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特開2023-181829測色装置、画像形成装置、及び測色装置の校正方法
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  • 特開-測色装置、画像形成装置、及び測色装置の校正方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181829
(43)【公開日】2023-12-25
(54)【発明の名称】測色装置、画像形成装置、及び測色装置の校正方法
(51)【国際特許分類】
   G01J 3/50 20060101AFI20231218BHJP
   B41J 29/393 20060101ALI20231218BHJP
   G01J 3/02 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
G01J3/50
B41J29/393 103
G01J3/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095180
(22)【出願日】2022-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 理恵
(72)【発明者】
【氏名】石井 達也
【テーマコード(参考)】
2C061
2G020
【Fターム(参考)】
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061KK25
2C061KK28
2G020AA08
2G020DA12
2G020DA15
2G020DA22
2G020DA43
(57)【要約】
【課題】測色装置の校正精度の低下を抑制すること。
【解決手段】開示の一態様に係る測色装置は、測定対象物を測色する測色装置であって、白色基準部と、可視光を照射する第1の光源と、紫外光を照射する第2の光源と、を有し、前記白色基準部に前記可視光および前記紫外光を照射可能な光照射手段と、前記光照射手段から照射された前記可視光および前記紫外光それぞれの前記白色基準部による反射光に基づき、前記測定対象物の測色情報を校正する処理手段と、を備え、前記光照射手段は、前記測色情報を校正する際に、前記第1の光源からの可視光を前記白色基準部の第1の光照射領域に照射し、前記第2の光源からの紫外光を前記第1の光照射領域とは異なる前記白色基準部の第2の光照射領域に照射する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物を測色する測色装置であって、
白色基準部と、
可視光を照射する第1の光源と、紫外光を照射する第2の光源と、を有し、前記白色基準部に前記可視光および前記紫外光を照射可能な光照射手段と、
前記光照射手段から照射された前記可視光および前記紫外光それぞれの前記白色基準部による反射光に基づき、前記測定対象物の測色情報を校正する処理手段と、を備え、
前記光照射手段は、前記測色情報を校正する際に、前記第1の光源からの前記可視光を前記白色基準部の第1の光照射領域に照射し、前記第2の光源からの前記紫外光を前記第1の光照射領域とは異なる前記白色基準部の第2の光照射領域に照射する
ことを特徴とする測色装置。
【請求項2】
前記光照射手段は、前記第2の光照射領域に、前記紫外光及び前記可視光の両方を照射可能である
請求項1に記載の測色装置。
【請求項3】
前記白色基準部に対する前記光照射手段の相対位置を変更する位置変更手段を更に備え、
前記位置変更手段が、前記第1の光照射領域に前記可視光を照射する際の前記光照射手段の前記相対位置と、前記第2の光照射領域に前記紫外光を照射する際の前記光照射手段の前記相対位置を変更する
請求項1又は2に記載の測色装置。
【請求項4】
前記白色基準部が、所定位置に回転可能に設けられる筒状部材であり、
前記白色基準部の回転に伴い、前記第1の光照射領域と前記第2の光照射領域とが移動する
請求項1又は2に記載の測色装置。
【請求項5】
前記白色基準部が、前記第2の光照射領域に属する複数の小領域を含み、
所定の切替条件を満たすタイミングで、前記第2の光源から前記紫外光が照射される前記小領域が切り替えられる
請求項1又は2に記載の測色装置。
【請求項6】
前記第2の光源からの前記紫外光が照射される前記小領域が、白色校正の度に切り替えられる
