(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181768
(43)【公開日】2023-12-25
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/16 20060101AFI20231218BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20231218BHJP
G03G 15/04 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
G03G21/16 109
G03G21/16 166
G03G21/00 530
G03G15/04 111
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095100
(22)【出願日】2022-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100127111
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 修一
(72)【発明者】
【氏名】野田 信
【テーマコード(参考)】
2H076
2H171
2H270
【Fターム(参考)】
2H076AB05
2H076AB12
2H076AB48
2H076AB83
2H076AB84
2H076EA08
2H076EA11
2H076EA15
2H171FA01
2H171FA03
2H171FA06
2H171FA12
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2H171GA23
2H171HA23
2H171JA05
2H171JA23
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2H171JA29
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2H171KA05
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2H171KA25
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2H171NA05
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2H171QB15
2H171QB17
2H171QB18
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2H171QB21
2H171QB30
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2H171QB52
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2H171QC24
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2H270SA09
2H270SB11
2H270SB12
2H270SB13
2H270SB14
2H270SB15
2H270SB16
2H270SB20
2H270SC04
(57)【要約】
【課題】画像形成装置本体を大型化することなく、露光装置の周囲に冷却用の十分な空間を設け、露光装置を効果的に冷却することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】装置本体2と、装置本体2に着脱自在な露光装置6と、装置本体2に設けられた露光装置6の挿入口4と、挿入口4よりも高い位置に設けられた露光装置6の位置決め位置と、位置決め位置に露光装置6を導く傾斜面14aを有する位置決め部材14と、を備え、露光装置6が位置決め位置に装着されたとき、露光装置6の下部に空間16を有する画像形成装置1。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、
前記装置本体に着脱自在な露光装置と、
前記装置本体に設けられた前記露光装置の挿入口と、
前記挿入口よりも高い位置に設けられた前記露光装置の位置決め位置に前記露光装置を導く傾斜面を有する位置決め部材と、
を備え、
前記露光装置が前記位置決め位置に装着されたとき、前記露光装置の下部に空間を有する画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記露光装置を冷却する冷却ファンを備え、前記空間は前記冷却ファンの気流が通過する経路となることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2記載の画像形成装置において、
前記露光装置は回転多面鏡または光学レンズを備え、前記回転多面鏡または前記光学レンズの少なくとも何れかの配置位置と対応する位置で幅が狭くなる形状を呈し、前記経路中に位置するガイド部材を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3記載の画像形成装置において、
前記ガイド部材は、前記露光装置が前記位置決め位置に装着されていない状態では前記経路中には位置せず、前記露光装置が前記位置決め位置に装着されている状態で前記経路中に位置することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4記載の画像形成装置において、
前記ガイド部材は前記挿入口への前記露光装置の挿入に伴い線形的に前記経路中に位置することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項4記載の画像形成装置において、
前記ガイド部材は前記挿入口への前記露光装置の挿入に伴い弾性部材の弾性力により前記経路中に位置することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記空間に配置される吸熱部材を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項7記載の画像形成装置において、
前記露光装置は回転多面鏡または光学レンズを備え、前記吸熱部材は前記回転多面鏡または前記光学レンズの配置位置の近傍に配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項7記載の画像形成装置において、
