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特開2023-182039接合構造、接合方法、電線用外装体および外装体付きワイヤハーネス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182039
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】接合構造、接合方法、電線用外装体および外装体付きワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20231219BHJP
   F16L 57/00 20060101ALI20231219BHJP
   B29C 65/08 20060101ALI20231219BHJP
   B60R 16/02 20060101ALN20231219BHJP
【FI】
H02G3/04 087
H02G3/04 062
F16L57/00 A
B29C65/08
B60R16/02 623Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095417
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114292
【弁理士】
【氏名又は名称】来間 清志
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】押野 貴志
(72)【発明者】
【氏名】須山 博史
(72)【発明者】
【氏名】児島 直之
【テーマコード(参考)】
3H024
4F211
5G357
【Fターム(参考)】
3H024AA04
3H024AB02
3H024AC03
4F211AA04
4F211AA11
4F211AA13
4F211AA15
4F211AA17
4F211AA21
4F211AA24
4F211AA25
4F211AA28
4F211AA29
4F211AA34
4F211AB02
4F211AD08
4F211AD17
4F211AG03
4F211AG20
4F211AH35
4F211TA01
4F211TC03
4F211TC13
4F211TD11
4F211TN22
5G357DA10
5G357DB03
5G357DC12
5G357DD02
5G357DD06
5G357DD14
5G357DE02
5G357DG06
(57)【要約】
【課題】発泡樹脂からなる発泡樹脂製の板状部材を、重ね合わせた状態で確実に接合することのできる接合構造、接合方法、電線用外装体および外装体付きワイヤハーネスを提供する。
【解決手段】それぞれ発泡樹脂からなり、互いに重ね合わせた状態で接合される第1板状部11および第2板状部12の接合構造であって、第1板状部11と前記第2板状部12との境界13を含む、第1板状部11および第2板状部12の内部に形成され、第1板状部11および第2板状部12のそれぞれの他の部分よりも高い密度となる溶融接合部14を備えている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ発泡樹脂からなり、重ね合わせた状態で接合される第1板状部および第2板状部の接合構造であって、
前記第1板状部と前記第2板状部との境界を含む、前記第1板状部および前記第2板状部の内部に形成され、前記第1板状部および前記第2板状部のそれぞれの他の部分の密度よりも高い密度となる溶融接合部を備えた
接合構造。
【請求項2】
前記第1板状部および前記第2板状部は、それぞれ、前記溶融接合部以外の部分の密度が、200kg/m以上700kg/m以下である
請求項1に記載の接合構造。
【請求項3】
前記第1板状部および前記第2板状部は、それぞれの厚さが、0.5mm以上4.0mm以下である
請求項1に記載の接合構造。
【請求項4】
前記第1板状部および前記第2板状部の少なくとも一方には、前記第1板状部および前記第2板状部の積層方向に延びる凹部が形成されている
請求項1に記載の接合構造。
【請求項5】
前記凹部の深さは、前記凹部が形成される前記第1板状部または前記第2板状部の厚さよりも小さい
請求項4に記載の接合構造。
【請求項6】
前記凹部の深さは、前記凹部が形成される前記第1板状部または前記第2板状部の厚さに対して0.1倍以上0.9倍以下である
請求項5に記載の接合構造。
【請求項7】
前記凹部は、横断面形状が、複数の直線からなる形状、曲線からなる形状、または、直線および曲線からなる形状である
請求項4に記載の接合構造。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の接合構造を備えた電線用外装体。
【請求項9】
ワイヤハーネスと、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の接合構造を備えた電線用外装体と、を具備し、
前記電線用外装体は、前記ワイヤハーネスの外側に取り付けられている
