(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182226
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】加工装置
(51)【国際特許分類】
B24B 55/06 20060101AFI20231219BHJP
B23Q 3/08 20060101ALI20231219BHJP
B23Q 7/04 20060101ALI20231219BHJP
B24B 41/06 20120101ALI20231219BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20231219BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
B24B55/06
B23Q3/08 A
B23Q7/04 K
B24B41/06 A
H01L21/68 A
H01L21/304 622Q
H01L21/304 631
H01L21/304 622P
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095707
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 翔太
【テーマコード(参考)】
3C016
3C033
3C034
3C047
5F057
5F131
【Fターム(参考)】
3C016DA01
3C033HH28
3C034AA08
3C034AA13
3C034BB73
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3C047FF19
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5F131KB12
(57)【要約】
【課題】テーブルに保持されたワークを取り外すことなく、該ワークの下面を短時間で素早く乾燥させることができる加工装置を提供すること。
【解決手段】保持面43aでワークWを吸引保持する第3テーブル43と、加工液を供給しながらワークWを加工する加工手段(粗研削手段10と仕上げ研削手段10’)と、搬送パッド21で保持したワークWを保持面43aに対して搬入または搬出する搬送手段20とを備える研削装置(加工装置)1は、第3テーブル43の保持面43aに吸引保持されたワークWの上面を搬送パッド21で保持し、Z軸移動機構20Bによって搬送パッド21を上昇させて第3テーブル43の保持面43aとワークWの下面との間に隙間δを形成することと、第3テーブル43の保持面43aからエアを噴射して該ワークWの下面を乾燥させる乾燥制御部200を備えている。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保持面でワークを吸引保持するテーブルと、加工液を供給しながらワークを加工する加工手段と、搬送パッドで保持したワークを該保持面に対して搬入または搬出する搬送手段と、を備える加工装置であって、
該保持面に吸引保持されたワークの上面を該搬送パッドで保持して、該搬送手段によって該搬送パッドを上昇させて該保持面と該搬送パッドが保持したワークの下面との間に隙間を形成することと、該保持面からエアを噴射して該ワークの下面を乾燥させる乾燥制御部を備える、加工装置。
【請求項2】
該テーブルは、ワークを吸引保持する保持面を有するチャックテーブルである、請求項1記載の加工装置。
【請求項3】
該テーブルは、ワークを吸引保持する保持面を有する仮置きテーブルである、請求項1記載の加工装置。
【請求項4】
該チャックテーブル及び該仮置きテーブルは、複数のワークを吸引保持する複数の保持面を有する、請求項1または請求項2記載の加工装置。
【請求項5】
ワークを吸引保持する第1テーブルと、加工液を供給しながら該第1テーブルに吸引保持されたワークを加工する第1加工手段と、該第1テーブルをY軸方向に移動させる第1移動機構と、ワークの上面を保持する第1搬送パッドと、該第1搬送パッドをY軸方向に移動させる第1Y軸移動機構と、該第1搬送パッドをX軸方向とY軸方向とに直交するZ軸方向に移動させる第1Z軸移動機構と、を備える第1加工ユニットと、
ワークを吸引保持する第2テーブルと、加工液を供給しながら該第2テーブルに吸引保持されたワークを加工する第2加工手段と、該第2テーブルをY軸方向に移動させる第2移動機構と、ワークの上面を保持する第2搬送パッドと、該第2搬送パッドをY軸方向に移動させる第2Y軸移動機構と、該第2搬送パッドをX軸方向とY軸方向とに直交するZ軸方向に移動させる第2Z軸移動機構と、を備え、水平方向でY軸方向に直交するX軸方向での該第1加工ユニットの横に配置される第2加工ユニットと、
ワークを吸引保持する第3テーブルと、該第3テーブルと該第1搬送パッドがワークの受け渡しを可能、及び、該第3テーブルと該第2搬送パッドがワークの受け渡しを可能に、該第3テーブルをX軸方向に移動させる第3移動機構と、を備え、
該第1テーブルの上面または該第3テーブルの上面からエアを噴射して該第1搬送パッドに保持されたワークの下面を乾燥させる第1乾燥制御部と、
該第2テーブルの上面または該第3テーブルの上面からエアを噴射して該第2搬送パッドに保持されたワークの下面を乾燥させる第2乾燥制御部と、
を備える、請求項1記載の加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーブルに保持されたワークに加工液を供給しながら該ワークを加工する加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電子機器に用いられるICやLSIなどの半導体デバイスの製造工程においては、半導体デバイスの小型化と軽量化のために、ウェーハの裏面が研削装置によって研削されて該ウェーハが所定の厚みまで薄肉化されている。特に、近年は電子機器の薄型化や小型化などの要求に応えるため、半導体デバイスを薄く形成することが求められている。