請求項5に記載の測色装置。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の測色装置を備える
画像形成装置。
【請求項8】
測定対象物を測色する測色装置の校正方法であって、
前記測色装置が、
可視光を照射する第1の光源と、紫外光を照射する第2の光源とを有する光照射手段により、白色基準部に前記可視光および前記紫外光を照射する工程と、
処理手段により、前記光照射手段から照射された前記可視光および前記紫外光それぞれの前記白色基準部による反射光に基づき、前記測定対象物の測色情報を校正する工程と、
を含み、
前記光照射手段は、前記測色情報を校正する工程において、前記第1の光源からの前記可視光を前記白色基準部の第1の光照射領域に照射し、前記第2の光源からの前記紫外光を前記白色基準部の第2の光照射領域に照射する
ことを特徴とする測色装置の校正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測色装置、画像形成装置、及び測色装置の校正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置により記録媒体に形成されるカラー画像の色再現性を向上させるために、記録媒体に形成されたカラー画像の色の測色情報を出力する測色装置が知られている。
【0003】
また、測色装置による測色精度の低下を防ぐため、反射光特性が既知である白色基準板を用いて測色装置を校正する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、可視光および紫外光を用いて測色可能な測色装置を校正すると、紫外光の照射によって白色基準板が劣化し、測色装置の校正精度が低下する場合がある。
【0005】
開示の技術は、測色装置の校正精度の低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示の技術の一態様に係る測色装置は、測定対象物を測色する測色装置であって、白色基準部と、可視光を照射する第1の光源と、紫外光を照射する第2の光源と、を有し、前記白色基準部に前記可視光および前記紫外光を照射可能な光照射手段と、前記光照射手段から照射された前記可視光および前記紫外光それぞれの前記白色基準部による反射光に基づき、前記測定対象物の測色情報を校正する処理手段と、を備え、前記光照射手段は、前記測色情報を校正する際に、前記第1の光源からの可視光を前記白色基準部の第1の光照射領域に照射し、前記第2の光源からの紫外光を前記第1の光照射領域とは異なる前記白色基準部の第2の光照射領域に照射する。
【発明の効果】
【0007】
開示の技術によれば、測色装置の校正精度の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】測色装置の構成の一例を説明する図である。
図2】分光ユニットのXZ平面に平行な断面の模式図である。
図3】制御部のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図4】制御部の機能ブロック図である。
図5】第1の実施形態に係る測色装置のXZ平面と平行な端面の模式図である。
図6】第1の実施形態に係る測色装置のXZ平面と平行な端面の模式図である。
図7】第1の実施形態に係る測色装置のXZ平面と平行な端面の模式図である。
図8】第2の実施形態に係る白色基準板の平面図である。
図9】第3の実施形態に係る測色装置のXZ平面と平行な端面の模式図である。
図10】画像形成装置の構成の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明の実施形態について説明する。各図面において、同一構成部には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。なお、図面において矢印で示した方向のうち、X軸方向は、後述の色情報検出ユニットの搬送方向を示す。また、Y軸方向は、分光ユニットにおける分光センサの配列方向を示す。更に、Z軸方向は、X-Y平面と直交する方向を示す。
【0010】
[第1の実施形態]
初めに、第1の実施形態に係る測色装置10について説明する。
【0011】
<測色装置10の全体構成例>
図1及び図2を参照して、実施形態に係る測色装置10の全体構成の例を説明する。図1は、測色装置10の構成の一例を説明する図である。また、図2は、分光ユニットのXZ平面に平行な断面の模式図である。
