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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182028
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】液体付与方法および液体付与装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/18 20060101AFI20231219BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20231219BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
B41J2/18
B41J2/01 301
B41J2/01 451
B41J2/01 401
B41J29/38 104
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095400
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】林田 幸英
【テーマコード(参考)】
2C056
2C061
【Fターム(参考)】
2C056EA26
2C056EB29
2C056EB59
2C056EC12
2C056EC15
2C056KB16
2C061AQ05
2C061AS06
2C061HH01
2C061HV19
2C061HV44
2C061HV45
(57)【要約】
【課題】所定の経路で液体を循環させる循環動作の不意の停止に伴う、液体の劣化、および液体を扱う装置の劣化を抑制する。
【解決手段】
液体付与装置により行われる液体付与方法であって、前記液体付与装置は、基材に液体を付与する液体付与部と、前記液体を所定の経路で循環させる循環駆動部と、主電源から電力を供給され、少なくとも前記液体付与部および前記循環駆動部を制御する制御部と、を備え、前記制御部により、少なくとも前記液体付与部および前記循環駆動部が動作する第1動作モードの状態において前記主電源に異常が生じたとき、前記液体付与部における前記基材への液体付与動作を行わず、且つ前記循環駆動部における循環駆動動作を行う第2動作モードに動作モードを切り替えるモード切替工程を有する。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体付与装置により行われる液体付与方法であって、
前記液体付与装置は、
基材に液体を付与する液体付与部と、
前記液体を所定の経路で循環させる循環駆動部と、
主電源から電力を供給され、少なくとも前記液体付与部および前記循環駆動部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部により、少なくとも前記液体付与部および前記循環駆動部が動作する第1動作モードの状態において前記主電源に異常が生じたとき、前記液体付与部における前記基材への液体付与動作を行わず、且つ前記循環駆動部における循環駆動動作を行う第2動作モードに動作モードを切り替えるモード切替工程を有する液体付与方法。
【請求項2】
請求項1記載の液体付与方法において、
前記液体付与装置は、前記制御部に電力を供給可能な無停電電源装置をさらに備え、
前記制御部は、前記無停電電源装置の電力残量に応じて、前記第1動作モードまたは前記第2動作モードから、前記循環駆動部を定値制御で動作させる第3動作モードに切り替える液体付与方法。
【請求項3】
請求項2記載の液体付与方法において、前記制御部は、前記無停電電源装置の電力残量に応じて、前記第1動作モードまたは前記第2動作モードから、前記循環駆動部を間欠動作させる第4動作モードに切り替える液体付与方法。
【請求項4】
請求項2記載の液体付与方法において、前記循環駆動部は、前記所定の経路を循環する液体を前記所定の経路から排出する排出部と、前記所定の経路内の液体を置換する置換部を備え、前記制御部は、前記無停電電源装置の電力残量に応じて、前記第1動作モードまたは前記第2動作モードから、前記所定の経路内の液体を前記排出部に排出し且つ前記置換部の液体に置換する第5動作モードに切り替える液体付与方法。
【請求項5】
請求項2記載の液体付与方法において、前記循環駆動部は、前記所定の経路を循環する液体を前記所定の経路から排出する排出部を備え、前記制御部は、前記無停電電源装置の電力残量に応じて、前記第1動作モードまたは前記第2動作モードから、前記所定の経路内の液体を前記排出部に排出する第6動作モードに切り替える液体付与方法。
【請求項6】
請求項2記載の液体付与方法において、前記制御部は、前記無停電電源装置の電力残量に応じて、前記液体付与部および前記循環駆動部の動作を停止させる第7動作モードに切り替える液体付与方法。
【請求項7】
請求項1記載の液体付与方法において、前記制御部は、前記主電源の異常が解消されたとき、動作モードを前記第1動作モードに切り替える液体付与方法。
【請求項8】
請求項1記載の液体付与方法において、前記基材の搬送を行うとともに、前記制御部により制御される基材搬送部を備え、
前記制御部は、前記基材搬送部による前記基材の搬送を停止させた後、前記第1動作モードから前記第2動作モードへの切り替えを開始する液体付与方法。
【請求項9】
請求項8記載の液体付与方法において、前記制御部は、動作モードの履歴を記憶する記憶部を備え、前記主電源の異常が解消されたとき、前記制御部は前記記憶部に記憶された履歴に基づき前記基材搬送部を制御する液体付与方法。
【請求項10】
請求項1記載の液体付与方法において、前記液体付与部は、前記所定の経路に接続されてフロースルー循環を形成する経路を有する液体付与方法。
【請求項11】
請求項1記載の液体付与方法において、前記基材は電極素子であり、前記液体付与部は前記電極素子に前記液体を付与して前記電極素子に機能層を形成する液体付与方法。
【請求項12】
基材に液体を付与する液体付与部と、
前記液体を所定の経路で循環させる循環駆動部と、
主電源から電力を供給され、少なくとも前記液体付与部および前記循環駆動部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、少なくとも前記液体付与部および前記循環駆動部が動作する第1動作モードの状態において前記主電源に異常が生じたとき、前記液体付与部における前記基材への液体付与動作を行わず、且つ前記循環駆動部における循環駆動動作を行う第2動作モードに動作モードを切り替える動作モード切替部を備える液体付与装置。
【請求項13】
請求項12記載の液体付与装置において、前記制御部に電力を供給可能な無停電電源装置を備える液体付与装置。
【請求項14】
請求項12記載の液体付与装置において、前記基材の搬送を行うとともに、前記制御部により制御される基材搬送部を備え、
前記動作モード切替部は、前記基材搬送部による前記基材の搬送が停止した後に、前記第1動作モードから前記第2動作モードに動作モードを切り替える液体付与装置。
【請求項15】
請求項14記載の液体付与装置において、前記制御部は、動作モードの履歴を記憶する記憶部を備え、前記主電源の異常が解消されたとき、前記制御部は前記記憶部に記憶された履歴に基づき前記基材搬送部を制御する液体付与装置。
【請求項16】
請求項12記載の液体付与装置において、前記液体付与部は、前記所定の経路に接続されてフロースルー循環を形成する経路を有する液体付与装置。
【請求項17】
請求項12記載の液体付与装置において、前記基材は電極素子であり、前記液体付与部は前記電極素子に前記液体を付与して前記電極素子に機能層を形成する液体付与装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体付与方法および液体付与装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、インク循環部と制御部とに電気を供給する電源部を有するインクジェット記録装置が記載されている。電源部は、商用電源から供給される交流を直流に変換する電源ユニットと、電源ユニットが変換した直流を蓄電し、電源ユニットから供給される直流の電気が停止する停電に際し、インク循環部と制御部に直流の電気を供給する直流電源バックアップ回路と、停電を検知し制御部に停電の発生を知らせる停電検知回路とを有する。また、停電検知回路が停電を検知したら、制御部はノズルの洗浄や、処理中のデータ等を記録装置に退避保存させる必要最小限の指示をする停電プログラムを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-341555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、所定の経路で液体を循環させる循環動作の不意の停止に伴い、液体および液体を扱う装置が劣化することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、液体付与装置により行われる液体付与方法であって、前記液体付与装置は、基材に液体を付与する液体付与部と、前記液体を所定の経路で循環させる循環駆動部と、主電源から電力を供給され、少なくとも前記液体付与部および前記循環駆動部を制御する制御部と、を備え、前記制御部により、少なくとも前記液体付与部および前記循環駆動部が動作する第1動作モードの状態において前記主電源に異常が生じたとき、前記液体付与部における前記基材への液体付与動作を行わず、且つ前記循環駆動部における循環駆動動作を行う第2動作モードに動作モードを切り替えるモード切替工程を有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、所定の経路で液体を循環させる循環動作の不意の停止に伴う、液体の劣化、および液体を扱う装置の劣化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態に係る液体付与装置の全体構成図。
図2】液体吐出ヘッドの一例を示す概略分解図。
図3】液体吐出ヘッドの流路構成の一例を示す説明図。
図4】液体吐出ヘッドの流路構成の一例を示す断面斜視図。
図5】電極素子の一例を示す断面図。
図6】電極素子の作製工程の一例を示す説明図。
図7】制御の概要を示す説明図。
図8】主電源遮断時の対応例を示すフローチャート。
図9】主電源復帰時の対応例を示すフローチャート。
