり、バンプを有するウェーハの種類に応じて、液状樹脂の供給量を調整する必要がある。したがって、保護部材形成装置には、バンプを備えたウェーハに応じて、液状樹脂の供給量を自動で算出し、調整することが望まれている。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、バンプを備えたウェーハに応じて、液状樹脂の供給量を自動で算出し、調整する保護部材形成装置と、液状樹脂の供給量の算出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の保護部材形成装置は、一方の面にバンプを有するウェーハの該一方の面を保護する保護部材を形成する保護部材形成装置であって、ウェーハの一方の面を覆いウェーハの外周から外に環状のはみ出し部を形成可能な第一シートを該一方の面全面と外側面とに密着させたウェーハの他方の面を保持するウェーハ保持テーブルと、該ウェーハ保持テーブルが保持したウェーハの該第一シートの上面に液状樹脂を供給する液状樹脂供給部と、該ウェーハ保持テーブルの上方でウェーハの一方の面を覆うことが可能な面積の第二シートを保持するシート保持テーブルと、該シート保持テーブルと該ウェーハ保持テーブルとを予め設定した距離に接近させ該第一シートの上面に供給された液状樹脂を押し広げ該ウェーハの外周よりも外に液状樹脂をはみ出させる拡張手段と、該シート保持テーブルに配置され該第二シート側から該液状樹脂に紫外線を照射する紫外線照射部と、該液状樹脂が硬化した該樹脂で該紫外線が反射した反射光を受光して、少なくともはみ出した該樹脂を撮像するカメラと、該カメラが撮像した撮像画によって該ウェーハの外周から外に該樹脂がはみ出した幅と、該シート保持テーブルと該ウェーハ保持テーブルとの距離とから、該樹脂がはみ出した体積を算出して、次から第一シートの上面に供給する液状樹脂の供給量を算出する液状樹脂の供給量算出部と、を備える。
【0007】
本発明の一態様は、該供給量算出部は、該樹脂がはみ出した体積に該液状樹脂の収縮率を割って、該はみ出した該樹脂を形成した液状樹脂の量を算出して、算出した該液状樹脂の量を当初、該第一シートに供給した該液状樹脂の供給量から差し引き、次から第一シートの上面に供給する液状樹脂の供給量を算出する。
【0008】
本発明の液状樹脂の供給量の算出方法は、一方の面にバンプを有するウェーハの該一方の面全面に液状樹脂を押し広げて硬化させ保護部材を形成するために所定量の液状樹脂を供給する液状樹脂の供給量の設定方法であって、ウェーハの一方の面を覆いウェーハの外周から外に環状のはみ出し部を形成可能な第一シートを該一方の面全面と外側面とに密着させたウェーハの他方の面をウェーハ保持テーブルが保持するウェーハ保持工程と、該ウェーハ保持テーブルが保持したウェーハの該第一シートの上面に液状樹脂を供給する液状樹脂供給工程と、シート保持テーブルに第二シートを保持させるシート保持工程と、該シート保持テーブルと該ウェーハ保持テーブルとを予め設定した距離に接近させ該第一シートの上面に供給された液状樹脂を押し広げ該ウェーハの外周よりも外に該液状樹脂をはみ出させる拡張工程と、該第二シート側から該液状樹脂に紫外線を照射して硬化させる硬化工程と、カメラで該液状樹脂が硬化した該樹脂で該紫外線が反射した反射光を受光して少なくともはみ出した該樹脂を撮像する撮像工程と、該カメラが撮像した撮像画によって該ウェーハの外周から外に該樹脂がはみ出した幅と、該シート保持テーブルと該ウェーハ保持テーブルとの距離とから、該樹脂がはみ出した体積を算出するはみ出し量算出工程と、該液状樹脂供給工程で供給した該液状樹脂の供給量から該はみ出し量算出工程で算出した該樹脂のはみ出し量を差し引き、次から該液状樹脂供給部が第一シートの上面に液状樹脂を供給する供給量を算出する供給量算出工程と、を備える。
【0009】
本発明の一態様は、該供給量算出工程は、該液状樹脂を硬化させたときの収縮率を該樹脂の該はみ出し量に割ってウェーハからはみ出した該樹脂を形成した液状樹脂の量を算出する液状樹脂量算出工程を含み、該液状樹脂供給工程で供給した該液状樹脂の供給量から該液状樹脂量算出工程で算出した該液状樹脂の量を差し引き、次から該液状樹脂供給部が第一シートの上面に液状樹脂を供給する供給量を算出する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の保護部材形成装置と、液状樹脂の供給量の算出方法によれば、バンプを備えたウェーハに応じて、液状樹脂の供給量を自動で算出し、調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態の保護部材形成装置を示す斜視図である。