前記吸熱部材は、前記露光装置が前記位置決め位置に装着されていない状態では前記空間には位置せず、前記露光装置が前記位置決め位置に装着されている状態で前記空間に位置することを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項9記載の画像形成装置において、
前記吸熱部材は前記挿入口への前記露光装置の挿入に伴い線形的に前記空間に位置することを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項9記載の画像形成装置において、
前記吸熱部材は前記挿入口への前記露光装置の挿入に伴い弾性部材の弾性力により前記空間に位置することを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記露光装置は前記傾斜面と接触する部分が前記傾斜面と同じ角度となるように形成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記露光装置が前記挿入口から前記位置決め位置まで移動する移動経路中に、移動する前記露光装置に接触する緩衝部材を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
請求項13記載の画像形成装置において、
前記緩衝部材は前記傾斜面に配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項15】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記露光装置が前記挿入口から前記位置決め位置まで移動する移動経路中に、移動する前記露光装置をガイドするガイド部材を有することを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置を含む電子機器では、電力の消費に伴い熱が発生する。この熱により雰囲気温度が所定の温度を超えると電子機器本来の機能を満たさなくなるため、雰囲気温度が所定の温度を超えないように冷却を行うことが必要であることが知られている。
画像形成装置では、近年、時間当たりの画像形成枚数増加の要望が高まっている。この要望を満たすためには、露光装置に設けられているポリゴンミラー(回転多面鏡)用のポリゴンモータを高速回転させる必要があり、その分消費電力も増加して温度が上昇してしまう。温度が上昇すると、ポリゴンモータの温度規格を超えるだけではなく、露光装置内の光書き込み装置に用いられるレンズ等の光学部品が膨張して画質が悪化する等の影響が出るため、時間当たりの画像形成枚数を増加させつつ画像品質を維持するためにはポリゴンモータを冷却する必要がある。
【0003】
上述の光書き込み装置はサービス部品であり、不具合が発生した場合に交換可能に構成する必要がある。従って、画像形成装置の装置外部から内部に設けられた露光装置に対してアクセス可能に構成する必要があり、画像形成装置の装置本体に対して露光装置を着脱自在に構成する。
画像形成装置において、PSU(電源供給ユニット)等の基板は装置内に設けられる複数のモジュールに対する電源基板となることから、一般的に集約して一つの大きな基板として構成している。また、装置内部の配置では構成部品における機械的な位置が優先されることから、構成部品との干渉を可否すべく基板は装置外側に近い位置に配置されることが一般的である。
さらに、露光装置内のポリゴンモータは回転するミラー軸の支持部がミラーの下部に設けられており、この支持部が基板と一体化されている構成であることが一般的である。このポリゴンモータは露光装置底部にねじ止め等により固定されており、最も高温となる箇所は露光装置の底面部近傍の箇所となる。
【0004】
上述の構成、すなわちポリゴンモータを冷却可能、画像形成装置本体に対して露光装置を着脱可能、画像形成装置本体の外側近傍に基板等の大型部品が配置されることを前提条件として、以下のような技術が知られている。
先ず、書き込み装置が大型化しても装置を大型化させることなく、書き込みユニットを支持可能であると共に冷却する技術が知られている(例えば「特許文献1」参照)。この技術では、書き込み装置の底面下部の部材両側に、装置内及び書き込み装置を冷却する冷却風の通風流路を形成する隙間を設けている。
次に、簡易な構成で書き込み装置を効率よく冷却可能な冷却装置を備え、書き込み装置を効率的に冷却して画像品質の低下を防止する技術が知られている(例えば「特許文献2」参照)。この技術では、書き込み装置の筐体の二つの外壁部を二つの吸気ファンによりダクトの流路に吹き込んだ外気流によって直接冷却している。
さらに、コンパクトかつシンプルな構成でありながら、プロセスユニットを画像形成装置本体に対して着脱する際に、LEDヘッドとプロセスユニットを構成する部材との接触を確実に回避可能な技術が知られている(例えば「特許文献3」参照)。この技術では、像担持体を支持する第一支持体が、LEDヘッドを支持する第二支持体に支持されかつ第二支持体が露光位置にあるときに、第一支持体の取り出しを規制する規制手段を設けている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし従来の技術では、画像形成装置本体のサイズの制約が優先される場合や、画像形成装置本体の外側近傍に基板等の大型部品が配置されていて露光装置着脱用の開口部を設けることができない場合には、ごく微小な通風経路しか設けることができず、十分な冷却性を得ることができないという問題点があった。
本発明は、上述した問題点を解決し、画像形成装置本体を大型化することなく、露光装置の周囲に冷却用の十分な空間を設け、露光装置を効果的に冷却することが可能な画像形成装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、装置本体と、前記装置本体に着脱自在な露光装置と、前記装置本体に設けられた前記露光装置の挿入口と、前記挿入口よりも高い位置に設けられた前記露光装置の位置決め位置に前記露光装置を導く傾斜面を有する位置決め部材とを備え、前記露光装置が前記位置決め位置に装着されたとき、前記露光装置の下部に空間を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、傾斜面を有する位置決め部材により露光装置を水平方向に移動させつつ上方に移動させることができ、露光装置の下部に空間を形成できる。これにより、画像形成装置本体を大型化することなく、露光装置の周囲に冷却用の十分な空間を設け、露光装置を効果的に冷却することが可能な画像形成装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の概略斜視図である。
