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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181779
(43)【公開日】2023-12-25
(54)【発明の名称】ウェットティッシュ収容容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/08 20060101AFI20231218BHJP
   A47K 7/00 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
B65D83/08 B
A47K7/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095115
(22)【出願日】2022-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】泉保 眞一郎
(72)【発明者】
【氏名】三宅 大輔
(72)【発明者】
【氏名】那須 謙悟
(72)【発明者】
【氏名】岡本 美澄
【テーマコード(参考)】
3E014
【Fターム(参考)】
3E014LB03
3E014LB07
(57)【要約】
【課題】ウェットティッシュを1枚ずつ取り出す動作が行いやすいウェットティッシュ収容容器を提供する。
【解決手段】複数枚のウェットティッシュ(150)が積層されたウェットティッシュ積層体(100)を収容可能なウェットティッシュ収容容器(1)であって、ウェットティッシュ(150)を取り出す取り出し開口(20)を有し、取り出し開口(20)の周縁は、内側に向かって突出した一対の突出部(21,22)を有し、取り出し開口(20)からウェットティッシュ(150)を取り出す際に、一対の突出部(21,22)のうちの一方側の突出部(21)はウェットティッシュ(150)の一方側の面に対向し、他方側の突出部(22)はウェットティッシュ(150)の他方側の面に対向する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のウェットティッシュが積層されたウェットティッシュ積層体を内部に収容可能なウェットティッシュ収容容器であって、
前記ウェットティッシュを取り出す取り出し開口を有し、
前記取り出し開口の周縁は、前記取り出し開口の内側に向かって突出した一対の突出部を有し
前記取り出し開口から前記ウェットティッシュを取り出す際に、前記一対の突出部のうちの一方側の突出部は前記ウェットティッシュの一方側の面に対向し、前記一対の突出部のうち他方側の突出部は前記ウェットティッシュの他方側の面に対向する、ことを特徴とするウェットティッシュ収容容器。
【請求項2】
請求項1に記載のウェットティッシュ収容容器であって、
互いに交差する前後方向と左右方向と上下方向とを有し、
前記取り出し開口の周縁は、前記左右方向の中央部において前記取り出し開口の内側に向かって突出していない非突出部を有している、ことを特徴とするウェットティッシュ収容容器。
【請求項3】
請求項1または2に記載のウェットティッシュ収容容器であって、
互いに交差する前後方向と左右方向と上下方向とを有し、
前記突出部は、少なくとも前記左右方向の一方側において、前後に一対設けられている、ことを特徴とするウェットティッシュ収容容器。
【請求項4】
請求項3に記載のウェットティッシュ収容容器であって、
前記突出部は、前記左右方向の両側にそれぞれ一対設けられている、ことを特徴とするウェットティッシュ収容容器。
【請求項5】
請求項3に記載のウェットティッシュ収容容器であって、
前記一対の突出部のうちの少なくとも一方は、前記前後方向において前記取り出し開口の中心位置と重複若しくは前記中心位置を跨いで配置されている、ことを特徴とするウェットティッシュ収容容器。
【請求項6】
請求項3に記載のウェットティッシュ収容容器であって、
前記取り出し開口を開閉する蓋部を有し、
前記蓋部は、前記収容容器の前記前後方向における後側端部において、前記左右方向に沿った回転軸を中心として回動可能に接続されており、
前記一対の突出部のうち、前記前後方向の前側に設けられた前側突出部は、前記前後方向において前記取り出し開口の中心位置と重複若しくは前記中心位置を跨いで配置されている、ことを特徴とするウェットティッシュ収容容器。
【請求項7】
請求項6に記載のウェットティッシュ収容容器であって、
前記前側突出部は、前記左右方向の外側から内側且つ前記前後方向の前側から後側へ向かって傾斜している、ことを特徴とするウェットティッシュ収容容器。
【請求項8】
請求項6に記載のウェットティッシュ収容容器であって、
前記左右方向において、前記取り出し開口の中心から前記取り出し開口の最も外側の端までの間の距離の1/4よりも内側に、前記一対の突出部のうち少なくとも一方の端部が位置している、ことを特徴とするウェットティッシュ収容容器。
【請求項9】
請求項6に記載のウェットティッシュ収容容器であって、
前記一対の突出部のうち、前記前側突出部よりも前記前後方向の後側に設けられた後側突出部を有し、
前記前側突出部の前記左右方向における長さは、前記後側突出部の前記左右方向における長さよりも長い、ことを特徴とするウェットティッシュ収容容器。
【請求項10】
請求項3に記載のウェットティッシュ収容容器であって、
前記突出部は、前記収容容器の本体部と同一素材で、前記本体部と一体的に形成されている、ことを特徴とするウェットティッシュ収容容器。
【請求項11】
請求項3に記載のウェットティッシュ収容容器であって、
前記突出部の先端部が曲面形状である、ことを特徴とするウェットティッシュ収容容器。
【請求項12】
請求項3に記載のウェットティッシュ収容容器であって、
前記ウェットティッシュ積層体は、包装材によって包装されており、前記包装材には前記ウェットティッシュを取り出すための包装材開口が設けられており、
前記ウェットティッシュ積層体を前記ウェットティッシュ収容容器の内部に収容した状態で、前記上下方向に見たときに、前記包装材開口と前記突出部とが重複する部分を有している、ことを特徴とするウェットティッシュ収容容器。
【請求項13】
請求項12に記載のウェットティッシュ収容容器であって、
前記ウェットティッシュ積層体を前記ウェットティッシュ収容容器の内部に収容した状態で、前記上下方向に見たときに、前記包装材開口と前記前後方向に隣り合う一対の前記突出部とが重複する部分を有している、ことを特徴とするウェットティッシュ収容容器。
【請求項14】
請求項12に記載のウェットティッシュ収容容器であって、
前記ウェットティッシュ積層体を前記ウェットティッシュ収容容器の内部に収容した状態で、前記上下方向に見たときに、前記包装材開口と前記左右方向に隣り合う一対の前記突出部とが重複する部分を有している、ことを特徴とするウェットティッシュ収容容器。
【請求項15】
請求項12に記載のウェットティッシュ収容容器であって、