【0003】
ここで、ウェーハの研削装置は、保持面でウェーハを吸引保持するチャックテーブルと、ウェーハに加工液を供給しながら該ウェーハを研削する研削手段と、ウェーハをチャックテーブルの保持面に対して搬入または搬出する搬送手段と、研削加工後のウェーハを洗浄水によって洗浄する洗浄手段と、洗浄後のウェーハを収納するカセットなどを備えている。
【0004】
このようなウェーハの研削装置においては、研削加工後のウェーハを搬送手段によって洗浄手段へと搬送し、洗浄手段においてウェーハを洗浄して乾燥させた後、このウェーハを搬送手段によってカセットへと搬送して該カセット内に収納している。この場合、研削加工後のウェーハを洗浄手段へと搬送する際に該ウェーハの下面に向けてエアを噴射(エアブロー)し、ウェーハの下面に付着している加工液(研削液)を除去するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、特許文献2には、複数の保持面を有するチャックテーブルに複数のワークを保持させ、これらの複数のワークに対してインフィード研削工程とクリープフィード研削工程を行うことによって、複数のワークを研削加工する研削装置が開示されている
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010-167519号公報
【特許文献2】特開2022-029598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、ウェーハの研削をフルオート(全自動)で行う研削装置において、研削加工中に何らかのエラーが発生するなどしたためにフルオート動作が停止した場合には、作業者がチャックテーブルからウェーハを取り外し、取り外したウェーハの下面にハンディータイプのエアガンを用いてエアを噴射してウェーハの下面の加工液を吹き飛ばしている。このような作業者による手作業には比較的長い時間を要するため、フルオート動作の再開に長時間を要し、研削装置の稼働率の低下を招くという問題がある。
【0008】
また、上記の作業は、加工室から出たチャックテーブルの上方で行うため、エアによって加工屑を加工装置内に撒き散らかせ、その加工屑が他のテーブルに付着して、次に研削したウェーハが均一な厚みにならなくなるという問題がある。
【0009】
また、上記の作業は、加工装置の側面の扉を開いて行われるため、飛散した加工屑によって、装置を設置しているクリーンルームを汚染させるという問題がある。
【0010】
特に、特許文献2に開示されている研削装置においてフルオート動作が停止した場合には、作業者が複数のワークをチャックテーブルから取り外し、取り外したワークの下面に付着している加工液をハンディータイプのエアガンから噴射したエアによって加工液を吹き飛ばしているため、フルオート動作の再開には、より一層長い時間を要し、当該研削装置の稼働率のさらなる低下を招くという問題がある。
【0011】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、その目的は、テーブルに保持されたワークを装置外に取り外すことなく、該ワークの下面を短時間で素早く乾燥させることができる加工装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するための本発明は、保持面でワークを吸引保持するテーブルと、加工液を供給しながらワークを加工する加工手段と、搬送パッドで保持したワークを該保持面に対して搬入または搬出する搬送手段と、を備える加工装置であって、該保持面に吸引保持されたワークの上面を該搬送パッドで保持して、該搬送手段によって該搬送パッドを上昇させて該保持面と該搬送パッドが保持したワークの下面との間に隙間を形成することと、該保持面からエアを噴射して該ワークの下面を乾燥させる乾燥制御部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、加工装置によるワークの加工中に何らかのエラーが発生するなどしたためにフルオート動作が停止した場合には、テーブルの保持面に保持されたワークを搬送手段の搬送パッドで保持し、該搬送パッドを上昇させてテーブルの保持面とワークの下面との間に隙間を形成し、テーブルの保持面からワークの下面に向けてエアを噴射して該ワークの下面を短時間で素早く乾燥させることができる。このため、作業者がワークをテーブルから取り外して該ワークの下面に付着している加工液を手で拭き取る作業が不要となり、作業者の負担が軽減されるとともに、加工装置のフルオート動作が停止して再開するまでに要する時間が短縮され、当該加工装置の稼働率の低下が最小限に抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る加工装置(研削装置)の一部を破断して示す斜視図である。
【
図3】カセットからワークを取り出して仮置きする機構を示す部分斜視図である。
【
図7】本発明に係る加工装置(研削装置)のフルオート動作が停止した場合の仮置き部の状態を示す部分斜視図である。
【
図8】本発明に係る加工装置(研削装置)のフルオート動作が停止した場合にワークを持ち上げてその下面を乾燥させている状態を示す部分斜視図である。
【
図9】本発明に係る加工装置(研削装置)のフルオート動作が停止した場合にワークを持ち上げてその下面を乾燥させている状態を示す部分破断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0016】
まず、本発明に係る加工装置の一形態としての研削装置の構成を
図1~
図6に基づいて説明する。なお、以下の説明においては、
