(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181852
(43)【公開日】2023-12-25
(54)【発明の名称】加工装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/301 20060101AFI20231218BHJP
B23K 26/00 20140101ALI20231218BHJP
【FI】
H01L21/78 B
B23K26/00 P
B23K26/00 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095216
(22)【出願日】2022-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】重松 孝一
(72)【発明者】
【氏名】築地 修一郎
【テーマコード(参考)】
4E168
5F063
【Fターム(参考)】
4E168AD02
4E168AD18
4E168CA00
4E168CA06
4E168CB07
4E168CB23
4E168HA01
4E168JA12
4E168JA13
4E168KA15
5F063AA48
5F063BA33
5F063BA34
5F063BA43
5F063BA45
5F063BA47
5F063CA06
5F063CB06
5F063DD26
5F063DD31
5F063DE12
5F063DE17
5F063DE23
5F063DE31
(57)【要約】
【課題】生産性の低下を抑制しつつ、信頼性の高い加工状態情報を取得することが可能な加工装置を提供すること。
【解決手段】加工装置1は、被加工物200を保持する保持ユニット10と、保持ユニット10に保持された被加工物200にレーザー加工を施すレーザービーム照射ユニット20と、保持ユニット10とレーザービーム照射ユニット20とを相対的に移動させる移動ユニット30と、各構成要素を制御する制御ユニット100と、被加工物200の加工状態を測定する加工状態測定ユニット50を備え、制御ユニット100は、加工状態測定ユニット50によって被加工物200の加工状態情報を取得するとともに、加工状態情報を取得している間に発生している振動に関する振動情報を取得し、取得した加工状態情報と振動情報とを紐づけて記憶する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を保持する保持ユニットと、
該保持ユニットに保持された被加工物に加工を施す加工ユニットと、
該保持ユニットと該加工ユニットとを相対的に移動させる移動ユニットと、
各構成要素を制御する制御ユニットと、を備えた加工装置であって、
被加工物の加工状態を測定する加工状態測定ユニットを更に備え、
該制御ユニットは、
該加工状態測定ユニットによって被加工物の加工状態情報を取得するとともに、該加工状態情報を取得している間に発生している振動に関する振動情報を取得し、取得した加工状態情報と振動情報とを紐づけて記憶することを特徴とする、加工装置。
【請求項2】
該振動情報は、加工装置の動作状況であることを特徴とする、請求項1に記載の加工装置。
【請求項3】
該振動情報は、振動測定ユニットにより取得された振動データであることを特徴とする、請求項1に記載の加工装置。
【請求項4】
該制御ユニットは、取得した振動情報が所定の動作状況であると判断した場合、加工状態情報の再取得を行うことを特徴とする、請求項2に記載の加工装置。
【請求項5】
該制御ユニットは、取得した振動情報から振動値が許容値以上であると判断した場合、加工状態情報の再取得を行うことを特徴とする、請求項3に記載の加工装置。
【請求項6】
該制御ユニットは、
振動がない状態で取得した加工状態情報と、振動がある状態で取得した加工状態情報と、の相関関係を予め記憶しておき、
該相関関係に基づいて、新たに取得した加工状態情報を振動がない状態で取得した加工状態情報へと補正することを特徴とする、
請求項1に記載の加工装置。
【請求項7】
該制御ユニットは、
被加工物の加工状態情報から加工結果の良否を判定する判定基準を設定可能に構成され、
該判定基準は、
該加工状態情報に紐づけられた振動情報における振動の程度によって変動可能に構成されることを特徴とする、
請求項1に記載の加工装置。
【請求項8】
該加工状態測定ユニットは、
互いに直交するX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向において3次元で被加工物を測定する3次元測定ユニットであることを特徴とする、請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスを製造するための加工方法として、ウエーハに対して吸収性を有するレーザービームをストリートに沿って照射することで材料をアブレーションさせて加工溝を形成し、この加工溝に沿ってブレーキングすることでウエーハを割断して個々のチップへと分割する方法等、種々の方法が知られている。
【0003】
上述のような加工を行う加工装置においては、顕微鏡やCCDカメラ等の撮像手段によって加工溝の状態を撮像し、加工溝の位置ずれやチッピング(欠け)等の加工異常がないか等を確認している(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、加工溝の深さや断面形状、デブリの体積など、より詳細な情報(加工情報ともいう)を得るための3次元測定手段を備えた加工装置も提案されている(例えば、特許文献2及び特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5-326700号公報
【特許文献2】特開2010-271252号公報
【特許文献3】特開2015-88515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、加工装置の稼働中に前述した加工状態情報を取得しようとすると、加工装置の稼働状況によっては振動の影響を受けて精度の悪い情報しか取得できなくなってしまう。こうした振動の影響は、高倍率で撮像を行う場合や、3次元で高精度な測定を行う際にはより顕著に表れる。
【0007】
従って、取得した加工状態情報が正確なものか判断できないという問題があり、また、正確な加工状態情報を得るためには他の動作を止めて再度撮像や測定を行う必要が生じるため、生産性が低下するという問題も存在していた。
【0008】
本発明は、上記事実に鑑みてなされたものであり、その目的は、生産性の低下を抑制しつつ、信頼性の高い加工状態情報を取得することが可能な加工装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の加工装置は、被加工物を保持する保持ユニットと、該保持ユニットに保持された被加工物に加工を施す加工ユニットと、該保持ユニットと該加工ユニットとを相対的に移動させる移動ユニットと、各構成要素を制御する制御ユニットと、を備えた加工装置であって、被加工物の加工状態を測定する加工状態測定ユニットを更に備え、該制御ユニットは、該加工状態測定ユニットによって被加工物の加工状態情報を取得するとともに、該加工状態情報を取得している間に発生している振動に関する振動情報を取得し、取得した加工状態情報と振動情報とを紐づけて記憶することを特徴とする。
【0010】
前記加工装置において、該振動情報は、加工装置の動作状況でも良い。
【0011】
前記加工装置において、該振動情報は、振動測定ユニットにより取得された振動データでも良い。
【0012】
前記加工装置において、該制御ユニットは、取得した振動情報が所定の動作状況であると判断した場合、加工状態情報の再取得を行っても良い。
【0013】
前記加工装置において、該制御ユニットは、取得した振動情報から振動値が許容値以上であると判断した場合、加工状態情報の再取得を行っても良い。
【0014】
前記加工装置において、該制御ユニットは、振動がない状態で取得した加工状態情報と、振動がある状態で取得した加工状態情報と、の相関関係を予め記憶しておき、該相関関係に基づいて、新たに取得した加工状態情報を振動がない状態で取得した加工状態情報へと補正しても良い。