前記ウェットティッシュ積層体を前記ウェットティッシュ収容容器の内部に収容した状態で、前記上下方向に見たときに、前記包装材開口の重心位置と、前記取り出し開口の重心位置とが、前記前後方向に5mm以上ずれている、ことを特徴とするウェットティッシュ収容容器。
【請求項16】
請求項12に記載のウェットティッシュ収容容器であって、
前記ウェットティッシュ積層体を前記ウェットティッシュ収容容器の内部に収容した状態で、前記上下方向に見たときに、前記包装材開口の重心位置と、前記取り出し開口の重心位置とが、前記左右方向に5mm以上ずれている、ことを特徴とするウェットティッシュ収容容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェットティッシュ収容容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数枚のウェットティッシュが積層されたウェットティッシュ積層体を収容する容器に、ウェットティッシュを一枚ずつ取り出すための取り出し開口が設けられたウェットティッシュ収容容器が広く知られている。例えば、特許文献1には、ウェットティッシュ収容容器の蓋体に押し込み部を設け、取り出し開口から引き出されたウェットティッシュを押し込むことにより、蓋体を閉じる際に収容容器本体と蓋体との間にウェットティッシュが挟まれてしまうことを抑制する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-175684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のウェットティッシュ収容容器では、ウェットティッシュ積層体において積層されているウェットティッシュ同士が液剤の表面張力によって強く貼り付いていることにより、ウェットティッシュを取り出す際に、複数枚のウェットティッシュが同時に取り出されてしまう場合があった。また、複数枚のウェットティッシュが同時に取り出されることを抑制するために、取り出し開口を狭くすると、指が入り難くなり、収容容器の内部からウェットティッシュを引っ張り出す動作が行い難くなる場合があった。
【0005】
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、ウェットティッシュを1枚ずつ取り出す動作が行いやすいウェットティッシュ収容容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための主たる発明は、複数枚のウェットティッシュが積層されたウェットティッシュ積層体を内部に収容可能なウェットティッシュ収容容器であって、前記ウェットティッシュを取り出す取り出し開口を有し、前記取り出し開口の周縁は、前記取り出し開口の内側に向かって突出した一対の突出部を有し、前記取り出し開口から前記ウェットティッシュを取り出す際に、前記一対の突出部のうちの一方側の突出部は前記ウェットティッシュの一方側の面に対向し、前記一対の突出部のうち他方側の突出部は前記ウェットティッシュの他方側の面に対向する、ことを特徴とするウェットティッシュ収容容器である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ウェットティッシュを1枚ずつ取り出す動作が行いやすいウェットティッシュ収容容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】ウェットティッシュ収容容器1の概略斜視図である。
図2】ウェットティッシュ収容容器1にウェットティッシュ積層体100を収容する方法について説明する図である。
図3】取り出し開口20の構成について説明する平面図である。
図4図4A図4Cは、ウェットティッシュ150を1枚ずつ取り出す動作について説明する図である。
図5】取り出し開口20に設けられる前側突出部21及び後側突出部22の具体的な配置について説明する平面図である。
図6】取り出し開口20の変形例を表す平面図である。
図7】取り出し開口20の突出部21,22と、包装材開口102との位置関係について説明する図である。
図8図8Aは、ウェットティッシュ積層体100が収容容器1の内部に収容された状態において、取り出し開口20に対して包装材開口102の位置が前後方向にずれた場合について表す図である。図8Bは、ウェットティッシュ積層体100が収容容器1の内部に収容された状態において、取り出し開口20に対して包装材開口102の位置が左右方向にずれた場合について表す図である。
図9】ウェットティッシュ積層体100の他の構成の一例について表す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0010】
(態様1)
複数枚のウェットティッシュが積層されたウェットティッシュ積層体を内部に収容可能なウェットティッシュ収容容器であって、前記ウェットティッシュを取り出す取り出し開口を有し、前記取り出し開口の周縁は、前記取り出し開口の内側に向かって突出した一対の突出部を有し、前記取り出し開口から前記ウェットティッシュを取り出す際に、前記一対の突出部のうちの一方側の突出部は前記ウェットティッシュの一方側の面に対向し、前記一対の突出部のうち他方側の突出部は前記ウェットティッシュの他方側の面に対向する、ことを特徴とするウェットティッシュ収容容器。
【0011】
態様1のウェットティッシュ収容容器によれば、ウェットティッシュを取り出す際に、取り出し開口に設けられた一対の突出部のうち、少なくとも何れか一方にウェットティッシュの対向する面が引っ掛かりやすくなる。また、取り出し開口のうち突出部が設けられてない部分に指を入れるスペースが確保されやすく、収容容器の内部からウェットティッシュを引っ張り出しやすい。したがって、ウェットティッシュを1枚ずつ取り出す動作を行いやすくすることができる。
【0012】
(態様2)
互いに交差する前後方向と左右方向と上下方向とを有し、前記取り出し開口の周縁は、前記左右方向の中央部において前記取り出し開口の内側に向かって突出していない非突出部を有している、態様1に記載のウェットティッシュ収容容器。
【0013】
態様2のウェットティッシュ収容容器によれば、ウェットティッシュを取り出す際に、取り出し開口のうち左右方向の中央部で非突出部によって形成される空間に指を入れるスペースが確保されやすくなり、収容容器の内部からウェットティッシュを前後に挟んで引っ張りだす動作を行いやすい。したがって、ウェットティッシュを1枚ずつ取り出す動作をより行いやすくすることができる。
【0014】
(態様3)
互いに交差する前後方向と左右方向と上下方向とを有し、前記突出部は、少なくとも前記左右方向の一方側において、前後に一対設けられている、態様1または2に記載のウェットティッシュ収容容器。
【0015】
態様3のウェットティッシュ収容容器によれば、ウェットティッシュを取り出す際に、左右方向端部においてウェットティッシュの前側面若しくは後側面の少なくとも一方が、前後に設けられた突出部と接触する可能性が高くなる。したがって、折り方や積層の仕方が異なる種々のウェットティッシュ積層体に広く対応して、ウェットティッシュを1枚ずつ取り出す動作を行いやすくすることができる。