図1に示す矢印方向をそれぞれX軸方向(左右方向)、Y軸方向(前後方向)、Z軸方向(上下方向)とする。
【0017】
[研削装置の構成]
図1に示す研削装置1は、矩形プレート状の2枚のワークWをフルオートで研削加工する装置であって、ワークWを粗研削する第1加工ユニットU1と、該第1加工ユニットU1によって粗研削されたワークWを仕上げ研削する第2加工ユニットU2と、第1研削ユニットU1と第2研削ユニットU2との間でワークWを受け渡すために該ワークWを一時的に仮置きしておく仮置き部40と、第2研削ユニットU2によって仕上げ研削されたワークWを洗浄する洗浄手段60と、研削加工前の複数のワークWを収容するカセット6を載置するカセットステージ50と、複数のカセット6をストックしておくストッカ70と、ワークWの下面に向けてエアを噴射して該ワークWの下面を乾燥させる乾燥制御部200を主要な構成要素として備えている。
【0018】
以下、研削装置1の主要な構成要素である第1加工ユニットU1と第2加工ユニットU2、仮置き部40、洗浄手段60、カセットステージ50、ストッカ70及び乾燥制御部200の構成について順次説明する。
【0019】
<第1加工ユニット及び第2加工ユニット>
ワークWを粗研削する第1加工ユニットU1とワークWを仕上げ研削する第2加工ユニットU2は、
図1に示すように、装置ベース2上にX軸方向(左右方向)に沿って並設されており、これらの第1加工ユニットU1と第2加工ユニットU2の基本構成は同じであるため、以下、第1加工ユニットU1の構成を主として説明する。
【0020】
第1加工ユニットU1は、第1テーブルとしての第1チャックテーブル3と、第1加工手段としての粗研削手段10と、第1チャックテーブル3をY軸方向に往復動させる不図示の第1移動機構と、ワークWの上面を保持して該ワークWを搬送する第1搬送手段20を含んで構成されている。ここで、この第1加工ユニットU1を構成する第1チャックテーブル3、粗研削手段10、第1移動機構(不図示)、第1搬送手段20の構成を以下に説明する。
【0021】
(第1チャックテーブル)
第1チャックテーブル3は、円板状の部材であって、不図示の回転機構によってZ軸方向に垂直な中心軸回りに所定の速度で回転駆動される。そして、この第1チャックテーブル3の上面には、ワークWを吸引保持する矩形の2つの保持面3aが設けられている。なお、各保持面3aは、不図示の吸引源に接続されている。また、装置ベース2上の粗研削手段10の近傍には、第1チャックテーブル3に保持されて粗研削されるワークWの厚みを測定するための第1厚み測定器4が設置されている。
【0022】
(粗研削手段)
粗研削手段10は、ホルダ11に固定されたスピンドルモータ12と、該スピンドルモータ12によって回転駆動される垂直なスピンドル13と、該スピンドル13の下端に取り付けられた円板状のマウント14と、該マウント14の下面に着脱可能に装着された研削ホイール15とを備えている。ここで、研削ホイール15には、円環状に配列された複数の砥石16が取り付けられている。
【0023】
そして、粗研削手段10は、装置ベース2の+Y軸方向端部(後端部)に垂直に立設されたブロック状のコラム5の-Y軸方向端面(前面)に設けられた昇降機構30によって昇降可能に支持されている。
【0024】
上記昇降機構30は、粗研削手段10をZ軸方向(上下方向)に沿って昇降動させるものであって、矩形プレート状の昇降板31と、該昇降板31の昇降動をガイドするための左右一対のガイドレール32を備えている。ここで、昇降板31には、粗研削手段10が取り付けられている。なお、左右一対のガイドレール32は、コラム5の-Y軸方向端面(前面)に垂直且つ互いに平行に配設されている。
【0025】
そして、左右一対のガイドレール32の間には、回転可能なボールネジ軸33がZ軸方向(上下方向)に沿って垂直に配置されており、該ボールネジ軸33の上端は、駆動源である正逆転可能な電動モータ34に連結されている。また、ボールネジ軸33の下端は、不図示の軸受によってコラム5に回転可能に支持されており、このボールネジ軸33には、昇降板31の背面に後方(+Y軸方向)に向かって水平に突設された不図示のナット部材が螺合している。
【0026】
したがって、以上のように構成された昇降機構30の電動モータ34を起動してボールネジ軸33を正逆転させると、該ボールネジ軸33に螺合する不図示のナット部材が突設された昇降板31が左右一対のガイドレール32に沿って昇降するため、該昇降板31に取り付けられた粗研削手段10もZ軸方向(上下方向)に沿って昇降動する。
【0027】
(第1移動機構)
不図示の第1移動機構は、第1チャックテーブル3とこれに保持されたワークWをY軸方向に沿って往復動させるものであって、装置ベース3内に配置された周知のボールネジ機構などによって構成されている。したがって、この第1移動機構についてのさらなる説明と図示は省略する。
【0028】
(第1搬送手段)
第1搬送手段20は、2枚のワークWを保持してこれらを所定の位置へと搬送するものであって、
図1に破線にて示す第1搬送空間S1に配置されており、
図2に示すように、ワークWを吸引保持する矩形プレート状の一対の第1搬送パッド21を備えている。ここで、一対の第1搬送パッド21は、これらを間欠的に180°回転させる反転機構22に互いに平行に取り付けられており、反転機構22は、ブロック状の昇降ブロック23から水平に延びる回転軸24の先端に取り付けられている。なお、各第1搬送パッド21の吸着面には、複数の吸盤27が取り付けられている。
【0029】
そして、第1搬送パッド21は、
図2に示す第1Y軸移動機構20AによってY軸方向(前後方向)に移動可能であるとともに、第1Z軸移動機構20BによってZ軸方向に昇降可能である。ここで、第1Y軸移動機構20Aは、ベースプレート21aの側面にY軸方向に沿って互いに平行に配置された上下一対のガイドレール22aと、これらのガイドレール22aに沿ってY軸方向に摺動可能なスライダ23aを備えており、一対のガイドレール22aの間には、Y軸方向に沿って延びる回転可能なボールネジ軸24aが配置されている。