【0015】
前記加工装置において、該制御ユニットは、被加工物の加工状態情報から加工結果の良否を判定する判定基準を設定可能に構成され、該判定基準は、該加工状態情報に紐づけられた振動情報における振動の程度によって変動可能に構成されても良い。
【0016】
前記加工装置において、該加工状態測定ユニットは、互いに直交するX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向において3次元で被加工物を測定する3次元測定ユニットでも良い。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、生産性の低下を抑制しつつ、信頼性の高い加工状態情報を取得することが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る加工装置の構成例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示された加工装置の加工状態測定ユニットが取得した被加工物の加工状態情報の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、
図1に示された加工装置1の制御ユニットの情報取得部が取得し記憶部に記憶する加工状態振動情報を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態1の変形例に係る加工装置の構成例を示す図である。
【
図5】
図5は、
図4に示された加工装置の振動測定ユニットが取得した振動データを模式的に示す図である。
【
図6】
図6は、
図4に示された加工装置の制御ユニットの情報取得部が取得し記憶部に記憶する加工状態振動情報を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態2に係る加工装置の構成例を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、実施形態2の変形例に係る加工装置の構成例を示す図である。
【
図9】
図9は、
図8に示された加工装置の制御ユニットの記憶部が記憶した相関関係の他の例を模式的に示す図である。
【
図10】
図10は、実施形態3に係る加工装置の構成例を示す斜視図である。
【
図11】
図11は、実施形態3の変形例に係る加工装置の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0020】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係る加工装置を図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態1に係る加工装置の構成例を示す斜視図である。実施形態1に係る
図1に示された加工装置1は、被加工物200にレーザービーム21を照射するレーザー加工装置である。
【0021】
(被加工物)
実施形態1に係る加工装置1の加工対象の被加工物200は、シリコン、サファイア、ガリウムなどを基板201とする円板状の半導体ウエーハや光デバイスウエーハ等のウエーハである。被加工物200は、
図1に示すように、表面202に互いに交差する分割予定ライン203が複数設定され、分割予定ライン203によって区画された領域にデバイス204が形成されている。
【0022】
デバイス204は、例えば、IC(Integrated Circuit)、又はLSI(Large Scale Integration)等の集積回路、CCD(Charge Coupled Device)、又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサ、又はメモリ(半導体記憶装置)である。
【0023】
実施形態1において、被加工物200は、
図1に示すように、被加工物200の外径よりも大径な円板状でかつ外縁部に環状フレーム210が貼着された粘着テープ209が表面202の裏側の裏面205に貼着されて、環状フレーム210の開口内に支持される。被加工物200は、分割予定ライン203にレーザービーム21が照射されるなどして、個々のデバイス204に分割される。
【0024】
図1に示された加工装置1は、被加工物200の表面202から被加工物200を構成する基板201に対して吸収性を有する波長のパルス状のレーザービーム21の集光点を表面202に設定して、レーザービーム21を分割予定ライン203に沿って照射して、被加工物200にアブレーション加工を施して、被加工物200の分割予定ライン203に分割予定ライン203に沿った
図1に破線で示す加工溝208(加工痕に相当)を形成するレーザー加工装置である。
【0025】
加工装置1は、
図1に示すように、被加工物200を保持する保持ユニット10と、レーザービーム照射ユニット20と、移動ユニット30と、撮像ユニット40と、図示しないカセットエレベータと、図示しない保護膜形成洗浄ユニットと、図示しない搬送ユニットと、制御ユニット100とを備える。
【0026】
保持ユニット10は、被加工物200を水平方向と平行な保持面11で保持する。保持面11は、ポーラスセラミック等から形成された円盤形状であり、図示しない吸引経路を介して図示しない真空吸引源と接続されている。保持ユニット10は、真空吸引源により吸引されることで、保持面11上に載置された被加工物200を吸引保持する。保持ユニット10の周囲には、被加工物200を開口内に支持する環状フレーム210を挟持するクランプ部12が複数配置されている。
【0027】
また、保持ユニット10は、移動ユニット30の回転移動ユニット33により保持面11に対して直交しかつ鉛直方向と平行なZ軸方向と平行な軸心回りに回転される。保持ユニット10は、回転移動ユニット33とともに、移動ユニット30のX軸移動ユニット31により水平方向と平行なX軸方向に移動されかつY軸移動ユニット32により水平方向と平行でかつX軸方向と直交するY軸方向に移動される。保持ユニット10は、移動ユニット30によりレーザービーム照射ユニット20の下方の加工領域と、レーザービーム照射ユニット20の下方から離れて被加工物200が搬入、搬出される搬入出領域とに亘って移動される。
【0028】
移動ユニット30は、保持ユニット10とレーザービーム照射ユニット20が照射するレーザービーム21の集光点とをX軸方向、Y軸方向、Z軸方向及びZ軸方向と平行な軸心回りに相対的に移動させるものである。X軸方向及びY軸方向は、互いに直交し、かつ保持面11(即ち水平方向)と平行な方向である。Z軸方向は、X軸方向とY軸方向との双方と直交する方向である。
【0029】
移動ユニット30は、保持ユニット10をX軸方向に移動させる加工送りユニットであるX軸移動ユニット31と、保持ユニット10をY軸方向に移動させる割り出し送りユニットであるY軸移動ユニット32と、保持ユニット10をZ軸方向と平行な軸心回りに回転する回転移動ユニット33と、レーザービーム照射ユニット20のレーザービーム21の集光点をZ軸方向に移動させるZ軸移動ユニット34とを備えている。
【0030】
Y軸移動ユニット32は、保持ユニット10と、レーザービーム照射ユニット20のレーザービーム21の集光点とをY軸方向に相対的に移動する割り出し送りユニットである。実施形態1では、Y軸移動ユニット32は、加工装置1の装置本体2上に設置されている。Y軸移動ユニット32は、X軸移動ユニット31を支持した移動プレート5をY軸方向に移動自在に支持している。
【0031】
X軸移動ユニット31は、保持ユニット10と、レーザービーム照射ユニット20のレーザービーム21の集光点とをX軸方向に相対的に移動する加工送りユニットである。X軸移動ユニット31は、移動プレート5上に設置されている。X軸移動ユニット31は、保持ユニット10をZ軸方向と平行な軸心回りに回転する回転移動ユニット33を支持した第2移動プレート6をX軸方向に移動自在に支持している。第2移動プレート6は、回転移動ユニット33、保持ユニット10を支持している。回転移動ユニット33は、保持ユニット10を支持している。