【0012】
図1に示されるように、本実施形態の測色装置10は、色情報検出ユニット20と、色情報検出ユニット搬送手段30(以下、単に「搬送手段30」と言う。)と、校正用基準部40と、制御部100とを備える。
【0013】
色情報検出ユニット20は、例えば、測定対象物からの反射光から測定対象物の色情報を検出するための光学ユニットである。より詳しくは、本実施形態の色情報検出ユニット20は、第1のライン照明光源21と、第2のライン照明光源22と、縮小結像レンズ23と、分光ユニット24とを備える。また、測定対象物の例として、校正用基準部40、色票50、用紙等が挙げられる。なお、第1のライン照明光源21、第2のライン照明光源22は、「光照射手段」の一例である。また、分光ユニット24は、「受光手段」の一例である。
【0014】
第1のライン照明光源21は、可視光の略全域において強度を有する白色のLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)アレイである。但し、これに限定されず、第1のライン照明光源21は、冷陰極管等の蛍光灯やランプ光源等であってもよい。なお、第1のライン照明光源21は、「第1の光源」の一例である。
【0015】
また、第1のライン照明光源21は、分光に必要な波長領域の光を発するものであり、且つ、分光領域全体にわたって均質に照明可能なものであることが好ましい。なお、第1のライン照明光源21から出射された光を集光し、検出領域51に平行光、又は収束光を照射するコリメートレンズを加えてもよい。
【0016】
第2のライン照明光源22は、紫外光を照射可能なLEDアレイである。但し、これに限定されず、第2のライン照明光源22は、紫外線ランプ光源等であってもよい。なお、第2のライン照明光源22は、「第2の光源」の一例である。
【0017】
縮小結像レンズ23は、光軸が検出領域51の法線方向と一致するように配置され、検出領域51からの反射光を分光ユニット24の入射面に所定倍率で結像させるレンズである。縮小結像レンズ23は、複数枚のレンズから構成されている。また、縮小結像レンズ23に像側テレセントリック特性を付加することで、像面に入射する光束の主光線を、光軸と略平行とすることができる。
【0018】
分光ユニット24は、第1のライン照明光源21や第2のライン照明光源22から測定対象物に照射された光の拡散反射光を分光し、分光された光を受光した電気信号(受光情報)を制御部100に出力する。また、分光ユニット24は、検出領域51内におけるY方向の複数の位置で、分光された光を受光した電気信号を出力できる。
【0019】
より詳しくは、図2に示されるように、分光ユニット24は、ピンホールアレイ241と、レンズアレイ242と、回折素子243と、撮像素子244とを備える。
【0020】
ピンホールアレイ241は、測定対象物からの反射光を通過させる開口部としてのピンホールを備える。ピンホールは、Z方向において、縮小結像レンズ23から入射される光が結像する像面位置に配置され、所定の間隔でY方向にアレイ状に配列されている。図2では、3つのピンホールがY方向に配列された例が示されている。なお、ピンホールアレイ241に限定されず、矩形の開口部を有するスリットアレイや、Y方向に対して矩形のスリットを傾けた斜めスリットアレイを有する構成としてもよい。
【0021】
測定対象物からの反射光の光束は、ピンホールアレイ241に設けられた各ピンホールにより抽出される。更に、レンズアレイ242に備わる各レンズ(図2は、Y方向に3つのレンズが配列されている)は、ピンホールアレイ241の各ピンホールを通過した各光束を集光し、撮像素子244上に像を結像させる。
【0022】
更に、レンズアレイ242と対向する位置に、回折素子243が設けられる。レンズアレイ242の各レンズを透過した各光束は、回折素子243によりそれぞれ分光される。撮像素子244上には、各光束に対応した回折像が形成される。
【0023】
回折素子243としては、1次回折光の回折効率を高めたブレーズ型回折格子を用いることが好ましい。回折素子243をブレーズ型回折格子とすることで、1次回折光のみの回折効率を高め、光学系の光利用効率を高めることができる。
【0024】