図10】動作モードの説明図。
図11】第1の実施形態を示す説明図。
図12】第1の実施形態を示す説明図。
図13】第2の実施形態を示す説明図。
図14】第3の実施形態を示す説明図。
図15】印刷部の変形例を示す説明図。
図16図15の印刷部における電極素子の作製工程の一例を示す説明図。
図17】液体吐出ヘッドの変形例を示す説明図。
図18図16の液体吐出ヘッドを複数並べた場合の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら発明を実施するための形態を説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0009】
<液体付与装置の概略>
はじめに図1を用いて液体付与装置の概略を説明する。図1は本発明の実施形態に係る液体付与装置の全体構成図である。
【0010】
例示された液体付与装置は、基材Wの表面に液体(液体組成物)を付与して機能層を形成することにより、一次電池、二次電池、キャパシタ等の電気化学素子に含まれる電極を製造する装置である。
【0011】
電極を製造する装置は、例えば、液体組成物として樹脂層または無機層作製用インクとしての液体インクを用いて、基材Wの一例としての電極素子の表面に樹脂層または無機層を形成するものである。つまり、電極を製造する装置は、樹脂層または無機層作製用インクを用いて、金属箔の表面、または金属箔上に塗工された合材層の表面の少なくともいずれか一方に対し、樹脂層または無機層を形成する。なお、本発明において電極素子とは、電極を製造する装置において液体インクが付与される対象であり、液体インクが付与されることで形成される電極の前駆体を表す。
【0012】
図1において、電極製造装置1000は、供給部200、印刷部400、乾燥部600、巻取部800および制御部900等を備える。
【0013】
供給部200は、ロール状に巻かれた基材Wを支持する支持ローラ211と、支持ローラ211から繰り出された基材Wを印刷部400へ搬送するガイドローラ212,213を備える。
【0014】
印刷部400は、供給部200から送られる基材Wを搬送する搬送部410と、搬送部410により搬送される基材Wの表面にインクを付与するインクジェット部420を備える。また、印刷部400は、印刷部400の内部を負圧状態にして、印刷部400内の空気を吸引する吸気部417を備える。
【0015】
乾燥部600は、印刷部400から送られる基材W表面のインクを乾燥させる乾燥炉610と、乾燥炉610から送り出される基材Wを搬送するガイドローラ611を備える。乾燥炉610は、基材W表面のインクを加熱してインク中の残溶媒を乾燥させたり、インクの硬化を促進したりする機能を有する。
【0016】
巻取部800は、乾燥部600から送られる基材Wを搬送するガイドローラ811,812と、ガイドローラ812から送られる基材Wを巻き取る巻取ローラ813を備える。
【0017】
印刷部400においてインクジェット部420は、インクジェットモジュール421を備える。インクジェットモジュール421は、基材Wに向けてインクを吐出し、基材Wの表面にインクを付与する液体吐出ヘッド101(以下、ヘッドと称する)を、基材Wの搬送方向に沿って複数備える。
【0018】
搬送部410は、基材Wを搬送するベルト413と、ベルト413を巻き付けて駆動するベルト駆動ローラ411と、ベルト413を張架して連れ回るベルト従動ローラ412を備える。
【0019】
ベルト413は、ベルト駆動ローラ411の回転により循環搬送されるため、基材Wはベルト413が回転する速度とほぼ同速度で搬送される。
【0020】
吸気部417は、印刷部400の内部を負圧状態にすることで印刷部400内に気流を生じさせて、ヘッド101のインク吐出に伴い発生するインクミストの浮遊などを抑制する。
【0021】
電極製造装置1000は、ヘッド101から吐出されるインクの成分によっては、印刷部400と乾燥部600の間に、紫外線により基材W表面のインク層を樹脂層に硬化させる硬化部(照射部)を備えた構成としてもよい。このようなインクとしては例えばモノマーといった重合性化合物を成分として有するものが挙げられる。
【0022】
なお、基材Wは、図示されたような長尺物の形態に限るものではなく、予め所定のサイズに裁断された形態であってもよい。
【0023】
また、電極製造装置1000は、定位置のヘッド101に対して基材Wを移動させ、基材Wにインクを付与する、いわゆるライン型の装置構成を例示したが、ライン型に限るものではない。ヘッド101と基材Wは相対的に移動する構成であればよく、例えば、間欠送りされる基材Wに対してヘッド101を基材Wの搬送方向と直交する方向へ移動させ、基材Wにインクを付与する、いわゆるシリアル型の装置構成でもよい。または、基材載置テーブルに保持された基材に対してヘッド101をXY方向へ移動させ、基材にインクを付与する、いわゆるフラットベッド型の装置構成でもよい。
【0024】
<液体吐出ヘッドの構成>
次に、図2図4を用いて液体吐出ヘッドの構成を説明する。図2は液体吐出ヘッドの一例を示す概略分解図、図3は液体吐出ヘッドの流路構成の一例を示す説明図、図4は液体吐出ヘッドの流路構成の一例を示す断面斜視図である。
【0025】
ヘッド101は、ノズル板10、流路板(個別流路部材)20、振動板部材30、共通流路部材50、ダンパ部材60、フレーム部材80および駆動回路104を実装した基板(フレキシブル配線基板)105などを備える。
【0026】
ノズル板10は、インクを吐出する複数のノズル11を備え、複数のノズル11は、ノズル板短手方向およびこれと直交するノズル板長手方向に二次元状に並んで配置されている。
【0027】
流路板20には、複数のノズル11に各々連通する複数の液室(個別圧力室)21と、複数の液室21に各々通じる複数の供給流路(個別供給流路)22および回収流路(個別回収流路)23とが設けられている。なお、以降の説明では便宜上、1つの液室21と、当該液室21に通じる供給流路22および回収流路23とを併せて個別流路25とも称する。
【0028】
振動板部材30は、液室21の変形が可能な壁面である振動板31を形成し、振動板31には圧電素子40が一体に設けられている。振動板部材30には、供給流路22に通じる供給側開口32と、回収流路23に通じる回収側開口33とが形成されている。圧電素子40は、振動板31を変形させて液室21内のインクを加圧する。
【0029】
なお、流路板20と振動板部材30は、別部材であることに限定されるものではない。例えばSOI(Silicon on Insulator)基板を使用して流路板20および振動板部材30を同一部材で一体に形成することも可能である。
【0030】
つまり、シリコン基板上に、シリコン酸化膜、シリコン層、シリコン酸化膜の順に成膜されたSOI基板を使用し、シリコン基板を流路板20とし、シリコン酸化膜、シリコン層およびシリコン酸化膜で振動板31を形成できる。この構成では、SOI基板のシリコン酸化膜、シリコン層およびシリコン酸化膜の層構成が振動板部材30となる。このように、振動板部材30は流路板20の表面に成膜された材料で構成されるものを含む。
【0031】
共通流路部材50は、2以上の供給流路22に通じる複数の共通供給流路支流52と、2以上の回収流路23に通じる複数の共通回収流路支流53とを、ノズル板長手方向において交互に隣接して形成している。共通流路部材50には、供給流路22の供給側開口32と共通供給流路支流52を通じる供給口54となる貫通孔と、回収流路23の回収側開口33と共通回収流路支流53を通じる回収口55となる貫通孔が形成されている。
【0032】
共通流路部材50は、複数の共通供給流路支流52に通じる1または複数の共通供給流路本流56と、複数の共通回収流路支流53に通じる1または複数の共通回収流路本流57を形成している。
【0033】
ダンパ部材60は、共通供給流路支流52の供給口54と対面する供給側ダンパ62と、共通回収流路支流53の回収口55と対面する回収側ダンパ63を備える。共通供給流路支流52および共通回収流路支流53は、同じ部材である共通流路部材50に交互に並べて配列された溝部を、ダンパ部材60の供給側ダンパ62または回収側ダンパ63で封止することで構成している。なお、ダンパ部材60のダンパ材料としては、有機溶剤に強い金属薄膜または無機薄膜を用いることが好ましい。ダンパ部材60の供給側ダンパ62、回収側ダンパ63の部分の厚みは10μm以下が好ましい。
【0034】
共通供給流路支流52と共通回収流路支流53の内壁面、および共通供給流路本流56と共通回収流路本流57の内壁面には、流路内を流れるインクに対して内壁面を保護するための保護膜が形成されている。例えば、共通供給流路支流52と共通回収流路支流53の内壁面、および共通供給流路本流56と共通回収流路本流57の内壁面は、Si基板が熱処理されることで、表面に酸化シリコン膜が形成される。酸化シリコン膜の上にはインクに対してSi基板の表面を保護するタンタルシリコン酸化膜が形成される。
【0035】
フレーム部材80は、その上部に供給ポート81と排出ポート82を備える。供給ポート81は共通供給流路本流56にインクを供給し、排出ポート82は共通回収流路本流57より排出されるインクを排出する。
【0036】
共通供給流路本流56から個別流路25に供給されたインクのうち、ノズル11から吐出されなかったインクを共通回収流路本流57に戻してインク循環を可能にしたヘッドは、フロースルー(flow through)型ヘッドとも呼ばれる。ヘッド101に対してインクを常に循環させることで個別流路25の圧力室(液室)21内に混入した気泡の排出性の向上、およびインクの特性変化の抑制を図ることができる。ここで、ヘッド101は「液体付与部」の一例である。
【0037】
<電極素子の構成>
次に、図5を用いて電極素子の構成を説明する。図5は電極素子の一例を示す断面図である。
【0038】
図5(a)に示された電極素子は、電極製造装置1000において基材Wとして搬送され、電極基体W10の表面に機能層である活物質層X20が形成された電極素子である。
【0039】
電極基体W10の一方の面W10aにおいて、電極基体W10は、露出部W10mを除いて活物質層X20により被覆される。露出部W10mは、一方の面W10aの法線方向から見た平面視で活物質層X20の外周部X20pの外側に沿って配置されており、環状に配置されていてもよい。電極基体W10および活物質層X20の形状は一例であり、図5(a)の形状には限定されない。