【0032】
Z軸移動ユニット34は、保持ユニット10と、レーザービーム照射ユニット20のレーザービーム21の集光点とをZ軸方向に相対的に移動する送りユニットである。Z軸移動ユニット34は、装置本体2から立設した立設壁3に設置されている。Z軸移動ユニット34は、レーザービーム照射ユニット20の後述する集光レンズ等を先端に配置した支持柱4をZ軸方向に移動自在に支持している。
【0033】
X軸移動ユニット31、Y軸移動ユニット32及びZ軸移動ユニット34は、軸心回りに回転自在に設けられかつ軸心回りに回転されると移動プレート5,6又は支持柱4をX軸方向、Y軸方向又はZ軸方向に移動させる周知のボールねじ、ボールねじを軸心回りに回転させる周知のパルスモータ、移動プレート5,6又は支持柱4をX軸方向、Y軸方向又はZ軸方向に移動自在に支持する周知のガイドレールを備える。回転移動ユニット33は、保持ユニット10を軸心回りに回転するモータ等を備える。
【0034】
また、加工装置1は、保持ユニット10のX軸方向の位置を検出するための図示しないX軸方向位置検出ユニットと、保持ユニット10のY軸方向の位置を検出するための図示しないY軸方向位置検出ユニットと、支持柱4のZ軸方向の位置を検出するための図示しないZ軸方向位置検出ユニットを備える。各位置検出ユニットは、検出結果を制御ユニット100に出力する。
【0035】
レーザービーム照射ユニット20は、保持ユニット10の保持面11に保持された被加工物200に対してパルス状のレーザービーム21を集光して照射し、被加工物200にレーザー加工(加工に相当)を施す加工ユニットである。実施形態1では、レーザービーム照射ユニット20の一部は、
図1に示すように、装置本体2から立設した立設壁3に設置されたZ軸移動ユニット34により支持された支持柱4の先端に配置されている。
【0036】
レーザービーム照射ユニット20は、パルス状のレーザービーム21を出射するレーザー発振器と、レーザー発振器から出射したレーザービーム21を集光して被加工物200に照射する集光器である集光レンズとを備える。実施形態1では、レーザービーム照射ユニット20は、保持ユニット10に保持された被加工物200に対して、被加工物200の基板201が吸収性を有する波長のレーザービーム21を照射して、被加工物200にアブレーション加工を施す。
【0037】
撮像ユニット40は、保持ユニット10に保持された被加工物200を撮像するものである。撮像ユニット40は、対物レンズがZ軸方向に対向するものを撮像するCCD(Charge Coupled Device)撮像素子又はCMOS(Complementary MOS)撮像素子等の撮像素子を備えている。実施形態1では、撮像ユニット40は、
図1に示すように、支持柱4の先端に配置されて、対物レンズがレーザービーム照射ユニット20の集光レンズとX軸方向に沿って並ぶ位置に配置されている。
【0038】
撮像ユニット40は、撮像素子が撮像した画像を取得し、取得した画像を制御ユニット100に出力する。また、撮像ユニット40は、保持ユニット10の保持面11に保持された被加工物200を撮像して、被加工物200とレーザービーム照射ユニット20との位置合わせを行うアライメントを遂行するための画像を取得し、取得した画像を制御ユニット100に出力する。
【0039】
また、加工装置1は、
図1に示すように、加工状態測定ユニット50を備える。次に、加工状態測定ユニット50を説明する。
図2は、
図1に示された加工装置の加工状態測定ユニットが取得した被加工物の加工状態情報の一例を示す図である。加工状態測定ユニット50は、保持ユニット10に保持された被加工物200の加工状態である加工溝208に関する情報を測定するものである。
【0040】
実施形態1において、加工状態測定ユニット50は、撮像ユニット40のX軸方向の隣りに配置されて、レーザービーム照射ユニット20の集光レンズ及び撮像ユニット40の対物レンズとX軸方向に沿って並ぶ位置に配置されている。実施形態1において、加工状態測定ユニット50は、互いに直交するX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向において3次元で被加工物200の加工溝208の形状(加工溝208に関する情報即ち加工情報に相当し、以下、
図2に例示された加工状態情報51と記す)を測定する3次元測定ユニットである。
【0041】
即ち、実施形態1において、加工状態測定ユニット50が加工溝208の形状を測定して取得した
図2に例示された加工状態情報51は、被加工物200の加工溝208を含み加工溝208周囲の3次元の形状を示す情報である。なお、実施形態1では、加工状態測定ユニット50は、加工状態情報51として被加工物200の加工溝208を含み加工溝208周囲の3次元の形状を測定する3次元測定ユニットであるが、本発明では、これに限定されることなく、加工状態情報51として被加工物200の加工溝208を含み加工溝208周囲のX軸方向とY軸方向との双方に平行な2次元の形状を示す情報(即ち、2次元画像)を取得するものでも良い。
【0042】
実施形態1では、加工状態測定ユニット50は、周知のレーザー顕微鏡、又はラインセンサにより構成される。しかしながら、本発明では、加工状態測定ユニット50は、2次元画像を取得する周知の顕微鏡により構成されても良い。
【0043】
また、実施形態1では、加工状態情報51は、被加工物200の加工溝208を含み加工溝208周囲の3次元の形状を示す情報であるので、加工溝208の表面202における最小の幅、加工溝208の表面202における最大の幅、加工溝208の底面の幅、加工溝208の表面202から底面寄りに所定距離の位置の幅、加工溝208の平均深さ、加工溝208の最大深さ、加工溝208の最小深さ、加工溝208の底面の表面粗さを含んでいる。即ち、本発明では、加工状態情報51は、加工溝208の表面202における最小の幅、加工溝208の表面202における最大の幅、加工溝208の底面の幅、加工溝208の表面202から底面世寄りに所定距離の位置の幅、加工溝208の平均深さ、加工溝208の最大深さ、加工溝208の最小深さ、加工溝208の底面の表面粗さのうち少なくとも一つを含んでいれば良い。
【0044】
カセットエレベータは、加工前後の被加工物200を複数収容するカセットを設置するものである。カセットエレベータは、被加工物200を複数枚収容するカセットをZ軸方向に移動させる。保護膜形成洗浄ユニットは、加工前の被加工物200の表面202に水溶性樹脂を塗布して、被加工物200の表面202に保護膜を形成するとともに、加工後の被加工物200の表面202を洗浄して表面202から保護膜を除去するものである。なお、水溶性樹脂は、例えば、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol:PVA)、又はポリビニルピロリドン(Polyvinylpyrrolidone:PVP)等により構成される。搬送ユニットは、カセットから加工前の被加工物200を搬出し、保護膜形成洗浄ユニットと保持ユニット10に順に搬送するとともに、加工後の被加工物200を保持ユニット10から保護膜形成洗浄ユニットに搬送し、洗浄後の被加工物200をカセット内に搬入するものである。
【0045】
制御ユニット100は、加工装置1の上述した各構成要素をそれぞれ制御して、被加工物200に対する加工動作を加工装置1に実施させるものである。なお、制御ユニット100は、CPU(central processing unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(read only memory)又はRAM(random access memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有するコンピュータである。制御ユニット100の演算処理装置は、記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施して、加工装置1を制御するための制御信号を、入出力インターフェース装置を介して加工装置1の上述した構成要素に出力して、制御ユニット100の機能を実現する。