【
図3】保護部材形成装置における液状樹脂供給工程を示す説明図である。
【
図4】保護部材形成装置における押し広げ工程(拡張工程)および撮像工程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本実施形態に係る保護部材形成装置および液状樹脂の供給量の算出方法について説明する。
図1及び
図2は、本実施形態に係る保護部材形成装置の全体と一部を示している。
図3から
図4は、保護部材形成装置で行う各工程を説明する図である。
【0013】
各図に示すX軸方向、Y軸方向、Z軸方向は互いに垂直な関係にある。X軸方向とY軸方向は略水平な方向であり、Z軸方向は上下方向(垂直方向)である。各図において、X軸方向を示す両矢線のうち、Xの文字が付されている側を左方とし、Xの文字が付されていない側を右方とする。Y軸方向を示す両矢線のうち、Yの文字が付されている側を前方とし、Yの文字が付されていない側を後方とする。Z軸方向を示す両矢線のうち、Zの文字が付されている側を上方とし、Zの文字が付されていない側を下方とする。
【0014】
図1に示す保護部材形成装置1は、ウェーハ90の一方の面の全面に押し広げられた液状樹脂に外的刺激を付与して硬化させることによって保護部材を形成する装置の一例である。
図1においては、保護部材形成装置1の外部筐体10を破線で示し、外部筐体10の内側の構成要素を透視した状態で表している。ウェーハ90のうち、保護部材形成装置1での処理時に上側を向く面を上面900とし、下側を向く面を下面904とする。
【0015】
詳細は後述するが、保護部材形成装置1では、保護部材形成ステージ16にウェーハ90を載置し、載置したウェーハ90上に液状樹脂31(
図3、
図4参照)を供給して、シート保持部20が保持した第二シート30を保護部材形成ステージ16の上方から液状樹脂31に押し付けるように動作する。この動作により、ウェーハ90と第二シート30の間で液状樹脂31が押し広げられ、ウェーハ90上で拡張された状態となる。この状態で液状樹脂31に外的刺激を付与して硬化させて、硬化した樹脂と第二シート30とによって保護部材が形成される。
【0016】
このような一連の動作は、保護部材形成装置1を統括制御する制御部60(
図1)による制御の下で行われる。以下に説明する各部の動作について、制御の主体が明記されていない場合は、制御部60から送られる制御信号によって動作が制御されているものとする。
【0017】
ウェーハ90は、例えば、円柱状のシリコン等のインゴットから切り出した円板状のアズスライスウェーハである。なお、ウェーハ90は、デバイス形成前のアズスライスウェーハに限らず、デバイス形成後のデバイスウェーハ等でもよい。
【0018】
ウェーハ90の上面900には、複数の分割予定ライン901によって区画された複数の格子状の領域にIC、LSI等のデバイス902が形成されている。このデバイス902の表面には、それぞれ複数のバンプ(突起電極)903が設けられている。銅などからなるバンプ903は、例えば、高さが数十μm程度に設定されている。
【0019】
ウェーハ90の上面900は、第一シート905に覆われている。第一シート905は、ウェーハ90の上面900の全面に密着した状態で貼り付けられている。第一シート905は、ウェーハ90の外周から外に環状のはみ出し部906を形成可能な面積を有している。はみ出し部906を有することで、後述する液状樹脂の算出方法において、はみ出した樹脂31の量を算出することができる。
【0020】
また、第一シート905は、ウェーハ90の上面900の全面に密着し、さらにウェーハ90の外側面907に密着した状態で貼り付けられ、ウェーハ90の外周から外に環状のはみ出し部906を形成してもよい。これにより、後述する液状樹脂の算出方法において、はみ出した液状樹脂31の量をより正確に算出することができる。
【0021】
第一シート905は透光性材料からなる。第一シート905として、例えば、ポリエチレンテレフタレート等で形成されたフィルム等を用いることができる。なお、これ以外の材質を用いてもよい。
【0022】