外装体付きワイヤハーネス。
【請求項10】
それぞれ発泡樹脂からなる第1板状部および第2板状部を重ね合わせる積層工程と、
前記第1板状部と前記第2板状部との境界を含む、前記第1板状部および前記第2板状部の内部に形成され、前記第1板状部および前記第2板状部のそれぞれの他の部分の密度よりも高い密度となる溶融接合部を形成する溶融接合部形成工程と、を含む
接合方法。
【請求項11】
前記溶融接合部形成工程は、重ね合わされた前記第1板状部および前記第2板状部を互いに押し付けた状態で超音波振動を付与することによって溶融接合部を形成する
請求項10に記載の接合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重ね合わせた状態の発泡樹脂製の板状部の接合構造、接合方法、電線用外装体および外装体付きワイヤハーネスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、車両等を構成する複数の機器の間で電力や信号を伝送するワイヤハーネスには、ワイヤハーネスを構成する電線の配設位置を規制したり、電線の損傷を抑制したりする目的で、外側に電線用外装体が取り付けられる場合がある。
【0003】
電線用外装体は、発泡樹脂製の屈曲可能な板状部材からなり、ワイヤハーネスに取り付けられた状態で、筒状に形成されているものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-25763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電線用外装体は、板状部材の端部同士を重ね合わせた状態で、超音波溶着や熱溶着によって板状部材の端部同士をそれぞれ部分的に溶融させて互いに接合することで、筒状に形成している。このため、電線用外装体は、接合部分の接合強度が弱い場合に、板状部材の端部同士の接合が外れる可能性がある。
【0006】
本発明の目的とするところは、発泡樹脂からなる発泡樹脂製の板状部材を、重ね合わせた状態で確実に接合することのできる接合構造、接合方法、電線用外装体および外装体付きワイヤハーネスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る接合構造は、それぞれ発泡樹脂からなり、重ね合わせた状態で接合される第1板状部および第2板状部の接合構造であって、前記第1板状部と前記第2板状部との境界を含む、前記第1板状部および前記第2板状部の内部に形成され、前記第1板状部および前記第2板状部のそれぞれの他の部分の密度よりも高い密度となる溶融接合部を備えている。
【0008】
また、本発明に係る接合構造は、前記第1板状部および前記第2板状部のそれぞれの前記溶融接合部以外の部分の密度が、200kg/m以上700kg/m以下である。
【0009】
また、本発明に係る接合構造は、前記第1板状部および前記第2板状部のそれぞれの厚さが、0.5mm以上4.0mm以下である。
【0010】
また、本発明に係る接合構造は、前記第1板状部および前記第2板状部の少なくとも一方に、前記第1板状部および前記第2板状部の積層方向に延びる凹部が形成されている。
【0011】
また、本発明に係る接合構造は、前記凹部の深さが、前記凹部が形成される前記第1板状部または前記第2板状部の厚さよりも小さい。
【0012】
また、本発明に係る接合構造は、前記凹部の深さが、前記凹部が形成される前記第1板状部または前記第2板状部の厚さに対して0.1倍以上0.9倍以下である。
【0013】
また、本発明に係る接合構造は、前記凹部の横断面形状が、複数の直線からなる形状、曲線からなる形状、または、直線および曲線からなる形状である。
【0014】
また、本発明に係る電線用外装体は、前記接合構造を備えている。
【0015】
また、本発明に係る外装体付きワイヤハーネスは、ワイヤハーネスと、前記接合構造を備えた電線用外装体と、を具備し、前記電線用外装体は、前記ワイヤハーネスの外側に取り付けられている。
【0016】
また、本発明に係る接合方法は、それぞれ発泡樹脂からなる第1板状部および第2板状部を重ね合わせる積層工程と、前記第1板状部と前記第2板状部との境界を含む、前記第1板状部および前記第2板状部の内部に形成され、前記第1板状部および前記第2板状部のそれぞれの他の部分の密度よりも高い密度となる溶融接合部を形成する溶融接合部形成工程と、を含む。
【0017】
また、本発明に係る接合方法は、前記溶融接合部形成工程が、重ね合わされた前記第1板状部および前記第2板状部を互いに押し付けた状態で超音波振動を付与することによって溶融接合部を形成する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、第1板状部および第2板状部のそれぞれの密度よりも高い密度となる溶融接合部によって第1板状部および第2板状部を互いに接合することが可能となるので、第1板状部および第2板状部を互いにより確実に接合することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施形態に係る電線用外装体の斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る接合構造を示す断面図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る接合方法を示す断面図である。