【0046】
また、加工装置1は、加工動作の状態や画像などを表示する液晶表示装置などにより構成される表示手段である表示ユニット110と、オペレータが加工条件などを入力する際に用いる入力手段である入力ユニット120と、図示しない報知ユニット等を備えている。表示ユニット110、入力ユニット120及び報知ユニットは、制御ユニット100に接続している。入力ユニット120は、表示ユニット110に設けられたタッチパネルにより構成される。報知ユニットは、音と光と表示ユニット110上のメッセージとのうち少なくともいずれかを発して、オペレータに報知する。
【0047】
また、制御ユニット100は、
図1に示すように、加工制御部101と、情報取得部102と、記憶部103とを備える。なお、
図3は、
図1に示された加工装置1の制御ユニットの情報取得部が取得し記憶部に記憶する加工状態振動情報を示す図である。
【0048】
加工制御部101は、加工装置1の上述した各構成要素をそれぞれ制御して、被加工物200に対する加工動作を加工装置1の各構成要素に実施させるものである。情報取得部102は、加工状態測定ユニット50によって被加工物200の加工状態情報51を取得するとともに、加工状態情報51を取得している間に発生している加工装置1の振動に関する振動情報を取得し、取得した加工状態情報51と振動情報とを紐づけて、
図3に示す加工状態振動情報300として記憶部103に記憶するものである。
【0049】
実施形態1では、情報取得部102は、加工状態測定ユニット50によって被加工物200の加工状態情報51を取得するとともに、加工状態測定ユニット50が加工状態情報51の取得を開始した時点の振動情報である加工装置1の動作状況301を加工制御部101から取得する。実施形態1では、情報取得部102は、加工状態測定ユニット50により取得した加工状態情報51と、加工制御部101から取得した振動情報である加工装置1の動作状況301とを1対1で紐づけて、
図3に示すように、加工状態振動情報300として記憶部103に記憶する。
【0050】
こうして、実施形態1では、振動情報は、加工装置1の動作状況301である。なお、
図3に示された加工状態振動情報300は、振動情報である加工装置1の動作状況301として、保護膜形成洗浄ユニットの被加工物200の洗浄中、保護膜形成洗浄ユニットの被加工物200の保護膜形成中、搬送ユニットの被加工物200の搬送中を示している。
【0051】
また、情報取得部102は、加工制御部101から取得した振動情報である加工装置1の動作状況301が予め定められた所定の動作状況302であるか否かを判断する。なお、所定の動作状況302とは、所定の動作状況302以外の動作状況301よりも加工状態測定ユニット50の振動の振幅が大きく、加工状態測定ユニット50により取得した加工状態情報51の信頼性が低下する加工装置1の動作状況301である。なお、実施形態1において、所定の動作状況302とは、例えば、保護膜形成洗浄ユニットの被加工物200の洗浄中、又は保護膜形成洗浄ユニットの被加工物200の保護膜形成中であるが、本発明では、これらに限定されない。
【0052】
情報取得部102は、加工制御部101から取得した振動情報である加工装置1の動作状況301が予め定められた所定の動作状況302であると判断すると、加工状態測定ユニット50による加工状態情報51の再取得を行う。なお、加工状態測定ユニット50による加工状態情報51の再取得は、加工制御部101から取得した加工装置1の動作状況301が所定の動作状況302以外の動作状況301になってから実施しても良く、加工状態測定ユニット50により加工状態情報51を取得した加工溝208の隣りの加工溝208の加工状態情報51を加工状態測定ユニット50で取得することで実施しても良く、加工状態測定ユニット50により加工状態情報51を取得した加工溝208と同一の加工溝208の加工状態情報51を加工状態測定ユニット50で取得することで実施しても良い。
【0053】
記憶部103は、加工状態振動情報300を記憶するものである。
【0054】
なお、加工制御部101及び情報取得部102の機能は、演算処理装置が記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施することにより実現される。記憶部103の機能は、前述した記憶装置により実現される。
【0055】
次に、前述した構成の加工装置1の加工動作を説明する。加工装置1は、制御ユニット100がオペレータにより入力された加工条件を受け付けて登録し、被加工物200が複数収容したカセットがカセットエレベータに設置される。加工装置1は、オペレータからの加工動作の開始指示を制御ユニット100が受け付けると、加工動作を開始する。加工動作では、加工装置1は、制御ユニット100の加工制御部101が搬送ユニットを制御してカセットから被加工物200を1枚取り出させ、粘着テープ209を介して搬入出領域に位置付けられた保持ユニット10の保持面11に被加工物200を載置される。
【0056】
加工動作では、加工装置1は、制御ユニット100の加工制御部101が保持ユニット10の保持面11に粘着テープ209を介して被加工物200を吸引保持するとともに、クランプ部12に環状フレーム210を挟持させる。加工動作では、加工装置1は、制御ユニット100の加工制御部101が移動ユニット30を制御して保持ユニット10を加工領域に移動し、撮像ユニット40で保持ユニット10に吸引保持された被加工物200を撮像して画像を取得し、レーザービーム照射ユニット20の集光点と分割予定ライン203とを位置合わせするアライメントを遂行する。
【0057】
加工動作では、加工装置1は、制御ユニット100の加工制御部101がZ軸移動ユニット34を制御して、レーザービーム照射ユニット20の集光点が被加工物200の分割予定ライン203の表面202に形成される位置にレーザービーム照射ユニット20の集光レンズを位置付ける。加工動作では、加工装置1は、制御ユニット100の加工制御部101が移動ユニット30を制御して、保持ユニット10とレーザービーム照射ユニット20の集光点とを分割予定ライン203に沿って相対的に移動させながら被加工物200の分割予定ライン203に基板201の表面202側からパルス状のレーザービーム21を照射する。
【0058】
実施形態1において、加工動作では、加工装置1は、レーザービーム21が被加工物200の基板201に対して吸収性を有する波長を有しているために、被加工物200の分割予定ライン203にアブレーション加工を施して、表面202から凹の加工溝208を形成する。実施形態1において、加工動作では、加工装置1は、全ての分割予定ライン203に沿ってレーザービーム21を照射すると、レーザービーム21の照射を停止し、保持ユニット10を搬入出領域に移動する。加工動作では、加工装置1は、制御ユニット100の加工制御部101が保持ユニット10を搬入出領域に位置づけ、保持ユニット10の被加工物200の吸引保持を停止し、クランプ部12の環状フレーム210の挟持を解除して、搬送ユニットを制御して加工後の被加工物200を保持ユニット10から保護膜形成洗浄ユ二ットに搬送させる。
【0059】
実施形態1において、加工動作では、加工装置1は、制御ユニット100の加工制御部101が洗浄後の被加工物200を搬送ユニットに搬送させて、カセット内に搬入させる。実施形態1において、加工装置1は、カセット内の被加工物200に1枚ずつ順にレーザー加工を施して、カセット内の全ての被加工物200にレーザー加工を施すと加工動作を終了する。
【0060】