【0030】
上記ボールネジ軸24aの軸方向一端は、駆動源である電動モータ25aに接続されており、ボールネジ軸24aの軸方向他端は、軸受26aによってベースプレート21aに回転可能に支持されている。そして、このボールネジ軸24aは、矩形ブロック状のスライダ23aに螺合挿通している。
【0031】
第1Z軸移動機構20Bは、スライダ23aの側面に取り付けられたベースプレート21bにZ軸方向に沿って垂直に取り付けられたガイドレール22bと、このガイドレール22bに沿ってZ軸方向に昇降動する昇降ブロック23bを備えている。そして、昇降ブロック23bからは、先端に反転機構22を介して第1搬送パッド21を支持する前記回転軸24が-X軸方向に沿って水平に延びており、該昇降ブロック23bには、垂直に配置された回転可能なボールネジ軸24bが螺合挿通している。ここで、ボールネジ軸24bの上端は、回転駆動源である電動モータ25bに連結されており、ボールネジ軸24bの下端は、軸受26bによってベースプレート21bに回転可能に支持されている。
【0032】
したがって、第1Y軸移動機構20Aの電動モータ25aを起動してボールネジ軸24aを正逆転させると、このボールネジ軸24aに螺合するスライダ23aが第1Z軸移動機構20Bと共にガイドレール22aに沿ってY軸方向に移動し、第1Z軸移動機構20Bの電動モータ25bを起動してボールネジ軸24bを正逆転させると、このボールネジ軸24bに螺合する昇降ブロック23bがZ軸方向に沿って昇降動するため、この昇降ブロック23bに回転軸24と反転機構22を介して支持された第1搬送パッド21は、Y軸方向に移動することができるとともに、Z軸方向に昇降動することができる。
【0033】
なお、第2加工ユニットU2は、第2チャックテーブル3’と、第2加工手段である仕上げ研削手段10’と、不図示の第2移動機構及び第2搬送手段を備えているが、第2チャックテーブル3’と第2移動機構の構成は、第1加工ユニットU1の第1チャックテーブル3と第1移動機構の構成と同じであるため、これらについての説明は省略する。なお、第2チャックテーブル3’の上面には、2つのワークWを吸引保持するための2つの保持面3a’が形成されており、加工位置にある第2チャックテーブル3’の近傍には、仕上げ研削中のワークWの厚みを測定する第2厚み測定器4’が設置されている。また、第2搬送手段の構成は、前述の第1搬送手段20の構成と同じであるため、これについての説明は省略し、以下の第2搬送手段に関する説明においては、第1搬送手段20の各構成要素に付した符号を用いる。
【0034】
また、仕上げ研削手段10’は、粗研削手段10と同様に、ホルダ11’に固定されたスピンドルモータ12’と、該スピンドルモータ12’によって回転駆動される垂直なスピンドル13’と、該スピンドル13’の下端に取り付けられた円板状のマウント14’と、該マウント14’の下面に着脱可能に装着された研削ホイール15’とを備えている。ここで、研削ホイール15’には、円環状に配列された複数の砥石16’が取り付けられているが、これらの砥石16’は、粗研削手段10の砥石16よりも細かい砥粒によって構成されている。そして、第2加工ユニットU2においても、仕上げ研削手段10’を昇降させる昇降機構30が設けられている。この昇降機構30は、粗研削手段10を昇降させる昇降機構30と同じであるため、これについては同じ符号を付して再度の説明は省略する。
【0035】
さらに、
図1に破線にて示す第2搬送空間S2には、
図2に示す第1搬送手段20と同様の第2搬送手段が設けられるが、前述のように、両者の構成は同じであるため、第2搬送手段の図示及び説明は省略する。
【0036】
なお、図示しないが、本実施の形態に係る研削装置1には、研削加工中に粗研削手段10の砥石16と仕上げ研削手段10’の砥石16’に加工液である研削水をそれぞれ供給する研削水供給手段が設けられている。この研削水供給手段は、研削水を粗研削手段10と仕上げ研削手段10’の各スピンドルモータ12,12’と各スピンドル13,13’の軸中心を通って各研削ホイール15,15’の各砥石16,16’にそれぞれ供給するものであり、各研削砥石16,16’と各ワークWとの接触面が研削水によってそれぞれ冷却される。なお、研削水には、純水が好適に用いられる。
【0037】
<仮置き部>
仮置き部40は、第1加工ユニットU1の粗研削手段10によって粗研削されたワークWを第2加工ユニットU2に受け渡すとともに、第2加工ユニットU2の仕上げ研削手段10’によって仕上げ研削されたワークWを受け取って該ワークWを一時的に仮置きするためのものであって、
図1に示すように、Y軸方向において装置ベース2上のカセットステージ50とストッカ70の近傍に配置されている。この仮置き部40は、水平な仮置き台41にX軸方向に沿って敷設されたガイドプレート42に沿ってY方向に移動可能な仮置きテーブル(以下、「第3テーブル」と称する)43を備えており、この第3テーブル43の上面には、2枚のワークWを吸引保持するための矩形の2つの保持面43aが設けられている。なお、図示しないが、仮置き部40には、第3テーブル43をガイドプレート42に沿ってY軸方向に移動させる第3移動機構が設けられている。
【0038】
<洗浄手段>
洗浄手段60は、第2加工ユニットU2の仕上げ研削手段10’によって仕上げ研削された2枚のワークWを洗浄水によって洗浄するものであって、
図1に示すように、Y軸方向においてストッカ70の近傍に配置されている。この洗浄手段60は、仕上げ研削されたワークWを上面に吸引保持して垂直な中心軸回りに所定の速度で回転するスピンナテーブル61と、該スピンナテーブル61に保持されたワークWに向けて洗浄水を噴射する洗浄水ノズル62を備えている。なお、洗浄水には、純水が好適に用いられる。