撮像素子244は、複数の画素がY方向に配列されたラインセンサである。撮像素子244は、レンズアレイ242と回折素子243により形成された各回折像を、それぞれ異なる位置の複数の受光素子で受光することで、入射する光の波長毎の光量を取得する。撮像素子244には、MOS(Metal Oxide Semiconductor Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor Device)、CCD(Charge Coupled Device)等を用いることができる。
【0025】
なお、ピンホールアレイ241の1つのピンホールと、これに対応するレンズアレイ242の1つのレンズ、回折素子243の一部(レンズによる光束透過部分)、及び撮像素子244の一部の画素列をもって、光学的には1つの分光器の機能を備える。そこで、1つの分光器の機能を有する部分を、以下、「分光センサ」と称する。
【0026】
また、図2において、分光センサが3個配列された態様が図示されているが、これに限定されるものではなく、更に多くの分光センサが配列されていてもよい。例えば、撮像素子244として1024個の画素を有するものを用い、上記の一部の画素列における画素数を10画素とした場合、102個の分光センサを構成することができる。
【0027】
校正用基準部40は、白色基準板41を含む。白色基準板41の例として、ポリテトラフルオロエチレン製の板状部材等が挙げられる。また、白色基準板41は、可視光光源(例えば、第1のライン照明光源21)から可視光が照射された際に得られる既知の反射光特性を有する。なお、白色基準板41は、「白色基準部」の一例である。
【0028】
本実施形態では、測色装置10は、反射光特性が既知である白色基準板(白色校正板とも称される)を用いて測色装置10を校正することができる。また、本実施形態の測色装置10は、第2のライン照明光源22からの紫外光を白色基準板41に照射することで、紫外光を用いた校正を行うこともできる。更に、本実施形態の測色装置10は、第1のライン照明光源21からの可視光と、第2のライン照明光源22からの紫外光の双方を用いて校正してもよい。
【0029】
制御部100は、色情報検出ユニット20の動作や搬送等を制御する。制御部100のハードウェア構成及び機能構成については、図3及び図4を用いて別途詳述する。
【0030】
<制御部100の構成>
次に、図3及び図4を参照して、制御部100のハードウェア構成を説明する。図3は、制御部100のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。また、図4は、制御部100の機能ブロック図である。なお、本実施形態の制御部100は、汎用のコンピュータにより構築されてもよい。
【0031】
図3に示すように、制御部100は、CPU(Central Processing Unit)101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、HDD(Hard Disk Drive)104と、入出力I/F(Interface)105と、光源制御回路106と、撮像素子制御回路107と、搬送手段制御回路108とを備える。これらは、システムバス109を介して相互に電気的に接続されている。
【0032】
CPU101は、ROM102やHDD104等の記憶装置からプログラムやデータをRAM103上に読み出し、プログラムで規定される所定の処理を実行する。これにより、制御部100全体の制御や後述する各種機能を実現する。なお、制御部100のハードウェア構成は前述のものに限られず、制御部100の有する機能の一部又は全部を、一又は複数の処理回路で実現してもよい。ここで、処理回路とは、電子回路である前述のCPU、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の電子回路、従来の回路モジュール等のデバイスを含む。
【0033】
ROM102は、不揮発性の半導体メモリ(記憶装置)である。ROM102には、測色装置10の起動時に実行されるBIOS(Basic Input/Output System)、OS設定等のプログラムやデータが格納されている。RAM103は、プログラムやデータを一時保持する揮発性の半導体メモリ(記憶装置)である。
【0034】
HDD104は、制御部100による各種処理を実行するためのプログラムやデータが記憶された不揮発性の磁気記憶装置である。なお、HDD104はSSD(Solid State Drive)等の半導体記憶装置であっても良い。
【0035】