【
図2】装置本体から一部の外装部品及び露光装置を取り外した状態の画像形成装置の概略斜視図である。
【
図3】
図2に示した状態から装置本体に露光装置を装着した状態の画像形成装置の概略斜視図である。
【
図4】画像形成装置の内部構造を示す概略図である。
【
図5】露光装置が装置本体に装着される前の画像形成装置の状態を示す概略図である。
【
図6】露光装置が装置本体に装着されている途中の画像形成装置の状態を示す概略図である。
【
図7】露光装置が装置本体の装着位置に装着された画像形成装置の状態を示す概略図である。
【
図8】本発明の一実施形態を適用可能な画像形成装置の概略正面図である。
【
図9】本発明の一実施形態を適用可能な露光装置の入射光学系を示す概略図である。
【
図10】本発明の一実施形態を適用可能な走査光学系の概略構成図である。
【
図11】本発明の一実施形態に用いられる偏光器の概略構成図である。
【
図12】本発明の一実施形態に用いられる露光装置の概略構成図である。
【
図13】露光装置が装置本体の装着位置に装着された際に露光装置を保持する機構を示す概略図である。
【
図14】本発明の一実施形態に用いられる第二本体ブラケットの概略構成図である。
【
図15】本発明の一実施形態における第一本体ブラケットと係合端部とによる露光装置の位置決め構成を説明する概略構成図である。
【
図16】露光装置による感光体へのレーザ光照射経路を示す概略図である。
【
図17】本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置の概略斜視図である。
【
図18】本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置の概略正面図である。
【
図19】本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置における冷却ファンの気流の流れを示す概略図である。
【
図20】本発明の第2の実施形態に示す露光装置における偏光器の配置を示す概略図である。
【
図21】本発明の第3の実施形態に係る露光装置の底面を示す概略図である。
【
図22】本発明の第3の実施形態に係る画像形成装置の概略正面図である。
【
図23】本発明の第4の実施形態に係る露光装置の底面を示す概略図である。
【
図24】本発明の第4の実施形態に係る画像形成装置の概略正面図である。
【
図25】本発明の第4の実施形態に用いられるヒートシンクの概略図である。
【
図26】本発明における装置本体への露光装置の着脱時に生じる問題点を説明する画像形成装置の概略正面図である。
【
図27】本発明における装置本体への露光装置の着脱時に生じる問題点を説明する画像形成装置の概略正面図である。
【
図28】本発明の第5の実施形態に係る画像形成装置の露光装置装着前の状態を示す概略正面図である。
【
図29】本発明の第5の実施形態に係る画像形成装置の露光装置装着中の状態を示す概略正面図である。
【
図30】本発明の第5の実施形態に係る画像形成装置の露光装置装着後の状態を示す概略正面図である。
【
図31】本発明の第5の実施形態の変形例に係る画像形成装置の露光装置装着前の状態を示す概略正面図である。
【
図32】本発明の第5の実施形態の変形例に係る画像形成装置の露光装置装着後の状態を示す概略正面図である。
【
図33】本発明の第6の実施形態に係る画像形成装置の概略正面図である。
【
図34】本発明の第7の実施形態に係る画像形成装置の露光装置装着前の状態を示す概略正面図である。
【
図35】本発明の第7の実施形態に係る画像形成装置の露光装置装着後の状態を示す概略正面図である。
【
図36】本発明の第8の実施形態に係る画像形成装置の露光装置装着前の状態を示す概略正面図である。
【
図37】本発明の第8の実施形態に係る画像形成装置の露光装置装着後の状態を示す概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態を以下に説明する。本発明は、装置本体のサイズを大きくすることなく、露光装置の周囲に装置冷却用の十分な空間を設ける構成としている。要するに、装置外部からの露光装置の挿入位置と、装置内部における露光装置の装着位置である位置決め位置とが、高さ方向に異なることが特徴である。すなわち、露光装置の画像形成装置本体への着脱に際し、装置本体外側に設けられた挿入口から露光装置を装置本体内部へと水平方向に挿入すると、装置本体内部に設けられた傾斜面を有する位置決め部材により、露光装置が水平方向のみではなく上方向にも変位し、最終的に挿入口よりも高い装着位置で位置決めされる。以下、図面を用いて説明する。
【0010】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の概略斜視図を、
図2は装置本体から一部の外装部品及び露光装置を取り外した状態の画像形成装置の概略斜視図を、
図3は
図2に示した状態から装置本体に露光装置を装着した状態の画像形成装置の概略斜視図を、
図4は画像形成装置の内部構造を示す概略図をそれぞれ示している。
図1、
図2、
図3に示すように、画像形成装置であるプリンタ1の装置本体2の一側面には、外装板の内部に電源供給基板カバー3、挿入口4、第一本体ブラケット5が設けられている。挿入口4には、
図3、
図4に示すように露光装置6が装着される。
以下、本実施形態においては
図3に示すように、露光装置6の着脱方向を奥行き方向、画像形成装置1の高さ方向を鉛直方向、像担持体7の長手方向を水平方向と定義する。
【0011】
図4に示すように、装置本体2の内部には、上述した露光装置6の他に、像担持体7、作像装置8、転写装置9、給紙トレイ10、定着装置11、補給装置12の他、大型部品である電源供給基板13、露光装置6を位置決めさせる位置決め部材14等が配置されている。露光装置6が
図4に示す装着位置である位置決め位置に装着されたとき、挿入口4は露光装置6によって塞がれ、露光装置6の外面は装置本体2の外面とほぼ面一となる。
【0012】
次に、本実施形態において露光装置6が装置本体2の内部に挿入され、所定の位置決め位置である装着位置に位置決めされる過程を説明する。
図5は、露光装置6が装置本体2に装着される前のプリンタ1の状態を示している。
図5に示す状態から、露光装置6は作業者によって把持され、挿入口4に挿入されて
図6に示す状態となる。