第一シート905は、予めウェーハ90の上面900に貼り付けられた状態で保護部材形成装置1に搬入されてもよい。
【0023】
また、保護部材形成装置1に第一シート905を貼り付ける機構を設けてもよく、保護部材形成装置1の外部に、第一シート905を貼り付ける装置を設けてもよい。この場合、第一シート905を有しないウェーハ90を、保護部材形成工程の任意のタイミングで、第一シート905を貼り付ける機構、または、装置に搬入し、第一シート905をウェーハ90に貼り付ける。
【0024】
保護部材形成装置1は、外部筐体10のX軸方向の一端側(左側の端部)に、カセット収容部11を備えている。カセット収容部11には収容スペース112が形成されている。カセット106にはそれぞれ複数枚のウェーハWを収容可能である。
【0025】
カセット収容部11のX軸方向の右側の位置には、仮置きテーブル13とシートカットテーブル14が設けられている。上側に仮置きテーブル13が位置し、下側にシートカットテーブル14が位置する。仮置きテーブル13には、保護部材が形成される前のウェーハ90の中心位置及び向きを検出するウェーハ検出部131が設けられている。シートカットテーブル14には、ウェーハ90に貼着された第二シート30をウェーハ90の外形に沿って切断するシートカッターが設けられている。
【0026】
仮置きテーブル13及びシートカットテーブル14に対してY軸方向の前方側に、カセット106に対してウェーハ90の搬入及び搬出を行う第一搬送機構12が設けられている。第一搬送機構12は、台座121上に支持されるロボットハンド122を備え、Y軸方向に延びる一対のガイドレール123に沿って台座121が移動可能に支持されている。台座121は、Y軸方向に延びるボールネジ124に対して螺合する螺合部(図示略)を備える。モータの駆動力によってボールネジ124を回転させると、台座121がY軸方向に移動する。
【0027】
第一搬送機構12は、Y軸方向への台座121の移動と、ロボットハンド122の動作とによって、カセット収容部11と仮置きテーブル13及びシートカットテーブル14との間でのウェーハ90の搬送を行う。より詳しくは、第一搬送機構12は、保護部材が形成される前のウェーハ90を、収容スペース112内のカセット106から搬出して仮置きテーブル13に載せることができる。また、第一搬送機構12は、保護部材が形成された後のウェーハ90を、シートカットテーブル14から搬出して、収容スペース112内のカセット106に搬入することができる。
【0028】
保護部材形成装置1は、仮置きテーブル13及びシートカットテーブル14対してX軸方向の右側に基台15を備えている。基台15には、保護部材形成ステージ16が設けられている。保護部材形成ステージ16は、円板状に形成されている。保護部材形成ステージ16の上面は、ウェーハ保持テーブル161になっている。
【0029】
シート保持部20のシート保持テーブル201に第二シート30を搬送するシート搬送テーブル40と、水平方向に移動させる水平移動機構41と、を備える。水平移動機構41は、基台15内に配設された図示しない電動スライダを備えている。
【0030】
基台402上には、帯状の第二シート30を引き出してシート搬送テーブル40上に位置付けて矩形に第二シート30を切断可能なシート配置機構8が設けられている。シート配置機構8は、例えば、回転軸、モータ、及び複数本の回転ローラ等からなるシート供給部80と、シート供給部80から送り出される帯状の第二シート30の外周辺(X方向の外周辺)を把持するシート把持部81と、シート把持部81に把持された第二シート30を水平方向(X方向)に引き出すように移動させる把持部移動部82と、シート供給部80が送り出した帯状の第二シート30の後端側を切断して矩形状の第二シート30とするシート切断部83と、を備えている。
【0031】
搬送テーブル40は、保持したシート30(矩形にカットされた後のシート30)の中央を上方向に膨らませるドーム形成機構42を備えている。
図2に示すように、ドーム形成機構42は、例えば搬送テーブル40の搬送枠体43の上面431中央にウェーハ90より小径に形成された円形凹部432と、本実施形態においては円形凹部432に収容されて上部分を搬送枠体43の上面431から凸出させた弾性部材421と、を備えている。
【0032】
第二シート30は透光性材料からなる。第二シート30として、例えば、ポリエチレンテレフタレート等で形成されたフィルム等を用いることができる。なお、これ以外の材質からなる第二シート30を用いてもよい。