【0016】
(態様4)
前記突出部は、前記左右方向の両側にそれぞれ一対設けられている、態様1~3の何れかに記載のウェットティッシュ収容容器。
【0017】
態様4のウェットティッシュ収容容器によれば、ウェットティッシュを取り出す際に、左右方向の両端部においてウェットティッシュの前側面若しくは後側面の少なくとも一方が、前後に設けられた突出部と接触する可能性が高くなる。また、左右方向の両端部が支持されるため、取り出し動作時におけるウェットティッシュの位置や形状を安定させやすくすることができる。これにより、ウェットティッシュを1枚ずつ取り出す動作をより行いやすくすることができる。
【0018】
(態様5)
前記一対の突出部のうちの少なくとも一方は、前記前後方向において前記取り出し開口の中心位置と重複若しくは前記中心位置を跨いで配置されている、態様1~4の何れかに記載のウェットティッシュ収容容器。
【0019】
態様5のウェットティッシュ収容容器によれば、ウェットティッシュが上方に引っ張り上げられる際に、前後方向における中心位置と重複して配置されている一対の突出部の何れかとウェットティッシュとが接触する確率が高くなる。これにより、ウェットティッシュが一度に2枚以上取り出されてしまうことを抑制しやすくすることができる。
【0020】
(態様6)
前記取り出し開口を開閉する蓋部を有し、前記蓋部は、前記収容容器の前記前後方向における後側端部において、前記左右方向に沿った回転軸を中心として回動可能に接続されており、前記一対の突出部のうち、前記前後方向の前側に設けられた前側突出部は、前記前後方向において前記取り出し開口の中心位置と重複若しくは前記中心位置を跨いで配置されている、態様1~5の何れかに記載のウェットティッシュ収容容器。
【0021】
態様6のウェットティッシュ収容容器によれば、前側突出部が前後方向の中心位置と重複するように配置されていることによって、ウェットティッシュが斜め前方に引っ張られた際に前側突出部と接触する確率がより高くなる。これにより、ウェットティッシュが一度に2枚以上取り出されてしまうことをより抑制できる。また、前側突出部と接触することによってウェットティッシュが前方に倒れすぎることが抑制される。
【0022】
(態様7)
前記前側突出部は、前記左右方向の外側から内側且つ前記前後方向の前側から後側へ向かって傾斜している、態様1~6の何れかに記載のウェットティッシュ収容容器。
【0023】
態様7のウェットティッシュ収容容器によれば、前側突出部が後側に向かって傾斜しているため、逆の場合(前側に向かって傾斜している場合)と比較して、ウェットティッシュが斜め前方に引っ張られた際に、前側突出部と干渉しやすくなる、したがって、ウェットティッシュが一度に2枚以上取り出されてしまうことを抑制しやすくなる。
【0024】
(態様8)
前記左右方向において、前記取り出し開口の中心から前記取り出し開口の最も外側の端までの間の距離の1/4よりも内側に、前記一対の突出部のうち少なくとも一方の端部が位置している、態様1~7の何れかに記載のウェットティッシュ収容容器。
【0025】
態様8のウェットティッシュ収容容器によれば、ウェットティッシュの取り出し動作において、突出部の先端部が、左右方向における中心位置の近く(1/4よりも内側)に配置されていることにより、ウェットティッシュが当該先端部と接触しやすくなり、一度に2枚以上取り出されてしまうことを抑制しやすくなる。
【0026】
(態様9)
前記一対の突出部のうち、前記前側突出部よりも前記前後方向の後側に設けられた後側突出部を有し、前記前側突出部の前記左右方向における長さは、前記後側突出部の前記左右方向における長さよりも長い、態様1~8の何れかに記載のウェットティッシュ収容容器。
【0027】
態様9のウェットティッシュ収容容器によれば、ウェットティッシュが斜め前方に引っ張られる際に、前側突出部の左右方向における長さを長くすることで、ウェットティッシュと前側突出部とを効率よく接触させることができる。また、後側突出部を前側突出部よりも短くすることで、取り出し開口の後側における開口面積が広くなり、取り出し開口に指を挿入してウェットティッシュを引っ張り出す動作を行いやすくすることができる。
【0028】
(態様10)
前記突出部は、前記収容容器の本体部と同一素材で、前記本体部と一体的に形成されている、態様1~9の何れかに記載のウェットティッシュ収容容器。
【0029】
態様10のウェットティッシュ収容容器によれば、ウェットティッシュの取り出し動作において、突出部の脱落や位置ズレが抑制され、安定してウェットティッシュを取り出すことが可能となる。また、別部品を製造して取り付ける等の工程が不要なため、収容容器の製造コストを低減することができる。
【0030】
(態様11)
前記突出部の先端部が曲面形状である、態様1~態様10の何れかに記載のウェットティッシュ収容容器。
【0031】
態様11のウェットティッシュ収容容器によれば、ウェットティッシュの取り出し動作において、突出部とウェットティッシュとが接触した際に、ウェットティッシュが角に引っかかって繊維が伸びたり表面が荒れたりしてしまうことを抑制できる。
【0032】
(態様12)
前記ウェットティッシュ積層体は、包装材によって包装されており、前記包装材には前記ウェットティッシュを取り出すための包装材開口が設けられており、前記ウェットティッシュ積層体を前記ウェットティッシュ収容容器の内部に収容した状態で、前記上下方向に見たときに、前記包装材開口と前記突出部とが重複する部分を有している、態様1~11の何れかに記載のウェットティッシュ収容容器。
【0033】
態様12のウェットティッシュ収容容器によれば、ウェットティッシュの取り出し動作において、ウェットティッシュが包装材開口から上方に引っ張り上げられた際に、突出部と接触する確率が高くなる。これにより、2枚以上のウェットティッシュが同時に取り出されてしまうことをより抑制し易くすることができる。
【0034】
(態様13)
前記ウェットティッシュ積層体を前記ウェットティッシュ収容容器の内部に収容した状態で、前記上下方向に見たときに、前記包装材開口と前記前後方向に隣り合う一対の前記突出部とが重複する部分を有している、態様12に記載のウェットティッシュ収容容器。
【0035】
態様13のウェットティッシュ収容容器によれば、ウェットティッシュの取り出し動作において、包装材開口から取り出されたウェットティッシュが、前後方向において前側突出部及び後側突出部の少なくとも何れかと接触する確率が高くなり、2枚以上取り出されてしまうことがより抑制されやすくなる。
【0036】
(態様14)
前記ウェットティッシュ積層体を前記ウェットティッシュ収容容器の内部に収容した状態で、前記上下方向に見たときに、前記包装材開口と前記左右方向に隣り合う一対の前記突出部とが重複する部分を有している、態様12または13に記載のウェットティッシュ収容容器。
【0037】
態様14のウェットティッシュ収容容器によれば、ウェットティッシュの取り出し動作において、包装材開口から取り出されたウェットティッシュが、左右方向において左右一対の突出部の少なくとも何れかと接触する確率が高くなり、2枚以上取り出されてしまうことがより抑制されやすくなる。