【0039】
<カセットステージ>
カセットステージ50は、
図1に示すように、装置ベース2の-Y軸方向端部の-X軸方向隅部に配置されており、その上面には、矩形のアダプタプレート51を介してカセット6が載置されている。ここで、カセット6は、研削加工前の複数のワークWを収納するためのものであって、その内部には複数の棚が上下方向に所定の間隔を設けて配置されている。
【0040】
そして、カセットステージ50内には、カセット6をZ軸方向に昇降させるためのカセット昇降機構52が設けられている。このカセット昇降機構52は、垂直なベースプレート53に互いに平行に配置された垂直な一対のガイドレール54と、これらのガイドレール54に沿って昇降する昇降板55を備えている。そして、この昇降板55にアダプタプレート51が固定されており、このアダプタプレート51上にカセット6が着脱可能に載置されている。
【0041】
また、一対のガイドレール54の間には、垂直なボールネジ軸56が回転可能に配置されており、このボールネジ軸56の下端は、回転駆動源である電動モータ57に連結されている。そして、このボールネジ軸56には、昇降板55に突設された不図示のナット部材が螺合している。
【0042】
したがって、電動モータ57を起動してボールネジ軸56を正逆転させれば、該ボールネジ軸56に螺合する不図示のナット部材が突設された昇降板55がガイドレール54に沿ってZ軸方向に昇降するため、この昇降板55と共にカセット6も昇降する。
【0043】
ところで、カセットステージ50に隣接する
図1に破線にて示すワーク仮置き空間S3には、
図3に示す仮置きテーブル80とこの仮置きテーブル80をX軸方向に移動させるX軸移動機構81が配置されている。
【0044】
上記仮置きテーブル80は、矩形ブロック状の部材であって、その上面には、2枚のワークWを吸引保持するための2つの矩形の保持面80aが形成されている。この仮置きテーブル80をX軸方向に移動させるX軸移動機構81は、ベース台82の上面にX軸方向に沿って互いに平行に敷設された一対のガイドレール83と、これらのガイドレール83の間にX軸方向に沿って配置された回転可能なボールネジ軸84を備えている。そして、ボールネジ軸84の軸方向一端には、回転駆動源である電動モータ85が連結されており、ボールネジ軸84の軸方向他端は、軸受86によってベース台82に回転可能に支持されている。
【0045】
そして、X軸移動機構81の一対のガイドレール83には、仮置きテーブル80が摺動可能に嵌合しており、この仮置きテーブル80には、ボールネジ軸84が螺合挿通している。したがって、電動モータ85を起動してボールネジ軸84を正逆転させると、このボールネジ軸84に螺合する仮置きテーブル80が一対のガイドレール83に沿ってX軸方向に移動する。
【0046】
ところで、
図3に示すように、アダプタプレート51とベース台82との間には、Y軸方向に延びる一対のレール87が互いに平行に架設されており、これらのレール87の近傍の
図3に破線にて示すワーク取出空間S4には、
図4に示すワーク取出機構90が配置されている。
【0047】
上記ワーク取出機構90は、カセット6に収納されているワークWを取り出す機構であって、ベースプレート91にY軸方向に沿って互いに平行に配置された上下一対のガイドレール92と、これらのガイドレール92に沿ってY軸方向に摺動するブロック状のスライダ93を備えている。そして、上下一対のガイドレール92の間には、Y軸方向に沿って延びる回転可能なボールネジ軸94が配置されており、このボールネジ軸94の軸方向一端は、回転駆動源である電動モータ95に連結され、ボールネジ軸94の軸方向他端は、軸受96によってベースプレート91に回転可能に支持されている。
【0048】
また、スライダ93からは逆L字状に屈曲するアーム97が延びており、このアーム97の先端には、ワークWを1枚ずつ把持するためのクランプ98が取り付けられている。
【0049】
したがって、電動モータ95を起動してボールネジ軸94を正逆転させれば、該ボールネジ軸94に螺合するスライダ93がアーム97と共に一対のガイドレール92に沿ってY軸方向に移動し、アーム97の先端に取り付けられたクランプ98がカセット6内に収容されたワークWを1枚ずつ把持してカセット6から取り出す。
【0050】
さらに、仮置きテーブル80の移動限の近傍の
図3において破線にて示す搬送空間S5には、ワーク取出機構90によってカセット6から一対のレール87上に取り出されたワークWを保持してこれを仮置きテーブル80へと搬送するワーク搬送機構100(
図5参照)が配置されている。
【0051】
上記ワーク搬送機構100は、
図5に示すように、ベースプレート101に軸方向に沿って互いに平行に取り付けられた上下一対のガイドレール102と、これらのガイドレール102に沿ってY軸方向に摺動するスライダ103を備えている。そして、上下一対のガイドレール102の間には、回転可能なボールネジ軸104がY軸方向に沿って配置されており、このボールネジ軸104は、スライダ103に螺合挿通している。ここで、ボールネジ軸104の軸方向一端は、回転駆動源である電動モータ105に連結されており、ボールネジ軸104の軸方向他端は、軸受106によってベースプレート101に回転可能に支持されている。
【0052】
また、スライダ103には昇降シリンダ107が取り付けられており、この昇降シリンダ107から下方に垂直に延びるロッド108の下端には、ワークWを吸引保持するための矩形プレート状の吸着パッド109が取り付けられている。
【0053】
したがって、電動モータ105を起動してボールネジ軸104を正逆転させると、該ボールネジ軸104に螺合するスライダ103が昇降シリンダ107と吸着パッド109と共にY軸方向に沿って移動する。このため、吸着パッド109に保持されたワークWがY軸方向に沿って搬送される。