【0033】
保護部材形成ステージ16のウェーハ保持テーブル161には、
図2から
図4に示すように、ウェーハ保持テーブル161の下面側に、円板状の多孔質部材162が設けられている。多孔質部材162の表面は、ウェーハ保持面163である。多孔質部材162は吸引源164に接続している。吸引源164を動作させて、ウェーハ保持テーブル161上に載置されたウェーハ90がウェーハ保持テーブル161に吸引保持される。
【0034】
保護部材形成ステージ16の近傍には、ウェーハ保持テーブル161上のウェーハ90の第一シート905の上に所定量の液状樹脂31を供給する液状樹脂供給部18が設けられている。液状樹脂供給部18は、基台15内に設けられたタンク184に接続するディスペンサ181と、ディスペンサ181から延びる接続管182が接続する樹脂供給ノズル183とを備える。樹脂供給ノズル183はZ軸方向に向く軸を中心として旋回可能であり、保護部材形成ステージ16の上方に樹脂供給ノズル183を位置付ける状態と、保護部材形成ステージ16の上方から樹脂供給ノズル183を退避させる状態にさせることができる。
【0035】
タンク184に貯留された液状樹脂31がディスペンサ181によって接続管182を経由して送られ、樹脂供給ノズル183から下方に向けて液状樹脂31が滴下される。樹脂供給ノズル183からの液状樹脂31の供給量は、ディスペンサ181によって調整可能である。
【0036】
液状樹脂31は、外的刺激によって硬化する性質を有する。本実施形態では、紫外線の照射により硬化する紫外線硬化樹脂を用いている。
【0037】
保護部材形成ステージ16に対してX軸方向の左側の位置に、基台15から上方へ突出するコラム19が設けられている。コラム19には、シート保持部20をZ軸方向へ移動させて、保護部材形成ステージ16に対して接近及び離間させる昇降機構(拡張手段)21が設けられている。昇降機構(拡張手段)21は、Z軸方向に延びる一対のガイドレール211と、一対のガイドレール211に対してZ軸方向に移動可能に支持された昇降テーブル212と、Z軸方向に延びて昇降テーブル212の螺合部に螺合するボールネジ213と、を備えている。モータ214の駆動力によってボールネジ213を回転させると、一対のガイドレール211に沿って昇降テーブル212がZ軸方向に移動する。ボールネジ213を第一の方向へ回転させると昇降テーブル212が下方へ移動し、ボールネジ213を第二の方向へ回転させると昇降テーブル212が上方へ移動する。
【0038】
シート保持部20は昇降テーブル212により支持されており、昇降テーブル212に伴ってシート保持部20がZ軸方向へ移動される。シート保持部20は円板状のシート保持テーブル201を備えている。
【0039】
図2から
図4に示すように、シート保持テーブル201には、円板状のガラス板202が設けられている。ガラス板202の表面は、シート保持面203である。シート保持面203は、複数の吸引孔(図示略)が形成されている。吸引孔は吸引源(図示略)に接続している。吸引源を動作させて吸引孔に吸引力を作用させることにより、第二シート30がシート保持面203に吸引保持される。
【0040】
シート保持部20のシート保持面203に第二シート30を吸引保持した状態(
図3)で、昇降機構(拡張手段)21によって、第二シート30を保持した状態のシート保持部20を下降させると、ウェーハ90の第一シート905上に供給された液状樹脂31に第二シート30が接触して、第二シート30を下降させる力によって液状樹脂31が押し広げられる。
【0041】
シート保持部20は、図示しないが、荷重検知部を備えていてもよい。荷重検知部の出力によって、ウェーハ90における液状樹脂31の広がり状態を判断してもよい。
【0042】
シート保持部20の内部には、ウェーハ保持テーブル161上のウェーハ90上に滴下された液状樹脂31に外的刺激を付与して硬化させる硬化機構23が設けられている。硬化機構23は、紫外線UV(
図4)を発することが可能な複数の紫外線照射部231を備えており、透光性を有する第一シート905及び第二シート30を通じて液状樹脂31に紫外線UVを照射して硬化させる。紫外線照射部231に用いる光源はLEDを用いて、もよい。
【0043】