【0040】
電極基体W10の厚さは、例えば5μmから20μm程度であり、活物質層X20の厚さは、例えば数10μmから100μm程度である。
【0041】
電極基体W10は導電性を有する基体であれば特に制限はない。一般に蓄電デバイスである二次電池、キャパシタ、なかでもリチウムイオン二次電池に好適に用いることができるアルミ箔、銅箔、ステンレス箔、チタニウム箔、およびそれらをエッチングして微細な穴を開けたエッチド箔や、リチウムイオンキャパシタに用いられる穴あき電極基体などが用いられる。
【0042】
また、燃料電池のような発電デバイスで用いられるカーボンペーパ繊維状の電極を不織または織状で平面にしたものや、上記穴あき電極基体のうち微細な穴を有するものも使用できる。
【0043】
さらに、太陽光デバイスの場合、上記電極に加えてガラスやプラスチックスなどの平面基体上に、インジウム・チタン系の酸化物や亜鉛酸化物のような、透明な半導体薄膜を形成したものや、導電性電極膜を薄く蒸着したものを用いることができる。
【0044】
活物質としては、電気化学素子に適用することが可能な正極活物質または負極活物質を用いることができる。
【0045】
正極活物質としては、アルカリ金属イオンを可逆的に吸蔵および放出することが可能であれば特に制限はないが、アルカリ金属含有遷移金属化合物を用いることができる。
【0046】
アルカリ金属含有遷移金属化合物としては、例えば、コバルト、マンガン、ニッケル、クロム、鉄およびバナジウムからなる群より選択される一種以上の元素とリチウムとを含む複合酸化物等のリチウム含有遷移金属化合物が挙げられる。
【0047】
リチウム含有遷移金属化合物としては、例えば、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム等が挙げられる。
【0048】
アルカリ金属含有遷移金属化合物としては、結晶構造中にXO4四面体(X=P、S、As、Mo、W、Si等)を有するポリアニオン系化合物も用いることができる。これらの中でも、サイクル特性の点で、リン酸鉄リチウム、リン酸バナジウムリチウム等のリチウム含有遷移金属リン酸化合物が好ましく、リチウム拡散係数、電気化学素子の入出力特性の点で、リン酸バナジウムリチウムが特に好ましい。なお、ポリアニオン系化合物は、電子伝導性の点で、炭素材料等の導電助剤により表面が被覆されて複合化されていることが好ましい。
【0049】
負極活物質としては、アルカリ金属イオンを可逆的に吸蔵および放出することが可能であれば特に制限はないが、黒鉛型結晶構造を有するグラファイトを含む炭素材料を用いることができる。
【0050】
炭素材料としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、難黒鉛化性炭素(ハードカーボン)、易黒鉛化性炭素(ソフトカーボン)等が挙げられる。
【0051】
炭素材料以外の負極活物質としては、例えば、チタン酸リチウム、酸化チタン等が挙げられる。
【0052】
また、電気化学素子のエネルギー密度の点から、負極活物質として、シリコン、スズ、シリコン合金、スズ合金、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化スズ等の高容量材料を用いることが好ましい。
【0053】
図5(b)に示された電極素子は、図5(a)とは異なる電極素子であり、基材Wとして搬送される電極素子(電極基体W10と活物質層W20との積層体)における活物質層W20の表面に、インクを吐出することにより機能層としての絶縁層X30が形成された電極素子を示す。
【0054】
電極基体W10の一方の面W10aにおいて、活物質層W20は絶縁層X30により露出することなく全体を被覆され、電極基体W10は、露出部W10nを除いて絶縁層X30により被覆される。露出部W10nは、一方の面W10aの法線方向から見た平面視で絶縁層X30の外周部X30pの外側に沿って配置されており、環状に配置されていてもよい。電極基体W10、活物質層W20および絶縁層X30の形状は一例であり、図5(b)の形状には限定されない。
【0055】
また、電極基体W10と活物質層W20を含む電極素子としての基材Wは、活物質層W20の密度を上げるためにプレス加工された後に搬送される場合がある。
【0056】
電極基体W10の厚さは、例えば5μmから20μm程度であり、活物質層W20の厚さは、例えば数10μmから100μm程度であり、絶縁層X30の厚さは、例えば0.5μmから20μm程度、好ましくは1~7μm程度である。
【0057】
電極基体W10は導電性を有する基体であれば特に制限はない。一般に蓄電デバイスである二次電池、キャパシタ、なかでもリチウムイオン二次電池に好適に用いることができるアルミ箔、銅箔、ステンレス箔、チタニウム箔および、それらをエッチングして微細な穴を開けたエッチド箔や、リチウムイオンキャパシタに用いられる穴あき電極基体などが用いられる。
【0058】
また、燃料電池のような発電デバイスで用いられるカーボンペーパ繊維状の電極を不織または織状で平面にしたものや、上記穴あき電極基体のうち微細な穴を有するものも使用できる。
【0059】
さらに、太陽光デバイスの場合、上記電極に加えてガラスやプラスチックスなどの平面基体上に、インジウム・チタン系の酸化物や亜鉛酸化物のような、透明な半導体薄膜を形成したものや、導電性電極膜を薄く蒸着したものを用いることができる。
【0060】
また、活物質層W20は活物質を含む。活物質としては、電気化学素子に適用することが可能な正極活物質または負極活物質を用いることができる。
【0061】
正極活物質としては、アルカリ金属イオンを可逆的に吸蔵および放出することが可能であれば特に制限はないが、アルカリ金属含有遷移金属化合物を用いることができる。
【0062】
アルカリ金属含有遷移金属化合物としては、例えば、コバルト、マンガン、ニッケル、クロム、鉄およびバナジウムからなる群より選択される一種以上の元素とリチウムとを含む複合酸化物等のリチウム含有遷移金属化合物が挙げられる。
【0063】
リチウム含有遷移金属化合物としては、例えば、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチ ウム、マンガン酸リチウム等が挙げられる。
【0064】
アルカリ金属含有遷移金属化合物としては、結晶構造中にXO4四面体(X=P、S、As、Mo、W、Si等)を有するポリアニオン系化合物も用いることができる。これらの中でも、サイクル特性の点で、リン酸鉄リチウム、リン酸バナジウムリチウム等のリチウム含有遷移金属リン酸化合物が好ましく、リチウム拡散係数、電気化学素子の入出力特性の点で、リン酸バナジウムリチウムが特に好ましい。なお、ポリアニオン系化合物は、電子伝導性の点で、炭素材料等の導電助剤により表面が被覆されて複合化されていることが好ましい。
【0065】
負極活物質としては、アルカリ金属イオンを可逆的に吸蔵および放出することが可能であれば特に制限はないが、黒鉛型結晶構造を有するグラファイトを含む炭素材料を用いることができる。
【0066】
炭素材料としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、難黒鉛化性炭素(ハードカーボン)、易黒鉛化性炭素(ソフトカーボン)等が挙げられる。
【0067】
炭素材料以外の負極活物質としては、例えば、チタン酸リチウム、酸化チタン等が挙げられる。
【0068】
また、電気化学素子のエネルギー密度の点から、負極活物質として、シリコン、スズ、シリコン合金、スズ合金、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化スズ等の高容量材料を用いることが好ましい。
【0069】
また、絶縁層X30を形成するためのインクの成分は、絶縁層として無機層を形成する場合は無機粒子と分散媒とを含み、絶縁層として樹脂層を形成する場合は重合性化合物と溶媒とを含む。以下、インク(液体組成物)について説明する。
【0070】
<無機層形成用液体組成物>
無機粒子としては、絶縁性無機粒子であることが好ましく、例えば、金属酸化物、金属窒化物、その他の金属化合物を材料とする粒子が挙げられる。
【0071】
金属酸化物としては、例えば、Al2O3、TiO2、BaTiO3、ZrO2等が挙げられる。
【0072】
金属窒化物としては、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等が挙げられる。その他の金属化合物としては、例えば、フッ化アルミニウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、硫酸バリウム等の難溶性のイオン結晶、ベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビン、セリサイト、ベントナイト等の鉱物資源由来物質またはそれらの人造物等が挙げられる。
【0073】
上記以外の絶縁性無機粒子を構成する材料としては、ガラスセラミックが挙げられる。ガラスセラミックとしては、例えば、ZnO-MgO-Al2O3-SiO2系の結晶化ガラスを用いた結晶化ガラスセラミック、BaO-Al2O3-SiO2系セラミック、Al2O3-CaO-SiO2-MgO-B2O3系セラミック等を用いた非ガラス系セラミックが挙げられる。
【0074】
絶縁性無機粒子は、イオン伝導性を有する元素を含むことが好ましい。イオン伝導性を有する元素としては、例えば、ケイ素元素、アルミニウム元素、ジルコニウム元素等が挙げられる。これらのイオン伝導性を有する元素は、単独で使用してもよく、また二種以上を併用してもよい。
【0075】
絶縁性無機粒子は、Al2O3(アルミナ)粒子であることが好ましい。絶縁性無機粒子としては、アルミナの中でも、融点が高く、熱的に安定なα-アルミナを用いるのが好ましい。
【0076】
分散媒は、水または非水系分散媒を意味する。非水系分散媒としては、例えば、スチレン、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、アセトン、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール(IPA)、n-ブタノール、イソブタノール、ter-ブタノール、n-ペンタノール、n-ヘキサノール、ジアセトンアルコール、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルスルホキシド(DMSO)、N-メチルピロリドン(NMP)、テトラヒドロフラン(THF)等が挙げられる。