【0038】
(態様15)
前記ウェットティッシュ積層体を前記ウェットティッシュ収容容器の内部に収容した状態で、前記上下方向に見たときに、前記包装材開口の重心位置と、前記取り出し開口の重心位置とが、前記前後方向に5mm以上ずれている、態様12~14の何れかに記載のウェットティッシュ収容容器。
【0039】
態様15のウェットティッシュ収容容器によれば、ウェットティッシュ積層体の収容位置が前後方向に5mm以上ずれていたとしても、ウェットティッシュを取り出す動作において、ウェットティッシュが前後一対の突出部の少なくとも何れか一方と接触する可能性が高い。したがって、2枚以上のウェットティッシュが同時に取り出されてしまうことを抑制することができる。
(態様16)
前記ウェットティッシュ積層体を前記ウェットティッシュ収容容器の内部に収容した状態で、前記上下方向に見たときに、前記包装材開口の重心位置と、前記取り出し開口の重心位置とが、前記左右方向に5mm以上ずれている、態様12~15の何れかに記載のウェットティッシュ収容容器。
【0040】
態様16のウェットティッシュ収容容器によれば、ウェットティッシュ積層体の収容位置が左右方向に5mm以上ずれていたとしても、ウェットティッシュを取り出す動作において、ウェットティッシュが左右一対の突出部の少なくとも何れか一方と接触する可能性が高い。したがって、2枚以上のウェットティッシュが同時に取り出されてしまうことを抑制することができる。
【0041】
===実施形態===
本発明の実施形態に係るウェットティッシュ収容容器として、ウェットティッシュ収容容器1(以下、「収容容器1」とも呼ぶ)を例に挙げて説明する。なお、本実施形態に係るウェットティッシュ収容容器1は、ウェットティッシュ以外の他のシート部材(例えばティッシュペーパー等)が積層されたシート部材積層体を収容して使用することも可能である。
【0042】
<収容容器1の基本構成>
図1は、ウェットティッシュ収容容器1の概略斜視図である。図2は、ウェットティッシュ収容容器1にウェットティッシュ積層体100を収容する方法について説明する図である。図3は、取り出し開口20の構成について説明する平面図である。図1等に示されるように、ウェットティッシュ収容容器1(収容容器1)は、互いに直交する「上下方向」と「左右方向」と「前後方向」とを有する。「上下方向」のうち、後述する取り出し開口20が設けられている側を「上側」とし、その反対側を「下側」とする。また、「前後方向」のうち、後述する蓋部12が取り付けられている側を「後側」とし、その反対側を「前側」とする。
【0043】
収容容器1は、複数枚のウェットティッシュが積層されたウェットティッシュ積層体100を内部に収容可能な容器である。収容容器1は、本体部10と底蓋部50とを有し、本体部10の上面にはウェットティッシュを取り出すための取り出し開口20が設けられている。
【0044】
(本体部10)
本体部10は、略直方体形状の中空容器であり、外装部11と、蓋部12と、開放ボタン13とを有する。外装部11は、収容容器1の外装を構成する部材であり、樹脂等によって形成されている。本実施形態において、外装部11は、図2に示されるような左右方向に長い略直方体状に形成されているが、外装部11の形状はこの限りではない。外装部11の上下方向の下側の面(底面)は全体が開口されており、この下側の開口から、外装部11の内側に形成される空間にウェットティッシュ積層体100を収容することができる。一方、外装部11の上下方向の上側の面には取り出し開口20が設けられており、外装部11の内部に収容されたウェットティッシュ積層体100から、ウェットティッシュ150を1枚ずつ取り出すことができる。
【0045】
蓋部12は、左右方向に沿った回転軸12hを介して外装部11の上側且つ後側端部に取り付けられており、当該回転軸12hを中心に回動することによって取り出し開口20を開閉する。開放ボタン13は、外装部11の上側且つ前側端部に取り付けられており、蓋部12を閉じた状態に固定する機能と、閉じた状態から開いた状態にする機能とを有する。
【0046】
ウェットティッシュを使用しないときは、蓋部12が閉じられ、取り出し開口20が塞がれていることにより、ウェットティッシュが大気に露出して乾燥したり、品質が悪化したりすることが抑制される。そして、この状態からユーザーが開放ボタン13を押し込むと、蓋部12が回動して図1のように取り出し開口20が開放され、ウェットティッシュ150を取り出し可能となる。
【0047】
(取り出し開口20)
取り出し開口20は、本体部10において外装部11の上面側の一部が開口された部分であり、本体部10の内部に収容されたウェットティッシュ積層体100から、ウェットティッシュ150一枚ずつ取り出すために設けられている。本実施形態の取り出し開口20は、図3に示される様な略長円形状に形成されているが、取り出し開口20の形状はこの限りでなはい。また、本実施形態において、取り出し開口20は外装部11の上面の中央部に配置されているものとする。すなわち、収容容器1では、取り出し開口20の左右方向における中心位置と、本体部10の左右方向における中心位置とが一致し、取り出し開口20の前後方向における中心位置と、本体部10の前後方向における中心位置とが一致する。
【0048】
取り出し開口20は、左右方向において中央位置からずれた位置にて、周縁の一部が取り出し開口20の内側に向かって突出した一対の突出部21,22を有している。以下では、一対の突出部21,22のうち前後方向の前側に設けられたものを前側突出部21とし、前側突出部21よりも前後方向の後側に設けられたものを後側突出部22とする。前側突出部21と後側突出部22との前後方向の間には、所定の間隔(隙間)が設けられており、取り出し開口20からウェットティッシュ150を取り出す際には、当該隙間を通してウェットティッシュ150が取り出されるようにする。言い換えると、前側突出部21がウェットティッシュ150の前側(一方側)の面に対向し、後側突出部22がウェットティッシュ150の後側(他方側)の面に対向した状態で、ウェットティッシュ150が取り出される(図3参照)。ウェットティッシュ150の取り出し動作時における、突出部21,22の具体的な作用については後で説明する。
【0049】
なお、本実施形態では、図3のように左右方向の両側に突出部21,22がそれぞれ設けられている。すなわち、取り出し開口20は二対の突出部21,22を有している。そして、取り出し開口20のうち左右方向の中央部では、周縁の一部が取り出し開口20の内側に向かって前後方向に突出していない非突出部20Sa,20Sbが設けられている(図3参照)。この非突出部20Sa,20Sbによって、左右方向の中央部において、前後方向の前側の空間(20Sa)と、前後方向の後側の空間(20Sb)とが形成される。ユーザーは、当該非突出部20Sa,20Sbによって形成される空間に指を入れることで、収容容器1(ウェットティッシュ積層体100)の内部からウェットティッシュ150を一枚ずつ取り出す動作を行いやすくなる。