また、シート保持部20の内部には、ウェーハ保持テーブル161の方向を撮像するカメラ24が設けられている。カメラ24は、レンズと撮像素子で構成され、ウェーハ保持テーブル161上の第二シート30に押し広げられた液状樹脂31の全面、及び、液状樹脂31が押し広げられたウェーハ90の全面を、シート保持テーブル201の上方側から撮像可能な撮像範囲を有する。また、カメラ24は、硬化した液状樹脂31で、紫外線が反射した反射光(蛍光)を受光して、少なくともウェーハ90の外周からはみ出した液状樹脂31を撮像することが好ましい。
【0044】
図1に示すように、基台15に対してY軸方向の前方側に、第二搬送機構25が設けられている。第二搬送機構25は、台座251上に支持されるロボットハンド252を備え、X軸方向に延びる一対のガイドレール253に沿って台座251が移動可能に支持されている。台座251は、X軸方向に延びるボールネジ254に対して螺合する螺合部(図示略)を備える。モータの駆動力によってボールネジ254を回転させると、台座251がX軸方向に移動する。
【0045】
第二搬送機構25は、X軸方向への台座251の移動と、ロボットハンド252の動作とによって、仮置きテーブル13及びシートカットテーブル14とウェーハ保持テーブル161との間でのウェーハ90の搬送を行う。より詳しくは、第二搬送機構25は、保護部材が形成される前のウェーハ90を仮置きテーブル13から受け取って搬送し、ウェーハ保持テーブル161に受け渡すことができる。また、第二搬送機構25は、保護部材が形成された後のウェーハ90をウェーハ保持テーブル161から回収して、シートカットテーブル14へ搬送することができる。
【0046】
保護部材形成装置1は、制御部60(
図1)によって統括的に制御される。制御部60は、各種処理を実行するプロセッサと、各種パラメータやプログラム等を記憶する記憶部(メモリ)と、によって構成されている。制御部60の記憶部には、液状樹脂の供給量が記憶されている。また、制御部60の記憶部には、保護部材形成装置1の制御プログラムの一部として、後述するカメラ24が撮像した撮像画によって液状樹脂31の供給量を算出するプログラムが記憶されている。
【0047】
制御部60の機能ブロックの1つとして供給量算出部61が含まれる。供給量算出部61は、カメラ24が、硬化した液状樹脂31で、紫外線照射部231が照射した紫外線が反射した反射光(蛍光)を受光して、撮像した撮像画に基づいて、液状樹脂31の供給量を算出する。
【0048】
供給量算出部61において、カメラ24が撮像した撮像画によってウェーハ90の外周から外に液状樹脂31がはみ出した幅と、シート保持テーブル201とウェーハ保持テーブル161との距離とから、液状樹脂31がはみ出した体積を算出して、次から第一シート905の上面に供給する液状樹脂の供給量を算出する。
【0049】
また、供給量算出部61は、液状樹脂31がはみ出した体積に液状樹脂31の収縮率を割って、はみ出した液状樹脂31の量を算出して、算出した液状樹脂31の量を、当初第一シート905に供給した液状樹脂31の供給量から差し引き、次から第一シート905の上面に供給する液状樹脂の供給量を算出する。
【0050】
なお、供給量算出部61の機能は、制御部60を構成するプロセッサやメモリ等の動作によって実現されるものであり、供給量算出部61が独立した電子部品で構成されていることを意味しているのではない。また、
図2~4では、供給量算出部61とカメラ24との間の接続関係のみを模式的に示しているが、制御部60は、カメラ24以外の保護部材形成装置1の各部に対しても、信号の送受が可能に接続されている。
【0051】
以上のように構成された保護部材形成装置1による液状樹脂31の供給量の算出および設定方法について説明する。
【0052】
本実施形態では、バンプの数、バンプの大きさが変わったときに供給する液状樹脂量を、保護部材形成装置1が自動で算出する。
【0053】
図1を用いて、ウェーハ搬入工程を説明する。第一搬送機構12により、カセット106からウェーハ90が1枚取り出されて、仮置きテーブル13上に搬送される。仮置きテーブル13上でウェーハ検出し、第二搬送機構25がウェーハ90を吸引保持してウェーハ90を搬出し、ウェーハ保持テーブル161にウェーハ90を載置する。ウェーハ保持テーブル161では、吸引源164を動作させて多孔質部材162に吸引力を作用させ、ウェーハ保持面163にウェーハ90の下面904を吸引して保持する。
【0054】