【0077】
なお、分散媒は単独で使用することもできるが、複数の分散媒を組み合わせて使用することもできる。
【0078】
<樹脂層形成用液体組成物>
重合性化合物は、重合することにより樹脂を形成し、液体組成物中において重合した場合に多孔質樹脂を形成する。
【0079】
重合性化合物により形成される樹脂は、活性エネルギー線の付与等(例えば、光の照射や熱を加えること等)で形成される網目状の構造体を有する樹脂であることが好ましく、例えば、アクリレート樹脂、メタアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ビニルエーテル樹脂、およびエン-チオール反応により形成される樹脂が好ましい。
【0080】
また、反応性の高いラジカル重合を利用して構造体を形成することが容易な点から、(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物により形成される樹脂であるアクリレート樹脂、メタアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂や、ビニル基を有する重合性化合物により形成される樹脂であるビニルエステル樹脂が生産性の観点からより好ましい。
【0081】
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合、重合性化合の組み合わせとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、柔軟性付与のため、ウレタンアクリレート樹脂を主成分として他の樹脂を混合することが好ましい。なお、本実施形態では、アクリロイル基またはメタクリロイル基を有する重合性化合物を、(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物と称する。
【0082】
なお、活性エネルギー線としては、液体組成物中の重合性化合物の重合反応を進める上で必要なエネルギーを付与できるものであればよく、特に限定されないが、例えば、紫外線、電子線、α線、β線、γ線、X線等が挙げられる。これらの中でも紫外線であることが好ましい。なお、特に高エネルギーな光源を使用する場合には、重合開始剤を使用しなくても重合反応を進めることができる。
【0083】
溶媒(以降の記載において「ポロジェン」とも称する)は、重合性化合物と相溶する液体である。また、溶媒は、液体組成物中において重合性化合物が重合していく過程で重合物(樹脂)と相溶しなくなる(相分離を生じる)液体である。液体組成物中に溶媒が含まれることで、重合性化合物は、液体組成物中において重合した場合に多孔質樹脂を形成する。
【0084】
また、光または熱によってラジカルまたは酸を発生する化合物(例えば、重合開始剤)を溶解可能であることが好ましい。溶媒は、1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。なお、本実施形態において、溶媒は重合性を有さない。
【0085】
ポロジェンの1種単独としての沸点または2種以上を併用した場合の沸点は、常圧において、50°C以上250°C以下であることが好ましく、70°C以上200°C以下であることがより好ましい。
【0086】
沸点が50°C以上であることにより、室温付近におけるポロジェンの気化が抑制されて液体組成物の取り扱いが容易になり、液体組成物中におけるポロジェンの含有量の制御が容易になる。
【0087】
また、沸点が250°C以下であることにより、重合後のポロジェンを乾燥させる工程における時間が短縮されて、多孔質樹脂の生産性が向上する。
【0088】
また、多孔質樹脂の内部に残存するポロジェンの量を抑制することができるので、多孔質樹脂を物質間の分離を行う物質分離層や反応場としての反応層などの機能層として利用する場合に品質が向上する。
【0089】
また、ポロジェンの1種単独としての沸点または2種以上を併用した場合の沸点は、常圧において、120°C以上であることが好ましい。
【0090】
ポロジェンとしては、例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のエチレングリコール類、γブチロラクトン、炭酸プロピレン等のエステル類、NNジメチルアセトアミド等のアミド類等を挙げることができる。また、テトラデカン酸メチル、デカン酸メチル、ミリスチン酸メチル、テトラデカン等の比較的分子量の大きな液体も挙げることができる。
【0091】
また、アセトン、2-エチルヘキサノール、1-ブロモナフタレン等の液体も挙げることができる。
【0092】
なお、本実施形態では、上記の例示された液体であれば常にポロジェンに該当するわけではない。本実施形態におけるポロジェンとは、上記のとおり重合性化合物と相溶する液体であって、且つ液体組成物中において重合性化合物が重合していく過程で重合物(樹脂)と相溶しなくなる(相分離を生じる)液体である。言い換えると、ある液体がポロジェンに該当するか否かは、重合性化合物および重合物(重合性化合物が重合することにより形成される樹脂)との関係で決まる。
【0093】
また、本実施形態の液体組成物は、重合性化合物との間で上記の特定の関係を有するポロジェンを少なくとも1種類含有していればよいため、液体組成物作製時の材料選択の幅が広がり、液体組成物の設計が容易になる。
【0094】
液体組成物作製時の材料選択の幅が広がることで、多孔質構造の形成以外の観点で液体組成物に求められる特性がある場合に、対応の幅が広がる。
【0095】
例えば、液体組成物をインクジェット方式で吐出する場合、多孔質形成以外の観点として、吐出安定性等を有する液体組成物であることが求められるが、材料選択の幅が広いため、液体組成物の設計が容易になる。
【0096】
なお、本実施形態の液体組成物は、上記のとおり重合性化合物との間で上記の特定の関係を有するポロジェンを少なくとも1種類含有していればよいため、重合性化合物との間で上記の特定の関係を有さない液体(ポロジェンではない液体)を追加的に含有していてもよい。
【0097】
なお、電極素子として電極基体および電極合材層の積層体に対して絶縁層形成用インクを塗布することで絶縁層を形成する場合について説明したが、これに限るものではない。電極に用いられる層であれば特に限りはなく、例えば、電極合材層上に固体電解質層形成用インクを塗布することで固体電解質層を形成してもよい。
【0098】
図6は、電極素子の作製工程の一例を示す説明図である。一例として図5(b)に示した電極素子を図1に示した電極製造装置1000で作製する場合を説明する。
【0099】
電極製造装置1000において、インクジェット部420で形成されるインク層は単層とは限らず、ヘッド101毎に、ヘッド101から吐出されるインクを異ならせ、1パスで2層以上のインク層を形成する構成としてもよい。その場合、例えば図6(a)に示された工程(1)~(3)、または図6(b)に示された工程(1´),(2´)によって電極基体W10上に活物質層W20(X20)と絶縁層X30を形成することが可能になる。
【0100】
図6(a)に示された作製工程の場合、まず工程(1)において活物質層用のインクを吐出するヘッド101を用いて、搬送される電極基体W10に対してインクを付与し、電極基体W10上に活物質層W20(X20)を形成する。
【0101】
次に、工程(2)において絶縁層用のインクを吐出するヘッド101を用いて、搬送される電極基体W10に対してインクを付与し、電極基体W10上に形成された活物質層W20(X20)の周囲に絶縁層X30を形成する。
【0102】
次に、工程(3)において絶縁層用のインクを吐出するヘッド101を用いて、搬送される電極基体W10に対してインクを付与し、電極基体W10上の活物質層W20(X20)および絶縁層X30の上に更に絶縁層X30を形成する。
【0103】
工程(2)で用いるヘッドと工程(3)で用いるヘッドは、予め異なるヘッドに分担してあり、工程(3)で用いるヘッドを、工程(2)で用いるヘッドに対して電極基体W10の搬送方向下流側に配置することで実現される。
【0104】
また、例えば1つのヘッドで活物質層用のインクと絶縁層用のインクを吐出可能にしたヘッドを用いることで、図6(b)に示す作製工程も可能となる。
【0105】
図6(b)の場合、工程(1´)において、搬送される電極基体W10に対して活物質層用のインクと絶縁層用のインクを付与し、電極基体W10上に活物質層W20(X20)および絶縁層X30を形成する。
【0106】
次に、工程(2´)において、絶縁層用のインクを吐出するヘッド101を用いて、搬送される電極基体W10に対してインクを付与し、電極基体W10上の活物質層W20(X20)および絶縁層X30の上に絶縁層X30を形成する。
【0107】
上記のような作製工程により電極基体W10への活物質層W20(X20)および絶縁層X30の形成が行われる。
【0108】
<概要>
次に、図7図10を用いて本発明の概要を説明する。図7は制御の概要を示す説明図、図8は主電源遮断時の対応例を示すフローチャート、図9は主電源復帰時の対応例を示すフローチャート、図10は動作モードの説明図である。
【0109】
液体付与装置の一例である電極製造装置1000は、印刷モジュールMA、循環モジュールMB、および基材搬送モジュールMCを備える。印刷モジュールMAには、図1に示された電極製造装置1000の構成の場合、インクジェット部420が含まれる。
【0110】
循環モジュールMBには、ヘッド101へのインクの供給および回収を行い、ヘッド101に対してインクを循環させる循環機構が含まれる。ここで、循環モジュールMBは「循環駆動部」の一例である。
【0111】
基材搬送モジュールMCには、図1に示された電極製造装置1000の構成の場合、供給部200、搬送部410、乾燥部600、および巻取部800が含まれる。ここで、基材搬送モジュールMCは「基材搬送部」の一例である。
【0112】
また、電極製造装置1000は、制御部900を備える。制御部900は、図1に示したように電極製造装置1000の筐体の外部に備えられている。なお、制御部900は、電極製造装置1000の筐体の内部に設けられてもよく、または電極製造装置1000とは別の装置として設けられていてもよい。また、制御部900には、操作部900eおよび無停電電源装置PS2が接続される。
【0113】