(底蓋部50)
【0050】
底蓋部50は、本体部10(外装部11)の底面の開口を塞ぐ部材である。本体部10の内部にウェットティッシュ積層体100を収容したり、ウェットティッシュ積層体100を交換したりする際には、本体部10から底蓋部50を取り外して、図2のように本体部10(外装部11)の底面の開口からウェットティッシュ積層体100を出し入れする。
【0051】
(ウェットティッシュ積層体100)
ウェットティッシュ積層体100は、複数のウェットティッシュ150,150…が厚さ方向に折り重ねられた状態で積層され、包装材101によって包装されたものである。包装材101は液不透過性シート(例えば、ポリプロピレンやポリエチレンテレフタレート等の樹脂シート)によって形成され、上下方向における上側の面には、ウェットティッシュ150を取り出すための包装材開口102が設けられている。つまり、ウェットティッシュ積層体100が収容容器1に収容された状態において、本体部10の上面側に設けられている取り出し開口20と対向する位置に、包装材開口102が配置されている(図2参照)。ウェットティッシュ積層体100は、未使用状態において、不図示のシール材によって包装材開口102が塞がれた状態で市場に流通する。そして、使用時には、シール材が取り外され包装材開口102が開放された状態で、収容容器1の内部に収容される。
【0052】
ウェットティッシュ積層体100を構成するウェットティッシュ150としては、エタノール等のアルコールを含んだアルコール含有タイプや、アルコールを含まないノンアルコールタイプ、水タイプ等、所定の液体を含んだ公知のウェットティッシュを使用可能である。なお、収容容器1に収容して使用する場合、ウェットティッシュ150に含まれる液体の含浸倍率は150~400%程度であることが好ましく、200~300%程度であることがより好ましい。ここで、「含浸倍率」とは、シート部材の単位面積当たりに含まれる液体の重量(g/m)を、当該シート部材の坪量(g/m)で割った値である。また、ウェットティッシュ150に含まれる液体の表面張力は、アルコールタイプで29mN/m、ノンアルコールタイプで33~40mN/m、水タイプで72.8mN/m程度である。
【0053】
<ウェットティッシュの取り出し動作について>
次に、収容容器1に収容されたウェットティッシュ積層体100からウェットティッシュ150を1枚ずつ取り出す動作について説明する。図4A図4Cは、ウェットティッシュ150を1枚ずつ取り出す動作について説明する図である。同図4A~4Cでは、ウェットティッシュ積層体100を収容した状態の収容容器1について、図3のA-A矢視における断面を表している。
【0054】
図4Aは、ウェットティッシュ積層体100に含まれる複数のウェットティッシュ150,150…のうち、ウェットティッシュ151を取り出す動作について説明する図である。ウェットティッシュ積層体100の内部には、ウェットティッシュ151,152,153,154…が上下方向の上側から順に積層されている。各々のウェットティッシュ150は、図4Aに示されるような略シグマ字状に折り畳まれ、上下方向(厚さ方向)に隣り合うウェットティッシュの一部同士が、厚さ方向において互いに重複する部分を有するように積層されている。例えば、ウェットティッシュ151の下端部とウェットティッシュ152の上端部とが、厚さ方向において重複するように積層されている。同様に、ウェットティッシュ152の下端部とウェットティッシュ153の上端部とが、厚さ方向において重複するように積層されている。
【0055】
図4Aでは、収容容器1の蓋部12が開かれて、開放された取り出し開口20からウェットティッシュ151の一部(上端部)が上側に飛び出している。このとき、ウェットティッシュ151は、前後方向において、取り出し開口20の前側突出部21と後側突出部22との間を通るように配置されている。また、ウェットティッシュ151の下端部は、ウェットティッシュ積層体100の内部(包装材101の内部)において、ウェットティッシュ152の一部と重複した状態となっている。
【0056】
この状態から、ユーザーがウェットティッシュ151の上端部を掴んで、図4Bのようにウェットティッシュ151を上側(且つ前側)に引っ張り上げることよって、ウェットティッシュ151が収容容器1から取り出される。そして、ウェットティッシュ151が引っ張り上げられると、ウェットティッシュ151の下端部に重複して積層されているウェットティッシュ152も、ウェットティッシュ151に引きずられるようにして上側に引っ張り上げられる。上述したように、ウェットティッシュ151及び152は、アルコール等の所定の液体を含んでいることから、重複している部分に表面張力が作用して互いに貼り付いた状態となっている。そのため、ウェットティッシュ151が上側に引っ張り上げられると、該ウェットティッシュ151に伴ってウェットティッシュ152も上側に引っ張り上げられる。
【0057】
ウェットティッシュ151によってウェットティッシュ152が上側に引っ張り上げられる過程において、ウェットティッシュ152も取り出し開口20の前側突出部21と後側突出部22との間を通過する。このとき、ウェットティッシュ152は、前側突出部21と接触しやすくなる。図4Bにおいて、ウェットティッシュ152の上端部は、ウェットティッシュ151の下端部の前後方向における前側の面に重複しているため、ウェットティッシュ151と前側突出部21との間に挟まれた状態となるためである。
【0058】
ウェットティッシュ152が前側突出部21と接触すると、当該接触した部分において摩擦力が発生する。そして、ある時点で、ウェットティッシュ151とウェットティッシュ152との重複部に作用する表面張力よりも、ウェットティッシュ152と前側突出部21とが接触した部分に作用する摩擦力が大きくなる。すると、ウェットティッシュ151とウェットティッシュ152との重複部分が剥がれて、ウェットティッシュ151の1枚だけが収容容器1から取り出される。一方、ウェットティッシュ152は上端部の一部が取り出し開口20から飛び出した状態で、収容容器1の内部に残留する。
【0059】
続いて、ウェットティッシュ152を取り出す場合、ユーザーがウェットティッシュ152の上端部を掴んで、図4Cのようにウェットティッシュ152を上側(且つ前側)に引っ張り上げる動作が行われる。図4Bで説明したのと同様に、ウェットティッシュ152の下端部には、表面張力の作用によってウェットティッシュ153の上端部が貼り付いた状態となっている。そのため、ウェットティッシュ152が引っ張り上げられることによって、ウェットティッシュ153も上側に引っ張り上げられる。
【0060】
ウェットティッシュ152によってウェットティッシュ153が上側に引っ張り上げられる過程において、ウェットティッシュ153は取り出し開口20の前側突出部21と後側突出部22との間を通過する。このとき、ウェットティッシュ153の上端部は、ウェットティッシュ152の下端部の前後方向における後側の面に重複しているため、ウェットティッシュ152と後側突出部22との間に挟まれた状態となる。したがって、ウェットティッシュ153は後側突出部22と接触しやすくなる。