図2に示すように、ウェーハ90は、ウェーハ保持テーブル161に載置された状態となる。この際、第一シート905のはみ出し部906は、ウェーハ保持テーブルの上面に密着させることが好ましい。これにより、後述する液状樹脂の算出方法において、はみ出した樹脂31の量をより正確に算出することができる。
【0055】
図2を用いて、シート搬入工程を説明する。シート供給部80が、帯状のシート30の先端をX方向に水平に送り出す。把持部移動部82によってシート把持部81が移動し、シート把持部81が帯状のシート30の先端を把持する。
【0056】
シート供給部80による第二シート30の送り出しに並行して、水平移動機構41によって搬送テーブル40が、第二シート30を受け取る位置に位置付けされる。搬送テーブル40の搬送枠体43の上面431及び弾性部材421の上面の上方に、シート把持部81によって把持されたシート30が位置付けされた状態になる。
【0057】
シート把持部81によって所定長さ引き出された帯状の第二シート30が、弾性部材421の上面に全面を覆った状態で、シート切断部83において、所定長さに切断される。これにより、弾性部材421上に、第二シート30が載置された状態となる。ここで、第二シート30の所定長さは、ウェーハ90の上面900を覆うことが可能な面積が確保されていることが好ましい。
【0058】
次いで、シート保持工程を説明する。第二シート30が載置された搬送テーブル40が、X方向にさらに移動し、シート保持テーブル201の直下に位置付けられる。昇降機構(拡張手段)21によってシート保持テーブル201が下降していき、ガラス板202のシート保持面203が、弾性部材421上のシート30と接触する。この際、図示しない吸引源と接続した吸引孔によって、シート30は、シート保持テーブル201に吸引保持される。第二シート30がシート保持テーブル201に受け渡され、搬送テーブル40は離脱する。これにより、シート保持テーブル201は、ウェーハ保持テーブル161の上方で、ウェーハ90の上面900を覆うことが可能な面積の第二シート30を保持した状態となる。
【0059】
図4を用いて、液状樹脂供給工程を説明する。先のシート搬入工程によってウェーハ保持テーブル161上に載置されたウェーハ90の上方に、液状樹脂供給部18の樹脂供給ノズル183を位置付ける。そして、ディスペンサ181を制御して樹脂供給ノズル183に液状樹脂31を送出し、樹脂供給ノズル183からウェーハ90の第一シート905に向けて液状樹脂31を滴下させる。樹脂供給ノズル183は保護部材形成ステージ16の中央付近の上方に位置付けられており、樹脂供給ノズル183から滴下された液状樹脂31は、ウェーハ90の面積よりも狭い範囲でウェーハ90の第一シート905の上面中央付近に溜まった状態になる。
【0060】
制御部60は、所定量の液状樹脂31を、液状樹脂供給部18によってウェーハ90へ供給させる。所定量の液状樹脂31の供給が完了したら、樹脂供給ノズル183を旋回動作させて保護部材形成ステージ16の上方から離脱させ、液状樹脂供給工程を完了する。また、液状樹脂31の供給量を算出する際、ウェーハ90からはみ出る程度に、多めの液状樹脂を供給することが好ましい。
【0061】
なお、ウェーハ保持工程の少なくとも一部を、シート搬入工程及び液状樹脂供給工程と並行して(同時に)行ってもよい。
【0062】
シート保持部20に保持された第二シート30が、ウェーハ90上の液状樹脂31の上方に対向して位置する状態(
図3)になったら、
図4に示す押し広げ工程(拡張工程)に進む。押し広げ工程(拡張工程)では、昇降機構(拡張手段)21でモータ214を動作させて昇降テーブル212及びシート保持部20を所定の送り速度で下降させる。
【0063】
図4に示すように、シート保持部20の下降によって、第二シート30が保護部材形成ステージ16に接近して液状樹脂31に接触する。そして、第二シート30によって液状樹脂31が押圧されて、液状樹脂31がウェーハ90の径方向に押し広げられる。第二シート30に接触する前の液状樹脂31は第二シート30の中央付近にまとまって位置しており、第二シート30から押圧されることにより、液状樹脂31はウェーハ90の外縁側に向けて広がる。
【0064】
本実施形態では、