制御部900は、送受信部9001、動作モード切替部9002および記憶部9003などを備える。
【0114】
送受信部9001は、装置の状態情報や動作指示などの各種情報を電極製造装置1000、操作部900eまたは無停電電源装置PS2へ送信する。また、送受信部9001は、装置の状態情報や動作指示などの各種情報を電極製造装置1000、操作部900eまたは無停電電源装置PS2から受信する。
【0115】
制御部900には、図7に破線で示すように無停電電源装置PS2を介さずに主電源PS1が接続される配線が追加されてもよい。この場合、制御部900は、主電源PS1からの状態情報や動作指示などの各種情報を直接受信することが可能となる。
【0116】
動作モード切替部9002は、無停電電源装置PS2からの情報(主電源PS1からの電力供給が遮断され、無停電電源装置PS2による電力供給に切り替わったことを示す情報、無停電電源装置PS2の電力残量(バッテリ残量)を示す情報等)に基づき、電極製造装置1000の動作モードを切り替えて、電極製造装置1000の動作を変更する。
【0117】
記憶部9003は、動作モード切替部9002が実行した動作モードの切り替え履歴などを記憶する。
【0118】
無停電電源装置PS2は、送受信部PS2aおよび残量検知部PS2bなどを備える。無停電電源装置PS2は、例えば、主電源PS1から入力される交流電力を直流に変換するコンバータ、コンバータで変換された直流電力を蓄電するバッテリを有し、必要に応じてバッテリに蓄電した直流電力を交流電力に再変換するインバータ等を有していてもよい。主電源PS1に異常が生じ、主電源PS1からの電力供給が遮断された場合は、無停電電源装置PS2のバッテリに蓄えられた電力を電極製造装置1000に供給する。
【0119】
送受信部PS2aは、制御部900への状態情報や動作指示などの各種情報の送信、あるいは制御部900からの状態情報や動作指示などの各種情報の受信を行う。
【0120】
残量検知部PS2bは、無停電電源装置PS2が備えるバッテリの電力残量を検知する。
【0121】
主電源PS1は、例えば、商用電源や工場内の発電設備であり、制御部900に接続される。
【0122】
操作部900eは、文字、数値、各種指示等を制御部900との間で入出力する。操作部900eは、LCD(Liquid Crystal Display)等のディスプレイに対するカーソル、メニュー、ウィンドウ、文字または画像等の各種情報の表示を制御する。なお、ディスプレイは入力手段を備えたタッチパネルディスプレイであってもよい。
【0123】
上記の構成において、主電源PS1に異常が発生した場合は、電力供給するモジュールを制限することで電極製造装置1000全体の駆動電力を低減させる。また、無停電電源装置PS2によって電極製造装置1000に不具合を発生させないための稼働を継続させる。
【0124】
特に、インクジェット方式を用いたシステムにおいて主電源PS1に異常が発生した場合に、インクの循環動作は停止させずに、インク循環に関与しないモジュールへの電力供給を停止することで循環動作を継続させることが可能になる。その結果、インク循環動作の不意の停止に伴う、インク特性の変化(インクに含まれた金属粉等の粒子の沈殿、凝集等)およびインクを扱うモジュールの劣化を抑制できる。
【0125】
具体的には、主電源PS1において電力供給に異常が発生した場合は、印刷モジュールMAおよび基材搬送モジュールMCへの電力供給を遮断し、循環モジュールMBは無停電電源装置PS2から供給される電力により動作を継続させる。これにより装置全体の稼働を続ける場合よりも長い期間、装置内のインクの循環動作を続けることを可能にする。
【0126】
図8は、主電源遮断時の対応例を示すフローチャートであり、図7の構成において主電源SP1からの電力供給が遮断された場合の対応例を示したものである。
【0127】
制御部900は、無停電電源装置PS2または主電源SP1からの情報を基に、主電源SP1の電力供給状態を把握する。主電源SP1からの電力供給が遮断された状態(ステップS1)となった場合、制御部900は、インクの循環動作に関与しない基材搬送モジュールMCを停止させる(ステップS2)。
【0128】
なお、基材搬送モジュールMCへの電力の供給系統は、制御部900を介さずに、主電源SP1に直接接続する構成とし、主電源SP1の電力供給遮断と同時に基材搬送モジュールMCが停止する構成としてもよい。
【0129】
次に、制御部900は、無停電電源装置PS2からの電力供給が開始されたことを検知する(ステップS3)。無停電電源装置PS2からの電力供給が開始されたことを検知したならば、制御部900は、印刷モジュールMAに対して印刷動作の停止準備を開始する(ステップS4)。
【0130】
印刷モジュールMAは、制御部900からの停止準備の開始指示に基づき、電源をオフにできる状態へ移行止する。また、制御部900は、循環モジュールMBに対して循環動作を継続できる状態に設定する(ステップS5)。
【0131】
次に、制御部900は、無停電電源装置PS2に対して印刷モジュールMAへの電力供給の遮断を指示する。無停電電源装置PS2は、制御部900からの印刷モジュールMAの電力供給遮断の指示に基づき、印刷モジュールMAへの電力供給を遮断し、印刷モジュールMAを停止する(ステップS6)。そして、循環モジュールMBにおけるインクの循環動作は、無停電電源装置PS2の電力が残っている限り、継続される。
【0132】
図9は、主電源復帰時の対応例を示すフローチャートであり、図7の構成において主電源PS1の異常が解消され、電力供給が復帰した場合の対応例を示したものである。
【0133】
制御部900は、無停電電源装置PS2または主電源PS1からの情報を基に、主電源PS1の電力供給状態を把握する。主電源PS1からの電力供給が復帰した場合、制御部900は、記憶部9003に記憶された動作モードの履歴を確認する(ステップS11)。
【0134】
動作モードの履歴を確認する必要性について、上述のように主電源PS1が遮断されたときは、無停電電源装置PS2を介していない基材搬送モジュールMCは最初に動作を停止する。また、基材搬送モジュールMCの停止後、循環モジュールMBは無停電電源装置PS2のバッテリ残量に応じて動作モードが切り替わって行く。つまり、印刷モジュールMA、循環モジュールMBおよび基材搬送モジュールMCは停止タイミンングが異なるため、印刷モジュールMAおよび循環モジュールMBは、復帰時の基材搬送モジュールMCの状態がわからない。
【0135】
そこで、記憶部9003に記憶された動作モードの履歴を基に、制御部900は電極製造装置1000の復帰に必要な処理や動作指示を操作部900eに表示させるなどしてユーザに報知する。
【0136】
次に、制御部900からの処理や動作指示に基づき、基材搬送モジュールを稼働できる状態にするための準備を実施する(ステップS12)。例えば、搬送途中で停止していた基材Wのうち、再使用できる範囲と再使用できない範囲とを判別し、再使用できない範囲を電極製造装置1000から取り除いて破棄する作業などが実施される。なお、ここでの判別は、装置側で自動で行わせてもよいし、ユーザの目視確認によって行われてもよい。
【0137】
次に、制御部900からの処理や動作指示に基づき、印刷モジュールMAおよび循環モジュールMBを稼働できる状態にするための準備を実施する(ステップS13)。例えば、基材Wへのテスト印刷などが実施される。ステップS13の結果、異常がないことを確認できたならば、印刷動作を開始する(ステップS14)。
【0138】
図10は、動作モードの説明図である。
【0139】
主電源PS1からの電力供給が遮断された際には、基材搬送モジュールMCおよび印刷モジュールMAを停止状態にし、循環モジュールMBにおけるインクの循環動作を無停電電源装置PS2からの電力供給によって継続させる。しかし、バッテリの蓄電状態により無停電電源装置PS2から供給できる電力にも時間的限界がある。そのため、主電源PS1が復帰するまでインク循環動作を無停電電源装置PS2の電力で対応し切れない事態も考えられる。
【0140】
そこで、本実施形態においては、無停電電源装置PS2の電力残量(バッテリ残量)に応じてインクの循環動作を切り替えて、消費電力を節約するようにしている。
【0141】
図10において、動作モード1(第1動作モード)は、主電源PS1が正常状態の場合である。この場合、各モジュールMA,MB,MCへの電力供給は主電源PS1から行われ、各モジュールMA,MB,MCは稼働可能であり、無停電電源装置PS2ではバッテリへの蓄電が行われる。
【0142】
動作モード2(第2動作モード)は、主電源PS1に異常が発生し、電力供給が遮断された状態の場合である。この場合は上述のように印刷モジュールMAおよび基材搬送モジュールMCは停止し、循環モジュールMBのみが無停電電源装置PS2から電力供給によって稼働可能となる。
【0143】
本実施形態において、動作モード2の下位にはさらに2通りのモードが用意されており、動作モード1から動作モード2に切り替えた時点での無停電電源装置PS2のバッテリ残量が、予め設定した所定値を下回っている場合には、インクの循環動作を定値制御でポンプを動作させる動作モード2-1、あるいはインクの循環動作を間欠駆動させる動作モード2-2に切り替えられる。動作モード2-1は「第3動作モード」の一例であり、動作モード2-2は「第4動作モード」の一例である。なお、動作モード2-1,2-2は、必ずしも動作モード2の下位モードとして設けなくてもよく、それぞれを動作モード3、動作モード4として設ける構成としてもよい。
【0144】
動作モード2-1では循環動作におけるポンプの制御圧力、即ちポンプの回転数を定値に制御する。定値としては主電源PS1が正常状態の場合のポンプ圧力と略同値としてもよいが、インク流れを静止させることによるインクの物性変化が生じない限りであれば、消費電力をより削減できる点から主電源PS1が正常状態の場合のポンプ圧力より低い値とすることが好ましい。
【0145】
動作モード2-2におけるポンプの制御圧力、即ちポンプの回転数についても、主電源PS1が正常状態の場合のポンプ圧力と略同値としてもよいが、インク流れを静止させることによるインクの物性変化が生じない限りであれば、消費電力をより削減できる点から主電源PS1が正常状態の場合のポンプ圧力より低い値とすることが好ましい。
【0146】