入出力I/F105は、外部装置等に接続し、データや信号の送受を行うための各種インターフェースである。例えば、色情報検出ユニット20によって検出された白色基準板41の反射光の分光情報は、入出力I/F105を介して制御部100に入力されてもよい。
【0036】
光源制御回路106は、所定の制御信号を出力して、第1のライン照明光源21、第2のライン照明光源22の動作を制御するための電気回路である。撮像素子制御回路107は、所定の制御信号を出力して撮像素子244の動作を制御するための電気回路である。撮像素子244による電気信号は、RAM103又はHDD104に送信され、保持される。
【0037】
搬送手段制御回路108は、搬送手段30の動作を制御するための電気回路である。より詳しくは、搬送手段制御回路108は、所定の制御信号を出力して、搬送手段30に備わるモータ等の駆動源を制御する。
【0038】
このようなハードウェア構成を備える制御部100は、以下の機能を奏する。図4に示されるように、制御部100は、色情報入力部111と、測色情報校正部112を有する。なお、色情報入力部111の機能は、例えば、制御部100の入出力I/F105によって実現される。また、測色情報校正部112の機能は、例えば、制御部100のCPU101によって実現される。なお、測色情報校正部112は、「処理手段」の一例である。
【0039】
色情報入力部111に、分光ユニット24のうちの1つの分光センサを構成するN個の画素から検出された、白色基準板41からの反射光に関する色情報(例えば、分光センサによって得られた波長帯毎の受光量データ)が入力される。検出された色情報は、測色情報校正部112に出力される。
【0040】
続いて、測色情報校正部112は、取得した色情報を用いて、色票50や他の測定対象物の反射光から得られた測色情報(例えば、分光センサによって得られた波長帯毎の受光量データ)を校正する。校正方法の例として、測定対象物の測色情報のうちの任意の波長帯における受光量を、白色基準板41の色情報のうちの同じ波長帯の受光量で割ると共に、測定された全波長領域でこれと同じ処理を行う方法等が挙げられる。なお、色票50等の測定対象物からの測色情報は、例えば、白色基準板41の色情報の検出前又は後に行われる。
【0041】
<測色装置10による白色基準板41を用いた校正動作>
次に、図5図7を参照して、測色装置10による白色基準板41を用いた校正動作の例を説明する。ここで、図5図7は、第1の実施形態に係る測色装置10のXZ平面と平行な端面の模式図である。
【0042】
測定対象物(例えば、図1に示される色票50)を測色する前処理としての校正を行う場合、測色装置10の第1のライン照明光源21から白色基準板41に可視光を照射する。このとき、図5(a)に示されるように、まず、搬送手段30を駆動させて、色情報検出ユニット20を領域411の近傍に移動させる。その後、第1のライン照明光源21が駆動し、第1のライン照明光源21からの可視光が、白色基準板41の領域411に照射される。なお、領域411は、「第1の光照射領域411」とも称される。
【0043】
また、蛍光物質(例えば、蛍光増白剤等)を含む用紙の蛍光を見る目的で、紫外光を用いて測定対象物を測色する場合がある。その前処理としての校正を行う場合(例えば、第2のライン照明光源22に印加する電流値や点灯時間を調整するような場合)、測色装置10の第2のライン照明光源22から白色基準板41に紫外光を照射する。このとき、図5(b)に示されるように、白色基準板41に可視光を照射するときより更に搬送手段30を前進させて、色情報検出ユニット20を領域412の近傍に移動させる。その後、第2のライン照明光源22からの紫外光が、白色基準板41の領域412に照射される。なお、領域412は、「第2の光照射領域412」とも称される。領域412に、可視光が照射されてもよい。
【0044】
本実施形態によれば、可視光を用いて測色装置10を校正する場合、白色基準板41における第1の光照射領域411に可視光が照射される一方、紫外光を用いて測色装置10を校正する場合、第1の光照射領域411とは異なる第2の光照射領域412に紫外光が照射される。
【0045】
これにより、紫外光の照射によって白色基準板41の一部が劣化しても、劣化領域とは異なる領域(第1の光照射領域411)からの反射光に基づき、可視光を用いた校正を行うことができるため、可視光を用いた校正において、白色基準板41の劣化に伴う校正精度の低下を抑制できる。この結果、測色装置10の校正精度の低下を抑制できる。