また、加工装置1は、加工動作中では、所定のタイミングにおいて、レーザービーム21の照射を一時中断して、以下のカーフチェックを実施する。なお、所定のタイミングとは、所定の数の分割予定ライン203にレーザー加工を施す毎等である。カーフチェックでは、加工装置1は、制御ユニット100の加工制御部101が移動ユニット30を制御して、保持ユニット10を移動させて、保持ユニット10に保持した被加工物200の加工条件等で定められた所定の位置の加工溝208を撮像ユニット40の下方に位置付ける。カーフチェックでは、加工装置1は、制御ユニット100の加工制御部101が撮像ユニット40に被加工物200の所定の位置を撮像させ、撮像ユニット40が取得した画像から加工溝208を検出し、加工溝208の幅、加工溝208の分割予定ライン203に対する相対的な位置、加工溝208の両縁に形成される欠け(チッピングともいう)の数及び大きさ等を検出する。
【0061】
カーフチェックでは、加工装置1は、制御ユニット100の加工制御部101が加工溝208の幅、加工溝208の分割予定ライン203に対する相対的な位置、加工溝208の両縁に形成される欠け(チッピングともいう)の数及び大きさ等が予め定められた許容範囲内に含まれるか否かを判断し、許容範囲内に含まれないと判断すると、報知ユニットを動作させて、加工動作を終了する。また、カーフチェックでは、加工装置1は、制御ユニット100の加工制御部101が加工溝208の幅、加工溝208の分割予定ライン203に対する相対的な位置、加工溝208の両縁に形成される欠け(チッピングともいう)の数及び大きさ等が予め定められた許容範囲内に含まれると判断すると、加工動作を再開する。なお、再開後の加工動作では、加工装置1は、制御ユニット100の加工制御部101が直前のカーフチェックで取得した加工溝208の分割予定ライン203に対する相対的な位置に基づいて、加工溝208が分割予定ライン203の幅方向の中央等の予め定められた所定の位置に形成されるように、レーザービーム照射ユニット20の集光点の被加工物200の分割予定ライン203に対する相対的な位置を調整する。
【0062】
また、実施形態1では、加工装置1は、カーフチェックを終了し、加工動作を再開する前に、加工状態振動情報300を取得する。加工状態振動情報300を取得する際には、加工装置1は、制御ユニット100の情報取得部102が移動ユニット30を制御して、保持ユニット10を移動させて、保持ユニット10に保持した被加工物200の加工条件等で定められた所定の位置の加工溝208を加工状態測定ユニット50の下方に位置付ける。加工状態振動情報300を取得する際には、加工装置1は、制御ユニット100の情報取得部102が加工状態測定ユニット50によって被加工物200の加工状態情報51を取得するとともに、加工状態情報51を取得している間に発生している加工装置1の振動に関する振動情報である加工装置1の動作状況301を取得し、取得した加工状態情報51と加工装置1の動作状況301とを1対1で紐づけて、加工状態振動情報300として記憶部103に記憶する。
【0063】
また、実施形態1では、加工装置1は、制御ユニット100の情報取得部102が加工制御部101から取得した振動情報である加工装置1の動作状況301が予め定められた所定の動作状況302であると判断すると、加工状態測定ユニット50による加工状態情報51の再取得を行い、再取得した加工状態情報51と振動情報である加工装置1の動作状況301とを1対1で紐づけて、加工状態振動情報300として記憶部103に記憶する。
【0064】
以上、説明した実施形態1に係る加工装置1は、加工状態情報51と振動情報である加工装置1の動作状況301とを1対1で紐づけて加工状態振動情報300として記憶部103に記憶するので、加工状態情報51の信頼性を明確にすることができる。また、実施形態1に係る加工装置1は、加工状態情報51に紐づけられた加工装置1の動作状況を確認することで、各加工状態情報51の信頼性を容易に把握することができ、信頼性の高い加工状態情報51のみを採用することができる。
【0065】
また、実施形態1に係る加工装置1は、加工状態情報51に紐づけられた加工装置1の動作状況301が所定の動作状況302であるか否かを判断して、信頼性の低い加工状態情報51を取得した際のみ加工状態情報51の再取得を実施するので、生産性の向上に貢献する。
【0066】
その結果、実施形態1に係る加工装置1は、生産性の低下を抑制しつつ、信頼性の高い加工状態情報51を取得することが可能になるという効果を奏する。
【0067】
〔変形例〕
本発明の実施形態1の変形例に係る加工装置を図面に基づいて説明する。
図4は、実施形態1の変形例に係る加工装置の構成例を示す図である。
図5は、
図4に示された加工装置の振動測定ユニットが取得した振動データを模式的に示す図である。
図6は、
図4に示された加工装置の制御ユニットの情報取得部が取得し記憶部に記憶する加工状態振動情報を示す図である。なお、
図4及び
図6において、実施形態1と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0068】
実施形態1の変形例に係る加工装置1は、
図4に示すように、振動測定ユニット60を備える。実施形態1において、振動測定ユニット60は、加工状態測定ユニット50に取り付けられて、加工状態測定ユニット50の振動情報である振動データ61(
図5に示す)を取得し、取得した振動データ61を制御ユニット100に出力する。このように、実施形態1の変形例では、振動情報は、振動測定ユニット60により取得された振動データ61である。なお、実施形態1の変形例では、振動測定ユニット60が取得した振動データ61は、時間(
図5に横軸で示す)に対する振動の強度(
図5に縦軸で示す)の変化を示している。なお、
図5に示された振動データ61の縦軸の強度は、任意単位で示している。振動測定ユニット60は、例えば、加速度センサ(例えば、圧電型の加速度センサ)等により構成される。
【0069】
実施形態1の変形例に係る加工装置1の制御ユニット100の情報取得部102は、加工状態測定ユニット50によって被加工物200の加工状態情報51を取得するとともに、加工状態測定ユニット50が加工状態情報51の取得中に振動測定ユニット60により振動情報である振動データ61を取得する。実施形態1では、情報取得部102は、振動測定ユニット60により取得した振動情報である振動データ61の強度の最大値62(
図5に示し、振動値に相当し、以下、最大振動値と記す)を算出する。情報取得部102は、加工状態測定ユニット50により取得した加工状態情報51と、振動測定ユニット60により取得した振動情報である振動データ61の最大振動値62とを1対1で紐づけて、
図6に示すように、加工状態振動情報300-1として記憶部103に記憶する。
【0070】
こうして、実施形態1の変形例では、振動情報は、振動測定ユニット60により取得された振動データ61である。
【0071】
また、実施形態1の変形例では、情報取得部102は、加工制御部101から取得した振動情報である振動データ61の最大振動値62が予め定められた許容値以上であるか否かを判断する。なお、許容値とは、加工状態測定ユニット50により取得した加工状態情報51の信頼性が低下する加工状態測定ユニット50の振動の振幅に応じた値である。
【0072】
情報取得部102は、加工制御部101から取得した振動情報である振動データ61の最大振動値62が予め定められた許容値以上であると判断すると、加工状態測定ユニット50による加工状態情報51の再取得を行う。なお、情報取得部102は、加工状態測定ユニット50による加工状態情報51の再取得は、実施形態1と同様に、加工状態測定ユニット50により加工状態情報51を取得した加工溝208の隣りの加工溝208の加工状態情報51を加工状態測定ユニット50で取得することで実施しても良く、加工状態測定ユニット50により加工状態情報51を取得した加工溝208と同一の加工溝208の加工状態情報51を加工状態測定ユニット50で取得することで実施しても良い。
【0073】