【0061】
ウェットティッシュ153が後側突出部22と接触すると、当該接触した部分において摩擦力が発生し、ある時点でウェットティッシュ152とウェットティッシュ153との重複部分が剥がれて、ウェットティッシュ152の1枚だけが収容容器1から取り出される。一方、ウェットティッシュ153は上端部の一部が取り出し開口20から飛び出した状態で、収容容器1の内部に残留する。
【0062】
このように、本実施形態の収容容器1では、ウェットティッシュ150を取り出す際に、取り出し開口20に設けられた一対の突出部(前側突出部21,後側突出部22)のうち、少なくとも何れか一方にウェットティッシュ150の対向する面が接触して引っ掛かりやすくなる。これにより、2枚以上のウェットティッシュが同時に取り出されてしまうことが抑制される。
【0063】
また、取り出し開口20のうち、左右方向の中央部において突出部(前側突出部21,後側突出部22)が設けられてない非突出部20Sa,20Sb(図3の空間20Sa,20Sb)に指を入れるスペースが確保されやすい。したがって、例えば、非突出部(空間)20Sa,20Sbに親指と人差し指とをそれぞれ差し込んで、ウェットティッシュ150を前後から挟んで引っ張り出す動作が行いやすい。これにより、ウェットティッシュ150を1枚ずつ取り出す動作をスムーズに行いやすくすることができる。
【0064】
そして、収容容器1では、左右方向の少なくとも一方側において、突出部(前側突出部21,後側突出部22)が前後方向に一対設けられている。したがって、収容容器1からウェットティッシュ150を取り出す際に、ウェットティッシュ150の左右方向端部において、前側面若しくは後側面の少なくとも一方側が、前側突出部21若しくは後側突出部22に接触する可能性が高くなる。これにより、折り方や積層の仕方が異なる種々のウェットティッシュ積層体100に対応して1枚ずつ取り出す動作を行いやすくすることができる。例えば、図4Bでは、取り出し対象であるウェットティッシュ151の前側面に次のウェットティッシュ152が重複し、図4Cでは、取り出し対象であるウェットティッシュ152の後側面に次のウェットティッシュ153が重複している。このような場合でも、前後の何れかの突出部21,22にウェットティッシュ150が接触しやすくなるため、2枚以上のウェットティッシュが同時に取り出されてしまうことが、より抑制されやすくなる。
【0065】
さらに、収容容器1では、左右方向の両側に、一対の突出部(前側突出部21,後側突出部22)がそれぞれ設けられている。したがって、収容容器1からウェットティッシュ150を取り出す際に、ウェットティッシュ150の左右方向の両端部において、前側面若しくは後側面の少なくとも一方が、前側突出部21若しくは後側突出部22に接触する可能性が高くなる。これにより、ウェットティッシュ150を1枚ずつ取り出す動作をより行いやすくすることができる。また、二対の突出部によって、左右方向の両端部が支持されるため、取り出し動作時におけるウェットティッシュ150の位置や形状を安定させやすくすることができる。
【0066】
<突出部21,22の詳細について>
図5は、取り出し開口20に設けられる前側突出部21及び後側突出部22の具体的な配置について説明する平面図である。図5に示されるように、取り出し開口20は、左右方向における長さW20、前後方向における長さL20を有する、横長の長円形状の開口である(W20>L20)。そして、取り出し開口20の周縁は、左右方向の両端部から内側に向かって突出する一対(二対)の突出部(前側突出部21,後側突出部22)を有している。
【0067】
収容容器1において、一対の突出部21,22のうち、少なくとも一方は、前後方向において取り出し開口20の中心位置CLと重複、若しくは中心位置CLを跨いで配置されている。図4A図4Cで説明したように、収容容器1からウェットティッシュ150を取り出す動作では、ウェットティッシュ150が上方に引っ張り上げられる際に、一対の突出部21,22の前後方向の間を通過する。したがって、前後方向における中心位置CLと重複する位置に一対の突出部21,22の何れかが配置されていれば、当該突出部21,22の何れかとウェットティッシュ150とが接触する確率が高くなる。これにより、ウェットティッシュ150が一度に2枚以上取り出されてしまうことを抑制しやすくすることができる。
【0068】
本実施形態では、一対の突出部21,22のうち、前側突出部21の先端部21cが、前後方向における中心位置CLと重複、若しくは中心位置CLを跨ぐようにして配置されている。ウェットティッシュ150の取り出し動作では、ウェットティッシュ150が上方に引っ張り上げられると共に、斜め前方に引っ張られる(図4B等参照)。すなわち、前後方向において、蓋部12が設けられているのとは反対側(前側)にウェットティッシュ150が引っ張られる。したがって、前側突出部21が前後方向の中心位置CLと重複するように配置されていれば、斜め前方に引っ張られるウェットティッシュ150と接触する確率がより高くなる。これにより、ウェットティッシュ150が一度に2枚以上取り出されてしまうことをより抑制しやすくすることができる。また、前側突出部21と接触することによってウェットティッシュ150が前方に倒れすぎることが抑制される。したがって、使用後に蓋部12を閉じた際に、ウェットティッシュ150が蓋部12よりも前側にはみ出してしまうことを抑制することができる。
【0069】
また、図5に示されるように、前側突出部21は、全体として左右方向の外側から内側、且つ、前後方向の前側から後側に向かって傾斜するように配置されている。すなわち、前側突出部21の先端部21cが前後方向の後側、且つ、左右方向の内側に位置するように配置されている。このような配置であれば、ウェットティッシュ150の取り出し動作において、ウェットティッシュ150が斜め前方に引っ張られた際に、前側突出部21の先端部21cと接触した際の摩擦力を大きくすることができる。
【0070】
仮に、前側突出部21が、左右方向の外側から内側、且つ、前後方向の後側から前側に向かって傾斜していた場合、ウェットティッシュ150が斜め前方に引っ張られた際に、前側に傾斜した前側突出部21に沿ってウェットティッシュ150が滑りやすくなるおそれがある。この場合、ウェットティッシュ150に作用する摩擦力が小さくなり、2枚以上のウェットティッシュ150が重ねて取り出されてしまうおそれがある。これに対して、本実施形態では、前側突出部21が後側に向かって傾斜しているため、逆の場合(前側に向かって傾斜している場合)と比較して、ウェットティッシュ150が斜め前方に引っ張られた際に、前側突出部21と干渉しやすくなる、したがって、ウェットティッシュ150が一度に2枚以上取り出されてしまうことを抑制しやすくすることができる。
【0071】