図4に示すように、ウェーハ90の外周よりも外に液状樹脂31がはみ出した場合、後述する液状樹脂31の供給量を算出する。押し広げ工程(拡張工程)において、昇降機構(拡張手段)21が、シート保持テーブル201とウェーハ保持テーブル161とを予め設定した距離に接近させ、第一シート905の上面に供給された液状樹脂31を押し広げ、ウェーハ90の外周よりも外に液状樹脂31をはみ出させる。
【0065】
なお、液状樹脂31の広がり状態を判断する際に、図示しない荷重検知部によって検知してもよく、カメラ24によって撮像された画像を参照してもよい。
【0066】
押し広げ工程(拡張工程)が完了して、ウェーハ90の第一シート905の全体を液状樹脂31が覆う状態になったら、
図4に示す硬化工程に進む。硬化工程では、液状樹脂31を硬化させる強度の紫外線UVを、硬化機構23の紫外線照射部231からウェーハ保持テーブル161に向けて照射する。紫外線照射部231から発した紫外線UVは、透光性を有するガラス板202及び第二シート30を透過して液状樹脂31に達し、紫外線硬化樹脂である液状樹脂31を硬化させる。液状樹脂31が十分に硬化したと判断される状態になったら、硬化機構23からの紫外線UVの照射を終了する。
【0067】
続けて撮像工程において、硬化した液状樹脂31で紫外線が反射した反射光(蛍光)を受光して、少なくともウェーハ90の外周よりも外にはみ出した液状樹脂31を撮像する。
【0068】
撮像工程で撮像した撮像画に基づいて、供給量算出部61が、液状樹脂31の供給量を算出する。供給量を算出する工程について、説明する。
【0069】
本実施形態では、昇降機構(拡張手段)21のモータ214のエンコーダなどの値から、押し広げた(拡張した)際の、液状樹脂31の高さがわかる、また、撮像工程において、撮像した撮像画から、ウェーハ90の外周から外に液状樹脂31がはみ出した幅がわかる。これら情報に基づいて、ウェーハ90の外周から外にはみ出した液状樹脂31の量を算出する。はみ出した液状樹脂31の算出量に基づいて、当初設定された液状樹脂の供給量から、新たにウェーハ90の縁から液状樹脂31がはみ出ない正確な液状樹脂の供給量を算出することができる。
【0070】
当初の第一シート905に供給した液状樹脂31の供給量V1とする。また、供給量V1は、当初設定された液状樹脂31の供給量であり、供給量V1は体積である。
【0071】
はみ出し量算出工程について説明する。はみ出し量算出工程は、カメラ24が撮像した撮像画によってウェーハ90の外周から外に液状樹脂31がはみ出した幅と、シート保持テーブル201とウェーハ保持テーブル161との距離とから、液状樹脂31がはみ出した体積を算出する。
【0072】
ウェーハ90からはみ出した液状樹脂31の体積を算出する。
図4に示すように、ウェーハ90の半径r、ウェーハ90の外周から外に液状樹脂31がはみ出した幅R、シート保持テーブル201のシート保持面203とウェーハ保持テーブル161のウェーハ保持面163との距離H、ウェーハ90の外周にはみ出した液状樹脂31のはみ出した体積Va、として説明する。また、幅Rは、ウェーハ90の中心から、はみ出した液状樹脂31の外周までの半径である。また距離Hは、第二シート30の厚みを考慮し、第二シート30の押圧面311とウェーハ保持テーブル161のウェーハ保持面163との距離としてもよい。
【0073】
はみ出し量算出工程では、例えば、式1に従って、ウェーハ90の外周にはみ出した液状樹脂31のはみ出した体積Vaを算出する。円周率はπとする。
(R2×H×π)-(r2×H×π)=Va・・・(式1)
【0074】
供給量算出工程について説明する。供給量算出工程は、液状樹脂供給工程で供給した液状樹脂31の供給量からはみ出し量算出工程で算出した液状樹脂31のはみ出し量を差し引き、次から液状樹脂供給部が第一シート905の上面に液状樹脂を供給する供給量を算出する。
【0075】
供給量算出工程では、まず液状樹脂量算出工程を行う。液状樹脂量算出工程は、はみ出し量算出工程で算出した液状樹脂31のはみ出した体積Vaに液状樹脂31の収縮率X%を割ってはみ出した液状樹脂31を形成した液状樹脂の量VAを算出する。なお、液状樹脂の量VAは体積である。
【0076】
また、収縮率Xは、液状樹脂31が有する特性であり、公知の文献などを参照して設定されてもよく、保護部材形成装置1の操作者が、任意の値を設定してもよい。
【0077】
液状樹脂量算出工程は、例えば、式2に従って、はみ出した液状樹脂31を形成した液状樹脂の量VAを算出する。
Va/(X/100)=VA・・・(式2)