図4】本発明の第2実施形態に係る接合構造を示す断面図である。
図5】本発明の第2実施形態に係る接合方法を示す断面図である。
図6】本発明の溶着ホーンの先端部の形状のその他の例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第1実施形態>
図1乃至図3は、本発明の第1実施形態を示すものである。図1は電線用外装体の斜視図であり、図2は接合構造を示す断面図であり、図3は接合方法を示す断面図である。
【0021】
本発明の接合構造は、例えば、図1に示すように、外装体付きワイヤハーネス1に適用されている。
【0022】
外装体付きワイヤハーネス1は、図1に示すように、電力や信号を伝送するためのワイヤハーネス2と、ワイヤハーネス2の外側に取り付けられる電線用外装体3と、を備えている。
【0023】
ワイヤハーネス2は、電力または信号を伝送可能な複数の電線を有し、例えば、車両を構成する複数の機器同士を接続し、複数の機器の間において電力や信号を伝送する。
【0024】
電線用外装体3は、ワイヤハーネス2の外側を周方向にわたって覆うことによって、例えば、車両の内部におけるワイヤハーネス2の配設位置を規制したり、他の部材との接触によるワイヤハーネス2の損傷を抑制したりするものである。電線用外装体3は、発泡樹脂製の板状部材を屈曲して板状部材の端部側同士を重ね合わせた部分である重複部3aに、接合構造10を構成することによって筒状に形成される。
【0025】
接合構造10は、重複部3aを構成する板状部材の一方の端部側に位置する第1板状部11と、他方の端部側に位置する第2板状部12と、を互いに接合している。接合構造10は、第1板状部11と第2板状部12との境界13を含む、第1板状部11および第2板状部12の内部に形成され、第1板状部11と第2板状部12とを互いに接合する部分である溶融接合部14を有している。また、接合構造10は、溶融接合部14を形成する際に用いられる溶着ホーン20の先端部によって第1板状部11が部分的に押圧されることによって形成される凹部11aを有している。
【0026】
第1板状部11および第2板状部12(電線用外装体3)は発泡樹脂である。発泡樹脂は、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンスルファイド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、アクリル樹脂などの熱可塑性樹脂からなる。
【0027】
また、第1板状部11および第2板状部12を構成する発泡樹脂は、それぞれ、200kg/m以上700kg/m以下の密度を有する。第1板状部11および第2板状部12を構成する発泡樹脂は、それぞれ、軽量化を図ると同時に必要な強度を確保する観点で、300kg/m以上600kg/m以下であることが好ましく、350kg/m以上550kg/m以下であることが特に好ましい。尚、発泡樹脂の密度は、JIS K 7222に基づいて測定される。
【0028】
さらに、第1板状部11および第2板状部12は、それぞれ、加工性の向上を図ると同時に必要な強度を確保する観点で、0.5mm以上4.0mm以下の厚さTであることが好ましく、0.8mm以上2.5mm以下の厚さTであることが特に好ましい。
【0029】
溶融接合部14は、第1板状部11と第2板状部12とを互いに接合する際に第1板状部11および第2板状部12のそれぞれの一部が溶融して混合される部分であり、第1板状部11と第2板状部12との境界13を跨いで第1板状部11および第2板状部12の両側に形成される。また、溶融接合部14は、第1板状部11および第2板状部12のそれぞれの一部が溶融した後に凝固すると、第1板状部11および第2板状部12のそれぞれの他の部分よりも高い密度、例えば800kg/mの密度となる。
【0030】
凹部11aは、互いに重ね合わされた第1板状部11および第2板状部12の積層方向の第1板状部11の外側から境界13に向かって延びている。凹部11aの深さDは、第1板状部11の厚さTよりも小さく形成されている。凹部11aの深さDは、第1板状部11の厚さTに対して、0.1倍以上0.9倍以下の大きさの範囲内で形成される。
【0031】
ここで、本実施形態では、凹部11aが、第1板状部11のみに形成され、第2板状部12に凹部が形成されていないものを示している。しかし、凹部は、第1板状部11に形成することなく、第2板状部12のみに形成してもよい。また、凹部は、第1板状部11および第2板状部12の両側に形成してもよい。いずれの場合においても、凹部の深さは、凹部が形成された第1板状部11または第2板状部の厚さよりも小さく、第1板状部11または第2板状部の厚さに対して、0.1倍以上0.9倍以下の大きさの範囲内で形成されていればよい。