【0046】
なお、白色基準板41に紫外光を照射する際には、色情報検出ユニット20をX方向+側に必ずしも移動させなくてもよい。例えば、図6に示されるように、白色基準板41の底面と接する第1ローラ61を設けると共に、第2のライン照明光源22から紫外光を照射する際、例えば、制御部100からの制御信号によって、第1ローラ61を回転させて白色基準板41をX方向-側に移動させてもよい。更に、第2のライン照明光源22から紫外光を照射する際、搬送手段30を駆動して色情報検出ユニット20をX方向+側に移動させると共に、第1ローラ61を回転させて白色基準板41をX方向-側に移動させてもよい。
【0047】
なお、搬送手段30及び第1ローラ61は、白色基準板41に対する色情報検出ユニット20(第1のライン照明光源21、第2のライン照明光源22等)の相対位置を変更する「位置変更手段」の一例である。
【0048】
また、図7に示されるように、第1のライン照明光源21を2つ用いて、可視光を照射してもよい。
【0049】
[第2の実施形態]
次に、測色装置10を校正する際に使用する白色基準板の別の構成(白色基準板41a)を説明する。ここで、第2の実施形態と、前述の第1の実施形態とは、白色基準板41(41a)における第2の光照射領域412の態様が異なる。
【0050】
図8を参照して、本実施形態に係る白色基準板41aを説明する。図8は、第2の実施形態に係る白色基準板41aの平面図である。図8に示されるように、第2の光照射領域412は、X方向に沿って並ぶ複数の小領域412aから412dに分割される。なお、本実施形態の小領域の数は4つであるが、これに限られない。また、小領域の配置に関しても、これに限られない。
【0051】
また、制御部100は、校正の際、第2のライン照明光源22から紫外光を照射する小領域を、切替条件に応じて小領域412aから小領域412dのいずれかに切り替えてもよい。切替条件には、劣化度合を判定するための閾値等を使用できる。閾値の例として、色情報検出ユニット20によって検出された白色基準板41の任意の波長帯における分光情報と、予め測定された白色基準板41の当該波長帯における分光情報との差に関する閾値等が挙げられる。または、切替条件として、経過時間等の情報を使用してもよい。
【0052】
このように、第2の光照射領域412を複数の小領域(本実施形態の場合、小領域412aから小領域412d)に分割し、紫外光を照射する小領域を切り替えることで、第2の光照射領域412の劣化スピードを遅くすることができる。その結果、特に、紫外光を用いた校正精度の低下を有効に防ぐことができる。
【0053】
[第3実施形態]
次に、図9を参照して、測色装置10を白色校正する際に使用する白色基準部の別の構成(白色基準部41b)を説明する。図9は、第3の実施形態に係る測色装置のXZ平面と平行な端面の模式図である。ここで、前述の実施形態は、白色基準部として板状部材が使用されていた。これに対して、第3の実施形態に係る白色基準部41bは、筒状の形態を呈する。
【0054】
より詳しくは、白色基準部41bは、測色装置10の所定箇所に回転可能に設けられる第2のローラ431と、第2のローラ431の外周部に取り付けられる複数の白色部432(432aから432g)を備える。
【0055】
図9(a)に示されるように、第1のライン照明光源21からの可視光が、例えば、白色部432aに照射される。これに対して、図9(b)に示されるように、第2のライン照明光源22から紫外光が照射される場合、第2のローラ431の回転に伴い、白色部432bが移動し、第2のライン照明光源22と対向する。これにより、第2のライン照明光源22からの紫外光が、白色部432bに照射される。
【0056】
すなわち、第2のローラ431を回転させることによって、可視光が照射される白色部432と、紫外光が照射される白色部432とを切り替えることができる。更に、第2のローラ431を回転させることで、紫外光が照射される白色部432を切り替えることができる。
【0057】
このように、可視光の照射時と紫外光の照射時とで、照射対象の白色部432を切り替えることで、測色装置10の校正精度の低下を防ぐことができる。なお、白色部432の数や形態等は、図示されるものに限られない。
【0058】
[画像形成装置の実施形態]
前述の実施形態に係る測色装置は、図10に示されるような画像形成装置に組み込まれていてもよい。図10は、本実施形態に係る画像形成装置90の構成の一例を示す模式図である。