また、左右方向において、取り出し開口20の中心位置CWから取り出し開口20の外側端までの距離(W20/2)の1/4の位置をPWとしたときに、位置PWよりも内側に、一対の突出部21,22のうち少なくとも何れかの先端が位置していることが好ましい。図5では、前側突出部21の先端部先端部21cが、左右方向において、位置PWよりも内側に位置している。ウェットティッシュ150の取り出し動作において、突出部21,22が左右方向における中心位置CWの近くに位置しているほど、ウェットティッシュ150と突出部21,22とが接触する確率が高くなる。したがって、前側突出部21の先端部21cが、左右方向における位置PWよりも内側に配置されていることにより、ウェットティッシュ150が先端部21cと接触しやすくなり、一度に2枚以上取り出されてしまうことを抑制しやすくなる。
【0072】
また、一対の突出部21,22のうち、前側突出部21の左右方向における長さW21の方が、後側突出部22の左右方向における長さW22よりも長いことが好ましい。図4B等で説明したように、ウェットティッシュ150を取り出す際には、該ウェットティッシュ150が斜め前方に引っ張られて、前側突出部21とより接触しやすくなる。そのため、後側突出部22よりも前側突出部21の左右方向における長さを長くすることで、ウェットティッシュ150と前側突出部21とを効率よく接触させることができる。また、後側突出部22を必要以上に長くしないことにより、その分、取り出し開口20の空間Sb(図3参照)の開口面積を広くすることができるため、取り出し開口20に指を挿入して内部からウェットティッシュ150を引っ張り出す動作を行いやすくすることができる。
【0073】
また、突出部21,22は、収容容器1の本体部10(外装部11)と同一素材で、本体部10(外装部11)と一体的に構成されていることが好ましい。仮に、突出部21,22が本体部10(外装部11)とは異なる部材によって形成され、別体の部品として本体部10に取り付けられる構成であった場合、ウェットティッシュ150の取り出し動作時に、ウェットティッシュ150と接触した際に突出部21,22の位置がずれたり、突出部21,22が本体部10から脱落したりするおそれがある。
【0074】
これに対して、本実施形態の突出部21,22は、取り出し開口20の周縁が内側に向かって突出することによって形成されている。すなわち、突出部21,22は、本体部10(外装部11)を形成している樹脂等と同一の素材で、本体部10と一体的に構成されている。したがって、ウェットティッシュ150の取り出し動作において、突出部21,22の脱落や位置ズレが生じることを抑制し、安定してウェットティッシュ150を取り出すことが可能となる。また、突出部21,22を別部品として製造して取り付ける工程が不要なため、収容容器1の製造コストを低減することができる。
【0075】
また、突出部21,22の先端部が曲面形状であることが好ましい。言い換えると、突出部21,22の先端部には、所謂R加工や面取り加工が施され、角に丸みが付けられていることが好ましい。図5では、前側突出部21及び後側突出部22の先端部(例えば、先端部21c)が鋭い角(カド)を有さない形状に加工されている。これにより、ウェットティッシュ150の取り出し動作において、突出部21,22とウェットティッシュ150とが接触した際に、ウェットティッシュ150が角に引っかかって繊維が伸びたり表面が荒れたりしてしまうことを抑制することができる。
【0076】
図6は、取り出し開口20の変形例を表す平面図である。変形例の取り出し開口20は、その周縁が取り出し開口20の内側に向かって突出した一対(二対)の前側突出部23及び後側突出部24を有している。図6の前側突出部23は図5の前側突出部21に相当し、図6の後側突出部24は図5の後側突出部22に相当する。そして、収容容器1からウェットティッシュ150を取り出す際には、前側突出部23と後側突出部24との前後方向の間をウェットティッシュ150が通過する。これにより、ウェットティッシュ150を取り出す際に、一対の突出部23,24の少なくとも何れか一方にウェットティッシュ150の対向する面が引っ掛かりやすくなる。したがって、一対の突出部を図6のように変形した場合であっても、2枚以上のウェットティッシュが同時に取り出されてしまうことを抑制することができる
【0077】
また、図6に示される変形例においても、前側突出部21及び後側突出部22について図5で説明した特徴を備えていることにより、ウェットティッシュを1枚ずつ取り出す動作を行いやすくすることができる。
【0078】
<ウェットティッシュ積層体100の収容状態について>
収容容器1は、内部にウェットティッシュ積層体100を収容した状態で使用されることを説明したが、続いて、収容状態における、収容容器1の取り出し開口20と、ウェットティッシュ積層体100の包装材開口102との位置関係について説明する。図7は、取り出し開口20の突出部21,22と、包装材開口102との位置関係について説明する図である。同図7は、ウェットティッシュ積層体100が収容された収容容器1の取り出し開口20を、上下方向の上側から見た状態について表している。なお、ウェットティッシュ積層体100の包装材101は、包装材開口102として楕円形状の包装材開口102A、若しくは円形状の包装材開口102Bを有しているものとする。但し、包装材開口102のこの例には限られず、他の形状であっても良い。
【0079】
図7では、ウェットティッシュ積層体100が収容容器1の内部に収容された状態で、上下方向に見たときに、ウェットティッシュ積層体100の包装材開口102(102A,102B)と、取り出し開口20の一対の突出部21,22とが重複する部分を有している。図4で説明したように、ウェットティッシュ150を取り出す際には、包装材開口102からウェットティッシュ150を引っ張り上げて、取り出し開口20を通過させる。すなわち、包装材開口102の鉛直上方(若しくは斜め前方)に向かってウェットティッシュ150が引っ張り上げられる。したがって、上下方向に見たときに、包装材開口102と突出部21,22とが重複する部分を有していれば、ウェットティッシュ150の取り出し動作において、ウェットティッシュ150が突出部21,22の少なくとも何れかと接触する確率が高くなる。これにより、2枚以上のウェットティッシュが同時に取り出されてしまうことをより抑制しやすくすることができる。
【0080】
さらに、上下方向に見たときに、包装材開口102と、前後方向に隣り合う一対の突出部21,22とが重複する部分を有することがより好ましい。すなわち、前後方向に隣り合って配置されている前側突出部21及び後側突出部22の両方と、包装材開口102とが重複する部分を有していることが好ましい。図7では、包装材開口102Aと前側突出部21及び後側突出部22とが重複している。このような状態であれば、ウェットティッシュ150の取り出し動作において、包装材開口102Aから取り出されたウェットティッシュ150が、前後方向において前側突出部21及び後側突出部22の少なくとも何れかと接触する確率が高まり、2枚以上取り出されてしまうことがより抑制されやすくなる。