図6に示す状態において、露光装置6はその挿入方向先端下部を、装置本体2の内部に固定された位置決め部材14の傾斜面14aに接触させる。このため露光装置6は、
図3に示す奥行き方向に移動(
図5において左方から右方へと移動)されると、奥行き方向に移動しつつ傾斜面14aの角度に沿って装置本体2内部を上方に向けて移動する。
【0013】
図6に示す状態から露光装置6がさらに奥行き方向に移動されると、露光装置6は位置決め部材14の上面に載置されると共に、第一本体ブラケット5及び位置決め部材14の奥行き方向下流側に設けられた第二本体ブラケット15によって位置決めされ、プリンタ1は
図7に示す状態となる。露光装置6の装着位置への位置決めについては後述する。
図7は、露光装置6が装置本体2の装着位置に位置決めされた状態を示している。この状態において、装置本体2内部の露光装置6の下部には
図7に斜線で示す空間16が形成される。
図7に示す露光装置6の位置が、露光装置6の位置決め位置である装着位置である。この装着位置は、挿入口4よりも高い位置、すなわち
図5に示すように、露光装置6が装置本体2に対して取り付けられる挿入口4から挿入される位置よりも高い位置、すなわち鉛直方向において上方に設けられている。
このように、傾斜面14aを有する位置決め部材14により露光装置6を水平方向に移動させつつ鉛直方向上方に移動させることができ、露光装置6の下部に空間を形成できる。この構成により、装置本体2を大型化することなく、露光装置6の周囲に冷却用の用の十分な空間16を設け、露光装置6を効果的に冷却することが可能なプリンタ1を提供できる。
【0014】
次に、本発明の露光装置6が適用可能な画像形成装置の構成を説明する。
図8は、画像形成装置としてのフルカラーのプリンタ17の概略正面図を示している。プリンタ17は電子写真方式の画像形成部を備えており、画像形成部には4個の画像形成手段18a,18b,18c,18dが設けられている。各画像形成手段18a,18b,18c,18dはそれぞれ収容するトナー色を除き同一に構成されており、各画像形成手段18a,18b,18c,18dにおいてブラックトナー像、マゼンタトナー像、シアントナー像、イエロトナー像がそれぞれ形成される。なお、各画像形成手段18a,18b,18c,18dはトナーの色を除いてそれぞれ同一構成であるため、以下の説明ではa,b,c,dの添え字を適宜省略して説明する。
【0015】
画像形成手段18には、像担持体であるドラム状の感光体19が配置されており、感光体19の周囲には帯電部材20、現像装置21、クリーニング装置22が設けられている。感光体19は
図8において時計回り方向に回転駆動され、帯電部材20に所定のバイアス電圧を印加することによりその表面が一様に帯電される。帯電部材20としては、コロナ放電等を利用する非接触式、感光体19に接触するローラ等の接触式の何れを用いてもよい。
【0016】
各画像形成手段18の上方には、光走査装置である露光装置23が配置されている。露光装置23は、感光体19a,19bを露光走査するマゼンタイエロユニットである第一露光装置23aと、感光体19c,19dを露光走査するブラックシアンユニットである第二露光装置23bとで構成されている。露光装置23は、それぞれ対応する感光体19の表面に画像情報に基づいた点灯制御で走査光を照射して静電潜像を形成する。露光装置23を用いて感光体19上に形成された静電潜像は、感光体19の回転に伴い現像装置21を通過する際に各色トナーにより顕像化される。
【0017】
各感光体19に対向して、中間転写体である無端ベルト状の中間転写ベルト24が配置されており、中間転写ベルト24の表面は各感光体19の表面にそれぞれ当接している。中間転写ベルト24は複数の支持ローラ25,26,27に巻き掛けられており、支持ローラ27が駆動源である図示しない駆動モータによって回転駆動される。支持ローラ27が回転駆動されると、中間転写ベルト24は
図8において矢印で示す反時計回り方向に走行駆動されると共に、支持ローラ25,26が中間転写ベルト24の走行移動に伴い従動回転する。
【0018】
中間転写ベルト24の裏面側には、中間転写ベルト24を介して各感光体19に対向する4個の図示しない一次転写ローラが配置されている。各一次転写ローラには図示しない高圧電源から一次転写バイアスが印加され、現像装置21によって顕像化された各感光体19上のトナー像が中間転写ベルト24上にそれぞれ重畳転写される。一次転写されずに感光体19上に残存した転写残トナーは、感光体19による次の画像形成動作に備えるため、クリーニング装置22に設けられたクリーニングブレードによって除去される。
中間転写ベルト24を介して支持ローラ27と対向する位置には、二次転写手段である二次転写チャージャ28が、中間転写ベルト24から所定の距離をおいて離間して配置されている。二次転写チャージャ28には、帯電部材20とは逆極性の電圧が印加される。
【0019】
プリンタ17は、画像形成に供される被記録媒体である転写シートSを積載する給紙カセット29、給紙カセット29内の転写シートSを一枚ずつ給送する給紙ローラ30、給送された転写シートSを所定のタイミングで二次転写チャージャ28に向けて給送するレジストローラ対31等を備えている。
二次転写チャージャ28の転写シートSの搬送方向下流側には、熱と圧力とを転写シートSに加えて転写シートS上に二次転写された未定着トナー像を定着させる、加熱ローラと加圧ローラとのローラ対からなる定着装置32が配置されている。定着装置32の転写シート搬送方向下流側には、定着装置32を通過した転写シートSを排紙トレイ33等の排出部に排出させる搬送ローラ対34及び排出ローラ対35が配置されている。
【0020】
次に、プリンタ17における画像形成動作を説明する。この画像形成動作においても、各感光体19上にトナー像を形成してこのトナー像を中間転写ベルト24上に一次転写する構成は、トナー像の色が異なる点を除いて各画像形成手段18において同一であるため、添え字a,b,c,dは適宜省略する。
パソコン等の外部装置から画像形成信号を受信すると、感光体19は
図8において時計回り方向への回転を開始し、このとき図示しない除電装置が作動して感光体19の表面電位が初期化される。表面電位が初期化された感光体19は、その表面を帯電部材20によって一様に所定の極性に帯電され、その後、帯電された表面に露光装置23からレーザ光が照射されて、感光体19の表面に所望の静電潜像が形成される。なお、露光装置23から各感光体19に露光及び走査される画像情報は、所望のフルカラー画像をイエロ、シアン、マゼンタ、ブラックの各トナー色情報に色分解した、それぞれ単色の画像情報である。このように感光体19上に形成された静電潜像は、現像装置21を通過する際に各色トナーを供給されて顕像化され、トナー像として可視化される。