また、実施形態1の変形例では、加工状態振動情報300を取得する際には、加工装置1は、制御ユニット100の情報取得部102が実施形態1と同様に、加工状態測定ユニット50によって被加工物200の加工状態情報51を取得するとともに、加工状態情報51を取得している間に発生している加工装置1の振動に関する振動情報である振動データ61を取得し、取得した加工状態情報51と振動データ61の最大振動値62とを1対1で紐づけて、加工状態振動情報300-1として記憶部103に記憶する。
【0074】
また、実施形態1の変形例では、加工装置1は、制御ユニット100の情報取得部102が振動測定ユニット60により取得された振動情報である振動データ61の最大振動値62が予め定められた許容値以上であると判断すると、加工状態測定ユニット50による加工状態情報51の再取得を行い、再取得した加工状態情報51と振動情報である振動データ61の最大振動値62とを1対1で紐づけて、加工状態振動情報300-1として記憶部103に記憶する。
【0075】
実施形態1の変形例に係る加工装置1は、加工状態情報51と振動情報である振動データ61の最大振動値62とを1対1で紐づけて加工状態振動情報300-1として記憶部103に記憶し、加工状態情報51に紐づけられた振動データ61の最大振動値62が許容値以上であるか否かを判断して、最大振動値62が許容値以上の信頼性の低い加工状態情報51を取得した際のみ加工状態情報51の再取得を実施する。その結果、実施形態1の変形例に係る加工装置1は、実施形態1と同様に、生産性の低下を抑制しつつ、信頼性の高い加工状態情報51を取得することが可能になるという効果を奏する。
【0076】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2に係る加工装置を図面に基づいて説明する。
図7は、実施形態2に係る加工装置の構成例を示す斜視図である。なお、
図7において、実施形態1と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0077】
実施形態2に係る加工装置1は、
図7に示すように、記憶部103が相関関係104を記憶している。相関関係104は、加工状態測定ユニット50の振動がない状態で取得した加工状態情報51と、加工状態測定ユニット50の振動がある状態で取得した加工状態情報51との関係を示している。なお、加工状態測定ユニット50の振動がない状態で取得した加工状態情報51とは、加工状態測定ユニット50と保持ユニット10以外の構成要素が非動作の状態で、静止した保持ユニット10に保持された被加工物200の加工溝208に関する情報を加工状態測定ユニット50が測定して取得された加工状態情報51である。
【0078】
また、実施形態2では、加工状態測定ユニット50の振動がある状態で取得した加工状態情報51とは、振動情報である加工装置1の動作状況301が前述した所定の動作状況302である場合に、保持ユニット10に保持された被加工物200の加工溝208に関する情報を加工状態測定ユニット50が測定して取得された加工状態情報51である。実施形態2では、相関関係104は、加工状態測定ユニット50の振動がない状態で取得した加工状態情報51の加工溝208の深さよりも加工状態測定ユニット50の振動がある状態で取得した加工状態情報51の加工溝208の深さを所定深さ浅いと規定する加工状態情報51同士の関係である。
【0079】
実施形態2では、加工状態振動情報300を取得する際には、加工装置1は、制御ユニット100の情報取得部102が実施形態1と同様に、加工状態測定ユニット50によって被加工物200の加工状態情報51を取得するとともに、加工状態情報51を取得している間に発生している加工装置1の振動に関する振動情報である加工装置1の動作状況301を取得し、取得した加工状態情報51と振動情報である加工装置1の動作状況301とを1対1で紐づけて、加工状態振動情報300として記憶部103に記憶する。
【0080】
また、実施形態2では、加工装置1は、制御ユニット100の情報取得部102が加工制御部101から取得した振動情報である加工装置1の動作状況301が予め定められた所定の動作状況302であると判断すると、相関関係104に基づいて、加工状態測定ユニット50により取得した加工状態情報51を振動がない状態で取得した加工状態情報51へと補正する。実施形態2では、制御ユニット100の情報取得部102が加工状態測定ユニット50により取得した加工状態情報51の加工溝208の深さを相関関係104で規定された所定深さ浅く補正する。
【0081】
実施形態2に係る加工装置1は、加工状態情報51と振動情報である加工装置1の動作状況301とを1対1で紐づけて加工状態振動情報300として記憶部103に記憶し、加工状態情報51に紐づけられた加工装置1の動作状況301が所定の動作状況302であるか否かを判断して、所定の動作状況302であると判断した信頼性の低い加工状態情報51を相関関係104に基づいて振動がない状態で取得した加工状態情報51へと補正する。その結果、実施形態に係る加工装置1は、生産性の低下を抑制しつつ、信頼性の高い加工状態情報51を取得することが可能になるという効果を奏する。
【0082】
〔変形例〕
本発明の実施形態2の変形例に係る加工装置を図面に基づいて説明する。
図8は、実施形態2の変形例に係る加工装置の構成例を示す図である。
図9は、
図8に示された加工装置の制御ユニットの記憶部が記憶した相関関係の他の例を模式的に示す図である。なお、
図8において、実施形態1の変形例、及び実施形態2と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0083】
実施形態2の変形例に係る加工装置1は、
図8に示すように、実施形態1の変形例と同様に、振動測定ユニット60を備えている。また、実施形態2の変形例に係る加工装置1は、実施形態2と同様に、制御ユニット100の記憶部103が相関関係104を記憶している。
【0084】
実施形態2の変形例では、加工状態振動情報300を取得する際には、加工装置1は、制御ユニット100の情報取得部102が実施形態1の変形例と同様に、加工状態測定ユニット50によって被加工物200の加工状態情報51を取得するとともに、加工状態情報51を取得している間に発生している加工装置1の振動に関する振動情報である振動データ61を取得し、取得した加工状態情報51と振動情報である振動データ61の最大振動値62とを1対1で紐づけて、加工状態振動情報300-1として記憶部103に記憶する。
【0085】
また、実施形態2の変形例では、加工装置1は、制御ユニット100の情報取得部102が振動測定ユニット60により取得した振動情報である振動データ61の最大振動値62が許容値以上であると判断すると、相関関係104に基づいて、加工状態測定ユニット50により取得した加工状態情報51を振動がない状態で取得した加工状態情報51へと補正する。実施形態2の変形例では、制御ユニット100の情報取得部102が加工状態測定ユニット50により取得した加工状態情報51の加工溝208の深さを相関関係104で規定された所定深さ浅く補正する。
【0086】
実施形態2の変形例に係る加工装置1は、加工状態情報51と振動情報である振動データ61の最大振動値62とを1対1で紐づけて加工状態振動情報300-1として記憶部103に記憶し、加工状態情報51に紐づけられた振動データ61の最大振動値62が許容値以上であるか否かを判断して、許容値以上であると判断した信頼性の低い加工状態情報51を相関関係104に基づいて振動がない状態で取得した加工状態情報51へと補正する。その結果、実施形態2の変形例に係る加工装置1は、生産性の低下を抑制しつつ、信頼性の高い加工状態情報51を取得することが可能になるという効果を奏する。
【0087】
また、実施形態2の変形例に係る加工装置1は、例えば、記憶部103が
図9に示された相関関係104-1を記憶し、情報取得部102が加工状態測定ユニット50により取得された加工状態情報51を相関関係104-1に基づいて振動がない状態で取得した加工状態情報51へと補正しても良い。
図9に示された相関関係104-1は、振動測定ユニット60により取得された振動データ61の最大振動値62と、加工状態測定ユニット50により取得された加工状態情報51を振動がない状態で取得した加工状態情報51へと補正する際の補正値63との関係である。なお、