【0054】
<ストッカ>
ストッカ70は、
図1に示すように、カセットステージ50の横に配置されており、テーブル71上には、研削加工前の複数のワークWが収納された複数のカセット6(
図1には、不図示)がアダプタプレート51上に載置された状態でストックされており、その上方の
図1に破線にて示すカセット移送空間S6には、
図6に示すカセット移送機構110が配置されている。
【0055】
上記カセット移送機構110は、
図6に示すように、ベースプレート111にX軸方向に沿って互いに平行に配置された上下一対のガイドレール112と、これらのガイドレール112に沿ってX軸方向に摺動する矩形ブロック状のスライダ113を備えている。そして、スライダ113には、Z軸方向に延びる垂直な一対のガイドレール114が互いに平行に取り付けられており、これらのガイドレール114には、昇降板115がZ軸方向に昇降可能に嵌合保持されている。
【0056】
また、一対のガイドレール114の間には、回転可能なボールネジ軸116がZ軸方向に沿って垂直に配置されており、このボールネジ軸116には、昇降板115に突設された不図示のナット部材が螺合している。そして、ボールネジ軸116の軸方向一端(上端)は、回転駆動源である電動モータ117に連結されており、ボールネジ軸117の軸方向他端(下端)は、軸受118によってスライダ113に回転可能に支持されている。
【0057】
上記昇降板115には、Y軸方向に沿って水平に延びるアーム119が取り付けられており、このアーム119の先端から下方に延びる軸119aの下端には、矩形プレート状の支持パッド120が取り付けられている。そして、支持パッド120の四隅からは、下端がL字状に屈曲するハンガー121が下方に向かってそれぞれ垂直に延びている。
【0058】
また、ベースプレート111に取り付けられた上下一対のガイドレール112の間には、X軸方向に長い回転可能なボールネジ軸122が設けられており、このボールネジ軸122の長手方向一端は、回転駆動源である電動モータ123に連結され、ボールネジ軸122の軸方向他端は、軸受124によってベースプレート111に回転可能に支持されている。そして、このボールネジ軸122は、スライダ113に螺合挿通している。
【0059】
したがって、電動モータ123を起動してボールネジ軸122を正逆転させると、このボールネジ軸122に螺合するスライダ113が一対のガイドレール112に沿ってX軸方向に移動し、電動モータ117を起動してボールネジ軸116を正逆転させると、このボールネジ軸116に螺合する昇降板115が一対のガイドレール114に沿ってZ軸方向に昇降動する。このため、アーム119と軸119aを介して昇降板115に取り付けられた支持パッド120と該支持パッド120から下方に延びる4本のハンガー121は、X軸方向に移動可能であるとともに、Z軸方向に昇降動可能であり、4本のハンガー121によってアダプタプレート51が把持されることによって、該アダプタプレー51上に載置されたカセット6がX軸方向に沿って搬送される。
【0060】
<乾燥制御部>
図9に示す乾燥制御部200は、ワークWの研削をフルオート(全自動)で行う研削装置1において、研削加工中に何らかのエラーが発生するなどしたためにフルオート動作が停止した場合に、作業者による手作業を要することなく、ワークWの研削水が付着した下面に向けてエアを噴射して該ワークWの下面を乾燥させるものであって、その詳細については後述する。
【0061】
[研削装置の作用]
次に、以上のように構成された研削装置1によるワークWの研削加工について説明する。
【0062】
ワークWを研削加工する際には、
図4に示すワーク取出機構90によってカセット6から加工前のワークWが
図3に示す一対のレール87上に引き出される。すると、レール87上に引き出された2枚のワークWは、
図5に示すワーク搬送機構100の吸着パッド109によって吸着保持されて
図3に示す仮置きテーブル80へと搬送され、該仮置きテーブル80の保持面80a上にそれぞれ吸引保持される。
【0063】
上述のように仮置きテーブル80の2つの保持面80a上に2枚のワークWがそれぞれ吸引保持されると、仮置きテーブル80が
図3に示すX軸移動機構81によってX軸方向に移動してX軸方向の位置決めがなされる。すると、仮置きテーブル80上に保持された2枚のワークWは、
図2に示す第1搬送手段20の第1搬送パッド21に吸引保持されて第1加工ユニットU1の第1チャックテーブル3へと移送されて該第1チャックテーブル3に受け渡され、該第1チャックテーブル3の保持面3aに吸引保持される。
【0064】
上述のように第1チャックテーブル3の保持面3a上に2枚のワークWが吸引保持されると、不図示の第1移動機構によって第1チャックテーブル3が粗研削手段10に向かって+Y軸方向へと移動し、該第1チャックテーブル3が粗研削手段10の研削ホイール15の下方に位置決めされる。
【0065】
上記状態から、粗研削手段10のスピンドルモータ12が起動されて研削ホイール15が所定の速度で回転するとともに、昇降機構30が駆動されて研削ホイール15が所定量(粗研削代)だけ下降すると、研削ホイール15の砥石16がワークWに接触して該ワークWを粗研削する。なお、この砥石16によるワークWの粗研削は、砥石16とワークWとの接触部に不図示の研削水供給手段から研削水の供給を受けながら行われる。また、粗研削中のワークWの厚みは、第1厚み測定器4によって測定される。
【0066】
以上のようにして粗研削手段10によるワークWの粗研削が終了すると、昇降機構30によって研削ホイール15が上昇して砥石16がワークWから離間する。すると、粗研削されたワークWは、