【0021】
中間転写ベルト24は
図8において反時計回り方向に走行駆動され、中間転写ベルト24の走行移動に伴いこれに接触する図示しない一次転写ローラがそれぞれ従動回転する。各一次転写ローラには、感光体19上に形成されたトナー像のトナー帯電極性とは逆極性の一次転写電圧が印加され、この一次転写電圧の作用により感光体19と中間転写ベルト24との間に一次転写電界が形成され、感光体19上のトナー像は感光体19と同期して走行する中間転写ベルト24上に静電的に一次転写される。このように一次転写された各色トナー像は、中間転写ベルト24の走行方向上流側から逐次タイミングを合わせて中間転写ベルト24上に重畳転写され、中間転写ベルト24上に所望のフルカラートナー像が形成される。
【0022】
一方、被記録媒体である転写シートSは、給紙カセット29に積載された束の上から給紙ローラ30等の作用により一枚ずつ分離給送され、レジストローラ対31のニップ部に搬送される。搬送された転写シートSの先端はレジストローラ対31のニップ部に突き当たり、いわゆるループを形成することで転写シートSのレジストレーションが行われる。
その後、中間転写ベルト24上に形成されたフルカラートナー像とタイミングを合わせてレジストローラ対31が回転駆動され、支持ローラ27と二次転写チャージャ28とで構成される二次転写部に向けて転写シートSが給送される。そして、二次転写チャージャ28に所定の転写電圧が印加され、中間転写ベルト24上に形成されたフルカラートナー像が転写シートS上に一括して転写される。
【0023】
フルカラートナー像が転写された転写シートSは定着装置32に搬送され、定着装置32を通過する際に熱と圧力とを付与されることでフルカラートナー像が転写シートS上に半永久的なフルカラー画像として定着される。画像が定着された転写シートSは、搬送ローラ対34及び排出ローラ対35を介して排紙トレイ33上に排出される。
なお、二次転写チャージャ28が配置される二次転写部において転写されずに中間転写ベルト24上に残存した残存トナーは、支持ローラ25あるいは支持ローラ26近傍に配置された図示しない中間転写ベルトクリーニング装置によって除去及び回収される。
【0024】
次に、露光装置23の構成を説明する。露光装置23は、感光体19a,19bを露光走査するマゼンタイエロユニットである第一露光装置23aと、感光体19c,19dを露光走査するブラックシアンユニットである第二露光装置23bとで構成されている。各露光装置23a,23bは光軸レイアウトが同じであることから、第二露光装置23bについて説明し、第一露光装置23aについての説明を省略する。
図9は、第二露光装置23bの入射光学系を示した概略図である。
図9において、レーザ光を射出する光源ユニット36は、直線偏光にてレーザ光を射出する光源37、レーザ光を円偏光に変換する1/4波長板38、1/4波長板38で偏光変換されたレーザ光を平行光に変換するコリメートレンズ39、平行化されたレーザ光を切り取るアパーチャ板40等を有している。光源37は、例えばLD(Laser Diode)、LDA(Laser Diode Array)、VCSEL(垂直共振器型面発光レーザ)等であり、複数の発光点を有している。これ等光学素子は光源ホルダに一体的に組み付け保持され、光源ユニット36から射出されるレーザ光は入射光学系を介して光偏向手段としての偏光器41に入射する。
【0025】
ビームプロファイルを形成する入射光学系46は、光源ユニット36から射出したレーザ光を副走査断面内で2方向に分割するプリズムビームスプリッタ(PBS)42と、2方向に分割されたレーザ光の偏光を直線偏光から円偏光に変換する1/4波長板43とを備えている。さらに入射光学系は、円偏光に変換されたレーザ光を副走査断面にのみパワーを持ち偏光器41に搭載される回転多面鏡44のミラー面上で結像させる、シリンドリカルレンズ(CYL)45を備えている。
入射光学系46で形成されたレーザ光は、偏光器41により所望の回転数で安定駆動されている回転多面鏡44のミラー面上に結像される。このように、回転多面鏡44のミラー面上にレーザ光が入射することで、レーザ光が主走査方向へ走査される。
【0026】
図10は、走査光学系の概略構成図である。
図9及び
図10に示すように回転多面鏡44は上段ミラー44aと下段ミラー44bとを有している。
上段ミラー44aで走査されるレーザ光は、光学レンズとしての第一出射レンズ47、第二出射レンズ48、防塵ガラス49を介して感光体19dの表面で等速走査され、静電潜像を形成する。上段ミラー44aからのレーザ光の光路上には、レーザ光を折り返すためのミラー50,51,52が配置されている。
【0027】
一方、下段ミラー44bで走査されるレーザ光は、第一出射レンズ53第二出射レンズ54、防塵ガラス55を介して感光体19cの表面で等速走査され、静電潜像を形成する。下段ミラー44bからのレーザ光の光路上には、レーザ光を折り返すためのミラー56が配置されている。
これ等走査光学系、入射光学系46、偏光器41は、第二露光装置23bのハウジング57に一体的に固定され、露光装置23の特性を確保している。
【0028】
図11に示すように、偏光器41はモータ基板58上に回転多面鏡44を搭載して構成されている。回転多面鏡44は、複数のミラー面を有する偏光ミラーを一段あるいは二段有しており、本実施形態で示す回転多面鏡44は上段ミラー44aと下段ミラー44bとを有する二段で構成されている。上段ミラー44aと下段ミラー44bとは回転方向において角度θずれて積層されており、本実施形態の回転多面鏡44ではθが45度に設定されているが、θの値はこれに限られない。
図10に示すように、上段ミラー44aは感光体19dを走査し、下段ミラー44bは感光体19cを走査するが、これ等は幾何的に同時に走査することはなく、それぞれの画像形成手段18に応じた画像情報に基づいて露光走査可能な構成である。
【0029】
図12は露光装置23の詳細な構成を、
図16は露光装置23による感光体19へのレーザ光照射経路をそれぞれ示している。露光装置23は、上述したように、回転多面鏡44を備えた偏光器41、コリメートレンズ39及びアパーチャ板40を備えた光源ユニット36、シリンドリカルレンズ45、第一出射レンズ47、防塵ガラス49等を備えており、これ等の構成をハウジング57内に有している。