【0059】
画像形成装置90は、作像部91と、給紙部92と、乾燥部93と、排紙部94を有するインクジェット式プリンターである。前述の測色装置10は、例えば、画像形成装置90の排紙部94に組み込まれる。なお、測色装置10を備える画像形成装置は、インクジェット式プリンターに限られず、電子写真式プリンター等であってもよい。
【0060】
以上、本発明の実施形態を説明した。ただし、本発明は、前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。
【0061】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> 測定対象物を測色する測色装置であって、
白色基準部と、
可視光を照射する第1の光源と、紫外光を照射する第2の光源と、を有し、前記白色基準部に前記可視光および前記紫外光を照射可能な光照射手段と、
前記光照射手段から照射された前記可視光および前記紫外光それぞれの前記白色基準部による反射光に基づき、前記測定対象物の測色情報を校正する処理手段と、を備え、
前記光照射手段は、前記測色情報を校正する際に、前記第1の光源からの前記可視光を前記白色基準部の第1の光照射領域に照射し、前記第2の光源からの前記紫外光を前記第1の光照射領域とは異なる前記白色基準部の第2の光照射領域に照射する
ことを特徴とする測色装置。
<2> 前記光照射手段は、前記第2の光照射領域に、前記紫外光及び前記可視光の両方を照射可能である前記<1>に記載の測色装置。
<3> 前記白色基準部に対する前記光照射手段の相対位置を変更する位置変更手段を更に備え、
前記位置変更手段が、前記第1の光照射領域に前記可視光を照射する際の前記光照射手段の前記相対位置と、前記第2の光照射領域に前記紫外光を照射する際の前記光照射手段の前記相対位置を変更する前記<1>又は<2>に記載の測色装置。
<4> 前記白色基準部が、所定位置に回転可能に設けられる筒状部材であり、
前記白色基準部の回転に伴い、前記第1の光照射領域と前記第2の光照射領域とが移動する前記<1>から前記<3>のいずれか1つに記載の測色装置。
<5>前記白色基準部が、前記第2の光照射領域に属する複数の小領域を含み、
所定の切替条件を満たすタイミングで、前記第2の光源から前記紫外光が照射される前記小領域が切り替えられる前記<1>から<4>のいずれか1つに記載の測色装置。
<6> 前記第2の光源からの前記紫外光が照射される前記小領域が、白色校正の度に切り替えられる前記<5>に記載の測色装置。
<7> 前記<1>から前記<6>のいずれか1つに記載の測色装置を備える画像形成装置。
<8> 測定対象物を測色する測色装置の校正方法であって、
前記測色装置が、
可視光を照射する第1の光源と、紫外光を照射する第2の光源とを有する光照射手段により、白色基準部に前記可視光および前記紫外光を照射する工程と、
処理手段により、前記光照射手段から照射された前記可視光および前記紫外光それぞれの前記白色基準部による反射光に基づき、前記測定対象物の測色情報を校正する工程と、
を含み、
前記光照射手段は、前記測色情報を校正する工程において、前記第1の光源からの前記可視光を前記白色基準部の第1の光照射領域に照射し、前記第2の光源からの前記紫外光を前記白色基準部の第2の光照射領域に照射する
ことを特徴とする測色装置の校正方法。
【符号の説明】
【0062】
10 測色装置
20 色情報検出ユニット
21 第1のライン照明光源
22 第2のライン照明光源
23 縮小結像レンズ
24 分光ユニット
30 色情報検出ユニット搬送手段
40 校正用基準部
41,41a,41b 白色基準部
411 第1の光照射領域
412 第2の光照射領域
50 色票
90 画像形成装置
100 制御部
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 HDD
105 入出力I/F
106 光源制御回路
107 撮像素子制御回路
108 搬送手段制御回路
109 システムバス
111 色情報入力部
112 測色情報校正部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0063】
【特許文献1】特許第5218138号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10