図9の横軸は、振動測定ユニット60により取得された振動データ61の最大振動値62であり、
図9の縦軸は、前述した補正値63である。従って、
図9に例示された相関関係104-1は、振動データ61の最大振動値62が大きくなるにしたがって補正値63を大きくすることを規定している。
【0088】
この場合、加工装置1は、制御ユニット100の情報取得部102が、振動データ61の最大振動値62が許容値以上であるか否かを判断することなく、相関関係104-1に基づいて、加工状態測定ユニット50により取得した加工状態情報51を振動がない状態で取得した加工状態情報51へと補正する。具体的には、実施形態2の変形例では、加工装置1は、制御ユニット100の情報取得部102が加工状態測定ユニット50により取得した加工状態情報51の加工溝208の深さを、相関関係104-1で振動情報である振動データ61の最大振動値62に対応付けられた補正値63分浅く補正する。
【0089】
なお、実施形態2及び実施形態2の変形例では、相関関係104,104-1に基づいて加工状態測定ユニット50により取得した加工状態情報51の加工溝208の深さを補正している。しかしながら、本発明では、加工装置1は、制御ユニット100の情報取得部102が加工溝208の深さに限らず、加工溝208の表面202における最小の幅、加工溝208の表面202における最大の幅、加工溝208の底面の幅、加工溝208の表面202から底面寄りに所定距離の位置の幅等を補正しても良い。
【0090】
〔実施形態3〕
本発明の実施形態3に係る加工装置を図面に基づいて説明する。
図10は、実施形態3に係る加工装置の構成例を示す斜視図である。なお、
図10において、実施形態1及び実施形態2と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0091】
実施形態3に係る加工装置1は、
図10に示すように、記憶部103が基準判定基準105を記憶している。基準判定基準105は、振動情報である加工装置1の動作状況301が所定の動作状況302ではないと判断された場合に、被加工物200の加工状態情報51から加工結果の良否を判定する判定基準である。実施形態3では、基準判定基準105は、加工溝208の深さの下限値と上限値とが定められ、加工溝208の深さが下限値以上でかつ上限値以下の加工結果を良好であると判定し、加工溝208の深さが下限値未満でかつ上限値を超える加工結果を不良である判定する判定基準である。
【0092】
実施形態3では、加工状態振動情報300を取得する際には、加工装置1は、制御ユニット100の情報取得部102が実施形態1と同様に、加工状態測定ユニット50によって被加工物200の加工状態情報51を取得するとともに、加工状態情報51を取得している間に発生している加工装置1の振動に関する振動情報である加工装置1の動作状況301を取得し、取得した加工状態情報51と振動情報である加工装置1の動作状況301とを1対1で紐づけて、加工状態振動情報300として記憶部103に記憶する。
【0093】
また、実施形態3では、加工装置1は、制御ユニット100の情報取得部102が記憶部103から基準判定基準105を取得し、加工制御部101から取得した振動情報である加工装置1の動作状況301が予め定められた所定の動作状況302であるか否かを判断する。実施形態3では、加工装置1は、制御ユニット100の情報取得部102が加工制御部101から取得した振動情報である加工装置1の動作状況301が予め定められた所定の動作状況302であると判断すると、基準判定基準105の下限値を予め定められた所定値減少させて新たな修正下限値を生成し、基準判定基準105の上限値を予め定められた所定値増加させて新たな修正上限値を生成して、基準判定基準105を修正判定基準に設定する。
【0094】
なお、修正判定基準は、被加工物200の加工状態情報51から加工結果の良否を判定する判定基準であり、加工溝208の深さが修正下限値以上でかつ修正上限値以下の加工結果を良好であると判定し、加工溝208の深さが修正下限値未満でかつ修正上限値を超える加工結果を不良である判定する判定基準である。
【0095】
実施形態3では、制御ユニット100の情報取得部102が、加工制御部101から取得した振動情報である加工装置1の動作状況301が予め定められた所定の動作状況302であると判断すると、加工状態測定ユニット50により取得された加工状態情報51が修正判定基準内であるか否かを判断する。実施形態3では、制御ユニット100の情報取得部102が、修正判定基準内であると判断すると、被加工物200の加工溝208の加工結果を良好であると判定し、修正判定基準内ではないと判断すると、被加工物200の加工溝208の加工結果を不良であると判定する。
【0096】
実施形態3では、制御ユニット100の情報取得部102が、加工制御部101から取得した振動情報である加工装置1の動作状況301が予め定められた所定の動作状況302ではないと判断すると、加工状態測定ユニット50により取得された加工状態情報51が基準判定基準105内であるか否かを判断する。実施形態3では、制御ユニット100の情報取得部102が、基準判定基準105内であると判断すると、被加工物200の加工溝208の加工結果を良好であると判定し、基準判定基準105内ではないと判断すると、被加工物200の加工溝208の加工結果を不良であると判定する。
【0097】
実施形態3では、制御ユニット100の情報取得部102が、被加工物200の加工溝208の加工結果を不良と判定すると、報知ユニットを動作させて、オペレータに報知する。こうして、実施形態3では、制御ユニット100は、被加工物200の加工状態情報51から加工結果の良否を判定する判定基準を設定可能に構成され、判定基準が加工状態情報に紐づけられた振動情報である加工装置1の動作状況301の振動の程度によって変動可能に構成されている。
【0098】
実施形態3に係る加工装置1は、加工状態情報51と振動情報である加工装置1の動作状況301とを1対1で紐づけて加工状態振動情報300として記憶部103に記憶し、加工状態情報51から加工結果の良否を判定する。また、実施形態3に係る加工装置1は、加工状態情報51に紐づけられた加工装置1の動作状況301が所定の動作状況302であるか否かを判断して、所定の動作状況302であると判断した信頼性の低い加工状態情報51の加工結果の修正判定基準を、所定の動作状況302ではないと判断した信頼性の高い加工状態情報51の加工結果の基準判定基準105よりも広く設定するので、実際には良好な加工溝208が形成されている場合に、誤って加工結果を不良と判定して、報知ユニットが動作することを抑制できる。その結果、実施形態3に係る加工装置1は、生産性の低下を抑制しつつ、信頼性の高い加工状態情報51を取得することが可能になるという効果を奏する。
【0099】
〔変形例〕
本発明の実施形態3の変形例に係る加工装置を図面に基づいて説明する。
図11は、実施形態3の変形例に係る加工装置の構成例を示す図である。
図11において、実施形態1の変形例、及び実施形態3と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0100】
実施形態3の変形例に係る加工装置1は、
図11に示すように、実施形態1の変形例と同様に、振動測定ユニット60を備えている。また、実施形態3の変形例に係る加工装置1は、実施形態3と同様に、制御ユニット100の記憶部103が基準判定基準105を記憶している。
【0101】
実施形態3の変形例では、加工状態振動情報300を取得する際には、加工装置1は、制御ユニット100の情報取得部102が実施形態1の変形例と同様に、加工状態測定ユニット50によって被加工物200の加工状態情報51を取得するとともに、加工状態情報51を取得している間に発生している加工装置1の振動に関する振動情報である振動データ61を取得し、取得した加工状態情報51と振動情報である振動データ61の最大振動値62とを1対1で紐づけて、加工状態振動情報300-1として記憶部103に記憶する。