図12において、符号59は防音ガラス、符号60は第一同期レンズ、符号61は同期ミラー、符号62は第二同期レンズをそれぞれ示している。
本実施形態において、ハウジング57の材質はPC/ABS樹脂をガラス繊維にて強化した樹脂[PC+ABS-(MS+GF)40FR(40)]であり、厚さは1.8mmである。これに対して一般的な樹脂部品(例えば露光装置23のカバー部品)の材質はポリスチレン樹脂[PS-FR(17)]、厚さは1.6mmである。各材質の差異は、一般的な部材に比してハウジング57が高い強度を求められているためである。
上述した露光装置23を、
図3及び
図4に示した本発明の露光装置6として採用可能である。
【0030】
次に、
図3において装置本体2に対して露光装置6を位置決めする構成を説明する。
図13は、
図4に示すように露光装置6が装置本体2の所定の装着位置である位置決め位置に装着された際に、露光装置6を保持する機構の構成を示す概略図である。
図13に示すように、露光装置6は装置本体2に設けられた第一本体ブラケット5及び第二本体ブラケット15によって位置決め保持される。
露光装置6の奥行き方向先端側には露光装置6の位置決めを行うための係合片63が水平方向に2箇所設けられており、奥行き方向後端側には露光装置6の位置決めを行うための係合端部64が一体的に設けられている。係合片63は、奥行き方向先端下部が切り欠かれた板状部材であり、露光装置6の奥行き方向先端側端部に互いに所定の間隔で固定されている。係合端部64は、露光装置6の奥行き方向後端部から下方に向けて延出形成された板状部材であり、その幅は
図3にも示すように露光装置6の幅方向長さと同じとなるように形成されている。
【0031】
図14に示すように、第二本体ブラケット15には2個の係合片63がそれぞれ係合可能な2個の係合穴65が形成されている。係合穴65は、その水平方向の長さが係合片63の水平方向の長さよりも若干大きく形成されており、その鉛直方向の長さは係合片63がしっくりと嵌合可能となるように形成されている。この構成より、各係合片63が各係合穴65に係合することにより、装置本体2に対して露光装置6が鉛直方向に位置決めされる。また係合端部64は、露光装置6が装置本体2内の所定位置まで奥行き方向に進むと、第一本体ブラケット5に面接触するように構成されている。この構成より、係合端部64が第一本体ブラケット5に面接触することにより、装置本体2に対して露光装置6が奥行き方向に位置決めされる。
【0032】
さらに
図15に示すように、第一本体ブラケット5には2本の位置決めピン66,67が水平方向に所定の間隔をおいてそれぞれ装置外側に向けて設けられており、係合端部64には各位置決めピン66,67が嵌合可能な位置決め穴68,69が設けられている。位置決め穴68は位置決めピン66がしっくりと嵌合可能となるように形成されており、位置決め穴69は位置決めピン67が左右方向に移動可能となるように長穴状に形成されている。この構成より、各位置決めピン66,67が各位置決め穴68,69に嵌合することにより、装置本体2に対して露光装置6が鉛直方向及び水平方向に位置決めされる。各位置決めピン66,67が各位置決め穴68,69に嵌合した後、係合端部64が2個のねじ83によって第一本体ブラケット5に固定されることにより、装置本体2に対する露光装置6の装着位置への装着が完了する。
【0033】
本実施形態の構成において露光装置6は、第一本体ブラケット5と係合端部64とによって水平方向、鉛直方向、奥行き方向への位置規制を行っており、係合片63と第二本体ブラケット15とによって鉛直方向への位置規制を行っている。この構成により、
図7に示した空間16を確実に形成することができる。
上述の構成では、第一本体ブラケット5と係合端部64とによって水平方向、鉛直方向、奥行き方向への位置規制を行っているにもかかわらず、係合片63と第二本体ブラケット15とによって鉛直方向への位置規制を行っている。この理由として、感光体19までの光路長のレイアウトにより露光装置6が奥行き方向に向けてある程度の長さを有する必要があるため、奥行き方向手前側の第一本体ブラケット5と係合端部64とによる位置規制のみでは、露光装置6の自重によって支持強度が不足して位置ずれが発生する虞がある。そこで、奥行き方向奥側に位置する係合片63と第二本体ブラケット15とにおいても位置規制を行うことにより、露光装置6の支持安定性を向上でき位置ずれの発生を防止することができる。
【0034】
図17、
図18は、本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置としてのプリンタ70を示している。プリンタ70は、上述したプリンタ1と比較すると、冷却ファン71及び排気ファン72を有する点においてのみ相違しており、他の構成は同一である。
冷風からなる気流を発生させる冷却ファン71及び排気ファン72は、
図19に示すように、冷却ファン71から発生した気流が空間16を通過した後に装置本体2の外部に排気されるように、それぞれ装置本体2の内部に配置されている。
【0035】
図19は、冷却ファン71から発生した気流の流路を示している。
図19において気流73は、空間16及びプリンタ70の代表的な熱源である定着装置11を通過している。ここで、露光装置6の主な熱源である回転多面鏡44はハウジング57の底面部に固定されている。従って、露光装置6において最も熱を発生する部位は底面部であるため、露光装置6の底面部下方に空間16を配置し、この空間16内に気流73が通過する経路を配置する構成により、露光装置6の冷却効果を最も高めることができる。
【0036】
第2の実施形態において、
図20に示すようにハウジング57の底面部において回転多面鏡44が占める面積は一部である。そこで本発明の第3の実施形態では、プリンタ70において
図21及び
図22に示すように、回転多面鏡44の配置位置と対応するガイド部材としての気流ガイド74を空間16内に設け、空間16内の気流73を回転多面鏡44に向けて集めている。気流ガイド74は、
図21に示すように、回転多面鏡44の配置位置と対応する位置で幅が狭くなる形状を呈しており、この構成により回転多面鏡44と対応する位置において気流73の流路断面積を小さくし、気流73を集中的に流すことで冷却効果をさらに高めている。気流ガイド74としては、熱伝導率が高い材質、すなわち金、銀、銅、アルミニウムのうちの何れかを含む材質であることが好ましい。