さらには、無停電電源装置PS2のバッテリ残量がより少ない値となり、インク循環動作の継続が困難な状況になった場合は、インクの置換を行う動作モード3に切り替えられる。動作モード3は、「第5動作モード」の一例である。動作モード3におけるインクの置換とは、循環経路内のインクを、循環動作を必要とする特性のインクから、循環動作を必要としない特性のインクに置き換えることを意味する。循環動作を必要とする特性のインクとしては、循環動作が行われない場合、すなわち静止状態において所定の時間だけ放置したときに、その物性が変化するインクが挙げられる。このようなインクとしては、例えば、静止していない状態においてはインク中粒子がインク内において分散しており、静止状態において所定の時間だけ放置したときにインク中の粒子同士が凝集したり、沈殿したりするようなインクなどが挙げられる。
【0147】
動作モード3では、所定の経路内を循環していたインクを当該所定の経路から排出し、排出が完了したならば、別のインク、すなわち循環動作を必要としない特性のインクを所定の経路に送り込み、インクの置換を行う。これにより、ヘッド等、インクを扱う装置側の劣化を防ぐことが可能になる。なお、本実施形態において動作モード3への切り替えは、例えばバッテリ残量が4~6時間相当分となった時点で実施される。
【0148】
例えば、電極製造装置1000において絶縁層の形成に用いられるインクはアルミナ粒子を含み、循環動作を行わずに放置してしまうとアルミナ粒子が凝集して循環経路内でインク詰まり等を起こしてしまい、装置の劣化を引き起こす懸念がある。そこで、置換では、循環経路内のアルミナ粒子を含むインクを、アルミナ粒子を含まないインクへ置き換える。
【0149】
また、例えば主電源PS1に異常が発生したときに無停電電源装置PS2のバッテリ残量が動作モード3によるインクの置換すら困難となるような残容量である場合は、動作モード1から直接インクの排出を行う動作モード4に切り替えてもよい。動作モード4は、「第6動作モード」の一例である。
【0150】
動作モード4では、所定の経路内を循環していたインクを当該所定の経路から排出し、所定の経路内をほぼ空にする。なお、本実施形態において動作モード4への切り替えは、例えばバッテリ残量が2~3時間相当分となった時点で実施される。
【0151】
バッテリ切れ、もしくはバッテリ残量が極少の状態であり、動作モード4によるインクの排出も困難な状況の場合は、循環モジュールMBを停止する動作モード5に切り替えられる。動作モード5は、「第7動作モード」の一例である。
【0152】
動作モード2~4のいずれかで動作している間に、主電源PS1の異常が解消され、主電源PS1からの電力供給が復帰した場合は、制御部900は動作モードを動作モード1に戻すことが可能になる。動作モード1に戻す場合、印刷モジュールMAと基材搬送モジュールMCの停止タイミングが同じでないため、制御部900は、記憶部9003から動作モードの履歴を読み出し、履歴に基づき基材搬送モジュールMCを制御する。
【0153】
なお、以上の動作モードは、動作モード1~7がこの順に切り替わるとは限らない。動作モード1から動作モード2へ移行後、動作モード2から動作モード2-1へ切り替わる場合もあれば、動作モード2から動作モード2-2に切り替わる場合もある。また、動作モード2から動作モード3へ切り替わる場合もあれば、動作モード2から動作モード4に切り替わる場合もある。
【0154】
各動作モードの内容や動作モードの切り替え順は、インク特性や、搭載する無停電電源装置PS2の仕様等に応じて適宜設定されてよい。インク特性は、インクの凝集など経時変化に係わる物性情報等であり、予め測定した特性値が記憶部9003に格納される。
【0155】
<第1の実施形態>
以下、実施形態の詳細を説明する。図11は、本発明の第1の実施形態を示す説明図である。図7で説明した部材と同等の機能を備える部材には同一符号が付されている。
【0156】
主電源PS1は、商用電源である。図11において主電源PS1から引き出した2本の太線は電力の供給系統を示し、一方は無停電電源装置PS2に接続され、もう一方は基材搬送モジュールMCに接続される。なお、主電源PS1は、1つの主電源から無停電電源装置PS2および基材搬送モジュールMCに電力を供給する構成であってもよいし、1つの主電源PS1が第1主電源PS1-1と第2主電源PS1-2とを有し、第1主電源PS1-1から無停電電源装置PS2に電力を供給し、第2主電源PS1-2から基材搬送モジュールMCに電力を供給する構成であってもよい。印刷モジュールMAおよび循環モジュールMBに対する電力供給は、主電源PS1から直接ではなく、無停電電源装置PS2からそれぞれのモジュールMA,MBに電力が供給される。
【0157】
図7に示した制御部900の機能は、本実施形態では主制御部900a、印刷制御部900b、循環制御部900cおよび基材搬送制御部900dに分担し、各モジュールMA,MB,MCの制御処理の負荷を分散させた構成としている。このうち、主制御部900aと印刷制御部900bは、操作部900eおよびヘッド101とともに印刷モジュールMAに含まれる。
【0158】
主制御部900aは、各モジュールMA,MB,MCの個別の制御部900b,900c,900dとの通信を行い、各種設定および処理を実行させて印刷動作、循環動作、および基材搬送動作を実施する。図7に示した動作モード切替部9002は主制御部900aが備えており、上述の動作モード1~7の切り替えは、主制御部900aによって行われる。
【0159】
印刷モジュールMAは、印刷制御部900bによってヘッド101のインク吐出を制御し、基材上にインクを付与する。
【0160】
循環モジュールMBは、循環制御部900cによって循環経路C1に配置された各要素(バルブV1,V2、センサS1,S2、ポンプP1,P2等)を制御し、インクを収容したタンクT1,T2からヘッド101に適切な量のインクを供給するためのインク循環を行う。バルブ、センサ、ポンプ、およびタンクは、必要に応じてそれぞれ1つ以上が循環経路C1上に実装され、循環制御部900cによって制御される。
【0161】
センサS3は圧力センサであり、インクジェット方式のシステムにおいてはヘッド101にかかるインクの圧力を一定に保つ必要があるため、センサS3の出力に基づき、循環制御部900cによってヘッド101のインク圧によるポンプ動作のフィードバック制御を行う。なお、ヘッド101は、上述のフロースルー型ヘッドであり、ヘッド101は循環経路C1に接続されてフロースルー循環を形成する経路を構成している。
【0162】
基材搬送モジュールMCは、基材Wを搬送する搬送モータ211m,411m,813m、インクを乾燥させる乾燥熱源610a、およびこれらを制御する基材搬送制御部900d等を含み、基材Wの搬送および乾燥を行う。なお、搬送モータ211mは図1の支持ローラ211を駆動し、搬送モータ411mはベルト駆動ローラ411を駆動し、搬送モータ813mは巻取ローラ813を駆動する。乾燥熱源610aは、乾燥炉610に設けられる。
【0163】
無停電電源装置PS2は、主電源PS1から入力される電力を印刷モジュールMAおよび循環モジュールMBへ供給するとともに、主電源PS1からの交流を直流に変換し、内蔵のバッテリに蓄電する。また、無停電電源装置PS2は、主電源PS1からの電力供給の有無の情報を、図7に示した送受信部PS2aから主制御部900aに送信(通知)する。
【0164】
以上の構成により、主電源PS1からの電力供給が遮断された場合、無停電電源装置PS2は、バッテリに蓄えた直流電力を交流電力に変換して印刷モジュールMAおよび循環モジュールMBへの電力供給を続ける。また、無停電電源装置PS2は、印刷モジュールMAの停止後も循環モジュールMBへの電力供給を継続し、インクの循環動作を継続させる。つまり、基材搬送モジュールMCおよび印刷モジュールMAの停止後は、図12に示すように、塗りつぶした領域が停止状態となり、循環モジュールMBのみが稼働している状態となる。
【0165】
上述のように本実施形態は、基材Wにインクを付与するヘッド101と、インクを循環経路C1で循環させる循環モジュールMBと、主電源PS1から電力を供給され、少なくともヘッド101および循環モジュールMBを制御する制御部900と、を備え、制御部900により、少なくともヘッド101および循環モジュールMBが動作する動作モード1の状態において主電源PS1に異常が生じたとき、ヘッド101における基材Wへのインク付与動作を行わず、且つ循環モジュールMBにおける循環駆動動作を行う動作モード2に動作モードを切り替えるモード切替工程を有する。
【0166】
これにより、循環経路C1でインクを循環させる循環動作の不意の停止に伴う、インクの劣化、およびインクを扱う装置の劣化を抑制できる。なお、印刷モジュールMAを停止していることから、消費電力を削減できる点で、上述のフィードバック制御を停止させることが好ましい。また、消費電力を削減できる点で、フィードバック制御などに必要な制御用センサを停止させることが好ましい。
【0167】
上述のように、電極製造装置1000は、制御部900に電力を供給可能な無停電電源装置PS2をさらに備え、制御部900は、無停電電源装置PS2のバッテリ残量に応じて、動作モード1または動作モード2から、循環モジュールMBを定値制御で動作させる動作モード2-1に切り替える。
【0168】
これにより、無停電電源装置PS2の単位電源容量あたりで動作できる循環時間を延ばすことができる。
【0169】
また、上述のように、制御部900は、無停電電源装置PS2のバッテリ残量に応じて、動作モード1または動作モード2から、循環モジュールMBを間欠動作させる動作モード2-2に切り替える。
【0170】
これにより、電力消費をより抑えることが可能になり、単位電源容量あたりでの循環時間をさらに延ばすことができる。
【0171】
また、上述のように、制御部900は、無停電電源装置PS2のバッテリ残量に応じて、ヘッド101および循環モジュールMBの動作が停止する動作モード5に切り替える。
【0172】
これにより、無停電電源装置PS2のバッテリ残量が、インクの循環動作を正常に停止させることが可能な状態で停止を実行するので、突然循環動作を停止することによる装置へのダメージを回避することができる。
【0173】
また、上述のように、制御部900は、主電源PS1の異常が解消されたとき、動作モードを動作モード1に切り替える。
【0174】
これにより、主電源PS1の復帰によって元の循環動作が再開され、手作業による復帰を行うことなく通常の動作ができるようになる。
【0175】