図2に示す第1搬送手段20の第1搬送パッド21に吸引保持されて仮置き部40に向かって-Y軸方向へと搬送され、仮置き部40の第3テーブル43の保持面43aによって吸引保持される。
【0067】
次に、保持面43aに2枚のワークWを吸引保持した第3テーブル43は、不図示の第3移動機構によってガイドプレート42に沿って+X軸方向へと移動する。すると、2枚のワークWは、
図2に示す第1搬送手段20と同様に構成された第2搬送手段20の第2搬送パッド21に吸引保持されて仕上げ研削手段10’の第2チャックテーブル3’へと受け渡される。2枚のワークWが受け渡された第2チャックテーブル3’は、不図示の移動機構によって仕上げ研削手段10’に向かって+Y軸方向へと移動し、該第2チャックテーブル3’とこれに保持されたワークWが仕上げ研削手段10’の研削ホイール15’の下方に位置決めされる。
【0068】
上記状態から、仕上げ研削手段10’のスピンドルモータ12’が起動されて研削ホイール15’が所定の速度で回転するとともに、昇降機構30が駆動されて研削ホイール15’が所定量(仕上げ研削代)だけ下降すると、研削ホイール15’の砥石16’が2枚のワークWに接触して各ワークWをそれぞれ仕上げ研削する。なお、この砥石16’によるワークWの仕上げ研削は、砥石16’とワークWとの接触部に不図示の研削水供給手段から研削水の供給を受けながら行われる。また、仕上げ研削中のワークWの厚みは、第2厚み測定器4’によって測定される。
【0069】
以上のようにして仕上げ研削手段10’によるワークWの仕上げ研削が終了すると、昇降機構30によって研削ホイール15’が上昇して砥石16’がワークWから離間する。すると、仕上げ研削された2枚のワークWは、
図2に示す第1搬送手段20と同様に構成された第2搬送手段20の第2搬送パッド21に吸引保持されて洗浄手段60へと搬送され、該洗浄手段60のスピンナテーブル61へと受け渡される。
【0070】
洗浄手段60においては、スピンナテーブル61がワークWと共に不図示の回転機構によって垂直な軸中心軸回りに回転駆動されるとともに、洗浄水ノズル62からワークWに向けて洗浄水が噴射される。すると、各ワークWが洗浄水によってそれぞれ洗浄され、該ワークWの表面に付着している研削屑が除去される。なお、図示しないが、洗浄手段60において洗浄水によって洗浄された2枚のワークWは、カセット6とは別の不図示のカセットに収容され、これによってワークWに対する一連の研削加工が終了する。
【0071】
ところで、ワークWに対する研削加工をフルオートで行う研削装置1において、研削加工中に何らかのエラーが発生するなどしたためにフルオート動作が停止した場合、例えば、粗研削が終了したワークWを仮置き部40の第3テーブル43へと受け渡したときにフルオート動作が停止した場合、
図9に示す乾燥制御部200は、
図7に示すように、第1搬送手段20の第1搬送パッド21によって2枚のワークWを複数の吸盤27によって吸引保持する。そして、乾燥制御部200は、第1搬送手段20の第1Z軸移動機構20Bを駆動してワークWを保持した第1搬送パッド21を
図8及び
図9に示すように所定量だけ上昇させ、ワークWの下面と第3テーブル43の保持面43a(
図8参照)との間に所定の隙間δを形成する(
図9参照)。
【0072】
ここで、
図9に示すように、第3テーブル43の内部には、エア供給源130と吸引源140に連通する連通路7が形成されており、この連通路7からは複数の連通路8が分岐して垂直上方へと延びており、これらの連通路8は、当該第3テーブル43の保持面43a(
図8参照)に円孔状の開口部8aとしてそれぞれ開口している。
【0073】
また、連通路7から延びる配管9は、エア供給源130に接続されており、この配管9から分岐する分岐管9aは、吸引源140に接続されている。そして、配管9と分岐管9aには電磁開閉式のバルブV1,V2がそれぞれ設けられており、これらのバルブV1,V2は、乾燥制御部200に電気的に接続されてその開閉が乾燥制御部200によってそれぞれ制御される。
【0074】
そして、
図9に示すように、第1搬送パッド21に吸引保持されたワークWの下面と第3テーブル43の保持面43a(
図8参照)との間に所定の隙間δが形成されると、乾燥制御部200は、一方のバルブV2を閉じた状態で他方のバルブV1を開く。すると、エア供給源130からエアが配管9と連通路7,8を経て第3テーブル43の保持面43aに開口する複数の開口部8aから各ワークWの下面に向けてそれぞれ噴射され、各ワークWの下面に付着している研削水がエアによって吹き飛ばされて各ワークWの下面が乾燥する。
【0075】
なお、第3テーブル43に代わって、仮置きテーブル80によって第1搬送パッド21に吸引保持されたワークWの下面を乾燥させてもよい。つまり、仮置きテーブル80も第3テーブル43と同様に、エア供給源130と吸引源140に連通し、バルブV1,V2を備え、乾燥制御部200は、バルブV2を閉じた状態で他方のバルブV1を開き、保持面80aからエアを噴射して、隙間δを形成して保持面80aの上に待機している第1搬送パッド21に吸引保持されたワークWの下面を乾燥させても良い。
【0076】
また、ワークWの下面を乾燥させる際に、第1搬送パッド21に対して第3テーブル43または仮置きテーブル80を相対的に水平方向に移動させても良い。つまり、第1Y軸移動機構20Aによって第1搬送パッド21をY軸方向に往復移動させてもよい。また、ガイドプレート42によって第3テーブル43をX軸方向に往復移動させもよい。また、X軸移動機構81によって仮置きテーブル80をX軸方向に往復移動させも良い。
【0077】
以上のように、例えば、粗研削が終了したワークWを仮置き部40の第3テーブル43へと受け渡したときにフルオート動作が停止した場合には、乾燥制御部200は、