【0032】
上述の構成を有する接合構造10は、第1板状部11および第2板状部12を、超音波溶着を用いて接合することによって形成される。このときの、第1板状部11および第2板状部12の接合方法を、図3を用いて説明する。
【0033】
まず、図3(a)に示すように、積層工程として、第2板状部12の上面側に第1板状部11を配置し、第1板状部11および第2板状部12を互いに重ね合わせた状態とする。
【0034】
次に、図3(b)に示すように、溶融接合部形成工程として、超音波溶着装置を構成する溶着ホーン20の先端部を第1板状部11側から押し付けるとともに、溶着ホーン20の先端側を所定の深さまで第1板状部11に押し込んだ状態とし、溶着ホーン20において発生させた超音波振動を第1板状部11および第2板状部12に伝達する。ここで、溶着ホーン20は、先端部に平滑な面が形成された円柱状の部材からなる。
【0035】
最後に、図3(c)に示すように、溶着ホーン20を第1板状部11から離間させると、凹部11aおよび溶融接合部14が形成され、接合構造10が構成される。凹部11aは、溶着ホーン20の先端側が押し込まれることによって、横断面形状が円形状に形成される。
【0036】
このように、本実施形態の接合構造10によれば、それぞれ発泡樹脂からなり、重ね合わせた状態で接合される第1板状部11および第2板状部12の接合構造であって、第1板状部11と前記第2板状部12との境界13を含む、第1板状部11および第2板状部12の内部に形成され、第1板状部11および第2板状部12のそれぞれの他の部分よりも高い密度となる溶融接合部14を備えている。
【0037】
また、本実施形態の接合方法によれば、それぞれ発泡樹脂からなる第1板状部11および第2板状部12を重ね合わせる積層工程と、第1板状部11と第2板状部12との境界13を含む、第1板状部11および第2板状部12の内部に形成され、第1板状部11および第2板状部12のそれぞれの他の部分よりも高い密度となる溶融接合部を形成する溶融接合部形成工程と、を含んでいる。
【0038】
これにより、第1板状部11および第2板状部12のそれぞれの密度よりも高い密度となる溶融接合部14によって第1板状部11および第2板状部12を互いに接合することが可能となるので、第1板状部11および第2板状部12を互いにより確実に接合することが可能となる。
【0039】
また、第1板状部11および第2板状部12は、それぞれ、溶融接合部14以外の部分の密度が、200kg/m以上700kg/m以下である、ことが好ましい。
【0040】
これにより、接合構造10を有する部材の軽量化を図ると同時に必要な強度を確保することが可能となり、接合構造10を有する部材の品質の向上を図ることが可能となる。
【0041】
また、第1板状部11および第2板状部12は、それぞれの厚さTが、0.5mm以上4.0mm以下である、ことが好ましい。
【0042】
これにより、加工性の向上を図ると同時に必要な強度を確保することが可能となり、接合構造10を有する部材の品質の向上を図ることが可能となる。
【0043】
また、第1板状部11および第2板状部12の少なくとも一方には、押圧力を付与することによって、第1板状部11および第2板状部12の積層方向に延びる凹部11aが形成されている、ことが好ましい。
【0044】
これにより、第1板状部11および第2板状部12の少なくとも一方の凹部11aが位置する部分が圧縮されて密度が高い状態となるので、部材の強度を向上させることが可能となる。
【0045】
また、凹部11aの深さDは、凹部11aが形成される第1板状部11または第2板状部12の厚さTよりも小さい、ことが好ましい。
【0046】
これにより、凹部11aの形成によって第1板状部11または第2板状部12の厚さが必要以上に小さくなることによる、第1板状部11および第2板状部12の強度の低下を抑制することが可能となる。
【0047】
また、凹部11aの深さDは、凹部11aが形成される第1板状部11の厚さTに対して0.1倍以上0.9倍以下の大きさの範囲内である、ことが好ましい。
【0048】
これにより、溶融接合部14における第1板状部11と第2板状部12との必要な接合強度を確保するとともに、第1板状部11および第2板状部12のそれぞれの部材の強度を確保することが可能となる。
【0049】
また、本実施形態の電線用外装体によれば、接合構造10を備えている。
【0050】
これにより、接合構造10によって部材の接合部分を確実に接合することができるので、電線用外装体3の耐久性を向上することが可能となる。
【0051】
また、本実施形態の外装体付きワイヤハーネスによれば、ワイヤハーネス2と、接合構造10を備えた電線用外装体3と、を具備し、電線用外装体3は、ワイヤハーネス2の外側に取り付けられている。
【0052】