さらに、上述のように、基材Wの搬送を行うとともに、制御部900により制御される基材搬送モジュールMCを備え、制御部900は、基材搬送モジュールMCによる基材Wの搬送を停止させた後、動作モード1から動作モード2への切り替えを開始する。
【0176】
また、上述のように、制御部900は、動作モードの履歴を記憶する記憶部9003を備え、主電源PS1の異常が解消されたとき、制御部900は記憶部9003に記憶された履歴に基づき基材搬送モジュールMCを制御する。
【0177】
これにより、印刷モジュールMA、循環モジュールMBおよび基材搬送モジュールMCの状態を把握した上で各モジュールの動作を復帰させることができる。
【0178】
<第2の実施形態>
図13は、本発明の第2の実施形態を示す説明図である。図7図11および図12で説明した部材と同等の機能を備える部材には同一符号が付されている。
【0179】
第2の実施形態は、循環モジュールMBにおいて、循環経路C1に排出タンクT3とバルブV3が追加された点が第1の実施形態と異なる。
【0180】
バルブV3は、循環経路C1上に実装され、循環制御部900cからの指示によってバルブV3は開閉される。排出タンクT3は、バルブV3に接続されており、バルブV3が開かれた場合、循環経路C1内を流れるインクは排出タンクT3へ導かれ、インクは排出タンクT3へ排出される。
【0181】
主電源PS1の電力供給遮断期間および無停電電源装置PS2のバッテリ容量によっては、主電源PS1の復帰までインク循環動作を続けることが困難な場合がある。そのような場合は、循環経路C1内のインクを外部に排出することで一時的にインクを扱う装置の劣化(例えばインクの凝集によるインク詰まり)等を防ぐことができるようになる。
【0182】
循環経路C1内を循環しているインクの量およびポンプP1,P2の送液能力によって循環経路C1内のインクを排出するための時間および消費電力は変わる。本実施形態では、無停電電源装置PS2のバッテリ容量が上記消費電力の200%を下回った時点で排出機能を動作させ、可能な限りインク循環を継続し、装置劣化を回避することができるようにしている。なお、ここでの排出機能の動作は、上述の動作モード4に相当するものである。ここで、排出タンクT3は「排出部」の一例である。
【0183】
本実施形態では、バルブV3を、ヘッド101からの戻り経路後のポンプP1の後に設置したが、バルブV3の設置位置はこれに限るものではない。例えば、バルブV3は、バルブV1の前(バルブV1に対してインク循環方向上流側)に設けてもよい。また、バルブV1に排出タンクT3を接続し、バルブV1がバルブV3の機能を兼ねてもよい。
【0184】
上述のように本実施形態において、循環モジュールMBは、循環経路C1を循環するインクを循環経路C1から排出する排出タンクT3を備え、制御部900は、無停電電源装置PS2のバッテリ残量に応じて、動作モード1または動作モード2から、循環経路C1内のインクを排出タンクT3に排出する動作モード4に切り替える。
【0185】
これにより、無停電電源装置PS2のバッテリ容量が主電源PS1の電力供給復帰までもたず、インク循環を続けることが困難な場合に、循環経路C1内のインクを外部に排出することで一時的に装置劣化等を防ぐことができる。
【0186】
<第3の実施形態>
図14は、本発明の第3の実施形態を示す説明図である。図7図11図12および図13で説明した部材と同等の機能を備える部材には同一符号が付されている。
【0187】
第3の実施形態は、第2の実施形態の循環モジュールMBに対して、循環経路C1に置換タンクT4、ポンプP3およびバルブV4が追加された点が異なる。
【0188】
バルブV4は、循環経路C1上に実装され、循環制御部900cからの指示によってバルブV4は開閉される。置換タンクT4は、ポンプP3を介してバルブV4に接続されている。ポンプP3は、循環経路C1から外した位置に設けられ、循環制御部900cからの指示によってポンプP3は置換タンクT4に収容した置換用インクをバルブV4側へ供給する。
【0189】
第2の実施形態では、循環経路C1内のインクを排出タンクT3に排出し、循環経路C1内を空にすることで装置の劣化および不具合発生を抑制した。しかし、主電源PS1が復帰した際には、循環経路C1にインクを再充填し、インク循環を行える状態に戻す必要がある。一般的に気液置換は、循環経路C1内に気体(空気)が残らないように充填することが難しいため、再充填に時間がかかる。
【0190】
第3の実施形態では、循環経路C1から排出タンクT3へのインクの排出が完了したならば、続けて循環経路C1へ装置劣化の影響が小さいインクを置換タンクT4から供給し、インクを置換する(入れ替える)構成としている。
【0191】
これにより、循環経路C1にインクを再充填する際、気液置換とならず、液液置換によって行うことができるため、インク再充填時の時間的コストを抑えることができるようになる。なお、ここでの置換動作は、上述の動作モード3に相当するものである。ここで、排出タンクT3は「排出部」の一例であり、置換タンクT4は「置換部」の一例である。
【0192】
本実施形態では、置換タンクT4を排出タンクT3の後に設置したが、両者の前後関係はこれに限るものではなく、置換タンクT4は排出タンクT3の前に設けてもよい。
【0193】
印刷に用いられるインクとしては、例えば、基材Wに絶縁層を形成するためのインクとして、アルミナ粒子を含んだインクが用いられる。この種のインクは放置しておくとアルミナ粒子が凝集し、循環経路C1やヘッド101内でインク詰まりを起こす。置換タンクT4は、アルミナ粒子を含まないインクを収容しており、主電源PS1が復帰するまでの間、循環経路C1内は一時的にアルミナ粒子を含まないインクに置き換えられる。
【0194】
なお、循環経路C1内のインク置換は、アルミナ粒子を含むインクに限るものではない。例えば、グラファイトを含むインク、金属粉を含むインク、あるいは白インクのように沈殿しやすい材料を含んだインクを用いるシステムにおいても有効である。
【0195】
上述のように本実施形態において循環モジュールMBは、循環経路C1を循環するインクを循環経路から排出する排出タンクT3と、循環経路C1内のインクを置換する置換タンクT4を備え、制御部900は、無停電電源装置PS2のバッテリ残量に応じて、動作モード1または動作モード2から、循環経路C1内のインクを排出タンクT3に排出し且つ置換タンクT4のインクに置換する動作モード3に切り替える。
【0196】
これにより、主電源PS1の復帰後に、循環経路C1にインクを再充填する必要が生じた場合、循環経路C1に一時的に充填した置換用インクと印刷用インクとで液液置換を行うことができる。そのため、インクの再充填時の時間的コストを抑えることができる。
【0197】
なお、上記において、無停電電源装置PS2は、主電源PS1から供給された電力を蓄電し、主電源PS1において異常が発生した際に、無停電電源装置PS2に蓄電した電力を制御部900に供給する構成である場合を説明したが、無停電電源装置PS2の構成はこれに限るものではない。例えば、無停電電源装置PS2自身が燃料や太陽光を用いて発電することが可能で、当該発電した電力を随時制御部900に供給する構成としてもよい。この場合、無停電電源装置PS2の電力残量は、燃料残量または電力供給可能時間と同義となり、置き換えて解釈する。
【0198】
<変形例>
以下、実施形態の変形例について説明する。
【0199】
<<印刷部の変形例>>
上述の電極製造装置1000では、印刷部400の構成として、ヘッド101から吐出されるインクを直接、基材Wに付与する方式としたが、転写工程を介してインクを基材に付与する方式(転写方式)であってもよい。転写方式の例を、図15を用いて説明する。
【0200】
図15は、印刷部の変形例を示す説明図であり、図15(a)はドラム状の中間転写体を用いた印刷部、図15(b)は無端ベルト状の中間転写体を用いた印刷部を示している。
【0201】
図15(a)に示した印刷部400´は、中間転写体4001を介して基材に液体組成物を転写することで基材の表面に機能層を形成するインクジェットプリンタである。
【0202】
印刷部400´は、インクジェット部420、転写ドラム4000、前処理ユニット4002、吸収ユニット4003、加熱ユニット4004および清掃ユニット4005を備える。
【0203】
インクジェット部420は、複数のヘッド101を保持したヘッドモジュール422を備える。ヘッド101は、転写ドラムに4000に支持された中間転写体4001にインクを吐出し、中間転写体4001上にインク層を形成する。各ヘッド101はラインヘッドであり、使用可能な最大サイズの基材の記録領域の幅をカバーする範囲にノズルが配列されている。
【0204】
ヘッド101は、その下面に、ノズルが形成されたノズル面を有しており、ノズル面は、微小間隙を介して中間転写体4001の表面と対向している。本実施形態の場合、中間転写体4001は円軌道上を循環移動する構成であるため、複数のヘッド101は、放射状に配置される。
【0205】
転写ドラム4000は、圧胴621と対向し、転写ニップ部を形成する。前処理ユニット4002は、ヘッド101によるインクの吐出前に、例えば、中間転写体4001上に、インクの粘度を高めるための反応液を付与する。吸収ユニット4003は、転写前に、中間転写体4001上のインク層から液体成分を吸収する。
【0206】
加熱ユニット4004は、転写前に、中間転写体4001上のインク層を加熱する。インク層を加熱することで、インク層中の樹脂が溶融し、基材への転写性が向上する。清掃ユニット4005は、転写後に中間転写体4001上を清掃し、中間転写体4001上に残留したインクやごみ等の異物を除去する。
【0207】
圧胴621の外周面は、中間転写体4001に圧接しており、圧胴621と中間転写体4001との転写ニップ部を基材が通過するときに、中間転写体4001上のインク層が基材に転写される。なお、圧胴621は、その外周面に基材の先端部を保持するグリップ機構を少なくとも1つ備えた構成としてもよい。
【0208】
図15(b)に示した印刷部400´´は、中間転写ベルト4006を介して基材に液体組成物を転写することで基材の表面に機能層を形成するインクジェットプリンタである。
【0209】
印刷部400´´は、インクジェット部420に設けた複数のヘッド101からインク滴を吐出して、中間転写ベルト4006の外周表面上にインク層を形成する。中間転写ベルト4006に形成されたインク層は、乾燥ユニット4007によって乾かされ、インク層は中間転写ベルト4006上で膜化する。