【0102】
また、実施形態3の変形例では、加工装置1は、制御ユニット100の情報取得部102が記憶部103から基準判定基準105を取得し、振動測定ユニット60により取得した振動情報である振動データ61の最大振動値62が許容値以上であるか否かを判断する。実施形態3では、加工装置1は、制御ユニット100の情報取得部102が記憶部103から基準判定基準105を取得し、振動測定ユニット60により取得した振動情報である振動データ61の最大振動値62が許容値以上であると判断すると、基準判定基準105の下限値を予め定められた所定値減少させて新たな修正下限値を生成し、基準判定基準105の上限値を予め定められた所定値増加させて新たな修正上限値を生成して、基準判定基準105を修正判定基準に設定する。
【0103】
なお、修正判定基準は、被加工物200の加工状態情報51から加工結果の良否を判定する判定基準であり、加工溝208の深さが修正下限値以上でかつ修正上限値以下の加工結果を良好であると判定し、加工溝208の深さが修正下限値未満でかつ修正上限値を超える加工結果を不良である判定する判定基準である。
【0104】
実施形態3の変形例では、制御ユニット100の情報取得部102が、振動測定ユニット60により取得した振動情報である振動データ61の最大振動値62が許容値以上であると判断すると、加工状態測定ユニット50により取得された加工状態情報51が修正判定基準内であるか否かを判断する。実施形態3の変形例では、制御ユニット100の情報取得部102が、修正判定基準内であると判断すると、被加工物200の加工溝208の加工結果を良好であると判定し、修正判定基準内ではないと判断すると、被加工物200の加工溝208の加工結果を不良であると判定する。
【0105】
実施形態3の変形例では、加工装置1は、制御ユニット100の情報取得部102が振動測定ユニット60により取得した振動情報である振動データ61の最大振動値62が許容値以上ではないと判断すると、加工状態測定ユニット50により取得された加工状態情報51が基準判定基準105内であるか否かを判定する。実施形態3の変形例では、制御ユニット100の情報取得部102が、基準判定基準105内であると判断すると、被加工物200の加工溝208の加工結果を良好であると判定し、基準判定基準105内ではないと判断すると、被加工物200の加工溝208の加工結果を不良であると判定する。
【0106】
実施形態3の変形例では、制御ユニット100の情報取得部102が、被加工物200の加工溝208の加工結果を不良と判定すると、報知ユニットを動作させて、オペレータに報知する。こうして、実施形態3の変形例では、制御ユニット100は、実施形態3と同様に、被加工物200の加工状態情報から加工結果の良否を判定する判定基準を設定可能に構成され、判定基準が加工状態情報に紐づけられた振動情報である加工装置1の動作状況の振動の程度によって変動可能に構成されている。
【0107】
実施形態3の変形例に係る加工装置1は、加工状態情報51と振動情報である振動データ61の最大振動値62とを1対1で紐づけて加工状態振動情報300-1として記憶部103に記憶し、加工状態情報51の加工結果の良否を判定する。また、実施形態3の変形例に係る加工装置1は、加工状態情報51に紐づけられた振動データ61の最大振動値62が許容値以上であるか否かを判断して、許容値以上であると判断した信頼性の低い加工状態情報51の加工結果の修正判定基準を、許容値以上ではないと判断した信頼性の高い加工状態情報51の加工結果の基準判定基準105よりも広く設定するので、実際には良好である加工溝208が形成されている場合に、誤って加工結果を不良と判定して、報知ユニットが動作することを抑制できる。その結果、実施形態3の変形例に係る加工装置1は、生産性の低下を抑制しつつ、信頼性の高い加工状態情報51を取得することが可能になるという効果を奏する。
【0108】
なお、実施形態3及び実施形態3の変形例では、加工装置1は、制御ユニット100の情報取得部102が加工状態情報51の加工溝208の深さが修正判定基準内である又は基準判定基準105内であると判断すると、被加工物200の加工溝208の加工結果を良好であると判断する。また、実施形態3及び実施形態3の変形例では、加工装置1は、制御ユニット100の情報取得部102が加工状態情報51の加工溝208の深さが修正判定基準内ではない又は基準判定基準105内ではないと判断すると、被加工物200の加工溝208の加工結果を不良であると判定する。しかしながら、本発明では、加工装置1は、制御ユニット100の情報取得部102が加工溝208の深さに限らず、加工溝208の表面202における最小の幅、加工溝208の表面202における最大の幅、加工溝208の底面の幅、加工溝208の表面202から底面寄りに所定距離の位置の幅等が、修正判定基準内であるか否か又は基準判定基準105内であるか否かを判断して、加工結果の良否を判定しても良い。
【0109】
また、実施形態3及び実施形態3の変形例では、加工装置1は、制御ユニット100の情報取得部102が修正判定基準を生成したが、本発明では、オペレータが修正判定基準を任意に設定しても良い。
【0110】
なお、本発明は、上記実施形態に等限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。本発明では、加工装置1は、被加工物200の基板201に対して透過性を有する波長のパルス状のレーザービーム21を照射して、分割予定ライン203に分割予定ライン203に沿って改質層(加工痕に相当)を形成しても良い。なお、改質層とは、密度、屈折率、機械的強度やその他の物理的特性が周囲のそれとは異なる状態になった領域のことを意味し、溶融処理領域、クラック領域、絶縁破壊領域、屈折率変化領域、及びこれらの領域が混在した領域等を例示できる。この場合、加工状態測定ユニット50が例えば赤外線カメラにより構成されて、改質層の2次元形状(平面形状ともいう)を加工状態情報51として取得しても良く、改質層から表面202に伸展した亀裂の2次元形状(平面形状ともいう)を加工状態情報51として取得しても良い。また、本発明は、振動測定ユニット60で振動データ61を取得するとともに、動作状況も取得してもよい。
【0111】
また、前述した実施形態1では、加工装置1は、カーフチェックの実施後に加工状態振動情報300を取得し、記憶部103に記憶したが、本発明では、加工状態振動情報300の取得等を行うタイミングは、これに限定されない。例えば、本発明では、加工装置1は、各被加工物200の全ての分割予定ライン203にレーザー加工を施した後に、加工状態測定ユニット50により被加工物200の予め定められた位置の加工状態情報51を取得して、加工状態振動情報300を取得し、記憶部103に記憶しても良く、例えば、1ロッドの被加工物200のレーザー加工終了後に、加工状態測定ユニット50により被加工物200の予め定められた位置の加工状態情報51を取得して、加工状態振動情報300を取得し、記憶部103に記憶しても良い。また、本発明では、加工状態測定ユニット50により被加工物200の予め定められた位置の加工状態情報51を取得する際、被加工物200の表面202に保護膜が形成されていても良く、保護膜が形成されていなくても良い。また、本発明は、加工状態情報51を取得する被加工物200の予め定められた位置は、分割予定ライン203にTEG(Test Elementary Group)などの金属が存在する位置、存在しない位置など複数定められても良い。
【符号の説明】
【0112】
1 加工装置
10 保持ユニット
20 レーザービーム照射ユニット(加工ユニット)
30 移動ユニット
50 加工状態測定ユニット
51 加工状態情報
60 振動測定ユニット
61 振動データ(振動情報)
62 最大振動値(振動値)
100 制御ユニット
104,104-1 相関関係
105 基準判定基準(判定基準)
200 被加工物
301 動作状況(振動情報)
302 所定の動作状況