これにより、接合構造10によって部材の接合部分を確実に接合した電線用外装体3によってワイヤハーネス2を保護することができるので、ワイヤハーネス2の損傷を抑制することが可能となる。
【0053】
また、本実施形態の接合方法によれば、溶融接合部形成工程は、重ね合わされた第1板状部11および第2板状部12を互いに押し付けた状態で超音波振動を付与することによって溶融接合部14を形成する、ことが好ましい。
【0054】
これにより、第1板状部11および第2板状部12を互いに確実に接合することができる。
【0055】
<第2実施形態>
図4及び図5は、本発明の第2実施形態を示すものであり、図4は接合構造を示す断面図であり、図5は接合方法を示す断面図である。尚、前記実施形態と同様の構成部分には同一の符号を付して示す。
【0056】
本実施形態の接合構造10は、第1実施形態において形成されていた凹部11aを有しておらず、第1板状部11および第2板状部12のそれぞれの外側面が平滑な面となっている。
【0057】
上述の構成を有する接合構造10は、第1実施形態と同様に、第1板状部11および第2板状部12を、超音波溶着を用いてに接合することによって形成される。本実施形態における第1板状部11は、第2板状部12と接合される前の状態において、溶着ホーン20によって押圧される部分が外側に突出する凸部11bを有している。このときの、第1板状部11および第2板状部12の接合方法を、図5を用いて説明する。
【0058】
まず、図5(a)に示すように、積層工程として、第2板状部12の上面側に第1板状部11を配置し、第1板状部11および第2板状部12を互いに重ね合わせた状態とする。このとき、第1板状部11は、上面において凸部11bが上方に突出した状態となっている。
【0059】
次に、図5(b)に示すように、溶融接合部形成工程として、超音波溶着装置を構成する溶着ホーン20の先端部を第1板状部11側の凸部11bに押し付けるとともに、溶着ホーン20の先端部を第1板状部11の上面と面一となるまで押し込んだ状態とし、溶着ホーン20において発生させた超音波振動を第1板状部11および第2板状部12に伝達する。
【0060】
最後に、図5(c)に示すように、溶着ホーン20を第1板状部11から離間させると、溶融接合部14が形成され、接合構造10が構成される。
【0061】
このように、本実施形態の接合構造10によれば、第1実施形態と同様に、第1板状部11および第2板状部12のそれぞれの密度よりも高い密度となる溶融接合部14によって第1板状部11および第2板状部12を互いに接合することが可能となるので、第1板状部11および第2板状部12を互いにより確実に接合することが可能となる。
【0062】
尚、前記実施形態では、先端部に平滑な面が形成された円柱状の溶着ホーン20を示したが、これに限られるものではない。例えば、図6(a)に示す溶着ホーン21のように先端部に複数の凹凸を形成してもよいし、図6(b)に示す溶着ホーン22のように径方向の中央部に向かって徐々に突出する凸曲面を形成してもよいし、図6(c)に示す溶着ホーン23のように径方向の中央部に向かって徐々に凹む凹曲面を形成してもよい。
【0063】
また、前記第1実施形態では、横断面形状が円形状の凹部11aを示したが、これに限られるものでない。凹部は、横断面形状が、複数の直線からなる形状、曲線からなる形状、または、直線および曲線からなる形状であってもよい。ここで、横断面形状が複数の直線からなる形状とは、例えば、三角形や四角形等の多角形、星形多角形である。横断面形状が曲線からなる形状とは、例えば、円形、楕円形である。直線および曲線からなる形状とは、互いに間隔を置いて配置された一対の円弧の端部同士を直線で接続した長円形、円弧の両端部を一の直線で接続した蒲鉾型である。また、横断面形状が、複数の直線からなる形状、曲線からなる形状、または、直線および曲線からなる形状となる凹部は、横断面形状が、複数の直線からなる形状、曲線からなる形状、または、直線および曲線からなる形状を有する柱状の溶着ホーンを用いることによって形成される。
【0064】
また、前記実施形態では、超音波溶着によって溶融接合部14を形成するようにしたものを示したが、これに限られるものではなく、例えば、熱溶着によって溶融接合部を形成してもよい。
【0065】
また、前記実施形態では、筒状の電線用外装体3を、屈曲した発泡樹脂製の板状部材の端部同士を重ね合わせた重複部3aに接合構造10を構成することによって形成したものを示したが、これに限られるものではない。電線用外装体は、2枚以上の板状部材を本発明の接合構造によって接合して筒状に形成してもよい。また、電線用外装体は、直線状に延びるワイヤハーネスの外周側を覆うものに限られず、ワイヤハーネスの屈曲部分の外周側を覆う曲がりを有する筒形状に形成してもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 外装体付きワイヤハーネス
2 ワイヤハーネス
3 電線用外装体
10 接合構造
11 第1板状部
11a 凹部
12 第2板状部
13 境界
14 溶融接合部
図1
図2
図3
図4
図5
図6