【0210】
中間転写ベルト4006が転写ローラ622と対向する転写ニップ部において、中間転写ベルト4006上の膜化したインク層は基材に転写される。転写後の中間転写ベルト4006の表面は、清掃ローラ4008によって清掃される。
【0211】
中間転写ベルト4006は、駆動ローラ4009a、対向ローラ4009b、複数(本例では4つ)の形状維持ローラ4009c,4009d,4009e,4009f、および複数(本例では4つ)の支持ローラ4009gに架け渡され、図中矢印方向に移動する。ヘッド101に対向して設けられる支持ローラ4009gは、ヘッド101からインク滴が吐出される際の中間転写ベルト4006の引張状態を維持する。
【0212】
なお、図15(a)に示された中間転写体4001、および図15(b)に示された中間転写ベルト4006に形成されるインク層は単層とは限らず、複数のヘッド101毎にインクを異ならせ、1パスで2層以上のインク層を形成する構成としてもよい。
【0213】
その場合、例えば図16に示された工程(1)~(3)によって電極基体W10上に活物質層W20(X20)と絶縁層X30を形成することが可能になる。
【0214】
中間転写方式の場合、最終的に電極基体W10にインク層を転写する段階で、インク層の上下が反転する。そのため、工程(1)では、絶縁層用のインクを吐出するヘッド101を用いて、中間転写体4001(中間転写ベルト4006)に対してインクを付与し、中間転写体4001(中間転写ベルト4006)上に絶縁層X30を形成する。
【0215】
次に、工程(2)において、中間転写体4001(中間転写ベルト4006)に対し活物質層用のインクおよび絶縁層用のインクを付与する。そして、中間転写体4001(中間転写ベルト4006)上の絶縁層X30の上に更に活物質層W20(X20)および絶縁層X30を形成する。
【0216】
工程(2)における活物質層W20(X20)および絶縁層X30の作製は、活物質層用のインクと絶縁層用のインクを吐出可能な1つのヘッドにより1工程で作製してもよい。また、活物質層用のインクを吐出するヘッドと、絶縁層用のインクを吐出するヘッドを用いて2工程で作製してもよい。
【0217】
中間転写体4001(中間転写ベルト4006)上に作製されたインク層は、工程(3)において中間転写体4001(中間転写ベルト4006)から電極基体W10に転写される。中間転写方式の場合には、上記のような工程により電極基体W10への活物質層W20(X20)および絶縁層X30の作製が行われる。
【0218】
<<液体吐出ヘッドの変形例>>
上述の電極製造装置1000では、ヘッド101の構成として、ノズル板10のノズル面(ノズル11が形成された面)の形状は長方形としたが、ノズル板10は台形、ひし形、平行四辺形など、長方形以外の形状であってもよい。平行四辺形状のノズル板を備えたヘッドの例を、図17および図18を用いて説明する。
【0219】
図17は液体吐出ヘッドの変形例を示す説明図、図18は、図17の液体吐出ヘッドを複数並べた場合の説明図である。
【0220】
ヘッド1Rは、ノズル板短手方向に対して角度θ傾斜した外形(稜線)を有し、ヘッド1Rの液体吐出部101Rおよびノズル板10Rもこの稜線に沿う形状に形成されている。つまり、液体吐出部101Rは、外形形状が平行四辺形をしたノズル板10Rを有し、ノズル板10Rには複数のノズル11Rが規則的に二次元状に配列されている。
【0221】
ノズル11Rの配列は、例えば、N個のノズル11Rによって1列のノズル列11Nが構成され、このノズル列11Nを、上述の稜線と平行に、且つノズル板短手方向と直交するノズル板長手方向に複数列設けた配列となっている。
【0222】
上記構成のヘッド1Rは、図18に示すように複数のヘッド1Ra,1Rbをノズル板長手方向に1列に並べることが可能であり、これにより、使用する基材の記録幅に合わせて、所望の長さのラインヘッドを得ることができる。
【0223】
以上説明したものは一例であり、本発明は次の態様毎に特有の効果を奏する。
【0224】
[第1態様]
第1態様は、液体付与装置(例えば電極製造装置1000)により行われる液体付与方法であって、前記液体付与装置は、基材に液体を付与する液体付与部(例えばヘッド101)と、前記液体を所定の経路(例えば循環経路C1)で循環させる循環駆動部(例えば循環モジュールMB)と、主電源(例えば主電源PS1)から電力を供給され、少なくとも前記液体付与部および前記循環駆動部を制御する制御部(例えば制御部900)と、を備え、前記制御部により、少なくとも前記液体付与部および前記循環駆動部が動作する第1動作モード(例えば動作モード1)の状態において前記主電源に異常が生じたとき、前記液体付与部における前記基材への液体付与動作を行わず、且つ前記循環駆動部における循環駆動動作を行う第2動作モード(例えば動作モード2)に動作モードを切り替えるモード切替工程を有する。
【0225】
第1態様によれば、所定の経路で液体を循環させる循環動作の不意の停止に伴う、液体の劣化、および液体を扱う装置の劣化を抑制することができる。
【0226】
[第2態様]
第2態様は、第1態様において、前記液体付与装置(例えば電極製造装置1000)は、前記制御部(例えば制御部900)に電力を供給可能な無停電電源装置(例えば無停電電源装置PS2)をさらに備え、前記制御部は、前記無停電電源装置の電力残量に応じて、前記第1動作モード(例えば動作モード1)または前記第2動作モード(例えば動作モード2)から、前記循環駆動部(例えば循環モジュールMB)を定値制御で動作させる第3動作モード(例えば動作モード2-1)に切り替える。
【0227】
第2態様によれば、無停電電源装置の単位電源容量あたりで動作できる循環時間を延ばすことができる。
【0228】
[第3態様]
第3態様は、第2態様において、前記制御部(例えば制御部900)は、前記無停電電源装置(例えば無停電電源装置PS2)の電力残量に応じて、前記第1動作モード(例えば動作モード1)または前記第2動作モード(例えば動作モード2)から、前記循環駆動部(例えば循環モジュールMB)を間欠動作させる第4動作モード(例えば動作モード2-2)に切り替える。
【0229】
第3態様によれば、電力消費をより抑えることが可能になり、無停電電源装置の単位電源容量あたりでの循環時間をさらに延ばすことができる。
【0230】
[第4態様]
第4態様は、第2態様または第3態様において、前記循環駆動部(例えば循環モジュールMB)は、前記所定の経路(例えば循環経路C1)を循環する液体を前記所定の経路から排出する排出部(例えば排出タンクT3)と、前記所定の経路内の液体を置換する置換部(例えば置換タンクT4)を備え、前記制御部(例えば循環制御部900c)は、前記無停電電源装置(例えば無停電電源装置PS2)の電力残量に応じて、前記第1動作モード(例えば動作モード1)または前記第2動作モード(例えば動作モード2)から、前記所定の経路内の液体を前記排出部に排出し且つ前記置換部の液体に置換する第5動作モード(例えば動作モード3)に切り替える。
【0231】
第4態様によれば、所定の経路への液体の再充填を液液置換で行えるため、再充填時の時間的コストを抑えることができる。
【0232】
[第5態様]
第5態様は、第2態様または第3態様において、前記循環駆動部(例えば循環モジュールMB)は、前記所定の経路(例えば循環経路C1)を循環する液体を前記所定の経路から排出する排出部(例えば排出タンクT3)を備え、前記制御部(例えば循環制御部900c)は、前記無停電電源装置(例えば無停電電源装置PS2)の電力残量に応じて、前記第1動作モード(例えば動作モード1)または前記第2動作モード(例えば動作モード2)から、前記所定の経路内の液体を前記排出部に排出する第6動作モード(例えば動作モード4)に切り替える。
【0233】
第5態様によれば、所定の経路内の液体を外部に排出することで装置の劣化を防ぐことができる。
【0234】
[第6態様]
第6態様は、第2態様または第3態様において、前記制御部(例えば制御部900)は、前記無停電電源装置(例えば無停電電源装置PS2)の電力残量に応じて、前記液体付与部(例えばヘッド101)および前記循環駆動部(例えば循環モジュールMB)の動作を停止させる第7動作モード(例えば動作モード5)に切り替える。
【0235】
第6態様によれば、無停電電源装置の電力残量が、液体循環動作を正常に停止させることが可能な状態にて停止を実行するので、装置へのダメージを回避することができる。
【0236】
[第7態様]
第7態様は、第1態様乃至第3態様のいずれかにおいて、前記制御部(例えば制御部900)は、前記主電源(例えば主電源PS1)の異常が解消されたとき、動作モードを前記第1動作モード(例えば動作モード1)に切り替える。
【0237】
第7態様によれば、主電源の復帰に伴い液体循環動作が再開され、液体循環動作を再開させるための手作業を軽減できる。
【0238】
[第8態様]
第8態様は、第1態様において、前記基材の搬送を行うとともに、前記制御部(例えば制御部900)により制御される基材搬送部(例えば基材搬送モジュールMC)を備え、前記制御部は、前記基材搬送部による前記基材の搬送を停止させた後、前記第1動作モード(例えば動作モード1)から前記第2動作モード(例えば動作モード2)への切り替えを開始する。
【0239】
[第9態様]
第9態様は、第8態様において、前記制御部(例えば制御部900)は、動作モードの履歴を記憶する記憶部(例えば記憶部9003)を備え、前記主電源(例えば主電源PS1)の異常が解消されたとき、前記制御部は前記記憶部に記憶された履歴に基づき前記基材搬送部(例えば基材搬送モジュールMC)を制御する。
【0240】
第8態様および第9態様によれば、液体付与部、循環駆動部および基材搬送部の状態を把握した上で各部の動作を復帰させることができる。
【符号の説明】
【0241】
1000 電極製造装置
101 ヘッド
900 制御部
9002 動作モード切替部
9003 記憶部
900a 主制御部
900b 印刷制御部
900c 循環制御部
900d 基材搬送制御部
C1 循環経路
MA 印刷モジュール
MB 循環モジュール
MC 基材搬送モジュール
PS1 主電源
PS2 無停電電源装置
T3 排出タンク
T4 置換タンク
W 基材
図1
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