図9に示すように、ワークWを保持した第1搬送パッド21を所定量だけ上昇させ、該第1搬送パッド21に保持されたワークWの下面と第3テーブル43の保持面43a(
図8参照)との間に所定の隙間δを形成し、第3テーブル43の保持面43aに開口する複数の開口部8aからエアを各ワークWの下面に向けて噴射して各ワークWの下面を乾燥させるようにしたため、作業者がワークWを第3テーブル43から取り外して該ワークWの下面に付着している研削水をハンディータイプのエアガンを用いて噴射したエアで吹き飛ばすという手作業が不要となる。このため、作業者の負担が軽減されるとともに、研削装置1のフルオート動作が停止して再開するまでに要する時間が短縮され、当該研削装置1の稼働率の低下が最小限に抑えられる。
【0078】
また、上記のように、エアガンから噴射したエアによって、加工装置内に留まっている乾燥した加工屑を撒き散らかせ、仮置き部40の第3テーブル43の保持面43aに付着するなどして、その加工屑がワークWの下面に付着して、ワークWを不良にするという問題を解消することができる。
【0079】
なお、以上は粗研削が終了したワークWを仮置き部40の第3テーブル43上に仮置きしたときに研削装置1のフルオート動作が停止した場合を例として説明したが、第1チャックテーブル3や第2チャックテーブル3’上にワークWを保持しているときにフルオート動作が停止した場合には、乾燥制御部200(実際には、第1加工ユニットU1と第2加工ユニットU2にそれぞれ設けられた不図示の第1乾燥制御部や第2乾燥制御部)は、以下のようにしてワークWの下面をエアによって素早く乾燥させる。
【0080】
すなわち、第1チャックテーブル3や第2チャックテーブル3’に保持されているワークWを第1または第2搬送パッド21によって吸引保持し、第1または第2搬送パッド21をワークWと共に所定量だけ上昇させ、
図9に示すように、ワークWと第1チャックテーブル3の保持面3aまたは第2チャックテーブル3’の保持面3a’との間に所定の隙間δを形成し、保持面3aまたは3a’からワークWの下面に向けてエアを噴射して該ワークWの下面を乾燥させるようにすれば良い。
【0081】
また、所定の隙間δを形成したワークWの下面に向けて、保持面3aまたは保持面3a’から水を噴射して、ワークWの下面を洗浄した後、保持面3aまたは3a’からワークWの下面に向けてエアを噴射して該ワークWの下面を乾燥させるようにしても良い。
【0082】
ところで、以上の実施の形態では、矩形プレート状の2枚のワークWを研削加工する例について説明したが、ワークWの枚数は1枚であっても、3枚以上の複数枚であっても良い。また、ワークWの形状は任意であって、例えば、ウェーハなどの円板状のものであっても良い。
【0083】
また、以上は本発明に係る加工装置として、矩形プレート状の2枚のワークを研削加工する研削装置を例として説明したが、本発明は、研削装置以外の他の任意の加工装置、例えば、研磨装置や切削装置などもその適用対象に含むものである。
【0084】
その他、本発明は、以上説明した実施の形態に適用が限定されるものではなく、特許請求の範囲及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0085】
1:研削装置(加工装置)、2:装置ベース、
3:第1チャックテーブル(第1テーブル)、3a:保持面、
3’:第2チャックテーブル、3’a:保持面、4:第1厚み測定器、
4’:第2厚み測定器、5:コラム、6:カセット、7,8:連通路、8a:開口部、
9:配管、9a:分岐管、10:粗研削手段(第1加工手段)、
10’:仕上げ研削手段(第2加工手段)、11,11‘:ホルダ、
12,12’:スピンドルモータ、13,13’:スピンドル、
14,14’:マウント、15,15’:研削ホイール、16,16’:砥石、
20:第1搬送手段(第2搬送手段)、20A:第1Y軸移動機構、
20B:第1Z軸移動機構、21:第1搬送パッド(第2搬送パッド)、
21a,21b:ベースプレート、22a,22b:ガイドレール、
23a:スライダ、23b:昇降ブロック、24a,24b:ボールネジ軸、
25a,25b:電動モータ、26a,26b:軸受、27:吸盤、30:昇降機構、
31:昇降板、32:ガイドレール、33:ボールネジ軸、34:電動モータ、
40:仮置き部、41:仮置き台、42:ガイドプレート、
43:第3テーブル(仮置きテーブル)、43a:保持面、50:カセットステージ、
51:アダプタプレート、52:カセット昇降機構、53:ベースプレート、
54:ガイドレール、55:昇降板、56:ボールネジ軸、57:電動モータ、
60:洗浄手段、61:スピンナテーブル、62:洗浄水ノズル、70:ストッカ、
71:テーブル、80:仮置きテーブル、8:ベース台、83:ガイドレール、
84:ボールネジ軸、85:電動モータ、86:軸受、87:レール、
90:ワーク取出機構、91:ベースプレート、92:ガイドレール、
93:スライダ、94:ボールネジ軸、95:電動モータ、96:軸受、
97:アーム、98:クランプ、100:ワーク搬送機構、101:ベースプレート、
102:ガイドレール、103:スライダ、104:ボールネジ軸、
105:電動モータ、106:軸受、107:昇降シリンダ、108:ロッド、
109:吸着パッド、110:カセット移動機構、111:ベースプレート、
112:ガイドレール、113:スライダ、114:ガイドレール、115:昇降板、
116:ボールネジ軸、117:電動モータ、118:軸受、119:アーム、
119a:軸、120:支持パッド、121:ハンガー、122:ボールねじ軸、
123:電動モータ、124:軸受、130:エア供給源、140:軸受、
S1:第1搬送空間、S2:第2搬送空間、S3:ワーク仮置き空間、
S4:ワーク取出空間、S5:搬送空間、S6:カセット移送空間、
U1:第1加工ユニット、U2:第2加工ユニット、V1,V2:バルブ、
W:ワーク、δ:隙間