【0078】
液状樹脂量算出工程の後、算出した液状樹脂31の量VAを、当初の第一シート905に供給した液状樹脂31の供給量V1から差し引き、次の保護部材形成から第一シート905の上面に供給する液状樹脂の供給量V2を算出する。
【0079】
例えば、式3に従って、次の保護部材形成から第一シート905の上面に供給する液状樹脂の供給量V2を算出する。
V1-VA=V2・・・(式3)
【0080】
算出された供給量V2の情報は、制御部60に送信され、ウェーハ90の縁から液状樹脂31がはみ出ない正確な液状樹脂31の供給量として設定される。
【0081】
供給量V2を算出することにより、ウェーハ90の縁から液状樹脂31がはみ出ない正確な液状樹脂の供給量を算出することができる。これにより、ウェーハ90のバンプ903の数、バンプ903の大きさが変わったときに、バンプを備えたウェーハに応じて、液状樹脂の供給量を自動で算出し、調整することができる。
【0082】
液状樹脂31の供給量を算出する工程が終了し、保護部材形成ステージ16のウェーハ保持テーブル161へのウェーハ90の吸引保持を解除する。
【0083】
液状樹脂量を算出するために使用したウェーハは、ウェーハ保持テーブル161から第二搬送機構25に受け渡される。
【0084】
その後、保護部材を剥離する装置または機構に搬送して、保護部材を剥離して、改めて保護部材形成の工程に供されてもよい。
【0085】
また、保護部材を剥離する装置または機構に搬送せず、シートカットテーブル14へ搬送し、液状樹脂量を算出する際に硬化させた樹脂の外周部分を切断して、所望の保護部材が形成されたウェーハ90としてもよい。
【0086】
以上に説明した通り、本実施形態における保護部材形成装置では、バンプを備えたウェーハに応じて、液状樹脂の供給量を自動で算出し、調整することができる。
【0087】
なお、本発明の実施の形態は上記の実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、本発明の技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、本発明の技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
【産業上の利用可能性】
【0088】
以上説明したように、本発明の保護部材形成装置は、バンプを備えたウェーハに応じて、液状樹脂の供給量を自動で算出し、調整することができる。したがって、所望の保護部材が形成されたウェーハの形成が可能となり、ウェーハの一方の面に保護部材を形成する工程を含む半導体等の製造分野において特に有用である。
【符号の説明】
【0089】
1 :保護部材形成装置
8 :シート配置機構
10 :外部筐体
11 :カセット収容部
12 :第一搬送機構
13 :仮置きテーブル
14 :シートカットテーブル
15 :基台
16 :保護部材形成ステージ
18 :液状樹脂供給部
19 :コラム
20 :シート保持部
23 :硬化機構
24 :カメラ
25 :第二搬送機構
30 :第二シート
31 :液状樹脂
40 :シート搬送テーブル
41 :水平移動機構
42 :ドーム形成機構
43 :搬送枠体
60 :制御部
61 :供給量算出部
80 :シート供給部
81 :シート把持部
82 :把持部移動部
83 :シート切断部
90 :ウェーハ
103 :支持ベース
106 :カセット
112 :収容スペース
121 :台座
122 :ロボットハンド
123 :ガイドレール
124 :ボールネジ
131 :ウェーハ検出部
141 :シートカッター
161 :ウェーハ保持テーブル
162 :多孔質部材
163 :ウェーハ保持面
164 :吸引源
181 :ディスペンサ
182 :接続管
183 :樹脂供給ノズル
184 :タンク
201 :シート保持テーブル
202 :ガラス板
203 :シート保持面
211 :ガイドレール
212 :昇降テーブル
213 :ボールネジ
214 :モータ
231 :紫外線照射部
251 :台座
252 :ロボットハンド
253 :ガイドレール
254 :ボールネジ
402 :基台
421 :弾性部材
431 :上面
432 :円形凹部
900 :上面
901 :分割予定ライン
902 :デバイス
903 :バンプ
904 :下面
905 :第一シート
906 :はみ出し部
907 :外側面