【0081】
また、上下方向に見たときに、包装材開口102と、左右方向に隣り合う一対の突出部21,21とが重複する部分を有するようにしても良い。すなわち、左右方向に隣り合って配置されている前側突出部21,21同士、若しくは後側突出部22,22同士と、包装材開口102とが重複する部分を有するようにしても良い。図7では、包装材開口102Aは前側突出部21,21及び後側突出部22,22と重複し、包装材開口102Bは前側突出部21,21と重複している。このような状態であれば、ウェットティッシュ150の取り出し動作において、包装材開口102A,102Bから取り出されたウェットティッシュ150が、左右方向において前側突出部21,21、若しく後側突出部22,22の少なくとも何れかと接触する確率が高まり、2枚以上取り出されてしまうことがより抑制されやすくなる。
【0082】
一方で、収容容器1の内部にウェットティッシュ積層体100を収容する動作は、通常、ユーザー自身によって行われる場合が多いため、必ずしも図7の様な収容状態が実現されるとは限らない。つまり、ウェットティッシュ積層体100を収容する際に、収容容器1の取り出し開口20に対する、ウェットティッシュ積層体100の包装材開口102の相対位置がずれてしまう場合がある。
【0083】
図8Aは、ウェットティッシュ積層体100が収容容器1の内部に収容された状態において、取り出し開口20に対して包装材開口102の位置が前後方向にずれた場合について表す図である。図8Bは、ウェットティッシュ積層体100が収容容器1の内部に収容された状態において、取り出し開口20に対して包装材開口102の位置が左右方向にずれた場合について表す図である。同図8A及び図8Bにおいて、位置がずれた場合とは、上下方向に見たときに、取り出し開口20の重心位置と、包装材開口102の重心位置とがずれた場合のことを言う。
【0084】
図8Aでは、前後方向において、包装材開口102の重心位置が、取り出し開口20の中心位置CL(重心位置に相当)から距離gaだけずれた状態で、ウェットティッシュ積層体100が収容されている。従来のウェットティッシュ収容容器では、ウェットティッシュ積層体100の収容位置がずれた場合、ウェットティッシュ150を取り出す動作を正確に行えなくなることが多かった。これに対して、本実施形態では、前後方向において一対の突出部21,22が設けられている。したがって、ウェットティッシュ積層体100の収容位置が前後方向にずれたとしても、ウェットティッシュ150を取り出す動作において、ウェットティッシュ150が突出部21,22の少なくとも何れか一方と接触する可能性が高い。したがって、2枚以上のウェットティッシュが同時に取り出されてしまうことを抑制することができる。
【0085】
なお、本実施形態の収容容器1は、前後方向において、取り出し開口20の中心位置CL(重心位置に相当)と包装材開口102の重心位置との距離gaを5mm以上とすることができる(ga≧5mm)。ウェットティッシュ積層体100の収容位置が前後方向に5mm以上ずれていたとしても、上述したように一対の突出部21,22の何れかとウェットティッシュ150とが接触する可能性が高いため、ウェットティッシュ150を取り出す動作を安定して行うことができる。また、取り出し開口20自体が前後方向にずれて設けられていた場合、すなわち、本体部10の前後方向における中心位置と、取り出し開口20の前後方向における中心位置(LW)の位置が異なる場合にも、一対の突出部21,22の何れかとウェットティッシュ150とが接触する可能性が高くなり、ウェットティッシュ150を取り出す動作を安定して行うことができる。
【0086】
図8Bでは、左右方向において、包装材開口102の重心位置が、取り出し開口20の中心位置CW(重心位置に相当)から距離gbだけずれた状態で、ウェットティッシュ積層体100が収容されている。本実施形態では、左右方向において一対の突出部21,21、若しくは22,22が設けられている。したがって、ウェットティッシュ積層体100の収容位置が左右方向にずれたとしても、ウェットティッシュ150を取り出す動作において、ウェットティッシュ150が突出部21,21(22,22)の少なくとも何れか一方と接触する可能性が高い。したがって、2枚以上のウェットティッシュが同時に取り出されてしまうことを抑制することができる。
【0087】
なお、本実施形態の収容容器1は、左右方向において、取り出し開口20の中心位置CW(重心位置に相当)と包装材開口102の重心位置との距離gbを5mm以上とすることができる(gb≧5mm)。ウェットティッシュ積層体100の収容位置が左右方向に5mm以上ずれていたとしても、上述したように一対の突出部21,21(22,22)の何れかとウェットティッシュ150とが接触する可能性が高いため、ウェットティッシュ150を取り出す動作を安定して行うことができる。
【0088】
===その他の実施の形態===
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのは言うまでもない。
【0089】
上述の実施形態では、ウェットティッシュ積層体100として、図4のように複数のウェットティッシュ150,150…が、略シグマ字状に折り畳まれ積層されたものが説明されていたが、ウェットティッシュ積層体100の構成はこの限りではない。図9は、ウェットティッシュ積層体100の他の構成の一例について表す概略断面図である。同図9では、ウェットティッシュ151,152,153,154,…が、各々略ゼット字状に折り畳まれた状態で積層されている。そして、ウェットティッシュ151の下端部とウェットティッシュ152の上端部とが厚さ方向に重なって互いに貼りついた状態となっている。同様に、ウェットティッシュ152の下端部とウェットティッシュ153の上端部とが重複し、ウェットティッシュ153の下端部とウェットティッシュ154の上端部とが重複した状態となっている。このような構成のウェットティッシュ積層体100を収容容器1に収容して使用する場合であっても、図4A図4Cで説明したのと同様に、ウェットティッシュ150を一枚ずつ取り出しやすくすることができる。もちろん、図9とは異なる方法で折り畳まれて積層されたウェットティッシュ積層体100であっても適用可能である。
【符号の説明】
【0090】
1 収容容器(ウェットティッシュ収容容器)、
10 本体部、
11 外装部、12 蓋部、12h 回転軸、13 開放ボタン、
20 取り出し開口、
20Sa 非突出部(空間)、20Sb 非突出部(空間)、
21 前側突出部、21c 先端部、22 後側突出部、
23 前側突出部、24 後側突出部、
50 底蓋部、
100 ウェットティッシュ積層体、
101 包装材、
102 包装材開口、102A 包装材開口、102B 包装材開口、
150 ウェットティッシュ、151~154 ウェットティッシュ、
CL 中心位置(前後方向)、
CW 中心位置(左右方向)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9