なお、本実施形態では気流ガイド74として回転多面鏡44と対応する位置に配置されるものを示したが、回転多面鏡44と同様に温度規格を有する部品である第一出射レンズ47と対応する位置に配置される気流ガイド、回転多面鏡44及び第一出射レンズ47と対応する位置に配置される気流ガイドを用いても、同様の作用効果を得ることができる。
【0037】
図23及び
図24は、本発明の第4の実施形態を示している。本実施形態では、プリン体1において
図23及び
図24に示すように、回転多面鏡44の配置位置と対応する空間16内の位置に、
図25に示す吸熱部材としてのヒートシンク75を設けている。ヒートシンク75は、対象物の熱を金属に伝え、熱による空気の対流を促進して放熱することで対象物を冷却する。本実施形態では、ヒートシンク75を回転多面鏡44の下部に位置する空間16内に設けることにより、露光装置6の冷却効果を高めることができる。なお、ヒートシンク75は単に空間16内に配置することで冷却効果を奏するが、上述した冷却ファン71及び排気ファン72と併設することにより、より高い冷却効果を得ることができる。
なお、本実施形態ではヒートシンク75として回転多面鏡44と対応する位置に配置されるものを示したが、第一出射レンズ47と対応する位置に配置されるヒートシンク、回転多面鏡44及び第一出射レンズ47と対応する位置に配置されるヒートシンクを用いても、同様の作用効果を得ることができる。
【0038】
上述したプリンタ1,70において、出荷前の組み立て時のみならず出荷後の顧客先で露光装置6に何らかの不具合が発生して露光装置6を交換する必要が生じた場合に対応するため、露光装置6は装置本体2に対して着脱可能である必要がある。
装置本体2に対して露光装置6を着脱する際に、プリンタ1,70が上述した気流ガイド74あるいはヒートシンク75を有する構成の場合、以下のような問題点があった。
一つ目は、露光装置6を組み付けた状態では装置小型化のために挿入口4の隙間を少なくする必要があるため、この状態で気流ガイド74あるいはヒートシンク75を装置本体2内に配置し、露光装置6を取り外すことが難しい。
二つ目は、装置本体2の内部に気流ガイド74あるいはヒートシンク75を取り付けた状態で露光装置6を装置本体2に対して着脱すると、
図26に示すように、露光装置6の着脱時に露光装置6と気流ガイド74あるいはヒートシンク75とが干渉して、露光装置6の着脱ができない。
三つ目は、露光装置6に気流ガイド74あるいはヒートシンク75を取り付けた状態で露光装置6を装置本体2に対して着脱すると、
図27に示すように、挿入口4の隙間が少ないこと及び気流ガイド74あるいはヒートシンク75を含んだ着脱経路を確保する必要が生じ、装置本体2の内部レイアウトに制約が生じる。
【0039】
上述の問題点を解決可能な構成を、以下に第5の実施形態として説明する。
図28は、本発明の第5の実施形態に係る画像形成装置としてのプリンタ76を示している。プリンタ76は、プリンタ1と比較すると、装置本体2の内部に気流ガイド74あるいはヒートシンク75を備え、これ等気流ガイド74あるいはヒートシンク75が変位可能に構成されている点においてのみ相違しており、他の構成は同一である。以下、気流ガイド74を用いて説明するが、ヒートシンク75でもよい。
【0040】
図28において、気流ガイド74は一端にピニオンギヤ77aを有する保持アーム77の他端に取り付けられており、ピニオンギヤ77aは装置本体2に水平移動可能に支持された移動アーム78に設けられたラックギヤに噛合している。移動アーム78の装置外側に位置する一端は、露光装置6が装置本体2の内部に装着される際に露光装置6の係合端部64に当接可能に構成され、露光装置6が装置本体2の内部に挿入されるに伴い移動アーム78が
図28において右方へと移動可能に構成されている。そして移動アーム78が移動すると、移動アーム78に設けられたラックに噛合するピニオンギヤ77aが回転し、気流ガイド74が
図28に示す露光装置6の装置本体2への装着に際し干渉しない倒伏位置から、
図29に示すように徐々に起立した状態となる。その後、露光装置6が所定の装着位置を占めると、
図30に示すように、気流ガイド74が空間16内の所定の位置に位置決めされる。
【0041】
図31は、本発明の第5の実施形態の変形例を示している。この変形例でも気流ガイド74を用いて説明するが、ヒートシンク75でもよい。
気流ガイド74は、一端に弾性部材であるねじりコイルばね79aを有する保持アーム79の他端に取り付けられており、ねじりコイルばね79aは
図31において気流ガイド74を時計回り方向に回転させる弾性力を有する状態で、図示しないストッパによって弾性力が作用しない状態を保持されている。保持アーム79の近傍には移動アーム80が配置されており、移動アーム80の装置外側に位置する一端は、露光装置6が装置本体2の内部に装着される際に露光装置6の係合端部64に当接可能に構成され、露光装置6が装置本体2の内部に挿入されるに伴い移動アーム80が
図31において右方へと移動可能に構成されている。そして移動アーム80が移動すると、移動アーム80が図示しないストッパを解除し、ねじりコイルばね79aの弾性力が作用して気流ガイド74が
図31に示す露光装置6の装置本体2への装着に際し干渉しない倒伏位置から、
図32に示すように空間16内の所定の位置に位置決めされる。
【0042】
第5の実施形態では、露光装置6の装置本体2への装着に伴い、気流ガイド74が倒伏位置から徐々に起立して所定の位置に位置決めされ、すなわち装置本体2内への露光装置6の挿入に伴い気流ガイド74が線形的に空間16中の所定位置に位置することとなる。これにより、気流ガイド74が所定位置に位置決めされる際の衝撃や振動の発生が防止される。
また、第5の実施形態の変形例では、露光装置6の装置本体2への装着に伴い、気流ガイド74が倒伏位置から瞬時に所定の位置に位置決めされる。これにより、装置本体2に対する露光装置6の装着時における負荷を軽減でき、操作性を向上できる。
【0043】
本発明では、装置本体2の内部に露光装置6を装着する際に、
図6に示すように露光装置6の挿入方向先端部を位置決め部材14に設けられた傾斜面14aに当接させながら、露光装置6を装置本体2の内部へと移動させている。ここで、露光装置6は上述したように、レンズ等の光学部品が高精度に位置決めされた状態でハウジング57に搭載されている構成である。このため、位置決め部材14に当接した際の衝撃により光学部品の位置がずれてしまうことを防止するため、位置決め部材14に当接する際の衝撃が小さいことが望ましい。そこで本発明の第6の実施形態として、
図33に示すように傾斜面14aに緩衝部材81を備えた構成を示す。
この構成によれば、露光装置6を装置本体2に装着する際に、露光装置6が位置決め部材14に当接する際の衝撃を緩衝部材81が吸収するので、装置本体2への装着時に露光装置6に対して衝撃が生じることを防止できる。緩衝部材81としては、たとえばスポンジ部材が挙げられる。
【0044】
図34、
図35は、本発明の第7の実施形態を示している。この第7の実施形態は、上述した第1の実施形態と比較すると、露光装置6の装置本体2への挿入方向先端下部に、傾斜面14aと同じ角度となるように、すなわち傾斜面14aと面接触するように形成された接触面6aを有する点にておいてのみ相違しており、他の構成は同一である。
この構成により、露光装置6を装置本体2に装着する際に位置決め部材14と露光装置6とが面接触することにより、衝撃の発生が防止される。また、位置決め部材14との接触後に露光装置6が水平方向に姿勢を保ちながら移動可能であるため、操作性を向上できる。
【0045】
図36、
図37は、本発明の第8の実施形態を示している。この第8の実施形態は、上述した第1の実施形態と比較すると、露光装置6の装置本体2への装着移動経路中に、移動する露光装置6の両側面をガイドする一対のガイド部材82を有する点にておいてのみ相違しており、他の構成は同一である。
この構成により、露光装置6を装置本体2に装着する際に各ガイド部材82によって移動する露光装置6の両側面がガイドされることにより、装着位置に到達する前に露光装置6が他の部材と接触することを防止できる。また、露光装置6の移動が各ガイド部材82によって案内されるので、露光装置6を容易かつ確実に装着位置に位置決めでき操作性を向上できる。
【0046】
本発明の態様は、例えば以下の通りである。
[1]装置本体と、前記装置本体に着脱自在な露光装置と、前記装置本体に設けられた前記露光装置の挿入口と、前記挿入口よりも高い位置に設けられた前記露光装置の位置決め位置と、前記位置決め位置に前記露光装置を導く傾斜面を有する位置決め部材と、を備え、前記露光装置が前記位置決め位置に装着されたとき、前記露光装置の下部に空間を有する画像形成装置である。
[2]前記露光装置を冷却する冷却ファンを備え、前記空間は前記冷却ファンの気流が通過する経路となることを特徴とする[1]に記載の画像形成装置である。
[3]前記露光装置は回転多面鏡または光学レンズを備え、前記回転多面鏡または前記光学レンズの少なくとも何れかの配置位置と対応する位置で幅が狭くなる形状を呈し、前記経路中に位置するガイド部材を有することを特徴とする[2]に記載の画像形成装置である。
[4]前記ガイド部材は、前記露光装置が前記位置決め位置に装着されていない状態では前記経路中には位置せず、前記露光装置が前記位置決め位置に装着されている状態で前記経路中に位置することを特徴とする[3]に記載の画像形成装置である。
[5]前記ガイド部材は前記挿入口への前記露光装置の挿入に伴い線形的に前記経路中に位置することを特徴とする[4]に記載の画像形成装置である。
[6]前記ガイド部材は前記挿入口への前記露光装置の挿入に伴い弾性部材の弾性力により前記経路中に位置することを特徴とする[4]に記載の画像形成装置である。
[7]前記空間に配置される吸熱部材を有することを特徴とする[1]に記載の画像形成装置である。
[8]前記露光装置は回転多面鏡または光学レンズを備え、前記吸熱部材は前記回転多面鏡または前記光学レンズの配置位置の近傍に配置されていることを特徴とする[7]に記載の画像形成装置である。
[9]前記吸熱部材は、前記露光装置が前記位置決め位置に装着されていない状態では前記空間には位置せず、前記露光装置が前記位置決め位置に装着されている状態で前記空間に位置することを特徴とする[7]に記載の画像形成装置である。
[10]前記吸熱部材は前記挿入口への前記露光装置の挿入に伴い線形的に前記空間に位置することを特徴とする[9]に記載の画像形成装置である。
[11]前記吸熱部材は前記挿入口への前記露光装置の挿入に伴い弾性部材の弾性力により前記空間に位置することを特徴とする[9]に記載の画像形成装置である。
[12]前記露光装置は前記傾斜面と接触する部分が前記傾斜面と同じ角度となるように形成されていることを特徴とする[1]ないし[11]の何れか一つに記載の画像形成装置である。
[13]前記露光装置が前記挿入口から前記位置決め位置まで移動する移動経路中に、移動する前記露光装置に接触する緩衝部材を有することを特徴とする[1]ないし[12]の何れか一つに記載の画像形成装置である。
[14]前記緩衝部材は前記傾斜面に配置されていることを特徴とする[13]に記載の画像形成装置である。
[15]前記露光装置が前記挿入口から前記位置決め位置まで移動する移動経路中に、移動する前記露光装置をガイドするガイド部材を有することを特徴とする[1]ないし[14]の何れか一つに記載の画像形成装置である。
【0047】
上記実施形態では、本発明が適用可能な画像形成装置としてプリンタ1,17,76を用いた例を示したが、本発明が適用可能な画像形成装置としてはこれに限られず、複写装置、ファクシミリ、複合機等にも本発明は適用可能である。また上記実施形態では、画像が形成される被記録媒体として転写シートSを用いる構成を示したが、この転写シートSとは記録紙には限定されず、厚紙、ハガキ、ロール紙、封筒、普通紙、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙等)、トレーシングペーパ、OHPシート、OHPフィルム、樹脂フィルム等も含まれ、シート状であり画像形成可能な物質であればどのようなものを用いてもよい。
【0048】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定しない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を例示したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0049】
1,70 画像形成装置(プリンタ)
2 装置本体
4 挿入口
6 露光装置
14 位置決め部材
14a 傾斜面
16 空間
44 回転多面鏡
47 光学レンズ(第一出射レンズ)
71 冷却ファン
74 ガイド部材(気流ガイド)
79a 弾性部材(ねじりコイルばね)
81 緩衝部材
82 ガイド部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0050】
【特許文献1】特開2011-123396号公報
【特許文献2】特開2004-361826号公報
【特許文献3】特開2015-175886号公報